Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
GROUND IMPROVEMENT METHOD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/145147
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a ground improvement method requiring a lower cost by evaluating the confining effect of the ground soil appropriately and arranging improvement bodies rationally. A ground improvement method comprises the step of creating improvement bodies in the ground by arranging such improvement bodies (1) as confining deformation of the ground when the ground begins to be deformed by receiving a load.  A variation in stress of the ground soil of when deformation is confined by the improvement bodies (1) is determined, and the variation of at least any one of the strength or rigidity of the ground caused by variation in stress is evaluated as the confining effect of the ground by the improvement bodies (1).  Subsequently, the shape and arrangement of the improvement bodies (1) are determined such that the ground can attain the confining effect.  Variation in stress is evaluated as the variation of at least any one of the direct stress or shearing stress produced as a reaction to confinement by the improvement bodies (1) when the ground receives a load.

Inventors:
OKOCHI YASUHIKO
MIKI HIROSHI
MAKINO MASAMI
Application Number:
PCT/JP2009/059532
Publication Date:
December 03, 2009
Filing Date:
May 25, 2009
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
NOM CO LTD (JP)
MIKI ENVIRONMENTAL GEO TECHNOL (JP)
KATO CONSTRUCTION CO LTD (JP)
OKOCHI YASUHIKO
MIKI HIROSHI
MAKINO MASAMI
International Classes:
E02D3/12; E02D17/18
Foreign References:
JPS615114A1986-01-10
JP2000073356A2000-03-07
JP2001020272A2001-01-23
JP2003064657A2003-03-05
JPH11280056A1999-10-12
JPH10292360A1998-11-04
Attorney, Agent or Firm:
HASHIMOTO, Takeshi et al. (JP)
Hashimoto 剛 (JP)
Download PDF:
Claims:
 地盤が荷重を受けて変形しようとする際にその変形を拘束するような改良体の配置をもって地盤中に改良体を造成する地盤改良工法であって、
 前記改良体によって変形を拘束されることにより生じる地盤土の応力の変化分を求め、
 前記応力の変化によって生じる前記地盤の強度および剛性のうち少なくともいずれか一方の変化を、前記改良体による該地盤の拘束効果として評価し、
 前記地盤が拘束効果を得られるように前記改良体の形状や配置を決定することを特徴とする地盤改良工法。
 請求項1に記載の地盤改良工法であって、
 前記応力の変化は、前記地盤が荷重を受けたときに前記改良体による拘束により、その反力として生じる直応力およびせん断応力のうち少なくともいずれか一方の変化として評価することを特徴とする地盤改良工法。
 請求項2に記載の地盤改良工法であって、
 前記直応力またはせん断応力の変化は、その応力変化の総和によって生じる前記地盤土の強度および剛性の変化のうち少なくともいずれか一方を、該地盤の拘束効果として評価することを特徴とする地盤改良工法。
 請求項1~3のいずれかに記載の地盤改良工法であって、
 前記強度の変化を、以下に示す式に基づいて求めることを特徴とする地盤改良工法。
 S=Rs×Si
 Rs=1+αδσ p +βδτ q
 ここに、S:変形を拘束したことによって変化した地盤土の強度
    Si:変形を拘束される前の地盤土の強度
    Rs:強度の変化率
    δσ:直応力の変化
    δτ:せん断応力の変化
   α,β,p,q:地盤を拘束する形状、改良体の強度で決まる係数
 請求項1~3のいずれかに記載の地盤改良工法であって、
 前記剛性の変化を、以下に示す式に基づいて求めることを特徴とする地盤改良工法。
 E=Re×Ei
 Re=1+γδσ r +κδτ s
 ここに、E:変形を拘束したことによって変化した地盤土の剛性を表す変形係数
    Ei:変形を拘束される前の地盤土の剛性を表す変形係数
    Re:剛性の変化率
    δσ:直応力の変化
    δτ:せん断応力の変化
    γ、κ、r、s:地盤を拘束する形状、改良体の剛性で決まる係数
 請求項1~5のいずれかに記載の地盤改良工法であって、
 前記地盤を拘束するように配置する改良体の形状を筒状とすることを特徴とする地盤改良工法。
 請求項1~5のいずれかに記載の地盤改良工法であって、
 前記地盤を拘束するように配置する改良体の形状を扁平な筒状とすることを特徴とする地盤改良工法。
 請求項6または7に記載の地盤改良工法であって、
 前記地盤を拘束するように配置する前記改良体の形状を深度方向に向かって漸次拡径している筒状とすることを特徴とする地盤改良工法。
Description:
地盤改良工法

