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Patent Searching and Data


Title:
FUEL CELL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/081576
Kind Code:
A1
Abstract:
A fuel cell is provided with a membrane electrode assembly (2) comprised of a fuel electrode (13), an air electrode (16), and an electrolyte film (17) held by these electrodes; and a fuel storage unit (4) for storing a liquid fuel. Since the fuel cell is possible to continuously generate electricity for a long time as far as the fuel is supplied, the fuel cell has been tried in use for a power source of mobile electronic equipment. In the case where the membrane electrode assembly is connected with the fuel storage unit through a flowing path in the fuel cell, a fuel supplying amount can be adjusted by a shape or the like of the flowing path but it causes problems of an uneven fuel supplying state, the decrease of an output of the fuel cell, and the like. The present invention has been made to solve them by providing the fuel cell with a fuel distributing mechanism (3) for supplying the fuel to a plurality of portions of the fuel electrode to connect the membrane electrode assembly with the fuel storage unit through a flowing path (5), or the like.

Inventors:
HASEBE HIROYUKI (JP)
AKAMOTO YUKINORI (JP)
OOZU HIDEYUKI (JP)
SUZUKI HIDENORI (JP)
KAWAMURA KOICHI (JP)
SATO YUUICHI (JP)
OOMICHI GENTA (JP)
NEGISHI NOBUYASU (JP)
SHIMOYAMADA TAKASHI (JP)
YOSHIDA YUICHI (JP)
KAN HIROSHI (JP)
TAKAHASHI KENICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/001452
Publication Date:
July 10, 2008
Filing Date:
December 21, 2007
Export Citation:
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Assignee:
TOSHIBA KK (JP)
HASEBE HIROYUKI (JP)
AKAMOTO YUKINORI (JP)
OOZU HIDEYUKI (JP)
SUZUKI HIDENORI (JP)
KAWAMURA KOICHI (JP)
SATO YUUICHI (JP)
OOMICHI GENTA (JP)
NEGISHI NOBUYASU (JP)
SHIMOYAMADA TAKASHI (JP)
YOSHIDA YUICHI (JP)
KAN HIROSHI (JP)
TAKAHASHI KENICHI (JP)
International Classes:
H01M8/04; H01M8/10
Foreign References:
JP2006269413A2006-10-05
JP2006196414A2006-07-27
JP2004079506A2004-03-11
JP2000268836A2000-09-29
JP2006019145A2006-01-19
JP2006004793A2006-01-05
Attorney, Agent or Firm:
SUYAMA, Saichi (1 Kandata-cho 2-chome, Chiyoda-k, Tokyo 46, JP)
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Claims:
 燃料極と、空気極と、前記燃料極と前記空気極とに挟持された電解質膜とを有する膜電極接合体と、
 前記膜電極接合体の前記燃料極側に配置され、前記燃料極の複数個所に対して燃料を供給する燃料分配機構と、
 液体燃料を収容すると共に、前記燃料分配機構と流路を介して接続された燃料収容部と
 を具備することを特徴とする燃料電池。
 請求項1記載の燃料電池において、
 前記燃料分配機構は、前記液体燃料が前記流路を介して流入する燃料注入口と、前記燃料注入口と燃料通路を介して接続された複数の燃料排出口とを有することを特徴とする燃料電池。
 請求項2記載の燃料電池において、
 前記燃料分配機構は、前記燃料注入口と前記複数の燃料排出口とを有する燃料分配板を備え、かつ前記燃料分配板はその内部に前記燃料通路として設けられた細管を有することを特徴とする燃料電池。
 請求項3記載の燃料電池において、
 前記細管は分岐部を有し、前記燃料注入口から前記複数の燃料排出口に向けて前記分岐部で順に分岐されていることを特徴とする燃料電池。
 請求項4記載の燃料電池において、
 前記分岐部における分岐前の前記細管の断面積をA、分岐後の前記細管の断面積の合計をBとしたとき、前記分岐部はA≧Bを満足することを特徴とする燃料電池。
 請求項3記載の燃料電池において、
 前記燃料排出口の断面積はそれに接続された前記細管の断面積と同等もしくはそれより大きいことを特徴とする燃料電池。
 請求項2記載の燃料電池において、
 前記燃料分配機構は、前記燃料注入口と前記燃料通路としての燃料流通溝とを有する流路板と、前記燃料流通溝を覆うように配置され、前記燃料流通溝と接続するように開口された前記複数の燃料排出口を有する拡散板とを備えることを特徴とする燃料電池。
 請求項1記載の燃料電池において、
 前記燃料極と前記燃料分配機構との間に前記燃料を拡散させる燃料拡散空間が設けられていることを特徴とする燃料電池。
 請求項1記載の燃料電池において、
 さらに、前記燃料極と前記燃料分配機構との間に配置された少なくとも1つの多孔体を具備することを特徴とする燃料電池。
 請求項9記載の燃料電池において、
 前記多孔体は多孔質樹脂シート、樹脂不織布および樹脂織布から選ばれる少なくとも1つからなることを特徴とする燃料電池。
 請求項1記載の燃料電池において、
 さらに、前記燃料収容部または前記流路に接続され、外気を導入して前記燃料収容部内の内圧を調整するバランスバルブを具備することを特徴とする燃料電池。
 請求項1記載の燃料電池において、
 さらに、前記流路に設けられた燃料供給ポンプを具備することを特徴とする燃料電池。
 請求項12記載の燃料電池において、
 前記燃料供給ポンプは、電気浸透流ポンプ、ダイアフラムポンプ、ロータリーベーンポンプおよびしごきポンプから選ばれる1種であることを特徴とする燃料電池。
 請求項12記載の燃料電池において、
 前記燃料供給ポンプの燃料送液能力が10μL/分~1mL/分の範囲であることを特徴とする燃料電池。
 請求項12記載の燃料電池において、
 前記燃料供給ポンプは少なくとも前記膜電極接合体からの出力に応じて動作制御されることを特徴とする燃料電池。
 請求項1記載の燃料電池において、
 さらに、前記流路に設けられた燃料供給ポンプと、前記燃料収容部と前記燃料供給ポンプとの間の流路または前記燃料収容部に接続され、外気を導入して前記燃料収容部内の内圧を調整するバランスバルブと、前記膜電極接合体に設けられたガス抜き孔とを有し、前記燃料供給ポンプから前記燃料分配機構への送液圧力が5kPa以上であることを特徴とする燃料電池。
 請求項1記載の燃料電池において、
 さらに、前記流路に配置され、前記燃料分配機構への前記液体燃料の供給を遮断する燃料遮断バルブを具備することを特徴とする燃料電池。
 請求項17記載の燃料電池において、
 さらに、前記燃料収容部と前記燃料遮断バルブとの間の流路に配置された燃料供給ポンプを具備することを特徴とする燃料電池。
 請求項18記載の燃料電池において、
 前記燃料遮断バルブは、前記燃料供給ポンプが送液開始前に開状態となると共に、前記燃料供給ポンプが送液停止後に閉状態となることを特徴とする燃料電池。
 請求項17記載の燃料電池において、
 前記燃料遮断バルブは開閉状態の状態変化時のみに駆動電力が印加される開閉状態保持機構付きバルブであることを特徴とする燃料電池。
 請求項1記載の燃料電池において、
 前記液体燃料はメタノール燃料であることを特徴とする燃料電池。
 請求項21記載の燃料電池において、
 前記メタノール燃料はメタノール濃度が80%以上のメタノール水溶液または純メタノールであることを特徴とする燃料電池。
Description:
燃料電池

