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Title:
FLEXIBLE TRANSPARENT ELECTROCONDUCTIVE FILM
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/037832
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention provides a transparent electroconductive film possessing electroconductivity, abrasion resistance and friction resistance comparable with a trnasparent electroconductive film of a metal oxide and having excellent flexibility. The transparent electroconductive film is a flexible transparent electroconductive film comprising a polymer substrate, and an organic electroconductive film and a transparent electroconductive film of a metal oxide stacked on the polymer substrate. The transparent electroconductive film is characterized by comprising the polymer substrate, the organic electroconductive film provided on the polymer substrate, and the transparent electroconductive film of the metal oxide provided on the organic electroconductive film, the transparent electroconductive film of the metal oxide being cracked. The transparent electroconductive film is further characterized in that the electric characteristics of the interface between the transparent electroconductive film of the metal oxide and the organic electroconductive film are based on a space charge controlled current mechanism in which current flows in proportion to the 1.65th to 2.23th power of added voltage.

Inventors:
KOIKE JUNICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/002562
Publication Date:
March 26, 2009
Filing Date:
September 18, 2008
Export Citation:
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Assignee:
UNIV TOHOKU NAT UNIV CORP (JP)
KOIKE JUNICHI (JP)
International Classes:
H01B5/14; B32B7/02; G02F1/1343; G02F1/135
Domestic Patent References:
WO2006040989A12006-04-20
WO2007043569A12007-04-19
Foreign References:
JP2005019056A2005-01-20
JP2007073498A2007-03-22
JP2004122429A2004-04-22
JP2000162984A2000-06-16
JP2005108467A2005-04-21
Attorney, Agent or Firm:
MASUTANI, Tsuyoshi (Morin Building17-3, Minamiaoyama 2-chom, Minao-ku Tokyo 62, JP)
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Claims:
 高分子基板上に、有機導電膜および金属酸化物透明導電膜が積層されてなるフレキシブル透明導電膜において、
該高分子基板上に該有機導電膜が形成され、該有機導電膜上に該金属酸化物透明導電膜が形成され、
 該金属酸化物透明導電膜に亀裂が形成されていることを特徴とするフレキシブル透明導電膜。
 
 前記金属酸化物透明導電膜の亀裂が、前記金属酸化物透明導電膜の厚さ方向に貫通する形で形成さていることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル透明導電膜。
 
 前記有機導電膜の膜厚は、85nm~500nmであることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル透導電膜。
 
 前記有機導電膜の膜厚は、50nm~1μmであることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル透明電膜。
 
 前記金属酸化物透明導電膜と有機導電膜との界面の電気特性は、付加された電圧の1.65~2.3乗に比例して電流が流れる空間電荷制限電流機構であることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル透明導電膜。
 
 前記高分子基板が、ガスバリア層でコーティングされていることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル透明導電膜。
 
 前記金属酸化物透明導電膜に亀裂が形成された状態で、前記フレキシブル透明導電膜の電気抵抗値が、フレキシブル透明導電膜が正常に機能する値であることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル透明導電膜。
 
 前記電気抵抗のシート抵抗が、10kω/□以下であることを特徴とする請求項7に記載のフレキシブル透明導電膜。
 
 前記請求項1または5に記載のフレキシブル透明導電膜を備えていることを特徴とするタッチパネル。
 
 前記請求項1または5に記載のフレキシブル透明導電膜を備えていることを特徴とするタブレット。
 
 前記請求項1または5に記載のフレキシブル透明導電膜を備えていることを特徴とする屈曲性が求められる平面ディスプレイ。
 
 前記請求項1または5に記載のフレキシブル透明導電膜を備えていることを特徴とする電子ペーパー。
 
 高分子基板上に、有機導電膜および透明導電膜が形成されてなるフレキシブル透明導電膜において、
該高分子基板上に該有機導電膜が形成され、該有機導電膜上に該透明導電膜が形成され、
該透明導電膜に亀裂が形成され、
該有機導電膜の膜厚が、85nm~500nmであることを特徴とするフレキシブル透明導電膜。
 
 前記透明導電膜の亀裂が、前記透明導電膜の厚さ方向に貫通する形で形成されていることを特徴とする請求項13に記載のフレキシブル透明導電膜。
 
 前記透明導電膜と有機導電膜との界面の電気特性は、付加された電圧の1.65~2.23乗に比例して電流が流れる空間電荷制限電流機構であることを特徴とする請求項13に記載のフレキシブル透明導電膜。
 
 前記高分子基板が、ガスバリア層でコーティングされていることを特徴とする請求項13に記載のフレキシブル透明導電膜。
 
 前記透明導電膜に亀裂が形成された状態で、前記フレキシブル透明導電膜の電気抵抗値が、フレキシブル透明導電膜が正常に機能する値であることを特徴とする請求項13に記載のフレキシブル透明導電膜。
 
 前記電気抵抗のシート抵抗が、10kω/□以下であることを特徴とする請求項17に記載のフレキシブル透明導電膜。
 
 前記請求項13または15に記載のフレキシブル透明導電膜を備えていることを特徴とするタッチパネル。
 
 前記請求項13または15に記載のフレキシブル透明導電膜を備えていることを特徴とするタブレット。
 
 前記請求項13または15に記載のフレキシブル透明導電膜を備えていることを特徴とする屈曲性が求められる平面ディスプレイ。
 
 前記請求項13または15に記載のフレキシブル透明導電膜を備えていることを特徴とする電子ペーパー。
Description:
屈曲性のある透明導電膜

 本発明は、屈曲性が求められる平面ディ プレイ、タッチパネル、タブレット、電子 ーパーなどフレキシブル電子装置の用途に いて、屈曲しても優れた導電性を有するフ キシブル透明導電膜の構造に関するもので る。

