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Title:
FLOW CELL, APPARATUS FOR CONCENTRATING RADIOACTIVE FLUORINE ANION, AND METHOD OF CONCENTRATING RADIOACTIVE FLUORINE ANION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/028093
Kind Code:
A1
Abstract:
A flow cell (2) which is constituted of insulating substrates (2a and 2b). The two substrates (2a and 2b) have been directly bonded to each other by a bonding method for attaining tenacious bonding, e.g., anodic bonding or hydrofluoric acid bonding. A channel (6) has been formed at the interface between the substrates (2a and 2b). That part of the substrate (2a) which faces the channel (6) has a carbon electrode (4a) formed thereon by sintering a pasty carbonaceous material, the electrode (4a) extending along the channel (6). On the other hand, the substrate (2b) has a groove (6a) serving as the channel (6), and has an electrode (4b) comprising a metal film formed on the bottom of the groove (6a).

Inventors:
NAKANISHI HIROAKI (JP)
KONISHI SATOSHI (JP)
NAKA KEISUKE (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/067018
Publication Date:
March 05, 2009
Filing Date:
August 31, 2007
Export Citation:
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Assignee:
SHIMADZU CORP (JP)
RITSUMEIKAN TRUST (JP)
NAKANISHI HIROAKI (JP)
KONISHI SATOSHI (JP)
NAKA KEISUKE (JP)
International Classes:
B01J19/08; B01D59/38; B01J19/00; G01T1/161; G21H5/00
Foreign References:
JP2005519270A2005-06-30
JP2007516332A2007-06-21
JPH09507162A1997-07-22
JP2005519270A2005-06-30
Other References:
APPL. RADIAT. ISOT., 2006, pages 9810.094
APPL. RADIAT. ISOT, vol. 40, 1989, pages 1 - 6
Attorney, Agent or Firm:
NOGUCHI, Shigeo (Rapport Nanba Bldg. 9F8-1, Motomachi 2-chome,Naniwa-ku, Osaka-shi, Osaka 16, JP)
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Claims:
 一対の絶縁性基板が直接接合されて内側に流路を形成しているセル本体と、
 前記流路内で互いに平行に対向して配置され、それぞれの前記基板に固着され、少なくとも一方がパイロポリマーからなる炭素電極である一対の電極と、
を備えたフローセル。
 前記一対の電極間の間隔は500μm以下である請求項1に記載のフローセル。
 前記炭素電極に対向する電極は、平滑な表面をもつ金属電極である請求項1又は2に記載のフローセル。
 前記流路は前記一対の絶縁性基板の一方の基板の平坦面と他方の基板に形成された溝により形成されており、
 前記炭素電極は前記平坦面上に形成され、前記炭素電極に対向する電極は前記溝内に形成されている請求項1から3のいずれか一項に記載のフローセル。
 前記炭素電極が形成されている基板は透明基板であり、前記炭素電極は前記流路内を目視できる開口率をもっている請求項1から4のいずれか一項に記載のフローセル。
 前記炭素電極は格子状に形成されている請求項5に記載のフローセル。
 耐熱性のある平坦な絶縁性基板表面に炭素を含むペースト状材料層を形成し、電極形状にパターン化した後、非酸化性雰囲気中で焼結処理してパイロポリマーからなる炭素電極を形成する工程と、
 他の絶縁性基板表面に溝を形成し、その溝の底面に平滑な表面をもつ金属電極を形成する工程と、
 前記溝により流路を構成するように、かつその流路内で前記炭素電極と金属電極が対向するように前記2枚の基板を対向させて直接接合させる工程と、
を含むフローセルの製造方法。
 請求項1から6のいずれか一項に記載のフローセルと、
 前記フローセルの前記一対の電極間に直流電圧を印加するとともにその極性を反転できる電源と、
 前記フローセルの前記流路に 18 F - イオンを含有する[ 18 O]-H 2 O水溶液を送液する送液手段と、を備えた放射性フッ素アニオン濃縮装置。
 請求項8に記載の放射性フッ素アニオン濃縮装置を用い、
 前記電源により炭素電極である一方の電極を陽極として電圧を印加し、前記流路内に 18 F - イオンを含有する[ 18 O]-H 2 O水溶液を流して 18 F - イオンを前記炭素電極へ捕捉する捕捉工程と、
 前記電源の極性を反転させて前記一方の電極を陰極として電圧を印加し、前記流路内に 18 F - イオン回収剤を流して 18 F - イオンを 18 F - イオン回収剤中に回収する回収工程と、をその順に含む放射性フッ素アニオン濃縮方法。
Description:
フローセル、放射性フッ素アニ ン濃縮装置及び放射性フッ素アニオン濃縮 法

