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Title:
FLUX CREEPING-UP PREVENTIVE COMPOSITION FOR SOLDER, ELECTRONIC MEMBER FOR SOLDER COATED WITH THE COMPOSITION, METHOD FOR SOLDERING THE MEMBER, AND ELECTRICAL APPLIANCE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/090798
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a flux creeping-up preventive composition for a solder that has flux creeping-up preventive properties comparable with those of a conventional flux creeping-up preventive agent comprising a polymer containing a polyfluoroalkyl group having 8 or more carbon atoms, wherein an influence on a living body and an environment can be significantly reduced. The flux creeping-up preventive composition comprises a polymer comprising at least one type of an (meth)acrylate polymerization unit (A) containing a perfluoroalkyl group having 6 or less carbon atoms and at least one type of a polymerization unit (B) derived from a hydroxyl group-containing unsaturated compound. The polymer has a weight average molecular weight (in terms of polymethyl methacrylate) of not less than 150000.

Inventors:
HIRABAYASHI RYO (JP)
ISHIWATA FUSAE (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/071320
Publication Date:
July 23, 2009
Filing Date:
November 25, 2008
Export Citation:
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Assignee:
AGC SEIMI CHEMICAL CO LTD (JP)
HIRABAYASHI RYO (JP)
ISHIWATA FUSAE (JP)
International Classes:
B23K35/36; B23K1/00; B23K35/363; C08F220/24; C08F220/26; H05K3/28; H05K3/34; B23K101/42
Domestic Patent References:
WO2007099760A12007-09-07
Foreign References:
JP2001135926A2001-05-18
JPH1133708A1999-02-09
JPH08301909A1996-11-19
JPH07201501A1995-08-04
Attorney, Agent or Firm:
WATANABE, Mochitoshi et al. (12-5 Iwamoto-cho 2-chome,Chiyoda-k, Tokyo 32, JP)
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Claims:
 下記式(a)で表される化合物から導かれる重合単位(A)と、水酸基を含有する不飽和化合物から導かれる重合単位(B)のそれぞれ少なくとも1種を含有し、重量平均分子量(ポリメチルメタクリレート換算)が15万以上である重合体を含むはんだ用フラックス這い上がり防止組成物:
CH 2 =C(R 1 )-C(O)O-Q 1 -R f  (a)
式中、R 1 :水素原子またはメチル基、
 Q 1 :単結合または2価の連結基、
 R f :主鎖の鎖長が炭素数1~6のポリフルオロアルキル基またはポリフルオロエーテル基を示す。
 前記R f 基が炭素数1~6の直鎖のパーフルオロアルキル基またはパーフルオロエーテル基である請求項1に記載の組成物。
 前記重合単位(B)が、下記式(b)で表される化合物から導かれる請求項1または2に記載の組成物:
CH 2 =C(R 1 )-C(O)O-Q 2 -OH (b)
式中、R 1 :前記式(a)と同じ、Q 2 :2価の連結基。
 前記重合体中の前記重合単位(B)の割合が10質量%以下である請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
 電子部材のはんだ付けする箇所に、請求項1~4のいずれかに記載の組成物からなる被膜を有し、はんだ用フラックス這い上がり防止性能を有する電子部材。
 電子部材のはんだ付けする箇所に、請求項1~4のいずれかに記載の組成物からなる被膜を形成し、該被膜の上にはんだ用フラックスを塗布した後、はんだ付けする、電子部材のはんだ付け方法。
 請求項6に記載の方法ではんだ付けした電子部材を含む電気製品。
Description:
はんだ用フラックス這い上がり 止組成物、該組成物を被覆したはんだ用電 部材、該部材のはんだ付け方法および電気 品

 本発明は、電気接点を有する電子部品ま はプリント基板等の電子部材のはんだ付け 際に、はんだ用フラックスの這い上がりを 止するための前処理剤として用いられるフ ックス這い上がり防止組成物に関する。ま 本発明は、該組成物から形成された被膜を するはんだ用電子部品またはプリント基板 どの電子部材、該組成物を用いるはんだ付 方法、さらに、はんだ付けされた上記電子 材を含む電気製品に関する。

 プリント基板に各種部品をはんだ付けし り、ICソケットにICをはんだ付けする際には 、予め、はんだの接着性を向上させるための フラックス処理が施される。一般のフラック スは、溶媒中に酸性成分を含む腐食剤である 。このため、コネクタ、スイッチ、ボリュー ム、半固定抵抗等の電子部品の電気接点部分 、またはプリント基板のはんだ付けが不要な 部分などにフラックスが浸透あるいは付着す ることは望ましくなく、これを防ぐ必要があ る。特に、電子部品のスルーホール部分など で起きる、フラックスが毛細管現象等により 這い上がる「フラックスの這い上がり」と呼 ばれる現象により、はんだ付けの不要な部分 にまでフラックスが付着あるいは浸透し、腐 食を起こすことを防ぐ必要がある。

