Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
FLUORINE-CONTAINING POLYMER THIN FILM AND METHOD FOR PRODUCING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/133088
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for producing a fluorine-containing polymer which is excellent in adhesion to a base and film strength. Specifically disclosed is a method for producing a fluorine-containing polymer thin film, which is characterized in that a fluorine-containing polymer thin film is formed on a base by a physical vapor deposition method wherein a fluorine-containing polymer comprising a fluorine-containing aliphatic ring structure in the main chain and having a weight average molecular weight of 3,000-80,000 is used as the deposition source.

Inventors:
TAMITSUJI CHIKAYA (JP)
WATANABE KUNIO (JP)
SAKANE YOSHIHIKO (JP)
MINAMIDATE JUN (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/057287
Publication Date:
November 06, 2008
Filing Date:
April 14, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
ASAHI GLASS CO LTD (JP)
TAMITSUJI CHIKAYA (JP)
WATANABE KUNIO (JP)
SAKANE YOSHIHIKO (JP)
MINAMIDATE JUN (JP)
International Classes:
C23C14/12; C08F16/38; C08F24/00; C08F34/02; C23C14/24
Domestic Patent References:
WO2005105326A12005-11-10
Foreign References:
JPH03104857A1991-05-01
JPH0925559A1997-01-28
JPH046266A1992-01-10
JPH01304936A1989-12-08
JP2006001014A2006-01-05
JPH11152310A1999-06-08
JPH04189880A1992-07-08
JPH04226177A1992-08-14
Other References:
LEE K.K. AND BHUSHAN B.: "Nanotribological characterization of fluoropolymer thin films for biomedical micro/nanoelectromechanical system applications", J. VAC. SCI. TECHNOL. A, vol. 23, no. 4, July 2005 (2005-07-01), pages 804 - 810, XP012074097
CHOW R. ET AL.: "Optical multilayer films based on an amourphous fluoropolymer", J. VASC. SCI. TECHNOL. A, vol. 14, no. 1, January 1996 (1996-01-01), pages 63 - 68, XP000555452
NASON T.C. ET AL.: "Deposition of amorphous fluoropolymer thin films by thermolysis of teflon amorphous fluoropolymer", APPL. PHYS. LETT., vol. 60, no. 15, 13 April 1992 (1992-04-13), pages 1866 - 1868, XP008120911
THIN SOLID FILMS, vol. 15, 1973, pages 87
MODERN FLUOROPOLYMERS, vol. 22, 1997, pages 411
Attorney, Agent or Firm:
SENMYO, Kenji et al. (SIA Kanda Square17, Kanda-konyach, Chiyoda-ku Tokyo 35, JP)
Download PDF:
Claims:
 主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有し、重量平均分子量が3,000~80,000の含フッ素ポリマーを蒸着源とする物理的蒸着法により、基材上に含フッ素ポリマー薄膜を成膜することを特徴とする含フッ素ポリマー薄膜の製造方法。
 前記主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素ポリマーが、下記一般式(1)~(5)から選ばれる繰り返し単位を有する含フッ素ポリマーである請求項1に記載の含フッ素ポリマー薄膜の製造方法。
(一般式(1)~(5)において、hは0~5の整数、iは0~4の整数、jは0または1、h+i+jは1~6、sは0~5の整数、tは0~4の整数、uは0または1、s+t+uは1~6、p、qおよびrはそれぞれ独立に0~5の整数、p+q+rは1~6、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 、X 1 およびX 2 はそれぞれ独立にH、D(重水素)、F、Cl、OCF 3 またはCF 3 であり、R 5 、R 6 、R 7 、R 8 はそれぞれ独立にH、D(重水素)、F、Cl、C n F 2n+1 、C n F 2n+1-m Cl m O k またはC n F 2n+1-m H m O k であり、R 5 、R 6 、X 1 およびX 2 のうち少なくとも1つはFを含有し、nは1~5の整数、mは0~5の整数、2n+1-m≧0、kは0~1の整数であり、R 7 およびR 8 が連結して環を形成してもよい。)
 前記主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素ポリマーが、ペルフルオロポリマーである請求項1または2に記載の含フッ素ポリマー薄膜の製造方法。
 前記主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素ポリマーが、基材との化学結合を形成しうる官能基として、-COF基、-COOH基、-NH 2 基、-COOR基(Rはアルキル基を表す)、SiR 3-X (OR) x 基(Rはアルキル基、Xは1から3の整数を表す)、-SiCl 3 基、-N=C=O基または-OH基を有する請求項1~3のいずれかに記載の含フッ素ポリマー薄膜の製造方法。
 前記ペルフルオロポリマーが、ペルフルオロホモポリマーである請求項3に記載の含フッ素ポリマー薄膜の製造方法。
 前記主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素ポリマーが、ペルフルオロ(ブテニルビニルエーテル)を環化重合してなる繰り返し単位のみからなるペルフルオロホモポリマーである請求項1~5のいずれかに記載の含フッ素ポリマー薄膜の製造方法。
 前記主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素ポリマーが、下記(I)~(V)のいずれかである請求項1~6のいずれかに記載の含フッ素ポリマー薄膜の製造方法。
(I)2つ以上の重合性二重結合を有する含フッ素単量体(a)を環化重合してなる繰り返し単位を有する含フッ素ポリマー。
(II)含フッ素環構造を有する含フッ素単量体(b)を重合してなる繰り返し単位を有する含フッ素ポリマー。
(III)前記含フッ素単量体(a)を環化重合してなる繰り返し単位と、前記含フッ素単量体(b)を重合してなる繰り返し単位と、を有する含フッ素ポリマー。
(IV)前記含フッ素単量体(a)を環化重合してなる繰り返し単位と、前記含フッ素単量体(a),(b)以外の含フッ素単量体(c)を重合してなる繰り返し単位と、を有する含フッ素ポリマー。
(V)前記含フッ素単量体(b)を重合してなる繰り返し単位と、前記含フッ素単量体(a),(b)以外の含フッ素単量体(c)を重合してなる繰り返し単位と、を有する含フッ素ポリマー。
 前記基材が、金属、ガラスまたはセラミックであり、かつシランカップリング剤による表面処理がされた基材である請求項1~7のいずれかに記載の含フッ素ポリマー薄膜の製造方法。
 物理的蒸着法が真空蒸着法である請求項1~8のいずれかに記載の含フッ素ポリマー薄膜の製造方法。
 真空蒸着法における蒸着源の加熱温度が100℃~400℃の範囲である請求項9に記載の含フッ素ポリマー薄膜の製造方法。
 請求項1~10のいずれかに記載の含フッ素ポリマー薄膜の製造方法により得られる、膜厚10nm~100μmの含フッ素ポリマー薄膜。
Description:
含フッ素ポリマー薄膜とその製 方法

 本発明は、含フッ素ポリマー薄膜、特に フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素ポリ ー薄膜、および、その製造方法に関する。

 ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラ ルオロエチレン-ペルフルオロ(アルコキシ ニルエーテル)共重合体(PFA)、テトラフルオ エチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合 (FEP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などに代 される含フッ素ポリマーは、耐熱性、耐薬 性、撥水性、耐候性、電気絶縁性、光学特 、非粘着性、低摩擦性、難燃性などに優れ その特性から化学、電気・電子、半導体、 築、自動車など様々な分野で使用されてい 。
 近年、半導体や電子機器材の製造における 半導体製造技術、MEMSプロセス技術、ナノイ ンプリント技術などの微細加工技術の発展に 伴い、微細構造を有する基材表面上にピンホ ールのない、かつ、均一な含フッ素ポリマー 薄膜を形成し、耐薬品性・防水性・防湿性・ 離型性等を付与する技術が求められている。

 含フッ素ポリマー薄膜の形成方法としては スピンコーティング法、キャスト法やディ プ法といった湿式法が知られているが、そ 含フッ素ポリマーを含む液体の粘性のため 微細構造を有する基材表面上に、ピンホー のない、かつ、均一な含フッ素ポリマー薄 を形成するのが非常に困難であるという問 がある。
 一方で、一般的に乾式法による薄膜の形成 、薄膜形成原料となる気体分子の平均自由 程が大きいことから、微細構造を有する構 体中に該気体分子が均一に到達すると考え れ、湿式法と比較して、微細構造を有する 材表面上に、ピンホールのない、かつ、均 な薄膜が形成可能と期待されている。

 含フッ素ポリマー薄膜を乾式法により形 する方法としては、スパッタリング法を利 した基材表面へのポリテトラフルオロエチ ン(PTFE)の薄膜形成方法が開示されている(非 特許文献1など参照)。また、真空蒸着法によ 基材表面に含フッ素ポリマー薄膜を形成す 方法がある。一般に、真空蒸着法により含 ッ素ポリマー薄膜を形成する場合、蒸着源 ある含フッ素ポリマーを電子ビーム、イオ ビーム、熱などを介して高いエネルギーを えて気化させる。しかしながら、このよう 物理的蒸着過程における高エネルギーの印 により、含フッ素ポリマー中のフッ素原子 脱離してしまい、形成される含フッ素ポリ ー薄膜中のフッ素含有量が蒸着源のフッ素 有量と比較して大きく減少し、その結果と て、形成される含フッ素ポリマー薄膜が着 する、含フッ素ポリマー薄膜の有する特性 低下してしまう、などの問題がある。また 含フッ素ポリマーの主鎖が切断され、分子 が低下することにより、形成される含フッ ポリマー薄膜の膜強度、および基材との密 性が低下するという問題がある。

 以上の問題点を解決するため、真空蒸着法 用いた含フッ素ポリマー薄膜の製造方法と て、以下に記載するような、より気化しや い含フッ素ポリマー蒸着源を原料として成 する方法や基材との密着性を向上させる第2 成分を導入する方法などが提案されている。
(1)テトラフルオロエチレンと少なくとも1種 コモノマーとの共重合体を蒸着源とする物 蒸着法により成膜することを特徴とするフ 素系高分子薄膜の製造方法(特許文献1参照)
(2)平均分子量が600~1500の範囲である低分子量 含フッ素樹脂をターゲット材として、真空 ッキ法により基体上に該含フッ素樹脂を被 することを特徴とする含フッ素樹脂被覆膜 形成方法(特許文献2参照)。
(3)基材表面に、含フッ素有機物質を蒸着法に より、非フッ素含有物質をイオンビームスパ ッタ法により、同時に基材表面に堆積させる 含フッ素薄膜を有する基材の製造方法(特許 献3参照)。

 特許文献1に記載の方法は、テトラフルオ ロエチレンと少なくとも1種のコモノマーと 共重合体を蒸着源とすることで、ポリマー 結晶性を低下させて蒸気圧を増加させる方 であり、実施例においてテフロン(登録商標) AF(デュポン社製)を450~470℃で蒸着させている しかしながら、テフロン(登録商標)AF(デュ ン社製)は約350℃で熱分解が始まるため(非特 許文献2参照)、熱分解温度を超える高温下で 蒸着により形成される含フッ素ポリマー薄 では、含フッ素ポリマーの分子量が低下し 膜強度が低下するという問題があった。

 特許文献2に記載の方法は、平均分子量600 ~1500の範囲である低分子量の含フッ素樹脂(含 フッ素ポリマー)をターゲット材とすること 、含フッ素ポリマーの蒸気圧を増加させる 法であり、250~300℃の比較的低温で成膜する とができる。しかしながら、蒸着源である フッ素樹脂(含フッ素ポリマー)の分子量が いため、成膜される含フッ素ポリマー薄膜 分子量も小さくなり、含フッ素ポリマー薄 の強度が低くなる。また、基材と化学結合 形成されないため、基材との密着性が悪く 容易に剥離してしまうという問題があった

 特許文献3に記載の方法は、含フッ素有機物 質を蒸着法により単独で基材表面に成膜した 場合、膜強度が不十分となるため、非フッ素 含有物質を第2成分として、イオンビームス ッタ法により同時に成膜して、形成される を複合化させることで膜強度を向上させる とができるとしている。しかしながら、SiO 2 などの第2成分が導入されているため、含フ 素ポリマー薄膜の有する特性が低下してし う問題があった。

Thin Solid Films,15,p87(1973) Modern Fluoropolymers,22,p411(1997)

特開平04-006266号公報

特開平01-304936号公報

特開2006-001014号公報

 本発明は、上記した従来技術の問題点を 決するため、基材との密着性、および膜強 に優れた含フッ素ポリマー薄膜の製造方法 提供することを目的とする。

 上記の目的を達成するため、本発明は、主 に含フッ素脂肪族環構造を有し、重量平均 子量が3,000~80,000の含フッ素ポリマーを蒸着 とする物理的蒸着法により、基材上に含フ 素ポリマー薄膜を形成することを特徴とす 含フッ素ポリマー薄膜の製造方法を提供す 。
 本発明の含フッ素ポリマー薄膜の製造方法 おいて、前記主鎖に含フッ素脂肪族環構造 有する含フッ素ポリマーが、下記一般式(1)~ (5)から選ばれる繰り返し単位を有する含フッ 素ポリマーであることが好ましい。

(一般式(1)~(5)において、hは0~5の整数、iは0~4 整数、jは0または1、h+i+jは1~6、sは0~5の整数 tは0~4の整数、uは0または1、s+t+uは1~6、p、qお よびrはそれぞれ独立に0~5の整数、p+q+rは1~6、 R 1 、R 2 、R 3 、R 4 、X 1 およびX 2 はそれぞれ独立にH、D(重水素)F、Cl、OCF 3 またはCF 3 であり、R 5 、R 6 、R 7 、R 8 はそれぞれ独立にH、D(重水素)、F、Cl、C n F 2n+1 、C n F 2n+1-m Cl m O k またはC n F 2n+1-m H m O k であり、R 5 、R 6 、X 1 およびX 2 のうち少なくとも1つはFを含有する基であり nは1~5の整数、mは0~5の整数、2n+1-m≧0、kは0~1 の整数であり、R 7 およびR 8 が連結して環を形成してもよい。)

 本発明の含フッ素ポリマー薄膜の製造方 において、前記主鎖に含フッ素脂肪族環構 を有する含フッ素ポリマーが、ペルフルオ ポリマーであることが好ましく、ペルフル ロホモポリマーであることがより好ましい

