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Patent Searching and Data


Title:
HEAT EXCHANGER, METHOD OF PRODUCING THE HEAT EXCHANGER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/017039
Kind Code:
A1
Abstract:
A heat exchanger includes a heat transfer tube functioning as a flow path for refrigerant and also includes metal fins. The metal fins transmit heat of the heat transfer tube to air and have pores that are open inward from the surfaces of the metal fins and absorb and release moisture in the air when relative pressure is in the range of 0.1 - 0.9. The pores have a diameter in the range of 1 - 20 nm and a depth in the range of 1 - 100 μm.

Inventors:
MAEGAWA TAKEYUKI (JP)
MORIMOTO HIROYUKI (JP)
SUGIMOTO TAKESHI (JP)
YAMASHITA TETSUYA (JP)
YAMASHITA KOJI (JP)
MATSUOKA FUMIO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/063353
Publication Date:
February 05, 2009
Filing Date:
July 25, 2008
Export Citation:
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Assignee:
MITSUBISHI ELECTRIC CORP (JP)
MAEGAWA TAKEYUKI (JP)
MORIMOTO HIROYUKI (JP)
SUGIMOTO TAKESHI (JP)
YAMASHITA TETSUYA (JP)
YAMASHITA KOJI (JP)
MATSUOKA FUMIO (JP)
International Classes:
F28F1/32; B01D53/26; F25B17/08
Foreign References:
JP2005127683A2005-05-19
JP2005009703A2005-01-13
JPS59179798A1984-10-12
JP2003263999A2003-09-19
JPH10286460A1998-10-27
JP2005127683A2005-05-19
Other References:
"Electrochemical Handbook", MARUZEN, pages: 449 - 453
Attorney, Agent or Firm:
KOBAYASHI, Hisao et al. (The 6th Central Bldg. 19-10, Toranomon 1-chome, Minato-k, Tokyo 01, JP)
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Claims:
 冷媒の流路となる伝熱管と、相対圧力が0.1~0.9の範囲で空気中の水分を吸脱着する、表面から内部に開放した細孔を有し、前記伝熱管の熱を空気に伝える金属フィンとを備えた熱交換器であって、前記細孔の直径が1~20nmであり、深さが1~100μmであることを特徴とする熱交換器。
 細孔の直径が1~10nmであることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
 前記金属フィンは耐候性・耐食性処理された表面を有することを特徴とする請求項2に記載の熱交換器。
 前記金属フィンおよび前記伝熱管の材料は同じであることを特徴とする請求項2に記載の熱交換器。
 金属フィン上において伝熱管から遠い位置にある細孔の直径は、前記伝熱管から近い位置にある細孔の直径よりも小さいことを特徴とする請求項2に記載の熱交換器。
 冷媒の流路となる伝熱管と、空気中の水分を吸脱着する細孔を有し、前記伝熱管の熱を空気に伝える金属フィンとを備える熱交換器の製造方法において、前記金属フィンとなるフィンプレートを陽極として、前記フィンプレートと陰極とを電解液内に浸漬させ、前記フィンプレートと前記陰極との間に、所定の電気量を流して、前記フィンプレートの両面を陽極酸化処理して細孔を形成する工程と、前記フィンプレートに形成した細孔が塞がるのを防ぐための熱処理を行う工程とを有することを特徴とする熱交換器の製造方法。
 細孔を形成する工程において、電解液は一定温度に保たれた酸性溶液であって、前記電解液に定電流が流れるように電圧印加、または、定電圧が印加されるように電流制御を行い、さらに、熱処理を行う工程において、一定の温度に所定時間保持することを特徴とする請求項6に記載の熱交換器の製造方法。
 細孔を形成する工程において、電解液は一定温度に保たれたアルカリ性水溶液であって、前記電解液に定電流が流れるように電圧印加、または、定電圧が印加されるように電流制御を行い、さらに、熱処理を行う工程において、一定の温度に所定時間保持することを特徴とする請求項6に記載の熱交換器の製造方法。
 熱処理を行う工程において、一定の温度に所定時間保持するとともに、前記熱処理工程が完了したフィンプレートをクロム酸塩系の溶液内に浸漬した後に乾燥するクロム酸化成処理を備えたことを特徴とする請求項6に記載の熱交換器の製造方法。
 熱処理を行う工程において、一定の温度に所定時間保持するとともに、前記熱処理工程が完了したフィンプレートに下地層を形成し、フッ素樹脂系塗料を上塗りするフッ素系樹脂形成処理を備えたことを特徴とする請求項6に記載の熱交換器の製造方法。
Description:
[規則26に基づく差替え 07.08.2008] 熱交換器およびその製造方法

 本発明は、空気中の水分を吸脱着する機 をもつ熱交換器およびその製造方法などに するものである。

 通常、空気調和システム、冷凍システム どの冷熱装置は、蒸発器、凝縮器として機 する金属製の熱交換器を持つ。熱交換器の 料はアルミニウムやステンレス、銅など熱 導率が高いものが使用される。熱交換器が 発器として機能する場合には、低温の冷媒 管を通過して空気の熱を吸収する熱交換が われるが、この際に空気中の水分(水蒸気) 表面で冷やされて凝縮し、やがて霜となっ 付着して熱交換器を覆うため、運転時間が 過するにつれて冷媒と空気との熱交換がう く行われなくなっていき、運転効率が悪く る。そこで、例えば管に高温の冷媒を通過 せ、定期的に蒸発器を加熱して霜を解かす 霜(デフロスト)運転が行われている。

 しかし、除霜運転は莫大なエネルギーを 費し、省エネ面で問題があるだけでなく、 交換器周囲の温度を上昇させてしまう問題 あった。

 そこで、熱交換器で冷やされる水分(水蒸 気)が霜に相変化することを抑制し、さらに 吸脱着によって熱交換器の伝熱効率を向上 せる吸着熱交換器が考案されている(例えば 許文献1参照)。これは、熱交換器の表面に 体吸着材、例えば、シリカゲルやゼオライ 、活性アルミナなどの吸着材粒子を固定し ものである。例えば、特許文献1では熱交換 の伝熱部材と粒子状シリカゲルとの間を、 ラファイトなどの高熱伝導性物質を含むバ ンダーで埋めて接着することで、吸着材粒 への熱伝達が良くなり、吸脱着特性が向上 るとしている。

 さらに吸着熱交換器の別の形態として、吸 材を添着することで熱交換器フィンに対し 凸となるように有効伝熱面積を増大させる ではなく、熱交換器フィンに対して凹とな ようにエッチングなどを行うことによって 有効な伝熱面積を増大させる方法がある(例 えば特許文献2参照)。特許文献2には、空気と の接触面となる熱交換器の伝熱面上に陽極( ノード)酸化処理などの方法で、数オングス ローム~数百オングストロームの細孔を形成 し、冷媒蒸気や水蒸気を吸脱着する熱交換器 が提案されている。これは熱交換器の伝熱面 にダイレクトに水蒸気が吸着可能な細孔を形 成するもので、特許文献1のような吸着材や インダーが不要のため、熱と物質移動の促 に有効な伝熱性能に富んだ伝熱面が得られ としている。

特開平10-286460号公報(図1)

特開2005-127683号公報(図1)

 特許文献1のような、セラミックス粉末で ある吸着材を熱交換器フィンに固定する方式 では、吸着材の厚みを厚くすれば、熱交換器 本体と吸着材との接触部分を増やすことは容 易である。ただ、本来、熱膨張係数の小さな セラミックスの吸着材を熱膨張係数の大きな 金属表面に常に固定された状態にしておくこ とは容易ではない。例えば固定された状態で 温度変動が生じるとそれぞれの部材が異なる 膨張率を持つため、両者で位置ズレが生じ、 吸着材の落下を引き起こす。さらに、バイン ダーを用いた場合でも、ミクロンオーダーの 粉末(吸着材)と金属とは点接触で接着してい にすぎないので、吸着材を熱交換器フィン 十分な強度で接着することは難しい。また ゼオライトやシリカゲルなどの粉末状の吸 材は、細孔内に強く水分を吸着するため、 常の熱交換器に流れる程度の冷媒の熱量(温 度)で加熱しても完全には脱着させることは 難である。従って、このような吸着材で十 な吸着量を得るためには、結果的に多量の 着材を熱交換器フィンプレートに固定する 要があり、前述した吸着材の落下や伝熱面 ますます不利となる。

 これに対して、特許文献2では熱交換器フ ィンの表面をエッチングして細孔となる凹部 を形成することで、金属と接する伝熱性能に 富んだ伝熱面を作製している。また、細孔直 径を制御することで、吸着容量の増大と吸脱 着速度の向上が得られ、さらには、伝熱面に 形成した細孔内にシリカゲルなど吸着材を担 持させることで、さらに吸着容量が増大する としている。この発明は細孔サイズが小さい 場合には有効な伝熱面の面積を増大させるこ とができ、あるいは逆に、細孔サイズが大き い場合にはシリカゲルなどの吸着材を伝熱面 上に多量に担持して伝熱面と吸着材との接触 熱抵抗を低減することができるため、結果的 に熱交換器の伝熱性能が向上するものである 。そのため、実際に熱交換器が使用される周 囲の湿度環境や温度環境に応じて、冷媒蒸気 や水蒸気の吸着量や吸着特性を制御すること はできず、熱交換器の伝熱面で十分な吸着量 が得られない問題があった。また、特許文献 2に開示されている細孔は、アルミニウム伝 面上に陽極酸化により形成するものである このような細孔は空気中の水分と容易に反 して時間とともに閉塞してしまう性質をも ため、所望の細孔サイズを安定して得るこ ができず、十分な吸着性能を得られないば りか、経時安定性にも問題があった。

 従って本発明は、上記のような課題を解 するためになされたものであり、熱交換器 金属フィン表面の細孔構造、具体的には細 径と細孔深さを高度に制御することによっ 、熱交換器が曝される特定の湿度や温度範 で優れた吸着性能が得られる熱交換器を提 することを目的とする。また、該熱交換器 得るための製造方法についても言及し、工 的規模で安価に、かつ、安定に製造するこ のできる方法を提供することを目的とする

 本発明に係る熱交換器は、冷媒と空気と 熱交換を行うための熱交換器において、使 される環境に応じて設計された細孔構造、 なわち、細孔径が1nm以上20nm以下の範囲であ り、かつ、細孔深さが1μm以上100μm以下であ ような細孔構造をもつことを特徴としてい 。さらに、このような細孔径と細孔深さで 定される細孔の容積で吸着可能な最大水分 が決まり、熱交換器の曝される対象空間の 境に対して適当な水分量が吸着可能となる 孔構造が選択される。このとき、細孔は金 フィン表面から内部に向かって開放してお 、このような同じ細孔径(直径)を有する細孔 をできる限り多くすることで、所定の相対圧 力で毛管凝縮現象が発現する細孔を多くし、 吸脱着量の急峻な増加を実現する。

 本発明によれば、熱交換器の金属フィン 表面に、熱交換器の曝される対象空間の環 下における水蒸気の相対圧力に応じた毛管 縮現象が発現するような細孔を形成し、熱 換器の金属フィン自体が水蒸気として多量 吸着することができるため、効率よく、容 に多くの水蒸気を吸着することができる。 た、脱着をする際にも、細孔壁と水分との 着がそれほど強くなく、また、例えば冷媒 よる加熱を行う場合も伝熱効率がよいため 脱着に必要なエネルギーを小さくすること できる。さらに、熱交換器にダイレクトに 孔を形成していることから、粉末状の吸着 を担持させたような場合に大きな問題とな 粉末吸着材の脱離(剥がれ落ち)がなくなり 性能低下を心配する必要がなく、衛生面な からも安全で熱交換器の管理を行いやすい また、粉末状の吸着材が熱交換器の狭ピッ な金属フィン間をさらに閉塞することもな 、金属フィンにおいて、熱交換される空気 流れを妨げることもないため、エネルギー 面からも効率よく熱交換を行うことができ 。

