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Title:
FRETTING-RESISTANT CONNECTOR AND PROCESS FOR MANUFACTURING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/005041
Kind Code:
A1
Abstract:
A fretting-resistant connector comprising a conductive metal material provided on at least an area of its surface with an organic coating consisting of an organic compound having an ether bond group.

Inventors:
YOSHIDA KAZUO (JP)
KOBAYASHI YOSHIAKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/061868
Publication Date:
January 08, 2009
Filing Date:
June 30, 2008
Export Citation:
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Assignee:
FURUKAWA ELECTRIC CO LTD (JP)
YOSHIDA KAZUO (JP)
KOBAYASHI YOSHIAKI (JP)
International Classes:
H01R13/03; C23C28/00; C25D7/00; H01R43/16
Foreign References:
JP2000015743A2000-01-18
JP2002212582A2002-07-31
JP2002343168A2002-11-29
JP2005019103A2005-01-20
JP2006173059A2006-06-29
JP2006299416A2006-11-02
JP2006086113A2006-03-30
JP2004176179A2004-06-24
JP2004323926A2004-11-18
JP2005240181A2005-09-08
JP2006261118A2006-09-28
JP2005336554A2005-12-08
JP2005240181A2005-09-08
JP2004176179A2004-06-24
JP2004323926A2004-11-18
Other References:
See also references of EP 2173012A4
Attorney, Agent or Firm:
IIDA, Toshizo (1-10 Shimbashi 3-chom, Minato-ku Tokyo 04, JP)
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Claims:
 導電性金属材料の少なくとも表面の一部にエーテル結合基を有する有機化合物から形成された有機皮膜を有することを特徴とする耐フレッティング性コネクタ。
 前記有機皮膜を形成する有機化合物は、エーテル結合基および疎水基のみからなることを特徴とする請求項1に記載の耐フレッティング性コネクタ。
 前記疎水基は、炭化水素基であることを特徴とする請求項2に記載の耐フレッティング性コネクタ。
 該コネクタが少なくとも1つ以上のオス端子とメス端子から構成され、
 前記有機皮膜が少なくとも前記オス端子を形成する前記導電性金属材料の表面の一部に形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の耐フレッティング性コネクタ。
 前記オス端子は、前記メス端子が接続する接続部を有し、
 前記有機皮膜は少なくとも前記接続部を形成する前記導電性金属材料の表面の一部においても形成されていることを特徴とする請求項4に記載の耐フレッティング性コネクタ。
 前記有機皮膜の厚さが0.0001~0.1μmであることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の耐フレッティング性コネクタ。
 前記導電性金属材料が、導電性基体上に、スズ、金、銀、銅、銅-スズ金属間化合物、ニッケル-スズ金属間化合物、またはスズ-銀金属間化合物からなる導電性表面層、あるいは前記金属間化合物からなる層の表面側にスズを分散させた金属組成物からなる導電性表面層を設けたものであることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の耐フレッティング性コネクタ。
 エーテル化合物または該エーテル化合物を溶媒中に含有させた溶液を導電性金属材料表面に塗布し、該エーテル化合物からなる被膜を設ける、または該エーテル化合物を分散吸着させることを特徴とする耐フレッティング性コネクタの製造方法。
 エーテル化合物は、エーテル結合基および疎水基のみからなることを特徴とする請求項8に記載の耐フレッティング性コネクタの製造方法。
 前記溶媒が揮発性溶媒であって、該溶媒中に前記エーテル化合物を0.01~50質量%含有させた溶液を前記導電性金属材料に塗布することを特徴とする請求項8または9に記載の耐フレッティング性コネクタの製造方法。
 前記溶液を塗布した後、または塗布しながら、前記導電性金属材料を抜き及び曲げ加工して形成することを特徴とする請求項8~10のいずれか1項に記載の耐フレッティング性コネクタの製造方法。
Description:
耐フレッティング性コネクタお びその製造方法

 本発明は耐フレッティング性コネクタお びその製造方法に関する。

 近年、自動車など電気的な信号配線が急 している用途では、多数の配線を1つのコネ クタで接続するよう、コネクタの多極化が進 められている。コネクタを多極化すれば、1 のコネクタに設けた多数のオス端子とメス 子とを一括して挿入することが必要になり 通常ピン数に比例して多きな挿入力が求め れる。作業者が手で挿入することができな ほどにまで大きな挿入力を要するようでは 特殊な挿入器具や装置が必要になり作業性 低下し、自動車等の生産効率に影響を与え ことともなる。挿入力を抑えるためにピン を低減すればコネクタの多極化ニーズに応 られない。

 特にスズめっきをした金属端子を用いた ネクタは、表面にめっきされているスズが 小振動で摩耗酸化しやすく、そのため接触 態が変化し導通を低下させることがある。 れを考慮し、スズめっき金属端子によるコ クタにおいてはオス端子とメス端子との間 遊びを設けることができず一層大きな挿入 が必要とされる。

 ところで、めっき金属材料に皮膜を設け 例として、スズめっきを施したリードフレ ムを、ポリオキシエチレンアルキルエーテ 硫酸エステル塩及びアルキルスルホコハク 塩のいずれか1種以上を含有させた水溶液に 浸漬させたものがある(特開2005-336554号公報参 照)。このリードフレームによればスズめっ 上のウイスカの発生を抑制しうるとされる また、電気亜鉛めっき冷延鋼板をアルカン オール溶液で処理する方法が開示されてい (特開2005-240181号公報参照)。これにより鋼板 塩水などによる錆などの腐食を防止しうる される。しかし、これらの金属材料のコネ タにおける性能は不明である。

