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Patent Searching and Data


Title:
GOLD ALLOY COATING, GOLD ALLOY COATING CLAD LAMINATE AND GOLD ALLOY COATING CLAD MEMBER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/108181
Kind Code:
A1
Abstract:
A reddish gold-colored or pink gold-colored gold alloy coating excelling in functionality and cost performance is provided by a dry plating method. The gold alloy coating is formed by a dry plating method and consists of a composition comprising, providing that the sum of all components of the gold alloy coating is 100 wt.%, 70 to 85 wt.% gold (Au), 15 to28 wt.% copper (Cu) and 0.5 to 2.0 wt.% palladium (Pd). A gold alloy coated member of high functionality including, above all, wear resistance and scratch resistance can be produced by providing a base material (2) with a hard foundation plating film (3) and, superimposed on the upper surface thereof, the above gold alloy coating (4).

Inventors:
KARUISHI KENYA (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/052988
Publication Date:
September 12, 2008
Filing Date:
February 21, 2008
Export Citation:
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Assignee:
CITIZEN TOHOKU CO LTD (JP)
KARUISHI KENYA (JP)
International Classes:
C23C14/14; C22C5/02; C22C14/00; C23C14/06; C23C28/02
Foreign References:
JPS59190340A1984-10-29
JPH11335755A1999-12-07
JPH10245646A1998-09-14
JP2002285359A2002-10-03
JPH10245646A1998-09-14
JPS59190340A1984-10-29
JPS61127863A1986-06-16
Other References:
See also references of EP 2135972A4
Attorney, Agent or Firm:
SUZUKI, Shunichiro (13-6 Nishigotanda 7-chom, Shinagawa-ku Tokyo 31, JP)
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Claims:
 乾式メッキ法によって成膜された金合金被膜であって、該金合金被膜の組成が、金合金被膜中の全成分の合計を100重量%としたとき、金(Au)を70~85重量%、銅(Cu)を15~28重量%、パラジウム(Pd)を0.5~2.0重量%であることを特徴とする金合金被膜。
 前記金合金被膜中にさらに、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、インジウム(In)の中の少なくとも1つの金属を色調調整成分として、該金合金被膜中の全成分の合計を100重量%としたとき、0重量%を超えて1重量%以下含むことを特徴とする請求項1に記載の金合金被膜。
 L*a*b*表色系(CIE表色系)による色評価が75<L*<100、0<a*<20、5<b*<25での範囲の色度であり、かつ、赤味を帯びた金色ないしはピンク色系の金色を呈することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の金合金被膜。
 膜厚が0.05~3.0μmの範囲であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の金合金被膜。
 少なくとも1層からなる下地メッキ被膜と、その上面に形成された請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の金合金被膜からなる金合金被膜被覆積層体であって、該下地メッキ被膜が、周期律表における4a族、5a族、6a族、およびニッケル(Ni)、クロム(Cr)の中の少なくとも1つの金属、該金属の炭化物、該金属の窒化物、該金属の炭窒化物および該金属の合金の中の少なくとも1つからなることを特徴とする金合金被膜被覆積層体。
 少なくとも1層からなる下地メッキ被膜と、その上面に成膜された請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の金合金被膜からなる金合金被膜被覆積層体であって、該下地メッキ被膜が、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、ニッケル(Ni)およびクロム(Cr)の中の少なくとも1つの金属、該金属の炭化物、該金属の窒化物、該金属の炭窒化物および該金属の合金の中の少なくとも1つからなり、かつ該下地メッキ被膜が硬質であることを特徴とする金合金被膜被覆積層体。
 少なくとも1層からなる下地メッキ被膜と、その上面に成膜された請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の金合金被膜からなる金合金被膜被覆積層体であって、該下地メッキ被膜が、該下地メッキ被膜中の全成分の合計を100重量%としたとき、チタン(Ti)60~88重量%と炭素(C)2~15重量%と窒素(N)10~25重量%とを含んだ硬質のチタン合金からなることを特徴とする金合金被膜被覆積層体。
 前記金合金被膜と前記下地メッキ被膜との間に混合層が存在しており、かつ、該混合層が前記金合金被膜を形成している成分と前記下地メッキ被膜を形成している成分との混合物からなることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の金合金被膜被覆積層体。
 基材と、その上面の少なくとも一部に請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の金合金被膜が成膜されていることを特徴とする金合金被膜被覆部材。
 請求項5から請求項8のいずれか1項に記載の金合金被膜被覆積層体であって、該下地メッキ被膜の最下面にさらに基材を有し、かつ、該下地メッキ被膜の最上面の少なくとも一部に前記金合金被膜が成膜されていることを特徴とする金合金被膜被覆部材。
 前記下地メッキ被膜が欠落した、基材露出部を有することを特徴とする請求項10に記載の金合金被膜被覆部材。
 前記金合金被膜の表面にさらに少なくとも1層の保護被膜が成膜されていることを特徴とする請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の金合金被膜被覆部材。
 前記基材が、プラチナ(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、シリコン(Si)、ステンレス、黄銅の中から選ばれる少なくとも1つの金属、または該金属の合金からなることを特徴とする請求項9から請求項12のいずれか1項に記載の金合金被膜被覆部材。
 前記基材が、焼結セラミックス、ガラスまたはプラスチックからなることを特徴とする請求項9から請求項12のいずれか1項に記載の金合金被膜被覆部材。
前記基材が、硬化処理を施した金属であって、該硬化処理が
 a)窒化、炭化、酸化の中から選ばれる少なくとも1つの化学反応、
 b)窒素、炭素、酸素の中から選ばれる少なくとも1つの元素のドープ、
 c)窒素、炭素、酸素の中から選ばれる少なくとも1つの元素との固溶、
 の群から選ばれるいずれかの処理であることを特徴とする請求項9から請求項12のいずれか1項に記載の金合金被膜被覆部材。
 前記基材が装飾品であることを特徴とする請求項9から請求項15のいずれか1項に記載の金合金被膜被覆部材。
 前記基材が時計外装部品であることを特徴とする請求項9から請求項15のいずれか1項に記載の金合金被膜被覆部材。
Description:
金合金被膜、金合金被膜被覆積 体及び金合金被膜被覆部材

 本発明は金合金被膜、該金合金被膜を有 る金合金被膜被覆積層体及び該金合金被膜 有する金合金被膜被覆部材に関し、特に赤 を帯びた金色ないしはピンク色系の金色を する装飾性を有する金合金被膜、該金合金 膜を有する金合金被膜被覆積層体及び該金 金被膜を有する金合金被膜被覆部材に関す 。

 楽器や眼鏡のフレーム、ネックレス、時 外装部品等の装飾品には、ピンク色系の金 を呈する外観で金属の質感を求めるものが くある。この需要を満たすために、ピンク 系の金色を呈する金合金基材を提供する技 が開示されている(例えば、特許文献1参照 )。

