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Title:
FUEL INJECTION DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/016885
Kind Code:
A1
Abstract:
A fuel injection device has a heater formed by arranging heat generation elements that are arranged along a fuel flow path in a nozzle body so as to be in contact with the fuel flow path. Generation and non-generation of heat by the heat generation elements, which form the heater, can be controlled for each heat generation element. Depending on operating conditions of an internal combustion engine, the heater heats fuel in the fuel flow path from its downstream side, which is near an orifice, by a volume equivalent to the amount of fuel injected next time. Only a required amount of fuel can be heated and injected.

Inventors:
YAMAGUCHI RYUTA
KANEKO HIROYUKI
KIRITANI NORIHIKO
FUKUMOTO TAKAFUMI
OSHIHARA KENZO
Application Number:
PCT/JP2008/060137
Publication Date:
February 05, 2009
Filing Date:
June 02, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NISSAN MOTOR (JP)
YAMAGUCHI RYUTA
KANEKO HIROYUKI
KIRITANI NORIHIKO
FUKUMOTO TAKAFUMI
OSHIHARA KENZO
International Classes:
F02M53/06; F02M31/125; F02M51/06; F02M53/04
Foreign References:
JP2006046229A2006-02-16
JP2003314402A2003-11-06
JP2004360645A2004-12-24
JPH04292571A1992-10-16
JPS6038158U1985-03-16
JP2006183657A2006-07-13
JP2000508042A2000-06-27
JP2002161827A2002-06-07
JP2000249005A2000-09-12
JP2000073887A2000-03-07
JP2004316520A2004-11-11
Attorney, Agent or Firm:
MIYOSHI, Hidekazu et al. (2-8 Toranomon 1-chome,Minato-k, Tokyo 01, JP)
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Claims:
 内燃機関に燃料を噴射する燃料噴射装置において、
 先端に燃料噴射孔を有するノズルと、
 前記燃料噴射孔と繋がるように前記ノズル内部に形成された燃料流路と、
 前記燃料流路に近接して配置され、前記内燃機関の運転状態に応じて動作制御されて前記燃料流路内の燃料を加熱するヒータとを備え、
 前記ヒータは、次回の燃料噴射時に噴射される燃料のみを加熱することを特徴とする燃料噴射装置。
 前記燃料流路の上流側から下流側に亘る位置に応じて、前記燃料流路内の前記燃料が温度分布を持つように、前記ヒータの動作が制御されることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射装置。
 前記ヒータは、発熱状態を個別に切替え可能な複数の発熱要素が前記燃料流路の上流側から下流側に亘って並ぶように配置されてなることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射装置。
 前記ヒータにより加熱する燃料の体積が、前記内燃機関の性能に応じて定められる1回あたりの燃料噴射量の最小値から最大値までの間の任意の体積に合わせて可変とされていることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射装置。
 前記ヒータは、次回の燃料噴射時に噴射される燃料を噴射直前に加熱することを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射装置。
 前記燃料流路内の燃料の圧力を検知する圧力検知手段を有し、
 前記圧力検知手段で検知される圧力が前記燃料の臨界圧力未満の場合には、前記ヒータの温度の最大値が前記燃料の飽和温度以下となるように前記ヒータの動作が制御されるとともに、前記圧力検知手段で検知される圧力が前記燃料の臨界圧力以上の場合には、前記ヒータの温度の最大値が前記燃料の擬臨界温度以下となるように前記ヒータの動作が制御されることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射装置。
 前記燃料流路内の燃料の圧力を検知する圧力検知手段を有し、
 前記圧力検知手段により前記燃料の所定値以上の圧力変動が検知された場合に、次回以降の燃料噴射時における前記ヒータの温度の最大値が、今回の燃料噴射時における前記ヒータの温度の最大値よりも低くなるように、前記ヒータの動作が制御されることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射装置。
 前記燃料流路内の燃料の圧力を検知する圧力検知手段を有し、
 前記圧力検知手段により前記燃料の所定値以上の圧力変動が検知された場合に、次回以降の燃料噴射時における前記燃料の温度上昇速度が、今回の燃料噴射時における前記燃料の温度上昇速度よりも低くなるように、前記ヒータの動作が制御されることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射装置。
 前記燃料流路内の燃料の圧力を検知する圧力検知手段を有し、
 前記圧力検知手段により前記燃料の所定値以上の圧力変動が検知された場合に、次回以降の燃料噴射時に噴射される燃料が、今回の燃料噴射時に噴射された燃料よりも高い圧力となるように加圧されることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射装置。
 前記ヒータは、次回の燃料噴射時に噴射される燃料を臨界温度以上に加熱することを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射装置。
 前記燃料流路内の燃料が臨界圧力以上に加圧されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射装置。
 前記ヒータは、前記ノズルの前記燃料流路と接する内周面に設置されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射装置。
 前記ヒータと前記ノズル内周面との間に電気的絶縁性を有する断熱部材が配置されていることを特徴とする請求項12に記載の燃料噴射装置。
 前記ノズル内部に前記燃料噴射孔を開閉するプランジャーロッドが設けられて、当該プランジャーロッドの外周面と前記ノズルの内周面との間に前記燃料流路が形成されており、
 前記ヒータは、前記プランジャーロッドの前記燃料流路と接する外周面に設置されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射装置。
 前記ヒータと前記プランジャーロッド外周面との間に電気的絶縁性を有する断熱部材が配置されていることを特徴とする請求項14に記載の燃料噴射装置。
 前記燃料流路と前記ヒータとの間に、前記燃料流路内の燃料の化学反応を促進する触媒が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射装置。
 前記ヒータは、負の温度特性を有する材質からなる発熱要素が前記燃料流路の上流側から下流側に亘って異なる厚みで形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射装置。
Description:
燃料噴射装置

 本発明は、内燃機関に燃料を噴射する燃 噴射装置に関するものである。

 従来、燃料を高温高圧の状態で内燃機関に 射することで、燃料の微粒化および気化を 進し、燃焼を効率よく行えるようにした燃 噴射装置が提案されている。例えば、特許 献1には、油圧室が設けられた燃料油ケーシ ングをノズルボディの内部に収納し、この燃 料油ケーシング内の油圧室に供給された高圧 の燃料を、油圧室を取り囲むように配置され たヒータにより加熱して、高温の超臨界状態 としてノズルボディ先端の燃料噴射孔から噴 射する燃料噴射装置が開示されている。

