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Title:
FLUORINE-CONTAINING ELASTOMER COMPOSITION, FLUORINE RUBBER MOLDED ARTICLE, METHOD FOR PRODUCING FLUORINE-CONTAINING ELASTOMER SOLUTION, AND METHOD FOR PRODUCING FLUORINE-CONTAINING ELASTOMER COMPOSITION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2020/175331
Kind Code:
A1
Abstract:
A fluorine-containing elastomer composition containing fibrous carbon nanostructures in a proportion of 0.1 mass part to less than 6 mass parts per 100 mass parts of fluorine-containing elastomer. The fibrous carbon nanostructures include single-walled carbon nanotube bundles which are bundles of fibrous carbon nanostructures including single-walled carbon nanotubes. The average diameter (DB) of the single-walled carbon nanotube bundles is 20 to 600 nm inclusive.

Inventors:
TAKEYAMA YOSHIHISA (JP)
YAMAGUCHI MINOBU (JP)
Application Number:
PCT/JP2020/006896
Publication Date:
September 03, 2020
Filing Date:
February 20, 2020
Export Citation:
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Assignee:
ZEON CORP (JP)
International Classes:
C08J3/20; C08J5/04; C08K3/04; C08K7/06; C08L27/12
Domestic Patent References:
WO2018225789A12018-12-13
WO2017175807A12017-10-12
Foreign References:
JP2011197596A2011-10-06
JP2013227694A2013-11-07
JP2016108476A2016-06-20
JP2008024800A2008-02-07
Attorney, Agent or Firm:
SUGIMURA Kenji (JP)
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Claims:
〇 2020/175331 31 卩(:171? 2020 /006896

請求の範囲

[請求項 1 ] 含フッ素エラストマーと、 単層力ーボンナノチューブを含む繊維状 炭素ナノ構造体と、 を含有する含フッ素エラストマー組成物であって 前記含フッ素エラストマー 1 〇〇質量部当たり、 前記繊維状炭素ナ ノ構造体を 0 . 1質量部以上 6質量部未満の割合で含有し、

前記繊維状炭素ナノ構造体は、 前記単層力ーボンナノチューブを含 む繊維状炭素ナノ構造体の束である単層力ーボンナノチューブ束を含 み、

前記単層力ーボンナノチューブ束の平均直径 (口 は、 2 0 n m 以上 6 0 0 n 以下である、 含フッ素エラストマー組成物。

[請求項 2] 前記単層力ーボンナノチューブ束の平均直径 (ロ の、 前記単層 力ーボンナノチューブを含む繊維状炭素ナノ構造体の平均直径 (八 V ) に対する比 が、 5以上 2 0 0以下である、 請求項 1 に記載の含フッ素エラストマー組成物。

[請求項 3] 前記単層力ーボンナノチューブを含む繊維状炭素ナノ構造体は、 吸 着等温線から得られる 1—プロッ トが上に凸な形状を示す、 請求項 1 または 2に記載の含フッ素エラストマー組成物。

[請求項 4] 前記単層力ーボンナノチューブを含む繊維状炭素ナノ構造体は、 巳 巳丁比表面積が 6 0 以上である、 請求項 1〜 3のいずれか

1項に記載の含フッ素エラストマー組成物。

[請求項 5] 架橋剤を更に含有する、 請求項 1〜 4のいずれか 1項に記載の含フ ッ素エラストマー組成物。

[請求項 6] 力ーボンブラックを更に含有する、 請求項 1〜 5のいずれか 1項に 記載の含フッ素エラストマー組成物。

[請求項 7] 請求項 1〜 6のいずれか 1項に記載の含フッ素エラストマー組成物 を成形してなる、 フッ素ゴム成形体。

[請求項 8] 含フッ素エラストマーと、 単層力ーボンナノチューブを含む繊維状 〇 2020/175331 32 卩(:171? 2020 /006896

炭素ナノ構造体と、 を含有する含フッ素エラストマー溶液の製造方法 であって、

前記含フッ素エラストマーと、 溶媒と、 前記単層力ーボンナノチュ —ブを含む繊維状炭素ナノ構造体とを、 分散メディアを用いて分散処 理することにより分散液を得る分散工程を含み、

前記分散液は、 前記含フッ素エラストマーが前記溶媒に溶解してな る含フッ素エラストマー溶解溶液中に前記単層力ーボンナノチューブ を含む繊維状炭素ナノ構造体が分散した分散液であるとともに、 前記分散液は、 前記単層力ーボンナノチューブを含む繊維状炭素ナ ノ構造体の束である単層力ーボンナノチューブ束を含み、 且つ、 前記 単層力ーボンナノチューブ束の平均直径 (口

0门 以下である、 含フッ素エラストマー溶液の製造方法。

[請求項 9] 前記分散工程は、 前記含フッ素エラストマーを前記溶媒に溶解させ て前記含フッ素エラストマー溶解溶液を得る第一のステップと、 前記含フッ素エラストマー溶解溶液及び前記単層力ーボンナノチュ —ブを含む繊維状単層ナノ構造体に対して前記分散処理を行う第二の ステップとを含む、 請求項 8に記載の含フッ素エラストマー溶液の製 造方法。

[請求項 10] 前記分散メディアは、 下記 (1) 及び (2) の少なくとも一方を満 たす、 請求項 8または 9に記載の含フッ素エラストマー溶液の製造方 法。

(1) 前記分散メディアのビッカース硬度が 6 0 0以上 1 5 0 0以下

(2) 前記分散メディアの充填率が 4 0体積%以上 7 0体積%以下

[請求項 1 1 ] 前記分散メディアの平均直径が 0 . 1 以下である、 請求項 8〜 1 0のいずれか 1項に記載の含フッ素エラストマー溶液の 製造方法。

[請求項 12] 含フッ素エラストマー組成物の製造方法であって、

請求項 8〜 1 1のいずれか 1項に記載の含フッ素エラストマー溶液 \¥0 2020/175331 33 卩(:17 2020 /006896

の製造方法により得られた含フッ素エラストマー溶液から前記溶媒を 除去する除去工程を含む、 含フッ素エラストマー組成物の製造方法。

Description:
\¥0 2020/175331 1 ?01/^2020/006896

明 細 書

発明の名称 :

含フッ素エラストマー組成物、 フッ素ゴム成形体、 含フッ素エラストマー 溶液の製造方法、 及び含フッ素エラストマー組成物の製造方法

技術分野

[0001 ] 本発明は、 含フッ素エラストマー組成物、 フッ素ゴム成形体、 含フッ素エ ラストマー溶液の製造方法、 及び含フッ素エラストマー組成物の製造方法 に 関するものである。

背景技術

[0002] フッ素ゴムは、 耐薬品性、 耐油性、 耐熱性などに優れることから、 自動車 工業、 半導体工業、 化学工業などの各種分野において広く用いら れている。

[0003] そして、 フッ素ゴムを含む材料として、 例えば特許文献 1では、 フッ素エ ラストマー (3元系フッ素ゴム) に対して、 所定の平均直径を有するカーボ ンナノチューブと、 所定の平均粒径及び口 巳吸収量 ( 法) を有するハイ ストラクチヤーカーボンブラックとをそれぞ れ所定の割合で含有することに より、 高価な力ーボンナノチューブの使用量を削減 してコスト競争力を高め ると共に、 力ーボンナノチューブを用いながら従来より もゴム硬度の調節が 容易な炭素繊維複合材料を提供している。

先行技術文献

特許文献

[0004] 特許文献 1 :特開 2 0 1 6 _ 1 0 8 4 7 6号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005] また近年では、 フッ素ゴムを含む材料を用いて形成したフッ 素ゴム成形体 は、 例えば 1 0 0 ° 〇を超える高温環境下において、 耐熱性だけではなく、 引 張強度と伸びとが共に高く、 両者のバランスがとれていることにより耐久 性 〇 2020/175331 2 卩(:171? 2020 /006896

にも優れていることが求められている。 しかし、 特許文献 1 に記載の炭素繊 維複合材料を用いて形成したフッ素ゴム成形 体は、 高温環境下において引張 強度と伸びとがトレードオフの関係にある。 そのため、 高温環境下における 引張強度が高く、 且つ、 伸びが高いフッ素ゴム成形体を形成し得る技 術が求 められていた。

[0006] そこで、 本発明は、 高温環境下における引張強度が高く、 且つ、 伸びが高 いフッ素ゴム成形体を形成し得る技術を提供 することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0007] 本発明者らは、 上記目的を達成するために鋭意検討を行った 。 そして、 本 発明者らは、 所定の平均直径 (口 を有する単層力ーボンナノチューブ束を 含む繊維状炭素ナノ構造体を含フッ素エラス トマーに対して所定の割合で含 有する組成物を用いれば、 高温環境下における引張強度及び伸びの双方 が高 いフッ素ゴム成形体を形成できることを見出 し、 本発明を完成させた。

