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Patent Searching and Data


Title:
FLUID BEARING DEVICE AND METHOD OF MANUFACTURING SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/122839
Kind Code:
A1
Abstract:
A housing part (7) and a bearing part (8) constituting a dynamic pressure bearing device (1) are integrally molded by the injection molding of a resin. Thereafter, a through-hole (11) is formed in the integrally-molded product (molded member (6)) by laser beam processing, whereby a flow passage which opens to the upper end surface (8c) and the lower end surface (8b) of the bearing part (8) and connects the upper end and the lower end of the radial bearing gap formed between the bearing part (8) and a shaft part (2) is formed by the through-hole (11). In this process, the inner peripheral surface of the through-hole (11) is formed by a laser beam-processed surface.

Inventors:
KOMORI ISAO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/053895
Publication Date:
October 08, 2009
Filing Date:
March 02, 2009
Export Citation:
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Assignee:
NTN TOYO BEARING CO LTD (JP)
KOMORI ISAO (JP)
International Classes:
F16C17/10; F16C33/10; F16C33/14; F16C33/20; F16C33/74
Foreign References:
JP2008039054A2008-02-21
JP2004084897A2004-03-18
Attorney, Agent or Firm:
TANAKA, Hideyoshi et al. (JP)
Hideyoshi Tanaka (JP)
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Claims:
 ハウジング部と、ハウジング部の内側に配設される軸受部と、軸受部の内周に配設される軸部と、軸受部の内周面と軸部の外周面との間に形成されるラジアル軸受隙間と、ラジアル軸受隙間の外径側に設けられ、この外径側で潤滑流体の流通を図るための流通路とを備え、ラジアル軸受隙間に形成される潤滑流体の膜で軸部を相対回転自在に支持する流体軸受装置であって、
 軸受部とハウジング部とが一体に型成形され、この一体型成形品に流通路が形成されたものにおいて、
 流通路はレーザー加工面で構成されていることを特徴とする流体軸受装置。
 ハウジング部の軸方向一端には、軸部との間にシール空間を形成するシール部が設けられ、シール部はハウジング部および軸受部と一体に型成形されている請求項1に記載の流体軸受装置。
 流通路の一端はシール部の内周面に開口している請求項2に記載の流体軸受装置。
 流通路の一端開口部は、シール空間内に維持される潤滑流体の界面を境として常に軸受隙間の側に位置している請求項3に記載の流体軸受装置。
 流通路が軸受部の軸心に対して傾斜した状態に形成されている請求項1~4の何れかに記載の流体軸受装置。
 ハウジング部の軸方向他端には、軸部をスラスト方向に支持するスラスト支持部がハウジング部とは別体に設けられている請求項1に記載の流体軸受装置。
 ハウジング部と、ハウジング部の内側に配設される軸受部と、軸受部の内周に配設される軸部と、軸受部の内周面と軸部の外周面との間に形成されるラジアル軸受隙間と、ラジアル軸受隙間の外径側に設けられ、この外径側で潤滑流体の流通を図るための流通路とを備え、ラジアル軸受隙間に生じる潤滑流体の膜で軸部を相対回転自在に支持する流体軸受装置の製造方法において、
 ハウジング部と軸受部とを一体に型成形する工程と、この一体型成形品にレーザー加工で流通路を形成する工程とを有することを特徴とする流体軸受装置の製造方法。
Description:
流体軸受装置およびその製造方

 本発明は流体軸受装置およびその製造方 に関する。

 流体軸受装置は、軸受隙間に生じる潤滑 体の膜を介して軸部を相対回転自在に支持 るものである。この種の軸受装置は、特に 速回転時における回転精度、静粛性等に優 ており、情報機器をはじめ種々の電気機器 搭載されるモータ用の軸受装置として好適 使用される。具体的には、HDD等の磁気ディ ク装置、CD-ROM、CD-R/RW、DVD-ROM/RAM等の光ディ ク装置、MD、MO等の光磁気ディスク装置等に おけるスピンドルモータ用の軸受装置として 、あるいはレーザビームプリンタ(LBP)のポリ ンスキャナモータ、プロジェクタのカラー イールモータ、ファンモータなどのモータ 軸受装置として好適に使用される。

 通常、流体軸受装置においては、軸部材 軸受スリーブの内周に挿入され、軸部材の 周面と軸受スリーブの内周面との間にラジ ル軸受隙間が形成される。また、軸受内部 脱気や圧力バランスを保つ等の目的で、軸 スリーブの外周面に軸方向の溝を設け、こ 溝とハウジングの内周面との間に潤滑油の 通を可能とする軸方向の流路が形成される 合がある。