実施の形態1に係る熱交換器10の要部を す構成図である。 毛管凝縮現象による吸着等温線の模式 である。 細孔直径と毛管凝縮が生じる相対圧力 関係である。 陽極酸化により形成された細孔断面構 の模式図である。 両面に細孔が形成された金属フィン20 断面構造の模式図である。 熱処理を行わず形成された細孔の水蒸 吸着等温線である。 実施の形態1に係る陽極酸化処理のプロ セスフローである。 実施の形態1に係る陽極酸化処理装置の 構成図である。 実施の形態1に係る形成された細孔の水 蒸気吸着等温線である。 実施の形態1に係る形成された細孔直 の分布曲線である。 実施の形態2に係る形成された細孔の 蒸気吸着等温線である。 実施の形態2に係る形成された細孔直 の分布曲線である。 実施の形態3に係る形成された細孔の 蒸気吸着等温線である。 実施の形態3に係る形成された細孔直 の分布曲線である。 実施の形態4に係る形成された細孔の 蒸気吸着等温線である。 実施の形態4に係る形成された細孔直 の分布曲線である。 実施の形態8に係る熱交換器10Aの要部 示す構成図である。 実施の形態9に係る冷凍サイクル装置 概略構成図である。 蒸発温度とCOPとの関係を示した関係図 である。 実施の形態10に係る冷凍サイクル装置 概略構成図である。 冷凍サイクル装置の加湿ユニットを立 体的に示した概略構成図である。 室内ユニットの風路を切り替えた状態 を示す説明図である。 冷凍サイクルにおける冷媒の状態を示 すP-h線図である。 冷凍サイクル装置の動作を説明するた めの空気線図である。 実施の形態11に係る冷凍サイクル装置 概略構成図である。 蒸発器が内蔵された室内ユニットの構 成を示す概略構成図である。 室内ユニットの風路を切り替えた状態 を示す説明図である。 冷凍サイクルにおける冷媒の状態を示 すP-h線図である。 冷凍サイクル装置の動作を説明するた めの空気線図である。 実施の形態12に係る冷凍サイクル装置 概略構成図である。

符号の説明

 10,10A 熱交換器、20,20A 金属フィン、30  熱管、31 ヘアピン管、41 アノード酸化皮膜 、42 細孔、43 多孔質層、44 バリヤ層、45  地金属、61 直流電源、62 電解液、63 電解 、64 カーボン板、65 フィンプレート、70,70a ,70b,70c,70d 冷媒配管、80,80a,90,90a バイパス管 100 圧縮機、200 凝縮器、300,310,320,330,340,350, 360,370 開閉弁、380,390 三方弁、400,400a,400b 熱 交換器、410,410a,410b,410c,410d,410e,410f 除加湿用 交換器、500,510 逆流防止手段、600,610,620,630, 640,850 絞り装置、700 蒸発器、800,800a,800b 制 手段、810,820 温度・湿度検知手段、900,910  風機、1000,1000a,1000b 冷凍サイクル装置、3000 ,3000a 室内ユニット、3010a,3010b,3020a,3020b,3030a,3 030b,3040a,3040b,3110a,3110b,3120a,3120b,3130a,3130b,3140a,3 140b 風路切替手段、3050a,3050b,3150a,3150b 風路 整手段、4000 冷凍倉庫内、4010 室内、5000  気。

 図1は本発明に係る熱交換器10の要部を示 構成図である。まず、図1に基づいて各実施 の形態における本発明の熱交換器10の構成、 能などについて説明する。ここでは冷凍装 、空気調和装置などに広く利用されている ィンチューブ式の熱交換器10について説明 る。

 熱交換器10は、冷凍サイクル装置におい 、蒸発器、凝縮器として用いられる装置で る。特に熱交換器10が蒸発器として機能する 場合には、低温の冷媒(熱伝達媒体)と対象空 の空気との熱交換を行い、冷媒に空気の熱 吸収させて空気を冷やす。熱交換器10は、 として複数の熱交換器用金属フィン20(以下 金属フィン20という)と複数の伝熱管30および ヘヤピン管31とで構成されている。本実施の 態の金属フィン20は、例えば穴空けなどの 工がしやすく、熱伝導率のよいアルミニウ (熱伝導率は約230W/mK)を材料とする平面板(プ ート)とする。また、金属フィン20は、後述 るように表面(両面とも)に細孔を有してい 。

 所定の間隔で複数並べた金属フィン20に して、各金属フィン20に設けた貫通穴を貫通 するように、伝熱管30が設けられている。各 熱管30は冷凍サイクル装置における冷媒回 の一部となり、管内部を冷媒が流れる。伝 管30内部を流れる冷媒と外部を流れる空気と の熱を金属フィン20を介して伝えることで空 との接触面となる伝熱面積が拡がり、冷媒 空気との間の熱交換を効率よく行える。各 熱管30を接続する管がヘヤピン管31である。 一般的に、伝熱管30およびヘヤピン管31につ ては、熱伝導率が高く、強度も確保できる を材料とすることが多いが銅に限定される のではない。そして、ヘヤピン管31により各 伝熱管30を繋げていき、一連の管を構成する のとするが、伝熱管30の配管経路について 特に限定しない。例えば、金属フィン20を貫 通する複数の伝熱管30に冷媒を分岐させて流 し、合流させる流路を形成するような構成 してもよい。また、貫通穴の数についても に限定しない。

 本発明に係る熱交換器10は、空気と接す 伝熱面(ここでは特に金属フィン20)に使用環 に応じて設計された細孔構造、すなわち、 孔径と細孔深さをもつ細孔を設け、その細 に対象空間の環境下における適当な量の空 中の水分(水蒸気)を吸着し、また脱着させ 機能をもたせたものであり、細孔は金属フ ンから内部に開放している。ここでは、水 気の相対圧力が約0.1以上約0.9以下の範囲の ずれかの段階で、細孔において毛管凝縮が じまることにより、空気中に水蒸気として 在する水分の急峻な吸脱着が生じるように る。この範囲の中でも、熱交換器10が曝され る環境として最も適用の可能性が高い約0.3以 上約0.8以下の範囲において、毛管凝縮がはじ まるようにすることがより好ましいと考えら れる。

 また、複数の細孔における吸着について える。所定の相対圧力(環境下)において効 よく吸着量を増大させるためには、その相 圧力において毛管凝縮を生じる細孔ができ 限り多い方がよい。つまり、同じ直径を有 る細孔が多い方がよい。ただ、ナノオーダ の細孔を形成において、すべての細孔を同 直径にすることは困難であるので、使用さ る空気環境や熱交換器の運転条件を鑑み、 実的に制御できる範囲で細孔構造を制御す ばよい。

 以上のことから、本発明においては、細 の平均直径を約1nm以上約20nm以下(実際の適 について考えたときには、1nm以上10nm以下で る方がよい)の範囲内で形成するようにする 。さらに、除湿を行う対象空間の環境下にあ る熱交換器10の所定の範囲(例えば1枚の金属 ィン20、熱交換器10全体など)の約50%以上の細 孔について、その直径が、平均直径を中心と して約±2nmの範囲内に分布していることが望 しい。熱交換器10における空気との接触面( 熱面)に対して垂直になるように細孔を形成 する。これにより、限られた熱交換器10の金 フィン20を構成するフィンプレートの表面 に対して、最大の細孔容積を得られるよう する。また、例えば吸着材等のような不規 に細孔が形成されている場合に比べて、冷 の熱の伝わり方にバラツキなどがなく、エ ルギー的にも効率よく吸脱着を行うことが きる。

 ここで、毛管凝縮現象について説明する 凝縮現象とは、温度が下がった場合などに 体の一部が液体に相変化する現象である。 えば、細孔内部のような3次元的に制限され た空間(毛管)では、界面で発生する表面張力 ために、細孔内部の気体分子が分子同士で き合うよりも、細孔壁に引かれるほうが安 な場合があり、この場合に細孔壁に引かれ 気体分子は容易に液化(凝縮)することが知 れている。気体分子が次々と液化していく とで、細孔内部は液体で満たされることに り、その数が多ければ、細孔内部を埋め尽 す大きな吸着量が期待できる。さらには、 常の気体分子の吸着現象では、細孔壁との 互作用で気体分子は強く吸着されているた 、脱着する際には大きな脱着エネルギーが 要となる。これに対して、毛管凝縮で細孔 部に満たされた分子は比較的弱い脱着エネ ギーで脱離が可能なことから、脱着に必要 入力エネルギーを小さくすることができ、 に繰り返し吸脱着を行うような場合にはエ ルギー的に非常に有利となる特徴をもつ。

 図2は毛管凝縮現象で得られる特徴ある吸 着特性(脱着特性)を、吸着等温線(脱着に係る ものも含む。以下同じ)として模式的に示し 図である。吸着等温線とは、一定の温度(等 )条件下での各圧力(濃度)における平衡吸着 の吸着量を示したものである。図2では、縦 軸が吸着物質(ここでは水分子である)の単位 量あたりの平衡吸着量[g/g](吸着とするが脱 も含むものとする。以下、単に吸着量とい )を表し、横軸がその温度における飽和蒸気 圧力を1とした場合の相対分圧(相対圧力)を表 す。一般に、毛管凝縮を伴う吸着現象は、吸 着時と脱着時で吸着量にヒステリシスをもつ ので、吸着時と脱着時でそれぞれ異なる特性 をもつ吸着等温線となる。図2では、例とし 、吸着物質の相対圧力が0.3付近で細孔によ 吸着量が急峻に増大して、やがて、プラト (横ばい)となる吸着等温線を模式的に示して いる。これは、吸着量の急峻な増大が見られ る相対圧力領域(0.3付近)で毛管凝縮がはじま 、細孔内部は吸着に係る液体で満たされ、 きな吸着量が得られることで説明できる。

 さて、図2のような急峻な吸着特性をもつ 細孔の場合には、吸着物質の相対圧力が約0.3 以上において吸着量が著しく増加することに なる。そこで、なんらかの方法で周囲(その 境における)の相対圧力を約0.3以上にすれば 吸着物質を多量に、かつ、速やかに細孔に 着させることが可能となる。相対圧力を大 くする効果的な方法は、吸着する細孔の周 環境の温度を下げることである。例えば熱 換器10の場合には、吸着時において、伝熱 30を通過する冷媒に周囲環境の熱を吸収させ て伝熱面を冷却することができれば、細孔付 近の相対圧力が大きくなり、吸着量を増大さ せることができる。

 また逆に、相対圧力が0.3以下では吸着量 著しく減少することになる。そこで、この 合には、なんらかの方法で周囲の相対圧力 0.3以下にすれば、吸着物質を細孔から逆に 着させることが可能となる。同じく、相対 力を小さくする効果的な方法は、細孔の周 環境の温度を上げることである。例えば、 交換器10の場合には、脱着時において、冷 などで熱を放出することで伝熱面の細孔を 熱することができれば、脱着量を増大させ ことができる。

 さて、吸着等温線がどのあたりの相対圧力 域で急峻に立ち上がるか、すなわち、どの たりの相対圧力領域で毛管凝縮が生じるか 、細孔のサイズ(直径)に依存している。例 ば図2の吸着特性をもつ細孔より小さくなっ 場合には、0.3よりも低相対圧力側で毛管凝 が生じ、吸着量の増大が始まる(図2の一点 線)。大きくなった場合には、逆に0.3よりも 相対圧力側で毛管凝縮が生じ、吸着量の増 が始まることになる(図2の点線)。一般に、 の相対圧力領域で毛管凝縮が生じるかが吸 特性を大きく左右するが、両者の関係は次 (1)のケルビン式で示すことができる。毛管 縮が発生する際の相対圧力(平衡圧)をP/P で示した場合の両者の関係を(1)式に示す。