[0008] 即ち、 この発明は、 上記課題を有利に解決することを目的とする ものであ り、 本発明の含フッ素エラストマー組成物は、 含フッ素エラストマーと、 単 層力ーボンナノチューブを含む繊維状炭素ナ ノ構造体と、 を含有する含フッ 素エラストマー組成物であって、 前記含フッ素エラストマー 1 0 0質量部当 たり、 前記繊維状炭素ナノ構造体を〇 . 1質量部以上 6質量部未満の割合で 含有し、 前記繊維状炭素ナノ構造体は、 前記単層力ーボンナノチューブを含 む繊維状炭素ナノ構造体の束である単層力ー ボンナノチューブ束を含み、 前 記単層力ーボンナノチューブ束の平均直径 (口 は、 2 0 n m以上 6 0 0 n 以下であることを特徴とする。 このように、 所定の平均直径 (口 を有す る単層力ーボンナノチューブ束を含む繊維状 炭素ナノ構造体を、 所定の割合 で含有させた含フッ素エラストマー組成物を 用いれば、 高温環境下における 引張強度が高く、 且つ、 伸びが高いフッ素ゴム成形体を形成すること ができ る。

なお、 本発明において、 「単層力ーボンナノチューブ束の平均直径 (口

」 は、 本明細書の実施例に記載の方法に従って測定 することができる。 〇 2020/175331 3 卩(:171? 2020 /006896

[0009] ここで、 本発明の含フッ素エラストマー組成物におい て、 前記単層カーボ ンナノチューブ束の平均直径 (ロ の、 前記単層力ーボンナノチューブを含 む繊維状炭素ナノ構造体の平均直径 (八 ) に対する比 (以下 、 「比 」 を、 「単層力ーボンナノチューブ束の平均直径 (口 8 ) の、 繊維状炭素ナノ構造体の平均直径 に対する比 」 と略 して記載する場合もある。 ) が、 5以上 2 0 0以下であることが好ましい。 単層力ーボンナノチューブ束の平均直径 (ロ の、 繊維状炭素ナノ構造体の 平均直径 (/^) に対する比 が 5以上 2 0 0以下であれば、 本 発明の含フッ素エラストマー組成物を用いて 形成したフッ素ゴム成形体にお いて、 高温環境下における高い引張強度及び高い伸 びのバランスを良好に保 つことができる。

なお、 本発明において、 「繊維状炭素ナノ構造体の平均直径 ( ) 」 は 、 透過型電子顕微鏡を用いて無作為に選択した 繊維状炭素ナノ構造体 1 〇〇 本の直径 (外径) を測定して求めることができる。

[0010] そして、 本発明の含フッ素エラストマー組成物におい て、 前記単層カーボ ンナノチューブを含む繊維状炭素ナノ構造体 は、 吸着等温線から得られる 1 —プロッ トが上に凸な形状を示すことが好ましい。 吸着等温線から得られる I—プロッ トが上に凸な形状を示す繊維状炭素ナノ構造 体を用いれば、 本発 明の含フッ素エラストマー組成物を用いて形 成したフッ素ゴム成形体の柔軟 性を向上させることができる。

[001 1 ] また、 本発明の含フッ素エラストマー組成物におい て、 前記単層力ーボン ナノチューブを含む繊維状炭素ナノ構造体は 、 巳巳丁比表面積が 6 0 0 2 / 9以上であることが好ましい。 単層力ーボンナノチューブを含む繊維状炭素 ナノ構造体の巳巳丁比表面積が 6 0 0〇1 2 / 9 以上であれば、 本発明の含フッ 素エラストマー組成物を用いて形成したフッ 素ゴム成形体の耐熱性を向上さ せることができる。

なお、 本発明において、 「巳巳丁比表面積」 とは、 巳巳丁法を用いて測定 した窒素吸着比表面積を指す。 〇 2020/175331 4 卩(:171? 2020 /006896

[0012] そして、 本発明の含フッ素エラストマー組成物は、 架橋剤を更に含有する ことができる。

[0013] 更に、 本発明の含フッ素エラストマー組成物は、 力ーボンブラックを更に 含有することが好ましい。 力ーボンブラックを更に含有させれば、 本発明の 含フッ素エラストマー組成物を用いて形成し たフッ素ゴム成形体において、 高温環境下での高い伸びを十分に確保しつつ 、 引張強度を向上させることが できる。

[0014] また、 この発明は、 上記課題を有利に解決することを目的とする ものであ り、 本発明のフッ素ゴム成形体は、 上述した含フッ素エラストマー組成物の いずれかを成形してなるフッ素ゴム成形体で あることを特徴とする。 上述し た含フッ素エラストマー組成物を成形してな るフッ素ゴム成形体は、 高温環 境下において、 引張強度が高く、 且つ、 伸びが高いため、 種々の用途に好適 に用いることができる。

[0015] 更に、 この発明は、 上記課題を有利に解決することを目的とする ものであ り、 本発明の含フッ素エラストマー溶液の製造方 法は、 含フッ素エラストマ 一と、 単層力ーボンナノチューブを含む繊維状炭素 ナノ構造体と、 を含有す る含フッ素エラストマー溶液の製造方法であ って、 前記含フッ素エラストマ 一と、 溶媒と、 前記単層力ーボンナノチューブを含む繊維状 炭素ナノ構造体 とを、 分散メディァを用いて分散処理することによ り分散液を得る分散工程 を含み、 前記分散液は、 前記含フッ素エラストマーが前記溶媒に溶解 してな る含フッ素エラストマー溶解溶液中に前記単 層力ーボンナノチューブを含む 繊維状炭素ナノ構造体が分散した分散液であ るとともに、 前記分散液は、 前 記単層力ーボンナノチューブを含む繊維状炭 素ナノ構造体の束である単層力 —ボンナノチューブ束を含み、 且つ、 前記単層力ーボンナノチューブ束の平 均直径 (口 8 ) 以下であることを特徴とする。 この ように、 含フッ素エラストマーと、 溶媒と、 単層力ーボンナノチューブを含 む繊維状炭素ナノ構造体とを、 分散メディァを用いて分散処理する分散工程 を含むことにより、 本発明の含フッ素エラストマー組成物を製造 する際に用 〇 2020/175331 5 卩(:171? 2020 /006896

い得る含フッ素エラストマー溶液を効率的 に製造することができる。

[0016] また、 本発明の含フッ素エラストマー溶液の製造方 法において、 前記分散 工程は、 前記含フッ素エラストマーを前記溶媒に溶解 させて前記含フッ素エ ラストマー溶解溶液を得る第一のステップと 、 前記含フッ素エラストマー溶 解溶液及び前記単層力ーボンナノチューブを 含む繊維状単層ナノ構造体に対 して前記分散処理を行う第二のステップとを 含むことが好ましい。 含フッ素 エラストマーを溶媒に溶解させて含フッ素エ ラストマー溶解溶液を得る第一 のステップと、 含フッ素エラストマー溶解溶液及び単層力ー ボンナノチュー ブを含む繊維状炭素ナノ構造体に対して分散 処理を行う第二のステップとを 含む分散工程とすることで、 含フッ素エラストマー溶液をより効率的に製 造 することができる。

[0017] 更に、 本発明の含フッ素エラストマー溶液の製造方 法において、 前記分散 メディアは、 下記 ( 1 ) 及び ( 2 ) の少なくとも一方を満たすことが好まし い。

( 1 ) 前記分散メディアのビッカース硬度が 6 0 0以上 1 5 0 0以下

( 2 ) 前記分散メディアの充填率が 4 0体積%以上 7 0体積%以下 分散工程において、 少なくとも分散メディアのビッカース硬度が 6 0〇以 上 1 5 0 0以下であるか、 または、 分散メディアの充填率が 4 0体積%以上 7 0体積%以下であれば、 含フッ素エラストマー溶液を更に効率的に製 造す ることができる。

なお、 本発明において、 「分散メディアのピッカース硬度」 及び 「分散メ ディアの充填率」 は、 本明細書の実施例に記載の方法に従って測定 すること ができる。

[0018] そして、 本発明の含フッ素エラストマー溶液の製造方 法において、 前記分 散メディアの平均直径が 0 . 1 以下であることが好ましい。 平均直径が〇. 1 以下の分散メディアを用いれば、 含フッ素 エラストマー溶液をより一層効率的に製造す ることができる。

なお、 本発明において、 「分散メディアの平均直径」 は、 本明細書の実施 〇 2020/175331 6 卩(:171? 2020 /006896

例に記載の方法に従って測定することがで きる。

[0019] また、 この発明は、 上記課題を有利に解決することを目的とする ものであ り、 本発明の含フッ素エラストマー組成物の製造 方法は、 上記いずれかの含 フッ素エラストマー溶液の製造方法により得 られた含フッ素エラストマー溶 液から前記溶媒を除去する除去工程を含むこ とを特徴とする。 このように、 本発明の含フッ素エラストマー溶液の製造方 法により得られた含フッ素エラ ストマー溶液から溶媒を除去する除去工程を 含むことにより、 高温環境下に おける引張強度が高く、 且つ、 伸びが高いフッ素ゴム成形体の製造に好適に 用い得る含フッ素エラストマー組成物を効率 的に製造することができる。 発明の効果