 また、電子部品の端子にめっきを施した後 半田濡れ性向上処理剤として、界面活性剤 たはその水溶液を塗布し、めっき表面を処 する方法がある(特開2004-176179号公報、特開2 004-323926号公報参照)。この方法によると、端 部の酸化を抑制し、半田濡れ性を大幅に高 ることができ、半田による接合性と信頼性 著しく向上させることができる。しかし、 れらの処理が行われたコネクタにおける挿 力や摺動性能は不明であり、これらの方法 適用しても、処理された金属材料の表面変 やめっき層の腐食を完全に防ぐことは困難 ある。これは、界面活性剤が親水基を含む とにより雰囲気中の水分および酸性物質等 結合し、めっきされた金属と反応している とが原因と考えられる。
 このように、耐フレッティング性や耐食性 どの向上を同時に実現する技術は未だ確立 ておらず、これらを満足するための対策が がれている。

 すなわち、本発明によれば、以下の手段が 供される:
(1)導電性金属材料の少なくとも表面の一部に エーテル結合基を有する有機化合物から形成 された有機皮膜を有することを特徴とする耐 フレッティング性コネクタ。
(2)前記有機皮膜を形成する有機化合物は、エ ーテル結合基および疎水基のみからなること を特徴とする(1)項記載の耐フレッティング性 コネクタ。
(3)前記疎水基は、炭化水素基であることを特 徴とする(2)項記載の耐フレッティング性コネ クタ。
(4)該コネクタが少なくとも1つ以上のオス端 とメス端子から構成され、
 前記有機皮膜が少なくとも前記オス端子を 成する前記導電性金属材料の表面の一部に 成されていることを特徴とする(1)~(3)項のい ずれか1項に記載の耐フレッティング性コネ タ。
(5)前記オス端子は、前記メス端子が接続する 接続部を有し、
 前記有機皮膜は少なくとも前記接続部を形 する前記導電性金属材料の表面の一部にお ても形成されていることを特徴とする(4)項 記載の耐フレッティング性コネクタ。
(6)前記有機皮膜の厚さが0.0001~0.1μmであるこ を特徴とする(1)~(5)項のいずれか1項に記載の 耐フレッティング性コネクタ。
(7)前記導電性金属材料が、導電性基体上に、 スズ、金、銀、銅、銅-スズ金属間化合物、 ッケル-スズ金属間化合物、またはスズ-銀金 属間化合物からなる導電性表面層、あるいは 前記金属間化合物からなる層の表面側にスズ を分散させた金属組成物からなる導電性表面 層を設けたものであることを特徴とする(1)~(6 )項のいずれか1項に記載の耐フレッティング コネクタ。
(8)エーテル化合物または該エーテル化合物を 溶媒中に含有させた溶液を導電性金属材料表 面に塗布し、該エーテル化合物からなる被膜 を設ける、または該エーテル化合物を分散吸 着させることを特徴とする耐フレッティング 性コネクタの製造方法。
(9)エーテル化合物は、エーテル結合基および 疎水基のみからなることを特徴とする(8)項記 載の耐フレッティング性コネクタの製造方法 。
(10)前記溶媒が揮発性溶媒であって、該溶媒 に前記エーテル化合物を0.01~50質量%含有させ た溶液を前記導電性金属材料に塗布すること を特徴とする(8)または(9)項に記載の耐フレッ ティング性コネクタの製造方法。
(11)前記溶液を塗布した後、または塗布しな ら、前記導電性金属材料を抜き及び曲げ加 して形成することを特徴とする(8)~(10)項のい ずれか1項に記載の耐フレッティング性コネ タの製造方法。

 本発明の上記及び他の特徴及び利点は、 宜添付の図面を参照して、下記の記載から り明らかになるであろう。

図1は、本発明のコネクタの一実施態様 の要部を模式的に示す断面図である。 図2は、図1に示したコネクタのオス端 の全体を模式的に示す斜視図である。 図3は、図1に示したコネクタのメス端 の内部構造を模式的に示す斜視図である。 図4は、実施例において作製した金属材 料(試験材料4)の断面を拡大して模式的に示す 断面図である。 図5は、微摺動試験の態様を模式的に示 す側面図である。

 以下、本発明の耐フレッティング性コネク について詳細に説明する。
 図1は本発明の耐フレッティング性コネクタ の一実施形態の要部(接合部分)を模式的に示 断面図である。本実施形態のコネクタ10は ス端子1とメス端子2とが接合される途中の状 態で示されている。この状態から挿入方向a さらにオス端子1をメス端子2の内部に挿入す ることにより堅固に接合されたコネクタとな る。

 図2は図1に示したオス端子1の全体を模式 に示す斜視図である。本実施形態のオス端 1は、メス端子2との接続部分であるタブ11( 続部)と、電線との圧着を行う圧着部分であ ワイヤバレル12とを備える。タブ11は平板状 に形成され、その上面および下面はそれぞれ 平滑な面に仕上げられている。

 図3は図1に示したメス端子2の内部構造を模 的に示す斜視図である。上述したようにこ メス端子2と上記オス端子1とは互いに接合 能なものとされておりコネクタを構成しう 。図3において、メス端子2におけるオス端子 1との接合機構は中空の箱形状部の内部に形 されており、舌片21、ディンプル22、および ード23を有する。
 ディンプル22は、舌片21の上部に設けられた 凸状の部分であり、オス端子1との接合時に 、タブ11の下面と点接触する。舌片21は、接 圧力、すなわちディンプル22をタブ11に押し つける圧力を発生させるバネとしての機能を 有している。また、ビード23も凸状の部分で り、タブ11の上面と接触して、上記ディン ル22がタブ11に及ぼす接点圧力が効果的に発 するようにしている。

