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Title:
FOUR-CYCLE ENGINE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/140036
Kind Code:
A1
Abstract:
A four-cycle engine (1) is adapted so that fresh air is introduced into a cylinder (1a) through an intake port (1d) opened and closed by intake valves (IN1, IN2) and so that exhaust gas is re-drawn into the cylinder (1a) through an exhaust port opened and closed by exhaust valves (EX1, EX2). The exhaust port has a first exhaust port (1p) and a second exhaust port (1e). The exhaust gas is re-drawn from the first exhaust port (1p), secondary air is drawn from the second exhaust port (1e), and as a result, in the cylinder (1a) are formed a high-temperature first temperature layer (T1) mainly composed of the exhaust gas and a low-temperature second temperature layer (T2) mainly composed of the secondary air and having a lower temperature than the first temperature layer (T1).

Inventors:
HATAMURA KOICHI (JP)
YAMADA TOSHIO (JP)
MORITA ATSUSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/058612
Publication Date:
November 20, 2008
Filing Date:
May 09, 2008
Export Citation:
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Assignee:
CD ADAPCO JAPAN CO LTD (JP)
HATAMURA KOICHI (JP)
YAMADA TOSHIO (JP)
MORITA ATSUSHI (JP)
International Classes:
F01N3/32; F02D21/10; F02B75/18; F02D13/02; F02D21/08; F02D23/00
Foreign References:
JPH11200902A1999-07-27
JP2001263108A2001-09-26
JP2002213259A2002-07-31
JP2004124761A2004-04-22
JP2005016408A2005-01-20
Other References:
See also references of EP 2146076A4
Attorney, Agent or Firm:
SHIMOICHI, Tsutomu (Utsubohonmachi 1-chomeNishi-ku Osaka-shi Osaka, 04, JP)
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Claims:
吸気弁で開閉される吸気ポートを介して気筒内に新気を導入するとともに、排気弁で開閉される排気ポートを介して気筒内に排気ガスを再吸入するように構成された4サイクルエンジンにおいて、
上記排気ポートは、第1排気ポートと第2排気ポートを有し、該第1排気ポートから上記排気ガスを再吸入するとともに、上記第2排気ポートから二次空気を吸入することにより、気筒内に、上記新気に上記排気ガスを含む温度の高い第1温度層と、上記新気に上記二次空気を含み、上記第1温度層より温度の低い第2温度層とを形成することを特徴とする4サイクルエンジン。
請求項1において、上記エンジンは第1気筒と、該第1気筒と燃焼タイミングが異なる第2気筒とを有し、
上記第1気筒の排気弁開時の燃焼室内からの圧力波(ブローダウン圧力波)を上記第2気筒の排気弁が再度開かれる再開期間に該第2気筒の排気ポートに作用させるように構成されたブローダウン圧力波過給機構と、
二次空気を上記第2排気ポートに供給する二次空気供給機構とを備え、
上記第2気筒の吸気行程から圧縮行程の下死点付近に該第2気筒の排気弁の再開期間を設定するとともに該再開期間に上記第1気筒からのブローダウン圧力波を該第2気筒の排気ポートに作用させることにより、排気ガスを上記第1排気ポートから第2気筒内に導入するとともに、上記二次空気供給機構により上記第2排気ポートに供給された二次空気を上記第2気筒内に導入することを特徴とする4サイクルエンジン。
請求項2において、上記二次空気供給機構は、上記第2排気ポートに二次空気供給通路を介して接続されたエアポンプと、該二次空気供給通路に介在された開閉制御弁とを備え、排気弁の閉期間に二次空気を第2排気ポートに供給し、
上記第2気筒の吸気行程から圧縮行程の下死点付近に該第2気筒の排気弁の再開期間を設定するとともに上記ブローダウン圧力波を該再期間に該第2気筒の排気ポートに作用させることにより、上記第1排気ポートから排気ガスを第2気筒に導入するとともに、上記第2排気ポートから該第2排気ポートに供給されている二次空気を第2気筒に導入することを特徴とする4サイクルエンジン。
請求項2において、上記エンジンは、電動モータ又はエンジン出力で駆動される過給機が介設された吸気系を備え、排気ポート内圧力以上の加圧新気を各気筒内に供給するように構成されており、
上記二次空気供給機構は、上記吸気系から供給された加圧新気を、吸気行程中の上記吸気弁と再開期間中の上記第2排気ポートの第2排気弁とのEGRオーバーラップ期間に上記第2排気ポート側に吹き抜けさせて該第2排気ポート内に供給するように構成されており、
上記第2気筒の吸気行程から圧縮行程の下死点付近に該第2気筒の排気弁の再開期間を設定するとともに該再開期間に該第2気筒の排気ポートに上記第1気筒からのブローダウン圧力波を作用させることにより、上記第1排気ポートから排気ガスを第2気筒に導入するとともに、上記第2排気ポートに供給されている二次空気を第2気筒に導入することを特徴とする4サイクルエンジン。
請求項2において、上記エンジンは、吸気系及び排気系の動的効果により排気ポート内圧力以上の加圧新気を各気筒内に供給するように構成されており、
上記二次空気供給機構は、上記吸気系から供給された加圧新気を、吸気行程中の上記吸気弁と再開期間中の上記第2排気ポートの第2排気弁とのEGRオーバーラップ期間に上記第2排気ポート側に吹き抜けさせて該第2排気ポート内に供給するように構成されており、
上記第2気筒の吸気行程から圧縮行程の下死点付近に該第2気筒の排気弁の再開期間を設定するとともに該再開期間に該第2気筒の排ポートに上記第1気筒からのブローダウン圧力波を作用させることにより、上記第1排気ポートから排気ガスを第2気筒に導入するとともに、上記第2排気ポートに供給されている二次空気を第2気筒に導入することを特徴とする4サイクルエンジン。
請求項4又は5において、上記第2排気弁の再開開始時期は吸気弁の閉時期より早く設定され、かつ第1排気弁の再開開始時期は、上記第2排気弁の再開開始時期より遅く設定されており、さらに第1気筒からのブローダウン圧力波が第2気筒の第1排気弁及び第2排気弁の再開期間に該第2気筒の排気ポートに作用するよう構成されていることを特徴とする4サイクルエンジン。
請求項1ないし6の何れかにおいて、排気ポートの燃焼室側開口に、再吸入された排気ガスの吸気弁側への流れを抑制するマスク部材を設けたことを特徴とする4サイクルエンジン。
請求項3において、上記開閉制御弁の開弁期間を気筒別又はサイクル毎に制御することにより燃焼制御を行うことを特徴とする4サイクルエンジン。
請求項1ないし8の何れかにおいて、上記第1温度層に燃料を供給する第1燃料噴射弁と、上記第2温度層に燃料を供給する第2燃料噴射弁とを備え、該第1,第2燃料噴射弁からの燃料噴射割合を制御することを特徴とする4サイクルエンジン。
Description:
4サイクルエンジン

