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Title:
GAS BARRIER COMPOSITION, COATING FILM, METHOD FOR PRODUCING THE GAS BARRIER COMPOSITION, METHOD FOR PRODUCING THE COATING FILM, AND MULTILAYER BODY
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/128270
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a gas barrier composition containing at least one of (i) a mixture of (A) a water-soluble polymer having a hydroxyl group and (B) a water-soluble polymer having a carboxyl group, and (ii) (AB) a water-soluble polymer having a hydroxyl group and a carboxyl group; (C) a metal alkoxide and/or a hydrolysis-condensation product thereof; and (E) an esterification catalyst. The gas barrier composition contains not less than 460 parts by weight but not more than 2700 parts by weight of the component (C) and not less than 0.01 part by weight but not more than 100 parts by weight of the component (E) per 100 parts by weight of the water-soluble polymer.

Inventors:
NISHIURA KATSUNORI (JP)
TAKAKI TOSHIHIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/001764
Publication Date:
October 22, 2009
Filing Date:
April 16, 2009
Export Citation:
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Assignee:
MITSUI CHEMICALS INC (JP)
NISHIURA KATSUNORI (JP)
TAKAKI TOSHIHIKO (JP)
International Classes:
C08L101/14; B32B9/00; B32B27/30; C08K3/00; C08K3/22; C08K5/00; C08K5/057; C08K5/544; C08L1/00; C08L3/00; C08L29/04; C08L33/02; C09D7/61; C09D201/06
Domestic Patent References:
WO2006126511A12006-11-30
WO2006126511A12006-11-30
Foreign References:
JP2005307042A2005-11-04
JP2004217766A2004-08-05
JP2004143197A2004-05-20
JP2003191400A2003-07-08
JPH07266441A1995-10-17
JPH0841218A1996-02-13
JPH10237180A1998-09-08
JP2001164174A2001-06-19
JP2003191400A2003-07-08
Attorney, Agent or Firm:
HAYAMI, Shinji et al. (JP)
Shinji Hayami (JP)
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Claims:
 (i)水酸基を有する水溶性高分子(A)およびカルボキシル基を有する水溶性高分子(B)の混合物、
および
(ii)水酸基とカルボキシル基とを有する水溶性高分子(AB)
の少なくとも一方を含む水溶性高分子(X)と、
 金属アルコキシドおよび/またはその加水分解縮合物(C)と、
 エステル化触媒(E)と、を含み、
 前記水溶性高分子(X)100重量部に対し、前記(C)成分を460重量部以上、2700重量部以下、前記(E)成分を0.01重量部以上、100重量部以下含む、ガスバリア性組成物。
 水酸基を有する水溶性高分子(A)と、
 カルボキシル基を有する水溶性高分子(B)と、
 金属アルコキシドおよび/またはその加水分解縮合物(C)と、
 エステル化触媒(E)と、を含み、
 前記(A)成分と前記(B)成分との重量比が97/3から3/97であって、
 前記(A)成分と前記(B)成分との混合物100重量部に対し、前記(C)成分を460重量部以上、1600重量部以下、前記(E)成分を0.01重量部以上、100重量部以下含む、請求項1に記載のガスバリア性組成物。
 1分子中に金属酸化物と結合を形成できる官能基と、カルボキシル基と結合を形成できる官能基とをそれぞれ1つ以上有する化合物(D)をさらに含み、
 前記水溶性高分子(X)100重量部に対し、前記(D)成分を0.1重量部以上、20重量部以下含む請求項1に記載のガスバリア性組成物。
 前記(D)成分において、
 金属酸化物と結合を形成できる前記官能基が、アルコキシシリル基、シラノール基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基およびアンモニウム基からなる群から選択される一種以上の基であって、
 カルボキシル基と結合を形成できる前記官能基が、アミノ基、エポキシ基、チオール基、水酸基、ウレタン結合基、尿素結合基およびアンモニウム基からなる群から選択される一種以上の基である請求項3に記載のガスバリア性組成物。
 前記(E)成分が、無機酸の金属塩、有機酸の金属塩、有機リン化合物、カルボン酸およびその誘導体、スルホン酸およびその誘導体、鉱酸の有機アンモニウム塩またはピリジニウム塩、シアノ基含有有機化合物、イソシアノ基含有有機化合物、ケテン誘導体、ジカルコゲニド化合物、塩化シアヌル、カルボニルジイミダゾールおよびヘキサクロロアセトンからなる群から選ばれる一種以上の化合物である請求項1乃至4いずれかに記載のガスバリア性組成物。
 前記(A)成分が、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体、および糖類からなる群から選ばれる一種以上の化合物である請求項1乃至5のいずれかに記載のガスバリア性組成物。
 前記(B)成分が、ポリ(メタ)アクリル酸またはその部分中和物である請求項1乃至6いずれかに記載のガスバリア性組成物。
 前記(C)成分の前記金属アルコキシドが、下記一般式(1)で表される請求項1乃至7のいずれかに記載のガスバリア性組成物;
 (R 1 ) x M(OR 2 ) y   (1)
(式中、Mは、珪素、アルミニウム、ジルコニウムまたはチタニウムを表す。R 1 は水素原子、アルキル基、アリール基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基またはハロゲン化アルキル基を表し、複数存在するR 1 は同一でも異なっていてもよい。R 2 は炭素数1以上、6以下の低級アルキル基を表し、複数存在するOR 2 基は同一でも異なっていてもよい。xおよびyは、x+y=4でありかつ、xは2以下となる整数を表す。)。
 前記(C)成分が、アルコキシシラン、アルコキシジルコニウム、アルコキシアルミニウムおよびアルコキシチタンからなる群から選ばれる一種以上である請求項8に記載のガスバリア性組成物。
 前記(C)成分が、アルコキシシランの縮合物、アルコキシジルコニウムの縮合物、アルコキシアルミニウムの縮合物、およびアルコキシチタンの縮合物からなる群から選択される一種以上である請求項8に記載のガスバリア性組成物。
 前記(C)成分が、水および触媒の添加によりゾルゲル反応することで、金属酸化物となる化合物である、請求項8乃至10のいずれかに記載のガスバリア性組成物。
 平均粒径が100nm以下の金属酸化物微粒子をさらに含み、当該ガスバリア性組成物100重量部に対して、前記金属酸化物微粒子を1重量部以上100重量部以下含有する請求項1乃至11のいずれかに記載のガスバリア性組成物。
 さらに溶媒を含む請求項1乃至12のいずれかに記載のガスバリア性組成物。
 (i)水酸基を有する水溶性高分子(A)およびカルボキシル基を有する水溶性高分子(B)の混合物、
および
(ii)水酸基とカルボキシル基とを有する水溶性高分子(AB)
の少なくとも一方を含む水溶性高分子(X)と、
 金属アルコキシドおよび/またはその加水分解縮合物(C)と、
 エステル化触媒(E)と、を混合する、ガスバリア性組成物の製造方法であって、
 前記水溶性高分子(X)100重量部に対し、460重量部以上、2700重量部以下の量で前記(C)成分を添加し、0.01重量部以上、100重量部以下の量で前記(E)成分を添加することにより、前記水溶性高分子(X)と前記(C)成分と前記(E)成分とを混合する工程を含む、ガスバリア性組成物の製造方法。
 水酸基を有する水溶性高分子(A)と、カルボキシル基を有する水溶性高分子(B)と、金属アルコキシドおよび/またはその加水分解縮合物(C)と、エステル化触媒(E)と、を混合する、ガスバリア性組成物の製造方法であって、
 前記(A)成分と前記(B)成分との重量比が97/3から3/97となるように配合し、前記(A)成分と前記(B)成分との混合物100重量部に対し、460重量部以上、1600重量部以下の量で前記(C)成分を添加し、0.01重量部以上、100重量部以下の量で前記(E)成分を添加することにより、前記(A)成分と前記(B)成分と前記(C)成分と前記(E)成分とを混合する工程を含む、請求項14に記載のガスバリア性組成物の製造方法。
 前記水溶性高分子(X)と前記(C)成分と前記(E)成分とを混合する前記工程は、
 前記水溶性高分子(X)と、前記(E)成分および前記(C)成分とを混合する工程を含み、
 前記水溶性高分子(X)と、前記(E)成分および前記(C)成分とを混合する前記工程において、前記(C)成分の加水分解縮合反応を進行させる、請求項14に記載のガスバリア性組成物の製造方法。
 前記水溶性高分子(X)100重量部に対し、1分子中に金属酸化物と結合を形成できる官能基と、カルボキシル基と結合を形成できる官能基とをそれぞれ1つ以上有する化合物(D)を0.1重量部以上、20重量部以下の量となるように添加する工程をさらに含む、請求項14乃至16のいずれかに記載のガスバリア性組成物の製造方法。
 請求項1乃至13のいずれかに記載のガスバリア性組成物の膜状物を形成し、これを熱処理するコーティング膜の製造方法。
 請求項18に記載の方法により製造されたコーティング膜。
 温度40℃、湿度90%の条件下で24時間放置した後の膜厚0.7μmのコーティング膜の酸素透過率が、30cc/m 2 ・day・atm以下である請求項19に記載のコーティング膜。
 請求項19または20に記載のコーティング膜を少なくとも1層含む積層体。
 基板上に、前記コーティング膜を積層した請求項21に記載の積層体。
 前記コーティング膜と、プラスチック基材とを積層した請求項21に記載の積層体。
 プラスチック基材と、前記プラスチック基材上に形成された無機化合物からなる蒸着膜と、前記蒸着膜上に形成された前記コーティング膜と、を備える請求項21に記載の積層体。
Description:
ガスバリア性組成物、コーティ グ膜およびそれらの製造方法、ならびに積 体

 本発明は、ガスバリア性組成物、コーテ ング膜およびそれらの製造方法、ならびに 層体に関する。

 包装用樹脂フィルムには強度、透明性、 形性など様々な性能が要求されるが、特に 品包装分野においては内容物の長期保存を るためそのガスバリア性が重要な要求性能 して挙げられている。樹脂フィルムの中に 単一組成の樹脂だけでもガスバリア性を有 るものがあるが、より高いガスバリア性が 求される場合、これらの樹脂フィルムにさ にガスバリア性を改良するための樹脂層を 層させた樹脂フィルムが用いられる。ガス リア性を改良するために用いられる樹脂の 表例としては、塩素系樹脂であるポリ塩化 ニリデン(PVDC)や水酸基を有する水溶性高分 であるポリビニルアルコール(PVA)が挙げら るが、PVDCは焼却処理時に発生する酸性ガス どの問題があり、非塩素系樹脂への変換が められている。PVAは非塩素系樹脂であり、 スバリア性に関しても乾燥状態では優れた 能を有するが、吸湿時にガスバリア性が低 する問題点を有しており、水分を多く含む 品の包装には不向きである。

 また、上述したガスバリア性以外に、樹脂 ィルムに求められる性質としては、一般的 、たとえば以下のものがある。
 たとえば、高湿度下で樹脂フィルムを包装 として用いる場合、ガスバリア性とともに 水性(非水溶性)も考慮に入れる必要がある PVAの耐水性を向上させ、ガスバリア性の湿 依存性を改善するために、PVAとポリ(メタ)ア クリル酸をエステル化反応により架橋させる 方法がいくつか提案されてきた。

 たとえば特許文献1においては、PVAとポリ (メタ)アクリル酸からなる溶液を熱処理する 法、たとえば、特許文献2においてはPVAとポ リ(メタ)アクリル酸および次亜リン酸塩など 一価金属塩からなる溶液を熱処理する方法 たとえば、特許文献3においては、PVAとポリ アクリル酸またはポリメタクリル酸の部分中 和物とからなる水溶液をフィルムにコートし 熱処理したあと金属を含む溶液に浸漬処理す る方法が提案されている。これらの方法では PVAの水酸基とポリ(メタ)アクリル酸のカルボ シル基とを反応させガスバリア性と耐水性 改善しようとしている。

 また、特許文献4においては、PVAとポリア クリル酸に加えイソシアネート化合物などの 架橋材料を添加した水溶液をフィルム上にコ ートし熱処理する方法も提案されている。

 さらに、特許文献5においては、ガスバリ アの湿度依存性を改善するための別アプロー チとして、PVA、ポリ(メタ)アクリル酸と、金 アルコキシドが加水分解、脱水縮合してな 金属酸化物からなる複合被膜が提案されて る。この被膜は、高湿度下で高いガスバリ 性を有し、ボイル、レトルト殺菌包材とし の使用も可能である。

 これらの発明により、樹脂フィルムの耐 性が向上し、ガスバリア性の湿度依存性を る程度改善することができた。

 ところが、上述した従来の方法において 、十分なガスバリア性と耐水性を得るため 、比較的高温での熱処理が必要になる場合 あった。この場合、生産性の点で改善の余 があり、また、熱処理温度が高いと、樹脂 着色し外観を損ねる場合があった。

 また、近年、包装材以外において、たと ば電子ディスプレイ材料など、さらに高い スバリア性を要求する分野があり、それに えるための技術が求められているが、この うな分野に適用しようとした場合、着色に えて、高温による基板の変形の点で改善の 地があった。さらに、高温および高湿度条 下におけるガスバリア性の劣化を改善する 要性があった。

 また、特許文献6では、特定量の金属アル コキシドおよび/または金属アルコキシドの 水分解縮合物を含有するガスバリア性組成 を熱処理することにより、ガスバリア性コ ティング膜が得られることが開示されてい 。かかる特許文献6において、ガスバリア性 よび耐擦傷性が改善されている。しかしな ら、このコーティング膜においても、高温 よび高湿度条件下におけるガスバリア性の 化抑制の点で改善の余地があった。

特開平7-266441号公報

特開平8-41218号公報

特開平10-237180号公報

特開2001-164174号公報

特開2003-191400号公報

国際公開第2006/126511号パンフレット

 本発明は、上記事情に鑑みてなされたも であり、高温および高湿度条件下における スバリア性の劣化が抑制されたフィルムを ることが可能なガスバリア性組成物を提供 る。

 本発明者らは上記課題を解決するために 意検討を重ねた結果、水溶性高分子(X)、カ ボキシル基を有する水溶性高分子(B)、金属 ルコキシドおよび/または金属アルコキシド の加水分解縮合物(C)、およびエステル化触媒 (E)を主成分とするガスバリア性組成物を熱処 理することにより、高温および高湿度条件下 でガスバリア性の高いコーティング膜が得ら れることを見出し、本発明を完成させるに至 った。

 すなわち本発明は、以下に記載される。

(1)(i)水酸基を有する水溶性高分子(A)およびカ ルボキシル基を有する水溶性高分子(B)の混合 物、
および
(ii)水酸基とカルボキシル基とを有する水溶 高分子(AB)
の少なくとも一方を含む水溶性高分子(X)と、
 金属アルコキシドおよび/またはその加水分 解縮合物(C)と、
 エステル化触媒(E)と、を含み、
 前記水溶性高分子(X)100重量部に対し、前記( C)成分を460重量部以上、2700重量部以下、前記 (E)成分を0.01重量部以上、100重量部以下含む ガスバリア性組成物。

(2)水酸基を有する水溶性高分子(A)と、
 カルボキシル基を有する水溶性高分子(B)と
 金属アルコキシドおよび/またはその加水分 解縮合物(C)と、
 エステル化触媒(E)と、を含み、
 前記(A)成分と前記(B)成分との重量比が97/3か ら3/97であって、
 前記(A)成分と前記(B)成分との混合物100重量 に対し、前記(C)成分を460重量部以上、1600重 量部以下、前記(E)成分を0.01重量部以上、100 量部以下含む、(1)に記載のガスバリア性組 物。