 本発明の含フッ素ポリマー薄膜の製造方法 おいて、前記主鎖に含フッ素脂肪族環構造 有する含フッ素ポリマーが、下記(I)~(V)のい ずれかであることが好ましい。
(I)2つ以上の重合性二重結合を有する含フッ 単量体(a)を環化重合してなる繰り返し単位 有する含フッ素ポリマー。
(II)含フッ素環構造を有する含フッ素単量体(b )を重合してなる繰り返し単位を有する含フ 素ポリマー。
(III)前記含フッ素単量体(a)を環化重合してな 繰り返し単位と、前記含フッ素単量体(b)を 合してなる繰り返し単位と、を有する含フ 素ポリマー。
(IV)前記含フッ素単量体(a)を環化重合してな 繰り返し単位と、前記含フッ素単量体(a),(b) 外の含フッ素単量体(c)を重合してなる繰り し単位と、を有する含フッ素ポリマー。
(V)前記含フッ素単量体(b)を重合してなる繰り 返し単位と、前記含フッ素単量体(a),(b)以外 含フッ素単量体(c)を重合してなる繰り返し 位と、を有する含フッ素ポリマー。

 本発明の含フッ素ポリマー薄膜の製造方法 おいて、物理的蒸着法が真空蒸着法である とが好ましい。
 真空蒸着法における蒸着源の加熱温度が100 ~400℃の範囲であることが好ましい。

 また、本発明は、本発明の含フッ素ポリ ー薄膜の製造方法により得られる、膜厚10nm ~100μmの含フッ素ポリマー薄膜を提供する。

 本発明によれば、基材との密着性、およ 膜強度に優れた含フッ素ポリマー薄膜を製 することができる。本発明は、微細構造を する基材表面上に含フッ素ポリマー薄膜を けるのに特に好適である。

 以下、本発明について詳細に説明する。
 本発明の含フッ素ポリマー薄膜の製造方法 、主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有し、重 平均分子量が3,000~80,000の含フッ素ポリマー 蒸着源とする物理的蒸着法により、基材上 含フッ素ポリマー薄膜を成膜する。

「含フッ素ポリマー蒸着源」
 本発明における含フッ素ポリマーの蒸着源 、成膜速度の観点から実用化するのに十分 蒸気圧をもつ必要がある。この観点から、 晶性が低い主鎖に含フッ素脂肪族環構造を する含フッ素ポリマーを用いる。主鎖に含 ッ素脂肪族環構造を有する含フッ素ポリマ としては、下記一般式(1)~(5)から選ばれる、 主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する繰り返 し単位を有するものが例示される。

 上記一般式(1)~(5)において、hは0~5の整数、i 0~4の整数、jは0または1、h+i+jは1~6、sは0~5の 数、tは0~4の整数、uは0または1、s+t+uは1~6、p 、qおよびrはそれぞれ独立に0~5の整数、p+q+r 1~6、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 、X 1 およびX 2 はそれぞれ独立にH、D(重水素)、F、Cl、OCF 3 またはCF 3 であり、R 5 、R 6 、R 7 、R 8 はそれぞれ独立にH、D(重水素)、F、Cl、C n F 2n+1 、C n F 2n+1-m Cl m O k またはC n F 2n+1-m H m O k であり、R 5 、R 6 、X 1 およびX 2 のうち少なくとも1つはFを含有する基であり nは1~5の整数、mは0~5の整数、2n+1-m≧0、kは0~1 の整数であり、R 7 およびR 8 が連結して環を形成してもよい。

 主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する含 ッ素ポリマーは、上記一般式(1)~(5)から選ば れる繰り返し単位のうちいずれか1つのみを するものであってもよく、上記一般式(1)~(5) ら選ばれる繰り返し単位のうち2種以上を有 するものであってもよい。また、主鎖に含フ ッ素脂肪族環構造を有する含フッ素ポリマー は、上記一般式(1)~(5)から選ばれる繰り返し 位と、上記一般式(1)~(5)以外の繰り返し単位 具体的には、主鎖に含フッ素脂肪族環構造 有するもの以外のフッ素を含有する繰り返 単位(以下、「他の含フッ素繰り返し単位」 という。)と、を有するものであってもよい

 また、主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有す 含フッ素ポリマーは、ポリマーの分子間相 作用が小さいと考えられるペルフルオロポ マーが好ましい。したがって、上記一般式( 1)~(5)から選ばれる繰り返し単位を有する含フ ッ素ポリマーはペルフルオロポリマーである ことが好ましい。
 また、ペルフルオロポリマーの中でも、ペ フルオロホモポリマーが特に好ましい。し がって、上記一般式(1)~(5)から選ばれる繰り 返し単位を有する含フッ素ポリマーはペルフ ルオロホモポリマーであることが特に好まし い。

 上記一般式(1)~(5)から選ばれる繰り返し単位 を有する含フッ素ポリマーの一例は、2つ以 の重合性二重結合を有する含フッ素単量体(a )を環化重合してなる繰り返し単位を有する フッ素ポリマーである。ここで、2つ以上の 合性二重結合を有する含フッ素単量体(a)の 体例としては、ペルフルオロ(ブテニルビニ ルエーテル)(CF 2 =CFOCF 2 CF 2 CF=CF 2 )、ペルフルオロ(アリルビニルエーテル)(CF 2 =CFOCF 2 CF=CF 2 )、ペルフルオロ(1-メチル-3-ブテニルビニル ーテル)(CF 2 =CFCF 2 CF(CF 3 )OCF=CF 2 )、および下記式で示される非共役ジエンな が挙げられる。
CFX 3 =CX 4 OCX 5 X 6 OCX 4 =CX 3 F
(式中、X 3 およびX 4 はF、ClまたはHであり、X 5 およびX 6 はFまたはCF 3 である。)

 また、上記一般式(1)~(5)から選ばれる繰り 返し単位を有する含フッ素ポリマーの別の一 例は、含フッ素環構造を有する含フッ素単量 体(b)を重合してなる繰り返し単位を有する含 フッ素ポリマーである。ここで、含フッ素環 構造を有する含フッ素単量体(b)の具体例とし ては、下記一般式(6)で示されるフルオロジオ キソールなどが挙げられる。

 上記一般式(6)において、R' F はF、R F  またはOR F である。ここで、R F は直鎖状または分枝鎖状の1~5の炭素原子を有 するペルフルオロアルキル基である。X 7 およびX 8 はそれぞれ独立に互いにFまたはCF 3 である。
 上記一般式(6)において、R' F がOCF 3 であり、X 7 およびX 8 がFであることが好ましい。また、R' F がFであり、X 7 およびX 8 がCF 3 であることが好ましい。

 上記一般式(1)~(5)から選ばれる繰り返し単 位を有する含フッ素ポリマーのさらに別の一 例は、2つ以上の重合性二重結合を有する含 ッ素単量体(a)を環化重合してなる繰り返し 位と、含フッ素環構造を有する含フッ素単 体(b)を重合してなる繰り返し単位と、を有 る含フッ素ポリマーである。