 本発明は、気筒内に吸気ポートを介して 気を導入するとともに、排気ポートを介し 排気ガスを再吸入するように構成され4サイ クルエンジンに関する。

 なお、本願明細書では、吸気ポートを通 てシリンダ内に導入される空気を新気と称 、排気ポートを通してシリンダ内に導入さ る空気を二次空気と称する。

 ガソリンエンジンの有する低エミッショ 特性を維持しつつディーゼルエンジン並の 燃費を実現する手段として予混合圧縮着火 焼(HCCI)エンジンが有望視されている。なお HCCIエンジンとは、通常のディーゼルエンジ ンが圧縮上死点付近で燃料を噴射供給するの に対し、HCCIエンジンは、燃焼室内に燃料を 期に噴射し、あるいは吸気ポート内で燃料 空気を混合して燃焼室に導入し、圧縮温度 よる燃焼反応によって圧縮上死点付近で予 合気を自己着火させるエンジンである。

 本願発明者は、このHCCIエンジンの運転領 域を拡大するには内部EGR量の制御と過給機無 しでの過給を実現することが重要であると考 え、その方法を提案した。

 上述の方法でHCCIエンジンの運転領域を拡大 できるものの、高負荷運転域ではまだ圧力上 昇が高過ぎ、実用的なHCCI運転ができない。 力上昇率を低下させ、通常の火花点火エン ン並の緩慢燃焼を実現する手段として、混 気や温度分布の成層化が効果的であるとさ ている(非特許文献1参照)
JSAE20055667

 上記非特許文献1には、2つの吸気ポート 吸気をヒータで加熱して温度差を付ける点 、その温度差が大きくなると熱発生率の大 さと期間が大きく変化する点とが示されて る。しかし上記文献1では、緩慢燃焼の実現 実験やシミュレーションによって証明され いるものの、実用的な手法とは言い難い。

 本発明は、上記従来の実情に鑑みてなさ たものであり、簡単な構造で温度分布の成 化を実現して高負荷のノッキングを防止で る4サイクルエンジンを提供することを課題 としている。

課題を解決するための手段及びその効 果

 請求項1の発明は、吸気弁で開閉される吸気 ポートを介して気筒内に新気を導入するとと もに、排気弁で開閉される排気ポートを介し て気筒内に排気ガスを再吸入するように構成 された4サイクルエンジンにおいて、
上記排気ポートは、第1排気ポートと第2排気 ートを有し、該第1排気ポートから上記排気 ガスを再吸入するとともに、上記第2排気ポ トから二次空気を吸入することにより、気 内に、上記新気に上記排気ガスを含む温度 高い第1温度層と、上記新気に上記上記二次 気を含み、上記第1温度層より温度の低い第 2温度層とを形成することを特徴としている

 請求項1において、「排気ポートは、第1 気ポートと第2排気ポートを有し、」とは、 気弁2本で排気ポート2本の場合と、排気弁1 又は2本でそれぞれの排気ポートが2つに分 されている場合の両方を含む。

 請求項1の発明では、気筒内に、第1排気 ートから温度の高い排気ガスを再吸入する ともに、第2排気ポートから温度の低い二次 気を導入するようにしたので、気筒内に温 の高い第1温度層と温度の低い第2温度層と 形成することかでき、高負荷運転域であっ も緩慢燃焼を実現でき、ノッキングを防止 きる。また吸気を加熱するようにした従来 置に比較して、構造が簡単であり、現実的 ある。

 請求項2の発明は、請求項1において、上 エンジンは第1気筒と、該第1気筒と燃焼タイ ミングが異なる第2気筒とを有し、上記第1気 の排気弁開時の燃焼室内からの圧力波(ブロ ーダウン圧力波)を上記第2気筒の排気弁が再 開かれる再開期間に該第2気筒の排気ポート に作用させるように構成されたブローダウン 圧力波過給機構と、二次空気を上記第2排気 ートに供給する二次空気供給機構とを備え 上記第2気筒の吸気行程から圧縮行程の下死 付近に該第2気筒の排気弁の再開期間を設定 するとともに該再開期間に上記第1気筒から ブローダウン圧力波を該第2気筒の排気ポー に作用させることにより、排気ガスを上記 1排気ポートから第2気筒内に導入するとと に、上記二次空気供給機構により上記第2排 ポートに供給された二次空気を上記第2気筒 内に導入することを特徴としている。

 請求項2の発明では、第2排気ポートに二 空気を供給するとともに、該第2排気ポート び第1排気ポートにブローダウン圧力波を作 用させるようにしたので、気筒内に、第1排 ポートから高温の排気ガスを、第2排気ポー から低温の二次空気をそれぞれ導入でき、 筒内に、第1温度層と第2温度層とを形成で る。

 請求項3の発明は、請求項2において、上 二次空気供給機構は、上記第2排気ポートに 次空気供給通路を介して接続されたエアポ プと、該二次空気供給通路に介在された開 制御弁とを備え、排気弁の閉期間に二次空 を第2排気ポートに供給し、上記第2気筒の 気行程から圧縮行程の下死点付近に該第2気 の排気弁の再開期間を設定するとともに上 ブローダウン圧力波を該再期間に該第2気筒 の排気ポートに作用させることにより、上記 第1排気ポートから排気ガスを第2気筒に導入 るとともに、上記第2排気ポートから該第2 気ポートに供給されている二次空気を第2気 に導入することを特徴としている。

 請求項3の発明では、開閉制御弁の開閉に より、第2排気ポートに二次空気を最適のタ ミングで、かつ所要量だけ供給でき、気筒 に第1温度層と第2温度層とを容易確実に形成 できる。

 請求項4の発明は、請求項2において、上 エンジンは、電動モータ又はエンジン出力 駆動される過給機が介設された吸気系を備 ることにより、請求項5の発明は吸気系及び 気系の動的効果により、それぞれ排気ポー 内圧力以上の加圧新気を各気筒内に供給す ように構成されており、上記二次空気供給 構は、上記吸気系から供給された加圧新気 、吸気行程中の上記吸気弁と再開期間中の 記第2排気ポートの第2排気弁とのEGRオーバ ラップ期間に上記第2排気ポート側に吹き抜 させて該第2排気ポート内に供給するように 構成されており、上記第2気筒の吸気行程か 圧縮行程の下死点付近に該第2気筒の排気弁 再開期間を設定するとともに該再開期間に 第2気筒の排気ポートに上記第1気筒からの ローダウン圧力波を作用させることにより 上記第1排気ポートから排気ガスを第2気筒に 導入するとともに、上記第2排気ポートに供 されている二次空気を第2気筒に導入するこ を特徴としている。

 請求項4の発明によれば、吸気弁と、第2 気ポートの第2排気弁とが共に開いているEGR ーバーラップ期間を利用して、吸気ポート から加圧新気を第2排気ポート側に吹き抜け させさせることにより新気を第2排気ポート 供給し、これを二次空気としたので、二次 気供給機構の構造が簡単である。

 また請求項5の発明によれば、吸排気系の 動的効果によって排気ポート内圧力以上の加 圧新気を気筒内に供給し、吸気弁と第2排気 とが共に開いているEGRオーバーラップ期間 利用して、吸気ポート側から加圧新気を第2 気ポート側に吹き抜けさせることにより新 を第2排気ポートに供給し、これを二次空気 としたので、過給機も二次空気ポンプも不要 であり、二次空気供給機構の構造を最も簡単 にしつつ二次空気を供給できる。