 上記流体軸受装置の課題としては、最近の 報機器の低価格化の要求を受けて、製造コ トの低減化があり、そのための提案が数多 なされている。例えば材料コストの低減化 狙って、上記動圧軸受装置の構成部品であ 、軸受スリーブやハウジングの樹脂化が提 されている。あるいは、上記構成部品同士 アセンブリ工程を簡略化する目的で、上記 成部品の樹脂成形による一体化が提案され いる。この場合、例えば上記流通路(ここで は循環路)に対応したピンを上記一体成形用 金型に設けて、一体成形と同時に循環路を 成する方法が併せて提案されている(例えば 何れも特許文献1を参照)。

特開2007-107569号公報

 しかし、上記特許文献1に記載の方法では 、この種の流通路に対応したピンをキャビテ ィ内に立てて射出成形を行うことになるため 、溶融材料の射出圧によりピンの折損を招く おそれが生じる。特に、この種の流路におい ては、その孔径に対する軸方向長さの比が非 常に大きくなるため、ピンにも外径に対する 軸方向長さの比が非常に大きい(例えば10以上 )ものを使用する必要が生じる。これでは、 ンに対する曲げ負荷が一層強まり、折損の 率が高まる。上記特許文献1では、軸方向で 径を異ならせたピンを用いることで成形時 ピンの折損を回避することを試みているが 折れ易い形状であることには変わりなく、 定した成形には到っていないのが現状であ 。

 あるいは、成形時におけるピンの折損を 避するために、成形後にドリル等で上記流 路を切削加工する方法も考えられるが、こ だと、切削後の洗浄作業に非常に手間がか りコスト高となる。また、上述の通りこの の流通路は非常に細く長いために、ドリル 削においても切削時にドリルの折損を生じ おそれがあることには変わりない。

 以上の事情に鑑み、本発明では、この種 流体軸受装置において、加工コストを低く えつつ、ハウジングと軸受スリーブとの一 型成形品に潤滑流体の流通路を確実に形成 ることを技術的課題とする。

 前記課題の解決は、本発明の一の側面に る流体軸受装置により達成される。すなわ 、この流体軸受装置は、ハウジング部と、 ウジング部の内側に配設される軸受部と、 受部の内周に配設される軸部と、軸受部の 周面と軸部の外周面との間に形成されるラ アル軸受隙間と、ラジアル軸受隙間の外径 に設けられ、この外径側で潤滑流体の流通 図るための流通路とを備え、ラジアル軸受 間に形成される潤滑流体の膜で軸部を相対 転自在に支持する流体軸受装置であって、 受部とハウジング部とが一体に型成形され この一体型成形品に流通路が形成されたも において、流通路はレーザー加工面で構成 れている点をもって特徴づけられる。なお ここでいう「ハウジング部」は、流体軸受 置の外観形状の少なくとも一部をなすもの 、後述するブラケット等、流体軸受装置を み込んで使用する駆動装置の構成部品に固 される面を含む。一方、「軸受部」は、回 軸もしくは固定軸の外周面と対向し、この 向する外周面との間にラジアル軸受隙間を 成する面を含む。

 上記構成によれば、レーザーをエネルギ 伝達媒体として一体型成形品の所定箇所を 融あるいは消失させることで流通路が形成 れるので、ピン等の折損を生じ易いピンや リル等の成形具・加工具を使用せずに済む そのため、孔径に対して長尺な流通路であ ても、高い再現性をもって確実に当該流通 を形成することができる。また、レーザー 工で形成された流通路であれば、切粉除去 ための洗浄など手間のかかる後処理を極力 なくすることができ、かつ、その加工速度 ドリル切削等の他の加工に比べて高いため 加工コストを低く抑えることができる。ま 、成形時にピンを立てて流通路を形成する 法では、成形品の肉厚差に起因してヒケ等 不均等な収縮が生じ、これにより軸受部や 通路の内径精度の悪化を招くおそれがある 、レーザー加工であれば、この種の問題を じるおそれもないため、加工精度の面でも ましい。

 また、この種の流体軸受装置においては 潤滑流体のシール性を確保する目的で、ハ ジング部の軸方向一端に、軸部との間にシ ル空間を形成するシール部を設けることが るが、その場合には、部品点数の削減や製 コストの低減の観点から、シール部はハウ ング部および軸受部と一体に型成形されて てもよい。また、この場合、流通路の一端 シール部の内周面に開口するように流通路 レーザー加工で形成するようにすることも 能である。このようにすれば、一体化によ 部品点数の削減や組付け精度のばらつきを 収できる等のメリットに加えて、圧力バラ スの調整や潤滑流体の循環性能の確保など 通路を設けたことによるメリットを享受す ことができる。