 平面ディスプレイの上部共通電極には、 ラス基板に成膜された金属酸化物の透明導 膜が形成さている。また、タッチパネルの 部共通電極には、ポリエチレンテレフタレ ト(PET)などの屈曲性のある有機物基板に成 された金属酸化物の透明導電膜が形成され いる。金属酸化物の透明導電膜材料として インジウムに錫、亜鉛、ガリウムなどが添 された酸化物(ITO、IZO、IGO)およびこれらの複 合酸化物がある。しかし、これらの金属酸化 物は屈曲性に乏しく、例えばITOの場合は引張 ひずみにして約1.5%以上の変形を受けると、 裂が形成されて断線に至る。このため、金 酸化物を透明導電膜として用いるフレキシ ル平面ディスプレイ、電子ペーパーなどの 示装置においては、屈曲できる量が限られ いるという問題がある。また、タッチパネ などのフレキシブル電子装置においては、 り返しの使用に対する耐久性において問題 ある。このような現状から、屈曲性に優れ フレキシブル透明導電膜が必要とされてい 。

 フレキシブル透明導電膜として、ポリチ フェンなどの導電性高分子材料を用いるこ が提案されている。しかし、導電性高分子 料の抵抗率は、金属酸化物透明導電膜と比 すると一桁以上高く、さらに摩耗や摩擦に する耐久性に問題がある。このため、金属 化物透明導電膜と同等の導電性と耐摩耗性 耐摩擦性を有し、かつ優れた屈曲性を有す フレキシブル透明導電膜が必要とされてい 。このような条件を満たすフレキシブル透 導電膜として、金属酸化物導電膜と、有機 電膜あるいは誘電体膜とを積層して用いた 、金属酸化物膜にパターン形成する方法が 案されている。しかし、それらいずれの場 も以下に説明するように問題点がある。

 特許文献1では、PETなどの高分子フィルム を基材として、その上にITOなどの金属系透明 導電性薄膜と導電性有機物を二層に積層した 複合透明導電性膜が提案されている。しかし 、この文献においては、屈曲性を改善するた めの具体的な方法は一切開示されておらず、 屈曲性に関するデータも示されていない。

 特許文献2では、屈曲性のある高分子基板 上に形成されたITO層をリソグラフィー法を用 いて蛇行パターンに形成することによって、 屈曲性の問題が改善されている。しかし、蛇 行パターンの角部にひずみが集中するので十 分な屈曲性が得られないという欠点がある。 さらに、パターン形成するために、フレキシ ブル表示装置の共通電極に用いることができ ないなど、用途が限られている。

 特許文献3では、透明の高分子基板上に透明 な粘着剤層を介して、もう一枚の透明基板を 貼り合わせ、その上に屈折率が異なる2種類 誘電体を積層し、さらにその上にITOなどの 電体薄膜を形成することが提案されている このような積層構造を形成することによっ 、膜全体の屈折率を調整して光透過率を改 することができるとともに、タッチパネル おけるペン入力耐久性が向上できるとして る。しかし、変形能が異なる層を複数以上 層することによって、各積層膜の界面にお る密着強度の低下が問題となる。また、全 の厚さが増加するので積層膜全体が剛直に り、屈曲性の改善は局所的な曲げに限られ という欠点がある。

特許公開公報第2005-19056号

特許公開公報第2007-511783号

特許公開公報第2006-139750号

  本発明の目的は、金属酸化物透明導電 と同等の導電性と耐摩耗性、耐摩擦性を有 かつ優れた屈曲性を有する透明導電膜を提 することにある。

 本発明は、高分子基板上に、有機導電膜 よび金属酸化物透明導電膜が積層されてな フレキシブル透明導電膜において、該高分 基板上に該有機導電膜が形成され、該有機 電膜上に該金属酸化物透明導電膜が形成さ 、該金属酸化物透明導電膜に亀裂が形成さ ていることを特徴とするフレキシブル透明 電膜である。

 上記構成とすることで、金属酸化物透明 電膜の亀裂が形成された部分の導電経路は 下部に形成した導電性有機膜を介して補償 れる。従って、日常生活などで使用され、 定の力がフレキシブル透明導電膜に加えら 、金属酸化物透明導電膜に亀裂が形成され 場合でも、フレキシブル透明導電膜全体が 電性を失わず、ディスプレイなどに使用可 である。また、フレキシブル透明導電膜の 面が金属酸化物となるために、金属酸化物 有の耐摩耗性が得られる。また、主要な導 経路が金属酸化物となるために、フレキシ ル透明導電膜のシート抵抗は、10kω/□以下 値となる。

