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Title:
FLUIDITY IMPROVER FOR AROMATIC POLYCARBONATE RESIN, PROCESS FOR PRODUCING THE FLUIDITY IMPROVER FOR AROMATIC POLYCARBONATE RESIN, AROMATIC POLYCARBONATE RESIN COMPOSITION, AND MOLDED PRODUCT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/113573
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a fluidity improver for a PC resin that can improve melt fluidity during molding without sacrificing excellent properties (such as heat resistance and mechanical properties) of the PC resin and, at the same time, is less likely to cause a poor appearance of the resultant molded product. The fluidity improver for an aromatic polycarbonate resin comprises a polymer (X) obtained by polymerizing 0.5 to 99.5 parts by mass of a monomer mixture (b) containing 0.5 to 99.5% by mass of styrene (b1) and 0.5 to 99.5% by mass of a phenyl (meth)acrylate compound (b2), wherein the total amount of the components (a) and (b) is 100 parts by mass, in the presence of a polymer (A) obtained by polymerizing 0.5 to 99.5 parts by mass of a monomer mixture (a) containing 0.5 to 50% by mass of α-methylstyrene (a1), 0.5 to 99% by mass of styrene (a2), and 0.5 to 99% by mass of a phenyl (meth)acrylate compound (a3).

Inventors:
MATSUOKA SHINJI (JP)
ANMA HIDETAKA (JP)
MIYAKE KAZUYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/054651
Publication Date:
September 17, 2009
Filing Date:
March 11, 2009
Export Citation:
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Assignee:
MITSUBISHI RAYON CO (JP)
KOITO MFG CO LTD (JP)
MATSUOKA SHINJI (JP)
ANMA HIDETAKA (JP)
MIYAKE KAZUYUKI (JP)
International Classes:
C08L69/00; C08F2/44; C08F257/02; C08L25/04; C08L51/00
Domestic Patent References:
WO2008081791A12008-07-10
Foreign References:
JP2007039490A2007-02-15
JPH01165656A1989-06-29
JP2006306958A2006-11-09
Other References:
See also references of EP 2253668A4
Attorney, Agent or Firm:
SHIGA, Masatake et al. (JP)
Masatake Shiga (JP)
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Claims:
 α-メチルスチレン(a1)0.5~50質量%、スチレン(a2)0.5~99質量%及び(メタ)アクリル酸フェニル類(a3)0.5~99質量%を含有する単量体混合物(a)0.5~99.5質量部を重合して得られた重合体(A)の存在下で、
 スチレン(b1)0.5~99.5質量%及び(メタ)アクリル酸フェニル類(b2)0.5~99.5質量%を含有する単量体混合物(b)0.5~99.5質量部(但し、(a)及び(b)の合計を100質量部とする)を重合して得られた重合体(X)からなる芳香族ポリカーボネート樹脂用流動性向上剤。
 重合体(X)の重合率が95質量%以上である、請求項1に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂用流動性向上剤。
 α-メチルスチレン(a1)0.5~50質量%、スチレン(a2)0.5~99質量%及び(メタ)アクリル酸フェニル類(a3)0.5~99質量%を含有する単量体混合物(a)0.5~99.5質量部を重合して重合体(A)を得る第1工程と、
 重合体(A)の存在下で、スチレン(b1)0.5~99.5質量%及び(メタ)アクリル酸フェニル類(b2)0.5~99.5質量%を含有する単量体混合物(b)0.5~99.5質量部(但し、(a)及び(b)の合計を100質量部とする)を重合する第2工程とを有する芳香族ポリカーボネート樹脂用流動性向上剤の製造方法。
 第2工程を重合率95質量%以上になった際に終了させる、請求項3に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂用流動性向上剤の製造方法。
 請求項1又は2に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂用流動性向上剤0.1~30質量%及び芳香族ポリカーボネート樹脂70~99.9質量%を含有する、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
 請求項1又は2に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂用流動性向上剤0.1~30質量%、ポリテトラフルオロエチレン0.01~5質量%及び芳香族ポリカーボネート樹脂65~99.89質量%を含有する、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
 請求項5又は6に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が成形された成形体。
 車両用灯具部品として用いられる、請求項7に記載の成形体。
 エクステンションリフレクタとして用いられる、請求項7に記載の成形体。
Description:
芳香族ポリカーボネート樹脂用 動性向上剤及びその製造方法、芳香族ポリ ーボネート樹脂組成物、並びに成形体

 本発明は、芳香族ポリカーボネート樹脂の 形加工時の溶融流動性を向上させるための 香族ポリカーボネート樹脂用流動性向上剤 びその製造方法、前記芳香族ポリカーボネ ト樹脂用流動性向上剤を含有する芳香族ポ カーボネート樹脂組成物及びその成形体に する。
 本願は、2008年3月11日に、日本に出願された 特願2008-060889号に基づき優先権を主張し、そ 内容をここに援用する。

 芳香族ポリカーボネート樹脂(以下、「PC樹 」という。)は、その優れた耐熱性、機械的 特性、電気特性、寸法安定性等により、自動 車部材、OA(オフィスオートメーション)機器 情報・通信機器、電気・電子機器、家庭電 機器等の様々な分野において幅広く利用さ ている。しかしながら、通常、PC樹脂は非晶 性であるため、成形加工温度が高く、溶融流 動性に劣るという問題点を有している。
 近年、これらの用途では成形体の大型化、 肉化、形状複雑化が進み、PC樹脂に対して 、成形加工時の溶融流動性の向上が要求さ ている。

 PC樹脂の優れた特性(耐熱性、機械的特性 )を損なうことなく、成形加工時の溶融流動 性を向上させる方法として、特許文献1では スチレンとメタクリル酸フェニルの共重合 を流動性向上剤として用い、PC樹脂に配合す る方法が提案されている。この方法はPC樹脂 溶融流動性を向上させるが、スチレンとメ クリル酸フェニルの共重合体の耐熱性は十 には高くない。そのため、高耐熱型のPC樹 の溶融流動性を向上させる目的でこれを配 した場合には、高耐熱型のPC樹脂の耐熱性を 大きく低下させるおそれがある。

 高耐熱型のPC樹脂の耐熱性を低下させず、 融流動性を向上させる方法として、特許文 2では、スチレン、α-メチルスチレン及びメ クリル酸フェニルの共重合体を流動性向上 として用い、PC樹脂に配合する方法が提案 れている。この方法は高耐熱型のPC樹脂の溶 融流動性を向上させ、耐熱性を低下させるこ ともない。しかしながら、α-メチルスチレン は重合性が低いことから、共重合体中に単量 体が残存し易く、成形加工時にシルバースト リークが発生し、成形体の外観不良を招くお それがある。

