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Title:
FRET BAR FOR INGOT SLICING, INGOT TO WHICH FRET BAR IS STUCK, AND INGOT CUTTING METHOD USING FRET BAR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/153877
Kind Code:
A1
Abstract:
[PROBLEMS] In cutting an ingot by using a multi-wire saw, to improve material use efficiency by reducing variations in thickness among wafers to be obtained to thereby reduce material loss in cutting and improve working efficiency by shortening the time required for slicing. [MEANS FOR SOLVING PROBLEMS] In cutting an ingot by a multi-wire saw, a fret bar for ingot slicing is used in order to form notches at the start of the cutting. The fret bar for ingot slicing is characterized by being a columnar body stuck along the length direction of the ingot to a portion of the surface of the ingot on the side from which the cutting by the multi-wire saw is started.

Inventors:
KOBAYASHI MASAHITO (JP)
SHIMAOKA KEIICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/061262
Publication Date:
December 23, 2009
Filing Date:
June 19, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SHINANO ELECTRIC REFINING CO L (JP)
KOBAYASHI MASAHITO (JP)
SHIMAOKA KEIICHI (JP)
International Classes:
B28D5/04; B24B27/06
Foreign References:
JP2007301688A2007-11-22
JP2006001034A2006-01-05
JPH10182299A1998-07-07
JP2003159642A2003-06-03
JP2007538387A2007-12-27
Attorney, Agent or Firm:
KOHNO, Naotaka et al. (JP)
Naotaka Kono (JP)
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Claims:
 マルチワイヤソーによるインゴットの切断に際し、切断開始時に切り溝を形成させるために、マルチワイヤソーが切断を開始する側のインゴット表面の一部に、インゴットの長さ方向に沿って貼着させる柱状体であることを特徴とするインゴットスライシング用フレットバー。
 インゴットスライシング用フレットバーの長さ方向に対して垂直に切断したときの断面の周の少なくとも一部が直線である請求項1に記載のインゴットスライシング用フレットバー。
 インゴットスライシング用フレットバーの長さ方向に対して垂直に切断したときの断面の周の少なくとも一部が円弧状に窪んでいる請求項1に記載のインゴットスライシング用フレットバー。
 三角柱形又は四角柱形である請求項2に記載のインゴットスライシング用フレットバー。
 インゴットスライシング用フレットバーの長さ方向に対して垂直方向に切断したときの断面が、高さ3~20mm、幅3~20mmの略矩形である四角柱形である請求項4に記載のインゴットスライシング用フレットバー。
 インゴットスライシング用フレットバーが合成樹脂製である請求項1~5のいずれか1項に記載のインゴットスライシング用フレットバー。
 インゴットとの貼着面に梨地又は凹条を形成している請求項1~6のいずれか1項に記載のインゴットスライシング用フレットバー。
 マルチワイヤソーが切断を開始する側のインゴット表面の一部に、請求項1~7のいずれか1項に記載のインゴットスライシング用フレットバーをインゴットの長さ方向に沿って貼着させてなることを特徴とするインゴット。
 マルチワイヤソーが切断を開始する側のインゴット表面の一部に、請求項1~7のいずれか1項に記載のインゴットスライシング用フレットバーをインゴットの長さ方向に貼着し、当該フレットバーを最初に切り始めることを特徴とするインゴットの切断方法。
Description:
インゴットスライシング用フレ トバー、該フレットバーを貼着したインゴ ト、及び該フレットバーを用いたインゴッ の切断方法

 本発明は、マルチワイヤソーでインゴッ を薄くウエハ状に切断する際に使用するイ ゴットスライシング用フレットバー、該フ ットバーを貼着したインゴット、及び該フ ットバーを用いたインゴットの切断方法に する。

 近年、光エネルギーを直接電力に変換する 陽電池は、環境保護に対する意識の高まり ら、クリーンで再生可能なエネルギー供給 として注目が集まっており、民生機器、住 機器、輸送用機器、道路管理施設、通信施 等の幅広い分野で用いられている。一般に 太陽電池はその使用材料の種類によって、 リコン系、化合物系、有機系等に分類され が、発電効率が優れているなどの点から、 リコン系太陽電池が現在主流となっている
 シリコン系太陽電池に用いられるシリコン 板は、引き上げ法(チョクラルスキー法)、 ャスト法(鋳造法)等によって得られた単結晶 又は多結晶のシリコンインゴットを薄く切断 したウエハに種々の加工を施すことによって 作製されている。シリコン系太陽電池用イン ゴットのサイズとしては、現在156mm角のサイ が標準であり、その他125mm角、104mm角等の各 種サイズのインゴットが作製されている。ま たシリコン系太陽電池用インゴットの形状と しては、太陽電池モジュールにおいて有効占 有面積を広く取ることができ、インゴットか らウエハに加工する際の歩留りがよいことな どから角柱形が主流となっている。