 ここで、v は凝縮分子体積、γは表面張力、θは毛細管 接触する際の角度、Rは気体定数(8.31[J/mol・K] )、Tは絶対温度、rは細孔の半径を示している 。この関係は水蒸気の場合にも成立し、ある 相対圧力P/P に対して、水蒸気が毛管凝縮を生じるために 必要な細孔の半径rを理論的に求めることが きる。

 図3は25℃における水蒸気の相対圧力と毛 凝縮が生じる細孔直径(細孔サイズ)の関係 示す図である。横軸は細孔直径[nm(ナノメー ル)]、縦軸は25℃において毛管凝縮が発生す る水蒸気の相対圧力、すなわち、25℃におい 毛管凝縮が発生する相対湿度を表す。図2よ り、例えば25℃において、水蒸気の相対圧力0 .5(相対湿度50%RH)の環境で毛管凝縮が生じるよ うな細孔直径は約3nm(半径は約1.5nm)、水蒸気 相対圧力0.8(相対湿度80%RH)の環境で毛管凝縮 生じるような細孔直径は約9nm(半径は約4.5nm) であることがわかる。

 逆に言えば、対象とする環境下において 細孔内部で発生する毛管凝縮を利用して大 な吸着量を得るためには、その環境におけ 相対圧力で毛管凝縮が起こるようなサイズ 細孔を多く形成するように制御すればよい 具体的には、例えば、細孔の平均直径を1nm~ 20nmの範囲内に形成するように制御する。ま 、50%以上の細孔の直径について、平均直径 中心として±2nmの範囲内に分布していれば望 ましい。

 次に求められる具体的な細孔のサイズと の分布について述べる。必要以上に小さな 孔サイズにすると、毛管凝縮は生じるもの 、毛管となる細孔の内容積が小さくなって ータルの吸着量が減少する。また、それだ でなく、細孔サイズが小さくなることで、 孔壁との相互作用が大きくなって強い吸着 なり、その結果、脱着するために大きなエ ルギーが必要となる。以上のことから、対 とする環境における水蒸気の相対圧力に最 適した細孔サイズが存在するといえる。例 ば、1nm以下の細孔直径では水蒸気の相対圧 が0.1以上の環境でも毛管凝縮が生じる場合 あるものの、細孔の容積が小さく十分な吸 量が得られないだけでなく、細孔壁との相 作用も強くなって、ゼオライト並に大きな 着エネルギーが必要となってしまう。

 一方、20nm以上の細孔直径では、水蒸気の 相対圧力が0.9以上にならないと毛管凝縮が生 じず、現実的な使用環境とはいえない。また 、図2でもわかるように、水蒸気の相対圧力 0.9以上の相対圧力領域では、細孔サイズの 存性が少なくなるので、細孔直径を厳密に かつ、均一(複数の細孔の直径をできる限り じ程度にする)に制御すること自体、意味を もたなくなる。

 これらのことから、本発明における熱交 器10の金属フィン20に設ける細孔直径は、水 蒸気の相対圧力が0.3以上0.8以下(相対湿度が30 %RH~80%RH)の範囲でそれぞれ毛管凝縮が生じる1n m以上10nm以下の範囲であることを特徴として る。

 さらに、前出のように、細孔サイズによ 毛管凝縮が生じる水蒸気の相対圧力が異な 。そのため、例えば、同じ伝熱面上にさま まなサイズを有する細孔が混在すると、特 の環境下における湿度条件や温度条件で優 た吸着性能を得るサイズを有する細孔が減 するために十分な吸着能力を示すことがで ない。そこで、熱交換器10に設けた細孔の50 %以上が、平均直径を中心として±2nmの範囲内 のサイズを有するようにすることが望ましい 。

 次に細孔の深さについて説明する。毛管凝 により細孔内に吸着できる水蒸気の量は細 の深さにも依存する。そのため、本発明の 交換器10に設ける細孔の深さは1μm~1000μm(1mm) の範囲であることを特徴としている。例えば 、1μm以下の細孔の深さでは、毛管凝縮して 着した液体(水)を保持できる容積の絶対量が 不足する。また、吸脱着の回数も増えるため 効率的ではない。一方、1000μm以上の細孔の さでは、ナノオーダーである細孔の直径に して、約10 倍以上もの深さ/径の比をもつことになる。 のため、吸着時に水分子を細孔底部まで到 させ、脱着時に開口部から水分子を排出さ るために長時間を要し、現実的ではない。 た、細孔形成処理時間など、現実面をさら 考慮すると、5μm~200μm(より具体的には100μm 後)の間で形成することが好ましいものと考 られる。

 また、熱交換器10の構成部材がすべてア ミニウムであることを特徴とする。伝熱管 金属フィン20を含めた構成部材のすべてを熱 伝導性の良好なアルミニウムにすることで、 熱交換器10から細孔への伝熱がスムーズに行 れるだけでなく、後述の陽極酸化処理を行 ことで同じ程度の直径と深さの細孔を多く 成することができ、容易に均一な細孔構造 もつ細孔が得られる。

 また、熱交換器10を組み立てる前の金属 ィン20に対して、酸処理により表面酸化物を 除去する工程、金属フィン20を陽極とする陽 酸化処理工程、陽極酸化処理した金属フィ 20に対して封孔を防ぐための熱処理工程を し、細孔が金属フィン20の両面に形成された 後に金属フィン20の貫通穴に伝熱管30を通し 拡管し、熱交換器10を組み立てる方法でもよ い。

 ここで、ナノオーダーの均一な細孔を安 に、かつ、制御よく形成することができる 極酸化処理について説明する。

 陽極酸化処理による方法は処理対象とな 金属を陽極とし、不溶性電極を陰極として 解質溶液(以下、電解液という)中で直流電 操作を行うものである。通電することによ 、陽極である金属の表面が酸化し、金属の 部がイオン化して電解液中に溶解する。そ 金属イオンが電解液中の水と反応して、金 酸化物を生成する。陽極酸化処理により得 れる金属表面の形態は、金属酸化物がどの うな電子伝導性を有するかによって変わる 特に、アルミニウム、ニオブ、タンタルな 、いわゆるバルブ金属と呼ばれる金属では 形成される酸化皮膜が電子伝導性に乏しい め、陽極酸化が進行するにつれて金属酸化 (アノード酸化皮膜。アルミニウムの場合に アルミナ)が素地金属上に成長する。このと き、適当な電解質溶液(以下、電解液という) 電流および/または電圧の条件などを選択す ることによって、規則正しく成長した細孔構 造を形成することができる。

 図4は陽極酸化処理により形成された細孔 断面構造の模式図である。陽極酸化処理によ り、表面にはアノード酸化皮膜41が形成され 。アノード酸化皮膜41は、素地金属45に対し て垂直に成長し、細孔42が形成された多孔質 部分43と金属に接するバリヤ層部分44からな り、六角セルの細孔構造を有している。

 図5は両面に細孔が形成された金属フィン20 断面構造の模式図である。ここで、金属20 なるフィンプレートに細孔を陽極酸化処理 より形成するにあたり、細孔の直径や単位 積当たりの細孔数および細孔径は、経験的 電極間の電圧および/または電流に比例する とが知られている。例として、電気化学便  第5版(電気化学会編、丸善)p.449~453には、 式(2)で示すように、細孔の直径2r[nm]と電極 の電圧Ea[V]との関係が示されている。 
     電圧Ea<15Vの場合、2r=13.9+0.21×Ea
     電圧Ea>15Vの場合、2r= 4.2+0.84×Ea    …(2)

 この(2)式は経験式であり、必ずしもすべ の陽極酸化処理に当てはまるものではない また、陽極酸化される金属の表面状態や、 極酸化処理で使用する電解液の種類や濃度 液温などに影響を受けるため、細孔直径の 定条件を一般化することは難しい。ただ、 極酸化処理における電極間の電流や電圧を 御することで、所望する細孔直径を形成す ための制御が可能であることを示している

 一方、細孔の深さもまた、陽極酸化処理 おける条件を適切に設定すれば制御するこ ができる。前出のアルミニウムのように、 ノード酸化皮膜が電子伝導性に乏しい場合 陽極酸化の駆動力となる電場は電子伝導性 高い方のバリア層に印加され、バリヤ層部 の厚さは一定で形成されていく。そして、 孔質層部分とバリア層部分の境界、すなわ 、多孔質層の底部でのみ酸化が進行してア ード酸化皮膜が成長する。その結果、細孔 厚みは陽極酸化処理の時間または印加した 流量(皮膜に与えたクーロン量)とともに厚 なる。このように陽極酸化の時間または印 した電流を増やすことで、例えば、薄くし フィンプレートの両側から陽極酸化処理を って金属フィン20に貫通細孔を形成すること もできる。

 本発明は上記の陽極酸化処理により、吸 対象となる水蒸気の相対圧力に最も適した 孔径と細孔の深さを得るため、陽極酸化処 の電流または電圧を変えることで細孔の直 を、陽極酸化処理の時間または電極間に流 る電流量を変える(これによってクーロン量 (電流×時間)が変わる)ことで細孔の深さを制 することができる。

 通常、陽極酸化処理に用いる電解液には 硫酸、シュウ酸、リン酸、クロム酸などの 性溶液や、ホウ酸アンモニウムのような中 溶液、水酸化ナトリウムやリン酸ナトリウ などのアルカリ性溶液などが使用される。 こで、比較的細孔径が均一なナノオーダー イズの細孔を形成するためには、陽極酸化 理の電解液に酸性水溶液を用いることが望 しく、特に、強酸である硫酸や塩酸が望ま い。一方、中性~アルカリ性の電解液を用い ると、形成される細孔径は酸性水溶液を用い た場合に比べて広い分布となる傾向があるが 、結果的に本発明の熱交換器が使用される環 境にマッチした細孔構造が得られればよく、 陽極酸化処理の電解液の種類は用途に応じて 適宜選択される。 

 また、陽極酸化処理で形成したナノオーダ の細孔が、空気中の水蒸気や周囲の温度な で変質して封孔してしまわない(塞がってし まわない)ように、陽極酸化処理により細孔 形成した後、ただちに水の蒸発温度である10 0℃以上(より好ましくは約150℃以上)で熱処理 して、水分を除去する。陽極酸化によって得 られた細孔は結晶学的には不安定な状態であ るため、上記のように陽極酸化後の細孔に適 当な温度で熱処理を施すことにより、細孔の 結晶性が向上して細孔構造が安定化する。ま た、熱処理を行うことで陽極酸化皮膜が高次 の酸化物、例えば酸化アルミニウム(Al 2 O 3 )のような安定な結晶構造に変化し、結晶構 が向上する。

 一方、陽極酸化処理後に熱処理を行うこ なく、そのまま室温の環境下で細孔を形成 たフィン20を乾燥させ、それ以外は実施の 態1と同じ条件/方法で細孔形成を行ったとこ ろ、図6に示すような金属フィン20における吸 着等温線が得られた。前処理条件および評価 装置ならびに測定方法は実施の形態1におい 行った吸着特性評価の場合と同様であるた 説明を省略する。図6より、吸着時と脱着時 においてヒステリシスがあるが、吸着、脱 共に、吸着量については、急峻に立ち上が (立ち下がる)ことはなく、なだらかな等温 となった。

 その結果、水分の吸着量は4cc/g(みかけ細 単位重量あたり4gの吸着量)以下で、ほとん 観測されなかった。また、BJH法による細孔 布についても、吸着測定において吸着量が なすぎるため分布を算出できなかった。以 のように、ほとんど水分の吸着がみられな ことから、陽極酸化処理後に熱処理を行わ かったために、空気中の水分と徐々に反応 て生成された水酸化物が細孔を閉じてしま たものと考えられる。以上より、細孔を形 した熱交換器においては、形成した細孔が がれて封孔してしまう前に、例えば熱処理 よる封孔防止処理を行うことが望ましい。

 次に、熱交換器10が曝される、ある特定 環境における水蒸気の相対圧力に応じて毛 凝縮が生じ、かつ、十分な水分の吸着を行 ことができるような細孔の必要条件につい 説明する。