 これに対して、積層の順番を変えて、高 子基板上に金属酸化物透明導電膜を形成し らにその上に導電性高分子膜を形成すると フレキシブル透明導電膜の表面が導電性有 膜となるために、耐摩耗性に問題がある。 た、金属酸化物透明導電膜に形成される亀 は、容易に導電性有機膜を貫通して表面に し、膜全体の導電性が損なわれる。さらに 導電性有機膜が高分子膜の場合は、有機材 を含有する溶液をスピンコート法によって 金属酸化物透明導電膜上に塗布形成する際 、金属酸化物が該溶液に溶出するとともに 金属酸化物の構成元素が導電性有機膜に拡 混合して、フレキシブル透明導電膜全体の 電率が悪化する。

 前記金属酸化物透明導電膜の亀裂が、前 金属酸化物透明導電膜の厚さ方向に貫通す 形で形成されていてもよい。

 本発明に係るフレキシブル透明導電膜は 金属酸化物透明導電膜がその厚さ方向に貫 する亀裂(ひずみ)などを有していても、導 性を失わない。

 前記有機導電膜の膜厚は、85nm~500nmであって もよい。フレキシブル透明導電膜が製品化さ れ、日常生活などで使用された場合に、一定 の力がフレキシブル透明導電膜に加えられる ことが想定される。有機導電膜の膜厚が85nm 上であれば、日常生活で加えられるであろ 一定の力が加えられた場合でも、有機導電 にひずみが形成され、有機導電膜の電気抵 値が異常に上昇することを防ぎやすくなる
 

 前記有機導電膜の膜厚は、50nm~1μmであっ もよい。金属酸化物透明導電膜に亀裂を形 すると、亀裂が導電性有機膜に進展する。 例を挙げると、進展した亀裂の距離は30 nm 上、50 nm未満である。従って、導電性有機 の膜厚を50 nm以上とすることで、進展した 裂が導電性有機膜全体を貫通することがな 、導電性有機膜の連結性を維持し、フレキ ブル透明導電膜全体の導電性を維持するこ ができる。また、導電性有機膜の膜厚が1mm 超えても、フレキシブル膜全体の導電性を 持しながら屈曲性を保つことが可能である 、成膜に要する時間が長くなり、製造コス の観点から好ましくない。

 金属酸化物透明導電膜と有機導電膜との 面の電気特性は、付加された電圧の1.65~2.23 比例して電流が流れる空間電荷制限電流機 であってもよい。

 金属酸化物透明導電膜と有機導電膜それ れについて、導電機構およびエネルギー準 が異なるたに、これら膜の界面を流れる電 は、付加電圧の1.91乗に比例するようになる 。累乗指数の1.91は、理想的な界面状態から 誤差を含めると1.65~2.23の範囲となる。この きの界面電流は、空間電荷制限電流と呼ば 、オーミック接触に準ずる良好な電流―電 特性を得ることができる。電流が電圧の1.91 に比例しない場合は、界面に絶縁バリア層 形成されてショットキー接触となって界面 抗が上昇し、その結果、フレキシブル膜全 の導電率が悪化する。

 前記高分子基板が、ガスバリア層でコー ィングされていてもよい。

 ディスプレイに用いられる素子は、環境 の酸素および水蒸気に対し耐久性が低いた 、素子を環境から遮断する必要がある。そ で、上記構成のように、高分子基板上へガ バリア層をコーティングすることによって ガスバリア性を備えた高分子基板を形成す ことができ、ディスプレイ用として利用可 なフレキシブル透明導電膜を形成すること できる。

 前記金属酸化物透明導電膜に亀裂が形成 れた状態で、前記フレキシブル透明導電膜 電気抵抗値が、フレキシブル透明導電膜が 常に機能する値であってもよい。また、前 フレキシブル透明導電膜の電気抵抗の値が 10kω/□以下であってもよい。

 また、本発明は、前記フレキシブル透明 電膜を備えていることを特徴とするタッチ ネルであってもよい。フレキシブル透明導 膜をタッチパネルに使用すると、タッチパ ルの基板面に一定の力が加えられることが 定される。その場合に、金属酸化物透明導 膜に亀裂が生じた場合でも、本発明に係る レキシブル透明導電膜は導電性を失わず、 障なく使用を継続することが可能である。

 また、本発明は、前記フレキシブル透明 電膜を備えていることを特徴とするタブレ トであってもよい。また、本発明は、前記 レキシブル透明導電膜を備えていることを 徴とする屈曲性が求められる平面ディスプ イ(フレキシブル・ディスプレイ)であって よい。また、本発明は、前記フレキシブル 明導電膜を備えていることを特徴とする電 ペーパーであってもよい。

 また、本発明は、高分子基板上に、有機 電膜および透明導電膜が形成されてなるフ キシブル透明導電膜において、該高分子基 上に該有機導電膜が形成され、該有機導電 上に該透明導電膜が形成され、該透明導電 に亀裂が形成され、該有機導電膜の膜厚が 85nm~500nmであることを特徴とするフレキシブ ル透明導電膜である。

 上記構成とすることで、金属酸化物透明 電膜の亀裂が形成された部分の導電経路は 下部に形成した導電性有機膜を介して補償 れる。従って、日常生活などで使用され、 定の力がフレキシブル透明導電膜に加えら 、金属酸化物透明導電膜に亀裂が形成され 場合でも、フレキシブル透明導電膜全体が 電性を失わず、ディスプレイなどに使用可 である。また、フレキシブル透明導電膜の 面が金属酸化物となるために、金属酸化物 有の耐摩耗性が得られる。また、主要な導 経路が金属酸化物となるために、フレキシ ル透明導電膜のシート抵抗は、10kω/□以下 値となる。

