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Patent Searching and Data


Title:
GLASS MELTING FURNACE AND PROCESS FOR PRODUCING GLASS PRODUCT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/005067
Kind Code:
A1
Abstract:
A glass melting furnace comprising multiple steps rising along a molten glass lead-out direction from a mid portion of the deepest section within the glass melting furnace and crossing in the width direction orthogonal to the molten glass lead-out direction; a stage section extending along the molten glass lead-out direction from the highest one of the steps and crossing in the width direction; a threshold member crossing in the width direction on the step side of the stage section; and a bubbler crossing in the width direction between the upside of the lowest one of the steps and the threshold member. A slope may be used instead of all the steps.

Inventors:
FUNAKOSHI HISASHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/061922
Publication Date:
January 08, 2009
Filing Date:
July 01, 2008
Export Citation:
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Assignee:
ASAHI GLASS CO LTD (JP)
FUNAKOSHI HISASHI (JP)
International Classes:
C03B5/182; C03B5/193
Foreign References:
JPH04228433A1992-08-18
JPS63310734A1988-12-19
JPS58148027U1983-10-05
JPS5351451A1978-05-10
JPH04228433A1992-08-18
JPH09124323A1997-05-13
Other References:
See also references of EP 2168923A4
Attorney, Agent or Firm:
OGURI, Shohei et al. (7-13 Nishi-Shimbashi 1-chome,Minato-k, Tokyo 03, JP)
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Claims:
 ガラス溶解窯であって、
 ガラス溶解窯の内部の最深部の途中から溶融ガラス導出方向に沿って昇段し、該溶融ガラス導出方向に対して直交する幅方向に横断する複数のステップと、
 前記ステップの最上段から前記溶融ガラス導出方向に延伸し、前記幅方向に横断するステージ部と、
 前記ステージ部のステップ側で前記幅方向に横断する敷居体と、
 前記ステップの最下段のステップ上から前記敷居体との間で前記幅方向に横断するバブラーと、
を有することを特徴とするガラス溶解窯。
 前記ステップの位置が、前記ガラス溶解窯の内壁の前記溶融ガラス導出方向の全長をL、該溶融ガラス導出方向の反対側のガラス溶解窯端部の内壁から前記ステップの1段目までの距離をL S とした場合に、0.15≦L S /L≦0.25を満足する請求項1に記載のガラス溶解窯。
 前記ステップの最下段を除く各段の高さの合計を、最上段を除く各段の前記溶融ガラスの導出方向の長さの合計で除算した値が、0.02~0.07である請求項1または2に記載のガラス溶解窯。
 前記ステップの高さが、前記ガラス溶解窯の最深部から溶融ガラスの液面までの深さをH、該ガラス溶解窯の最深部から該ステップの最上段までの高さをH S とした場合、0.5m≦H≦2.0m、かつ0.10≦H S /H≦0.50を満足する請求項1から3のいずれかに記載のガラス溶解窯。
 前記ステップの段数が、3~6である請求項1から4のいずれかに記載のガラス溶解窯。
 ガラス溶解窯であって、
 ガラス溶解窯の内部の最深部の途中から溶融ガラス導出方向に沿って上昇し、該溶融ガラス導出方向に対して直交する幅方向に横断するスロープと、
 前記スロープの最上部から前記溶融ガラス導出方向に延伸し、前記幅方向に横断するステージ部と、
 前記ステージ部のスロープ側で前記幅方向に横断する敷居体と、
 前記スロープの上昇開始位置から前記敷居体との間で前記幅方向に横断するバブラーと、
を有することを特徴とするガラス溶解窯。
 前記敷居体の位置が、前記ガラス溶解窯の内壁の前記溶融ガラス導出方向の全長をL、該溶融ガラス導出方向の反対側のガラス溶解窯端部の内壁から該敷居体までの距離をL D とした場合、0.30≦L D /L≦0.50を満足する請求項1から6のいずれかに記載のガラス溶解窯。
 前記敷居体の高さが、前記ガラス溶解窯の最深部から溶融ガラスの液面までの深さをH、該ガラス溶解窯の最深部から該敷居体の上端部までの高さをH D とした場合、0.5m≦H≦2.0m、かつ0.60≦H D /H≦0.75を満足する請求項1から7のいずれかに記載のガラス溶解窯。
 前記敷居体の高さが、さらに、0.35≦(H D -H S )/(H-H S )≦0.65を満足する請求項8に記載のガラス溶解窯。
 前記敷居体の前記溶融ガラス導出方向の長さが、前記ガラス溶解窯の内壁の該導出方向の全長をLに対して、0.015L~0.033Lとなる請求項1から9のいずれかに記載のガラス溶解窯。
 前記バブラーの位置が、前記ガラス溶解窯の内壁の前記導出方向の全長をL、該溶融ガラス導出方向の反対側のガラス溶解窯端部の内壁から該バブラーまでの距離をL B とした場合、0.20≦L B /L≦0.40を満足する請求項1から10のいずれかに記載のガラス溶解窯。
 前記バブラーと前記敷居体とが、前記ステージ部にある請求項1から11のいずれかに記載のガラス溶解窯。
 前記バブラーが、前記ステップの最上段を除く段上にある請求項1から5、及び7から11のいずれか一項に記載のガラス溶解窯。
 前記バブラーが、前記スロープ上にある請求項6から11のいずれかに記載のガラス溶解窯。
 請求項1から14のいずれかに記載のガラス溶解窯によってガラス原料を溶解することを特徴とする溶融ガラスの製造方法。
 請求項1から14のいずれかに記載のガラス溶解窯によってガラス原料を溶解する溶解工程を含むことを特徴とするガラス製品の製造方法。
Description:
ガラス溶解窯及びガラス製品の 造方法

