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Title:
FUEL BATTERY SYSTEM
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/078339
Kind Code:
A1
Abstract:
A fuel battery system which suppresses unexpected variation of a target power during carrying out high potential avoidance control operation. The fuel battery system sets a high potential avoidance target voltage value (step 501), converts the high potential avoidance target voltage value to a target power value on the basis of the voltage- power property map of a fuel battery (step 502), limits the target power value within the range between a predetermined upper limit and lower limit (step 503), and controls the operation of the fuel battery on the basis of the target power value while limiting the output voltage of the fuel battery to not higher than the high potential avoidance target voltage (step 504). This suppresses the unexpected variation of the target power value resulting from the erroneous estimation of output property caused by the momentary voltage drop of the high potential avoidance target voltage.

Inventors:
YOSHIDA MICHIO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/072555
Publication Date:
June 25, 2009
Filing Date:
December 11, 2008
Export Citation:
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Assignee:
TOYOTA MOTOR CO LTD (JP)
YOSHIDA MICHIO (JP)
International Classes:
H01M8/10; H01M8/04
Foreign References:
JPH07153474A1995-06-16
JP2007194223A2007-08-02
JP2004288530A2004-10-14
Attorney, Agent or Firm:
INABA, Yoshiyuki et al. (Roppongi Hills Mori Tower 6-10-1, Roppongi, Minato-k, Tokyo 23, JP)
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Claims:
 反応ガスの供給を受けて発電する燃料電池と、
 前記燃料電池の出力特性を推定する推定装置と、
 高電位回避目標電圧値を設定する高電位回避電圧設定装置と、
 前記高電位回避目標電圧値を前記出力特性に基づいて目標電力値に変換するとともに、前記目標電力値を所定の上限値及び下限値の範囲内に制限する目標電力算出装置と、
 前記燃料電池の出力電圧を前記高電位回避目標電圧以下に制限しつつ、前記目標電力値に基づいて前記燃料電池の運転を制御する制御装置と、
 を備える燃料電池システム。
 請求項1に記載の燃料電池システムであって、
 前記高電位回避電圧設定装置は、所定の演算周期毎に前記高電位回避目標電圧値を可変設定する、燃料電池システム。
 請求項1に記載の燃料電池システムであって、
 前記推定装置は、所定の演算周期毎に前記出力特性を更新する、燃料電池システム。
 請求項1に記載の燃料電池システムであって、
 前記燃料電池の出力電圧を制御する電圧制御装置を更に備え、
 前記上限値及び下限値は、前記電圧制御装置を通過する通過電力の上限値及び下限値を基準に設定される、燃料電池システム。
 請求項4に記載の燃料電池システムであって、
 前記電圧制御装置は、前記通過電力に応じて単相運転と三相運転とを切り替えるDC/DCコンバータである、燃料電池システム。
Description:
燃料電池システム

 本発明は反応ガスの供給を受けて発電す 燃料電池システムに関する。

 燃料電池は、燃料を電気化学プロセスに って酸化させることにより、酸化反応に伴 て放出されるエネルギーを電気エネルギー 直接変換する発電システムである。燃料電 は、水素イオンを選択的に輸送するための 分子電解質膜の両側面を多孔質材料から成 一対の電極によって挟持してなる膜-電極ア ッセンブリを有する。一対の電極のそれぞれ は、白金系の金属触媒を担持するカーボン粉 末を主成分とし、高分子電解質膜に接する触 媒層と、触媒層の表面に形成され、通気性と 電子導電性とを併せ持つガス拡散層とを有す る。

 この種の燃料電池では、電極電位が高く保 される状態(特に、低密度電流運転時やアイ ドル運転時など)において、膜-電極アッセン リの触媒層に含まれる白金触媒がイオン化 て溶出し、性能低下を招く虞がある。この うな不都合を回避するため、特開2005-100820 公報に開示されているように、燃料電池の 力電圧をその開放端電圧より低い使用上限 圧(以下、高電位回避電圧と称する。)に制限 しつつ、運転制御する方法(以下、高電位回 制御と称する。)が知られている。