 本発明は液体燃料を用いた燃料電池に関 る。

 近年、ノートパソコンや携帯電話等の各 携帯用電子機器を長時間充電なしで使用可 とするために、これら携帯用電子機器の電 に燃料電池を用いる試みがなされている。 料電池は燃料と空気を供給するだけで発電 ることができ、燃料を補給すれば連続して 時間発電することが可能であるという特徴 有している。このため、燃料電池を小型化 きれば、携帯用電子機器の電源として極め 有利なシステムといえる。

 直接メタノール型燃料電池(Direct Methanol  Fuel Cell:DMFC)は小型化が可能であり、さらに 料の取り扱いも容易であるため、携帯用電 機器の電源として有望視されている。DMFCに ける液体燃料の供給方式としては、気体供 型や液体供給型等のアクティブ方式、また 料収容部内の液体燃料を電池内部で気化さ て燃料極に供給する内部気化型等のパッシ 方式が知られている。

 これらのうち、内部気化型等のパッシブ 式はDMFCの小型化に対して特に有利である。 パッシブ型DMFCにおいては、例えば燃料極、 解質膜および空気極を有する膜電極接合体( 料電池セル)を、樹脂製の箱状容器からなる 燃料収容部上に配置した構造が提案されてい る(例えば特許文献1参照)。燃料収容部から気 化した燃料を直接燃料電池セルに供給する場 合、燃料電池の出力の制御性を高めることが 重要となるが、現状のパッシブ型DMFCでは必 しも十分な出力制御性は得られていない。

 一方、DMFCの燃料電池セルと燃料収容部と を流路を介して接続することが検討されてい る(特許文献2~4参照)。燃料収容部から供給さ た液体燃料を燃料電池セルに流路を介して 給することで、流路の形状や径等に基づい 液体燃料の供給量を調整することができる ただし、流路からの液体燃料の供給構造に っては、燃料電池セルに対する燃料の供給 態が不均一になり、燃料電池の出力が低下 るおそれがある。例えば、流路の形状や流 からの燃料の供給方式によっては、流路を 体燃料が流れるにつれて順次燃料が消費さ ていくため、流路の終端側では燃料濃度が 少する。このため、燃料電池セルの流路終 に近い部分では発電反応が低下し、その結 として出力の低下を招く。

 特許文献3には燃料収容部から流路にポンプ で液体燃料を供給することが記載されている 。特許文献3にはポンプに代えて、流路に電 浸透流を形成する電界形成手段を用いるこ も記載されている。特許文献4には電気浸透 ポンプを用いて液体燃料等を供給すること 記載されている。燃料循環構造を適用した 料電池はポンプが有効であるものの、パッ ブ型DMFCのように燃料を循環させない場合に は単にポンプを適用しても燃料消費量が増大 するだけで、燃料電池セル全体での均一な発 電反応を生起することは難しい。

国際公開第2005/112172号パンフレット

特表2005-518646公報

特開2006-085952公報

米国特許公開第2006/0029851号公報

 本発明の目的は、燃料電池セルに対する 料の供給状態を均一化することによって発 反応の効率化を図り、燃料電池の小型化等 損なうことなく、出力を向上させることが 能な燃料電池を提供することにある。

  本発明に係る燃料電池は、燃料極と、 気極と、前記燃料極と前記空気極とに挟持 れた電解質膜とを有する膜電極接合体と、 記膜電極接合体の前記燃料極側に配置され 前記燃料極の複数個所に対して燃料を供給 る燃料分配機構と、液体燃料を収容すると に、前記燃料分配機構と流路を介して接続 れた燃料収容部とを具備することを特徴と ている。

本発明の第1の実施形態による燃料電池 の構成を示す断面図である。 図1に示す燃料電池で使用した燃料分配 機構の構成を示す斜視図である。 図1に示す燃料電池の一変形例を示す断 面図である。 図3に示す燃料電池で使用した燃料分配 機構の構成を示す平面図である。 図4に示す燃料分配機構における細管の 分岐構造を説明する図である。 図5に示す燃料分配機構における細管の 第1の分岐部を示す図である。 図5に示す燃料分配機構における細管の 第2の分岐部を示す図である。 図1に示す燃料電池の他の変形例を示す 断面図である。 本発明の第2の実施形態による燃料電池 の構成を示す断面図である。 図9に示す燃料電池に出力制御回路を 置した状態を示す図である。 図9に示す燃料電池に燃料遮断バルブ 設置した状態を示す図である。 図9に示す燃料電池におけるポンプの 転動作を示す図である。 図9に示す燃料電池に適用する燃料遮 バルブの構成例(閉状態)を示す断面図であ 。 図13Aに示す燃料遮断バルブの開状態 示す断面図である。 図13に示す燃料遮断バルブの運転動作 法を示す図である。 図9に示す燃料電池にバランスバルブ 設置した状態を示す図である。 図15に示す燃料電池における燃料電池 ルにガス抜き孔を設けた状態を示す図であ 。 本発明の実施例による燃料電池の時間 -出力密度特性を示す図である。 本発明の第3の実施形態による燃料電 の構成を示す断面図である。 図18に示す燃料電池における燃料分配 構の構成を一部破断して示す図である。 本発明の実施例による燃料電池の時間 -出力密度特性を示す図である。

符号の説明

 1,30,50…燃料電池、2…燃料電池セル(MEA)、 2A…ガス抜き孔、3…燃料分配機構、4…燃料 容部、5…流路、11…アノード触媒層、12…ア ノードガス拡散層、13…アノード(燃料極)、14 …カソード触媒層、15…カソードガス拡散層 16…カソード(空気極)、17…電解質膜、21… 料注入口、22…燃料排出口、23,23A…燃料分配 板、24…空隙部、25…細管、26…分岐部、27,56 多孔体、31…ポンプ、32…制御回路、33…燃 遮断バルブ、34…ラッチバルブ、39…バラン スバルブ、51…流路板、52…燃料流通溝、53… 拡散板、55…燃料拡散空間

 以下、本発明を実施するための形態につ て、図面を参照して説明する。図1は本発明 の第1の実施形態による燃料電池の構成を示 断面図である。図1に示す燃料電池1は、起電 部を構成する燃料電池セル2と、この燃料電 セル2に燃料を供給する燃料分配機構3と、液 体燃料を収容する燃料収容部4と、これら燃 分配機構3と燃料収容部4とを接続する流路5 から主として構成されている。

 燃料電池セル2は、アノード触媒層11とア ードガス拡散層12とを有するアノード(燃料 )13と、カソード触媒層14とカソードガス拡 層15とを有するカソード(空気極/酸化剤極)16 、アノード触媒層11とカソード触媒層14とで 挟持されたプロトン(水素イオン)伝導性の電 質膜17とから構成される膜電極接合体(Membran e Electrode Assembly:MEA)を有している。

 アノード触媒層11やカソード触媒層14に含 有される触媒としては、例えばPt、Ru、Rh、Ir Os、Pd等の白金族元素の単体、白金族元素を 含有する合金等が挙げられる。アノード触媒 層11にはメタノールや一酸化炭素等に対して い耐性を有するPt-RuやPt-Mo等を用いることが 好ましい。カソード触媒層14にはPtやPt-Ni等を 用いることが好ましい。ただし、触媒はこれ らに限定されるものではなく、触媒活性を有 する各種の物質を使用することができる。触 媒は炭素材料のような導電性担持体を使用し た担持触媒、あるいは無担持触媒のいずれで あってもよい。

 電解質膜17を構成するプロトン伝導性材 としては、例えばスルホン酸基を有するパ フルオロスルホン酸重合体のようなフッ素 樹脂(ナフィオン(商品名、デュポン社製)や レミオン(商品名、旭硝子社製)等)、スルホ 酸基を有する炭化水素系樹脂等の有機系材 、あるいはタングステン酸やリンタングス ン酸等の無機系材料が挙げられる。ただし プロトン伝導性の電解質膜17はこれらに限ら れるものではない。