 また、貴金属の使用量を減らしより安価 この需要を満たし、且つ加工性や耐傷性な の機能性を高める手段として、他の金属に ンク色系の金色を呈する金合金メッキを施 ことが考えられる。

 その方法としては、メッキ液を使用する 式メッキ法が市場の多くを占めるており、 に乾式メッキ法による成膜方法があり、乾 メッキ法によるピンク色系の金色を呈する 膜を提供する技術が開示されている(例えば 、特許文献2参照。)。

 また、乾式メッキ法によるピンク色系の金 を呈する被膜を成膜するための、金を主成 とする合金材料に関しての技術が開示され いるが(例えば、特許文献3参照。)、用いら る合金材料は蒸発条件の異なる成分によっ 構成されているため、合金成分そのまま被 成分にはならないことが知られている。

特開平10-245646号公報(表1、表2)

特開昭59-190340号公報(表1)

特開昭61-127863号公報(頁1)

 しかしながら、ピンク色系の金色を呈す 金合金基材は高価な上、ピンク色系の発色 得るために混入される銅(Cu)成分のため、配 合比率によっては加工性や耐食性などの機能 品質が損なわれるなどの問題があった。

 また、メッキによる表面被覆手段を用い 場合、湿式メッキ法で得られる被膜の耐食 、耐傷性を始めとする機能品質を得るため は、被膜を厚くする必要があり、生産上の ストアップになっている。

 本発明の目的は、ピンク色系の金色を呈 る金合金被膜を乾式メッキ法によって成膜 、耐食性、耐傷性を始めとする機能品質を めた赤味を帯びた金色ないしはピンク色系 金色を呈する装飾性を有する金合金被膜と 該金合金被膜を有する金合金被膜被覆積層 及び該金合金被膜を有する金合金被膜被覆 材を提供することにある。

 上記目的を達成するための本発明の金合 被膜は、乾式メッキ法によって成膜された 合金被膜であって、該金合金被膜の組成が 金合金被膜中の全成分の合計を100重量%とし たとき、金(Au)を70~85重量%、銅(Cu)を15~28重量% パラジウム(Pd)を0.5~2.0重量%であることを特 とする。

 また、金合金被膜は、前記金合金被膜中 さらに、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、 ッケル(Ni)、インジウム(In)の中の少なくと 1つの金属を色調調整成分として、該金合金 膜中の全成分の合計を100重量%としたとき、 0重量%を超えて1重量%以下含んでいてもよい

 さらに、金合金被膜は、L*a*b*表色系(CIE表 色系)による色評価が、75<L*<100、0<a*< 20、5<b*<25での範囲の色度であり、かつ、 赤味を帯びた金色ないしはピンク色系の金色 を呈することがよい。

 さらに、金合金被膜は、L*a*b*表色系(CIE表 色系)による色評価が、80<L*<90、5<a*<1 5、10<b*<20での範囲の色度であるとき、特 に実用上きれいなピンク色系の金色色調を得 ることができるため、好ましい。

 さらに、金合金被膜は、その膜厚が0.05~3. 0μmの範囲であることが望ましい。

 本発明の金合金被膜被覆積層体は、少な とも1層からなる下地メッキ被膜と、その上 面に前記金合金被膜が成膜されており、かつ 、該下地メッキ被膜が、周期律表における4a 、5a族、6a族、およびニッケル(Ni)、クロム(C r)の中の少なくとも1つの金属、該金属の炭化 物、該金属の窒化物、該金属の炭窒化物およ び該金属の合金の中の少なくとも1つからな ことを特徴とする。

 また、金合金被膜被覆積層体は、少なく も1層からなる下地メッキ被膜と、その上面 に前記金合金被膜が成膜されており、かつ、 該下地メッキ被膜が、チタン(Ti)、ジルコニ ム(Zr)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、バナ ウム(V)、ニッケル(Ni)およびクロム(Cr)の中の 少なくとも1つの金属、該金属の炭化物、該 属の窒化物、該金属の炭窒化物および該金 の合金の中の少なくとも1つからなり、かつ 下地メッキ被膜が硬質であることが望まし 。

 また、金合金被膜被覆積層体は、少なく も1層からなる下地メッキ被膜と、その上面 に前記金合金被膜が成膜されており、かつ、 該下地メッキ被膜が、該下地メッキ被膜中の 全成分の合計を100重量%としたとき、チタン(T i)60~80重量%と炭素(C)2~15重量%と窒素(N)10~25重量 %とを含んだ硬質のチタン合金からなること 望ましい。

 また、前記金合金被膜被覆積層体は、前 金合金被膜と前記下地メッキ被膜との間に 前記金合金被膜を形成している成分と前記 地メッキ被膜を形成している成分との混合 からなる混合層が形成されていてもよい。

 本発明の金合金被膜被覆部材は、基材と その上面の少なくとも一部に前記金合金被 が成膜されていることを特徴とする。

 金合金被膜被覆部材は、下地メッキ被膜 最下面にさらに基材を有し、かつ、この下 メッキ被膜の最上面の少なくとも一部に前 金合金被膜が成膜されており、かつ、この 地メッキ被膜が、周期律表における4a族、5a 族、6a族、およびニッケル(Ni)、クロム(Cr)の の少なくとも1つの金属、該金属の炭化物、 金属の窒化物、該金属の炭窒化物、および 金属の合金の中の少なくとも1つからなるこ とを特徴とする。

 また、金合金被膜被覆部材は、下地メッ 被膜の最下面にさらに基材を有し、かつ、 の下地メッキ被膜の最上面の少なくとも一 に前記金合金被膜が成膜されており、かつ この下地メッキ被膜が、チタン(Ti)、ジルコ ニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、バ ナジウム(V)、ニッケル(Ni)およびクロム(Cr)の の少なくとも1つの金属、該金属の炭化物、 該金属の窒化物、該金属の炭窒化物および該 金属の合金の中の少なくとも1つからなり、 つ、この下地メッキ被膜が硬質であっても い。

 また、金合金被膜被覆部材は、下地メッ 被膜の最下面にさらに基材を有し、かつ、 の下地メッキ被膜の最上面の少なくとも一 に前記金合金被膜が成膜されており、かつ この下地メッキ被膜が、該下地メッキ被膜 の全成分の合計を100重量%としたとき、チタ ン(Ti)60~80重量%と炭素(C)2~15重量%と窒素(N)10~25 量%とを含んだ硬質のチタン合金被膜であっ てもよい。

 また、前記金合金被膜被覆部材は、前記 合金被膜と前記下地メッキ被膜との間に混 層が存在しており、かつ、この混合層が前 金合金被膜を形成している成分と前記下地 ッキ被膜を形成している成分との混合物か 形成されていることが望ましい。