 請求項6の発明は、請求項4又は5において 上記第2排気弁の再開開始時期は吸気弁の閉 時期より早く設定され、第1排気弁の再開開 時期は上記第2排気弁の再開開始時期より遅 設定されており、さらに第1気筒からのブロ ーダウン圧力波が第2気筒の第1排気弁及び第2 排気弁の再開期間に該第2気筒の排気ポート 作用するよう構成されていることを特徴と ている。

 ここで、第1排気弁の再開開始時期は、第 2排気弁の再開開始時期より遅く設定される 、吸気弁が実質的に閉じた後に設定される がより望ましい。

 請求項6の発明によれば、第2排気ポート 第2排気弁の再開開始時期を吸気弁の閉時期 り早く設定したので、該両者のオーバーラ プ期間に第2排気ポートに加圧新気を供給し 、これを二次空気とすることができる。そし て、第1排気弁の再開開始時期を第2排気弁の 開開始時期より遅く設定したので、第1排気 ポート側には新気はあまり供給されない。そ の結果、第1排気ポート側に第1温度層を、第2 排気ポート側に第2温度層を形成でき、両温 層の温度差を大きくできる。

 請求項7の発明は、請求項1ないし6の何れ において、排気ポートの燃焼室側開口に、 吸入された排気ガスの吸気弁側への流れを 制するマスク部材を設けたことを特徴とし いる。

 請求項7の発明によれば、排気ガスの吸気 弁側への流れを抑制するマスク部材を設けた ので、排気ガスとシリンダ内の新気との混合 を抑制でき、これにより第1温度層と第2温度 との温度差をより一層大きくかつ明確にで る。

 請求項8の発明は、請求項3において、上 開閉制御弁の開弁期間を気筒別又はサイク 毎に制御することにより燃焼制御を行うこ を特徴としている。

 請求項8の発明によれば、二次空気の供給 量を気筒別又はサイクル毎に制御するように したので、二次空気量により、圧縮温度を調 整して着火温度,緩慢燃焼の速度,燃焼温度を 御できる。

 請求項9の発明は、請求項1ないし7の何れ において、上記第1温度層に燃料を供給する 第1燃料噴射弁と、上記第2温度層に燃料を供 する第2燃料噴射弁とを備え、該第1,第2燃料 噴射弁からの燃料噴射割合を制御することを 特徴としている。

 請求項9の発明によれば、第1温度層への 料噴射量と第2温度層への燃料噴射量との割 を制御するようにしたので、着火時期,緩慢 燃焼の速度,燃焼温度の制御を実現できる。

本発明の第1実施形態によるエンジンの 模式構成図である。 上記第1実施形態エンジンの断面側面図 である。 上記第1実施形態エンジンの動弁装置の 模式平面図である。 上記第1実施形態エンジンの切換機構の 模式断面平面図である。 上記第1実施形態エンジンの吸気弁,排 弁及び二次空気制御弁の開閉タイミングを す図である。 上記第1実施形態エンジンの各種圧力, 量特性図である。 上記第1実施形態エンジンの各種圧力, 量特性図である。 上記第1実施形態エンジンの温度成層を 模式的に示す図である。 上記第1実施形態エンジンにおける温度 成層の効果を説明するための温度差と平均圧 力上昇率の変化率との関係を示す図である。 本発明の第2実施形態エンジンの模式 成図である。 上記第2実施形態エンジンの各種圧力, 量特性図である。 上記第2実施形態エンジンの第1,第2排 弁のEGR開弁カーブを示す図である。 本発明の第3実施形態エンジンの模式 成図である。 上記第3実施形態エンジンの動弁装置 模式平面図である。 上記第3実施形態エンジンの断面側面 である。 上記第3実施形態エンジンの各種圧力, 量特性図である。 本発明の第4実施形態エンジンの模式 成図である。 上記第4実施形態エンジンの吸気脈動 状態を示す図である。 上記第4実施形態エンジンの排気脈動 状態を示す図である。 上記第4実施形態エンジンの吸,排気ポ ト圧力とEGR開弁カーブとの関係を示す特性 である。 マスク部材の配置状態を示す平面模式 図である。 上記第1実施形態の変形例を示す図で る。 上記第1実施形態の変形例を示す図で る。

符号の説明

1 4サイクルエンジン
1a シリンダボア(気筒)
1d 吸気ポート
1e 第2排気ポート
1p 第1排気ポート
3 吸気系
13a,13b 第1,第2燃料噴射弁
20 二次空気供給機構
21二次空気供給通路
22a~22d 開閉制御弁
23 補助過給機(エアポンプ)
31過給機
40 ブローダウン圧力波過給機構
50 マスク部材
IN1,IN2 吸気弁
EX1,EX2 排気弁
T1 第1温度層
T2 第2温度層
♯1 第2気筒
♯4 第1気筒

 以下本発明の実施形態を添付図面に基づい 説明する。
 図1~図7は本発明の第1実施形態による4サイ ルエンジンを説明するための図であり、図1 全体構成図、図2は該エンジンの断面側面図 、図3は動弁機構の平面模式図、図4は切換機 の模式図、図5~図7は動作説明図である。

 図において、1は4気筒4バルブDOHCガソリン エンジンをベースとしたHCCIエンジンである 該エンジン1は、♯1気筒~♯4気筒を備えてお 、該♯1~♯4気筒は、それぞれ2本ずつの吸気 弁IN1,IN2と、2本ずつの排気弁EX1,EX2の合計4本 弁を備えている。また、該エンジン1はガソ ン筒内噴射弁13を備え、圧縮比は火花点火 焼に最適な12に設定されている。

 上記エンジン1の点火順序は♯1-♯3-♯4-♯ 2気筒となっている。該各気筒間の位相(点火 隔)はクランク軸角度で180度であり、従って ♯1気筒と♯4気筒の位相、及び♯2気筒と♯3 筒の位相はそれぞれ360度である。なお、♯1 筒と♯4気筒のピストン位置、及び♯2気筒 ♯3気筒のピストン位置は常に同じであり、 1気筒及び♯4気筒のピストン位置と♯2気筒 び♯3気筒のピストン位置は180度異なる。

 上記エンジン1の具体的構造を説明する。 上記♯1~♯4気筒の各シリンダボア1a内には、 ストン1bが摺動自在に挿入され、該ピスト 1bはコンロッド1fでクランク軸(図示せず)に 結されている。上記シリンダボア1aの上側に 位置する燃焼室1cには、吸気ポート1dの吸気 開口1d″、排気ポート1eの排気弁開口1e″が2 ずつ開口しており、該各開口を上記第1,第2 気弁IN1,2、第1,第2排気弁EX1,2が開閉するよう になっている。