 本発明は、サイクロトロンで加速した陽子 [ 18 O]-H 2 O水に照射することで得られる 18 F - イオンを[ 18 O]-H 2 O水から分離し、 18 F - イオンの有機溶媒溶液を製造する技術分野に 関し、特にそのために用いるフローセル、そ のフローセルを備えた放射性フッ素アニオン 濃縮装置及びその装置を用いた放射性フッ素 アニオン濃縮方法に関するものである。

 放射性トレーサー化合物を使用する医療診 法の中で、PET(ポジトロン放出断層撮影法) 断に使用される放射性核種は半減期が短い のが多く、例えば 18 F - イオンの半減期は約110分である。これらの放 射性核種を効率よくトレーサー化合物に導入 して放射化するためには、時間を節約した作 業が必要である。

 また、 18 F - イオンの原料となる[ 18 O]-H 2 O水は高価であるため、PET診断のコストダウ のために[ 18 O]-H 2 O水の再利用を行なうことが望まれている。
 使用する放射性核種の短寿命のためにPET等 利用できる時間は限られており、 18 Fで標識された化合物の合成は、分単位での 間短縮と高い合成率が同時に要求されてい 。

 [ 18 O]-H 2 O水から 18 F - イオンを分離して 18 F - イオンの有機溶媒溶液を製造する方法として 2つの方法が挙げられる。
 その1つは、陰イオン交換樹脂を充填したカ ラムに 18 F - イオンを含む[ 18 O]-H 2 O水を通し、樹脂上に 18 F - イオンを捕捉させて[ 18 O]-H 2 O水を分離する方法である(従来方法1)。捕捉 れた 18 F - イオンを、炭酸カリウム水溶液を使用して水 溶液中に再溶出させて回収する。回収した水 溶液を減圧濃縮し、完全に水を除いた後に有 機反応で使用する有機溶媒を用いて 18 F - イオンを溶解し、 18 F - イオンの有機溶媒溶液を得る。このとき加え る有機溶媒の量によって 18 F - イオンの濃度を調節することができる。

 もう1つは、グラッシーカーボン棒状電極に 18 F - を捕捉し、[ 18 O]-H 2 O水から有機溶媒へ溶媒交換する方法である( 来方法2)。この方法で 18 F - を分離した[ 18 O]-H 2 O水は、溶出した有機物を含むことが無いた 再利用できることが期待できる。[ 18 O]-H 2 O水溶液から 18 F - イオンを分離する装置が特許文献1及び非特 文献1,2において報告されている。

 この装置の基本構造は非特許文献1に詳細に 記述されている。グラッシーカーボン棒状電 極とプラチナ電極を有するセルを用い、グラ ッシーカーボン棒状電極を陽極として電圧を 印加することによって 18 F - イオンを電極上に析出させ、[ 18 O]-H 2 O水から 18 F - イオンを分離する。そして、陽極上へ析出さ せた 18 F - イオンを、今度はグラッシーカーボン棒状電 極を陰極に切り替えることによって有機溶媒 (ジメチルスルホキシド(DMSO))に回収して、 18 F - イオンと有機化合物との反応に供している。
 なお、非特許文献2は、グラファイト状カー ボン電極と白金電極の組み合わせについて、 グラファイト状カーボン電極上に 18 F - イオンを析出させる手法を初めて報告したも のである。

特表2005-519270号公報 Appl. Radiat. Isot. 2006 (64) 9810.094. Appl. Radiat. Isot. 1989 (40) 1-6.