 また、前記金合金被膜被覆部材は、前記 地メッキ被膜が欠落した、基材露出部を有 ていてもよい。

 また、前記金合金被膜被覆部材は、前記 合金被膜の表面にさらに少なくとも1層の保 護被膜が成膜されていてもよい。

 また、前記金合金被膜被覆部材は、前記 材が、プラチナ(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、 チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、タングステン( W)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、シリコ (Si)、ステンレス、黄銅の中から選ばれる少 くとも1つの金属、または該金属の合金から なることもよい。

 また、前記金合金被膜被覆部材は、前記 材が、焼結セラミックス、ガラスまたはプ スチックからなることもよい。

 また、前記金合金被膜被覆部材は、前記 材が、硬化処理を施した金属であって、該 化処理が、a)窒化、炭化、酸化の中から選 れる少なくとも1つの化学反応、b)窒素、炭 、酸素の中から選ばれる少なくとも1つの元 のドープ、c)窒素、炭素、酸素の中から選 れる少なくとも1つの元素との固溶、の群か 選ばれるいずれかの処理であってもよい。

 また、前記金合金被膜被覆部材は、前記 材が装飾品であることが望ましい。

 また、前記金合金被膜被覆部材は、前記 材が時計外装部品であることも望ましい。

 従来技術における赤味を帯びた金色ない はピンク色系の金色を呈する金合金基材、 たは湿式メッキ法による金合金被膜は、貴 属の使用量が多かったため、生産するには ストが高くなっており、耐食性や耐傷性と った機能性に難があった。これに対し本発 者は、非常に薄い膜厚でありながら耐傷性 優れ、耐食性にも問題の起こらない成分比 の被膜を開発すべく鋭意研究実験を重ねた 果、市場価値に優れたピンク色系の金色を する金合金でありながら、優れた耐食性と ストパフォーマンスを維持する薄膜の構成 件を見いだしたものである。

 また、本発明の金合金被膜の一部が局部 応力により傷ついても、下地メッキ被膜を 味することにより、下地メッキ被膜の色調 硬度によって外観上の傷が目立たず、結果 して装飾品としての外観品質と耐傷性を維 できることを見いだしたものである。

 以上のように本発明によれば、金合金被 の組成が、金合金被膜中の全成分の合計を1 00重量%としたとき、金(Au)を主成分とし、銅(C u)を15~30重量%、パラジウム(Pd)を0.5~2.0重量%の 囲で含むことによって、高い市場価値を持 た赤味を帯びた金色ないしはピンク色系の 色を呈する被膜でありながら、高い耐食性 持った金合金被膜を得ることができる。

 また、基材表面に下地メッキ被膜を成膜 、この下地メッキ被膜の上面に金合金被膜 成膜することによって、膜厚が薄くても耐 性に優れた機能性の高い被膜を、安価な製 コストで生産することが可能となり、下地 ッキ被膜の一部に基材露出部を設けること よりデザイン性やカラーバリエーションを らに向上させることができると共に高級感 ある金色硬質被覆被膜積層体および金合金 膜被覆部材を得ることができる。さらに、 明保護被膜を設けることにより金合金被膜 剥離や摩耗を防止し外部との接触によって ずる傷を防止できると共に一層鮮やかな色 呈する金合金被膜被覆部材を得ることがで る。

本発明の実施例1における金合金被膜被 覆部材としての眼鏡フレームを示す図で、図 1(a)は斜視図、図1(b)は、図1(a)における部分拡 大断面図である。 本発明の実施例2における金合金被膜被 覆部材としての腕時計用の指針を示す図で、 図2(a)は斜視図、図2(b)は、図2(a)におけるA-A断 面図である。 本発明の実施例3における金合金被膜被 覆部材としての腕時計用のバンドを示す図で 、図3(a)は斜視図、図3(b)は、図3(a)における部 分拡大断面図である。 本発明の実施例4における金合金被膜被 覆部材としての指輪を示す図で、図4(a)は斜 図、図4(b)は、図4(a)におけるB-B断面図である 。 本発明の実施例5における金合金被膜被 覆部材としての腕時計のケースを示す図で、 図5(a)は斜視図、図5(b)は、図5(a)におけるC-C断 面図である。 本発明の実施例6における金合金被膜被 覆部材としての腕時計用のバンドを示す図で 、図6(a)は斜視図、図6(b)は、図6(a)における部 分拡大断面図である。

符号の説明

1 眼鏡フレーム
2 眼鏡フレームの基材
3 金合金被膜
4 透明性の保護被膜
5 腕時計用の指針
6 腕時計用の指針の基材
7 下地メッキ被膜
8 金合金被膜
9 腕時計用のバンド
10 腕時計用のバンドの基材
11 下地メッキ被膜
12 金合金被膜
13 混合層
14 指輪
15 指輪の基材
16 金合金被膜
17 腕時計用のケース
18 腕時計用のケースの基材
19 下地メッキ被膜
20 金合金被膜
21 腕時計用のバンド
22 腕時計用のバンドの基材
23 表面硬化層
24 下地メッキ被膜
25 下地メッキ被膜
26 下地メッキ被膜
27 金合金被膜
28 混合層

 本実施形態における金合金被膜は、乾式 ッキ法によって成膜された金合金被膜であ 、金合金被膜の組成が、金合金被膜中の全 分の合計を100重量%としたとき、金(Au)を72~85 重量%、銅(Cu)を15~28重量%、パラジウム(Pd)を0.5 ~2.0重量%含む。また、本実施形態における金 金被膜はさらに、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバ ト(Co)、ニッケル(Ni)、インジウム(In)の中の なくとも1つの金属を色調調整成分として、 合金被膜中の全成分の合計を100重量%とした とき、0重量%を超えて1重量%以下含むことに って色調を求める仕様に微調整することも きる。

 なお、金合金被膜中の各金属の重量%は、 (株)堀場製作所社製エネルギー分散型X線分析 装置(EDX)を用いてスタンダードレス法によっ 算出した。

 この金合金被膜の膜厚は0.05~3.0μmの範囲 成膜するのが好ましく、膜厚が0.05μmより小 い場合は、下地の色を透過してしまい被膜 体の発色が得られなくなるため好ましくな 。また、膜厚が3.0μmより大きい場合は成膜 法の特徴として面粗さが増してしまい黒っ い発色になってしまい、被膜応力が大きく るため剥離しやすくなる上、生産コストの でも湿式メッキ法による成膜よりも高価に ってしまうため好ましくない。

