Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
FUEL CELL SYSTEM
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/078269
Kind Code:
A1
Abstract:
A fuel cell system includes: a fuel cell; an anode gas pressure adjusting means which adjusts the pressure of an anode gas supplied to the fuel cell; and cathode gas pressure adjusting means which adjusts the pressure of a cathode gas supplied to the fuel cell. The pressure of the anode gas supplied upon start of the fuel cell is set higher than the pressure of the anode gas supplied during power generation of the fuel cell. The system further includes pressure control means which controls the anode gas pressure adjusting means and the cathode gas pressure adjusting means so that the cathode gas pressure increase is started in accordance with the start of the anode gas pressure increase when the pressure of the anode gas is increased to the set pressure.

Inventors:
ORIHASHI NOBUYUKI (JP)
NISHIDA TSUNEMASA (JP)
HAMADA HITOSHI (JP)
TOKUDA KENICHI (JP)
NAKANISHI JUNJI (JP)
OCHI TSUTOMU (JP)
MATSUO SHINJI (JP)
NITTA TAKAHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/071838
Publication Date:
June 25, 2009
Filing Date:
December 02, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
TOYOTA MOTOR CO LTD (JP)
ORIHASHI NOBUYUKI (JP)
NISHIDA TSUNEMASA (JP)
HAMADA HITOSHI (JP)
TOKUDA KENICHI (JP)
NAKANISHI JUNJI (JP)
OCHI TSUTOMU (JP)
MATSUO SHINJI (JP)
NITTA TAKAHIRO (JP)
International Classes:
H01M8/04; H01M8/00
Foreign References:
JP2007179825A2007-07-12
JP2007059348A2007-03-08
JP2006253005A2006-09-21
JP2006228528A2006-08-31
JP2007048575A2007-02-22
JP2006073427A2006-03-16
JP2007157449A2007-06-21
JP2007026891A2007-02-01
JP2006339080A2006-12-14
JP2006252920A2006-09-21
JP2006209996A2006-08-10
JP2006127830A2006-05-18
JP2004259535A2004-09-16
JP2004139984A2004-05-13
JP2002373682A2002-12-26
Attorney, Agent or Firm:
YOSHIDA, Kenji et al. (Kichijoji-honcho 1-chomeMusashino-shi, Tokyo 04, JP)
Download PDF:
Claims:
 燃料電池と、前記燃料電池へ供給するアノードガスの圧力を調節するアノードガス圧力調節手段と、前記燃料電池へ供給するカソードガスの圧力を調節するカソードガス圧力調節手段と、を有する燃料電池システムであって、
 前記燃料電池の始動時に供給するアノードガスの圧力を前記燃料電池の発電時に供給するアノードガスの圧力より高く設定すると共に、設定した圧力までアノードガスの圧力を上昇させる際には、アノードガスの圧力上昇の開始に応じてカソードガスの圧力上昇が開始されるように前記アノードガス圧力調節手段及び前記カソードガス圧力調節手段を制御する圧力制御手段を備えることを特徴とする燃料電池システム。
 燃料電池と、前記燃料電池のアノード極へ供給するアノードガスの圧力を調節するアノードガス圧力調節手段と、前記燃料電池のカソード極へ供給するカソードガスの圧力を調節するカソードガス圧力調節手段と、を有する燃料電池システムであって、
 前記アノード極内のガス量を推定する推定手段と、
 前記推定手段により推定したガス量に応じて、前記燃料電池の始動時に供給するアノードガスの圧力を設定すると共に、設定した圧力までアノードガスの圧力を上昇させる際には、アノードガスの圧力上昇の開始に応じてカソードガスの圧力上昇が開始されるように前記アノードガス圧力調節手段及び前記カソードガス圧力調節手段を制御する圧力制御手段と、を備えることを特徴とする燃料電池システム。
 請求項1記載の燃料電池システムであって、前記燃料電池は、電解質膜と、前記電解質膜を挟持するアノード極及びカソード極を備え、
 前記圧力制御手段は、前記燃料電池の始動時に供給するアノードガスの圧力と前記燃料電池の始動時に供給するカソードガスの圧力との圧力差が、前記電解質膜の圧力破損臨界値を超えないように前記アノードガス圧力調節手段及び前記カソードガス圧力調節手段の少なくともいずれか一方を制御することを特徴とする燃料電池システム。
 請求項2記載の燃料電池システムであって、前記燃料電池は、電解質膜と、前記電解質膜を挟持するアノード極及びカソード極を備え、
 前記圧力制御手段は、前記燃料電池の始動時に供給するアノードガスの圧力と前記燃料電池の始動時に供給するカソードガスの圧力との圧力差が、前記電解質膜の圧力破損臨界値を超えないように前記アノードガス圧力調節手段及び前記カソードガス圧力調節手段の少なくともいずれか一方を制御することを特徴とする燃料電池システム。
 請求項2記載の燃料電池システムであって、前記推定手段は、前記燃料電池の停止時間、前記燃料電池の温度のうち少なくともいずれか1つから前記アノード極内のガス量を推定することを特徴とする燃料電池システム。
Description:
燃料電池システム