 本発明は、ガラスの溶融技術に関し、よ 詳細にはガラス溶解窯の構造に関する。

 従来、ガラス製品を製造する方法は、主に 材料を溶融して溶融ガラスを得る溶解工程 溶融ガラスを所定のガラス製品の形状に成 する成形工程及びガラス製品の内部歪みを 去しつつ徐々に冷却する徐冷工程により構 される。なお、ここでは溶融ガラスから泡 取除くことと均質化することは溶解工程に める。
  建築用ガラスシート、自動車ガラスシー 、CRT用ガラス成形品、ディスプレイ用ガラ シートなどのガラス製品の製造工程におい 、より一層の高品質化と低コスト化が求め れている。高品質化を妨げる要因はいくつ あるが、溶融ガラスから発生する気泡の残 と溶融ガラスの不均質性が問題となること 多い。気泡の混入しない高品質なガラス製 を製造するためには、上記の工程中の溶解 程が重要である。溶解工程は、珪砂、石灰 やソーダ灰等の原材料をガラス製品の組成 合わせて調合、混合されたバッチをガラス 解窯に投入し、ガラスの種類に応じて約1400 以上に加熱溶融して溶融ガラスを得る工程 ある。例えば、公知のガラス溶解窯内にガ ス溶解窯の一端からバッチを投入し、重油 燃焼して得られる火炎をこの投入したバッ に吹きつけて、また、天然ガスを空気と混 して燃焼して得られる火炎を吹きつけて、 1550℃以上に加熱してバッチを溶かすことに よって溶融ガラスを得る。また、場合によっ ては、公知の電気溶解窯を用いて溶融ガラス を得る。

 高品質化のために、溶解工程での溶融ガ スから気泡を除去する方法の一つとしては 単位時間当たりの溶解量(プル)を下げて、 泡が溶融ガラスから排出する時間を確保す 方法がある。しかしながら、プルを下げる 当然ながら、生産性が低下しコストアップ 要因となる。プルをある程度維持して、気 の排出(清澄)と均質化との効果を同時に得る ために、ガラス溶解窯の構造によって溶融ガ ラスの対流の特性(対流構造、対流各部の温 、対流各部の流速)を変えることが行われて る。

 例えば、特許文献1には、ガラス溶解窯の 原料投入部から溶融ガラス導出部までを長手 方向、それに直交する方向を幅方向とし、ガ ラス溶解窯の内部の最深部の幅方向に横断し て最深部から溶融ガラス内に泡を発生させ主 に上向きの対流を形成するためのバブラーと 、敷居体を設けた場合の対流について開示さ れている。特許文献2には、ガラス溶解窯の 部の最深部の途中から溶融ガラス導出部ま に、幅方向を横断する複数のステップとス ージ部を設けた場合の対流について開示さ ている。特許文献3には、バブラー、敷居体 及び一段のステップとステージ部を設けた 合の対流について開示されている。

実開昭53- 51451号公報

特開平 4-228433号公報

特開平 9-124323号公報

 ここで、図6~9を利用して、上記のバブラ 、敷居体、ステップ、及びステージ部を有 る従来のガラス溶解窯での対流の特徴につ て説明する。図は、ガラス溶解窯の長手方 の断面での溶融ガラス内の対流を矢印で示 もので、各図の左が原料投入側(後部側)で 右が溶融ガラス導出側(前部側)である。