 オス端子1をメス端子2に挿入接合する際 は、図1の断面図に示すように、タブ11を舌 21とビード23との間隙に挿入する。このとき ビード23がタブ11の上面に摺接するとともに 、ディンプル22がタブ11の下面に摺接する。 して、タブ11を完全に挿入すると、ビード23 びディンプル22がそれぞれタブ11に強く接触 した状態で、タブ11がそれらの間に圧接保持 れる。これによりオス端子1及びメス端子2 の良好な電気的接続がなされる。すなわち 本実施形態のコネクタ10においては、オス端 子1側のタブ11の上面および下面が接点部分と なり、一方メス端子2側のディンプル22および ビード23が接点部分となって、両者を電気的 接続しうる。

 本発明のコネクタは図1~3で示した実施形態 コネクタ10に限定されるものではなく、端 対を接合可能なものであればどのような形 のものであってもよい。
 また、多数のオス端子及びメス端子の対を えたものとすることができ、例えば1~100対 端子対を設けたものとすることができる。 れを例えば車載用コネクタとして自動車に 載することができ、そのほか電気・電子機 等、多様な用途のコネクタとして適用しう 。
 本発明のコネクタの大きさは特に限定され いが、車載用小型コネクタでいうと、1つの オス端子もしくはメス端子の長手方向の長さ が例えば5~50mm程度のものとすることが実際的 である。

 本発明のコネクタは、導電性金属材料表面 エーテル化合物もしくは該エーテル化合物 溶媒中に含有させた溶液を塗布し、導電性 属材料の少なくとも表面の一部にエーテル 合基を有する有機化合物から形成された有 皮膜を有するものである。
 この有機皮膜を構成する有機化合物は、エ テル結合基(-O-)および疎水基のみからなる とが好ましい。つまり、エーテル結合基お び疎水基のみからなる有機化合物は、エー ル結合基でも疎水基でもない基、すなわち 酸基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、アミノ基(- NH 2 )、スルホン酸基(-SO 3 H)、メルカプト基(-SH)等の親水基を含有しな 。換言すると、当該有機化合物は界面活性 ではない。また、疎水基は炭化水素基であ ことがより好ましい。前記炭化水素基は、 肪族炭化水素基であっても芳香族炭化水素 であってもよい。これらの好ましい有機化 物は全体として疎水性であり、導電性金属 料の少なくとも表面の一部に有機皮膜とし 設けられることで、耐フレッティング性の 上、耐食性(特に雰囲気中の水分と水に溶解 たときに酸性あるいはアルカリ性を示す物 とによる腐食の防止)の向上等に特に大きい 効果をもたらす。

 上記エーテル化合物もしくはその溶液の 布はコネクタの全体に行っても、一部に行 てもよい。一部に塗布する態様としては、 ス端子及びメス端子のいずれかに塗布する 様、あるいは、各端子の接合部(上記実施形 態のコネクタ10でいうと、オス端子のタブ11( 2)、メス端子の舌片21もしくはビード23(図3) どが挙げられる。)にのみ塗布する態様が挙 げられる。全体に塗布するか、一部に塗布す るかは、コネクタの用途、塗布作業上の効率 や、塗布を特に要する部分の面積や形状を考 慮して適宜に定めればよいが、特に、摺動性 を向上させるという観点から、オス端子1側 有機皮膜を形成することが好ましい。また 特にオス端子1とメス端子2の接続部分である オス端子1のタブ11(接続部)に有機皮膜を設け ことで、接点圧力を受けるタブ11の耐フレ ティング性を向上させることができる。

 このときの有機皮膜の厚さとしては、特 限定されないが、接触抵抗の上昇抑制およ 有機化合物によるコネクタ全体への汚れの 点から、0.0001~0.1μmが好ましく、0.0001~0.01μm より好ましい。有機皮膜の厚さが薄すぎる 、接触抵抗の上昇抑止が効果的に発揮され 、厚すぎると、実装後の振動等により、メ 端子2側を含めたコネクタ全体に有機皮膜を 構成する有機化合物が付着し、汚れとなって 他部品への影響が懸念される。

 また、上記導電性金属材料は導電性基体上 導電性表面層を設けたものであることが好 しい。上記の導電性基体は、導電性金属材 の基体として用いられるものであれば特に 定されない。導電性基体を形成する材料と ては例えば、銅(Cu)ないしはその合金、鉄(Fe )ないしはその合金、ニッケル(Ni)ないしはそ 合金、アルミニウム(Al)ないしはその合金等 が挙げられる。
 導電性基体の形状は、板、棒、線、管、条 異型条など、電気電子部品用材料として使 される形状であれば特に制限はない。導電 基体の大きさは限定されないが、板状の端 の基体とするときには例えば、実用上、フ プ状に巻かれたコイルの幅を10~30mm程度とす ることが好ましく、厚さは0.05~0.8mm程度とす ことが好ましい。材料幅に関しては、金属 料を製造する際は効率化のために前記幅よ も広い幅の材料で製造し、その後材料を切 して要望される幅の材料を得てもよい。

 上記の導電性表面層は、スズ、金、銀、 、銅-スズ金属間化合物、ニッケル-スズ金 間化合物、またはスズ-銀金属間化合物から る層、あるいは、上記金属間化合物の層の 面側にスズを分散させた金属組成物からな 層であることが好ましく、なかでも、スズ 銅-スズ金属間化合物、銀、銀-スズ金属間 合物からなる層がより好ましい。

