Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
GRANULATED POWDER OF TRANSITION METAL COMPOUND FOR RAW MATERIAL FOR POSITIVE ELECTRODE ACTIVE MATERIAL OF LITHIUM SECONDARY BATTERY, AND METHOD FOR PRODUCING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/057777
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a transition metal compound granule serving as a raw material for a positive electrode active material of a lithium secondary battery which has high filling density, high volumetric capacity, high safety and excellent charge/discharge cycle durability. Specifically disclosed is a transition metal compound granule for a raw material for positive electrode active materials of lithium ion secondary batteries, which is characterized by containing at least one element selected from the group consisting of nickel, cobalt and manganese. This transition metal compound granule is also characterized by being substantially spherical and composed of particles having an average primary particle diameter of not more than 1 μm, and having an average particle diameter D50 of 10-40 μm and an average pore diameter of not more than 1 μm.

Inventors:
TATSUMI KOJI (JP)
NAGURA YUKI (JP)
HIRATSUKA KAZUYA (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/069948
Publication Date:
May 07, 2009
Filing Date:
October 31, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
AGC SEIMI CHEMICAL CO LTD (JP)
TATSUMI KOJI (JP)
NAGURA YUKI (JP)
HIRATSUKA KAZUYA (JP)
International Classes:
C01G45/02; C01G51/00; C01G53/00; H01M4/52; H01M4/525; H01M4/48; H01M4/485
Domestic Patent References:
WO2007102407A12007-09-13
Foreign References:
JP2005123179A2005-05-12
JP2005097087A2005-04-14
JP2006196293A2006-07-27
JP2007280723A2007-10-25
Attorney, Agent or Firm:
SENMYO, Kenji et al. (SIA Kanda Square17, Kanda-Konyach, Chiyoda-ku Tokyo 35, JP)
Download PDF:
Claims:
 ニッケル、コバルト及びマンガンからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含み、一次粒子の平均粒子径が1μm以下の粒子からなる、実質上球状であり、平均粒子径D50が10~40μmであり、かつ平均細孔径が1μm以下であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極材料の原料用の遷移金属化合物造粒体。
 さらに、Ti、Zr、Hf、V、Nb、W、Ta、Mo、Sn、Zn、Mg、Ca、Ba及びAlからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1に記載の遷移金属化合物造粒体。
 気孔率が60~90%である請求項1又は2に記載の遷移金属化合物造粒体。
 アスペクト比が1.20以下である請求項1~3のいずれかに記載の遷移金属化合物造粒体。
 安息角が60°以下である請求項1~4のいずれかに記載の遷移金属化合物造粒体。
 中空粒子の割合が10%以下である請求項1~5のいずれかに記載の遷移金属化合物造粒体
 D10が3~12μmである請求項1~6のいずれかに記載の遷移金属化合物造粒体。
 D90が70μm以下である請求項1~7のいずれかに記載の遷移金属化合物造粒体。
 比表面積が4~100m 2 /gである請求項1~8のいずれかに記載の遷移金属化合物造粒体。
 遷移金属化合物が、水酸化物、オキシ水酸化物、酸化物及び炭酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1~9のいずれかに記載の遷移金属化合物造粒体。
 遷移金属化合物が、水酸化コバルト又はオキシ水酸化コバルトである請求項1~10のいずれかに記載の遷移金属化合物造粒体。
 請求項1~11のいずれかに記載の遷移金属化合物造粒体の製造方法であって、ニッケル、コバルト及びマンガンからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む遷移金属化合物粒子であり、分散平均粒子径が1μm以下である粒子を水中に分散させたスラリーを噴霧乾燥することを特徴とする遷移金属化合物造粒体の製造方法。
 前記スラリー中の遷移金属化合物粒子の固形分濃度が35重量%以上であり、かつ該スラリーの粘度が2~500mPa・sである請求項12に記載の遷移金属化合物造粒体の製造方法。
 前記スラリーが、さらにTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、W、Zn、Mg、Ca、Sn、Ba及びAlからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物を含有する請求項12又は13に記載の遷移金属化合物造粒体の製造方法。
 前記スラリー中に分散した遷移金属化合物粒子の分散平均粒子径が0.5μm以下である請求項12~14のいずれかに記載の遷移金属化合物造粒体の製造方法。
 前記スラリー中に分散した遷移金属化合物粒子のD90が5μm以下である請求項12~15のいずれかに記載の遷移金属化合物造粒体の製造方法。
 前記スラリーが、沈降度が0.8以上を有する請求項12~16のいずれかに記載の遷移金属化合物造粒体の製造方法。
 Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、W、Zn、Mg、Ca、Sn、Ba及びAlからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物を前記スラリー中に溶解して含有するか、又は前記化合物を粒子として分散して含有する請求項14に記載の遷移金属化合物造粒体の製造方法。
 前記スラリーが、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、W、Zn、Mg、Ca、Sn、Ba及びAlからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物を前記スラリー中に粉体粒子として分散して含有する請求項14に記載の遷移金属化合物造粒体の製造方法。
 スラリー中に分散した粉体粒子の分散平均粒子径が、遷移金属化合物粒子の分散平均粒子径の2倍以下である請求項19に記載の遷移金属化合物造粒体の製造方法。
 遷移金属化合物粒子を分散させたスラリーが、分散平均粒子径が1μm以下の遷移金属化合物粒子を析出させ、洗浄することにより得られるスラリーであり、かつ洗浄後に粉砕工程を含まない請求項12~20のいずれかに記載の遷移金属化合物造粒体の製造方法。
 遷移金属化合物が水酸化コバルトであり、遷移金属化合物造粒体が水酸化コバルト造粒体である請求項12~21のいずれかに記載の遷移金属化合物造粒体の製造方法。
 請求項1~11のいずれかに記載の遷移金属化合物造粒体と、リチウム化合物とを混合した後、焼成して得られるリチウム含有複合酸化物。
 請求項22に記載の製造方法により得られる遷移金属化合物造粒体と、リチウム化合物とを混合し、酸素含有雰囲気下にて、焼成温度を1000~1100℃にして焼成することで得られるリチウムコバルト複合酸化物。
 請求項23又は24に記載のリチウム含有複合酸化物からなる正極活物質と導電材とバインダーとを含むリチウム二次電池用正極。
 正極、負極、非水電解質及び電解液を含み、かつ該正極が請求項25に記載のリチウム二次電池用正極であるリチウムイオン二次電池。
Description:
リチウム二次電池正極活物質の 料用遷移金属化合物の造粒体粉末及びその 造方法

 本発明は充填密度が高く、体積容量密度 大きく、安全性が高く、充放電サイクル耐 性に優れたリチウム二次電池正極用のリチ ム含有複合酸化物の原料となる、遷移金属 合物造粒体、該遷移金属化合物造粒体の製 方法、該遷移金属化合物造粒体を用いて作 したリチウム二次電池正極用のリチウム含 複合酸化物、該リチウム含有複合酸化物を むリチウム二次電池用正極及びリチウム二 電池に関する。

 近年、パソコン、携帯電話等の情報関連機 や通信機器の急速な発達が進むにつれて、 型、軽量でかつ高エネルギー密度を有する チウム二次電池等の非水電解液二次電池に する要求が高まっている。かかる非水電解 二次電池用の正極活物質には、LiCoO 2 、LiNiO 2 、LiNi 0.8 Co 0.2 O 2 、LiMn 2 O 4 などのリチウムと遷移金属の複合酸化物(本 明では、リチウム含有複合酸化物ともいう) 知られている。

 なかでも、リチウムコバルト複合酸化物(LiC oO 2 )を正極活物質として用い、リチウム合金並 にグラファイト及びカーボンファイバー等 カーボンを負極として用いたリチウム二次 池は、4V級の高い電圧が得られるため、高エ ネルギー密度を有する電池として広く使用さ れている。

 上記したリチウム含有複合酸化物は、通 、所定の平均粒子径を有する遷移金属化合 の粒子を予め調製し、該粒子を、リチウム 合物と混合し、焼成することにより製造さ ている。これは、所定の平均粒子径を有す 遷移金属化合物粒子を用いると、正極活物 として適した粒径であるリチウム含有複合 化物を作製することができるためであり、 らに該粒子とリチウム化合物を混合すると 工程として容易であるためである。

 一方、上記遷移金属化合物の粒子の製造 法としては、例えば、硫酸ニッケル、硫酸 バルト、硫酸マンガンなどの遷移金属化合 が溶解した溶液に、水酸化ナトリウム水溶 などのアルカリ水溶液を滴下して、十分な きさに粒子が成長するまで、長い時間をか て結晶粒子を晶析させ、次いで、この結晶 子をろ過、洗浄、乾燥する方法が提案され いる。(特許文献1参照)。

 また、上記遷移金属化合物の粒子の他の製 方法としては、ニッケル化合物、コバルト 合物、マンガン化合物などの遷移金属化合 を粉砕し、分散させたスラリーを、スプレ ドライヤーなどを用いて、所定の条件にて 噴霧乾燥することで造粒体とする方法が提 されている(特許文献2~8参照)。

特開2007-070205号公報

特開2002-060225号公報

特開2005-123180号公報

特開2005-251717号公報

特開2003-034536号公報

特開2003-034538号公報

特開2003-051308号公報

特開2005-141983号公報

 しかしながら、従来の製造方法で得られ 上記遷移金属化合物の粒子を原料に使用し 製造されるリチウム含有複合酸化物を含む チウム二次電池用正極は、充填密度、体積 量密度、加熱した際の熱に対する安定性(本 発明において、安全性ということがある)、 放電サイクル耐久性などの各特性を必ずし 全て満足するものではない。

 例えば、特許文献1に記載の方法では、結 晶粒子を丸く、かつ大粒径化することが難し く、晶析粒子を大粒径化するために、非常に 長い時間が必要であり、かつ大粒径化の過程 において粒子形状がいびつになるため、球状 の晶析粒子を得ることができない。さらに、 このような晶析粒子は粒子内部の平均細孔径 が大きく、晶析粒子の気孔率が55%と低くなる ため、リチウム化合物と混合した後に焼成す る工程において、均一に緻密に焼き締まらな い。その結果、得られるリチウム含有複合酸 化物の充填密度、体積容量密度が十分ではな かった。

 また、特許文献2には、コバルト化合物を 分散させたスラリーを、ディスク回転式噴霧 乾燥機にて、噴霧乾燥して、製造されるリチ ウムコバルト複合酸化物が記載されている。 この場合、噴霧するスラリーの濃度が100g/l、 すなわち約10重量%であり、極めて低い固形分 濃度のスラリーを噴霧して、造粒体粒子を製 造している。製造された造粒体粒子は、粒子 表面、さらには粒子内部に大きな空隙ができ 、リチウム複合酸化物にも同様な穴が空いて しまう。粒子内部の平均細孔径は1.5μmと大き く、該造粒体粒子を用いて得られるリチウム コバルト複合酸化物の充填密度及び体積容量 密度も低くなるため、正極活物質の原料とし て、実用に耐えられるものではなかった。