 図6は、バブラー6のみを設けた場合(以降 ラット窯と呼ぶ)の対流を示す。フラット窯 は、構造上対流を遮蔽するものが無いため、 溶融ガラス2が停滞し難いガラス溶解窯構造 ある。後部循環流Bと前部循環流Aの分かれ目 であり、かつ活発に清澄が起こる領域である ホットスプリングが、後部循環流Bと前部循 流Aの強さのバランスで決定されることより 対流の変動に伴って泡とリームの品質が変 しやすい。

 図7は、バブラー6と敷居体7を設けた場合( 以降ダム窯と呼ぶ)の対流を示す。この構造 、特許文献1で開示されているバブラーと敷 体の配置に類似した場合である。敷居体7に より後部循環流Bと前部循環流Aを明確に分断 きるため、後部循環領域においてバブラー6 を多用して後部循環流Bを旺盛化できる。こ によって、溶融ガラス2の均質性が良化する また、敷居体7により後部循環領域から前部 循環領域へ移動する溶融ガラス2の対流速度 低減でき、良い清澄性を得られる。一方で 敷居体7の近傍においては、溶融ガラス2が淀 み、泡とリームを析出する場合がある。

 図8は、バブラー6、ステップ9及び10、並 にステージ部8を設けた場合の対流を示す(以 降ステップ窯と呼ぶ)。この構造は、特許文 2で開示の構造に類似した場合である。ステ プ窯は構造上、後部循環領域の流路断面が 部循環領域に比べ広いため後部での循環及 均質性に優れているが、後部循環流Bを過度 に旺盛化すると一部の不均一な溶融ガラス2 すり抜けし、また清澄のための時間が短く り清澄性が悪くなる。

 図9は、バブラー6、敷居体7、ステップ10(1 段のみ)、及びステージ部8を設けた特許文献3 に類似の場合(以降ダム&ステップ窯と呼ぶ )の対流を示す。ダム&ステップ窯は、構造 上ステップ10の後部側の端部近傍で滞留域E( テップ後部)を形成し、泡やリームを析出す 場合がある。

 以上のように種々のガラス溶解窯の対流 特性については、個別に説明ができるもの 、ガラス溶解窯内の溶融ガラスの対流は複 であり、ガラス溶解窯の入口から出口に至 まで多様の対流経路が存在し、どのような ラス溶解窯の構造を基本構造として設計す ばよいか、前記したバブラー、敷居体、ス ップ、及びステージ部などの構成要素をど ように配置すればよいかは必ずしも明らか なっていない。この原因として、例えば線 の力学問題では複数の外力が作用した場合 、各外力により発生する応力分布の重ね合 せにより複数の外力に対する応力分布が把 できるが、対流現象では対流が溶融ガラス 各部温度によっても複雑に変化し、構成要 ごとの現象(対流)の重ね合わせでは全体の 流を簡単には予測できない点もある。

 本発明は、以上に鑑みてなされたもので 溶融ガラスの対流の特性を変えて、高い清 性と高い均質性とを実現可能なガラス溶解 と、これを利用したガラス製品の製造方法 を提供することを目的とする。

 本発明者らは、溶解工程でのガラス溶解 内の溶融ガラスの後部、前部及び中間部に きな対流(循環流)を形成し、さらにそれぞ の対流に適した循環性を狙って、後部循環 における溶解を活発化できかつ滞留域を生 ないこと、前部循環流において清澄を促進 ること、ステップの最上段において滞留域 生じないこと、さらに最上段でのステップ 域での対流を阻害しないことを同時に満足 きる、バブラー、敷居体、ステップ、及び テージ部の位置関係を見出した。

 即ち、本発明は、ガラス溶解窯であって ガラス溶解窯の内部の最深部の途中から溶 ガラス導出方向に沿って昇段し、該溶融ガ ス導出方向に対して直交する幅方向に横断 る複数のステップと、前記ステップの最上 から前記溶融ガラス導出方向に延伸し、前 幅方向に横断するステージ部と、前記ステ ジ部のステップ側で前記幅方向に横断する 居体と、前記ステップの最下段のステップ から前記敷居体との間で前記幅方向に横断 るバブラーと、を有することを特徴とする