 一方、シリコン、石英等の半導体素材か なる半導体用インゴットの直径は、情報通 分野の飛躍的発展に伴い、従前の8インチ(20 0mm)から、現在では12インチ(300mm)が主流を占 ており、次世代では450mmに移行すると言われ ている。製造コストの低減化を図るため、半 導体用インゴットの大口径化はより一層進ん でいる。

 これらのインゴットを薄いウエハに切断す 手段としては、従来使用されてきた内周刃 式のカッターに代わり、最近ではマルチワ ヤソーが多用されている。このマルチワイ ソーは、1本のワイヤを複数のガイドローラ 間に巻き付けて張り、このワイヤを1方向あ いは往復方向に走行させ、砥粒を含むスラ ーを供給しながら、走行するワイヤに押し けるようにインゴットを移動させて、ワイ ピッチ間隔の厚さにインゴットを切断する 置であり、一度に多くの枚数のウエハを切 出すことができるため、効率的な切断が可 である。また、切り代が狭いため、切断時 材料損失が比較的少なく、さらに、インゴ トの大口径化に対して容易に対応すること できるという利点も有している。
 ウエハの歩留り等を向上させたマルチワイ ソーシステムとして、例えば、インゴット 硬度に近似する当て板を用いた当該システ が報告されている(特許文献1参照)。

特開2003-159642号公報

 ところで、近年、太陽電池の需要が増大 るにつれて、材料となるシリコン等の需給 係が逼迫してきていることに加えて、太陽 池の利用範囲を更に拡大するために製造コ トを低下させる必要があることから、より 効に材料を活用することが課題となってい 。このような状況から、マルチワイヤソー ウエハに切り出すにあたり、切り代をでき だけ狭くして切断時の材料損失を減少させ あるいはウエハの厚さをできるだけ薄くす ことによって、1回のスライシング作業で得 られるウエハの取得枚数を増やし、材料の利 用効率(歩留り)を向上させることが検討され いる。ちなみに、太陽電池用インゴットか 切り出されるウエハの厚さは、従前の320μm ら、現在では180μmが主流となり、今後、そ 厚さは、ますます薄くなるであろうと予測 れている。

 インゴットから切り出すウエハの厚さを くし、あるいは切り代を狭くすることによ て1回のスライシング作業で得られるウエハ の取得枚数を増やすためには種々の方法が考 えられるが、それらの方法のうちの1つとし 、ワイヤの径をできるだけ細くして切り代 狭くすることにより材料の歩留りを向上さ る方法が広く検討されている。

 しかしながら、この方法では、ワイヤの を細くするのでワイヤが断線しやすくなり インゴットを切断するのに必要な切断荷重 ワイヤに加えることが難しくなる。ワイヤ かかる切断荷重が十分でないとインゴット 切断するのに必要な剛性が得られなくなる め、スライス加工に要する時間が増加して 業効率が低下することになる。したがって ワイヤの径を細くすることには限界がある が実情である。

 また、特に角柱形のインゴットを切断す 場合は、ワイヤの径を細くするとワイヤに かる切断荷重を少なくする必要が生じる。 たインゴットを切断するのに必要なワイヤ たわみ状態を作り出すのに時間がかかるた 、作業効率もよくないという問題があった またワイヤとインゴットの接点の位置の精 が低下し、切断面間隔が不均一になるとい 問題もあった。

 以上の点に鑑みて、本発明の目的は、マ チワイヤソーを利用してインゴットを切断 る際、得られるウエハ間での厚みのバラツ を抑え、切断時の材料損失を減少させて材 の利用効率を向上させると共に、スライシ グに要する時間を短縮させて作業効率を向 させる新たな技術を提供することにある。