 上記したように、主鎖に含フッ素脂肪族環 造を有する含フッ素ポリマーは、上記一般 (1)~(5)から選ばれる繰り返し単位と、他の含 フッ素繰り返し単位と、を有するものであっ てもよい。ここで、他の含フッ素繰り返し単 位の具体例としては、テトラフルオロエチレ ン、ヘキサフルオロプロペンなどのC 2 ~C 8 のペルフルオロオレフィン、クロロトリフル オロエチレンなどのC 2 ~C 8 のクロロフルオロオレフィン、ペルフルオロ (アルキルビニルエーテル)またはペルフルオ (アルキルオキシアルキルビニルエーテル) どを重合してなる繰り返し単位が挙げられ 。

 主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する含 ッ素ポリマーは、2つ以上の重合性二重結合 を有する含フッ素単量体(a)を環化重合してな る繰り返し単位のみからなるペルフルオロホ モポリマーであることがより好ましく、ペル フルオロ(ブテニルビニルエーテル)を環化重 してなる繰り返し単位のみからなるペルフ オロホモポリマーであることが特に好まし 。ペルフルオロ(ブテニルビニルエーテル) 環化重合してなる繰り返し単位のみからな ペルフルオロホモポリマーとしては、旭硝 社製のCYTOP(登録商標)がある。

 ペルフルオロ(ブテニルビニルエーテル) 環化重合してなる繰り返し単位のみからな ペルフルオロホモポリマーが好ましい理由 、官能基を有しない開始剤末端などを完全 フッ素化処理したポリマーを使用した場合 あっても、実用上十分な膜強度および基材 の密着性を有する含フッ素ポリマー薄膜が られるためである。この理由については明 になっていないが、従来の含フッ素ポリマ 薄膜の製造方法で利用されている含フッ素 リマー原料と異なり、比較的大きい分子量( えば、重量平均分子量で3,000~80,000程度)を有 する場合においても、主鎖が開裂しない程度 の低温(具体的には、100~400℃)で蒸着可能であ り、蒸着源と同じ構造をもった含フッ素薄膜 が形成されているためと考えられる。

 本発明により形成される含フッ素ポリマー 膜は実用上十分な膜強度および基材との密 性を有しているが、さらに基材との密着性 向上させるため、主鎖に含フッ素脂肪族環 造を有する含フッ素ポリマーとして、基材 の化学結合を形成しうる官能基、および/ま たは、含フッ素ポリマーの分子間において化 学結合を形成しうる官能基を有するものを用 いることが好ましい。基材との化学結合を形 成しうる官能基としては、-COF基、-COOH基、-NH 2 基、-COOR基(Rはアルキル基を表す)、SiR 3-X (OR) x 基(Rはアルキル基、Xは1から3の整数を表す)、 -SiCl 3 基、-N=C=O基または-OH基が好ましい。前記-COOR またはSiR 3-X (OR) x 基のアルキル基の炭素数は1~4が好ましい。基 材との化学結合を形成しうる官能基としては 、-COOH基、-NH 2 基または-COOR基がより好ましい。また、含フ 素ポリマーの分子間において化学結合を形 しうる官能基としては、上記官能基に加え 、炭素原子-炭素原子の二重結合、炭素原子 -炭素原子の三重結合などが挙げられる。

 主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する含フ 素ポリマーが上記した基材との化学結合を 成しうる官能基、および/または、含フッ素 ポリマーの分子間において化学結合を形成し うる官能基を有する場合、官能基密度は、含 フッ素ポリマーの種類および官能基の種類に よって異なる。例えばペルフルオロ(ブテニ ビニルエーテル)を環化重合してなる繰り返 単位のみからなる重量平均分子量20,000のペ フルオロホモポリマーが、基材との化学結 を形成しうる官能基として-COOH基を有する 合、官能基密度は2.5×10 -6 ~1×10 -2 mol/gが好ましい。官能基密度が2.5×10 -6 mol/g未満の場合、基材との密着性を向上させ 効果が乏しい。一方で、官能基密度が1×10 -2 mol/gを超えると、基材との密着性に寄与しな 官能基によって光吸収が生じ、膜の透明性 損なわれる。

 蒸着源として用いる主鎖に含フッ素脂肪 環構造を有するペルフルオロポリマーは、 量平均分子量が3,000~80,000であり、10,000~80.000 が好ましく、10,000~40,000がより好ましい。重 平均分子量が3,000未満の場合は、形成される 含フッ素ポリマー薄膜で十分な膜強度が得ら れない。一方で、重量平均分子量が80,000を超 えると、実用的な成膜速度を与えるだけの蒸 気圧を有しないため、蒸着源を高温、具体的 には、400℃超の温度まで加熱する必要があり 、蒸着過程において含フッ素ポリマーの主鎖 が開裂し、含フッ素ポリマーが低分子量化し てしまい、形成される含フッ素ポリマー薄膜 の膜強度が不十分となる。この点に関して、 特許文献3の比較例1では蒸着法に用いる含フ 素有機物質ターゲットとして旭硝子社製のC YTOP(登録商標)を用いて250~700℃まで昇温しな ら堆積させた薄膜が耐久性に劣ることが示 れている。特許文献3には比較例1で使用した CYTOPの重量平均分子量は示されていないが、 販品で最も分子量が小さいCYTOP(型番:CTL-Aタ プ)の重量平均分子量が150,000であることか 、比較例1で使用したCYTOPは重量平均分子量 150,000以上であったと考えられる。CYTOPは従 の含フッ素ポリマー薄膜の製造方法で利用 れている含フッ素ポリマー原料に比べて低 で蒸着可能ではあるが、このような重量平 分子量が大きいものを蒸着源として使用し 場合、蒸着源を700℃という高温まで加熱す 必要があり、蒸着過程において含フッ素ポ マーの主鎖が開裂し、含フッ素ポリマーが 分子量化した結果、含フッ素ポリマー薄膜 膜強度が不十分になったと考えられる。

 蒸着源として用いる主鎖に含フッ素脂肪 環構造を有するペルフルオロポリマーがペ フルオロ(ブテニルビニルエーテル)を環化 合してなる繰り返し単位のみからなるペル ルオロホモポリマーである場合、ペルフル ロ(2-ブチルテトラヒドロフラン)中30℃にお る固有粘度[η]が、0.01~0.14dl/gが好ましく、0.0 2~0.1dl/gがより好ましく、0.02~0.08dl/gが特に好 しい。[η]が0.01dl/g未満の場合は、相対的に フッ素ポリマーの分子量が小さくなり、形 後の含フッ素ポリマー薄膜において十分な 強度が得られない。一方で、[η]が0.2dl/gを超 える場合は、相対的に含フッ素ポリマーの分 子量が大きくなり、実用的な成膜速度を与え るだけの蒸気圧を有しない。

「基材」
 本発明において、含フッ素高分子薄膜が形 される基材としては、金属、ガラス、セラ ック、有機高分子等の基材が挙げられる。 れらの基材は、板状、円筒状、球状、棒状 ブロック状、板状、円筒状、凸レンズ状、 レンズ状等の基材、さらにはナノメートル ーダーからマイクロメートルオーダーの微 構造を表面に有する基材など、幅広い形状 基材を好適に利用することができる。とり け、基材表面に所定の微細パターンを形成 れた基材や、基材表面に3次元構造を有する 矩体基材が好適に利用できる。
 基材の成形および加工方法としては、特に 定されず公知の方法が利用できる。また、 れらの基材の表面に、例えば銅製の配線や 明導電膜などが設けられていてもよい。