 このため、はんだ付けに先立って、フラ クス這い上がりを防止するための前処理が われている。この前処理に用いられるフラ クス這い上がり防止剤は、通常、フラック の溶媒に対し撥溶媒性のあるポリマーを含 組成物である。従来、フラックスの溶媒は 型的にIPAであることから、撥IPA性がフラッ ス這い上がり防止性能の目安となる指標と て使用されている。そのため、フラックス い上がり防止剤の有効成分として、撥IPA性 高い、ポリフルオロアルキル基含有重合体 使用されてきた。

 このような重合体は、従来、典型的に、CH 2 =C(R 1 )COO-Q-R f  (式中、R 1 :水素原子またはメチル基、Q:2価連結基、R f :炭素数4~14のポリフルオロアルキル基)で表さ れるポリフルオロアルキル基含有(メタ)アク レートから導かれる重合体である(特許文献 1参照)。

特開平10-303536号公報

 米国環境保護庁(USEPA)は、野生動物や人の 血液を含め、種々の環境から検出されるパー フロオロオクタン酸(PFOA)の安全性に関する予 備リスク調査報告書を2003年3月に公開した。 らに、2006年1月には、PFOAとその類縁物質、 よびこれらの前駆体物質の環境中への排出 減と製品中の含有量削減計画への参加をフ 素樹脂メーカー等に提唱している。パーフ オロアルキル基の炭素数が6以下になると、 生体および環境へのリスクが大きく低下する 。

 しかしながら、重合体中のパーフルオロ ルキル基に起因する、疎水性、疎油性など 性能は、パーフルオロアルキル基の炭素数 8以上であると高いが、炭素数が6以下であ と著しく低下する。これは、炭素数が8以上 パーフルオロアルキル基が結晶性を持つた と言われている。フラックス這い上がり防 剤の性能の指標として重要な撥IPA性も、パ フロオロアルキル基の炭素数が6以下になる と、急激に低下する。特に低濃度で浸漬処理 した場合の性能低下は非常に大きい。

 さらに、フラックス這い上がり防止剤は 電子部品の接点部に処理されたフラックス い上がり防止皮膜により、接触不良が生じ のを防ぐため、非常に薄い皮膜であること 要求される。浸漬処理を行う場合は、非常 低濃度での撥IPA性能が要求される。

 本発明は、生体および環境への影響が少 い炭素数が6以下のポリフルオロアルキル基 を有する不飽和化合物から導かれる重合単位 を含有する重合体であるが、従来のポリフル オロアルキル基の炭素数が8以上の不飽和化 物から導かれる重合単位を含有する重合体 含むフラックス這い上がり防止剤と同等の 能を有し、フラックス這い上がり防止性能 高い、はんだ用フラックス這い上がり防止 成物の提供を目的とする。

 上記のような諸問題に鑑み、本発明は、 体および環境への影響が少ない炭素数が6以 下のポリフルオロアルキル基を有する不飽和 化合物から導かれる重合単位を含有する重合 体であるが、該重合体中への極性基の導入と 、該重合体の重量平均分子量を15万以上にす ことで、従来のポリフルオロアルキル基の 素数が8以上の不飽和化合物から導かれる重 合単位を含有する重合体を含むフラックス這 い上がり防止剤と同等の性能を有するフラッ クス這い上がり防止剤の提供を可能とした。

 本発明に係るはんだ用フラックス這い上が 防止組成物は、下記式(a)で表される化合物 ら導かれる重合単位(A)と、水酸基を含有す 不飽和化合物から導かれる重合単位(B)のそ ぞれ少なくとも1種を含有し、重量平均分子 量(ポリメチルメタクリレート換算)が15万以 である重合体を含む。
CH 2 =C(R 1 )-C(O)O-Q 1 -R f  (a)
式中、R 1 :水素原子またはメチル基、
 Q 1 :単結合または2価の連結基、
 R f :主鎖の鎖長が炭素数1~6のポリフルオロアル ル基またはポリフルオロエーテル基を示す

 上記式(a)において、好ましいR f 基は炭素数1~6の直鎖のパーフルオロアルキル 基またはパーフルオロエーテル基である。
 また式(a)において、好ましいQ 1 は単結合または炭素数1~6の直鎖アルキレン基 、アミノ基、スルホニル基、またはこれらの 組合せである。

 上記重合単位(B)は、好ましくは下記式(b)で される化合物から導かれる。
CH 2 =C(R 1 )-C(O)O-Q 2 -OH (b)
式中、R 1 :前記式(a)と同じ、Q 2 :2価の連結基。