(3)1分子中に金属酸化物と結合を形成できる 能基と、カルボキシル基と結合を形成でき 官能基とをそれぞれ1つ以上有する化合物(D) さらに含み、
 前記水溶性高分子(X)100重量部に対し、前記( D)成分を0.1重量部以上、20重量部以下含む(1) 記載のガスバリア性組成物。

(4)1分子中に金属酸化物と結合を形成できる 能基と、カルボキシル基と結合を形成でき 官能基とをそれぞれ1つ以上有する化合物(D) さらに含み、
 前記(A)成分と前記(B)成分の混合物100重量部 対し、前記(D)成分を0.1重量部以上、20重量 以下含む(2)に記載のガスバリア性組成物。

(5)前記(D)成分において、
 金属酸化物と結合を形成できる前記官能基 、アルコキシシリル基、シラノール基、水 基、カルボキシル基、アミノ基およびアン ニウム基からなる群から選択される一種以 の基であって、
 カルボキシル基と結合を形成できる前記官 基が、アミノ基、エポキシ基、チオール基 水酸基、ウレタン結合基、尿素結合基およ アンモニウム基からなる群から選択される 種以上の基である(3)または(4)に記載のガス リア性組成物。

(6)前記(D)成分が、アルコキシシリル基およ びアミノ基を含む化合物である(3)乃至(5)のい ずれかに記載のガスバリア性組成物。

(7)前記(D)成分が、3-アミノプロピルトリメ キシシランおよび3-アミノプロピルトリエ キシシランからなる群から選択される一種 上である(6)に記載のガスバリア性組成物。

(8)前記(E)成分が、無機酸の金属塩、有機酸 の金属塩、有機リン化合物、カルボン酸およ びその誘導体、スルホン酸およびその誘導体 、鉱酸の有機アンモニウム塩またはピリジニ ウム塩、シアノ基含有有機化合物、イソシア ノ基含有有機化合物、ケテン誘導体、ジカル コゲニド化合物、塩化シアヌル、カルボニル ジイミダゾールおよびヘキサクロロアセトン からなる群から選ばれる一種以上の化合物で ある(1)乃至(7)のいずれかに記載のガスバリア 性組成物。

(9)前記(A)成分が、ポリビニルアルコール、 エチレン-ビニルアルコール共重合体、およ 糖類からなる群から選ばれる一種以上の化 物である(1)乃至(8)のいずれかに記載のガス リア性組成物。

(10)前記(B)成分が、ポリ(メタ)アクリル酸ま たはその部分中和物である請求項(1)乃至(9)の いずれかに記載のガスバリア性組成物。

(11)前記(C)成分の前記金属アルコキシドが、 記一般式(1)で表される(1)乃至(10)のいずれか 記載のガスバリア性組成物;
 (R 1 ) x M(OR 2 ) y   (1)
(式中、Mは、珪素、アルミニウム、ジルコニ ムまたはチタニウムを表す。R 1 は水素原子、アルキル基、アリール基、アク リロイル基、メタクリロイル基、ビニル基ま たはハロゲン化アルキル基を表し、複数存在 するR 1 は同一でも異なっていてもよい。R 2 は炭素数1以上、6以下の低級アルキル基を表 、複数存在するOR 2 基は同一でも異なっていてもよい。xおよびy 、x+y=4でありかつ、xは2以下となる整数を表 す。)。

(12)前記(C)成分が、アルコキシシラン、ア コキシジルコニウム、アルコキシアルミニ ムおよびアルコキシチタンからなる群から ばれる一種以上である(11)に記載のガスバリ 性組成物。

(13)前記(C)成分が、アルコキシシランの縮 物、アルコキシジルコニウムの縮合物、ア コキシアルミニウムの縮合物、およびアル キシチタンの縮合物からなる群から選択さ る一種以上である(11)に記載のガスバリア性 成物。

(14)前記(C)成分が、水および触媒の添加に りゾルゲル反応することで、金属酸化物と る化合物である、(11)乃至(13)のいずれかに記 載のガスバリア性組成物。

(15)前記(A)成分がポリビニルアルコール、エ レン-ビニルアルコール共重合体、および糖 からなる群から選ばれる一種以上の化合物 あって、
 前記(B)成分がポリ(メタ)アクリル酸または の部分中和物であって、
 前記(C)成分がアルコキシシラン、アルコキ ジルコニウム、アルコキシアルミニウムお びアルコキシチタンからなる群から選ばれ 一種以上および/またはその加水分解縮合物 である
(2)に記載のガスバリア性組成物。

(16)1分子中に金属酸化物と結合を形成できる 能基と、カルボキシル基と結合を形成でき 官能基とをそれぞれ1つ以上有する化合物(D) をさらに含み、
 前記(D)成分が、3-アミノプロピルトリメト シシランおよび3-アミノプロピルトリエトキ シシランからなる群から選択される一種以上 である(15)に記載のガスバリア性組成物。

(17)前記(A)成分がポリビニルアルコールであ て、
 前記(B)成分がポリアクリル酸であって、
 前記(C)成分がテトラメトキシシランであっ 、
 前記(E)成分がジシアノジアミドである
(2)に記載のガスバリア性組成物。

(18)1分子中に金属酸化物と結合を形成できる 能基と、カルボキシル基と結合を形成でき 官能基とをそれぞれ1つ以上有する化合物(D) をさらに含み、
 前記(D)成分が3-アミノプロピルトリメトキ シランである(17)に記載のガスバリア性組成 。

(19)平均粒径が100nm以下の金属酸化物微粒子 をさらに含み、当該ガスバリア性組成物100重 量部に対して、前記金属酸化物微粒子を1重 部以上100重量部以下含有する(1)乃至(18)のい れかに記載のガスバリア性組成物。

(20)さらに溶媒を含む(1)乃至(19)のいずれか 記載のガスバリア性組成物。

(21)(i)水酸基を有する水溶性高分子(A)および ルボキシル基を有する水溶性高分子(B)の混 物、
および
(ii)水酸基とカルボキシル基とを有する水溶 高分子(AB)
の少なくとも一方を含む水溶性高分子(X)と、
 金属アルコキシドおよび/またはその加水分 解縮合物(C)と、
 エステル化触媒(E)と、を混合する、ガスバ ア性組成物の製造方法であって、
 前記水溶性高分子(X)100重量部に対し、460重 部以上、2700重量部以下の量で前記(C)成分を 添加し、0.01重量部以上、100重量部以下の量 前記(E)成分を添加することにより、前記水 性高分子(X)と前記(C)成分と前記(E)成分とを 合する工程を含む、ガスバリア性組成物の 造方法。

(22)水酸基を有する水溶性高分子(A)と、カル キシル基を有する水溶性高分子(B)と、金属 ルコキシドおよび/またはその加水分解縮合 (C)と、エステル化触媒(E)と、を混合する、 スバリア性組成物の製造方法であって、
 前記(A)成分と前記(B)成分との重量比が97/3か ら3/97となるように配合し、前記(A)成分と前 (B)成分との混合物100重量部に対し、460重量 以上、1600重量部以下の量で前記(C)成分を添 し、0.01重量部以上、100重量部以下の量で前 記(E)成分を添加することにより、前記(A)成分 と前記(B)成分と前記(C)成分と前記(E)成分とを 混合する工程を含む、(21)に記載のガスバリ 性組成物の製造方法。

(23)前記水溶性高分子(X)と前記(C)成分と前記(E )成分とを混合する前記工程は、
 前記水溶性高分子(X)と、前記(E)成分および 記(C)成分とを混合する工程を含み、
 前記水溶性高分子(X)と、前記(E)成分および 記(C)成分とを混合する前記工程において、 記(C)成分の加水分解縮合反応を進行させる (21)に記載のガスバリア性組成物の製造方法 。

(24)前記水溶性高分子(X)100重量部に対し、1 子中に金属酸化物と結合を形成できる官能 と、カルボキシル基と結合を形成できる官 基とをそれぞれ1つ以上有する化合物(D)を0.1 重量部以上、20重量部以下の量となるように 加する工程をさらに含む、(21)または(23)に 載のガスバリア性組成物の製造方法。

(25)前記(A)成分と前記(B)成分と前記(C)成分と 記(E)成分とを混合する前記工程は、
 前記(A)成分および前記(B)成分を混合する工 と、
 前記工程で得られた混合液と、前記(E)成分 よび前記(C)成分とを混合する工程と、
 を含み、
 前記混合液と、前記(E)成分および前記(C)成 とを混合する前記工程において、前記(C)成 の加水分解縮合反応を進行させる、(22)に記 載のガスバリア性組成物の製造方法。

(26)前記(A)成分と前記(B)成分との混合物100 量部に対し、1分子中に金属酸化物と結合を 成できる官能基と、カルボキシル基と結合 形成できる官能基とをそれぞれ1つ以上有す る化合物(D)を0.1重量部以上、20重量部以下の となるように添加する工程をさらに含む、( 22)または(25)に記載のガスバリア性組成物の 造方法。

(27)前記(A)成分、前記(B)成分、前記(D)成分お び前記(E)成分を溶媒中で混合する工程と、
 前記工程で得られた前記混合液および前記( C)成分を混合する工程と、を含み、
 前記混合液および前記(C)成分を混合する前 工程において、前記(C)成分の加水分解縮合 応を進行させる、(26)に記載のガスバリア性 組成物の製造方法。

(28)前記(A)成分、前記(B)成分および前記(E)成 を溶媒中で混合する工程と、
 前記工程で得られた前記混合液、前記(D)成 および前記(C)成分を混合する工程と、を含 、
 前記混合液と前記(D)成分および前記(C)成分 を混合する前記工程において、前記(C)成分 加水分解縮合反応、ならびに前記(D)成分と 属酸化物およびカルボキシル基のうち少な とも一方との反応を進行させる、(26)に記載 のガスバリア性組成物の製造方法。

(29)前記(A)成分、前記(B)成分および前記(D)成 を溶媒中で混合する工程と、
 前記工程で得られた前記混合液と、前記(E) 分および前記(C)成分とを混合する工程と、 含み、
 前記混合液、前記(E)成分および前記(C)成分 混合する前記工程において、前記(C)成分の 水分解縮合反応を進行させる、(26)に記載の ガスバリア性組成物の製造方法。

(30)前記(A)成分および前記(B)成分を混合する 程と、
 前記工程で得られた前記混合液と前記(D)成 と前記(E)成分および前記(C)成分とを混合す 工程と、を含み、
 前記混合液、前記(D)成分、前記(E)成分およ 前記(C)成分を混合する前記工程において、 記(C)成分の加水分解縮合反応、ならびに前 (D)成分と金属酸化物およびカルボキシル基 うち少なくとも一方との反応を進行させる (26)に記載のガスバリア性組成物の製造方法 。

(31) 
(1)乃至(20)のいずれかに記載のガスバリア性 成物の膜状物を形成し、これを熱処理する ーティング膜の製造方法。

(32) 
(31)に記載の方法により製造されたコーティ グ膜。

(33)温度40℃、湿度90%の条件下で24時間放置し 後の膜厚0.7μmのコーティング膜の酸素透過 が、30cc/m 2 ・day・atm以下である(32)に記載のコーティン 膜。

(34)(32)または(33)に記載のコーティング膜を 少なくとも1層含む積層体。

(35)基板上に、前記コーティング膜を積層 た(34)に記載の積層体。

(36)前記コーティング膜と、プラスチック 材とを積層した(34)に記載の積層体。

(37)プラスチック基材と、前記プラスチッ 基材上に形成された無機化合物からなる蒸 膜と、前記蒸着膜上に形成された前記コー ィング膜と、を備える(34)に記載の積層体。

 本発明により、高温および高湿度条件下に けるガスバリア性の劣化が抑制されたフィ ムを得ることが可能なガスバリア性組成物 提供することができる。
 なお、本発明において、「水酸基を有する 溶性高分子(A)」はカルボキシル基を有さず 「カルボキシル基を有する水溶性高分子(B) は水酸基を有さない。

実施例におけるコーティング膜の湿熱 験後の酸素透過率と、(A)成分と(B)成分との 合物100重量部に対する(C)成分の量との関係 示す図である。 実施例7で作製したコーティング膜の断 面TEM画像を示す。 比較例1で作製したコーティング膜の断 面TEM画像を示す。

 本発明のガスバリア性(ハードコート用)組 物は、
(i)水酸基を有する水溶性高分子(A)およびカル ボキシル基を有する水溶性高分子(B)の混合物 、
および
(ii)水酸基とカルボキシル基とを有する水溶 高分子(AB)
の少なくとも一方を含む水溶性高分子(X)と、
 金属アルコキシドおよび/またはその加水分 解縮合物(C)と、
 エステル化触媒(E)と、を含む。

 また、本発明のガスバリア性(ハードコート 用)組成物は、
 水酸基を有する水溶性高分子(A)と、
カルボキシル基を有する水溶性高分子(B)と、
金属アルコキシドおよび/またはその加水分 縮合物(C)と、
エステル化触媒(E)と、
を含むことが好ましい。
 このガスバリア性組成物は、コーティング の組成物として好適に用いられる。

 本発明のガスバリア性組成物を用いるこ により、たとえばコーティング膜(ハードコ ート)が得られる。本発明におけるコーティ グ膜は、本発明のガスバリア性組成物を塗 した膜であって、ガスバリア性を有する層 構造を有する。

 上記ガスバリア性とは、酸素、水蒸気、そ 他被コーティング材料の品質劣化を促すガ を遮断することを指す。特に食品、医療等 包装材料や電子材料においては、酸素ガス バリア性に優れていることが求められてい 。本発明においては、コーティング膜の酸 透過性を測定することにより、コーティン 膜のガスバリア性を評価した。
 さらに、本発明のガスバリア性組成物から られるコーティング膜は、高温および高湿 条件下におけるガスバリア性の劣化が抑制 れる。

 以下、本発明のガスバリア性組成物、コー ィング膜およびこれらの製造方法、ならび コーティング膜を含む積層体について具体 に説明する。
 はじめに、ガスバリア性組成物の構成成分 ついて説明する。

 水溶性高分子(X)
 本発明において用いられる水溶性高分子(X) 、「(i)水酸基を有する水溶性高分子(A)およ カルボキシル基を有する水溶性高分子(B)の 合物」、および「(ii)水酸基とカルボキシル 基とを有する水溶性高分子(AB)」の少なくと 一方を含んでなる。

 すなわち、本発明における水溶性高分子(X) 以下の(a)~(e)の態様を含む。
 (a)水酸基を有する水溶性高分子(A)およびカ ボキシル基を有する水溶性高分子(B)の混合
 (b)水酸基とカルボキシル基とを有する水溶 高分子(AB)
 (c)水酸基を有する水溶性高分子(A)および水 基とカルボキシル基とを有する水溶性高分 (AB)の混合物
 (d)カルボキシル基を有する水溶性高分子(B) よび水酸基とカルボキシル基とを有する水 性高分子(AB)の混合物
 (e)水溶性高分子(A)および水溶性高分子(B)お び水溶性高分子(AB)の混合物
 本発明においては、「(a)水酸基を有する水 性高分子(A)およびカルボキシル基を有する 溶性高分子(B)の混合物」を用いることが好 しい。
 以下、(A)水酸基を有する水溶性高分子、(B) ルボキシル基を有する水溶性高分子、(AB)水 酸基とカルボキシル基とを有する水溶性高分 子について説明する。なお、以下の説明にお いて、上記態様(a)~(e)を単に「水溶性高分子 と記載することもある。

 (A)水酸基を有する水溶性高分子
 本発明において用いられる水酸基を有する 溶性高分子(A)とは、水酸基をその高分子鎖 に少なくとも2個含む水溶性を示す高分子で あって、好ましくは、ポリビニルアルコール 、エチレン-ビニルアルコール共重合体等の リビニルアルコールを含む共重合体、セル ース類およびその他の糖類からなる群から ばれる一種以上の化合物である。これらは 独または二種以上用いてもよい。