国際公開第2005/030819号パンフレット

特開2006-306958号公報

 本発明者らは鋭意検討した結果、α-メチ スチレンを含有する単量体混合物を重合し 得られた重合体の存在下で、スチレン等を 有する単量体混合物を重合して得られた重 体からなる流動性向上剤を用いることで、P C樹脂、特に高耐熱型のPC樹脂の優れた特性( 熱性、機械的特性等)を損なうことなく、成 加工時の溶融流動性の向上が可能で、しか 得られる成形体の外観不良が生じにくくな ことを見出した。

 すなわち、本発明は以下の態様を包含する
[1] α-メチルスチレン(a1)0.5~50質量%、スチレ (a2)0.5~99質量%及び(メタ)アクリル酸フェニル (a3)0.5~99質量%を含有する単量体混合物(a)0.5~9 9.5質量部を重合して得られた重合体(A)の存在 下で、
 スチレン(b1)0.5~99.5質量%及び(メタ)アクリル フェニル類(b2)0.5~99.5質量%を含有する単量体 混合物(b)0.5~99.5質量部(但し、(a)及び(b)の合計 を100質量部とする)を重合して得られた重合 (X)からなるPC樹脂用流動性向上剤。
[2] 重合体(X)の重合率が95質量%以上である、[ 1]に記載のPC樹脂用流動性向上剤。

[3] α-メチルスチレン(a1)0.5~50質量%、スチレ (a2)0.5~99質量%及び(メタ)アクリル酸フェニル (a3)0.5~99質量%を含有する単量体混合物(a)0.5~9 9.5質量部を重合して重合体(A)を得る第1工程 、
 重合体(A)の存在下で、スチレン(b1)0.5~99.5質 %及び(メタ)アクリル酸フェニル類(b2)0.5~99.5 量%を含有する単量体混合物(b)0.5~99.5質量部( 但し、(a)及び(b)の合計を100質量部とする)を 合する第2工程とを有するPC樹脂用流動性向 剤の製造方法。
[4] 第2工程を重合率95質量%以上になった際に 終了させる、[3]に記載のPC樹脂用流動性向上 の製造方法。

[5] [1]又は[2]に記載のPC樹脂用流動性向上剤0. 1~30質量%及びPC樹脂70~99.9質量%を含有する、PC 脂組成物。
[6] [1]又は[2]に記載のPC樹脂用流動性向上剤0. 1~30質量%、ポリテトラフルオロエチレン0.01~5 量%及びPC樹脂65~99.89質量%を含有する、PC樹 組成物。

[7] [5]又は[6]に記載のPC樹脂組成物が成形さ た成形体。
[8] 車両用灯具部品として用いられる、[7]に 載の成形体。
[9] エクステンションリフレクタとして用い れる、[7]に記載の成形体。

 本発明のPC樹脂用流動性向上剤によれば、PC 樹脂、特に高耐熱型のPC樹脂の優れた特性(耐 熱性、機械的特性等)を損なうことなく、成 加工時の溶融流動性を向上させ、しかも得 れる成形体の外観不良が生じにくい。
 本発明のPC樹脂用流動性向上剤の製造方法 よれば、上記PC樹脂用流動性向上剤を容易に 製造できる。
 本発明のPC樹脂組成物は、成形加工時の溶 流動性に優れ、PC樹脂、特に高耐熱型のPC樹 の優れた特性(耐熱性、機械的特性等)が損 われておらず、外観の優れた成形体を得る とができる。
 本発明の成形体は、PC樹脂、特に高耐熱型 PC樹脂の優れた特性(耐熱性、機械的特性等) 損なわれておらず、外観に優れている。
 本発明の車両用灯具部品は、耐熱性、機械 特性に優れている。

本発明の成形体を使用する車両用灯具 品の一実施形態例を示す断面図である。 t=1.0mmでの、射出速度とフローマーク出 現比率との関係を示すグラフである。 t=1.5mmでの、射出速度とフローマーク出 現比率との関係を示すグラフである。

符号の説明

10 車両用前照灯
11 ランプボディ
12 前面レンズ
13 光源
14 リフレクタ
15 エクステンションリフレクタ

 以下、本発明について詳細に説明する。
 本発明のPC樹脂用流動性向上剤(以下、流動 向上剤と略す。)は、単量体混合物(a)を重合 して得られた重合体(A)の存在下で、単量体混 合物(b)を重合して得られた重合体(X)からなる ものである。
 具体的には、本発明の流動性向上剤は、単 体混合物(a)を重合して重合体(A)を得る第1工 程と、重合体(A)の存在下で単量体混合物(b)を 重合して、重合体(X)を得る第2工程とを有す 製造方法により得られたものである。

 第2工程における「重合体(A)の存在下で、単 量体混合物(b)を重合」するとは、単量体混合 物(a)を重合して重合体(A)を得た後に、重合体 (A)を分離又は精製することなく、重合体(A)の 存在下で単量体混合物(b)を重合することを意 味する。
 したがって、第2工程では、第1工程にて反 しなかった単量体も重合することになるた 、第1工程にて残存した未反応のα-メチルス レンが、第2工程にて単量体混合物(b)に共重 合することがある。

 単量体混合物(a)は、α-メチルスチレン(a1) 、スチレン(a2)及び(メタ)アクリル酸フェニル 類(a3)を含有する。

 単量体混合物(a)における(メタ)アクリル酸 ェニル類(a3)は、フェニル基に置換基を有し (メタ)アクリル酸フェニル、フェニル基に 換基を有していない(メタ)アクリル酸フェニ ルのいずれであってもよい。
 (メタ)アクリル酸フェニル類(a3)としては、 えば、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)ア クリル酸4-t-ブチルフェニル、(メタ)アクリル 酸ブロモフェニル、(メタ)アクリル酸ジブロ フェニル、(メタ)アクリル酸2,4,6-トリブロ フェニル、(メタ)アクリル酸モノクロルフェ ニル、(メタ)アクリル酸ジクロルフェニル、( メタ)アクリル酸トリクロルフェニルが挙げ れる。これらの単量体は1種を単独で用いて よく、2種以上を併用してもよい。
 これらの中では、PC樹脂に対する相溶性が く、成形体の耐表層剥離性が損なわれにく ことから、(メタ)アクリル酸フェニルが好ま しい。
 なお、本発明において、(メタ)アクリルは アクリル又はメタクリルを意味する。

 単量体混合物(a)(100質量%)中の、α-メチルス レン(a1)の含有率は0.5~50質量%、スチレン(a2) 含有率は0.5~99質量%、(メタ)アクリル酸フェ ル類(a3)の含有率は0.5~99質量%である。
 単量体混合物(a)(100質量%)中の(a1)の含有率の 下限は、好ましくは5質量%以上であり、より ましくは10質量%以上である。単量体混合物( a)(100質量%)中の(a1)の含有率の上限は、好まし くは40質量%以下であり、より好ましくは30質 %以下である。
 単量体混合物(a)(100質量%)中の(a2)の含有率の 下限は、好ましくは20質量%以上であり、より 好ましくは40質量%以上である。単量体混合物 (a)(100質量%)中の(a2)の含有率の上限は、好ま くは80質量%以下であり、より好ましくは70質 量%以下である。
 単量体混合物(a)(100質量%)中の(a3)の含有率の 下限は、好ましくは5質量%以上であり、より ましくは10質量%以上である。単量体混合物( a)(100質量%)中の(a3)の含有率の上限は、好まし くは40質量%以下であり、より好ましくは30質 %以下である。