 この発明は、地盤中に改良体を造成する 盤改良工法に関する。

 地盤中に改良体を造成する方法として、 盤土と固化材とを撹拌混合する方法がある 、本発明は改良体を造成する具体的方法に いては特に限定されない。

 地盤中に改良体を造成する従来の地盤改 工法は、その配置を決定する方法として、 別して以下のような複合地盤的方法、構造 的方法などの考え方を適用している。これ の方法は、本発明で提案する、地盤が改良 などに拘束される効果を考慮しているもの はない。

 複合地盤的方法は、以下に示す式(1)により 良体の強度と地盤土の強度を改良率などで みつき平均とし、地盤全体を平均した強度 有する複合地盤として取り扱う方法である なお、式(1)を含むかかる工法は例えば非特 文献1に記載されている。

 構造物的方法は、地盤の強度はそのまま し、改良体に主な外力を分担させ、その強 には、作用する引張り力や圧縮力に応じて 構造物としての安全率(通常は3をとる)を考 する方法である。 

深層混合処理工法マニュアル編集委員会 編,「陸上工事における深層混合処理工法設 ・施工マニュアル 改訂版」,財団法人土木 究センター発行,平成16年3月,P80~83

 ところで、地盤中に改良体を造成する従 の地盤改良工法では、地盤が改良体などに って拘束されているにもかかわらず、改良 によって地盤が拘束され自由に変形できな ために強度・剛性が増加すること、すなわ 本発明で提案している地盤の拘束効果を考 していない。結果として、拘束効果を発揮 せるためのより合理的な改良体の形状や配 を考慮していない。

 このような、従来の改良体による地盤の 束効果を考慮していない地盤改良工法は、 下のような問題点を有している。

 例えば、強度の大きな改良体を地盤中に 数配置するのと、強度のやや低い改良体を 数配置したのを比較して、地盤全体の平均 な強度(複合地盤としての強度)が同じであ ば、実際は効果に違いがあるにも関わらず 設計安全率は同じであるということになる

 また、改良体によって自由な変形を拘束 れる地盤土は、その反力によって、より大 な剛性と強度を発揮するが、その拘束効果 考慮せず、地盤土が自由に変形できる状態 強度変形特性を用いて設計しているため、 盤土の変形抑制や安定に対する寄与を過小 価している。

 その結果として、過度に安全側の設計と っている場合や、改良体の形状や配置が適 でない場合がままあり、不経済な設計・施 が行われる傾向にある。

 この発明は、このような問題点を解決す ためになされたもので、地盤土の拘束効果 適切に評価してより好適な改良体の配置を 定する地盤改良工法を提供することを目的 し、また、改良体の合理的な形状と配置な びに強度を得ることにより、より低コスト 地盤改良工法を提供することを目的とする

 前記課題を解決し、かつ目的を達成する めに、請求項1に記載の発明は、地盤が荷重 を受けて変形しようとする際にその変形を拘 束するような改良体の配置をもって地盤中に 改良体を造成する地盤改良工法として、前記 改良体によって変形を拘束されることにより 生じる地盤土の応力の変化分を求め、前記応 力の変化によって生じる前記地盤の強度およ び剛性のうち少なくともいずれか一方の変化 を、前記改良体による該地盤の拘束効果とし て評価し、前記地盤が拘束効果を得られるよ うに前記改良体の形状や配置を決定すること を特徴とする。