 スズ及びスズ金属間化合物としては、例え 、スズ、スズ-銅合金、スズ-銀合金、スズ- 鉛合金、スズ-鉛合金、スズ-銀-銅合金、ス -インジウム合金、スズ-ビスマス合金、ス -銀-ビスマス合金などが挙げられ、なかでも 、スズ、スズ-銅、スズ-銀、スズ-鉛、スズ- 鉛が好ましく、スズ、スズ-銅がより好まし 。なお、本発明においては、スズと他の金 との金属間化合物であって、当該金属間化 物中のスズの原子数より当該他の金属の原 数が多いもの(例えば、Ag 3 Sn、Cu 6 Sn 5 等)なども含まれるものとする。Snの含有量に ついては、50質量%以上としたもの(例えばCu 6 Sn 5 など)が好ましい。Sn-Ag合金などのようなSnと 金属との合金の場合には、コスト面なども 慮すると、表層全体(該Sn合金と他のSn合金 純Snとの合計)としてSnを原子数比で50%(50at%) 上含有し、かつ質量比でも50%(50質量%)以上含 有するものがより好ましい。

 また、上記導電性基体と導電性表面層との に、適宜中間層を設けることができる。
 中間層としては、ニッケル(Ni)またはその合 金、コバルト(Co)またはその合金、鉄または の合金、銅(Cu)またはその合金等が挙げられ なかでもニッケルが好ましい。
 中間層を設けるときには、中間層の数を2層 とし、さらにその2層の中間層を、導電性基 上からみて、ニッケルまたはその合金から る層、銅またはその合金からなる層の順序 形成することが好ましい。この理由として 、中間層を導電性基体から見てニッケルま はその合金からなる層、銅またはその合金 らなる層の順で形成することで、表層のス が銅と化合物を作りやすい特性を持ってい ため、容易に表層にスズ-銅化合物を形成さ ることができるためである。形成された金 間化合物としては、例えばCu 6 Sn 5 およびCu 3 Sn等が挙げられるが、化学量論的に中間層お びスズ層の被覆厚さを調整することで、こ ら化合物の厚さや形成状態を調整すること できる。また、スズ層を化学量論よりも厚 被覆することで、完全に最表層をスズ合金 にせずに、純スズ層を残存させてもよい。
 なお、導電性表面層及び中間層は導電性基 の全面に設けても、部分的に設けてもよく 必要に応じて被覆状態を適宜に調整したも でもよい。
 導電性基体上に形成された導電性表面層の さは特に限定されないが、実用上、中間層 ある場合は該中間層を含めて、0.1~5μmとす ことが好ましい。

 導電性表面層を銅-スズ金属間化合物の層 とするとき両金属の含有率は特に限定されな いが、例えばスズを1~50mol%とすることが好ま い。スズ-銀金属間化合物とするときにも両 金属の含有率は特に限定されないが、例えば 銀を1~70mol%とすることが好ましい。上記金属 化合物にスズを分散させた金属組成物の層 するとき、その分散させたスズの含有率は に限定されないが、分散させるスズを表層 金属組成物全体において50~95mol%とすること 好ましい。

 本発明においては、導電性金属材料表面上 エーテル結合基を有するエーテル化合物か 形成してなる有機皮膜を設けることが好ま い。この有機皮膜はエーテル結合基を有し スズ(Sn)またはその合金に対して物理吸着な いしは化学吸着する。これにより潤滑性を兼 ね備えた有機皮膜の機能を効果的に発揮し、 摺動特性に優れ、例えば多極化したコネクタ において挿入力を低減することができる。ま た、電気電子部品としての耐食性を向上させ (例えば水や酸素を遮断する作用により金属 しくはめっき表面を酸化(錆)から保護しうる 。)、さらには耐フレッティング性を飛躍的 向上させうるものである。また、必要に応 て、1N/mm 2 程度の比較的高い荷重においても耐摩耗性を 有することにより摺動特性に優れ、かつ耐食 性を有するものとすることができる。
 なお、本発明の導電性金属材料においては 上記有機被膜があっても例えば端子として 触させたとき、形成された有機皮膜厚が絶 を起こさない皮膜厚であるため、導通が得 れるものである。

 本発明において、導電性金属材料の表面 有機皮膜を形成する場合、どの程度有機皮 が導電性金属材料を覆うかは特に限定され いが、接続部(例えば、タブ11)の表面積に対 して、40%以上を有機皮膜が覆うように形成す ることで、耐フレッティング性はより好まし くなる。この被覆率が小さすぎると、接触抵 抗の上昇抑制が効果的に発揮されない。更に 好ましくは、80~100%である。

