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Title:
FORMED PRODUCT OF MAGNESIUM ALLOY AND MAGNESIUM ALLOY SHEET
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2010/047045
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided are a formed product of magnesium alloy excellent in impact resistance and a magnesium alloy sheet suitable for use as a material for the formed product.  The formed product is produced by press-forming a magnesium alloy sheet containing 7 to 12mass% of Al, and includes a flat portion which has not undergone drawing deformation.  In the metal structure of a cross section prepared by cutting the formed product in the flat portion in the sheet thickness direction, the number of coarse particles of an intermetallic compound (Mg17Al12) which have diameters of 5μm or larger and which are present in the surface region lying to a depth of 1/3 of the sheet thickness from the surface is 5 or smaller.  The formed product has a structure wherein fine precipitates (d0) are dispersed with few coarse precipitates (d1).  By virtue of dispersion strengthening yielded by the fine precipitates and solid-solution strengthening yielded by enough solid-solutioned Al, the formed product is less susceptible to getting dented even when an impact is applied to the press-formed product.

Inventors:
OISHI YUKIHIRO (JP)
KAWABE NOZOMU (JP)
OKUDA NOBUYUKI (JP)
MORI NOBUYUKI (JP)
NUMANO MASATADA (JP)
MORI KOJI (JP)
KITAMURA TAKAHIKO (JP)
INOUE RYUICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/005004
Publication Date:
April 29, 2010
Filing Date:
September 29, 2009
Export Citation:
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Assignee:
SUMITOMO ELECTRIC INDUSTRIES (JP)
OISHI YUKIHIRO (JP)
KAWABE NOZOMU (JP)
OKUDA NOBUYUKI (JP)
MORI NOBUYUKI (JP)
NUMANO MASATADA (JP)
MORI KOJI (JP)
KITAMURA TAKAHIKO (JP)
INOUE RYUICHI (JP)
International Classes:
C22C23/02; C22F1/06; C22F1/00
Domestic Patent References:
WO2006003899A12006-01-12
WO2008029497A12008-03-13
WO2006003899A12006-01-12
Foreign References:
JP2006152401A2006-06-15
JP2008106337A2008-05-08
JP2000271631A2000-10-03
JP2000313948A2000-11-14
JP2007098470A2007-04-19
Other References:
See also references of EP 2351863A4
Attorney, Agent or Firm:
YAMANO, HIROSHI (JP)
Hiroshi Yamano (JP)
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Claims:
 マグネシウム合金からなる板をプレス成形したマグネシウム合金成形体であって、
 前記マグネシウム合金は、Alを7質量%以上12質量%以下含有し、
 前記成形体は、絞り変形を伴わない平坦な部分を有しており、
 前記平坦な部分を板厚方向に切断した断面の金属組織において、平坦な部分の表面から板厚方向に板厚の1/3までの領域を表層領域とし、前記表層領域の任意の2箇所から選択した100μm×100μmの領域を観察視野とし、Al及びMgを含む金属間化合物の粒子であって、粒子径が5μm以上である粒子を粗大粒子とするとき、
 前記各観察視野内に存在する前記粗大粒子が5個以下であることを特徴とするマグネシウム合金成形体。
 前記平坦な部分から切り出した30mm×30mm、厚さt p の試験片に対して、以下の凹み試験を行ったとき、前記試験片の凹み量x p は、x p ≦0.47×t p -1.25 を満たすことを特徴とする請求項1に記載のマグネシウム合金成形体。
 (凹み試験)
 直径20mmの穴を有する支持台に、この穴を塞ぐように試験片を配置し、この状態で試験片からの高さ200mmの地点より、重量100g、先端r=5mmの円柱棒を自由落下させる。
 凹み量x p は、凹み試験後における試験片の両辺を結ぶ直線から最も凹んだ部分までの距離とする。
 前記マグネシウム合金は、Zn,Mn,Si,Ca,Sr,Y,Cu,Ag,及び希土類元素(Yを除く)から選択された1種以上の元素を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のマグネシウム合金成形体。
 前記マグネシウム合金は、質量%でA1を8.3%以上9.5%以下、Znを0.5%以上1.5%以下含有することを特徴とする請求項3に記載のマグネシウム合金成形体。
 前記マグネシウム合金からなる板の表面に、化成処理により形成された防食層を具えることを特徴とする請求項4に記載のマグネシウム合金成形体。
 プレス成形に用いられるマグネシウム合金板であって、
 前記マグネシウム合金は、Alを7質量%以上12質量%以下含有し、
 前記板を板厚方向に切断した断面の金属組織において、板表面から板厚方向に板厚の1/3までの領域を表層領域とし、前記表層領域の任意の2箇所から選択した100μm×100μmの領域を観察視野とし、Al及びMgを含む金属間化合物の粒子であって、粒子径が5μm以上である粒子を粗大粒子とするとき、
 前記各観察視野内に存在する前記粗大粒子が5個以下であることを特徴とするマグネシウム合金板。
 前記板から切り出した30mm×30mm、厚さt b の試験片に対して、以下の凹み試験を行ったとき、前記試験片の凹み量x b は、x b ≦0.47×t b -1.25 を満たすことを特徴とする請求項6に記載のマグネシウム合金板。
 (凹み試験)
 直径20mmの穴を有する支持台に、この穴を塞ぐように試験片を配置し、この状態で試験片からの高さ200mmの地点より、重量100g、先端r=5mmの円柱棒を自由落下させる。
 凹み量x b は、凹み試験後における試験片の両辺を結ぶ直線から最も凹んだ部分までの距離とする。
 前記マグネシウム合金は、Zn,Mn,Si,Ca,Sr,Y,Cu,Ag,及び希土類元素(Yを除く)から選択された1種以上の元素を含むことを特徴とする請求項6又は7に記載のマグネシウム合金板。
 前記マグネシウム合金は、質量%でA1を8.3%以上9.5%以下、Znを0.5%以上1.5%以下含有することを特徴とする請求項8に記載のマグネシウム合金板。
Description:
マグネシウム合金成形体及びマ ネシウム合金板

