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Patent Searching and Data


Title:
HARD FAT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/139266
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a hard fat which can be used as a raw material for a margarine or a shortening that contains a lauric fat and therefore has good melt in the mouth, and also has good plasticity. Also disclosed is a margarine or a shortening which comprises the hard fat. Further disclosed is a confection or a bread produced by using the margarine or the shortening. The hard fat contains lauric acid in an amount of 25 to 45 mass%, has an iodine value of 0 to 25, has the following constituent triglyceride composition: (CN32-54TG): 85 to 100 mass%, (CN32-38TG): 30 to 50 mass%, (CN40-46TG): 25 to 55 mass% and (CN48-54TG): 10 to 30 mass%, and has the following constituent triglyceride content ratio: [(CN32-38TG)/(CN40-46TG)] = 0.5 to 1.5, [(CN32-38TG)/(CN48-54TG)] ≥ 1.0, and [(CN40-46TG)/(CN48-54TG)] ≥ 1.0.

Inventors:
ANDOU MASATAKA (JP)
HATANO YOSHIYUKI (JP)
HARUNA HIROFUMI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/057736
Publication Date:
November 19, 2009
Filing Date:
April 17, 2009
Export Citation:
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Assignee:
NISSHIN OILLIO GROUP LTD (JP)
ANDOU MASATAKA (JP)
HATANO YOSHIYUKI (JP)
HARUNA HIROFUMI (JP)
International Classes:
A23D7/00; A23D9/00; C11C3/10
Foreign References:
JP2001262181A2001-09-26
JPS60180542A1985-09-14
JPH071465T
Attorney, Agent or Firm:
SHOBAYASHI, Masayuki (JP)
Right wood Masayuki (JP)
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Claims:
 ラウリン酸を25~45質量%含有し、よう素価0~25であって、以下のトリグリセリド組成を満たす硬質脂肪。
 構成脂肪酸残基の炭素数の合計が32~54のトリグリセリド(CN32~54TG)85~100質量%
 構成脂肪酸残基の炭素数の合計が32~38のトリグリセリド(CN32~38TG)30~50質量%、
 構成脂肪酸残基の炭素数の合計が40~46のトリグリセリド(CN40~46TG)25~55質量%、
 構成脂肪酸残基の炭素数の合計が48~54のトリグリセリド(CN48~54TG)10~30質量%であって、
 構成脂肪酸残基の炭素数の合計が32~38のトリグリセリドと構成脂肪酸残基の炭素数の合計が40~46のトリグリセリドとの質量比((CN32~38TG)/(CN40~46TG))が、0.5~1.5
 構成脂肪酸残基の炭素数の合計が32~38のトリグリセリドと構成脂肪酸残基の炭素数の合計が48~54のトリグリセリドとの質量比((CN32~38TG)/(CN48~54TG))が、≧1.0
構成脂肪酸残基の炭素数の合計が40~46のトリグリセリドと構成脂肪酸残基の炭素数の合計が48~54のトリグリセリドとの質量比((CN40~46TG)/(CN48~54TG))が、≧1.0
 脂肪A:ラウリン酸を35~65質量%含有し、よう素価0~30であるラウリン脂肪と、脂肪B:ラウリン酸を12~34質量%、炭素数16以上の飽和脂肪酸を45~75質量%含有し、よう素価0~20であるエステル交換脂とを、30:70~75:25で混合してなる請求項1記載の硬質脂肪。
 上記脂肪A:ラウリン酸を35~65質量%含有し、よう素価0~30であるラウリン脂肪が、ヤシ油由来の油脂である請求項2記載の硬質脂肪。
 上記脂肪A:ラウリン酸を35~65質量%含有し、よう素価0~30であるラウリン脂肪が、エステル交換脂である請求項2記載の硬質脂肪。
 請求項1~4何れか1項記載の硬質脂肪と液性油脂とを10:90~90:10で混合してなる油脂組成物。
 請求項5の油脂組成物を油相としてなるマーガリン・ショートニング類。
 スプレッド又はロールイン用である請求項6記載のマーガリン・ショートニング類。
 請求項6又は7のマーガリン・ショートニング類を使用してなる食品。
Description:
硬質脂肪

 本発明は、ラウリン脂肪の優れた口溶け 活かした硬質脂肪、及び該硬質脂肪を使用 たマーガリン・ショートニング類に関する のである。

 ヤシ油やパーム核油に代表されるラウリ 酸に富んだラウリン脂肪は、淡白な食味と れた口溶けを有する脂肪であり、従来から チョコレート、マーガリン・ショートニン 、ホイップクリーム、アイスクリーム等の 性食品の原料として使用されてきた。ラウ ン脂肪をマーガリン・ショートニング類の 料油脂として使用する場合は、優れた口溶 の代償として、適度な可塑性を有する温度 が狭いという欠点を有するため、その配合 には限度があり、結果として優れた口溶け 活かしきれないというジレンマがあった。

 ラウリン脂肪の優れた口溶けを保持しつ 適度な可塑性を有する温度域を広げる試み して、ラウリン脂肪と炭素数が16以上の飽 脂肪酸を有する固体脂肪とをエステル交換 る技術(例えば、特許文献1、2)が知られてい 。しかし、これらの技術では、エステル交 油脂自体は口溶けが良好なものの、マーガ ン・ショートニング類の原料として液体油 と配合されてしまうと、ラウリン脂肪独特 口溶けというものは呆けてしまい、なお十 に活かしきれない状況であった。