 請求項2に記載の発明は、請求項1に記載 地盤改良工法を前提として、前記応力の変 は、前記地盤が荷重を受けたときに前記改 体による拘束により、その反力として生じ 直応力およびせん断応力のうち少なくとも ずれか一方の変化として評価することを特 とする。

 請求項3に記載の発明は、請求項2に記載 地盤改良工法を前提として、前記直応力ま はせん断応力の変化は、その応力変化の総 によって生じる前記地盤土の強度および剛 の変化のうち少なくともいずれか一方を、 地盤の拘束効果として評価することを特徴 する。

 請求項3の地盤土の強度や剛性の変化は、土 を拘束する位置にある改良体によって生じる 応力の総和によって生じる。この強度や剛性 の増加は以下に示す式(2)で求める(表現する) とができる。

 請求項4に記載の発明は、請求項1~3のいず れかに記載の地盤改良工法を前提として、前 記強度の変化を、以下に示す式(3),(4)に基づ て求めることを特徴とする。

 S=Rs×Si‥‥(3)
 Rs=1+αδσ p +βδτ q ‥‥(4)
 ここに、S:変形を拘束したことによって変 した地盤土の強度
    Si:変形を拘束される前の地盤土の強度
    Rs:強度の変化率
    δσ:直応力の変化
    δτ:せん断応力の変化
   α,β,p,q:地盤を拘束する形状、改良体の 度で決まる係数

 請求項5に記載の発明は、請求項1~3のいず れかに記載の地盤改良工法を前提として、前 記剛性の変化を、以下に示す式(5),(6)に基づ て求めることを特徴とする。

 E=Re×Ei‥‥(5)
 Re=1+γδσ r +κδτ s ‥‥(6)
 ここに、E:変形を拘束したことによって変 した地盤土の剛性を表す変形係数
    Ei:変形を拘束される前の地盤土の剛性 表す変形係数
    Re:剛性の変化率
    δσ:直応力の変化
    δτ:せん断応力の変化
    γ、κ、r、s:地盤を拘束する形状、改良 体の剛性で決まる係数

 請求項6に記載の発明は、請求項1~5のいず れかに記載の地盤改良工法を前提として、地 盤を拘束するように配置する前記改良体の形 状を筒状とすることを特徴とする。

 請求項7に記載の発明は、請求項1~5のいず れかに記載の地盤改良工法を前提として、地 盤を拘束するように配置する前記改良体の形 状を扁平な筒状とすることを特徴とする。

 請求項8に記載の発明は、請求項6または7 記載の地盤改良工法を前提として、地盤を 束するように配置する前記改良体の形状を 度方向に向かって漸次拡径している筒状と ることを特徴とする。

 請求項1に記載の発明によれば、改良体に よって変形を拘束されることにより生じる地 盤土の応力の変化分を求め、この応力の変化 によって生じる前記地盤の強度および剛性の うち少なくともいずれか一方の変化を、前記 改良体による該地盤の拘束効果として評価し 、前記地盤がより高い拘束効果を得られるよ うに前記改良体の形状や配置あるいは強度を 決定するという新しい概念を提供するもので ある。これにより、従来困難であった、地盤 の拘束効果を考慮したより合理的な改良体の 設計・施工ができ、より高い改良効果が得ら れる。

 すなわち、本発明で提案している新しい 念による地盤改良工法を用いることにより 従来の設計手法では過大となる傾向があっ 地盤改良工法の設計や施工が、より合理的 実施できる。

 特に拘束効果を考慮しない場合は難しか た好適な改良体の形状や配置ならびに強度 合理的に決定でき、結果として、無駄の無 改良体の形状や配置が可能となる。そのた 、コスト高になりがちな軟弱地盤地域のイ フラ整備をより経済的に実施することがで 、建設投資の有効活用とともに、地域社会 大きな経済効果をもたらすなどの効果が得 れる。

 請求項2に記載の発明によれば、地盤の拘 束効果を評価するために、改良体の形状や配 置あるいは強度によって異なる応力の変化に 注目し、地盤が荷重を受けた時に改良体の拘 束効果によりその反力として生じる直応力お よびせん断応力のうち少なくともいずれか一 方の変化として評価することで、計算方法が 簡便になる。

