Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
GEAR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/069554
Kind Code:
A1
Abstract:
This aims to provide a gear, which is enhanced not only in an abrasion-resistance and a scoring-resistance but also in the fatigue strengths of a pitching and a tooth lack without increasing any working step. A tooth surface (2) is smoothed by a gyro-polishing treatment, and a number of fine dents (3) are formed at random in the smoothed tooth surface (2) by a liquid-honing treatment, in which fine hard particles collide against one another together with the liquid, so that a high residual stress is established on the tooth surface (2) by the liquid-honing treatment. Thus, it is possible to enhance not only the abrasion-resistance and the scoring-resistance but also the fatigue strengths of the pitching and the tooth lack without increasing the working step.

Inventors:
SATO MASANORI (JP)
ABE KATSUFUMI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/071236
Publication Date:
June 04, 2009
Filing Date:
November 21, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
NTN TOYO BEARING CO LTD (JP)
SATO MASANORI (JP)
ABE KATSUFUMI (JP)
International Classes:
F16H55/17; B24B31/00; B24C3/00; C21D7/06
Foreign References:
JP2006225741A2006-08-31
JP2002130409A2002-05-09
JP2002031212A2002-01-31
JP2000280120A2000-10-10
JP2591616Y21999-03-10
Attorney, Agent or Firm:
KAMADA, Bunji et al. (Nipponbashi 1-chomeChuo-ku, Osaka-sh, Osaka 73, JP)
Download PDF:
Claims:
 歯面に微小凹形状のくぼみをランダムに無数に設けた歯車において、前記くぼみを設けた面の面粗さパラメータが、Ryni:2.0~5.5μm、Rymax:2.5~7.0μm、Rqni:0.3~1.1μmの範囲にあることを特徴とする歯車。
 前記歯面を研磨加工によって平滑化し、この平滑化した歯面に、前記無数のくぼみを、微小な硬質粒子を衝突させるくぼみ形成手段でランダムに形成した請求項1に記載の歯車。
 前記研磨加工による平滑化後の歯面の表面粗さを、Ryni:0.7~1.5μm、Rymax:0.9~2.5μm、Rqni:0.1~0.3μmとした請求項2に記載の歯車。
 前記研磨加工をジャイロ研磨加工とした請求項2または3に記載の歯車。
 前記くぼみ形成手段に使用する硬質粒子を、酸化アルミニウムを主成分とし、外径寸法が0.1~1mmのものとした請求項2乃至4のいずれかに記載の歯車。
 前記くぼみ形成手段を液体ホーニング加工とした請求項2乃至5のいずれかに記載の歯車。
 前記歯車が自動車のトランスミッションに使用されるものである請求項1乃至6のいずれかに記載の歯車。
Description:
歯車

 本発明は、歯車に関し、歯面の耐アブレ ョン性や耐スコーリング性と、歯面のピッ ングや歯欠けに対する疲労強度が優れた歯 に関する。

 自動車のトランスミッションに使用され 歯車のように、潤滑油をはねかけ式で供給 れるものは、噛み合い部に十分な潤滑油が 給されず、歯面にアブレジョンやスコーリ グが生じやすい問題があった。このような 題に対して、本出願人は、歯面に微小なく みを無数にランダムに設け、これらの微小 くぼみを油溜りとして歯面に油膜を形成し すくして、耐アブレジョン性や耐スコーリ グ性を向上させることを先に提案している( 例えば、特許文献1参照)。

 前記微小なくぼみを歯面等の部品表面に 数にランダムに設ける手段としては、例え 、遠心流動バレル研磨法のような特殊な研 法によって、表面にランダムな凹凸を形成 た後、さらにバレル研磨法によって、凹凸 凸部を平滑化することにより、微小なくぼ をランダムに形成する方法が採用されてい 。

 一方、トランスミッションの多段化やエ ジンの高出力化に伴い、トランスミッショ に使用される歯車に作用する負荷や回転数 増加する傾向がある。また、自動車の燃費 上のために、トランスミッションがコンパ ト化される傾向もあり、使用される歯車も 型化、小モジュール化が求められている。 のような動向から、トランスミッション用 歯車では、ピッチングや歯欠け等の疲労損 が発生しやすくなっている。

 なお、歯車等の機械部品の疲労強度を高 る手段としては、研磨加工等によって表面 仕上げる前に、ショットピーニング加工で 処理し、表面に大きな圧縮残留応力を形成 る方法が採用されている。

実用新案登録第2591616号公報

 特許文献1に記載された歯車は、耐アブレ ジョン性と耐スコーリング性を有するが、歯 元や歯面に大きな圧縮残留応力を形成されな いので、ピッチングや歯欠けに対する疲労強 度を十分に確保できない問題がある。このよ うな疲労強度を確保するためには、従来の機 械部品で採用されているように、前処理とし てショットピーニング加工を施すことが考え られるが、加工工程が増加し、製造工程が複 雑になる問題がある。