 本発明において、含フッ素ポリマー薄膜 の密着性を高めるために、含フッ素ポリマ 薄膜を形成する前に予め基材表面に表面処 を施してもよい。表面処理としては、シラ カップリング剤またはプライマー処理剤に る表面処理、硫酸やフッ酸などの酸または ゾンによる酸化処理、プラズマによる表面 理、UV光による光洗浄処理、研磨剤による 磨またはバフ掛けまたはウェットブラスト どの物理的洗浄処理など、公知の方法が利 できる。上記表面処理を1つのみを使用して 良く、2種もしくはそれ以上を組み合わせて 使用してもよい。

 含フッ素ポリマーとの密着性を高める目 で表面処理を施す場合、基材表面と含フッ ポリマー薄膜とが表面処理によって化学結 を形成するのが好ましい。この観点から、 記基材が、金属、ガラスまたはセラミック あり、かつシランカップリング剤による表 処理がされた基材であるのが好ましい。基 が有機高分子の場合はプライマー処理剤に る表面処理が好ましい。

 シランカップリング剤としては、アミノ基 有する3-アミノプロピルトリエトキシシラ 、アミノプロピルメチルジエトキシシラン のアミノシラン類、あるいはグリシジル基 有する3-グリシジルオキシプロピルトリメト キシシラン、グリシジルオキシプロピルメチ ルジメトキシシラン等のグリシジルシラン類 が好ましく、なかでもアミノシラン類がより 好ましい。また、プライマー処理剤としては 、FS-10(商品名:信越化学工業社製)などが例示 きる。
 シランカップリング剤およびプライマー処 剤は、スピンコーティング法、キャスト法 ディップ法などの湿式法、および真空蒸着 などの乾式法が適用できる。
 湿式法においては、シランカップリング剤 よびプライマー処理剤は、可溶する溶媒に り0.001~20質量%に調整されたものが用いられ 。処理方法はシランカップリング層および ライマー層の膜厚、均一性、被塗布物の形 等を考慮し、適宜選択すればよいが、スピ コート法、ディッピング法、ポッティング 、ロールコート法、バーコート法、印刷法 ダイコート法、カーテンフローコート法、 プレーコート法などが例示される。

 乾式法においては、シランカップリング およびプライマー処理剤をそのまま用いて よく、可溶する溶媒により0.001~20質量%に調 されたものを用いてもよい。処理方法はシ ンカップリング層およびプライマー層の膜 、均一性、被塗布物の形状等を考慮し、適 選択すればよいが、物理的蒸着法が好適で る。

「物理的蒸着法」
 本発明の含フッ素ポリマー薄膜の製造方法 おいて適用する物理的蒸着法として、真空 着法、スパッタ法が挙げられるが、含フッ ポリマーからのフッ素原子の脱離を抑制す こと、含フッ素ポリマーの主鎖の開裂を抑 すること、および、装置の簡便さより、真 蒸着法が好適に利用できる。
 真空蒸着法は、抵抗加熱法、電子ビーム加 法、高周波誘導加熱法、反応性蒸着、分子 エピタキシー法、ホットウォール蒸着法、 オンプレーティング法、クラスターイオン ーム法などに細分することができるが、い れの方法も適用することができる。含フッ ポリマーからのフッ素原子の脱離を抑制す こと、含フッ素ポリマーの主鎖の開裂を抑 すること、および、装置の簡便さより、抵 加熱法が好適に利用できる。真空蒸着装置 特に制限なく、公知の装置が利用できる。

 成膜条件は適用する真空蒸着法の種類によ 異なるが、抵抗加熱法の場合、蒸着前真空 は1×10 -3 Pa以下が好ましく、より好ましくは1×10 -4 Pa以下である。
 蒸着源の加熱温度は、フッ素原子の脱離や フッ素ポリマーの主鎖の開裂を生じること く、該含フッ素ポリマー蒸着源が十分な蒸 圧を有する温度であれば特に制限はない。
 具体的には100℃~400℃が好ましく、150℃~400 がより好ましく、200℃~400℃がとりわけ好ま い。加熱温度が100℃未満の場合は、実用的 成膜速度を得るのに十分な蒸気圧が得られ い場合がある。一方で、加熱温度が400℃を えるとフッ素原子の脱離や含フッ素ポリマ の主鎖の開裂が発生し、含フッ素ポリマー 膜の性能が低下する場合がある。
 真空蒸着時、基材温度は常温から200℃まで 範囲であることが好ましい。基材温度が200 を超えると、基材に使用出来る材料が制限 れる、成膜速度が低下する、基材の熱膨張 より冷却時に含フッ素ポリマー薄膜にしわ どの欠陥が形成される、などの問題が生じ 。基材温度は好ましくは150℃以下であり、 り好ましくは100℃以下である。

 含フッ素ポリマー薄膜の成膜後、必要に応 て熱処理を行う。熱処理によって、前述の 材との化学結合を形成しうる官能基、およ /または、含フッ素ポリマーの分子間におい て化学結合を形成しうる官能基が十分反応し 、含フッ素ポリマー薄膜の膜強度、および基 材との密着性を向上させることができる場合 がある。また、シランカップリング剤または プライマーによって表面処理された基板表面 と、含フッ素ポリマー薄膜と、の間で化学反 応が進行して、含フッ素ポリマー薄膜の膜強 度、および基材との密着性を向上させること ができる場合がある。
 熱処理条件は、基材の種類、含フッ素ポリ ーの種類および官能基の種類によって異な が、不活性ガスもしくは空気雰囲気下で、5 0~200℃で行うのが好ましい。熱処理温度が50 未満では、熱処理効果が得られない。一方 、熱処理温度が200℃を超えると、ポリマー 溶融もしくは軟化してしまい、薄膜の平坦 が損なわれる。

「含フッ素ポリマー薄膜」
 上記した手順で得られる本発明の含フッ素 リマー薄膜は、本質的に蒸着源である含フ 素ポリマーと同一の構造の含フッ素ポリマ からなる薄膜であり、重量平均分子量が3,00 0~80,000である。分子量分布を有する蒸着源を いた場合、含フッ素ポリマー蒸着源より重 平均分子量の小さい含フッ素ポリマー薄膜 形成される可能性があるが、形成される含 ッ素ポリマー薄膜の重量平均分子量が3,000~8 0,000であれば、基材との密着性および膜強度 優れている。
 本発明の含フッ素ポリマー薄膜の膜厚は100 m以下が好ましい。より好ましくは10μm以下 ある。膜厚が100μmを超える膜は成膜に時間 かかり、実用的ではなく、基材との密着性 低下する。下限については特に制限はない 、成膜されない部分(ピンホール)が生じる可 能性を考慮すれば、10nmが好ましい。本発明 含フッ素ポリマー薄膜の膜厚は、20nm~10μmが り好ましく、20nm~2μmがさらに好ましい。