 従来方法1の場合、イオン交換樹脂による[ 18 O]-H 2 O水と 18 F - イオンの分離は速やかに行うことができるが 、イオン交換樹脂から回収した 18 F - イオンを有機溶媒に溶解させるまでに作業が 多く、要する時間が長くなる。また、作業が 多くなることで、使用する装置と試薬の種類 及び量が多くなる。また、このとき分離した [ 18 O]-H 2 O水は、イオン交換樹脂から微量の有機物が 出するため、再利用することができない。

 従来方法2の場合、上述の文献で使用されて いるセルはバッチ処理用のセルであるため、 [ 18 O]-H 2 O水をフローさせながらグラッシーカーボン 状電極へ 18 F - イオンを捕捉することはできず、一度に処理 できる[ 18 O]-H 2 O水の量はセル内に充填できる量と同じ程度 かない。また、セルに 18 F - イオンを捕捉する際に、グラッシーカーボン 棒状電極に印加する電圧を20V程度にした場合 、捕捉に要する時間は約8分間となる。また グラッシーカーボン棒状電極から 18 F - イオンを含んだ溶液を回収する際の時間は約 5分間かかる。
 さらに、得られる 18 F - イオンの有機溶媒溶液の体積は、 18 F - イオンを含有した[ 18 O]-H 2 O水の体積に対して数分の1程度にしか濃縮で ず、濃縮率はあまり高くない。

 そこで本発明は、 18 F - イオンを含有する[ 18 O]-H 2 O水溶液を流しながら 18 F - イオンを捕捉でき、微少量の 18 F - イオン回収剤で 18 F - イオンを回収してその濃縮率を高めることが できるフローセル、そのフローセルを用いた 放射性フッ素アニオン濃縮装置及びそれを用 いた方法を提供することを目的としている。

 本発明のフローセルは、一対の絶縁性基 が直接接合されて内側に流路を形成してい セル本体と、その流路内で互いに平行に対 して配置され、それぞれの前記基板に固着 れ、少なくとも一方がパイロポリマーから る炭素電極である一対の電極と、を備えた のである。

 「パイロポリマー」はポリマーに由来す 炭素材料であり、ペースト状の炭素材料が 結されてなるものである。「ペースト状の 素材料」とは炭素を主成分とする材料であ て基材の表面に塗布して任意にパターン化 きる材料である。このような炭素材料とし フォトレジスト、ポリイミド、パリレンな のポリマー材料を挙げることができる。

 一対の電極の間の間隔は500μm以下であるこ が好ましい。フローセルに組み込んだ電極 の距離を500μm以下にすれば、低い電圧印加 も電極間の電位勾配は大きくなるため、 18 F - イオンに作用する影響力が大きくなる。また 、フローセルに組み込んだ流路の体積を数百 μL以下の空間にすることで、流路体積に対す る炭素電極の比表面積が大きくなる。これに より、従来方法よりも短時間で多くの 18 F - イオン含有の[ 18 O]-H 2 O水を低い電圧で処理できるようになる。ま 、捕捉した 18 F - イオンを回収するための有機溶媒溶液( 18 F - イオン回収剤ともいう)の体積を小さくする とができるので、濃縮率が向上する。

 本発明のフローセルのより具体的な構成 して、流路は前記一対の絶縁性基板の一方 基板の平坦面と他方の基板に形成された溝 より形成されており、炭素電極は平坦面上 形成され、炭素電極に対向する電極は溝内 形成されているものを挙げることができる

 また、炭素電極に対向する電極としては 平滑な表面をもつ金属電極を挙げることが きる。その場合、金属電極は、白金、金、 ルミニウム、タングステン、銅、銀、導体 リコン、チタン、クロムなどにより形成す ことができる。