 前記エーテル結合基を有する有機化合物と ては、例えば炭素原子数5~40のエーテル化合 物が挙げられ、炭素原子数6~30のエーテル化 物が好ましい。エーテル化合物の具体例と ては、ジプロピルエーテル、アリルフェニ エーテル、エチルイソブチルエーテル、エ レングリコールジフェニルエーテル、ペン フェニルエーテル、アルキル(例えば、ノニ 、エイコシルなど)ジフェニルエーテル等の 、エーテル結合基および疎水基のみからなる エーテル化合物が挙げられる。また、特に分 子量が100以上のエーテル化合物が好ましく、 沸点が比較的高く、耐熱性にも優れた有機皮 膜が得られ、よりすぐれた効果を発揮しうる 。前記エーテル結合基を有する有機化合物と しては、当該有機化合物が全体として親水性 を示さないような形、構造であれば窒素原子 、硫黄原子を含有していてもよい。
 本発明において、上記エーテル化合物は硫 原子を含まない非硫黄エーテル化合物であ ことが好ましく、炭素原子、酸素原子、水 原子、及び窒素原子からなる含窒素炭化水 エーテル化合物であることがより好ましく 炭素原子、酸素原子、及び水素原子からな 炭化水素エーテル化合物(脂肪族エーテル化 合物及び芳香族エーテル化合物)であること 特に好ましい。炭化水素エーテル化合物と ては、上記に例示したような、エーテル結 基以外に酸素原子を含有しないエーテル化 物がより好ましい。このように硫黄原子を まないものを用いることで、電気電子部品 おける硫化腐食などを生じない点で好まし 。

 本発明のコネクタは、上記エーテル化合 または該エーテル化合物を溶媒中に含有さ た溶液を導電性金属材料表面に塗布し、該 ーテル化合物からなる被膜を設ける、また 該エーテル化合物を分散吸着させて形成す 。前記溶媒が揮発性溶媒であって、該揮発 溶媒中に0.01~50質量%の前記エーテル化合物 含有させた溶液を導電金属材料に塗布する とが好ましい。この際、前記溶液を塗布し 後、あるいは塗布しながら、該導電性金属 料を抜き及び曲げ加工して形成することが ましい。上記特定のエーテル化合物の具体 な塗布方法についていえば、プレス加工油( 滑油)に上記特定のエーテル化合物を混ぜて 用いてもよい。プレス加工油として揮発性溶 媒である灯油(主成分は通常炭素原子数9~15の ルカンでありエーテル化合物は含まれない )がしばしば使用される。ここに上記特定の エーテル化合物を溶解することができ、これ を加工油として用いて上記金属材料を抜き及 び曲げ加工すれば、上記エーテル化合物の塗 布を併わせて行うことができる。すなわち別 途の塗布工程を要さずに、コネクタ表面に上 記エーテル化合物の塗布を行うことができる 。

 上記エーテル化合物の塗布溶液中での濃 は0.01~50質量%とすることが好ましく、塗布 業等の観点からは1~10質量%とすることがより 好ましい。この濃度が小さすぎると、接触抵 抗の上昇抑止が効果的に発揮される有機皮膜 を形成することができず、大きすぎると、揮 発性溶媒が少ないために、塗布等を行った際 に、有機化合物分が多く残るため、メス端子 2側を含めたコネクタ全体に有機化合物が多 に付着し、汚れとなって他部品への影響が 念される。このとき用いる揮発性溶媒とし は、上述の灯油以外にも、トルエン、アセ ン、トリクロロエタン、市販品合成溶剤(例 ば、NSクリーン100W)等が挙げられる。なお、 有機皮膜の疎水性を確保する観点から、前記 溶剤については、親水性の不純物の含有量が 不可避のレベルであり、本発明に係る有機皮 膜中に親水性の不純物が残留しないようなも のであることが好ましい。特に好ましい溶剤 は、溶剤がその分子中に親水基を含有せず、 さらには、親水性の不純物も含有しないもの である。

 この有機皮膜の塗布処理は、1種の有機皮 膜を2回以上形成処理したり、2種以上のエー ル化合物からなる混合液による有機皮膜を2 回以上形成処理したり、さらにはこれらを交 互に形成処理したりしてもよいが、工程数や コスト面を考慮すると多くても形成処理は3 以内にすることが好ましい。

 上記エーテル化合物は多様な溶媒に過度 撹拌や加熱を要さずに溶解することができ ので、金属材料の種類や工程上の要求、コ クタの用途等に応じて適切な溶媒を選定し 用いることができ、汎用性に富んでいる。

 上記エーテル化合物のエーテル基は金属 面に化学的に吸着するので、塗布する際お びその後に溶媒等にともなって容易に流れ とされてしまうことなく、所望の状態の被 、あるいは金属表面に残留した良好な分散 着状態が得られる。これにより潤滑性を兼 備えた有機皮膜等の機能を効果的に発揮し 摺動性に優れ、多極化したコネクタであっ も挿入力を低く抑えることができる。

 上記エーテル化合物の金属表面への吸着 により、大きな変形をともなうオス端子や ス端子のプレス加工によっても、上記のエ テル化合物の優れた機態が維持されうる。 のため、上述したようにプレス加工前もし はそれと同時に上記エーテル化合物の塗布 行うことができ、加工後にのみ塗布しうる のに対し、工程上の自由度が大幅に高まる

 ここで上記の耐フレッティング性とは下 のフレッティング現象を効果的に抑制する とをいう。フレッティング現象とは、振動 温度変化などが原因で端子等の金属材料の 触面間に起きる微摺動により、端子表面の 質のめっき層が摩耗し酸化して、比抵抗の きい摩耗粉になる現象である。この現象に って、端子間の導通が低下することがある

