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Patent Searching and Data


Title:
FLUORESCENT PROBE SPECIFIC TO HYDROGEN PEROXIDE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/110487
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a compound represented by formula (IA) or (IB) [wherein R1 represents an electron-withdrawing substituent; R2 and R3 independently represent a hydrogen atom or a halogen atom; R4 and R5 independently represent a hydrogen atom, an alkylcarbonyl group or an alkylcarbonyloxymethyl group; and R6 represents a hydrogen atom or an alkyl group] or a salt thereof. Also disclosed is a reagent for measuring hydrogen peroxide, which comprises the compound or the salt thereof. (IA) (IB)

Inventors:
NAGANO TETSUO (JP)
URANO YASUTERU (JP)
ABO MASAHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/054017
Publication Date:
September 11, 2009
Filing Date:
March 04, 2009
Export Citation:
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Assignee:
UNIV TOKYO (JP)
NAGANO TETSUO (JP)
URANO YASUTERU (JP)
ABO MASAHIRO (JP)
International Classes:
C07D311/82; G01N31/00; G01N31/22
Domestic Patent References:
WO2001064664A12001-09-07
Foreign References:
JP2005047898A2005-02-24
JPS6115864A1986-01-23
Other References:
NOBUAKI SOH: "Recent advances in fluorescent probes for the detection of reactive oxygen species", ANAL BIOANAL CHEM, vol. 386, 2006, pages 532 - 543
H. W. YUROW ET AL.: "Structure- chemiluminescence correlations for various organic compounds with luminol-peroxide", ANALYTICA CHIMICA ACTA, vol. 88, no. 2, 1977, pages 389 - 394
"Abstracts of 128th Annual Meeting of Pharmaceutical Society of Japan", 5 March 2008, pages: 11
BIOPHYSICS, vol. 48, no. 1, 25 October 2008 (2008-10-25), pages S177
Attorney, Agent or Firm:
SIKs & Co. (JP)
Patent business corporation patent firm Sykes (JP)
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Claims:
下記の一般式(IA)又は(IB):
(式中、R 1 はベンゼン環上に存在する1個又は2個以上の電子吸引性置換基を示し、R 2 及びR 3 はそれぞれ独立に水素原子又はハロゲン原子を示し;R 4 及びR 5 はそれぞれ独立に水素原子、アルキルカルボニル基、又はアルキルカルボニルオキシメチル基を示し、R 6 は水素原子又はアルキル基を示す〕で表される化合物又はその塩。
R 1 がベンゼン環上の1個のシアノ基、ハロゲン原子、カルボキシ基、又はスルホ基であり、R 2 及びR 3 が水素原子であり、R 4 及びR 5 が水素原子であり、R 6 が水素原子である請求項1に記載の化合物又はその塩。
キサンテン環に結合するベンゼン環において、R 1 が置換するフェニル基が結合するジカルボニル基の結合位置がキサンテン環に対してパラ位である請求項1に記載の化合物又はその塩。
請求項1に記載の一般式(IA)又は(IB)で表される化合物又はその塩を含む過酸化水素測定用試薬。
過酸化水素の測定方法であって、下記の工程:(A)請求項4に記載の試薬と過酸化水素とを反応させる工程、及び(B)上記工程(A)で生成した上記試薬由来の分解物の蛍光を測定する工程を含む方法。
Description:
過酸化水素特異的蛍光プローブ

 本発明は過酸化水素に特異的に反応する 光プローブに関する。

 過酸化水素は古くから生体の障害因子とし 知られている。もっとも、近年ではスーパ オキサイドや過酸化水素といった比較的酸 力の弱い活性酸素種は生体のシグナル伝達 子として利用されていると考えられている 過酸化水素の生体内挙動を可視化するため 過酸化水素を特異的に可視化する手段が求 られているが、従来、過酸化水素を含む活 酸素種に反応する蛍光プローブは知られて るものの(特許文献1)、過酸化水素に対して 異的に反応し、その他の活性酸素種には実 的に反応しない蛍光プローブは開発されて ない。