特開2005-100820号公報

 しかし、高電位回避制御により、燃料電 の出力電圧を瞬時に低下させると、燃料電 のC-V特性(サイクリックボルタノグラム)に り、燃料電池の寄生容量から電荷が放出さ るので、見かけ上のI-V特性(電流対電圧特性) が本来のI-V特性からずれるという現象が生じ 得る。燃料電池の出力電圧及び出力電流を所 定の演算周期毎に取得してI-V特性マップを推 定し、この推定されたI-V特性マップを基に運 転制御する燃料電池システムにおいては、上 記のような現象が生じると、誤推定されたI-V 特性マップを基に電池運転を制御することに なる。単相運転と三相運転とを切り替えて、 燃料電池の出力電圧を制御するDC/DCコンバー を搭載する燃料電池システムでは、誤推定 れたI-V特性マップを基に運転制御すると、D C/DCコンバータを通過するパワーが単相運転 に通過可能なパワーを上回ってしまい、コ バータフェイルにより、燃料電池の運転を 御することができなくなる場合がある。

 そこで、本発明は、高電位回避制御運転 施時における目標電力の予期しない変動を 制できる燃料電池システムを提案すること 課題とする。

 上記の課題を解決するため、本発明に係 る燃料電池システムは、反応ガスの供給を けて発電する燃料電池と、燃料電池の出力 性を推定する推定装置と、高電位回避目標 圧値を設定する高電位回避電圧設定装置と 高電位回避目標電圧値を出力特性に基づい 目標電力値に変換するとともに目標電力値 所定の上限値及び下限値の範囲内に制限す 目標電力算出装置と、燃料電池の出力電圧 高電位回避目標電圧以下に制限しつつ、目 電力値に基づいて燃料電池の運転を制御す 制御装置とを備える。かかる構成によれば 高電位回避目標電圧の瞬間的な低下に起因 て出力特性が誤推定されることによる、目 電力値の予期しない変動を抑制できる。

 高電位回避電圧設定装置は、所定の演算 期毎に高電位回避目標電圧を可変設定して よい。かかる構成によれば、燃料電池の発 電力を蓄電する蓄電装置の充電状態や車両 行モードなどに応じて最適な高電位回避目 電圧を設定できる。

 推定装置は、所定の演算周期毎に出力特 を更新してもよい。燃料電池の出力特性は 運転状態に応じて刻々と変動するので、出 特性を逐次更新するのが好ましい。

 本発明に係わる燃料電池システムは、燃 電池の出力電圧を制御する電圧制御装置を に備えてもよい。ここで、上述の上限値及 下限値は、電圧制御装置を通過する通過電 の上限値及び下限値を基準に設定されるの 好ましい。これにより、目標電力値が電圧 御装置を通過する通過電力の上限値を超え り、或いは下限値を下回ったりすることを 避できる。また、電圧制御装置として、例 ば、通過電力に応じて単相運転と三相運転 を切り替えるDC/DCコンバータが好ましい。

 本発明によれば、高電位回避制御運転実 時における目標電力の予期しない変動を抑 することができる。

本実施形態に係わる燃料電池システム システム構成図である。 本実施形態に係わるセルの分解斜視図 ある。 本実施形態に係わる燃料電池スタック C-V特性図である。 本実施形態に係わる燃料電池スタック 等価回路図である。 本実施形態に係わる目標電力の算出方 を示すフローチャートである。

符号の説明

10…燃料電池システム 20…燃料電池スタッ ク 30…酸化ガス供給系 40…燃料ガス供給系 50…電力系 60…コントローラ

 以下、各図を参照しながら本発明に係わる 施形態について説明する。
 図1は燃料電池車両の車載電源システムとし て機能する燃料電池システム10のシステム構 を示す。

 燃料電池システム10は、燃料電池車両に 載される車載電源システムとして機能する のであり、反応ガス(燃料ガス、酸化ガス)の 供給を受けて発電する燃料電池スタック20と 酸化ガスとしての空気を燃料電池スタック2 0に供給するための酸化ガス供給系30と、燃料 ガスとしての水素ガスを燃料電池スタック20 供給するための燃料ガス供給系40と、電力 充放電を制御するための電力系50と、システ ム全体を統括制御するコントローラ60とを備 ている。