 単量体混合物(a)(100質量%)中のα-メチルス レン(a1)の含有率が0.5質量%以上であれば、 られる成形体の耐熱性の低下を防止できる 単量体混合物(a)(100質量%)中の(a1)の含有率が5 0質量%以下であれば、共重合性が良好であり 重合体(X)の重合率が低下しにくい。

 単量体混合物(a)(100質量%)中のスチレン(a2) の含有率が0.5質量%以上であれば、共重合性 良好であり、成形加工時の溶融流動性が十 に発現する。単量体混合物(a)(100質量%)中の(a 2)の含有率が99質量%以下であれば、得られる 形体の耐表層剥離性及び機械的特性が損な れにくい。

 単量体混合物(a)(100質量%)中の(メタ)アク ル酸フェニル類(a3)の含有率が0.5質量%以上で あれば、得られる成形体の耐表層剥離性及び 機械的特性が損なわれにくい。単量体混合物 (a)(100質量%)中の(a3)の含有率が99質量%以下で れば、成形加工時の溶融流動性が十分に発 する。

 単量体混合物(a)は、必要に応じて、(a1)~(a3) 外の、上述したその他の単量体(a4)を含有し てもよい。
 その他の単量体(a4)としては、例えば、p-メ ルスチレン、p-t-ブチルスチレン、p-メトキ スチレン、2,4-ジメチルスチレン、クロロス チレン、ブロモスチレン、ビニルナフタレン 、ビニルアントラセン等の芳香族ビニル単量 体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)ア クリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸 ンジル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、( タ)アクリル酸t-ブチルシクロヘキシル等の( メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸;( メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ) クリル酸グリシジル、フタル酸2-メタクリ イルオキシエチル等の反応性官能基を有す (メタ)アクリル酸エステル;安息香酸ビニル 酢酸ビニル、無水マレイン酸、N-フェニルマ レイミド、シクロヘキシルマレイミド、(メ )アクリル酸アリル及びジビニルベンゼンが げられる。これらは1種を単独で用いてもよ く、2種以上を併用してもよい。
 これらの中では、メタアクリル酸メチルが ましい。

 単量体混合物(a)(100質量%)中の、その他の単 体(a4)の含有率は0~50質量%であることが好ま い。単量体混合物(a)(100質量%)中の(a4)の含有 率の上限は、より好ましくは20質量%以下であ り、特に好ましくは10質量%以下である。
 単量体混合物(a)(100質量%)中の(a4)の含有率が 50質量%以下であれば、得られる成形体の耐表 層剥離性及び機械的特性がより損なわれにく い。

 単量体混合物(b)は、スチレン(b1)及び(メタ) クリル酸フェニル類(b2)を含有する。
 ここで、(メタ)アクリル酸フェニル類(b2)と ては、前述の(a3)と同様の単量体を用いるこ とができる。(b2)は1種を単独で用いてもよく 2種以上を併用してもよい。
 (b2)の中でも、PC樹脂に対する相溶性が高く 成形体の耐表層剥離性がより損なわれにく ことから、(メタ)アクリル酸フェニルが好 しい。

 単量体混合物(b)(100質量%)中の、スチレン(b1) の含有率は0.5~99.5質量%、(メタ)アクリル酸フ ニル類(b2)の含有率は0.5~99.5質量%である。
 単量体混合物(b)(100質量%)中の(b1)の含有率の 下限は、好ましくは20質量%以上であり、より 好ましくは30質量%以上である。単量体混合物 (b)(100質量%)中の(b1)の含有率の上限は、好ま くは80質量%以下であり、より好ましくは60質 量%以下である。
 単量体混合物(b)(100質量%)中の(b2)の含有率の 下限は、好ましくは20質量%以上であり、より 好ましくは40質量%以上である。単量体混合物 (b)(100質量%)中の(b2)の含有率の上限は、好ま くは80質量%以下であり、より好ましくは70質 量%以下である。

 単量体混合物(b)(100質量%)中のスチレン(b1) の含有率が0.5質量%以上であれば、成形加工 の溶融流動性が十分に発現する。単量体混 物(b)(100質量%)中の(b1)の含有率が99.5質量%以 であれば、得られる成形体の耐表層剥離性 び機械的特性が損なわれにくい。

 単量体混合物(b)(100質量%)中の(メタ)アク ル酸フェニル類(b2)の含有率が0.5質量%以上で あれば、得られる成形体の耐表層剥離性及び 機械的特性が損なわれにくい。単量体混合物 (b)(100質量%)中の(b2)の含有率が99.5質量%以下で あれば、成形加工時の溶融流動性が十分に発 現する。

 単量体混合物(b)は、必要に応じて、(b1)及び (b2)以外の、その他の単量体(b3)を含有しても い。
 その他の単量体(b3)としては、前述の(a4)と 様の単量体を用いることができる。(b3)は1種 を単独で用いてもよく、2種以上を併用して よい。
 (b3)の中でも、メタクリル酸メチル、メタク リル酸アリルが好ましい。

 単量体混合物(b)(100質量%)中の、その他の単 体(b3)含有率は、0~50質量%であることが好ま い。単量体混合物(b)(100質量%)中の(b3)の含有 率の上限は、より好ましくは35質量%以下であ り、特に好ましくは20質量%以下である。
 単量体混合物(b)(100質量%)中の(b3)の含有率が 50質量%以下であれば、得られる成形体の耐表 層剥離性及び機械的特性が損なわれにくい。

 第1工程における単量体混合物(a)は0.5~99.5質 部、第2工程における単量体混合物(b)は0.5~99 .5質量部(但し、(a)及び(b)の合計を100質量部と する)である。
 (a)の含有量の下限は、好ましくは40質量部 上である。(a)の含有量の上限は、好ましく 90質量部以下である。
 (b)の含有量の下限は、好ましくは10質量部 上である。(b)の含有量の上限は、好ましく 60質量部以下である。

 単量体混合物(a)と単量体混合物(b)の合計1 00質量部に対して、(a)の含有量が0.5質量部以 であれば、得られる成形体の耐熱性が良好 なる。(a)の含有量が99.5質量部以下であれば 、成形加工時のシルバーストリークの発生を 抑制し、得られる成形体の外観を良好にでき る。

 単量体混合物(a)と単量体混合物(b)の合計1 00質量部に対して、(b)の含有量が0.5質量部以 であれば、成形加工時のシルバーストリー の発生を抑制し、得られる成形体の外観を 好にできる。(b)の含有量が99.5質量部以下で あれば、得られる成形体の耐表層剥離性及び 耐熱性が損なわれにくい。