 本発明は、燃料電池システムの異常電位 防止する技術に関する。

 一般的に燃料電池は、電解質膜の両側を 持する一対の電極(アノード極、カソード極 )を含む膜-電極アッセンブリと、膜-電極アッ センブリの両側を挟持する一対の燃料電池用 セパレータとを有する。アノード極は、アノ ード極触媒層及び拡散層、カソード極は、カ ソード極触媒層及び拡散層を有する。燃料電 池の発電時には、アノード極に供給するアノ ードガスを水素ガス、カソード極に供給する カソードガスを酸素ガスとした場合、アノー ド極側では、水素イオン及び電子にする反応 が行われ、水素イオンは電解質膜中を通りカ ソード極側に、電子は外部回路を通じてカソ ード極に到達する。一方、カソード極側では 、水素イオン、電子及び酸素ガスが反応して 水分を生成する反応が行われ、エネルギを放 出する。

 通常、燃料電池はカソード極側が大気と 通しているため、発電停止中では、大気中 ら燃料電池セル内に空気が侵入し、侵入し 空気がカソード極から電解質膜を通してア ード極側へ移動する場合がある。また、燃 電池の発電を停止するために、アノード極 に酸素ガスを供給して、アノード極内の水 ガスを排出させる燃料電池もある。

 上記のように、アノード極内に空気(酸素 ガス)が存在した状態で、燃料電池に水素ガ 等のアノードガスを供給すると、アノード では、アノードガスと空気とが偏在した状 になる。アノードガスが偏在した部分では 局部電池を形成し、空気が偏在した部分で 、正常発電時と逆向きの電流が流れる。そ すると、燃料電池の電位は異常電位となり 主にカソード極を腐食させ、燃料電池の発 性能を低下させる場合がある。

 例えば、特許文献1には、燃料電池の始動 時に供給するアノードガスを燃料電池の発電 時に供給するアノードガスの圧力より高く設 定した燃料電池システムが提案されている。 この特許文献1の燃料電池システムによれば 燃料電池の始動時に高い圧力のアノードガ が、アノード極に供給されるため、アノー 極内での空気の偏在を抑制し、異常電位の 生を抑制することができる。

 しかし、特許文献1の燃料電池システムで は、アノード極に高い圧力のアノードガスが 供給されるため、アノード極のガス圧とカソ ード極のガス圧との差が大きくなり、アノー ド極とカソード極とで挟持される電解質膜が 破損する場合がある。

 また、燃料電池の始動時によるものではな が、例えば、特許文献2には、アノード極の ガス圧とカソード極のガス圧との圧力差を所 定値以下に制御した燃料電池システムが提案 されている。この特許文献2の燃料電池シス ムによれば、アノード極及びカソード極に かるガスの圧力差を所定値内に維持するこ ができるため、電解質膜の破損を抑制する とができる。

特開2004-139984号公報

特開2002-373682号公報

 本発明の目的は、燃料電池の始動時にお る燃料電池の異常電位及び電解質膜の破損 抑制することができる燃料電池システムを 供することにある。

 (1)本発明は、燃料電池と、前記燃料電池 供給するアノードガスの圧力を調節するア ードガス圧力調節手段と、前記燃料電池へ 給するカソードガスの圧力を調節するカソ ドガス圧力調節手段と、を有する燃料電池 ステムであって、前記燃料電池の始動時に 給するアノードガスの圧力を前記燃料電池 発電時に供給するアノードガスの圧力より く設定すると共に、設定した圧力までアノ ドガスの圧力を上昇させる際には、アノー ガスの圧力上昇の開始に応じてカソードガ の圧力上昇が開始されるように前記アノー ガス圧力調節手段及び前記カソードガス圧 調節手段を制御する圧力制御手段を備える