 燃料電池スタック20は、多数のセルを直 に積層してなる固体高分子電解質型セルス ックである。燃料電池スタック20では、アノ ード極において(1)式の酸化反応が生じ、カソ ード極において(2)式の還元反応が生じる。燃 料電池スタック20全体としては(3)式の起電反 が生じる。

 H 2  → 2H + +2e -  …(1)
(1/2)O 2 +2H + +2e -  → H 2 O …(2)
H 2 +(1/2)O 2  → H 2 O …(3)

 燃料電池スタック20には、燃料電池スタ ク20の出力電圧を検出するための電圧センサ 71、及び出力電流を検出するための電流セン 72が取り付けられている。

 酸化ガス供給系30は、燃料電池スタック20 のカソード極に供給される酸化ガスが流れる 酸化ガス通路33と、燃料電池スタック20から 出される酸化オフガスが流れる酸化オフガ 通路34とを有している。酸化ガス通路33には フィルタ31を介して大気中から酸化ガスを り込むエアコンプレッサ32と、エアコンプレ ッサ32により加圧される酸化ガスを加湿する めの加湿器35と、燃料電池スタック20への酸 化ガス供給を遮断するための遮断弁A1とが設 られている。酸化オフガス通路34には、燃 電池スタック20からの酸化オフガス排出を遮 断するための遮断弁A2と、酸化ガス供給圧を 整するための背圧調整弁A3と、酸化ガス(ド イガス)と酸化オフガス(ウェットガス)との で水分交換するための加湿器15とが設けら ている。

 燃料ガス供給系40は、燃料ガス供給源41と 、燃料ガス供給源41から燃料電池スタック20 アノード極に供給される燃料ガスが流れる 料ガス通路43と、燃料電池スタック20から排 される燃料オフガスを燃料ガス通路43に帰 させるための循環通路44と、循環通路44内の 料オフガスを燃料ガス通路43に圧送する循 ポンプ45と、循環通路44に分岐接続される排 排水通路46とを有している。

 燃料ガス供給源41は、例えば、高圧水素 ンクや水素吸蔵合金などで構成され、高圧( えば、35MPa乃至70MPa)の水素ガスを貯留する 遮断弁H1を開くと、燃料ガス供給源41から燃 ガス通路43に燃料ガスが流出する。燃料ガ は、レギュレータH2やインジェクタ42により 例えば、200kPa程度まで減圧されて、燃料電 スタック20に供給される。

 尚、燃料ガス供給源41は、炭化水素系の 料から水素リッチな改質ガスを生成する改 器と、この改質器で生成した改質ガスを高 状態にして蓄圧する高圧ガスタンクとから 成してもよい。

 燃料ガス通路43には、燃料ガス供給源41か らの燃料ガスの供給を遮断又は許容するため の遮断弁H1と、燃料ガスの圧力を調整するレ ュレータH2と、燃料電池スタック20への燃料 ガス供給量を制御するインジェクタ42と、燃 電池スタック20への燃料ガス供給を遮断す ための遮断弁H3と、圧力センサ74とが設けら ている。

 循環通路44には、燃料電池スタック20から の燃料オフガス排出を遮断するための遮断弁 H4と、循環通路44から分岐する排気排水通路46 とが接続されている。排気排水通路46には、 気排水弁H5が配設されている。排気排水弁H5 は、コントローラ60からの指令によって作動 ることにより、循環通路44内の不純物を含 燃料オフガスと水分とを外部に排出する。 気排水弁H5の開弁により、循環通路44内の燃 オフガス中の不純物の濃度が下がり、循環 内を循環する燃料オフガス中の水素濃度を げることができる。

 排気排水弁H5を介して排出される燃料オ ガスは、酸化オフガス通路34を流れる酸化オ フガスと混合され、希釈器(図示せず)によっ 希釈される。循環ポンプ45は、循環系内の 料オフガスをモータ駆動により燃料電池ス ック20に循環供給する。