特開2004-200921号公報

 本発明の課題は過酸化水素に特異的に反 する蛍光プローブを提供することにある。

 本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意 究を行った結果、下記の一般式(I)で表され 化合物が過酸化水素と反応して大幅な蛍光 度の増大を示す一方、その他の活性酸素種( ヒドロキシルラジカル、パーオキシナイトラ イト、次亜塩素酸イオン、スーパーオキサイ ド、一酸化窒素、一重項酸素)に対しては実 的に反応性を有しておらず、蛍光強度の増 を示さないことを見出した。本発明は上記 知見を基にして完成された。
 すなわち、本発明により、下記の一般式(IA) 又は(IB):
(式中、R 1 はベンゼン環上に存在する1個又は2個以上の 子吸引性置換基を示し、R 2 及びR 3 はそれぞれ独立に水素原子又はハロゲン原子 を示し;R 4 及びR 5 はそれぞれ独立に水素原子、アルキルカルボ ニル基、又はアルキルカルボニルオキシメチ ル基を示し、R 6 は水素原子又はアルキル基を示す〕で表され る化合物又はその塩が提供される。

 上記発明の好ましい態様によれば、R 1 がベンゼン環上の1個のシアノ基、ハロゲン 子、カルボキシ基、又はスルホ基であり、R 2 及びR 3 が水素原子であり、R 4 及びR 5 が水素原子であり、R 6 が水素原子である化合物又はその塩;キサン ン環に結合するベンゼン環において、R 1 が置換するフェニル基が結合するジカルボニ ル基の結合位置がキサンテン環に対してパラ 位である上記の化合物又はその塩が提供され る。

 別の観点からは、本発明により、上記の 般式(IA)又は(IB)で表される化合物又はその を含む過酸化水素測定用試薬が提供される この試薬は過酸化水素特異的蛍光プローブ して有用である。

 さらに別の観点からは、本発明により、 酸化水素の測定方法であって、下記の工程: (A)上記の試薬と過酸化水素とを反応させる工 程、及び(B)上記工程(A)で生成した上記試薬由 来の分解物の蛍光を測定する工程を含む方法 が提供される。

 本発明により提供される過酸化水素測定 試薬は、種々の活性酸素のなかで過酸化水 に対して特異的に反応して強い蛍光を発す 性質を有しており、過酸化水素を高い感度 特異的に測定することができるという優れ 特徴を有している。

本発明の過酸化水素測定用試薬の特性を示し た図である。(A) 化合物5(1μM)に過酸化水素 ( H 2 O 2 )(100μM)を添加した場合の蛍光スペクトル(励 波長490 nm)の時間変化;(B) 化合物5(1μM)に過 化水素(100μM、30分間)、ヒドロキシルラジカ (hydroxylradical)(10μM)、パーオキシナイトライ (peroxynitrite)(10μM)、次亜塩素酸イオン(hypochlo rite) (10μM)、一酸化窒素発生剤のNOC13 (100μM)  一重項酸素発生剤の3-(1,4-ジヒドロ-1,4-エ ジオキシ-1-ナフチル)プロピオン酸(EP-1) (100 M)を添加した場合の520 nm(励起波長490 nm)に ける相対蛍光強度;(C) 化合物5(10μM)に対して ヒポキサンチン/キサンチンオキシダーゼ(HPX/ xanthine oxidase(X.O.))系を用いてスーパーオキサ イド (10μM)を反応させた場合の520 nm(励起波 490 nm)における相対蛍光強度を示す。 RAW264.7細胞のイメージング像を示した である。A)刺激なし;B) リポポリサッカライ (LPS)およびインターフェロン-γ(IFN-γ)で刺激 あり、について励起波長470-495 nm、蛍光波長5 10-550 nmでの蛍光イメージング結果を示す。

 R 1 はベンゼン環上に存在する1個又は2個以上、 ましくは1個の電子吸引性置換基を示す。電 子吸引性置換基の種類は特に限定されないが 、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素 子、臭素原子、又はヨウ素原子)、シアノ基 カルボキシ基、スルホ基などが例示される これらに限定されることはない。R 1 としては例えばシアノ基が好ましい。R 1 はベンゼン環上に1個又は2個以上存在するこ ができ、2個以上存在する場合には、それら は同一でも異なっていてもよい。R 1 の結合位置は特に限定されないが、1個の場 にはジカルボニル基に対してパラ位である とが好ましい。また、R 1 の電子吸引性を損なわない限り、R 1 が置換するベンゼン環上にはR 1 以外の置換基(例えばメチル基などの電子供 性置換基)が1個又は2個以上存在していても い。R 1 が1個のシアノ基であり、ジカルボニル基に してパラ位に結合することが好ましい。こ 場合において該ベンゼン環上にはR 1 以外の置換基が存在しないことが好ましい。