 炭素電極が形成されている基板は透明基 とすることができ、その場合、炭素電極は 路内を目視できる開口率をもっていること 好ましい。その具体的な例として、炭素電 が格子状に形成されているものを挙げるこ ができる。

 炭素電極が格子状に形成されるなどして透 基板の裏面側から流路内を目視できる程度 開口率をもっていれば、 18 F - イオンの捕捉及び回収作業中にフローセルの 外側からフローセル内部の様子を目視で観察 しながら気泡の発生等を迅速に発見して対応 することができるようになる。

 本発明のフローセルの製造方法は、耐熱 のある平坦な絶縁性基板表面に炭素を含む ースト状材料層を形成し、電極形状にパタ ン化した後、非酸化性雰囲気中で焼結処理 てパイロポリマーからなる炭素電極を形成 る工程と、他の絶縁性基板表面に溝を形成 、その溝の底面に平滑な表面をもつ金属電 を形成する工程と、前記溝により流路を構 するように、かつその流路内で前記炭素電 と金属電極が対向するように前記2枚の基板 を対向させて直接接合させる工程と、を含ん でいる。

 この製造方法では、炭素電極を任意の形状 パターン化することができるので、流路を 雑にしても炭素電極の形状を流路形状に対 させることができ、それによってフローセ の多機能化を図ることも可能になる。また この方法では、フローセルを2枚の基板を直 接接合させて構成するので、フローセルの内 部に液密性の高い流路を形成することができ る。流路の液密性が高くなれば微量の液体を 扱うことも可能になる。その結果、この方法 で形成したフローセルを 18 F - イオンの捕捉・回収用のフローセルとした場 合に、炭素電極で 18 F - イオンを捕捉した後で微量の 18 F - イオンの回収液で回収することが可能になり 、 18 F - イオンの濃縮率を高めることができる。

 本発明の放射性フッ素アニオン濃縮装置は 本発明のフローセルと、そのフローセルの 対の電極間に直流電圧を印加するとともに の極性を反転できる電源と、フローセルの 路に 18 F - イオンを含有する[ 18 O]-H 2 O水溶液を送液する送液手段と、を備えたも である。

 本発明の放射性フッ素アニオン濃縮方法は 上述の放射性フッ素アニオン濃縮装置を用 、炭素電極である一方の電極を陽極として 圧を印加し、流路内に 18 F - イオンを含有する[ 18 O]-H 2 O水溶液を流して 18 F - イオンを炭素電極へ捕捉する捕捉工程と、電 源の極性を反転させて一方の電極を陰極とし て電圧を印加し、流路内に 18 F - イオン回収剤を流して 18 F - イオンを 18 F - イオン回収剤中に回収する回収工程と、をそ の順に含むものである。 18 F - イオン回収剤は、水、有機溶媒又は有機反応 基質とKryptofix 222(登録商標、メルク株式会社 の製品)を含む溶液などである。

 本発明のフローセルは、セル本体内に形成 れた流路内に、少なくとも一方がパイロポ マーからなる炭素電極である一対の電極を えているので、 18 F - イオンを含む溶液を流しながら 18 F - イオンを捕捉・回収するフローセルとして用 いることができる。
 このフローセルは一対の電極が流路内でそ ぞれの基板に固着されているので、このフ ーセルを構成する一対の基板を直接接合す ことができることから、流路の液密性が高 、微量の液体を扱えるので、炭素電極で 18 F - イオンを捕捉した後、微量の 18 F - イオンの回収液で 18 F - イオンを回収することができ、高い 18 F - イオンの濃縮率を得ることができる。
 炭素電極はパイロポリマーで構成されてい ことによって形状が任意にパターン化され ことから、流路形状を複雑にしてフローセ の多機能化を図ることもできる。