特開平10-141170号公報

 しかしながら、特許文献1にて開示される 燃料噴射装置は、毎回の噴射に必要な量の燃 料だけでなく、油圧室内に供給された燃料の 全てを一律に加熱する構成となっている。こ のため、例えば加速時などでは、噴射する燃 料を所望の温度にまで瞬時に加熱することが できないので、加熱した燃料と加熱しない燃 料とを瞬時に切替えながら噴射することが望 まれる場合に対応できないといった問題があ る。

 本発明は、以上のような従来技術の有す 問題点を解消すべく創案されたものであっ 、内燃機関の運転状態に応じて、必要量だ 燃料を加熱し噴射できる燃料噴射装置を提 することを目的としている。

 本発明に係る燃料噴射装置は、内燃機関 燃料を噴射するものであり、先端に燃料噴 孔を有するノズルと、燃料噴射孔と繋がる うにノズル内部に形成された燃料流路と、 料流路に近接して配置され、内燃機関の運 状態に応じて動作制御されて燃料流路内の 料を加熱するヒータとを備える。そして、 ータが、次回の燃料噴射時に噴射される燃 のみを加熱する構成とされている。

 本発明に係る燃料噴射装置によれば、内 機関の運転状態に応じて、次回の燃料噴射 に噴射される燃料のみを加熱し噴射できる で、加熱した燃料の噴射と加熱しない燃料 噴射とを、内燃機関の運転状態に応じて瞬 に切替えながら行うことができる。

第1の実施形態の燃料噴射装置を示す縦 断面図である。 図1におけるA部を拡大して示す図であ 、非噴射時のオリフィス近傍の様子を示す 大断面図である。 図1におけるA部を拡大して示す図であ 、燃料噴射時のオリフィス近傍の様子を示 拡大断面図である。 第2の実施形態の燃料噴射装置を示す縦 断面図である。 図3の燃料噴射装置におけるプランジ ロッドを拡大して示す図であり、水平方向 おける断面図である。 図3の燃料噴射装置におけるプランジ ロッドを拡大して示す図であり、図3におけ B-B’線に沿って拡大して示した図である。 第2の実施形態の燃料噴射装置の変形例 を示す縦断面図である。 第3の実施形態の燃料噴射装置における 燃料流路近傍をC-C’線に沿って拡大して示す 縦断面図である。 第4の実施形態の燃料噴射装置を示す縦 断面図である。 NTC特性を持つ材質で形成したヒータの 徴を説明する図であり、当該ヒータを模式 に示した図である。 NTC特性を持つ材質で形成したヒータの 徴を説明する図であり、ヒータに通電する 流の大きさとヒータの温度分布との関係を す図である。 ある温度で急激に電気抵抗が低下する NTC特性を持つ材質を用いて形成したヒータの 特徴を説明する図であり、ヒータに通電する 電流の大きさとヒータの温度分布、すなわち ヒータにより加熱される燃料流路内の燃料の 温度分布との関係を示す図である。 流体(燃料)の状態と温度および圧力と 関係を示す図であり、擬臨界温度を説明す 図である。 第5の実施形態の燃料噴射装置を示す 断面図である。

符号の説明

 2 オリフィス(燃料噴射孔)
 3 ノズルボディ
 4 ヨーク
 5 プランジャロッド
 6 コア
 8 開弁コイル
 9 保持コイル
 10 スプリング
 12 燃料流路
 13 ヒータ
 15 絶縁膜
 21 ヒータ
 22 絶縁膜
 31 触媒層
 41 ヒータ
 42 絶縁膜
 51 圧力検知手段
 52 温度検知手段

 以下、本発明を適用した燃料噴射装置の 体例について、図面を参照しながら詳細に 明する。以下で説明する燃料噴射装置は、 動車等における内燃機関の燃焼室に燃料を 射するものであり、特に、油圧室内に供給 れた燃料を必要な分だけ効率よく加熱する 能を持たせたものである。

 [第1の実施形態]
 図1は、本発明を適用した燃料噴射装置の一 例(第1の実施形態)を示す断面図である。この 図1に示す燃料噴射装置は、先端にオリフィ (燃料噴射孔)2を有する円筒状のノズルボデ 3と、このノズルボディ3の基端側に連結され たヨーク4と、ノズルボディ3の内部に移動可 に挿通されたプランジャロッド5と、プラン ジャロッド5の基端側に位置してヨーク4内に 着された円筒状のコア6とを備える。

 コア6の外周側には、コイルボビン7に保 された状態で、開弁コイル8及び保持コイル9 が巻装されている。また、コア6の内周側に スプリング10が配設されており、このスプリ ング10がプランジャロッド5のアンカ5aに当接 てプランジャロッド5をノズルボディ3の先 側へと付勢している。このスプリング10によ る付勢力は、スプリングアジャスタ11によっ 調整されている。

 この燃料噴射装置は、コア6の基端側(図1 の上方)の端部が図示しない燃料供給配管に 接続される。そして、図示しない燃料ポンプ によって加圧された燃料がこの燃料供給配管 を通して燃料噴射装置に供給される。

 燃料噴射装置に供給された燃料は、コア6 内部の空間やこれに連通するノズルボディ3 部の空間を経由して、ノズルボディ3先端の リフィス2へと導かれる。つまり、燃料噴射 装置では、これらコア6内部やノズルボディ3 部の空間が、加圧された燃料が流れる燃料 路12とされている。そして、特に本実施形 の燃料噴射装置では、ノズルボディ3内部に 成された燃料流路12に接するようにして、 該燃料流路12内の燃料を加熱するヒータ13が ノズルボディ3の内周面に設置されている。

 このような構成の燃料噴射装置は、非噴 時においては、プランジャロッド5がスプリ ング10によりノズルボディ3の先端側に付勢さ れ、図2Aに示すように、このプランジャロッ 5の先端部がノズルボディ3の先端内周面に 接することで、ノズルボディ3の先端に設け れたオリフィス2を閉塞している。したがっ て、燃料流路12内の加圧された燃料は、これ プランジャロッド5とノズルボディ3の接触 分で遮断され、オリフィス2から燃料噴射装 の外部に噴射されることはない。なお、図2 Aは図1におけるA部を拡大して示した図である 。