 また、トリラウリンやトリミリスチンと ったトリグリセリドの単一性を高め、35℃ 傍までは良好な可塑性を有し、体温で速や に融解する特質を持たせたパフペストリー ーガリン(例えば、特許文献3)も提案されて る。しかし、特許文献3で提案された技術で 、トリグリセリド構成脂肪酸中のラウリン 及びミリスチン酸含量を90質量%(以下、本願 において%とは質量%のことを指すものとする) 以上に高めるにはエステル合成が必要であり 、天然油脂を原料とした分別・エステル交換 等の加工技術では困難であることから、経済 的に見合わないものであった。

 従って、可塑性が良好で、ラウリン脂肪 特質を活かしたマーガリン・ショートニン 類は、未だに提供されていない。

特開昭47-13607号公報

特開昭57-74041号公報

特公昭48-32164号公報

 解決しようとする課題は、ラウリン脂肪 良好な口溶けを有し、かつ、可塑性が良好 マーガリン・ショートニング類を得るため 原料となる硬質脂肪を開発することである また、該硬質脂肪を使用することにより、 塑性が良好で、ラウリン脂肪の良好な口溶 を有するマーガリン・ショートニング類、 びそれらを使用した菓子・パン類を提供す ことである。

 本発明者らは、上記課題を解決するために 意研究を重ねた結果、ラウリン脂肪を使用 、特定のトリグリセリド組成を有する様に 工・調製することによって、課題が解決で ることを見出し、本発明を完成するに至っ 。
 即ち、本発明第1の発明は、ラウリン酸を25~ 45質量%含有し、よう素価0~25であって、以下 トリグリセリド組成を満たす硬質脂肪であ 。
 構成脂肪酸残基の炭素数の合計が32~54のト グリセリド(CN32~54TG)85~100質量%
 構成脂肪酸残基の炭素数の合計が32~38のト グリセリド(CN32~38TG)30~50質量%、
 構成脂肪酸残基の炭素数の合計が40~46のト グリセリド(CN40~46TG)25~55質量%、
 構成脂肪酸残基の炭素数の合計が48~54のト グリセリド(CN48~54TG)10~30質量%であって、
 構成脂肪酸残基の炭素数の合計が32~38のト グリセリドと構成脂肪酸残基の炭素数の合 が40~46のトリグリセリドとの質量比((CN32~38TG) /(CN40~46TG))が、0.5~1.5
 構成脂肪酸残基の炭素数の合計が32~38のト グリセリドと構成脂肪酸残基の炭素数の合 が48~54のトリグリセリドとの質量比((CN32~38TG) /(CN48~54TG))が、≧1.0
 構成脂肪酸残基の炭素数の合計が40~46のト グリセリドと構成脂肪酸残基の炭素数の合 が48~54のトリグリセリドとの質量比((CN40~46TG) /(CN48~54TG))が、≧1.0
 本発明の第2の発明は、脂肪A:ラウリン酸を3 5~65質量%含有し、よう素価0~30であるラウリン 脂肪と、脂肪B:ラウリン酸を12~34質量%、炭素 16以上の飽和脂肪酸を45~75質量%含有し、よ 素価0~20であるエステル交換脂とを、30:70~75:2 5で混合してなる第1の発明に記載の硬質脂肪 ある。
 本発明の第3の発明は、上記脂肪A:ラウリン を35~65質量%含有し、よう素価0~30であるラウ リン脂肪が、ヤシ油由来の油脂である第2の 明に記載の硬質脂肪である。
 本発明の第4の発明は、上記脂肪A:ラウリン を35~65質量%含有し、よう素価0~30であるラウ リン脂肪が、エステル交換脂である第2の発 に記載の硬質脂肪である。
 本発明の第5の発明は、第1~第4の何れか1つ 記載の硬質脂肪と液性油脂とを10:90~90:10で混 合してなる油脂組成物である。
 本発明の第6の発明は、第5の発明に記載の 脂組成物を油相としてなるマーガリン・シ ートニング類である。
 本発明の第7の発明は、スプレッド又はロー ルイン用である第6の発明に記載のマーガリ ・ショートニング類である。
 本発明の第8の発明は、第6又は第7の発明に 載のマーガリン・ショートニング類を使用 てなる食品である。

 本発明の硬質脂肪を使用し、マーガリン・ ョートニング類を調製することで、ラウリ 脂肪の冷涼感のある良好な口溶けを有し、 つ、保形性、組織状態(きめ)に優れ可塑性 良好なマーガリン・ショートニング類を得 ことができる。特に油脂物性の影響が大き スプレッドやロールイン用途に使用するこ により、冷涼感のある良好な口溶けを有す 保形性、組織状態(きめ)が良好なスプレッド や伸展性が良く生地浮きの良いロールインマ ーガリンが製造でき、これを使用した軽い食 感で口溶けの良い、パイ・デニッシュ・クロ ワッサン類を提供できる。
 通常マーガリン・ショートニング類は口溶 が良くなると保形性が悪くなる、あるいは 形性が良くなると口溶けが悪くなるという 係にあるが、本発明の硬質脂肪を使用する とにより、口溶けと保形性が同時に良好な ランスの取れたマーガリン・ショートニン 類を調製することが出来る。

 以下、本発明を詳細に説明する。
 本発明の硬質脂肪とはマーガリン・ショー ニング類に代表される可塑性油脂食品に適 た、常温(25℃)で固体の脂肪であり、可塑性 油脂食品に適度な硬さと粘り気を与えるもの である。
 本発明の硬質脂肪は、脂肪を構成する脂肪 としてラウリン酸を25~45質量%含有し、よう 価は0~25である。ラウリン酸含量とよう素価 が上記範囲を満たす場合、冷涼感のある良好 な口溶けと硬質脂肪としての保形性が得られ 易くなるので好ましい。
 本発明の硬質脂肪のラウリン酸含量は25~45 量%であり31~41質量%であることが好ましく、3 3~39質量%であることがより好ましい。また、 う素価は、0~25であり、0~15であることが好 しく、0~10であることがより好ましい。