 上記本発明によれば、後部循環流の旺盛 が可能なことによる均質性の向上と、敷居 前後の滞留域の削減に加えて、特に敷居体 ステージ部上に設けることによって前部循 流の後進流が前進流と同程度の流速を有し さらにステージ部上に敷居体があり敷居体 高さがダム窯に比べて低いので、敷居体上 の清澄性の高い領域を通って中間領域や後 へ遡上しやすく、その結果として他のガラ 溶解窯で見られない再溶融、再加熱、再清 による高い均質化と清澄が可能になる。

 また本発明は、上記発明における全ステ プ部分をスロープに代える構成としてもよ 。または全ステップ部分を実質的にスロー とみなしうる多数のステップにより構成し もよい。即ち、本発明は、ガラス溶解窯で って、ガラス溶解窯の内部の最深部の途中 ら溶融ガラス導出方向に沿って上昇し、該 出方向に対して直交する幅方向に横断する ロープと、前記スロープの最上部から前記 融ガラス導出方向に延伸し、前記直交する 方向に横断するステージ部と、前記ステー 部のスロープ側で前記幅方向に横断する敷 体と、前記スロープの上昇開始位置から前 敷居体との間で前記幅方向に横断するバブ ーと、を有する構成としてもよい。

 本発明はさらに、上記ガラス溶解窯によ てガラス原料を溶解することを特徴とする 融ガラスの製造方法、および、上記ガラス 解窯によってガラス原料を溶解する溶解工 を含むことを特徴とするガラス製品の製造 法、である。

 本発明によれば、ガラス溶解窯内に配置 た構成要素が一体となって溶融ガラスの対 の特性を変え、従来の各窯の問題点を解決 ることによって高い清澄性と高い均質性が られる。また、本発明に係るガラス溶解窯 よる溶解工程からなるガラス製品の製造方 によって、高い清澄性と高い均質性を有す ガラス製品が得られる。

実施の形態のガラス溶解窯の長手方向 概略断面での溶融ガラス内の対流を示す窯 面図である。 実施の別形態のガラス溶解窯の長手方 の概略断面での溶融ガラス内の対流を示す 断面図である。 実施の別形態のガラス溶解窯の長手方 の概略断面での溶融ガラス内の対流を示す 断面図である。 実施の形態の形状に関するパラメータ 示す窯断面図である。 実施の形態のガラス溶解窯を特徴とす ガラス製品の製造方法の工程を示す図であ 。 背景技術としてのフラット窯の長手方 の概略断面での溶融ガラス内の対流を示す 断面図である。 背景技術としてのダム窯の長手方向の 略断面での溶融ガラス内の対流を示す窯断 図である。 背景技術としてのステップ窯の長手方 の概略断面での溶融ガラス内の対流を示す 断面図である。 背景技術としてのダム&ステップ窯 長手方向の概略断面での溶融ガラス内の対 を示す窯断面図である。

符号の説明

 1…ガラス溶解窯
 2…溶融ガラス
 3…原料投入部
 4…溶融ガラス導出部
 5…最深部
 6…バブラー
 7…敷居体
 8…ステージ部
 9…ステップ
 10…ステップの最上段
 11…スロープ
 A…前部循環流
 A2…前部遡上流
 B…後部循環流
 C…中間部循環流
 D…滞留域(敷居体前部)
 E…滞留域(ステップ後部)
 F…滞留域(敷居体後部)
 L…ガラス溶解窯の内面全長
 L S …原料投入部から1段目のステップ迄の距離
 L B …原料投入部からバブラー迄の距離
 L D …原料投入部から敷居体迄の距離
 L 1 …1段目のステップの奥行
 L 2 …2段目のステップの奥行
 L 3 …3段目のステップの奥行
 L 4 …最上段のステップの平坦部の長さ
 H…最深部から溶融ガラス液面迄の高さ
 H S …最深部から最上段迄のステップ高さ
 H D …最深部から敷居体上端迄の高さ
 H 1 …最深部から1段目迄のステップの高さ
 H 2 …1段目から2段目迄のステップの高さ
 H 3 …2段目から3段目迄のステップの高さ
 H 4 …3段目から最上段迄のステップの高さ

