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Patent Searching and Data


Title:
FUEL CELL SYSTEM
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/099710
Kind Code:
A1
Abstract:
A fuel cell system that simultaneously achieves both the prevention of deterioration of fuel cell performance caused by accumulation of impurities in an anode gas flow path and the suppression of the amount of discharge of fuel gas to the outside of the system. A downstream end section of the anode gas flow path can be opened and closed by a gas discharge valve (14). The gas discharge valve (14) can alternately select a gas discharge mode and a closure mode. The gas discharge mode is a mode for discharging a very small amount of gas, which amount is very small as compared with the amount of the fuel gas consumed in the anode gas flow path, to the outside of the system. The closure mode is mode for closing communication between the anode gas flow path and the outside of the system. In operation of a fuel cell (2), flow of impurities in the down stream direction in the anode gas flow path is checked, and the gas discharge mode is selected when flow of the impurities in the downstream direction is detected. On the other hand, the closure mode is selected until flow of the impurities in the downstream direction is detected.

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Inventors:
KANNO YOSHIHITO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/051803
Publication Date:
August 21, 2008
Filing Date:
February 05, 2008
Export Citation:
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Assignee:
TOYOTA MOTOR CO LTD (JP)
KANNO YOSHIHITO (JP)
International Classes:
H01M8/04
Foreign References:
JP2006294295A2006-10-26
JP2006019124A2006-01-19
JP2005327597A2005-11-24
JP2005141977A2005-06-02
JP2004185974A2004-07-02
JPH09266004A1997-10-07
JP2007242266A2007-09-20
Attorney, Agent or Firm:
TAKAHASHI, Hideki et al. (Takahashi & Partners5th Floor, Intec 88 Bldg.,20, Araki-cho, Shinjuku-ku, Tokyo 07, JP)
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Claims:
 アノードに燃料ガスの供給を受けカソードに空気の供給を受けて発電する燃料電池と、
 前記アノードのガス流路の下流側端部に接続された排気機構であって、その動作モードとして少なくとも、前記アノードガス流路内での燃料ガスの消費量に比較して微小量のガスを系外へ排気する排気モードと、前記アノードガス流路と系外との連通を遮断する閉塞モードとを択一的に選択可能な排気機構と、
 前記アノードガス流路内の不純物質の下流方向への流れを検出する検出手段と、
 前記排気機構の動作を制御する制御手段であって、不純物質の下流方向への流れの大きさが所定の切替基準に達しているときには前記排気モードを選択し、不純物質の下流方向への流れの大きさが前記切替基準に達していないときには前記閉塞モードを選択する制御手段と、
を備えることを特徴とする燃料電池システム。
 前記検出手段は、前記燃料電池の負荷の大きさに基づいて不純物質の流れを検出することを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
 前記検出手段は、前記アノードガス流路内の燃料ガスの流速に関連する物理量と、前記アノードガス流路内の不純物質の拡散速度に関連する物理量とに基づいて不純物質の流れを検出することを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
 アノードに燃料ガスの供給を受けカソードに空気の供給を受けて発電する燃料電池と、
 前記アノードのガス流路の下流側端部に接続された排気機構であって、その動作モードとして少なくとも、前記アノードガス流路内での燃料ガスの消費量に比較して微小量のガスを系外へ排気する排気モードと、前記アノードガス流路と系外との連通を遮断する閉塞モードとを択一的に選択可能な排気機構と、
 前記燃料電池の負荷状態を判定する判定手段と、
 前記排気機構の動作を制御する制御手段であって、前記燃料電池が所定の高負荷域で運転されているときには前記排気モードを選択し、前記燃料電池が前記所定負荷域よりも低負荷域で運転されているときには前記閉塞モードを選択する制御手段と、
を備えることを特徴とする燃料電池システム。
 前記制御手段は、前記アノードガス流路内のガス温度に基づいて前記所定負荷域を設定することを特徴とする請求項4記載の燃料電池システム。
 前記制御手段は、前記アノードガス流路内のガス圧力に基づいて前記所定負荷域を設定することを特徴とする請求項4又は5記載の燃料電池システム。
 アノードに燃料ガスの供給を受けカソードに空気の供給を受けて発電する燃料電池と、
 前記アノードのガス流路の下流側端部に接続された排気機構であって、その動作モードとして少なくとも、前記アノードガス流路内での燃料ガスの消費量に比較して微小量のガスを系外へ排気する排気モードと、前記アノードガス流路と系外との連通を遮断する閉塞モードとを択一的に選択可能な排気機構と、
 前記アノードガス流路内の燃料ガスの流速に関連する物理量を計測する第1計測手段と、
 前記アノードガス流路内の不純物質の拡散速度に関連する物理量を計測する第2計測手段と、
 前記排気機構の動作を制御する制御手段であって、前記第2計測手段の計測値から計算される参照値と前記第1計測手段の計測値から計算される比較対象値との比較に基づいて前記排気モードと前記閉塞モードとを切り替える制御手段と、
を備えることを特徴とする燃料電池システム。
 前記第1計測手段は、前記燃料電池の電流値と前記アノードガス流路内のガス圧力とを計測することを特徴とする請求項7記載の燃料電池システム。
 前記第2計測手段は、前記燃料電池の温度を計測することを特徴とする請求項7又は8記載の燃料電池システム。
 前記第2計測手段は、前記アノードガス流路内のガス温度を計測することを特徴とする請求項7又は8記載の燃料電池システム。
 前記第2計測手段は、前記アノードガス流路内のガス圧力を計測することを特徴とする請求項7乃至10の何れか1項に記載の燃料電池システム。
Description:
燃料電池システム