 以下に、実施例を用いて本発明をさらに詳 く説明するが本発明はこれらに限定されな 。合成例1~合成例8、例1~3、例6~8、例10~15は 施例、例4~5、例9は比較例である。
(評価項目、評価方法)
<接触角(CA)>
 含フッ素ポリマー薄膜の接触角を、接触角 定装置(協和界面化学製、製品名;CA-X150)を用 いて測定した。被測定表面が清澄な状態で、 接触角の測定をする必要がある。被測定表面 を洗浄し清澄な状態とする方法としては、表 面を壊さない範囲で、公知の洗浄方法が利用 できる。例えば、アセトンやアルコールなど の有機溶媒による溶媒洗浄、UVランプによる 洗浄などが挙げられる。例1~10ではアセトン による溶媒洗浄を用いた。
<重量平均分子量>
 含フッ素ポリマー蒸着源の重量平均分子量 、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ (GPC)を用いて測定した。まず、分子量既知 含フッ素ポリマー標準試料を、GPCを用いて 定し、ピークトップの溶出時間と分子量か 、較正曲線を作成した。ついで、含フッ素 リマー蒸着源を測定し、較正曲線から分子 を求め、重量平均分子量を求めた。移動相 媒にはペルフルオロ(2-ブチルテトラヒドロ ラン)を用いた。
<官能基密度>
 含フッ素ポリマー蒸着源の官能基密度を、 1 H-NMRを用いて測定した。
<耐摩耗性試験>
 成膜した蒸着膜表面を、ラビングテスター( 井元製作所社製 商品名:ラビングテスターA  1566)を用い、クラフレックスクリーンワイパ (クラレ社製 型番:VS-30C)を荷重500gで5往復磨 耗した後、磨耗箇所の接触角を測定した。

(含フッ素ポリマー蒸着源の調製)
[合成例1]
 ペルフルオロ(ブテニルビニルエーテル)の30 g、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-トリデカフルオロヘキ サンの30g、メタノールの0.5g及び重合開始剤 して((CH 3 ) 2 -CH-OCOO) 2 の0.44gを、内容積50mlのガラス製反応器に入れ た。系内を高純度窒素ガスにて置換した後、 40℃で24時間重合を行った。得られた溶液を 666Pa(絶対圧)、50℃の条件で脱溶媒を行い、 合体Aを28g得た。重合体Aのペルフルオロ(2-ブ チルテトラヒドロフラン)中30℃における固有 粘度[η]は、0.04dl/gであった。
[合成例2]
 重合体Aを特開平11-152310に記載の方法により 、F 2 ガスにより不安定末端基を-CF 3 基に置換し、重合体Bを得た。重合体Bのペル ルオロ(2-ブチルテトラヒドロフラン)中30℃ おける固有粘度[η]は、0.04dl/gであった。
 前述の方法により、重合体Bの重量平均分子 量を測定した結果、20,000であった。また、前 述の方法により、官能基密度を測定した結果 、 1 H-NMRで測定可能な官能基密度は検出下限界(1× 10 -6 )以下であった。
[合成例3]
 重合体Aを特開平04-189880に記載の方法により 、空気中250℃で8時間熱処理を行った後、水 に浸漬させて、-COOH基を有する重合体Cを得 。重合体Cのペルフルオロ(2-ブチルテトラヒ ロフラン)中30℃における固有粘度[η]は、0.0 4dl/gであった。
 また、前述の方法により、官能基密度を測 した結果、-COOH官能基密度は2×10 -4 mol/gであった。
[合成例4]
 重合体Cを特開平04-226177に記載の方法により 、3-アミノプロピルトリエトキシシラン処理 行い、-Si(OC 2 H 5 ) 3 基を有する重合体Dを得た。重合体Dのペルフ オロ(2-ブチルテトラヒドロフラン)中30℃に ける固有粘度[η]は、0.04dl/gであった。
 また、前述の方法により、官能基密度を測 した結果、-Si(OC 2 H 5 ) 3 官能基密度は2×10 -4 mol/gであった。
[合成例5]
 重合体Aを、空気中250℃で8時間熱処理を行 た後、メタノール中に浸漬させて、-COOCH 3 基を有する重合体Eを得た。重合体Eのペルフ オロ(2-ブチルテトラヒドロフラン)中30℃に ける固有粘度[η]は、0.04dl/gであった。
 前述の方法により、重合体Bの重量平均分子 量を測定した結果、30,000であった。
 また、前述の方法により、官能基密度を測 した結果、-COOCH 3 官能基密度は1×10 -4 mol/gであった。
[合成例6]
 メタノールを0.03g及び重合開始剤として((CH 3 ) 2 -CH-OCOO) 2 を0.44gとした以外は合成例1と同様にして、重 合体Fを14g得た。重合体Fを、空気中250℃で8時 間熱処理を行った後、メタノール中に浸漬さ せて、-COOCH 3 基を有する重合体Gを得た。重合体Gのペルフ オロ(2-ブチルテトラヒドロフラン)中30℃に ける固有粘度[η]は、0.14dl/gであった。
 前述の方法により、重合体Gの重量平均分子 量を測定した結果、80,000であった。
[合成例7]
 ペルフルオロ(4-メチルブテニルビニルエー ル)の5g、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-トリデカフル ロヘキサンの5g、メタノール0.05g及び重合開 剤として((CH 3 ) 2 -CH-OCOO) 2 の0.06gを、内容積100mlのガラス製反応器に入 た。系内を高純度窒素ガスにて置換した後 40℃で48時間重合を行った。得られた溶液を 666Pa(絶対圧)、90℃の条件で脱溶媒を行い、 合体Hを4g得た。重合体Hの1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6, 6-トリデカフルオロヘキサン中30℃における 有粘度[η]は0.06dl/gであった。
[合成例8]
 ペルフルオロ(ブテニルビニルエーテル)の23 g、ペルフルオロ-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソー の5g、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-トリデカフルオロ ヘキサンの30g、メタノールの0.35g及び重合開 剤として((CH 3 ) 2 -CH-OCOO) 2 の0.44gを内容積200mlのSUS製オートクレーブに れた。系内を高純度窒素ガスにて置換した 、40℃で48時間重合を行った。得られた溶液 、666Pa(絶対圧)、90℃の条件で脱溶媒を行い 重合体Iを20g得た。重合体Iの1,1,1,2,2,3,3,4,4,5, 5,6,6-トリデカフルオロヘキサン中30℃におけ 固有粘度[η]は0.05dl/gであった。また、 19 F-NMRにより測定される重合体I中に含まれるペ ルフルオロ(ブテニルビニルエーテル)とペル ルオロ-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソールの比率 は、65:35であった。

[例1]
 重合体Bおよび基材として精密成形用の金型 (SUS316製)を用い、真空蒸着装置(ULVAC社製:VPC-41 0)を用いて基材上に含フッ素ポリマー薄膜を 成した。重合体Bを真空蒸着装置内のアルミ ナ製ルツボに3.5g充填し、真空蒸着装置内を1 10 -3 Pa以下に排気した。重合体Bを配置したルツボ のヒーターを昇温速度10℃/min以下の速度で加 熱し、ヒーター温度が250℃をこえた時点でシ ャッターを開けて基材上への成膜を開始させ た。ヒーター温度が400℃をこえた時点でシャ ッターを閉じて基材上への成膜を終了させた 。成膜終了時点の蒸着源の温度は350℃であっ た。
 前述した方法により、含フッ素ポリマー薄 の水の接触角を測定した結果、水の接触角 103°であり、該基材上に含フッ素ポリマー 膜が形成されていることを確認した。
 なお、含フッ素ポリマー薄膜を形成する前 金型表面における水の接触角は28°であった 。膜の密着性を碁盤目テープ剥離テストにて 行ったところ、この含フッ素ポリマー薄膜は 基材に対して、強固な密着性を示した。また 、膜の透明度を目視により、官能評価した結 果、無色透明な薄膜であった。