 (2)本発明は、燃料電池と、前記燃料電池 アノード極へ供給するアノードガスの圧力 調節するアノードガス圧力調節手段と、前 燃料電池のカソード極へ供給するカソード スの圧力を調節するカソードガス圧力調節 段と、を有する燃料電池システムであって 前記アノード極内のガス量を推定する推定 段と、前記推定手段により推定したガス量 応じて、前記燃料電池の始動時に供給する ノードガスの圧力を設定すると共に、設定 た圧力までアノードガスの圧力を上昇させ 際には、アノードガスの圧力上昇の開始に じてカソードガスの圧力上昇が開始される うに前記アノードガス圧力調節手段及び前 カソードガス圧力調節手段を制御する圧力 御手段と、を備える。

 (3)上記(1)又は(2)記載の前記燃料電池シス ムにおいて、前記燃料電池は、電解質膜と 前記電解質膜を挟持するアノード極及びカ ード極を備え、前記圧力制御手段は、前記 料電池の始動時に供給するアノードガスの 力と前記燃料電池の始動時に供給するカソ ドガスの圧力との圧力差が、前記電解質膜 圧力破損臨界値を超えないように前記アノ ドガス圧力調節手段及び前記カソードガス 力調節手段の少なくともいずれか一方を制 することが好ましい。

 (4)上記(2)記載の前記燃料電池システムに いて、前記推定手段は、前記燃料電池の停 時間、前記燃料電池の温度のうち少なくと いずれか1つから前記アノード極内のガス量 を推定することが好ましい。

 本発明に係る燃料電池システムは、燃料 池の始動時に供給するアノードガスの圧力 燃料電池の発電時に供給するアノードガス 圧力より高く設定すると共に、設定した圧 までアノードガスの圧力を上昇させる際に 、アノードガスの圧力上昇の開始に応じて ソードガスの圧力上昇が開始されるように ノードガス圧力調節手段及びカソードガス 力調節手段を制御する圧力制御手段を備え ことにより、燃料電池の始動時における燃 電池の異常電位及び電解質膜の破損を抑制 ることができる燃料電池システムを提供す ことができる。

本発明の実施形態に係る燃料電池シス ムの構成の一例を示す模式図である。 本実施形態に係る燃料電池システムの 動時において燃料電池に供給されるガス圧 一例を示す図である。 本発明の他の実施形態に係る燃料電池 ステムの構成の一例を示す模式図である。

符号の説明

 1,2 燃料電池システム、10 燃料電池、12  水素ガスボンベ、14 エアコンプレッサ、16  ノードガス供給流路、18 アノードガス循環 流路、20 カソードガス供給流路、22 カソー ガス排出流路、24 インジェクタ、26 水素 ンプレッサ、28 圧力調節弁、32 タイマー、 34 温度センサ。

 本発明の実施の形態について以下説明す 。

 図1は、本発明の実施形態に係る燃料電池 システムの構成の一例を示す模式図である。 燃料電池システム1は、燃料電池10と、水素ガ スボンベ12と、エアコンプレッサ14と、アノ ドガス供給流路16と、アノードガス循環流路 18と、カソードガス供給流路20と、カソード ス排出流路22と、インジェクタ24と、水素コ プレッサ26と、圧力調節弁28と、ECU(Electronic Control Unit)30と、を有するものである。

 本実施形態の燃料電池システム1に用いら れる燃料電池10の構成について説明する。燃 電池10は、水素イオン伝導性を有する電解 膜と、電解質膜を挟持するアノード極及び ソード極と、アノード極及びカソード極の 外側を挟持する一対の燃料電池用セパレー と、を有するものを単位セルとして、当該 位セルを少なくとも1層以上積層したもので る。

 アノードガス供給流路16は、燃料電池10の アノードガス導入口(不図示)及び水素ガスボ ベ12の排出口(不図示)に接続されている。ま た、アノードガス供給流路16には、インジェ タ24が設けられている。アノードガス循環 路18は、燃料電池10のアノードガス排出口(不 図示)及びアノードガス供給流路16に接続され る。また、特に制限されるものではないが、 アノードガス循環流路18は、インジェクタ24 り下流側のアノードガス供給流路16に接続さ れることが好ましい。水素ガスボンベ12から 給されるアノードガス(例えば、水素ガス) 、アノードガス供給流路16を通り、インジェ クタ24を介して燃料電池10に供給される。ま 、燃料電池10から排出されるアノードガスは 、アノードガス循環流路18を通り、再度アノ ドガス供給流路16に供給される。また、ア ードガス循環流路18には、アノードガス循環 流路18内のアノードガスを効率よく送流させ ために、水素コンプレッサ26が設けられて る。