 本発明の硬質脂肪は、必須構成成分として 構成脂肪酸残基の炭素数の合計が32~38のト グリセリド(CN32~38TG)、構成脂肪酸残基の炭素 数の合計が40~46のトリグリセリド(CN40~46TG)、 び構成脂肪酸残基の炭素数の合計が48~54のト リグリセリド(CN48~54TG)、である3つのトリグリ セリド区分からなる。
 CN32~38TGは、主に冷涼な口溶けを与える成分 あり、合成品を使用しても差し支えないが 好適には、天然油脂であるヤシ油やパーム 油、及びそれらの加工油(所謂ラウリン脂肪 )に含まれるものであり、それらを使用でき 。
 また、CN40~46TGは、主に油脂結晶を調整する 分であり、CN48~54TGは、主に構造を保持する 分であって、それらは、合成品を使用して 差し支えないが、好適には、ラウリン脂肪 炭素数16以上の飽和脂肪酸から構成される リグリセリドに富んだ油脂(例えば、パーム テアリン、非ラウリン脂肪の極度硬化油等) とをエステル交換した油脂に含まれるもので あり、それらを使用できる。

 本発明の硬質脂肪は、上記各トリグリセリ 区分を、CN32~38TGが30~50質量%、CN40~46TGが25~55 量%、CN48~54TGが10~30質量%であり、かつ、3つの トリグリセリド区分の合計(CN32~54TG)が、85~100 量%を満たす様に調製する必要がある。CN32~3 8TG、CN40~46TG、CN48~54TGの含量、及びCN32~54TGの含 量が、上記範囲を満たす場合、本発明の硬質 脂肪を使用した油脂組成物、又は、マーガリ ン・ショートニング類は、可塑性が良好で、 ラウリン脂肪の冷涼感のある良好な口溶けが 得られ易くなり好ましい。
 CN32~38TGの含量は、30~50質量%であり、34~43質 %であることが好ましい。CN40~46TGの含量は、2 5~55質量%であり、30~50質量%であることが好ま い。CN48~54TGの含量は、10~30質量%であり、15~2 5質量%であることが好ましい。

 本発明の硬質脂肪は、上記各トリグリセリ 区分含量の条件を満たす以外に、(CN32~38TG)/( CN40~46TG)が0.5~1.5、(CN32~38TG)/(CN48~54TG)が≧1.0、 び(CN40~46TG)/(CN48~54TG)が≧1.0である各トリグリ セリド区分間の構成比を満たす必要がある。 各トリグリセリド区分の構成比が上記条件を 満たす場合、本発明の硬質脂肪を使用した油 脂組成物、又は、マーガリン・ショートニン グ類は、可塑性が良好で、ラウリン脂肪の冷 涼感のある良好な口溶けが得られ易くなり好 ましい。
 (CN32~38TG)/(CN40~46TG)は0.5~1.5であり、0.9~1.3であ ることが好ましい。
 (CN32~38TG)/(CN48~54TG)は≧1.0であり、≧1.3であ ことが好ましい。
 (CN40~46TG)/(CN48~54TG)は≧1.0であり、≧1.4であ ことが好ましい。

 本発明の硬質脂肪が、脂肪を構成する脂 酸としてのラウリン酸含量、よう素価、各 リグリセリド区分の含量及び構成比の各項 について、上記条件を満たす場合、本発明 硬質脂肪を使用した油脂組成物、又は、マ ガリン・ショートニング類は、可塑性が良 で、ラウリン脂肪の冷涼感のある良好な口 けを有するものとなり好ましい。

 尚、構成脂肪酸残基の炭素数によるトリ リセリドの分析は、AOCS Ce5-86に準じてガス ロマトグラフィー法により行うことができ 。また、よう素価は、「社団法人 日本油 学会 基準油脂分析試験法2.3.4.1-1996」の方法 に準じて測定することができる。

 本発明の硬質脂肪の好ましい態様の1つと して、脂肪A:脂肪を構成する脂肪酸としてラ リン酸を35~65質量%含有し、よう素価が0~30で あるラウリン脂肪と、脂肪B:ラウリン酸を12~3 4質量%、炭素数16以上の飽和脂肪酸を45~75質量 %含有し、よう素価0~20であるエステル交換脂 を、30:70~75:25で混合して得られる硬質脂肪 挙げられる。

 脂肪Aを構成するラウリン脂肪とは、脂肪 を構成する脂肪酸として炭素数12の飽和脂肪 であるラウリン酸に富んだ脂肪の総称であ 。ラウリン脂肪としては、具体的にはヤシ 、パーム核油、ババス油等が挙げられる。 肪Aとしては、ラウリン脂肪を分別して得ら れる分別脂や、ラウリン脂肪を水素添加して 得られる硬化油や、ラウリン脂肪の各単独脂 肪又は混合脂肪をエステル交換反応に付して 得られるエステル交換脂も使用することがで きる。脂肪Aを構成するラウリン脂肪の全構 脂肪酸中におけるラウリン酸含量は35~65質量 %であり、45~65質量%であることが好ましい。 ウリン脂肪のラウリン酸含量が上記範囲で る場合、ラウリン脂肪特有の冷涼感のある 好な口溶けを有し、また、CN32~38TGを適量含 するため、後述の脂肪Bと配合する場合、本 明の硬質脂肪に必須のトリグリセリド構成 容易に調整できるので好ましい。