[例2]
 重合体Bの代わりに重合体Cを用いた以外は 例1と同様にして真空蒸着を行った。前述し 方法により、基材表面の水の接触角を測定 た結果、水の接触角は105°であり、基材上 含フッ素ポリマー薄膜が形成されているこ を確認した。膜の密着性を碁盤目テープ剥 テストにて行ったところ、この含フッ素ポ マー薄膜は基材に対して、強固な密着性を した。また、膜の透明度を目視により、官 評価した結果、無色透明な薄膜であった。

[例3]
 重合体Bの代わりに重合体Dを用いた以外は 例1と同様にして真空蒸着を行った。前述し 方法により、基材表面の水の接触角を測定 た結果、水の接触角は105°であり、基材上 含フッ素ポリマー薄膜が形成されているこ を確認した。膜の密着性を碁盤目テープ剥 テストにて行ったところ、この含フッ素ポ マー薄膜は基材に対して、強固な密着性を した。また、膜の透明度を目視により、官 評価した結果、無色透明な薄膜であった。

[例4]
 重合体Bの代わりにCYTOP(登録商標)(旭硝子社 、型番:CTL-Aタイプ、重量平均分子量:150,000) 用いた以外は、例1と同様にして真空蒸着を 行った。前述した方法により、基材表面の水 の接触角を測定した結果、水の接触角は28° あり、基材上には含フッ素ポリマー薄膜が 成されていなかった。

[例5]
 重合体Bの代わりにCYTOP(登録商標)(旭硝子社 、型番:CTL-Aタイプ、重量平均分子量:150,000) 用い、ヒーター温度が700℃をこえた時点で ャッターを閉じて成膜を終了した以外は、 1と同様にして真空蒸着を行った。前述した 方法により、基材表面の水の接触角を測定し た結果、水の接触角は81°であり、基材上に 含フッ素ポリマー薄膜が形成されているこ を確認した。しかしながら、膜の透明度を 視により、官能評価した結果、褐色に着色 た薄膜であった。また、膜の密着性を碁盤 テープ剥離テストにて行ったところ、容易 剥離し、良好な密着性を得られなかった。

[例6]
 エタノール/純水=95/5(重量比)の溶媒に0.05wt% 解した3-アミノプロピルトリエトキシシラ を精密成形用の金型(SUS316製)基材の表面に、 スピンコートにより塗布した。ついで、自然 乾燥させて、基材表面に対してシランカップ リング剤による表面処理を行った。
 上記手順で表面処理を行った基材、および 合体Bの代わりに重合体Cを用いた以外は、 1と同様にして真空蒸着を行い、さらに空気 囲気下180℃で加熱処理を行った。
 前述した方法により、基材表面の水の接触 を測定した結果、水の接触角は109°であり 基材上に含フッ素ポリマー薄膜が形成され いることを確認した。膜の密着性を碁盤目 ープ剥離テストにて行ったところ、この含 ッ素ポリマー薄膜は基材に対して非常に強 な密着性を示した。また、膜の透明度を目 により、官能評価した結果、無色透明な薄 であった。

[例7]
 基材として合成石英ガラス(商品名:AQQ 旭硝 子社製)を用い、真空蒸着装置を用いて基材 に含フッ素ポリマー薄膜を形成した。重合 Bを真空蒸着装置内のモリブデンボート(フル ウチ化学社製 商品名:VACOM Moボート BP-21-0.3t )に1.2g充填し、真空蒸着装置内を1×10 -3 Pa以下に排気した。重合体Bを充填したモリブ デンボートに60Aの電流量で電流を流して加熱 し、ボート内に充填した重合体Bを溶融させ 。ついで、電流量を調整し、水晶振動子膜 計による成膜速度が0.3nm/秒となるように調 した後、シャッターを開け0.3nm/秒の成膜速 で成膜を行った。水晶振動子膜厚計による 厚が1.2μmとなったところでシャッターを閉 、ボートへの加熱を停止し、成膜を終了し 。
 前述した方法により、含フッ素ポリマー薄 の水の接触角を測定した結果、水の接触角 114°であり、該基材上に含フッ素ポリマー 膜が形成されていることを確認した。
 なお、含フッ素ポリマー薄膜を形成する前 合成石英ガラス表面における水の接触角は2 1°であった。また、膜の透明度を目視により 、官能評価した結果、無色透明な薄膜であっ た。また、前述した方法により、含フッ素ポ リマー薄膜の耐摩耗性試験を行った結果、耐 摩耗性試験後の接触角は100°であり、基材上 この含フッ素ポリマー薄膜は、強固な耐摩 性を示した。
 重合体Bおよび得られた含フッ素ポリマー薄 膜の分子構造を 19 F-NMRにより測定した結果、重合体Bと含フッ素 ポリマー薄膜の分子構造がまったくの同一で あった。すなわち、成膜中にフッ素原子の脱 離や含フッ素ポリマーの主鎖の開裂は発生し ていなかった。

[例8]
 基材としてフロートガラス3mm(旭硝子社製) 重合体Bの代わりに重合体Cを用い、水晶振動 子による成膜速度を0.1nm/秒の成膜速度で水晶 振動子膜厚計による膜厚が500nmとなったとこ でシャッターを閉めた以外は、例7と同様に して真空蒸着を行い、さらに空気雰囲気下200 ℃で加熱処理を行った。
 前述した方法により、含フッ素ポリマー薄 の水の接触角を測定した結果、水の接触角 106°であり、該基材上に含フッ素ポリマー 膜が形成されていることを確認した。
 なお、含フッ素ポリマー薄膜を形成する前 フロートガラス3mmの表面における水の接触 は24°であった。また、膜の透明度を目視に より評価した結果、無色透明な薄膜であった 。また、前述した方法により、含フッ素ポリ マー薄膜の耐摩耗性試験を行った結果、耐摩 耗性試験後の接触角は70°であり、基材上の の含フッ素ポリマー薄膜は、やや強固な耐 耗性を示した。

[例9]
 基材としてフロートガラス3mm(旭硝子社製) 重合体Bの代わりにCYTOP(登録商標)(旭硝子社 、型番:CTL-Sタイプ、重量平均分子量:150,000) 用い、水晶振動子による成膜速度を0.1nm/秒 成膜速度で水晶振動子膜厚計による膜厚が50 0nmとなったところでシャッターを閉めた以外 は、例7と同様にして真空蒸着を行った。
 前述した方法により、含フッ素ポリマー薄 の水の接触角を測定した結果、水の接触角 108°であり、該基材上に含フッ素ポリマー 膜が形成されていることを確認した。
 また、膜の透明度を目視により評価した結 、褐色に着色した膜であった。さらに、膜 は微小な粉状物の付着が観測され、成膜中 蒸着源であるCYTOPが分解し、その分解物が 結合した膜であることが推定された。また 前述した方法により、含フッ素ポリマー薄 の耐摩耗性試験を行った結果、耐摩耗性試 後の接触角は45°であり、基材上のこの含フ 素ポリマー薄膜は、容易に剥離し、耐摩耗 を示さなかった。