 本発明は、携帯用電気機器の筐体などの 材に適したマグネシウム合金板、及びこの をプレス成形したマグネシウム合金成形体 関するものである。特に、耐衝撃特性に優 るマグネシウム合金成形体に関するもので る。

 携帯電話やノート型パーソナルコンピュ タといった携帯用電気機器類の筐体材料と て、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレ ン共重合)樹脂、PC(ポリカーボネート)樹脂と った樹脂や、アルミニウム合金、ステンレ 鋼(SUS)といった金属が利用されている。

 昨今、上記筐体材料として、軽量で、比 度、比剛性に優れるマグネシウム合金が検 されている。マグネシウム合金からなる筐 は、ダイカスト法やチクソモールド法によ 鋳造材が主流であり、ASTM規格のAZ31合金に 表される展伸用マグネシウム合金からなる にプレス加工を施したものが使用されつつ る。また、特許文献1では、ASTM規格のAZ91合 にプレス加工を施すことが検討されている

 近年、薄く軽量な筐体が望まれている。 属は、一般に、樹脂よりも衝撃に強く、割 難いため、薄くし易い。しかし、アルミニ ム合金は、耐塑性変形性に劣り、落下など 衝撃により極めて容易に変形する。ステン ス鋼は、割れや変形が生じ難いが重い。

特開2007-098470号公報

 マグネシウム合金は、アルミニウム合金 比較して耐塑性変形性に優れ、ステンレス に比較して非常に軽量である。しかし、マ ネシウム合金の鋳造材は、マグネシウム合 のプレス成形体に比較して強度に劣り、ま 、薄肉化も難しい。AZ31合金のプレス成形体 も、強度が不十分である。

 特許文献1に記載されるようなAZ91合金か なる圧延板にプレス成形を施した場合、AZ31 金からなるプレス成形体よりも高強度な成 体が得られる。しかし、本発明者らが調べ ところ、Alの含有量が7質量%以上と多くなる と、素材となる板や、この板を成形したプレ ス成形体において、耐衝撃特性にばらつきが 生じることがあるとの知見を得た。

 そこで、本発明の目的の一つは、耐衝撃 性に優れるマグネシウム合金成形体を提供 ることにある。また、本発明の別の目的は 耐衝撃特性に優れるマグネシウム合金成形 の製造に適したマグネシウム合金板を提供 ることにある。

 本発明者らは、Alを7質量%以上含有するマグ ネシウム合金において種々の製造方法により 素材となる板を作製し、得られた板からプレ ス成形体を作製して、耐衝撃特性(耐凹み性) 調べたところ、凹み難かったプレス成形体 、Mg 17 Al 12 といった金属間化合物(析出物)からなる粒子 小さく、大きな粒子が少ない、との知見を た。そこで、上記析出物の最大粒径及びそ 個数を制御する、即ち、粗大な析出物を低 する製法を検討したところ、主として圧延 程において特定の温度域に保持される総合 時間を従来よりも短くすることで、粗大な 出物が少ないマグネシウム合金板を得るこ ができた。また、このマグネシウム合金板 プレス成形したプレス成形体は、耐衝撃特 に優れていた。本発明は、上記知見に基づ ものである。

 本発明のマグネシウム合金成形体は、Al 7質量%以上12質量%以下含有するマグネシウム 合金からなる板をプレス成形したもので、絞 り変形を伴わない平坦な部分を有しており、 この平坦な部分を板厚方向に切断した断面の 金属組織において、以下に規定する観察視野 をとったとき、各観察視野内に存在する粗大 な金属間化合物の粒子が5個以下である。

 また、本発明のマグネシウム合金板は、 レス成形に用いられるものであって、Alを7 量%以上12質量%以下含有するマグネシウム合 金からなり、以下に規定する各観察視野内に 存在する粗大な金属間化合物の粒子が5個以 である。