 以下、図面(図1~5)に従って、本発明に係 ガラス溶解窯について、その構造を中心に 明する。図1は、実施の形態のガラス溶解窯 長手方向の概略断面での溶融ガラス内の対 を示す。図2は、実施の別形態のガラス溶解 窯の長手方向の概略断面での溶融ガラス内の 対流を示す。図3は、実施の別形態のガラス 解窯の長手方向の概略断面での溶融ガラス の対流を示す。図4は、実施の形態の形状に するパラメータを示す。図5は、ガラス製品 の製造方法での工程を示す。なお、以下の説 明において、ガラスとして建築用ガラスシー トや自動車ガラスシートの材料であるソーダ ライムガラスを例として挙げるが、本発明に おけるガラスはこのソーダライムガラスに限 られるものではない。溶融ガラスの温度など の条件はガラスの種類により変わりうるもの であり、下記の条件に限られるものではない 。

 本発明のガラス溶解窯1は、図左から原料 投入部3、ステップ9、10、バブラー6、ステー 部8、敷居体7、溶融ガラス導出部4を有する 本発明に係るガラス溶解窯1を利用したガラ ス製品の製造方法は、ガラス溶解窯1を用い 原料を原料投入部3から投入し溶解して溶融 ラス2にする溶解工程、溶解後に溶融ガラス 導出部4から出た溶融ガラス2を製品形状にす 成形工程、成形後のガラス製品中に歪を残 させないための徐冷工程を有する(図5参照)

 成形工程は、公知技術としてフロート法 ロールアウト法があるがいずれか、あるい その他の方法であってもよい。以下、フロ ト法を例に説明すると、成形工程では、溶 錫浴に溶融ガラスをガラス溶解窯1下流部か ら導入し、溶融錫上に溶融ガラスを浮かせて 進行させガラスリボンに成形する。成形工程 では、溶融ガラスの平衡厚みよりも薄いガラ スリボンを成形するために、進行方向に対し て直交する幅方向の両端部に、トップロール と呼ばれる回転するロールを押圧し、幅方向 に張力を印加して、溶融錫上のガラスリボン が縮幅するのを抑制しつつ進行方向にも引き 伸ばす。続く徐冷工程は、成形後にリフトア ウトロールによって、ガラスリボンを溶融錫 から引き出した後の工程である。徐冷は、ガ ラスリボンの搬送機構としての金属ロールと 、ガラスリボンの温度を徐々に下げるための 機構を備える徐冷炉で行う。徐々に温度を下 げる機構は、燃焼ガスまたは電気ヒータによ り、その出力が制御された熱量を、炉内の必 要位置に供給してガラスリボンを常温に近い 温度域までゆっくり冷却する。これによって 、ガラスリボンに内在する残留応力をなくす ことができる。溶解工程以外の工程は、本発 明のガラス溶解窯1を使用することによって 造条件に特別の影響を受けない。

 原料投入部3はガラス溶解窯1の後部に配 れ、溶融ガラス2の上部領域に設けた開口を し、ここから原料を先に溶融している溶融 ラス2の上層に投入する。溶融ガラス導出部 4はガラス溶解窯1の前部に配され、溶融ガラ 2の上層部がガラス溶解窯から導出可能に開 口している。なお、原料投入部3の位置は、 1にあるように溶融ガラス導出方向の反対側 ガラス溶解窯端部の内壁である。これらの 造については、原料が投入でき、溶融ガラ 2が導出できれば、どのような構造でもよい 。

 溶解にあたっては、図示しないが原料を 解するために、ガラス溶解窯1の内部の原料 投入部3に近い溶融ガラス2上方の空間に設置 たバーナーによって、溶融ガラス2を1400℃ 上に加熱する。また、溶融のためにガラス 解窯1の側面上方にも、図示しないがバーナ などを配置して加熱してもよい。溶融ガラ 2の温度は、原料投入部から溶融ガラス導出 部の間で1650℃から1000℃程度まで低下する。 融ガラス2は、原料投入部3から対流と循環 よって溶融ガラス導出部4まで移動し、ガラ 溶解窯1から排出される。ガラス溶解窯1の 深部5、側面の内壁は、溶融ガラスによる侵 を少なくし、長寿命とするために、耐火煉 などを組み立て構築する。耐火煉瓦は、耐 性、長寿命だけでなく、煉瓦から発生する 泡を低減する観点から、アルミナ系電鋳煉 、ジルコニア系電鋳煉瓦、緻密質クロム系 瓦などの材料からなる。