 上記重合体中の重合単位(B)の割合が10質量% 下である態様は好ましい。
 本発明に係るはんだ用フラックス這い上が 防止組成物は、通常、液状形態であり、好 しくは上記のような重合体を0.001~10質量%の 度で含有する。

 本発明の他の態様は、電子部材のはんだ けする箇所の一部または全部に、上記いず かの組成物からなる被膜を有し、はんだ用 ラックス這い上がり防止性能を有する電子 材である。

 また、本発明は、電子部材のはんだ付け る箇所の一部または全部に、上記のいずれ の組成物からなる被膜を形成し、該被膜の 部または全部をはんだ用フラックスで塗布 、はんだ付けする、電子部材のはんだ付け 法を提供し、さらに、該方法ではんだ付け れた電子部材を含む電気製品をも提供する

 本発明は、フラックス這い上がり防止組成 において、重合体中の炭素数が8以上のポリ フルオロアルキル基の含有量を抑えて、生体 および環境への安全性を確保するだけではな く、ポリフルオロアルキル基の鎖長の減少に よる這い上がり防止性能の低下を抑え、従来 品と同程度の性能を維持することを可能にし た。
 本発明のフラックス這い上がり防止組成物 、それにより形成される被膜の接触抵抗や んだ濡れ性が該被膜のない状態と同じであ ことから、電子部品等に被膜を形成しても 接点部が被膜による接触不良を起こす可能 が低く、さらに、被膜形成部分のはんだ付 に支障が生じにくいものと考えられる。

 なお本明細書中、(メタ)アクリレートと 、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸 ステルの両方またはどちらか一方を表す。

 本発明のはんだ用フラックスの這い上がり 止組成物(「這い上がり防止剤」とも記す) 被覆成分として含む重合体は、下記式(a)で される化合物から導かれる重合単位(A)と、 酸基を含有する不飽和化合物から導かれる 合単位(B)のそれぞれ少なくとも1種を含有す 。
 CH 2 =C(R 1 )-COO-Q 1 -R f   (a)
 ただし、式中の記号は以下の意味を示す。
 R 1 :水素原子またはメチル基、
 Q 1 :単結合または2価の連結基、
 R f :主鎖の鎖長が炭素数1~6のポリフルオロアル ル基またはポリフルオロエーテル基。

 ポリフルオロアルキル基とは、アルキル基 水素原子の2個ないし全部がフッ素原子に置 換された部分フルオロ置換またはパーフルオ ロ置換アルキル基を意味する。上記R f 基で示されるポリフルオロアルキル基は、直 鎖構造または分岐構造のいずれであってもよ いが、主鎖の鎖長(側鎖を含まない炭素数)が 素数1~6のアルキル基に対応する部分フルオ 置換またはパーフルオロ置換アルキル基で る。具体的には、たとえば、メチル、エチ 、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル イソプロピル、3-メチルブチルなどのアル ル基に対応する部分またはパーフルオロ置 アルキル基が挙げられる。
 また、ポリフルオロエーテル基とは、上記 リフルオロアルキル基中の1箇所以上の炭素 -炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入さ た基を意味する。

 上記のうちでも、R f 基のパッキングを上げる観点からR f 基は直鎖構造が好ましい。同様の理由から、 分岐構造である場合には、分岐部分がR f 基の末端部分に存在する場合が好ましい。
 また、R f 基としては、ポリフルオロアルキル基が好ま しい。さらに、R f 基は、実質的に全フッ素置換されたパーフル オロアルキル基(R F )が好ましく、主鎖の鎖長が炭素数1~6のR F 基であることがより好ましく、直鎖のR F 基であることが特に好ましい。

 Q 1 は、単結合または2価の連結基である。2価の 結基としては、これらに限定されるもので ないが、-O-、-S-、-N(R)-(ここでのRはHまたは 素数1~3のアルキル基)、-SO 2 -、-PO 2 -、-CH=CH-、-CH=N-、-N=N-、-N(O)=N-、-COO-、-COS-、-C ONH-、-COCH 2 -、-CH 2 NH-、-CH 2 -、-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-CO-、直鎖状もしくは 岐状のアルキレン基またはアルケニレン基 -(CH 2 CH 2 O) n -、-(CH 2 CH 2 CH 2 O) n -(ここでのnは1~30の整数)などのアルキレンオ シ基、2価の4、5、6または7員環置換基、ま それらから構成される縮合置換基、フェニ ンなどの6員環芳香族基、4ないし6員環の飽 または不飽和の脂肪族基、5または6員環複素 環基、またはそれらの縮合環が挙げられる。 また、これら2価の連結基の組合せから構成 れる基が挙げられる。