 観察視野とは、上記平坦な部分、又は上記 グネシウム合金板を板厚方向に切断した断 の金属組織において、上記平坦な部分の表 、又は上記板表面から板厚方向に板厚の1/3 での領域を表層領域とし、この表層領域の 意の2箇所から選択した100μm×100μmの領域と る。
 粗大粒子とは、Al及びMgを含む金属間化合物 の粒子であって、粒子径が5μm以上である粒 とする。
 粒子径とは、上記断面における粒子の面積 等価な面積を有する円の直径とする。
 なお、上記断面に存在する金属間化合物は 例えば、EDS(エネルギー分散型X線分析装置:E nergy Dispersive X-ray Spectrometer)やX線回折など 粒子の組成、構造を調べることで判別でき 。

 上記特定の組織を有する本発明合金板は、 えば、以下の各工程を具える製造方法によ 、製造することができる。
 準備工程:Alを7~12質量%含有するマグネシウ 合金からなり、連続鋳造法で製造した鋳造 を準備する。
 溶体化工程:上記鋳造板に350℃以上の温度で 溶体化処理を施す。
 圧延工程:上記溶体化処理された板材に圧延 を施す。
 特に、溶体化処理の保持温度からの冷却工 において、350℃から250℃までの冷却速度を0 .1℃/sec以上とし、圧延工程において、加工対 象である板材が250℃以上350℃以下の温度域に 保持される総合計時間を60分以内とする。

 上述のように、溶体化処理の冷却過程(即ち 、圧延直前)、及び圧延工程において、析出 が析出されたり、成長して粗大になり易い 定の温度域(250℃~350℃)に保持される時間を きるだけ短くすることで、粗大な析出物を なすることができ、図1(1)に示すように、微 な析出物d 0 が分散した組織が得られる。

 従来より、圧延は、所望の板厚になるま 、図2(2)に示すように適宜な加工度(圧下率) 複数回(多パス)行う(各パスは、図2に「圧延 n」(n=1,2,…)と示す)。このとき、加工対象(鋳 板又は最終圧延が施されるまでの間の圧延 )を250℃以上に加熱することで、塑性加工性 が高められる。従って、圧延工程において少 なくとも圧延初期の段階(粗圧延)では、加工 象を加熱して、温間圧延又は熱間圧延する とが好ましい。しかし、特に、Alの含有量 7質量%以上と多いマグネシウム合金である場 合、250℃以上に加熱することで金属間化合物 といった析出物が上述のように成長して粗大 になり易くなる。また、溶体化処理工程の冷 却過程において250℃~350℃の温度域を通過す 際にも析出物が粗大になり易くなる。

 従来、圧延直前及び圧延工程において、加 対象を250℃~350℃の温度域に保持する総合計 時間をどの程度にするか十分に検討されてい ない。本発明者らが調べたところ、Alの含有 が7~12質量%のマグネシウム合金の場合、少 くとも圧延工程において上記温度域の総保 時間が1時間を超えると、図1(2)に示すように 粒径が5μm以上の粗大な析出物d 1 が存在した組織が得られる。これに対し、圧 延工程において上記温度域の総保持時間を1 間以内とすることで、上記粗大な析出物を 減することができる。また、圧延工程のみ おいて上記温度域の総保持時間を1時間以内 することに加えて、溶体化処理工程におけ 冷却速度を速めることで、粗大な析出物を り効果的に抑制することができる。特に、 延工程における上記温度域の総保持時間と 溶体化処理工程の冷却過程における上記温 域の保持時間との合計時間を1時間以内とす ることが好ましい。

 本発明合金板は、表層領域に粗大な析出 が少なく、非常に微細な析出物が分散して 在する組織を有する(図1(1))。また、本発明 金板は、粗大な析出物が少ないことで、粗 な析出物が多く存在することによるマトリ ス(Mg)中の固溶Al量の低下が少なく、Al量低 に伴う固溶強化の低下が少ない、と考えら る。そのため、析出物の分散強化による板 体の剛性の向上、及び固溶Al量の低下の抑制 による強度の維持により、本発明合金板は、 衝撃を受けても凹み難く、耐衝撃特性に優れ る。更に、粗大な析出物が少ない本発明合金 板は、塑性加工性にも優れ、プレス加工を容 易に施すことができる。

 本発明成形体は、上述のように、主とし 圧延工程において特定の温度域の保持時間 制御して得られた本発明合金板にプレス成 を施すことで製造することができる。本発 合金板を用いた場合、本発明成形体におい プレス成形に伴う変形が少ない箇所(平坦な 部分)では、上記本発明合金板を構成する粗 な析出物が少ない組織を概ね維持する。

 即ち、本発明成形体も、表層領域に粗大 析出物が少なく、非常に微細な析出物が分 した組織を有する。従って、本発明成形体 、上述のように微細な析出物による分散強 、及びAlの十分な固溶による固溶強化によ 、耐衝撃特性に優れ、凹み難い。