 1段目のステップの位置は、図4に示したガ ス溶解窯の内壁の導出方向の全長をL、原料 入部である溶融ガラス導出方向の反対側の ラス溶解窯端部の内壁から1段目のステップ までの距離をL S とした場合に、主に後部領域での溶解性と前 部領域での清澄性とのバランスの観点から、 0.15≦L S /L≦0.25が好ましく、0.16≦L S /L≦0.23がより好ましく、0.17≦L S /L≦0.21が特に好ましい。各ステップにおいて 、ステップの高さは同じである必要はないが 、煉瓦で構成することを考慮すると、最上段 のステップ10を除く各ステップ9の奥行も含め て、同じ長さが好ましい。ステップの傾斜と して、最下段を除くステップ各段の高さの合 計(H 2 +H 3 +H 4 )を、ステップ各段の奥行き(溶融ガラス導出 向の長さ)の合計(最上段は除く。L 1 +L 2 +L 3 )で除算した値とすると、急激な圧力損失を 減する観点から、0.02以上かつ0.07以下が好ま しく、0.03以上かつ0.065がより好ましく、0.04 上かつ0.06が特に好ましい。図1と図2のステ プは4段であるが、炉材の組み立てとステッ の傾斜の観点から、ステップ9は複数であれ ばよく、2~8段がより好ましく、特に3~6段が好 ましい。また、全ステップ部分を実質的にス ロープとみなしうるさらに多数のステップに より構成することもでき、さらに全ステップ 部分を滑らかなスロープに代えてもよい。

 ステージ部8は、最深部5にガラス溶解窯1の 方向を横断する最上段のステップ10から延 して配される。ステージ部8(ステップの最上 段)の高さは、図4に示したガラス溶解窯の最 部から溶融ガラスの液面までの深さをH、ガ ラス溶解窯の最深部からステップの最上段ま での高さ、即ちステージ部8の高さをH S とした場合、前部循環流Aでの対流速度を確 すると共にプルの低下を防ぐ観点から、0.10 H S /H≦0.50が好ましく、0.20≦H S /H≦0.40がより好ましく、0.25≦H S /H≦0.35が特に好ましい。なお、Hは0.5mから2m 範囲が好ましい。ステージ部8は、ガラス溶 窯1の溶融ガラス導出端まで同じ高さで、対 流を乱す突起物などは設けないことが好まし い。ステージ部8は、ガラス溶解窯1の内面の の部分と同じく耐火煉瓦を組み立てて構築 る。耐火煉瓦の材料は、その他の部分と同 もので構成すればよい。

 敷居体7は、前部と後部の循環流を分けるた めにガラス溶解窯1の幅方向を横断して、ス ージ部8のステップの最上段10側に配される ただし、敷居体7はステップ側でバブラー6よ りも前部側である。その位置は、図4に示し 原料投入部から、敷居体7までの距離をL D とした場合、前部循環領域を確保する観点か ら、0.30≦L D /L≦0.50が好ましく、0.33≦L D /L≦0.45がより好ましく、0.36≦L D /L≦0.40が特に好ましい。また、敷居体7の高 は、図4に示した窯の最深部から、敷居体7の 上端部までの高さをH D とした場合、後部循環流Bと前部循環流Aを分 る観点から、0.60≦H D /H≦0.75が好ましく、0.60≦H D /H≦0.70がより好ましく、0.60≦H D /H≦0.65が特に好ましい。なお、Hは0.5mから2m 範囲が好ましい。さらに、前部遡上流A2を形 成させる観点から、0.35≦(H D -H S )/(H-H S )≦0.65が好ましく、0.36≦(H D -H S )/(H-H S )≦0.55がより好ましく、0.37≦(H D -H S )/(H-H S )≦0.50が特に好ましい。敷居体7は、その他の 部分と同じく耐火煉瓦を組み立てて構築すれ ばよい。敷居体7の材料は、その他の部分と じもので構成すればよい。敷居体7の奥行き( 窯の長手方向の長さ)は、循環流を分けられ ばよいので、長手方向の長さLに対する比を0 .015~0.033とすることが好ましく、0.016~0.025とす ることがより好ましく、0.017~0.023とすること 特に好ましい。

 バブラー6は、ステップの段上にガラス溶解 窯1の幅方向を横断して設け、窯の底面から 泡を発生させて、溶融ガラス2に主に上向き 対流を発生させるものである。バブラー6を 設ける段のステップは複数のステップ9のい れであってもよい。また、バブラー6は、ス ップの最上段10で敷居体7の後部側にあって よい。バブラー6がこの範囲にあれば、後述 するように効果に顕著な違いはない。バブラ ーの位置は、図4に示した原料投入部から、 ブラーまでの距離をL B とした場合、後部循環流Bと前部循環流Aとの の中間部循環流Cを形成する観点から、0.20 L B /L≦0.40が好ましく、0.22≦L B /L≦0.38がより好ましく、0.24≦L B /L≦0.36が特に好ましい。泡の排出量は、窯の 構造によって異なる。