 アノード触媒層11に積層されるアノード ス拡散層12は、アノード触媒層11に燃料を均 に供給する役割を果たすと同時に、アノー 触媒層11の集電体も兼ねている。カソード 媒層14に積層されるカソードガス拡散層15は カソード触媒層14に酸化剤を均一に供給す 役割を果たすと同時に、カソード触媒層14の 集電体も兼ねている。アノードガス拡散層12 よびカソードガス拡散層15は、例えばカー ンペーパーのような導電性を有する多孔質 材で構成されている。

 アノードガス拡散層12やカソードガス拡 層15には、必要に応じて導電層が積層される 。これら導電層としては、例えばAuのような 電性金属材料からなるメッシュ、多孔質膜 薄膜等が用いられる。電解質膜17と燃料分 機構3およびカバープレート18との間には、 れぞれゴム製のOリング19が介在されており これらによって燃料電池セル(MEA)2からの燃 漏れや酸化剤漏れを防止している。

 図示を省略したが、カバープレート18は 化剤である空気を取入れるための開口を有 ている。カバープレート18とカソード16との には、必要に応じて保湿層や表面層が配置 れる。保湿層はカソード触媒層14で生成さ た水の一部が含浸されて、水の蒸散を抑制 ると共に、カソード触媒層14への空気の均一 拡散を促進するものである。表面層は空気の 取入れ量を調整するものであり、空気の取入 れ量に応じて個数や大きさ等が調整された複 数の空気導入口を有している。

 燃料収容部4には、燃料電池セル2に対応 た液体燃料が収容されている。液体燃料と ては、各種濃度のメタノール水溶液や純メ ノール等のメタノール燃料が挙げられる。 体燃料は必ずしもメタノール燃料に限られ ものではない。液体燃料は、例えばエタノ ル水溶液や純エタノール等のエタノール燃 、プロパノール水溶液や純プロパノール等 プロパノール燃料、グリコール水溶液や純 リコール等のグリコール燃料、ジメチルエ テル、ギ酸、その他の液体燃料であっても い。いずれにしても、燃料収容部4には燃料 池セル2に応じた液体燃料が収容される。

 燃料電池セル2のアノード(燃料極)13側に 、燃料分配機構3が配置されている。燃料分 機構3は配管のような液体燃料の流路5を介 て燃料収容部4と接続されている。燃料分配 構3には燃料収容部4から流路5を介して液体 料が導入される。流路5は燃料分配機構3や 料収容部4と独立した配管に限られるもので ない。例えば、燃料分配機構3と燃料収容部 4とを積層して一体化する場合、これらを繋 液体燃料の流路であってもよい。燃料分配 構3は流路5を介して燃料収容部4と接続され いればよい。

 燃料分配機構3は図2に示すように、液体 料が流路5を介して流入する少なくとも1個の 燃料注入口21と、液体燃料やその気化成分を 出する複数個の燃料排出口22とを有する燃 分配板23を備えている。燃料分配板23の内部 は図1に示すように、燃料注入口21から導か た液体燃料の通路となる空隙部24が設けら ている。複数の燃料排出口22は燃料通路とし て機能する空隙部24にそれぞれ直接接続され いる。

 燃料注入口21から燃料分配機構3に導入さ た液体燃料は空隙部24に入り、この燃料通 として機能する空隙部24を介して複数の燃料 排出口22にそれぞれ導かれる。複数の燃料排 口22には、例えば液体燃料の気化成分のみ 透過し、液体成分は透過させない気液分離 (図示せず)を配置してもよい。これによって 、燃料電池セル2のアノード(燃料極)13には液 燃料の気化成分が供給される。なお、気液 離体は燃料分配機構3とアノード13との間に 液分離膜等として設置してもよい。液体燃 の気化成分は複数の燃料排出口22からアノ ド13の複数個所に向けて排出される。

 燃料排出口22は燃料電池セル2の全体に燃料 供給することが可能なように、燃料分配板2 3のアノード13と接する面に複数設けられてい る。燃料排出口22の個数は2個以上であればよ いが、燃料電池セル2の面内における燃料供 量を均一化する上で、0.1~10個/cm 2 の燃料排出口22が存在するように形成するこ が好ましい。燃料排出口22の個数が0.1個/cm 2 未満であると、燃料電池セル2に対する燃料 給量を十分に均一化することができない。 料排出口22の個数を10個/cm 2 を超えて形成しても、それ以上の効果が得ら れない。

 燃料分配機構3から放出された燃料は、上述 したように燃料電池セル2のアノード(燃料極) 13に供給される。燃料電池セル2内において、 燃料はアノードガス拡散層12を拡散してアノ ド触媒層11に供給される。液体燃料として タノール燃料を用いた場合、アノード触媒 11で下記の(1)式に示すメタノールの内部改質 反応が生じる。なお、メタノール燃料として 純メタノールを使用した場合には、カソード 触媒層14で生成した水や電解質膜17中の水を タノールと反応させて(1)式の内部改質反応 生起させる。あるいは、水を必要としない の反応機構により内部改質反応を生じさせ 。
  CH 3 OH+H 2 O → CO 2 +6H + +6e -  …(1)

 この反応で生成した電子(e - )は集電体を経由して外部に導かれ、いわゆ 電気として携帯用電子機器等を動作させた に、カソード(空気極)16に導かれる。また、( 1)式の内部改質反応で生成したプロトン(H + )は電解質膜17を経てカソード16に導かれる。 ソード16には酸化剤として空気が供給され 。カソード16に到達した電子(e - )とプロトン(H + )は、カソード触媒層14で空気中の酸素と下記 の(2)式にしたがって反応し、この反応に伴っ て水が生成する。
  6e - +6H + +(3/2)O 2  → 3H 2 O …(2)

 上述した燃料電池2の発電反応において、 発電する電力を増大させるためには触媒反応 を円滑に行わせると共に、燃料電池セル2の 極全体をより有効に発電に寄与させること 重要となる。このような点に対して、燃料 池セル2に対して燃料を供給する燃料排出口 1箇所の場合には、燃料排出口近傍の燃料濃 度は発電に十分な濃度となるものの、燃料排 出口から離れるにつれて燃料濃度が急速に低 下する。このため、燃料電池全体で見た場合 の平均出力は、燃料の供給が少ない部分の影 響を受けて低い値に留まってしまう。

 燃料濃度を高めるための手段としては、 体燃料の供給量を増加させることが考えら る。しかし、単に液体燃料の供給量を増加 せた場合、燃料排出口近傍の燃料濃度が上 りすぎて、燃料が反応することなく空気極 流れてしまう現象(いわゆるクロスオーバー と呼ばれている現象)が発生する。クロスオ バーは燃費の低下、空気極での燃料の直接 応に伴う電圧低下、それによる出力低下等 原因となる。さらに、従来の燃料電池にお ては循環ポンプで燃料を循環させることも われているが、この場合には燃料を貯蔵す リザーバータンクや濃度調整機構等が必要 なるために装置の大型化が避けられない。

 この実施形態の燃料電池1においては、上 述したように複数の燃料排出口22を有する燃 分配機構3を適用している。燃料分配機構3 導入された液体燃料は空隙部24を介して複数 の燃料排出口22に導かれる。燃料分配機構3の 空隙部24はバッファとして機能するため、複 の燃料排出口22からそれぞれ規定濃度の燃 が排出される。そして、複数の燃料排出口22 は燃料電池セル2の全面に燃料が供給される うに配置されているため、燃料電池セル2に する燃料供給量を均一化することができる