 R 2 及びR 3 はそれぞれ独立に水素原子又はハロゲン原子 を示すが、R 2 及びR 3 は水素原子であることが好ましい。R 4 及びR 5 はそれぞれ独立に水素原子、アルキルカルボ ニル基、又はアルキルカルボニルオキシメチ ル基を示す。アルキルカルボニル基又はアル キルカルボニルオキシメチル基のアルキル部 分としては直鎖状又は分枝鎖状のC 1-6 アルキル基が好ましい。R 4 及びR 5 は水素原子であることが好ましい。R 6 は水素原子又はアルキル基を示す。アルキル 部分としては直鎖状又は分枝鎖状のC 1-6 アルキル基が好ましい。R 6 としては水素原子が好ましい。

 キサンテン環に結合するベンゼン環におい 、R 1 が置換するフェニル基が結合するジカルボニ ル基の結合位置は特に限定されないが、キサ ンテン環に対してパラ位であることが好まし い。

 上記一般式(IA)又は(IB)で表される本発明 化合物は酸付加塩又は塩基付加塩として存 することができる。酸付加塩としては、例 ば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩などの鉱酸塩 又はメタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホ ン酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩 などの有機酸塩などを挙げることができ、塩 基付加塩としては、ナトリウム塩、カリウム 塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などの金 属塩、アンモニウム塩、又はトリエチルアミ ン塩などの有機アミン塩などを挙げることが できる。これらのほか、グリシンなどのアミ ノ酸との塩を形成する場合もある。本発明の 化合物又はその塩は水和物又は溶媒和物とし て存在する場合もあるが、これらの物質はい ずれも本発明の範囲に包含される。

 上記一般式(IA)又は(IB)で表される本発明の 合物は、置換基の種類により、1個又は2個以 上の不斉炭素を有する場合があるが、1個又 2個以上の不斉炭素に基づく光学活性体や2個 以上の不斉炭素に基づくジアステレオ異性体 などの立体異性体のほか、立体異性体の任意 の混合物、ラセミ体などは、いずれも本発明 の範囲に包含される。また、R 6 が水素原子の場合にはカルボキシ基がラクト ンを形成する場合もあるが、本発明の範囲に はこのような構造異性体も包含される。なお 、一般式(IA)においてR 4 が水素原子である化合物と一般式(IB)におい R 6 が水素原子である化合物は互変異性体に相当 しているが、このような互変異性体の存在は 当業者に容易に理解されることであり、いず れの互変異性体も本発明の範囲に包含される 。

 本発明の化合物の代表的化合物の製造方 を本明細書の実施例に詳細かつ具体的に示 た。当業者は、本実施例の説明を基にして 応原料、反応条件、及び反応試薬などを適 選択し、必要に応じてこれらの方法に修飾 改変を加えることによって、上記一般式で される本発明の化合物をいずれも製造する とができる。なお、原料化合物として用い ことができる4-アミノフルオレセインなど フルオレセイン誘導体は、例えば、亀谷哲 著、有機合成化学IX、南江堂、215頁(1977年)等 に記載の方法に準じて製造できる。

 本明細書において用いられる「測定」と う用語は、定量、定性、又は診断などの目 で行われる測定、検査、検出などを含めて 最も広義に解釈しなければならない。本発 による過酸化水素の測定方法は、一般的に 、(A)上記の試薬と過酸化水素とを反応させ 工程、及び(B)上記工程(A)で生成した上記試 由来の分解物の蛍光を測定する工程を含ん いる。上記一般式(IA)又は(IB)で表される化 物はそれ自体が無蛍光性又は弱蛍光性であ が、過酸化水素と接触すると過酸化水素の 用により分解して強蛍光性の5-カルボキシフ ルオレセインを生成する。

 本発明の過酸化水素測定用試薬は、種々 活性酸素種、すなわちヒドロキシルラジカ 、パーオキシナイトライト、次亜塩素酸イ ン、一酸化窒素、過酸化水素、スーパーオ サイドアニオン、及び一重項酸素などのう 、過酸化水素に特異的に反応する性質を有 ており、過酸化水素を特異的に測定可能な 薬である。