 ここで、開弁コイル8に通電が行われると 、電磁力の作用によりプランジャロッド5が プリング10の付勢力に抗してコア6側へと移 し、フランジ5bがストッパ14に当接するまで ランジャロッド5が引き上げられる。これに より、図2Bに示すように、プランジャロッド5 の先端部がノズルボディ3の先端内周面から 間してオリフィス2が開放された状態となり 燃料流路12内の加圧された燃料がオリフィ 2を通って燃料噴射装置の外部に噴射される また、プランジャロッド5が引き上げられた 状態で保持コイル9に通電すると、その後、 弁コイル8への通電を停止しても、プランジ ロッド5は引き上げられた状態を維持する。 このため、オリフィス2が開放されたままと り、オリフィス2からの燃料の噴射が継続さ る。

 保持コイル9への通電を停止すると、プラ ンジャロッド5はスプリング10の付勢力により ノズルボディ3の先端側へと押し戻される。 して、プランジャロッド5の先端部がノズル ディ3の先端内周面に当接してオリフィス2 閉塞することで、燃料の噴射が停止される

 以上のように、燃料噴射装置では、開弁 イル8及び保持コイル9への通電制御によっ 、燃料の噴射・非噴射が制御される。また 保持コイル9への通電時間を変えることによ 、噴射時間を制御することが可能である。 射時間はほぼ噴射量に比例するため、保持 イル9への通電時間を制御することで燃料噴 射装置からの1回あたりの噴射量が制御され 。例えば、自動車の加速時などは内燃機関 大量の燃料を噴射する必要があるので、そ 場合は保持コイル9への通電時間を長くする また、自動車が停止状態(アイドリング時) ときは、内燃機関へは少量の燃料が供給さ るため、その場合は保持コイル9への通電時 を短くしている。

 内燃機関へ供給される燃料の量は、図示 ないECU(Engine Control Unit)によって判断され 。ECUは内燃機関の内外に取り付けてある各 のセンサからの情報をもとに内燃機関の運 状態を判断し、その状態に応じて内燃機関 必要とする燃料の量を判断し、それによっ 燃料噴射装置の保持コイル9への通電時間を 定している。また、特に本実施形態の燃料 射装置では、ノズルボディ3の内周面に設置 されたヒータ13で燃料流路12内の燃料を加熱 る構成とされており、このヒータ13の動作が 、燃料噴射量の制御(つまり保持コイル9への 電制御)と合わせて、内燃機関の運転状態に 応じてECUにより制御されることによって、噴 射する燃料を必要な分だけ効率よく加熱でき るようにしている。以下、本実施形態の燃料 噴射装置において特徴的な部分であるヒータ 13の構成及び動作の詳細について、具体例を げながらさらに詳しく説明する。

 ヒータ13は、上述したように、ノズルボ ィ3内部の燃料流路12に接するようにノズル ディ3の内周面に設置され、当該燃料流路12 上流側から下流側に亘る位置にかけて、当 燃料流路12内の燃料が温度分布を持つように 、当該燃料流路12内の燃料を加熱できるよう 構成されている。具体的には、ヒータ13は 発熱状態を個別に切替え可能な複数の発熱 素が、ノズルボディ3内部の燃料流路12の上 側から下流側に亘って並ぶように配置され 構成とされている。ヒータ13の各発熱要素は 、個別の配線によって電力供給源と接続され 、各配線中にそれぞれスイッチが設けられる 。そして、内燃機関の運転状態に応じて各ス イッチのオン/オフがECUによって制御される とで、ヒータ13を構成する複数の発熱要素の 加熱/非加熱を個別に切り替えることが可能 されており、これにより、燃料流路12内の燃 料を上流側と下流側との間の位置に応じて温 度分布を持つように加熱できるようにしてい る。

 ヒータ13の各発熱要素は、例えばNiやCuな の金属のメッキ等により形成され、それぞ 図示しない配線によって電力供給源に接続 れる。ここで、ヒータ13の各発熱要素は配 よりも高い抵抗値を持つ必要があるが、各 熱要素を金属メッキで形成する場合はメッ の膜厚を薄くすることで抵抗値が高くなる で、これを利用すればよい。

 また、ヒータ13の各発熱要素及び配線以 の部分に電気が漏電することを防ぐため、 れらの周囲には絶縁構造が必要である。本 施形態の燃料噴射装置のようにノズルボデ 3内周面にヒータ13を設置する場合は、例え 、セラミックなどを用いた絶縁膜15をノズル ボディ3内周面に形成し、その上に、前述の 属メッキによりヒータ13の各発熱要素を形成 するようにすればよい。これにより、ヒータ 13の各発熱要素とノズルボディ3はセラミック の絶縁膜15により電気的に絶縁される。しか 、一般にセラミックは熱伝導度が低いため セラミックの絶縁膜15を介装することでヒ タ13の発熱要素からノズルボディ3に熱が伝 り難くなるので、断熱構造も併せて実現で る。また、セラミックの絶縁膜15に凹部を形 成してこの凹部内にヒータ13の各発熱要素を め込み形成するようにすれば、隣接する発 要素間の電気的絶縁性及び断熱性も確保さ る。さらに、ヒータ13の発熱要素が直接燃 に触れて、燃料への漏電が問題になる場合 は、各発熱要素の表面を酸化させる、ある は各発熱要素の表面に薄い絶縁膜を形成す などの対策を行うことで、燃料への漏電を ぐことが可能である。なお、ヒータ13を構成 する各発熱要素の1つ1つの形状は、円筒状の ズルボディ3の内周面を全て覆うようなリン グ形状とされていることが望ましい。

 以上のような複数の発熱要素を並べた構 のヒータ13は、上述したプランジャロッド5 先端部とノズルボディ3の先端内周面との接 触位置、すなわちノズルボディ3の先端に設 られたオリフィス2の近傍の位置までをカバ するように配置されていることが望ましい 燃料噴射装置では、上述したように開弁コ ル8への通電によりプランジャロッド5がコ 6側に引き上げられるとオリフィス2が開放さ れ、ノズルボディ3内部の燃料流路12内の燃料 のうちでオリフィス2近傍に位置するものか 噴射されることになるので、ヒータ13をオリ フィス2近傍位置までカバーするように配置 て、オリフィス2近傍の燃料を加熱できる構 (つまり、次回に絶対に噴射される燃料を加 熱できる構造)としておけば、燃料噴射装置 次回に噴射する燃料を確実に加熱すること 可能であり、燃料流路12の上流側(図1中の上 向)の燃料を加熱しなくとも、次回に噴射す るだけの燃料を加熱することが可能である。