 本発明の製造方法における重合方法として 、例えば、乳化重合法、懸濁重合法、溶液 合法、塊状重合法が挙げられる。これらの でも、単量体混合物(a)を重合して得た重合 (A)の存在下で、単量体混合物(b)を重合する とが容易であることから、乳化重合法が好 しい。
 乳化重合法としては、公知の方法を適用す ことができるが、得られた重合体中に塩類 残存する場合には、PC樹脂の熱分解を引き こすおそれがある。そのため、カルボン酸 乳化剤、又は燐酸エステル等のノニオンア オン系乳化剤を用い、酢酸カルシウム等の を用いた塩析凝固により重合体を回収する 法が好ましい。
 重合開始剤としては、例えば、有機過酸化 、過硫酸塩、有機過酸化物又は過硫酸塩還 剤との組合せからなるレドックス系開始剤 アゾ化合物が挙げられる。

 本発明の製造方法における第2工程は、第1 程における重合率が100質量%になった後に開 してもよいし、100質量%になる前に開始して もよいが、重合率が90質量%以上になった際に 開始することが好ましい。
 第1工程における重合率が90質量%以上になっ た際に第2工程を開始すれば、第1工程にて反 しなかった残存α-メチルスチレンを、単量 混合物(b)に十分に共重合させることができ 重合体(X)中の残存α-メチルスチレン量を低 させることができる。

 第2工程は、重合率95質量%以上で終了させる ことが好ましく、99質量%以上で終了させるこ とがより好ましい。
 第2工程を重合率が95質量%以上で終了させれ ば、単量体混合物における単量体の組成比( 量%)と、重合体(X)における各単量体単位の組 成費(質量%)がほぼ一致し、所望の組成の重合 体を容易に得ることができる。
 また、第2工程を重合率が95質量%以上で終了 させれば、重合体(X)の残存α-メチルスチレン 及び残存スチレン等の含有率が5質量%以下に るため、成形加工時の剥離、膨れ、シルバ ストリークの発生をより抑制でき、得られ 成形体の外観をより良好にできる。
 同様の理由から、重合体(X)の重合率は95質 %以上であることが好ましく、99質量%以上で ることがより好ましい。

 得られた重合体(X)の質量平均分子量は5000~20 0000であることが好ましい。
 重合体(X)の質量平均分子量の下限は10000以 がより好ましく、30000以上が特に好ましい。 重合体(X)の質量平均分子量の上限は150000以下 がより好ましく、100000以下が特に好ましい。
 重合体(X)の質量平均分子量が5000以上であれ ば、相対的に低分子量物が少なくなるため、 得られる成形体の耐熱性、機械的特性の低下 をより防止できる。また、成形加工時の発煙 、ミスト、機械汚れ、フィッシュアイ、シル バーストリーク等の発生を抑制できる。重合 体(X)の質量平均分子量が200000以下であれば、 成形加工時の溶融流動性がより向上する。

 重合体(X)の分子量分布(質量平均分子量(Mw)/ 平均分子量(Mn))は、4.0以下が好ましく、3.0 下がより好ましい。
 重合体(X)の分子量分布が4.0以下であれば、 融粘度が高くならず、成形加工時の溶融流 性がより向上する。

 重合体(X)は、溶融成形時にはPC樹脂との 分離挙動を示し、成形体の使用温度領域で 、耐表層剥離性が良好となるレベルの、PC樹 脂との相溶性(親和性)を示す。このような重 体(X)を流動性向上剤として用い、PC樹脂、 に高耐熱型のPC樹脂と配合することにより、 PC樹脂の耐熱性や機械的特性を大きく低下さ ることなく、得られたPC樹脂組成物の成形 工時の溶融流動性を向上させることができ 。また、重合体(X)を流動性向上剤として用 ることにより、成形加工時のシルバースト ークの発生を抑制し、得られる成形体の外 を良好にすることができる。

 本発明のPC樹脂組成物は、上記流動性向上 と、PC樹脂とを含有する。
 PC樹脂は、ジフェノールにカーボネート前 物質を反応させることにより得られる。
 ジフェノールとしては、例えば、2,2-ビス(4- ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、「ビス ェノールA」という。)、2,2-ビス(3,5-ジブロ -4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3, 5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、 1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサ 、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリ チルシクロヘキサン(以下、「ビスフェノー ルTMC」という。)、1,1-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒ ロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4- ヒドロキシフェニル)シクロデカン、1,1-ビス( 4-ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、1,1- ス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)シク ドデカン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエ テル、4,4’-チオジフェノール及び4,4’-ジ ドロキシ-3,3’-ジクロロジフェニルエーテル などが挙げられる。
 また、カーボネートを導入するためのカー ネート前駆物質としては、例えば、ホスゲ 、ジフェニルカーボネートなどが挙げられ 。

 PC樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上 を併用してもよい。
 PC樹脂の中でも、高耐熱型であることから ビスフェノールAとビスフェノールTMCの共重 体である、アペック1800(バイエル(株)製)が ましい。

 PC樹脂の分子量は、溶媒として塩化メチ ンを用い、温度25℃で測定された溶液粘度よ り換算した粘度平均分子量で、14000~40000であ ことが好ましく、16000~30000であることがよ 好ましく、18000~26000であることが特に好まし い。

 本発明のPC樹脂組成物における流動性向上 の含有率は0.1~30質量%、PC樹脂の含有率は70~99 .9質量%である。
 PC樹脂組成物(100質量%)中の流動性向上剤の 有率の下限は、好ましくは1質量%以上であり 、より好ましくは5質量%以上である。PC樹脂 成物(100質量%)中の流動性向上剤の含有率の 限は、好ましくは25質量%以下であり、より ましくは20質量%以下である。
 PC樹脂組成物(100質量%)中のPC樹脂の含有率の 下限は、好ましくは75質量%以上であり、より 好ましくは80質量%以上である。PC樹脂組成物( 100質量%)中のPC樹脂の含有率の上限は、好ま くは99質量%以下であり、より好ましくは95質 量%以下である。

 PC樹脂組成物(100質量%)中の流動性向上剤の 有率が0.1質量%以上であれば、成形加工時の 融流動性が十分に発現する。
 PC樹脂組成物(100質量%)中の流動性向上剤の 有率が30質量%以下であれば、PC樹脂、特に高 耐熱型のPC樹脂の優れた特性(耐熱性、機械的 特性等)が損なわれにくい。
 PC樹脂組成物(100質量%)中のPC樹脂の含有率が 70質量%以上であれば、PC樹脂、特に高耐熱型 PC樹脂の優れた特性(耐熱性、機械的特性等) が損なわれにくい。
 PC樹脂組成物(100質量%)中のPC樹脂の含有率が 99.9質量%以下であれば、成形加工時の溶融流 性が十分に発現する。