 上記の連結基は、置換基を有していても く、置換基の例としては、ハロゲン原子(F Cl、Br、I)、水酸基、シアノ基、アルコキシ (メトキシ、エトキシ、ブトキシ、オクチル キシ、メトキシエトキシなど)、アリーロキ シ基(フェノキシなど)、アルキルチオ基(メチ ルチオ、エチルチオなど)、アシル基(アセチ 、プロピオニル、ベンゾイルなど)、スルホ ニル基(メタンスルホニル、ベンゼンスルホ ルなど)、アシルオキシ基(アセトキシ、ベン ゾイルオキシなど)、スルホニルオキシ基(メ ンスルホニルオキシ、トルエンスルホニル キシなど)、ホスホニル基(ジエチルホスホ ルなど)、アミド基(アセチルアミノ、ベンゾ イルアミノなど)、カルバモイル基(N,N-ジメチ ルカルバモイル、N-フェニルカルバモイルな )、アルキル基(メチル、エチル、プロピル イソプロピル、シクロプロピル、ブチルな )、アリール基(フェニル、トルイルなど)、 素環基(ピリジル、イミダゾリル、フラニル ど)、アルケニル基(ビニル、1-プロペニルな ど)、アルコキシアシルオキシ基(アセチルオ シなど)、アルコキシカルボニル基(メトキ カルボニル、エトキシカルボニルなど)、お び重合性基(ビニル基、アクリロイル基、メ タクロイル基、シリル基、桂皮酸残基など) どが挙げられる。

 Q 1 は、単結合または2価の連結基であれば適宜 択可能であるが、単結合、または炭素数1~6 直鎖もしくは分岐状のアルキレン基、フェ レン基、アミノ基(-N(R)-)、スルホニル基(-SO 2 -)およびこれらの組合せから選ばれる2価の連 結基であることが好ましい。ここでの組合せ の2価の連結基としては、具体的に、-N(R)-SO 2 -、上記アルキレン基またはフェニレン基と-N R-、-SO 2 -または-N(R)-SO 2 -との連結基などが挙げられる。アルキレン は直鎖状が好ましい。

 式(a)で表される化合物のうちでも好適なも は、下記式(a1)で表される。
CH 2 =C(R 1 )-COO-(CH 2 ) p -R f   (a1)
 式中、p:0~6の整数、
 R 1 、R f :式(a)と同じ。

 上記のうちでも、R f が炭素数1~6の直鎖のパーフルオロアルキル基 (R F )である構造の化合物が特に好適である。こ ような化合物は、具体的には、
CH 2 =CH-COO-(CH 2 ) 2 -C 6 F 13
CH 2 =C(CH 3 )-COO-(CH 2 ) 2 -C 6 F 13
CH 2 =CH-COO-(CH 2 ) 2 -C 4 F 9
CH 2 =C(CH 3 )-COO-(CH 2 ) 2 -C 4 F 9
などである。

 重合単位(B)は、水酸基を含有する不飽和化 物から導かれる。この化合物は、下記式(b) 表される化合物であることが好ましい。
CH 2 =C(R 1 )-C(O)O-Q 2 -OH (b)
 式中、R 1 :式(a)における定義と同じであり、Q 2 :2価の連結基である。
 Q 2 は、2価の連結基であれば適宜選択可能であ 、前記式(a)におけるQ 1 と同様のものが挙げられるが、これらに限定 されるものではない。

 上記のうちでも、下記式(b1)で表される化合 物が好ましい。
CH 2 =C(R 1 )-C(O)O-Q 3 -OH (b1)
 式中、R 1 は前記と同じであり、Q 3 は、アルキレン基、フェニレン基、シクロヘ キシレン基、エステル結合、アミド結合、-(C H 2 CH 2 O) n -、-(CH 2 CH 2 CH 2 O) n -、またはこれらの組合せである(ここでのnは 1~30の整数)。これらの基は、たとえば水酸基 アリール基等の置換基を有していてもよい Q 3 の具体例を表1に示す。Phはフェニル基である 。

 上記表1におけるn=1~10

 本発明に係る重合体は、上記のような重 単位(A)および重合単位(B)の各少なくとも1種 を含有する共重合体であり、重合単位(B)が、 式(b)で表される化合物から導かれるものであ るのが好ましく、重合単位(A)が式(a1)で表さ る化合物から導かれ、かつ重合単位(B)が式(b 1)で表される化合物から導かれるものである がより好ましい。

 重合体の重合単位(A)の含有量は、好まし は90質量%以上であり、より好ましくは95質 %以上である。重合単位(A)の含有量が90質量% 上であれば、撥IPA性能を保持し、這い上が 防止性能を保持することができる。