 また、例えば自動車の加速時など、内燃 関に多量の燃料を噴射することが求められ 場合は、噴射する燃料の体積に合わせて発 させる発熱要素の数を増やすことで、次回 噴射する燃料が増加してもこれに対応可能 ある。逆に、内燃機関に噴射する燃料が少 の場合には、最下流部の発熱要素のみを発 させるようにすればよい。このように、本 施形態の燃料噴射装置では、個別に発熱状 を切替可能な複数の発熱要素でヒータ13を 成することにより、次回噴射する燃料の体 に合わせて加熱する燃料の体積を可変にし 燃料流路12内の燃料を効率よく加熱すること を可能にしている。

 ところで、燃料噴射装置の1回あたりの燃 料噴射量の最小値と最大値(最小噴射量と最 噴射量)は、内燃機関の性能によって予め定 られている。燃料噴射装置の最小噴射量は 内燃機関を回し続けるのに最低限供給され 燃料の量のことである。自動車のアイドリ グ状態がこの状態に当たる。また、燃料噴 装置の最大噴射量は、この量以上の燃料を 射しても内燃機関の出力が上がらない、或 は、出力が上がったとしても燃焼が不適正 状態となる、或いは、内燃機関がこれ以上 出力になると損傷を受ける可能性が高くな などの理由で決まっている。自動車の最大 速時つまりフルスロットル(または、WOT=ワ ドオープンスロットル)状態がこの状態に当 る。

 本実施形態の燃料噴射装置では、ヒータ1 3により加熱する燃料の体積が、内燃機関の 能に応じて定められる最小噴射量と最大噴 量との間の任意の体積に可変とされている 具体的には、ヒータ13を構成する全ての発熱 要素を発熱させたときに加熱される燃料の体 積が燃料噴射装置の最大噴射量と同程度とさ れ、燃料流路12の最下流に位置する(オリフィ ス2に最も近い)発熱要素のみを発熱させたと に加熱される燃料の体積が最小噴射量と同 度とされている。そして、ヒータ13を構成 る複数の発熱要素のうち、発熱させる発熱 素の数(燃料流路12の最下流から何番目まで 発熱要素を発熱させるか)を切り替えること よって、燃料噴射装置の最小噴射量と最大 射量との間の任意の体積の燃料を、ヒータ1 3によって加熱できる構成とされている。こ により、内燃機関の運転状態に応じてどの の燃料を噴射するにしても、噴射する燃料 ヒータ13で効率よく且つ確実に加熱すること が可能になる。

 本実施形態の燃料噴射装置において、ヒ タ13が燃料を加熱するタイミングは、噴射 前、すなわち開弁コイル8が通電されてプラ ジャロッド5が引き上げられる直前とするこ とが望ましい。熱は高温部から低温部に拡散 していくため、加熱のやり方によっては、燃 料以外の部品を加熱してしまい燃料噴射装置 の信頼性低下を招く要因となることも考えら れる。ここで、ヒータ13による燃料の加熱を 射直前に行うようにすれば、加熱によって 温になった燃料は噴射によって燃料噴射装 の外部に出され、しかもそれと同時に燃料 路12の上流側から加熱されていない(ほぼ室 の)燃料が加熱部(つまりヒータ13の近傍位置 )に供給されて加熱部を冷却してくれる。こ により、燃料加熱に起因した燃料噴射装置 信頼性低下の問題を未然に回避することが 能となる。

 また、本実施形態の燃料噴射装置におい 、ヒータ13により加熱される燃料流路12内の 燃料は、臨界圧力以上に加圧されていること が望ましい。ヒータ13の加熱により燃料の温 は急激に上昇するため、燃料の圧力によっ は加熱時に沸騰することも予想される。燃 の沸騰が起きると、燃料の密度や熱伝導度 比熱などが急激に変化するため、場合によ てはヒータ13の熱が燃料に所望の速度で伝 ることがなくなり、ヒータ13が過度に高温に なってしまうこともあり得る。これはヒータ 13の耐久性にとって好ましいことではない。 た、沸騰によって密度が急激に変化すると れが圧力波となって、燃料流路12内の部品( えばヒータ13など)に物理的なダメージを与 ることがある。また、沸騰が同じ場所で何 も繰り返し起こる場合は、燃料中に溶けて た成分がその場所に析出してしまい、場合 よっては燃料流路12が詰まってしまうこと 予想される。そのため、加熱中の沸騰は出 る限り避けた方が望ましい。ヒータ13により 加熱される燃料流路12内の燃料を臨界圧力以 に加圧しておけば、燃料は沸騰することが くなるので上述の問題を有効に回避するこ が可能となる。

 本実施形態の燃料噴射装置では、上述し ように、次回に噴射される量だけの燃料を 必要に応じて(つまり内燃機関の運転状態に 応じて)ヒータ13により加熱して噴射するが、 噴射された燃料は、温度が沸点を超えていれ ば液相から気相へと相変化する。その結果、 気相の燃料は膨張することによって温度が低 下する。そして、温度が低下すると、燃料が 完全に気相にならない(気液が混在する)状態 空気と混合することになる。内燃機関の運 状態によっては、完全に気化した状態で空 と混合することが望ましいこともあり得る 例えば、なるべく早く空気と混合したい場 は、液相の燃料が残っていると液相の燃料 蒸発して気相になる時間の分だけ、空気と 合する時間が遅くなる。このような観点か 、本実施形態の燃料噴射装置では、ヒータ1 3により燃料流路12内の燃料を臨界温度以上に まで加熱して、たとえ気相の燃料が膨張した としても、十分な温度が保てるようにするこ とも有効である。ここで言う十分な温度とは 、噴射した燃料が全て気相になるような温度 のことであり、燃料を燃料噴射装置内で臨界 温度以上に加熱することで実現される。

 以上、具体的な例を挙げながら詳細に説 したように、本実施形態の燃料噴射装置に れば、ノズルボディ3内に形成された燃料流 路12に接するように、この燃料流路12に沿っ 複数の発熱要素を並べたヒータ13を配置して いるので、燃料流路12内の必要な燃料分だけ 加熱されるようにヒータ13から与えられる 量を制御するので、ヒータ13の発熱量を必要 最小限とすることができ、加熱した燃料の噴 射と加熱しない燃料の噴射とを、内燃機関の 運転状態に応じて瞬時に切替えながら行うこ とができる。