 本発明のコネクタによれば上述のように耐 レッティング性を向上したため、例えばス めっきを施したコネクタの場合、メス端子 ディンプル部とビード部の距離を減じる設 などによって、メス端子のディンプル部と ード部によってオス端子のタブ部を挟みこ 力を減じたとしても、このような場合に生 やすいフレッティング現象を防止すること できる。したがって、上記特定のエーテル 合物が有する摺動性の良化作用とともに、 ス端子を挟みこむ力を減じることによる挿 抵抗の低減作用を奏し、多極コネクタの挿 力を大幅に低減することができる。
 また、表面層に硬い銅-スズ金属間化合物層 、銅-スズ金属間化合物層中にスズを分散さ た層を用いて金属材料を作製し、曲げ加工 件、張出し条件、その他条件を適宜設定し 子に加工する際、上記硬いめっき層を強制 に割れさせることがある。このようなとき 、本発明によれば、エーテル化合物または エーテル化合物を溶媒中に含有させた溶液 、プレス加工時、あるいはプレス加工後に 布することにより、それらの染み込みを促 ことができる。したがって前記エーテル化 物の塗布後、端子が振動や熱による接点部 摩耗しやすい状況下にあったとしてもフレ ティング現象の発生をより効果的に防ぐこ が可能となる。

 本発明のオス端子とメス端子とを有する耐 レッティング性コネクタは、上記端子対も くはその多数を一括して低挿入力で挿入し 合することができ、かつ耐フレッティング に優れ、微小振動等により上記端子対の接 部が摩耗するようなときにも良好な導通を 期に亙り維持しうるという優れた作用効果 奏する。
 また、本発明の製造方法によれば、上記の れた特性を有する耐フレッティング性コネ タを煩雑な工程を要さずに効率的に製造す ことができる。

 本発明を実施例に基づきさらに詳細に説 するが、本発明はそれらに限定されるもの はない。

 (実施例1)
 試験材料1
 厚み0.25mmの銅の条に脱脂および酸洗をこの に施し、次いで前記銅合金条にCu、Snをこの 順に層状に電気めっきしてめっき積層体を作 製した。各金属のめっき条件は以下のとおり である。
(a)Cuめっき
・めっき浴組成
  成分      濃度
  硫酸銅   180g/L
  硫酸     80g/L
・浴温度  40℃
・電気密度 5A/dm 2
・めっき厚 0.3μm
(b)Snめっき
・めっき浴組成
  成分       濃度
  硫酸第一錫   80g/L
  硫酸      80g/L
・浴温度  30℃
・電気密度 5A/dm 2
・めっき厚 0.8μm
 なお、上記厚さについては、めっき時間を 宜調整することで変化させることができる( このことは、後述する試験材料2~4においても 同様である。)。次いでこのめっき積層体を リフロー炉内を740℃で、7秒間熱処理し、最 面から、純Sn層、Cu-Sn合金層の順に形成され た電気電子部品用金属材料(試験材料1)を得た 。

 試験材料2
 厚み0.25mmの銅の条に脱脂および酸洗をこの に施し、次いで前記銅合金条にNi、Cu、Snを の順に層状に電気めっきしてめっき積層体 作製した。各金属のめっき条件は以下のと りである。
(a)Niめっき
・めっき浴組成
  成分              濃度
  スルファミン酸ニッケル   500g/L
  ホウ酸            30g/L
・浴温度  60℃
・電気密度 5A/dm 2
・めっき厚 0.5μm
(b)Cuめっき
・めっき浴組成
  成分      濃度
  硫酸銅   180g/L
  硫酸     80g/L
・浴温度  40℃
・電気密度 5A/dm 2
・めっき厚 0.3μm
(c)Snめっき
・めっき浴組成
  成分       濃度
  硫酸第一錫   80g/L
  硫酸      80g/L
・浴温度  30℃
・電気密度 5A/dm 2
・めっき厚 0.8μm
 次いでこのめっき積層体を、リフロー炉内 740℃で、7秒間熱処理し、最表面から、純Sn 、Cu-Sn合金層、Ni層の順に形成された電気電 子部品用金属材料(試験材料2)を得た。

 試験材料3
 厚み0.25mmの銅の条に脱脂および酸洗をこの に施し、次いで前記銅合金条にNi、Cu、Snを の順に層状に電気めっきしてめっき積層体 作製した。各金属のめっき条件は以下のと りである。
(a)Niめっき
・めっき浴組成
  成分              濃度
  スルファミン酸ニッケル   500g/L
  ホウ酸            30g/L
・浴温度  60℃
・電気密度 5A/dm 2
・めっき厚 0.5μm
(b)Cuめっき
・めっき浴組成
  成分      濃度
  硫酸銅   180g/L
  硫酸     80g/L
・浴温度  40℃
・電気密度 5A/dm 2
・めっき厚 0.8μm
(c)Snめっき
・めっき浴組成
  成分       濃度
  硫酸第一錫   80g/L
  硫酸      80g/L
・浴温度  30℃
・電気密度 5A/dm 2
・めっき厚 0.3μm
 次いでこのめっき積層体を、リフロー炉内 740℃で、7秒間熱処理し、最表面がCu-Sn合金 で形成された電気電子部品用金属材料(試験 材料3)を得た。

 試験材料4
 厚み0.25mmの銅の条に脱脂および酸洗をこの に施し、次いで前記銅合金条にNi、Cu、Snを の順に層状に電気めっきしてめっき積層体 作製した。各金属のめっき条件は以下のと りである。
(a)Niめっき
・めっき浴組成
  成分              濃度
  スルファミン酸ニッケル   500g/L
  ホウ酸            30g/L
・浴温度  60℃
・電気密度 5A/dm 2
・めっき厚 0.5μm
(b)Cuめっき
・めっき浴組成
  成分      濃度
  硫酸銅   180g/L
  硫酸     80g/L
・浴温度  40℃
・電気密度 5A/dm 2
・めっき厚 0.8μm
(c)Snめっき
・めっき浴組成
   成分      濃度
  硫酸第一錫   80g/L
  硫酸      80g/L
・浴温度  30℃
・電気密度 5A/dm 2
・めっき厚 0.5μm
 次いでこのめっき積層体を、リフロー炉内 740℃で、7秒間熱処理し、最表面のCu-Sn合金 中に純Snが分散した形態の電気電子部品用 属材料(試験材料4)を得た。試験材料4の断面 一部を拡大して摸式化して示したものを図4 に示す。図4において、41は導電性基材として の銅の条、42はニッケル層、43は銅層、44は銅 -スズ金属間化合物層、45は銅-スズ金属間化 物層44中に分散したスズをそれぞれ示す。