 熱交換器10が使用される、すなわち、冷 サイクルによって温湿度を制御する冷熱機 が使用される場所はさまざまである。例え 、一般的に人が活動する居住空間では、25℃ における水蒸気の相対圧力が0.3~0.6であるこ が知られている。近年、ビル管理法が制定 れ、温度:17~28℃、相対湿度:40~70%RH(水蒸気の 対圧力:0.4~0.7)が基準として設定されるよう なったため、さらに温度湿度管理の重要性 高まっている。また、食品加工を取り扱う 場などでは、HACCP(Hazard Analysis and Critical C ontrol Point)管理の観点から、防カビや菌対策 食品に応じた低温・低湿度(例えば、5℃、30 %RH以下など)の管理値が設定されている。さ に、美術館や博物館などは急激な温度変化 よる展示物の膨張/収縮や、60%RH以上の湿度 境になると急激に増加するカビの活動を抑 するために、展示室内の気温は20~22℃、相対 湿度は50%~55%の一定値になるように設定され いることが多い。

 このように、熱交換器10は、その環境に けるさまざまな温度・湿度条件で使用され いるため、熱交換器10の伝熱面に細孔を設け 、その細孔に水蒸気を吸脱着させるには、そ れぞれの使用環境に対応させた細孔径と細孔 深さをもつ細孔構造が必要となる。

 例えば、居住空間に位置する空調機器の 交換器10が、前記の相対圧力範囲である0.5( 対湿度50%RH)の環境に曝された場合を考える 熱交換器10が有する細孔に毛管凝縮が生じ ためには、(1)式より、細孔半径が約1.5nm、す なわち、細孔直径が約3.0nmの細孔サイズが必 となる。また、食品加工場など30%RH以下の 湿度環境が求められる空間では、同じく(1) より、細孔半径が約1.0nm、すなわち、細孔直 径が約2.0nmの細孔サイズが必要となる。

 また、熱交換器10が使用される湿度領域に って吸着できる総吸着量は大きく異なる。 えば、前出のような、人が活動する居住空 の場合には、100~200g(水蒸気)/h程度の速度で 蒸気が吸着できれば除湿効果が得られると 積もれる。つまり、毛管凝縮による除湿を 現するためには、空気中からワンパスで100~2 00g(水蒸気)程度の水蒸気を吸着できればよい ここで、全体の水分(水蒸気)の総吸着量は 孔の深さでも決まり、例えば、1馬力サイズ 冷熱機器を考えた場合、冷熱機器で使用さ る熱交換器10の金属フィン20の表面積は4m 程度である。例えば、3.0nm程度のサイズを有 る細孔について、これだけの量の水分(水蒸 気)をワンパスで吸着するには25~50μm程度の細 孔の深さが必要になる。このように使用され る環境に応じた細孔構造を選択すればよい。 以下、各実施の形態について説明する。

実施の形態1.
 実施の形態1においては、フィンプレートに 、前項記載の細孔の必要条件(細孔直径3.0nm、 細孔の深さ50μm)を満たす細孔構造を形成し、 熱交換器10の金属フィン20を形成する方法と 細孔を形成した金属フィン20の貫通穴に伝熱 管30を通して拡管して得られる熱交換器10の 成と製造方法について説明する。

 図7はフィンプレートにおける細孔形成に 係る処理工程のプロセスフローチャート例を 表す図である。ここでは、図7の処理工程を 心に行った工程について説明する。まず、 材料である純アルミニウム圧延板(例えばJIS1 060 グレード、厚み200μm)を金属フィン20とな サイズに切断し、伝熱管30を通すための貫 穴と所定の切り起こし加工を行い、金属フ ン20となる平板状のフィンプレートを作製す る。熱交換器10の大きさや能力にもよるが、 常、1台分の熱交換器10にはこのフィンプレ トが数百枚必要となる。

 次に、フィンプレートアルミニウムの表面 存在する有機物汚染を除去する目的で、フ ンプレートを50℃に加熱した市販の脱脂溶 中に例えば2分間ディップ(浸漬)し、脱脂処 を行う(S1)。その後、イオン交換水による水 処理を行う(S2)。続いて、フィンプレート表 面に形成された自然酸化膜を除去する目的で 、約60℃に加熱したアルカリ性エッチング溶 (例えば、濃度が1M(mol/l)のNaOH(水酸化ナトリ ム)水溶液など)中に1分間ディッピングして ルカリエッチング(ウェットエッチング)処 を行う(S3)。その後、イオン交換水による水 処理を行う(S4)。次に、ウェットエッチング により表面に生成した反応物(不純物、スマ ト)を除去する(デスマット)目的で、室温管 したデスマット溶液(0.5M-H 2 SO 4 (硫酸)溶液)に30秒浸漬し、デスマット処理を う(S5)。その後、同様にイオン交換水による 水洗処理を行う(S6)。

 図8は陽極酸化処理に係る装置を中心として 示した原理図である。図8において、1M-H 2 SO 4 水溶液の電解液62が電解槽(ウォーターバス)63 内を満たしている。電解槽63により浴温を10 にコントロールした後、直流電源61に接続さ れ、電圧が印加された1枚分のフィンプレー 65を陽極とし、平面状の2枚のカーボン板64を 陰極にして電解液62中に浸漬した。そして、 極間に1.5A/dm の定電流が流れるように定電流制御しながら 陽極酸化処理を行う(S7)。ここでは、反応初 の表面状態を維持するために、ホットスタ ト(あらかじめ両極間に電圧を印加しておき 電解液に浸漬すると同時に電流が流れる)に より陽極酸化を開始するものとする。そして 、陽極酸化処理時間は30分とする。フィンプ ート65を中央にして、各カーボン板64がフィ ンプレート65のそれぞれの平面部分と対向す かたちで処理を行っているため、フィンプ ート65の両面に同時に陽極酸化が進行する とになる。なお、実施の形態1では一定の電 を流す定電流制御による陽極酸化処理につ て述べたが、前述のように、陽極酸化処理 おいては陽極に反応に必要なエネルギーを えればよい、つまり所定の電気量を与えれ よいのであるから、陽極に印加する電圧を 定に制御する定電圧制御でも同様の陽極酸 処理効果が得られることは自明である。ま 、ウォーターバスを使用して浴温を10℃一 にコントロールしているが、溶解や酸化な の化学反応の活性や速度は温度によって大 く影響を受けるので、必要とする細孔のサ ズや深さに応じた温度制御をすればよい。 えば、反応を抑制して小さく浅い細孔を得 ためには浴温を下げ、逆に反応を促進して きく深い細孔を得るためには浴温を上げれ よい。

 ここで、前出したように、形成される細 の直径は、できる限り同じ程度のものが多 (均一である)方が望ましい。そのためには フィンプレート65全体の電流密度を均一にす るようにするなどの対策を行うようにする。 このため、例えば、陰極であるカーボン板64 大きさをフィンプレート65と同じかそれ以 にする、電解液62の振動を抑えるなどにより 、反応が均一に起こるようにする。また、フ ィンプレート65の両面を同条件で陽極酸化す ため、フィンプレート65と2つのカーボン板6 4との間におけるそれぞれの間隔を同じにす 。場合によっては補助電極を用い、形状に わせて全体が同条件で陽極酸化されるよう する。

 陽極酸化が進むにつれて、フィンプレー 65の表面に酸化物(アノード酸化皮膜)が成長 し、界面抵抗が大きくなっていく。上述した 実施の形態1の陽極酸化処理においては定電 制御を行っているため、両電極間の電圧は 第に上昇していく。

 陽極酸化処理を終了すると、すぐにフィ プレートを電解液62内から引き上げてイオ 交換水による水洗処理を行う(S8)。水洗でフ ンプレート表面に付着した水滴をブロワで き飛ばした後、陽極酸化により形成された 孔の構造を強化するために、ただちに、あ かじめ加熱しておいたオーブン(大気中)に れる。ここでは、オーブン内の温度を約150 とする。そして、60分間の熱処理を行い、オ ーブンから取り出して徐冷する(S9)。このよ な方法で伝熱面となる部分に細孔を形成し フィンプレートを金属フィン20として例えば 120枚準備する。

 図9は実施の形態1において作成した金属 ィン20における吸着等温線を表す図である。 ここでは、以上のプロセスを経て作製した金 属フィン20に形成された細孔の水分の吸着特 および細孔サイズ分布を平衡吸着測定によ 評価するものとする。

 最初に、例えば、金属フィン20と同じフィ プレートの一部を適当な大きさに切断して ンプル管に詰め、150℃×1hの真空中で前処理 行った後、自動ガス/蒸気吸着量測定装置を 使って、25℃における水分の吸着等温線測定 行った。図9より、吸着時と脱着時とにおい てヒステリシスがあるものの、吸着/脱着の 均では、相対圧力P/P が0.5付近において、急峻な立ち上がり(立ち がり)がみられ、この付近を境として、毛管 縮による吸脱着が行われていることがわか 。なお、形成された細孔の深さは当初の狙 である約50μmであった。また、このときの 分の吸着量も細孔単位重量あたり200g程度の 分吸着量が得られており、十分な吸着特性 示していることがわかる。

 図10は細孔サイズの分布を表す図である 図10は相対圧力が0.5付近で毛管凝縮を示すサ ンプルの細孔サイズをBJH(Barrett-Joyner-Halenda)法 により求めたものである。図10から、細孔サ ズの分布は3.5nm付近で極大を迎えており、 峻な細孔分布ピークが得られていることか 、50%以上の細孔が細孔直径3.5nm±2nmの範囲に まれていることが確認できる。

 続いて、このような吸着特性をもつ120枚 金属フィン20を、例えば2段3列に並べ、同じ 方向にスタックした(積み重ねた)金属フィン2 0の貫通穴に、冷媒が流れる複数の銅製の伝 管30を差し込む。さらに伝熱管30を内部より 管して金属フィン20と伝熱管30の両者が一体 化となるようにする。このとき、並べられた 各金属フィン20は等間隔となっているものと る。さらに、複数の伝熱管30をシリーズに( 連になるように)繋げるために、銅管をヘヤ ピン状に曲げて形成した(ベンドした)ヘヤピ 管31を準備し、伝熱管30内部を窒素ガスで満 たした後、接続する2つの伝熱管30の終端とヘ ヤピン管31とをロウ付けする。以上のように て図1に示すような熱交換器10が得られる。

 以上のように、熱交換器10の伝熱面とな 金属フィン20を構成するフィンプレートの表 面に複数の細孔を形成し、金属フィン20自体 水分を吸着する手段として機能するように たので、例えばシリカゲルなどの粉末状の 着材などのような特別な手段などを必要と ず、金属フィン20の間を通過する空気から 分を吸着することができる。これにより、 属フィン20を初めとする熱交換器10への着霜 防止することができ、除湿運転を低減する とができる。また、吸着材の剥がれ落ちな を防ぐことができ、衛生面などからも安全 管理を行いやすい。そして、金属フィン20 吸着材との間の熱抵抗がなく、伝熱効果を なうことがない。吸着材などにより熱交換 10の金属フィン20間の間隔を狭めることも無 、金属フィン20間の空気の流れをよくし、 らに細孔による凹凸により、伝熱面におけ 表面積が拡がるため、熱交換をさらに効率 に行うことができる。また、吸着材による 気の圧損などもないためエネルギーなどの 点からみても効率よく熱交換を行うことが きる。また、吸着材を設ける必要がない分 熱交換器10全体をコンパクトにすることもで きる。

 そして、水蒸気の相対圧力が約0.1~約0.9( に約0.3~約0.8)の所定の範囲において、水分を 吸脱着できるように、細孔の平均直径を約1nm ~約20nm(特に約1nm~約10nm)において形成し、さら に約50%以上の細孔について、その直径が、平 均直径を中心として約±2nmの範囲内に分布す ような直径にするようにし、また、所望す 吸着量に合わせた深さ、具体的に1μm~200μm 細孔深さの範囲で細孔構造を形成するよう したので、環境下の相対圧力付近において 着能力が最も高い熱交換器10(金属フィン20) 得ることができる。