 重合体の重合単位(B)の含有量は、好ましく 0.1~10質量%であり、より好ましくは0.5~5質量% である。上記範囲内であると、共重合体の撥 IPA性能が向上し、良好なフラックスの這い上 がり防止性能を得ることができる。含有量が 少なすぎると這い上がり防止性能が低く、含 有量が多すぎると共重合体の溶剤への溶解性 が著しく低くなる。
 なお、本発明に係る重合体において、各重 単位の含有量は、実質的に、重合仕込み量 みなすことができる。また、重合単位(A)ま は(B)において、重合単位が2種以上からなる 場合には、上記含有量は、各重合単位の合計 でのものである。

 本発明に係る重合体は、上記のような重 単位(A)および(B)とともに、他の重合単位(C) 含んでいてもよい。他の重合単位(C)は、上 (A)および(B)を形成する化合物と共重合しう 化合物から導かれる重合単位であれば特に 定されない。この化合物として、通常、重 性基を有する化合物(c)が挙げられ、具体的 は、スチレン系化合物(c1)、上記重合単位(A) および(B)について例示した化合物以外の(メ )アクリル酸系化合物(c2)などの不飽和基を有 する化合物(c)およびさらに他の重合性化合物 (c3)が挙げられる。このような化合物(c)の具 例を以下に示すが、これらに限定されるも ではない。

 上記(c1)としては、下記式で表わされるスチ レン系化合物が挙げられる。

 式中、R 2 :-H、CH 3 、-Cl、-CHO、-COOH、-CH 2 Cl、-CH 2 NH 2 、-CH 2 N(CH 3 ) 2 、-CH 2 N(CH 3 ) 3 Cl、-CH 2 NH 3 Cl、-CH 2 CN、-CH 2 COOH、-CH 2 N(CH 2 COOH) 2 、-CH 2 SH、-CH 2 SO 3 Naまたは-CH 2 OCOCH 3 である。

 上記(c2)としては、アクリル酸、メタクリル 酸および下記式で表わされる(メタ)アクリレ トが挙げられる。
CH 2 =C(R 1 )-COO-R 3
 式中、R 1 :水素原子またはメチル基であり、R 3 :-CH 3 -CH 2 CH 2 N(CH 3 ) 2 、-(CH 2 ) m H (m=2~20)、-CH 2 CH(CH 3 ) 2 、-CH 2 -C(CH 3 ) 2 -OCO-Ph、-CH 2 Ph、-CH 2 CH 2 OPh、-CH 2 N(CH 3 ) 3 Cl、-(CH 2 CH 2 O) m CH 3 (m=2~20)、-(CH 2 ) 2 -NCO、

である。

 上記(c2)としては、さらに、アクリル酸ジエ ステル等の(メタ)アクリル酸のポリエステル よび下記式で表わされる化合物なども挙げ れる。
CH 2 =C(R 1 )-CONH-R 4
 式中、R 1 :水素原子またはメチル基であり、R 4 :-C m H 2m+1 (m=2~20)、-Hである。

 さらに他の重合性化合物(c3)としては、上記 (c1)および(c2)以外のビニル化合物、たとえば 化ビニル(CH 2 =CHCl)、アクリロニトリル(CH 2 =CHCN)などが挙げられる。
 また、重合性化合物(c3)としては、以下のよ うなエポキシ基を有する不飽和エステルも挙 げられる。

 本発明に係る重合体は、重合単位(C)とし 、上記のような化合物(c)の1種または2種以 から導かれる重合単位を含むことができ、 の種類によっても異なるが、重合単位(C)全 で、50質量%以下、好ましくは20質量%以下の で含むことができる。

 上記のような重合体の分子量が小さいと、 分に這い上がり防止性能を発揮することが きない。このため、本発明に係る重合体は 上記のような構造とともに、這い上がり防 性能を充分に発揮するための高分子量を必 とし、具体的には、重量平均分子量(Mw)で15 以上の分子量をもつのが好ましく、より好 しくは18万以上、さらに好ましくは20万以上 である。しかしながら、分子量が余りにも大 きすぎると溶媒への溶解性、重合物の取り扱 いが困難になるため、最大でも200万までが好 ましく、100万以下がより好ましい。50万以下 も充分な場合もある。
 なお、本発明における重量平均分子量とは GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー;カラム充 剤:スチレンジビニルベンゼン共重合体,移動 層:アサヒクリンAK-225(商品名)により測定され るポリメチルメタクリレート(標準物質)換算 子量である。

 本発明に係る重合体は、上記のような重 単位(A)および(B)、付加的な重合単位(C)を含 以外は、重合形態などについては特に制限 れない。重合形態は、ランダム、ブロック グラフトなどのいずれでもよく、特に制限 れないが、通常、ランダム共重合体が好ま い。