 以下、本発明をより詳細に説明する。
 《組成》
 マグネシウム合金は、Mgに添加元素を含有 た種々の組成のもの(残部:Mg及び不純物)が挙 げられる。本発明の板及び成形体は、添加元 素に少なくともAlを7質量%以上12質量%以下含 するMg-Al系合金からなるものとする。Al以外 添加元素は、Zn,Mn,Si,Ca,Sr,Y,Cu,Ag,及び希土類 素(Yを除く)から選択された1種以上の元素が げられる。これらの元素を含む場合、その 有量は、0.01質量%以上10質量%以下、好まし は0.1質量%以上5質量%以下が挙げられる。よ 具体的なMg-Al系合金は、例えば、ASTM規格に けるAZ系合金(Mg-Al-Zn系合金、Zn:0.2~1.5質量%)、 AM系合金(Mg-Al-Mn系合金、Mn:0.15~0.5質量%)、Mg-Al- RE(希土類元素)系合金などが挙げられる。特 、Alを8.3~9.5質量%、Znを0.5~1.5質量%含有するMg- Al系合金、代表的にはAZ91合金は、AZ31合金と った他のMg-Al系合金と比較して、耐食性や強 度、耐塑性変形性といった機械的特性に優れ る。

 《マグネシウム合金板の厚さ》
 本発明合金板は、曲げ加工や絞り加工とい たプレス成形が施され、筐体といった薄型 軽量の部材の素材に利用される。プレス成 が施されて得られた筐体において、塑性加 に伴う変形により厚さが実質的に変化しな 箇所(本発明成形体における平坦な部分)の さが薄くなるように、本発明合金板の厚さ 、2.0mm以下、特に1.5mm以下、更に1mm以下が好 しい。上記範囲においてマグネシウム合金 の厚さが厚いほど、強度に優れ、薄いほど 薄型、軽量な筐体に適する。所望の用途に じて板厚を選択するとよい。

  《機械的特性》
 本発明合金板は、落下などの衝撃を受けた に凹み難い。具体的には、本発明合金板か 切り出した30mm×30mm、厚さt b の試験片に対して、以下の凹み試験を行った とき、上記試験片の凹み量x b は、x b ≦0.47×t b -1.25 を満たす。また、本発明成形体において、絞 り変形を伴わない平坦な部分は、上述のよう に粗大な析出物が少なく、上述のように本発 明合金板の特性を実質的に維持する。そのた め、上記平坦な部分から、上述した本発明合 金板と同様の試験片(厚さ:t p )を切り出し、以下の凹み試験を行ったとき 上記試験片の凹み量x p は、x p ≦0.47×t p -1.25 を満たす。なお、本発明成形体の平坦な部分 から切り出した試験片の厚さt p は、プレス成形前の素材となったマグネシウ ム合金板、例えば、本発明合金板から切り出 した試験片の厚さt b に実質的に等しい(t p =t b )。
 (凹み試験)
 直径20mmの穴を有する支持台に、この穴を塞 ぐように試験片を配置し、この状態で試験片 からの高さ200mmの地点より、重量100g、先端r=5 mmの円柱棒を自由落下させる。
 凹み量x b 又はx p は、凹み試験後における試験片の両辺を結ぶ 直線から最も凹んだ部分までの距離とする。

  《成形体の形状》
 本発明成形体は、代表的には、天板部(底面 部)と、天板部の周縁から立設される側壁部 を有する形状が挙げられる。より具体的に 、矩形板状の天板部と、対向する一対の側 部のみを有する]状体、対向する一対の側壁 を二組有する断面]状の箱体や、天板部が円 板状で、側壁部が円筒状の有蓋筒状体などが 挙げられる。

 上記天板部及び側壁部の形態は、代表的 は、平坦な面からなり、形状・大きさは特 問わない。上記天板部及び側壁部は、ボス どを一体に成形又は接合していたり、表裏 貫通する孔や厚さ方向に凹んだ溝を有して たり、段差形状になっていたり、塑性加工 切削加工などにより局所的に厚さが異なる 分を有していてもよい。本発明成形体にお て、絞り加工を伴わない平坦な部分とは、 記ボスなどを有する部分を除いた領域から り出した切片を水平面に配置したとき、反 が少ない部分とする。より具体的には、上 水平面に配置した切片における水平面と向 い合った面において、水平面から垂直方向 最も離れた箇所までの距離が1mm以内である 分とする。凹みは、一般に、平坦な部分に じ易いため、本発明合金板や本発明成形体 は、耐凹み性の評価の対象を上記平坦な部 とする。

 《成形体の表面》
 本発明成形体は、マグネシウム合金からな 板の表面に、防食、保護、装飾などを目的 した被覆層を具える形態とすることができ 。本発明成形体を主として構成するマグネ ウム合金は、Alを7質量%以上含むことで、Al 含有量が少ない合金、例えばAZ31合金に比較 して耐食性に優れる。更に、化成処理や陽極 酸化処理といった防食処理を上記マグネシウ ム合金からなる板に施し、防食層を具える形 態とすることで、本発明成形体の耐食性をよ り高められる。なお、上記防食や塗装などの 被覆層の形成工程では、析出物の大きさや析 出に実質的に影響を与えない。そのため、上 記本発明成形体は、上記防食などの被覆層を 具えていても、上記粗大粒子が5個以下であ 、上記凹み試験を行った場合、x p ≦0.47×t p -1.25 を満たす。