 特に実施の形態1では、居住空間に位置する 空調機器における熱交換器10が曝される水蒸 の相対圧力の環境下に応じて、毛管凝縮が 現するようにするため1M-H 2 SO 4 水溶液の陽極酸化電解液に浸漬して陽極酸化 処理を行い、例えば各金属フィン20(熱交換器 10)において、約50%の細孔の直径が約3.5nm±2nm 範囲に収まるような細孔を形成し、かつ、 着量に合わせた深い細孔を形成し、熱効率 く冷媒でダイレクトに細孔を冷却できるこ で、図9の吸着特性で示すように、相対圧力0 .5付近において、吸着特性が向上する熱交換 10を得ることができる。また、同じく図9に すような脱着特性をもつことから、脱着時 高い温度の冷媒を伝熱管30内に通過させて 金属フィン20に直接形成された細孔をダイレ クトに加熱できるため、効率よく相対圧力を 高めることができ、細孔に吸着した水蒸気を 効率よく脱着することができ、優れた伝熱効 率と省エネルギー性をもつ熱交換器10を得る とができる。

実施の形態2.
 前出のように、食品加工を取り扱う工場な では衛生上の観点から、防カビや菌対策の めに、通常の環境よりも低温・低湿度(例え ば、5℃-20%RHなど)の管理値が、通常、設定さ ている。そこで、実施の形態2においては、 このような低温・低湿度環境で最も好適な熱 交換器10を製作する。

 前出のように、水蒸気の相対圧力が約0.3( 相対湿度30%RH)の環境に、細孔を有する熱交換 器10が曝された場合、細孔半径が約1.0nm、す わち、約2.0nmの細孔直径を有する細孔におい て、最も優れた吸着特性が得られることが予 想される。また、低温・低湿度環境において は、空気中の水分の絶対量はそれほど多くな いため、50~100g(水蒸気)/h程度の速度で水分を 着できればよいと考えられる。以上のこと ら、このような環境において細孔の深さは5 0~75μm程度が必要であると予測される。

 上記の予測などに基づいて、本実施の形 においても、実施の形態1と同様に図7に示 たプロセスでフィンプレートへの細孔形成 行った。ただ、本実施の形態においては、 述するように、陽極酸化処理を行う際の条 が異なっている。まず、実施の形態1と同様 条件・溶液で、脱脂→アルカリエッチング デスマット処理(図7のS1~S6)を行う。

 次に前出した図8に示す電解槽63などを用い 、陽極酸化処理を行った(図7のS7)。本実施 形態では、浴温を20℃に制御した0.5M-H 2 SO 4 水溶液を電解液として使用する。そして、1 分のフィンプレートを陽極とし、2枚のカー ン板を陰極にして電解液中に浸漬し、両極 に例えば2.0A/dm の定電流が流れるように定電流制御して処理 を行う。ここでの陽極酸化処理時間は45分と る。なお、本実施の形態では、硫酸を用い 定電流制御による細孔形成の例を挙げてい が、所定の細孔が得られれば、酸性の電解 は硫酸に限定されるものではなく、また、 御方法も定電流ではなく、定電圧の制御で よい。

 陽極酸化処理を終了すると、電解液から引 上げてイオン交換水で水洗・ブロワーによ 水切りを行う。そして、実施の形態1と同様 に、ただちに150℃に加熱しておいたオーブン (大気中)に入れ、このまま、60分間の熱処理 行って、オーブンから取り出して徐冷した( 7のS8~S9)。このような方法で伝熱面に細孔を 形成した金属フィン20を例えば200枚準備する

 図11は実施の形態2において作成した金属フ ン20における吸着等温線を表す図である。 処理条件および評価装置並びに測定方法は 実施の形態1において行った吸着特性評価と 様の装置および方法であるため説明を省略 る。図11においては、吸着時と脱着時とに いてヒステリシスがあるものの、吸着/脱着 平均では、相対圧力P/P が0.3付近において、急峻な立ち上がり(立ち がり)がみられる。また、このときの水分の 着量も細孔径と細孔深さに依存する細孔単 重量あたり70g程度の量が得られており、十 な吸着特性を示していることがわかる。形 された細孔の深さは約70μmであった。 

 図12は細孔サイズの分布を表す図である 図12は相対圧力が0.3付近で毛管凝縮を示すサ ンプルの細孔サイズをBJH法により求めたもの である。図12から、細孔サイズの分布は1.8nm 近で極大を迎えており、急峻な細孔分布ピ クが得られていることから、50%以上の細孔 細孔直径1.8nm±2nmの範囲に含まれていること 確認できた。

 次に、前記吸着特性をもつ300枚の金属フ ン20を3段4列に並べ、実施の形態1と同じ方 で、伝熱面に細孔をもつ熱交換器10を製造し た。

 以上のように、実施の形態2の熱交換器10で 実施の形態1と同様の効果を得られる。特に 実施の形態2の場合には、食品加工を取り扱 工場などの低温・低湿度環境で最も好適な 交換器10を得ることができるように、0.5M-H 2 SO 4 水溶液の陽極酸化電解液に浸漬して陽極酸化 処理を行い、例えば各金属フィン20(熱交換器 10)において、約50%の細孔の直径が約1.8nm±2nm 範囲に収まるような細孔を形成し、吸着量 合わせた細孔を形成し、熱効率よく冷媒で イレクトに細孔を冷却できる。

 実施の形態3.
 実施の形態3における熱交換器10は、構成上 、上述した各実施の形態と同様である。た 、伝熱管30(ヘアピン管31を含む)にも、金属 ィン20と同じく、熱伝導性が良好で、陽極 化処理を行うことができるアルミニウムを 料として使用し、オールアルミニウム製で 成している。そして、金属フィン20だけでは なく、伝熱管30(ヘアピン管31)にも細孔を形成 するようにしたものである。

 熱交換器10の組み立てについては、通常 方法と同じであり、例えば、160枚の金属フ ン20を3段4列に並べ、金属フィン20の貫通穴 伝熱管30を差し込んだ。そして、伝熱管30を 部より拡管して、金属フィン20と伝熱管30の 両者を一体化するように形成する。さらに、 複数の伝熱管30をヘヤピン管31で接続する。 れにより、オールアルミニウム製の熱交換 10を準備した。

 冷凍サイクル装置の他の機器と配管接続 るための伝熱管30の両終端における開口部 を、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン )からなるフッ素樹脂のテープでマスキング 、電解液に浸漬した際に伝熱管30端部より管 内に電解液が浸入しないように処理する。こ のため、管内が陽極酸化されるのを防ぎ、例 えばアノード酸化皮膜により、冷媒の流路抵 抗を増やさずにすむ。その後、実施の形態1 同様に図7に示したプロセスフローで熱交換 10への細孔形成を行う。まず、実施の形態1 同様の条件・溶液で、脱脂→アルカリエッ ング→デスマット処理(図7のS1~S6)を行う。

 次に陽極酸化処理を行う(図7のS7)。本実 の形態では、金属フィン20となるフィンプレ ートではなく熱交換器10全体を陽極として、 出した図8に示すような陽極酸化処理を行う 。そのため、熱交換器10全体が陽極となるが 電流密度のばらつきを小さくするため、熱 換器10の中心線に対して対称となる位置に 数の電極を取り付けた。一方、陰極につい は、実施の形態1~3と同様に平板状のカーボ 板を使用するものとする。ただ、このとき カーボン板を4枚として熱交換器10を囲むよ にした。

 本実施の形態では、熱交換器10とカーボン 64とを電解液62中に浸漬し、両極間に2.0A/dm の定電流が流れるように定電流制御して処理 を行う。そしてここでの陽極酸化処理時間は 20分とする。なお、本実施の形態では、実施 形態1と同様の硫酸を用いた定電流制御によ る細孔形成の例を挙げているが、所定の細孔 が得られれば、酸性の電解液は硫酸に限定さ れるものではなく、また、制御方法も定電流 ではなく、定電圧の制御でもよい。

 陽極酸化処理を終了すると、実施の形態1 などと同様に、熱交換器10を電解液から引き げてイオン交換水で水洗・ブロワー水切り 行う。そして、ただちに150℃に加熱してお たオーブン(大気中)に入れ、このまま、60分 間の熱処理を行って、オーブンから取り出し て徐冷する(図7のS8~S9)。このような方法で細 形成を行い、全体に細孔を有する熱交換器1 0を製造する。

 組み立てが完了した状態で熱交換器10全 について、その表面を陽極酸化することに るが、伝熱管30や金属フィン20がすべてアル ニウムを材料としており、金属フィン20表 だけでなく、伝熱管30の表面にも細孔が形成 される。そのため、細孔の数が多くなり、水 蒸気を含む対象空間の空気に接する面積がよ り多くなるため有利である。

 図13は実施の形態3において作成した熱交換 10における吸着等温線を表す図である。前 理条件および評価装置ならびに測定方法は 施の形態1において行った吸着特性評価の場 と同様であるため説明を省略する。図13よ 、吸着時と脱着時とにおいてヒステリシス あるものの、吸着/脱着の平均では、相対圧 P/P が0.40付近において、急峻な立ち上がり(立ち がり)がみられる。また、このときの水分の 吸着量も細孔径と細孔深さに依存する細孔単 位重量あたり120g程度の量が得られており、 分な吸着特性を示していることがわかる。 成された細孔の深さは約180μmであった。

 図14は細孔サイズの分布を表す図である 図14は相対圧力が0.4付近で毛管凝縮を示すサ ンプルの細孔サイズをBJH法により求めたもの である。図14から、細孔サイズの分布は2.5nm 近で極大を迎えており、急峻な細孔分布ピ クが得られていることから、細孔の50%以上 細孔直径2.5nm±2nmの範囲に含まれていること 確認することができる。

 以上のように、実施の形態3によれば、金 属フィン20だけでなく、伝熱管30およびヘヤ ン管31をアルミニウムを材料として構成し、 伝熱管30(ヘヤピン管31)にも表面から内部に開 放した細孔を形成するようにしたので、空気 中の水分を吸脱着できる細孔を有する部分の 面積(細孔の数)を増やすことができ、細孔の さ調整に依らずに、さらに多量の水分を吸 することができる。  

実施の形態4.
 実施の形態4では、陽極酸化処理における電 解液に強アルカリ性を示す1M-NaOH水溶液を用 、3A/dm の定電流が流れるように定電流制御して40分 陽極酸化処理を行うものとする。それ以外 、実施の形態1と同じ条件/方法で細孔形成 行った。なお、本実施の形態ではNaOHを用い 定電流制御による細孔形成の例を挙げてい が、所定の細孔が得られれば、アルカリ性 電解液はNaOHに限定されるものではなく、ま た、制御方法も定電流ではなく、定電圧の制 御でもよい。

 図15は実施の形態4において作成した金属 ィン20における吸着等温線を表す図である 前処理条件および評価装置ならびに測定方 は実施の形態1において行った吸着特性評価 場合と同様であるため説明を省略する。図1 5より、吸着時と脱着時とにおいてヒステリ スがあるが、吸着、脱着共に、吸着量につ ては、急峻に立ち上がる(立ち下がる)ことは なく、相対圧力の増加(減少)に伴って緩やか 吸着量(脱着量)が増加(減少)した等温線とな った。このような形状の吸着等温線は比較的 広い湿度領域において吸脱着が可能であるこ とを示しており、熱交換器の曝される対象空 間の湿度や温度が、季節や時間によって変化 するような環境で使用される場合や、風路設 計の関係で熱交換器の部位によって曝される 空気の湿度が異なるような用途の場合には平 均的な吸着性能が得られるため有効である。