 その製造方法についても特に制限されな が、本発明では、通常、各化合物中の不飽 基に基づき付加重合させることができる。 合に際しては、公知の不飽和化合物の付加 合条件を適宜に採択して行うことができる たとえば重合開始源としては、特に限定さ ないが、有機過酸化物、アゾ化合物、過硫 塩等の通常の開始剤が利用できる。

 本発明に係る重合体を重合する際には、 合原料の上記化合物とともに、本発明の効 を損ねない範囲において、所望されるその の成分を使用してもよい。その他の成分と ては、上記開始剤、さらには重合調整剤、 合触媒、反応性の染料および帯電防止剤等 挙げられる。このようなその他の成分の重 体中の合計含有率は、好ましくは10質量%以 、より好ましくは5質量%以下、さらに好ま くは1質量%以下である。

 本発明の這い上がり防止剤は、上記重合 を含み、通常、該重合体が溶媒に溶解また 分散した液状組成物である。このため、重 体を後述する溶媒を重合媒体とする溶液重 で製造し、重合により液状組成物を直接調 することは好ましい態様である。重合原料 化合物が、塩化ビニルなどのガスである場 には、圧力容器を用いて、加圧下に連続供 してもよい。

 組成物を形成する溶媒は、重合体を溶解 たは分散できるものであればよく、特に限 されず、各種有機溶媒、水、またはこれら 混合媒体などが挙げられる。重合体は、特 フッ素系溶媒に溶解しやすく、ハイドロク ロフルオロカーボン(HCFC)およびパーフルロ ーボン(PFC)の使用も可能である。社会的環 問題を考慮すると、ハイドロフルオロカー ン(HFC)またはハイドロフルオロエーテル(HFE) どが好ましい。使用可能なフッ素系溶媒の 体例を以下に示すが、これらに限定される のではない。

m-キシレンヘキサフルオリド(以下、m-XHFと記 。)、
p-キシレンヘキサフルオリド(以下、p-XHFと記 。)、
CF 3 CH 2 CF 2 CH 3
CF 3 CH 2 CF 2 H、
C 6 F 13 OCH 3
C 6 F 13 OC 2 H 5
C 3 F 7 OCH 3
C 3 F 7 OC 2 H 5
C 6 F 13 H、
CF 2 HCF 2 CH 2 OCF 2 CF 2 H、
CF 3 CFHCFHCF 2 CH 3
CF 3 (OCF 2 CF 2 ) n (OCF 2 ) m OCF 2 H(m、nはいずれも1~20)、
C 3 F 17 OCH 3
C 7 F 15 OCH 3
C 4 F 9 OCH 3
C 4 F 9 OC 2 H 5
CF 3 (CF 2 ) 3 OC 2 H 5
(CF 3 ) 2 CFCF 2 OC 2 H 5
C 4 F 9 CH 2 CH 3
CF 3 CH 2 OCF 2 CF 2 CF 2 H、
CF 3 CF 2 CHCl 2
CClF 2 CF 2 CHClF
およびこれらの混合物。
 たとえばCF 3 CF 2 CHCl 2 とCClF 2 CF 2 CHClFとの混合物がアサヒクリンAK-225(旭硝子( )製)の商品名で、CF 3 (CF 2 ) 3 OC 2 H 5 と(CF 3 ) 2 CFCF 2 OC 2 H 5 とのハイドロフルオロエーテル混合物がノベ ックHFE7200(3M社製)の商品名で入手可能である

 本発明の這い上がり防止剤は、通常、上 重合体を好ましくは0.001~10質量%、より好ま くは0.01~1質量%の濃度で含む。重合体の濃度 がこの範囲内であれば、這い上がり防止性能 を十分に発揮でき、組成物の安定性も良好で ある。なお這い上がり防止剤中の上記重合体 濃度は、最終的濃度であればよく、たとえば 這い上がり防止剤を重合組成物として直接調 製する場合には、重合直後の重合組成物の重 合体濃度(固形分濃度)が10質量%を超えていて なんら差し支えない。高濃度の重合組成物 、最終的に上記好ましい濃度となるように 宜に希釈することができる。

 本発明の這い上がり防止剤は、組成物の 定性、フラックス這い上がり防止性能また 外観等に悪影響を与えない範囲であれば、 意の所望成分を含んでいてもよい。このよ な成分としては、たとえば被膜表面の腐食 防止するためのpH調整剤、防錆剤、組成物 希釈して使用する場合に液中の重合体の濃 管理をする目的や未処理部品との区別をす ための染料、染料の安定剤、難燃剤、消泡 、および帯電防止剤等が挙げられる。