 なお、金合金被膜の膜厚の測定は、セイ ーインスツル(株)社製蛍光X線膜厚計を用い 行った。

 また、本実施形態における金合金被膜は 味を帯びた金色ないしはピンク色系の金色 呈する、L*a*b*表色系(CIE表色系)による色評 が75<L*<100、0<a*<20、5<b*<25の範囲 の色度が好ましい。特に、80<L*<90、5<a* <15、10<b*<20の範囲の色度がより好まし 、この範囲の色度はピンク色系の金色と呼 ことができる範囲である。なお、これらの 囲を外れると、実用上きれいな赤味を帯び 金色ないしはピンク色系の金色を発色する は言い難くなるため、商品価値が低くなっ しまう。

 このL*a*b*表色系(CIE表色系)は、国際照明 員会で用いられている色座標で、以下の感 色度を表すものである。なお、L*a*b*表色系 よる色評価は、JIS Z8722に準拠して、コニカ ノルタホールディングス(株)社製分光側色 を用いて拡散照明受光方式で行った。

 L*:黒 ← マイナス(-)側、プラス(+)側 → 
 a*:緑 ← マイナス(-)側、プラス(+)側 → 
 b*:青 ← マイナス(-)側、プラス(+)側 → 
 また、基材表面に下地メッキ被膜を成膜し この下地メッキ被膜の一部に金合金被膜が 落した下地メッキ被膜露出部を設けること できる。この下地メッキ被膜は、湿式メッ または乾式メッキのいずれで成膜しても良 、金合金被膜と異なる色を用いることで、 地メッキ被膜露出部と金合金被膜との組み わせによる所謂ツートンカラーを実現する とが可能である。この結果、デザイン性や ラーバリエーションをさらに向上させるこ ができると共に、赤味を帯びた金色ないし ピンク色系の金色を主とした高級感のある 覆積層体および被覆部材を得ることができ 。さらに、下地被膜露出部の一部に欠落し 、基材露出部を設けることもでき、多色の み合わせが可能となり所謂マルチカラーも 現出来る。

 下地メッキ被膜は、2~6層の多層構造を有 ていてもよい。この場合、被覆積層体、あ いは被覆部材の耐傷性、耐磨耗性を始めと る高い機能性を得ることができる上、多色 によって非常にデザイン性の高い製品を得 ことができ、好ましい。また、多層構造を する下地メッキ被膜は、周期律表における4 a族、5a族、6a族、およびニッケル(Ni)、クロム (Cr)の中の少なくとも1つの金属、該金属の炭 物、該金属の窒化物、該金属の炭窒化物お び該金属の合金の中の少なくとも1つからな り、同一の多層構造でも、これを組み合わせ た構造でもよい。

 該下地メッキ被膜が、チタン(Ti)、ジルコ ニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、バ ナジウム(V)、ニッケル(Ni)およびクロム(Cr)の の少なくとも1つの金属、該金属の炭化物、 該金属の窒化物、該金属の炭窒化物および該 金属の合金の中の少なくとも1つからなると 、この下地メッキ被膜は、湿式メッキ法に るニッケルメッキなどの安価で一般的な下 メッキ被膜や、基材そのものに比べて、硬 である。

 特に、下地メッキ被膜が、該下地メッキ 膜中の全成分の合計を100重量%としたとき、 チタン(Ti)60~80重量%と炭素(C)2~15重量%と窒素(N) 10~25重量%とを含むとき、この硬質のチタン合 金は、耐摩耗性、耐傷性などの機能品質がよ り向上するため好ましい。また、この炭窒化 チタン(TiCN)被膜は、金合金被膜に近い色調を 有するため、金合金被膜に局部的な傷が入っ ても目立つことが無い。

 さらに、金合金被膜被覆部材の表面、即 、基材露出部、下地メッキ被膜露出部また 金合金被膜の少なくとも一部に透明性の保 被膜を設けることができる。これによって 合金物被膜や下地メッキ被膜の剥離や摩耗 防止し外部との接触によって生ずる傷を防 することができる。また、表面に透明保護 膜を設けることより一層鮮やかな金色を呈 る金合金被膜被覆部材を得ることができる

 また、本実施形態における基材としては プラチナ(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、チタン (Ti)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、タ タル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、シリコン(Si)、 テンレス、黄銅等の各種金属、またはこれ の金属の合金を用いることができる。さら 、焼結セラミックス、ガラスまたはプラス ック等種々の材料を用いることができる。 の結果、本実施形態における金合金被膜被 部材は食器、玩具、置物等多くの製品に適 が可能であるが、装飾品、特に時計外装部 に適応することで優れた効果を発揮するも である。

 図1から図6は本発明の実施例1から実施例6 における金合金被膜被覆部材を示す図である 。以下、本発明の金合金被膜、金合金被膜積 層体及び金合金被膜被覆部材の具体的実施例 について図1から図6に基づいて説明する。

 [実施例1]
 実施例1における金合金被膜被覆部材は眼鏡 フレームを例としたものであり、その表面の 全面にピンク色系の金色を呈する金合金被膜 を設け、その後眼鏡フレームの全面に透明保 護被膜を設けた例である。

 図1は、実施例1における金合金被膜被覆 材としての眼鏡フレームを示す図で、図1(a) 斜視図、図1(b)は、図1(a)における部分拡大 面図である。

 図1に示すように、本実施例における金合 金被膜被覆部材としての眼鏡フレーム1の基 2はチタン(Ti)材からなり、基材2の全面に膜 が0.3μmの金合金被膜3が成膜されている。

 この金合金被膜3は、金(Au)75.4重量%、銅(Cu )23.5重量%、パラジウム(Pd)1.1重量%の組成から り、L*a*b*表色系(CIE表色系)による色評価がL* =85、a*=10、b*=15の色度であり、鮮やかなピン 色系の金色を呈する。

 この金合金被膜3は、乾式メッキ法のスパ ッタリング法によって成膜されたものであり 、以下にその成膜方法について説明する。

 真空装置のチャンバ内へ金合金(Au、Cu、Pdの 合金)ターゲットと、被処理物としての眼鏡 レーム1の基材2をホルダに取り付け、金合金 ターゲットと約80mmの距離で配置したのち、5. 0×10 -3 Paまで排気し、その後アルゴンガスを150cc/min 流量で真空チャンバ内ヘ導入し、真空度を0 .2Paに調整する。

 その後、金合金ターゲットに約30分間ス ッタリングを行った。

 約20分間冷却した後、チャンバ内を大気 にし被処理物としての眼鏡フレーム1の基材2 を取り出したところ、眼鏡フレーム1の基材2 均一なピンク色系の金色を呈する金合金被 3が成膜されていることが確認された。