[0020] 本発明によれば、 高温環境下における引張強度が高く、 且つ、 伸びが高い フッ素ゴム成形体を形成可能な含フッ素エラ ストマー組成物と、 当該含フッ 素エラストマー組成物を用いたフッ素ゴム成 形体を提供することができる。 また、 本発明によれば、 高温環境下における引張強度が高く、 且つ、 伸び が高いフッ素ゴム成形体の製造に用い得る含 フッ素エラストマー溶液の製造 方法を提供することができる。

更に、 本発明によれば、 高温環境下における引張強度が高く、 且つ、 伸び が高いフッ素ゴム成形体を形成可能な含フッ 素エラストマー組成物の製造方 法を提供することができる。

発明を実施するための形態

[0021 ] 以下、 本発明の実施の形態について、 詳細に説明する。

ここで、 本発明の含フッ素エラストマー組成物は、 例えば、 本発明のフッ 素ゴム成形体を形成する際に用いることがで きる。 また、 本発明の含フッ素 エラストマー組成物は、 本発明の含フッ素エラストマー組成物の製造 方法を 用いて製造することができる。 そして、 本発明の含フッ素エラストマー組成 物の製造方法では、 本発明の含フッ素エラストマー溶液の製造方 法により得 られる含フッ素エラストマー溶液を用いて製 造することができる。

[0022] (含フッ素エラストマー組成物) 〇 2020/175331 7 卩(:171? 2020 /006896

本発明の含フッ素エラストマー組成物は、 含フッ素エラストマーと、 単層 力ーボンナノチューブを含む繊維状炭素ナノ 構造体とを含有し、 任意に、 架 橋剤や力ーボンブラックなどの添加剤を更に 含み得る。 そして、 本発明の含 フッ素エラストマー組成物では、 上記繊維状炭素ナノ構造体として、 所定の 平均直径 (口 を有する単層力ーボンナノチューブ束を含む 繊維状炭素ナノ 構造体を、 上記含フッ素エラストマーに対して所定の割 合で使用する。

[0023] <含フッ素エラストマー>

そして、 含フッ素エラストマーとしては、 特に限定されることなく、 既知 のフッ素ゴムを用いることができる。 具体的には、 含フッ素エラストマーと しては、 例えば、 フッ化ビニリデン系ゴム ( [<1\/1) 、 四フッ化エチレンー プロピレン系ゴム ( 巳 1\/1) 、 四フッ化エチレンーパーフルオロメチルビ ニルエーテル系ゴム ( [<1\/1) 、 テトラフルオロエチレン系ゴム (丁 巳 ) などが挙げられる。 これらは、 1種単独で使用してもよいし、 2種以上を 併用してもよい。

[0024] 上述した中でも、 含フッ素エラストマーとしては、 フッ化ビニリデン系ゴ ム ( [<1\/1) 、 四フッ化エチレンープロピレン系ゴム ( 巳 1\/1) が好まし く、 フッ化ビニリデン系ゴム ( [<1\/1) がより好ましい。

い。

[0025] ここで、 フッ化ビニリデン系ゴム ( [<1\/1) は、 フッ化ビニリデンを主成 分とし、 耐熱性、 耐油性、 耐薬品性、 耐溶剤性、 加工性などに優れるフッ素 ゴムである。 [<1\/1としては、 特に限定されないが、 例えば、 フッ化ビニリ デンとヘキサフルオロプロピレンとからなる 二元共重合体、 フッ化ビニリデ ンとヘキサフルオロプロピレンとテトラフル オロエチレンとからなる三元共 重合体、 フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレ ンとテトラフルオロエ チレンと加硫サイ トモノマーとからなる四元共重合体などが挙 げられる。 市 販品としては、 例えば、 ケマーズ株式会社の 「バイ トン (登録商標) 」 、 ダ イキンエ業株式会社の 「ダイエル (登録商標) ◦」 などが挙げられる。 中で もフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピ レンとテトラフルオロエチレン 〇 2020/175331 8 卩(:171? 2020 /006896

と加硫サイ トモノマーとからなる四元共重合体が好まし い。 当該四元共重合 体は、 例えば、 市販品 「バイ トン 〇巳 1_ _ 2 0 0 3」 (ケマーズ株式会社 製) として入手可能である。

なお、 本明細書において、 「フッ化ビニリデンを主成分」 とするとは、 フ ッ化ビニリデン系ゴム中に含まれるフッ化ビ ニリデン単位が 5 0質量%以上 、 好ましくは 5 0質量%超、 より好ましくは 1 0 0質量%であることをいう

[0026] また、 四フッ化エチレンープロピレン系ゴム ( 巳 IV!) は、 テトラフル オロエチレンとプロピレンとの交互共重合体 をベースとし、 耐熱性、 耐薬品 性、 耐極性溶剤性、 耐スチーム性などに優れるフッ素ゴムである 。 巳 1\/1 としては、 特に限定されないが、 例えば、 テトラフルオロエチレンとプロピ レンとからなる二元共重合体、 テトラフルオロエチレンとプロピレンとフッ 化ビニリデンとからなる三元共重合体、 テトラフルオロエチレンとプロピレ ンと架橋点モノマーとからなる三元共重合体 などが挙げられる。 テトラフル オロエチレンとプロピレンとからなる二元共 重合体の市販品としては、 例え ば、 八◦〇株式会社の 「アフラス (登録商標) 1 0 0」 及び 「アフラス 1 5 〇」 が挙げられる。 テトラフルオロエチレンとプロピレンとフッ 化ビニリデ ンとからなる三元共重合体の市販品としては 、 例えば、 0(3株式会社の 「 アフラス 2 0 0」 が挙げられる。 テトラフルオロエチレンとプロピレンと架 橋点モノマーとからなる三元共重合体の市販 品としては、 例えば、 八〇〇株 式会社の 「アフラス 3 0 0」 が挙げられる。

[0027] そして、 含フッ素エラストマー組成物中の含フッ素エ ラストマーの含有割 合は、 5 0質量%以上であることが好ましく、 6 0質量%以上であることが より好ましく、 7 0質量%以上であることが更に好ましく、 9 2質量%以下 であることが好ましく、 9 0質量%以下であることがより好ましく、 8 6質 量%以下であることが更に好ましい。 含フッ素エラストマー組成物中の含フ ッ素エラストマーの含有割合が上記範囲内で あれば、 含フッ素エラストマー 組成物を用いて形成したフッ素ゴム成形体に おいて、 含フッ素エラストマー 〇 2020/175331 9 卩(:171? 2020 /006896

の優れた効果が十分に発揮され得る。

[0028] <繊維状炭素ナノ構造体>

また、 繊維状炭素ナノ構造体としては、 例えば、 力ーボンナノチューブ ( 以下、 「〇1\1丁」 ともいう。 ) 等の円筒形状の炭素ナノ構造体や、 炭素の六 員環ネッ トワークが扁平筒状に形成されてなる炭素ナ ノ構造体等の非円筒形 状の炭素ナノ構造体が挙げられる。 そして、 本発明の含フッ素エラストマー 組成物では、 所定の平均直径 (口 8 ) を有する単層 0 丁束を含む繊維状炭素 ナノ構造体を、 含フッ素エラストマーに対して所定の割合で 使用する。

ここで、 上記単層〇1\1丁束は、 単層 0 丁を含む繊維状炭素ナノ構造体の 束であって、 具体的には、 単層〇1\1丁を含む繊維状炭素ナノ構造体が、 繊維 状炭素ナノ構造体間のファンデルワールスカ によって凝集して、 バンドル ( 束) 状に形成されたものである。

このように、 所定の平均直径 (口 8 ) を有する単層 0 丁束を含む繊維状炭 素ナノ構造体を含フッ素エラストマーに対し て所定の割合で使用することで 、 高温環境下における引張強度が高く、 且つ、 伸びが高いフッ素ゴム成形体 を形成可能な含フッ素ゴムエラストマー組成 物を得ることができる。

[0029] そして、 含フッ素エラストマー組成物中の繊維状炭素 ナノ構造体の含有割 合は、 含フッ素エラストマー 1 0 0質量部当たり、 〇. 1質量部以上である ことが必要であり、 1質量部以上であることが好ましく、 6質量部未満であ ることが必要であり、 5質量部以下であることが好ましい。 繊維状炭素ナノ 構造体の含有割合が含フッ素エラストマー 1 〇〇質量部当たり〇. 1質量部 以上であれば、 含フッ素エラストマー組成物を用いて形成し たフッ素ゴム成 形体において、 高温環境下における高い引張強度及び高い伸 びの双方を十分 に確保することができる。 また、 繊維状炭素ナノ構造体の含有割合が含フッ 素エラストマー 1 0 0質量部当たり 6質量部未満であれば、 本発明の含フッ 素エラストマー組成物を用いて形成したフッ 素ゴム成形体の伸びが悪化する ことを抑制することができる。