 上記第1,第2吸気弁用吸気弁開口1d″,1d″ 二股状の吸気ポート1dでシリンダヘッド前壁 側に延び、該前壁に開口している。

 また上記第1排気弁EX1用開口1e″は、第1排 気ポート1pにより、第2排気弁EX2用開口1e″は 2排気ポート1eによりシリンダヘッド後壁側 延び、途中で合流して後壁に開口している 上記第1排気ポート1pと第2排気ポート1eは、 壁1nで画成されており、該隔壁1nと排気ポー トの周壁とで囲まれた部分の容積が、後述す る第2排気ポートに貯留される二次空気の容 となっている。なお、上記隔壁を排気管内 も設けることが可能であり、このようにす ば二次空気の容積を拡大できる。

 上記吸気弁IN1,2、排気弁EX1,2は、動弁装置 4により開閉駆動される。この動弁装置4は、 記吸気弁IN1,2の開期間及びリフト量を連続 に変化可能とする吸気弁駆動機構7と、上記 気弁EX1,2を開閉する排気弁駆動機構8とを備 ている。

 上記排気弁駆動機構8は、クランク軸と平 行に配置された排気カム軸6,排気ロッカ軸8c 、該排気ロッカ軸8cにより揺動可能に軸支さ れた排気ロッカアーム8a,8aと、該各ロッカア ム8aの先端部に軸支されたローラ8bとを備え ている。上記排気カム軸6には、ベース円部6b とリフト部6cとを有する排気カムノーズ6aが 記各排気弁に対応するように形成されてい 。

 上記排気カム軸6の回転により上記排気カ ムノーズ6aが上記ローラ8bを介して上記ロッ アーム8aを上下揺動させ、該ロッカアーム8a 先端部8dが上記排気弁EXを開方向に押し下げ る。

 上記吸気弁駆動機構7は、クランク軸と平 行に配置された吸気カム軸5,吸気ロッカ軸7e, び支持軸7dと、該支持軸7dに揺動可能に支持 された揺動カム7aと、該揺動カム7aにより吸 コントロールアーム7cを介して揺動駆動され る吸気ロッカアーム7bとを備えている。上記 気カム軸5には、各気筒毎に各吸気弁に対応 するように吸気カムノーズ5aが形成されてい 。該各吸気カムノーズ5aはベース円部5bと、 リフト部5cとを有する。

 上記吸気ロッカアーム7bのリング状の基 部7b″は上記吸気ロッカ軸7eにより軸支され いる。上記吸気コントロールアーム7cのリ グ状の基端部7c″は、上記吸気ロッカ軸7eの 心から偏心するアーム支持軸7e″により軸 されている。上記吸気ロッカ軸7eを回動させ ると、吸気コントロールアーム7cは前後に進 し、先端部のローラ7fの上記揺動カム7aとの 摺接開始位置が変化し、もって吸気弁の開期 間,リフト量が変化する。

 上記吸気カム軸5を回転させると、該吸気 カム軸5の吸気カムノーズ5aが上記揺動カム7a, 吸気コントロールアーム7cを介して上記吸気 ッカアーム7bを上下に揺動させ、該吸気ロ カアーム7bの先端部が吸気弁IN1,2を開方向に し下げる。

 ここで上記吸気ポート1dは、図2に太実線 示すように、吸入空気流(新気流)が、気筒 Aを越えて排気弁側に流入し、該排気弁側を 筒軸Aに沿うように流下し、ピストン頂面で 反転して吸気弁側を上昇する新気タンブル流 Bが生成されるように、その形状等が設定さ ている。具体的には、吸気ポート1dは、カム 軸方向に見たとき、略直線状に形成され、か つその中心軸1kがシリンダボア1a内周面の上 気筒軸Aを越えた排気弁開口に近い部分1k″ 向かっており、このようにして新気流を排 弁側に方向付けするようになっている。

 一方、図2に太破線で示すように、排気ガ ス逆流(EGRガス流)や二次空気が、排気弁側に 気筒軸Aに沿うように流下し、ピストン頂面 で反転して吸気弁側を上昇する排気タンブル 流Cが生成されるように、排気ポート1p,1e部分 にマスク50が設けられている。なお、マスク5 0の配設領域については図21を用いて後述する 。

 上記エンジン1に接続された吸気装置3は 所定の容積を有するサージタンク3eと、該サ ージタンク3eから分岐して上記♯1気筒~♯4気 のそれぞれの吸気ポート1dに接続された分 管3a~3dとを有する。上記サージタンク3eの一 に形成された吸入口3fには吸気絞り弁3gが配 設され、該吸気絞り弁3gの上流側にはエアク ーナ(図示せず)が接続されている。

 また、上記エンジン1に接続された排気装 置2は、各気筒毎の枝管2a,2d,2b,2cの長さが比較 的長く設定され、位相(点火間隔)が360度の上 ♯1気筒と♯4気筒を連結して排気する第1の 気系2″と、同じく位相360度の♯2気筒と♯3 筒を連結して排気する第2の排気系2″″と 備えたいわゆる4-2-1排気系となっており、高 負荷運転領域において排気干渉が避けられる ので出力向上に適している。

 上記第1の排気系2″は、♯1気筒,♯4気筒 排気ポートの外部開口に接続された第1,第4 管2a,2dと、該両枝管2a,2dを合流させる第1合流 管2eを有する。上記第2の排気系2″″は、♯2 筒,♯3気筒の排気ポート1eに接続された第2, 3枝管2b,2cと、該両枝管2b,2cを合流させる第2 流管2fを有する。そして上記第1,第2合流管2e ,2fはメイン管2gに合流している。

 また上記第1,第2合流管2e,2fには、上流側 媒2i,2iが介設され、上記メイン管2gには下流 触媒2jが介設されている。さらにまた、上 第1,第2合流管2e,2fの上流側触媒2iより上流側 は、排気ポート面積を可変制御する排気絞 弁2h,2hが介設されている。

本実施形態エンジンは、♯4気筒(第1気筒) 膨張行程下死点付近の燃焼室内圧力波(排気 ローダウン圧力波)を、該♯4気筒と燃焼タ ミングが360度異なる♯1気筒(第2気筒)の吸気 程下死点付近において、第1,第2排気ポート1 p,1eに作用させるとともに、該♯1気筒の排気 EX1,2を再度開くブローダウン過給機構40と、 上記排気ブローダウン圧力波の上記♯1気筒 の到達に先立って該♯1気筒の第2排気ポート 1eに二次空気を供給して該排気ポート1e内に 留する二次空気供給機構20とを備えている。 上記♯4気筒からの排気ブローダウン圧力波 より、温度の高いEGRガスを上記第1排気ポー 1pから燃焼室内に過給するとともに、上記 2排気ポート1e内に貯留されている二次空気 主体で少量のEGRガスも含むものを上記♯1気 内に過給するように構成されている。

 なお、上記ブローダウン過給機構40及び 次空気供給機構21は、上記♯1気筒からの排 ブローダウン圧力波を利用して二次空気及 EGRガスを♯4気筒に過給するようにも構成さ ており、さらに♯2気筒からの排気ブローダ ウン圧力を利用してと♯3気筒に二次空気とEG Rガスを過給し、逆に♯3気筒からの排気ブロ ダウン圧力を利用して♯2気筒に二次空気と EGRガスを過給するようにも構成されている。 以下、上記♯1気筒と♯4気筒との関係につい 詳述する。