 また、フレキシブル透明導電膜が製品化 れ、日常生活などで使用された場合に、一 の力がフレキシブル透明導電膜に加えられ ことが想定される。有機導電膜の膜厚が85nm 以上であれば、日常生活で加えられるであろ う一定の力が加えられた場合でも、有機導電 膜にひずみが形成され、有機導電膜の電気抵 抗値が異常に上昇することを防ぎやすくなる 。

 前記透明導電膜の亀裂が、前記透明導電 の厚さ方向に貫通する形で形成されていて よい。

 本発明に係るフレキシブル透明導電膜は 金属酸化物透明導電膜がその厚さ方向に貫 する亀裂(ひずみ)などを有していても、導 性を失わない。

 前記透明導電膜と有機導電膜との界面の 気特性は、付加された電圧の1.65~2.23乗に比 して電流が流れる空間電荷制限電流機構で ってもよい。

 金属酸化物透明導電膜と有機導電膜それ れについて、導電機構およびエネルギー準 が異なるために、これら膜の界面を流れる 流は、付加電圧の1.91乗に比例するようにな る。累乗指数の1.91は、理想的な界面状態か の誤差を含めると1.65~2.23の範囲となる。こ ときの界面電流は、空間電荷制限電流と呼 れ、オーミック接触に準ずる良好な電流― 圧特性を得ることができる。電流が電圧の1. 91乗に比例しない場合は、界面に絶縁バリア が形成されてショットキー接触となって界 抵抗が上昇し、その結果、フレキシブル膜 体の導電率が悪化する。

 前記高分子基板が、ガスバリア層でコー ィングされていてもよい。

 ディスプレイに用いられる素子は、環境 の酸素および水蒸気に対し耐久性が低いた 、素子を環境から遮断する必要がある。そ で、上記構成のように、高分子基板上へガ バリア層をコーティングすることによって ガスバリア性を備えた高分子基板を形成す ことができ、ディスプレイ用として利用可 なフレキシブル透明導電膜を形成すること できる。

 前記透明導電膜に亀裂が形成された状態 、前記フレキシブル透明導電膜の電気抵抗 が、フレキシブル透明導電膜が正常に機能 る値であってもよい。また、前記電気抵抗 シート抵抗が、10kω/□以下であってもよい

 また、本発明は、前記フレキシブル透明 電膜を備えていることを特徴とするタッチ ネルであってもよい。また、本発明は、前 フレキシブル透明導電膜を備えていること 特徴とするタブレットであってもよい。ま 、本発明は、前記フレキシブル透明導電膜 備えていることを特徴とする屈曲性が求め れる平面ディスプレイであってもよい。ま 、本発明は、前記フレキシブル透明導電膜 備えていることを特徴とする電子ペーパー あってもよい。

 本発明に係るフレキシブル透明導電膜に いて、金属酸化物透明導電膜の亀裂が形成 れた部分の導電経路は、下部に形成した導 性有機膜を介して補償される。従って、日 生活などで使用され、一定の力がフレキシ ル透明導電膜に加えられ、金属酸化物透明 電膜に亀裂が形成された場合でも、フレキ ブル透明導電膜全体が導電性を失わず、デ スプレイなどに使用可能である。

CP/ITO膜を室温で引張り、予め0.1(10%)の ずみを導入、亀裂形成後の表面組織を示す である。 ITO/CP膜を室温で引張り、予め0.1(10%)の ずみを導入し、亀裂形成後の表面組織を示 図である。 予めITO/CP膜にひずみを導入し、亀裂形 後の断面組織を示す図である。 予めひずみを導入する前の試料を0.1(10% )までの引張りを行った場合の抵抗変化を示 図である。 予めひずみを導入する前のITO/CPを0.1(10% )までの引張りを行った場合の抵抗変化のCP膜 圧依存性を示す図である。 予めひずみを0.02 (伸び2%)導入した後の ITO/CPに対して引張りを行った場合の抵抗変化 のCP膜圧依存性を示す図である。 ITO/CP膜の電流-電圧の対数プロットを示 す図である。

 本発明に係るフレキシブル透明導電膜は 屈曲性のある高分子基板上に有機導電膜お び金属酸化物透明導電膜が積層した構造を している。有機導電膜と金属酸化物透明導 膜の積層順は特に限定されない。つまり、 分子基板と金属酸化物透明導電膜との間に 有機導電膜が備えられていてもよい。また 高分子基板と有機導電膜との間に、金属酸 物透明導電膜が備えられていてもよい。さ に、高分子基板が、ガスバリア層またはハ ドコート層でコーティングされていてもよ 。また、本発明に係るフレキシブル透明導 膜は、可視光を透過し、屈曲性と導電性を ね備えている。

 なお、高分子基板上に金属酸化物透明導 膜の形成し、その上に有機導電膜を形成す と、有機導電膜形成時に用いる溶液が金属 化物透明導電膜を溶解してしまう。従って 高分子基板上に有機導電膜を形成し、その に金属酸化物透明導電膜を形成することが ましい。