 ポリビニルアルコールは、分子内に少な とも2個以上のビニルアルコール単位を有し ており、ビニルアルコールの単一重合体であ っても、また他のモノマー単位を含む共重合 体であってもよい。ポリビニルアルコールの 製造法に特に制限はないが、単一重合体であ るポリビニルアルコールは、たとえば、ギ酸 ビニル、酢酸ビニルやプロピオン酸ビニルな どのビニルエステル類の重合体を完全または 部分ケン化するなどの方法で得ることができ る。また共重合体は、上記のビニルエステル 類と、たとえばエチレン、プロピレン、1-ブ ンなどの炭素数2以上30以下のオレフィン類 たとえばアクリロニトリル、メタアクリロ トリルなどの炭素数3以上30以下の不飽和ニ リル類、たとえばメチルビニルエーテル、 チルビニルエーテルなどの炭素数3以上30以 のビニルエーテル類などとの共重合体を完 または部分ケン化するなどの方法で得るこ ができる。

 本発明において用いられる水酸基を有す 水溶性高分子(A)では、たとえば糖類を使用 ることができる。糖類としては、オリゴ糖 、多糖類を使用することができる。オリゴ 類とは、糖の重合度が2以上、10以下である 質を指す。オリゴ糖類としては、スクロー 、マルトース、イソマルトース、セロビオ ス、ラクトースなどが挙げられる。オリゴ 類は、それぞれ単独で、あるいは二種以上 組み合わせて使用することができる。多糖 とは、糖の重合度が10以上である高分子化 物を指す。多糖類としては、デンプン、グ コーゲン、セルロース、ペクチン、ヘミセ ロース、ペクチン酸、アルギン酸、カラゲ ン、アガロースなどが挙げられる。多糖類 、それぞれ単独で、あるいは二種以上を組 合わせて使用することができる。

 これらの水酸基を有する水溶性高分子(A) うち、ポリビニルアルコール、エチレン-ビ ニルアルコール共重合体、および糖類からな る群から選ばれる一種以上の化合物が好まし い。ケン化度は100%に近いほどガスバリア性 観点からは好ましいが、通常は90%以上、好 しくは95%以上である。数平均重合度は通常50 以上、5000以下である。

 ポリビニルアルコールは、後述する金属 ルコキシドおよび/またはその加水分解縮合 物(C)の重縮合反応中で、カルボン酸ビニル重 合体のケン化反応を行うことで得ることもで きる。この際、出発原料であるカルボン酸ビ ニル重合体としては、ポリ酢酸ビニル、ポリ プロピオン酸ビニルなどが挙げられる。また 、他のモノマーとの共重合体を使用すること もできる。例としては、エチレン-酢酸ビニ 共重合体、エチレン-プロピオン酸ビニル共 合体などが挙げられる。

 (B)カルボキシル基(カルボン酸を有する基) 有する水溶性高分子
 本発明におけるカルボキシル基を有する水 性高分子(B)とは、カルボキシル基をその高 子鎖中に少なくとも2個含む水溶性を示す高 分子であって、たとえばポリカルボン酸であ る。カルボキシル基を有する水溶性高分子(B) は、好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸また その部分中和物であり、さらに好ましくは 子内に少なくも2個以上のアクリル酸または メタアクリル酸単位を有するポリマーであり 、より好ましくは、アクリル酸またはメタア クリル酸の単一重合体(ポリアクリル酸また ポリメタアクリル酸)であっても、アクリル とメタアクリル酸の共重合体であっても、 た他のモノマー単位を含む共重合体であっ もよい。これらは単独または二種以上用い もよい。

 これらのカルボキシル基を有する水溶性 分子(B)の製造法に特に制限はないが、単一 合体であるポリ(メタ)アクリル酸またはア リル酸/メタアクリル酸共重合体は、たとえ アクリル酸やメタアクリル酸のラジカル(共 )重合により得られる。また他のモノマーと 共重合体は、(メタ)アクリル酸とたとえばエ チレン、プロピレン、1-ブテンなどの炭素数2 以上、30以下のオレフィン類、たとえばアク ル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイ 酸、フマル酸などの炭素数3以上、30以下の 飽和カルボン酸類から誘導される脂肪族ま は芳香族エステル、塩、無水物およびアミ 、たとえばアクリロニトリル、メタアクリ ニトリルなどの炭素数3以上、30以下の不飽 ニトリル類、たとえばメチルビニルエーテ 、エチルビニルエーテルなどの炭素数3以上 、30以下のビニルエーテル類などとの共重合 より得ることができる。

 さらには、ポリ(メタ)アクリル酸をアル リまたはアルカリ土類金属の水酸化物や水 化アンモニウム、水酸化有機アンモニウム どでカルボキシル基(カルボン酸基)の全部ま たは一部を中和したものでもよい。これらの カルボキシル基を有する水溶性高分子(B)の数 平均分子量は通常2000以上、200000以下の範囲 ある。これらのカルボキシル基を有する水 性高分子(B)のうち、ポリ(メタ)アクリル酸ま たはその部分中和物が好ましく、ポリアクリ ル酸またはその部分中和物が特に好ましい。

(AB)水酸基とカルボキシル基とを有する水溶 高分子
 本発明において用いられる水酸基とカルボ シル基とを有する水溶性高分子(AB)とは、水 酸基をその高分子鎖中に少なくとも1個含み さらにカルボキシル基をその高分子鎖中に なくとも1個含む水溶性を示す高分子である

 水溶性高分子(AB)は、たとえば、ギ酸ビニ ル、酢酸ビニルやプロピオン酸ビニルなどの ビニルエステル類と、たとえばアクリル酸、 メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フ マル酸などの炭素数3以上30以下の不飽和カル ボン酸類およびそのエステル、塩、無水物お よびアミドなどとの共重合体を完全または部 分ケン化するなどの方法で得ることができる 。

 (C)金属アルコキシドおよび/またはその加水 分解縮合物
 本発明における金属アルコキシドは、下記 (1)で表されるものを指す。
(R 1 ) x M(OR 2 ) y  (1)
 式中、R 1 で示される置換基は水素原子、アルキル基( とえばメチル基、エチル基、プロピル基な )、アリール基(たとえばフェニル基、トリル 基など)、炭素-炭素二重結合含有有機基(たと えばアクリロイル基、メタクリロイル基、ビ ニル基など)、ハロゲン含有基(たとえばクロ プロピル基、フルオロメチル基などのハロ ン化アルキル基など)などを表し、複数存在 するR 1 は同一でも異なっていてもよい。R 2 は炭素数1以上、6以下、好ましくは炭素数1以 上、4以下の低級アルキル基を表し、複数存 するOR 2 は同一でも異なっていてもよい。xおよびyは x+y=4であり、さらにxは2以下となる整数を表 す。また、(C)成分を構成するMは金属であり 具体的には、珪素、アルミニウム、ジルコ ウム、チタニウムなどが例示され、それら 組み合わせて使ってもよい。なかでも珪素 合物は、比較的安価で入手しやすく、反応 緩やかに進行するため、工業的な利用価値 高い。

 また、(C)成分は、水および触媒の添加に り、ゾルゲル反応することで、金属酸化物 なる化合物であってもよい。このような化 物として、具体例を挙げると、テトラメト シシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS) テトラプロポキシシラン、テトライソプロ キシシラン、メチルトリメトキシシラン、 チルトリエトキシシラン、メチルトリプロ キシシラン、メチルトリブトキシシラン、 チルトリメトキシシラン、エチルトリエト シシラン、n-プロピルトリメトキシシラン n-プロピルトリエトキシシラン、イソプロピ ルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエ トキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、 ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメ トキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン 、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエ トキシシラン、フェニルトリメトキシシラン 、フェニルトリエトキシシラン、p-スチリル リメトキシシラン、3-メタクリロキシプロ ルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキ シプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタ リロキシプロピルトリメトキシシラン、3- タクリロキシプロピルトリエトキシシラン 3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン 、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラ 、3-クロロプロピルトリエトキシシラン、 リフルオロメチルトリメトキシシラン、ト フルオロメチルトリエトキシシラン等のア コキシシラン類や、これらに対応するアル キシアルミニウム、アルコキシジルコニウ 、アルコキシチタンが挙げられる。

 また、(C)成分は、上記式(1)においてMがシリ コン(Si)であるアルコキシシラン、Mがジルコ ウム(Zr)であるアルコキシジルコニウム、M アルミニウム(Al)であるアルコキシアルミニ ムおよびMがチタン(Ti)であるアルコキシチ ンからなる群より選ばれる一種以上あって よい。
 塗膜(コーティング膜、ハードコート)の耐 傷性は、アルコキシ基の数に反映されるこ から、テトラメトキシシラン、テトラエト シシラン等の4官能性金属アルコキシドを用 ることが好ましい。また、これらの金属ア コキシド、金属アルコキシドの加水分解重 合物は、単独または二種以上の混合物とし 用いてもよい。

 金属アルコキシドの加水分解縮合物は、 れらの一種以上の金属アルコキシドに酸ま はアルカリ化合物を触媒として加水分解し ものが、重縮合することにより得られる化 物であり、たとえば金属アルコキシドの部 加水分解重縮合化合物である。このような 合物として、たとえば、アルコキシシラン 縮合物、アルコキシジルコニウムの縮合物 アルコキシアルミニウムの縮合物、および ルコキシチタンの縮合物からなる群から選 される一種以上が挙げられる。

 本発明のガスバリア性組成物は、水溶性高 子(X)、(C)成分および後述する(E)成分に加え 、下記(D)成分を含んでもよい。
 (D)1分子中に金属酸化物と結合を形成できる 官能基と、カルボキシル基と結合を形成でき る官能基とをそれぞれ1つ以上有する化合物
 本発明で用いられる、1分子中に金属酸化物 と結合を形成できる官能基と、カルボキシル 基と結合を形成できる官能基とをそれぞれ1 以上有する化合物(D)は、有機材料である水 性高分子(X)と、無機材料である(C)成分との 料分散性を向上させるために添加し、その 用により、より一層透明性の高い塗膜を得 ことができる。

 1分子中に金属酸化物と結合を形成できる 官能基と、カルボキシル基と結合を形成でき る官能基とをそれぞれ1つ以上有する化合物(D )のうち、金属酸化物と結合を形成できる官 基とは、具体的には金属酸化物と共有結合 水素結合、イオン結合等の結合を形成でき 官能基である。金属酸化物と共有結合を形 できる官能基としては、たとえばアルコキ シリル基、シラノール基等が挙げられ、水 結合を形成できる官能基としては、たとえ 水酸基、カルボキシル基、アミノ基等が挙 られる。また、イオン結合を形成できる官 基としては、たとえばアンモニウム基等が げられる。

 1分子中に金属酸化物と結合を形成できる 官能基と、カルボキシル基と結合を形成でき る官能基とをそれぞれ1つ以上有する化合物(D )のうち、カルボキシル基と結合を形成でき 官能基とは、具体的にはカルボキシル基と 有結合、水素結合、イオン結合等の結合を 成できる官能基である。カルボキシル基と 合を形成できる官能基としては、たとえば ミノ基、エポキシ基、チオール基等が挙げ れ、水素結合を形成できる官能基としては たとえば水酸基等の一価の基、および、ウ タン結合基、尿素結合基等の2価の基が挙げ れる。また、イオン結合を形成できる官能 としては、たとえばアンモニウム基等が挙 られる。

 なお、1分子中に金属酸化物と結合を形成 できる官能基とカルボキシル基と結合を形成 できる官能基とが同じ基であってもよく、こ のとき、(D)成分は、当該基を分子中に複数有 する。具体的には、(D)成分が、複数のアンモ ニウム基を有するものであってもよい。

 1分子中に金属酸化物と結合を形成できる官 能基と、カルボキシル基と結合を形成できる 官能基とをそれぞれ1つ以上有する化合物(D) しては、たとえば、3-アミノプロピルトリメ トキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキ シラン、3-アミノプロピルメチルジメトキ シラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシ シラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピル メチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル) -3-アミノプロピルトリメトキシシラン、2-ア ノエチルアミノメチルトリメトキシシラン 3-アミノプロピルジメチルエトキシシラン 2-(2-アミノエチルチオエチル)トリエトキシ ラン、p-アミノフェニルトリメトキシシラン 、N-フェニル-3-アミノプロピルメチルジメト シシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルメ ルジエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプ ロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-ア ノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ とアルコキシシリル基とを有する化合物;
3-グリシドキシプロピルプロピルトリメトキ シラン、3-グリシドキシプロピルプロピル リエトキシシラン、3-グリシドキシプロピル メチルジエトキシシラン等のグリシジル基と アルコキシシリル基とを有する化合物;
3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラ 、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラ 等のチオール基とアルコキシシリル基とを する化合物;
3-ウレイドプロピルトリメトキシシラン等の レイド基とアルコキシシリル基とを有する 合物;等のアルコキシシリル基を有する化合 物、2-アミノエタノール、3-アミノ-1-プロパ ール、2-アミノ-1-アミノ-1-ブタノール、1-ア ノ-2-ブタノール、2-アミノ-1-ブタノール,3- ロパンジオール、3-アミノ-1,2-プロパンジオ ル、4,2-(2-アミノエトキシ)エタノール、2-ア ミノ-2-メチル-1-プロパノール、4-アミノ-2-メ ルブタノール、3-アミノプロピオン酸、2-ア ミノプロピオン酸、4-アミノ-n-ブチル酸、5- ミノ-n-バレリン酸、2-アミノイソバレリン酸 、アスパラギン、アスパラギン酸、エチレン ジアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジ ール、2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール 2-アミノエタンチオール、2-アミノエタンス ホン酸、N,N-ジメチル-1,3-プロパンジアミン N-(3-アミノプロピル)シクロヘキシルアミン 4-ピコリルアミン、3-ピコリルアミン、2-ピ リルアミン、4-(2-アミノエチル)ピリジン、3 -(2-アミノエチル)ピリジン、4-アミノメチル ペリジン、1-アミノ-4-メチルピペラジン、3- ミノ-5-メチルピラゾール、1-(3-アミノプロ ル)イミダゾール、2-アミノエタン-1-スルホ 酸、3-アミノプロパンスルホン酸、スルファ ニル酸、1,4-ジアミノブタン二塩酸塩、1,5-ジ ミノペンタン二塩酸塩等を挙げることがで るが、これらに限定されるものではない。

 これらの化合物のなかで、金属酸化物と 合を形成できる官能基がアルコキシシリル で、(B)成分のカルボキシル基または(AB)成分 のカルボキシル基と結合を形成できる官能基 がアミノ基であるものがより好ましく、分散 性が良好で、透明な塗膜を形成する目的で特 に効果が高い。このとき、(D)成分が、上に例 示した化合物中、3-アミノプロピルトリメト シシランおよび3-アミノプロピルトリエト シシランのうち、少なくとも一種であるこ がさらに好ましい。

 (E)エステル化触媒
 本発明におけるエステル化触媒(E)とは、酸 アルコールからエステルを合成する反応を 媒する化合物のことである。酸は、有機酸 たは無機酸である。このような化合物であ ば本発明のエステル化触媒(E)として用いる とができるが、好ましくは無機酸の金属塩 有機酸の金属塩、有機リン化合物、カルボ 酸およびその誘導体、スルホン酸およびそ 誘導体、鉱酸の有機アンモニウム塩または リジニウム塩、シアノ基含有有機化合物、 ソシアノ基含有有機化合物、ケテン誘導体 ジカルコゲニド化合物、塩化シアヌル、カ ボニルジイミダゾール、ヘキサクロロアセ ンが挙げられる。