 また、カソードガス供給流路20は、燃料 池10のカソードガス導入口(不図示)及びエア ンプレッサ14の吐出口(不図示)に接続されて いる。また、カソードガス排出流路22は、燃 電池10のカソードガス排出口(不図示)に接続 されている。また、カソードガス排出流路22 は、圧力調節弁28が設けられている。エア ンプレッサ14から吐出されるカソードガス( えば、空気)は、カソードガス供給流路20を り燃料電池10に供給される。また、燃料電池 10から排出されるカソードガスは、カソード ス排出流路22を通り、圧力調節弁28を介して 、燃料電池システム1外へ排出される。

 インジェクタ24は、水素ガスボンベ12から 燃料電池10(具体的にはアノード極)へ供給さ るアノードガスの圧力を調節するものであ 、ECU30と電気的に接続されている。圧力調節 弁28は、エアコンプレッサ14から燃料電池10( 体的にはカソード極)へ供給されるカソード スの圧力を調節するものであり、ECU30と電 的に接続されている。ECU30は、主にインジェ クタ24及び圧力調節弁28を制御して、燃料電 10に必要なガス圧に応じた圧力を設定するも のである。

 通常、燃料電池10の停止時では、カソー ガス供給流路20、圧力調節弁28が開放されて る場合にはカソードガス排出流路22から燃 電池10のカソード極へ空気が侵入し、侵入し た空気がカソード極から電解質膜を通してア ノード極へ移動する場合がある。また、カソ ードガス供給流路20とインジェクタ24より下 側のアノードガス供給流路16とを接続する接 続路を設け、アノード極側にカソードガス( 気)を供給することにより、アノード極内の 素ガスを排出させ、燃料電池10の発電を停 させる場合もある。

 このように、アノード極に空気が存在し 状態で、燃料電池10の始動時に発電時と同 ガス圧のアノードガスを供給すると、アノ ド極では、アノードガスと空気(酸素)とが偏 在し、アノードガスが偏在した部分では局部 電池を形成し、空気が偏在した部分では、正 常発電時と逆向きの電流が流れる。そうする と、燃料電池10の電位は上昇し、異常電位と り、カソード極等を腐食させる場合がある

 図2は、本実施形態に係る燃料電池システ ムの始動時において燃料電池に供給されるガ ス圧の一例を示す図である。燃料電池システ ムの始動時の運転方法の説明は、図1及び図2 用いて説明する。ここで、本明細書の燃料 池10の始動時とは、燃料電池システム1のス ートスイッチが押され(例えば、イグニッシ ョンキーがオンされ)、燃料電池システム1が 部負荷に接続されるまでの状態を言う。ま 、発電時とは、燃料電池システム1が外部負 荷と接続され、発電している状態を言う。な お、燃料電池10の停止時とは、燃料電池シス ム1のスタートスイッチがオフにされ、燃料 電池システム1と外部負荷との接続が解除さ た状態を言う。

 燃料電池10の始動時では、図1に示すECU30 よって、インジェクタ24及び圧力調節弁28を 御して、燃料電池10の始動時に供給するア ードガスの圧力を燃料電池10の発電時に供給 するアノードガスの圧力より高く設定すると 共に、設定した圧力までアノードガスの圧力 を上昇させる際には、アノードガスの圧力上 昇の開始に応じてカソードガスの圧力上昇を 開始させる。ここで、以下に説明する燃料電 池10の始動時の運転方法の一例として、燃料 池10の発電時に供給するアノードガスの圧 を150kPa、燃料電池10の始動時に供給するアノ ードガスの圧力を300kPaとする。図2に示すよ に、燃料電池10の始動時では、まず、ECU30は ンジェクタ24のガス圧力調整値を200kPaに設 し、200kPaの圧力のアノードガスを燃料電池10 へ供給する(図2に示すA)。次に、ECU30は圧力調 節弁28のガス圧力調整値を150kPaに設定し、150k Paの圧力のカソードガスを燃料電池10へ供給 る(図2に示すB)。そして、ECU30はインジェク 24のガス圧力調整値を300kPaに設定し、300kPaの 圧力のアノードガスを燃料電池10に供給する( 図2に示すC)。その後、燃料電池システム1を 部負荷に接続させると共に、ECU20は燃料電池 10の発電時に供給するアノードガスの圧力で る150kPaにインジェクタ24のガス圧力調整値 設定し、燃料電池10に発電を行わせる(図2に すD)。