 すなわち、アノード(燃料極)13の面内にお ける燃料の分布が平準化され、燃料電池セル 2での発電反応に必要とされる燃料を全体的 過不足なく供給することができる。従って 燃料電池1の大型化や複雑化等を招くことな 、燃料電池セル2で効率的に発電反応を生起 させることができる。これによって、燃料電 池1の出力を向上させることが可能となる。 い換えると、燃料を循環させない燃料電池1 利点を損なうことなく、出力やその安定性 高めることができる。

 第1の実施形態の具体例(実施例1)として、5mm メッシュで燃料排出口22を形成した燃料分配 構3を有する燃料電池1を作製した。MEA2の形 は40×80mmとし、また液体燃料としては90%濃 のメタノールを使用した。実施例1の燃料電 では、平均20mW/cm 2 の出力が得られた。一方、燃料排出口をMEAの 中心部に1箇所だけとする以外は、実施例1と 一構成の燃料電池(比較例1)を作製した。比 例1の燃料電池では、平均5mW/cm 2 の出力しか得られなかった。

 この現象を解明するために、サーモビュ ワで空気極面の温度分布を調べた。その結 、比較例1では燃料排出口近傍の温度は55~60 となり、十分な発電が行われているものの 周辺部では30℃と室温(25℃)と比較して発熱 非常に少なくなっている。温度は発電に伴 て発生する熱に起因する。このため、温度 低いということはその部分では発電が進ん いないことを意味する。比較例1では燃料排 出口近傍でこそ発電がなされているものの、 周辺部では発電が進んでいないことが示唆さ れる。燃料分配機構3を設けた実施例1では全 に温度が45~50℃になっており、MEA全体が発 に寄与し、その結果として平均発電出力が くなったものと推定される。

 実施例1で用いた燃料分配機構3はその内 に設けられた空隙部24から燃料を複数の燃料 排出口22に分配している。このため、厳密に 燃料注入口21に近い側の温度が若干高く、 に行くに従って温度が低下する現象が観察 れる。また、燃料電池1を傾斜させた場合に 重力の影響等から傾斜方向によって温度分 が変化し、下側の部分の反応が高くなる傾 が観察される。実用上はこれでも十分な性 を得ることができるが、さらに出力を改善 るためには、図3および図4に示すように、 料注入口21と複数の燃料排出口22とを細管25 接続した燃料分配機構3を用いることが好ま い。

 図3および図4に示す燃料分配機構3は、液 燃料が流入する少なくとも1個の燃料注入口 21と、液体燃料もしくはその気化成分を排出 る複数個の燃料排出口22とを有する燃料分 板23Aを備えている。燃料分配板23Aの内部に 、液体燃料の通路として機能する細管25が形 成されている。細管25の一端(始端部)には燃 注入口21が設けられている。細管25は途中で 数に分岐しており、これら分岐した細管25 各終端部に燃料排出口22がそれぞれ設けられ ている。細管25は例えば内径が0.05~5mmの貫通 であることが好ましい。燃料排出口22の断面 積(開口面積)はそれらの合計が燃料分配板23A 面積の5%以下となるように設定することが ましい。

 燃料注入口21から燃料分配板23Aに導入さ た液体燃料は、複数に分岐した細管25を介し て複数の燃料排出口22にそれぞれ導かれる。 3および図4に示す燃料分配機構3(燃料分配板 23A)は、その内部の燃料通路として細管25を用 いる以外は図1に示した燃料分配機構3と同様 構成を有している。このような構造の燃料 配機構3を使用することによって、燃料注入 口21から燃料分配機構3内に注入された液体燃 料を方向や位置に係わりなく、複数の燃料排 出口22に均等に分配することができる。従っ 、燃料電池セル2の面内における発電反応の 均一性を一層高めることが可能となる。

 さらに、細管25で燃料注入口21と複数の燃 料排出口22とを接続した構造によれば、燃料 池1の特定箇所により多くの燃料を供給する ような設計が可能となる。例えば、装置装着 上の都合から燃料電池1の半分の放熱がよく ってしまうような場合、従来では温度分布 生じてしまい、平均出力の低下が避けられ かった。これに対して、細管25の形成パター ンを調整し、予め放熱のよい部分に燃料排出 口22を密に配置することによって、その部分 の発電に伴う発熱を多くすることができる これによって、面内の発電度合いを均一化 ることができ、出力低下を抑制することが 能となる。

 燃料分配板23Aの内部に設けられた細管25 上述したように分岐部を有し、燃料注入口21 から複数の燃料排出口22に向けて分岐部で順 分岐されている。細管25の分岐部は圧力損 を抑制するように、分岐後の細管断面積が 岐前の細管断面積以下となるように設定す ことが好ましい。図5ないし図7に示す細管25 、燃料注入口21に接続された細管25Aを第1の 岐部26aで4つの細管25B1、25B2、25B3、25B4に分 させ、さらに分岐後の細管25Bを第2の分岐部2 6bで4つの細管25C1、25C2、25C3、25C4にそれぞれ 岐させ、各細管25C1、25C2、25C3、25C4の終端部 それぞれ燃料排出口22を設けている。

 図5ないし図7に示す分岐構造を適用した 合、第1の分岐部26aの分岐前の細管25Aの断面 をAとし、分岐後の各細管25B1、25B2、25B3、25B 4の断面積をB1、B2、B3、B4、これらの合計断面 積をB(=B1+B2+B3+B4)としたとき、第1の分岐部26A A≧Bを満足するように各細管25の断面積を設 することが好ましい。同様に、第2の分岐部 26bは分岐前の細管25Bの断面積Bに対し、分岐 の各細管25C1、25C2、25C3、25C4の合計断面積C(=C 1+C+C3+C4)がB≧Cを満足するように各細管25の断 積を設定することが好ましい。

 上述したように、分岐部26における分岐 の細管25の合計断面積を、分岐前の細管25の 面積と同等もしくはそれより小さくするこ によって、分岐部26における圧力損失を低 することができる。このような分岐条件は 管25の分岐回数に限らず、各分岐部26に対し 適用することが好ましい。分岐部26での圧 損失を低減することによって、複数の燃料 出口22からの燃料排出量をより均一化するこ とができる。さらに、燃料排出口22の断面積( 開口面積)はそれに接続された細管25の断面積 と同等もしくはそれより大きいことが好まし い。これらによって、燃料電池セル2の面内 おける発電反応の均一性をより一層高める とが可能となる。

 第1の実施形態の実施例2として、図3および 4に示した燃料分配機構3を適用した燃料電 1を作製した。内径が約0.1mmの細管25を有する 燃料分配機構3を使用する以外は、実施例1と 一構成とした。実施例2の燃料電池では、平 均23mW/cm 2 の出力が得られ、温度分布も位置や方向に依 存しないことが観察された。このように、燃 料分配機構3内の燃料通路を複数に分岐した 管25とすることによって、燃料供給量をさら に均一化することができ、これにより出力の 向上を図ることが可能となる。

 燃料分配機構3とアノード(燃料極)13との には、図8に示すように多孔体27を挿入する とが有効である。多孔体27の構成材料として は各種樹脂が使用され、多孔質樹脂シート( 泡ポリエチレンシートや発泡ポリウレタン ート等)、樹脂不織布、樹脂織布等が多孔体2 6として用いられる。多孔体27を配置すること で、燃料極13に対する燃料供給量をより一層 均化することができる。燃料分配機構3の燃 料排出口22から噴出した液体燃料は一旦多孔 27に吸収され、多孔体27の内部で面内方向に 拡散する。この後、多孔体27から燃料極13に 料が供給されるため、燃料供給量をより一 平均化することが可能となる。多孔体27は複 数の多孔膜を積層して配置してもよい。