 また、低温で熱処理を行えるという観点 、エステル化反応を触媒する有機基を含む 機エステル化触媒がさらに好ましい。有機 ステル化触媒としては、たとえば、有機リ 化合物、カルボン酸およびその誘導体、ス ホン酸およびその誘導体、鉱酸の有機アン ニウム塩またはピリジニウム塩、シアノ基 有有機化合物、イソシアノ基含有有機化合 、ケテン誘導体、ジカルコゲニド化合物、 化シアヌル、カルボニルジイミダゾール、 キサクロロアセトンが挙げられる。

 本発明における無機酸の金属塩としては 具体的にリン酸一カリウム、リン酸二カリ ム、リン酸三カリウム、ピロリン酸カリウ 、ポリリン酸カリウム、メタリン酸カリウ 、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウ 、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸 トリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸 マグネシウム、リン酸二マグネシウム、ピ リン酸マグネシウム、メタリン酸マグネシ ム、ピロリン酸カルシウム、亜リン酸ナト ウム、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸 ルシウム、次亜リン酸マグネシウム、塩化 チウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、 硫酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、臭 ナトリウムなどが挙げられる。

 本発明における有機酸の金属塩としては 具体的には、酢酸ナトリウム、安息香酸ナ リウムなどが挙げられる。

 本発明の有機リン化合物とは三価および 価の有機基を含むリン化合物のことであり より具体的には、たとえばリン酸モノブチ 、リン酸ジオクチル、リン酸ジブチル、リ 酸トリオクチル、リン酸トリフェニル、リ 酸オクチルジフェニルなどの炭素数1以上、 50以下のリン酸モノエステル、ジエステルま はトリエステルであり、たとえば亜リン酸 ノフェニル、亜リン酸ジブチル、亜リン酸 リブチル、亜リン酸トリオクチル、亜リン トリフェニルなどの炭素数1以上、50以下の リン酸モノエステル、ジエステルまたはト エステルであり、たとえばトリブチルホス ィン、トリフェニルホスフィン、トリス(ス ルホナートフェニル)ホスフィンなどの炭素 1以上、50以下の脂肪族または芳香族ホスフ ンであり、たとえばトリブチルホスフィン キシド、トリフェニルホスフィンオキシド どの炭素数1以上、50以下の脂肪族または芳 族ホスフィンオキシドであり、たとえばク ロリン酸ジフェニル、二塩化トリフェニル スフィン、N,N'-ビス(2-オキソ-3-オキサゾリジ ニル)クロロホスフィンなどの炭素数1以上、5 0以下の有機基を含むハロゲン化リン化合物 どが挙げられる。

 本発明のカルボン酸およびその誘導体と 、具体的には、カルボン酸、カルボン酸ア ド、カルボン酸イミド、カルボン酸アンモ ウム塩、カルボン酸ピリジニウム塩、カル ン酸ハロゲン化物が挙げられる。

 カルボン酸とはカルボキシル基(-COOH基)を もつ有機化合物であればどのような化合物で あってもよい。より具体的には、たとえばギ 酸、酢酸、プロピオン酸、カプロン酸、ラウ リン酸、安息香酸、o-トルイル酸などの炭素 1以上、30以下の脂肪族または芳香族カルボ 酸類、たとえばマレイン酸、アジピン酸、 タル酸、イソフタル酸などの炭素数2以上、 30以下の脂肪族または芳香族ジカルボン酸類 たとえばクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、2- ロモプロピオン酸、o-クロロ安息香酸などの 炭素数1以上、30以下のハロゲン化脂肪族また は芳香族カルボン酸類などが挙げられる。さ らにこれらのカルボン酸にニトロ基、アルコ キシ基、ヒドロキシ基などの他の官能基が結 合していてもよい。

 カルボン酸アミドとはアミド基(-CONR 3 R 4 基、R 3 およびR 4 はHまたは炭素数1以上、30以下の脂肪族また 芳香族炭化水素基であり、同一でも異なっ いてもよい)を有する有機化合物であり、上 に列挙したカルボン酸のカルボキシル基を ミド基に変換したものが具体例として挙げ れる。

 カルボン酸イミドとはイミド基((-CO) 2 NR基、RはHまたは炭素数1以上、30以下の脂肪 または芳香族炭化水素基)を有する有機化合 であり、上記に列挙したカルボン酸のカル キシル基をイミド基に変換したものが具体 として挙げられる。

 カルボン酸アンモニウム塩とはカルボン酸 NH 4 + または1級、2級、3級または4級アンモニウム であり、上記に列挙したカルボン酸の酸性 ロトンがこれらアンモニウムカチオンに置 換わったものが具体例として挙げられる。

 カルボン酸ピリジニウム塩とはカルボン のピリジニウム塩であり、上記に列挙した ルボン酸の酸性プロトンがピリジニウムカ オンに置き換わったものが具体例として挙 られる。

 カルボン酸ハロゲン化物とは酸ハロゲン 物基(-COX基、XはF、Cl、BrまたはI)を有する有 機化合物であり、上記に列挙したカルボン酸 のカルボキシル基を酸ハロゲン化物基に変換 したものが具体例として挙げられる。

 本発明のスルホン酸およびその誘導体と 、具体的には、スルホン酸、スルホンアミ 、スルホンイミド、スルホン酸アンモニウ 塩、スルホン酸ピリジニウム塩、スルホン ミドアンモニウム塩、スルホンイミドピリ ニウム塩、スルホン酸ハロゲン化物が挙げ れる。

 スルホン酸とはスルホン基(-SO 3 H基)をもつ有機化合物であればどのような化 物であってもよい。より具体的には、たと ばメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、 ンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸 どの炭素数1以上、30以下の脂肪族または芳 族スルホン酸類、たとえばクロロメタンス ホン酸、トリフロロメタンスルホン酸、ク ロベンゼンスルホン酸などの炭素数1以上、3 0以下のハロゲン化脂肪族または芳香族スル ン酸類が挙げられる。さらにこれらのスル ン酸の水素原子の一部がニトロ基、アルコ シ基、ヒドロキシ基などの他の置換基に置 されていてもよい。

 スルホンアミドとは、上記に列挙された ルホン酸に対応するアミド化合物であり、 り具体的には、たとえばp-トルエンスルホ 酸アミド、メシチレンスルホン酸アニリド トリフロロメタンスルホン酸-N,N-ジメチルア ミドなどのスルホン酸とアンモニアまたは炭 素数1以上、50以下の1級または2級の脂肪族ま は芳香族アミンから誘導されるスルホンア ド化合物であり、たとえばp-トルエンスル ン酸イミダゾリド、メシチレンスルホン酸 ミダゾリド、トリイソプロピルベンゼンス ホン酸イミダゾリド、p-トルエンスルホン酸 トリアゾリド、p-トルエンスルホン酸テトラ リド、エタンスルホン酸イミダゾリドなど 、炭素数1以上、50以下のアルキルスルホニ アゾールまたは炭素数1以上、50以下のアリ ルスルホニルアゾールなどが挙げられる。

 スルホンイミドとは、上記に列挙された ルホン酸に対応するイミド化合物であり、 り具体的には、トリフルオロメタンスルホ イミド、p-トルエンスルホンイミド、クロ メタンスルホンイミドなどが挙げられる。

 スルホン酸アンモニウム塩とは、上記に列 されたスルホン酸に対応するアンモニウム である。このときアンモニウムカチオンはN H 4 + であっても、また1級、2級、3級または4級の 機アンモニウムカチオンであってもよい。 り具体的には、トリブチルアンモニウムト フラート(トリフロロメタンスルホン酸トリ チルアンモニウム)、ジメチルフェニルアン モニウムトリフラート、ジフェニルアンモニ ウムトリフラート、トリフェニルアンモニウ ムトリフラート、p-トルエンスルホン酸アン ニウム、トリクロロ酢酸アンモニウムなど 挙げられる。

 スルホン酸ピリジニウム塩とは、上記に 挙されたスルホン酸に対応するピリジニウ 塩であり、より具体的には、たとえばピリ ニウム-p-トルエンスルホン酸、ピリジニウ トリフロロメタンスルホン酸、メチルピリ ニウムメタンスルホン酸、ブチルピリジニ ムプロピオン酸などが挙げられる。

 スルホンイミドアンモニウム塩とは、上記 列挙されたスルホンイミドに対応するアン ニウム塩である。このときアンモニウムカ オンはNH 4 + であっても、また1級、2級、3級または4級の 機アンモニウムカチオンであってもよい。 り具体的には、たとえばジフェニルアンモ ウムトリフロロメタンスルホンイミドなど 挙げられる。

 スルホンイミドピリジニウム塩とは、上 に列挙されたスルホンイミドに対応するピ ジニウム塩であり、より具体的には、たと ばピリジニウムトリフロロメタンスルホン ミドなどが挙げられる。

 スルホン酸ハロゲン化物とは、上記に列 されたスルホン酸に対応する酸ハロゲン化 であり、より具体的には、たとえばp-トル ンスルホン酸塩化物、メシチレンスルホン 塩化物、トリイソプロピルベンゼンスルホ 酸塩化物、トリフロロメタンスルホン酸臭 物などが挙げられる。

 本発明の鉱酸の有機アンモニウム塩また ピリジニウム塩とは、カチオンが1級、2級 3級または4級の有機アンモニウムカチオンま たはピリジニウムカチオンである鉱酸の塩で あり、具体的にはたとえば硫酸ジフェニルア ンモニウム、テトラエチルアンモニウムクロ リド、硫酸ピリジニウムなどが挙げられる。

 本発明のシアノ基含有有機化合物とはシア 基(-CN基)が炭素、窒素、酸素または硫黄原 に結合している有機化合物のことである。 たこの有機化合物はシアノ基以外の官能基 分子内に有していてもよい。
 具体的には、たとえばプロピオニトリル、 ロノニトリル、ベンゾニトリルなどの炭素 1以上、30以下の脂肪族または芳香族ニトリ 化合物類;
トリクロロアセトニトリル、ブロモアセトニ トリルp-クロロベンゾニトリルなどの炭素数1 以上、30以下のハロゲン化脂肪族または芳香 ニトリル化合物類;
シアノピリジン、トリス(2-シアノエチル)ニ ロメタンなどの炭素数1以上、30以下の含窒 脂肪族または芳香族ニトリル化合物類;
シアノメチルベンゼンスルホナートなどの炭 素数1以上、30以下の含硫黄脂肪族または芳香 族ニトリル化合物類;
ジシアノジアミド、1-シアノイソウレア、N- アノホルムアミド、N-シアノアセトアミド、 1-シアノベンゾトリアゾール、1-ピロリジン ルボニトリル、4-モルホリンカルボニトリル などの炭素数1以上、50以下の脂肪族または芳 香族N-シアノ化合物類;
シアン酸-p-トリルなどの炭素数1以上、50以下 の脂肪族または芳香族O-シアノ化合物類;
テトラエチルアンモニウムシアナート、ピリ ジニウムシアナートなどのシアン酸アンモニ ウム塩またはピリジニウム塩;等が挙げられ 。

 本発明のイソシアノ基含有有機化合物とは イソシアノ基(-NC基)が炭素、窒素、酸素ま は硫黄原子に結合している有機化合物のこ である。またこの有機化合物はイソシアノ の他にイソシアノ基以外の官能基を有して てもよい。
 具体的には、たとえばイソシアン化シクロ キシル、イソプロピルイソシアニド、2,6-ジ メチルフェニルイソシアニドなどの炭素数1 上、30以下の脂肪族または芳香族イソシアノ 化合物類;2-モルホリノエチルイソシアニド、 ジエチルイソシアノメチルホスホナート、エ チルイソシアノアセテートなどの炭素数1以 、30以下のヘテロ原子含有脂肪族または芳香 族イソシアノ化合物類;などが挙げられる。

 本発明のケテン誘導体とは、ケテンおよ 熱分解などによりケテンが生成する有機化 物であり、具体的には、ケテン、ジケテン ケテンジエチルアセタール、1,1-ビス(メチ チオ)エチレン、2,2,6-トリメチル-4H-1,3-ジオ シン-4-オンなどが挙げられる。

 本発明のジカルコゲニド化合物とは、ジ ルフィド基(-SS-基)またはジセレニド(-SeSe-基 )を有する有機化合物であり、より具体的に 、たとえば2,2'-ジピリジルジスルフィド、2,2 '-ジピリジルジセレニドなどが挙げられる。

 これらの有機エステル化触媒のうち、ス ホン酸およびその誘導体ならびにシアノ基 有有機化合物が好ましい。

 本発明のガスバリア性組成物において、 上に例示した化合物の具体的な組み合わせ して、以下のものが挙げられる。

(A)成分:ポリビニルアルコール、エチレン-ビ ルアルコール共重合体、および糖類からな 群から選ばれる一種以上の化合物
(B)成分:ポリ(メタ)アクリル酸またはその部分 中和物であって、
(C)成分:アルコキシシラン、アルコキシジル ニウム、アルコキシアルミニウムおよびア コキシチタンからなる群から選ばれる一種 上および/またはその加水分解縮合物
(E)成分:エステル化触媒

(A)成分:ポリビニルアルコール
(B)成分:ポリアクリル酸
(C)成分:テトラメトキシシラン
(E)成分:ジシアノジアミド

 また、上記(A)~(C)および(E)成分に加えて、さ らに(D)成分を含む場合の具体的な組み合わせ として、以下のものが挙げられる。
(A)成分:ポリビニルアルコール、エチレン-ビ ルアルコール共重合体、および糖類からな 群から選ばれる一種以上の化合物
(B)成分:ポリ(メタ)アクリル酸またはその部分 中和物であって、
(C)成分:アルコキシシラン、アルコキシジル ニウム、アルコキシアルミニウムおよびア コキシチタンからなる群から選ばれる一種 上および/またはその加水分解縮合物
(D)成分:3-アミノプロピルトリメトキシシラン および3-アミノプロピルトリエトキシシラン らなる群から選択される一種以上
(E)成分:エステル化触媒

(A)成分:ポリビニルアルコール
(B)成分:ポリアクリル酸
(C)成分:テトラメトキシシラン
(D)成分:3-アミノプロピルトリメトキシシラン または3-アミノプロピルトリエトキシシラン
(E)成分:ジシアノジアミド

 ガスバリア性組成物の組成比
 本発明におけるガスバリア性組成物は、「( i)水酸基を有する水溶性高分子(A)およびカル キシル基を有する水溶性高分子(B)の混合物 、および「(ii)水酸基とカルボキシル基とを 有する水溶性高分子(AB)」の少なくとも一方 含む水溶性高分子(X)と、金属アルコキシド よび/または金属アルコキシドの加水分解縮 物(C)と、エステル化触媒(E)とを必須成分と る。以下、これらの成分の配合を説明する

 本発明で用いられる金属アルコキシドお び/またはその加水分解縮合物(C)の使用量は 、水溶性高分子(X)100重量部に対して、460重量 部以上、2700重量部以下である。(C)成分から ばれる一種以上の化合物が用いられること より、水溶性高分子のみからなる塗膜より 高いガスバリア性を示す。高温および高湿 条件下におけるガスバリア性の劣化を抑制 るためには、(C)成分の使用量の最適値があ 。(C)成分の使用量が上記範囲内であると、 スバリア性組成物から得られるフィルムは 高温および高湿度条件下におけるガスバリ 性の劣化が抑制され、高いガスバリア能を 持することができる。また、ガスバリア性 よび耐クラック性をさらに向上させる観点 さらにガスバリア性組成物のpH変動の影響を 軽減し、製造マージンを広くとることができ る観点から、460重量部以上、1600重量部以下 好ましく、460重量部以上、1500重量部以下が らに好ましく、460重量部以上、1400重量部以 下が特に好ましい。