 さらに、特許文献3及び4には、ニッケル 合物、コバルト化合物及びマンガン化合物 分散させたスラリーをビーズミルなどで粉 処理した後、スプレードライヤーで噴霧乾 して、製造される造粒体粒子が記載されて る。この場合、各種原料を分散させたスラ ーをビーズミルなどで粉砕する工程を含む め、分散メディア由来の不純物が混入して かつスラリーの粘度が高くなる。さらに、 純物を含み、固形分濃度が低く、粘度が高 状態でスラリーを噴霧しており、その結果 得られる造粒体粒子は、不純物を含み、粒 内部が中空な粒子ができ、密な部分と疎な 分が混在し、造粒粒子の細孔径が大きくな 、気孔率が低くなる。そのため、正極活物 の原料として、実用に耐えられるものでは かった。

 なお、特許文献3では、固体分濃度42重量% であり、2830mPa・sの高粘度のスラリーや、固 分濃度42重量%であり、6625mPa・sの高粘度の ラリーが使用されている。また、特許文献4 は、12~17重量%で粘度が250~1120mPa・sのスラリ が使用されている。さらに、該造粒体粒子 用いて、得られたリチウムコバルト複合酸 物は、一次粒子間に多数の空隙が存在して 緻密ではないため、充填密度及び体積容量 度も低くなり、十分な性能を有するもので なかった。

 特許文献5~8においては、リチウム化合物 ニッケル化合物、コバルト化合物及びマン ン化合物などを分散させたスラリーをビー ミルなどで粉砕処理して、次いで、得られ スラリーを噴霧することで、リチウム化合 と、遷移金属化合物とを含む造粒体を作製 、これを焼成することで、製造されるリチ ム含有複合酸化物が記載されている。しか 、これらの文献に記載の方法においても、 種原料を分散させたスラリーを粉砕する工 を含むため、分散メディア由来の不純物を むことになる。また、リチウム化合物を含 する造粒体からリチウム含有複合酸化物を 製すると、焼成工程において、リチウム原 が遷移金属化合物と反応して、遷移金属化 物の結晶中に入り、かつリチウム化合物の アニオンである炭酸イオンや水酸化物イオ は、炭酸ガスや水蒸気などとして造粒体か 放出される。そのため、造粒体内部のリチ ム化合物が存在していた空間が空隙となり 焼成後に得られるリチウム含有複合酸化物 子も空隙を有する物であった。さらに、ス リーの固形分濃度が低く、かつその粘度が い条件にて、噴霧乾燥しているために好ま くない。

 例えば、特許文献5では、固形分濃度12.5 量%で粘度が290mPa・sのスラリーを使用してい る。特許文献6では、固形分濃度12.5重量%で粘 度が190~1510mPa・sのスラリーを使用している。 特許文献7では、固形分濃度15重量%のスラリ を使用している。特許文献8では、固形分濃 12重量%で粘度が250~1120mPa・sのスラリーを使 している。以上の理由から、特許文献5~8に 載のリチウム含有複合酸化物は、緻密では く、充填密度及び体積容量密度も低く、十 な性能を有するものではなかった。

 本発明は、充填密度が高く、体積容量密 が大きく、安全性が高く、充放電サイクル 久性に優れたリチウム二次電池正極用のリ ウム含有複合酸化物を得るのに有用な原料 ある、遷移金属化合物造粒体、該遷移金属 合物造粒体の製造方法、該遷移金属化合物 粒体を使用して製造したリチウム含有複合 化物、及び該リチウム含有複合酸化物を用 て作製したリチウム二次電池の提供を目的 する。

 本発明者らは、鋭意研究を続けたところ 体積容量密度が大きく、安全性が高く、充 電サイクル耐久性に優れたリチウム二次電 正極用のリチウム含有複合酸化物を得るた に、極めて小さい特定範囲の平均粒子径か なる実質上球状粒子からなり、かつ特定範 の平均粒子径D50及び特定範囲の平均細孔径 有するような遷移金属化合物造粒体が必要 あることを見出した。また、本発明者らは 非常に小さな遷移金属化合物の微粒子が分 して、固形分濃度が高く、かつ粘度が低い ラリーを作製し、そのスラリーを噴霧乾燥 て、粒子を造粒することによって、体積容 密度が大きく、安全性が高く、充放電サイ ル耐久性に優れたリチウム二次電池正極用 リチウム含有複合酸化物を得るのに、有用 遷移金属化合物造粒体が得られることを見 した。

 かくして、本発明は以下の構成を要旨とす ものである。
(1)ニッケル、コバルト及びマンガンからなる 群から選ばれる少なくとも1種の元素を含み 一次粒子の平均粒子径が1μm以下の粒子から る、実質上球状であり、平均粒子径D50が10~4 0μmであり、かつ平均細孔径が1μm以下である とを特徴とするリチウムイオン二次電池用 極材料の原料用の遷移金属化合物造粒体。
(2)さらに、Ti、Zr、Hf、V、Nb、W、Ta、Mo、Sn、Zn 、Mg、Ca、Ba及びAlからなる群から選ばれる少 くとも1種を含む上記(1)に記載の遷移金属化 合物造粒体。
(3)気孔率が60~90%である上記(1)又は(2)に記載の 遷移金属化合物造粒体。
(4)アスペクト比が1.20以下である上記(1)~(3)の ずれかに記載の遷移金属化合物造粒体。
(5)安息角が60°以下である上記(1)~(4)のいずれ に記載の遷移金属化合物造粒体。
(6)中空粒子の割合が10%以下である上記(1)~(5) いずれかに記載の遷移金属化合物造粒体
(7)D10が3~12μmである上記(1)~(6)のいずれかに記 の遷移金属化合物造粒体。
(8)D90が70μm以下である上記(1)~(7)のいずれかに 記載の遷移金属化合物造粒体。
(9)比表面積が4~100m 2 /gである上記(1)~(8)のいずれかに記載の遷移金 属化合物造粒体。
(10)遷移金属化合物が、水酸化物、オキシ水 化物、酸化物及び炭酸塩からなる群から選 れる少なくとも1種である上記(1)~(9)のいずれ かに記載の遷移金属化合物造粒体。
(11)遷移金属化合物が、水酸化コバルト又は キシ水酸化コバルトである上記(1)~(10)のいず れかに記載の遷移金属化合物造粒体。
(12)上記(1)~(11)のいずれかに記載の遷移金属化 合物造粒体の製造方法であって、ニッケル、 コバルト及びマンガンからなる群から選ばれ る少なくとも1種の元素を含む遷移金属化合 粒子であり、分散平均粒子径が1μm以下であ 粒子を水中に分散させたスラリーを噴霧乾 することを特徴とする遷移金属化合物造粒 の製造方法。
(13)前記スラリー中の遷移金属化合物粒子の 形分濃度が35重量%以上であり、かつ該スラ ーの粘度が2~500mPa・sである上記(12)に記載の 移金属化合物造粒体の製造方法。
(14)前記スラリーが、さらにTi、Zr、Hf、V、Nb Ta、Mo、W、Zn、Mg、Ca、Sn、Ba及びAlからなる群 から選ばれる少なくとも1種の元素を含む化 物を含有する上記(12)又は(13)に記載の遷移金 属化合物造粒体の製造方法。
(15)前記スラリー中に分散した遷移金属化合 粒子の分散平均粒子径が0.5μm以下である上 (12)~(14)のいずれかに記載の遷移金属化合物 粒体の製造方法。
(16)前記スラリー中に分散した遷移金属化合 粒子のD90が5μm以下である上記(12)~(15)のいず かに記載の遷移金属化合物造粒体の製造方 。
(17)前記スラリーが、沈降度が0.8以上を有す 上記(12)~(16)のいずれかに記載の遷移金属化 物造粒体の製造方法。
(18)Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、W、Zn、Mg、Ca、Sn Ba及びAlからなる群から選ばれる少なくとも 1種の元素を含む化合物を前記スラリー中に 解して含有するか、又は前記化合物を粒子 して分散して含有する上記(14)に記載の遷移 属化合物造粒体の製造方法。
(19)前記スラリーが、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo W、Zn、Mg、Ca、Sn、Ba及びAlからなる群から選 ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物を 記スラリー中に粉体粒子として分散して含 する上記(14)に記載の遷移金属化合物造粒体 製造方法。
(20)スラリー中に分散した粉体粒子の分散平 粒子径が、遷移金属化合物粒子の分散平均 子径の2倍以下である上記(19)に記載の遷移金 属化合物造粒体の製造方法。
(21)遷移金属化合物粒子を分散させたスラリ が、分散平均粒子径が1μm以下の遷移金属化 物粒子を析出させ、洗浄することにより得 れるスラリーであり、かつ洗浄後に粉砕工 を含まない上記(12)~(20)のいずれかに記載の 移金属化合物造粒体の製造方法。
(22)遷移金属化合物が水酸化コバルトであり 遷移金属化合物造粒体が水酸化コバルト造 体である上記(12)~(21)のいずれかに記載の遷 金属化合物造粒体の製造方法。
(23)上記(1)~(11)のいずれかに記載の遷移金属化 合物造粒体と、リチウム化合物とを混合した 後、焼成して得られるリチウム含有複合酸化 物。
(24)上記(22)に記載の製造方法により得られる 移金属化合物造粒体と、リチウム化合物と 混合し、酸素含有雰囲気下にて、焼成温度 1000~1100℃にして焼成することで得られるリ ウムコバルト複合酸化物。
(25)上記(23)又は(24)に記載のリチウム含有複合 酸化物からなる正極活物質と導電材とバイン ダーとを含むリチウム二次電池用正極。
(26)正極、負極、非水電解質及び電解液を含 、かつ該正極が上記(25)に記載のリチウム二 電池用正極であるリチウムイオン二次電池

 本発明によれば、体積容量密度が高く、 全性が高く、充放電サイクル耐久性に優れ 、リチウム二次電池正極活物質に適したリ ウムコバルト複合酸化物などのリチウム含 複合酸化物を得るために必要な原料となる 遷移金属化合物造粒体及びその製造方法が 供される。また、この遷移金属化合物造粒 を用いて合成したリチウム含有複合酸化物 及びこのリチウム含有複合酸化物を含むリ ウム二次電池が提供される。

 本発明の遷移金属化合物造粒体を用いる 、なぜ上記効果を奏するリチウム含有複合 化物を得られるのかは、必ずしも明確では いが、以下のように推定される。すなわち 優れたリチウム含有複合酸化物を製造する めには、適切な粒径に、かつ緻密で充填密 の高い粒子及び粉末を造らねばならない。 のためには、適切な粒径を有して、かつ緻 に焼き締まりやすい原料を用いることが必 であり、そのような原料を用いると、適し 粒径を有して、かつ緻密で充填密度の高い チウム含有複合酸化物粒子及び粉末が得ら ることを本発明者らは見出した。そこで、 発明においては極めて小さい一次粒子径を する遷移金属化合物粒子から作られる造粒 が適切な粒径で、実質上球状で、かつ微細 細孔径を有する球状遷移金属化合物造粒体 用いることにより、焼成時に起こる、造粒 とリチウム化合物との反応が、斑ができる となく、均一に進行することで、造粒体粒 の内部及び外部を問わず、全体として、均 に緻密に焼き締まると考えられる。その結 、体積容量密度が高く、安全性が高く、充 電サイクル耐久性に優れ、リチウム二次正 に適したリチウム含有複合酸化物が得られ ものと考えられる。