 脂肪Aを構成するラウリン脂肪の好ましい 具体例としては、ヤシ油、その分別硬質部、 それらの1種以上の混合脂からなるエステル 換脂、それらから選ばれた1種以上の脂肪が げられる。また別の好ましい具体例として 、パーム核油又はパーム核油分別硬質部か 選ばれた1種以上の混合脂からなるエステル 交換脂が挙げられる。

 脂肪Bを構成するエステル交換脂とは、エ ステル交換脂を構成する脂肪酸としてラウリ ン酸が12~34質量%、炭素数16以上の飽和脂肪酸 45~75質量%からなり、よう素価0~20であるエス テル交換脂である。エステル交換脂のラウリ ン酸含量は、12~34質量%であり、16~28質量%であ ることが好ましい。エステル交換脂の炭素数 16以上の飽和脂肪酸含量は、45~75質量%であり 50~70質量%であることが好ましい。エステル 換脂のよう素価は0~20であり、0~15であるこ が好ましく、0~13であることがより好ましい エステル交換脂のよう素価が上記範囲にあ 場合、CN40~46TG及びCN48~54TGがバランス良く生 するので、前述の脂肪Aと配合する場合、本 発明の硬質脂肪に必須のトリグリセリド構成 を容易に調整できるので好ましい。

 脂肪Bを構成するエステル交換脂としては 、2種以上の原料油脂を含む混合油脂をエス ル交換した油脂を例示できる。よう素価を 整するための水素添加処理は、必要により うことができる。水素添加処理は、原料油 、2種類以上の原料油脂を含む混合油脂(エス テル交換処理の前)、エステル交換処理後の 脂、の何れかに対して行うことが可能であ 。水素添加した水添油とは、硬化油と極度 化油をいう。水素添加処理は、当業者が適 調整して行うことができる。

 上記2種以上の原料油脂を含む混合油脂と しては特に規定はないが、具体例としては、 例えば、脂肪Aに関して述べた様なラウリン 肪(又はその水添油)と、炭素数16以上の脂肪 が豊富な植物油脂(又はその水添油)との混 油脂が挙げられる。炭素数16以上の脂肪酸が 豊富な植物油脂としては、例えば菜種油、大 豆油、パーム油等が挙げられる。特に、ラウ リン脂肪又はその水添油(b1)とパーム系油脂 はその水添油(b2)とを含む油脂(b1とb2の混合 を含む)等が挙げられる。

 上記ラウリン脂肪(b1)としては、脂肪Aの ころで述べたラウリン脂肪と同一であって 全く差し支えないが、構成脂肪酸中のラウ ン酸含量が35質量%未満のラウリン脂肪であ ても、後述の油脂(b2)と適宜配合を調整する とによって使用することができる。構成脂 酸中にラウリン酸含量が35質量%未満となる としては、ヤシ油、パーム核油の高次分別 質油等を例示できる。ラウリン脂肪(b1)とし ては、脂肪Aのところで述べたラウリン脂肪 、ラウリン酸含量が35質量%未満となるラウ ン脂肪の高次分別軟質油の中から、任意の1 を用いてもよく、また2種以上を任意に混合 して用いてもよい。

 上記パーム系油脂(b2)としては、パーム油及 びパーム油の分別油であれば何れも使用する ことができる。具体的には、(1)1段分別油で るパームオレイン及びパームステアリン、(2 )パームオレインを分別した分別油(2段分別油 )であるパームオレイン(パームスーパーオレ ン)及びパームミッドフラクション、(3)パー ムステアリンを分別した分別油(2段分別油)で あるパームオレイン(ソフトパーム)及びパー ステアリン(ハードステアリン)、等が例示 きる。
 パーム油を分別する方法には特に制限はな 、溶剤分別、乾式分別、乳化分別の何れの 法を用いてもよい。パーム系油脂は、炭素 16以上の飽和脂肪酸含量を高めるため(エス ル交換脂のよう素価を0~20に調整するため) 度硬化して使用することが好ましい。ただ 、炭素数16以上の飽和脂肪酸含量の高いパー ムステアリンは、極度硬化せずに用いること が可能である。

 脂肪Bを構成するエステル交換脂としては 、エステル交換脂を構成する脂肪酸としてラ ウリン酸が12~34質量%、炭素数16以上の飽和脂 酸が45~75質量%からなり、よう素価0~20である 構成を満たせば、上述したもの以外の油脂を 使用したものであってもよい。

 脂肪Bを構成するエステル交換脂の好ましい 態様の1つとしては、例えば、パーム核油又 その分別油(上記b1に相当)とパーム系油脂(上 記b2に相当)とを30:70~70:30に混合したものをエ テル交換し、その後、ヨウ素価が10以下と るまで水素添加したものが挙げられる。こ 場合、パーム核油又はその分別油とパーム 油脂とは、まず、それぞれ別々に水素添加 行い、その後ヨウ素価10以下となるように30: 70~70:30の混合比の中で混合し、最後にエステ 交換してもよい。即ち、エステル交換脂を 造するにあたって、エステル交換と水素添 とは、その何れを先に行ってもよい。
 水素添加工程を伴うエステル交換脂のよう 価は、トランス脂肪酸の含有量を十分に低 させるという意味で、10以下であることが ましく、5以下であることがより好ましく、2 以下であることが更に好ましい。
 別の例としては、パーム核極度硬化油とパ ム極度硬化油とを50:50に混合した混合油脂 エステル交換したエステル交換脂が挙げら る。