 また、この金合金被膜3は、従来技術にお ける湿式メッキ法による被膜に比して厚さが 薄く、均一な色調として成膜されていること が確認された。

 このように本実施例によれば装飾性に優 ピンク色系の金色を呈する眼鏡フレームを ることができる。

 なお、今回使用した真空装置は、ホルダ 回転機構を備えており、ホルダが回転する 共に被処理物自体も回転するようにホルダ 取り付けられるようになっている。

 また、金合金ターゲットの組成は、今回 処理条件によって金合金被膜3の組成になる ようにあらかじめ調整してある。

 次に、眼鏡フレームの基材2の全面に成膜 されている金合金被膜3の全面に2液式のウレ ン塗料の第1剤と第2剤とを混合したものを スプレー等により塗布した。

 その後、70℃で60分間加熱保持し硬化させ 透明性の保護被膜4とした。

 以上のように本実施例によれば眼鏡フレ ムのような複雑な形状をなす基材の全表面 均一で鮮やかなピンク色系の金色の金合金 膜を成膜することができる。

 また、眼鏡フレーム1の表面に成膜されて いる金合金被膜3は湿式メッキ法によって成 されたものに比して厚さが非常に薄く、貴 属の使用量が抑えられるため、コストパフ ーマンスに優れたものとなっている。

 また、眼鏡フレーム1の表面に成膜されて いる金合金被膜3の全面に透明性の保護被膜4 設けることより金合金被膜3の剥離や摩耗を 防止し外部との接触によって生ずる傷を防止 することができる。

 また、透明性の保護被膜4の作用により一 層鮮やかなピンク色系の金色を呈する眼鏡フ レームを得ることができる。

 [実施例2]
 実施例2における金合金被膜被覆部材は腕時 計用の指針を例としたものであり、その表面 の全面に湿式メッキ法により下地メッキ被膜 を成膜し、この下地メッキ被膜の一部に金合 金被膜を成膜した例である。

 図2は、実施例2における金合金被膜被覆 材としての腕時計用の指針5を示す図で、図2 (a)は斜視図、図2(b)は、図2(a)における腕時計 の指針5のA-A断面図である。

 図2に示すように、本実施例における金合 金被膜被覆部材としての腕時計用の指針5の 材6は黄銅材からなり、下地メッキ被膜7とし て湿式メッキ法によるニッケル(Ni)メッキが されている。

 この下地メッキ被膜7としてのニッケルメ ッキ層の厚さは2.0μmである。さらに、下地メ ッキ被膜7における腕時計用の指針5の上面側 対応する下地メッキ被膜7上面部には膜厚が 0.5μmの金合金被膜8が成膜されている。

 この金合金被膜8は、金(Au)78.5重量%、銅(Cu )20.6重量%、パラジウム(Pd)0.9重量%の組成から り、L*a*b*表色系(CIE表色系)による色評価がL* =82、a*=12、b*=14の色度であり、鮮やかなピン 色系の金色を呈する。

 この金合金被膜8は、乾式メッキ法のイオ ンプレーティング法によって成膜されたもの であり、以下にその成膜方法について説明す る。

 真空装置のチャンバ内へ蒸発材料として金 金(Au、Cu、Pdの合金)をルツボ内にセットし 被処理物として表面の全面に下地メッキ被 7として湿式メッキ法によるニッケル(Ni)メッ キが施されている腕時計用の指針5の基材6を 状の貼り付け型ホルダに取り付け、蒸発材 として金合金がセットされたルツボと約200m mの距離で配置した後、5.0×10 -3 Paまで排気し、その後アルゴンガスを150cc/min 流量で真空チャンバ内ヘ導入し、真空度を0 .2Paに調整する。

 その後、被処理物にカソード電圧として3 0V印加した後、ルツボ内にセットされた蒸発 料としての金合金に電子ビームを照射して 発させ、約20分間イオンプレーティングを った。

 約20分間冷却した後、チャンバ内を大気 にし、被処理物としての腕時計用の指針5の 材6を取り出したところ、腕時計用の指針5 基材6上面に均一なピンク色系の金色を呈す 金合金被膜8が成膜されていることが確認さ れた。

 また、この金合金被膜8は、従来技術にお ける湿式メッキ法による被膜に比して厚さが 薄く、均一な色調として成膜されていること が確認された。

 このように本実施例によれば装飾性に優 鮮やかなピンク色系の金色を呈する腕時計 の指針を得ることができる。

 なお、今回使用した真空装置は、ホルダ 回転機構を備えており、ホルダが回転する 共にホルダに貼り付けられた被処理物自体 回転するようになっており、貼り付けによ てホルダに接する腕時計用の指針5の下面に は、ピンク色系の金色を呈する金合金被膜8 成膜されていない。

 また、蒸発材料としての金合金の組成は 今回の処理条件によって金合金被膜8の組成 になるようにあらかじめ調整してある。

 以上のように本実施例によれば腕時計用 指針のような目視される必要な部分のみに やかなピンク色系の金色の金合金被膜を成 することができる。

 この結果、装飾性に優れ鮮やかなピンク 系の金色を呈する腕時計用の指針を得るこ ができると共に腕時計用の指針のデザイン やカラーバリエーションをさらに向上させ ことができる。

 また、腕時計用の指針の表面に下地メッ 被膜として成膜されているニッケルメッキ より黄銅材のみであるよりも耐食性に優れ 鮮やかなピンク色系の金色を呈する腕時計 の指針を得ることができる。

 [実施例3]
 実施例3における金合金被膜被覆部材は腕時 計用のバンドを例としたものであり、その表 面の全面に乾式メッキ法により下地メッキ被 膜を成膜し、この下地メッキ被膜の上面に金 合金被膜を成膜した例である。

 図3は、実施例3における金合金被膜被覆 材としての腕時計用のバンド9を示す図で、 3(a)は斜視図、図3(b)は、図3(a)における部分 大断面図である。

 図3に示すように、本実施例における金合 金被膜被覆部材として、腕時計用のバンド9 基材10はステンレス材からなり、下地メッキ 被膜11として乾式メッキ法による炭窒化チタ (TiCN、チタン:78重量%、炭素:5重量%、窒素:13 量%を含むチタン合金)被膜が成膜されてい 。なお、炭窒化チタン中のチタン、炭素お び窒素の重量%は、(株)堀場製作所社製エネ ギー分散型X線分析装置(EDX)を用いてスタン ードレス法によって算出した。(以下、同じ 法を用いて算出した)。

 この下地メッキ被膜11としての炭窒化チ ン(TiCN)被膜の厚さは0.6μmである。

 さらに、腕時計用のバンド9の全面に成膜 されている下地メッキ被膜11の上面には膜厚 0.2μmの金合金被膜12が成膜されており、下 メッキ被膜11と金合金被膜12との間には両被 成分の混合層13がもうけられている。

 この金合金被膜12は、金(Au)76.4重量%、銅(C u)22.7重量%、パラジウム(Pd)0.9重量%の組成から なり、L*a*b*表色系(CIE表色系)による色評価がL *=86、a*=11、b*=15の色度であり、鮮やかなピン 色系の金色の色を呈する。