 本発明は、アノードに燃料ガスの供給を けカソードに空気の供給を受けて発電する 料電池を備えた燃料電池システムに関する

 従来、例えば下記の各特許文献に開示され ように、燃料電池の発電面内においてアノ ドに接するガス流路(以下、アノードガス流 路)内に燃料ガスを止めて運転する燃料電池 ステム(以下、アノードデッドエンド型シス ムという)が知られている。アノードデッド エンド型システムでは、運転時間の経過と共 に燃料電池のアノードガス流路内に窒素や水 分といった不純物質が蓄積されていく。これ ら不純物質が膜電極接合体(MEA)の表面を覆っ しまうと電極触媒における起電反応が阻害 れて電圧の低下を招いてしまう。また、発 した異常電位が膜電極接合体を劣化させて まうおそれもある。このため、従来のアノ ドデッドエンド型システムでは、適宜のタ ミングで排気弁を開き、アノードガス流路 に蓄積された不純物質をアノードガス流路 下流端部から系外に排気していた。

日本特開2005-353569号公報

日本特開2005-353303号公報

日本特開2005-243477号公報

日本特開平9-312167号公報

 従来のアノードデッドエンド型システム は、排気弁を開いたとき、不純物質だけで くアノードガス流路内の燃料ガスも一緒に 気されてしまう。このため、排気弁を頻繁 開くことは燃費の悪化を招くことになり好 しくない。また、アノードガス流路の下流 部に不純物質が十分に蓄積された状態で排 弁を開けば、その分、無駄に排気される燃 ガスの量は抑えることができる。したがっ 、燃費の向上という観点からは排気弁の開 頻度は出来る限り抑えたい。

 その一方で燃料電池性能の維持という観 からは、アノードガス流路の下流端部に集 して不純物質が蓄積されることは好ましく ない。前述のように出力電圧の低下や膜電 接合体の劣化を生じさせてしまうからであ 。つまり、従来のアノードデッド型システ にとっては、不純物質の蓄積に起因する燃 電池性能の低下の防止と、燃料ガスの排気 の抑制による燃費の向上とは背反する要求 あり、これら二つの要求を同時に満たすこ は容易ではなかった。

 本発明は、上述のような課題を解決する めになされたもので、アノードガス流路内 不純物質の蓄積に起因する燃料電池性能の 下の防止と、系外への燃料ガスの排気量の 制とを両立できるようにした燃料電池シス ムを提供することを目的とする。

