上原 徹也 (〒38 静岡県富士宮市野中町329番地 大宮製紙株式会社内 Shizuoka, 4180038, JP)
HIRONO, Ayako (329 Nonaka-cho,Fujinomiya-sh, Shizuoka 38, 4180038, JP)
大王製紙株式会社 (〒92 愛媛県四国中央市三島紙屋町2番60号 Ehime, 7990492, JP)
UEHARA, Tetsuya (329 Nonaka-cho,Fujinomiya-sh, Shizuoka 38, 4180038, JP)
上原 徹也 (〒38 静岡県富士宮市野中町329番地 大宮製紙株式会社内 Shizuoka, 4180038, JP)
| パルプスラリーをpH7.5~10の条件下で5分~1時間保持するアルカリ処理を行うとともに、このアルカリ処理中またはアルカリ処理後のパルプスラリーにカチオン性柔軟剤を対パルプ重量比で0.1~3.0重量%添加し、このカチオン性柔軟剤を添加して得られるパルプスラリーを用いて抄紙してなる、ことを特徴とする柔軟性薄葉紙。 |
| 前記パルプスラリーの温度を45~75℃とした状態で前記アルカリ処理を行う、請求項1記載の柔軟性薄葉紙。 |
| 前記アルカリ条件下にするために前記パルプスラリーに水酸化ナトリウムを添加する、請求項1又は2記載の柔軟性薄葉紙。 |
本発明は、柔軟剤の内添により柔軟化し 柔軟性薄葉紙に関するものである。
トイレットペーパーやティッシュペーパー
の家庭用衛生薄葉紙においては、柔軟剤を
ルプスラリーに添加し、パルプ相互の滑り
より柔軟性を向上させる方法が各種提案さ
ている。柔軟剤としては、たとえば脂肪酸
ステル系柔軟化剤(特許文献1)、第4級アンモ
ニウム塩型カチオン活性剤(特許文献2)、ウレ
タンアルコール、その塩、またはカチオン化
物(特許文献3)、非陽イオン系界面活性剤(特
文献4)等が知られている。
しかし、単に柔軟剤を使用した場合、柔軟
が向上する一方で、紙力が低下するという
題点があった。
そこで、本発明の主たる課題は、柔軟性を
持しつつ、紙力低下を抑制することにある
上記課題を解決した本発明は次記のとおり
ある。
<請求項1記載の発明>
パルプスラリーをpH7.5~10の条件下で5分~1時
保持するアルカリ処理を行うとともに、こ
アルカリ処理中またはアルカリ処理後のパ
プスラリーにカチオン性柔軟剤を対パルプ
量比で0.1~3.0重量%添加し、このカチオン性柔
軟剤を添加して得られるパルプスラリーを用
いて抄紙してなる、ことを特徴とする柔軟性
薄葉紙。
(作用効果)
本発明の特徴は、柔軟剤の添加と同時また
添加に先立ってパルプをアルカリ処理する
とにある。このような処理を経て薄葉紙を
造すると、柔軟性を維持しつつ、紙力低下
抑制できるのである。この理由は定かでは
いが、実験において柔軟剤の定着量が増加
る傾向が現れていることから、柔軟剤が繊
のルーメン(空孔)内に入り込むことによっ
、繊維自体の柔軟性が向上するとともに、
維外面に付着する柔軟剤の減少により、紙
低下をもたらすような繊維相互の滑りが抑
されるためではないかと考えられる。アル
リ処理の処理時間が5分~1時間の範囲内であ
と、確実性及び処理効率の点で好ましい。
チオン性柔軟剤の使用量が少な過ぎると、
高化効果・柔軟効果が少なくなり、反対に
過ぎると紙力低下が著しい。
<請求項2記載の発明>
前記パルプスラリーの温度を45~75℃とした
態で前記アルカリ処理を行う、請求項1記載
柔軟性薄葉紙。
(作用効果)
パルプスラリーのアルカリ処理を行う温度
、45~75℃とすることで柔軟性が向上する。
熱をしない場合と比較して多少紙力強度が
下するが、常温でアルカリ処理を行わず柔
剤を添加する場合と同等の強度である。こ
理由は定かではないが、加熱によりセルロ
スの膨潤が進み、ヘミセルロースの溶出が
くなり強度は低下する一方、セルロースの
度が高くなったので柔軟剤の効果が十分に
現したものと考えられる。実施例でも示す
、柔軟剤の定着率は大きく変化しないが柔
性は向上している。
<請求項3記載の発明>
前記アルカリ条件下にするために前記パル
スラリーに水酸化ナトリウムを添加する、
求項1又は2記載の柔軟性薄葉紙。
(作用効果)
アルカリ処理を行う薬品として、水酸化ナ