 そこで、本発明の課題は、加工工程を増 させることなく、耐アブレジョン性と耐ス ーリング性のほかに、ピッチングや歯欠け 対する疲労強度を高めることである。

 上記の課題を解決するために、本発明は 歯面に微小凹形状のくぼみをランダムに無 に設けた歯車において、前記くぼみを設け 面の面粗さパラメータが、Ryni:2.0~5.5μm、Ryma x:2.5~7.0μm、Rqni:0.3~1.1μmの範囲にある構成を採 用した。

 前記パラメータRyniは、基準長毎最大高さ の平均値、すなわち粗さ曲線から、その平均 線の方向に基準長さだけ抽出し、この抽出部 分の山頂線と谷底線との間隔を粗さ曲線の縦 倍率の方向に測定した値であり、パラメータ Rymaxは、基準長毎最大高さの最大値である(ISO  4287:1997)。また、パラメータRqniは、粗さ平 線から粗さ曲線までの高さの偏差の自乗を 定長さの区間で積分し、その区間で平均し 値の平方根であり、自乗平均平方根粗さと いう。

 前記歯面を研磨加工によって平滑化し、 の平滑化した歯面に、前記無数のくぼみを 微小な硬質粒子を衝突させるくぼみ形成手 でランダムに形成することにより、微小な 質粒子を衝突させるくぼみ形成手段によっ 歯面に大きな圧縮残留応力を形成し、加工 程を増加させることなく、耐アブレジョン と耐スコーリング性のほかに、ピッチング 歯欠けに対する疲労強度を高めることがで る。

 前記研磨加工による平滑化後の歯面の表 粗さは、Ryni:0.7~1.5μm、Rymax:0.9~2.5μm、Rqni:0.1~ 0.3μmとするのが好ましい。

 前記研磨加工はジャイロ研磨加工とする とができる。

 前記くぼみ形成手段に使用する硬質粒子 、酸化アルミニウムを主成分とし、外径寸 が0.1~1mmのものとすることができる。

 前記くぼみ形成手段は液体ホーニング加 とすることができる。

 上述した各歯車は、自動車のトランスミ ションに使用されるものに好適である。

 本発明の歯車は、歯面を研磨加工によっ 平滑化し、この平滑化した歯面に、無数の 小凹形状のくぼみを、微小な硬質粒子を衝 させるくぼみ形成手段でランダムに形成し くぼみを形成した面の面粗さパラメータが Ryni:2.0~5.5μm、Rymax:2.5~7.0μm、Rqni:0.3~1.1μmの範 囲にあるものとしたので、微小な硬質粒子を 衝突させるくぼみ形成手段によって歯面に大 きな圧縮残留応力を形成し、加工工程を増加 させることなく、耐アブレジョン性と耐スコ ーリング性のほかに、ピッチングや歯欠けに 対する疲労強度を高めることができる。

本発明に係る歯車を使用したトランス ッションを示す縦断面図 図1の歯車の要部を示す斜視図 ジャイロ研磨加工装置を模式的に示す 断面図 液体ホーニング加工装置を模式的に示 正面図 耐ピッチング試験に用いた平歯車疲労 験機を示す斜視図 歯欠け強度試験を模式的に示す正面図 歯欠け強度試験の結果を示すグラフ 歯面の表面近傍の圧縮残留応力の測定 果を示すグラフ

符号の説明

1 歯車
1a、1b、1c 試験歯車
2 歯面
2a 歯先部
2b 歯たけ部
2c 歯底部
3 くぼみ
11 ハウジング
12 インプットシャフト
13 アウトプットシャフト
14 パイロットシャフト
15 カウンターシャフト
16 リバースシャフト
17 クラッチハブ
21 研磨槽
22 支持部材
23、24 回転軸
25 ノズル
31 駆動軸
32 伝動歯車
33 従動軸
34 負荷レバー
35 錘
36 トルクメータ
37 回転シャフト
38 固定シャフト
39 固定歯車
40 アーム

 以下、図面に基づき、本発明の実施形態 説明する。図1は、本発明に係る歯車1を使 した自動車のトランスミッションを示す。 のトランスミッションは、マニュアル式の のであり、ハウジング11内にインプットシャ フト12、アウトプットシャフト13および中間 ャフトとしてのパイロットシャフト14が直列 に配置され、さらに中間シャフトとしてのカ ウンターシャフト15とリバースシャフト16が ウトプットシャフト13と平行に配置されてい る。なお、図1は、図面を見やすくするため 展開表示しており、リバースシャフト16はア ウトプットシャフト13とも係合するようにな ている。

 前記歯車1は、各シャフト12、13、14、15、1 6に取り付けられており、外部からの操作で フトされるクラッチハブ17で、これらの歯車 1の噛み合わせを変えることにより、インプ トシャフト12からアウトプットシャフト13へ トルク伝達経路が適切に選択されるように っている。各歯車1は、オイルパン(図示省 )に溜まった油のはねかけで潤滑されるよう なっている。

 図2に示すように、前記歯車1の歯面2には 歯先部2a、歯たけ部2bおよび歯底部2cに無数 微小なくぼみ3がランダムに設けられている 。これらのくぼみ3は、ジャイロ研磨加工で 面2の表面粗さを、Ryni:0.7~1.5μm、Rymax:0.9~2.5μm 、Rqni:0.1~0.3μmとなるように平滑化した後、液 体ホーニング加工によって形成したものであ り、くぼみ3が形成された歯車1の表面粗さは Ryni:2.0~5.5μm、Rymax:2.5~7.0μm、Rqni:0.3~1.1μmとさ れている。