 第1の実施形態の実施例3として、図8に示し 多孔体27を適用した燃料電池1を作製した。 孔体27としては厚さ1mmのポリエチレン製多 体を使用した。多孔体27を配置する以外は、 実施例2と同一構成とした。実施例3の燃料電 に90%濃度のメチタノールを供給したところ 平均出力が実施例2よりさらに2mW/cm 2 高い25mW/cm 2 まで上昇した。また、同時に行ったサーモビ ューワによる温度観察によれば、温度分布が 48~50℃と実施例1よりさらに平均化が進んでい ることが確認された。

 上述した第1の実施形態において、液体燃 料を燃料収容部4から燃料分配機構3まで送る 構は特に限定されるものではない。例えば 使用時の設置場所が固定される場合には、 力を利用して液体燃料を燃料収容部4から燃 料分配機構3まで落下させて送液することが きる。また、多孔体等を充填した流路5を用 ることによって、毛細管現象で燃料収容部4 から燃料分配機構3まで送液することができ 。さらに、燃料収容部4から燃料分配機構3へ の送液はポンプで実施してもよい。

 次に、本発明の第2の実施形態として燃料 収容部4と燃料分配機構3との間にポンプを挿 した燃料電池について、図9ないし図18を参 して説明する。図9に示す燃料電池30は、図8 に示す燃料電池1の流路5の途中にポンプ31を 入したものであり、それ以外の構成は図8に す燃料電池1と同様とされている。すなわち 、ポンプ31は燃料を循環させる循環ポンプで なく、あくまでも燃料収容部4から燃料分配 機構3に液体燃料を送液する燃料供給ポンプ ある。このようなポンプ31で必要時に液体燃 料を送液することによって、燃料供給量の制 御性を高めることができる。

 図9に示す燃料電池30において、燃料分配 構3から燃料電池セル2に供給された燃料は 電反応に使用され、その後に循環して燃料 容部4に戻されることはない。図9に示す燃料 電池30は燃料を循環しないことから、従来の クティブ方式とは異なるものであり、装置 小型化等を損なうものではない。また、液 燃料の供給にポンプ31を使用しており、従 の内部気化型のような純パッシブ方式とも なる。図9に示す燃料電池30は、例えばセミ ッシブ型と呼称される方式を適用したもの ある。

 ポンプ31の種類は特に限定されるもので ないが、少量の液体燃料を制御性よく送液 ることができ、さらに小型軽量化が可能と う観点から、ロータリーベーンポンプ、電 浸透流ポンプ、ダイアフラムポンプ、しご ポンプ等を使用することが好ましい。ロー リーベーンポンプはモータで羽を回転させ 送液するものである。電気浸透流ポンプは 気浸透流現象を起こすシリカ等の焼結多孔 を用いたものである。ダイアフラムポンプ 電磁石や圧電セラミックスによりダイアフ ムを駆動して送液するものである。しごき ンプは柔軟性を有する燃料流路の一部を圧 し、燃料をしごき送るものである。これら うち、駆動電力や大きさ等の観点から、電 浸透流ポンプや圧電セラミックスを有する イアフラムポンプを使用することがより好 しい。

 ポンプ31の送液能力は燃料電池1の主たる 象物が小型電子機器であることから、10μL/ ~1mL/分の範囲であることが好ましい。送液 力が1mL/分を超えると一度に送液される液体 料の量が多くなりすぎて、全運転期間に占 るポンプ31の停止時間が長くなる。このた 、燃料電池セル(MEA)2への燃料の供給量の変 が大きくなり、その結果として出力の変動 大きくなる。これを防止するためのリザー をポンプ31と燃料分配機構3との間に設けて よいが、そのような構成を適用しても燃料 給量の変動を十分に抑制することはできず さらに装置サイズの大型化等を招いてしま 。

 一方、ポンプ31の送液能力が10μL/分未満 あると、装置立ち上げ時のように燃料の消 量が増える際に供給能力不足を招くおそれ ある。これによって、燃料電池30の起動特性 等が低下する。このような点から、10μL/分~1m L/分の範囲の送液能力を有するポンプ31を使 することが好ましい。ポンプ31の送液能力は 10~200μL/分の範囲であることがより好ましい このような送液量を安定して実現する上で 、ポンプ31には電気浸透流ポンプやダイアフ ラムポンプを適用することが好ましい。

 図9に示す燃料電池30においては、必要時 ポンプ31を動作させて燃料収容部4から燃料 配機構3に液体燃料を供給する。燃料分配機 構3に導入された液体燃料は、前述した第1の 施形態と同様に、複数の燃料排出口22にそ ぞれ導かれる。そして、複数の燃料排出口22 から燃料電池セル2の全面に対して燃料が供 されて発電反応が生起される。このように ポンプ31で燃料収容部4から燃料分配機構3ま 液体燃料を送液する場合においても、燃料 配機構3は有効に機能する。従って、燃料電 池セル2に対する燃料供給量を均一化するこ が可能となる。

 燃料供給用(送液用)のポンプ31の制御は、 例えば図10に示すように、燃料電池30の出力 参照して行うことが好ましい。図10において 、燃料電池30の出力は制御回路32で検出され この検出結果に基づいてポンプ31に制御信号 が送られる。ポンプ31は制御回路32から送ら る制御信号に基づいてオン/オフが制御され 。ポンプ31の動作は燃料電池30の出力に加え て、温度情報や電力供給先である電子機器の 運転情報等に基づいて制御することで、より 安定した運転を達成することが可能となる。

 ポンプ31の具体的な動作制御方法として 、例えば燃料電池30からの出力が所定の規定 値より高くなった場合にポンプ31を停止また 送液量を低下させ、出力が規定値より低く った場合にポンプ31の運転を再開または送 量を増加させる方法が挙げられる。別の動 制御方法としては、燃料電池30からの出力の 変化率がプラスの場合にポンプ31の運転を停 または送液量を低下させ、出力の変化率が イナスになった場合にポンプ31の運転を再 または送液量を増加させる方法が挙げられ 。

 さらに、燃料電池30の安定性や信頼性を めるために、図11に示すようにポンプ31と直 に燃料遮断バルブ33を配置することが好ま い。図11ではポンプ31と燃料分配機構3との間 の流路5に燃料遮断バルブ33を挿入した構造を 示している。燃料遮断バルブ33はポンプ31と 料収容部4との間に設置しても機能上の支障 ない。

 ただし、燃料遮断バルブ33をポンプ31と燃 料収容部4との間の流路5に設置した場合、例 ば長期保管時にポンプ31の燃料が蒸発する 、燃料収容部4からの液体燃料の吸出し機能 支障が生じるおそれがある。このようなこ から、燃料遮断バルブ33はポンプ31と燃料分 配機構3との間の流路5に設置し、長期保管時 におけるポンプ31からの液体燃料の蒸発を 止することが好ましい。

 このように、燃料収容部4と燃料分配機構 3との間に燃料遮断バルブ33を挿入することに よって、燃料電池30の未使用時にも不可避的 発生する微量な燃料の消費や上述したポン 再運転時の吸い込み不良等を回避すること できる。これらは燃料電池30の実用上の利 性の向上に大きく貢献するものである。

 燃料遮断バルブ33の動作タイミングは、 ンプ31の駆動と同一としても実用上の支障は ないが、例えば図12に示すように、ポンプ31 運転直前にバルブ33を開き、ポンプ31の運転 止後にバルブ33を閉じることが好ましい。 れとは逆に、ポンプ運転と同時または運転 にバルブ33を開き、ポンプ停止前にバルブ33 閉じると、ポンプ33の内圧が上昇したり、 ンプ33の吸い込み不良等が発生する。