 また、本発明の製造方法を用いると、な 上記効果を奏する遷移金属化合物造粒体が られるのかについては、必ずしも明確では いが、以下のように推定される。すなわち 非常に小さな遷移金属化合物粒子が分散し 、固形分濃度が高く、かつ粘度が低いスラ ーを噴霧乾燥することによって、球状であ 、かつ微細な細孔径を有する遷移金属化合 造粒体を形成することができる。

例1で得られた水酸化コバルト造粒体の 粒子断面を撮影したSEM像。 例1で得られた水酸化コバルト造粒体を 撮影したSEM像。 例1で得られたリチウムコバルト複合酸 化物の粒子断面を撮影したSEM像。

 本発明の遷移金属化合物造粒体の平均細 径は、1μm以下である。なかでも平均細孔径 の下限は、0.01μmが好ましく、0.05μmがより好 しく、0.1μmが特に好ましい。一方、平均細 径の上限は0.8μmが好ましく、0.5μmがより好 しく、0.3μmが特に好ましい。平均細孔径が 記範囲であると、焼成反応において、粒子 緻密化が進むため、特に充填密度が高く、 積容量密度の高いリチウム含有複合酸化物 得られる。上記平均細孔径が1μmよりも大き いと、リチウム含有複合酸化物の合成時に、 粒子の緻密化が進まず、リチウム含有複合酸 化物の充填密度が低く、体積容量密度が低く なり、好ましくない。

 なお、本発明において、平均細孔径とは 水銀ポロシメーターによる、水銀圧入法に って、0.1kPa~400MPaの圧力で水銀を圧入して細 孔分布を測定し、その累積細孔体積の半数と なる細孔径の数値を意味する。

 なお、本発明において、遷移金属化合物 粒体を形成する一次粒子の平均粒子径は、 査型電子顕微鏡(本発明においてSEMというこ とがある)で観察することで求めることがで る。より高解像度の画像が得られるので、 高分解能電界放出形走査電子顕微鏡(本発明 おいてFE-SEMということがある)を用いるとよ り好ましい。遷移金属化合物造粒体の表面を SEMで観察したり、また造粒体をエポキシ樹脂 などの熱硬化性樹脂に遷移金属化合物造粒体 を包埋して、それを研磨して、粒子の断面を SEMで観察したりすることによって求めること ができる。SEMの倍率は一次粒子の粒径によっ て観察しやすい倍率を選ぶことができるが、 1万倍~5万倍の倍率で観察した画像を用いると 好ましい。観察した画像から、画像解析ソフ ト(例えば、マウンテック社製画像解析ソフ Macview ver3.5)を用い、50個以上の粒子を計測 、その円相当径をして、一次粒子の平均粒 径が得られる。

 本発明において、遷移金属化合物造粒体 形成する一次粒子の平均粒子径は1μm以下で あり、なかでも0.5μm以下が好ましく、さらに は0.3μm以下がより好ましい。また、平均粒子 径は、0.01μm以上が好ましく、0.03μm以上がよ 好ましく、0.05μm以上がさらに好ましい。平 均粒子径がこの範囲にある場合、緻密で充填 密度が高く、体積容量密度の高いリチウム含 有複合酸化物を得ることができる。平均粒子 径が1μmよりも大きい場合、遷移金属化合物 粒体から得られるリチウム含有複合酸化物 充填密度と体積容量密度が低くなる。

 また、本発明においては、遷移金属化合 造粒体の平均粒子径D50は、10~40μmである。 均粒子径D50が10μmより小さいと、合成したリ チウム含有複合酸化物の粒径が小さく、充填 密度が低くなる傾向がある。平均粒子径D50が 40μmより大きい場合、電極加工工程で集電体 正極活物質を塗工する際に、均一に塗工で ない、もしくは正極活物質が集電体から剥 したりするため、アルミニウム箔などの集 体への塗工が難しくなる。なお、平均粒子 D50の上限は、より好ましくは35μmであり、 に好ましくは30μmである。

 なお、本発明における平均粒子径D50とは レーザー散乱粒度分布測定装置(例えば、日 機装社製マイクロトラックHRAX-100などを用い )により得られた体積粒度分布の累積50%の値 を意味する。また、後述するD10は累積10%の値 、D90は累積90%の値を意味する。このとき、溶 媒は造粒体が溶解しない、かつ再分散しない 溶媒を選択する必要がある。本発明において は、溶媒にアセトンを使用した。

 また、本発明の遷移金属造化合物粒体の 度分布に関して、D10は、3~13μmが好ましく、 5~11μmがより好ましい。D10がこの範囲にある 合、遷移金属化合物造粒体の形状を保ち、 つ充填されやすい粒径分布のリチウム含有 合酸化物になるため、高い充填密度、体積 量密度を有するリチウム含有複合酸化物が られるため、好ましい。D10が3μmよりも小さ 場合、小さな粒子が複数集まっていびつな に焼きあがってしまい、リチウム含有複合 化物の充填密度が低下するため、好ましく い。また、D10が13μmより大きい場合、リチ ム含有複合酸化物の粒径分布に小さな粒子 なくなるため充填密度が低下し、好ましく い。

 また、本発明の遷移金属化合物造粒体の 度分布に関して、D90は、70μm以下が好まし 、より好ましくは60μm以下、さらには50μm以 が好ましい。D90が70μm以下であると、電極 塗工が容易に可能であるが、D90が70μmより大 きい場合、電極加工工程で集電体に正極活物 質を塗工する際に、均一に塗工できない、も しくは正極活物質が集電体から剥離したりす るため、アルミニウム箔などの集電体への塗 工が難しくなる傾向が見られる。

 本発明で得られる遷移金属化合物造粒体 少なくとも、ニッケル、コバルト及びマン ンからなる群から選ばれる少なくとも1種の 元素を含む。なかでも、実用性の観点から、 コバルト、ニッケル、コバルトとニッケルの 組み合わせ、マンガンとニッケルの組み合わ せ、又はニッケルとコバルトとマンガンの組 み合わせで含むときが好ましく、コバルト、 又はニッケルとコバルトとマンガンの組み合 わせがより好ましく、コバルト単独であると きが特に好ましい。

 なお、遷移金属化合物造粒体において、 ッケル、コバルト及びマンガン以外の金属 素が含まれていても良く、具体的には、チ ン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウ 、ニオブ、タングステン、タンタル、モリ デン、スズ、亜鉛、マグネシウム、カルシ ム、バリウム及びアルミニウムからなる群 ら選ばれる少なくとも1種の元素(本発明に いて、添加元素ということがある)が好まし 、なかでもチタン、ジルコニウム、ニオブ マグネシウム及びアルミニウムからなる群 ら選ばれる少なくとも1種の元素がより好ま しい。添加元素の添加量は、ニッケル、コバ ルト、マンガンの合計に比して、0.001mol%以上 添加することが好ましく、0.005mol%以上がより 好ましい。一方、上限に関しては、5mol%が好 しく、4mol%がより好ましい。

 本発明における、遷移金属化合物造粒体 、高い気孔率を有しており、気孔率は60%以 であることが好ましい。より好ましくは65% 上であり、さらに好ましくは70%以上である なお上限に関しては、90%が好ましく、85%が り好ましい。気孔率が高いときには、リチ ム原子が造粒体内部に浸透しやすく、均一 反応を進めることができ、粒子全体が緻密 リチウム含有複合酸化物を得ることができ 。しかしながら、気孔率が高すぎると、遷 金属化合物造粒体が嵩高くなり、ハンドリ グが難しくなることがある。一方、気孔率 低く、60%より低い場合には、粒子内の空隙 少なく、リチウム含有複合酸化物の合成時 表面と内部で反応に偏りができ、粒子の緻 化が均一に進まず、リチウム含有複合酸化 の充填密度が低く、体積容量密度が低くな 傾向が見られる。また本発明において、気 率は、水銀ポロシメーターを用いて、水銀 入法で測定することができ、0.1kPa~400MPaの圧 力で水銀を圧入して求めることができる。

 本発明における遷移金属化合物造粒体は 実質上球状の粒子からなる。実質上球状と 、必ずしも真球である必要はなく、高い球 性を有することを意味する。したがって、 スペクト比は1.20以下が好ましく、なかでも 1.15以下がより好ましく、さらには1.10以下が に好ましい。なお、下限については、1が好 ましい。アスペクト比が上記の値の範囲外で ある場合、合成したリチウム含有複合酸化物 の球状性が悪く、充填密度が低く、体積容量 密度が低くなる傾向がある。なお、本発明に おいて、アスペクト比は、SEMで写真観察して 求めることができる。具体的には、遷移金属 造粒体を、エポキシ熱硬化性樹脂に包埋して 、次いで粒子を切断した後、その切断面を研 磨して粒子の断面を観察する。SEMで500倍の倍 率で100~300個の造粒体粒子断面を測定する。 のとき画像に写る全ての粒子が粒径測定の 象となるようにする。アスペクト比とは各 の粒子の最長径を、最長径の垂直径で割っ 値であり、それらの平均値が、本発明にお るアスペクト比である。なお、本発明にお てはマウンテック社製画像解析ソフトMacview ver3.5 を使用して測定した。

 本発明の製造方法により得られる遷移金 化合物造粒体が、高い球状性を有して、か 平均細孔径が小さいことが、遷移金属化合 造粒体を走査型電子顕微鏡で写真観察したS EM像からも確認できる。また、リチウム含有 合酸化物の粒子のSEM像や、リチウム含有複 酸化物の粒子断面を撮影したSEM像から、本 明の遷移金属化合物造粒体を原料に用いて 得られるリチウム含有複合酸化物が、球状 が極めて高く、かつ充填密度が高いことが かる。粒子の断面のSEM像は次のようにして 影できる。まず、測定対象の粒子を、エポ シ熱硬化性樹脂に包埋して、次いで粒子を 断した後、その切断面を研磨して、その粒 の断面を撮影することで、粒子断面のSEM像 得られる。

 また、SEMを用いて、本発明の遷移金属化 物造粒体の断面を撮影した写真である図1か ら、本発明の造粒体粒子が、非常に球状性が 高く、かつ1次粒子間に微細な隙間が存在し おり、気孔率が高い粒子であることがわか 。本発明の遷移金属化合物造粒体の粒子をSE Mで撮影した写真である図2からもまた、その 状性の高さが確認できる。またSEMを用いて 遷移金属化合物造粒体を原料として製造し リチウム含有複合酸化物の断面を撮影した 真である図3からは、非常に球状性が高く、 焼成により、良く焼き締まり、緻密で、密度 の高い粒子が得られることがわかる。

 また、本発明における遷移金属化合物造 体は、高い流動性を有し、安息角が60°以下 であることが好ましく、55°以下がより好ま く、50°以下がさらに好ましい。安息角が60° より高いと、リチウム含有複合酸化物は充填 密度が低く、体積容量密度が低くなる傾向が ある。一方、安息角の下限に関しては、30° 好ましく、40°がより好ましい。上記した範 に造粒体の安息角が含まれる場合、高い流 性を有する遷移金属化合物造粒体から合成 れたリチウム含有複合酸化物は高い充填密 、体積容量密度を有するので好ましい。