[例10]
 エタノール/純水=95/5(重量比)の溶媒に0.05wt% 解した3-アミノプロピルトリエトキシシラ をフロートガラス3mm基材の表面に、スピン ートにより塗布した。ついで、自然乾燥さ て、基材表面に対してシランカップリング による表面処理を行った。
 上記手順で表面処理を行った基材を用いた 外は、例8と同様にして真空蒸着を行い、さ らに空気雰囲気下200℃で加熱処理を行った。
 前述した方法により、含フッ素ポリマー薄 の水の接触角を測定した結果、水の接触角 100°であった。該基材上に含フッ素ポリマ 薄膜が形成されていることを確認した。ま 、膜の透明度を目視により評価した結果、 色透明な薄膜であった。また、前述した方 により、含フッ素ポリマー薄膜の耐摩耗性 験を行った結果、耐摩耗性試験後の接触角 106°であった。前述した耐摩耗性試験をさら に繰り返し、合計100サイクルの耐磨耗性試験 を実施した後の接触角を測定したところ、100 サイクル耐摩耗性試験後の接触角は102°であ 、基材上のこの含フッ素ポリマー薄膜は、 常に強固な耐摩耗性を示した。

[例11]
 3-アミノプロピルトリエトキシシランを真 蒸着装置内のモリブデンボート(フルウチ化 社製 商品名:VACOM Moボート BP-21-0.3t)に2ml充 填した後、真空蒸着装置内を1Pa以下に排気し 、フロートガラス3mm基材の表面を3-アミノプ ピルトリエトキシシラン蒸気と接触させて 基材表面に対してシランカップリング剤に る表面処理を行った。
 基材として上記手順で表面処理を行った基 を用い、重合体Bの代わりに重合体Eを用い 水晶振動子による成膜速度を0.2nm/秒の成膜 度で水晶振動子膜厚計による膜厚が720nmとな ったところでシャッターを閉めた以外は、例 7と同様にして真空蒸着を行った。
 前述した方法により、含フッ素ポリマー薄 の水の接触角を測定した結果、水の接触角 104°であった。該基材上に含フッ素ポリマ 薄膜が形成されていることを確認した。ま 、膜の透明度を目視により評価した結果、 色透明な薄膜であった。また、前述した方 により、含フッ素ポリマー薄膜の耐摩耗性 験を行った結果、耐摩耗性試験後の接触角 103°であった。前述した耐摩耗性試験をさら に繰り返し、合計100サイクルの耐磨耗性試験 を実施した後の接触角を測定したところ、100 サイクル耐摩耗性試験後の接触角は103°であ 、基材上のこの含フッ素ポリマー薄膜は、 常に強固な耐摩耗性を示した。

[例12]
 重合体Bの代わりに重合体Gを用い、水晶振 子による成膜速度を0.04nm/秒の成膜速度で水 振動子膜厚計による膜厚が440nmとなったと ろでシャッターを閉めた以外は、例7と同様 して真空蒸着を行った。
 前述した方法により、含フッ素ポリマー薄 の水の接触角を測定した結果、水の接触角 107°であり、該基材上に含フッ素ポリマー 膜が形成されていることを確認した。
 また、膜の透明度を目視により評価した結 、無色透明な薄膜であった。また、前述し 方法により、含フッ素ポリマー薄膜の耐摩 性試験を行った結果、耐摩耗性試験後の接 角は93°であり、基材上のこの含フッ素ポリ マー薄膜は、強固な耐摩耗性を示した。

[例13]
 重合体Eの代わりに重合体Gを用い、水晶振 子による成膜速度を0.04nm/秒の成膜速度で水 振動子膜厚計による膜厚が440nmとなったと ろでシャッターを閉めた以外は、例11と同様 にして真空蒸着を行った。
 前述した方法により、含フッ素ポリマー薄 の水の接触角を測定した結果、水の接触角 107°であった。該基材上に含フッ素ポリマ 薄膜が形成されていることを確認した。ま 、膜の透明度を目視により評価した結果、 色透明な薄膜であった。また、前述した方 により、含フッ素ポリマー薄膜の耐摩耗性 験を行った結果、耐摩耗性試験後の接触角 109°であり、基材上のこの含フッ素ポリマー 薄膜は、強固な耐摩耗性を示した。

[例14]
 重合体Bの代わりに重合体Hを用い、水晶振 子による成膜速度を0.05nm/秒の成膜速度で水 振動子膜厚計による膜厚が500nmとなったと ろでシャッターを閉めた以外は、例7と同様 して真空蒸着を行った。前述した方法によ 、基材表面の水の接触角を測定した結果、 の接触角は111°であり、基材上に含フッ素 リマー薄膜が形成されていることを確認し 。また、膜の透明度を目視により、官能評 した結果、無色透明な薄膜であった。

[例15]
 重合体Bの代わりに重合体Iを用い、水晶振 子による成膜速度を0.05nm/秒の成膜速度で水 振動子膜厚計による膜厚が500nmとなったと ろでシャッターを閉めた以外は、例11と同様 にして真空蒸着を行った。
 前述した方法により、含フッ素ポリマー薄 の水の接触角を測定した結果、水の接触角 113°であった。該基材上に含フッ素ポリマ 薄膜が形成されていることを確認した。ま 、膜の透明度を目視により評価した結果、 色透明な薄膜であった。また、前述した方 を繰り返し、合計100サイクルの耐磨耗性試 を実施した後の接触角を測定したところ、10 0サイクル耐摩耗性試験後の接触角は110°であ り、基材上のこの含フッ素ポリマー薄膜は、 非常に強固な耐摩耗性を示した。

 本発明により得られる含フッ素ポリマー薄 は、撥水撥油コート、低反射コート、防汚 ート、非粘着コート、防水・防湿コート、 縁膜、耐薬品コート、エッチング保護膜、 屈折率膜、撥インクコート、ガスバリア膜 パターン化された機能膜などに好適に利用 きる。
 より具体的には、ディスプレイ用カラーフ ルターの表面保護膜、太陽電池カバーガラ 用防汚・反射防止膜、潮解性結晶やリン酸 ガラスの防湿・反射防止コート、位相シフ マスク、フォトマスクの表面保護・防汚コ ト、液浸リソグラフィ用フォトレジストの 液コート、コンタクトリソマスクの離型コ ト、ナノインプリントモールドの離型コー 、半導体素子や集積回路のパッシベーショ 膜、回路基板やLED等発光素子の銀電極のガ バリア膜、液晶表示素子の液晶配向膜、磁 記録媒体の潤滑コート、ゲート絶縁膜、エ クトロウェッティング原理を用いたデバイ 、エレクトレット膜、MEMSプロセスの耐薬品 コーティング、医療器具の防汚コート、マイ クロフルイディクス技術を利用したデバイス の耐薬・防汚・耐バイオ・撥液コート、光学 フィルター多層膜コートの低屈折材料、親水 撥水パターニングの撥水性材料、パターン化 された光学素子などに好適に利用できる。
 
 なお、2007年4月20日に出願された日本特許出 願2007-112141号および2007年9月18日に出願された 日本特許出願2007-241155号の明細書、特許請求 範囲及び要約書の全内容をここに引用し、 発明の明細書の開示として、取り入れるも である。