そして、本発明に係るフレキシブル透明導 電膜が備える金属酸化物透明導電膜には、亀 裂が形成されている。該亀裂の方向は特に限 定されない。例えば、亀裂の方向は、金属酸 化物透明導電膜の膜厚と平行である方向であ ってもよいし、垂直である方向であってもよ い。また、膜厚に対して、斜め方向であって もよい。また、該亀裂の大きさ、形などは特 に限定されない。本発明に係る金属酸化物透 明導電膜は、少なくとも金属酸化物透明導電 膜が断裂に至る程度の亀裂であって、フレキ シブル透明導電膜が正常に機能する程度の亀 裂を有している。

ここで、フレキシブル透明導電膜が正常に 機能するとは、例えば、フレキシブル透明導 電膜の電気抵抗が、シート抵抗で約10kω/□以 下であることをいう。また、本発明に係る有 機導電膜が亀裂を有していてもよい。ただし 、その亀裂は、有機導電膜が断裂に至らない 程度の亀裂である必要がある。本発明に係る フレキシブル透明導電膜に電流が流れると、 金属酸化物透明導電膜の亀裂部分において、 電流は有機導電膜を伝って流れるので、フレ キシブル透明導電膜全体の導電性は、損なわ れない。

 本発明に係るフレキシブル透明導電膜は 上記構成に限定されない。例えば、高分子 板の厚さは特に限定されない。高分子基板 厚さは、例えば、約1μm~500μmであってよい 高分子基板の材質は特に限定されない。高 子基板の材質は、例えば、PETなどであって い。高分子基板の材質は、例えば、ポリエ レンテレフタレート(PET)、ポリイミド、ポリ カーボネイト、アクリル樹脂、ポリエチレン ナフタレートなどであってよい。高分子基板 の材質は、透明性が高い樹脂からなることが 好ましい。さらに、高分子基板の材質は、耐 熱性が有り、透明性に優れていることが好ま しい。

また、金属酸化物透明導電膜の厚さは特に 限定されない。金属酸化物透明導電膜の厚さ は、例えば、約5nm~1μmであってよい。金属酸 物透明導電膜の材質は特に限定されない。 属酸化物透明導電膜の材質は、例えば、イ ジウムに、錫、亜鉛、ガリウムなどが添加 れた酸化物(ITO、IZO、IGO)およびこれらの複 酸化物などであってよい。これら金属酸化 を用いると、銀、銅などの金属薄膜を用い 場合よりも、表面抵抗値をより低くでき、 つ透明性をより高くすることが可能である なお、金属酸化物透明導電膜は、複数の金 酸化物透明導電膜が積層されてなるもので ってもよい。

 また、有機導電膜の厚さは、本発明に係 フレキシブル透明導電膜が正常に機能する 囲であれば、特に限定されない。すなわち 金属酸化物透明導電膜に亀裂が形成された に、有機導電膜の厚さが薄すぎると、該亀 が有機導電膜を貫通してしまい、フレキシ ル透明導電膜が機能しなくなってしまう。 って、有機導電膜は、この観点から、一定 厚さを有している必要がある。例えば、有 導電膜の厚さは、約85nm~500nmであってよい。 また、有機導電膜の厚さは、例えば、約50nm~1 μmであってもよい。

 また、有機導電膜の材質は特に限定され い。有機導電膜の材質は、例えば、ポリエ レンジオキシチオフェン、ポリスルホン酸 ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラ 、ポリセレノフェン、ポリアニリン、ポリ ラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレ 、ポリフルオレン、ポリアルキルフルオレ 、これらの誘導体、あるいはこれらの二種 上の混合物であってもよい。なお、有機導 膜は、複数の有機導電膜が積層されてなる のであってもよい。

 また、高分子基板にコーティングされた スバリア層またはハードコート層の厚さは に限定されず、用いる基材やガスバリア層 どに用いられる材料の種類、あるいはガス リア層などが多層であるか否かなどによっ 適宜選択可能である。ガスバリア層または ードコート層の厚さは、例えば、約20nm~2μm あってよい。ガスバリア層の厚みが薄すぎ とガスバリア性が不十分となる可能性があ 、またガスバリア層の厚みが厚すぎると薄 の膜応力によるクラック等の現象が生じ易 からである。

また、ガスバリア層の種類は特に限定され ない。ガスバリア層の種類は、例えば、透明 無機膜、透明樹脂膜、あるいは有機-無機複 膜などであってよい。中でも、ガスバリア が高い点から、透明無機膜が好ましい。

前記透明無機膜の材料として、例えば、酸 化アルミニウム(Al2O3)、酸化ケイ素(SiO2)、酸 チタン(TiO2)、酸化マグネシウム等の酸化物 窒化ケイ素等の窒化物あるいは窒化酸化ケ 素等の窒化酸化物などが用いられる。また 前記有機-無機複合膜は、例えば、前記無機 料に、C2H4、CF4、ヘキサメチルジシロキサン などを複合して形成してよい。

また、ガスバリア層は、単層であってもよ く多層であってもよい。例えば、ガスバリア 層が、複数積層された多層である場合は、ガ スバリア性をさらに高めることができる。ま た、ガスバリア層が多層である場合は、各層 にそれぞれ異なる材料を用いてもよい。

 高分子基板にガスバリア層またはハード ート層をコーティングすることで、水蒸気 素、または脱離ガス等から、ディスプレイ どに用いられる素子を保護することが可能 ある。