[0030] また、 繊維状炭素ナノ構造体に含まれる単層 0 丁束の平均直径 は 〇 2020/175331 10 卩(:171? 2020 /006896

、 2 0 01以上であることが必要であり、 5 0 01以上であることが好まし く、 1 0 0门 以上であることがより好ましく、 6 0 0 n 以下であること が必要であり、 5 0 0门 以下であることが好ましく、 4 0 0 n 以下であ ることがより好ましく、 3 0 0 n 以下であることが特に好ましい。 単層〇 1\1丁束の平均直径 が上記下限以上であれば、 本発明の含フッ素エラス トマー組成物を用いて形成したフッ素ゴムは 、 室温での良好な伸びを発揮す る。 また、 単層〇1\1丁束の平均直径 (0 が上記上限以下であれば、 本発明 の含フッ素エラストマー組成物を用いて形成 したフッ素ゴム成形体において 、 良好な可撓性が保たれる。

[0031 ] そして、 含フッ素エラストマー組成物を用いて形成し たフッ素ゴム成形体 の、 高温環境下における高い引張強度及び高い伸 びのバランスを良好に保つ 観点からは、 単層〇!\1丁束の平均直径 (口 の、 単層〇!\1丁を含む繊維状炭 素ナノ構造体の平均直径 ( ) に対する比 は、 5以上である ことが好ましく、 1 0以上であることがより好ましく、 3 0以上であること が更に好ましく、 2 0 0以下であることが好ましく、 1 5 0以下であること がより好ましく、 1 0 0以下であることが更に好ましい。

[0032] ここで、 単層〇!\1丁を含む繊維状炭素ナノ構造体の平 均直径 ( ) は、

1 门 01以上であることが好ましく、 3 01以上であることがより好ましく、

1 0门 以下であることが好ましく、 8门 以下であることがより好ましく 、 5 n 以下であることが更に好ましい。 単層〇1\1丁束を含む繊維状炭素ナ ノ構造体の平均直径 ( ) が上記範囲内であれば、 本発明の含フッ素エラ ストマー組成物を用いて形成したフッ素ゴム 成形体において、 可撓性が向上 する。

[0033] ここで、 繊維状炭素ナノ構造体は、 丁を含む繊維状炭素ナノ構造 体であって、 上記所定の平均直径 (口 を有する単層 0 丁束を含む繊維状 炭素ナノ構造体であれば特に限定されない。 従って、 繊維状炭素ナノ構造体 は、 例えば、 多層〇 1\1丁を更に含むものであってもよく、 〇1\1丁以外の繊維 状炭素構造体を更に含むものであってもよい 。 〇 2020/175331 1 1 卩(:171? 2020 /006896

[0034] そして、 本発明の含フッ素エラストマー組成物を用い て形成したフッ素ゴ ム成形体の、 高温環境下における高い引張強度及び高い伸 びの双方のバラン スを向上させる観点からは、 繊維状炭素ナノ構造体中、 単層〇1\1丁の含有割 合は、 5 0質量%以上であることが好ましく、 7 0質量%以上であることが より好ましく、 9 0質量%以上であることが更に好ましい。

[0035] また、 単層 0 丁を含む繊維状炭素ナノ構造体は、 吸着等温線から得られ る I—プロッ トが上に凸な形状を示すことが好ましい。 吸着等温線から得ら れる 1—プロッ トが上に凸な形状を示す繊維状炭素ナノ構造 体であれば、 本 発明の含フッ素エラストマー組成物を用いて 形成したフッ素ゴム成形体の柔 軟性を向上させることができる。

なお、 上記繊維状炭素ナノ構造体は、 0 丁の開口処理が施されておらず 、 ープロッ トが上に凸な形状を示すことがより好ましい 。

[0036] ここで、 一般に、 吸着とは、 ガス分子が気相から固体表面に取り去られる 現象であり、 その原因から、 物理吸着と化学吸着に分類される。 そして、 1 —プロッ トの取得に用いられる窒素ガス吸着法では、 物理吸着を利用する。 なお、 通常、 吸着温度が一定であれば、 繊維状炭素ナノ構造体に吸着する窒 素ガス分子の数は、 圧力が大きいほど多くなる。 また、 横軸に相対圧 (吸着 平衡状態の圧力?と飽和蒸気圧?〇の比) 、 縦軸に窒素ガス吸着量をプロッ 卜したものを 「等温線」 といい、 圧力を増加させながら窒素ガス吸着量を測 定した場合を 「吸着等温線」 、 圧力を減少させながら窒素ガス吸着量を測定 した場合を 「脱着等温線」 という。

[0037] そして、 プロッ トは、 窒素ガス吸着法により測定された吸着等温線 に おいて、 相対圧を窒素ガス吸着層の平均厚み 1 (n m) に変換することによ り得られる。 即ち、 窒素ガス吸着層の平均厚み 1を相対圧 / 0に対して プロッ トした、 既知の標準等温線から、 相対圧に対応する窒素ガス吸着層の 平均厚み を求めて上記変換を行うことにより、 繊維状炭素ナノ構造体の —プロッ トが得られる ((^ 8〇6「らによる 1: _プロッ ト法) 。

[0038] ここで、 表面に細孔を有する試料では、 窒素ガス吸着層の成長は、 次の ( 〇 2020/175331 12 卩(:171? 2020 /006896

1) 〜 (3) の過程に分類される。 そして、 下記の (1) 〜 (3) の過程に よって、 I—プロッ トの傾きに変化が生じる。

( 1) 全表面への窒素分子の単分子吸着層形成過程

(2) 多分子吸着層形成とそれに伴う細孔内での毛 管凝縮充填過程

(3) 細孔が窒素によって満たされた見かけ上の非 多孔性表面への多分子吸 着層形成過程

[0039] そして、 単層 0 丁を含む繊維状炭素ナノ構造体の 1—プロッ トは、 窒素 ガス吸着層の平均厚み 1が小さい領域では、 原点を通る直線上にプロッ トが 位置するのに対し、 1:が大きくなると、 プロッ トが当該直線から下にずれた 位置となり、 上に凸な形状を示すことが好ましい。 かかる 1:—プロッ トの形 状は、 繊維状炭素ナノ構造体の全比表面積に対する 内部比表面積の割合が大 きく、 繊維状炭素ナノ構造体に多数の開口が形成さ れていることを示してい る。

[0040] なお、 単層〇!\1丁を含む繊維状炭素ナノ構造体の I -プロッ トの屈曲点は 、 〇. 2 £ I 〇〇 £ 1 . 5を満たす範囲にあることが好ましく、 0 . 4 5 £ I (n m) £ 1 . 5を満たす範囲にあることがより好ましく、 0 . 5 5 £ I £ 1 . 0を満たす範囲にあることが更に好ましい。 1:—プロッ 卜の屈曲点の位置が上記範囲内にあると、 繊維状炭素ナノ構造体の特性が更 に向上する。

ここで、 「屈曲点の位置」 とは、 ープロッ トにおける、 前述した (1) の過程の近似直線 と、 前述した (3) の過程の近似直線巳との交点である

[0041 ] 更に、 単層 0 丁を含む繊維状炭素ナノ構造体は、 プロッ トから得ら れる全比表面積 3 1 に対する内部比表面積 3 2の比 (3 2 / 3 1) が、 〇.

0 5以上であることが好ましく、 〇. 0 6以上であることがより好ましく、 〇. 0 8以上であることが更に好ましく、 〇. 3 0以下であることが好まし い。 3 2 / 3 1が〇. 0 5以上〇. 3 0以下であれば、 繊維状炭素ナノ構造 体の特性を更に向上させることができる。 〇 2020/175331 13 卩(:171? 2020 /006896

2 / 9 以下であることがより好ましい。 一方、 3 2は、 3 0〇^/ 9以上 5 4 0 2 / 9以下であることが好ましい。

ここで、 丁を含む繊維状炭素ナノ構造体の全比表面積 3 1及び内 部比表面積 3 2は、 その 1: _プロッ トから求めることができる。 具体的には 、 まず、 (1) の過程の近似直線の傾きから全比表面積 3 1 を、 (3) の過 程の近似直線の傾きから外部比表面積 3 3を、 それぞれ求めることができる 。 そして、 全比表面積 3 1から外部比表面積 3 3を差し引くことにより、 内 部比表面積 3 2を算出することができる。

[0042] 因みに、 単層 0 丁を含む繊維状炭素ナノ構造体の吸着等温線 の測定、 I —プロッ トの作成、 及び、 1—プロッ トの解析に基づく全比表面積 3 1 と内 部比表面積 3 2との算出は、 例えば、 市販の測定装置である