 また、本発明における遷移金属化合物造 体は、中空粒子が少なく、中空粒子が含ま る割合は、全粒子の10%以下が好ましく、よ 好ましくは5%以下、さらに好ましくは1%以下 、特には0%であることが好ましい。中空粒子 噴霧乾燥時に、造粒体の外部が先に乾燥し 造粒体内部に熱された空気、又は水蒸気が り残されてできるもので、中空粒子はリチ ム含有複合酸化物内部に空隙を作り、充填 度が低く、体積容量密度が低くなるので好 しくなく、上記の範囲外である場合、体積 量密度の低下が顕著になる。また、上記の 囲内である場合、その影響が小さく、優れ 体積容量密度を発現することができる。な 、本発明において、中空粒子の割合は、SEM 写真観察して求めることができる。具体的 は、遷移金属化合物造粒体を、エポキシ熱 化性樹脂に包埋して、次いで粒子を切断し 後、その切断面を研磨して粒子の断面を観 する。SEMで1000倍の倍率で、ランダムに選ん だ最長径5μm以上の100個の造粒体粒子断面を 察し、中空粒子の数を測定する。粒子内部 は表層に最長径が1μm以上の空隙が認められ 場合、これを中空粒子としてカウントする とによって求められる。

 本発明の遷移金属化合物造粒体のかさ密度 0.2g/cm 3 以上が好ましく、より好ましくは0.3g/cm 3 以上、特には0.4g/cm 3 以上が好ましい。かさ密度がより低い場合、 粉体がかさ高くなるため、リチウム化合物と の混合及び焼成する際、生産性が低くなり、 好ましくない。一方、上限に関しては、1.5g/c m 3 が好ましく、より好ましくは1.2g/cm 3 、特には1.0g/cm 3 が好ましい。かさ密度がこの範囲よりも高い 場合、焼成において粒子が焼き締まりにくい 傾向があり、好ましくない。また、遷移金属 化合物造粒体のタップ密度は0.4g/cm 3 以上が好ましく、より好ましくは0.5g/cm 3 以上、特には0.6g/cm 3 以上が好ましい。上限は2g/cm 3 が好ましく、より好ましくは1.5g/cm 3 、特には1.2g/cm 3 が好ましい。タップ密度がこの範囲にある場 合、リチウム化合物との混合物を焼成してリ チウム含有複合酸化物を合成する際に、反応 が均一に進み易くなるため好ましい。なお、 本発明において、かさ密度及びタップ密度は 、セイシン企業社製、「タップデンサー KYT- 4000」を用い、目開き710μmの篩を通して20mlの リンダーに粉体を入れてすり切り、入った 体の重量とシリンダーの容積からかさ密度 計算して得られる。さらにそのシリンダー 20mmのクリアランスで700回タップしたときの 粉体の容積と重量からタップ密度を計算して 得られる。

 また、本発明の遷移金属化合物造粒体の比 面積は、4~100m 2 /gが好ましく、より好ましくは8~80m 2 /g、さらには10~60m 2 /gが好ましい。比表面積がこの範囲にある場 、リチウム含有複合酸化物の合成反応が均 に起こり、緻密な、充填密度が高く、体積 量密度の高いリチウム複合酸化物が得られ 。比表面積が4m 2 /gより低い場合、合成反応の反応性が悪く、 密なリチウム含有複合酸化物が得られにく 、充填密度、体積容量密度が低くなり、好 しくない。比表面積が100m 2 /gより高い場合、合成反応の反応性が高すぎ 均一な反応を進めることが難しく、いびつ 形状で、充填密度が低く、体積容量密度が いリチウム複合酸化物が得られやすくなる め、好ましくない。なお、本発明において 比表面積はBET法によって得られる。

 本発明の遷移金属化合物造粒体の製造方 は、必ずしも限定されないが、好ましくは 遷移金属化合物粒子を分散して得られたス リーを噴霧乾燥することにより得られる。 の場合、スラリー中に分散した遷移金属化 物粒子の分散平均粒子径は1μm以下であり、 なかでも0.5μm以下が好ましく、さらには0.3μm 以下がより好ましい。また、分散平均粒子径 は、0.01μm以上が好ましく、0.03μm以上がより ましく、0.05μm以上がさらに好ましい。分散 平均粒子径が1μmよりも大きい場合、噴霧乾 して得られる造粒体の粒子内部に大きな空 ができ、さらに該造粒体から得られるリチ ム含有複合酸化物の充填密度と体積容量密 が低くなり、分散平均粒子径が小さすぎる 、スラリーの粘度が高くなる傾向がある。

 なお、本発明において、スラリーの分散 均粒子径とは、レーザー散乱粒度分布測定 置(例えば、堀場製作所製 LA-920 などを用 る)により得られた体積粒度分布の累積50%の を意味する。スラリーをレーザー散乱粒度 布測定装置で測定可能な濃度に希釈して測 を行う。

 また、本発明の遷移金属化合物造粒体の 料となる遷移金属化合物粒子として、比較 凝集力の弱い粉末を用いることで、分散平 粒子径が小さく、粘度が低く、かつ固形分 度が高いスラリーを調製できる。このよう 原料を用いることにより、本発明で規定す 平均細孔径などの構成を有する遷移金属化 物造粒体粉末を容易に得ることができる。

 またスラリー中に分散した遷移金属化合 微粒子のD90は、分散平均粒子径と同様に、 ーザー散乱式粒度分布計で求めることがで 、累積カーブが90%となる点の値を意味する このD90はスラリー中の粗大粒子のサイズ及 量を示し、小さい方が好ましく、緻密に焼 締まりやすい遷移金属化合物造粒体を形成 ることができる。このD90は5μm以下が好まし く、より好ましくは4μm以下、さらには3μm以 が好ましい。また、D90の下限に関しては、0 .5μmが好ましく、1μmがより好ましい。このD90 が5μmよりも大きい場合、造粒体の中に大き 空隙ができるため、また、粒子が焼き締ま にくく、得られるリチウム含有複合酸化物 充填密度が低くなる傾向がある。

 なお、本発明において、スラリーの分散 は液体であれば特に問わないが、なかでも 製造コストが低くなり、環境への負荷も少 くなるため、水系である事が好ましい。な 、本発明において、水系とは有機溶媒など 含んでいても良く、好ましくは分散媒の80 積%以上が水であり、より好ましくは90体積% 上、さらに好ましくは95体積%以上が水であ 系を意味する。なお上限については、環境 荷の観点から、有機溶媒を含まない系、す わち分散媒の100体積%が水であると好ましい 。

 また、本発明の遷移金属化合物造粒体の 料となる遷移金属化合物粒子として、比較 凝集力の弱い粉末を用いることで、分散平 粒子径が小さく、粘度が低く、かつ固形分 度が高いスラリーを調製できる。このよう 原料を用いることにより、球状性が高く、 填密度の高い遷移金属化合物造粒体粉末を 易に得ることができる。

 本発明において、スラリーの固形分濃度 35重量%以上であり、好ましくは40重量%以上 あり、より好ましくは45重量%以上である。 た、スラリーの固形分濃度は、80重量%以下 好ましく、70重量%以下がより好ましく、60 量%以下がさらに好ましい。スラリーの固形 濃度が35重量%以上である場合、噴霧する液 のサイズを調整することができ、遷移金属 合物造粒体の粒径を容易に調整できる。さ に粒子の内部において、微粒子が疎や密に ることなく均一に分布する。また、固形分 度が高い方が生産性・生産効率が高く、ス リー中の水分が少ないため、噴霧乾燥の際 、乾燥に必要なエネルギーも少なくなるた 好ましい。固形分濃度が35重量%未満である 合、粒径を大きくすることができなくなり さらに造粒体内部の空隙が増えるため、充 性が高く、体積容量密度の高いリチウム含 複合酸化物を得ることができない。さらに 生産性が低く、噴霧乾燥の際に、溶媒を除 するのに必要なエネルギーが多くなる傾向 ある。

 本発明において、スラリーの粘度は、下 は2mPa・sであり、なかでも4mPa・sが好ましく 、6mPa・sがより好ましい。一方、スラリーの 度の上限は、500mPa・sであり、なかでも400mPa ・sが好ましく、300mPa・sがより好ましく、100m Pa・sがさらに好ましい。2mPa・sよりも粘度が い場合、スラリーの固形分濃度が低くなっ り、又は分散した遷移金属化合物微粒子の 径が大きくなったりするため、球状の均一 造粒体を得ることができなくなり、好まし ない。500mPa・sよりも粘度が高い場合、スラ リーの流動性が乏しく、溶液の搬送や、噴霧 乾燥機のノズルへの搬送ができなくなったり 、ノズルが閉塞して噴霧できなかったりする ため好ましくない。特に35重量%以上の高い固 形分濃度を有して、かつ高い粘度を有するス ラリーでは、ノズルの閉塞により噴霧できな い現象が顕著に起こる。スラリーの粘度は、 一般に回転式粘度計や振動式粘度計によって 測定されるが、粘度計の形式、測定条件によ り大きく値が変わる場合がある。本発明にお いては、ブルックフィールド社製デジタル回 転粘度計DV-II+のLV型で少量サンプルユニット 用い、25℃、30rpmの条件にて測定し、粘度が 100mPa・s以下の場合にはスピンドルNo.18を用い 、100mPa・s以上の場合にはスピンドルNo.31を用 いて測定する。

 固形分濃度をより高く、粘度をより低く るために、スラリーに分散剤を加えること できる。分散剤としては、ポリカルボン酸 高分子界面活性剤、ポリカルボン酸型高分 界面活性剤のアンモニウム塩、ポリアクリ 酸塩など、一般的な分散剤を用いることが きる。

 なお、各原料を分散させたスラリーに、 散剤を加える場合、多量の分散剤を加える 、スラリーの粘度が高くなり、かつ、添加 た分散剤の影響により、緻密なリチウム含 複合酸化物が得られないことがある。その め、分散剤を添加する際は、適切な量の分 剤を添加することが好ましい。

 安定して噴霧をするため、スラリー中に 散した遷移金属化合物粒子は沈降せずに長 間浮遊することが好ましい。沈降に関して 、500mlのメスシリンダーにスラリーを入れ 恒温(25℃)で1週間静置することで、スラリー が上澄み層と粒子を含むスラリー層に分離さ せ、スラリーの全量に対する粒子を含むスラ リー層の体積の比を沈降度として評価する。 この沈降度は0.8以上が好ましく、より好まし くは0.85以上、さらには0.90以上が好ましい。 の範囲にある場合、安定して均一なスラリ を噴霧することができるため、出来上がっ 遷移金属造粒体の粒径、形状、細孔分布な が安定し、粒子内部での微粒子の疎密がな なるなど、均一に焼きあがった緻密なリチ ム含有複合酸化物を得ることができるので ましい。一方、沈降度が0.8未満であるとき は、スラリーの噴霧が安定せず、その結果 一な物性の造粒体を得ることが難しく、ひ ては均一に焼きあがった緻密なリチウム含 複合酸化物を得ることが難しくなる傾向が る。