 第1の発明は、上記の目的を達成するため、 燃料電池システムにおいて、
 アノードに燃料ガスの供給を受けカソード 空気の供給を受けて発電する燃料電池と、
 前記アノードのガス流路の下流側端部に接 された排気機構であって、その動作モード して少なくとも、前記アノードガス流路内 の燃料ガスの消費量に比較して微小量のガ を系外へ排気する排気モードと、前記アノ ドガス流路と系外との連通を遮断する閉塞 ードとを択一的に選択可能な排気機構と、
 前記アノードガス流路内の不純物質の下流 向への流れを検出する検出手段と、
 前記排気機構の動作を制御する制御手段で って、不純物質の下流方向への流れの大き が所定の切替基準に達しているときには前 排気モードを選択し、不純物質の下流方向 の流れの大きさが前記切替基準に達してい いときには前記閉塞モードを選択する制御 段と、
を備えることを特徴としている。

 第2の発明は、第1の発明において、
 前記検出手段は、前記燃料電池の負荷の大 さに基づいて不純物質の流れを検出するこ を特徴としている。

 第3の発明は、第1の発明において、
 前記検出手段は、前記アノードガス流路内 燃料ガスの流速に関連する物理量と、前記 ノードガス流路内の不純物質の拡散速度に 連する物理量とに基づいて不純物質の流れ 検出することを特徴としている。

 また、第4の発明は、上記の目的を達成する ため、燃料電池システムにおいて、
 アノードに燃料ガスの供給を受けカソード 空気の供給を受けて発電する燃料電池と、
 前記アノードのガス流路の下流側端部に接 された排気機構であって、その動作モード して少なくとも、前記アノードガス流路内 の燃料ガスの消費量に比較して微小量のガ を系外へ排気する排気モードと、前記アノ ドガス流路と系外との連通を遮断する閉塞 ードとを択一的に選択可能な排気機構と、
 前記燃料電池の負荷状態を判定する判定手 と、
 前記排気機構の動作を制御する制御手段で って、前記燃料電池が所定の高負荷域で運 されているときには前記排気モードを選択 、前記燃料電池が前記所定負荷域よりも低 荷域で運転されているときには前記閉塞モ ドを選択する制御手段と、
を備えることを特徴としている。

 第5の発明は、第4の発明において、
 前記制御手段は、前記アノードガス流路内 ガス温度に基づいて前記所定負荷域を設定 ることを特徴としている。

 第6の発明は、第4又は第5の発明において、
 前記制御手段は、前記アノードガス流路内 ガス圧力に基づいて前記所定負荷域を設定 ることを特徴としている。

 また、第7の発明は、上記の目的を達成する ため、燃料電池システムにおいて、
 アノードに燃料ガスの供給を受けカソード 空気の供給を受けて発電する燃料電池と、
 前記アノードのガス流路の下流側端部に接 された排気機構であって、その動作モード して少なくとも、前記アノードガス流路内 の燃料ガスの消費量に比較して微小量のガ を系外へ排気する排気モードと、前記アノ ドガス流路と系外との連通を遮断する閉塞 ードとを択一的に選択可能な排気機構と、
 前記アノードガス流路内の燃料ガスの流速 関連する物理量を計測する第1計測手段と、
 前記アノードガス流路内の不純物質の拡散 度に関連する物理量を計測する第2計測手段 と、
 前記排気機構の動作を制御する制御手段で って、前記第2計測手段の計測値から計算さ れる参照値と前記第1計測手段の計測値から 算される比較対象値との比較に基づいて前 排気モードと前記閉塞モードとを切り替え 制御手段と、
を備えることを特徴としている。

 第8の発明は、第7の発明において、
 前記第1計測手段は、前記燃料電池の電流値 と前記アノードガス流路内のガス圧力とを計 測することを特徴としている。

 第9の発明は、第7又は第8の発明において、
 前記第2計測手段は、前記燃料電池の温度を 計測することを特徴としている。

 第10の発明は、第7又は第8の発明において、
 前記第2計測手段は、前記アノードガス流路 内のガス温度を計測することを特徴としてい る。

 第11の発明は、第7乃至第10の何れか1つの発 において、
 前記第2計測手段は、前記アノードガス流路 内のガス圧力を計測することを特徴としてい る。

 第1の発明によれば、アノードガス流路内 での燃料ガスの消費量に比較して微小量のガ スを系外へ排気することで、燃料ガスの無駄 な排気を抑えつつアノードガス流路の下流側 端部に溜まる不純物質を系外に少しずつ排気 することができ、燃料電池性能の低下を招く ほどに不純物質が蓄積されることを防止でき る。しかも、アノードガス流路の下流側端部 に不純物質が溜まり得る状況か否かを不純物 質の下流方向への流れの大きさによって判定 し、不純物質の下流方向への流れの大きさが 所定の切替基準に達するまではアノードガス 流路と系外との連通を遮断することで、燃料 ガスが無駄に排気されることを防止できる。