(登録商標) 一 丨 n 丨」 (日本べル (株) 製) を用いて行うことができ る。

[0043] また、 単層 0 丁を含む繊維状炭素ナノ構造体としては、 平均直径 (八 ) に対する、 直径の標準偏差 ( ) に 3を乗じた値 (3 £7) の比 (3 /八 V) が〇. 2 0超〇. 8 0未満の繊維状炭素ナノ構造体を用いること 好ま しく、 3 £7 /八 が〇. 2 5超の繊維状炭素ナノ構造体を用いることが り 好ましく、 3 / Vが〇. 7 0未満の繊維状炭素ナノ構造体を用いること が更に好ましい。 3 £7 /八 が〇. 2 0超〇. 8 0未満の単層 0 1\1丁を含む 繊維状炭素ナノ構造体を使用すれば、 本発明の含フッ素エラストマー組成物 を用いて形成したフッ素ゴム成形体の性能を 向上させることができる。 なお、 「繊維状炭素ナノ構造体の直径の標準偏差 (£7 :標本標準偏差) 」 は、 透過型電子顕微鏡を用いて無作為に選択した 繊維状炭素ナノ構造体 1 〇 0本の直径 (外径) を測定して求めることができる。 そして、 単層〇1\1丁を 含む繊維状炭素ナノ構造体の平均直径 及び標準偏差 (£7) は、 繊維 〇 2020/175331 14 卩(:171? 2020 /006896

状炭素ナノ構造体の製造方法や製造条件を 変更することにより調整してもよ いし、 異なる製法で得られた繊維状炭素ナノ構造体 を複数種類組み合わせる ことにより調整してもよい。

[0044] 更に、 単層 0 丁を含む繊維状炭素ナノ構造体は、 ラマンスペクトルにお けるロバンドピーク強度に対する◦バンドピ ーク強度の比 (◦/ 0比) が 1 以上 2 0以下であることが好ましい。

本発明の含フッ素エラストマー組成物を用い て形成したフッ素ゴム成形体の 性能をより向上させることができる。 なお、 比は、 2以上であっ てもよいし、 3以上であってもよく、 また、 1 0以下であってもよいし、 5 以下であってもよい。

[0045] また、 単層 0 丁を含む繊維状炭素ナノ構造体は、 合成時における繊維状 炭素ナノ構造体の平均長さが 1 〇〇 以上であることが好ましい。 なお、 合成時の繊維状炭素ナノ構造体の長さが長い ほど、 分散時に繊維状炭素ナノ 構造体に破断や切断などの損傷が発生し易い ので、 合成時の構造体の平均長 さは 5 0 0 0 〇1以下であることが好ましい。

そして、 丁を含む繊維状炭素ナノ構造体のアスペクト 比 (長さ/ 直径) は、 1 0を超えることが好ましい。 なお、 繊維状炭素ナノ構造体のア スぺクト比は、 透過型電子顕微鏡を用いて無作為に選択した 繊維状炭素ナノ 構造体 1 0 0本の直径及び長さを測定し、 直径と長さとの比 (長さ/直径) の平均値を算出することにより求めることが できる。

[0046] 更に、 単層 0 丁を含む繊維状炭素ナノ構造体の巳巳丁比表 面積は、 6 0

0 2 / 9以上であることが好ましく、 8 0 0〇! 2 / 9以上であることがより 好ましく、 2 5 0 0 2 / 9以下であることが好ましく、 1 5 0 0〇^/ 9 以 下であることがより好ましく、 1 2 以下であることが更に好まし い。 単層 0 1\1丁を含む繊維状炭素ナノ構造体の巳巳丁比 表面積が 6 0 0 2 / 9以上であれば、 本発明の含フッ素エラストマー組成物を用い て形成したフ ッ素ゴム成形体の耐熱性を向上させることが できる。 また、 単層〇1\1丁を含 む繊維状炭素ナノ構造体の巳巳丁比表面積が 2 5 0 0 2 / 9以下であれば、 \¥0 2020/175331 15 卩(:17 2020 /006896

含フッ素エラストマー組成物中を用いて形 成したフッ素ゴム成形体において 、 高温環境下での高い引張強度及び高い伸びの 双方のバランスがより優れる

[0047] そして、 上述した性状を有する単層 0 丁を含む繊維状炭素ナノ構造体は 、 例えば、 力ーボンナノチューブ製造用の触媒層を表面 に有する基材上に、 原料化合物及びキャリアガスを供給して、 化学的気相成長法 (<3 0法) に より〇1\1丁を合成する際に、 系内に微量の酸化剤 (触媒賦活物質) を存在さ せることで、 触媒層の触媒活性を飛躍的に向上させるとい う方法 (スーパー グロース法;国際公開第 2 0 0 6 / 0 1 1 6 5 5号参照) において、 基材表 面への触媒層の形成をウエッ トプロセスにより行うことで、 効率的に製造す ることができる。 なお、 以下では、 スーパーグロース法により得られる力一 ボンナノチューブを 「3〇〇1\1丁」 と称することがある。

[0048] なお、 スーパーグロース法により製造した単層〇1\1 丁を含む繊維状炭素ナ ノ構造体は、 3〇〇1\1丁のみから構成されていてもよいし 3〇〇1\1丁と、 非円筒形状の炭素ナノ構造体とから構成され ていてもよい。 具体的には、 単 層〇 !\1丁を含む繊維状炭素ナノ構造体には、 内壁同士が近接または接着した テープ状部分を全長に亙って有する単層また は多層の扁平筒状の炭素ナノ構 造体 (以下、 「グラフエンナノテープ (〇1\1丁) 」 と称することがある。 ) が含まれていてもよい。

[0049] そして、 上記方法によって得られる単層 0 丁を含む繊維状炭素ナノ構造 体は、 繊維状炭素ナノ構造体間のファンデルワール スカによって繊維状炭素 ナノ構造体が凝集することによりバンドル状 に形成された、 単層 0 1\1丁を含 む繊維状炭素ナノ構造体の束を含んでいる。 そこで、 上記方法によって得ら れる繊維状炭素ナノ構造体を任意の方法で分 散処理すれば、 繊維状炭素ナノ 構造体の束を解織して、 上述した所定の平均直径 (口 を有する単層〇!\1丁 束を得ることができる。

[0050] <添加剤>

そして、 含フッ素エラストマー組成物に任意に配合し 得る添加剤としては 〇 2020/175331 16 卩(:171? 2020 /006896

、 特に限定されることなく、 架橋剤、 架橋助剤、 酸化防止剤、 補強材などの 既知の添加剤を用いることができる。

なお、 添加剤として、 繊維状炭素ナノ構造体が過度に凝集すること を抑制 するなどの目的で、 分散剤を用いてもよいが、 本発明の含フッ素エラストマ —組成物は、 分散剤を実質的に含まないことが好ましい。 分散剤を実質的に 含まないことにより、 本発明の含フッ素エラストマー組成物を用い ることで 、 高温環境下での引張強度がより高いフッ素ゴ ム成形体を得ることができる なお、 本明細書において、 「実質的に含まない」 とは、 不可避的に混入す る場合を除いて、 能動的に配合はしないことをいう。

[0051 ] 具体的には、 架橋剤としては、 特に限定されることなく、 含フッ素エラス トマー組成物に含まれている含フッ素エラス トマーを架橋可能な既知の架橋 剤を用いることができる。 より具体的には、 架橋剤としては、 例えば、 硫黄 、 2 , 5—ジメチルー 2 , 5—ジ (1: _プチルぺルオキシ) ヘキサンなどの パーオキサイ ド系架橋剤、 トリアリルイソシアヌレートなどを用いるこ とが できる。

[0052] また、 架橋助剤としては、 特に限定されることなく、 例えば亜鉛華などを 用いることができる。

[0053] 更に、 酸化防止剤としては、 特に限定されることなく、 アミン系酸化防止 剤やイミダゾール系酸化防止剤などを用いる ことができる。

[0054] そして、 補強材としては、 特に限定されることなく、 力ーボンブラックや シリカなどを用いることができる。 ここで、 力ーボンブラックとしては、 フ ァーネスブラック、 アセチレンブラック、 サーマルブラック、 チヤンネルブ ラック、 グラファイ トなどを挙げることができる。

[0055] そして、 本発明の含フッ素エラストマー組成物を用い て形成したフッ素ゴ ム成形体において、 高温環境下での高い伸びを十分に確保しつつ 、 引張強度 を向上させる観点からは、 添加剤として、 力ーボンブラックを使用すること が好ましい。 〇 2020/175331 17 卩(:171? 2020 /006896

これらの添加剤は、 1種類単独で使用してもよいし、 2種以上を併用して もよい。 また、 添加剤の配合量は、 所望の効果の発現が阻害されない限り、 任意の量とすることができる。

[0056] <含フッ素エラストマー組成物の調製>

ここで、 含フッ素エラストマー組成物は、 含フッ素エラストマーと、 所定 の平均直径 (口 を有する単層 0 丁束を含む繊維状炭素ナノ構造体と、 任 意成分である添加剤とを、 上記所定の割合で混合または混練することに より 調製することができる。

[0057] 具体的には、 含フッ素エラストマー組成物は、 特に限定されることなく、 例えば、 含フッ素エラストマーと、 所定の平均直径 (口 を有する単層〇 丁束を含む繊維状炭素ナノ構造体との混合物 を得た後、 得られた混合物と任 意成分である添加剤とを混練することにより 、 調製することができる。