 本発明のPC樹脂組成物は、更に、ポリテ ラフルオロエチレンを併用することが好ま い。ポリテトラフルオロエチレン(以下、「P TFE」という。)は、PTFE単独であっても、混合 態のPTFEであってもよい。これらの中では、 PC樹脂に対する分散性が良好となることから 合形態のPTFEが好ましく、PTFE粒子と有機系 合体からなるPTFE含有混合粉体がより好まし 。

 PTFE含有混合粉体としては、質量平均粒子 径が0.05~1.0μmであるPTFE粒子の水性分散液と、 有機系重合体粒子の水性分散液とを混合し、 凝固又は噴霧乾燥により粉体化して得られる もの;質量平均粒子径が0.05~1.0μmのPTFE粒子の 性分散液の存在下で、有機系重合体を構成 る単量体を重合した後、凝固又は噴霧乾燥 より粉体化して得られるもの;あるいは、質 平均粒子径が0.05~1.0μmのPTFE粒子の水性分散 と、有機系重合体粒子の水性分散液とを混 した分散液中で、有機系重合体を構成する 量体を重合した後、凝固又は噴霧乾燥によ 粉体化して得られるものが好ましい。

 有機系重合体は、ビニル単量体を重合し 得られるものである。ビニル単量体として 、例えば、(メタ)アクリル酸メチル等の(メ )アクリル酸エステル;スチレン等の芳香族 ニル単量体;(メタ)アクリロニトリル等のシ ン化ビニル単量体が挙げられる。これらの ニル単量体は1種を単独で用いてもよく、2種 以上を併用してもよい。

 PTFE含有混合粉体(100質量%)中のPTFEの含有率 、10~90質量%が好ましく、20~80質量%がより好 しい。
 PTFE含有混合粉体としては、例えば、商品名 「メタブレンA-3000」、「同 A-3700」、「同 A- 3750」、「同 A-3800」(以上、三菱レイヨン(株) 製)が挙げられる。

 PTFEを併用する場合、本発明のPC樹脂組成物 おける流動性向上剤の含有率は0.1~30質量%、 PTFEの含有率は0.01~5質量%、PC樹脂の含有率は65 ~99.89質量%である。
 尚、PTFEとして、PTFE含有混合粉体を用いる 合には、PC樹脂組成物中のPTFEの含有率が0.01~ 5質量%となるように用いる。

 PC樹脂組成物(100質量%)中のPTFEの含有率の 限は、好ましくは0.05質量%以上であり、よ 好ましくは0.15質量%以上である。PC樹脂組成 (100質量%)中のPTFEの含有率の上限は、好まし くは0.5質量%以下であり、より好ましくは0.35 量%以下である。

 PC樹脂組成物(100質量%)中のPTFEの含有率が0.01 質量%以上であれば、成形加工時のフローマ クの発生を抑制することができる。
 PC樹脂組成物(100質量%)中のPTFEの含有率が5質 量%以下であれば、成形加工時の溶融流動性 低下させにくい。

 本発明のPC樹脂組成物は、PC樹脂、特に高 耐熱型のPC樹脂の優れた特性(耐熱性、機械的 特性等)を損なわない範囲で、具体的にはPC樹 脂100質量部に対して50質量部以下の範囲で、 の樹脂及びエラストマーを含有してもよい

 他の樹脂としては、例えば、ポリスチレ (PSt)、スチレン系ランダム共重合体(アクリ ニトリル-スチレン樹脂(AS樹脂)等)、スチレ と無水マレイン酸との交互共重合体、グラ ト共重合体(アクリロニトリル-ブタジエン- チレン樹脂(ABS樹脂)、アクリロニトリル-エ レンプロピレンゴム-スチレン樹脂(AES樹脂) アクリロニトリル-アクリレート-スチレン 脂(AAS樹脂)等)等のスチレン系樹脂;ポリエチ ンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレ タレート(PBT)、PET/PBT共重合体等のポリエス ル;ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、メタクリ 酸メチル共重合体等のアクリル系樹脂;ポリ プロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、エチレン- (メタ)アクリル酸共重合体等のオレフィン系 脂;ポリウレタン;シリコーン樹脂;6-ナイロ 、6,6-ナイロン等のポリアミド;ポリアリレー ト;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテル トン;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン リアミドイミド;ポリアセタールが挙げられ 。

 エラストマーとしては、例えば、イソブ レン-イソプレンゴム;ポリエステル系エラ トマー;スチレン-ブタジエンゴム、ポリスチ レン-ポリブタジエン-ポリスチレン(SBS)、ポ スチレン-ポリ(エチレン-ブチレン)-ポリスチ レン(SEBS)、ポリスチレン-ポリイソプレン-ポ スチレン(SIS)、ポリスチレン-ポリ(エチレン -プロピレン)-ポリスチレン(SEPS)等のスチレン 系エラストマー;エチレン-プロピレンゴム等 ポリオレフィン系エラストマー;ポリアミド 系エラストマー;アクリル系エラストマー;ジ ン系ゴム、アクリル系ゴム、シリコーン系 ム等を含有するグラフト共重合体;メタクリ ル酸メチル-アクリロニトリル-スチレン樹脂( MAS樹脂)が挙げられる。

 また、本発明のPC樹脂組成物は、必要に応 て、公知の紫外線吸収剤、光安定剤、酸化 止剤、熱安定剤等の各種安定剤、強化剤、 機フィラー、離型剤、帯電防止剤、ブルー ング剤、難燃剤等の添加剤を配合してもよ 。
 強化剤としては、例えば、ガラス繊維、炭 繊維、チタン酸カリウム繊維が挙げられる
 無機フィラーとしては、例えば、タルク、 イカ、炭酸カルシウムが挙げられる。

 本発明のPC樹脂組成物は、流動性向上剤、PC 樹脂、及び、必要に応じて、PTFE、他の樹脂 はエラストマー、添加剤を混合することに って調製することができる。
 各原料の配合は、一段階で実施してもよく 二段階以上に分けて実施してもよい。二段 に分けて実施する方法としては、例えば、P C樹脂の一部と他の原料を配合してマスター ッチを調製した後、このマスターバッチと りのPC樹脂とを配合する方法が挙げられる。
 混合の際には、タンブラー、V型ブレンダー 、スーパーミキサー、ナウターミキサー、バ ンバリーミキサー、混練ロール、押出機等を 用いることができる。

 本発明の成形体は、上記PC樹脂組成物が成 されて得られたものである。成形体は、PC樹 脂組成物を直接、又はPC樹脂組成物をペレッ 状に加工した後、各種成形方法により成形 ることにより得られる。
 成形方法としては、例えば、射出成形法、 出成形法、圧縮成形法、ブロー成形法、注 成形法等が挙げられるが、射出成形法が好 しい。