 本発明では、電子部材の表面のはんだ付 する箇所の一部または全部に、上記のよう 這い上がり防止剤の被膜を形成し、該被膜 一部または全部をはんだ用フラックスで処 した後、はんだ付けする、電子部材のはん 付け方法が提供される。この際には、這い がり防止剤を目的および用途に応じて、任 の濃度に希釈し、電子部材に被覆すること できる。被覆方法としては、一般的な被覆 工方法が採用できる。たとえば、浸漬塗布 スプレー塗布、または本発明の組成物を充 したエアゾール缶による塗布等の方法があ 。

 電子部材としては、具体的に、コネクタ スイッチ、ボリューム、または半固定抵抗 の電気接点を有する電子部品、電気接点を するプリント基板などが挙げられる。本発 の這い上がり防止剤で被覆される箇所とし は、プリント基板にコネクタ等の電子部品 はんだ付けする際に、フラックスの這い上 りが起こりうる箇所が挙げられる。より詳 くは、プリント基板に取り付けるコネクタ の電子部品の付け根部分、プリント基板の 子部品本体が実装される側の基板表面、ま は電子部品を取り付けるためのプリント基 に設けられたスルーホール等が挙げられる また、電子部品またはプリント基板の表面 体に被覆してもよく、上記以外の被覆方法 採用できる。たとえば、被覆効率のよい全 漬または半浸漬による方法も採用できる。

 這い上がり防止剤塗布後は、溶媒の沸点 上の温度で乾燥を行うことがより好ましい 無論、被処理部品の材質などにより、加熱 燥が困難な場合には、加熱を回避して乾燥 べきである。なお、加熱条件は、塗布する 成物の組成や、塗布面積等に応じて選択す ばよい。

 本発明の這い上がり防止剤は、電子部品 たはプリント基板等の電子部材の表面に被 を形成させ、はんだ用フラックスの這い上 りを防止する。したがって本発明により、 ラックスによる腐食が防止された電子部品 たはプリント基板等の電子部材が提供され 。

 上記により被膜(乾燥)が表面に形成された 子部品またはプリント基板等の電子部材は 次にはんだ用フラックスで処理され、その 、はんだ付けが行われる。はんだ付けの方 は特に制限されることなく、従来公知の方 に従って実施される。
 フラックス及びはんだの種類についても、 に制限されることはなく、電子部材のはん 付けに常用されているものが使用可能であ 。

 そして該電子部品またはプリント基板等 電子部材は種々の電気製品の材料として用 られる。該電気製品は、フラックスによる 食が原因で起こる障害が防止された、優れ 品質の電気製品である。該電気製品の具体 としては、コンピュータ用機器、テレビ、 ーディオ用機器(ラジオカセット、コンパク トディスク、ミニディスク)等に用いられる 器用、携帯電話などが挙げられる。

 以下に本発明を具体的に説明するが、本発 は以下の実施例に限定されるものではない なお、特に断わりのない限り、以下の実施 の記載において「%」で表示されるものは「 質量%」を表すものとする。
 以下の調製例で使用した重合モノマーを表2 に示す。これらの化合物は、すべて市場から 試薬として入手することができる。

(実施例1~5)
<重合組成物の調製>
 密閉容器に、モノマー、重合溶剤(m-XHF)、開 始剤のジメチル2,2'-アゾビス(2-メチルプロピ ナート)(V-601:和光純薬工業(株)製商品名)を それぞれ表3に記載の仕込み比で仕込み、70 で26時間反応を行い、重合組成物1~5を得た。 以下のように求めた各重合組成物の各重合体 の分子量を表3に示す。
 以下において、重合組成物を希釈する際に 、反応により得られた所定量の重合組成物 120℃で2時間乾燥させた後の乾燥残分を重合 体として秤量し、重合組成物の重合体濃度%( 量%)を求めた。

[重量平均分子量の測定]
 重合組成物を、重合体の濃度が約1%になる うに、アサヒクリンAK-225(旭硝子(株)製)を用 て希釈し、測定サンプルとした。昭和電工 式会社製Shodex GPC-104を用いて、以下の条件 GPCを測定した。
<GPC測定条件>
Separtion Column:LF-604(充填剤:スチレンジビニル ンゼン共重合体,昭和電工株式会社製)×2
Default Column:KF600RH(充填剤:なし,昭和電工株式 社製)×2
Clean Liquid:AK-225
Flow Rate:0.2ml/min
標準物質:ポリメチルメタクリレート

(比較例1~9)
 表3に記載の仕込みモノマーに代えた以外は 、実施例1と同様にして比較重合組成物1~9を た。実施例と同様にして求めた各重合組成 の各重合体の分子量を表3に示す。