放射性フッ素アニオン濃縮装置の一実 例を示す概略構成図である。 フローセルの一実施例を示す平面図で ある。 図2AのX-X位置における断面図である。 同実施例のフローセルを構成する一方 の基板の底面図である。 同実施例のフローセルを構成する他方 の基板の平面図である。 フローセルの他の実施例を説明するた の一方の基板の底面図である。 フローセルのさらに他の実施例を示す 平面図である。 図4AのY-Y位置における断面図である。 同実施例のフローセルを構成する一方 の基板の底面図である。 同実施例のフローセルを構成する他方 の基板の平面図である。

符号の説明

   2,22 フローセル
   2a,12a,22a 基板(炭素電極側)
   2b,22b 基板(金属電極側)
   4a,17a,24a 炭素電極
   4b,24b 金属電極
   6 流路
   6a,26a 溝
   7a,27a 液体導入口
   7b,27b 液体排出口
   8  送液部
   11 温度調節部
   14 電源装置
   15a,15b,28a,28b 電極引出し用貫通孔
   16a,16b,30a,30b 引出し線

 図1は放射性フッ素アニオン濃縮装置の一実 施例を示す概略構成図である。
 フローセル2は2枚の絶縁性基板2a,2bが接合さ れて構成されており、その内側に流路6が形 されている。流路6内に平行に対向して配置 れた一対の電極4a,4bを備えている。電極4a,4b はそれぞれ基板2a,2bに固着されている。フロ セル2は温度調節部12上に載置されている。 路6の一端が例えばシリンジポンプにより構 成される送液部8に接続された液体導入口と っており、他端が流路6を流れた液体をフロ セル2外へ排出するためのドレインとなって いる。

 送液部8は 18 F - イオンを捕捉する工程では 18 F - イオンを含有する[ 18 O]-H 2 O水溶液を送液し、捕捉した 18 F - イオンを回収する工程では 18 F - イオンを回収するための液体を送液するよう に、送液する液体を適宜切り替えるか、又は それぞれの液体用の送液部に変換することが できるようになっている。

 電源装置14は電極4a,4bに電気的に接続され ており、電極4a,4b間に電圧を印加するととも 、両電極4a,4b間に印加する電圧の極性を反 させることができるようになっている。

 図2A~図2Dは同実施例のフローセル2を説明す ための図であり、図2Aはその平面図、図2Bは 図2AのX-X位置における断面図、図2Cは基板2aの 底面図、図2Dは基板2bの平面図である。
 フローセル2は絶縁性基板2a,2bが直接接合さ たものである。両基板2a,2bの接合方法は、 えば陽極接合やフッ酸接合など堅牢な接合 法である。両基板2a,2bの接合面に流路6が形 されている。

 基板2aの基板2bと向き合う平坦面に流路6内 位置する形状にパターン化されたペースト の炭素材料が形成され、それが焼結されて 素電極4aが形成されている。炭素電極4aは基 2aに設けられた貫通穴15aに埋め込まれた引 し線16aによって外部に引き出されて電源装 14に接続されている。貫通孔15aは例えばエッ チングやサンドブラストなどで形成すること ができる。
 基板2aには、流路6の上流端に液体を導入す ための液体導入口となる貫通穴7aと、流路6 下流端から液体を排出するための液体排出 となる貫通穴7bが形成されている。

 基板2bの基板2aと向き合う面に基板2aの対 面とで流路6をなす溝6aが形成されている。 6aの底面に金属電極4bが形成されている。溝 6aの深さは100~500μm程度である。対向電極4bは 例えば白金、金、アルミニウム、タングス ン、銅、銀、導体シリコン、チタン、クロ からなる金属膜がマスクを介して蒸着又は パッタリングにより形成されたものである 対向電極4bは基板2bに設けられた貫通穴15bに 埋め込まれた引出し線16bによって外部に引き 出されて電源装置14に接続されている。貫通 15bもエッチングやサンドブラストなどで形 することができる。