 請求項3に記載の発明によれば、前記直応 力およびせん断応力の変化は、その応力変化 の総和によって生じる前記地盤土の強度およ び剛性のうち少なくともいずれか一方の変化 を、前記地盤の拘束効果とすることにより、 従来から行われてきた設計方法の中に、本発 明による新しい概念を取り入れた方法を提供 できる。

 請求項4に記載の発明によれば、前期応力 の変化から、それによって生じる地盤土の強 度の変化を具体的な式で算出・評価できる。

 請求項5に記載の発明によれば、前期応力 の変化から、それによって生じる地盤土の剛 性の変化を具体的な式で算出・評価できる。

 請求項6に記載の発明によれば、前記改良 体の形状を円筒状として、地盤を拘束するよ うに配置することにより、より拘束効果の高 い地盤改良工法を提供できる。

 請求項7に記載の発明によれば、前記改良 体の形状を扁平な筒状として、地盤を拘束す るように配置することにより、より効率的に 低コストな拘束効果の高い地盤改良工法を提 供できる。

 請求項8に記載の発明によれば、前記改良 体の形状を深度方向に向かって漸次拡径して いる筒状のものとして、地盤を拘束するよう に配置することにより、改良体による拘束効 果を一段と向上する。

盛土などの荷重が加えられる場合の土 強度、剛性の増加を求める説明図で、(a)は 直断面説明図、(b)は同図(a)の平面説明図で る。 側方移動などの荷重が加えられる場合 土の強度、剛性の増加を求める説明図で、( a)は垂直断面説明図、(b)は同図(a)の平面説明 である。 土を拘束するように配置した改良体の を示す平面説明図である。 土を拘束するように配置した改良体の 部に浅層混合処理層を配置する例を示す立 説明図である。 (a)~(c)共に偏土圧が加えられる場合に土 圧に抵抗する方向に改良体を並べて配置する 例を示す平面説明図である。 下部の径をテーパ状に広げた改良体を べて配置する例を示す図で、(a)はその立体 明図、(b)は同図(a)の断面説明図である。 扁平な筒状の改良体を用いた場合の改 効果の計算例を示す図で、(a)は浅層混合処 層を設けた場合の立体説明図、(b)は図5と同 様の改良体単独での立体説明図、(c)は同図(a) の浅層混合処理層の上に盛土体を設けた場合 の立体説明図である。 筒状の改良体を千鳥状に配置する例を す平面説明図である。 筒状の改良体を格子状に配置する例を す平面説明図である。 (a),(b)共に筒状の改良体を互いに接触 ない配置とした例を示す平面説明図である 地盤を拘束するように配置した改良体 が平面的に見てアーチ状である例を示す説明 図である。 (a)~(d)共に地盤を拘束するように配置 た改良体が平面的に見てアーチ状である他 例を示す説明図である。

 以下、この発明の地盤改良工法について 良体の配置を決定する方法の実施形態につ て説明する。ただし、この発明の実施形態 最も好ましい形態を示すものではあるが、 発明はこれに限定されない。

 例えば、ここで述べる改良体は、地盤土 セメントもしくはセメント系等の固化材と 撹拌混合して造成する改良体のほか、地盤 に砕石や砂を押し込み、地盤土と置き換え 造成される砕石柱や砂柱も含まれる。また 改良体の造成方法(施工方法)は、固化材を 弱地盤中に吐出させて撹拌混合する機械撹 混合方式もしくは固化材を高圧で回転噴射 せる高圧噴射撹拌方式のいずれでもよく、 良体を造成するための具体的な手段・方法 特定のものに限定されない。

 この発明は、地盤中に改良体を造成する 盤改良工法において、荷重を受けて生じる 盤の変形を、効果的に拘束するように改良 の配置や形状および強度を決定する方法で ることは先に述べたとおりである。