 電力系50は、DC/DCコンバータ51、バッテリ5 2、トラクションインバータ53、トラクション モータ54、及び補機類55を備えている。燃料 池システム10は、DC/DCコンバータ51とトラク ョンインバータ53とが並列に燃料電池スタッ ク20に接続するパラレルハイブリッドシステ として構成されている。DC/DCコンバータ51は 、バッテリ52から供給される直流電圧を昇圧 てトラクションインバータ53に出力する機 と、燃料電池スタック20が発電した直流電力 、又は回生制動によりトラクションモータ54 回収した回生電力を降圧してバッテリ52に 電する機能とを有する。DC/DCコンバータ51の れらの機能により、バッテリ52の充放電が 御される。また、DC/DCコンバータ51による電 変換制御により、燃料電池スタック20の運 ポイント(出力電圧、出力電流)が制御される 。

 DC/DCコンバータ51は、入力電圧(直流電圧) 交流電圧に変換するインバータ類似の回路 、その交流を整流して出力電圧(直流電圧) 変換する回路とが組み合わされた多相コン ータ(例えば、三相フルブリッジコンバータ) の回路構成を有している。DC/DCコンバータ51 、通過パワーに応じて単相運転と三相運転 を切り替えて駆動制御される。DC/DCコンバー タ51の通過パワーが所定値未満のときには、 相運転よりも単相運転の方がスイッチング 失は少ないので、単相運転が実施される。 方、DC/DCコンバータ51の通過パワーが所定値 以上のときには、単相運転よりも三相運転の 方がスイッチング損失は少ないので、三相運 転が実施される。

 バッテリ52は、余剰電力の貯蔵源、回生 動時の回生エネルギー貯蔵源、燃料電池車 の加速又は減速に伴う負荷変動時のエネル ーバッファとして機能する。バッテリ52とし ては、例えば、ニッケル・カドミウム蓄電池 、ニッケル・水素蓄電池、リチウム二次電池 等の二次電池が好適である。バッテリ52には SOC(State of charge)を検出するためのSOCセンサ が取り付けられている。

 トラクションインバータ53は、例えば、 ルス幅変調方式で駆動されるPWMインバータ あり、コントローラ60からの制御指令に従っ て、燃料電池スタック20又はバッテリ52から 力される直流電圧を三相交流電圧に変換し 、トラクションモータ54の回転トルクを制御 する。トラクションモータ54は、例えば、三 交流モータであり、燃料電池車両の動力源 構成する。

 補機類55は、燃料電池システム10内の各部 に配置されている各モータ(例えば、ポンプ などの動力源)や、これらのモータを駆動す ためのインバータ類、更には各種の車載補 類(例えば、エアコンプレッサ、インジェク タ、冷却水循環ポンプ、ラジエータなど)を 称するものである。

 コントローラ60は、CPU、ROM、RAM、及び入 力インタフェースを備えるコンピュータシ テムであり、燃料電池システム10の各部を制 御する。例えば、コントローラ60は、イグニ ションスイッチから出力される起動信号IG 受信すると、電池運転を開始し、燃料電池 タック20の出力電圧及び出力電流を電圧セン サ71及び電流センサ72から所定の演算周期毎 取得し、燃料電池スタック20のI-V特性マップ 81を逐次更新する。例えば、コントローラ60 、燃料電池スタック20の電圧が電流の関数( 次関数又は所定の数次関数)として表すこと できるものと仮定し、最小二乗法による推 方法を用いて、I-V特性マップ81を作成する とができる。コントローラ60は、このI-V特性 マップ81を基にV-P特性(電圧対電力特性)マッ 82を逐次更新する。ここで、V-P特性マップ82 、I-V特性マップ81に基づいて一義的に定ま ことが知られている。本明細書では、I-V特 マップ81又はV-P特性マップ82の何れか一方又 両者を総称して、燃料電池スタック20の出 特性と称する。尚、I-V特性マップ81及びV-P特 性マップ82は、メモリ80内に格納されている