 また、他の試験材料として、試験材料5(表 にニッケル-スズ固溶体の層が形成され、銅 導電性基材とする材料)、試験材料6(表面に -スズ金属間化合物:具体的には表層中でAg 3 SnとSnが混在するようにして、表層全体とし はSnの原子数比を50%以上(ここではSnの原子数 比を51%)とした。質量比としてはSnが約53.4質 %の層が形成され、銅を導電性基材とする材 )、試験材料7(表面に金層が形成され、銅を 電性基材とする材料)を準備した。導電性基 材の厚さはそれぞれ0.25mmとした。

[微摺動試験]
 上記の試験材料1~7に関して、耐フレッティ グ性を判断するために、微摺動試験をして 価を行った。前記微摺動試験は次のように て行った。
 即ち、図5に示すように各2枚の金属材料を ンデント51、プレート52として用意し、金属 料51には曲率半径1.8mmの半球状張出部(凸部 面が最外層面)51aを設け、この半球状張出部5 1aに金属材料52の最外層面52aをそれぞれ脱脂 浄後に接触圧力3Nで接触させた。さらに後述 するように潤滑油を染み込ませた状態で両者 を、温度20℃、湿度65%の環境下で、摺動距離3 0μmで往復摺動させ、両金属材料51、52間に開 電圧20mVを負荷して定電流5mAを流し、摺動中 の電圧降下を4端子法により測定して電気抵 の変化を1秒ごとに求めた。微摺動試験前の 触抵抗値(初期値)と微摺動試験中の最大接 抵抗値(最大値)を、後述するように「○(良) 「△(可)」「×(不良)」と区別して下表に示 た。なお、往復運動の周波数は約3.3Hzで行 た。
 評価用のインデント51の材料には試験材料1~ 7を用い、40mm×10mmに切り出してさらに張出し 工を行ったものを使用した。また、プレー 52側には試験材料1~7を40mm×19mmに切り出した ンプルを用いた。また、エーテル結合を有 る化合物を揮発性溶媒である灯油に溶解し 潤滑油を準備した。次に、インデント、プ ートにそれぞれの試験材料を組み合わせ、 らに上記各試験材料に上記各潤滑油を染み ませた(あるいは、これとともに下表のエー テル化合物をそれぞれ染み込ませた)フエル を1往復のみなでるように塗布し、表1~6に示 た試験材料及び潤滑油(エーテル化合物)の み合わせの試験体をそれぞれ作製した。な 、このときのエーテル化合物の濃度は5質量% であり、皮膜の厚さは0.001μmとした。
 また、表7に示すように、有機皮膜の厚さを 変化させた場合の試験体、表8に示すように 揮発性溶媒中のエーテル化合物の含有量を 化させた試験体についてもそれぞれ作製し 。

 こうして準備した試験体を、先に説明し ように、張り出し部とプレート部を3Nの力 接触させ、微摺動距離30μmの相対変位を連続 的に与え、微摺動10000回中の抵抗上昇の有無 確認した。それぞれサンプル5個の平均で、 10mω未満の抵抗値のとき「○(良)」とし、抵 値が10mω以上15mω未満のとき「△(可)」、抵 値が15mω以上のとき「×(不良)」とした。結 を表1~表6に示した。なお、表6はエーテル化 物を用いなかったときの比較例である。

[動摩擦係数測定]
 各試験体の摺動特性を求めるために動摩擦 数測定を行った。このときの測定条件は、 定装置のR(半径)=3.0mmの鋼球プローブを試験 の平板に荷重1Nで圧接し、摺動距離10mm、摺 速度100mm/秒、摺動回数を片道1回とし、雰囲 気が65%Rh、25℃となるように設定した。摺動 については必要レベルを満たすものを「○( )」とし、満たさないものを「×(不良)」と た。

[外観評価]
 準備した試験体を、抵抗上昇の確認と同様 、微摺動10000回中の外観の評価を行った。 れぞれサンプル5個の平均で、8000~10000回のと きに、試験体外へのエーテル化合物の飛散が ほとんどない場合を「○(良)」とし、3000回以 上8000回未満のときには試験体外へのエーテ 化合物の飛散がほとんどないが、8000回以上 場合に、試験体外へのエーテル化合物の飛 が多く見られる場合を「△(可)」、3000回未 の場合に試験体外へのエーテル化合物の飛 が多く見られる場合を「×(不良)」とした。 この結果を表7、表8に示した。

 なお、エーテル結合基の確認については 赤外吸収スペクトルの測定(IR)を株式会社  場製作所 (HORIBA, Ltd.)製フーリエ変換赤外 光光度計フリーザクトFT-730で測定し、確認 た。