 地盤が荷重を受ける際に、変形しようと る地盤土を、改良体を配置することにより の変形を拘束する。その際に、地盤土を拘 する位置にある改良体によって生じる地盤 の応力の変化を、せん断応力の変化と直応 の変化とし、その応力の総和によって生じ 地盤土の強度や剛性の変化を求め、改良体 よる地盤の拘束効果を、地盤土の強度・変 特性として評価することにより、合理的な 良体の配置・形状および強度を決定するも である。

 例えば、図1の(a),(b)に示すように、複数 円柱状の改良体1とその間の地盤である未改 部2に、盛土体3などの荷重Fが加えられる場 、現状の設計法では、改良体1と未改良部2 地盤土が分担する応力の比を仮定し、沈下 算をする例がある。従来、未改良部2の強度 関しては、改良体1を造成する前の地盤土の 強度のまま変化しないとしている。

 一方、この発明では、図1に示すように、 盛土体3などの荷重Fが加えられる場合は、地 土の変形拘束によって生じる直応力の変化 δσで表し、前記式(3)~(6)から地盤土の強度 剛性の変化を求める。なお、図1の(b)中のδS 地盤土の強度変化を、δEは地盤土の剛性変 をそれぞれに示す。

 これによって、改良体1による地盤土の拘 束効果を、地盤土の強度・変形特性の変化と して評価し、これを考慮して地盤改良のため の改良体1の形状や配置等を決定することで 地盤土の拘束効果を適切に評価した合理的 地盤改良工法を行うことができる。

 また、図2の(a),(b)に示すように、例えば 台4側の盛土体3のために、偏土圧による側方 移動などの荷重IFが加えられる場合は、地盤 の変形拘束によって生じるせん断応力の変 をδτで表し、前記式(3)~(6)から地盤土の強 、剛性の変化を求める。

 このように、拘束による応力の変化を適 に評価し、これを地盤土の強度・剛性の変 に反映することにより合理的な設計が可能 なる。また、改良体1の配置によって異なる 拘束の効果を評価できるため、より合理的な 改良体1の形状や配置および強度が決定でき 。

 さらに、例えば図3に示すように、地盤土 を拘束するように配置した改良体11が扁平な 空筒状(平面形状が略偏平楕円形または偏平 長円形)である場合、鉛直の荷重に対しては 筒状に配置した改良体11の地盤土の変形拘束 によって生じる直応力の変化をδσで表し、 記式(3)~(6)から地盤土の強度、剛性の変化を める。このように、鉛直の荷重に対しては 図3のような筒状で囲う方法が合理的である が、改良体11で囲まれた未改良部2aが大きす ると拘束効果は低下する。また、地盤土を 束するように配置した改良体11が筒状であれ ば、真円状、楕円状、四角状、三角状など特 に限定されないし、筒状の軸方向の断面積が 同一でも、異なっていてもよく、以後も同様 である。また、楕円状、扁平状の形状の場合 には、図3のように必ずしも閉ループ状であ 必要はなく、長辺方向の一端若しくは両端 開放されていても、拘束効果に影響が少な こともある。

 図4では、地盤土を拘束するように配置し た図3と同様の偏平な中空筒状の改良体11の上 部に、浅層混合処理層5を配置している。こ ように、筒状の改良体11に浅層混合処理盤( )5によって蓋をするような改良形式とすると 、改良体11の内部の地盤土、すなわち未改良 2aは移動する場所がなく、極めて高い拘束 果が得られ、沈下や変形が効果的に抑制さ る。

 図5は、地盤土を拘束するように配置した 筒状の改良体11に、偏土圧による側方移動の 重IFが加えられる場合に、土圧に抵抗する 向に図3と同様の改良体11を並べて配置する である。すなわち、図5の(a),(b),(c)は、偏土 による側方移動の荷重IFが加えられる場合に 、地盤土の拘束効果を増すための改良パター ンの例である。(a)は隣り合う改良体11,11同士 離れていて相互に独立している独立配置タ プ、(b)は隣り合う改良体11,11同士が接触し いる連続配置タイプ、(c)は相互に離れて独 している改良体11,11‥を千鳥状に配置した千 鳥配置タイプのものである。このような配置 にすることによって、偏土圧によって変形し ようとする地盤土、すなわち未改良土2,2aが 束されると同時に、改良体11には圧縮応力が 発生し、引張応力の発生を抑制できる。また 、図示はしていないが、図4と同様に、浅層 合処理盤5を改良体11の上部に施すことによ て、改良体11の内部の土(未改良土2a)も含め 、高い沈下抑制効果を発揮する。