 基板2aはパイロポリマーからなる炭素電 を焼結により形成することから耐熱性のあ 基板である必要がある。そのような基板と て、石英ガラス、パイレックスその他のガ ス基板、シリコン基板などを用いることが きる。基板2bは流路となる溝を形成すること ができ、金属薄膜を形成することのできる基 板であり、基板2aと同様の石英ガラス基板、 イレックスなどのガラス基板、シリコン基 のほか、樹脂基板も用いることができる。

 基板2bへの溝の形成方法としては、基板 ガラス基板又はシリコン基板の場合にはド イエッチング又はウェットエッチング、基 が樹脂基板の場合には成型又は型押しなど 用いることができる。

 基板2aと2bの接合方法は堅牢な直接接合で あり、基板2aと2bの材質に応じた方法を用い ことができる。例えば、石英ガラス基板ど しの場合はフッ酸接合、シリコン基板どお の場合はシリコン基板表面にシリコン酸化 を形成した後のフッ酸接合、ガラス基板と リコン基板の場合は陽極接合、基板2bが樹脂 基板の場合は融着又は溶着である。

 フォトリソグラフィー技術を用いた炭素電 4aの形成方法の一例を工程順に説明する。
 1.基板2aの表面を洗浄した後、炭素材料とし て感光性のレジスト材料を基板2aの表面にス ンコートにより塗布する。レジスト材料と て、SU-8 2010、SU-8 3050(ともに化学マイクロ ム株式会社の製品)やAZ4620(AZエレクトロニッ クマテリアルズ株式会社の製品)を挙げるこ ができる。
 2.アライナーを用いて所定のパターンが形 されたフォトマスクをマスクにして露光を なう。
 3.現像処理により、所定のパターンにパタ ン化されたレジスト材料からなるレジスト ターンを基板2a上に形成する。
 4.基板2a上に形成されたレジストパターンを 酸素を含まない雰囲気下、例えば窒素中で700 ~1100℃の温度で焼結処理を行なう。具体的に 、例えば最高温度を1000℃、昇温レート2.0℃ /min、降温レート2.0℃/minに設定して1000℃で2 間保持して焼結処理を行なう。焼結前のレ スト層の厚さは8.0~12.0μm、焼結後にパイロポ リマーとなったときの厚さは1.4~2.2μmであっ 。

 この実施例では炭素材料として感光性の ジスト材料を用いているが、感光性でない 素材料を用いてもよい。感光性でない炭素 料を用いる場合には、フォトリソグラフィ 技術を用いたパターン化方法に代えて例え スタンピングによるパターン化方法を用い ことができる。

 フォトリソグラフィー技術を用いたパタ ン化方法はレジスト材料を微細な形状にパ ーン化することが可能であり、微細構造の 素電極を形成することができる。例えば図3 の例では、炭素電極4aに代えて開口率が50%程 の格子形状の炭素電極17aが基板12a上に形成 れている。このような形状にすることによ 、基板12aの炭素電極17aが形成されている面 は反対側の面からフローセル2内の様子を目 視により観察することができ、フローセル2 の流路6における気泡の発生などの問題に対 て迅速に対応できるようになる。なお、炭 電極17aの形状は図3に示した格子形状以外の 形状であってもよく、流路6内を目視できる 状であればよい。

 また、例えば図4A~図4Dに示されているよう 、フローセル22を 18 F - イオンを回収した液体を複数に分配できるも のとすることもできる。図4Aはその例のフロ セル22の平面図、図4Bは図4AのY-Y位置におけ 断面図、図4Cは基板22aの底面図、図4Dは基板 22bの平面図である。この例では、基板22bに形 成された溝26aが上流から下流に向かって3方 に分岐しており、金属電極24bが溝26aの底部 形成されている。基板22a表面の炭素電極24a 基板22bの溝26aの形状に対応して形成されて る。基板22aには、流路26の下流端となる3箇 に3つの貫通穴27bが形成されている。このよ な構成にすれば、 18 F - イオンを回収した液体を異なる種類の試薬を 備えた複数のリアクター又はマイクロリアク ターに振り分けて分析することもできる。