 前記ジャイロ研磨加工は、図3に模式的に 示すように、研磨媒体を充填した研磨槽21に 支持部材22に設けられた複数の回転軸23に取 り付けたワークとしての歯車1を挿入し、回 軸23で歯車1を自転させるとともに、研磨槽21 または支持部材22を回転させて、歯車1を研磨 槽21に対して相対的に公転させるものであり 歯面2に研磨媒体を満遍なく接触させて、複 雑な形状の歯面2を平滑化することができる

 前記液体ホーニング加工は、図4に模式的 に示すように、回転軸24に取り付けた歯車1を 回転させながら、回転軸24と直交する方向か 、ノズル25によって硬質粒子を混入した液 を歯面2に噴射するものであり、硬質粒子の 面2への衝突によって、歯面2に微小なくぼ 3をランダムに形成するとともに、歯面2に大 きな圧縮残留応力を形成する。この実施形態 では、硬質粒子に、酸化アルミニウムを主成 分とし、外径寸法が0.1~1mmのものを用いてい 。

 実施例として、上述したように、ジャイ 研磨加工で歯面を平滑化した後、液体ホー ング加工によって、歯面に無数の微小なく みをランダムに形成した歯車を用意した。 較例として、前述したように、遠心流動バ ル研磨とバレル研磨法によって、歯面に無 の微小なくぼみをランダムに形成した歯車 用意した。実施例と比較例の歯車の材質は いずれも中炭素Cr合金鋼SCr420を浸炭処理し ものとした。これらの実施例と比較例の歯 について、耐ピッチング試験と、耐歯欠け 度試験とを行った。また、実施例と比較例 歯車について、それぞれの歯面の表面近傍 おける圧縮残留応力も測定した。

 前記耐ピッチング試験は、図5に示す平歯車 疲労試験機を用いて行った。この平歯車疲労 試験機は、モータ(図示省略)で駆動される駆 軸31と、伝動歯車32の噛み合いで従動回転す る従動軸33とに、それぞれドライブ側試験歯 1aとドリブン側試験歯車1bを取り付けて噛み 合わせ、ドライブ側試験歯車1aを取り付けた 動軸31の先端側に負荷レバー34と錘35で捩り ルクを負荷した後、駆動軸31と従動軸33の間 で動力循環させるものであり、負荷トルクは 従動軸33に取り付けたトルクメータ36でモニ リングされるようになっている。試験条件 以下の通りである。
・ドライブ側試験歯車:外径79mm、内径35mm、歯 幅8.2mm、歯数29枚
・ドリブン側試験歯車:外径79mm、内径35mm、歯 幅15mm、歯数30枚
・回転数:3500rpm        ・負荷トルク:19kgf ・m
・潤滑油:ATFオイル(油温80℃)

 上記耐ピッチング試験の結果、実施例の 験歯車でのピッチング発生までの時間は、 較例の試験歯車の約9倍となり、著しく耐ピ ッチング性が向上することが確認された。

 前記歯欠け強度試験は、図6に示すように 、回転自在な回転シャフト37に取り付けた試 歯車1cを、固定シャフト38に取り付けた固定 歯車39と噛み合わせ、回転シャフト37に設け アーム40に負荷される繰り返し荷重Pによっ 、試験歯車1cの歯元に繰り返しの曲げ応力を 発生させる方法で行い、繰り返し荷重Pのレ ルを変化させて、各レベルの歯元曲げ応力 対する歯欠け発生までの疲労限界を求めた

 図7は、上記歯欠け強度試験の結果を示す 。この試験結果より、実施例の試験歯車は、 比較例のものに対して、歯欠けに対する疲労 限界が大幅に向上しており、実用的な低い歯 元曲げ応力のレベルでは、疲労限界が50%程度 向上している。

 図8は、上記実施例と比較例の歯車につい て、歯面の表面近傍の圧縮残留応力を測定し た結果を示す。実施例と比較例のいずれの歯 車も、歯面の表面近傍には、熱処理に起因す ると考えられる小さな圧縮残留応力が形成さ れ、実施例のものは、これに加えて、表面か ら0.2mmの深さまでの表面層に、液体ホーニン 加工に起因すると考えられる大きな圧縮残 応力が形成されている。上記耐ピッチング 験と歯欠け強度試験における実施例の試験 車の耐ピッチング性と歯欠け強度の向上代 、この表面層に形成された大きな圧縮残留 力によるものと考えられる。

 上述した実施形態では、くぼみを形成す 前の歯面の研磨加工をジャイロ研磨加工で なったが、この研磨加工は、他のバレル研 加工等で行ってもよい。また、くぼみ形成 段を液体ホーニング加工としたが、くぼみ 成手段は、微小な硬質粒子を歯面に衝突さ るものであればよく、ショットピーニング 工等も採用することができる。