 燃料遮断バルブ33としては、電磁石、モ タ、形状記憶合金、圧電セラミックス、バ メタル等をアクチュエータとして、開閉動 を電気信号で制御することが可能な電気駆 バルブが使用される。燃料遮断バルブ33には その大きさや駆動電力等の観点から、電磁石 や圧電セラミックスを用いた電気駆動バルブ を使用することが好ましい。さらに、燃料遮 断バルブ33には状態保持機能を有するラッチ イプのバルブを使用することが好ましい。 13に電磁石と永久磁石とを組み合わせたラ チバルブ34の一例を示す。図13Aはラッチバル ブ34の閉状態を、また図13Bはラッチバルブ34 閉状態を示している。図14はラッチバルブ34 動作タイミングを示している。

 ラッチバルブ34では、コイル35に状態保持 用磁石36と反発する磁極が発生する向きに電 を流すことによって、可動鉄心37が状態保 磁石36と反発してバルブを閉状態とする方向 (図中左方向)に移動する。コイル35の電気を 断した後においても、ラッチバルブ34の閉止 状態はスプリング38で維持される。ラッチバ ブ34を開く場合には、コイル35に閉止動作の 際と逆方向に電流を流すことによって、可動 鉄心37が状態保持用磁石36に引き付けられて ルブを開状態とする方向(図中右方向)に移動 する。コイル35の電気を遮断した後において 、可動鉄心37は状態保持用磁石36に引き付け られているため、ラッチバルブ34の開放状態 維持される。

 上述したような開閉状態の状態変化時の に駆動電力が印加される状態保持機構付き ルブ(例えばラッチバルブ34)を燃料遮断バル ブ33に適用することによって、バルブ動作に 要とされる電力損失を免れると共に、動作 常等で電力供給が絶たれた場合であっても 燃料遮断バルブ33の状態を維持することで るという利点を有する。燃料遮断バルブ33は 、燃料電池30の未使用時に発生する微量な燃 消費、ポンプ再運転時の吸い込み不良等の 避に加えて、ポンプ31の停止時における微 な液体燃料の通液を遮断し、燃料電池30の出 力制御性をより一層高める効果を有する。

 さらに、燃料遮断バルブ33は前述した第1 実施形態の燃料電池1に対しても有効である 。例えば、図1、図3、図5に示した燃料電池1 おいて、燃料分配機構3と燃料収容部4とを接 続する流路5に燃料遮断バルブ33を挿入する。 このような構成を適用することによって、燃 料電池セル2に対する燃料の供給を制御し、 料電池1の出力制御性を高めることができる この場合の燃料遮断バルブ33の動作制御は 上述したポンプ31の動作制御と同様に実施す ることができる。

 第2の実施形態の燃料電池30においては、 料収容部4や流路5に燃料収容部4内の圧力を 気とバランスさせるバランスバルブを装着 ることが好ましい。図15は燃料収容部4にバ ンスバルブ39を設置した状態を示している バランスバルブ39は、燃料収容部4内の圧力 応じてバルブ可動片40を動作させるスプリン グ41と、バルブ可動片40をシールして閉状態 するシール部42とを有している。

 燃料収容部4から液体燃料が燃料分配機構 3に供給され、燃料収容部4の内圧が減圧状態 なると、バランスバルブ39のバルブ可動片40 が外圧を受け、スプリング41の反発力に打ち ってシール部42が開放される。このバラン バルブ39の開放状態に基づいて、外気が内外 圧力差を減少するように導入される。内外の 圧力差が解消されると、再度バルブ可動片40 移動してシール部42が密閉される。

 このように動作するバランスバルブ39を 料収容部4等に設置することによって、液体 料の供給に伴って発生する燃料収容部4の内 圧低下に起因する送液量の変動を抑制するこ とができる。すなわち、燃料収容部4内が減 状態になると、ポンプ31による液体燃料の吸 い込みが不安定になり、送液量が変動しやす くなる。このような送液量の変動をバランス バルブ39を設置することで解消することがで る。従って、燃料電池30の動作安定性を向 させることが可能となる。なお、バランス ルブ39を流路5に設置する場合には、燃料収 部4とポンプ31との間に挿入することが好ま い。

 さらに、第2の実施形態の燃料電池30のよ にポンプ31を設ける場合については、燃料 容部4等にバランスバルブ39を設けると共に 図16に示すように燃料電池セル2に例えばそ 積層方向に貫通するガス抜き孔2Aを設けるこ とが好ましい。

 上記したようにバランスバルブ39を燃料 容部4または流路5に設置することによって、 液体燃料の供給に伴い発生する燃料収容部4 内圧低下を抑制でき、ポンプ31における液体 燃料の吸い込みを安定させることができる。 しかしながら、燃料電池セル2のアノード13側 では例えば上記(1)式に示されるようにメタノ ールの内部改質反応によって二酸化炭素や水 蒸気等のガス成分が発生することから、燃料 分配機構3の内圧、具体的には燃料分配板23A 細管25等の内圧が上昇し、ポンプ31による液 燃料の送液が困難となることがある。

 このためガス抜き孔2Aを燃料電池セル2に けることによって、発生したガス成分を燃 電池セル2のアノード13側からカソード16側 と排出し、さらには燃料電池30の外部へと排 出することができ、結果として燃料分配機構 3の内圧を低減させ、ポンプ31による液体燃料 の送液を容易にすることができる。すなわち 、燃料収容部4等にバランスバルブ39を設ける と共に燃料電池セル2にガス抜き孔2Aを設ける ことで、ポンプ31における液体燃料の吸い込 と押し出しとの両方を容易にすることがで る。

 ガス抜き孔2Aとしては、例えば燃料電池 ル2の全体を積層方向に貫通する貫通孔が挙 られるが、例えばアノード13やカソード16が 多孔質体であってガス成分を有効に透過させ ることができるものである場合には、実質的 にガス成分を透過させない部分である電解質 膜17のみを貫通する貫通孔であってもよい。

 ガス抜き孔2Aの形状、大きさは必ずしも 定されるものではないものの、例えば直径0. 05mm以上1.0mm以下の円形状の孔部が好ましいも のとして挙げられる。直径が0.05mm未満である とガス成分をアノード13側からカソード16側 と十分に排出できないおそれがあり、1.0mmを 超えると燃料の直接透過を発生しやすく、ま た発電に寄与する有効面積も減少することか ら、出力が低下するおそれがある。

 ガス抜き孔2Aの個数は、ガス抜き孔2Aの形状 、大きさ、あるいは燃料電池セル2の平面形 等にもよるが、例えば燃料電池セル2の面積1 cm 2 以上15cm 2 以下につき1個程度となるようにすることが ましい。ガス抜き孔2Aの個数が1cm 2 未満につき1個程度であると、面積あたりの ス抜き孔2Aの個数が多すぎることとなり、燃 料の直接透過や発電に寄与する有効面積の減 少により出力が低下するおそれがあり、15cm 2 を超える面積につき1個程度であると、面積 たりのガス抜き孔2Aの個数が少なすぎること となり、ガス成分がアノード13側からカソー 16側へと十分に排出されないおそれがある

 このようにポンプ31が設けられると共に 燃料収容部4等にバランスバルブ39が設けら 、さらに燃料電池セル2にガス抜き孔2Aが設 られた燃料電池30については、ポンプ31から 料分配機構3への送液圧力が5kPa以上となっ いることが好ましい。ポンプ31から燃料分配 機構3への送液圧力が5kPa未満であると、燃料 配機構3、すなわち燃料分配板23Aの各細管25 各燃料排出口22に液体燃料が均一に供給さ ず、燃料電池セル2における発電反応が不均 となり、発電効率が低下するおそれがある また、ポンプ31から燃料分配機構3への送液 力が5kPa未満であると、液体燃料の送液量( 給量)自体も低下することから、出力が大幅 低下するおそれがある。