 金属酸化物透明導電膜に亀裂を形成する 期はいつであってもよい。例えば、有機導 膜および金属酸化物透明導電膜を備えるフ キシブル透明導電膜を形成した後、フレキ ブル透明導電膜を引っ張って、フレキシブ 透明導電膜に亀裂(本明細書において、ひず みともいう。)を与えてもよい。また、フレ シブル透明導電膜を形成する前に、金属酸 物透明導電膜にひずみを与えて、その後、 ずみを有する金属酸化物透明導電膜を用い 、フレキシブル透明導電膜を形成してもよ 。

 また、本発明に係る金属酸化物透明導電 に亀裂を形成する方法はどのようなもので ってもよい。例えば、所定の強さで引っ張 可能な機器を用いて、所定温度にて、金属 化物透明導電膜あるいはフレキシブル透明 電膜を引っ張ってもよい。このときの温度 、例えば、室温であってよい。

 本発明に係るフレキシブル透明導電膜は 金属酸化物透明導電膜と導電性有機膜の界 の電気特性が、特定の空間電荷制限電流機 であるという特徴を有する。具体的には、 えば、該機構は、付加された電圧の1.65~2.23 に比例して電流が流れる機構であってよい また、例えば、該機構は、付加された電圧 1.8~2.2乗に比例して電流が流れる機構であっ てよい。さらに、例えば、該機構は、付加さ れた電圧の1.91乗に比例して電流が流れる機 であってよい。

 本発明に係るフレキシブル透明導電膜は 例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディス レイなどに使用可能である。また、本発明 係るフレキシブル透明導電膜は、タッチパ ル、タブレット、電子ペーパーなどに使用 能である。

 タッチパネルは、透明導電膜が設けられ 素材(例えば、フィルムやガラスなど)を透 電極間が向い合う方向に貼り合わせること よって製造される。このタッチパネルの透 導電膜として、本発明に係るフレキシブル 明導電膜を用いることが可能である。タッ パネルは、指或いはペンで押した時、透明 極膜同士が接触することによって入力が行 れる。かかる場合に、透明導電膜には、一 の力が加えられる。そして、透明導電膜に えられている金属酸化物透明導電膜がこの に耐えられず、金属酸化物透明導電膜が断 に至ることがよくある。そこで、本発明に るフレキシブル透明導電膜をタッチパネル 用いれば、金属酸化物透明導電膜が断絶に る力が加えられても、有機導電膜が機能し 導電膜全体の電流の流れが妨げられない。 の結果、タッチパネルは、一定の力が加え れる前と変わらず、正常に機能し得る。

 タブレットは、画面上の位置を指示する めのペン型の装置と、位置を検出するため 板状の装置を組み合わせた構造を有してい 。そして、この板状の画面に透明導電膜が えられている。タブレットは、透明導電膜 備えられている板状の画面をペンで押すこ によって、入力が行われる。したがって、 ッチパネルで説明したのと同様に、本発明 係るフレキシブル透明導電膜をタブレット 用いれば、金属酸化物透明導電膜が断絶に る力が加えられても、有機導電膜が機能し 導電膜全体の電流の流れが妨げられない。 の結果、タブレットは、一定の力が加えら る前と変わらず、正常に機能し得る。

 電子ペーパーは、軽量で、柔らかい素材 用いた極薄のディスプレイであり、データ 表示や消去が何回も繰り返し行える。電子 ーパーでは、非常に薄い透明導電膜がディ プレイに用いられる。そのため、透明導電 に微量の力が加えられた場合であっても、 属酸化物透明導電膜が断絶に至ることがあ 。そのような場合に、本発明に係るフレキ ブル透明導電膜を電子ペーパーに用いてい ば、透明導電膜に備えられている有機導電 が機能し、導電膜全体の電流の流れが妨げ れない。その結果、電子ペーパーは、微量 力が加えられる前と変わらず、正常に機能 得る。

 タッチパネル、タブレットあるいは電子 ーパーに、本発明に係るフレキシブル透明 電膜を備える手段として、公知の手段を用 てよい。

 本発明に係るフレキシブル透明導電膜お びそれを使用したパネルでは、所望の電極 状を形成するのに、公知の手段、例えば、 ォトリソグラフィ法などに従って、製造可 である。

 金属酸化物(ITOなど)を成膜する方法とし は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング (スパッタ法)、ディッピング法などが挙げら れる。真空蒸着法は、金属酸化物の焼結体を 真空中で加熱して金属酸化物を蒸発させ、高 分子基板に析出させるという方法で行われる 。真空蒸着法において、金属酸化物(ITOなど) 蒸発させる方法としては、例えば、抵抗加 を用いる方法、EB(electron beam)を用いる加熱 法などが挙げられる。EBを用いて金属酸化 (ITOなど)膜を形成すると、金属酸化物膜の表 面は比較的滑らかになるという特徴を有する 。一方、抵抗加熱を用いてITO膜を形成すると 、金属酸化物膜の表面は粗くなるという特徴 を有する。

 一方、スパッタリング法には、大きく分 て、反応性スパッタリング法と、酸化物の ーゲットを使うスパッタリング法とがある スパッタリング法を使用した場合には、大 積に対して成膜された金属酸化物の膜厚の 一性が、真空蒸着法を使用した場合より優 ているという特徴を有する。酸化物のター ットを使うスパッタリング法には、成膜時 が短い、成膜された金属酸化物透明導電膜 抵抗率の変動が小さい、金属酸化物透明導 膜のエッチング速度が大きいなどの特徴が る。