 上記遷移金属化合物粒子を含むスラリー 噴霧乾燥においては、ディスクを高速に回 させて液滴を作製して、乾燥する噴霧乾燥 置や、二流体ノズル、四流体ノズルなどを いてスラリーを噴霧して液滴を作製して、 燥する噴霧乾燥装置を用いることができる また、それぞれの装置の運転条件を調整す ことによって、任意の粒径を作製すること できる。なお、噴霧乾燥機は特に限定しな が、なかでも噴霧エア量を調節することで より粒径の作り分けが容易である、四流体 ズルを用いた噴霧乾燥機が好ましい。

 なお、本発明の遷移金属化合物造粒体は なかでも、遷移金属化合物の水酸化物、オ シ水酸化物、酸化物及び炭酸塩からなる群 ら選ばれる少なくとも1種が好ましく、水酸 化物及びオキシ水酸化物のいずれかがより好 ましく、水酸化物がさらに好ましい。遷移金 属化合物造粒体の原料である遷移金属元素源 は、その遷移金属を含む化合物であれば、特 に限定されない。しかし、なかでも、原料と なる遷移金属元素源は次の化合物が好ましい 。すなわち、遷移金属化合物造粒体がコバル トを含む場合は、コバルト源として、水酸化 コバルト、オキシ水酸化コバルト、酸化コバ ルト及び炭酸コバルトのいずれか1種以上を いることが好ましい。この中でも、コバル が溶解した水溶液にアルカリを滴下して晶 するだけで、十分に細かい微粒子を作るこ ができ、さらに安価である水酸化コバルト 好ましい。

 また、遷移金属化合物造粒体がニッケル 含む場合、ニッケル源として、水酸化ニッ ル、オキシ水酸化ニッケル、酸化ニッケル び炭酸ニッケルのいずれか1種以上を用いる ことが好ましい。遷移金属化合物造粒体がマ ンガンを含む場合、マンガン源としては、酸 化マンガンが好ましい。複数の遷移金属元素 を含む遷移金属化合物造粒体を製造する場合 は、各元素の水酸化物、オキシ水酸化物、酸 化物及び炭酸塩をそれぞれ混合して使用して も良い。

 また、ニッケル-コバルト、ニッケル-マ ガン、コバルト-マンガン、ニッケル-コバル ト-マンガンなどの2種類以上の元素を含む共 化合物を原料として用いる場合、複数の遷 金属原子が均一に混ざることが容易になる で、共沈水酸化物、共沈オキシ水酸化物、 沈酸化物及び共沈炭酸塩のいずれかを用い と好ましく、さらには、容易かつ安価につ ることが可能な、共沈水酸化物が好ましい なお、本発明において、ニッケル、コバル 及びマンガンを含む化合物をニッケルコバ トマンガン化合物又はNi-Co-Mn化合物のよう 表記する事がある。

 また、添加元素を含む遷移金属化合物造 体は、共沈法により、遷移金属化合物粒子 それらの元素を含有させることで、得るこ ができる。また他の方法としては、遷移金 化合物粒子を分散させたスラリーに、添加 素が溶解した溶液を加え、均一に混合した に、造粒することで、添加元素を含む遷移 属化合物造粒体を得ることができる。

 また別の方法としては、遷移金属化合物 子と添加元素を含む化合物と均一に混合し 、分散させ、遷移金属化合物粒子と添加元 を含む化合物を含むスラリーを調製して、 のスラリーを噴霧乾燥することで、添加元 を含む遷移金属化合物造粒体を得ることも きる。なかでも、原子レベルで原子を均一 混合することができる方法である共沈法を いることが好ましい。なお、コストや生産 を優先する場合は、添加元素の溶解工程や 沈工程を省くことができるため、添加元素 固体の粉体粒子として添加する方法が好ま い。添加元素を溶液に溶かして混合する方 は、共沈法より低いコスト、高い生産性で かつ粉体粒子として添加する場合より高い 一性で、添加元素を加えることができる。

 また、添加元素を粉体粒子として加える きには、その分散平均粒子径が遷移金属化 物粒子の分散平均粒子径の2倍以下であるこ とが好ましく、より好ましくは1.5倍以下、さ らには1倍以下であることが好ましい。この 囲である場合、造粒体内部で遷移金属化合 粒子に対する粒子径の差が小さくなり、均 に造粒体粒子中に分散することができた遷 金属化合物造粒体を得ることができ、また 一に緻密に焼き締まったリチウム含有複合 化物を得ることができる。2倍よりも大きい 合、造粒体粒子内に均一に分散することが きず、また造粒体粒子内に空隙を作ったり るため、均一な遷移金属化合物造粒体を得 ことができず、また、均一に緻密に焼きあ ったリチウム含有複合酸化物を得ることが きず、好ましくない。また、添加元素を粉 粒子として加えるときには、その分散平均 子径が遷移金属化合物粒子の分散平均粒子 の0.03倍以上であることが好ましく、さらに は0.1倍以上であることが好ましい。

 本発明の遷移金属化合物造粒体とリチウ 化合物を混合して、焼成した後、解砕する とにより、安全性が高く、充放電サイクル 久性に優れたリチウム二次電池用の正極材 として好適なリチウム含有複合酸化物を得 ことができる。なかでも、水酸化コバルト 粒体と、リチウム化合物との混合物を焼成 るときには、酸素含有雰囲気下で、焼成温 が1000~1100℃の温度で、より好ましくは1010~10 80℃、特には1030~1070℃が好ましい。この範囲 あれば、水酸化コバルト造粒体は均一に焼 締まり、球状でかつ、緻密で体積容量密度 高いリチウムコバルト複合酸化物を得るこ ができるので好ましい。1100℃より高い温度 である場合、リチウムコバルト複合酸化物が 分解したり、複数の粒子が結合していびつな 形状のリチウムコバルト複合酸化物粒子が生 成して、体積容量密度が下がったりするので 好ましくない。

 本発明に係るリチウム含有複合酸化物は、 移金属がコバルトを主体とする場合、その レス密度は好ましくは3.2~3.6g/cm 3 、特に好ましくは3.3~3.5g/cm 3 である。なお、本発明におけるプレス密度と は、粒子粉末5gを0.32t/cm 2 の圧力でプレス圧縮したときの見かけのプレ ス密度をいう。

 本発明に関するリチウム含有複合酸化物 用いて、リチウム二次電池用の正極を得る 法は、常法に従って実施できる。例えば、 発明の正極活物質の粉末に、アセチレンブ ック、黒鉛、ケッチェンブラック等のカー ン系導電材と、結合材とを混合することに り正極合剤が形成される。結合材には、ポ フッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエ レン、ポリアミド、カルボキシメチルセル ース、アクリル樹脂等が用いられる。

 上記の正極合剤を、N-メチルピロリドン どの分散媒に分散させたスラリーをアルミ ウム箔等の正極集電体に塗工・乾燥及びプ ス圧延せしめて正極活物質層を正極集電体 に形成する。

 本発明の正極活物質を正極に使用するリチ ム二次電池において、電解質溶液の溶質と ては、ClO 4 - 、CF 3 SO 3 - 、BF 4 - 、PF 6 - 、AsF 6 - 、SbF 6 - 、CF 3 CO 2 - 、(CF 3 SO 2 ) 2 N - 等をアニオンとするリチウム塩のいずれか1 以上を使用することが好ましい。上記の電 質溶液又はポリマー電解質は、リチウム塩 らなる電解質を前記溶媒又は溶媒含有ポリ ーに0.2~2.0mol/Lの濃度で添加するのが好まし 。この範囲を逸脱すると、イオン伝導度が 下し、電解質の電気伝導度が低下する。よ 好ましくは0.5~1.5mol/Lが選定される。セパレ タには多孔質ポリエチレン、多孔質ポリプ ピレンフィルムが使用される。

 また、電解質溶液の溶媒としては炭酸エ テルが好ましい。炭酸エステルは環状、鎖 いずれも使用できる。環状炭酸エステルと ては、プロピレンカーボネート、エチレン ーボネート(EC)等が例示される。鎖状炭酸エ ステルとしては、ジメチルカーボネート、ジ エチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカー ネート、メチルプロピルカーボネート、メ ルイソプロピルカーボネート等が例示され 。

 上記炭酸エステルは単独でも2種以上を混 合して使用してもよい。また、他の溶媒と混 合して使用してもよい。また、負極活物質の 材料によっては、鎖状炭酸エステルと環状炭 酸エステルを併用すると、放電特性、サイク ル耐久性、充放電効率が改良できる場合があ る。

 また、これらの有機溶媒にフッ化ビニリ ン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(例 ばアトケム社製カイナー)、フッ化ビニリデ -パーフルオロプロピルビニルエーテル共重 合体を添加し、下記の溶質を加えることによ りゲルポリマー電解質としても良い。

 本発明の正極活物質を正極に使用するリ ウム電池の負極活物質は、リチウムイオン 吸蔵、放出可能な材料である。負極活物質 形成する材料は特に限定されないが、例え リチウム金属、リチウム合金、炭素材料、 素化合物、炭化ケイ素化合物、酸化ケイ素 合物、硫化チタン、炭化ホウ素化合物、周 表14、15族の金属を主体とした酸化物等が挙 げられる。

 炭素材料としては、様々な熱分解条件で 機物を熱分解したものや人造黒鉛、天然黒 、土壌黒鉛、膨張黒鉛、鱗片状黒鉛等を使 できる。また、酸化物としては、酸化スズ 主体とする化合物が使用できる。負極集電 としては、銅箔、ニッケル箔等が用いられ 。

 本発明における正極活物質を使用するリ ウム二次電池の形状には、特に制約はない シート状(いわゆるフイルム状)、折り畳み 、巻回型有底円筒形、ボタン形等が用途に じて選択される。

 以下に実施例により本発明を具体的に説明 るが、本発明がこれらの実施例に開示され 範囲に限定されないことはもちろんである
(例1)実施例
 30kgの水に水酸化コバルト粒子20kgを分散さ た。そのスラリー中に分散する水酸化コバ ト粒子の分散平均粒子径は0.3μmであり、D90 0.55μmであり、スラリーの粘度は9mPa・sであ た。なお、本発明において、スラリーの粘 は、ブルックフィールド社製デジタル回転 度計DV-II+のLV型、スピンドルNo.18を用いて、2 5℃、30rpmの条件にて、測定することにより求 めることができる。また、スラリーを分取し て、100℃で乾燥して測定すると、固形分濃度 は40重量%であった。さらに、スラリーを分取 して、500mlのメスシリンダーに入れてフタを て、25℃で1週間静置した後、粉体を含む液 と、上澄み層に分離した。このときの、全 量に対する、粉体を含む液層の比を沈降度 して測定したところ、沈降度は0.95であった 。このスラリーを、スプレードライヤー(藤 電気株式会社製、MDP-050)を用いて、噴霧乾燥 を行った。乾燥室の入り口温度を200℃、エア 流量を500L/min、送液量を500ml/minで噴霧乾燥し 水酸化コバルト造粒体を得た。

 得られた造粒体を、レーザー回折式粒度分 計(日機装社製マイクロトラックHRAX-100)で、 アセトン溶媒中にて粒度分布を測定したとこ ろ、造粒体の平均粒子径D50は21.9μm、D10が7.6μ m、D90が35.8μmであった。水銀ポロシメーター 用いて、その造粒体の平均細孔径と気孔率 測定した結果、平均細孔径は0.12μm、気孔率 は79%であった。造粒体の比表面積は22.2m 2 /g、安息角は48°であり、かさ密度は0.6g/cm 3 、タップ密度は0.8g/cm 3 、コバルトの含量は61.9重量%であった。