 上記ブローダウン過給機構40は、上記♯1 筒と♯4気筒との燃焼タイミングを360度ずら すとともに、♯4気筒からの排気ブローダウ 圧力波が♯1気筒の吸気行程下死点付近で該 1気筒の第1,第2排気ポートに到達するように 両気筒間の排気枝管2a,2dの長さを設定し、さ に吸気カム軸5により♯1気筒の排気弁EX1,2を 、図5にリフトカーブC1に示すように、該♯1 筒の吸気行程の下死点付近で再度開くEGR開 機構9を備えることにより実現されている。

 上記EGR開弁機構9は、上記吸気カム軸5に 成されたEGRカムノーズ5a″と、上記支持軸7d 軸支された排気ロッカカム10と、上記排気 ッカ軸8cに軸支された中間レバー11と、該排 ロッカ軸8cの軸心から偏心するアーム支持 8c″により軸支された排気コントロールアー ム13と、上記排気カム軸6に形成されたEGRガイ ドカム6b″とを備えている。

 上記吸気カム軸5側のEGRカムノーズ5a″は 上記吸気カム軸5の2つの吸気カムノーズ5a,5a 間に形成されている。このEGRカムノーズ5a″ 、上記吸気側のベース円部5bと同一径のEGR ース円部5b″と、上記吸気側のリフト部5cよ リフト量の小さいEGRリフト部5c″とを有す 。

 また上記排気カム軸6側のEGRガイドカム6b は、上記排気カムノーズ6aのベース円部6bと 同一径を有する。なお、このEGRガイドカム6b は、ベース円部のみからなり、リフト部は しない。

 上記排気ロッカカム10の上記支持軸7dを挟 んだ一側にはローラ10aが配設され、また他側 にはカム面10bが形成されている。上記ローラ 10aは上記EGRカムノーズ5a″に転接しており、 記カム面10bには排気コントロールアーム13 ローラ13bが転接している。

 上記中間レバー11は、概ね三角形状をな 、該三角形の頂角部が上記排気ロッカ軸8cに より揺動可能に支持されている。また上記三 角形の一方の底角部にはローラ8bが軸支され 他方の底角部に続く斜辺部にはカム面11aが 成されている。上記ローラ8bは上記EGRガイ カム6b″に転接し、上記カム面11aには上記排 気コントロールアーム13の先端に形成された 圧部13aが摺接している。

 ここで、上記中間レバー11と2つの排気ロ カレバー8a,8aとの間には、該中間レバー11の 揺動を該排気ロッカレバー8a,8aに伝達するEGR 弁オン状態と上記揺動を伝達しないEGR開弁 フ状態との何れかに切替え可能の切替機構1 2が形成されている。

 上記切替機構12は、図4に示すように、上 中間レバー11の先端部及び排気ロッカレバ 8a,8aの先端部に同軸をなすように連結穴12aを 形成し、該連結穴12a内に連結ピストン12b,12c 軸方向に摺動可能に、かつ軸直角方向に相 移動可能に配置した構造のものである。

 また上記連結ピストン12bの一端面と連結 12aの一端とで油圧室12eが形成され、連結ピ トン12cの他端面と連結穴12aの他端との間に ストッパ12dを介在させてリターンスプリン 12fが配設されている。上記油圧室12eには、 記ロッカ軸8cに形成された油圧通路8dを介し て油圧を供給可能となっている。

 油圧が上記油圧室12eに供給されると、上 連結ピストン12c,12bが中間レバー11と排気ロ カレバー8aとの境界を跨ぐ位置(図4(a))に位 し、上記EGR開弁オン状態となる。そして上 油圧が開放されると、上記連結ピストン12c 上記連結ピストン12b及びストッパ12dとの接 部が上記境界に一致し(図4(b))上記EGR開弁オ 状態となる。

 さらにまた上記吸気カム軸5は、該吸気カ ム軸5の位相を自由に制御可能の吸気カム位 可変機構15を備えている。吸気カム軸5の位 を変化させると、吸気弁IN1,2の吸気行程にお ける開閉時期が変化すると同時に、排気弁EX1 ,2のEGR開弁動作における開閉時期も同じ位相 け変化する。また上記排気カム軸6は、該排 気カム軸6の位相を自由に制御可能の排気カ 位相可変機構16を備えている。

 上記二次空気供給機構20は、上記サージ ンク3eと各気筒の上記第2排気ポート1eとを連 通接続する二次空気供給通路21と、該二次空 供給通路21に介設された二次空気制御弁22a~2 2dと、該二次空気供給通路21の二次空気制御 より上流側に介設された電動モータ駆動式 補助過給機(エアポンプ)23とを備えている。 お、23a駆動モータであり、また24は加圧に り温度上昇した新気を冷却するインタクー である。

 上記二次空気供給通路21は、各気筒の配 方向に延びるヘッダ部21aと、該ヘッダ部21a ら各気筒の第2排気ポート1e内に開口するよ 配置された分岐管21bとを備え、該各分岐管21 bに上記二次空気制御弁22が介設されている。 従って二次空気制御弁22が開かれると、上記 ッダ部21a内の二次空気が上記第2排気ポート 1eに供給され、該第2排気ポート1e内に貯留さ る。

 なお、上記二次空気は、第2排気ポート1e 容積程度供給されるが、この容積を越えて 給される場合もある。第2排気ポートの容積 を越える二次空気を供給した場合、第1排気 ート側にも二次空気が供給されるので、吸 ポートからの新気に二次空気が加わる分、 計量が増加し、HCCI運転可能領域を拡大でき 。また二次空気が増加すると高温側の温度 低下するので、着火時期の制御効果が大き 。しかし二次空気が第2排気ポートの容積を 越えないと高温側の温度は変化しないので最 初の着火時期は制御できない。なお、燃焼速 度の制御は可能である。

 上記♯1気筒(本発明の第2気筒に相当する) に、♯4気筒(本発明の第1気筒に相当する)か の排気ブローダウン圧力波を利用して二次 気及びEGRガスが過給される場合について詳 に説明する。

 図5は、♯1気筒と♯4気筒の排気弁,吸気弁 のリフトカーブEX,IN、EGR開弁機構9による排気 弁の再度の開時のリフトカーブC1、及び二次 気制御弁のリフトカーブSAを示す。図5に示 ように、二次空気制御弁は、各気筒の吸気 程において開となり、また排気弁は、EGR開 機構により、各気筒の吸気行程下死点付近 おいて開となる。

 また図6,図7は、EGRガスの第1排気ポート1p らシリンダボア内への流量megr、二次空気の 第2排気ポート1eへの流量msa,排気ガスの排気 ートへの流出量mex,新気(吸気)のシリンダボ 内への流量minのクランク角度に応じた変化 及びシリンダ内圧力pcy,排気ポート内圧力pex, 吸気ポート内圧力pinのクランク角度に応じた 変化を示す特性図である。図6は、上記二次 気制御弁22a~22dが閉状態に保持されている時 特性を、図7は上記二次空気制御弁が上述の タイミングで開閉される時の特性を示す。