リウムを用いることでpHの調整を容易に行
ことができる。
以上のとおり、本発明の柔軟性薄葉紙に れば、柔軟性を維持しつつ、紙力低下を抑 できる等の利点がもたらされる。
以下、本発明の一実施形態について詳説す
。
原料のパルプとしては、公知のものを限定
く用いることができ、具体的には、グラン
ウッドパルプ(GP)・プレッシャーライズドグ
ランドウッドパルプ(PGW)・サーモメカニカル
ルプ(TMP)等の機械パルプ、セミケミカルパ
プ(CP)、針葉樹高歩留り未晒クラフトパルプ(
HNKP)・針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)・広葉樹
晒クラフトパルプ(LUKP)・広葉樹晒クラフト
ルプ(LBKP)等の化学パルプ、ならびにデイン
ングパルプ(DIP)・ウェイストパルプ(WP)等の
紙パルプのうち、一種または二種以上を選
して用いることができる。特に、パルプ原
におけるNBKP配合率(JIS P 8120)を30.0~80.0%、特
に40.0~70.0%とするのが好ましい。
本発明では、パルプ原料を水に懸濁して られるパルプスラリーを、pH7.5~10のアルカ 条件下に所定時間保持するアルカリ処理を い、パルプを膨潤させる。pHのより好ましい 範囲は8~9である。pHが高過ぎるとマーセル化 ルプとなり、シート強度を発現する低分子 のヘミセルロースが溶出すること、セルロ スの結晶構造がセルロースIからセルロース IIに変化しパルプの単繊維強度が低下するこ から、紙力が低下する。反対にpHが低過ぎ とパルプの膨潤が少なく本発明の効果が低 。アルカリ処理の処理時間は、確実性及び 理効率の観点から、5分~1時間の範囲内で選 される。
pHの調整は適宜の薬剤を用いて行うこと できる。例えばパルプスラリーが酸性乃至 性の場合には水酸化ナトリウム、水酸化カ ウム等の塩基を用いることがでるが水酸化 トリウムが好ましい。またパルプスラリー 強塩基性の場合には硫酸、硝酸、酢酸等の を用いることができるが、硫酸が好ましい
アルカリ処理を行う時のパルプスラリー 温度は、室温でも良いが、45~75℃が良く、 らに好ましくは55~65℃である。アルカリ処理 を55~65℃に加熱して行うと柔軟性が更に向上 る。加熱をしない場合と比較して少し強度 低下するが、常温でアルカリ処理を行わず 軟剤を添加する場合と同等の強度である。 測であるが、この理由としては、加熱によ セルロースの膨潤が進み、ヘミセルロース 溶出が多くなり強度は低下する一方、セル ースの純度が高くなったので柔軟剤の効果 十分に発現したものと考えられる。実施例 も示すが、柔軟剤の定着率は大きく変化し いが柔軟性は向上している。
アルカリ処理は、パルプの叩解・パルプ 混合・染料や薬品の添加等を行う調成工程 、抄紙工程におけるパルプスラリーの調製 程等で行うことができる。アルカリ処理は パルプスラリーを流しながら処理を行う連 式でも良いが、pH調整および処理時間の確 が容易である点でタンク等の貯留手段を用 てバッチ式で行うのが好ましい。この貯留 段として既存設備を用いることもできる。
そして、このアルカリ処理中またはアル リ処理後のパルプスラリーにカチオン性柔 剤が添加される。カチオン性柔軟剤として 、公知のものを適宜選択して用いることが きるが、特に脂肪酸エステル、脂肪酸アミ 等が好適である。カチオン性柔軟剤の使用 は、パルプに対して0.1~3.0重量%程度とする が好ましい。カチオン性柔軟剤の使用量が な過ぎると、嵩高化効果・柔軟効果が少な なり、反対に多過ぎると紙力低下が著しい
カチオン性柔軟剤を添加したパルプスラリ は抄紙工程に供給され、本発明に係る薄葉 が製造される。抄紙工程は特に限定されず 公知のものを用いることができる。薄葉紙 坪量(JIS P 8124)は適宜選択すれば良いが、1 ライ当たり10.0~35.0g/m 2 が望ましい。また、薄葉紙の紙力は適宜調整 することができるが、JIS P 8113に規定される 乾燥引張強度(以下、乾燥紙力ともいう)が、1 プライ当たり縦方向100cN/25mm以上、特に150~300c N/25mm、横方向40cN/25mm以上、特に60~100cN/25mmの のを用いるのが好ましい。基材紙の乾燥紙 が低過ぎると、製造時に断紙や伸び等のト ブルが発生し易くなり、高過ぎると使用時 ごわごわした肌触りとなる。