 また、造粒体をエポキシ熱硬化性樹脂に 埋して、切断して、研磨処理をした後、SEM 粒子断面の写真を撮影した。画像解析ソフ を用いて、粒子断面の粒子形状を観察した 果、一次粒子の平均粒子径は0.3μmであり、 粒粒子のアスペクト比は1.08であった。さら に、中空粒子の割合をカウントしたところ、 0%であった。

 この水酸化コバルト造粒体146.1gと、リチウ 含量が18.7重量%の炭酸リチウム56.6gとを混合 し、1030℃で14時間焼成した後、解砕してLiCoO 2 の組成で表されるリチウムコバルト複合酸化 物(本発明において、単にLiCoO 2 と表すことがある)の粉末を得た。レーザー 乱粒度分布測定装置を用いて、水溶媒で、 のLiCoO 2 の粒度分布を測定したところ、平均粒子径D50 は17.5μm、D10は8.0μm、D90は27.3μmであった。ま 比表面積は0.38m 2 /g、プレス密度は3.34g/cm 3 であった。

 さらに、このLiCoO 2 の粉末と、アセチレンブラックと、ポリフッ 化ビニリデン粉末とを90/5/5の重量比で混合し て、さらにN-メチルピロリドンを添加して、 成したスラリーを、厚さ20μmのアルミニウ 箔に、ドクターブレードを用いて、片面塗 した。アルミニウム箔に塗工したスラリー 乾燥した後、ロールプレス圧延を5回行うこ により、リチウム電池用の正極体シートを 製した。そして、上記正極体シートを打ち いたものを正極に用い、厚さ500μmの金属リ ウム箔を負極に用い、負極集電体にニッケ 箔20μmを使用し、セパレータには厚さ25μmの 多孔質ポリプロピレンを用い、さらに電解液 には、濃度1MのLiPF 6 /EC+DEC(1:1)溶液(LiPF 6 を溶質とするECとDECとの重量比(1:1)の混合溶 を意味する。後記する溶媒もこれに準じる )を用いてステンレス製簡易密閉セル型リチ ム電池をアルゴングローブボックス内で組 立てた。

 上記の電池について、25℃にて正極活物質1g につき75mAの負荷電流で4.3Vまで充電し、正極 物質1gにつき75mAの負荷電流にて2.5Vまで放電 して初期放電容量を求めた。また、この電池 について、引き続き充放電サイクル試験を30 行った。その結果、25℃、2.5~4.3Vにおける放 電容量は、161mAh/gであり、30回充放電サイク 後の容量維持率は95.7%であった。また、体積 容量密度は538mAh/cm 3 であった。なお、体積容量密度はプレス密度 と放電容量の値を乗じたものである。

 さらに同様の電池をもうひとつ作製した この電池については、4.3Vで10時間充電し、 ルゴングローブボックス内で解体し、充電 の正極体シートを取り出し、その正極体シ トを洗浄後、直径3mmに打ち抜き、ECととも アルミニウム製カプセルに密閉し、走査型 動熱量計にて5℃/分の速度で昇温して発熱開 始温度を測定した。その結果、4.3V充電品の 熱開始温度は162℃であった。

(例2)実施例
 37.1kgの水に水酸化コバルト粒子20kgを分散さ せた他は例1と同様の操作を行って、スラリ を作製した。スラリー中に分散する水酸化 バルト粒子の分散平均粒子径は0.3μmであり D90は0.50μmであった。そのスラリーの粘度は6 mPa・sであり、固形分濃度は35重量%であり、 降度は0.92であった。さらに、エア流量を400L /minに変更した他は例1と同様の操作を行い、 酸化コバルト造粒体を得た。得られた造粒 の平均粒子径D50は27.4μm、D10が9.0μm、D90が50. 9μmであった。平均細孔径は0.14μm、気孔率は8 1%であった。造粒体の比表面積は22.5m 2 /g、安息角は51°であり、かさ密度は0.6g/cm 3 、タップ密度は0.8g/cm 3 、コバルトの含量は62.2重量%であり、一次粒 の平均粒子径は0.3μmであり、粒子のアスペ ト比は1.06であり、中空粒子の割合は0%であ た。

 この水酸化コバルト造粒体145.3gと、リチウ 含量が18.7重量%の炭酸リチウム56.6gとを混合 し、1030℃で14時間焼成した後、解砕してLiCoO 2 の粉末を得た。このLiCoO 2 の平均粒子径D50は19.2μm、D10は8.3μm、D90は33.8 mであり、比表面積は0.40m 2 /g、プレス密度は3.38g/cm 3 であった。初期の放電容量は161mAh/gであり、3 0回充放電サイクル後の容量維持率は97.8%であ り、体積容量密度は544mAh/cm 3 であった。また発熱開始温度は162℃であった 。

(例3)実施例
 24.4kgの水に水酸化コバルト粒子20kgを分散さ せた他は例1と同様の操作を行って、スラリ を作製した。スラリー中に分散する水酸化 バルト粒子の分散平均粒子径は0.4μmであり D90は0.72μmであった。スラリーの粘度は13mPa sであり、固形分濃度は45重量%であり、沈降 は0.98であった。さらに、例1と同様の操作 行い、水酸化コバルト造粒体を得た。得ら た造粒体の平均粒子径D50は30.7μm、D10が13.1μm 、D90が53.4μmであった。平均細孔径は0.16μm、 孔率は76%であった。造粒体の比表面積は25.2 m 2 /g、安息角は48°であり、かさ密度は0.6g/cm 3 、タップ密度は0.9g/cm 3 、コバルトの含量は62.2重量%であり、一次粒 の平均粒子径は0.3μmであり、粒子のアスペ ト比は1.10、中空粒子の割合は2%であった。

 この水酸化コバルト造粒体145.3gと、リチウ 含量が18.7重量%の炭酸リチウム56.6gとを混合 し、1030℃で14時間焼成した後、解砕してLiCoO 2 の粉末を得た。このLiCoO 2 の平均粒子径D50は21.5μm、D10は8.7μm、D90は43.2 mであり、比表面積は0.40m 2 /g、プレス密度は3.44g/cm 3 であった。初期の放電容量は161mAh/gであり、3 0回充放電サイクル後の容量維持率は95.0%であ り、体積容量密度は554mAh/cm 3 であった。また発熱開始温度は161℃であった 。

(例4)実施例
 エア流量を700L/minに変更した他は例1と同様 操作を行って、水酸化コバルト造粒体を得 。得られた造粒体の平均粒子径D50は16.0μm、 D10が5.4μm、D90が26.1μmであった。平均細孔径 0.14μm、気孔率は84%であった。造粒体の比表 積は33.4m 2 /g、安息角は52°であり、かさ密度は0.6g/cm 3 、タップ密度は0.8g/cm 3 、コバルトの含量は61.8重量%であり、一次粒 の平均粒子径は0.3μm、粒子のアスペクト比 1.15、中空粒子の割合は0%であった。

 この水酸化コバルト造粒体145.3gと、リチウ 含量が18.7重量%の炭酸リチウム56.6gとを混合 し、1030℃で14時間焼成した後、解砕してLiCoO 2 の粉末を得た。このLiCoO 2 の平均粒子径D50は14.0μm、D10は7.0μm、D90は25.4 mであり、比表面積は0.39m 2 /g、プレス密度は3.29g/cm 3 であった。初期の放電容量は161mAh/gであり、3 0回充放電サイクル後の容量維持率は95.7%であ り、体積容量密度は530mAh/cm 3 であった。また発熱開始温度は162℃であった 。

(例5)実施例
 エア流量を1000L/minに変更した他は例1と同様 の操作を行って、水酸化コバルト造粒体を得 た。得られた造粒体の平均粒子径D50は10.0μm D10が3.7μm、D90が21.0μmであった。平均細孔径 0.12μm、気孔率は73%であった。造粒体の比表 面積は37.2m 2 /g、安息角は45°であり、かさ密度は0.5g/cm 3 、タップ密度は0.8g/cm 3 、コバルトの含量は61.8重量%であり、一次粒 の平均粒子径は0.3μm、粒子のアスペクト比 1.09であり、中空粒子の割合は0%であった。

 この水酸化コバルト造粒体146.3gと、リチウ 含量が18.7重量%の炭酸リチウム56.6gとを混合 し、1030℃で14時間焼成した後、解砕してLiCoO 2 の粉末を得た。このLiCoO 2 の平均粒子径D50は9.5μm、D10は5.8μm、D90は17.3μ mであり、比表面積は0.46m 2 /g、プレス密度は3.28g/cm 3 であった。初期の放電容量は161mAh/gであり、3 0回充放電サイクル後の容量維持率は96.7%であ り、体積容量密度は528mA/cm 3 であった。また発熱開始温度は162℃であった 。

(例6)実施例
 30kgの水に水酸化コバルト粒子20kgを分散さ た。スラリー中に分散する水酸化コバルト 子の分散平均粒子径は0.6μmであり、D90は1.5μ mであった。スラリーの粘度は5mPa・sであり、 固形分濃度は40重量%であり、沈降度は0.85で った。このスラリーを、エア流量を400L/minで 噴霧乾燥して、水酸化コバルト造粒体を得た 。得られた造粒体の平均粒子径D50は19.0μm、D1 0が6.7μm、D90が32.4μmであった。平均細孔径は0 .24μm、気孔率は69%であった。造粒体の比表面 積は8.5m 2 /g、安息角は58°であり、かさ密度は0.7g/cm 3 、タップ密度は0.9g/cm 3 、コバルトの含量は62.5重量%であり、一次粒 の平均粒子径は0.5μm、粒子のアスペクト比 1.17であり、中空粒子の割合は0%であった。

 この水酸化コバルト造粒体144.6gと、リチウ 含量が18.7重量%の炭酸リチウム56.6gとを混合 し、1030℃で14時間焼成した後、解砕してLiCoO 2 の粉末を得た。このLiCoO 2 の平均粒子径D50は15.8μm、D10は6.7μm、D90は27.4 mであり、比表面積は0.41m 2 /g、プレス密度は3.35g/cm 3 であった。初期の放電容量は161mAh/gであり、3 0回充放電サイクル後の容量維持率は96.1%であ り、体積容量密度は539mAh/cm 3 であった。また発熱開始温度は162℃であった 。

(例7)実施例
 30kgの水にオキシ水酸化コバルト粒子20kgを 散させた。スラリー中に分散するオキシ水 化コバルト粒子の分散平均粒子径は0.6μmで り、D90は1.65μmであった。スラリーの粘度は1 5mPa・sであり、固形分濃度は35重量%であり、 降度は0.96であった。このスラリーを、エア 流量を400L/minで噴霧乾燥して、オキシ水酸化 バルト造粒体を得た。得られた造粒体の平 粒子径D50は24.0μm、D10が7.0μm、D90が47.4μmで った。平均細孔径は0.15μm、気孔率は78%であ た。造粒体の比表面積は88m 2 /g、安息角は50°であり、かさ密度は0.8g/cm 3 、タップ密度は1.0g/cm 3 、コバルトの含量は62.4重量%であり、一次粒 の平均粒子径は0.6μm、粒子のアスペクト比 1.07であり、中空粒子の割合は0%であった。