 脂肪Bを構成するエステル交換脂のまた別 の好ましい態様の1つとしては、例えば、ヨ 素価が10以下のラウリン脂肪(上記b1に相当) 、ヨウ素価が20以下のパーム系油脂(上記b2に 相当)とをエステル交換して得られた油脂が げられる。ヨウ素価が10以下のラウリン脂肪 としては、例えば、パーム核油の分別ステア リン部が挙げられる。パーム核油の分別ステ アリン部のヨウ素価は、10以下であることが ましいが、7以下であることが更に好ましい 。ヨウ素価が20以下のパーム系油脂としては パーム油の分別ステアリン部が挙げられる パーム油の分別ステアリン部としては、パ ム油を1段分別したパームステアリンを更に 分別した2段分別ステアリン(ハードステアリ )が好ましく、そのよう素価は0~20であり、0~ 15であることが好ましく、0~13であることがよ り好ましい。脂肪Bを構成するエステル交換 としては、ヨウ素価が10以下のパーム核油分 別ステアリンと、ヨウ素価が20以下のパーム テアリンとを30:70~70:30の混合比の中で混合 、エステル交換したエステル交換脂が例示 きる。

 脂肪A又は脂肪Bを調製する際に必要に応じ 行う水素添加又はエステル交換の各方法に しては、特に制限は無く、業界で一般に使 されている方法で行うことができる。
 水素添加の場合は、例えば、ニッケル触媒 下、水素圧0.02~0.3Mpa、160~200℃の条件にて、5 分~2時間反応を行うことができる。反応終了 は、触媒をろ過にて取り除いた後、通常の 用油の精製工程で行われる脱色、脱臭処理 施すことができる。水素添加は、心疾患と 因果関係が懸念されるトランス脂肪酸を低 させるという意味合いから、よう素価2以下 の極度硬化を行うことが好ましい。
 エステル交換の場合は、化学的エステル交 であっても酵素的エステル交換であっても い。化学的エステル交換は、ナトリウムメ ラート等の化学触媒を用いて行われる、位 特異性の乏しいエステル交換反応である(ラ ンダムエステル交換とも言われる)。化学的 ステル交換反応は、例えば、常法に従って 原料油脂を十分に乾燥させ、触媒を原料油 に対して0.1~1質量%添加した後、減圧下、80~12 0℃で0.5~1時間攪拌することにより行うことが できる。エステル交換反応終了後は、触媒を 水洗にて洗い流した後、通常の食用油の精製 工程で行われる脱色、脱臭処理を施すことが できる。
 酵素的エステル交換は、リパーゼを触媒と て用いて行われる。リパーゼとしては、リ ーゼ粉末やリパーゼ粉末をセライト、イオ 交換樹脂等の担体に固定化した固定化リパ ゼを使用することができる。酵素的エステ 交換によるエステル交換反応は、リパーゼ 種類によって、位置特異性の乏しいエステ 交換反応とすることもできるし、1,3位特異 の高いエステル交換反応とすることもでき 。
 位置特異性の乏しいエステル交換反応を行 ことのできるリパーゼとしては、アルカリ ネス属由来リパーゼ(例えば、名糖産業株式 会社製のリパーゼQLM、リパーゼPL等)、キャン ディダ属由来リパーゼ(例えば、名糖産業株 会社製のリパーゼOF等)等が挙げられる。
 1,3位特異性の高いエステル交換反応を行う とのできるリパーゼとしては、リゾムコー ミーハイ由来の固定化リパーゼ(ノボザイム ズ社製のリポザイムTLIM、リポザイムRMIM等)等 が挙げられる。
 酵素的エステル交換反応は、例えば、リパ ゼ粉末又は固定化リパーゼを原料油脂に対 て0.02~10質量%、好ましくは0.04~5質量%添加し 後、40~80℃、好ましくは40~70℃で0.5~48時間、 好ましくは0.5~24時間攪拌することにより行う ことができる。エステル交換反応終了後は、 ろ過等によりリパーゼ粉末又は固定化リパー ゼを除去後、通常の食用油の精製工程で行わ れる脱色、脱臭処理を施すことができる。

 本発明の硬質脂肪の好ましい態様の1つと しては、上述した脂肪Aと、上述した脂肪Bと 、上述の本発明の硬質脂肪に必須のトリグ セリド構成となるように、30:70~75:25の範囲 混合して得られる硬質脂肪が挙げられる。 た、本発明の硬質脂肪に必須のトリグリセ ド構成を達成できる範囲内で、脂肪A及び脂 B以外のその他の脂肪を混合しても差し支え ないが、その他の脂肪の配合量としては、0~3 0質量%であることが好ましく、0~20質量%であ ことがより好ましい。

 本発明は、上述の硬質脂肪と液性油脂とか なる油脂組成物を含む。
 液性油脂とは、構成脂肪酸としてラウリン 含量が5質量%未満である常温(25℃)で流動状 呈する油脂であり、かかる液性油脂の例と ては、大豆油、菜種油、綿実油、コーン油 ひまわり油、紅花油、ごま油、米油、オリ ブ油、パーム油、落花生油及び亜麻仁油等 並びにそれらの各単独油又は混合油の水素 加油、それらの各単独油又は混合油をエス ル交換反応に付して得られるエステル交換 、それらの各単独油又は混合油の分別油等 加工油など、から選ばれた1種以上からなる 油脂が挙げられる。液性油脂は25℃で流動状 あり、20℃で流動状であることが好ましく 15℃で流動状であることがより好ましい。
 液性油脂の好ましい態様の1つとしては、通 常サラダ油と称される、好ましくは冷却試験 (基準油脂分析試験法2.2.8.1-1996 冷却試験(そ 1))において、0℃で5時間以上清澄(透明)であ 程度の耐寒性を持った植物性油脂である。 た別の好ましい態様の1つとしては、上記植 物性油脂とよう素価55以上のパームオレイン はそのエステル交換油との質量比40:60~90:10 混合油が挙げられる。また更に別の好まし 態様の1つとしては、上記植物性油脂と、よ 素価55以上のパームオレインのエステル交 油とパーム中融点部との質量比70:30~0:100、好 ましくは、60:30~20:80で混合した混合油脂との 40:60~90:10の混合油脂が挙げられる。