 本発明の試薬を用いた蛍光測定手段は特 限定されないが、イン・ビトロで蛍光スペ トルを測定する方法や、バイオイメージン の手法を用いてイン・ビボで蛍光スペクト を測定する方法などを採用することができ 。例えば、定量を行う場合には、常法に従 て予め検量線を作成しておくことが望まし 。本発明の試薬はマイクロインジェクショ 法等により細胞内に取り込ませれば、個々 細胞内に局在する過酸化水素をバイオイメ ジング手法により高感度にリアルタイムで 定することができるほか、細胞培養液又は 織切片等の培養液又は灌流液中に用いるこ で細胞や生体組織が放出する過酸化水素を 定できる。すなわち、本発明の試薬を用い ことにより、細胞又は生体組織での過酸化 素の挙動をリアルタイムに測定することが 能であり、疾患病態の原因究明、治療薬の 発などに好適に利用できる。

 本発明の試薬は、必要に応じて試薬の調 に通常用いられる添加剤を配合して組成物 して用いてもよい。例えば、生理的環境で 薬を用いるための添加剤として、溶解補助 、pH調節剤、緩衝剤、等張化剤などの添加 を用いることができ、これらの配合量は当 者に適宜選択可能である。これらの組成物 、粉末形態の混合物、凍結乾燥物、顆粒剤 錠剤、液剤など適宜の形態の組成物として 供される。

 以下、実施例により本発明をさらに具体的 説明するが、本発明の範囲は下記の実施例 限定されることはない。
例1

(1) 5-(4-Cyanophenylethynyl)fluorescein diacetate (4)の 成
 化合物3をJ. Org. Chem., 2003, 68, 8264-8267を参 照して合成した。280 mg (0.516mmol)の化合物3、 80 mg (0.629 mmol)の4-エチニルベンゾニトリル 22.8 mg (0.0325 mmol)のジクロロビス(トリフェ ニルホスフィン)パラジウムおよび28.4 mg (0.1 49 mmol)のヨウ化銅を20 mlのテトラヒドロフラ ン (THF)に懸濁し、これに0.27 ml (1.95 mmol)の リエチルアミンを加え、反応液をアルゴン 囲気下室温で12時間攪拌した。溶媒を減圧 去し、得られた固体をシリカゲルカラムク マトグラフィーで精製し、目的化合物216 mg (0.399 mmol;収率 74%)を得た。

(2) 5-(4-Cyanobenzoyl)carbonylfluorescein (5)の合成
 72.4 mg (0.137 mmol)の化合物4を1 mlのジメチ スルホキシド (DMSO)に溶解させ、そこに4.37  mg (0.0246 mmol)の塩化パラジウムを加え、反応 液をアルゴン雰囲気下100℃で10時間攪拌した 反応液を室温まで冷却した後、10 mlのメタ ールと100 mgの炭酸カリウムを加え、室温で 30分間攪拌した。反応液中のメタノールを減 留去し、2N 塩酸を加えて中和してから分取 HPLCにより精製し、目的物32.0 mg (0.0654 mmol; 率 48%)を得た。
1 H NMR (300MHz, DMSO-d 6 ) δ 10.1 (s, 1H), 8.50 (m, 1H), 8.37 (d, 1H, J  = 8.07 Hz), 8.20 (d, 2H, J = 8.25 Hz), 8.10 (d,  2H, J = 8.07 Hz), 7.51 (d, 1H, J = 8.04 Hz), 6.6 9 (d, 2H, J = 1.65 Hz), 6.63 (d, 2H, J = 8.61 H z), 6.54 (dd, 2H, J = 8.79, 1.65 Hz)
13 C NMR (100MHz, DMSO-d 6 ) δ 191.2, 190.7, 167.5, 159.8, 157.8, 151.8, 136.7 , 135.5, 133.8, 133.0, 130.8, 129.3, 127.0, 125.1, 1 18.0, 116.8, 112.8, 108.5, 102.3
HRMS (ESI-) Calcd for [M-H], 488.07703, Found, 488.07 359 (-3.43mmu)