 第2の発明によれば、燃料電池の負荷の大 きさを計測することで、アノードガス流路内 の不純物質の下流方向への流れを間接的に検 出することができる。つまり、不純物質の流 れを直接検出するための専用のセンサを必要 としない。

 第3の発明によれば、アノードガス流路内 の燃料ガスの流速に関連する物理量と、アノ ードガス流路内の不純物質の拡散速度に関連 する物理量とをそれぞれ計測することで、ア ノードガス流路内の不純物質の下流方向への 流れを間接的に検出することができる。つま り、不純物質の流れを直接検出するための専 用のセンサを必要としない。

 第4の発明によれば、アノードガス流路内 での燃料ガスの消費量に比較して微小量のガ スを系外へ排気することで、燃料ガスの無駄 な排気を抑えつつアノードガス流路の下流側 端部に溜まる不純物質を系外に少しずつ排気 することができ、燃料電池性能の低下を招く ほどに不純物質が蓄積されることを防止でき る。しかも、アノードガス流路の下流側端部 に不純物質が溜まり得る状況か否かを燃料電 池の負荷状態によって判定し、不純物質が溜 まり得る所定の高負荷域よりも低負荷域で運 転されているときにはアノードガス流路と系 外との連通を遮断することで、燃料ガスが無 駄に排気されることを防止できる。

 第5の発明によれば、アノードガス流路内 での不純物質の拡散速度に関連するアノード ガス流路内のガス温度に基づいて排気モード を選択する所定負荷域を設定することで、不 純物質が溜まり得る状況での排気を正確に行 うことが可能になる。

 第6の発明によれば、アノードガス流路内 での不純物質の拡散速度に関連するアノード ガス流路内のガス圧力に基づいて排気モード を選択する所定負荷域を設定することで、不 純物質が溜まり得る状況での排気を正確に行 うことが可能になる。

 第7の発明によれば、排気機構を排気モー ドで動作させてアノードガス流路内での燃料 ガスの消費量に比較して微小量のガスを系外 へ排気する場合には、燃料ガスの無駄な排気 を抑えつつアノードの下流側端部に溜まる不 純物質を系外に少しずつ排気することができ 、燃料電池性能の低下を招くほどに不純物質 が蓄積されることを防止できる。また、排気 機構を閉塞モードで動作させてアノードガス 流路と系外との連通を遮断する場合には、ア ノードガス流路の下流側端部に不純物質が溜 まっていない状況で燃料ガスが無駄に排気さ れることを防止できる。さらに、アノードガ ス流路内の不純物質の拡散速度に関連する物 理量から計算される参照値と、アノードガス 流路内の燃料ガスの流速に関連する物理量か ら計算される比較対象値との比較によれば、 アノードガス流路の下流側端部に不純物質が 溜まり得る状況か否かを正確に判定すること ができる。したがって、その比較に基づいて 排気モードと閉塞モードとを切り替えること で、燃料電池性能の低下の防止と燃料ガスの 排気量の抑制とを高次元で両立することが可 能になる。

 第8の発明によれば、燃料電池の電流値と アノードガス流路内のガス圧力とを計測する ことで、アノードガス流路内の燃料ガスの流 速を容易に且つ正確に推定することができる 。そして、その計測値に基づいて前記の比較 対象値を計算することにより、排気モードと 閉塞モードとを正しく切り替えるための正確 な判定が可能になる。

 第9の発明によれば、燃料電池の温度を計 測することで、アノードガス流路内の不純物 質の拡散速度を容易に且つ正確に推定するこ とができる。そして、その計測値に基づいて 前記の参照値を計算することにより、排気モ ードと閉塞モードとを正しく切り替えるため の正確な判定が可能になる。