 図16は細孔サイズの分布を表す図である 図16は相対圧力が0.3付近で毛管凝縮を示すサ ンプルの細孔サイズをBJH法により求めたもの である。図16から、細孔は全体に大きく、10~1 1nm付近で分布が極大となっている。一方で、 7nm以下の微小な細孔も多く散見され、全体と してはバイモーダルなピーク(2つのピーク)を もつ細孔分布となった。これは電解液に強ア ルカリの水溶液を使用したため、表面から内 部に向かって開放した細孔の細孔壁の酸化成 長(アノード酸化皮膜の成長)よりも金属の溶 が優先的に進行して、細孔直径が大きくな 、かつ、細孔分布も広くなったと考えられ 。

実施の形態5.
 例えば、室外や工場などの管理が厳しい環 において熱交換器10を使用する場合、アル ニウムの腐食生成物である白錆の飛散が問 となる。それと同時に、親水性、防菌、防 性など付加機能も求められることから、上 した各実施の形態における本発明の熱交換 10(金属フィン20)においても、その表面にな らかの耐候性・耐食性処理を施すことが望 れる。通常、アルミニウムの表面処理には 1μm以下の厚みでクロム酸化合物を形成する 成処理が用いられることが多い。例えば本 明の熱交換器10のように、陽極酸化処理に り厚い酸化膜が形成された場合、金属アル ニウムに比べて強い耐食性をもつが、表面 強く腐食されると細孔の形状やサイズも影 を受けるため、腐食だけでなく、水分の吸 能力も低下する。そこで、本実施の形態で 、細孔形成後の金属フィン20の表面(伝熱面) 対して表面処理を施すようにする。

 このとき、毛管凝縮を制御するためには 極酸化による細孔サイズをナノオーダーで 御する必要があり、細孔形成後に比較的薄 層で効果的な耐候性・耐食性表面処理とな クロム酸化成処理などの表面処理を施すよ にする。

 そして、このとき、陽極酸化処理後の表 に耐候性・耐食性の表面処理を施すことに るため、表面処理層の厚みを考慮して、表 処理を行った後の状態でも、前出したよう 、熱交換器10に形成された細孔の平均直径 1nm~20nmの範囲内となるようにする。さらに、 全体の50%以上の細孔の直径が平均直径を中心 として平均直径の±2nmの範囲内のサイズとな ことが望ましい。

 また、同じく、細孔の深さに関しても十 な吸着量が得られるようにするため、形成 れる表面処理層の厚みを考慮する。陽極酸 処理における処理時間を変えることで細孔 深さを制御し、表面処理を行った後の状態 も、細孔の深さが1μm~1000μmとなるようにす 必要がある。

 次に本実施の形態における熱交換器10の 造プロセスについて説明する。本実施の形 においても、実施の形態1と同様に図6に示し たプロセスフローでフィンプレートへの細孔 形成を行う。まず、実施の形態1と同様の条 ・溶液で、脱脂→アルカリエッチング→デ マット処理(図6のS1~S6)を行う。

 次に、前出した図7と同様に陽極酸化処理を 行う(図6のS7)。ここで、後に行うクロム酸化 処理において形成されるクロム化合物の膜 が約100nmとなるため、この厚みを考慮して 陽極酸化により形成する細孔サイズと深さ 決定しなければならない。本実施の形態で 、例として、陽極酸化処理において1M-HCl(塩 )水溶液を電解液として使用する。そして、 1枚分のフィンプレートを陽極とし、2枚のカ ボン板を陰極にして電解液中に浸漬し、両 間に4.5A/dm の定電流が流れるように定電流制御して、ク ロム酸化成処理を行う前の細孔直径が約212nm なるよう電流値を調整する。つまり、細孔 径が212nmの細孔に100nm厚のクロム酸化成処理 を行うことになる。こうすることで、クロム 酸化成処理後の細孔直径は約12nm程度となる また、細孔の深さを処理時間で管理するこ とし、その時間を80分とする。なお、本実施 の形態5では塩酸を用いた定電流制御による 孔形成の例を挙げているが、所定の細孔が られれば、電解液は塩酸に限定されるもの はなく、また、制御方法も定電流ではなく 定電圧の制御でもよい。

 陽極酸化処理を終了すると、実施の形態1 などと同様に、電解液から引き上げてイオン 交換水で水洗・ブロワー水切りを行う。そし て、ただちに150℃に加熱しておいたオーブン (大気中)に入れ、このまま、60分間の熱処理 行って、オーブンから取り出して徐冷する( 6のS8~S9)。

 次に、本実施の形態では、熱処理が完了 たフィンプレートを、クロム酸塩系の溶液 に5秒間ディッピング(浸漬)する。その後フ ンプレートを取り出して乾燥することで、 ィンプレート表面に、クロム酸化成処理に る100nm厚のクロム酸化物からなる表面処理 を形成する。これにより、表面処理層が形 された金属フィン20を得ることができる。

 クロム酸化成処理を行った後の金属フィン2 0について、実施の形態1において行った吸着 性評価と同様の前処理条件および評価装置 らびに測定方法により吸着特性の評価を行 た。25℃における水分の吸着等温線測定に いて、相対圧力P/P が0.5付近において、急峻な立ち上がり(立ち がり)がみられた。また、表面処理層を含ん 細孔サイズ分布をBJH法により算出したとこ 、細孔分布は12.0nm付近で極大を迎えており 急峻な細孔分布ピークが得られていること ら、細孔の50%以上が細孔直径12.0nm±2nmの範 に含まれていることが確認できた。このと 、細孔の深さは約350μmであった。

 そして、前記吸着特性をもつ200枚のフィ プレートを金属フィン20として2段3列に並べ 、実施の形態1と同じ方法で、伝熱面に細孔 もつ熱交換器10を得た。

 以上のように、実施の形態5によれば、例 えばアルミニウム製のフィンプレートに対し て、クロム酸化成処理(クロメート処理)によ 、クロム系化合物の表面処理層を形成して コーティングを行うようにしたので、アル ニウムの腐食を防止し、耐候性・耐食性の 上を図ることができる。これにより、腐食 より生成される生成物が空気中に飛散する となどを防止することができ、安全面、衛 面の向上を図ることができる。

実施の形態6.
 前出した実施の形態5においては、クロム酸 化成処理によりクロム系化合物を材料とした 表面処理層を形成した。ただ、表面処理層に ついては必ずしもクロム系化合物によるもの でなくてもよい。そこで、本実施の形態にお いては、フッ素系の樹脂により表面処理層を 形成して耐食性を向上させるようにする。

 本実施の形態における熱処理を行うまで プロセスについては、実施の形態5と同様に 、図6に示したプロセスによりフィンプレー への細孔形成を行うため、説明を省略する 本実施の形態では、熱処理が完了したフィ プレートに対して、耐食性を向上させる目 で、熱交換器10(フィンプレート)表面へのフ 素コーティング処理を行う。

 次にフッ素コーティング処理について説 する。まず、陽極酸化により約210nmの細孔 径を有する金属フィンを形成する。次にこ フィンプレート表面に、スプレー塗布によ 、プライマー(下地)層を形成する。プライマ ー層としては、例えばエポキシ樹脂塗料でそ の膜厚は例えば70nmである。その後、5wt%(重量 パーセント)に希釈したフッ素樹脂系塗料を ライマーに上塗り塗布する。ここでは、フ 素樹脂系塗料として、フルオロエチレンビ ルエーテル(FEVE)樹脂を使用して約30nmのフッ 樹脂層を塗布する。そして、熱風循環乾燥 で170℃×15分乾燥させて焼き付けを行う。そ の結果、フィンプレート表面には、約100nm(0.1 μm)の厚みを持つフッ素樹脂層(プライマー層 含む)が形成された。

 ここで、本実施の形態では、フルオロエ レンビニルエーテル(FEVE)樹脂をフッ素樹脂 塗料として使用したが、これに限定するも ではない。他のフッ素樹脂系塗料としては 例えば、テトラフルオロエチレン若しくは の共重合体であるポリテトラフルオロエチ ン(PTFE)、ヘキサフルオロプロピレン共重合 (FEP)、パーフルオロアルキルビニルエーテ 共重合体(PFA)、エチレン・テトラフルオロエ チレン系共重合体(ETFE)などのフッ素系の樹脂 を使ってフッ素コーティング処理を行っても 同様の効果を得ることができる。

 そして、フッ素コーティング処理を行っ フィンプレートを金属フィン20として2段3列 に並べ、実施の形態1と同じ方法で、伝熱面 細孔をもつ熱交換器10を得た。

 以上のように、実施の形態6によれば、フ ッ素樹脂による表面処理層を形成するように したので、実施の形態5と同様に、アルミニ ムの腐食を防止し、耐候性・耐食性の向上 図ることができる。これにより、腐食によ 生成物の空気中への飛散などを防止するこ ができ、安全面、衛生面の向上を図ること できる。また、実施の形態5のように、クロ 酸化成処理を行わずに表面処理層を形成す ことができ、クロムフリーによる環境対策 図ることができる。

実施の形態7.
 前出した各実施の形態においては、熱伝導 の高さ、陽極酸化処理による細孔の形成な の観点から、金属フィン20としてアルミニ ムを材料とした。本発明においては、材料 アルミニウムに限定するものではない。例 ば、前出した、いわゆるバルブ金属(弁金属) を金属フィン20などの材料として用い、陽極 化処理により表面に細孔を形成するように てもよい。バルブ金属は、陽極酸化処理に り電解整流作用を示す酸化皮膜を形成でき 、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタ 、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タン ステン、ビスマス、アンチモンなどの金属 総称である。このうち、金属フィン20とし 実用的に用いることができる金属は、例え 、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、 オブ、タンタルなどである。これらの金属 用いても、アルミニウムと同様の効果を得 ことができる。

 また、実施の形態5および6において説明 た表面処理層についても、前出のクロム系 合物、フッ素系樹脂に限定するものではな 。例えばニッケルなど、他の金属、化合物 どにより表面処理層を形成し、耐食性の向 を図るようにしてもよい。

実施の形態8.
 図17は本発明の実施の形態8に係る熱交換器1 0Aを表す図である。上述の実施の形態では特 示さなかったが、現実的には熱交換器10Aに ける熱分布は均一ではなく、冷媒が通過す 伝熱管30の付近は冷媒から伝わる熱による 度の影響を直接受ける。例えば、細孔に水 を吸着させるときは、伝熱管30(ヘアピン管31 )には、空気の温度に比べて低い温度の冷媒 流れる。逆に脱着させるときには、高い温 の冷媒が流れる。

 そのため、伝熱管30から離れるに従って 媒温度との差が大きくなる。つまり、熱交 器10Aをさらに細かく見た場合には、熱交換 10Aの金属フィン20Aにおける位置によって温 (環境)が変わる。その結果、金属フィン20Aに おける水蒸気の相対圧力が位置により異なる ことになる。

 具体的には、金属フィン20Aにおいて、冷 が通過する伝熱管30から離れるにつれて、 着時における相対圧力が低くなり、脱着時 は相対圧力が高くなる変化をもたらす。こ 局所的な環境(相対圧力)の違いに対応するた めに、例えば、金属フィン20Aの各位置におけ る温度分布に依存して、金属フィン20A上に形 成する細孔の直径を変化させるほうがより望 ましい場合がある。すなわち、金属フィン20A に形成する細孔の平均直径が、冷媒が通過す る位置(伝熱管30と金属フィン20Aとが接してい る部分)から離れるにしたがって小さくなる うに細孔を形成する。このとき、例えば、1 の金属フィン20Aをさらに細かく区分けした 囲において、約50%以上の細孔について、そ 直径が、平均直径を中心として約±2nmの範 内に分布するようにすることが望ましい。

 以上のように、実施の形態7によれば、さ らに金属フィン20Aにおける温度分布に基づい て、細孔の直径を変化させた金属フィン20Aを 作製するようにしたので、その位置の温度に 基づく相対圧力(環境)に応じて適切な水分の 脱着を行うことができる。

実施の形態9.
 図18は本発明の実施の形態9に係る冷凍サイ ル装置1000の構成例を示す図である。図18に づいて冷凍サイクル装置1000により構成され る冷媒回路の基本的な構成について説明する 。この冷凍サイクル装置1000は、冷媒の循環 利用して、冷却、冷凍、冷暖房運転等を行 ものである。