例2
 化合物5はキサンテン環からベンジル構造へ のPhoto-induced electron Transfer (PeT)機構により 光し、それ自体は弱蛍光性である。一方、 酸化水素との反応により強蛍光性の5-カルボ キシフルオレセインを生成する。

 図1(A)には化合物5(1μM)に過酸化水素 (100μ M)を添加した場合の蛍光スペクトル(励起波長 490 nm)の時間変化(5、15、30、60分後)を示した (B)には、化合物5(1μM)に過酸化水素(100μM、30 分間)、ヒドロキシルラジカル(10μM)、パーオ シナイトライト(10μM)、次亜塩素酸イオン ( 10μM)、一酸化窒素発生剤のNOC13 (100μM)、一重 項酸素発生剤のEP-1 (3-(1,4-ジヒドロ-1,4-エピ オキシ-1-ナフチル)プロピオン酸)(100μM)を添 した場合の520 nm(励起波長490 nm)における相 対蛍光強度を示した。なお、ヒドロキシルラ ジカル(10μM)の試験系への添加は、化合物5溶 に過酸化水素(10μM)の添加後、直ちに過塩素 酸鉄(II)の精製水溶液(10μM)を添加し、フェン ン反応によりヒドロキシルラジカルを発生 せる方法で行った。(C)には化合物5(10μM)に して キサンチンオキシダーゼ(xanthine oxidase (x.o.))(2.38 mUnit/L)及びヒポキサンチン(HPX)10μM 加えたヒポキサンチン/キサンチンオキシダ ーゼ(HPX/x.o.)系を用いてスーパーオキサイド  (10μM)を反応させた場合、該HPX/x.o.系にさらに スーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)(60 Un it/L)を共存させた場合、また該HPX/x.o.系にお てSODの代わりにカタラーゼ(100 Unit/L)を共存 せた場合、のそれぞれについて520 nm(励起 長490 nm)における相対蛍光強度を示した。

(A) 化合物5に過酸化水素を添加した場合、経 時的に蛍光強度の増大が観察された。
(B) 化合物5に過酸化水素、ヒドロキシルラジ カル(hydroxylradical)、パーオキシナイトライト( peroxynitrite)、次亜塩素酸イオン(hypochlorite) 、 NOC13 、EP-1をそれぞれ添加した場合を比較す と、過酸化水素を添加した場合にのみ蛍光 度の増大が観察され、その他の活性酸素種 は蛍光強度の増大を示さないことが確認さ た。
(C) 化合物5に対してHPX/x.o.系を用いてスーパ オキサイド を反応させた場合、コントロ ル(Hnon)に対して蛍光強度は増大した。HPX/x.o. 系にSODを添加しても蛍光強度の増大の程度に 大きな変動はなかった。一方、カタラーゼ添 加により蛍光強度の増大が抑制されコントロ ール(Hnon)付近まで低下した。これより、HPX/x. o.系で観察される蛍光強度の増大はスーパー キサイドの不均化反応産物である過酸化水 によるものであると考えられた。以上の成 より、本発明の化合物5は、過酸化水素特異 的蛍光プローブとしての性質を有しており、 過酸化水素測定用試薬として使用できると結 論された。また、HPX/x.o.系にカタラーゼを共 させた場合の成績より、本発明の化合物は カタラーゼの活性測定用としても使用でき ことが確認された。

例3
 化合物5は生細胞における過酸化水素の検出 にも適用できることを確認した。リポポリサ ッカライド(LPS)(50μg/ml)およびインターフェロ ン-γ(IFN-γ)(100 unit/ml)でRAW264.7細胞を12時間刺 した後、化合物5のジアセチル体を細胞にロ ードし、それから2時間後にオリンパス社製 U-MNIBA2フィルターセット(励起波長470-495 nm、 蛍光波長510-550nm)を用い蛍光顕微鏡観察した( 2)。刺激していない細胞に化合物5をロード た場合(A)に比べて、刺激を加えた細胞では 光強度の増大が観察された(B)。

 本発明により提供される過酸化水素測定 試薬は、種々の活性酸素のなかで過酸化水 に対して特異的に反応して強い蛍光を発す 性質を有しており、過酸化水素を高い感度 特異的に測定することができるので、過酸 水素の生体内挙動を可視化するために有用 ある。