 ここで、流通路の一端開口部は、シール 間内に維持される潤滑流体の界面を境とし 常に軸受隙間の側に位置しているのがよい 流通路が外部空間側に開口する場合、外気 巻き込みを生じるおそれがあるためである また、流通路は、流体軸受装置内部の流体 環を図る目的で形成されることがあるが、 の際、循環作用が強すぎると、流通路から 滑流体界面を越えて外部空間に油等の潤滑 体が吹き出る可能性も否定できないので、 滑流体の界面からなるべく離れた箇所に開 していることが好ましい。

 また、レーザー加工によれば、例えば流 路を軸受部の軸心に対して傾斜した状態に 成することも可能である。型成形であれば 型締め方向にピン等が立設している必要が るが、レーザー加工であれば、そのような 限はないためである。このように流通路を 斜して形成することで、容易に流通路をシ ル部の内周面に開口させることができる。 た、その傾斜角度についても特に制限はな ため、例えばシール側と反対の側にスラス 軸受隙間等が形成される場合など、流通路 他端(反シール側の端部)をスラスト軸受隙 を避けてその外径側に開口する必要がある 合に有益である。

 また、ハウジング部の軸方向他端には、 部をスラスト方向に支持するスラスト支持 を設けるようにしてもよい。この場合、ス スト支持部は、ハウジング部と一体に形成 てもよいが、別体に形成することもできる スラスト支持部を別体にすれば、上記流通 を一体型成形品の他端側に開口してラジア 軸受隙間の他端側に容易につなげることが きるので、ラジアル軸受隙間と流通路との で潤滑油の循環路を形成することができる

 ここで、スラスト支持部の構成態様は、 部のスラスト方向における支持形態に応じ 定めるのが好ましい。この際、スラスト支 部がハウジング部(一体型成形品)と別体で れば、一体型成形品の構成に影響されるこ なく、自由な構成態様を採ることができる 例えば、ピボット軸受の如く、軸部の他端 スラスト支持部で接触支持する場合、スラ ト支持部を少なくとも軸部との接触支持面 摺動性もしくは耐摩耗性に優れた材料で形 することができる。また、スラスト支持部 、ハウジング部の他端を閉塞する役割を担 点を考慮すれば、軸受内部に保持される流 の封止性についても充足していることが望 しい。この点、例えばスラスト支持部をハ ジング部に溶接、溶着、接着等の封止を兼 た固定手段で固定することで、油漏れ等の 具合を回避することが可能となる。

 また、前記課題の解決は、本発明の一の 面に係る流体軸受装置の製造方法により達 される。すなわち、この製造方法は、ハウ ング部と、ハウジング部の内側に配設され 軸受部と、軸受部の内周に配設される軸部 、軸受部の内周面と軸部の外周面との間に 成されるラジアル軸受隙間と、ラジアル軸 隙間の外径側に設けられ、この外径側で潤 流体の流通を図るための流通路とを備え、 ジアル軸受隙間に生じる潤滑流体の膜で軸 を相対回転自在に支持する流体軸受装置の 造方法において、ハウジング部と軸受部と 一体に型成形する工程と、この一体型成形 にレーザー加工で流通路を形成する工程と 有する点をもって特徴づけられる。

 このような製造方法によれば、既に述べ 本発明の一の側面に係る流体軸受装置につ て述べた作用効果と同一の作用効果を得る とができる。

 以上のように、本発明に係る流体軸受装 もしくはその製造方法によれば、加工コス を低く抑えつつ、ハウジングと軸受スリー との一体型成形品に潤滑流体の流通路を確 に形成することができる。

 以下、本発明の一実施形態を図1~図3に基 き説明する。なお、以下の説明における『 下』方向は、単に各図における構成要素間 位置関係を容易に理解するために規定した のに過ぎず、流体軸受装置(動圧軸受装置) 設置方向や使用態様、製造方法等を特定す ものではない。後述する他の実施形態に関 ても同様である。

 図1は、本発明の一実施形態に係るスピン ドルモータの断面図を示す。このスピンドル モータは、例えばHDDのディスク駆動用モータ として使用されるもので、ハブ3を取り付け 軸部材2をラジアル方向に回転自在に非接触 持する動圧軸受装置1と、例えば半径方向の ギャップを介して対向させたステータコイル 4aおよびロータマグネット4bからなる駆動部4 、ブラケット5とを備えている。ステータコ イル4aはブラケット5に固定され、ロータマグ ネット4bはハブ3に固定される。動圧軸受装置 1のハウジング部7は、ブラケット5の内周に固 定される。また、同図に示すように、ハブ3 はディスクD(図2では2枚)が保持される。この ように構成されたスピンドルモータにおいて 、ステータコイル4aに通電すると、ステータ イル4aとロータマグネット4bとの間に発生す る励磁力でロータマグネット4bが回転し、こ に伴って、ハブ3に保持されたディスクDが 部材2と一体に回転する。