 第10の発明によれば、アノードガス流路 のガス温度を計測することで、アノードガ 流路内の不純物質の拡散速度を容易に且つ 確に推定することができる。そして、その 測値に基づいて前記の参照値を計算するこ により、排気モードと閉塞モードとを正し 切り替えるための正確な判定が可能になる

 第11の発明によれば、アノードガス流路 のガス圧力を計測することで、アノードガ 流路内の不純物質の拡散速度を容易に且つ 確に推定することができる。そして、その 測値に基づいて前記の参照値を計算するこ により、排気モードと閉塞モードとを正し 切り替えるための正確な判定が可能になる

本発明の実施の形態としての燃料電池 ステムの構成を模式的に示す図である。 単位燃料電池の内部の構造とそこで起 ている現象を模式的に示す図である。 アノードガス流路内の水素濃度の分布 電流値との関係について示す図である。 本発明の実施の形態において実施され 排気弁の制御のためのルーチンを示すフロ チャートである。 燃料電池の温度と排気弁の動作モード 切り替え判定に用いる変数Iswtとの関係を示 す図である。 アノードガス流路内のガス圧力と排気 の動作モードの切り替え判定に用いる変数I swpとの関係を示す図である。

符号の説明

2 燃料電池スタック
4 高圧水素タンク
6 水素供給管
8 水素調圧弁
10 水素入口弁
12 排気管
14 排気弁
20 制御装置
22 電流計
24 温度センサ
26 圧力センサ
30 空気供給管
32 空気ポンプ
34 排気管
40 膜電極接合体
42 アノードガス流路
44 カソードガス流路

 以下、図1乃至図6を参照して、本発明の 施の形態について説明する。

 図1は、本発明が適用される燃料電池シス テムの構成を模式的に示す図である。燃料電 池システムは、燃料電池2によって発電して の電力をモータ等の負荷に供給するシステ である。通常、燃料電池2は、複数の単位燃 電池を積層してなる燃料電池スタックとし 使用される。単位燃料電池は、図示は省略 るが、膜電極接合体を一対の集電板で挟ん 構成になっている。膜電極接合体は、固体 分子電解質膜の両面に触媒が一体化された のであり、さらにその各面にはカーボンシ ト等で作られたガス拡散層が一体化されて る。集電板は、隣接する2枚の膜電極接合体 の間を仕切るセパレータとしても機能してい る。各単位燃料電池は、アノードに燃料ガス としての水素の供給を受け、カソードに空気 の供給を受けて発電する。

 燃料電池2には、高圧水素タンク4から燃 電池2に水素を供給するための水素供給管6が 接続されている。水素供給管6の途中には、 の上流から水素調圧弁8と水素入口弁10が順 配置されている。水素は調圧弁8で減圧され 望の圧力に調整されてから燃料電池2に供給 される。燃料電池2に供給された水素は、燃 電池2内に形成された供給マニホールド(図示 略)によって各単位燃料電池のアノードに分 される。

 本実施の形態の燃料電池システムは、燃 電池2内からアノードガスを抜き出すための 排気管12を備えている。この排気管12は、燃 電池2内に形成された排気マニホールド(図示 略)を介して、各単位燃料電池のアノードガ 流路(発電面内に形成されたアノードに接す ガス流路)の下流側端部に接続されている。 アノードガス流路内のガス(アノードガス)は 排気マニホールドに集められて排気管12に 出される。排気管12の先端は大気に開放され るか、若しくは、希釈器に接続されている。

 排気管12には、排気管12の連通状態を切り 替える排気機構として、デューティ制御が可 能な電磁式の排気弁14が設けられている。排 弁14は、好ましくは、流量の制御性に優れ インジェクタ式とする。排気弁14の動作とし ては、完全に閉状態(つまり、デューティ比 ゼロ)とされる閉塞モードと、所定のデュー ィ比で開制御される排気モードとが択一的 選択可能である。閉塞モードが選択された き、燃料電池2のアノードガス流路と系外と の連通は遮断される。一方、排気モードが選 択されたときは、アノードガス流路と系外と の連通が実現されてアノードガスの系外への 排気が可能になる。ただし、排気モードでの デューティ比は小さく、系外へ排気されるア ノードガスの流量はアノードガス流路内での 水素の消費量に比較して極微小な値に調整さ れている。以下、閉塞モード選択時の燃料電 池システムの運転をアノードデッドエンド運 転と言い、排気モード選択時の燃料電池シス テムの運転を連続少量排気運転と言う。なお 、これら閉塞モードや排気モード以外にも、 排気弁14を完全な開状態とする全開モード等 他の動作モードも必要に応じて選択可能に てもよい。ただし、本発明の実現にあたっ は、少なくとも閉塞モードと排気モードと 択一的に選択可能であればよい。