 本発明の成形体は、PC樹脂、特に高耐熱型 PC樹脂の優れた特性(耐熱性、機械的特性等) 有し、大型化、薄肉化、形状複雑化にも対 できることから、自動車部材、OA機器、情 ・通信機器、電気・電子機器、家庭電化機 等の様々な分野の部材として有用である。
 本発明の成形体は、自動車部材の分野にお ては、車両用灯具部品のエクステンション フレクタとしてとりわけ好適に用いられる 特に、本発明のPC樹脂組成物を成形して得 成形品は、アンダーコート層なしのダイレ ト蒸着によってエクステンションリフレク を得ることができるという利点を有する。

 本発明の成形体が使用される車両用灯具部 の一実施形態例について説明する。
 本実施形態例の車両用灯具部品は、図1に示 すような車両用前照灯10であって、ランプボ ィ11と、前面レンズ12と、ランプボディ11に 面レンズ12に向けて取り付けられた光源13と 、光源13から発した光を前面レンズ12に向け 反射させるリフレクタ14と、前面レンズ12に り付けられたエクステンションリフレクタ1 5とを備えている。
 リフレクタ14及びエクステンションリフレ タ15の表面には、アルミニウム等からなる反 射面が、アンダーコート層の上に蒸着されて いるか、あるいはアンダーコート層なしでダ イレクト蒸着されている。そのため、高い反 射率で光を反射できるようになっている。
 本実施形態例におけるエクステンションリ レクタ15は、上述したPC樹脂組成物が成形さ れたものであるため、耐熱性、機械的特性に 優れている。そのため、車両用灯具部品も耐 熱性、機械的特性に優れる。

 以下、実施例により本発明をさらに具体的 説明するが、本発明はこれら実施例に限定 れるものではない。
 なお、実施例及び比較例中の「部」及び「% 」は、それぞれ「質量部」及び「質量%」を す。
 また、以下の例における重合率、平均分子 は以下のように測定した。

(1)重合率
 以下の手順により、第2工程終了時の重合率 を測定した。
 (i)アルミニウム皿の質量(x)を0.1mgの単位ま 測定した。
 (ii)アルミニウム皿に重合体(X)のラテックス を約1g取り、重合体(X)のラテックスの入った ルミニウム皿の質量(y)を0.1mgの単位まで測 した。
 (iii)重合体(X)のラテックスの入ったアルミ ウム皿を180℃の乾燥機に入れ、45分間加熱し た。
 (iv)アルミニウム皿を乾燥機から取出し、デ シケーター内で室温まで冷却し、その質量(z) を0.1mgの単位まで測定した。
 (v)以下の式に基づいて、重合体(X)のラテッ スの固形分濃度(%)を算出した。
   固形分濃度(%)={(z-x)/(y-x)}×100
 (vi)重合体(X)を製造する際に仕込む全単量体 が重合した際の固形分濃度に対する(v)により 算出した固形分濃度の百分率(%)を、第2工程 了時の重合率とした。

(2)質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)
 ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて、下 装置及び測定条件にて、標準ポリスチレン よる検量線を用いて重合体(X)のMw,Mnを測定 た。
       カラム        :東ソー(株)製 T SK-GEL SUPER HZM-N
       測定温度      :40℃
       溶離液     :クロロホルム
       溶離液速度    :0.6ml/分
       検出器        :屈折率計(RI)

<実施例1>
 重合体(X-1)の製造
 温度計、窒素導入管、冷却管及び攪拌装置 備えたセパラブルフラスコに、下記の乳化 混合物を入れて攪拌し、窒素雰囲気下でセ ラブルフラスコの内温を60℃まで昇温させ 。
 乳化剤混合物:
       エマール20C(花王(株)製、アニオン 乳化剤) 5.0部
       イオン交換水                                              300部
 次いで、下記の還元剤混合物をセパラブル ラスコ内に添加した。
 還元剤混合物:
       硫酸第一鉄                                0.0001部
       エチレンジアミン四酢酸二ナトリ ム塩      0.0003部
       ロンガリット                                      0.3部
       イオン交換水                                        5部

 次いで、下記の単量体混合物(a)、連鎖移動 及び重合開始剤を混合し、得られた混合物 180分かけてセパラブルフラスコ内に滴下し 滴下終了後15分間攪拌した。これにより単 体混合物(a)を重合させた。
 単量体混合物(a):
       α-メチルスチレン                         10.0部
       スチレン                                   30.0部
       メタクリル酸フェニル                10.0部
 連鎖移動剤:
       n-オクチルメルカプタン                   0.25部
 重合開始剤:
   t-ブチルハイドロパーオキサイド      0.1部

 次いで、下記の単量体混合物(b)、連鎖移動 及び重合開始剤を混合し、得られた混合物 240分かけてセパラブルフラスコ内に滴下し 滴下終了後、内温を80℃まで昇温させ、60分 間攪拌して重合を終了した。重合率は100%で った。
 以上により、重合体(X-1)のラテックスを得 。
 単量体混合物(b):
       スチレン                                   20.0部
       メタクリル酸フェニル                30.0部
 連鎖移動剤:
       n-オクチルメルカプタン                   0.25部
 重合開始剤:
       t-ブチルハイドロパーオキサイド     0.1部

 セパラブルフラスコの内温を50℃まで冷却 、ペレックスSS-L(花王(株)製、アニオン系乳 剤)0.8部を添加し、イルガスタブ(IRGASTAB)MBS43 EM(チバ・ジャパン(株)製)6部を添加した。
 酢酸カルシウムを5部溶解した水溶液625部を 91℃に加熱し攪拌した。この中に、得られた 合体(X-1)のラテックスを徐々に滴下し、滴 終了後に95℃に加熱し、5分間保持して重合 (X-1)のラテックスを凝固させた。
 得られた凝固物を固液分離し、洗浄した後 75℃で24時間乾燥して、重合体(X-1)を得た。

 重合体(X-1)のMwは45000、Mnは16500、分子量分布 (Mw/Mn)は2.7であった。
 なお、上記で示した単量体組成の単位は「 」であるため、「%」に換算したものを表1 示す。

<実施例2>
 重合体(X-2)の製造
 単量体混合物(b)、連鎖移動剤及び重合開始 の組成を下記のように変更したこと以外は 実施例1と同様にして、重合体(X-2)を製造し 。
 単量体混合物(b):
       スチレン                                    20.0部
       メタクリル酸フェニル                29.75部
       メタクリル酸アリル                        0.25部
 連鎖移動剤:
       n-オクチルメルカプタン                   0.375部
 重合開始剤:
       t-ブチルハイドロパーオキサイド      0.1部

 重合体(X-2)を製造する際の重合率は100%、 合体(X-2)のMwは43000、Mnは16500、分子量分布(Mw /Mn)は2.6であった。

<実施例3>
 重合体(X-3)の製造
 温度計、窒素導入管、冷却管及び攪拌装置 備えたセパラブルフラスコに、下記の乳化 混合物を入れて攪拌し、窒素雰囲気下でセ ラブルフラスコの内温を60℃まで昇温させ 。
 乳化剤混合物:
 ペレックスSS-L(花王(株)製、アニオン系乳化 剤)  2.4部
 イオン交換水                                                  29 5部
 次いで、下記の還元剤混合物をセパラブル ラスコ内に添加した。
 還元剤混合物:
       硫酸第一鉄                                0.0001部
       エチレンジアミン四酢酸二ナトリ ム塩      0.0003部
       ロンガリット                                  0.3部
       イオン交換水                                        5部