 このオキシ水酸化コバルト造粒体144.8gと、 チウム含量が18.7重量%の炭酸リチウム56.6gと を混合し、1030℃で14時間焼成した後、解砕し てLiCoO 2 の粉末を得た。このLiCoO 2 の平均粒子径D50は18.5μm、D10は7.9m、D90は31.1μm であり、比表面積は0.43m 2 /g、プレス密度は3.32g/cm 3 であった。初期の放電容量は161mAh/gであり、3 0回充放電サイクル後の容量維持率は94.9%であ り、体積容量密度は535mAh/cm 3 であった。また発熱開始温度は162℃であった 。

(例8)実施例
 30kgの水に水酸化コバルト粒子20kgを分散さ た他は例1と同様の操作を行って、スラリー 作製した。スラリー中に分散する水酸化コ ルト粒子の分散平均粒子径は0.5μmであり、D 90は1.2μmであった。そのスラリーの粘度は6mPa ・sであり、固形分濃度は40重量%であり、沈 度は0.89であった。さらに、エア流量を400L/mi nに変更した他は例1と同様の操作を行い、水 化コバルト造粒体を得た。その得られた造 体の平均粒子径D50は19.9μm、D10が7.8μm、D90が 31.8μmであった。平均細孔径は0.20μm、気孔率 75%であった。比表面積は13.6m 2 /g、安息角は54°、アスペクト比は1.13、かさ 度は0.6g/cm 3 、タップ密度は0.8g/cm 3 であり、コバルトの含量は62.5重量%であった 一次粒子の平均粒子径は0.4μmであり、中空 子の割合は0%であった。

 この水酸化コバルト造粒体144.6gと、リチウ 含量が18.7重量%の炭酸リチウム56.6gとを混合 し、1030℃で14時間焼成した後、解砕してLiCoO 2 の粉末を得た。このLiCoO 2 の平均粒子径D50は16.0μm、D10は6.7μm、D90は27.9 mであり、比表面積は0.42m 2 /g、プレス密度は3.34g/cm 3 であった。初期の放電容量は161mAh/gであり、3 0回充放電サイクル後の容量維持率は95.2%であ り、体積容量密度は538mAh/cm 3 であった。また発熱開始温度は161℃であった 。

(例9)実施例
 30kgの水に水酸化コバルト粒子20kgを分散さ た他は例1と同様の操作を行って、スラリー 作製した。スラリー中に分散する水酸化コ ルト粒子の分散平均粒子径は0.6μmであり、D 90は1.5μmであった。そのスラリーの粘度は3mPa ・sであり、固形分濃度は40重量%であり、沈 度は0.83であった。さらに、エア流量を400L/mi nに変更した他は例1と同様の操作を行い、水 化コバルト造粒体を得た。その得られた造 体の平均粒子径D50は19.0μm、D10が6.7μm、D90が 32.4μmであった。平均細孔径は0.24μm、気孔率 73%であった。比表面積は8.5m 2 /g、安息角は57°、アスペクト比は1.17、かさ 度は0.7g/cm 3 、タップ密度は0.9g/cm 3 であり、コバルトの含量は62.4重量%であった 一次粒子の平均粒子径は0.5μmであり、中空 子の割合は0%であった。

 この水酸化コバルト造粒体144.9gと、リチウ 含量が18.7重量%の炭酸リチウム56.6gとを混合 し、1030℃で14時間焼成した後、解砕してLiCoO 2 の粉末を得た。このLiCoO 2 の平均粒子径D50は15.8μm、D10は6.7μm、D90は27.4 mであり、比表面積は0.41m 2 /g、プレス密度は3.35g/cm 3 であった。初期の放電容量は161mAh/gであり、3 0回充放電サイクル後の容量維持率は96.7%であ り、体積容量密度は539mAh/cm 3 であった。また発熱開始温度は162℃であった 。

(例10)実施例
 マグネシウム含量が41.6重量%の水酸化マグ シウム12.3gと、クエン酸29gとを水500gに混合 て溶解した後、アルミニウム含量が4.5重量% 乳酸アルミニウム水溶液126gとジルコニウム 含量が14.6重量%の炭酸ジルコニウムアンモニ ム水溶液66.2gを加え、混合撹拌して、さら 水を加えて2kgの添加元素含有溶液を作製し 。35.1kgの水にコバルト含量が62.2重量%の水酸 化コバルト粒子20kgを分散させた後、さらに2k gの添加元素含有溶液を加え、撹拌してスラ ーを作製した。

 スラリー中に分散する水酸化コバルト粒子 分散平均粒子径は0.3μmであり、D90は0.5μmで った。スラリーの粘度は220mPa・sであり、固 形分濃度は35重量%であり、沈降度は0.98であ た。さらに、エア流量を500L/minとして噴霧乾 燥を行い、アルミニウム、マグネシウム及び ジルコニウムを含む水酸化コバルト造粒体を 得た。得られた造粒体の平均粒子径D50は22.0μ m、D10が6.8μm、D90が50.7μmであった。平均細孔 は0.11μm、気孔率は75%であった。造粒体の比 表面積は23.9m 2 /g、安息角は53°であり、かさ密度は0.6g/cm 3 、タップ密度は0.8g/cm 3 、コバルトの含量は62.3重量%であり、一次粒 の平均粒子径は0.3μm、粒子のアスペクト比 1.12であり、中空粒子の割合は3%であった。

 この水酸化コバルト造粒体144.8gと、リチウ 含量が18.7重量%の炭酸リチウム56.7gとを混合 し、1030℃で14時間焼成した後、解砕してLiCo 0.9975 Al 0.001 Mg 0.001 Zr 0.0005 O 2 の組成を有するリチウム含有複合酸化物の粉 末を得た。このリチウム含有複合酸化物の平 均粒子径D50は17.2μm、D10は7.5μm、D90は30.0μmで り、比表面積は0.44m 2 /g、プレス密度は3.28g/cm 3 であった。初期の放電容量は162mAh/gであり、3 0回充放電サイクル後の容量維持率は99.1%であ り、体積容量密度は530mAh/cm 3 であった。また発熱開始温度は162℃であった 。

(例11)実施例
 アルミニウム含量が4.5重量%の乳酸アルミニ ウム水溶液1283gとジルコニウム含量が14.6重量 %の炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液67.4g を混合撹拌して、さらに水を加えて2kgの添加 元素含有溶液を作製した。35.1kgの水にマグネ シウム含量が41.6重量%であり、平均粒子径が0 .3μmである水酸化マグネシウム126gと、コバル ト含量が62.2重量%の水酸化コバルト粒子20kgを 分散させた後、さらに2kgの添加元素含有溶液 を加え、撹拌してスラリーを作製した他は例 1と同様の操作を行って、スラリーを作製し 。スラリー中に分散する水酸化コバルト粒 の分散平均粒子径は0.3μmであり、D90は0.5μm あった。そのスラリーの粘度は485mPa・sであ 、固形分濃度は35重量%であり、沈降度は0.99 であった。さらに、エア流量を500L/minに変更 た他は例1と同様の操作を行い、アルミニウ ム、マグネシウム及びジルコニウムを含む水 酸化コバルト造粒体を得た。その得られた造 粒体の平均粒子径D50は26.0μm、D10が7.6μm、D90 50.8μmであった。平均細孔径は0.13μm、気孔率 は70%であった。比表面積は20.3m 2 /g、安息角は49°、アスペクト比は1.13、かさ 度は0.6g/cm 3 、タップ密度は0.8g/cm 3 であり、コバルトの含量は60.9%であった。一 粒子の平均粒子径は0.3μmであり、中空粒子 割合は5%であった。

 この水酸化コバルト造粒体142.6gと、リチウ 含量が18.7重量%の炭酸リチウム58.3gとを混合 し、1030℃で14時間焼成した後、解砕してLi 1.01 Co 0.9970 Al 0.01 Mg 0.01 Zr 0.0005 O 2 の組成を有するリチウム含有複合酸化物の粉 末を得た。このリチウム含有複合酸化物の粉 末の平均粒子径D50は19.0μm、D10は8.8μm、D90は32 .0μmであり、比表面積は0.32m 2 /g、プレス密度は3.34g/cm 3 であった。初期の放電容量は154mAh/gであり、3 0回充放電サイクル後の容量維持率は94.0%であ り、体積容量密度は514mAh/cm 3 であった。また発熱開始温度は164℃であった 。

(例12)実施例
 30kgの水に、(Ni 0.333 Co 0.333 Mn 0.333 )OOHの組成で表される、共沈晶析したニッケ コバルトマンガン複合オキシ水酸化物の粒 20kgを分散させた。そのスラリー中に分散す ニッケルコバルトマンガン複合オキシ水酸 物粒子の分散平均粒子径は0.5μmであり、D90 1.0μmであった。そのスラリーの粘度は15mPa sであり、固形分濃度は40重量%であり、沈降 は0.93であった。このスラリーを、乾燥室の 入り口温度を200℃、エア流量を500L/min、送液 を500ml/minで噴霧乾燥して、球状のニッケル バルトマンガン複合オキシ水酸化物造粒体 得た。得られた造粒体の平均粒子径D50は20.6 μm、D10が7.6μm、D90が35.8μm、平均細孔径は0.10 m、気孔率は76%であった。造粒体の比表面積 53.1m 2 /g、安息角は46°であり、かさ密度は0.6g/cm 3 、タップ密度は0.8g/cm 3 、ニッケル、コバルト、マンガンの含量は合 計で62.1重量%であり、一次粒子の平均粒子径 0.4μm、粒子のアスペクト比は1.09であり、中 空粒子の割合は0%であった。

 この複合オキシ水酸化物造粒体144.5gと、リ ウム含量が18.7重量%の炭酸リチウム63.7gとを 混合し、1000℃で14時間焼成した後、解砕して Li 1.05 Ni 0.317 Co 0.317 Mn 0.317 O 2 の組成で表されるリチウム含有複合酸化物の 粉末を得た。このリチウム含有複合酸化物の 粉末の平均粒子径D50は17.6μm、D10は7.3μm、D90 29.3μmであり、比表面積は0.38m 2 /g、プレス密度は2.92g/cm 3 であった。また、初期放電容量は160mAh/gであ 、30回充放電サイクル後の容量維持率は95.3% であり体積容量密度は467mAh/cm 3 であった。また発熱開始温度は227℃であった 。

(例13)実施例
 30kgの水に、(Ni 0.80 Co 0.18 Al 0.02 )(OH) 2 の組成で表される、共沈晶析したニッケルコ バルトアルミニウム複合水酸化物の微粒子20k gを分散させた。スラリー中に分散するニッ ルコバルトアルミニウム複合水酸化物粒子 分散平均粒子径は0.6μmであり、D90は1.1μmで った。そのスラリーの粘度は12mPa・sであり 固形分濃度は40重量%であり、沈降度は0.90で った。このスラリーを、乾燥室の入り口温 を200℃、エア流量を500L/min、送液量を500ml/mi nで噴霧乾燥して、球状のニッケルコバルト ルミニウム複合水酸化物造粒体を得た。