  《製造方法》
   [準備工程]
 鋳造板は、双ロール法といった連続鋳造法 特に、WO/2006/003899に記載の鋳造方法で製造 た鋳造板を利用することが好ましい。連続 造法は、急冷凝固が可能であるため、酸化 や偏析などを低減でき、圧延性に優れる鋳 板が得られる。鋳造板の大きさは特に問わ いが、厚過ぎると偏析が生じ易いため、10mm 下、特に5mm以下が好ましい。

   [溶体化工程]
 上記鋳造板には、溶体化処理を施して、組 の均質化を図る。溶体化処理は、保持温度 350℃以上とする。特に、保持温度:380~420℃ 保持時間:60~2400分が好ましく、Alの含有量が いほど、保持時間を長くすることが好まし 。また、本発明合金板を製造するために、 記保持温度からの冷却工程において、350℃~ 250℃の温度域の保持時間を制御する。具体的 には、図2(1)に示すように上記温度域の保持 間を短くするために、この温度域における 却速度を0.1℃/sec以上(保持時間:約16.6分以下) 、好ましくは、0.5℃/sec以上(保持時間:3.3分以 下)とする。このような冷却速度は、水冷や 風といった強制冷却などにより達成できる 上記温度域の保持時間をできるだけ短くす ことで、高Alマグネシウム合金であっても、 Al及びMgを含む金属間化合物の析出を抑制で 、特に粗大粒に成長することを効果的に抑 することができる。

   [圧延工程]
 上記溶体化処理が施された板材の塑性加工 (圧延性)を高めるために、上述のように少 くとも粗圧延では、200℃以上、特に250℃以 の温度に加熱した板材に圧延を施すことが ましい。上記加熱温度が高いほど、板材の 性加工性を高められるが、350℃を超えると 焼き付きが発生したり、結晶粒が粗大化し 圧延後の板材の機械特性が低下するなどの 題があることから、350℃以下が好ましく、 り好ましい加熱温度は、270℃以上330℃以下 ある。複数回(多パス)の圧延を施すことで、 所望の板厚にできると共に、マグネシウム合 金の平均結晶粒径を小さくしたり、プレス加 工性を高められる。圧延は、公知の条件、例 えば、板材だけでなくロールも加熱したり、 特許文献1に開示される制御圧延などを組み わせて利用してもよい。また、最終パス及 その近傍のパスでは、寸法精度を高めるな の目的で、板材の加熱温度を低く(例えば、 温)にしてもよい。

 上記圧延工程において、250℃~350℃の温度 域の保持時間を制御する。具体的には、図2(1 )に示すように、圧延工程の各パスにおいて 上記温度域の保持時間を短くするために、 えば、加工対象を加熱する加熱時間を短く たり、圧延速度(ロール周速)を速めたり、冷 却速度を速める。そして、圧延工程における 250℃~350℃の温度域の総保持時間が60分以下と なるように、圧延条件を制御する。Al量が多 ほど、析出物が析出し易いため、上記保持 間の総合計は、Alの含有量に応じて調整す ことが好ましい。また、上記総保持時間は 短いほど好ましく、45分以下、特に30分以下 好ましい。このような特定の圧延を行うこ で、上述のように表層領域に粗大な析出物 少なく、耐衝撃特性に優れる本発明合金板 得られる。

 圧延のパス間に中間熱処理を行い、中間 処理までの加工により加工対象である板材 導入された歪みや残留応力、集合組織など 除去、軽減すると、その後の圧延で不用意 割れや歪み、変形を防止して、より円滑に 延を行える。中間熱処理は、保持温度:250℃ ~350℃が好ましいが、この温度域では、上述 ように析出物が成長して粗大になり易い。 のため、中間熱処理を行う場合、この処理 間も、上記総保持時間に含めて制御するこ が好ましい。

  《圧延後の処理》
  (最終熱処理(焼鈍))
 得られた圧延板には、例えば、300℃以上の 終熱処理を行って、圧延による加工歪みを 去すると共に、完全に再結晶化させてもよ 。この最終熱処理でも、250℃~350℃の温度域 で析出物が成長し易い。そのため、圧延後に 最終熱処理を行う場合、この処理時間も、上 記総保持時間に含めて制御することが好まし い。上述のように最終熱処理時間を制御する ことで、粗大な析出物が少ない本発明マグネ シウム合金板とすることができる。

  (温間矯正処理)
 或いは、圧延後に上記最終熱処理を行わず 得られた圧延板を100~250℃に加熱した状態で ロールレベラなどにより歪みを付与する温間 矯正処理を施してもよい。温間矯正処理を行 った処理板にプレス加工を施すと、プレス加 工時に再結晶化されて、微細な結晶組織の成 形体が得られる。上記最終熱処理を行った場 合と比較しても結晶粒が微細になり易く、微 細な析出物がより均一的に分散した組織にな り易い。従って、温間矯正処理を行った場合 、粗大な析出物が少ない上に、上記微細組織 であることで、耐衝撃特性により優れる本発 明マグネシウム合金板が得られる。なお、温 間矯正処理では、圧延板の加熱温度をせいぜ い250℃とすることで、析出物が粗大になり難 いと考えられる。