 本発明の硬質脂肪及び該硬質脂肪と液性油 とからなる油脂組成物の全構成脂肪酸中に けるトランス脂肪酸の割合は、健康に好ま くないとされるトランス脂肪酸を実質的に まないという主旨から、5質量%未満である とが必要であり、3質量%未満であることが好 ましく、2質量%未満であることがより好まし 、1質量%未満であることがより一層好まし 。
 尚、構成脂肪酸分析及びトランス脂肪酸分 は、AOCS Ce1f-96に準拠してガスクロマトグラ フィー法で行うことができる。

 本発明の油脂組成物は、上述の硬質脂肪 上述の液性油脂とを質量比10:90~90:10で混合 た油脂組成物である。特に、本発明の油脂 成物をマーガリン・ショートニング類の油 とすることにより、可塑性が良好で、ラウ ン脂肪の冷涼感のある良好な口溶けを有す 本発明のマーガリン・ショートニング類が られる。

 本発明のマーガリン・ショートニング類 、油相の含有量が、好ましくは50~100質量%、 より好ましくは60~98質量%であり、更に好まし くは、70~98質量%である。また、水相の含有量 が、好ましくは0~50質量%、より好ましくは2~40 質量%であり、更に好ましくは2~30質量%である 。一般に水相が無い場合がショートニング類 であり、水相を含む場合はマーガリン類と呼 ばれる。油相及び水相の含有量が上記範囲内 の場合には、得られたマーガリン類は、その 乳化状態がより良好に保たれる。

 本発明のマーガリン・ショートニング類 、上記以外の他の成分を含有することがで る。他の成分としては、乳化剤、増粘安定 、食塩、塩化カリウム等の塩味剤、酢酸、 酸、グルコン酸等の酸味料、糖類や糖アル ール類、ステビア、アスパルテーム等の甘 料、β-カロテン、カラメル、紅麹色素等の 色料、トコフェロール、茶抽出物等の酸化 止剤、小麦蛋白や大豆蛋白といった植物蛋 、卵及び各種卵加工品、香料、乳製品、調 料、pH調整剤、食品保存料、果実、果汁、 ーヒー、ナッツペースト、香辛料、ココア ス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類 肉類、魚介類等の食品素材や食品添加物が げられる。

 上記乳化剤としては、ポリグリセリン脂 酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソル タン脂肪酸エステル、ポリソルベート、縮 リシノレイン脂肪酸エステル、グリセリド ステル等の合成乳化剤や、大豆レシチン、 黄レシチン、大豆リゾレシチン、卵黄リゾ シチン、酵素処理卵黄、サポニン、植物ス ロール類、乳脂肪球皮膜等の合成乳化剤で い乳化剤等が挙げられる。

 上記増粘安定剤としては、グアーガム、 ーカストビーンガム、カラギーナン、アラ アガム、アルギン酸類、ペクチン、キサン ンガム、プルラン、タマリンドシードガム サイリウムシードガム、結晶セルロース、 ルボキシメチルセルロース、メチルセルロ ス、寒天、グルコマンナン、ゼラチン、澱 、化工澱粉等が挙げられる。

 本発明のマーガリン・ショートニング類 おいて、上記その他の成分の含有量は、好 しくは10質量%以下、更に好ましくは5質量% 下である。

 次に、本発明のマーガリン・ショートニン 類の製造方法を説明する。
 本発明のマーガリン・ショートニング類の 造方法は特に制限されるものではなく、油 分が本発明の油脂組成物からなる油相を溶 し、冷却し、結晶化することにより得るこ ができる。具体的には、先ず、上記油相を 解し、必要により水相を混合乳化する。そ て次に殺菌処理するのが望ましい。殺菌方 は、タンクでのバッチ式であってもよく、 レート型熱交換機や掻き取り式熱交換機を いた連続式であってもよい。

 次に、冷却し、結晶化させる。好ましくは 却可塑化する。冷却条件は、好ましくは-0.5 ℃/分以上、更に好ましくは-5℃/分以上とす 。この際、徐冷却より急冷却の方が好まし 。
 冷却する機器としては、密閉型連続式チュ ブ冷却機、例えば、ボテーター、コンビネ ター、パーフェクター等のマーガリン製造 やプレート型熱交換機等が挙げられ、また 開放型のダイアクーラーとコンプレクター の組合せが挙げられる。

 本発明の油脂組成物は、上述のように実質 にトランス脂肪酸を含有していない。従っ 、油脂分が本発明の油脂組成物からなるマ ガリン・ショートニング類は、実質的にト ンス酸を含有していない。
 本発明の油脂組成物を使用してマーガリン を製造する場合、その乳化形態は油中水型 水中油型、及び二重乳化型の何れであって よい。