 コントローラ60は、アクセルセンサから 力されるアクセル開度信号ACCや、車速セン から出力される車速信号VCなどを基に、車両 走行電力や補機消費電力を算出する。そして 、コントローラ60は、車両走行電力と補機消 電力との合計値から算出される発電指令値 、高電位回避電圧から算出される発電指令 とのうち大きい方を燃料電池スタック20に する発電指令値として発電制御する。

 ここで、補機電力には、車載補機類(加湿 器、エアコンプレッサ、水素ポンプ、及び冷 却水循環ポンプ等)で消費される電力、車両 行に必要な装置(変速機、車輪制御装置、操 装置、及び懸架装置等)で消費される電力、 乗員空間内に配設される装置(空調装置、照 器具、及びオーディオ等)で消費される電力 どが含まれる。

 そして、コントローラ60は、I-V特性マッ 81、及びV-P特性マップ82を基に、燃料電池ス ック20とバッテリ52とのそれぞれの出力電力 の配分を決定し、燃料電池スタック20の発電 が目標電力に一致するように、酸化ガス供 系30及び燃料ガス供給系40を制御するととも に、DC/DCコンバータ51を制御して、燃料電池 タック20の出力電圧を調整することにより、 燃料電池スタック20の運転ポイント(出力電圧 、出力電流)を制御する。更に、コントロー 60は、アクセル開度に応じた目標トルクが得 られるように、例えば、スイッチング指令と して、U相、V相、及びW相の各交流電圧指令値 をトラクションインバータ53に出力し、トラ ションモータ54の出力トルク、及び回転数 制御する。

 図2は燃料電池スタック20を構成するセル21 分解斜視図である。
 セル21は、電解質膜22と、アノード極23と、 ソード極24と、セパレータ26,27とから構成さ れている。アノード極23及びカソード極24は 電解質膜22を両側から挟んでサンドイッチ構 造を成す拡散電極である。ガス不透過の導電 性部材から構成されるセパレータ26,27は、こ サンドイッチ構造をさらに両側から挟みつ 、アノード極23及びカソード極24との間にそ れぞれ燃料ガス及び酸化ガスの流路を形成す る。セパレータ26には、断面凹状のリブ26aが 成されている。リブ26aにアノード極23が当 することで、リブ26aの開口部は閉塞され、 料ガス流路が形成される。セパレータ27には 、断面凹状のリブ27aが形成されている。リブ 27aにカソード極24が当接することで、リブ27a 開口部は閉塞され、酸化ガス流路が形成さ る。

 アノード極23は、白金系の金属触媒(Pt,Pt-F e,Pt-Cr,Pt-Ni,Pt-Ruなど)を担持するカーボン粉末 主成分とし、電解質膜22に接する触媒層23a 、触媒層23aの表面に形成され、通気性と電 導電性とを併せ持つガス拡散層23bとを有す 。同様に、カソード極24は、触媒層24aとガス 拡散層24bとを有する。より詳細には、触媒層 23a,24aは、白金、又は白金と他の金属からな 合金を担持したカーボン粉を適当な有機溶 に分散させ、電解質溶液を適量添加してペ スト化し、電解質膜22上にスクリーン印刷し たものである。ガス拡散層23b、24bは、炭素繊 維から成る糸で織成したカーボンクロス、カ ーボンペーパー、又はカーボンフェルトによ り形成されている。電解質膜22は、固体高分 材料、例えば、フッ素系樹脂により形成さ たプロトン伝導性のイオン交換膜であり、 潤状態で良好な電気伝導性を発揮する。電 質膜22、アノード極23、及びカソード極24に って膜-電極アッセンブリ25が形成される。

 図3は燃料電池スタック20のC-V特性を示して る。
 このC-V特性は、燃料電池スタック20の動的 電気特性を示すものであり、燃料電池スタ ク20の電圧を一定の速度で昇圧させていくと 、外部から燃料電池スタック20へ流れ込む方 (マイナス方向)に電流が流れ、燃料電池ス ックの電圧を一定の速度で降圧させていく 、燃料電池スタック20から外部へ流れる方向 (プラス方向)に電流が流れる。このような動 な電気特性は、燃料電池スタック20の触媒 持体の電気二重層容量成分と触媒の酸化還 反応による見かけ上の容量成分によるもの あることが判明している。