 以下に、本発明でのガラス溶解窯内の溶 ガラスの対流の特性とその効果について、 1を利用して説明する。図1に示すように、 発明のガラス溶解窯1の構造においては、ガ ス溶解窯の内部最深部5の途中から幅方向を 横断する複数のステップ9の中段にあるバブ ー6と、複数ステップの最上段のステップ10 に敷居体7を設けるので、前述の図7のダム窯 の特徴である後部循環流Bのバブラー6の多用 よる循環の旺盛化と後部温度レベルの高温 持が可能であり溶融ガラス2の均質性が良化 する。バブラー6は、図2のようにステップの 上段10上で敷居体7の後部側にあれば、図1の 場合での対流構造と顕著な違いがなく、同様 の効果がある。図2のバブラーの位置の場合 は、後部循環流Bを相対的に大きく出来る。 だし、後部循環流の大小は、各ガラス溶解 で決定される事項である。

 また、敷居体7の後部側で徐々に流路断面 が狭くなるため急激な流路断面の縮小がなく 、ダム窯及び図9のダム&ステップ窯で懸念 される敷居体7の後部近傍側での溶融ガラス2 滞留域(敷居体後部)Fがなくなる。さらに、 ブラー6と敷居体7との間において、原料投 部3の領域及びバブラー6後部に比べて流路断 面を狭くすることで、上下2つの中間部循環 Cを形成し、この領域での循環が抑制され、 部へ流れる溶融ガラス2の前部循環流Aの速 が小さくなる。その結果、図6のフラット窯 異なり敷居体7の前部領域であるステップの 上部領域の高温での滞在時間が長くなると共 にダム窯で懸念される滞留域(敷居体前部)Dが なくなり、清澄性が向上する。特に、敷居体 7前部付近の溶融ガラス2の上層領域は、清澄 対して重要な部分であり、ここの溶融ガラ 2の温度を高温に維持することによって、高 い脱泡(清澄)効果が得られる。

 さらに、ステップの最上段10及びステージ 8の前部循環領域で浅くなって且つ敷居体7が あるので、溶融ガラス上方の燃焼空間や溶融 ガラス上層からの赤外線透過によってステー ジ部底面が昇温し、また敷居体7近傍の溶融 ラス導出部4側の停滞部が小さくなるためリ イル、リームの発生が低減できる。また、 居体7により前部循環流Aの後進流が前進流 同程度の流速を有し、さらにステージ部8の に敷居体7があり敷居体7の高さがダム窯に べて低いので、前述した敷居体7上部の清澄 の高い領域を通って中間領域や後部へ遡上 やすく、各部の滞留もなくなり、その結果 して他のガラス溶解窯で見られない再溶融 再加熱、再清澄による高い均質化と清澄が 能になる。
  以上のステップ、バブラー、敷居体、及 ステージ部の構成要素が一体となって高い 果を発現し、従来の窯の各問題点を解決し 、プルの低下を起こすことなく高い清澄性 均質性とが得られる。

 なお、説明では複数のステップからなる 合について説明したが、図3に示す実施の別 形態として、図1の全ステップ部分がスロー 11に代わった場合がある。さらに図1の4段の テップをさらに多数のステップから構成し 実質的にスロープと同様の構造とすること できる。これらの場合もステップ状の場合 同様の効果が得られる。スロープ11部分は ステップ部分と同じく耐火煉瓦を組み立て ことによって形成することが可能である。 だし、スロープ部の形成にあたってはステ プの場合よりも作業上の手間がかかる。図2 ステップ部分をスロープに代えた場合も、 3と同様の効果がある。

 本発明に係るガラス溶解窯の断面構造で 清澄性と均質性とに対する有効性を確認す ために、本発明のガラス溶解窯及びその他 窯の対流について数値解析を行った。対流 解析は、差分法に基づくプログラムによっ 、溶融ガラスを非圧縮流体として温度と粘 との関係を考慮し、ガラス溶解窯操作条件 ガラス溶解窯形状、炉材構成を入力条件と て行った。本プログラムは溶融ガラスの上 燃焼空間の伝熱解析と溶融ガラスの熱対流 析をしている。上部燃焼空間の伝熱解析に いては輻射量の伝熱比率を決定する角関係( 形態係数)、上部輻射、対流伝熱を算出し溶 ガラス表面に与える伝熱量を計算する。熱 流解析においては、速度と温度に関する連 方程式を解き、速度と温度を計算する。