 また、本実施形態の燃料噴射装置では、 ズルボディ3内に形成された燃料流路12内の 料を必要な分だけ、つまり次回噴射する燃 のみをヒータ13により加熱するので、燃料 急速に昇温することが可能であり、内燃機 の始動直後などにおいても所望の温度に加 した燃料を噴射することができ、また、余 な燃料を加熱することなく、加熱によって 費される電力を低減することが可能である さらに、内燃機関の運転状態に応じて、加 した燃料の噴射と加熱しない燃料の噴射と 瞬時に切替えながら行うことも可能である

 また、本実施形態の燃料噴射装置によれ 、次回に噴射する燃料を噴射直前にヒータ1 3によって加熱する構成としているので、加 によって生じた熱が燃料以外の部品に拡散 ていくことを防止でき(熱は時間の経過とと に高温部から低温部へ拡散して行く。この 象は、不可逆変化であり一度拡散した熱を の場所に集中させることは不可能である。 まり、熱は必要な瞬間に必要な量だけ供給 ることが望ましい。)、拡散した熱によって 部品が熱膨張を起こして燃料漏れを起こすな どの問題を有効に回避して信頼性低下を防ぐ ことが可能になる。

 また、本実施形態の燃料噴射装置によれ 、ヒータ13を構成する各発熱要素とノズル ディ3内周面との間にセラミックなどの絶縁 15を設け、このセラミックなどの絶縁膜15に より電気的絶縁性とともに断熱性も確保して いるので、ヒータ13の発熱要素が発熱した際 ノズルボディ3への熱の拡散を低減すること が可能になり、オリフィス2近傍のシール性 低下による燃料漏れなどの問題を有効に回 して、信頼性低下を防ぐことが可能である また、ヒータ13の発熱要素からの熱がノズル ボディ3へ逃げないということは、燃料へ伝 る熱が増加することになるので、加熱によ 消費される電力の削減にもつながる。

 また、本実施形態の燃料噴射装置では、 料流路12内の燃料を臨界圧力以上に加圧し おくことにより、ヒータ13の加熱による燃料 の沸騰を防ぐことが可能になり、安定した加 熱が可能になる。さらに、本実施形態の燃料 噴射装置では、燃料を燃料噴射装置内で臨界 温度以上に加熱することによって、噴射後の 気相から液相への相変化を防ぐことが可能と なり、安定した燃料噴射を実現することが可 能となる。

 [第2の実施形態]
 図3は、本発明を適用した燃料噴射装置の他 の例(第2の実施形態)を示す断面図である。こ の図3に示す第2の実施形態の燃料噴射装置は 燃料を加熱するヒータの設置位置が上述し 第1の実施形態(図1参照)と異なるものである 。それ以外の構成及び動作は第1の実施形態 同様であるので、以下、第1の実施形態と同 の部分については同一の符号を付して説明 省略し、本実施形態に特徴的な部分につい のみ説明する。

 上述した第1の実施形態では、ノズルボデ ィ3の内周面に発熱状態を個別に切替え可能 複数の発熱要素を並べて燃料流路12内の燃料 を加熱するヒータ13として構成したが、本実 形態では、プランジャロッド5の外周面に発 熱状態を個別に切替え可能な複数の発熱要素 を並べて、燃料流路12内の燃料を加熱するヒ タ21としている。ヒータ21の構成は、プラン ジャロッド5の外周面に配置されている以外 、上述した第1の実施形態と同様である。す わち、例えばNiやCuなどの金属のメッキ等に より形成された複数の発熱要素が、ノズルボ ディ3内部の燃料流路12の上流側から下流側に 亘って並ぶように配置され、各発熱要素が個 別の配線によって電力供給源と接続され、各 配線中にそれぞれスイッチが設けられる。そ して、内燃機関の運転状態に応じて各スイッ チのオン/オフがECUによって制御されること 、ヒータ21を構成する複数の発熱要素の加熱 /非加熱を個別に切り替えることが可能とさ ており、これにより、燃料流路12内の燃料を 上流側と下流側との間の位置に応じて温度分 布を持つように加熱できるようにしている。

 また、ヒータ21の各発熱要素及び配線以 の部分に電気が漏電することを防ぐため、 ランジャロッド3の外周面上には、図4A,図4B 示すように、第1の実施形態と同様にセラミ クなどの絶縁膜22が形成され、その上に、 述の金属メッキによりヒータ21の各発熱要素 が形成されている。これにより、ヒータ21の 発熱要素とプランジャロッド3は絶縁膜22に り電気的に絶縁される。しかも、一般にセ ミックは熱伝導度が低いため、セラミック 絶縁膜22を介装することでヒータ21の発熱要 素からプランジャロッド5に熱が伝わり難く るので、断熱構造も併せて実現できる。ま 、セラミックの絶縁膜22に凹部を形成してこ の凹部内にヒータ21の各発熱要素を埋め込み 成するようにすれば、隣接する発熱要素間 電気的絶縁性及び断熱性も確保される。さ に、ヒータ21の発熱要素が直接燃料に触れ 、燃料への漏電が問題になる場合には、第1 実施形態と同様に、各発熱要素の表面を酸 させる、あるいは各発熱要素の表面に薄い 縁膜を形成するなどの対策を行うことで、 料への漏電を防ぐことが可能である。なお ヒータ21を構成する各発熱要素の1つ1つの形 状は、プランジャロッド5の外周面を全て覆 ようなリング形状とされていることが望ま い。

 本実施形態の燃料噴射装置は、以上のよ に、燃料流路12内の燃料を温度分布を持つ うに加熱可能なヒータ21を備えているので、 上述した第1の実施形態と同様に、内燃機関 運転状態に応じて、燃料流路12内の燃料を必 要な分だけ効率よく加熱することができ、第 1の実施形態と同様の効果が得られる。