 ポンプ31から燃料分配機構3へのより好ま い送液圧力は、液体燃料を均一かつ十分に 料分配機構3、すなわち燃料分配板23Aの各細 管25や各燃料排出口22に供給する観点から10kPa 以上である。なお、ポンプ31から燃料分配機 3への送液圧力の上限は必ずしも制限される ものではないものの、この種のものに用いら れるポンプ31の送液圧力が一般に100kPa程度ま であることから、通常は100kPa程度である。

 ここで、ポンプ31から燃料分配機構3への 液圧力は、ポンプ31の燃料分配機構3側近傍 おいて測定されるものであり、例えばポン 31の燃料分配機構3側に接続される流路5中に 流量計を配置し、この流量計により測定され た流量から求めることができる。なお、上記 したようにポンプ31は必要に応じて運転と停 が繰り返し行われるが、このような場合に いては、実際にポンプ31が運転されている きのポンプ31から燃料分配機構3への送液圧 が上記したように5kPa以上となっていればよ 。

 ポンプ31から燃料分配機構3への送液圧力 5kPa以上とするには、上記したような燃料電 池セル2におけるガス抜き孔2Aの形状、大きさ 、個数等の調整の他、燃料分配機構3を構成 る燃料分配板23Aの各細管25や各燃料排出口22 孔径等の調整、燃料収容部4等に設けられる バランスバルブ39の開放時期(開放圧力)の調 、ポンプ31の送液能力の調整等により行うこ とができる。

 バランスバルブ39の開放時期の調整は、 のバルブ可動片40をシール部42へと押圧して るスプリング41の反発力を調整することで うことができ、例えば燃料収容部4等におけ 外圧と内圧との差が10Pa以上となったときに バルブ可動片40がシール部42から離れるよう 反発力に調整される。また、ポンプ31として は、それ自体の送液圧力が5kPa以上となるよ な送液能力を有するものである必要がある

 次に、第2の実施形態に関し、ポンプ31と ランスバルブ39とを設けると共に、燃料電 セル2にガス抜き孔2Aを設け、ポンプ31から燃 料分配機構3への送液圧力を5kPa以上としたも (実施例4)と、ポンプ31から燃料分配機構3へ 送液圧力を5kPa未満とした以外は実施例4と 様なもの(比較例2)とについて発電試験を行 たため説明する。

 実施例4の燃料電池30としては、以下のよ なものを作製した。アノードガス拡散層12 してのカーボンペーパー上にアノード触媒 11としてのPt-Ru系触媒層を塗布して10mm×80mmの アノード13を得ると共に、カソードガス拡散 15としてのカーボンペーパー上にカソード 媒層14としてのPtブラック触媒層を塗布して1 0mm×80mmのカソード16とし、これら一対の単セ を合計4組作製した。

 そして、電解質膜17としてのパーフルオロ ルホン酸膜の一方の主面に各単セルのアノ ド13をそのアノード触媒層11が電解質膜17に 触するように配置すると共に、パーフルオ スルホン酸膜の他方の主面に各単セルのカ ード16をそのカソード触媒層14が接触するよ に配置した。そして、これらのものを120℃ 5分間、100kg/cm 2 の圧力でホットプレス接合することにより、 40mm×80mmの接合体を得た。さらに、この接合 における各セルの面方向の中心部分にガス き孔2Aとして孔径0.2mmの積層方向に貫通する 通孔を1個ずつ形成して図16に示されるもの 略同様な燃料電池セル2を製造した。

 燃料電池セル2以外の燃料電池30の構成も 本的に図16に示されるようなものとし、バ ンスバルブ39を有する燃料収容部4と燃料分 機構3とがポンプ31を有する流路5を介して接 され、また燃料分配機構3の上に燃料電池セ ル2等を配置したものとした。なお、燃料分 機構3のみ、細管25を有する燃料分配板23Aの わりに、図1に示されるような空隙部24を有 る燃料分配板23とした。燃料分配板23におけ 燃料排出口22の配列は図2に示されるような のとし、それらの孔径は0.5mmとした。また ポンプ31としては、このような構成の燃料電 池30において、ポンプ31から燃料分配機構3へ 送液圧力が5kPa以上となるようなものを用い た。

 そして、燃料収容部4に液体燃料として90% 濃度のメタノールを注入し、ポンプ31を間欠 に運転させて燃料収容部4から燃料分配機構 3へとメタノールを供給して発電を行わせた なお、ポンプ31を運転させているときのポン プ31から燃料分配機構3への送液圧力は5kPa以 (平均30kPa)であった。実施例4の燃料電池30の 電試験の結果(発電時間と出力密度との関係 )を図17に示す。

 一方、比較例2の燃料電池30としては、ポ プ31として、このポンプ31から燃料分配機構 3への送液圧力が5kPa未満となるようなものを いた以外は実施例4の燃料電池30と同様なも を製造した。そして、実施例4の燃料電池30 同様、ポンプ31を間欠的に運転させて燃料 容部4から燃料分配機構3へとメタノールを供 給して発電を行わせた。なお、ポンプ31を運 させているときのポンプ31から燃料分配機 3への送液圧力は5kPa未満(平均3kPa)であった。 比較例2の燃料電池30の発電試験の結果(発電 間と出力密度との関係)を図17に合わせて示 。

 図17から明らかなように、実施例4の燃料 池30については、ポンプ31の間欠運転により わずかな周期的変動が見られるものの、出力 密度はほぼ一定に保たれていることが認めら れる。一方、比較例2の燃料電池30については 、実施例4の燃料電池30に比べて出力密度が全 体的に低く、また一時的に大幅に低下するこ とが認められる。

 比較例2の燃料電池30については、ポンプ3 1から燃料分配機構3への送液圧力が5kPa未満と 低いために、燃料分配機構3、すなわち燃料 配板23の燃料排出口22にメタノールが均一に 給されず、結果として燃料電池セル2におけ る発電反応が不均一となり、出力密度が全体 的に低下したものと推測される。また、比較 例2の燃料電池30については、送液圧力が低い ためにメタノールの供給量自体が不十分とな り、出力密度が一時的に大幅に低下したもの と推測される。

 次に、本発明の第3の実施形態による燃料 電池について、図18および図19を参照して説 する。図18に示す燃料電池50は、燃料流通溝 有する流路板と複数の燃料排出口を有する 散板とで構成された燃料分配機構3を具備し ている。燃料電池セル2は、例えば複数の単 ルを直列に接続したものであり、さらに燃 極側で生成する炭酸ガスや水蒸気等のガス 分をリリースするガス抜き孔を有していて よい。

 なお、図18では燃料電池セル(MEA)2の構成 省略して図示しているが、燃料電池セル2の 体的な構成は前述した第1および第2の実施 態と同様である。また、図18では燃料収容部 、流路、燃料供給ポンプ等の図示を省略した が、第3の実施形態の燃料電池50はこれら各要 素を具備しており、各要素の具体的な構成は 前述した第1および第2の実施形態の燃料電池1 、30と同様である。

 第3の実施形態による燃料分配機構3につ て詳述する。燃料分配機構3を構成する流路 51は、燃料通路として機能する燃料流通溝52 を有している。燃料流通溝52の始端部は燃料 入口21とされている。燃料流通溝52に設けら れた燃料注入口21は、前述した第1および第2 実施形態と同様に、図示を省略した流路を して燃料収容部と接続されている。また、 路には第1および第2の実施形態と同様に、必 要に応じて燃料供給ポンプや燃料遮断バルブ 等が設けられる。

 燃料流通溝52は少量の液体燃料を速やか 展開することが可能なように、燃料注入口21 の近傍で複数に分岐されている。分岐後の燃 料流通溝52は燃料分配機構3の面方向全体に液 体燃料を展開するように形成されている。燃 料流通溝52を有する流路板51上には、燃料流 溝52の開口部を覆うように拡散板53が配置さ ている。拡散板53は燃料流通溝52と接続する ように開口された複数の燃料排出口22を有し いる。燃料排出口22は燃料電池セル2の面方 に対して燃料を均一に供給し得るように形 されている。燃料排出口22の個数等は前述 た実施形態と同等とすることが好ましい。