 解析は、自社開発のプログラムで実施し が、溶融ガラスの対流の数値解析が可能な フトウエア、例えば商標名GFM(開発・販売: ラスサービス社、チェコ)や商標名GTM-X(開発 販売:TNO、オランダ)などによって、各窯の 造を反映しガラスの物性によれば同様の計 が可能で、定性的に同様の結果が得られる

 実施例1が本願発明によるガラス溶解窯( 1)、比較例1がフラット窯(図6)、比較例2がダ 窯(図7)、比較例3がステップ窯(図8)に対する ものである。なお、ダム&ステップ窯(図9) 、清澄性と均質性に対する効果がダム窯と べて顕著な違いはない。

 表1と表2に、各窯に対する主要な解析条 を示す。なお、解析は、ソーダライムガラ を対象とし、すべてのガラス溶解窯でのプ を同じ(500トン/日)にし、通常のガラス溶解 のように長手方向の長さが幅方向の長さに して十分長く、幅方向の対流に比べ長手方 の対流が支配的な条件で行った。また、ガ ス溶解窯の長手方向の長さLの溶融ガラス最 部深さHに対する比を30、敷居体の奥行きの 手方向の長さLに対する比を0.02、Hを1.5mとし た。Hは、0.5mから2mの範囲であれば、ほぼ同 の効果が得られる。さらに、実施例と比較 によって効果の違いを明らかにするために すべてのガラス溶解窯で清澄性に対する重 なパラメータである敷居体前部上層の溶融 ラスの温度を1500℃、導出口の溶融ガラスの 度を1100℃となるように、各ガラス溶解窯に 与える熱量とバブラー流量とを設定した。バ ブラーによる泡の単位時間当たりの排出量は 、実施例1の場合を1.0とすると、比較例1、比 例2、比較例3で、それぞれ0.1、1.0、0.3であ 。これによって、各ガラス溶解窯の比較的 い効果が得られる条件での比較ができる。

 表3に、各ガラス溶解窯での清澄と均質性の 度合いを示す品質予測指標を示す。指標aは ステップの最上段(前部)の溶融ガラスの下層 部からの巻き上げに関するもので、下層部の 対流(後進流中)での上昇ベクトルで定義する この上昇ベクトルが小さい場合には、下層 の温度履歴の異なる素地が巻き上がらず、 れによる泡欠点が少なく清澄性がよい。
  指標bは、均質性に関わるもので、後部循 流のせん断力で定義する。このせん断力が きい場合には、溶融ガラスがよく撹拌され 均質性がよい。
  指標cは、清澄性に関わるもので、敷居体 部近傍の溶融ガラスの上層の高温域(1450℃ 上)での滞留時間で定義する。この高温域で 滞留時間が長いほど、清澄がよい。なお、 標cは、清澄性を示す指標として相対的に重 要度が指標aよりも高い。なお、各指標は、 較例1を1.0とした比を示した。

 表3に示すように、指標aにおいて実施例1 最も高い清澄性を示す。また、指標bにおい て、実施例1は、比較例2よりも指標値が小さ が、比較例1及び3に比べて大きく、良好な 質性を示す。指標cにおいて、実施例1は、最 も高い清澄性を示す。実施例1では、前部後 流もこの高温領域に合流するため、より高 清澄性を示す。実施例1において、指標aに加 えて指標cの指標値が最も高いことは、本発 に係るガラス溶解窯の構造による清澄性が のガラス溶解窯に比べて顕著に高いことを す。これらの結果から、実施例1が清澄性と 質性とを両立する構造として効果があるこ がわかる。

 別途、本発明に係るガラス溶解窯として 実施例1とほぼ同条件のガラス溶解窯を製作 し、それによるガラス製品の清澄性と均質性 について評価したところ、想定したとおり従 来の窯に比べて高い品質が得られた。

 以上より、本発明に係るガラス溶解窯の 面構造を特徴とする溶解工程からなるガラ 製品の製造方法が、清澄性と均質性とに効 があることがわかった。得られる高い清澄 と均質性は、その分プルの増加も可能にし 、生産性の向上も可能となる。

 本発明は、種々の組成からなるガラスの 解及びそのガラスからなるガラス製品の製 方法に好適である。