 本発明者は、上記課題を解決するために、 ンゴットの形状、ワイヤの切断挙動等につ て体系的に検討を行った結果、マルチワイ ソーがインゴットを切断する際、切断開始 において多数のワイヤがインゴット表面の い面積に接触することによって横ぶれを起 すため、切り代が大きくなって材料損失が 大し、また得られるウエハ間の厚みのバラ キが大きくなること、また横ぶれによって ンゴットを切断するのに必要なワイヤの状 である、たわみ状態を作り出すのに時間が かり、スライシングの作業時間が増加する と、そして、このような現象は特にワイヤ の接触面積が大きい角柱形のインゴットに いて顕著に現れることを見出した。
 そこで、本発明者は、切断開始時における イヤの横ぶれを効果的に防止する方法につ て鋭意検討した結果、切断開始時における イヤとインゴットとの接触面積をなるべく さくすればワイヤの横ぶれの程度が減少す こと、但し、角柱インゴットの角部より切 を開始したのでは、切断開始時の接触面積 小さくなるが、対角部までの切断距離が大 くなり、時間がかかり過ぎることを知り、 らに検討して、インゴットに付属物を取り け、切断開始時において、これに切り溝を 成させることが有効であると考え、かかる えに基づいて新たな技術を開発するに至っ 。
 すなわち、本発明は、マルチワイヤソーに るインゴットの切断に際し、切断開始時に り溝を形成させるために、マルチワイヤソ が切断を開始する側のインゴット表面の一 に、インゴットの長さ方向に沿って貼着さ る柱状体であることを特徴とするインゴッ スライシング用フレットバー、マルチワイ ソーが切断を開始する側のインゴット表面 一部に、当該フレットバーをインゴットの さ方向に沿って貼着させてなることを特徴 するインゴット、及びマルチワイヤソーが 断を開始する側のインゴット表面の一部に 当該フレットバーをインゴットの長さ方向 貼着し、当該フレットバーを最初に切り始 ることを特徴とするインゴットの切断方法 ある。

 本発明によれば、マルチワイヤソーによる 断開始時において、ワイヤが本発明に係る ンゴットスライシング用フレットバーと狭 面積で接触して、該フレットバーに切り溝 形成されるため、ワイヤの横ぶれの程度が 少し、その結果、切り代が減少して材料の 用効率が上昇する。また、横ぶれが防止さ るため、より短時間でワイヤがたわみ状態 なり、スライシングに要する時間が短縮さ る。また、得られるウエハ間の厚みのバラ キが低減する。
 このように、本発明は、切断時における材 損失を減少させ、得られるウエハ間の厚み バラツキを小さくし、また作業効率を上昇 せるので、製造コストの削減、ウエハ厚み 均一性の向上、及び生産性の向上を図る上 非常に有効である。

本発明のインゴットスライシング用フ ットバーをインゴットに貼着した状態の一 を示す概略平面図である。 インゴットスライシング用フレットバ の各種態様を例示した説明図であり、(a)は 角柱状の当該フレットバーの概略説明図、( b)は四角柱状の当該フレットバーの概略説明 、(c)は断面凸状の当該フレットバーの概略 明図である。 マルチワイヤソーを用いて、インゴッ スライシング用フレットバーを貼着した角 形のインゴットの切断を開始する段階の状 を示す説明図である。

符号の説明

1:インゴット
2:インゴットスライシング用フレットバー
3:ワイヤ
4A、4B、4C:ワイヤガイドローラ
5:台座
6:当て板
7:切断液(スラリー液)

 以下、本発明の具体的な実施形態につい 図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は本 発明のインゴットスライシング用フレットバ ーをインゴットに貼着した状態の一例を示す 概略正面図であり、1はインゴット、2はイン ットスライシング用フレットバーである。

 切断の対象物であるインゴット1は、太陽 電池用インゴット、半導体用インゴットのい ずれであってもよい。具体的には、単結晶又 は多結晶のシリコン、石英、水晶、サファイ ア、GaPやInP等の化合物半導体等の素材からな り、角柱形(四角柱形、八角柱形等)、円柱形 の適宜の形状を有するインゴットである。 かしながら、上述したように、本発明のイ ゴットスライシング用フレットバーの作用 、切断開始時においてワイヤとの接触面積 狭くするという点に鑑みれば、もともと切 開始時においてワイヤとの接触面積が小さ 円柱形のインゴットではなく、ワイヤとの 触面積が大きい角柱形の形状を有するイン ットが適しており、したがって、通常、角 形の形状を有するシリコン系太陽電池用イ ゴットが、本発明の効果が顕著に現れると う点で好適である。

また、従来の内周刃方式によるスライシン グでは、インゴットの口径が大きくなるにつ れて刃厚を大きくする必要があるが、刃厚が 大きくなるとそれに伴って切り代が必然的に 多くなり材料損失が大きくなる。そのため直 径300mm以上の円柱形のインゴットに対して内 刃方式を適用することは従来困難であるが 本発明では、この内周刃方式で切断が困難 直径300mm以上である円柱形のインゴットに しても有効に適用することができる。