[0058] そして、 含フッ素エラストマーと、 所定の平均直径 (口 を有する単層〇

!\1丁束を含む繊維状炭素ナノ構造体との混合 物の調製は、 例えば、 含フッ素 エラストマー中に所定の平均直径 (口 を有する単層〇1\1丁束を含む繊維状 炭素ナノ構造体を分散させることが可能な任 意の混合方法を用いて行うこと ができる。 具体的には、 上記混合物は、 特に限定されることなく、 例えば、 溶媒に含フッ素エラストマーを溶解させてな る含フッ素エラストマー溶解溶 液、 又は、 分散媒に含フッ素エラストマーを分散させて なる含フッ素エラス トマー分散液に対し、 単層 0 丁を含む繊維状炭素ナノ構造体を添加し、 更 にビーズミルやジェッ トミルなどの分散装置を用いることで繊維状 炭素ナノ 構造体中に含まれる単層 0 丁束の平均直径が所定の平均直径 (0 となる まで分散処理した後、 得られた分散液から溶媒または分散媒を除去 すること により、 調製することができる。 なお、 溶媒または分散媒の除去には、 例え ば凝固法、 キャスト法または乾燥法を用いることができ る。

[0059] また、 混合物と添加剤との混練は、 例えば、 ミキサー、 一軸混練機、 二軸 混練機、 口ール、 ブラベンダー、 押出機などを用いて行うことができる。

[0060] なお、 含フッ素エラストマー組成物の生産性を向上 させる観点からは、 本 〇 2020/175331 18 卩(:171? 2020 /006896

発明の含フッ素エラストマー組成物は、 以下に述べる本発明の含フッ素エラ ストマー溶液の製造方法によって得られる含 フッ素エラストマー溶液を用ぃ て製造することが好ましぃ。

[0061 ] (含フッ素エラストマー溶液の製造方法)

本発明の含フッ素エラストマー溶液の製造方 法は、 含フッ素エラストマー と、 単層〇!\1丁を含む繊維状炭素ナノ構造体とを 含有する含フッ素エラスト マー溶液の製造方法である。

[0062] そして、 本発明の含フッ素エラストマー溶液の製造方 法は、 含フッ素エラ ストマーと、 溶媒と、 丁を含む繊維状炭素ナノ構造体とを、 分散メ ディアを用ぃて分散処理することにより分散 液を得る分散工程を含む。 そし て、 得られた分散液は、 含フッ素エラストマーが溶媒に溶解してなる 含フッ 素エラストマー溶解溶液中に単層 0 !\]丁を含む繊維状炭素ナノ構造体が分散 した分散液であるとともに、 当該分散液は、 丁を含む繊維状炭素ナ ノ構造体の束である単層〇 1\1丁束を含み、 且つ、 単層〇1\1丁束の平均直径 ( 〇 6 ) が 2 0 n 01以上 6 0 0 n 01以下である。 ここで、 単層〇1\1丁束の平均直 径 (口 は、 好ましくは 5 0 n 以上であり、 より好ましくは 1 0 0 n 以 上であり、 好ましくは 5 0 0 n 以下であり、 より好ましくは 4 0 0 n 以 下である。

[0063] なお、 本発明の含フッ素エラストマー溶液の製造方 法で用ぃる溶媒として は、 含フッ素エラストマーを溶解可能な溶媒であ れば特に限定されなぃ。 こ のような溶媒として、 例えば、 メチルエチルケトンやアセトンなどのケトン 類、 テトラヒドロフランなどのエーテル類等の極 性溶媒等が挙げられる。 これらの溶媒は、 1種単独で使用してもよぃし、 2種類以上を任意の比率 で組み合わせて用ぃてもよぃ。

[0064] そして、 含フッ素エラストマーを溶媒に溶解してなる 含フッ素エラストマ —溶解溶液中の含フッ素エラストマーの濃度 は、 特に限定されなぃが、 単層 〇 1\1丁束を均一に分散させる観点からは、 フッ素エラストマー溶解溶液中の 含フッ素エラストマーの濃度は、 5 0質量%以上であることが好ましく、 6 〇 2020/175331 19 卩(:171? 2020 /006896

0質量%以上であることがより好ましく、 9 2質量%以下であることが好ま しく、 9 0質量%以下であることがより好ましい。

[0065] ここで、 上記分散工程では、 分散剤を用いずに分散処理を行うことが好ま しい。 分散剤を用いないことにより、 高温環境下での引張強度がより高いフ ッ素ゴム成形体を成形する際に好適に用い得 る含フッ素エラストマー溶液を 得ることができる。

[0066] また、 分散メディアを用いた分散処理は、 例えば、 ビーズミルなどの既知 の湿式メディア分散装置を用いることで好適 に行うことができる。 そして、 分散メディアを構成する材質は、 特に限定されず、 例えば、 ガラス、 アルミ ナ、 ジルコン (ジルコニア ·シリカ系セラミックス) 、 ジルコニア、 スチー ルなどが挙げられる。

[0067] そして、 含フッ素エラストマー溶液をより効率的に製 造する観点からは、 上記分散工程は、 含フッ素エラストマーを上記溶媒に溶解させ て含フッ素エ ラストマー溶解溶液を得る第一のステップと 、 含フッ素エラストマー溶解溶 液及び単層 0 1\1丁を含む繊維状炭素ナノ構造体に対して上 記分散処理を行う 第二のステップとを含むことが好ましい。

[0068] そして、 第二のステップでは、 第一のステップで得られた含フッ素エラス トマー溶解溶液 1 〇〇質量部に対して、 丁を含む繊維状炭素ナノ構 造体を〇. 1質量部以上用いることが好ましく、 〇. 5質量部以上用いるこ とがより好ましく、 6質量部以下用いることが好ましく、 4質量部以下用い ることがより好ましい。 単層 0 1\1丁を含む繊維状炭素ナノ構造体の使用量を 上記範囲内とすれば、 分散工程において繊維状炭素ナノ構造体の束 を良好に 解織して、 所定の平均直径 (口 を有する単層 0 丁束を含む分散液を効率 的に製造することができる。

[0069] そして、 分散工程で得られた分散液は、 そのまま本発明の含フッ素エラス トマー溶液として使用してもよいし、 任意に、 例えば上述した添加剤を混合 し、 含フッ素エラストマー溶液として使用しても よい。

[0070] ここで、 分散処理で用いる分散メディアは、 下記 (1) 及び (2) の少な 〇 2020/175331 20 卩(:171? 2020 /006896

くとも一方を満たすことが好ましく、 下記 (1) 及び (2) の双方を満たす ことがより好ましい。 分散メディアが、 下記 ( 1) 及び ( 2) の少なくとも —方を満たしていれば、 含フッ素エラストマー溶液を更に効率的に製 造する ことができる。

( 1) 分散メディアのビッカース硬度が 6 0 0以上 1 5 0 0以下

(2) 分散メディアの充填率が 4 0体積%以上 7 0体積%以下

[0071 ] 具体的には、 分散処理で用いる分散メディアのピッカース 硬度は、 6 0 0 以上であることが好ましく、 8 0 0以上であることがより好ましく、 1 0 0 0以上であることが更に好ましく、 1 5 0 0以下であることが好ましく、 1 3 0 0以下であることがより好ましい。 また、 上記分散メディアの充填率は 、 4 0体積%以上であることが好ましく、 5 0体積%以上であることがより 好ましく、 7 0体積%以下であることが好ましく、 6 0体積%以下であるこ とがより好ましい。

[0072] 更に、 分散メディアの平均直径は、 〇. 1 以上であることが好ましく 、 〇. 3〇!〇!以上であることがより好ましく、 1 〇!〇!以下であることが好ま しく、 〇. 以下であることがより好ましい。 分散メディアの平均直径 が上記範囲内であれば、 含フッ素エラストマー溶液をより一層効率良 く製造 することができる。

[0073] (含フッ素エラストマー組成物の製造方法)

そして、 本発明の含フッ素エラストマー組成物の製造 方法は、 含フッ素エ ラストマー溶液の製造方法により得られた含 フッ素エラストマー溶液から溶 媒を除去することで、 含フッ素エラストマー組成物を得る方法であ る。 本発 明の含フッ素エラストマー組成物の製造方法 によれば、 高温環境下での引張 強度が高く、 且つ、 伸びが高いフッ素ゴム成形体の製造に好適に 用い得る含 フッ素エラストマー組成物を効率的に製造す ることができる。

[0074] なお、 本発明の含フッ素エラストマー組成物の製造 方法において、 含フッ 素エラストマー溶液から溶媒を除去する方法 は特に限定されず、 例えば、 乾 燥法などを用いることができる。 〇 2020/175331 21 卩(:171? 2020 /006896

[0075] そして、 乾燥法としては、 スプレードライ方式による乾燥、 真空乾燥、 減 圧乾燥、 不活性ガスの流通による乾燥などの既知の乾 燥法を使用することが できる。

[0076] ここで、 溶媒を除去して得られる混合物は、 そのまま本発明の含フッ素エ ラストマー組成物として使用してもよいし、 任意に、 例えば上述した添加剤 を混合または混練し、 含フッ素エラストマー組成物として使用して もよい。