 また、特に本実施形態の燃料噴射装置は プランジャロッド5の外周面にヒータ21を配 するようにしているので、第1の実施形態に 比べて製造が容易となるといった利点を有す る。すなわち、第1の実施形態のようにノズ ボディ3側にヒータ13を配置するには、円筒 のノズルボディ3の内周面に発熱要素を形成 る必要があるため、製造上の難しさが存在 る。これに対して、本実施形態のようにプ ンジャロッド5側にヒータ21を配置する構成 すれば、円柱状のプランジャロッド5の外周 面に発熱要素を形成すればよく、ノズルボデ ィ3内周面に発熱要素を形成する場合に比べ 、製造上の難しさは大幅に低減される。た し、プランジャロッド5は上述したように開 コイル8や保持コイル9の通電、非通電の切 えによって高速に移動する可動部材である め、信頼性の観点からは、第1の実施形態の うに、固定部材であるノズルボディ3側にヒ ータ13を設置する構成の方が有利である。プ ンジャロッド5側とノズルボディ3側とのど らにヒータ21(13)を設置するかは、要求され 信頼性と製造上の制約条件などを考慮しな ら総合的に判断して決定すればよい。

 また、図5に示すように、ノズルボディ3 内周面とプランジャロッド5の外周面との双 にヒータ13,21を設置することも可能である この場合には、ノズルボディ3とプランジャ ッド5との間に形成される円筒状の燃料流路 12を両面から(円筒の外側と内側の両面から) 熱することになり、燃料を加熱する時間を 縮することが可能になる。

 [第3の実施形態]
 図6は、本発明を適用した燃料噴射装置のさ らに他の例(第3の実施形態)を示す図であり、 ノズルボディ3とプランジャロッド5との間の 料流路12近傍を拡大して示す断面図である 第3の実施形態の燃料噴射装置は、ヒータ13 近傍に触媒層31が形成されている以外は上述 した第1の実施形態と同様であるので、以下 第1の実施形態と同様の部分については同一 符号を付して説明を省略し、本実施形態に 徴的な部分についてのみ説明する。

 本実施形態の燃料噴射装置では、図6に示 すように、ヒータ13を構成する発熱要素の表 や発熱要素以外の燃料流路12表面(絶縁膜15 一部など)に、燃料流路12内の燃料の化学反 を促進するための触媒層31が形成されている 。この触媒層31の触媒としては、例えば、Pt Pd、Rhなどの貴金属、あるいはCuなどの金属 挙げられる。これらの触媒は通常はセラミ クを母材とする材料によって担持されるの 、触媒とそれを担持するセラミックを薄膜 にして、ヒータ13を構成する発熱要素の表面 や発熱要素以外の燃料流路12の表面に塗布し 触媒層31とすればよい。

 本実施形態の燃料噴射装置は、以上のよ に、ヒータ13の近傍に触媒層31が形成されて いるので、上述した第1の実施形態や第2の実 形態と同様の効果に加え、局所的な燃料の 学反応を促進することが可能となるといっ 効果が得られる。すなわち、触媒は高温で 能するものが多いので、触媒層31をヒータ13 近傍に形成することにより、触媒を効率的に 活性化させて、この触媒と接する燃料の化学 反応を促進することが可能となる。

 なお、図6に示した例では、第1の実施形 のようにノズルボディ3側にヒータ13を配置 た構成としているが、第2の実施形態のよう プランジャロッド5側にヒータ21を配置した 合や、ノズルボディ3側とプランジャロッド 5側の双方にヒータ13,21を配置した場合にも、 ヒータ13,21の近傍に触媒層31を塗布すること 、効率的に触媒を活性化させて燃料の局所 な化学反応を促進することが可能となる。

 [第4の実施形態]
 図7は、本発明を適用した燃料噴射装置のさ らに他の例(第4の実施形態)を示す断面図であ る。この図7に示す第4の実施形態の燃料噴射 置は、燃料を加熱するヒータの構成が上述 た第1の実施形態(図1参照)と異なるものであ る。それ以外の構成及び動作は第1の実施形 と同様であるので、以下、第1の実施形態と 様の部分については同一の符号を付して説 を省略し、本実施形態に特徴的な部分につ てのみ説明する。

 上述した第1の実施形態では、発熱状態を 個別に切替え可能な複数の発熱要素を燃料流 路12に沿って並べ、燃料流路12内の燃料が温 分布を持つように当該燃料流路12内の燃料を 加熱できるヒータ13としたが、本実施形態で 、図7に示すように、ノズルボディ3の内周 に、燃料流路12の上流側から下流側に亘って 厚みが異なる一体の発熱要素を形成して、燃 料流路12内の燃料が温度分布を持つように当 燃料流路12内の燃料を加熱できるヒータ41と している。

 このヒータ41を構成する発熱要素は、負 温度特性(NTC(Negative Temperature Coefficient)特性) を有する材質を用いて形成することが望まし い。NTC特性を有する材質としては、例えばMn Co、Ni、Feなどを含んだ焼結金属が挙げられ 。このようなNTC特性を有する材質を、例え 燃料流路12の上流側から下流側にかけて次 に厚みが薄くなるように成形し、第1の実施 態と同様にセラミックなどの絶縁膜42(断熱 造を兼ねる絶縁膜)を介してノズルボディ3 内周面に配置することで、燃料流路12内の燃 料が温度分布を持つように当該燃料流路12内 燃料を加熱可能なヒータ41とすることがで る。

 ヒータ41が燃料流路12内の燃料を温度分布 を持つように加熱できる原理を、図8及び図9 用いて説明する。なお、図8中のE1,E2は電極 示しており、図8中のMがNTC特性を持つ材質 ある。また、図9における実線のグラフTC1は 8のNTC特性を持つ材質Mの上方部分の温度曲 を示し、図9における破線のグラフTC2は図8の NTC特性を持つ材質Mの下方部分の温度曲線を している。図8のようにNTC特性を持ち、かつ 方部分と下方部分とで形状の異なる材質に 較的小さな一定電流(図9中のI1)を通電した 合、電流が集中する場所、すなわち図8の下 部分が最も発熱密度が高くなる。その結果 下方部分は高温(図9中のT21)となり、発熱密 の小さい上方部分は比較的低温(図9中のT11) なる。さらに、大きな電流(図9中のI2)を流 と、下方部分は高温のためNTC特性から電気 抗が下がっているので、小さな電流(図9中の I1)を流したときと比べて、それほど温度は高 くならない(図9中のT22)。一方で、上方部分は 下方部分と比べて比較的低温のため電気抵抗 の下がり方が下方部分と比べて小さく、小さ な電流を流したときと比べて大きな電流を流 した場合の温度上昇が大きくなる(図9中のT12) 。その結果、電流I1を流したときよりも、電 I2を流したときの方が下方部分と上方部分 温度差が小さくなる。この性質を利用すれ 、流す電流の量を制御することで、ヒータ41 の温度分布、すなわちヒータ41の加熱による 料流路12内の燃料の温度分布を制御するこ が可能である。