 次いで、下記の単量体混合物(a)、連鎖移動 及び重合開始剤を混合し、得られた混合物 270分かけてセパラブルフラスコ内に滴下し 滴下終了後15分間攪拌した。これにより単 体混合物(a)を重合させた。
 単量体混合物(a):
       α-メチルスチレン                         15.0部
       スチレン                                   45.0部
       メタクリル酸フェニル                15.0部
 連鎖移動剤:
       n-オクチルメルカプタン                    0.4部
 重合開始剤:
       t-ブチルハイドロパーオキサイド    0.15部

 次いで、下記の単量体混合物(b)、連鎖移動 及び重合開始剤を混合し、得られた混合物 180分かけてセパラブルフラスコ内に滴下し 滴下終了後、内温を80℃まで昇温させ、60分 間攪拌して重合を終了した。
 単量体混合物(b):
       スチレン                                   10.0部
       メタクリル酸フェニル                14.875部
       メタクリル酸アリル                         0.125部
 連鎖移動剤:
       n-オクチルメルカプタン                    0.19部
 重合開始剤:
       t-ブチルハイドロパーオキサイド      0.05部

 これ以降の操作は、実施例1と同様にして、 重合体(X-3)を製造した。
 重合体(X-3)を製造する際の重合率は100%、重 体(X-3)のMwは45000、Mnは16500、分子量分布(Mw/Mn )は2.7であった。

<実施例4>
 重合体(X-4)の製造
 温度計、窒素導入管、冷却管及び攪拌装置 備えたセパラブルフラスコに、下記の乳化 混合物を入れて攪拌し、窒素雰囲気下でセ ラブルフラスコの内温を60℃まで昇温させ 。
 乳化剤混合物:
  ペレックスSS-L(花王(株)製、アニオン系乳 剤  2.4部
  イオン交換水                                                295
 次いで、下記の還元剤混合物をセパラブル ラスコ内に添加した。
 還元剤混合物:
       硫酸第一鉄                                0.0001部
       エチレンジアミン四酢酸二ナトリ ム塩      0.0003部
       ロンガリット                                      0.3部
       イオン交換水                                        5部

 次いで、下記の単量体混合物(a)、連鎖移動 及び重合開始剤を混合し、得られた混合物 270分かけてセパラブルフラスコ内に滴下し 滴下終了後30分間攪拌した。これにより単 体混合物(a)を重合させた。
 単量体混合物(a):
       α-メチルスチレン                         15.0部
       スチレン                                   45.0部
       メタクリル酸フェニル                 7.5部
       メタクリル酸メチル                         7.5部
 連鎖移動剤:
       n-オクチルメルカプタン                    0.4部
 重合開始剤:
       t-ブチルハイドロパーオキサイド    0.15部

 次いで、下記の単量体混合物(b)、連鎖移動 及び重合開始剤を混合し、得られた混合物 90分かけてセパラブルフラスコ内に滴下し 滴下終了後、内温を80℃まで昇温させ、60分 攪拌して重合を終了した。
 単量体混合物(b):
       スチレン                                   10.0部
       メタクリル酸フェニル                7.4375部
       メタクリル酸メチル                        7.4375部
       メタクリル酸アリル                         0.125部
 連鎖移動剤:
       n-オクチルメルカプタン                     0.19部
 重合開始剤:
       t-ブチルハイドロパーオキサイド      0.05部

 これ以降の操作は、実施例1と同様にして、 重合体(X-4)を製造した。
 重合体(X-4)を製造する際の重合率は100%、重 体(X-4)のMwは45000、Mnは16500、分子量分布(Mw/Mn )は2.7であった。

<比較例1>
 重合体(X’-5)の製造
 温度計、窒素導入管、冷却管及び攪拌装置 備えたセパラブルフラスコに、下記の乳化 混合物を入れて攪拌し、窒素雰囲気下でセ ラブルフラスコの内温を60℃まで昇温させ 。
 乳化剤混合物:
  ペレックスSS-L(花王(株)製、アニオン系乳 剤)2.4部
  イオン交換水                                            295部
 次いで、下記の還元剤混合物をセパラブル ラスコ内に添加した。
 還元剤混合物:
       硫酸第一鉄                                0.0001部
       エチレンジアミン四酢酸二ナトリ ム塩      0.0003部
       ロンガリット                                  0.3部
       イオン交換水                                        5部

 次いで、下記の単量体混合物(b)、連鎖移動 及び重合開始剤を混合し、得られた混合物 180分かけてセパラブルフラスコ内に滴下し 滴下終了後、内温を80℃まで昇温させ、60分 間攪拌して重合を終了した。
 単量体混合物(b):
      スチレン                                   60.0部
       メタクリル酸フェニル                40.0部
 連鎖移動剤:
       n-オクチルメルカプタン                   0.5部
 重合開始剤:
       t-ブチルハイドロパーオキサイド     0.2部

 これ以降の操作は、実施例1と同様にして、 重合体(X’-5)を製造した。
 重合体(X’-5)を製造する際の重合率は100%、 合体(X’-5)のMwは50000、Mnは25000、分子量分布 (Mw/Mn)は2.0であった。

<比較例2>
 重合体(X’-6)の製造
 温度計、窒素導入管、冷却管及び攪拌装置 備えたセパラブルフラスコに、下記の乳化 混合物を入れて攪拌し、窒素雰囲気下でセ ラブルフラスコの内温を60℃まで昇温させ 。
 乳化剤混合物:
  ペレックスSS-L(花王(株)製、アニオン系乳 剤)  2.4部
  イオン交換水                                                295
 次いで、下記の還元剤混合物をセパラブル ラスコ内に添加した。
 還元剤混合物:
      硫酸第一鉄                                0.0001部
       エチレンジアミン四酢酸二ナトリ ム塩      0.0003部
     ロンガリット                                      0.3部
       イオン交換水                                        5部

 次いで、下記の単量体混合物(a)、連鎖移動 及び重合開始剤を混合し、得られた混合物 180分かけてセパラブルフラスコ内に滴下し 滴下終了後、内温を80℃まで昇温させ、60分 間攪拌して重合を終了した。
 単量体混合物(a):
      α-メチルスチレン                         20.0部
       スチレン                                   60.0部
      メタクリル酸フェニル                20.0部
 連鎖移動剤:
      n-オクチルメルカプタン                   0.5部
 重合開始剤:
      t-ブチルハイドロパーオキサイド     0.2部