 この下地メッキ被膜11と金合金被膜12は、 乾式メッキ法のイオンプレーティング法によ って成膜されたものであり、以下にその成膜 方法について説明する。

 真空装置のチャンバ内へ蒸発材料としてチ ン(Ti)と金合金(Au、Cu、Pdの合金)とを別々の ツボ内にセットし、被処理物として腕時計 のバンド9の基材10をホルダに取り付け、蒸 材料がセットされたルツボと約200mmの距離 配置した後、5.0×10 -3 Paまで排気し、その後アルゴンガスを100cc/min 窒素ガスを150cc/min、メタンガスを50cc/minの 量で真空チャンバ内ヘ導入し、真空度を0.1Pa に調整する。

 その後、被処理物にカソード電圧として3 0V印加した後、ルツボ内にセットされた蒸発 料としてのチタンに電子ビームを照射して 発させ、約40分間イオンプレーティングを った。

 その後、窒素ガスとメタンガスの導入を 止し、アルゴンガスを80cc/minの流量で真空 ャンバ内ヘ導入し、真空度を0.25Paに調整す 。

 その後、被処理物にカソード電圧として1 0V印加した後、ルツボ内にセットされた蒸発 料としての金合金に電子ビームを照射して 発させ、約20分間イオンプレーティングを った。

 このとき、蒸発材料としてのチタンへの 子ビームの照射を段階的に停止しながら蒸 材料としての金合金への電子ビームの照射 開始することによって、両蒸発材料の成分 含んだ混合層13をつくる。

 約20分間冷却した後、チャンバ内を大気 にし、被処理物として、腕時計用のバンド9 基材10を取り出したところ、腕時計用のバ ド9の基材10上面に均一なピンク色系の金色 呈する金合金被膜12が成膜されていることが 確認された。

 また、この金合金被膜12は、従来技術に ける湿式メッキ法による被膜に比して厚さ 薄く、均一な色調として成膜されているこ が確認された。

 このように本実施例によれば装飾性に優 鮮やかなピンク色系の金色を呈する腕時計 のバンドを得ることができる。

 なお、今回使用した真空装置は、ホルダ 回転機構を備えており、ホルダが回転する 共にホルダに貼り付けられた被処理物自体 回転するようになっている。

 また、蒸発材料としての金合金の組成は 今回の処理条件によって金合金被膜12の組 になるようにあらかじめ調整してある。

 以上のように本実施例によれば腕時計用 バンド9の全面に均一で鮮やかなピンク色系 の金色の金合金被膜12を成膜することができ 。

 また、腕時計用のバンド9の全面に成膜さ れている金合金被膜12は、硬質の下地メッキ 膜11を設けることより耐摩耗性、耐傷性な の機能品質が向上しており、局部的な傷が っても金合金被膜12に近い色調を持つ有色の 下地メッキ被膜である炭窒化チタン(TiCN)被膜 によって目立つことが無い。

 また、金合金被膜12と下地メッキ被膜11と の間には混合層13がもうけてあるため、金合 被膜12と下地メッキ被膜11との密着性は高く 、層間剥離などの問題発生は皆無となってい る。

 [実施例4]
 実施例4における金合金被膜被覆部材は指輪 を例としたものであり、その表面の一部に乾 式メッキ法により金合金被膜を成膜した例で ある。

 図4は、実施例4における金合金被膜被覆 材としての指輪14を示す図で、図4(a)は斜視 、図4(b)は、図4(a)における指輪14のB-B断面図 ある。

 図4に示すように、本実施例における金合 金被膜被覆部材としての指輪14の基材15はプ チナ(Pt)材からなり、乾式メッキ法によって 面の一部に膜厚が0.3μmの金合金被膜16が成 されている。

 この金合金被膜16は、金(Au)78.4重量%、銅(C u)20.1重量%、パラジウム(Pd)1.0重量%、コバルト (Co)0.5重量%の組成からなり、L*a*b*表色系(CIE表 色系)による色評価がL*=86、a*=9、b*=15の色度で あり、明るいピンク色系の金色の色を呈する 。

 この金合金被膜16は、乾式メッキ法のイ ンプレーティング法によって成膜されたも であり、以下にその成膜方法について説明 る。

 真空装置のチャンバ内へ蒸発材料として金 金(Au、Cu、Pd、Coの合金)をルツボ内にセット し、被処理物として指輪14の基材15をホルダ 取り付け、蒸発材料として金合金がセット れたルツボと約100mmの距離で配置した後、5.0 ×10 -3 Paまで排気し、その後アルゴンガスを150cc/min 流量で真空チャンバ内ヘ導入し、真空度を0 .2Paに調整する。

 その後、被処理物にカソード電圧として1 0V印加した後、ルツボ内にセットされた蒸発 料としての金合金に電子ビームを照射して 発させ、約30分間イオンプレーティングを った。

 約20分間冷却した後、チャンバ内を大気 にし被処理物としての指輪14の基材15を取り したところ、指輪14の基材15の上面に均一な ピンク色系の金色を呈する金合金被膜16が成 されていることが確認された。

 また、この金合金被膜16は、従来技術に ける湿式メッキ法による被膜に比して厚さ 薄く、均一な色調として成膜されているこ が確認された。

 チャンバ内から取り出された指輪14の表 の一部であって、完成デザイン上の金合金 膜16の成膜が必要な部分に、シンナー溶剤系 のマスキング材を塗布し、100℃、60分の条件 マスキング材の乾燥を行う。

 その後、指輪14を金剥離液に浸漬し金合 被膜16を除去し、有機溶剤によってマスキン グ材を除去する。

 これによりマスキング材によって保護さ ていた部分に金合金被膜16が残り、マスキ グ材によって保護されていなかった部分に 金合金被膜16で成膜されていない基材15の露 部分ができる。

 このように本実施例によれば装飾性に優 ピンク色系の金色を呈する指輪を得ること できる。

 なお、今回使用した真空装置は、ホルダ 回転機構を備えており、ホルダが回転する 共にホルダに貼り付けられた被処理物自体 回転するようになっている。

 また、蒸発材料としての金合金の組成は 今回の処理条件によって金合金被膜16の組 になるようにあらかじめ調整してある。

 以上のように本実施例によれば指輪14の 面の一部に均一で明るめなピンク色系の金 の金合金被膜16を成膜することができる。

 この結果、装飾性に優れ明るめなピンク 系の金色を呈する指輪を得ることができる 共に、この処理により、ピンク色系の金色 呈する金合金被膜16が表面の一部に成膜さ ている、所謂ツートンデザインが可能とな 。

 [実施例5]
 実施例5における金合金被膜被覆部材は腕時 計用のケースを例としたものであり、その表 面の一部に乾式メッキ法により下地メッキ被 膜を成膜し、この下地メッキ被膜の上面に金 合金被膜を成膜した例である。