   [プレス加工]
 本発明成形体は、上記圧延工程により得ら た圧延板や、この圧延板に上述した最終熱 理や温間矯正処理を施した処理板にプレス 形を施すことで製造することができる。プ ス成形は、加工対象である圧延板や処理板 塑性変形性を高められるように200℃~300℃の 温度域で行うことが好ましい。なお、250℃~35 0℃の温度域と重複する温度でプレス成形を っても、プレス成形では、250℃~350℃の温度 の保持時間が非常に短いため、上述したよ な析出物の粗大化などの不具合は少ないと えられる。

 プレス成形後に熱処理を施し、プレス加 により導入された歪みや残留応力の除去、 械的特性の向上を図ってもよい。熱処理条 は、加熱温度:100℃~400℃、加熱時間:5分~60分 程度が挙げられる。この熱処理においても250 ℃~350℃の温度域の保持時間が長くならない うにすることが好ましい。また、プレス後 得られた成形体は、無処理のままでもよい 、上述のように防食、保護、装飾などを目 とした被覆層を形成する処理を行うと、耐 性や商品価値などを更に高められる。

 本発明マグネシウム合金成形体及び本発 マグネシウム合金板は、耐衝撃特性に優れ 。

マグネシウム合金板の組織を示す模式 であり、(1)は、圧延工程における250℃~350℃ の温度域の総保持時間が60分以下の試料、(2) 、総保持時間が60分超の試料である。 マグネシウム合金板の製造工程におい 、主として圧延工程の温度とその温度の保 時間との関係を示すグラフであり、(1)は、 延工程における250℃~350℃の温度域の総保持 時間(合計時間)が60分以下の場合、(2)は、総 持時間(合計時間)が60分超の場合を示す。 凹み試験を説明する概略説明図である 凹み試験後のマグネシウム合金板の凹 度合いを示すグラフであり、(1)は、試料a、 (2)は、試料dを示す。 マグネシウム合金成形体を構成する板 厚さと凹み量との関係を示すグラフである

 以下、本発明の実施の形態を説明する。
 [試験例1]
 マグネシウム合金からなる複数の板、及び れらマグネシウム合金板をプレス成形して るプレス成形体を作製し、金属組織、及び 衝撃特性を調べた。

 AZ91合金相当の組成(Mg-9.0%Al-1.0%Zn(全て質量%)) を有するマグネシウム合金からなり、双ロー ル連続鋳造法により得られた鋳造板(厚さ4mm) 複数用意した。得られた各鋳造板に、400℃ 24時間の溶体化処理を施した。溶体化処理に おいて冷却は、衝風にて行い、350℃~250℃ま の冷却速度が0.1℃/sec以上となるようにした 溶体化処理された板材に以下の圧延条件で 厚さが0.6mmになるまで複数回圧延を施した 得られた圧延板に300℃×10分の最終熱処理を して、マグネシウム合金板を得た。
 (圧延条件)
 加工度(圧下率):5%/パス~40%/パス
 板の加熱温度:200℃~400℃
 ロール温度:100℃~250℃

 この試験では、圧延工程の各パスにおい 、板の加熱時間及び圧延速度(ロール周速) 調整することで、圧延される対象である板 が250℃~350℃の温度域に保持される総合計時 を変化させ、総合計時間が20min(試料a),35min( 料b),50min(試料c),80min(試料d)の四種類の試料 用意した。

 最終熱処理を施したマグネシウム合金板 、加熱温度:250℃で角絞り加工を施し、プレ ス成形体を得た。プレス成形体は、48mm×98mm 矩形状の天板部と、天板部から立設される 壁部とを具える箱型である。

 比較として、市販のAZ31合金材(厚さ:0.6mm) アルミニウム合金材:A5052材(厚さ:0.6mm)を準 し、AZ31合金材には、上記AZ91合金からなる圧 延板と同様の条件で角絞り加工を施し、A5052 には、室温で同様の角絞り加工を施した。

 得られたマグネシウム合金板、及びプレ 成形体について、以下のようにして金属組 を観察し、析出物を調べた。また、得られ マグネシウム合金板、及びプレス成形体に いて、以下の凹み試験を行い、耐衝撃特性 評価した。

 <マグネシウム合金板>
 《析出物》
 得られたAZ91合金からなるマグネシウム合金 板を板厚方向に切断し、その断面を光学顕微 鏡(1000倍)で観察し、断面において当該板の表 面から板厚の1/3までの表層領域から、100μm×1 00μmの領域を任意に2箇所選択して、この領域 を観察視野とする。そして、各観察視野にお いて、観察されたAl及びMgを含む金属間化合 の粒子径をそれぞれ測定し、粒子径が5μm以 である粒子の個数を数えた。