 図4は燃料電池スタック20の動的な電気特性 モデル化した等価回路図である。
 燃料電池スタック20は、理想燃料電池28とキ ャパシタ29とが並列接続されてなる回路構成 有している。理想燃料電池28は、上述のC-V 性を有しない仮想的な燃料電池をモデル化 たものであり、電気特性上、可変電源と等 な振る舞いをする。キャパシタ29は、電気二 重層の電気的な振る舞いを容量素子としてモ デル化したものである。外部負荷56は電力系5 0をモデル化した等価回路である。理想燃料 池28から流れ出す電流をIfc、理想燃料電池28 出力電圧(燃料電池スタック20の出力電圧)を Vfc、キャパシタ29に流れ込む電流をIc、燃料 池スタック20から外部負荷56に流れ出す電流 Is、キャパシタ29の容量をC、時間をtとする 、以下に示す(4)~(5)式が成立する。

Ifc=Ic+Is …(4)
Ic=C・δVfc/δt …(5)

 (4)~(5)式に示すように、出力電圧Vfcを降圧 すると、単位時間あたりの変化量δVfc/δtに応 じて、キャパシタ29に流れ込む電流Icが減少 るので、燃料電池スタック20から外部負荷56 流れ出す電流Isは増加する。一方、出力電 Vfcを昇圧すると、単位時間あたりの変化量δ Vfc/δtに応じて、キャパシタ29に流れ込む電流 Icが増加するので、燃料電池スタック20から 部負荷56に流れ出す電流Isは減少する。但し 燃料電池スタック20とDC/DCコンバータ51との に電流の逆流を防止するためのダイオード 介挿されている場合には、出力電圧Vfcを昇 させても、燃料電池スタック20に流入する きには、電流は流れない。

 次に、高電位回避制御の実行条件及び禁止 件について説明する。
 高電位回避制御の実行条件として、例えば (A1)バッテリ52のSOCが第一の閾値(例えば70%) 下であること、(B1)燃料ガス供給系30の配管 力(圧力センサ74の検出値)に基づくガス漏れ 出の判定中でないことの条件が全て満たさ ていることを挙げることができる。一方、 電位回避制御の禁止条件として、例えば、( A2)バッテリ52のSOCが第二の閾値(例えば75%)以 であること、(B2)燃料ガス供給系30の配管圧 に基づくガス漏れ検出の判定中であること 何れかの条件が満たされていることを挙げ ことができる。

 高電位回避制御の実行条件が満たされる 、燃料電池スタック20の出力電圧は、その 放端電圧よりも低い高電位回避電圧以下に 限される。高電位回避電圧としては、燃料 池スタック20の触媒層23a,24aに含まれている 金触媒が溶出しない程度の電圧範囲である いう条件を満たす電圧であることが好まし 、更にはその条件に加えて、燃料電池スタ ク20への反応ガス供給を停止した状態で燃料 電池スタック20の出力電圧を高電位回避電圧 維持したときに、燃料電池スタック20が発 する電力を補機類55によって消費できる程度 の電圧範囲であるという条件を満たす電圧で あることが好ましい。高電位回避電圧は、バ ッテリ52のSOCや補機類55の消費電力などに応 て刻々と変動する可変制御値として取り扱 れることが好ましい。

 一方、高電位回避制御の禁止条件が満た れると、燃料電池スタック20の出力電圧は の開放端電圧まで昇圧することが許可され 。

 尚、上記の説明では、バッテリ52のSOCを 準に高電位回避制御機能のオン/オフ切り替 をするための判定条件を設定する例を示し が、バッテリ52の充電可能量を基準に高電 回避制御機能のオン/オフ切り替えをするた の判定条件を設定してもよい。例えば、バ テリ52の充電可能量が所定の閾値未満にな と、高電位回避制御機能をオフからオンに り替え、バッテリ52の充電可能量が所定の閾 値以上になると、高電位回避制御機能をオン からオフに切り替えてもよい。また、高電位 回避制御の実行条件として、上記の(A1)~(B1)を 他の条件に変更してもよく、或いは更に条件 を追加してもよい。高電位回避制御の禁止条 件として、上記の(A2)~(B2)を他の条件に変更し てもよく、或いは更に条件を追加してもよい 。