 冷凍サイクル装置1000は、圧縮機100、凝縮 器200、第1の絞り装置600、除加湿用熱交換器41 0、第2の絞り装置610及び蒸発器700が冷媒配管7 0で順次接続されて構成されている。ここで 圧縮機100と凝縮器200とは、冷却、空調等の 象空間外に設けられた室外ユニット(熱源側 ニット)に内蔵されており、第1の絞り装置60 0と除加湿用熱交換器410と第2の絞り装置610と 発器700とは対象空間内に設けられた室内ユ ット(負荷側ユニット)に内蔵されているも として説明する。なお、ここでは冷却、冷 運転等に関して説明するため、凝縮器200を 外ユニット、蒸発器700を室内ユニットに設 ているが、暖房運転の場合はこの役割が逆 切り替えられることになる。この切替は制 手段が四方弁(図示省略)等を制御して行う。

 冷媒配管70は、気体になった冷媒を導通 せるガス側冷媒配管と、液体になった冷媒 導通させる液側冷媒配管とで構成されてい 。液側冷媒配管は、凝縮されて液体となっ 冷媒を導通するものである。ガス側冷媒配 は、蒸発されて気体になった冷媒を導通す ものである。また、凝縮器200の近傍には、 象空間外の空気(以下、外気という)を凝縮器 200に送り込み、熱交換を促進させるためのフ ァン等の送風機(図示省略)が設けられている 同様に、蒸発器700の近傍にも、同様にファ 等からなる送風機(図示省略)が設けられて る。なお、冷媒配管70に封入される冷媒につ いては後述する。

 圧縮機100は、冷媒を吸入して、その冷媒 圧縮して高温・高圧のガス状態にして冷媒 管70に流す。凝縮器200は、冷媒と外気との で熱交換を行なって冷媒を凝縮液化する熱 換器である。第1の絞り装置600は、一般に減 弁、電子式膨張弁等の膨張弁で構成されて り、冷媒を減圧して膨張させるものである

 除加湿用熱交換器410は、上述の実施の形 1~8で説明した熱交換器10、10A等(以下、熱交 器10等という)で構成されており、金属フィ 20(20A)の表面に細孔を有している。特に限定 するものではないが、以下、除加湿用熱交換 器410は、約30%の相対湿度を境に、吸着量を増 大させ、吸着した水分を脱着させることがで きる細孔径を有するものとする。除加湿用熱 交換器410は、主として、水分を吸着して除湿 した対象空間内の空気(以下、単に空気とい )を蒸発器700に供給する潜熱除去のための機 として機能する。ただし、この利用に限定 るものではなく、加湿ユニットを冷凍サイ ル装置1000に設け、除加湿用熱交換器410を利 用して対象空間を加湿するようにしてもよい 。

 第2の絞り装置610も、一般に減圧弁、電子 式膨張弁等の膨張弁で構成されており、冷媒 を減圧して膨張させるものである。蒸発器700 は、冷媒と空気との熱交換によって、その冷 媒を蒸発させて気化させる。なお、蒸発器700 の近傍に設けられている送風機は、空気を取 り込むと共に、蒸発器700で熱交換して冷却さ れた空気を冷却対象域(室内や冷蔵、冷凍倉 内等)に供給するものである。例えばマイク コンピュータ等で構成される制御手段800は 圧縮機100の駆動周波数や、第1の絞り装置600 及び第2の絞り装置610の開度の制御等を行う のである。本実施の形態では、1台の制御手 800として説明するが、例えば、室外ユニッ と室内ユニットにそれぞれ制御装置を設け 各制御装置が、各ユニットが有する機器(手 段)の制御を行うようにしてもよい。また、 のとき、信号通信ができるようにして連携 て制御を行うようにしてもよい。

 ここで、冷凍サイクル装置1000に使用する冷 媒について説明する。冷凍サイクル装置1000 使用できる冷媒には、非共沸混合冷媒や擬 共沸混合冷媒、単一冷媒等がある。非共沸 合冷媒には、HFC(ハイドロフルオロカーボン) 冷媒であるR407C(R32/R125/R134a)等がある。この非 共沸混合冷媒は、沸点が異なる冷媒の混合物 であるので、液相冷媒と気相冷媒との組成比 率が異なるという特性を有している。
擬似共沸混合冷媒には、HFC冷媒であるR410A(R32 /R125)やR404A(R125/R143a/R134a)等がある。

 また、単一冷媒には、HCFC(ハイドロクロ フルオロカーボン)冷媒であるR22やHFC冷媒で るR134a等がある。この単一冷媒は、混合物 はないので、取扱いが容易であるという特 を有している。その他、自然冷媒である二 化炭素やプロパン、イソブタン、アンモニ 等を使用することもできる。なお、R22はク ロジフルオロメタン、R32はジフルオロメタ を、R125はペンタフルオロエタンを、R134aは1, 1,1,2-テトラフルオロエタンを、R143aは1,1,1-ト フルオロエタンをそれぞれ示している。し がって、冷凍サイクル装置1000の用途や目的 に応じた冷媒を使用するとよい。

 次に冷凍サイクル装置1000の動作について 説明する。まず、除加湿用熱交換器410が空気 中の水分を吸着する動作を行う場合について 説明する。圧縮機100で圧縮された高温・高圧 の冷媒は、凝縮器200で外気と熱交換により放 熱しながら凝縮液化して液冷媒となる。この 液冷媒は、第1の絞り装置600に流入し、そこ 減圧され、例えば低圧の気液二相冷媒とな 。除加湿用熱交換器410に流入した、空気よ も温度が低い気液二相冷媒は金属フィン20及 びその周辺を通過する空気を、熱交換により 冷却させ、一部が蒸発して流出する。このと き、上述したように、金属フィン20は通過す 空気の水分を吸着する。除加湿用熱交換器4 10から流出した気液二相冷媒は、全開状態の 2の絞り装置610を通過し、蒸発器700に流入す る。この気液二相冷媒は、蒸発器700における 熱交換によりすべて蒸発ガス化し、気体冷媒 となって圧縮機100に再度吸入され、吐出され る。

 次に、除加湿用熱交換器410において吸着 た水分を脱着する動作を行う場合について 明する。圧縮機100で圧縮された高温・高圧 冷媒は、凝縮器200で外気に熱を放出しなが 気液二相冷媒となる。この高圧状態の気液 相冷媒は、全開状態の第1の絞り装置600を通 過し、除加湿用熱交換器410に流入する。除加 湿用熱交換器410に流入した、空気よりも温度 が高い気液二相冷媒は、金属フィン20及び周 の空気を加熱し液化する。液化した冷媒は 第2の絞り装置610で減圧されて低圧の気液二 相冷媒となる。そして、気液二相冷媒は、蒸 発器700に流入し、そこですべて蒸発ガス化し 、気体冷媒となって圧縮機100に再度吸入され るようになっている。

 図19は、蒸発温度とCOP(Coefficient of Performa nce:エネルギ消費効率)との関係を示した図で る。図19において、蒸発温度とCOPとは比例 係にあることがわかる。例えば、蒸発温度 11[℃]である場合、COPが3.1程度(図で示す(A)) あり、蒸発温度を20[℃]に上げた場合、COPが3 .9程度(図で示す(B))にまで上昇することがわ る。したがって、蒸発温度を高く設定でき ば、COPをその分改善できる。

 本実施の形態の冷凍サイクル装置1000では 、空気中の水分の潜熱に対する処理は除加湿 用熱交換器410が行い、顕熱に対する処理は蒸 発器700が行うことで、役割を分担させること ができる。そのため、潜熱と顕熱とを蒸発器 700が処理する場合に比べて冷媒の蒸発温度を 高く設定できる。これにより、例えば空気調 和装置等においては、従来、蒸発器700におい て蒸発温度を露点以下にせざるを得ず、霜が 堆積していた場合でも、これを防ぐことがで き、除霜運転を行わなくてもよくなる。

 さらに、例えば凝縮器200における凝縮排 を利用することで、除加湿用熱交換器410(金 属フィン20)に吸着されている水分を脱着する ことができる。その水分は廃棄したり、加湿 運転に利用したりすることができる。これに より、水分を脱着させるためのヒータ等の加 熱手段を特別に設けなくてよくなる。したが って、加熱手段に要していた消費電力が不要 となり、消費電力を大幅に削減できる。

 例えば、本実施の形態の冷凍サイクル装 1000を冷蔵倉庫に適用した場合、外気側の条 件が乾球温度30[℃]、相対湿度60[%]、絶対湿度 16.04[g/kg]として維持されている場合において 冷蔵倉庫内の冷蔵室(空調空間)を、乾球温 10[℃]、相対湿度60[%]、絶対湿度4.56[g/kg]とい 条件で維持・継続するために冷凍サイクル 置を運転するように、制御手段800は各機器 制御するとよい。

 以上のように、実施の形態9の冷凍サイク ル装置によれば、上述の実施の形態1~8の熱交 換器10等からなる除加湿用熱交換器410等を除 湿装置に利用し、金属フィン20により水分 吸着しておくことで、蒸発器700において空 との熱交換を行うときの冷媒の蒸発温度に いて、水分による潜熱分まで考慮して設定 る必要がなく、顕熱分を考慮した温度に冷 を制御すればよい。そのため、冷凍サイク 装置の圧縮機において圧縮比を小さくする とができ、冷凍サイクル装置におけるCOP等 指標とするエネルギ性能を向上させること できる。

実施の形態10.
 図20は、本発明の実施の形態10に係る冷凍サ イクル装置1000aの構成例を示す図である。特 限定するものではないが、本実施の形態の 凍サイクル装置1000aは、例えば冷暖房運転 行う空気調和装置であるものとして説明す 。また、図20において実施の形態9で説明し 図面と同じ符号を付しているものは、同様 動作を行うので説明を省略する。

 冷凍サイクル装置1000aは、圧縮機100、凝 器200、並設されている第1の開閉弁である開 弁300及び第2の開閉弁である開閉弁310、並設 されている除加湿用熱交換器410a及び除加湿 熱交換器410b、並設されている逆流防止手段5 00及び逆流防止手段510、絞り装置620及び蒸発 700が冷媒配管70で順次接続されて構成され いる。ここで、冷凍サイクル装置1000aは、実 施の形態1~8で説明したように、表面に細孔が 形成された金属フィン20を有する熱交換器10 からなる除加湿用熱交換器410a(第1の熱交換 )及び除加湿用熱交換器410b(第2の熱交換器)を 備えている。そして、この2つの除加湿用熱 換器410a及び除加湿用熱交換器410bは、室内ユ ニット内にそれぞれ独立して内蔵されている 。

 また、冷媒配管70は、分岐して冷媒配管70 aと冷媒配管70bとなって、開閉弁300、除加湿 熱交換器410a及び逆流防止手段500を冷媒配管7 0aで接続し、開閉弁310、除加湿用熱交換器410b 及び逆流防止手段510を冷媒配管70bで接続して から再度合流するように構成されている。こ の冷媒配管70を流れる冷媒には、実施の形態2 で説明したような冷媒を使用するとよい。ま た、この冷凍サイクル装置1000aには、蒸発器7 00に流入する空気の温度及び湿度を検知する めの温度・湿度検知手段810(第1の温度・湿 検知手段)が蒸発器700の風路入口側(空気が流 入する側)に備えられている。

 この温度・湿度検知手段810は、温度及び 度を検知できるものであればよく、特に種 を限定するものでない。例えば、サーミス 等の温度センサや、温度計、湿度センサ、 度計等で構成すればよい。