 また、有機皮膜の厚みについては、HIOKI製CH EMICAL IMPEDANCE
METERにより、試験体に対して有機被膜測定を った。

 上記の結果から分かるとおり、本発明の試 体(表1~表5)はいずれも耐フレッティング性 優れ、摺動性が良好であり、オス端子及び ス端子としたときに低挿入力で接続しうる のであることが分かる。
 また、本発明によれば1000回繰り返し微摺動 させた後にも接触抵抗の上昇を抑制すること ができるという優れた効果を示し、ペンタフ ェニルエーテルを用いたものについては微摺 動3000回に至るまで接触抵抗が実用的な範囲 を保ち、アルキルジフェニルエーテル等を いたものは、いずれの金属材料と組み合わ ても微摺動1000回以降10000回に至るまで接触 抗をほとんど上昇させないという顕著な結 を示した。

 なお、本実施例にて用いた試験材料3は、Sn 質量比が20%程度のものであったが、Sn濃度 低すぎると耐熱性が減じて、高温環境下で ネクタが使用された際に、早期の抵抗上昇 とつながる。このため、表層全体としてはSn の質量比を50%以上とすることが好ましい。例 えば、Cu 3 SnおよびCu 6 Sn 5 の2つの金属間化合物が混在するようにめっ を形成し、表層全体としてはSnの質量比を50% 以上(さらに好ましくはSnの質量比は51%以上) することができる。この場合にも、上記試 材料3の結果と同様の結果が得られる。
 また、試験材料1~7のうち、好ましくは、コ トの面で高価であるAu、Agを含有していない 試験材料1~5である。特にAuめっきを利用した ネクタについては、コネクタの接続部のみ 形成して用いることが現実的であり、有機 膜についても、Auめっきが形成された接続 にのみ形成することが好ましい。

 表7の結果から分かるとおり、本発明の試 験体において、有機皮膜の厚さを変化させた 場合に、0.0001~0.1μmの範囲内では、接触抵抗 ほとんど上昇させず、かつ、外観について 好ましい結果が得られた。なお、ジプロピ エーテル以外のエーテル化合物においても 有機皮膜の厚さが0.1μmを超えると外観、お び作業時のハンドリング性、すなわちべた きが懸念され、好ましくない結果となった

 表8の結果から分かるとおり、本発明の試 験体において、エーテル化合物の含有量が0.0 1~50質量%の範囲内では、接触抵抗をほとんど 昇させず、かつ、外観についても好ましい 果が得られた。なお、ジプロピルエーテル 外のエーテル化合物においても、エーテル 合物の含有量が50質量%を超えると外観が好 しくない結果となった。

(実施例2)
 下表9に示したエーテル化合物、その濃度、 金属材料とした以外、実施例1に示した手順 同様にして、ただし途中プレス加工してコ クタのオス端子とした試験体701~704を作製し 上述の微摺動試験と同様の試験を実施した また、挿入力試験については、図1~3に示す 子を用い、メス端子には試験材料1を用い、 メス端子を治具にて固定し、オス端子のコネ クタ嵌合時における端子の正規挿入方向を軸 方向とし、この時の変位-荷重曲線をモニタ し、端子が正規嵌合位置に至るまでの間の 重ピーク値を端子の挿入力として評価した なお、このときのメス端子のディンプル22部 分における接圧を6.4Nとし、端子の挿入力が3. 0N未満の場合を「○(良)」、3.0~3.5Nの場合を「 △(可)」、3.5Nを超えた場合を「×(不良)」と た。

 上記の結果より、本発明のコネクタのオ 端子試験体701、702、及び703は、比較のため 試験体704と異なり、いずれもプレス加工中 特定のエーテル化合物の塗布を行ってもそ 優れた作用が維持され、端子を低挿入力で 合することができ、また優れた耐フレッテ ング性を示すことが分かる。

(実施例3)
 次に、エーテル化合物としてペンタフェニ エーテルを4質量%濃度で試験材料1を用いた 外、実施例1に示した手順と同様にし、途中 プレス加工してコネクタのオス端子および/ たはメス端子を下表10に示すように試験体801 ~804を作製し、上述の微摺動試験と同様の試 を実施した。

  [表10]

 上記の結果より、本発明のコネクタのオ 端子および/またはメス端子の試験体801、802 、及び803は、比較のための試験体804と異なり 、いずれもプレス加工中に特定のエーテル化 合物の塗布を行ってもその優れた作用が維持 され、端子を低挿入力で接合することができ 、また比較的優れた耐フレッティング性を示 すことが分かる。特に、オス端子に対して、 有機皮膜を設けることで、メス端子のみに有 機皮膜を設けた試験体802に比べてより低い挿 入力とすることができたことが分かる。これ は、オス端子をメス端子に挿入する際に、オ ス端子の方がメス端子よりも接触面積が大き く、オス端子を本発明の構成とすることで、 挿入力を効果的に低減することができる。

 本発明の耐フレッティング性コネクタは、 挿入力で接合することができ、耐フレッテ ング性に優れ、微小振動等により端子の接 部が摩耗するようなときにも良好な導通を 持しうる、オス端子とメス端子とを含む耐 レッティング性コネクタとして好適なもの ある。
 また、本発明の耐フレッティング性コネク の製造方法は、上記の優れたコネクタを効 的に製造することができる製造方法として 適なものである。

 本発明をその実施態様とともに説明した 、我々は特に指定しない限り我々の発明を 明のどの細部においても限定しようとする のではなく、添付の請求の範囲に示した発 の精神と範囲に反することなく幅広く解釈 れるべきであると考える。

 本願は、2007年6月29日に日本国で特許出願 された特願2007-173335に基づく優先権を主張す ものであり、ここに参照してその内容を本 細書の記載の一部として取り込む。