 また、燃料電池2には、空気を供給するた めの空気供給管30が接続されている。空気供 管30には空気ポンプ32が配置されている。空 気ポンプ32の作動によって空気供給管30に空 が取り込まれ燃料電池2に供給される。燃料 池2に供給された空気は、燃料電池2内に形 された供給マニホールドによって各単位燃 電池のカソードに分配される。各単位燃料 池のカソードを通過した空気は、燃料電池2 に形成された排気マニホールドに集められ 排気管34に排出される。

 図2は、燃料電池2を構成する単位燃料電 の内部構造と、そこで起きている現象を模 的に示す図である。図2では、本発明の特徴 特に係る部分を示し、集電体やマニホール 等、本発明の特徴以外の部分については図 は省略している。以下、図1とあわせて図2 参照して説明する。

 図2に示すように、単位燃料電池内では膜 電極接合体40の各面に沿ってガス流路42,44が 成されている。膜電極接合体40のアノードの ガス流路42には、水素が供給されている。膜 極接合体40のカソードのガス流路44には、空 気が供給されている。なお、これらガス流路 42,44の形状や構成には限定はない。例えば、 電体(セパレータ)の表面に溝を形成し、そ 溝をガス流路42,44としてもよい。また、集電 体と膜電極接合体40との間に導電性材料から る多孔体層を設け、多孔体層内の連続する 孔によってガス流路42,44を形成してもよい

 カソードガス流路44に供給される空気には 発電に使用される酸素(O 2 )のほかに窒素(N 2 )が含まれている。窒素は不活性ガスであっ 発電には供されず、そのままカソードガス 路44から系外に排気される。しかし、一部の 窒素は、図2中に矢印で模式的に示すように 電極接合体40を透過してアノードガス流路42 侵入してしまう。このとき窒素をアノード ス流路42側に移動させる駆動力となるのは カソードガス流路44とアノードガス流路42と 間での窒素の分圧差である。膜電極接合体4 0を透過した窒素(N 2 )は、アノードガス流路42内の水素(H 2 )の流れによって、図2中に矢印で模式的に示 ようにアノードガス流路42の下流へと流さ ていく。

 なお、空気には窒素以外にも水蒸気や二 化炭素等の発電に供されない不純物質が含 れている。しかし、それらの空気中におけ 濃度は窒素に比較すれば微小であるので、 こでは不純物質として窒素にのみ着目する のとする。ただし、本発明が想定する不純 質から窒素以外の物質を除外することを意 するものではない。

 前述のように、本実施の形態の燃料電池 ステムは、排気弁14を閉塞モードとするこ によるアノードデッドエンド運転が可能で る。アノードデッドエンド運転によれば、 料電池2に供給される水素を有効に使用する とができる。しかし、その場合、アノード ス中の不純物質である窒素は、図2中に模式 的に示すように、アノードガス流路42の下流 部に次第に蓄積されていく。窒素が膜電極 合体40の表面を覆ってしまうと触媒におけ 起電反応が阻害され、電圧の低下や異常電 による膜電極接合体40の劣化を招いてしまう 。

 この点に関し、本実施の形態の燃料電池 ステムでは、排気弁14を排気モードとする とによる連続少量排気運転によって、アノ ドガス流路42の下流端部への窒素の蓄積を防 止することができる。つまり、アノードガス 流路42内での水素の消費量に比較して微小量 ガスを系外へ排気することで、アノードガ 流路42の下流側端部に溜まる窒素を系外に しずつ排気することができる。これによれ 、水素の無駄な排気を抑えつつ燃料電池性 の低下を招くほどに窒素が蓄積されること 防止できる。