 本発明に用いられるエステル化触媒(E)は 水溶性高分子(X)100重量部に対して、0.01重量 部以上、100重量部以下であり、好ましくは、 0.1重量部以上60重量部以下である。エステル 触媒(E)が少なすぎると、耐水性が不十分で り、多すぎると、塗膜の透明性が低下する 上記範囲内であれば、高温および高湿度条 下におけるガスバリア性の劣化が抑制され かつ透明性に優れたハードコートを得るこ ができる。

 本発明のガスバリア性組成物は、上記(D) 分をさらに含んでもよい。このとき、本発 で用いられる、1分子中に金属酸化物と結合 を形成できる官能基と、カルボキシル基と結 合を形成できる官能基とをそれぞれ1つ以上 する化合物(D)の使用量は、水溶性高分子(X)10 0重量部に対して、たとえば0.1重量部以上、20 重量部以下、好ましくは1重量部以上、20重量 部以下、より好ましくは、1重量部以上、15重 量部以下、よりさらに好ましくは、1重量部 上、10重量部以下である。本発明で用いられ る、1分子中に金属酸化物と結合を形成でき 官能基と、カルボキシル基と結合を形成で る官能基とをそれぞれ1つ以上有する化合物( D)が少なすぎると、塗膜の透明性が低下し、 すぎると、組成物の保存安定性が低下し、 ル化しやすくなる。

 また、本発明におけるガスバリア性組成 は、水酸基を有する水溶性高分子(A)、カル キシル基を有する水溶性高分子(B)、金属ア コキシドおよび/または金属アルコキシドの 加水分解縮合物(C)、およびエステル化触媒(E) を必須成分とすることが好ましい。以下、こ れらの成分の配合を説明する。

 水酸基を有する水溶性高分子(A)とカルボ シル基を有する水溶性高分子(B)の重量比は 97/3から3/97であり、耐水性をさらに向上さ る観点では95/5から5/95が好ましく、より好ま しくは、90/10から10/90である。また、水酸基 有する水溶性高分子(A)の比率がカルボキシ 基を有する水溶性高分子(B)の比率より相対 に高い方が高ガスバリア性を示すが、塗膜 耐水性は、(C)および(D)成分との比率を考慮 て、最適値が設定される。

 (B)成分に対して(A)成分を多く配合するこ により、(B)成分を多く配合した場合よりも 得られるコーティング膜のガスバリア性を らに向上させることができる。一方、コー ィング膜の被コーティング材料に対する密 性は、被コーティング材料に依存するが、( A)成分に対して(B)成分を多く配合することに り、被コーティング材料によっては、(A)成 を多く配合した場合よりも、得られるコー ィング膜の被コーティング材料に対する密 性をさらに向上させることができる。

 本発明で用いられる金属アルコキシドお び/またはその加水分解縮合物(C)の使用量は 、(A)成分と(B)成分の混合物100重量部に対して 、460重量部以上、1600重量部以下である。(C) 分から選ばれる一種以上の化合物が用いら ることにより、(A)および(B)成分のみからな 塗膜より、高いガスバリア性を示す。高温 よび高湿度条件下におけるガスバリア性の 化を抑制するためには、(C)成分の使用量の 適値がある。(C)成分の使用量が上記範囲内 あると、ガスバリア性組成物から得られる ィルムは、高温および高湿度条件下におけ ガスバリア性の劣化が抑制され、高いガス リア能を維持することができる。また、ガ バリア性および耐クラック性をさらに向上 せる観点、さらにガスバリア性組成物のpH変 動の影響を軽減し、製造マージンを広くとる ことができる観点から、460重量部以上、1500 量部以下が好ましく、さらに好ましくは460 量部以上、1400重量部以下である。

 本発明に用いられるエステル化触媒(E)は (A)成分と(B)成分の混合物100重量部に対して 0.01重量部以上、100重量部以下であり、好ま しくは、0.1重量部以上60重量部以下である。 ステル化触媒(E)が少なすぎると、耐水性が 十分であり、多すぎると、塗膜の透明性が 下する。上記範囲内であれば、高温および 湿度条件下におけるガスバリア性の劣化が 制され、かつ透明性に優れたハードコート 得ることができる。

 本発明のガスバリア性組成物は、上記(D) 分をさらに含んでもよい。このとき、本発 で用いられる、1分子中に金属酸化物と結合 を形成できる官能基と、カルボキシル基と結 合を形成できる官能基とをそれぞれ1つ以上 する化合物(D)の使用量は、(A)成分、(B)成分 混合物100重量部に対して、たとえば0.1重量 以上、20重量部以下、好ましくは1重量部以 、20重量部以下、より好ましくは、1重量部 上、15重量部以下、よりさらに好ましくは、 1重量部以上、10重量部以下である。本発明で 用いられる、1分子中に金属酸化物と結合を 成できる官能基と、カルボキシル基と結合 形成できる官能基とをそれぞれ1つ以上有す 化合物(D)が少なすぎると、塗膜の透明性が 下し、多すぎると、組成物の保存安定性が 下し、ゲル化しやすくなる。

 また、本発明のガスバリア性組成物は、さ に他の成分を含んでもよい。
 たとえば、本発明のガスバリア性組成物は 金属アルコキシドの加水分解・重縮合反応 おける反応を促進させる目的で、以下に示 ような加水分解・重合反応の触媒となりう ものを含んでいてもよい。金属アルコキシ の加水分解・重合反応の触媒として使用さ るものは、「最新ゾル-ゲル法による機能性 薄膜作製技術」(平島碩著、株式会社総合技 センター、P29)や「ゾル-ゲル法の科学」(作 済夫著、アグネ承風社、P154)等に記載されて いる一般的なゾル-ゲル反応で用いられる触 である。

 たとえば、酸触媒では塩酸、硝酸、硫酸 リン酸、酢酸、蓚酸、酒石酸、トルエンス ホン酸等の無機および有機酸類、アルカリ 媒では、水酸化アンモニウム、水酸化カリ ム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属 酸化物、テトラメチルアンモニウムヒドロ シド、テトラエチルアンモニウムヒドロキ ド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシ などの4級アンモニウム水酸化物、アンモニ ア、トリエチルアミン、トリブチルアミン、 モルホリン、ピリジン、ピペリジン、エチレ ンジアミン、ジエチレントリアミン、エタノ ールアミン、ジエタノールアミン、トリエタ ノールアミンなどのアミン類、3-アミノプロ ルトリエトキシシラン、N(2-アミノエチル)-3 -アミノプロピルトリメトキシシランなどの ミノシラン類などが挙げられる。

 その他にも、有機スズ化合物、チタニウ テトライソプロポキシド、ジイソプロポキ チタニウムビスアセチルアセトナート、ジ コニウムテトラブトキシド、ジルコニウム トラキスアセチルアセトナート、アルミニ ムトリイソプロポキシド、アルミニウムト スエチルアセトナート、トリメトキシボラ などの金属アルコキシド等を使用すること できる。反応性の観点から、比較的穏やか 反応が進行する塩酸、硝酸等、酸触媒を使 することが好ましい。好ましい触媒の使用 は、金属アルコキシド1モルに対して0.001モ 以上、0.05モル以下、好ましくは0.001モル以 、0.04モル以下、さらに好ましくは0.001モル 上、0.03モル以下の程度である。

 本発明において、金属アルコキシドおよ /またはその加水分解縮合物(C)における金属 アルコキシドを加水分解させる目的で、金属 アルコキシドおよび/またはその加水分解縮 物(C)に水を添加してもよく、添加する水の は、金属アルコキシドおよび/またはその部 加水分解重縮合物に含まれる総アルコキシ に対して、10モル当量以下であり、好まし は4モル当量以下であり、より好ましくは3モ ル当量以下である。

 本発明において、金属アルコキシド類の 水分解重縮合時の好ましい反応温度は1℃以 上、100℃以下であり、より好ましくは20℃以 、60℃以下であり、反応時間は1時間以上、5 0時間以下の程度が好ましい。

 本発明のガスバリア性組成物は、さらに 属酸化物微粒子を含んでいてもよい。金属 化物微粒子を添加することで、ハードコー の耐擦傷性が向上する。

 金属酸化物微粒子とは、珪素、アルミニウ 、チタニウム、ジルコニウム、インジウム スズ、亜鉛、アンチモンから選ばれる少な とも一つ以上の元素からなる酸化物微粒子 指す。金属酸化物微粒子は、BET法における 均粒子径が、耐擦傷性をさらに向上させる 点で1nm以上、透明性をさらに向上させる観 で100nm以下が望ましい。
 金属酸化物微粒子の具体例として下記があ 。

 シリカ微粒子としては、日産化学工業(株 )製 商品名:メタノールシリカゾル、MA-ST-MA、 MEK-ST、MIBK-ST、IPA-ST、IPA-ST-UP、IPA-ST-MS、IPA-ST-L 、IPA-ST-ZL、NPC-ST-30、NBA-ST、XBA-ST、EG-ST、DMAC-ST 、ST-20、ST-30、ST-40、ST-C、ST-N、ST-O、ST-S、ST-50 、ST-20L、ST-OL、ST-XS、ST-XL、ST-YL、ST-ZL、QAS-40 LSS-35、LSS-45、ST-UP、ST-OUP、ST-AK、日本アエロ ル(株)製 商品名:アエロジル50、アエロジル 90G、アエロジル130、アエロジル200、アエロジ ル200V、アエロジル200CF、アエロジル200FAD、ア エロジル300、アエロジル300CF、アエロジル380 アエロジルR972、アエロジルR972V、アエロジ R972CF、アエロジルR974、アエロジルR202、ア ロジルR805、アエロジルR812、アエロジルR812S アエロジルMOX80、アエロジルMOX170、アエロ ルCOK84、アエロジルTT600、アエロジルоX50等 挙げることができる。

 アルミナ微粒子としては、日産化学工業( 株)製 商品名:アルミナゾル-100、アルミナゾ -200、アルミナゾル-520等を挙げることがで る。

 アルミナ、酸化チタン、酸化インジウム 酸化スズ、酸化亜鉛の粉末および溶材料分 品としては、シーアイ化成(株)製 商品名: ノテックを挙げることができる。

 これら金属酸化物微粒子は、ガスバリア 組成物100重量部に対して1重量部以上、100重 量部以下、好ましくは1重量部以上、60重量部 以下含有する。金属酸化物微粒子が多すぎる と、塗膜の透明性が低下し、少なすぎると、 添加による効果が不十分である。上記範囲内 であれば、透明性、耐水性、ガスバリア性、 耐擦傷性のバランスにさらに優れたハードコ ートを得ることができる。

 ガスバリア性組成物
 本発明のガスバリア性組成物は、さらに溶 を含んでもよい。溶媒を含むことにより、 スバリア性組成物からなるコート材料を樹 表面に塗布する工程を容易にするので好ま い。

 用いることのできる溶媒は、水系溶媒ま は有機溶媒のどちらでもよく、本発明のガ バリア性組成物を溶解または分散させるも であれば特に限定はない。

 より具体的には、水;
メタノール、エタノール、プロパノールなど の炭素数1以上30以下のアルコール類;
n-ヘキサン、n-ヘプタン、トルエン、キシレ などの炭素数4以上30以下の脂肪族または芳 族炭化水素;
ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベン ゼン、o-ジブロモベンゼンなどの炭素数1以上 30以下の含ハロゲン脂肪族または芳香族炭化 素;
ジエチルエーテル、ジフェニルエーテルなど の炭素数2以上30以下の脂肪族または芳香族エ ーテル類;
酢酸エチル、プロピオン酸ブチルなどの炭素 数2以上30以下の脂肪族または芳香族エステル 類;
ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミ ドなどの炭素数2から30の脂肪族または芳香族 アミド化合物;
アセトニトリル、ベンゾニトリルなどの炭素 数2以上30以下の脂肪族または芳香族ニトリル 類;等が挙げられる。これらの溶媒は単独で いてもまた二種類以上の混合溶媒として用 てもよい。

 これらの溶媒のうち、特に水または水と ルコールの混合溶媒が好ましい。アルコー としては、メタノール、エタノール、プロ ノール、イソプロパノールなどが好ましい また水とアルコールの混合比は、重量比で2 /8から8/2が好ましい。

 用いる溶媒の量に特に制限はないが、水 性高分子(好ましくは、水酸基を有する水溶 性高分子(A)とカルボキシル基を有する水溶性 高分子(B)の混合物)100重量部に対し、通常は1 量部以上、1000000重量部以下の範囲であり、 より好ましくは10重量部以上、10000重量部以 の範囲である。

 次に、ガスバリア性組成物の製造方法を説 する。
 本発明におけるガスバリア性組成物は、「( i)水酸基を有する水溶性高分子(A)およびカル キシル基を有する水溶性高分子(B)」、およ 「(ii)水酸基とカルボキシル基とを有する水 溶性高分子(AB)」の少なくとも一方を含む水 性高分子(X)と、金属アルコキシドおよび/ま はその加水分解縮合物(C)と、エステル化触 (E)とを混合することにより得ることができ 。

 本発明におけるガスバリア性組成物は、 とえば、上記の水溶性高分子(X)を上記のい れかの溶媒に溶解した溶液と、金属アルコ シドおよび/または金属アルコキシドの加水 分解縮合物(C)と、エステル化触媒(E)とを混合 して調製される。

 水溶性高分子(X)が少なくとも2種からなる 場合、水溶性高分子(X)および(C)成分の混合順 序は特に制限はなく、任意の順で混合するこ とができる。(A)成分と(B)成分の混合液に(C)成 分を添加してもよく、(A)成分と(C)成分の混合 液に(B)成分を添加してもよく、(B)成分と(C)成 分の混合液に(A)成分を添加してもよい。

 また、(C)成分に加水分解・重縮合反応を ませてゾルをゲルとして固化し、ゲルの加 によって酸化物固体を生成するゾル-ゲル反 応の触媒を添加する場合、予め触媒を水で溶 解あるいは希釈してから添加してもよい。

 本発明のガスバリア性組成物は、さらに 1分子中に金属酸化物と結合を形成できる官 能基と、カルボキシル基と結合を形成できる 官能基とをそれぞれ1つ以上有する化合物(D) 含んでいてもよい。その場合、水溶性高分 (X)100重量部に対し、(D)成分を0.1重量部以上 20重量部以下の量となるように添加する。(D) 成分は、水溶性高分子(X)および(C)成分との関 係では、上記の製造方法における任意の時点 で添加することが可能である。

 また、エステル触媒(E)は、たとえば水溶 高分子(X)の溶液存在下なら、いつでも添加 てもよい。

 本発明のガスバリア性組成物の製造方法は に限定されない。好ましくは、以下に示す( a)~(h)の方法、より好ましくは(a)~(d)である。 お、以下は、(D)成分を含むガスバリア性組 物を製造する場合の例である。
(a)水溶性高分子(X)、(D)成分および(E)成分を溶 媒中で混合する工程、および
前工程で得られた混合液および前記(C)成分を 混合する工程を含み、
混合液および(C)成分を混合する工程において 、(C)成分の加水分解縮合反応を進行させる方 法。

(b)(X)成分および(E)成分を溶媒中で混合する工 程、および
前工程で得られた混合液、(D)成分および(C)成 分を混合する工程を含み、
混合液、(D)成分および(C)成分を混合する工程 において、(C)成分の加水分解縮合反応、なら びに(D)成分と金属酸化物およびカルボキシル 基のうち少なくとも一方との反応を進行させ る方法。