 得られた造粒体の平均粒子径D50は19.6μm、D10 が7.1μm、D90が32.4μm、平均細孔径は0.16μm、気 率は78%であった。造粒体の比表面積は30.5m 2 /g、安息角は45°であり、かさ密度は0.6g/cm 3 、タップ密度は0.8g/cm 3 、ニッケル、コバルト、アルミニウムの含量 は合計で62.3重量%であり、一次粒子の平均粒 径は0.5μm、粒子のアスペクト比は1.06であり 、中空粒子の割合は0%であった。

 この複合水酸化物造粒体144.6gと、リチウム 量が16.5重量%の水酸化リチウム一水和物67.3g とを混合し、500℃で5時間焼成した後に再度 合し、さらに800℃で10時間焼成した後、解砕 してLi 1.01 Ni 0.79 Co 0.18 Al 0.02 O 2 の組成で表されるリチウム含有複合酸化物の 粉末を得た。このリチウム含有複合酸化物の 粉末の平均粒子径D50は16.7μm、D10は6.7μm、D90 27.2μmであり、比表面積は0.43m 2 /g、プレス密度は3.25g/cm 3 であった。また、初期放電容量は200mAh/gであ 、30回充放電サイクル後の容量維持率は94.6% であり、体積容量密度は650mAh/cm 3 であった。また発熱開始温度は183℃であった 。

(例14)実施例
 30kgの水に、(Ni 0.50 Co 0.30 Mn 0.20 )OOHの組成で表される、共沈晶析したニッケ コバルトマンガン複合オキシ水酸化物の粒 20kgを分散させた。そのスラリー中に分散す ニッケルコバルトマンガン複合オキシ水酸 物の分散平均粒子径は0.7μmであり、D90は1.3 mであった。そのスラリーの粘度は10mPa・sで り、固形分濃度は40重量%であり、沈降度は0 .90であった。このスラリーを、乾燥室の入り 口温度を200℃、エア流量を500L/min、送液量を5 00ml/minで噴霧乾燥して、球状のニッケルコバ トマンガン複合オキシ水酸化物造粒体を得 。得られた造粒体の平均粒子径D50は18.1μm、 D10が6.4μm、D90が30.1μm、平均細孔径は0.26μm、 孔率は73%であった。造粒体の比表面積は21.0 m 2 /g、安息角は51°であり、かさ密度は0.6g/cm 3 、タップ密度は0.8g/cm 3 、ニッケル、コバルト、マンガンの含量は合 計で62.1重量%であり、一次粒子の平均粒子径 0.6μm、粒子の平均アスペクト比は1.09であり 、中空粒子の割合は0%であった。

 この複合オキシ水酸化物造粒体144.8gと、リ ウム含量が18.7重量%の炭酸リチウム59.3gとを 混合し、1000℃で14時間焼成した後、解砕して Li 1.02 Ni 0.49 Co 0.29 Mn 0.20 O 2 の組成で表されるリチウム含有複合酸化物の 粉末を得た。このリチウム含有複合酸化物の 粉末の平均粒子径D50は15.5μm、D10は6.5μm、D90 25.8μmであり、比表面積は0.41m 2 /g、プレス密度は2.96g/cm 3 であった。また、初期放電容量は175mAh/gであ 、30回充放電サイクル後の容量維持率は95.4% であり、体積容量密度は518mAh/cm 3 であった。また発熱開始温度は193℃であった 。

(例15)比較例
 30kgの水に水酸化コバルト粒子20kgを分散さ た。スラリーに分散させた水酸化コバルト 分散平均粒子径は1.2μmであり、D90は5.3μmで った。スラリーの粘度は2mPa・sであり、固形 分濃度は40重量%であり、沈降度は0.47であっ 。このスラリーを、エア流量を500L/minに変更 した他は例1と同様の操作を行い、水酸化コ ルト造粒体を得た。得られた造粒体の平均 子径D50は16.4μm、D10が7.0μm、D90が29.3μmであっ た。平均細孔径は1.1μm、気孔率は59%であった 。造粒体の比表面積は12.2m 2 /g、安息角は59°であり、かさ密度は0.9g/cm 3 、タップ密度は1.3g/cm 3 、コバルトの含量は62.6重量%であり、一次粒 の平均粒子径は1.3μm、粒子のアスペクト比 1.23であり、中空粒子の割合は0%であった。

 この水酸化コバルト造粒体144.5gと、リチウ 含量が18.7重量%の炭酸リチウム56.6gとを混合 し、1030℃で14時間焼成した後、解砕してLiCoO 2 の粉末を得た。このLiCoO 2 の平均粒子径D50は15.8μm、D10は6.8μm、D90は27.3 mであり、比表面積は0.53m 2 /g、プレス密度は3.04g/cm 3 であった。初期の放電容量は162mAh/gであり、3 0回充放電サイクル後の容量維持率は94.0%であ り、体積容量密度は492mAh/cm 3 であった。また発熱開始温度は160℃であった 。

(例16)比較例
 晶析法により、水酸化コバルト粒子を析出 粒子成長させて、D50が20.1μm、D10が15.9μm、D9 0が26.1μmの水酸化コバルト粉末を作製した。 均細孔径は5.9μm、気孔率は56%であった。造 体の比表面積は4.5m 2 /g、安息角は52°であり、かさ密度は1.8g/cm 3 、タップ密度は2.2g/cm 3 、コバルトの含量は62.2重量%であり、一次粒 の平均粒子径は1.5μm、粒子のアスペクト比 1.13であった。

 この水酸化コバルト造粒体144.5gと、リチウ 含量が18.7重量%の炭酸リチウム56.6gとを混合 し、1030℃で14時間焼成した後、解砕してLiCoO 2 の粉末を得た。このLiCoO 2 の平均粒子径D50は18.4μm、D10は13.2μm、D90は26.5 μmであり、比表面積は0.20m 2 /g、プレス密度は2.92g/cm 3 であった。初期の放電容量は160mAh/gであり、3 0回充放電サイクル後の容量維持率は95.1%であ り、体積容量密度は467mAh/cm 3 であった。また発熱開始温度は160℃であった 。

(例17)比較例
 20kgの水に水酸化コバルト粒子20kgを分散さ た。スラリー中に分散する水酸化コバルト 分散平均粒子径は0.3μmであり、D90は0.55であ た。スラリーの粘度は25mPa・sであり、固形 濃度は50重量%であり、沈降度は0.99であった 。このスラリーを、エア流量を500L/minで噴霧 粒をおこなった。得られた造粒体の平均粒 径D50は60.1μm、D10が11.4μm、D90が161μmであっ 。平均細孔径は0.11μm、気孔率は79%であった 造粒体の比表面積は12.8m 2 /g、安息角は64°であり、かさ密度は0.6g/cm 3 、タップ密度は0.8g/cm 3 、コバルトの含量は62.4重量%であり、一次粒 の平均粒子径は0.3μm、粒子のアスペクト比 1.18であり、中空粒子の割合は13%であった。

 この水酸化コバルト造粒体144.8gと、リチウ 含量が18.7重量%の炭酸リチウム56.6gとを混合 し、1030℃で14時間焼成した後、解砕してLiCoO 2 の粉末を得た。このLiCoO 2 の平均粒子径D50は22.3μm、D10は7.5μm、D90は58.2 mであり、比表面積は0.30m 2 /g、プレス密度は3.43g/cm 3 であった。例1と同様に、電極の塗工を行っ が、粗大粒子が混入しているため、塗工電 が傷だらけになり、電池を作製することが きなかった。

(例18)比較例
 80kgの水に水酸化コバルト粒子20kgを分散さ た。スラリーに分散させた水酸化コバルト 分散平均粒子径は0.3μmであり、D90は0.5μmで った。スラリーの粘度は3mPa・sであり、固形 分濃度は20重量%であり、沈降度は0.65であっ 。このスラリーを、エア流量を1000L/minで噴 造粒して、水酸化コバルト造粒体を得た。 られた造粒体の平均粒子径D50は7.5μm、D10が4. 3μm、D90が14.1μmであった。平均細孔径は0.6μm 気孔率は71%であった。造粒体の比表面積は6 1.7m 2 /g、安息角は58°であり、かさ密度は0.5g/cm 3 、タップ密度は0.8g/cm 3 、コバルトの含量は62.3重量%であり、一次粒 の平均粒子径は0.4μm、粒子のアスペクト比 1.18であり、中空粒子の割合は11%であった。

 この水酸化コバルト造粒体145.0gと、リチウ 含量が18.7重量%の炭酸リチウム56.6gとを混合 し、1050℃で14時間焼成した後、解砕してLiCoO 2 の粉末を得た。このLiCoO 2 の平均粒子径D50は8.3μm、D10は4.7μm、D90は19.5μ mであり、比表面積は0.57m 2 /g、プレス密度は3.18g/cm 3 であった。初期の放電容量は161mAh/gであり、3 0回充放電サイクル後の容量維持率は95.4%であ り、体積容量密度は512mAh/gであった。また発 開始温度は159℃であった。

(例19)比較例
 アルミニウム含量が4.5重量%の乳酸アルミニ ウム水溶液126gとジルコニウム含量が14.6重量% の炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液66.2g 加え、混合撹拌して、さらに水を加えて2kg 添加元素含有溶液を作製した。22.4kgの水に グネシウム含量が41.6重量%の水酸化マグネ ウム12.3gと、コバルト含量が62.2重量%の水酸 コバルト粒子20kgを分散させたのち、さらに 2kgの添加元素含有溶液を加え、撹拌してスラ リーを作製した他は例1と同様の操作を行っ 、スラリーを作製した。スラリー中で分散 る水酸化コバルトの分散平均粒子径は0.3μm あり、D90は0.5μmであった。そのスラリーの 度は884mPa・sであり、固形分濃度は45重量%で り、沈降度は0.99であった。さらに、例1と 様の操作を行い、噴霧乾燥することで、粒 を造粒しようとしたが、ノズルが閉塞した め噴霧乾燥できず、造粒することが適わな った。

(例20)比較例
 37.1kgの水と、平均粒径が13μmの水酸化コバ ト20kgを混合し、直径0.5mmのジルコニアボー を使い、ビーズミルで2時間粉砕を行った。 砕後の粒子の平均粒子径は0.3μmであった。 かし、スラリーは増粘して、流動性がなか た。そのため噴霧乾燥して、粒子を造粒す ことができなかった。

 以上の例1~例20の、スラリーの特性、得ら れる遷移金属化合物造粒体の特性、該遷移金 属化合物造粒体を使用して製造したリチウム 含有複合酸化物粒子の特性及び該リチウム含 有複合酸化物を用いて製造したリチウム二次 電池用正極の特性、を表1~表3に整理して示す 。

 本発明の遷移金属化合物造粒体を原料に使 したリチウム含有複合酸化物から、体積容 密度が大きく、安全性が高く、充放電サイ ル耐久性に優れたリチウム二次電池正極が られる。かかる正極を使用したリチウム二 電池は、情報関連機器、通信機器、車輌な における小型、軽量でかつ高エネルギー密 の電源として広く使用される。

 なお、2007年11月1日に出願された日本特許出 願2007-285509号及び2007年11月1日に出願された日 本特許出願2007-285513号の明細書、特許請求の 囲、図面及び要約書の全内容をここに引用 、本発明の明細書の開示として、取り入れ ものである。