 図3は、アノードデッドエンド運転時のア ノードガス流路42内の水素濃度分布を示す図 ある。水素濃度の100%に対する差が窒素濃度 を表している。アノードガス流路42の下流端 に窒素が蓄積されると、水素濃度分布は図3 中に実線で示すようになる。上記の連続少量 排気運転による効果は、このようにアノード ガス流路42の下流端部に窒素が蓄積され得る 況において得られる効果である。

 これに対し、水素濃度分布が図3中に破線 で示すようになっている場合、つまり、窒素 がアノードガス流路42中に分散しているよう 状況では、連続少量排気運転を実行すると 素を無駄に排気してしまうことになる。ア ードガス流路42の下流端部に窒素が蓄積さ ていないからである。このような状況では アノードデッドエンド運転を選択すること 望ましい。アノードデッドエンド運転と連 少量排気運転のどちらを選択するかは、窒 がアノードガス流路42の下流端部に蓄積され 得る状況か否かによって判断する必要がある 。

 窒素がアノードガス流路42の下流端部に 積されるか否かは、アノードガス流路42内で の窒素の流れによって決まる。図2中に矢印 模式的に示すように、窒素がアノードガス 路42を下流方向に流れている場合には、必然 的に窒素が下流端部に蓄積され得る状況とな る。したがって、アノードガス流路42内での 素の下流方向への流れを検出できれば、ア ードデッドエンド運転と連続少量排気運転 の切り替えを正しく行うことができると考 られる。

 本実施の形態の燃料電池システムでは、 下に説明する方法によって、アノードガス 路42内での窒素の下流方向への流れを間接 に検出する。まず、アノードガス流路42内の 窒素の流れの大きさは、アノードガス流路42 の窒素の拡散速度と、アノードガス流路42 の水素の流速とによって決まる。水素の流 が窒素の拡散速度よりも大きければ、膜電 接合体40を透過してきた窒素はアノードガス 流路42の上流に拡散することなく下流へ流さ ていくことになる。その結果、図3中に実線 で示すような水素濃度分布ができることにな る。水素の流速が大きいほど窒素の下流方向 への流れも大きくなる。一方、水素の流速が 窒素の拡散速度よりも小さければ、アノード ガス流路42の上流まで窒素が拡散していき、 3中に破線で示すような水素濃度分布ができ ることになる。

 本実施の形態の燃料電池システムでは、 ノードガス流路42内の水素の流速を直接測 するのではなく、水素の流速に関連する物 量として燃料電池2の出力電流の値とアノー ガス流路42内のガス圧力とを計測すること している。アノードガス流路42に流入する水 素の流速は、アノードガス流路42の流路形状 一定であるならば、燃料電池2の出力電流と アノードガス流路42内のガス圧力との関数と て表すことができる。燃料電池2の電流値は 、燃料電池2に取り付けられた電流計22によっ て計測される。アノードガス流路42内のガス 力は、水素供給管6における燃料電池2の入 に取り付けられた圧力センサ26によって計測 される。

 また、本実施の形態の燃料電池システム は、アノードガス流路42内の窒素の拡散速 を直接測定するのではなく、窒素の拡散速 に関連する物理量としてアノードガス流路42 内のガス圧力とガス温度の各値を計測するこ ととしている。窒素の拡散速度は、アノード ガス流路42内のガス温度とガス圧力の関数と て表すことができる。アノードガス流路42 のガス温度は、燃料電池2の全体温度と略等 いことから、燃料電池2に取り付けられた温 度センサ24によって間接的に計測することが きる。勿論、アノードガス流路42内のガス 度を直接計測してもよい。

 本実施の形態の燃料電池システムでは、 気弁14の動作の制御は制御装置20によって行 われる。制御装置20には、電流計22、圧力セ サ26及び温度センサ24からそれらの計測信号 入力されている。制御装置20は、圧力セン 26及び温度センサ24の各計測値から参照値を 算し、電流計22及び圧力センサ26の各計測値 から参照値と比較すべき比較対象値(参照値 同次元)を計算する。そして、参照値と比較 象値を比較することで、アノードガス流路4 2の下流側端部に窒素が溜まり得る状況か否 を正確に判定し、その判定結果に基づいて 気弁14の動作モードを切り替えている。以下 、制御装置20によって実施される排気弁14の 御のためのルーチンについて、図4のフロー ャートを用いて説明する。