 図2は、動圧軸受装置1の断面図を示して る。この動圧軸受装置1は、軸部材2と、ハウ ジング部7および軸受部8を一体に有する型成 部材6と、型成形部材6の下端側に配設され スラスト支持部9と、ハウジング部7の上端側 に配設されるシール部10とを備える。

 軸部材2は、軸部2aと、軸部2aの下端に一 又は別体に設けられたフランジ部2bとで構成 される。軸部2aの外周面には、ラジアル動圧 生部として複数の動圧溝を配列した領域が 成される。この実施形態では、例えば図2に 示すように、互いに傾斜角の異なる複数の動 圧溝2a1,2a2をヘリングボーン形状に配列した 域が軸方向に離隔して2ヶ所に形成されてお 、軸部2aを後述する軸受部8の内周に挿通し 状態では、軸受部8の内周面8aとの間にラジ ル軸受隙間を形成する。この実施形態では 軸受内部における潤滑油の循環を意図的に り出す目的で、一方側(ここでは上側)の動 溝2a1,2a2配列領域を軸方向非対称に形成して る。図2に例示の形態で説明すると、軸方向 中心mより上側(シール部10に近い側)の動圧溝2 a1配列領域の軸方向寸法X1が、下側の動圧溝2a 2配列領域の軸方向寸法X2よりも大きくなるよ うに形成されている。なお、上記構造の軸部 材2は、種々の金属材料で形成可能であり、 えば、強度や剛性、耐摩耗性等を考慮すれ ステンレス鋼などの鉄鋼材料で形成したも が好ましい。

 型成形部材6は、ハウジング部7と、ハウ ング部7の内側に配設される軸受部8とを一体 に有する。この実施形態では、ハウジング部 7と軸受部8とは共に筒状をなし、ハウジング 7の軸方向中央に軸受部8が一体に配置され 構造を有する。上記構造の型成形部材6は、 えば樹脂材料や金属材料の射出成形で上記 状に同時成形することで形成される。

 ハウジング部7は型成形部材6の外径側を 成すると共に、完成品としての動圧軸受装 1の外観形状の一部を構成し、その外周面が ラケット5の内周面に固定される。また、ハ ウジング部7の下部内周面7aにはスラスト支持 部9が固定されると共に、ハウジング部7の上 内周面7bにはシール部10が固定される。また 、この図示例では、下部内周面7aと軸受部8の 下端面8cとの間に、下部内周面7aよりも小径 小径面7cが形成されており、この小径面7cの 側に軸部材2のフランジ部2bが収容されるよ になっている。

 軸受部8は型成形部材6の内径側を構成す もので、その内周に挿入した軸部2aとの間に ラジアル軸受隙間を形成する。この実施形態 では、内周面8aは円筒形状を有する。また、 受部8の下端面8bの全面または一部の領域に 、図3に示すように、スラスト動圧発生部と して、複数の動圧溝8b1をスパイラル形状に配 列した領域が形成される。この動圧溝8b1配列 領域は、図2に示す完成品の状態ではフラン 部2bの上端面2b1と対向し、軸部材2の回転時 上端面2b1との間に後述する第1スラスト軸受 T1のスラスト軸受隙間を形成する。

 スラスト支持部9は、この実施形態では略 円盤状をなし、ハウジング部7の下部内周面7a に固定される。この際、スラスト支持部9の 定に、接着、溶着、溶接などの固定手段の ち1種又は2種以上を用いることで、ハウジン グ部7にスラスト支持部9が固定されると共に ハウジング部7とスラスト支持部9との間が 止される。この際、圧入や加締め等の機械 な固定手段を併用しても構わない。

 スラスト支持部9の上端面9aの全面又は一 の領域には、例えば図3と同様の配列態様( パイラルの方向は逆)をなす動圧溝配列領域 形成される。この動圧溝配列領域(スラスト 動圧発生部)は、図2に示す完成品の状態では ランジ部2bの下端面2b2と対向し、軸部材2の 転時、下端面2b2との間に後述する第2スラス ト軸受部T2のスラスト軸受隙間を形成する。