[0077] (フッ素ゴム成形体)

そして、 本発明のフッ素ゴム成形体は、 本発明の含フッ素エラストマー組 成物を、 所望の形状に成形して得ることができる。 具体的には、 フッ素ゴム 成形体は、 例えば、 本発明の含フッ素エラストマー組成物を金型 に投入し、 任意に架橋させて形成することができる。 そして、 本発明の含フッ素エラス トマー組成物を用いて形成したフッ素ゴム成 形体は、 含フッ素エラストマー 組成物に含まれていた成分に由来する成分を 、 含フッ素エラストマー組成物 と同様の比率で含有する。 即ち、 本発明のフッ素ゴム成形体は、 例えば、 含 フッ素エラストマー組成物が架橋剤を含有し ていた場合には、 架橋された含 フッ素エラストマーと、 所定の平均直径 (口 を有する単層〇1\1丁束を含む 繊維状炭素ナノ構造体とを所定の比率で含有 し、 任意に添加剤を更に含有す る。

[0078] なお、 本発明のフッ素ゴム成形体の形状は、 用途に応じた任意の形状とす ることができ、 フッ素ゴム成形体の形状は、 例えば、 環状、 管状、 中空円盤 状、 シート状、 ベルト状などとすることができる。

[0079] そして、 本発明のフッ素ゴム成形体が本発明の含フッ 素エラストマー組成 物を架橋してなる架橋物からなる場合、 当該架橋物は以下の物性を有するこ とが好ましい。

[0080] 即ち、 架橋物は、 温度 2 0 0 °〇の環境下において、 引張強度が 6 IV! 3以 上であることが好ましく、 8 ^\ 9 a以上であることがより好ましく、 1 0 IV!

9 3であることが更に好ましい。

[0081 ] また、 架橋物は、 温度 2 0 0 °〇の環境下において、 伸びが 7 0 %以上であ 〇 2020/175331 22 卩(:171? 2020 /006896

ることが好ましく、 8 0 %以上であることがより好ましく、 9 0 %以上であ ることが更に好ましい。

[0082] 更に、 架橋物は、 温度 2 0 0 °〇の環境下において、 抗張積が 6 0 0以上で あることが好ましく、 7 0 0以上であることがより好ましく、 8 0 0以上で あることが更に好ましく、 9 0 0以上であることが特に好ましい。 抗張積が 6 0 0以上であれば、 架橋物の破壊エネルギーが十分に高くなるた め、 当該 架橋物を各種用途に好適に用いることができ る。

[0083] ここで、 架橋物の 「引張強度」 及び 「伸び」 は、 本明細書の実施例に記載 の方法に従って測定することができる。 また、 架橋物の 「抗張積」 は、 「引 張強度」 と 「伸び」 との積により求めることができる。

[0084] <用途>

本発明の含フッ素エラストマー組成物及びフ ッ素ゴム成形体は、 種々の用 途に利用できる。

[0085] «含フッ素エラストマー組成物の用途》

本発明の含フッ素エラストマー組成物は、 例えば、 従来公知の塗料に用い られる溶媒又は分散媒に任意の割合で溶解又 は分散させて、 ゴム塗料として 用いることができる。

[0086] また、 本発明の含フッ素エラストマー組成物は、 例えば、 電線などの任意 の被塗布物に塗布することで、 被覆材として用いることができる。

[0087] そして、 本発明の含フッ素エラストマー組成物を用い て形成したフッ素ゴ ム成形体は、 例えば、 自動車部品、 空調機器、 制御機器、 給水 ·給湯機器、 高温蒸気装置、 半導体装置、 食品加工処理装置、 液体貯蔵装置及び圧カスイ ッチ装置、 並びに、 石油掘削分野及び医療分野などの分野で使用 される、 高 温環境下において高い引張強度及び高い伸び が要求される各種部品として好 適に用いることができる。

[0088] 具体的には、 本発明の含フッ素エラストマー組成物を用い て形成したフッ 素ゴム成形体は、 ホース、 シール材、 ベルト、 防振ゴム、 ダイヤフラム、 中 空ゴム成形体などとして用いることができる 。 〇 2020/175331 23 卩(:171? 2020 /006896

[0089] ここで、 上記ホースとしては、 特に限定されず、 例えば、 燃料ホース、 夕 —ボェアーホース、 オイルホース、 ラジェーターホース、 ヒーターホース、 ウォーターホース、 バキュームブレーキホース、 コントロールホース、 ェア コンホース、 ブレーキホース、 パワーステアリングホース、 ェアーホース、 マリンホース、 ライザー、 フローラインなどの各種ホースが挙げられる 。

[0090] また、 上記シール材としては、 特に限定されず、 例えば、 〇ーリング、 パ ッキン、 オイルシール、 シャフトシール、 ベアリングシール、 メカニカルシ —ル、 ウェルへッ ドシール、 電気 ·電子機器用シール、 空気圧機器用シール などの各種シールが挙げられる。

[0091 ] また、 上記べルトとしては、 特に限定されず、 例えば、 動力伝達べルト、 搬送べルトなどの各種べルトが挙げられる。

[0092] また、 上記防振ゴムとしては、 特に限定されず、 例えば、 自動車用防振ゴ ムなどの各種防振ゴムが挙げられる。

[0093] また、 上記ダイヤフラムとしては、 特に限定されず、 例えば、 燃料系、 排 気系、 ブレーキ系、 駆動系、 点火系などの自動車ェンジン用ダイヤフラム ; ポンプ用ダイヤフラム;バルブ用ダイヤフラ ム; フィルタープレス用ダイヤ フラム; ブロワー用ダイヤフラム;などの各種ダイヤ フラムが挙げられる。

[0094] また、 上記中空ゴム成形体としては、 特に限定されず、 例えば、 タイヤ製 造用ブラダー、 タイヤ加硫用ブラダーなどの各種ブラダー; フレキシブルジ ョイント、 ェキスパンションジョイントなどの各種ジョ イント ;ジョイント ブーツ、 ラックアンドピニオンステアリングブーツ、 ピンブーツ、 ピストン ブーツなどの各種ブーツ ; プライマーバルブなどの各種バルブ;等が挙 げら れる。

実施例

[0095] 以下、 本発明について実施例に基づき具体的に説明 するが、 本発明はこれ ら実施例に限定されるものではない。 なお、 以下の説明において、 量を表す 「%」 及び 「部」 は、 特に断らない限り、 質量基準である。

実施例及び比較例において、 単層〇!\1丁束の平均直径 単層〇!\1丁 〇 2020/175331 24 卩(:171? 2020 /006896

を含む繊維状炭素ナノ構造体の平均直径 ( ) 、 単層〇1\1丁束の平均直径 (口 の、 繊維状炭素ナノ構造体の平均直径 ( ) に対する比 (口 8 /八 V) 、 分散メディアのピツカース硬度、 充填率及び平均直径、 並びに、 架橋 物の引張強度、 伸び及び抗張積は、 それぞれ以下の方法を使用して測定また は評価した。

[0096] <単層〇1\1丁束の平均直径 (口 >

作製したシート状の架橋物を一 1 〇 0 ° 〇に冷却したクライオミクロトーム (Le \ 〇 a社製、 製品名 「 !_ 6 I 〇 3 巳 IV! 〇 7」 ) を用い、 ダイヤ モンドナイフにより断面出しをした。 電界放出形走査電子顕微鏡 (日立ハイ テク社製、 製品名 「3 4 7 0 0」 ) を用い、 加速電圧 5 !< 、 倍率 2万倍の 条件で得られた断面の二次電子像を観察した 。 得られた二次電子像から画像 解析ソフト (オリンパス社製、 製品名 「A n 3 I I 3」 ) を用い、 無作 為に 1 0 0本の単層 0 1\1丁束の直径を測定し、 単層〇1\1丁束の平均直径 ) を求めた。

[0097] <単層 0 丁を含む繊維状炭素ナノ構造体の平均直径 (/^) >

透過型電子顕微鏡を用いて無作為に選択した 3〇〇!\1丁 (単層〇!\1丁を含 む繊維状炭素〇構造体) 1 0 0本の直径 (外径) を測定し、 3〇〇1\1丁の平 均直径 (八 ) を求めた。

[0098] <単層〇!\1丁束の平均直径 (口 の、 繊維状炭素ナノ構造体の平均直径 (八

V) に対する比 >

単層〇!\1丁束の平均直径 及び繊維状炭素ナノ構造体の平均直径 (八 V) を用いて、 単層〇!\1丁束の平均直径 (口 の、 繊維状炭素ナノ構造体の 平均直径 (八 ) に対する比 を求めた。

[0099] <分散メディアのピツカース硬度>

粒径を揃えた分散メディアを熱硬化性樹脂に 埋め込み、 分散メディアの断 面が見えるまで樹脂を研磨した。 分散メディア 5個を任意に選び、 各分散メ ディアの断面の任意の 1か所をピツカース硬さ計で測定し、 平均値を求める ことによって、 ビーズミルで使用した分散メディアのビツカ ース硬度を測定 〇 2020/175331 25 卩(:171? 2020 /006896