 本実施形態エンジン1では、EGRガスの過給 を行うべき所定の運転域(HCCI運転域)にあって は、上述の切替機構12の油圧室12eに油圧が供 され、連結ピストン12b,12cが図4(a)の位置に 動し、これにより吸気カム軸5のEGRカムノー 5a″によって排気弁EX1,2が開閉駆動される。 詳細には、EGRカムノーズ5a″のリフト部5c″ ローラ10aを介して排気ロッカカム10を揺動さ せると、この揺動がローラ13bを介して中間レ バー11に伝達され、該中間レバー11と共に排 ロッカレバー8aが揺動し、これにより排気弁 EX1,2は図5に示すEGR開弁リフトカーブC1に沿っ 開閉する。

 なお、EGRガスの過給を行わない運転領域 あっては、上記油圧の供給が停止され、連 ピン12bが図4(b)の位置に移動し、中間レバー 11の揺動は排気ロッカレバー8aには伝達され 、従って排気弁はEGR開弁動作を行なわない

 本実施形態では、上記EGR開弁機構9は、高 回転領域においては、常時不作動とされる。 そのためEGRカム5a″によるバルブ加速度を高 設定することができ、EGRカム5a″は開度が いにもかかわらず比較的高いリフトが設定 れており、短時間で多くのEGRガスを導入で るようにしている。

 本実施形態では、二次空気が補助過給機2 3により排気ポート内圧力より高い圧力、例 ば1.2~1.8barで上記ヘッダ部21aに供給されてい 。そしてEGRガスの過給を行うHCCI運転域にあ っては、図5に二次空気制御弁SAで示すように 、上記♯1気筒の二次空気制御弁22aが、該♯1 筒の吸気行程において開き、上記加圧され 二次空気が該♯1気筒の第2排気ポート1eに供 給され(図7の二次空気流量msa参照)、該第2排 ポート1e内に二次空気が貯留される。この場 合、該♯1気筒が吸気下死点に近づくと、♯4 筒の排気弁が膨張行程下死点付近で開き始 、該♯4気筒からの排気ブローダウン圧力波 が排気系に排出され、該排気ブローダウン圧 力波は、上記特定長さに設定された排気枝管 2d,2aを経て♯1気筒側に向かう(図5参照)。この とき♯1気筒では、吸気行程下死点付近にお て上記EGR開弁機構9が排気弁をEGR開弁C1に示 ように再度開く。この排気弁の再度の開に イミングを合わせて上記排気ブローダウン 力波が、図7の排気ポート内圧力pexのポイン aに示すように、該♯1気筒の第1,第2排気ポ ト1p,1eに到達し、この排気ブローダウン圧力 波により上記第2排気ポート1eに貯留されてい た二次空気及び第1排気ポート1p内のEGRガスが ♯1気筒のシリンダボア1a内に押し込まれる。

 このようにして、図8に示すように、シリ ンダボア1a内の第1排気ポート1p側には、該第1 排気ポート1pから導入されたEGRガスからなる 度の高い第1温度層T1が形成され、第2排気ポ ート1e側には、主として該第2排気ポート1eか 導入された上記二次空気と少量のEGRガスか なる上記第1温度層T1より温度の低い第2温度 層T2が形成される。なお、図8における温度層 T1,T2は、ピストンが圧縮行程における下死点 80度付近に位置している状態を示す。

 このように第1排気弁側から高温のEGRガス を供給し、第2排気弁側から低温の二次空気 供給するようにしたので、第1温度層T1と第2 度層T2からなる温度成層を形成することが き、燃焼温度の急激な上昇を抑制できる。

 図9は、シリンダボア内での最大温度差と 、燃焼室内の平均圧力上昇率の変化率との関 係を示す。最大温度差が20℃の場合bは、温度 均一の場合aに比べて変化率はほとんど低下 ない。また、最大温度差が40℃の場合cは、 化率は少し低下する。一方、平均温度を10℃ 下げて最大温度差を40℃とした場合dは平均圧 力上昇率の変化率は大幅に低下することがわ かる。なお、シリンダボア内を均一温度とす る場合に平均温度を10℃低下させると発熱に 至らない。しかし温度分布を持つ場合には 高温部分が最初に発熱し、その膨張による 領域の圧縮と温度上昇によって全領域が燃 するものと考えられる。

 図6に示すように、吸気弁と排気弁のEGR開 弁とのオーバーラップ期間中に、吸排気管の 動的効果によって吸気ポート内圧力pinが排気 ポート内圧力pexよりわずかに高い(図6のポイ トd参照)ので、少量の新気がシリンダボア 介して排気ポートに供給される(図6のEGR流量 megrのポイントb参照)。

 なお、EGR流量megrではポイントbのような 側部分はシリンダ側から排気ポートに流出 ることを示し、ポイントeのような負側部分 、排気ポートからシリンダボア内に流入す ことを示している。

 また、図7に示すように、♯1気筒の二次 気制御弁22aが吸気行程において開かれるこ により二次空気が♯1気筒の排気ポート1eに 入され貯留される(同図の二次空気流量msaの 気行程参照)。これに続くEGR開弁機構9によ 排気弁の再度の開により上記二次空気がEGR スと共にシリンダボア内に導入される(同図 EGRガス流量megr参照)。このように新気に二 空気が加わることから低温空気の量が増加 、この増えた低温空気を圧縮着火に対応し 温度となるよう高温のEGRガスを増加させる ととなるので、二次空気を導入しない場合( 6参照)に比較して、気筒内混合気の質量(熱 量)が増加し、燃焼温度が低下する。その結 果、NOx抑制のために制限されている燃料噴射 量を増量できるので、トルクを増大できる。 なお、圧縮着火に必要な高温EGRガス量を確保 するために、排気絞り弁2hにより排気通路を 例えば断面積で1/2程度に絞ることにより、 温EGR量を増加することができる。但し、排 通路面積を絞るとわずかにポンプ損失が増 するので、排気弁のEGR開期間を長くする等 、バルブタイミングの工夫により高温EGRガ 量を確保するのがより望ましい。

 図10~図12は本発明の第2実施形態に係る4サ イクルエンジンを説明するための図である。 上記第1実施形態では、二次空気を補助過給 (エアポンプ)で加圧してヘッダ部に供給し、 二次空気制御弁の開閉により各気筒の第2排 ポートに供給するようにしたが、本第2実施 態は、新気をシリンダを経由して第2排気ポ ートに供給するようにした例である。図中、 図1,図5と同一符号は同一又は相当部分を示す 。

 本第2実施形態エンジン1のサージタンク3e に接続された空気導入通路30の途中には、電 モータ又はエンジン出力で駆動される主過 機(スーパーチャージャ)31が介設されており 、所定圧力に加圧された新気を該エンジン1 供給するようになっている。なお、30aは主 給機31をバイパスするバイパス通路、30bは該 バイパス通路30aを開閉するバイパス弁、32は 圧された新気の温度を低減するインターク ラ、33はエアクリーナである。