 シール手段としてのシール部10は、この 施形態ではハウジング部7(型成形部材6)と別 に形成され、ハウジング部7の上部内周面7b 固定される。ここではシール部10の下端面 軸受部8の上端面8cに当接させた状態で上部 周面7bに固定される。固定手段については、 スラスト支持部9と同様、ハウジング部7との から油漏れが生じるおそれがない限りにお て、接着(圧入との併用を含む)、溶着、溶 等の固定手段が採用可能である。シール部10 の材質についても、同様に、多孔質材のよう に油漏れが生じるおそれのある材料でない限 り、種々の金属材料もしくは樹脂材料等を使 用することができる。もちろん、多孔質材で あっても、封孔処理などを施して油漏れが生 じないようにすることで使用することができ る。

 シール部10の内周にはテーパ形状をなす ール面10aが形成されており、このシール面10 aと、軸部2aの上部外周面との間にシール空間 Sが形成される。潤滑油を動圧軸受装置1の内 に充填した状態では、潤滑油の油面は常に ール空間Sの内部に維持される。

 流通路としての貫通孔11は、ラジアル軸 隙間からその外径側に所定距離離れた箇所 形成されており、ラジアル軸受隙間の軸方 一端側と他端側とをつなぐよう、型成形部 6を軸方向に貫通する形で形成されている。 た、貫通孔11の内周面はレーザー加工面で 成されている。この実施形態では、図3に示 ように、軸受部8の下端面8bのうちスラスト 受面(動圧溝8b1配列領域)よりも外径側の位 に貫通孔11が開口するように形成される。ま た、同心円上に3本の貫通孔11が円周方向等間 隔に形成されている。

 上記構成の貫通孔11は、例えば以下に示 態様で形成される。

 まず、ハウジング部7と軸受部8とを一体 有する形状の型成形部材6を用意する。型成 部材6は例えば樹脂材料の射出成形工程を経 て作成されるが、ここで、樹脂材料としては 、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂が使用可能で あり、例えば熱可塑性樹脂であれば、液晶ポ リマー(LCP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS )、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリ セタール(POM)、ポリアミド(PA)等に代表され 結晶性樹脂や、ポリフェニルサルフォン(PPSU )、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテ ルイミド(PEI)、ポリアミドイミド(PAI)等に代 される非晶性樹脂などを例示することがで る。これら樹脂材料は単独で、あるいは2種 上を混合した状態でも使用可能である。

 また、上記樹脂材料には、必要に応じて ガラス繊維や炭素繊維などの繊維状充填材 チタン酸カリウム等のウィスカー状充填材 マイカ等の鱗片状充填材、カーボンブラッ 、黒鉛、金属粉末、有機粉末等の粉末状充 材などを1種又は2種以上混合して充填(添加) することもできる。もちろん、型成形部材6 材質は樹脂に限るものではなく、型成形可 な限りにおいて他の材質、例えば金属等を 用することができる。この場合、例えばMIM により金属製の型成形部材6を射出成形で形 することが可能である。また、動圧軸受装 1の外観をなす面を封孔処理できるのであれ ば、金属粉末の射出成形も採用可能である。

 次に、型成形部材6の軸方向一端側から他 端側に向けてレーザーを照射することにより 、型成形部材6、ここでは軸受部8に上記構成 貫通孔11を形成する。ここで、レーザー照 装置としては、レーザー発振器と、集光レ ズ等を有する集光光学系とを主要部として えたものが使用される。レーザー発振器と ては、任意の発振器が採用でき、例えばYAG ーザー等の固体レーザー、炭酸ガスやUVガス 等のエキシマレーザー、半導体レーザーなど の公知のレーザー用発振器が採用可能である 。レーザーの照射(発振)方式は、連続式また パルス式の何れであってもよく、照射する ーザービームの出力に関しても、型成形部 6を貫通するに足る出力を得ることのできる 範囲において任意に調整可能である。また、 必要に応じて、レーザービームの照射後に生 じるドロス等の残渣を除去する目的で、アシ ストガス噴射装置等の残渣除去装置を設けて もよい。アシストガスとしては、例えば酸素 ガス、窒素ガス、アルゴンガス等が好適であ る。

 また、この実施形態のように、複数本の 通孔11を形成する場合、例えば図示は省略 るが、固定ピン等で型成形部材6を保持した 態でレーザー照射装置からレーザービーム 照射し、1本の貫通孔11を形成する。そして 然る後、型成形部材6に対してレーザー照射 装置を円周方向に相対移動(あるいは相対回 )させて型成形部材6に2本目の貫通孔11を形成 する。さらに同様にして3本目の貫通孔11を形 成する。このようにして型成形部材6の円周 向3ヶ所に貫通孔11を形成することができる なお、複数本の貫通孔11を形成する場合、上 記以外の方法を採用することもでき、例えば 、レーザー照射装置を予め貫通孔11に対応す 円周方向の複数箇所に配設しておくことに り、あるいは、対応する複数本のレーザー ームを照射可能なレーザー照射装置を用い ことにより、複数本の貫通孔11を同時形成 ることも可能である。