(c)(X)成分および(D)成分を溶媒中で混合する工 程、および
前工程で得られた混合液、前記(E)成分および 前記(C)成分を混合する工程を含み、
混合液、(E)成分および(C)成分を混合する工程 において、(C)成分の加水分解縮合反応を進行 させる方法。

(d)(X)成分を混合する工程、および
前工程で得られた混合液、(D)成分、(E)成分お よび(C)成分を混合する工程を含み、
混合液、(D)成分、(E)成分および(C)成分を混合 する工程において、(C)成分の加水分解縮合反 応、ならびに(D)成分と金属酸化物およびカル ボキシル基のうち少なくとも一方との反応を 進行させる方法。

(e)(X)成分、(D)成分および(E)成分を溶媒中で混 合する工程、および
前工程で得られた混合液および前記(C)成分に 触媒および水を添加し、一定時間攪拌した溶 液を混合する工程を含み、
混合液、および(C)成分に触媒および水を添加 し、一定時間攪拌した溶液を混合する工程に おいて、(C)成分の加水分解縮合反応をさらに 進行させる方法。

(f)(X)成分および(E)成分を溶媒中で混合する工 程、および
前工程で得られた混合液、(D)成分、および(C) 成分に触媒および水を添加し、一定時間攪拌 した溶液を混合する工程を含み、
混合液、(D)成分、および(C)成分に触媒および 水を添加し、一定時間攪拌した溶液を混合す る工程において、(C)成分の加水分解縮合反応 をさらに進行させるとともに、(D)成分と金属 酸化物およびカルボキシル基のうち少なくと も一方との反応を進行させる方法。

(g)(X)成分および(D)成分を溶媒中で混合する工 程、および
前工程で得られた混合液、前記(E)成分、およ び前記(C)成分に触媒および水を添加し、一定 時間攪拌した溶液を混合する工程を含み、
混合液、(E)成分、および(C)成分に触媒および 水を添加し、一定時間攪拌した溶液を混合す る工程において、(C)成分の加水分解縮合反応 をさらに進行させる方法。

(h)(X)成分を混合する工程、および
前工程で得られた混合液、(D)成分、(E)成分、 および(C)成分に触媒および水を添加し、一定 時間攪拌した溶液を混合する工程を含み、
混合液、(D)成分、(E)成分、および(C)成分に触 媒および水を添加し、一定時間攪拌した溶液 を混合する工程において、(C)成分の加水分解 縮合反応をさらに進行させるとともに、(D)成 分と金属酸化物およびカルボキシル基のうち 少なくとも一方との反応を進行させる方法。

 上記製造方法において、(D)成分と金属酸 物およびカルボキシル基のうち少なくとも 方との反応において、(D)成分が金属酸化物 よびカルボキシル基の両方と反応すること 好ましい。また、(D)成分の反応は、具体的 は、金属酸化物およびカルボキシル基のう 少なくとも一方との結合反応であり、(D)成 が、金属酸化物およびカルボキシル基の両 に結合することが好ましい。

 さらに、ガスバリア性組成物の製造方法の ましい態様を具体的に説明する。
 本発明におけるガスバリア性組成物は、水 基を有する水溶性高分子(A)、カルボキシル を有する水溶性高分子(B)、金属アルコキシ および/またはその加水分解縮合物(C)および エステル化触媒(E)を混合することにより得る ことができる。
 なお、本発明におけるガスバリア性組成物 製造方法は、(A)成分と(B)成分との重量比が9 7/3から3/97となるように配合するとともに、(A )成分と(B)成分との混合物100重量部に対し、(C )成分を460重量部以上、1600重量部以下、前記( E)成分を0.01重量部以上、100重量部以下の量と なるように添加する工程を含む。

 本発明におけるガスバリア性組成物は、 とえば、水酸基を有する水溶性高分子(A)と ルボキシル基を有する水溶性高分子(B)を上 のいずれかの溶媒に溶解した溶液と、金属 ルコキシドおよび/または金属アルコキシド の加水分解縮合物(C)と、エステル化触媒(E)と を混合して調製される。

 (A)成分、(B)成分、および(C)成分の混合順 は特に制限はなく、任意の順で混合するこ ができる。(A)成分と(B)成分の混合液に(C)成 を添加してもよく、(A)成分と(C)成分の混合 に(B)成分を添加してもよく、(B)成分と(C)成 の混合液に(A)成分を添加してもよい。

 また、(C)成分に加水分解・重縮合反応を ませてゾルをゲルとして固化し、ゲルの加 によって酸化物固体を生成するゾル-ゲル反 応の触媒を添加する場合、予め触媒を水で溶 解あるいは希釈してから添加してもよい。(C) 成分の添加方法は、(C)成分を単独で反応させ た後に、(A)成分もしくは(B)成分またはそれら の混合液に添加する方法や、(C)成分を(A)成分 と混合し反応させた後に、(B)成分と混合する か、あるいは(C)成分を(B)成分と混合し反応さ せた後に、(A)成分と混合させる等の方法を挙 げることができる。

 本発明のガスバリア性組成物は、さらに 1分子中に金属酸化物と結合を形成できる官 能基と、カルボキシル基と結合を形成できる 官能基とをそれぞれ1つ以上有する化合物(D) 含んでいてもよい。その場合、(A)成分と(B) 分の混合物100重量部に対し、(D)成分を0.1重 部以上、20重量部以下の量となるように添加 する。

 (D)成分は、(A)~(C)成分との関係では、上記 の製造方法における任意の時点で添加するこ とが可能であるが、金属酸化物と結合を形成 できる官能基が、アルコキシシリル基である 場合は、以下の(1)または(2)の方法等を挙げる ことができる。なお、本発明においては、い ずれの方法を用いてもよい。

 (1)水酸基を有する水溶性高分子(A)とカル キシル基を有する水溶性高分子(B)を上記の ずれかの溶媒に溶解した溶液に、1分子中に 金属酸化物と結合を形成できる官能基と、カ ルボキシル基と結合を形成できる官能基とを それぞれ1つ以上有する化合物(D)を滴下して 拌混合させた溶液と、金属アルコキシドお び/または金属アルコキシドの加水分解縮合 (C)または該(C)成分に触媒および水を添加し 定時間攪拌した溶液とを、使用する直前に ぜ合わせた後、所定時間、所定温度で反応 せて調製する方法。

 (2)カルボキシル基を有する水溶性高分子( B)が溶解した溶液に、1分子中に金属酸化物と 結合を形成できる官能基と、カルボキシル基 と結合を形成できる官能基とをそれぞれ1つ 上有する化合物(D)を滴下して攪拌混合させ 後に、水酸基を有する水溶性高分子(A)が溶 した溶液を加えて調製した溶液と、金属ア コキシドおよび/または金属アルコキシドの 水分解縮合物(C)または、(C)に触媒および水 添加し一定時間攪拌した溶液とを、使用す 直前に混ぜ合わせた後、所定時間、所定温 で反応させて調製する方法。

 また、エステル触媒(E)は、たとえば(A)成 または(B)成分の溶液存在下なら、いつでも 加してもよい。

 本発明のガスバリア性組成物の製造方法は に限定されない。好ましくは、以下に示す( i)~(viii)の方法、より好ましくは(i)~(iv)である なお、以下は、(D)成分を含むガスバリア性 成物を製造する場合の例である。
(i)(A)成分、(B)成分、(D)成分および(E)成分を溶 媒中で混合する工程、および
前工程で得られた混合液および前記(C)成分を 混合する工程を含み、
混合液および(C)成分を混合する工程において 、(C)成分の加水分解縮合反応を進行させる方 法。

(ii)(A)成分、(B)成分および(E)成分を溶媒中で 合する工程、および
前工程で得られた混合液、(D)成分および(C)成 分を混合する工程を含み、
混合液、(D)成分および(C)成分を混合する工程 において、(C)成分の加水分解縮合反応、なら びに(D)成分と金属酸化物およびカルボキシル 基のうち少なくとも一方との反応を進行させ る方法。

(iii)(A)成分、(B)成分および(D)成分を溶媒中で 合する工程、および
前工程で得られた混合液、前記(E)成分および 前記(C)成分を混合する工程を含み、
混合液、(E)成分および(C)成分を混合する工程 において、(C)成分の加水分解縮合反応を進行 させる方法。

(iv)(A)成分および(B)成分を混合する工程、お び
前工程で得られた混合液、(D)成分、(E)成分お よび(C)成分を混合する工程を含み、
混合液、(D)成分、(E)成分および(C)成分を混合 する工程において、(C)成分の加水分解縮合反 応、ならびに(D)成分と金属酸化物およびカル ボキシル基のうち少なくとも一方との反応を 進行させる方法。

(v)(A)成分、(B)成分、(D)成分および(E)成分を溶 媒中で混合する工程、および
前工程で得られた混合液および前記(C)成分に 触媒および水を添加し、一定時間攪拌した溶 液を混合する工程を含み、
混合液、および(C)成分に触媒および水を添加 し、一定時間攪拌した溶液を混合する工程に おいて、(C)成分の加水分解縮合反応をさらに 進行させる方法。

(vi)(A)成分、(B)成分および(E)成分を溶媒中で 合する工程、および
前工程で得られた混合液、(D)成分、および(C) 成分に触媒および水を添加し、一定時間攪拌 した溶液を混合する工程を含み、
混合液、(D)成分、および(C)成分に触媒および 水を添加し、一定時間攪拌した溶液を混合す る工程において、(C)成分の加水分解縮合反応 をさらに進行させるとともに、(D)成分と金属 酸化物およびカルボキシル基のうち少なくと も一方との反応を進行させる方法。

(vii)(A)成分、(B)成分および(D)成分を溶媒中で 合する工程、および
前工程で得られた混合液、前記(E)成分、およ び前記(C)成分に触媒および水を添加し、一定 時間攪拌した溶液を混合する工程を含み、
混合液、(E)成分、および(C)成分に触媒および 水を添加し、一定時間攪拌した溶液を混合す る工程において、(C)成分の加水分解縮合反応 をさらに進行させる方法。

(viii)(A)成分および(B)成分を混合する工程、お よび
前工程で得られた混合液、(D)成分、(E)成分、 および(C)成分に触媒および水を添加し、一定 時間攪拌した溶液を混合する工程を含み、
混合液、(D)成分、(E)成分、および(C)成分に触 媒および水を添加し、一定時間攪拌した溶液 を混合する工程において、(C)成分の加水分解 縮合反応をさらに進行させるとともに、(D)成 分と金属酸化物およびカルボキシル基のうち 少なくとも一方との反応を進行させる方法。

 上記(ii)、(iv)、(vi)および(viii)において、( D)成分と金属酸化物およびカルボキシル基の ち少なくとも一方との反応において、(D)成 が金属酸化物およびカルボキシル基の両方 反応することが好ましい。また、(D)成分の 応は、具体的には、金属酸化物およびカル キシル基のうち少なくとも一方との結合反 であり、(D)成分が、金属酸化物およびカル キシル基の両方に結合することが好ましい

 コーティング膜(ガスバリア性ハードコート 、ガスバリア性フィルム)
 本発明のコーティング膜は、本発明のガス リア性組成物の膜状物を形成しこれを熱処 することにより製造される。
 膜状物とは、組成物が基材の表面を覆った 態を指す。膜状物を形成する方法は、特に 定はなく、たとえばガスバリア性組成物の 液をガラス板、金属板や熱可塑性樹脂フィ ムなどの支持体上に流延し、乾燥する方法 どがある。支持体上に所望の厚さに膜状物 形成した後、熱処理を行う。熱処理温度は 常50℃以上、250℃以下の範囲であって、よ 好ましくは80℃以上、200℃以下、さらに好ま しくは80℃以上、150℃以下の範囲である。本 明において、(E)エステル化触媒を使用する とにより、たとえば、より低温で高いガス リア性を発現することも可能となる。より 温で熱処理することにより、コーティング の着色を抑制できる。また熱可塑性樹脂フ ルムを支持体として用いる場合、低融点の 脂フィルム上に、コーティング膜を製造す ことも可能である。熱処理時間は通常1秒以 上である。

 本発明のコーティング膜の膜厚は0.01μm以 上、100μm以下、好ましくは0.1μm以上、70μm以 である。膜厚が大きすぎると、塗膜にクラ クが生じる可能性がある。

 本発明に係るガスバリア性組成物からなる ーティング膜は、気体、水蒸気等のガスバ ア性に優れている。本発明のガスバリア性 ードコートの、ガスバリア性の具体例を挙 ると、膜厚50μmのポリイミドフィルム上に 厚0.7μmのコーティング膜を積層した場合、 度23℃、湿度90%の条件下、酸素透過率測定装 置(MOCON社製 OXTRAN 2/21MH)を用いて測定した積 体の酸素透過率(cc/m 2 ・day・atm)が、10以下、好ましくは9以下であ 。
 一方、同様の方法にて測定されたコーティ グ膜の酸素透過率(cc/m 2 ・day・atm)は、23以下、好ましくは18以下であ 。なお、酸素透過率の下限値は0.01以上とす ることができる。

 さらに、本発明に係るガスバリア性組成物 らなるコーティング膜は、高温および高湿 条件下における劣化が抑制されており、気 、水蒸気等のガスバリア性に優れている。 述の酸素透過率測定終了後、湿熱試験(温度 40℃、湿度90%の条件下24時間放置)を行い、そ 後再び酸素透過率を測定した場合、積層体 酸素透過率(cc/m 2 ・day・atm)は、11以下、好ましくは10以下、よ 好ましくは9以下である。
 一方、同様の方法にて測定された湿熱試験 のコーティング膜の酸素透過率は、30以下 好ましくは23以下、より好ましくは18以下で る。なお、酸素透過率の下限値は0.01以上と することができる。

 本発明の積層体(ガスバリア性積層フィルム 、ハードコート積層体)は、本発明のコーテ ング膜を少なくとも一層含む積層体のこと あり、具体的には、
(i)基板上に、本発明のコーティング膜を積層 した積層体、および
(ii)本発明のコーティング膜と、プラスチッ 基材とを積層した積層体
(iii)プラスチック基材と、このプラスチック 材上に形成された無機化合物からなる蒸着 と、この蒸着膜上に形成された本発明のコ ティング膜と、を備える積層体
等が挙げられる。

 上記(i)の積層体において、基板として、 体的には、絶縁性基板、半導体基板、およ 金属基板が挙げられる。絶縁性基板として 、たとえば、ガラス基板や、ポリカーボネ ト基板等の有機樹脂基板が挙げられる。

 また、上記(ii)の積層体として、具体的に は、本発明のコーティング膜と、他の可とう 性フィルムとの積層フィルムが挙げられる。 さらに具体的には、本発明のコーティング膜 と熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも二層か らなるものが挙げられる。

 用いられるプラスチック基材としては、 可塑性を有する樹脂フィルムを用いること できる。具体的には、たとえばポリエチレ 、ポリプロピレン、シクロオレフィンコポ マーなどのポリオレフィン樹脂フィルム、 とえばナイロン6、ナイロン66などのポリア ド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム たとえばポリエチレンテレフタレート、ポ エチレンナフタレートなどのポリエステル 脂フィルムなどが挙げられる。またはこれ の樹脂の混合物からなるフィルムまたはこ らのフィルムの積層体であってもよい。こ らのフィルムは未延伸フィルムであっても 伸フィルムであってもよい。

 本発明の積層体を得る方法に特に限定は く、コーティング法、ドライラミネート法 押出コーティング法などの公知の積層方法 とることができる。

 コーティング法では、たとえば本発明の ート材料を熱可塑性フィルムに所望の厚さ コーティングし、熱処理することにより積 フィルム等の積層体を得ることができる。 スバリア性組成物からなるコート材料を熱 塑性樹脂フィルムにコーティングする方法 特に限定はなく、通常の方法により行うこ ができる。コート材料は、2軸延伸後に熱可 塑性樹脂フィルムに塗布しそれから熱処理を 行ってもよく、また未延伸フィルムにコート 材料を塗布し、同時2軸延伸および熱処理を ってもよいし、走行方向への1軸延伸後にコ ト材料を塗布し次いで幅方向に延伸、熱処 を行ってもよい。