 図5は、実施例5における金合金被膜被覆 材としての腕時計用のケース17を示す図で、 図5(a)は斜視図、図5(b)は、図5(a)における腕時 計用のケース17のC-C断面図である。

 図5に示すように、本実施例における金合 金被膜被覆部材としての腕時計用のケース17 基材18はチタン(Ti)材からなり、下地メッキ 膜19として乾式メッキ法による炭窒化チタ (TiCN、チタン:82重量%、炭素:6重量%、窒素:12 量%を含むチタン合金)被膜が表面の一部に成 膜されている。

 この下地メッキ被膜19としての炭窒化チ ン(TiCN)被膜の厚さは0.6μmである。

 さらに、腕時計用のケース17の表面の一 に成膜されている下地メッキ被膜19の上面に は膜厚が0.2μmの金合金被膜20が成膜されてい 。

 この金合金被膜20は、金(Au)77.4重量%、銅(C u)20.8重量%、パラジウム(Pd)1.2重量%、ニッケル (Ni)0.6重量%の組成からなり、L*a*b*表色系(CIE表 色系)による色評価がL*=83、a*=10、b*=16の色度 あり、赤味が強めのピンク色系の金色を呈 る。

 この下地メッキ被膜19と金合金被膜20は、 乾式メッキ法のスパッタリング法によって成 膜されたものであり、以下にその成膜方法に ついて説明する。

 腕時計用のケース17の表面の一部であっ 、完成デザイン上で金合金被膜20の成膜が必 要ない部分に、エポキシ系のマスキング材を 塗布し、200℃、60分の条件でマスキング材の ーブン焼付けを行う。

 マスキング材を塗布した腕時計用のケース1 7をオーブンから取り出し、前処理として水 浄系の清浄処理を行った後、真空装置のチ ンバ内へチタン(Ti)ターゲットと金合金(Au、C u、Pd、Niの合金)ターゲットと、被処理物とし て、腕時計用のケース17の基材18をホルダに り付け、金合金ターゲットと約100mmの距離で 配置したのち、5.0×10 -3 Paまで排気する。

 その後アルゴンガスを150cc/min、窒素ガス 100cc/min、メタンガスを50cc/minの流量で真空 ャンバ内ヘ導入し、真空度を0.2Paに調整する 。

 チタンターゲットに約40分間スパッタリ グを行った後、窒素ガスとメタンガスの導 を停止し、アルゴンガスを120cc/minの流量で 空チャンバ内ヘ導入し、真空度を0.2Paに調整 する。

 その後、金合金ターゲットに約20分間ス ッタリングを行った。

 約20分間冷却した後、チャンバ内を大気 にし、被処理物として、腕時計用のケース17 の基材18を取り出したところ、腕時計用のケ ス17の基材18に均一なピンク色系の金色を呈 する金合金被膜20が成膜されていることが確 された。

 チャンバ内から取り出された腕時計用の ース17の表面の一部にはエポキシ系のマス ング材が塗布されているので、このマスキ グ材を酸処理により除去する。

 これによりマスキング材の上面に成膜さ ていた下地メッキ被膜19と金合金被膜20も一 緒に除去されるので、マスキング材が塗布さ れていた部分には、下地メッキ被膜19と金合 被膜20とが成膜されていない基材18の露出部 分ができる。

 また、この金合金被膜20は、従来技術に ける湿式メッキ法による被膜に比して厚さ 薄く、均一な色調として成膜されているこ が確認された。

 このように本実施例によれば、表面の一 に装飾性に優れ、赤味の強めなピンク色系 金色を呈する金合金被膜を持った腕時計用 ケースを得ることができる。

 なお、今回使用した真空装置は、ホルダ 回転機構を備えており、ホルダが回転する 共に被処理物自体も回転するようにホルダ 取り付けられるようになっている。

 また、金合金ターゲットの組成は、今回 処理条件によって金合金被膜20の組成にな ようにあらかじめ調整してある。

 以上のように本実施例によれば腕時計用 ケース17の表面の一部に均一で赤味の強め ピンク色系の金色の金合金被膜20を成膜する ことができる。

 また、腕時計用のケース17の表面の一部 成膜されている金合金被膜20は、硬質の下地 メッキ被膜19を設けることより耐摩耗性、耐 性などの機能品質が向上しており、局部的 傷が入っても金合金被膜20に近い色調を持 有色の下地メッキ被膜19である炭窒化チタン (TiCN)被膜によって目立つことが無い。

 また、この処理により、ピンク色系の金 を呈する金合金被膜20が表面の一部に成膜 れている、所謂ツートンデザインが可能と る。

 [実施例6]
 実施例6における金合金被膜被覆部材は腕時 計用のバンドを例としたものであり、基材に は窒素固溶による硬化処理が施されており、 その表面の全面には硬質の乾式メッキ法によ る下地メッキ被膜が成膜されており、この下 地メッキ被膜の上面の一部に硬質の下地メッ キ被膜を有する金合金被膜を成膜した例であ る。

 図6は、実施例6における金合金被膜被覆 材としての腕時計用のバンド21を示す図で、 図6(a)は斜視図、図6(b)は、図6(a)における部分 拡大断面図である。

 図6に示すように、本実施例における金合 金被膜被覆部材としての腕時計用のバンド21 基材22はチタン(Ti)材からなり、窒素の固溶 処理により表面硬化層23処理が施されてい 。

 また、下地メッキ被膜24として乾式メッ 法による炭化チタン(TiC)被膜が表面の全面に 成膜されており、下地メッキ被膜25として乾 メッキ法によるプラチナ(Pt)被膜が炭化チタ ン(TiC)被膜の上面の全面に成膜されている。

 また、下地メッキ被膜26として、表面の 面に成膜されたプラチナ(Pt)被膜の上面の一 に、乾式メッキ法による炭窒化チタン(TiCN) 膜と金合金被膜27が成膜されている。また 下地メッキ被膜26と金合金被膜27との間に両 膜成分からなる混合層28が存在する、金合 被膜被覆積層体がもうけられている。

 この下地メッキ被膜24としての炭化チタ (TiC)被膜の厚さは0.6μmであり、下地メッキ被 膜25としてのプラチナ(Pt)被膜の厚さは0.1μmで あり、下地メッキ被膜26としての炭窒化チタ (TiCN)被膜の厚さは0.3μmであり、金合金被膜2 7の厚さは0.1μmである。

 また、この金合金被膜27は、金(Au)78.0重量 %、銅(Cu)21.1重量%、パラジウム(Pd)0.9重量%の組 成からなり、L*a*b*表色系(CIE表色系)による色 価がL*=86、a*=12、b*=15の色度であり、鮮やか ピンク色系の金色を呈する。