 これ以降の操作は、実施例1と同様にして、 重合体(X’-6)を製造した。
 重合体(X’-6)を製造する際の重合率は94%、 合体(X’-6)のMwは50000、Mnは25000、分子量分布( Mw/Mn)は2.0であった。

<実施例5~9、比較例3~5>
 重合体(X-1)~(X’-6)を流動性向上剤として用 、表2に示す割合で、高耐熱型のPC樹脂(アペ ク1800:バイエル(株)製)、PTFE含有混合粉体(メ タブレンA-3750:三菱レイヨン(株)製、PTFE含有 50%)と配合した。
 さらに、イルガノックスHP2921(チバ・ジャパ ン(株)製)を0.1部添加し、2軸押出機(TEM-35、東 機械(株)製)に供給し、320℃で溶融混練してP C樹脂組成物を得た。

 実施例5~9及び比較例3~5で得られたPC樹脂 成物を用いて、以下の評価を行なった。評 結果を表2に示す。

(溶融流動性)
 PC樹脂組成物のスパイラルフロー長さ(SPL)を 、射出成形機(IS-100、東芝機械(株)製)を用い 測定した。
 なお、成形条件としては、成形温度を320℃ 金型温度を80℃及び射出圧力を50MPaとし、得 られる成形体の肉厚を2mm及び幅を15mmとした

(滞留劣化)
 PC樹脂組成物の滞留劣化を以下の方法で評 した。
 射出成形機(IS-100、東芝機械(株)製)のシリン ダー内にPC樹脂組成物を320℃で20分間滞留さ た後にSPLを測定し、滞留劣化の程度を以下 示す評価基準で評価した。なお、SPLの測定 おける成形条件は、溶融流動性の場合と同 とした。
  A:滞留後のSPLが、溶融流動性の評価におけ るSPLに対して10%以下の変化率である。
  B:滞留後のSPLが、溶融流動性の評価におけ るSPLに対して10%を超える変化率である。
 なお、滞留劣化は耐熱性の指標になる。

(耐表層剥離性)
 溶融流動性と同じ条件で成形した成形体の き出しピン跡にカッターで切り込みを入れ 表層の剥離状態を目視観察した。以下に示 評価基準で評価した。
  A:表層剥離が見られなかった。
  B:表層剥離が見られた。
 なお、耐表層剥離性は相溶性の指標になる

(シルバーストリーク)
 射出成形機(IS-100、東芝機械(株)製)を用いて PC樹脂組成物を成形し、長さ100mm×幅50mm×厚さ 2mmの成形体を得た。成形体の外観を目視観察 し、以下に示す基準で評価した。
  A:シルバーストリークが見られず外観が良 好である。
  B:シルバーストリークが見られる。

(成形体の膨れ)
 射出成形機(IS-100、東芝機械(株)製)を用いて PC樹脂組成物を成形し、長さ100mm×幅50mm×厚さ 2mmの成形体を得た。得られた成形体を160℃で 24時間保管した後、成形体の外観を目視観察 、以下に示す基準で評価した。
  A:膨れがなく外観が良好
  B:膨れや表層剥離が観察される

(荷重たわみ温度)
 成形体の耐熱性を、下記条件で測定した荷 たわみ温度により評価した。
 射出成形機(IS-100、東芝機械(株)製)を用いて PC樹脂組成物を成形し、長さ80mm×幅10mm×厚さ4 mmの成形体を得た。得られた成形体を150℃で2 時間アニール処理し、評価に用いた。荷重た わみ温度はISO75-2に準拠して測定し、荷重は1. 82MPaとした。

(曲げ試験)
 射出成形機(IS-100、東芝機械(株)製)を用いて PC樹脂組成物を成形し、長さ80mm×幅10mm×厚さ4 mmの成形体を得た。曲げ試験はISO178に準拠し 測定し、曲げ速度は2mm/分とした。

(シャルピー衝撃試験)
 射出成形機(IS-100、東芝機械(株)製)を用いて PC樹脂組成物を成形し、長さ80mm×幅10mm×厚さ4 mmの成形体を得た。シャルピー衝撃試験はISO1 79-1に準拠し、ISO2818に準拠したTypeAのノッチ 刻んで測定した。

 表2から明らかなように、本発明の流動性向 上剤である重合体(X-1)~(X-4)を含有する実施例5 ~9のPC樹脂組成物では、高耐熱型のPC樹脂の耐 熱性及び機械的特性を損なうことなく、成形 加工時の溶融流動性が向上し、しかも成形体 の外観に優れることが確認された。
 α-メチルスチレンを含有しない単量体混合 を重合して得た重合体(X’-5)を含有する比 例3のPC樹脂組成物では、成形体の表層剥離 び膨れが見られ、しかも耐熱性が不十分で った。
 単量体混合物(a)のみを重合し、その後の単 体混合物(b)の重合を行なわずに得た重合体( X’-6)を含有する比較例4のPC樹脂組成物では 成形加工時にシルバーストリークが発生し 成形体の外観が不良となった。
 本発明の流動性向上剤を含有していない比 例5の樹脂組成物は、成形加工時の溶融流動 性が低く、成形加工が困難であった。

 実施例6及び9で得られたPC樹脂組成物を用 いて、以下の評価を行なった。評価結果を表 3、図2及び3に示す。

(フローマーク)
 射出成形機(AUTOSHOT TSERIES 150D、ファナック( 株)製)を用い、以下の条件で射出成形して成 体を得た。
 成形体を目視観察して、フローマーク(成形 体のゲートから同心円状に現れる模様)の発 の有無を確認し、その出現比率を求めた。
  金型  :150mm×150mm平板、ファンゲート、t=1 .0mm及び1.5mm
  金型温度:120℃
  成形温度:320℃
  成形速度:t=1.0mmのとき 30、40、50、60、80、 120mm/秒
       t=1.5mmのとき 30、45、60、80、120mm/

 表3、図2及び3から明らかなように、PTFE含 有混合粉体を配合した実施例9の樹脂組成物 、PTFE含有混合粉体を配合しなかった実施例6 の樹脂組成物に比較して、フローマークの出 現比率が低かった。PTFE含有混合粉体を配合 た樹脂組成物は、射出速度が速くなっても フローマークが発生しにくく、成形加工性 優れることが確認された。

 本発明のPC樹脂用流動性向上剤によれば、PC 樹脂、特に高耐熱型のPC樹脂の優れた特性(耐 熱性、機械的特性等)を損なうことがないた 、成形加工時における溶融流動性の向上を 現できる。
 本発明のPC樹脂組成物は、成形加工時の溶 流動性に優れ、PC樹脂、特に高耐熱型のPC樹 の優れた特性(耐熱性、機械的特性等)を有 る成形体を得ることができる。
 本発明の成形体は、PC樹脂、特に高耐熱型 PC樹脂の優れた特性(耐熱性、機械的特性等) 有し、特に、車両用灯具部品およびエクス ンションリフレクタとして有用である。