 ドライラミネート法では、本発明のコー ィング膜と熱可塑性樹脂フィルムを公知の 法で張りあわせる。押出しコーティング法 は、本発明のコーティング膜上に熱可塑性 脂を溶融押出して積層フィルムを得る。

 また、上記(iii)の積層体において、具体 には、プラスチック基材と、無機化合物か なる蒸着膜と、本発明のコーティング膜と 順に積層された少なくとも三層からなる積 体が挙げられる。積層体(iii)は、蒸着膜をプ ラスチック基材と本発明のコーティング膜と の間に介在させているので、ガスバリア性を さらに高めることもできる。また、プラスチ ック基材と蒸着膜との間に、他の層を有して いてもよい。

 用いられるプラスチック基材としては、上 (ii)と同様なものを用いることができる。
 蒸着膜としては、AlO、SiN、SiO、ダイヤモン ・ライク・カーボン(Diamond-like 
Carbon)等からなる膜を用いることができ、こ らは組み合わせて用いることができる。蒸 膜の形成方法としては、公知の方法を用い ことができ、物理気相成長法(Physical 
Vapor Deposition)、化学気相成長法(Chemical Vapor 
Deposition)等を挙げることができる。

 従来は、基材にガスバリア性および耐擦 性を付与するために、ガスバリアコート膜 ハードコート膜を積層していたが、本発明 おける、ガスバリア性組成物から得られる ーティング膜は、たとえば1回のコーティン グで、積層膜と同等の物性を得ることも可能 である。

 また、たとえば、従来よりも低い熱処理 度で、透明性、高湿度下におけるガスバリ 性および耐擦傷性を有する樹脂フィルムを 造できるガスバリア性ハードコート用組成 、および該ハードコート用組成物の膜状物 熱処理してなるガスバリア性ハードコート よびその製造方法を得ることも可能となる

 さらに、たとえば、透明性または耐水性 向上させることも可能となる。また、たと ば、着色しない構成とすることも可能とな 。得られたコーティング膜は、具体的には 以下の用途等で使用することもできる。

 1.フォトクロミック化合物含有樹脂用コー ィング材料
 従来から、紫外線領域の光を吸収して発色 たは変色する、いわゆるフォトクロミック 合物が知られている。このフォトクロミッ 化合物を樹脂に添加したフォトクロミック 合物含有樹脂は、幅広く利用されており、 とえば、ガラス間に薄膜状に形成し、自動 用ガラス、窓ガラスに使用されている。ま 、メガネレンズ材料に練り混んだり、レン 上に積層することで、フォトクロミックレ ズとして使用されている。
 フォトクロミックレンズとは、屋外では、 陽光に含まれる紫外光により、速やかに着 し、サングラスとして機能し、屋内では、 色して透明な通常のメガネとして機能する ンズのことである。これらフォトクロミッ 製品は、紫外光の照射に応じた発色-退色作 用が持続しないという問題点がある。原因は 、紫外光や、大気中の酸素および水分との接 触によるフォトクロミック化合物の劣化と見 られている。そのため、これら製品は、多湿 下で長時間使用しても発色-退色作用が持続 きる耐久性が要求される。
 本発明のコーティング材料からなるフィル は、高温および高湿度条件下におけるガス リア性の劣化が抑制されている。そのため フォトクロミック製品上に本発明のフィル を積層すれば、ガスバリア性が長期に亘っ 維持され、大気中のガスを遮断し、フォト ロミック化合物の劣化を抑制できると考え れる。特にフォトクロミックレンズにおい は、レンズの傷つき防止のため、ハードコ ト層が積層されるが、本発明のコーティン 膜は、ガスバリア能に加えて、ハードコー 能を有しているため、ハードコート膜の積 は不要となる。

 2.ディスプレイ用基板用コーティング材料
 ディスプレイ用基板は、従来ガラスが用い れていたが、近年、ディスプレイの小型化 軽量化に対応するため、薄い、軽い、割れ いといった特徴を持つプラスチックに置き わっている。プラスチックは上記のような 徴を持つ反面、ガスバリア性、寸法安定性 耐熱性、耐薬品性、低吸水率性、光学異方 等、耐擦傷性に問題を抱えている。特にガ バリア性は、水蒸気、酸素の表示素子内へ 侵入によって、表示欠陥等の問題を引き起 すために、高い性能が要求される。本発明 コーティング膜をディスプレイ基板上に積 すれば、高温および高湿度条件下であって ガスバリア性が維持されるので、長期間に り大気中のガスを遮断し、表示素子の劣化 抑制することができる。また、併せてハー コート能を基板に付与することができる。

 以下に、本発明の実施例を示す。なお、 発明は、以下の実施例に限定されるもので なく、特許請求の範囲の記載から把握され 技術範囲において、種々の形態に変更する とが可能である。

[実施例1]
(ガスバリア性(ハードコート用)組成物の調製 )
ポリビニルアルコール水溶液
 (A)成分として、和光純薬工業社製ポリビニ アルコール(PVA)500、完全ケン化型(平均重合 :約400~600)5重量部に対して蒸留水95重量部を えPVAを加熱下溶解することでPVA5重量%水溶 を得た。
ポリアクリル酸水溶液
 (B)成分として、和光純薬工業社製ポリアク ル酸(PAA)水溶液(25%)(粘度:8000~12000cP(30℃))20重 量部に対して蒸留水30重量部を加えPAA10重量% 溶液を得た。
 なお、以降の実施例および比較例において (A)成分を含む水溶液および(B)成分を含む水 液として、それぞれこれらの水溶液を用い 。

(コーティング用組成物の調製)
 メタノール771重量部に、(C)成分であるテト メトキシシラン(TMOS)460重量部、(E)成分であ ジシアノジアミドを23重量部加え、その後 シアノジアミドが溶解するまで攪拌した。 れを溶液(1)とする。
 PVA5重量%水溶液600重量部にPAA10重量%水溶液70 0重量部、水838重量部を加えた後、この水溶 を攪拌しながら、(D)成分である3-アミノプロ ピルトリメトキシシラン(APTMOS)とエタノール 重量比1:9で混合した溶液52重量部を滴下し さらに室温で30分攪拌した。これを溶液(2)と する。
 溶液(2)に溶液(1)を加え、30℃で1.5時間攪拌 、ガスバリア性組成物を得た。

(コーティング膜(ハードコート)の作製)
 厚さ50μmのポリイミドフィルム(東レ・デュ ン株式会社製、カプトン200EN 膜厚50μm)に、 上記の方法で調製した組成物を、バーコータ ーを用いて、硬化後の厚みが約0.7μmとなるよ うに塗布した。その後、40℃で10分、110℃で2 間加熱し、コーティング膜を得た。

[実施例2]
 メタノール778重量部に、(C)成分であるテト メトキシシラン(TMOS)460重量部、(E)成分であ ジシアノジアミドを23重量部加え、その後 シアノジアミドが溶解するまで攪拌した。 れを溶液(3)とする。
 PVA5重量%水溶液1000重量部にPAA10重量%水溶液5 00重量部、水624重量部を加えた後、この水溶 を攪拌しながら、(D)成分である3-アミノプ ピルトリメトキシシラン(APTMOS)とエタノール を重量比1:9で混合した溶液37重量部を滴下し さらに室温で30分攪拌した。これを溶液(4) する。
 溶液(4)に溶液(3)を加え、30℃で1.5時間攪拌 、ガスバリア性組成物を得た。これを用い 、実施例1と同様の方法で塗布、加熱し、コ ティング膜を得た。

[実施例3]
 メタノール775重量部に、(C)成分であるテト メトキシシラン(TMOS)465重量部、(E)成分であ ジシアノジアミドを23重量部加え、その後 シアノジアミドが溶解するまで攪拌した。 れを溶液(5)とする。
 PVA5重量%水溶液600重量部にPAA10重量%水溶液70 0重量部、水851重量部を加えた後、この水溶 を攪拌しながら、(D)成分である3-アミノプロ ピルトリメトキシシラン(APTMOS)とエタノール 重量比1:9で混合した溶液52重量部を滴下し さらに室温で30分攪拌した。これを溶液(6)と する。
 溶液(6)に溶液(5)を加え、30℃で1.5時間攪拌 、ガスバリア性組成物を得た。これを用い 、実施例1と同様の方法で塗布、加熱し、コ ティング膜を得た。

[実施例4]
 メタノール810重量部に、(C)成分であるテト メトキシシラン(TMOS)500重量部、(E)成分であ ジシアノジアミドを23重量部加え、その後 シアノジアミドが溶解するまで攪拌した。 れを溶液(7)とする。
 PVA5重量%水溶液1000重量部にPAA10重量%水溶液5 00重量部、水728重量部を加えた後、この水溶 を攪拌しながら、(D)成分である3-アミノプ ピルトリメトキシシラン(APTMOS)とエタノール を重量比1:9で混合した溶液37重量部を滴下し さらに室温で30分攪拌した。これを溶液(8) する。
 溶液(8)に溶液(7)を加え、30℃で1.5時間攪拌 、ガスバリア性組成物を得た。これを用い 、実施例1と同様の方法で塗布、加熱し、コ ティング膜を得た。

[実施例5]
 メタノール824重量部に、(C)成分であるテト メトキシシラン(TMOS)528重量部、(E)成分であ ジシアノジアミドを23重量部加え、その後 シアノジアミドが溶解するまで攪拌した。 れを溶液(9)とする。
 PVA5重量%水溶液600重量部にPAA10重量%水溶液70 0重量部、水1013重量部を加えた後、この水溶 を攪拌しながら、(D)成分である3-アミノプ ピルトリメトキシシラン(APTMOS)とエタノール を重量比1:9で混合した溶液52重量部を滴下し さらに室温で30分攪拌した。これを溶液(10) する。
 溶液(10)に溶液(9)を加え、30℃で1.5時間攪拌 、ガスバリア性組成物を得た。これを用い 、実施例1と同様の方法で塗布、加熱し、コ ーティング膜を得た。

[実施例6]
 メタノール867重量部に、(C)成分であるテト メトキシシラン(TMOS)581重量部、(E)成分であ ジシアノジアミドを23重量部加え、その後 シアノジアミドが溶解するまで攪拌した。 れを溶液(11)とする。
 PVA5重量%水溶液600重量部にPAA10重量%水溶液70 0重量部、水1152重量部を加えた後、この水溶 を攪拌しながら、(D)成分である3-アミノプ ピルトリメトキシシラン(APTMOS)とエタノール を重量比1:9で混合した溶液52重量部を滴下し さらに室温で30分攪拌した。これを溶液(12) する。
 溶液(12)に溶液(11)を加え、30℃で1.5時間攪拌 し、ガスバリア性組成物を得た。これを用い て、実施例1と同様の方法で塗布、加熱し、 ーティング膜を得た。

[実施例7]
 メタノール1146重量部に、(C)成分であるテト ラメトキシシラン(TMOS)933重量部、(E)成分であ るジシアノジアミドを23重量部加え、その後 シアノジアミドが溶解するまで攪拌した。 れを溶液(13)とする。
 PVA5重量%水溶液600重量部にPAA10重量%水溶液70 0重量部、水2066重量部を加えた後、この水溶 を攪拌しながら、(D)成分である3-アミノプ ピルトリメトキシシラン(APTMOS)とエタノール を重量比1:9で混合した溶液52重量部を滴下し さらに室温で30分攪拌した。これを溶液(14) する。
 溶液(14)に溶液(13)を加え、30℃で1.5時間攪拌 し、ガスバリア性組成物を得た。これを用い て、実施例1と同様の方法で塗布、加熱し、 ーティング膜を得た。
 図2に、コーティング膜の断面TEM画像を示す 。

[実施例8]
(PET/SiN積層膜の作製)
 厚み125μmのPET(ポリエチレンテレフタレート )フィルム上に、シリコーン樹脂コート剤(商 名:SHC900 
GE東芝製)を厚み2μmとなるようにグラビアコ ティングし、120℃で15分加熱し、コート膜を 得た。続いて、シリコーン樹脂層上に、CVD法 により、膜厚20nmとなるように窒化珪素(SiN)膜 の作製を行った。以後、ここで得られたもの をPET/SiN積層膜と略記する。

(コーティング用組成物の調製)
 メタノール1142重量部に、(C)成分であるテト ラメトキシシラン(TMOS)930重量部、(E)成分であ るジシアノジアミドを22.3重量部加え、その ジシアノジアミドが溶解するまで攪拌した これを溶液(15)とする。
 PVA5重量%水溶液600重量部にPAA10重量%水溶液70 0重量部、水2055重量部を加えた後、この水溶 を攪拌しながら、(D)成分である3-アミノプ ピルトリメトキシシラン(APTMOS)とエタノール を重量比1:9で混合した溶液52重量部を滴下し さらに室温で30分攪拌した。これを溶液(16) する。
溶液(16)に溶液(15)を加え、30℃で1.5時間攪拌 、ガスバリア性組成物を得た。

(コーティング膜(ハードコート)の作製)
 PET/SiN積層膜に、上記の方法で調製した組成 物を、バーコーターを用いて、硬化後の厚み が約2μmとなるように塗布した。その後、40℃ で10分、110℃で2時間加熱し、コーティング膜 を得た。

[実施例9]
 メタノール1052重量部に、(C)成分であるテト ラメトキシシラン(TMOS)830重量部、(E)成分であ るジシアノジアミドを11.4重量部加え、その ジシアノジアミドが溶解するまで攪拌した これを溶液(17)とする。
 PVA5重量%水溶液1400重量部にPAA10重量%水溶液3 00重量部、水1286重量部を加え、さらに室温で 30分攪拌した。これを溶液(18)とする。
溶液(18)に溶液(17)を加え、30℃で1.5時間攪拌 、ガスバリア性組成物を得た。これを用い 、実施例8と同様の方法でPET/SiN積層膜上に塗 布、加熱し、コーティング膜を得た。

[実施例10]
 メタノール1437重量部に、(C)成分であるテト ラメトキシシラン(TMOS)1300重量部、(E)成分で るジシアノジアミドを23重量部加え、その後 ジシアノジアミドが溶解するまで攪拌した。 これを溶液(19)とする。
 PVA5重量%水溶液600重量部にPAA10重量%水溶液70 0重量部、水3018重量部を加えた後、この水溶 を攪拌しながら、(D)成分である3-アミノプ ピルトリメトキシシラン(APTMOS)とエタノール を重量比1:9で混合した溶液52重量部を滴下し さらに室温で30分攪拌した。これを溶液(20) する。
 溶液(20)に溶液(19)を加え、30℃で1.5時間攪拌 し、ガスバリア性組成物を得た。これを用い て、実施例1と同様の方法で塗布、加熱し、 ーティング膜を得た。

[実施例11]
 メタノール1674重量部に、(C)成分であるテト ラメトキシシラン(TMOS)1600重量部、(E)成分で るジシアノジアミドを23重量部加え、その後 ジシアノジアミドが溶解するまで攪拌した。 これを溶液(21)とする。
 PVA5重量%水溶液600重量部にPAA10重量%水溶液70 0重量部、水3797重量部を加えた後、この水溶 を攪拌しながら、(D)成分である3-アミノプ ピルトリメトキシシラン(APTMOS)とエタノール を重量比1:9で混合した溶液52重量部を滴下し さらに室温で30分攪拌した。これを溶液(22) する。
 溶液(22)に溶液(21)を加え、30℃で1.5時間攪拌 し、ガスバリア性組成物を得た。これを用い て、実施例1と同様の方法で塗布、加熱し、 ーティング膜を得た。