 上記主過給機31からの加圧新気は、♯1気 の吸気行程において、吸気弁が開くことに り吸気ポート1dから該♯1気筒のシリンダボ 内に導入される。図12に示すように、上記 気行程終期付近においては、吸気弁の閉よ 早いタイミングで第2排気弁EX2がEGR開弁を開 し、そのため吸気弁が開いており、かつ第2 排気弁EX2がEGR開弁により開いている比較的大 きなオーバーラップ期間がある(図12のEGR開弁 カーブc2参照)。しかも上記導入された新気が 加圧状態にあることも起因して、該新気の一 部はシリンダ内を経由して第2排気弁開口1e″ から該♯1気筒の第2排気ポート1eに吹き抜け この吹き抜けた新気は、二次空気として該 2排気ポート1e内に貯留されることとなる(図1 1のEGR流量megrの正側部分c参照)。

 一方、第1排気ポート1pの排気弁EX1は、第2 排気弁EX2より遅くEGR開弁を開始するため、吸 気弁と実質的なオーバーラップ期間が短くな る(図12のEGR開弁カーブc2″参照)。そのため上 記新気が第1排気ポート1pに吹き抜けるのが防 止される。

 このように♯1気筒の第1排気ポート1pには 排気ガスが残留し、第2排気ポート1e内には二 次空気が貯留されている状態で♯4気筒の排 弁が膨張行程下死点付近で開き始めること より、該♯4気筒内の排気ブローダウン圧力 が上記所定長さに設定された排気管2d ,2aを 介して♯1気筒の第1,第2排気ポート1p,1eに、上 記第1,第2排気弁EX1,EX2がEGR開弁状態にある間 到達する。この排気ブローダウン圧力波に り、上記♯1気筒の第1排気ポート1p内の排気 スが該♯1気筒内に押し込まれるとともに、 上記第2排気ポート1e内に貯留されていた二次 空気が少量のEGRガスとともに該♯1気筒内に し込まれる。

 本第2実施形態では、シリンダボア1a内の 1排気ポート1p側にEGRガスからなる温度の高 第1温度層T1が形成され、第2排気ポート1e側 主として上記二次空気と少量のEGRガスから る上記第1温度層T1より温度の低い第2温度層 T2が形成される。これにより燃焼温度の急激 上昇を抑制できる。

 また機械式の主過給機31により新気をシ ンダボア内を経由して第2排気ポート1e側に き抜けさせ、該吹き抜けた新気を二次空気 して第2排気ポート1e内に貯留するようにし ので、二次空気を排気ポートに予め供給す ための特別な機構を必要とせず、構造が簡 である。

 また、上記二次空気の導入により、シリ ダ内混合気の質量が、単に主過給機31によ 新気を吸気系から過給する単純な過給エン ンの場合より増加し、機械損失を抑えなが HCCI運転領域を拡大できる。

 図13~図16は本発明の第3実施形態を説明す ための図であり、図中、図1,図5,図10と同一 号は同一又は相当部分を示す。

 本第3実施形態のエンジン1では、第1の排 系2″の合流管2eと第2の排気系2″″の合流 2gが1つの共通の可変ノズルタービンを備え ターボ過給機36に接続されている。該ターボ 過給機36の空気吐出口とサージタンク3eとを 続する空気通路34にはインタークーラ35が介 されている。また排気枝管2aには圧力セン 2rが配設されている。

 また本第3実施形態エンジン1は、上述の 1実施形態と同じ構成の二次空気供給機構20 備えている。この二次空気供給機構20は、サ ージタンク3eと排気ポート1eとを接続する二 空気供給通路21と、該二次空気供給通路21に 設された補助過給機23及びインタークーラ24 と、二次空気制御弁22a~22dを備えている。

 また上記エンジン1の動弁装置4″の、吸 弁駆動機構7″,排気弁駆動機構8″及びEGR開 機構10″はそれぞれ以下の構造となっている 。

 上記吸気弁駆動機構7″は、吸気ロッカ軸 7hで揺動可能に支持された吸気ロッカアーム7 gの先端部に配設されたローラ7iを吸気カムノ ーズ5aで押圧することにより、吸気弁を開閉 動する。

 また上記排気弁駆動機構8″は、排気ロッ カ軸8hで揺動可能に支持された排気ロッカア ム8gの先端部に配設されたローラ8iを排気カ ムノーズ6aで押圧することにより、排気弁を 閉駆動する。

 上記EGR開弁機構10″は、上の吸気ロッカ 7hに揺動可能に支持された駆動レバー10gの中 間部に配設されたローラ10iをEGRカムノーズ5a で押圧駆動するようになっている。上記駆 レバー10gは、二股状の押圧片10h,10hを有し、 該押圧片10h,10hに軸方向位置調整可能に螺挿 れた押圧ピン10j,10jにより排気ロッカレバー8 g,8gの前端部8k,8kを押圧するようになっている 。

 ターボ過給式のエンジンの場合、ターボ 給機の回転速度が十分でないターボラグの 間には、吸気ポート内圧力の上昇が遅れる め、吸気量増加に遅れが発生するだけでな 、排気圧力が吸気圧力より高くなり、残留 スの増加,ポンプ損失増加によりさらにトル ク発生が遅れる。

 本第3実施形態では、図16に二次空気ヘッ 内圧力psaで示すように、補助過給機23によ 二次空気を、例えば1.5bar程度の圧力で排気 ート1eに供給し、該二次空気と共にEGRガスを 排気ブローダウン圧力波により過給するよう 構成されている。特に上記ターボラグの期間 においては、排気圧力が比較的に高いので、 より効果的に排気ブローダウン圧力波を利用 して二次空気を第2排気ポート1e側から、また 排気ガスを第1排気ポート1p側からシリンダボ ア内に過給できる。

このようにしてシリンダボア内に第1温度 と第2温度層とからなる温度成層を形成でき 緩慢燃焼を実現できる。また二次空気が増 した分、燃料噴射量を増加して過渡トルク 増大できる。その結果ターボ過給機36に供 されるタービン過給エネルギが増加し、該 ーボ過給機36の回転上昇速度が速くなり、そ れだけターボ過給の応答性を向上できる。

 なお、ターボ過給機の回転速度が十分に い定常運転状態では、上記補助過給機23の 動を停止してしても良い。定常運転状態で 、吸気ポート圧力が排気ポート圧力より高 なるので、新気が補助過給機23を空転させな がら二次空気導入通路21を介して第2排気ポー ト1eに供給される。その結果、補助過給機23 駆動停止しても上述のトルク増大効果が得 れ、低速トルクが増大する。

 また、本第3実施形態エンジンでは、上記 第1,第2の排気系2″,2″″の排気管長を、一方 の気筒からのブローダウンガスの一次圧力波 が他方の気筒の排気ポートに所定タイミング で到着する長さに設定する必要があるが、特 に第2排気系2″″については必要な長さを確 するのは困難な場合がある。そこでEGRガス 給を行う運転領域では、上記排気カム位相 変機構16により排気カム軸6の位相を通常よ 大きく遅角させることが望ましい。なお、 気カム軸5のカム位相可変機構を設けても良 い。