 この例において、炭素電極24aは基板22aに けられた貫通孔28aに埋め込まれた引出し線3 0aによって外部に引き出されて電源装置14に 続されている。対向電極24bは基板22bに設け れた貫通孔28bに埋め込まれた引出し線30bに って外部に引き出されて電源装置14に接続さ れている。貫通孔28a,28bはエッチングやサン ブラストなどの方法によって形成すること できる。

  18 F - イオンの濃縮の操作手順を図1と図2A~図2Dを参 照しながら説明する。
 (1)温度調節部11によりフローセル2の温度を 定温度に調節し、炭素電極4aが正極となる うに電源装置14により電極4a,4b間に電圧を印 する。フローセル2の液体導入口7aから流路6 内に 18 F - イオンを含む溶液を導入する。導入された液 体中の 18 F - イオンは負の極性をもっているため、正極で ある炭素電極4aに引き寄せられて捕捉される
 なお、この工程では、 18 F - イオンを含む溶液を流しながら 18 F - イオンを捕捉するようにしてもよいし、流路 6内を 8 F - イオンを含む溶液で一定時間満たした状態に して 18 F - イオンを捕捉するようにしてもよい。

 (2)流路6内を 18 F - イオン回収剤で満たし、電極4a,4b間の電圧を 転させて炭素電極4aを負極とする。これに って、炭素電極4aに捕捉されていた 18 F - イオンが炭素電極4aから離脱し、 18 F - イオン回収剤中に回収される。
  18 F - イオンの回収剤として、例えば有機反応基質 とKryptofix 222(登録商標、メルク株式会社の製 品)のアセトニトリル溶液を用いることがで る。

 (3) 18 F - イオンを回収した 18 F - イオン回収剤を試料排出口7bからドレインに 出して回収する。

 (4)洗浄液としてアセトニトリルを流路6内 に導入してフローセル2内の洗浄を行なう。 の動作は複数回行なってもよい。

 表1は同一条件で焼結させた原材料の異なる 炭素電極を用いたときの 18 F - イオンの捕捉率と回収率の測定結果である。 この測定では、3種類の原料レジストを4mm×44m mの長方形状にパターン化し、最高温度1000℃ 昇温レート2℃/min、降温レート2℃/min、最高 温度1000℃での焼結時間2時間の条件で焼結さ たものを炭素電極4aとして用いた。炭素電 4aと対向電極4bとの間の距離は100μmである。 極4a,4b間に10Vの電圧を印加し、 18 F - イオンを含有する[ 18 O]-H 2 O水溶液を500μL/minの流量で送液しながら炭素 極4aに 18 F - イオンを捕捉し、その後、 18 F - イオン回収剤としてKryptofix 222を含むアセト トリル約20μLをフローセル内に充填し、電 4a,4b間に 18 F - イオンの捕捉時と反転させた3.3Vの電圧を60秒 間印加してアセトニトリル中に 18 F - イオンを回収した。

 なお、「 18 F - イオン捕捉率」及び「 18 F - イオン回収率」は次式を用いて算出した。
18 F - イオン捕捉率=(セルで捕捉された 18 F - イオンのアクティビティ)/(セルに供給された 18 F - イオンのアクティビティ)
18 F - イオン回収率=(セルから回収した 18 F - イオンのアクティビティ)/(セルで捕捉された 18 F - イオンのアクティビティ)

 表1に示されているように、いずれの原料レ ジストを焼結させた炭素電極でも一定の 18 F - イオン捕捉率及び回収率が得られることがわ かる。さらに電極4a,4b間の距離を縮めれば、 18 F - イオン捕捉率及び回収率を高めることもでき る。
 また、実施例では炭素電極と金属電極との み合わせを用いているが、両方を炭素電極 してもよい。

 本発明は、サイクロトロンで加速した陽子 [ 18 O]-H 2 O水に照射することで得られる 18 F - イオンを[ 18 O]-H 2 O水から分離し、 18 F - イオンの有機溶媒溶液を製造する方法に利用 することができる。




 
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