 本発明に係るインゴットスライシング用 レットバー2は、マルチワイヤソーによるイ ンゴットの切断に際し、切断開始時にワイヤ を接触させて切り溝を形成させることにより 、ワイヤの横ぶれを阻止してワイヤを均一の 間隔に揃えるとともに、インゴットを切断す るために必要なワイヤの状態、すなわち、ワ イヤがたわんだ状態を早期に作りだすための 柱状体である。

 インゴットスライシング用フレットバー2の 形状としては、マルチワイヤソーが切断を開 始する側のインゴット表面に貼着できる形状 であることが必要であり、例えば、インゴッ トスライシング用フレットバーの長さ方向に 対して垂直に切断したときの断面の周の少な くとも一部が直線である形状や円弧状に窪ん だ形状等が挙げられる。具体的には、三角柱 状あるいは四角柱状が例示されるが、切断開 始時点においてワイヤとの接触面積が小さい ほどワイヤの横ぶれが小さく、また切り溝が 早く形成されて好ましいことから、三角柱状 がよく、また四角柱状とする場合は、インゴ ット切断用フレットバーの長さ方向に対して 垂直方向に切断したときの断面が、高さ3~20mm 、好ましくは3~10mm(図1中のh)、幅3~20mm、好ま くは5~10mmの略矩形とするのが好適である。 さが3mm未満であると十分な切り溝を入れる とができず、20mmを超えるとスライシング時 が必要以上に長くなり、また幅が3mm未満で ると成形性、取り扱い等の点で容易ではな 、20mmを超えるとワイヤとの接触面積が大き くなるため本発明の効果が十分に発揮されな くなる。なお、インゴットスライシング用フ レットバー2の長さは、切断対象のインゴッ の長さ等に応じて適宜決定すればよい。
 図2に、インゴットスライシング用フレット バーの各種態様を示す。(a)は三角柱状の当該 フレットバーの概略説明図、(b)は四角柱状の 当該フレットバーの概略説明図、(c)は断面凸 状の当該フレットバーの概略説明図である。

 インゴットスライシング用フレットバー2は 、図1に示すように、マルチワイヤソーが切 を開始する側のインゴット表面の一部に、 ンゴットの長さ方向(軸方向)に沿って貼着さ せる。すなわち、インゴットスライシング用 フレットバー2の面のうち、インゴットの軸 向に沿う面で、切断開始側のインゴット表 に貼着させる。切断開始側のインゴット表 において、インゴットスライシング用フレ トバー2を貼着させる位置は任意であり、図1 に示すように、切断開始側のインゴット表面 の中央部分でもよいし、あるいは一方又は両 方の縁付近でもよい。なお、両方の縁付近に 貼着させる場合は、2本のインゴットスライ ング用フレットバーを用いる。
 インゴットと当該フレットバー2との貼着に は、それらの材質、コスト等を考慮して適当 な接着剤を用いればよい。また、インゴット スライシング用フレットバー2のインゴット 着面には、梨地、凹条等を形成するなどし 、接着剤との接着力を強化しておくことが インゴット1から分離するときに接着剤がイ ゴット1側に残留する可能性を少なくするこ とができる、という意味合いで好ましい。な お、図2に例示したインゴットスライシング フレットバーは、曲面を有していないこと らわかるように、いずれも主として角柱形 インゴットに対して使用される。

 インゴットスライシング用フレットバー2の 材質については、接着剤の付きがよく、コス ト的に安価なものを適宜選択すればよく、具 体的には、ガラス、カーボン、合成樹脂、セ ラミックス等が挙げられる。接着剤の付きが よいことやコストの点から、ガラス、特にす りガラスが好ましい。
 一方、加工物の厚さが薄くなることによっ 、切断されたフレットバーも薄くなり、切 時に割れて切断液中に混入し、再度切断加 部分に入り込み、事故発生することの危険 からみると合成樹脂製がさらに好ましい。

 次に、本発明に係るインゴットスライシン 用フレットバーを用いてインゴットを切断 る方法について、図3を参照しながら具体的 に説明する。図3は、マルチワイヤソーを用 て、インゴットスライシング用フレットバ を貼着した角柱形のインゴットの切断を開 する段階の状態を示す説明図である。
 インゴットの切断にはマルチワイヤソーを 用するが、このマルチワイヤソーは従来一 のものでよく特に限定はない。
 図3に例示したマルチワイヤソーは、3本の イヤガイドローラ4A、4B、4Cに設けられた多 の溝に、細い1本のワイヤ(ピアノ線)3を、一 ピッチ間隔で巻き付けたものであり、末端 はドラム(図示せず)に巻き取るようになっ いる。