 次に、図5を参照しながら、燃料電池スタッ ク20の目標電力を算出する方法について説明 る。
 まず、コントローラ60は、バッテリ52の充電 状態や補機類55の消費電力などに応じて、高 位回避目標電圧を算出する(ステップ501)。 えば、バッテリ52の充電量が少ない場合(又 充電可能量が高い場合)には、高電位回避目 電圧を低い電圧値に設定しても、高電位回 制御による発電を蓄電できるだけの十分な 裕があるので、このような場合には、高電 回避目標電圧を低く設定し、燃料電池スタ ク20の劣化を抑制するのが好ましい。これ は逆に、バッテリ52の充電量が多い場合(又 充電可能量が低い場合)には、高電位回避制 による発電を蓄電できるだけの十分な余裕 ないので、このような場合には、高電位回 目標電圧を高く設定し、高電位回避制御に る発電量を抑制するのが好ましい。

 また、バッテリ52の充電量が多い場合(又 充電可能量が低い場合)であっても、補機類 55による電力消費が多く見込まれるような場 には、高電位回避目標電圧を低く設定し、 料電池スタック20の劣化を抑制するのが好 しい。

 また、車両の走行モード(D/Bレンジ)に応 て回生制動中の高電位回避目標電圧を変更 てもよい。ここで、Dレンジは、通常走行時 用いられる走行モードであり、Bレンジは、 下り坂や峠道などを走行する場合のように、 通常走行時よりも大きい制動力が要求される ときに用いられる走行モードである。トラク ションモータ54による回生制動中は、モータ 生トルクは、電力に変換され、バッテリ52 充電されるので、回生制動中にも高電位回 制御が実施されている場合、以下に示す電 収支が成立する。

バッテリ充電電力+補機消費電力=モータ回 電力+燃料電池発電電力 …(6)

 (6)式に示すように、車両制動時の燃料電 発電電力が多いと、モータ回生電力がその だけ減少してしまい、十分な制動トルクを 保できない。このため、車両制動時には高 位回避目標電圧を引き上げることで、燃料 池発電電力を減少させ、十分な制動トルク 確保するのが好ましい。そこで、コントロ ラ60は、車両制動時に、以下の(7)式が成立 るように高電位回避目標電圧を可変設定す ことができる。

バッテリ充電電力+補機消費電力≧モータ 生電力+燃料電池発電電力 …(7)

 具体的には、コントローラ60は、車両の 行モードがDレンジであるのか或いはBレンジ であるのかを、シフトポジションに基づいて 判定し、走行モードがBレンジである場合に 、走行モードがDレンジの場合よりも高電位 避目標電圧の目標値を引き上げ、大きな制 力を確保する。これにより、車両のドライ ビリティを高めることができる。

 次に、コントローラ60は、ステップ501で 定した高電位回避目標電圧を、V-P変換マッ 82を用いて、目標電力値に変換し(ステップ50 2)、上下限処理を実施する(ステップ503)。上 限処理では、コントローラ60は、ステップ502 で得られた高電位回避目標電圧が上限値を上 回るか否か、及び下限値を下回るか否かを判 定し、目標電力値が上限値を上回る場合には 、目標電力値を上限値に制限し、目標電力値 が下限値を下回る場合には、目標電力値を下 限値に制限する。ここで、上限値及び下限値 は、DC/DCコンバータ51が所定の駆動モード(例 ば、単相運転)のときに、DC/DCコンバータ51 通過する電力の上限値及び下限値を基準に 定するのが好ましい。コントローラ60は、上 下限処理を経て得られた目標電力値を最終的 な目標電力値として決定し(ステップ504)、電 運転を制御する。

 本実施形態によれば、高電位回避制御時 瞬間的な目標電圧低下に起因してI-V特性マ プ81が誤推定されることによる、DC/DCコンバ ータ51の通過パワー制御エラーが及ぼすコン ータフェイルを効果的に抑制することがで る。