[実施例12]
 PAA10重量%水溶液700重量部を攪拌しながら、( D)成分である3-アミノプロピルトリメトキシ ランとエタノールを重量比1:9で混合した溶 を52重量部滴下し、その後室温で30分攪拌し 。続いて、PVA5重量%水溶液を600重量部、(E) 分であるジシアノジアミドを23重量部、水101 3重量部を加えてさらに10分間攪拌した。続い て、(C)成分であるテトラメトキシシラン528重 量部、メタノール824重量部を添加し、30℃で1 .5時間攪拌し、ガスバリア性組成物を得た。 れを用いて、実施例1と同様の方法で塗布、 加熱し、コーティング膜を得た。

[実施例13]
 PAA10重量%水溶液700重量部に、PVA5重量%水溶 を600重量部、(E)成分であるジシアノジアミ 23重量部、水1013重量部を加えて10分間攪拌し た。これを溶液(23)とする。一方、(C)成分で るテトラメトキシシラン528重量部に、メタ ール824重量部、(D)成分である3-アミノプロピ ルトリメトキシシランとエタノールを重量比 1:9で混合した溶液52重量部を添加し、その後 温で10分攪拌した。これを溶液(24)とする。
 溶液(24)と溶液(23)を混合し、さらに室温で1. 5時間攪拌を行った。これを用いて、実施例1 同様の方法で塗布、加熱し、コーティング を得た。

[実施例14]
 PAA10重量%水溶液700重量部とPVA5重量%水溶液60 0重量部、水1013重量部を混合した。これを溶 (25)とする。一方、(C)成分であるテトラメト キシシラン528重量部に、(D)成分である3-アミ プロピルトリメトキシシランとエタノール 重量比1:9で混合した溶液を52重量部、(E)成 であるジシアノジアミド23重量部、メタノー ル824重量部を添加し、その後室温で30分攪拌 た。これを溶液(26)とする。
 溶液(26)と溶液(25)を混合し、さらに室温で1. 5時間攪拌を行った。これを用いて、実施例1 同様の方法で塗布、加熱し、コーティング を得た。

[比較例1]
 メタノール609重量部に、(C)成分であるテト メトキシシラン(TMOS)256重量部、(E)成分であ ジシアノジアミドを23重量部加え、その後 シアノジアミドが溶解するまで攪拌した。 れを溶液(27)とする。
 PVA5重量%水溶液600重量部にPAA10重量%水溶液70 0重量部、水309重量部を加えた後、この水溶 を攪拌しながら、(D)成分である3-アミノプロ ピルトリメトキシシラン(APTMOS)とエタノール 重量比1:9で混合した溶液52重量部を滴下し さらに室温で30分攪拌した。これを溶液(28) する。
 溶液(28)に溶液(27)を加え、30℃で1.5時間攪拌 し、ガスバリア性組成物を得た。これを用い て、実施例1と同様の方法で塗布、加熱し、 ーティング膜を得た。
 図3に、コーティング膜の断面TEM画像を示す 。

[比較例2]
 メタノール708重量部に、(C)成分であるテト メトキシシラン(TMOS)382重量部、(E)成分であ ジシアノジアミドを23重量部加え、その後 シアノジアミドが溶解するまで攪拌した。 れを溶液(29)とする。
 PVA5重量%水溶液600重量部にPAA10重量%水溶液70 0重量部、水634重量部を加えた後、この水溶 を攪拌しながら、(D)成分である3-アミノプロ ピルトリメトキシシラン(APTMOS)とエタノール 重量比1:9で混合した溶液52重量部を滴下し さらに室温で30分攪拌した。これを溶液(30) する。
 溶液(30)に溶液(29)を加え、30℃で1.5時間攪拌 し、ガスバリア性組成物を得た。これを用い て、実施例1と同様の方法で塗布、加熱し、 ーティング膜を得た。

[比較例3]
 メタノール762重量部に、(C)成分であるテト メトキシシラン(TMOS)450重量部、(E)成分であ ジシアノジアミドを23重量部加え、その後 シアノジアミドが溶解するまで攪拌した。 れを溶液(31)とする。
 PVA5重量%水溶液600重量部にPAA10重量%水溶液70 0重量部、水812重量部を加えた後、この水溶 を攪拌しながら、(D)成分である3-アミノプロ ピルトリメトキシシラン(APTMOS)とエタノール 重量比1:9で混合した溶液52重量部を滴下し さらに室温で30分攪拌した。これを溶液(32) する。
 溶液(32)に溶液(31)を加え、30℃で1.5時間攪拌 し、ガスバリア性組成物を得た。これを用い て、実施例1と同様の方法で塗布、加熱し、 ーティング膜を得た。

 以上の実施例および比較例における成分の 合を、シリカ(SiO 2 )含有率とともに表1に示す。なお、シリカ含 率は、コーティング膜中に占めるシリカの 有の割合を示し、以下の方法で算出した。

[シリカ(SiO 2 )含有率の算出方法]
 シリカ含有率は、以上の実施例および比較 における(C)成分が100%反応し、SiO 2 になったと仮定して算出した。たとえば、(C) 成分がTMOSの場合100%反応し、SiO 2 になったと仮定して算出した。すなわち
TMOS:Mw=152
SiO 2 :Mw=60
より、
SiO 2 /TMOS=60/152=0.395
である。つまり、TMOSの添加量に0.395を掛けた 値が、膜中のSiO 2 含量となる。これより、シリカ(SiO 2 )含有率は、以下の式を用いて計算した。
シリカ(SiO 2 )含有率=[TMOS]*0.395/([A]+[B]+([TMOS]*0.395)+[E]+[D])*100
ただし、上記式において、[A]、[B]、[TMOS]、[E] 、[D]はそれぞれの成分の重量部を示す

 たとえば、実施例1の場合、シリカ(SiO 2 )含有率は、
シリカ(SiO 2 )含有率=(460*0.395)/(30+70+(460*0.395)+23+5.2)*100=58.6( 数点第2位以下四捨五入)
である。

[コーティング膜の評価]
 以上の実施例および比較例におけるコーテ ング膜について、以下の方法で物性評価を った。評価結果を表1に示す。

[酸素透過率測定(湿熱試験前)]
 23℃、90%RH雰囲気下で、酸素透過率測定装置 (MOCON社製 OXTRAN 2/21MH)を用いて酸素透過率(cc/ m 2 ・day・atm)を測定した。

[酸素透過率測定(湿熱試験後)]
 上記のようにして酸素透過率を測定した後 サンプルを装置から取り出し、湿熱試験(温 度40℃、湿度90%の条件下24時間放置)を行った その後再び酸素透過率測定装置にセットし 酸素透過率(cc/m 2 ・day・atm)を測定した。

 表1に示した評価結果から、水酸基を有す る水溶性高分子(A)、カルボキシル基を有する 水溶性高分子(B)、金属アルコキシドおよび/ たはその加水分解縮合物(C)、エステル化触 (E)を主成分とし、(A)成分と(B)成分との混合 100重量部に対し(C)成分を460重量部以上、1600 量部以下含むガスバリア性組成物を用いた ーティング膜(実施例1~14)は、(C)成分が450重 部以下であるガスバリア性組成物を用いた ーティング膜(比較例1~3)と比較して、湿熱 験(40℃―90%RH)後の酸素透過率が低く、つま 酸素バリア性が高かった。このことから、 発明のコーティング膜は、高温および高湿 条件下においてもガスバリア性の劣化が抑 されているので、高温および高湿度条件下 さらされるような使用条件下であってもガ バリア性が維持されることが確認された。

 図1に示すように、(A)成分と(B)成分との混 合物100重量部に対する、(C)成分の含有量範囲 の下限値(460重量部)を境にして、湿熱試験後 酸素透過率が急激に低下している。つまり 素バリア性が急激に向上することが確認さ た。なお、実施例8,9は、他の実施例および 較例と異なり、PETフィルム上にSiN膜(蒸着膜 )が形成された積層膜を用いているため図1に 記載していない。

 また、図2に、実施例7で作製したコーテ ング膜の断面TEM画像を示し、図3に比較例1で 作製したコーティング膜の断面TEM画像を示す 。図中の黒色部分は、(C)成分がゾルゲル反応 することで形成されるシリカを主成分として 構成されており(以下これをシリカ相とする) 白色部分は(A)成分及び(B)成分を主成分とし 構成されている(以下これをポリマー相とす る)。

 図3に示すように、(C)成分の使用量が下限 値未満である比較例1は、シリカ相とポリマ 相の両方が連続構造を形成している。ポリ ー相は、高温および高湿度条件下ではポリ ー鎖の間に水が浸入し粗密となる。比較例1 ように、ポリマー相が連続構造を形成して る場合、酸素は粗密なポリマー相を通って を透過するため、酸素バリア性が低下する 推測される。

 一方、図2に示すように、(C)成分の使用量 が上記範囲内である実施例7は、連続構造は リカ相のみで、ポリマー相は非連続構造で る。ポリマー相が非連続構造の場合、酸素 通り道を遮断されるため、高温および高湿 条件下におけるガスバリア性の劣化が抑制 れ、高バリア性を維持すると推測される。

 なお、実施例1および2で作製されたコー ィング膜は実施例7のコーティング膜と同様 構造を有する傾向が認められ、比較例3で作 製されたコーティング膜は比較例1のコーテ ング膜と同様の構造を有する傾向が認めら る。

 本発明は、以下の態様も含む。
(1-1)水酸基を有する水溶性高分子(A)、カルボ 酸(カルボキシル基)を有する水溶性高分子(B )、金属アルコキシドおよび/またはそれらの 水分解縮合物(C)、1分子中に金属酸化物と結 合を形成できる官能基と、カルボキシル基と 結合を形成できる官能基をそれぞれ1つ以上 する化合物(D)からなり、(A)と(B)の重量比が97 /3から3/97、(A)と(B)の混合物100重量部に対し、 (C)460重量部以上、1600重量部以下、(D)0.1重量 以上、20重量部以下であるガスバリア性ハー ドコート用組成物(ガスバリア性組成物)。

(1-2)さらに溶媒を含む(1-1)に記載のガスバ ア性ハードコート用組成物。

(1-3)(1-1)に記載のガスバリア性ハードコー 用組成物と、エステル化触媒(E)からなり、(A )と(B)の混合物100重量部に対し、(E)0.01重量部 上、100重量部以下であるガスバリア性ハー コート用組成物。

(1-4)さらに溶媒を含む(1-3)に記載のガスバ ア性ハードコート用組成物。

(1-5)エステル化触媒(E)が無機酸の金属塩、 機酸の金属塩、有機リン化合物、カルボン およびその誘導体、スルホン酸およびその 導体、鉱酸の有機アンモニウム塩またはピ ジニウム塩、シアノ基含有有機化合物、イ シアノ基含有有機化合物、ケテン誘導体、 カルコゲニド化合物、塩化シアヌル、カル ニルジイミダゾール、ヘキサクロロアセト 、2,4,6-トリニトロ-1-クロロベンゼンから選 れる一種の化合物である(1-2)乃至(1―4)のい れかに記載のガスバリア性ハードコート用 成物。

(1-6)水酸基を有する水溶性高分子(A)がポリ ニルアルコールまたはエチレン-ビニルアル コール共重合体、糖類、セルロース類から選 ばれる一種以上の化合物である(1-1)乃至(1-5) いずれかに記載のガスバリア性ハードコー 用組成物。

(1-7)カルボン酸を有する水溶性高分子(B)が リ(メタ)アクリル酸またはその部分中和物 ある(1-1)乃至(1-5)のいずれかに記載のガスバ ア性ハードコート用組成物。

(1-8)金属アルコキシドおよび/または金属ア ルコキシドの加水分解縮合物がシリカ、アル ミナ、チタニア、ジルコニアより選ばれる化 合物である(1-1)乃至(1-7)のいずれかに記載の スバリア性ハードコート用組成物。

(1-9)(1-1)および/または(1-3)に記載のガスバ ア性ハードコート用組成物100重量部に対し 、平均粒径が100nm以下の金属酸化物微粒子を 1重量部以上100重量部以下含有するガスバリ 性ハードコート用組成物。

(1-10)さらに溶媒を含む(1-9)に記載のガスバ ア性ハードコート用組成物。

(1-11)金属アルコキシドおよび/またはそれ の加水分解縮合物(C)が、水、触媒の添加に り、ゾルゲル反応することで、金属酸化物 なることを特徴とする(1-1)乃至(1-10)のいずれ かに記載のガスバリア性ハードコート用組成 物。

(1-12)(1-1)乃至(1-11)のいずれかに記載のガス リア性ハードコート用組成物の膜状物を形 し、これを熱処理することによって得られ ガスバリア性ハードコートの製造方法。

(1-13)(1-12)に記載の方法により製造された透 明性および耐擦傷性に優れるガスバリア性ハ ードコート(コーティング膜)。

(1-14)(1-13)に記載のガスバリア性ハードコー トを少なくとも一層含むガスバリア性積層体 (積層体)。

(2-1)水酸基を有する水溶性高分子(A)、カル ン酸(カルボキシル基)を有する水溶性高分 (B)、金属アルコキシドおよび/またはそれら 加水分解縮合物(C)、エステル化触媒(E)から り、(A)と(B)の重量比が95/5から60/40、(A)と(B) 混合物100重量部に対し、(C)460重量部以上、1 600重量部以下、(E)0.01重量部以上、100重量部 下含んでなるハードコート用組成物(ガスバ ア性組成物)。

(2-2)水酸基を有する水溶性高分子(A)がポリ ニルアルコールまたはエチレン-ビニルアル コール共重合体、糖類、セルロース類から選 ばれる一種以上の化合物である(2-1)に記載の ードコート用組成物。

(2-3)カルボン酸を有する水溶性高分子(B)が リ(メタ)アクリル酸またはその部分中和物 ある(2-1)または(2-2)に記載のハードコート用 成物。

(2-4)金属アルコキシドおよび/または金属ア ルコキシドの加水分解縮合物がシリカ、アル ミナ、チタニア、ジルコニアより選ばれる化 合物である(2-1)乃至(2-3)のいずれかに記載の ードコート用組成物。

(2-5)エステル化触媒(E)が無機酸の金属塩、 機酸の金属塩、有機リン化合物、カルボン およびその誘導体、スルホン酸およびその 導体、鉱酸の有機アンモニウム塩またはピ ジニウム塩、シアノ基含有有機化合物、イ シアノ基含有有機化合物、ケテン誘導体、 カルコゲニド化合物、塩化シアヌル、カル ニルジイミダゾール、ヘキサクロロアセト 、2,4,6-トリニトロ-1-クロロベンゼンから選 れる一種の化合物である(2-1)乃至(2-4)のいず れかに記載のハードコート用組成物。

(2-6)(2-1)に記載のハードコート用組成物100 量部に対して、平均粒径が100nm以下の金属酸 化物微粒子を1重量部以上、100重量部以下含 するハードコート用組成物。

(2-7)金属アルコキシドおよび/またはそれら の加水分解縮合物(C)が、水、触媒の添加によ り、ゾルゲル反応することで、金属酸化物と なることを特徴とする(2-1)乃至(2-6)のいずれ に記載のハードコート用組成物。

(2-8)(2-1)乃至(2-7)のいずれかに記載のハード コート用組成物の膜状物を形成し、これを熱 処理することによって得られるハードコート の製造方法。

(2-9)(2-8)記載の方法により製造されるハー コート(コーティング膜)。

(2-10)(2-9)記載のハードコートを少なくとも1 層含むハードコート積層体(積層体)。