 切断の手順としては、まず、マルチワイ ソーが切断を開始する側のインゴット1表面 の一部(図3では中央部付近)にインゴットスラ イシング用フレットバー2をインゴットの軸 向に貼着し、その後、台座5上の当て板6に接 着剤で接着したインゴット1を、水平に配置 れたワイヤガイドローラ4A、4B間のワイヤに し付けるように下降移動させ、砥粒を分散 せた切断液(スラリー液)7をワイヤ3とインゴ ットスライシング用フレットバー2の接触部 に連続的に供給しながら切断する。駆動モ タ(図示せず)により一方向あるいは往復走行 するワイヤ3は、切断開始時点において、イ ゴット1に貼着したインゴットスライシング フレットバー2に押し付けられ、それによっ て押圧力が作用し、また砥粒を介する研削作 用によって、当該フレットバーを最初に切削 して切り溝を形成し、次いでインゴット1を 断していく。切断開始時にこの切り溝を上 フレットバーに形成させることが本発明の 徴であり、この特徴を有することによって さ精度を向上及び材料損失を減少させ、ま 作業効率を上昇させることが可能となる。

 ワイヤ3の材質は、通常、炭素を0.8~0.9質 %程度含むピアノ線を使用する。またワイヤ3 の径は、通常は140~180μmであるが、本発明に れば、80~120μmの細い径とすることも可能で る。

 当て板6は、インゴット1の表面形状に適 するように表面が成形される。インゴット1 角柱状であれば、当て板6の接着面は平面に 形成し、円柱状であれば円弧状の凹形面に形 成する。当て板6の接着面には、梨地、凹条 を形成するなどして接着剤との接着力を強 しておくことが、インゴット1から分離する きに接着剤がインゴット1側に残留する可能 性を少なくすることができる、という意味合 いで好ましい。

 図3に示した例では、マルチワイヤソーとし て、インゴット1を押し下げて多数張られて るワイヤ3に押し付けるタイプを示したが、 の他180°反転させた状態でインゴットが押 上げられて押し付けるタイプ、90°回転した 態で横方向に押し付けるタイプのものでも い。
 また、図3では、ワイヤガイドローラが3個 いられる例を示したが、ワイヤガイドロー が2個の場合、あるいは4個以上の場合であっ てもよい。

 切断液7の供給は、特にインゴット1の両 から行ってもよいし、インゴット1に向かっ ワイヤ3の側から(図3で下から上に向けて)供 給しても差し支えない。

 このようにして、インゴットはマルチワ ヤソーによりウエハにスライスされるが、 ンゴットの表面に貼着されたインゴットス イシング用フレットバーも同時にスライス れる。スライスされたインゴットスライシ グ用フレットバーは、ウエハから分離され 廃棄されるが、これを再回収し、溶融する どしてインゴットスライシング用フレット ーに再成形してリサイクルすることもでき 。

 以下、実施例及び比較例を示し、本発明 具体的に説明するが、本発明は下記の実施 に制限されるものではない。

(実施例1)
 四角柱の太陽電池用多結晶シリコンインゴ ト(156mm角、長さ200mm)を用意し、マルチワイ ソーが切断を開始する側の上記インゴット 面の中央部付近に(図3参照)、長さ方向に対 て垂直方向に切断したときの断面が、高さ5 mm、幅10mmの略矩形であり、長さ200mmの四角柱 の合成樹脂製柱状体であるインゴットスラ シング用フレットバーを、上記インゴット 長さ方向に沿って接着剤で貼着した。
 こうして得られたシリコンインゴットを、 3に示したように、ピアノ線のマルチワイヤ ソーでスライシングした。その際の実験条件 は、ワイヤ平均走行速度
600mm/分、ワイヤ張力22N、切断速度0.35mm/分、 イヤ径0.12mm、ワイヤ間ピッチ0.34mmとした。
 その結果、得られたウエハの厚さは約0.18±0 .010mm、切り代は約0.16±0.010mm、切断開始から 了までに要した時間は約443分であった。

(比較例1)
 四角柱の太陽電池用多結晶シリコンインゴ ト(156mm角、長さ200mm)を用意し、インゴット ライシング用フレットバーを用いない以外 、実施例1と同様の方法、条件でこのインゴ ットをスライシングした。
 その結果、得られたウエハの厚さは約0.18±0 .015mm、切り代は約0.16±0.015mm、切断開始から 了までに要した時間は約445分であった。

 上記の結果から、本発明によれば切り代 小さくなり、ウエハ間厚さのバラツキは低 し、スライシングに要する時間は短縮する とが確認された。