 図4に示すルーチンの最初のステップS2では 排気モードから閉塞モードへの切替判定が われる。この切替判定では、次の(1)式に示 条件の成否が判定される。(1)式の左辺が比 対象値であり、右辺が参照値である。
 I×(P 0 /P A ) < Iswt×Iswp ・・・(1)

 (1)式において比較対象値の計算に用いるIは 電流計22によって計測される電流値である。P 0 は標準大気圧であり、P A は圧力センサ26によって計測されるアノード 路内のガス圧力である。

 (1)式において参照値の計算に用いるIswtは 温度センサ24によって計測された燃料電池2の 温度から決定される変数であり、予め用意さ れたマップを用いて決定される。図5は、マ プにおいて設定されている燃料電池2の温度( FC温度)と変数Iswtとの関係を示す図である。 た、Iswpは圧力センサ26によって計測された ス圧力から決定される変数であり、予め用 されたマップを用いて決定される。図6は、 ップにおいて設定されているアノードガス 路42内のガス圧力(アノード圧)と変数Iswpと 関係を示す図である。なお、図5に示す関係 アノード圧が一定であることが前提であり 図6に示す関係はFC温度が一定であることが 提である。

 ステップS2の判定の結果、比較対象値が 照値よりも小さい場合には、閉塞モードが 択されて排気弁14は閉じられる(ステップS4) これにより、燃料電池システムはアノード ッドエンド運転で運転される。

 一方、比較対象値が参照値以上の場合に 、ステップS2からステップS6に進む。ステッ プS6では、閉塞モードから排気モードへの切 判定が行われる。この切替判定では、比較 象値と参照値よりもオフセット値αだけ大 い値(Iswt×Iswp+α)との比較が行われる。比較 象値が参照値+αよりも大きい場合には、排 モードが選択されて排気弁14は所定のデュー ティ比で開制御される(ステップS8)。これに り、燃料電池システムは連続少量排気運転 運転される。

 比較対象値が参照値以上であって参照値+ α以下の場合には、現時点での動作モードが 持される。つまり、現時点で閉塞モードが 択されている場合には、比較対象値が参照 +αを超えるまで排気モードには切り替えら ない。一方、現時点で排気モードが選択さ ている場合には、比較対象値が参照値を下 るまで閉塞モードには切り替えられない。 れにより、参照値付近での比較対象値の変 によって排気弁14の動作モードが頻繁に切 替わってしまうことは防止される。

 上記のルーチンによれば、アノードガス流 42内の窒素の拡散速度に関連するFC温度及び アノード圧から参照値(Iswt×Iswp)が求められ、 アノードガス流路内の水素の流速に関連する 電流値とアノード圧とから比較対象値{I×(P 0 /P A )}が求められる。そして、これら参照値と比 対象値とが比較される。この比較によれば アノードガス流路42の下流側端部に窒素が まり得る状況か否かを正確に判定すること できるので、比較結果に基づいて排気モー と閉塞モードとを切り替えることで、燃料 池性能の低下の防止と水素の排気量の抑制 を高次元で両立することが可能になる。

 以上、本発明の実施の形態について説明 たが、本発明は上記実施の形態に限定され ものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない 囲で種々変形して実施することができる。 えば、次のように変形して実施してもよい

 上記実施の形態では、燃料電池2の電流値 を計測しているが、燃料電池2の負荷状態を 定することができるならば、必ずしも電流 を計測する必要はない。燃料電池2が高負荷 で運転されている場合には低負荷域で運転 れている場合に比較して水素の消費量が大 くなることから、必然的にアノードガス流 42内の水素の流速も大きくなる。したがっ 、燃料電池2が所定の高負荷域で運転されて るときには排気モードを選択し、燃料電池2 が所定負荷域よりも低負荷域で運転されてい るときには閉塞モードを選択すればよい。な お、アノードガス流路42の下流側端部に窒素 溜まり得る負荷状態か否かは、そのときの 素の拡散速度によって左右されることから 前記の所定負荷域はアノードガス流路42内 ガス温度やガス圧力に基づいて設定するの 好ましい。