 《耐衝撃特性》
 得られたAZ91合金からなるマグネシウム合金 板、及び準備したAZ31合金材,A5052材(アルミニ ム合金材)を30mm×30mmに切り出し、試験片を 製した。この試験では、図3に示すように、 平な面に直径d=20mmの円穴21を有する支持台20 を用意した。円穴21の深さは後述する円柱棒1 0が十分に挿入可能な大きさとした。この円 21を塞ぐように試験片1を配置し、この状態 、試験片1から高さ200mmの地点に、重量100g、 端r=5mm、セラミックス製の円柱棒10を、その 中心軸と、円穴21の中心軸とが同軸となるよ に配置した。そして、試験片1に向けて、上 記配置した地点から円柱棒10を自由落下させ 後、試験片1の凹み量を測定する。凹み量(mm )は、試験片1の対向する両辺を結ぶ直線から も凹んだ部分までの距離をポイントマイク メータを用いて測定した。また、試料a,dに いては、30mm×30mmの試験片において、30mmの 辺に平行な直線であって、最も凹んだ箇所 通過する直線を選択し、この直線上の複数 点で凹み量を上記と同様に測定した。その 果を図4に示す。

 <プレス成形体>
 《析出物》
 得られたAZ91合金の箱型のプレス成形体にお いて、絞り変形を伴わない平坦な部分、具体 的には、天板部を板厚方向に切断して、その 断面を上記マグネシウム合金板と同様にして 観察すると共に観察視野をとり、二つの観察 視野において、粒子径が5μm以上である、Al及 びMgを含む金属間化合物の粒子の個数を数え 。

 《耐衝撃特性》
 得られたAZ91合金の箱型のプレス成形体、及 び別途作製したAZ31合金のプレス成形体,A5052 プレス成形体において、絞り変形を伴わな 平坦な部分、具体的には、天板部から30mm×30 mmの試験片を切り出し、上記マグネシウム合 板と同様に図3に示す治具を用いて、凹み量 (mm)を測定した。

 《厚さ》
 得られたAZ91合金の箱型のプレス成形体にお いて、天板部から切り出した上記30mm×30mmの 験片の任意の4箇所について厚さを測定した その結果、いずれの箇所も上記マグネシウ 合金板の厚さに等しかった(試験片の厚さ:0. 6mm)。

 表1に析出物の個数(個)、及び凹み量(mm)を示 す。また、試料a~dについて、x=0.47×t -1.25 の値を表1に示す。析出物の個数は、2箇所の 察視野において、少なかった方の個数を表1 に示す。

 Alの含有量が7質量%以上のマグネシウム合 金からなる板やプレス成形体は、Al量が少な AZ31合金からなる板やプレス成形体、アルミ ニウム合金からなる板やプレス成形体に比較 して、耐衝撃特性に優れることが分かる。

 金属組織の観察の結果、Al量が7質量%以上で あるマグネシウム合金からなる試料a~dは、Al びMgを含む金属間化合物(Mg 17 Al 12 )の析出が多数認められた。しかし、表1に示 ように圧延工程において250℃~350℃に保持さ れる総合計時間が1時間(60min)以内である試料a ~cは、マグネシウム合金板及びプレス成形体 双方について、粗大な金属間化合物が存在 ず、図1(1)に示すように微細な金属間化合物 が分散した組織を有していた。そして、この ような粗大な析出物が少ない試料a~cは、凹み が少なく、耐衝撃特性に優れることが分かる 。また、圧延後に最終熱処理を施す場合であ っても、圧延工程における250℃~350℃の温度 の保持時間と、圧延後の最終熱処理におけ 250℃~350℃の温度域の保持時間との総合計が1 時間以内となるように制御することで、耐衝 撃特性に優れることが分かる。

 [試験例2]
 厚さの異なるマグネシウム合金板、及びこ らマグネシウム合金板にプレス成形してな プレス成形体を作製し、金属組織、及び耐 撃特性を調べた。

 試験例1と同様の鋳造板(AZ91合金相当の組 、厚さ4mm)を複数用意し、試験例1と同様の 件で、溶体化処理(400℃×24時間,350℃~250℃ま の冷却速度:0.1℃/sec以上)、複数回の圧延(圧 下率:5%/パス~40%/パス、板の加熱温度:200℃~400 、ロール温度:100℃~250℃)を施し、圧延板を た。この試験も試験例1と同様に、圧延工程 において板材が250℃~350℃の温度域に保持さ る総合計時間を変化させた。また、この試 では、圧下率を調整することで圧延板の厚 を異ならせ、板の加熱時間及び圧延速度を 整することで総合計時間が35min又は80minにな ようにした。そして、この試験では、上記 度域に保持される総合計時間が圧延後の最 熱処理の時間も含めて45min(試料α),90min(試料 β)の試料を用意した。

 得られた圧延板に300℃×10分の最終熱処理 を施した後、加熱温度:250℃で角絞り加工を し、試験例1と同様の箱型のプレス成形体を た。

 上記最終熱処理を施して得られたマグネ ウム合金板、及びプレス成形体について、 験例1と同様にして、断面の組織観察により 析出物の個数を測定した。また、試験例1と 様にして試験片を作製して凹み試験を行い 凹み量を測定した。これらの結果を表2に示 。表2において、厚さ0.6mmの試料(0.6mm)は、試 験例1の結果を示す。