本発明では、公知の紙力剤を内添または 添することができる。乾燥紙力剤としては カチオンデンプン、ポリアクリルアミド、C MC(カルボキシメチルセルロース)若しくはそ 塩であるカルボキシメチルセルロースナト ウム、カルボキシメチルセルロースカルシ ム、カルボキシメチルセルロース亜鉛等を いることができる。湿潤紙力剤としては、 リアミド・エピクロルヒドリン樹脂、尿素 脂、酸コロイド・メラミン樹脂、熱架橋性 与PAM等を用いることができる。
(比較例1)
パルプ(LBKP:NBKP=6:4)を水(pH7.5)で懸濁してパル
プスラリーを製造し、JIS P 8222に準じて坪量
42.9g/m 2
の手抄きシートを作製した。この手抄きシー
トについて、表1に示す各種物性の測定・算
を行った。
物性の測定は、JIS P 8111に規定される条件
で行った。裂断長はJIS P 8113に準じて測定
た。ヤング率は、超音波伝播速度を測定し
その測定結果を下記式(1)に代入して算出し
。
E ∝ ρ・C 2
・・・(1)
ここで、Eはヤング率、ρは紙の密度、Cは超
音波伝播速度である。
なお、表中のヤング率は、比較例1の値を100
として指数表記したものであり、比容積の向
上度は、比較例1の比容積を0%としたときの値
であり、裂断長比較値は比較例1の裂断長を10
0%としたときの値である。
(比較例2)
パルプスラリーにカチオン性柔軟剤(T-FS301
星光PMC製)を、対パルプ重量比で0.5重量%添加
した以外は、比較例1と同様にして手抄きシ
トを製造し、各種物性の測定・算出を行っ
。なお、本比較例2を含め、柔軟剤を添加し
例については、柔軟剤定着率を抽出法によ
測定した。
(実施例1)
パルプスラリーに水酸化ナトリウム(以下NaO
Hで表記)を添加してpH8に調整した後、直ちに
チオン性柔軟剤(T-FS301)を対パルプ重量比で0
.5重量%添加して1時間攪拌し、次に硫酸を添
してpH7に戻し、10分間攪拌した後に抄造する
ようにした以外は、比較例1と同様にして手
きシートを製造し、各種物性の測定・算出
行い、その結果を表1に示した。
(実施例2)
NaOHの添加によるpH調整をpH10とした以外は、
実施例1と同様にして手抄きシートを製造し
各種物性の測定・算出を行った。
(実施例3)
パルプスラリーにNaOHを添加してpH8に調整し
た後、1時間攪拌し、次に硫酸を添加してpH7
戻した後、直ちにカチオン性柔軟剤(T-FS301)
対パルプ重量比で0.5重量%添加して10分間攪
し、しかる後に抄造するようにした以外は
比較例1と同様にして手抄きシートを製造し
各種物性の測定・算出を行い、その結果を
1に示した。
(実施例4)
NaOHの添加によるpH調整をpH10とした以外は、
実施例3と同様にして手抄きシートを製造し
各種物性の測定・算出を行い、その結果を
1に示した。
(比較例3)
パルプ(NBKP100%)を水(pH7.5)で懸濁してパルプ
ラリーを製造し、比較例1と同様にして手抄
シートを作製した。この手抄きシートにつ
て、各種物性の測定・算出を行い、その結
を表2に示した。
(実施例5)
パルプ(NBKP100%)を水(pH7.5)で懸濁してパルプ
ラリーを製造し、NaOHを添加してpH10に調整し
た直後に柔軟剤(T-FS301)を添加し、5分間攪拌
た以外は比較例1と同様にして手抄きシート
作製した。この手抄きシートについて、各
物性の測定・算出を行い、その結果を表2に
示した。なお、ヤング率、比容積の向上度、
裂断長比較値は比較例3を100%として算出した
(実施例6)
アルカリ処理時にパルプスラリーを60℃に
熱した以外は実施例5と同様にして手抄きシ
トを作製した。この手抄きシートについて
実施例5と同様に各種物性の測定・算出を行
い、その結果を表2に示した。
表1からも判るように、本発明に係る実施 例では、十分な柔軟性が発現しているにもか かわらず、紙力の低下が抑制されている。
表2からも判るように、60℃に加熱してア カリ処理し柔軟剤を添加することで、柔軟 が向上している。
本発明は、ティシューペーパー、トイレ トペーパー、キッチンペーパー、クレープ 等の薄葉紙に適用可能なものである。