 なお、上記レーザー加工を採用する場合 レーザー照射部分の溶解もしくは消失事由 して、熱分解や光分解、熱分解と光分解と 相互作用などが考えられるが、この際、型 形部材6を熱可塑性樹脂で形成し、熱分解に より貫通孔11が形成されるようにレーザー照 条件を設定することで、貫通孔11の内周面 、レーザー溶解後に再固化した面で構成す こともできる。再固化面であれば、油の浸 に対しても高い抵抗力を示し、ストレスク ック等の問題も回避することができる。ま 、UVレーザー等の光分解を主とするレーザー であれば、他のレーザーに比べて分解時の発 熱(温度上昇)が低く抑えられるため、樹脂の 成によっては、優れた加工精度が期待でき 。

 また、軸受部8の上端面8cには、半径方向 伸びその内径端がラジアル軸受隙間の上端 へとつながる半径方向溝12が形成されてい 。この半径方向溝12は、貫通孔11と共に軸受 部における潤滑油の循環経路を構成するも であり、例えば型成形部材6の成形金型のう ち軸受部8の上端面8cを成形する部分に半径方 向溝12に対応する凸条を設けておくことで、 成形と同時に形成することができる。

 以上説明した構成部品を、所定の手順お び形態に組立てた後、軸受内部空間(図2中 散点模様で示す領域)に潤滑油を充填するこ で、完成品としての動圧軸受装置1を得る。 動圧軸受装置1の内部に充満される潤滑油と ては、種々の油が使用可能であるが、HDD等 ディスク駆動装置用の動圧軸受装置に提供 れる潤滑油には、その使用時あるいは輸送 における温度変化を考慮して、低蒸発率及 低粘度性に優れたエステル系潤滑油、例え ジオクチルセバケート(DOS)、ジオクチルアゼ レート(DOZ)等が好適に使用可能である。

 上記構成の動圧軸受装置1において、軸部 材2の回転時、軸部2aの外周面に設けた双方の 動圧溝2a1,2a2配列領域は、軸受部8の内周面8a ラジアル軸受隙間を介して対向する。そし 、軸部材2の回転に伴い、上下何れの動圧溝2 a1,2a2配列領域においても潤滑油が動圧溝2a1,2a 2の軸方向中心mに向けて押し込まれ、その圧 が上昇する。このような動圧溝2a1,2a2の動圧 作用によって、軸部材2を回転自在にラジア 方向に非接触支持する第1ラジアル軸受部R1 第2ラジアル軸受部R2とがそれぞれ軸方向に 隔して2ヶ所に構成される(図2を参照)。

 これと同時に、軸受部8の下端面8bに設け 動圧溝8b1配列領域とこれに対向するフラン 部2bの上端面2b1との間のスラスト軸受隙間 およびスラスト支持部9の上端面9aに設けた 圧溝配列領域とこれに対向するフランジ部2b の下端面2b2との間のスラスト軸受隙間に、動 圧溝の動圧作用により潤滑油の油膜がそれぞ れ形成される。そして、これら油膜の圧力に よって、軸部材2をスラスト方向に非接触支 する第1スラスト軸受部T1と第2スラスト軸受 T2とがそれぞれ構成される(図2を参照)。

 また、軸部2aの外周面に設けた上側の動 溝2a1配列領域は、軸方向中心mに対して軸方 非対称に形成されており、軸方向中心mより 上側領域の軸方向寸法X1が下側領域の軸方向 法X2よりも大きい。そのため、軸部材2の回 時、上側領域における潤滑油の引き込み力( ポンピング力)は下側領域におけるそれに比 て相対的に大きくなる。そして、この引き み力の差によって、ラジアル軸受隙間に満 された潤滑油は、第1スラスト軸受部T1のス スト軸受隙間から貫通孔11、シール部10の下 面の外側領域と軸受部8の上端面8cの外側領 との間の隙間、さらには上端面8cに設けた 径方向溝12という経路を循環して、第1ラジ ル軸受部R1のラジアル軸受隙間に再び引き込 まれる。