 上記説明した一例では、発電時に供給す アノードガスの圧力を150kPaとしたが、発電 に供給するアノードガスの圧力は、十分な 電反応が維持でき、ガスの無駄が生じない 囲で設定されるものであればよい。また、 料電池10の始動時に供給するアノードガス 圧力を300kPaとしたが、発電時に供給するア ードガスの圧力より高く設定されていれば い。また、上記説明した一例では、燃料電 10の始動時に供給するアノードガスの圧力を 300kPaまで段階的に加圧させているが、これに 制限されるものではなく、燃料電池10の始動 に供給するアノードガスの圧力、例えば300k Paまで連続的に加圧させてもよい。また、設 した圧力(例えば300kPa)までアノードガスを 昇させる際には、アノードガスの圧力上昇 開始に応じてカソードガスの圧力上昇を開 させればよいため、上記のようにアノード スの圧力上昇を開始させた後、カソードガ の圧力上昇を開始させる場合だけでなく、 ノードガスの圧力上昇の開始と同時にカソ ドガスの圧力上昇を開始させてもよい。

 また、ECU30は、燃料電池10の始動時に供給 するアノードガスの圧力と燃料電池10の始動 に供給するカソードガスの圧力との圧力差 、燃料電池10を構成する電解質膜の圧力破 臨界値を超えないようにインジェクタ24及び 圧力調節弁28の少なくともいずれか一方を制 することが好ましい。これにより、燃料電 10の始動の繰り返しにより生じる電解質膜 破損を抑制することができる。アノードガ の圧力とカソードガスの圧力との圧力差に いて、図2に示すAでは100kPa、図2に示すBでは5 0kPa、図2に示すCでは150kPaであるが、電解質膜 の圧力破損臨界値を超えない圧力差であれば これに制限されるものではない。電解質膜の 圧力破損臨界値とは、アノードガスの圧力と カソードガスの圧力との圧力差により、電解 質膜が破損しない圧力差の限界値であり、電 解質膜の膜圧、強度等によって適宜設定され る。また、燃料電池10の始動時に供給するア ードガスの圧力と燃料電池10の始動時に供 するカソードガスの圧力との圧力差が、電 質膜の圧力破損臨界値を超えないようにす ためには、アノードガスの圧力上昇速度を くしたり速くしたり、カソードガスの圧力 昇速度を遅くしたり速くしたりすることに って達成される。そのため、ECU30はインジェ クタ24及び圧力調節弁28の少なくともいずれ 一方を制御すればよい。

 このように本実施形態では、燃料電池の 電時に供給するアノードガスの圧力より高 圧力のアノードガスが燃料電池の始動時に 給されるため、アノード極内の空気を勢い く排出させて、空気の偏在を抑制すること できる。また、アノードガスの圧力上昇の 始に応じてカソードガスの圧力上昇も開始 せているため、アノードガスの圧力とカソ ドガスの圧力差が大きくなることを防止し 、圧力差により生じる電解質膜の劣化を抑 することができる。特に、燃料電池の始動 にアノード極に供給するアノードガスの圧 とカソード極に供給するカソードガスの圧 との差が、電解質膜の圧力破損臨界値を超 ないように制御されることにより、燃料電 の始動の繰り返しにより生じる電解質膜の 損を抑制することができる。

 次に、本発明の他の実施形態に係る燃料 池システムについて説明する。

 図3は、本発明の他の実施形態に係る燃料 電池システムの構成の一例を示す模式図であ る。図3に示すように、燃料電池システム2は 燃料電池10と、水素ガスボンベ12と、エアコ ンプレッサ14と、アノードガス供給流路16と アノードガス循環流路18と、カソードガス供 給流路20と、カソードガス排出流路22と、イ ジェクタ24と、水素コンプレッサ26と、圧力 節弁28と、ECU(Electronic Control Unit)30と、タイ マー32と、温度センサ34と、を有するもので る。図3に示す燃料電池システム2において、 図1に示す燃料電池システム1と同様の構成に いては、同一の符合を付している。