(試験1)撥IPA性
 上記実施例および比較例で得られた各重合 成物を、HFE7200(3M社製)で希釈し、重合体濃 0.05%の各はんだ用フラックス這い上がり防止 剤を調製した。
 このはんだ用フラックス這い上がり防止剤 ついて、IPAに対する接触角を測定し、撥IPA を評価した。結果を上記表3に示す。接触角 の測定方法は以下のとおりである。
[接触角の測定]
 銀めっき加工(3μm)を施したテストピースに 止剤の各々に、常温で1分間浸漬後、取出し て室温で乾燥させて、這い上がり防止剤の被 膜を処理した。該銀めっき板に、2-プロパノ ル(IPA)を滴下して接触角の測定を行った。 触角の測定には、自動接触角計OCA-20[dataphysic s社製]を用いた。

(試験2)
 実施例1~5の重合組成物を、HFE7200を用いて希 釈し、重合体濃度1%のはんだ用フラックス這 上がり防止剤を調製した。
 銀めっき加工(3μm)を施したテストピースを 上記各這い上がり防止剤中に、常温で1分間 浸漬後、取出して室温で乾燥させて、這い上 がり防止剤による処理を行なった。

[接触抵抗の測定]
 処理後の各テストピースについて、以下の 件で接触抵抗を測定した。
接触抵抗接触抵抗評価・測定装置:MS2007(ファ トケイ株式会社)
プローブ:Pt,φ=1mm
基材:銀めっき板(10×50×1mm、日本テストパネ 株式会社)
処理条件:1分間浸漬後、室温で20分以上風乾
測定荷重:5gf~100gf

[はんだ濡れ性(ゼロクロスタイム)の測定]
 上記処理後の各テストピースについて、ゼ クロスタイムを測定した。
 ゼロクロスタイムははんだの濡れ性の目安 あり、短時間の方が濡れやすいことを意味 、性能が良好と評価される。

 ゼロクロスタイムの測定には、SAT-5100(株式 社レスカ)を用いた。
<測定条件>
使用はんだ:H63A-B20(共晶はんだ、千住金属工 株式会社)
はんだ温度:235℃
フラックス:ロジンフラックス25%IPA溶液(千住 属工業株式会社)
基材:銀めっき板(10×30×0.3mm、株式会社レスカ )
浸漬条件:浸漬速度:20mm/sec、浸漬深さ:2mm、浸 時間:10sec
処理条件:1分間浸漬後、室温で20分以上風乾

 接触抵抗およびはんだ濡れ性(ゼロクロスタ イム)の評価結果を表4に示す。
 這い上がり防止剤としては、一般的な這い がり防止剤の濃度よりもかなり濃い1%濃度 処理を行っても、未処理とほとんど変わら い接触抵抗を示した。このことより、這い がり防止剤による被膜が電気部品の接点部 形成されても、接触不良を起こす可能性が 常に低いことが確認できた。
 また、上記1%濃度で処理後のゼロクロスタ ムについても、1秒以下であることから、這 上がり防止被膜がはんだ付け部分に処理さ ていても、はんだ付けに影響を与えないこ が確認できた。

 上記のように、本発明の這い上がり防止 は、パーフルオロアルキル基の炭素数が6以 下であっても、低濃度における撥IPA性が、従 来のパーフルオロアルキル基の炭素数が8以 のものと同等であった。この事は、本発明 、生体および環境へのリスクを大きく低下 せながらも、従来品と同程度の高い性能を する這い上がり防止剤の提供を可能にする とを示している。

(試験3)
 実施例1,4および5と、比較例1,2,8および9で得 られた重合組成物を、HFE7200で希釈し、重合 濃度0.05%および0.01%の極低濃度の希釈液を調 し、それらのフラックスの這い上がり性能 検討した。具体的な這い上がり性能評価の 例として、サイド型コネクター05FDZ-ST(S)(LF)( SN)(日本圧着端子製)を用い、いくつかの試験 条件を設定する方法により、以下のような 験を実施した。
 コネクター部品を上記希釈液に1分間浸漬し 、取り出した後室温で30分間乾燥させた。コ クター部品を、リード線の付け根までフラ クスに10秒間漬けた。部品を基板に設置し 部品を設置した状態ではんだ付け面をフラ クスに漬けた。235℃で溶融させた共晶はん (H63A-B20 千住金属工業株式会社)に、はんだ け面を漬け、はんだ付けを行った。コネク ー部品を解体して、接点部分にフラックス 這い上がっているかどうかを確認した。
 上記のようなフラックスの這い上がり性能 価の結果を表5に示す。本発明の重合組成物 は、低濃度でも充分な性能を示すことが確認 できた。


○:這い上がり無 ×:這い上がり有