 この下地メッキ被膜24と下地メッキ被膜25 と下地メッキ被膜26と混合層28と金合金被膜27 は、乾式メッキ法のイオンプレーティング法 によって成膜されたものであり、以下にその 成膜方法について説明する。

 真空装置のチャンバ内へ蒸発材料としてチ ン(Ti)とプラチナ(Pt)とを別々のルツボ内に ットし、被処理物として腕時計用のバンド21 の基材22をホルダに取り付け、蒸発材料がセ トされたルツボと約300mmの距離で配置した 、5.0×10 -3 Paまで排気する。

 その後アルゴンガスを120cc/min、メタンガ を100cc/minの流量で真空チャンバ内ヘ導入し 真空度を0.2Paに調整する。

 その後、被処理物にカソード電圧として3 0V印加した後、ルツボ内にセットされた蒸発 料としてのチタンに電子ビームを照射して 発させ、約40分間イオンプレーティングを った。

 その後、窒素ガスとメタンガスの導入を 止し、アルゴンガスを100cc/minの流量で真空 ャンバ内ヘ導入し、真空度を0.25Paに調整す 。

 その後、被処理物にカソード電圧として1 0V印加した後、ルツボ内にセットされた蒸発 料としてのプラチナに電子ビームを照射し 蒸発させ、約10分間イオンプレーティング 行った。

 約20分間冷却した後、チャンバ内を大気 にし被処理物として、腕時計用のバンド21の 基材22を取り出したところ、腕時計用のバン 21の基材22上面に、硬質の下地メッキ被膜24 、均一な白色を呈する下地メッキ被膜25が 膜されていることが確認された。

 腕時計用のバンド21の表面の一部であっ 、完成デザイン上で金合金被膜27の成膜が必 要ない部分に、エポキシ系のマスキング材を 塗布し、200℃、60分の条件でマスキング材の ーブン焼付けを行う。

 マスキング材を塗布した腕時計用のバンド2 1をオーブンから取り出し、前処理として水 浄系の清浄処理を行った後、真空装置のチ ンバ内へ蒸発材料としてチタン(Ti)と金合金( Au、Cu、Pdの合金)と、被処理物としての腕時 用のバンド21をホルダに取り付け、金合金タ ーゲットと約300mmの距離で配置した後、5.0×10 -3 Paまで排気する。

 その後アルゴンガスを150cc/min、窒素ガス 100cc/min、メタンガスを50cc/minの流量で真空 ャンバ内ヘ導入し、真空度を0.1Paに調整する 。

 その後、被処理物にカソード電圧として3 0V印加した後、ルツボ内にセットされた蒸発 料としてのチタンに電子ビームを照射して 発させ、約30分間イオンプレーティングを った。

 その後、窒素ガスとメタンガスの導入を 止し、アルゴンガスを100cc/minの流量で真空 ャンバ内ヘ導入し、真空度を0.25Paに調整す 。

 その後、被処理物にカソード電圧として1 0V印加した後、ルツボ内にセットされた蒸発 料としての金合金に電子ビームを照射して 発させ、約10分間イオンプレーティングを った。

 このとき、蒸発材料としてのチタンへの 子ビームの照射を段階的に停止しながら蒸 材料としての金合金への電子ビームの照射 開始することによって、両蒸発材料の成分 含んだ混合層28をつくる。

 約20分間冷却した後、チャンバ内を大気 にし被処理物として、腕時計用のバンド21の 基材22を取り出したところ、腕時計用のバン 21基材22に均一なピンク色系の金色を呈する 金合金被膜27が成膜されていることが確認さ た。

 チャンバ内から取り出された腕時計用の ンド21の表面の一部にはエポキシ系のマス ング材が塗布されているので、このマスキ グ材を酸処理により除去する。

 これによりマスキング材の上面に成膜さ ていた下地メッキ被膜26と金合金被膜27も一 緒に除去されるので、マスキング材が塗布さ れていた部分には、白色の下地メッキ被膜25 露出部分ができる。

 このように本実施例によれば、表面の一 に装飾性に優れ鮮やかなピンク色系の金色 呈する金合金被膜と、高級感のある装飾性 優れた白色を呈する下地メッキ被膜とを持 た腕時計用のバンドを得ることができる。

 なお、今回使用した真空装置は、いずれ ホルダの回転機構を備えており、ホルダが 転すると共に被処理物自体も回転するよう ホルダに取り付けられるようになっている

 また、金合金ターゲットの組成は、今回 処理条件によって金合金被膜27の組成にな ようにあらかじめ調整してある。

 以上のように本実施例によれば腕時計用 バンド21の表面の一部に均一で鮮やかなピ ク色系の金色の金合金被膜27と、高級感のあ る装飾性に優れた白色を呈する下地メッキ被 膜25とを成膜することができる。

 また、腕時計用のバンド21の表面の一部 成膜されている金合金被膜27は、硬質の下地 メッキ被膜26を設けることより耐摩耗性、耐 性などの機能品質が向上しており、局部的 傷が入っても金合金被膜27に近い色調を持 有色の下地メッキ被膜26である炭窒化チタン (TiCN)被膜によって目立つことが無い。

 また、一方で腕時計用のバンド21の表面 全面に成膜されている下地メッキ被膜25は、 硬質の下地メッキ被膜24を設けることより耐 耗性、耐傷性などの機能品質が向上してお 、局部的な傷が入っても下地メッキ被膜25 近い色調を持つ白色の下地メッキ被膜24であ る炭化チタン(TiC)被膜によって目立つことが い。

 また、この処理により、ピンク色系の金 を呈する金合金被膜27が表面の一部に成膜 れ、表面の別の一部には白色系の色を呈す 下地目メッキ被膜25が成膜されている、所謂 ツートンデザインが可能となる。

 また、この処理により、腕時計用のバン 21の基材22の表面には、表面硬化層23形成さ ているため、表面に成膜された硬質の被膜 の相乗効果により、さらに耐摩耗性、耐傷 などの機能品質が向上している。

 本実施形態においては、ピンク色系の金 を呈する酸化物被膜を例として説明したが これに限定されるものではなく、クロム(Cr) 、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、インジ ウム(In)などの色調調整成分を蒸発材料に加 て調節することによって、より細かい色調 整が可能となる。

 また、本実施形態においては一層の金合 被膜を形成した例で説明したが、これに限 されるものではなく、複数層の金合金被膜 形成し、よりバリエーション豊富なデザイ の成膜をすることができる。

 また、本実施形態においては炭窒化チタ (TiCN)、炭化チタン(TiC)を硬質の下地メッキ 膜として形成した例で説明したが、これに 定されるものではなく、ハフニウム(Hf)の化 物やジルコニウム(Zr)の化合物など他物質に よる硬質の下地メッキ被膜を形成することが できる。