 NTC特性を持つ焼結金属のうち、材料の種 によってはある温度で急激に電気抵抗が低 するものが存在するので、そのような焼結 属をヒータ41に用いるようにしてもよい。 10を用いて、このような材料をヒータ41に用 た場合の特性を説明する。なお、図10にお る実線のグラフTC3は燃料流路12上流側の温度 曲線を示し、図10における破線のグラフTC4は 料流路12下流側の温度曲線を示している。 た、図10中のTaは前述の抵抗が急激に低下し める温度を表わしている。ヒータ41に通電 る電流量を増加させていくと、ヒータ41があ る温度(図10中のTa)に達したとき電気抵抗が急 激に下がるため、それ以上電流を大きくして も殆ど温度が上昇しなくなる。つまり、ヒー タ41の温度変化に関して、しきい電流が存在 ることになる。ヒータ41の下方部分にとっ のしきい電流は図10中のIaになり、上方部分 とってのしきい電流は図10中のIbになる。Ib Iaよりも大きな理由は、前述の電流密度の 係から明らかである。ここで、図7に示した うに燃料流路12の下流側に向かうに従って ータ41の厚みが薄くなっている場合は、電流 密度を考えれば下流側いくほどしきい電流が 低く、上流側に近いほどしきい電流は大きく なる。十分に大きな電流を流せば、ヒータ41 面の温度分布、つまりヒータ41の加熱によ 燃料流路12内の燃料の温度差がなくなるし、 小さな電流を流した場合は、燃料流路12の上 側と下流側とで燃料の温度差が大きくなる

 本実施形態の燃料噴射装置では、図7に示 したように、NTC特性を有する焼結金属を材質 とした発熱要素を、燃料流路12の下流側に向 うに従って厚みが薄くなるように形成して ータ41としている。したがって、内燃機関 運転状態に応じて、例えば、次回の噴射量 少ない場合は、ヒータ41に比較的小さな電流 を流して、ヒータ41のうちで燃料流路12の下 側に位置する部分のみを高温にすることで 次回噴射される燃料のみを効率よく加熱す ことができる。また、逆に、次回の噴射量 多い場合は、ヒータ41に比較的大きな電流を 流して、ヒータ41全体が高温になるようにす ばよい。これにより、次回に噴射される燃 と同等の体積の燃料をヒータ41で加熱する とが可能となる。

 本実施形態の燃料噴射装置は、以上のよ に、燃料流路12内の燃料を温度分布を持つ うに加熱可能なヒータ41を備えているので、 上述した第1の実施形態と同様に、内燃機関 運転状態に応じて、燃料流路12内の燃料を必 要な分だけ効率よく加熱することができ、第 1の実施形態と同様の効果が得られる。また ヒータ41は単一の発熱要素よりなるので、配 線数を大幅に削減することができ、構造の簡 素化を図ることができる。

 なお、図7に示した例では、第1の実施形 のようにノズルボディ3側にヒータ41を配置 ているが、第2の実施形態のようにプランジ ロッド5側にヒータ41を配置するようにして よいし、ノズルボディ3側とプランジャロッ ド5側の双方にヒータ41を配置するようにして もよい。

 [第5の実施形態]
 次に、本発明を適用した燃料噴射装置の第5 の実施形態について説明する。本実施形態の 燃料噴射装置は、燃料流路12内の燃料の沸騰( 或いは沸騰に近い現象)を防止する手法が、 述した第1の実施形態と異なるものである。 れ以外の構成及び動作は第1の実施形態と同 様であるので、以下、第1の実施形態と同様 部分については同一の符号を付して説明を 略し、本実施形態に特徴的な部分について み説明する。

 上述した第1の実施形態では、ヒータ13に る燃料加熱時の沸騰を防止するために、燃 流路12内の燃料を臨界圧力以上に加圧して くことが有効であることを説明した。ヒー 13による燃料の加熱が比較的緩やかであれば 、上述した第1の実施形態で説明したように ヒータ13により加熱される燃料流路12内の燃 を臨界圧力以上に加圧しておくことで、上 の沸騰による問題を回避することが可能で る。しかしながら、燃料の加熱が急激であ 、言い換えればヒータ13の温度上昇速度が い場合は、燃料が臨界圧以上に加圧されて る場合でも沸騰に近い現象が起こりうる。

 ここで、沸騰に近い現象とは、臨界圧以 の場合のような気相から液相への相変化は わないが、沸騰と同様に急激な圧力波を発 させるような現象を言う。このような現象 、燃料流路12内の燃料がヒータ13による急激 な加熱によって、比較的密度の高い準安定状 態から、密度の低い安定状態へと急激に変化 するために生じるものと考えられる。

 ヒータ13による燃料加熱時に以上のよう 沸騰に近い現象が発生することを防止する は、燃料流路12内の燃料を臨界圧力以上に加 圧しておくだけでは不十分であり、燃料流路 12内の燃料の温度を、ある圧力に対して存在 る飽和温度、または擬臨界温度よりも低い 度に保っておく必要がある。なお、擬臨界 度とは、図11に示すように、臨界圧力Pc以上 のある圧力での燃料の定圧比熱(Cp)が極大に る温度であり、臨界圧力Pc未満の場合におけ る飽和温度STに相当するもの(図11中のST‘)で る。臨界圧力Pc以上に加圧され、且つ、臨 温度Tc以上に加熱された超臨界状態の流体は 、この擬臨界温度よりも低い温度では密度の 高い状態で安定であり、擬臨界温度よりも高 い温度では密度の高い準安定状態である。

 以上の観点から、本実施形態の燃料噴射 置では、燃料流路12内の燃料の圧力が臨界 力未満であればヒータ13の最高温度を燃料の 飽和温度以下に制限し、燃料流路12内の燃料 圧力が臨界圧力以上であればヒータ13の最 温度を燃料の擬臨界温度以下に制限するこ で、上述した沸騰に近い現象も含めて、ヒ タ13による燃料加熱時の急激な圧力波の発生 を確実に防止できるようにしている。