 また、図6の(b)に示すように、盛土体3等 荷重Fが大きい場合は、同図の(a)に示すよう 、改良体21の平面形状として図3と同様の形 を前提とした上で、深度方向に向かって漸 拡径する形状とするべく、下部の径をスカ ト状に広げたテーパ形状(略裁頭楕円錐形状 )のものとすることにより、矢印Pで示すよう 改良体21の内部に未改良の地盤土が押し込 られ、未改良部2aの部分の拘束効果をより一 層高めることができる。さらに、同図に示す ように、改良体21の上部に、図4と同様に浅層 混合処理層5を配置することで、改良体21,21同 士の間の未改良土2が盛土荷重によりほぼ密 状態となって未改良部2の部分の拘束効果を り一層高めることができる。なお、図6の(a) のWFは地下水の流れを示している。

 次に、地盤土の拘束効果の計算例を図5の (a)の実施例にて以下に示す。

 ・盛土体3と改良体11の条件
   盛土体3の高さ:8m
   改良体11の形状:扁平な筒状
          (改良体の上部に1.5mの浅層混 処理層5を配置)

 この際の地盤土のせん断強度は30kN/m 2 、剛性を表すヤング率は1MN/m 2 とし、また、改良率ap=18%、改良体の強度は500 kN/m 2 、変形係数は60MN/m 2 とする。

 従来設計法では、拘束効果による未改良 の地盤土の強度の変化は考慮せず、複合地 の平均的な強度Sを計算し、以下のようにな る。

 S=500×0.18+30×(1-0.18)
  =114.6kN/m 2

 同様に、剛性を表す変形係数Eは以下のよ うになる。

 E=60×0.18+1×(1-0.18)
  =11.62MN/m 2

 一方、ここでは、図7で示した三次元の有 限要素法を用いて直応力σおよびせん断応力 の変化を計算した。(a)は盛土をする前の地 の状態を、(b)は扁平な筒状の改良体11を、(c) は盛土を載荷した状況をそれぞれ示す。

 本計算例での改良体11で拘束された内部の 力は、
 ・直応力の変化の平均値δσ=11.6kN/m 2
 ・せん断力の平均値δτ=0.5kN/m 2
 となる。

 ここで、α=0.04、β=0.1、p=1、q=1とすると、
 Rs=1+αδσ p +βδτ q
   =1+0.04×(11.6) 1 +0.1×(0.5) 1
   =1.52
 となる。

 これにより、従来設計法より強度が52%増加 る。したがって、改良体で拘束された軟弱 のせん断強度は30×1.52=45.6kN/m 2 に増加する。

 複合地盤の平均的な強度を上記せん断強度 用いて計算すると、以下のようになり、上 従来設計法の強度114.6kN/m 2 より約10%強度が増加する。

 S=500×0.18+45.6×(1-0.18)
  =127.4kN/m 2

 同様に、剛性の変化率に関しても、γ=0.15、 κ=0.05、r=0.5、s=0.5とすると、
 Re=1+γδσ r +κδτ s
   =1+0.15×(11.6) 0.5 +0.05×(0.5) 0.5
   =1.55
 となり、剛性が55%増加する。

 強度と同様の評価方法で剛性を表す変形係 を評価すると以下のようになり、上記従来 計法の変形係数11.62MN/m 2 より変形係数が約4%増加する。

 E=60×0.18+1.55×(1-0.18)
  =12.071MN/m 2

 以上のように、本発明の強度評価方法を 改良部の地盤土に応用すると、従来の複合 盤的設計法を用いたとしても、強度の増加 より約10%、剛性の増加により約4%地盤評価 増加することとなる。これは、前述したが 良体の強度、配置量(改良率)の低減が図れる こととなり、コストの削減となる。また、地 盤を効率的に拘束させる改良体の形状や配置 によって、前記計算例よりもより合理的な地 盤改良工法の提供が可能となる。