 なお、上記金属酸化物(ITOなど)を成膜す 方法において、金属酸化物が高分子基板に 着する時の高分子基板の温度は、正確に制 されてよい。具体的には、高分子基板の温 は、例えば、室温以上180℃未満、180以上250 未満、250以上300℃未満、300℃以上などに制 されてよい。このように、金属酸化物蒸着 に高分子基板の温度を制御することで、金 酸化物の導電率を向上させることが可能で る。

 有機導電膜を形成する方法には、例えば、 ピンコート法、ロールコート法などがある これら方法において使用する有機材料を溶 す溶媒は、基板上に形成された有機膜の均 性を決める重要な因子となる。該溶媒とし は、ECA(エチルセルソルブアセテート)、MIBE( メチルイソブチルエーテル)、γ-ブチロラク ンなどが挙げられる。スピンコート法にお る有機材料の使用量は、特に限定されない 、例えば、180cc/900mm 2 角基板程度であってよい。

 スピンコート法を使用して、基板上に有 材料を薄膜形成すると、有機導電膜の膜厚 ばらつきを3%以内に抑え、膜厚の均一性を つことができる。一方、ロールコート法を 用すると、有機導電膜の膜厚を均一に保つ とは難しく、例えば、該膜厚が10%以内とな てしまう。しかし、ロールコート法では、 機材料の使用量を抑えることが可能であり スピンコート法に比べて、約1/3程度の使用 で、薄膜形成することが可能である。

 また、高分子基板上にガスバリア層を形 する方法としては、例えば、スパッタリン 法、化学気相成長(CVD)法、イオンプレーテ ング法、電子ビーム(EB)蒸着法や抵抗加熱法 の真空蒸着法、レーザーアブレーション法 が挙げられる。スパッタリング法を用いる 、より品質安定性に優れたガスバリア層を 成することができる。

以下に、本発明の実施例を具体的に説明す る。ただし、本発明は、これら実施例に限定 されない。

 フレキシブルな高分子基板として、厚さ 500μmのポリエチレンテレフタレー(PET)を選 だ。この上に、ポリエチレンジオキシチオ ェン/ポリスルホン酸(PEDOT/PSS)を含有する溶 をスピンコートし、PETとは厚さが異なる有 導電膜(CP)を形成した。CP膜の厚さは75nmであ 。さらにその上にスパッタ法によってITO薄 を25 nmの厚さに形成し、ITO/CP膜を作製した 作成したITO/CP膜について、室温で引張試験 行って、予め0.1(10%)のひずみを与えてITO膜 亀裂を形成した。亀裂形成後のITO/CP膜の膜 面の組織を図1に示す。

 本発明に係るフレキシブル透明導電膜を 1に示す構造にすることで、金属酸化物透明 導電膜の亀裂が形成された部分の導電経路は 、下部に形成した導電性有機膜を介して補償 される。従って、日常生活などで使用され、 一定の力がフレキシブル透明導電膜に加えら れ、金属酸化物透明導電膜に亀裂が形成され た場合でも、フレキシブル透明導電膜全体が 導電性を失わず、ディスプレイなどに使用可 能である。また、フレキシブル透明導電膜の 表面が金属酸化物となるために、金属酸化物 特有の耐摩耗性が得られる。また、主要な導 電経路が金属酸化物となるために、フレキシ ブル透明導電膜のシート抵抗は、10kω/□以下 の値となる。

 フレキシブルな高分子基板として、厚さ 500μmのポリエチレンテレフタレート(PET)を んだ。この上に、ITOを25 nmの厚さで成膜し 。さらにその上にポリエチレンジオキシチ フェン/ポリスルホン酸(PEDOT/PSS)を含有する 液をスピンコートした。このようにして、CP /ITO膜を作製した。作成したCP/ITO膜について 室温で引張試験を行って、予め0.1(10%)のひず みを与えてITO膜に亀裂を形成した。亀裂形成 後のCP/ITO膜の膜表面の組織を図2に示す。CP/IT O膜の場合は、下層のITO膜に形成された亀裂 上層のCP膜まで貫通しているのがわかる。

 図3に、亀裂形成後のITO/CP膜の断面組織を 示す。図3では、厚さが25 nmのITO膜の下部にCP 層があり、ITOに形成された亀裂の下部のCP層 は円弧状の亀裂が形成されていることがわ る。図3で示すように、亀裂は下層のCP層に 展しているが、進展した亀裂の深さは約50  nmである。

 このように、導電性有機膜の膜厚をある 度の膜厚とすることで、ITO膜から進展した 裂が導電性有機膜全体を貫通することを防 ことができる。その結果、導電性有機膜の 結性を維持し、フレキシブル透明導電膜全 の導電性を維持することができる。CP膜が すぎると、亀裂がCP膜を貫通してしまい、フ レキシブル透明導電膜全体の導電性を維持で きなくなる。そのため、CP膜の厚さは、かか 点を考慮して、一定の厚さにする必要があ 。

 図4に、亀裂形成前のITO膜、CP膜、CP/ITO膜 ならびにITO/CP膜の引張試験を行いながら、 れらのシート抵抗の変化を測定した結果を す。この図において、ITO膜の厚さは25 nm、C P膜の厚さは75 nmあるいは82 nmである。