 このように、潤滑油がラジアル軸受隙間 含む軸受内部空間を流動循環するように構 することで、当該内部空間内の潤滑油の圧 が局部的に負圧になる現象を防止して、負 発生に伴う気泡の生成、気泡の生成に起因 る潤滑油の漏れや軸受性能の劣化、振動の 生等の問題を解消することができる。また 何らかの理由で潤滑油中に気泡が混入した 合、気泡が潤滑油に伴って循環する際にシ ル空間S内の潤滑油の油面(気液界面)から外 に排出されるので、気泡による悪影響が効 的に防止される。

 以上、本発明の一実施形態を説明したが 本発明に係る流体軸受装置およびその製造 法は、この実施形態に限定されることなく 本発明の範囲内において任意に構成の変更 可能である。

 例えば、図4は、軸部材のスラスト支持形 態を非接触支持に代えてピボット支持とした 場合の動圧軸受装置21の構成例を示している この場合、軸部材22は軸端に半球状の接触 22cを設けて、対向するスラスト支持部9の上 面9aと接触させることで、軸部材22の回転時 、接触面22cを介して軸部材22をスラスト方向 ピボット支持するスラスト軸受部T3を構成 る(図4を参照)。この場合、軸受部8の下端面8 bはスラスト軸受隙間を形成しないので、貫 孔11を図1に示すスラスト支持形態のときよ も内径側に形成することができる。

 また、この図示例において、軸部材22は 互に外径の異なる小径部22aと大径部22bとを しており、小径部22aと大径部22bとの間の肩 22dと当接可能なように、シール部10の下端面 10b付近の内径を小さくしている。これにより 、軸部材22の抜止めが図られる。なお、本構 のようにピボット軸受を構成する場合、ス スト支持部9の上端面9aには、動圧溝に代え 平坦面、あるいは、半球状の接触面22cに対 する形状の凹面を設けるのがよい。また、 触支持形態を採ることから、スラスト支持 9は、耐摩耗性や摺動性に優れた材料(例え 鉄系金属、セラミックスなど)で形成しても く、また、軸部材22との接触面を含む表層 のみを上記特性に優れた材料で形成するよ にしてもよい。あるいは、上記接触面をフ 素樹脂などでコーティングすることで摺動 の改善を図ることも可能である。

 また、部品点数を削減する観点から、シ ル部10を、ハウジング部7や軸受部8と一体に 型成形で形成することも可能である。図5は の一例を示すもので、同図に係る動圧軸受 置31は、主にハウジング部37と軸受部38およ シール部40を一体に有する形状の型成形部材 36を有する点において既述の動圧軸受装置1,21 と相違する。この場合、軸部材32の外周面32a の間にシール空間Sを形成するシール面40aが 型成形部材36に一体に設けられるため、貫通 11は、レーザー加工により、その上側を軸 部38の軸心側に傾斜させた状態に形成される 。これにより、貫通孔11の上端は傾斜面とな シール面40aに開口し、下端は軸受部38の下 面38bに開口する。この場合、貫通孔11のシー ル面40a上への開口位置は、油面位置よりも常 に下側にあることが望ましい。空気の巻き込 みを防ぎ、また、貫通孔11を介してその上端 口部から潤滑油が軸受外部に漏れ出すのを 止するためである。

 なお、この図示例では、軸部材32の下端 部分球面状の接触面32bを設けると共に、そ 直上に抜止め用のリング部32cを設けている そのため、図4に示すように、別体のシール 10を軸部材22の肩面22dと係合させずとも軸部 材32の抜止めを図ることができる。

 また、以上の説明では、型成形部材36が ール部40(シール面40a)を一体に有する場合に シール面40aと軸受部38の下端面38bとに貫通 11の両端が開口するよう貫通孔11を形成した 合を例示したが、特にこの形態には限られ い。すなわち、レーザー加工によれば、図2 に例示の如く、型成形部材6とは別体のシー 部10を固定した型成形部材6に対しても、上 開口形態をなす貫通孔11を形成することが可 能である。

 また、以上の説明では、スラスト支持部9 を型成形部材6,36とは別体に形成した場合を 示したが、動圧軸受装置の形態によっては 成形部材6,36に含めることも可能である。す わち、図4に示す形態であれば、ハウジング 部7と軸受部8、および、スラスト支持部9を一 体に有する形状の型成形部を樹脂材料の射出 成形等で形成し、この一体成形品に対して、 例えば、軸受部8の上端面8cの最外径部と、内 周面8aの最下部とにそれぞれ開口するように 貫通孔11をレーザー加工で形成することも きる。この場合、レーザービームは、型成 部の一端開口側から、かつ、一端開口側の 径側から他端閉塞側の内径側に傾斜した向 に照射することになるため、例えばシール 10を固定するハウジング部7の上部内周面7bの 内径を大きめにしておくなど、レーザービー ムの照射スペースを確保しておくことが肝要 となる。