 本発明の油脂組成物を使用したマーガリ ・ショートニング類の好ましい態様の1つと しては、スプレッド類、特に、油相65~75質量% 、水相35~25質量%からなる油中水型に乳化した ファットスプレッドが挙げられる。ファット スプレッドの油相として使用する場合、硬質 脂肪と液性油脂との混合比(質量基準)は、10:9 0~50:50であることが好ましく、15:85~40:60である ことがより好ましく、20:80~35:65であることが も好ましい。硬質脂肪と液性油脂との混合 (質量基準)が上記の場合、冷蔵庫から出し れしても組織が良好でかつ可塑性が良好で り易く、冷涼感のある良好な口溶けがある ァットスプレッドが得られるので好ましい

 本発明の油脂組成物を使用したマーガリ ・ショートニング類のまた別の好ましい態 の1つとしては、油相65~95質量%、水相35~5質 %からなるロールイン用マーガリンが挙げら る。ロールイン用マーガリンの油相として 用する場合、硬質脂肪と液性油脂との混合 (質量基準)は、25:75~65:35であることが好まし く、35:65~60:40であることがより好ましく、45:5 5~55:45であることが最も好ましい。硬質脂肪 液性油脂との混合比(質量基準)が上記の場合 、広い作業温度域で良好な伸展性があり、ま た、水相が25質量%以上と比較的多い場合にお いても、口当たりが軽く、口溶けの良い焼成 層状食品を製造することができる。

 本発明のマーガリン・ショートニング類 用いた食品としては、食パン・菓子パン・ ロワッサン・デニッシュ等のパン類、クッ ー・ビスケット・ケーキ・パイ等の焼き菓 類等が挙げられる。また、本発明のショー ニングを用いた食品としては、食パン・菓 パン・クロワッサン・デニッシュ等のパン 、クッキー・ビスケット・ケーキ・パイ等 焼き菓子類等が挙げられる。

 次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に 明するが、本発明はそれらに何等制限され ものではない。

 〔試験油脂の調製〕
1.脂肪Aの調製
  A-1:ヤシ油(商品名:精製ヤシ油、ラウリン 含量48.0質量%、よう素価8.6、日清オイリオグ ループ株式会社製)
  A-2:パーム核油(ラウリン酸含量46.5質量%、 う素価18.7、日清オイリオグループ株式会社 社内製)
  A-3:パーム核油エステル交換油(ラウリン酸 含量46.2質量%、よう素価18.5、ナトリウムメチ ラートを触媒とした化学的エステル交換で調 製)
2.脂肪Bの調製
  B-1:エステル交換脂1(パーム核油極度硬化 50質量部とパーム油極度硬化油50質量部とを 合し、ナトリウムメチラートを触媒とした 学的エステル交換で調製したエステル交換 、ラウリン酸含量21.9質量%、炭素数16以上の 飽和脂肪酸含量65.8質量%、よう素価0.3)
  B-2:エステル交換脂2(パーム核油分別硬質 (よう素価6.9)40質量部とパーム油2段分別硬質 部(よう素価12.5)60質量部とを混合し、ナトリ ムメチラートを触媒とした化学的エステル 換で調製したエステル交換脂、ラウリン酸 量22.4質量%、炭素数16以上の飽和脂肪酸含量 55.5質量%、よう素価10.3)
  B-3:エステル交換脂3(ヤシ油極度硬化油60質 量部とパーム油極度硬化油40質量部とを混合 、ナトリウムメチラートを触媒とした化学 エステル交換で調製したエステル交換脂、 ウリン酸含量28.8質量%、炭素数16以上の飽和 脂肪酸含量52.4質量%、よう素価0.2)
3.液性油脂の調製
  液性油脂1:菜種油(商品名:菜種白絞油、ラ リン酸含量0質量%、0℃5時間清澄、日清オイ リオグループ株式会社製)
  液性油脂2:(菜種油80質量部とパームオレイ ン(よう素価56)をナトリウムメチラートを触 として化学的エステル交換したエステル交 脂20質量部とを混合した混合油脂、ラウリン 酸含量0質量%、15℃で流動状)
  液性油脂3:(菜種油80質量部とパームオレイ ン(よう素価56)をナトリウムメチラートを触 として化学的エステル交換したエステル交 脂10質量部とパーム油中融点画分(よう素価45 )10質量部とを混合した混合油脂、ラウリン酸 含量0質量%、15℃で流動状)
4.その他油脂の調製
  大豆油極度硬化油(商品名:大豆極度硬化油 、ラウリン酸含量0質量%、炭素数16以上の飽 脂肪酸含量99.7質量%、よう素価0.2、横関油脂 株式会社製)

 〔硬質脂肪調製1〕
 表1の油脂配合に従って、硬質脂肪を調製し た(硬質脂肪No.1~8)。また、調製した硬質脂肪 ラウリン酸含量、よう素価、各トリグリセ ド区分の含量及び構成比を同じく表1に示し た。

 〔ファットスプレッドの調製及び評価1〕
 表1のファットスプレッドを構成する油相の 配合に従って、各硬質脂肪(硬質脂肪No.1~8)と 性油脂1とを混合し、ファットスプレッドの 油相に配合する脂肪とした。
 以下の配合に従って、油相と水相を調製し 常法に従ってオンレーターにて急冷練り合 せを行い、各硬質脂肪(硬質脂肪No.1~8)と液 油脂とを混合して調製したそれぞれの脂肪 ついて油中水型のファットスプレッドを得 。得られたファットスプレッドは、以下の 準に従って、口溶け、保形性、組織状態の 価を行った。評価結果は同様に表1(実施例1~4 、比較例1~4)に示した。
 