 上述のように、本第3実施形態におけるタ ーボ過給機36は、加速開始時のような過渡運 時には、タービン回転が低いために自動的 排気圧が吸気圧より高くなる。そしてこの うな加速中において、上記可変ノズルを閉 向に制御すれば、上記排気圧がより一層高 なる。タービン回転が上昇して定常状態に づけば、吸気圧力が上昇するとともに可変 ズルを開方向に制御するので、EGR導入量が 少して出力を増加しやすくなる。また始動 や暖機運転時には、上記可変ノズルは略全 まで絞られ、排気絞り弁の代用とされる。

 図17~図20は本発明の第4実施形態に係る4サ イクルエンジンを説明するための図であり、 図1,図10と同一符号は同一又は相当部分を示 。

 上記第2実施形態では、主過給機31で新気 加圧して気筒内に供給したが、本第4実施形 態は主過給機を設けることなく新気を加圧状 態で気筒内に供給し、該加圧新気の一部を気 筒内を経由して第2排気ポートに供給した例 ある。

 本第4実施形態エンジン1は、吸気系及び 気系の動的効果(脈動効果)を利用して新気を 排気ポート内圧力以上の圧力で気筒内に供給 するとともに、該供給された加圧新気を排気 弁のEGR開弁により排気ポート内に吹き抜けさ せて二次空気として貯留するように構成され ている。

 具体的には、サージタンク3eに接続され 空気導入通路30は、これの長さ及び断面積の 設定により、所定のエンジン回転数時に吸入 空気柱による動的効果が得られるように構成 されている。また、上記空気導入通路30の途 にはバイパス通路30aが配設され、該バイパ 通路30aには開閉弁30bが介設されている。

 上記空気導入通路30の実質的長さが、長 なるほどエンジンの低速回転域で上記動的 果が得られ、短くなるほど高速回転域で上 動的効果が得られるようになっている。具 的には、上記開閉弁30bを閉じると空気導入 路30の実質的長さが大となり、例えば1500~2000 rpm時に上記動的効果が得られ、上記開閉弁30b を開くと上記空気導入通路30の実質的長さが となり、例えば2000~2500rpm時に上記動的効果 得られる。

 図18は上記♯1気筒の吸気ポート内圧力pin おける吸気脈動の状態を、図19は♯1気筒の 気ポート内圧力pexにおける排気脈動の状態 それぞれ示しており、また図20は、吸気ポ ト内圧力pin,排気ポート内圧力pex,第1,第2排気 弁EX1,EX2のEGR開弁カーブc2″,c2及び吸気弁のリ フトカーブを示している。

同図から判るように、吸気行程における下 死点(クランクアングル540度)の直前では、吸 ポート内には高い圧力(符号a参照)が到達し 一方、排気ポート内圧力はブローダウン圧 波が到達する前の低い圧力bとなっている。 そのため新気が排気ポート内圧力より高い圧 力でもって気筒内に導入される。また上記吸 気行程終期付近においては、吸気弁の閉より 早いタイミングで第2排気弁EX2がEGR開弁を開 し(EGR開弁カーブc2参照)、そのため吸気弁が いており、かつ第2排気弁EX2がEGR開弁により 開いている比較的大きなEGRオーバーラップ期 間において上記加圧新気の一部は気筒内を経 由して第2排気弁開口1e″から該♯1気筒の第2 気ポート1eに吹き抜け、この吹き抜けた新 は、二次空気として該第2排気ポート1e内に 留されることとなる。

 一方、第1排気ポート1pの排気弁EX1は、第2 排気弁EX2より遅くEGR開弁を開始するため、吸 気弁との実質的なオーバーラップ期間が短く なり(EGR開弁カーブc2″参照)、新気が第1排気 ート1pに吹き抜けるのが抑制される。

 続いて♯4気筒の排気弁が膨張行程下死点 付近で開き始めることにより、該♯4気筒内 排気ブローダウン圧力波が♯1気筒の第1,第2 気ポート1p,1eに到達し、この排気ブローダ ン圧力波cにより、上記♯1気筒の第1排気ポ ト1p内の排気ガスが該♯1気筒内に押し込ま るとともに、上記第2排気ポート1e内に貯留 れていた二次空気が少量のEGRガスとともに ♯1気筒内に押し込まれる。

 このようにして、EGRガスからなる温度の い第1温度層T1と、主として上記二次空気と 量のEGRガスからなる上記第1温度層T1より温 の低い第2温度層T2が形成され、これにより 焼温度の急激な上昇を抑制できる。

 また本実施形態では、吸気系及び排気系 管長や管径を動的効果が得られるよう設定 ることにより、過給機を設けることなく吸 行程の下死点付近で吸気ポート内圧力を排 ポート内圧力より高くすることができ、加 新気を気筒内に供給することができ、かつ 気の一部を第2排気ポート1eに二次空気とし 貯留し、かつこれをブローダウン圧力波に り気筒内に過給できる。その結果、過給機 二次空気ポンプを必要とすることなく最も ンプルな構造で上記第2実施形態の場合と同 様の効果が得られる。

図21は、排気弁の弁頭に、上記二次空気及 EGRガスの流れと吸気ポートからの新気の流 とが干渉するのを回避するためにマスク部 50を設けた例である。このマスク部材50は、 弁頭に一体形成されるか、又はシリンダヘッ ドの燃焼室側に形成される。

 上記マスク部材50は、排気弁EX1,EX2のEGR開 時のリフト量と略等しい弁軸方向高さを有 る板状のもので、弁頭の外周を、例えば90 程度覆うように配置される。具体的には、 気弁側かつシリンダボア中心寄りを90度程度 覆うように排気弁開口の縁部に形成されてい る。

 このようなマスク部材50を設けた場合、 吸入された排気ガス及び二次空気は、シリ ダボア内壁に沿って気筒軸方向に流れ、該 れが吸気ポート側からの新気の流れと衝突 るのを抑制でき、上述の第1温度層と第2温度 層との温度差をより一層明確にできる。

 なお、上記各実施形態では複雑な動弁機 とその可変機構を設定したが、HCCI運転領域 を限定するか、多少の性能低下を許容すれば 、通常の動弁機構の排気カムにEGR開弁カムを 追加するだけの簡単な機構でも本発明の目的 を達成することができる。

 また、上記実施形態では、排気弁が2本で 、排気ポートが2本の場合を説明したが、本 明の適用範囲は上記実施形態に限定されな のは勿論であって、例えば図22,図23に示すも のにも適用できる。

 図22は、排気弁1本で排気ポート1本の例で ある。この場合、1本の排気ポートを仕切壁1r で第1,第2排気ポート1e″,1p″に画成し、一方 排気ポート1e″から二次空気をシリンダ内 導入し、他方の排気ポート1p″からEGRガスを シリンダ内に導入するように構成することが できる。

 図23は、排気弁2本で排気ポート2本の例で あるが、さらに各排気ポートを仕切壁1r,1rで れぞれ2つの排気ポートに画成している。中 央の排気ポート1e″″から二次空気をシリン 内に導入し、両側の排気ポート1p″,1p″か EGRガスをシリンダ内に導入するように構成 ることができる。