 具体的には、例えば図12に示すように、 料流路12内の燃料の圧力を検知する圧力検知 手段51を設ける。具体的には、例えば燃料流 12の上流側となるコア6内部の圧力を検知可 な圧力センサを設置し、これを圧力検知手 51とする。また、ヒータ13の温度を例えば熱 電対のような温度検知手段52でモニタリング きるようにしておく。そして、圧力検知手 51で検知される圧力が燃料の臨界圧力未満 場合には、温度検知手段52の検出値をモニタ リングしながら、ヒータ13の温度が燃料の飽 温度を超えないように、ヒータ13の動作を 御する。また、圧力検知手段51で検知される 圧力が燃料の臨界圧力以上の場合には、温度 検知手段52の検出値をモニタリングしながら ヒータ13の温度が燃料の擬臨界温度を超え いように、ヒータ13の動作を制御する。

 以上のように、燃料流路12内の燃料の圧 に応じて、ヒータ13の最高温度を燃料の飽和 温度または擬臨界温度以下に制限すれば、ヒ ータ13により加熱される燃料は原理的にヒー 13よりも高温にはなりえないので、燃料流 12内の燃料の温度を飽和温度または擬臨界温 度よりも低い温度に保つことができ、上述し た沸騰に近い現象も含めて、ヒータ13による 料加熱時の急激な圧力波の発生を確実に防 することができる。なお、ヒータ13は基本 に噴射孔2に近い側の方が温度が高く、噴射 2から遠ざかるにつれて温度が下がるため、 ヒータ13の最高温度を燃料の飽和温度または 臨界温度以下に制限するには、噴射孔2に最 も近い側のヒータ13の温度を温度検知手段52 モニタリングしながら、この温度が燃料の 和温度または擬臨界温度を超えないように ータ13の動作を制御すればよい。なお、ヒー タ13の温度を判断する手法としては、ヒータ1 3に熱電対のような温度検知手段52を設ける手 法以外にも、例えば、ヒータ13自体で温度を 知できるようにしてもよい。また、ヒータ1 3に供給する電力量とヒータ13の温度との関係 を予め求めておいて、この関係をもとにヒー タ13の温度を推定し、この温度が燃料の飽和 度または擬臨界温度を超えないようにヒー 13の動作を制御するようにしてもよい。

 ところで、一般に自動車などに使用され 燃料はガソリンや軽油等の混合物であり、 合物に含まれる内容物によって飽和温度や 臨界温度は変化してしまうため、予め燃料 飽和温度や擬臨界温度を知ることが難しい 合も多い。

 そこで、燃料の飽和温度や擬臨界温度を め知ることができない場合には、圧力検知 段51により検知される燃料流路12内の燃料の 圧力変動から燃料の沸騰或いは沸騰に近い現 象が生じていると判断されたときに、次回以 降の燃料噴射時における燃料加熱の条件や燃 料圧力を調整することで、沸騰或いは沸騰に 近い現象が継続しないようにすることも有効 である。

 具体的には、例えば、圧力検知手段51に り所定値以上の圧力変動が検知された場合 、次回以降の燃料噴射時におけるヒータ13の 最高温度が、今回の燃料噴射時におけるヒー タ13の最高温度よりも低くなるように、ヒー 13の動作を制御する。ヒータ13の最高温度を 低い方向に変更しても未だ所定値以上の圧力 変動が検知される場合は、ヒータ13の最高温 をさらに低く制限するように、ヒータ13の 作を制御する。

 なお、制御の閾値となる所定値は、燃料 沸騰或いは沸騰に近い現象による圧力変動 あるか否かを判定するものであり、予め実 などを行って最適な値を定めておく。燃料 路12内の燃料の圧力は、例えばプランジャ ッド5の移動などに伴って多少なりとも変動 るので、このような沸騰或いは沸騰に近い 象以外の要因による圧力変動よりも十分に きな値を所定値として設定し、沸騰或いは 騰に近い現象が生じたときにのみ、ヒータ1 3の最高温度が低い方向に変更されるように る。

 また、例えば、圧力検知手段51により所 値以上の圧力変動が検知された場合に、次 以降の燃料噴射時における燃料の温度上昇 度が、今回の燃料噴射時における燃料の温 上昇速度よりも低くなるように、ヒータ13の 動作を制御するようにしてもよい。ヒータ13 温度上昇速度を低下させると、過熱度が低 なるため沸騰或いは沸騰に近い現象が発生 にくくなるからである。なお、このような 熱度に依存する現象は、飽和温度の場合だ でなく、擬臨界温度の場合も同様に生じ得 ものである。

 また、例えば、圧力検知手段51により所 値以上の圧力変動が検知された場合に、次 以降の燃料噴射時に噴射される燃料が、今 の燃料噴射時に噴射された燃料よりも高い 力となるように、燃料の加圧状態を変化さ るようにしてもよい。燃料圧力を上昇させ と、その分、燃料の飽和温度または擬臨界 度が高くなり、それまでの燃料噴射時と同 条件でヒータ13の動作を制御して燃料を加熱 した場合、燃料の過熱度が低くなるために、 沸騰或いは沸騰に近い現象が発生しにくくな るからである。

 本実施形態の燃料噴射装置は、以上のよ に、ヒータ13の温度が燃料の飽和温度また 擬臨界温度を超えないようにヒータ13の動作 を制御することで燃料の沸騰或いは沸騰に近 い現象が発生することを防止し、または、燃 料の沸騰或いは沸騰に近い現象が生じている と判断されたときに、次回以降の燃料噴射時 における燃料加熱の条件や燃料圧力を調整す ることで、燃料の沸騰或いは沸騰に近い現象 が継続しないようにしているので、上述した 第1乃至第4の実施形態で得られる効果に加え 、燃料の沸騰或いは沸騰に近い現象に起因 る上述した種々の問題を有効に回避して、 り安定した燃料の加熱および噴射が可能に るといった効果が得られる。

 以上、本発明を適用した燃料噴射装置の 体例として第1乃至第5の実施形態を例示し が、以上の各実施形態は本発明の一適用例 示したものであり、本発明の技術的範囲が 上の各実施形態で説明した内容に限定され ことを意図するものではない。つまり、本 明の技術的範囲は、以上の各実施形態で開 した具体的構成に限らず、この開示から容 に導きうる様々な変形、変更、代替技術な も含むものである。

 本発明は、内燃機関に燃料を噴射する燃 噴射装置において、内燃機関の運転状態に じて、必要量だけ燃料を加熱して噴射でき ようにするといった用途に適用できる。