した。

[0100] <分散メディアの充填率>

分散メディアの充填量を分散メディアの比重 で割り、 分散メディアの体積 を計算した。 次いで、 分散メディアの体積をビーズミルのベッセル 容量で割 り百分率で表し、 ビーズミルで使用した分散メディアの充填率 とした。

[0101 ] <分散メディアの平均直径>

試料台に極微量の分散メディアを散布した後 、 デジタルマイクロスコープ (キーエンス社製、 製品名 「 !~1乂一9 0 0」 ) を用いて倍率 1 0 0倍で観 察し、 分散メディア 5個を任意に選んだ。 各分散メディアの直径を計測し、 その平均値を、 ビーズミルで使用した分散メディアの平均直 径とした。

[0102] <引張強度>

作製したシート状の架橋物をダンべル状 3号形で打ち抜き、 試験片を得た 。 そして、 得られた試験片について、 」 丨 3 [< 6 2 5 1 に準拠し、 2 0 0 °〇 における引張強度を測定した。

[0103] <伸び>

作製したシート状の架橋物をダンべル状 3号形で打ち抜き、 試験片を得た 。 そして、 得られた試験片について、 」 丨 3 [< 6 2 5 1 に準拠し、 2 3 °〇及 び 2 0 0 °〇における切断時伸びを測定し、 架橋物の伸びとした。 なお、 切断 時伸びは、 初期 (即ち、 シート状の架橋物を引っ張る前) を 1 0 0 %とした 値である。

[0104] <抗張積>

上記のようにして得られた引張強度と伸びと の積から、 作製したシート状 の架橋物の抗張積を求めた。 なお、 抗張積は、 小数点以下を四捨五入した値 として示す。

[0105] (実施例 1)

溶媒としてのメチルエチルケトン 9 0 0 9に、 含フッ素エラストマーとし ての [<1\/1 (ケマーズ株式会社製、 商品名 「バイ トン〇巳 !_ - 6 0 0 3」 )

1 0 0部 (1 0 0 9) を加え、 温度 2 0 °〇で 1 2時間撹拌して含フッ素エラ 〇 2020/175331 26 卩(:171? 2020 /006896

ストマーを溶解させて、 含フッ素エラストマー溶解溶液を得た。

次に、 含フッ素エラストマー溶解溶液に対し、 単層〇1\1丁を含む繊維状炭 素ナノ構造体としての 3〇〇1\1丁 (ゼオンナノテクノロジー社製、 製品名 「 巳〇 八 〇 301 01」 、 平均直径 (口 3 ) : 4 n m s 6 º丁比表面積

= 1 29 1 m 2 Xg s t -プロッ トは上に凸) 4部 (4 9 ) を加え、 撹拌機 ( I IV! I X製、 ラボ · リユーシヨン (登録商標) 、 撹拌部:ホモディスバ -) を用いて温度 20°〇で 30分間撹拌した。 更に、 ビーズミル (淺田鉄工 社製、 商品名 「ナノミル 1\/1-〇 1. 4 !_」 、 分散メディアとしてジルコ ニアビーズ (分散メディアのピッカース硬度: 1 250、 分散メディアの充 填率: 48%、 分散メディアの平均直径: 〇. を用いて、 3〇〇 丁を加えた含フッ素エラストマー溶解溶液を 、 温度 44 °〇で 3パス分散処理 した (分散処理の条件:周速 1 2. 吐出量 729/分) 。

その後、 得られた分散液を 40009のメタノールへ滴下し、 凝固させて 黒色固体を得た。 そして、 得られた黒色固体を 60 ° ◦で 1 2時間減圧乾燥し 、 含フッ素エラストマーと 3〇〇1\1丁との混合物を得た。

[0106] [混練]

その後、 20°〇の才ープンロールを用いて、 含フッ素エラストマーと 3◦ 〇1\1丁との混合物 1 04部と、 架橋助剤としての酸化亜鉛 (亜鉛華二種) 3 部と、 架橋剤としてのトリアリルイソシアヌレート (日本化成社製、 製品名 「丁八 丨 〇 (登録商標) 」 3部及び 2, 5 -ジメチルー 2, 5 -ジ (1: -ブ チルべルオキシ) ヘキサン (日本油脂製、 商品名 「パーへキサ (登録商標)

25巳_40」 ) 2部とを混練し、 含フッ素エラストマー組成物を得た。

[0107] <シ_卜状架橋物の作製>

得られた含フッ素エラストマー組成物を金型 に投入し、 温度 1 60 ° 〇、 圧 力 1 01\/1 3で 20分間架橋させてシート状の架橋物 (長さ :

幅: 1 50〇1111、 厚さ : 2〇1111) を得た。

そして、 得られたシート状の架橋物を用いて架橋物の 引張強度及び伸びを 測定し、 抗張積を求めた。 結果を表 1 に示す。 〇 2020/175331 27 卩(:171? 2020 /006896

また、 得られたシート状の架橋物中に含まれている 単層 0 丁束の平均直 径 (口 を求めた。 更に、 単層〇1\1丁束の平均直径 (口 と、 繊維状炭素 ナノ構造体の平均直径 ( ) とを用いて、 単層〇1\1丁束の平均直径 (0

、 繊維状炭素ナノ構造体の平均直径 に対する比 を求め た。 これらの結果を表 1 に示す。

[0108] (実施例 2)

ビーズミルに替えてジェッ トミル (吉田機械興業社製、 商品名 「I - _巳3 0 0 7」 ) を用いて分散処理 (分散処理条件:圧力 1 0 0 IV! パス回数 5回) を行った以外は実施例 1 と同様にして、 シート状架橋物を作製した。 そして、 実施例 1 と同様にして各種測定を行った。 結果を表 1 に示す。

[0109] (実施例 3)

混合物を調製する際に、 含フッ素エラストマー溶解溶液に対して添加 する 3〇〇1\1丁の量を 2部 (2 9 ) に変更した以外は実施例 1 と同様にして、 シ —卜状架橋物を作製した。 そして、 実施例 1 と同様にして各種測定を行った 。 結果を表 1 に示す。

[01 10] (実施例 4)

分散処理の条件を周速 1 〇 / 3に変更した以外は実施例 1 と同様にして 、 シート状架橋物を作製した。 そして、 実施例 1 と同様にして各種測定を行 った。 結果を表 1 に示す。

[01 1 1] (比較例 1)

ビーズミルに替えてホモジナイザー ( [¾ 丨 IV! 丨 X社製、 商品名 「ラポ - リューション (登録商標) 」 ) を用いて分散処理 (分散条件は、 撹拌部:ネ オミクサー、 回転数: 5 0 0 0 「 、 処理時間: 3 0分) を行った以外は 実施例 1 と同様にして、 シート状架橋物を作製した。 そして、 実施例 1 と同 様にして各種測定を行った。 結果を表 1 に示す。

[01 12] (比較例 2)

混合物を調製する際に、 含フッ素エラストマー溶液に対して添加する 3 0 〇!\1丁の量を〇. 0 5部 (〇. 0 5 9) に変更した以外は実施例 2と同様に 〇 2020/175331 28 卩(:171? 2020 /006896

して、 シート状架橋物を作製した。 そして、 実施例 1 と同様にして各種測定 を行った。 結果を表 1 に示す。

[01 13] (比較例 3 )

混合物を調製する際に、 含フッ素エラストマー溶液に対して添加する 3 0 〇1\1丁の量を 6部 ( 6 9 ) に変更した以外は実施例 2と同様にして、 シート 状架橋物を作製した。 そして、 実施例 1 と同様にして各種測定を行った。 結 果を表 1 に示す。

[01 14]

〔¾二

〇 2020/175331 30 卩(:171? 2020 /006896

[01 15] 表 1 より、 所定の平均直径 (口 8 ) を有する単層 0 丁束を所定の割合で配 合した実施例 1〜 4では、 所定の平均直径 (口 8 ) を有する単層〇1\1丁束を所 定の割合で配合しなかった比較例 1〜 3と比較し、 温度 2 0 0 ° 〇の高温環境 下において引張強度及び伸びが高く、 抗張積が大きいシート状架橋物が得ら れることが分かる。

特に、 表 1の実施例 1〜 2より、 ビーズミルを用いて分散処理を行うこと により、 抗張積が大きいシート状架橋物が得られるこ とが分かる。

産業上の利用可能性

[01 16] 本発明によれば、 高温環境下での高い引張強度及び高い伸びを 有するフッ 素ゴム成形体を形成可能な含フッ素エラスト マー組成物、 及び当該含フッ素 エラストマー組成物を用いたフッ素ゴム成形 体、 並びに当該含フッ素エラス トマー組成物の製造方法を提供することがで きる。

また、 本発明によれば、 本発明の含フッ素エラストマー組成物の製造 方法 に用いることが可能な含フッ素エラストマー 溶液の製造方法を提供すること ができる。