 図8は、地盤土を拘束するように配置した 複数の中空円筒状の改良体31を、互いに接触 るように千鳥状に配置した例である。地盤 を有効に拘束し、改良体31に引張応力を生 させにくい配置であり、参考改良率は44%で る。例えば、セメント系の改良体31は、圧縮 と比較して引張り強度が小さいので、地盤土 を拘束する効果を十分発揮させるためにも、 引張り応力をできるだけ発生させない改良体 31の配置が望ましい。図8の配置はこの要求に 合致するものであり、それぞれの中空円筒状 の改良体31の内部の未改良部31aに加えて、互 に接している改良体31,31同士の間にできる 隙部たる未改良部2にも同様の拘束力が働く め、改良体31に生じる引張り応力は非常に さくなる。この場合において、図4と同様に 層混合処理層5で蓋をするような構造とする と更に効果が増すのは以後も同様である。

 図9は、地盤土を拘束するように配置した 複数の中空円筒状の改良体31を、矩形状また 格子状に配置した例である。地盤土を有効 拘束し、改良体31に引張応力を生じさせに い配置であり、参考改良率は38.5%である。こ のように、図9の配置でも図8の千鳥状に配置 た場合と同様の効果がある。未改良部2の地 盤土にも改良体31の内部の未改良部31aと同じ うな外向きの直応力δσが生じることは図8 場合と同様である。

 図10の(a),(b)は、図8または図9の配置を基 とした上で中空円筒状の改良体31,31同士が互 いに接触しない配置としたものである。この 場合は類似の効果は発揮されるが、改良体31 円筒外部の地盤土に対する拘束の効果が小 くなるため、全体としての補強効果はやや さくなる。この筒状の改良体31が接触しな 配置では、改良体31,31同士の間の距離が2mの 合、参考改良率は23%~27%である。

 図11は、側方移動などの荷重IFが偏土圧と して加えられる場合に、土圧に抵抗する方向 に平面視形状が略半円状またはアーチ状の改 良体41を並べて配置した例である。擁壁など 偏土圧が加えられる場合は、土圧に抵抗す 方向にアーチ状の改良体41を配置すると、 良体41内の引張り応力の発生が抑制される。

 図12は、側方移動などの荷重IFが偏土圧と して加えられる場合に、より一層地盤土の拘 束効果を増すために、アーチ形状の改良体41 開放側を延長したり、あるいはその開放側 閉合した改良体配置とした例である。具体 には、同図(a)は独立配置のアーチ形状の改 体41の開放側をストレートな壁体6をもって 長したもの、同図(b)は連続配置のアーチ形 の改良体41のそれぞれの開放側を壁体6をも て延長したものである。さらに、同図(c)は 立配置のアーチ形状の改良体41の開放側を 体6をもってそれぞれ延長した上で、その壁 6,6同士の間にも別のアーチ形状の改良体51 配置することにより閉合して改良体全体を ループ状のものとしたもの、同図(d)は同図(c )の独立配置に代えて連続配置としたもので る。

 この図12に示した配置によれば、図11の配 置と比べてより一層の地盤土の拘束効果の向 上を期待できる。

 この発明は、地盤中に造成された改良体 よる地盤土の拘束効果を適切に評価して改 体の形状や配置および強度を決定する、よ 低コストな地盤改良工法である。

 1…改良体
 2…未改良部(地盤土)
 2a…未改良部(地盤土)
 3…盛土体
 5…浅層混合処理層
 11…改良体
 21…改良体
 31…改良体
 31a…未改良部
 41…改良体
 51…改良体
 F…盛土荷重
 IF…側方移動などの荷重
 WF…地下水の流れ
 δσ…地盤土の変形拘束によって生じる直応 力の変化
 δτ…地盤土の変形拘束によって生じるせん 断応力の変化
 δS…地盤土の強度変化
 δE…地盤土の剛性変化