 また、以上の説明では、型成形部材6,36に 対して個々の貫通孔11を1本の直線状に形成し た場合を例示したが、何もこれに限る必要は ない。例えば、図5に示す構成において、シ ル面40aの側から斜方向(軸受上部から下部に けて外径側に移行する向き)にレーザービー ムを照射し、型成形部材36の所定の中間位置 で有底孔を穿孔形成する。そして、軸受部3 8の下端面38bの側から例えば軸心方向に沿っ レーザービームを照射し、先に形成した有 孔の先端(所定の中間位置)まで穿孔する。こ のようにすることで、双方向からのレーザー 照射により形成された穿孔部分がつながり、 途中で屈曲して、シール面40aと下端面38bとの 間を連通する貫通孔を形成することができる 。この際、穿孔深さは、レーザー出力や焦点 位置、照射時間により適宜調節することで対 応可能である。

 もちろん、ラジアル軸受隙間の外径側で 滑油を流通可能な限りにおいて流通路の形 は任意であり、貫通孔11に限らず、種々の 成を採用することができる。例えばラジア 動圧発生部として後述する多円弧軸受を構 する場合において、その円弧面の間に分離 として形成される軸方向溝を流通路として 用することもできる。この場合、流通路は 受部8の内周に形成され、その内側を部分的 ラジアル軸受隙間に開いた形態をなす。従 、この流通路は、貫通孔11と同様、レーザ 加工で形成可能である。

 また、以上の説明では、ラジアル軸受部R 1,R2およびスラスト軸受部T1,T2として、へリン グボーン形状やスパイラル形状の動圧溝によ り潤滑油の動圧作用を発生させる構成を例示 しているが、本発明はこれに限定されるもの ではない。

 例えば、ラジアル軸受部R1,R2として、図 は省略するが、軸方向の溝を円周方向の複 箇所に形成した、いわゆるステップ状の動 発生部、あるいは、円周方向に複数の円弧 を配列し、対向する軸部材2の外周面との間 、くさび状の半径方向隙間(軸受隙間)を形 した、いわゆる多円弧軸受を採用してもよ 。

 あるいは、軸部材2の外周面を、ラジアル 動圧発生部としての動圧溝や円弧面等を設け ない真円状内周面とし、この外周面と対向す る軸受部8の真円状の内周面8aとで、いわゆる 真円軸受を構成することができる。軸部材22, 32についても同様の構成が採用可能である。

 また、スラスト軸受部T1,T2の一方又は双 は、同じく図示は省略するが、スラスト軸 面となる領域に、複数の半径方向溝形状の 圧溝を円周方向所定間隔に設けた、いわゆ ステップ軸受、あるいは波型軸受(端面が調 波形などの波型になったもの)等で構成する こともできる。

 また、以上の説明では、ラジアル動圧発 部を回転側(軸部材2,22,32)、スラスト動圧発 部を固定側(軸受部8、スラスト支持部9)に設 けた場合を説明したが、これらの配置態様は 任意である。すなわち、ラジアル動圧発生部 を軸受部8,38の内周面8a,38aの側に設けること 可能であり、また、スラスト動圧発生部を 部材2の側(フランジ部2b)に設けることも可能 である。同様にピボット軸受となるスラスト 軸受部T3に関しても部分球面状の接触面22c,32b をスラスト支持部9の側に設けることも可能 ある。

 また、以上の実施形態では、動圧軸受装 1の内部に充満し、ラジアル軸受隙間やスラ スト軸受隙間に流体膜を形成するための流体 として潤滑油を例示したが、これ以外にも流 体膜を形成可能な流体、例えば空気等の気体 や、磁性流体等の流動性を有する潤滑剤、あ るいは潤滑グリース等を使用することもでき る。

本発明の一実施形態に係る動圧軸受装 を組み込んだモータの要部断面図である。 一実施形態に係る動圧軸受装置の断面 である。 型成形部をスラスト支持部の取り付け から見た底面図であるである。 他の構成に係る動圧軸受装置の断面図 ある。 他の構成に係る動圧軸受装置の断面図 ある。

符号の説明

1,21,31 動圧軸受装置
2,22,32 軸部材
2a1,2a2 動圧溝
2b  フランジ部
3   ハブ
6,36 型成形部材
7,37 ハウジング部
8,38 軸受部
8b1 動圧溝
9   スラスト支持部
10,40 シール部
10a,40a シール面
11  貫通孔
12  半径方向溝
22d 肩面
32c リング部
S   シール空間
R1,R2 ラジアル軸受部
T1,T2,T3 スラスト軸受部