 図4に示すように、CP膜の引張試験を行っ 場合、CP膜の抵抗は、ひずみによらず約5kW/ の一定値をとっている。ITO膜だけの場合に 、ひずみが約0.015以上になると抵抗の急激 上昇が見られ、ITOに亀裂が形成されて断線 たことが明らかである。CP/ITO膜の場合は、 期抵抗値が高い。これは、ITO膜状にスピン ート法でCP層を形成する際に、スピンコート の溶媒によってITOが溶出したためである。こ の膜において引張試験を行うと、ひずみが約 0.03を超えると抵抗が緩やかに上昇する。こ は、上層のCPに亀裂が進展し、最終的には表 面に貫通するためである。一方、ITO/CP膜の場 合は、ひずみが約0.015以上でITOに亀裂が形成 れるために、抵抗のわずかな上昇がみられ が、その後の抵抗の上昇は緩慢であり、約0 .065のひずみにおいてCP単独膜と同等の値にな る。

 図4からわかるように、ITO/CP膜は、引張り 試験で一定のひずみを与えても、膜全体の電 気抵抗は急激に上昇しない。そして、膜のひ ずみが約0.1(約10%)となったときでも、膜全体 電気抵抗は約10kω/□未満であるので、該膜 正常にディスプレイなどに使用できる。一 、各膜の積層順を変えたCP/ITO膜は、電気抵 が大きく、ディスプレイなどへの使用には していないことがわかる。

 図5に、ITO/CP膜のCP膜の厚さをそれぞれ変 した5つの試料において、亀裂形成前の試料 の引張試験を行いながら、シート抵抗の変化 を測定した結果を示す。CP厚さが34 nmの場合 は、ひずみが約0.015以上において抵抗の急 な上昇が見られる。これは、上層ITO膜に形 された亀裂が下層CP膜全体を貫通したためで ある。一方、CP層の膜厚を増加すると抵抗の 昇の程度が減じられる。CP層の厚さが66 nm 場合は、ひずみが約0.05までは抵抗上昇は緩 かである。85 nmを超えると、ひずみが約0.08 になっても抵抗は10kW/□以下に維持できる。

 図5から明らかなように、予めひずみを約 0.015以上にすることでITO膜に亀裂が形成され 。ITO膜に亀裂が形成されても下層のCP膜を 由して電流が流れるために、断線して抵抗 が急上昇することはない。ひずみを約0.015以 上に増加すると、ITO膜の亀裂が下層のCP膜に 展する。CP膜に進展した亀裂は、ひずみの 加に伴って深くなり、CP層の抵抗が上昇し、 ITO/CP膜全体の抵抗が上昇する。この上昇の程 度は、CP層の厚さが85 nm以上になると無視す ことができるほど小さくなる。従って、CP を例えば128 nmの厚さに形成し、その上にITO を25 nm形成した場合であると、予め約0.015 上のひずみをあたえることによって、ITO膜 亀裂を形成した状態となる。

 図6では、ITO/CP膜に予めひずみを0.02(2%)与 た状態を初期状態とし、それらITO/CP膜につ て引張変形を行った場合の抵抗変化の様子 示す。図6から明らかなように、CP膜の厚さ 128 nmである ITO/CP膜に、約0.08(約8%)のひず を与えても、ITO/CP膜の抵抗値を10kW/□以下に 留めることができる。

 図5および6からわかるように、膜全体が っ張られ、ITO膜に亀裂が生じた場合に、CP膜 の厚さが厚ければ厚いほど、膜全体の電気抵 抗は小さくなっている。これは、膜全体にひ ずみが生じた場合に、CP膜が厚ければCP膜の 絶を防ぐことができるからである。したが て、CP膜は厚い方がよい。ただし、本発明の フレキシブル透明導電膜は、導電性を維持し ながら屈曲性を保つことが必要であるので、 その点を考慮して、CP膜は一定の厚さである とが好ましい。また、CP膜が厚すぎると、CP 膜の成膜に要する時間が長くなり、製造コス トの観点から好ましくない。

 図7には、ITO/CP界面の電流―電圧特性を測 定した結果を示す。測定した試料は、CP膜を 成した後に、シャドウマスクを用いて直径 0.5mmである円柱状のITO電極パッドを周期的 形成した。円柱状のITO電極パッドの中心の 隔は1mmとした。隣接する2個のITO電極パッド 介して電圧を付加し、電流を測定した結果 図7である。図7に示される電圧軸、電流軸 、ともに対数であり、得られた実験結果は 傾きが1.91の直線で外挿するとベストフィッ となる。実験の誤差を考慮すると点線で示 ように、傾きの範囲は1.65~2.23となる。この とは、ITO/CP界面の導電機構が空間電荷制限 流であることを示しており、本発明で提供 るITO/CP膜の界面の特徴である。すなわち、 かる界面の特徴を有するフレキシブル透明 電膜が、金属酸化物透明導電膜に亀裂が生 、断絶に至った場合に、有機導電膜が電流 流れを確保し、ディスプレイなどに使用す 上で好ましい。

産業上の利用の可能性

 本発明に係るフレキシブル透明導電膜は、 属酸化物透明導電膜に亀裂が生じ、断絶に っても、有機導電膜が電流の流れを確保す ので、フレキシブル透明導電膜は正常に機 する。従って、例えば、屈曲性が求められ 平面ディスプレイ、タッチパネル、電子ペ パーなどのフレキシブル電子装置の用途に いて、本発明は使用可能であり、それらに いて特に効果を発揮する。