(ファットスプレッドの組成)
 油相:脂肪70%、乳化剤0.5%(グリセリンモノ脂 酸エステル0.1%、大豆レシチン0.4%)、香料(バ ターフレーバー)0.1%
 水相:水27.4%、食塩1%、脱脂粉乳1%
 
 (ファットスプレッドの評価)
 (1).口溶け評価
官能試験により、以下3段階で評価を行った
A:冷涼感のある口溶けがあり非常に良好
B:普通
C:口の中に固形脂の溶け残りがあり不良
 
 (2).保形性評価
冷蔵保管したファットスプレッドを30℃にて1 5時間放置した際の状態を以下3段階で
評価した。
A:液油の染み出しが少なく良好
B:若干液油の染み出しがあるが、形をとどめ いる
C:全体的に溶け出して形を留めない状態
 
 (3).組織状態評価
ファットスプレッドの表面状態を、目視にて 以下3段階で評価した。
A:つやがあり滑らか
B:普通
C:つやが無く滑らかでない
 

 〔硬質脂肪調製2〕
表2の油脂配合に従って、硬質脂肪(硬質脂肪N o.9~12)を調製した。また、調製した硬質脂肪 ラウリン酸含量、よう素価、各トリグリセ ド区分の含量及び構成比を同じく表2に示し 。

 〔ファットスプレッドの調製及び評価2〕
 表2のファットスプレッドを構成する油相の 配合に従って、各硬質脂肪(硬質脂肪No.9~12)と 液性油脂1~3とを混合し、ファットスプレッド の油相に配合する脂肪とした。
 〔ファットスプレッドの調製及び評価1〕と 同様の配合で油相と水相を調製し、常法に従 ってオンレーターにて急冷練り合わせを行い 、各硬質脂肪(硬質脂肪No.9~12)と液性油脂1~3と を混合して調製したそれぞれの脂肪について 油中水型のファットスプレッドを得た。得ら れたファットスプレッドは、〔ファットスプ レッドの調製及び評価1〕と同様の基準に従 て、口溶け、保形性、組織状態の評価を行 た。評価結果は同様に表2(実施例5~9、比較例 5)に示した。

 〔硬質脂肪調製3〕
 表3の油脂配合に従って、各硬質脂肪を調製 した(硬質脂肪No.5及び13)。また、調製した硬 脂肪のラウリン酸含量、よう素価、各トリ リセリド区分の含量及び構成比を同じく表3 に示した。

 〔ロールイン用マーガリンの調製及び評価
 表3のロールイン用マーガリンを構成する油 相の配合に従って、硬質脂肪No.5又はNo.13と液 性油脂1とを混合し、ロールイン用マーガリ の油相に配合する脂肪とした。
 以下の配合に従って、油相と水相を調製し 常法に従ってコンビネーターにて急冷練り わせを行い、レスティングチューブを通し シート状に成形し、硬質脂肪No.5又はNo.13と 性油脂1とを混合して調製したそれぞれの脂 肪について油中水型のロールイン用マーガリ ンを得た。得られたロールイン用マーガリン を用いて以下の配合及び手順に従ってクロワ ッサンを試作し、以下の基準に従って、伸展 性、生地浮き及び食感の評価を行った。評価 結果は同様に表3(実施例10、比較例6)に示した 。
 
(ロールイン用マーガリンの組成)
 油相:脂肪94%、乳化剤0.4%(グリセリンモノ脂 酸エステル0.3%、大豆レシチン0.1%)、香料(バ ターフレーバー)0.1%
 水相:水5%、食塩0.5%
 
 (クロワッサンの配合及び試作)
 以下に示す配合で生地を作成し、-5℃で保 した。この生地が0℃になったら生地1787g(粉1 kg分)に対して上記ロールイン用マーガリン500 gを用いて3つ折を2回行い、0℃で120分保存し 。その後更に3つ折を1回行った後0℃で90分保 存した。この生地をシーターで伸ばして、底 辺12cm高さ15cmの2等辺三角形にカットした後成 型した。これを32℃、湿度75%のホイロで発酵 、215℃のオーブンで17分焼成を行った。
 
 ・クロワッサンの生地配合(強力粉と中力粉 の合計を100%とした場合の相対比%)
 強力粉30%、中力粉70%、上白糖6%、全卵5%、脱 脂粉乳3%、食塩1.7%、練り込みマーガリン6%、 ースト4%、水53%
 
 (作業性及び試食評価)
(1).伸展性評価
シーターで伸ばした際のマーガリンの伸展性 について、以下3段階で評価した。
A:伸びがよく良好
B:普通
C:ひび割れが生じ不良
 
(2).生地浮き評価
作成したクロワッサンを輪切りにし、その外 観(内相とボリューム)を目視にて以下3段階で 評価した。
A:しっかり内相が分かれておりボリュームが って良好
B:普通
C:内相がつぶれておりボリュームがない
 
(3).食感評価
官能試験により、以下3段階で評価を行った
A:口残りが無く良好
B:普通
C:口残りがあり不良
 

 本発明の硬質脂肪を使用したマーガリン ショートニング類を調製することで、良好 口溶けを有し、かつ、保形性、組織状態(き め)に優れ可塑性が良好なマーガリン・ショ トニング類を得ることができる。また本発 の硬質脂肪をスプレッドやロールイン用途 使用することにより、冷涼感のある良好な 溶けを有する保形性、組織状態(きめ)が良好 なスプレッドや伸展性が良く生地浮きの良い ロールインマーガリンが製造でき、これを使 用した軽い食感で口溶けの良い、パイ・デニ ッシュ・クロワッサン類を提供できる。




 
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