 タイマー32は、燃料電池10の停止時間を計 測し、計測時間からアノード極内のガス量を 推定することができるものである。また、タ イマー32は、ECU30に設けられている。燃料電 10の停止時間とは、燃料電池システム2のス ートスイッチがオフにされている時間であ 。すなわち、タイマー32は、燃料電池システ ム2のスタートスイッチのオフの信号がECU30に 入力されてから、オンの信号が入力されるま での時間を計測する。燃料電池10の停止時に ソード極からアノード極へ移動する空気の は、燃料電池10の停止時間の経過と共に増 する。したがって、例えば、タイマー32によ り計測した時間が所定値以上であれば、アノ ード極内の空気量は「多」であると推定し、 所定値未満であればアノード極内の空気量は 「少」であると推定する。また、例えば、予 め実験した時間経過とアノード極内の空気量 との関係を表すマップから、タイマー32によ 計測した燃料電池10の停止時間を当該マッ に当てはめることにより、アノード極内の 気量を推定するものであってもよい。なお 必ずしも空気の量が、推定するガス量であ 必要はなく、時間経過と共に増加する空気 に反してアノードガス量は減少するため、 ノードガス量を推定するガス量としてもよ し、時間経過と共に増加・減少する空気の 及びアノードガスの量の比を推定するガス としてもよい。

 温度センサ34は、燃料電池10の温度を検出 し、燃料電池10の温度からアノード極内のガ 量を推定することができるものである。温 センサ34は、燃料電池10に設けられている。 燃料電池10の温度は、燃料電池10の表面温度 燃料電池10の内部温度、又は燃料電池10内の 却水温度等である。燃料電池10の温度は、 料電池10の停止時間の経過と共に低下するた め、例えば、温度センサ34により検出した燃 電池10の温度が所定値未満であれば、停止 間の経過と共に増加するアノード極内の空 量は「多」であると推定し、燃料電池10の温 度が所定値以上であれば、アノード極内の空 気量は「少」であると推定する。また、例え ば、予め実験した燃料電池10の温度とアノー 極内の空気量との関係を表すマップから、 度センサ34により計測した燃料電池10の温度 を当該マップに当てはめることにより、アノ ード極内の空気量を推定することができる。 上記同様に必ずしも空気の量が、推定するガ ス量である必要はなく、時間経過と共に増加 する空気量に反してアノードガス量は減少す るため、アノードガス量を推定するガス量と してもよいし、時間経過と共に増加・減少す る空気の量及びアノードガスの量の比を推定 するガス量としてもよい。

 本実施形態では、アノード極内のガス量 推定は、上記タイマー32、温度センサ34等に よるものに限られない。例えば、酸素センサ を燃料電池10のアノード極側に設け、酸素セ サによりアノード極内のガス量(空気量)を 定してもよい。

 ECU30は、推定したアノード極内のガス量 応じて、燃料電池10の始動時に供給するアノ ードガスの圧力を設定する。すなわち、上記 説明したようにインジェクタ24の圧力調整値 設定する。具体的には、推定したアノード 内のガス量、例えば空気量が「少」である 合には、アノード極から排出する空気量も ないため、燃料電池10の始動時に供給する ノードガスの圧力を小さく、例えば、燃料 池10の発電時に供給するアノードガスの圧力 に設定する。また、推定したアノード極内の ガス量、例えば空気量が「多」である場合に は、アノード極から排出する空気量も多いた め、燃料電池10の始動時に供給するアノード スの圧力は大きく、例えば、燃料電池10の 電時に供給するアノードガスの圧力より大 く(例えば300kPa)設定する。そして、設定した 圧力までアノードガスの圧力を上昇させる際 には、上記説明したように、ECU30はアノード スの圧力上昇の開始に応じてカソードガス 圧力上昇が開始されるようにインジェクタ2 4及び圧力調節弁28を制御する。これにより、 アノード極内の空気の偏在及び電解質膜の破 損を抑制するために必要なアノードガスの圧 力を適切に設定することができ、アノードガ ス量の無駄を省くことができる。また、燃料 電池10の始動の繰り返しにより生じる電解質 の破損を抑制することができる点で、ECU30 インジェクタ24及び圧力調節弁28の少なくと いずれか一方を制御して、アノードガスの 力とカソードガスの圧力との圧力差が上記 明した電解質膜の圧力破損臨界値を超えな ようにすることが好ましい。

 本実施形態では、温度センサ及びタイマ 両方を設けているが、少なくともいずれか1 つであればよい。

 上記本実施形態に係る燃料電池システム 、例えば、携帯用パソコン等のモバイル機 用小型電源、自動車用電源、定置用電源等 して使用することができる。