 表2に示すように、マグネシウム合金板や プレス成形体(天板部)の板厚によって、凹み が異なるものの、圧延工程において250℃~350 ℃の温度域の総保持時間を60分以内とした試 αは、板厚に関わらず、粒径が5μm以上の粗 な金属間化合物が表層領域に存在せず(0個) 同じ厚さの試料βに比較して凹み量が小さ ことが分かる。

 このように耐衝撃特性に優れるプレス成形 について、プレス成形体(天板部)の板厚t p と、凹み量xとの関係を調べた。その結果を 5に示す。図5に示すグラフから、試料αにお る板厚t p と凹み量xとの関係を最も単純に表すと、x=k× t p -1 (kは係数)が考えられる。試料αと試料βとを 別する係数kは、板厚t p =0.5~0.8の範囲において、0~1の数値を0.01刻みで 代入して求めたところ、k=0.5及びその近傍が ましいと考えられる。但し、係数kは、板厚 によって若干変化する傾向にあるため、板厚 t p が0.5mm未満、0.8mm超の場合を考慮して、k=0.5と したときの関係式x=0.5×t -1 から、試料αが極力外れない範囲で試料βと 別する関係式を再検討した。具体的には、k= 0.5に固定し、板厚t p の指数を-1から0.01刻みで代入して、好ましい 曲線を求め、再度、上記と同様にして係数k 求めたところ、x=0.47×t -1.25 が求められた。そこで、このx≦0.47×t p -1.25 を本発明成形体を表す指標として用いる。ま た、同様にマグネシウム合金板について調べ たところ、マグネシウム合金板についてもx 0.47×t b -1.25 (t b :板厚)を適用することができ、x≦0.47×t b -1.25 を本発明マグネシウム合金板を示す指標とし て用いる。

 [試験例3]
 圧延後に施す処理を変えて作製したマグネ ウム合金板を用意し、このマグネシウム合 板にプレス成形してなるプレス成形体を作 し、金属組織、及び耐衝撃特性を調べた。

 この試験では、試験例1と同様の鋳造板(AZ 91合金相当の組成、厚さ4mm)を複数用意し、試 験例1と同様の条件で、溶体化処理(400℃×24時 間,350℃~250℃までの冷却速度:0.1℃/sec以上)を した。溶体化処理された板材に、複数回の 延(圧下率:5%/パス~40%/パス、板の加熱温度:20 0℃~280℃、ロール温度:100℃~250℃)を施し、圧 板を得た。この試験では、圧延工程におい 板材が250℃~350℃の温度域に保持される総合 計時間を45minとした。

 得られた圧延板に温間矯正処理を施した ここでは、温間矯正処理は、圧延板を加熱 能な加熱炉と、加熱された圧延板に連続的 曲げ(歪)を付与する複数のロールを有する ール部とを具えるロールレベラ装置を用い 行う。上記ロール部は、上下に対向して千 状に配置された複数のロールを具える。

 上記ロールレベラ装置により、圧延板は 上記加熱炉内で加熱されながら上記ロール に送られ、ロール部の上下のロール間を通 するごとに、これらのロールにより順次曲 が付与される。ここでは、220~250℃の温度範 囲で温間矯正を行い、圧延板が250~350℃の温 に保持される総合計時間が60min以内となるよ うに矯正時の搬送速度などを調整した。

 上記温間矯正処理を施して得られたマグ シウム合金板に、加熱温度:250℃で角絞り加 工を施し、試験例1と同様の箱型のプレス成 体を得た。

 得られたマグネシウム合金板及びプレス 形体について、試験例1と同様にして、断面 の組織観察により析出物の個数を測定した。 また、試験例1と同様にして試験片を作製し 凹み試験を行い、凹み量を測定した。これ の結果を表3に示す。

 表3に示すように、いずれの試料も、凹み 量が少なく、耐衝撃性に優れることが分かる 。特に、圧延後、温間矯正処理を施したマグ ネシウム合金板を用いた試料No.3-1は、圧延後 に最終熱処理を施した試料No.2-1(試験例2の0.6m mt-α)と比較して、凹み量が少なく、耐衝撃特 性に優れることが分かる。

 なお、上述した実施形態は、本発明の要 を逸脱することなく、適宜変更することが 能であり、上述した構成に限定されるもの はない。例えば、マグネシウム合金の組成 マグネシウム合金板の厚さ、プレス成形体 形状などを適宜変更することができる。

 本発明マグネシウム合金成形体は、各種 電気機器類の部品、特に、携帯用電気機器 の筐体に好適に利用することができる。本 明マグネシウム合金板は、上記本発明マグ シウム合金成形体の素材に好適に利用する とができる。

 1 試験片 10 円柱棒 20 支持台 21 円穴 d 0 ,d 1  金属間化合物(析出物)