 燃料電池セル2と燃料分配機構3との間に Oリング54等のシール部材が配置されており これにより燃料の漏洩等を防止すると共に 燃料電池セル2と燃料分配機構3との間に燃料 拡散空間55が形成されている。燃料拡散空間5 5は燃料排出口22から放出される燃料の拡散性 を高めるものである。さらに、拡散板53上に 料を面方向に展開させるシート状の多孔体5 6を配置することで、燃料排出口22から放出さ れる燃料を平面的に均一拡散させることがで きる。多孔体56の構成は前述した実施形態で べた通りである。燃料拡散空間55は前述し 第1および第2の実施形態に対しても有効であ る。

 流路板51と拡散板53とで構成された燃料分 配機構3には、前述した実施形態と同様に、 料収容部から流路やポンプを介して発電に 要な量の液体燃料が間欠的に送液される。 料注入口21から導入された液体燃料は、燃料 流通溝52内を通って流路板51の面方向に速や に展開される。そして、燃料流通溝52内を展 開した液体燃料は、拡散板53に設けられた複 の燃料排出口22を通して均一に拡散される 燃料の拡散状態はさらに燃料拡散空間55や多 孔体56で均一化される。従って、燃料電池セ 2の面方向に対して燃料を均一に供給するこ とができるため、燃料電池セル2の面内にお る発電反応の均一性を高めることが可能と る。

 図18および図19では流路板51と拡散板53と 構成された燃料分配機構3を示したが、流路 51は省いてもよい。すなわち、燃料電池セ 2が配置される容器の底面側に、容器との間 空隙が形成されるように拡散板53を配置し これらによって燃料分配機構3を構成するこ も可能である。この場合、容器と拡散板53 の間に導入された液体燃料は、空隙内を展 した後に拡散板53に設けられた複数の燃料排 出口22から燃料極に向けて放出される。ただ 、この場合には液体燃料の面方向への拡散 濃度分布が生じる傾向がある。このため、 料の展開方向(拡散方向)を流路板51で方向付 けして、燃料の均一拡散性を高めることが好 ましい。

 第3の実施形態の具体例(実施例5)として、図 18および図19に構成を示した燃料電池50を作製 した。まず、カーボンペーパー上にPt-Ru系触 層(10mm×60mm)を塗布して形成した燃料極と、 ーボンペーパー上にPtブラック触媒層(10mm×6 0mm)を塗布して形成した酸化剤極とで単セル 構成した。4組の単セルの触媒層が電解質膜 接するように、パーフルオロスルホン酸膜 らなる電解質膜を挟持した。これらを120℃ 5分間の条件下で、100kg/cm 2 の圧力でホットプレス接合してMEAを作製した 。さらに、各セルの中央部に孔径0.2mmの貫通 を形成した。

 上記したMEA2を図18および図19に示したよう 、流路板51と拡散板53とで構成された燃料分 機構3と組合せて容器内に組み込み、さらに シール部を介して発電ユニットを作製した。 拡散板53には厚さ0.1mmのカプトンフィルムを い、図19に示したような配列で孔径1mmの燃料 排出口22を形成した。流路板51には燃料注入 向からセルの長手方向に沿って深さ1mmの燃 流通溝52を形成した。さらに、拡散板53上に さ0.1mm、孔径0.1μmのPTFE製多孔質シート56を 置した。発電ユニットと燃料収容部とを燃 供給ポンプを介して接続することによって 反応面積が24cm 2 の燃料電池を作製した。この燃料電池に液体 燃料としてメタノールをポンプで間欠的に供 給して発電を行った。酸化剤ガスは自発的に 取り込む空気を使用した。

 第3の実施形態の第2の具体例(実施例6)とし 、流路板51と多孔質シート56を使用しない以 は実施例5と同様な構成を有し、かつ反応面 積が24cm 2 の燃料電池を作製した。すなわち、拡散板53 容器の底部側に配置し、拡散板53と容器と 間に燃料拡散室を設けたものである。この 料電池に液体燃料としてメタノールをポン で間欠的に供給して発電を行った。酸化剤 スは自発的に取り込む空気を使用した。

 また、第2の実施形態の具体例(実施例7)とし て、図3および図4に示した燃料分配板23Aを燃 分配機構3として用いる以外は実施例5と同 な構成を有し、かつ反応面積が24cm 2 の燃料電池を作製した。燃料分配板23Aは燃料 注入口22と複数の燃料排出口23とが細管25で接 続されている。MEA2と燃料分配板23Aとの間に 図18と同様に燃料拡散空間を設けた。この燃 料電池に液体燃料としてメタノールをポンプ で間欠的に供給して発電を行った。酸化剤ガ スは自発的に取り込む空気を使用した。

 さらに、本発明との比較例(比較例3)として 拡散板53に代えてシリコーンゴムシートを いる以外は実施例6と同様な構成を有し、か 反応面積が24cm 2 の燃料電池を作製した。拡散板53に代えて用 たシリコーンゴムシートは、それ自体のメ ノール透過性に基づいて燃料を拡散させる のである。この燃料電池に液体燃料として タノールをポンプで間欠的に供給して発電 行った。酸化剤ガスは自発的に取り込む空 を使用した。

 上述した実施例5~7および比較例3による各 燃料電池の時間-出力密度特性を図20に示す。 図20から明らかなように、実施例6ではポンプ の間欠運転による出力密度の周期的な変動が 見られるが、出力のレベルはほぼ一定に保た れている。流路構造を導入した実施例5は燃 拡散の均質性に優れるため、出力密度の周 的変動も小さく、経時的に安定な出力特性 得られている。実施例7はさらに出力自体も 上している。一方、比較例3では燃料が供給 される空間に、発電に伴って発生する水蒸気 の透過が生じ、燃料濃度が低下するために徐 々に出力密度が低下し、安定した経時特性が 得られていない。

 上述した各実施形態の燃料電池1、30、50 各種の液体燃料を使用した場合に効果を発 し、液体燃料の種類や濃度は限定されるも ではない。複数の燃料排出口22を有する燃料 分配機構3の特徴がより顕在化するのは燃料 度が濃い場合である。このため、各実施形 の燃料電池1、30、50は、濃度が80%以上のメタ ノールを液体燃料として用いた場合に性能や 効果が特に発揮される。従って、各実施形態 は濃度が80%以上のメタノールを液体燃料とし て用いた燃料電池に適用することが好ましい 。

 なお、本発明は液体燃料を使用した各種 燃料電池に適用することができる。燃料電 の具体的な構成や燃料の供給形態等も特に 定されるものではなく、MEAに供給される燃 の全てが液体燃料の蒸気、全てが液体燃料 または一部が液体状態で供給される液体燃 の蒸気等、種々形態に本発明を適用するこ ができる。実施段階では本発明の技術的思 を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具 化することができる。さらに、上記実施形 に示される複数の構成要素を適宜に組合せ り、また実施形態に示される全構成要素か 幾つかの構成要素を削除する等、種々の変 が可能である。本発明の実施形態は本発明 技術的思想の範囲内で拡張もしくは変更す ことができ、この拡張、変更した実施形態 本発明の技術的範囲に含まれるものである

 本発明の態様にかかる燃料電池は、燃料 池セルの燃料極側に燃料を分配して供給す 燃料分配機構を有している。このため、本 明の態様にかかる燃料電池燃料によれば、 池セルに対する燃料の供給状態を均一化し 発電反応の効率化により出力を向上させる とができる。