 開閉弁300及び開閉弁310は、冷媒回路の流 を選択する流路選択手段として機能し、特 種類を限定するものではない。逆流防止手 500及び逆流防止手段510は、冷媒配管70a及び 媒配管70bを流れる冷媒の逆流を防止するも であり、逆流弁等で構成するとよいが、特 種類を限定するものではない。絞り装置620 、一般に減圧弁や膨張弁で構成されており 冷媒を減圧して膨張させるものであり、例 ば電子式膨張弁等で構成するとよい。本実 の形態の制御手段800は、上述した制御に加 、さらに開閉弁300、31等を含む各機器を制 する。また、後述する風路切替手段3010a~304a 301b~304b等を切り替えて風路制御を行う。ま 、温度・湿度検知手段810からの情報に基づ て、蒸発器700での空気の相対湿度を算出し その相対湿度を露点(露点温度)に換算する の処理を行う。

 図21は、蒸発器700等が内蔵された室内ユニ ト3000の構成を示す図である。
図21の室内ユニット3000は、一部分が冷凍倉庫 内(空調空間)4000に、それ以外の部分が外気500 側に設置されている場合を示している。この 室内ユニット3000には、図20で示した除加湿用 熱交換器410a、除加湿用熱交換器410b及び蒸発 700が内蔵されている。そして、除加湿用熱 換器410a及び除加湿用熱交換器410bの近傍に 、それぞれ遠心ファンや軸流ファン等の送 機900及び送風機910が備えられている。また 室内ユニット3000にはダクト3100が設けられて おり、蒸発器700から冷凍倉庫内4000に空気を るだけでなく、吸入することもできる。

 この室内ユニット3000は、除加湿用熱交換 器410aと除加湿用熱交換器410bとを風路(空気の 流れ)的に遮断できるような構造となってい 。そして、室内ユニット3000は、風路を切り えることができるようになっており、風路 切り替えることによって除加湿用熱交換器4 10a及び除加湿用熱交換器410bを冷凍倉庫内4000 外気5000と連通させることが可能になってい る。この風路の切り替えは、風路切替手段301 0a及び風路切替手段3010b、風路切替手段3020a及 び風路切替手段3020b、風路切替手段3030a及び 路切替手段3030b、そして風路切替手段3040a及 風路切替手段3040bで行なわれるようになっ いる。風路の細かな調整は、風路調整手段30 50a及び風路調整手段3050bにより行う。

 次に、室内ユニット3000内の空気の流れに ついて説明する。図21において、風路切替手 3010a、風路切替手段3020b、風路切替手段3030b び風路切替手段3040aが開状態であり、風路 替手段3010b、風路切替手段3020a、風路切替手 3030a及び風路切替手段3040bが閉状態であるこ とを示している。各風路切替手段がこのよう な状態のとき、除加湿用熱交換器410aの内蔵 ペースは外気5000と連通し、外気から空気が れ込むようになっている(矢印A)。また、除 湿用熱交換器410bの内蔵スペースは、ダクト 3100を介して、冷凍倉庫内4000と連通し、空気( 例えば、気温10[℃]、相対湿度60[%])が流れ込 ようになっている(矢印B)。

 このように風路を形成している場合にお て、除加湿用熱交換器410aでは脱着が行われ 、除加湿用熱交換器410bでは吸着が行われる これにより、除加湿用熱交換器410bの潜熱処 と蒸発器700の顕熱処理とを分離している。 方、各風路切替手段の開閉状態が逆の状態 なっている場合には、除加湿用熱交換器410a の内蔵スペースには、空気が流れ込むように なっており、除加湿用熱交換器410bの内蔵ス ースには、外気が流れ込むようになってい 。そして、除加湿用熱交換器410aでは吸着が われ、除加湿用熱交換器410bでは脱着が行わ れる。

 図22は、室内ユニット3000の風路を切り替 た状態を示す説明図である。図22(a)は、風 切替手段3010a、風路切替手段3020b、風路切替 段3030b及び風路切替手段3040aが閉状態であり 、風路切替手段3010b、風路切替手段3020a、風 切替手段3030a及び風路切替手段3040bが開状態 あることを示している。

 図22(a)では、除加湿用熱交換器410bの内蔵 ペースは外気5000と連通し、外気が流れ込む ようになっている(矢印C)。また、除加湿用熱 交換器410aの内蔵スペースは、ダクト3100を介 て、冷凍倉庫内4000と連通し、空気が流れ込 むようになっている(矢印D)。このとき、除加 湿用熱交換器410bでは水分を脱着し、除加湿 熱交換器410aでは水分を吸着する。図22(b)は 図21で示した場合と同様であるため、説明を 省略する。

 図23は、冷凍サイクルにおける冷媒の状 を示すP-h線図(モリエル線図)である。図23に づいて、冷凍サイクルにおける冷媒の状態 ついて説明する。この図は、縦軸が絶対圧 (P)で、横軸がエンタルピー(h)を示している この図23において、飽和液線と飽和蒸気線 で囲まれた部分では気液二相状態の冷媒で ることを示し、飽和液線の左側では液化し 冷媒であることを示し、飽和蒸気線の右側 はガス化した冷媒であることを示している つまり、状態(1)及び状態(5)ではガス冷媒で ることがわかり、状態(2)及び状態(4)では気 二相冷媒であることがわかり、状態(3)では 冷媒であることがわかるようになっている

 次に図20及び図23に基づいて、冷凍サイク ル装置1000aの動作について説明する。ここで 、開閉弁300を開状態、開閉弁310を閉状態に 、除加湿用熱交換器410aでは水分を脱着する ようにし、除加湿用熱交換器410bでは水分を 着させるようにしたときの動作について説 するものとする。このとき、開閉弁310が閉 態になっているので、除加湿用熱交換器410b 冷媒は流れ込まないようになっている。

 圧縮機100で圧縮された高温・高圧のガス 態の冷媒(図23で示す状態(1))は、凝縮器200に 流入する。この状態の冷媒は、凝縮器200で外 気に一部を放熱しながら気液二相冷媒となる (図23で示す状態(2))。この高圧状態の気液二 冷媒は除加湿用熱交換器410aに流入する。流 した気液二相冷媒は伝熱管30を通過し、こ とき、冷媒と空気とが熱交換し、金属フィ 20とその周辺の空気の温度を高め、相対湿度 を低くする。これにより、金属フィン20に吸 していた水分が脱着する。気液二相冷媒は 化した液冷媒となる(図23で示す状態(3))。

 この冷媒は、逆流防止手段500を流れて、 り装置620で減圧される。減圧された冷媒は 低圧の気液二相冷媒となる(図23で示す状態( 4))。そして、この気液二相冷媒は、蒸発器700 に流入し、空気から熱を奪うことで蒸発し、 低圧のガス冷媒となる(図23で示す状態(5))。 こで、この空気は後述するように除加湿用 交換器410bが水分を吸着した空気である。こ 空気は冷却されて冷凍倉庫内4000に流出する 。そして、ガス冷媒は、圧縮機100に再吸入さ れ、冷媒回路を循環する。したがって、冷媒 が吸熱及び放熱を繰り返し状態変化を遷移さ せながら冷媒回路を循環することで冷房・冷 凍運転が行われる。

 図24は、冷凍サイクル装置1000aの除加湿用 熱交換器410bの動作を説明するための空気線 である。この空気線図及び図21の構成図を用 いて、上述した冷凍サイクル装置1000aの動作 ついて説明する。図21及び図24において、冷 凍倉庫内4000側と連通させている除加湿用熱 換器410bを通過する空気に対し、除加湿用熱 換器410bの通過前の空気を図24で示す状態(1) 除加湿用熱交換器410bを通過した直後の空気 を図24で示す状態(2)、蒸発器700と熱交換した 後の空気を図24で示す状態(3)として説明す ものとする。

 除加湿用熱交換器410bが冷凍倉庫内4000内 存在する空気の水分を吸着する場合につい 説明する。状態(1)の空気は、乾球温度が10[ ]、相対湿度が60[%]、絶対湿度が4.56[g/kg]であ 。この状態の空気が除加湿用熱交換器410bに 流入すると、等エンタルピー線に沿って、相 対湿度が60[%]から例えば30[%]まで減湿され、 対湿度も4.56[g/kg]から2.96[g/kg]まで減湿され、 乾球温度が10[℃]から14[℃]まで上昇した状態( 2)の空気となって蒸発器700へ流れるようにな ている。

 上述したように、除加湿用熱交換器410bは 、相対湿度約30%以上の領域で吸着できる水分 量が大きくなるため、状態(1)の空気は減湿で きる。そして、この状態(2)の空気は、絶対湿 度が一定の状態で、蒸発器700の熱交換により 顕熱が除去されることで冷却され、相対湿度 が100[%]未満、乾球温度が-2[℃]である状態(3) 空気となる。

 通常、冷凍倉庫内4000を10[℃]よりも低い 度帯域で維持するようになっており、蒸発 度を0[℃]よりも低く設定しなければならな ことが多い。しかしながら、この冷凍サイ ル装置1000aは、冷凍サイクルが蒸発器700に着 霜した霜を除去する除霜運転を実行しないよ うにするために、蒸発器700の蒸発温度(状態(2 )の温度14[℃])を露点温度(例えば、状態(2)の 点温度-2.9[℃])よりも高く設定することが可 になっている。

 なお、蒸発器700の蒸発温度を高くするよ に、制御手段800は、絞り装置620の開度や、 縮機100の駆動周波数、送風機910の回転数等 制御して蒸発温度を調節するとよい。また 蒸発温度を高く設定できれば、COPをその分 善できることは、図19で説明した通りであ 。また、蒸発器700の蒸発温度を露点以上と ることができるので、ドレインが発生しな 。つまり、ドレイン配管が不要となり、製 コストを低減することが可能になる。

 この制御手段800は、温度・湿度検知手段8 10からの情報によって、蒸発器700での空気の 対湿度を算出し、その相対湿度を露点に換 するようになっており、その結果に基づい 露点の検知をするとよい。それから、状態( 3)の空気は、冷凍倉庫内4000内へ拡散されて、 冷凍倉庫内4000の乾球温度を10[℃]以下に保つ うになっている。また、除加湿用熱交換器4 10bで吸着できる水分量には限界が存在する。 そのため、制御手段800は、温度・湿度検知手 段810からの検知情報により除加湿用熱交換器 410bの風路出口側の相対湿度が所定の閾値以 になった判断した時は、開閉弁300を開状態 ら閉状態へ、開閉弁310を閉状態から開状態 切り替えて、冷媒の流れを切り替えるよう なっている。そして、除加湿用熱交換器410b 高温・高圧のガス冷媒を流入させ、金属フ ン20とその周辺の空気の温度を高くする。

 つまり、水分を吸着していた除加湿用熱 換器410bを、今度は脱着させるように切り替 える。除加湿用熱交換器410bの金属フィン20と その周辺の空気の温度が高くなると相対湿度 が低くなり、吸着していた水分が放出される ことで、再生が行われる。一方、冷媒の流路 を切り替えたので、除加湿用熱交換器410aが 空気中の水分を吸着するようになる。この 加湿用熱交換器410aでは、空気中の水分を吸 し、図24で示したように状態(1)から状態(2) と倉庫内400の空気が減湿されるようになっ いる。

 また、除加湿用熱交換器410aで吸着できる 水分量には限界が存在する。そのため、制御 手段800は、温度・湿度検知手段810からの検知 情報により除加湿用熱交換器410aの風路出口 の相対湿度が所定の閾値以上になった判断 た時は、開閉弁300を閉状態から開状態へ、 閉弁310を開状態から閉状態へ変更し、冷媒 流れを切り替えるようになっている。そし 、除加湿用熱交換器410aに高温・高圧のガス 媒を流入し、金属フィン20及びその周辺の 気の温度を高め、相対湿度が低くなるよう して水分を脱着させる。

 以上のように、冷凍サイクル装置1000aは 一方の除加湿用熱交換器(除加湿用熱交換器4 10b)が水分を吸着している場合は他方の除加 用熱交換器(除加湿用熱交換器410a)の水分を 着させ、水分の吸着量に応じて交互に切り えるようになっている。したがって、風路 を切り替え、冷媒の流路を選択することに り、連続的に冷凍倉庫内4000の空気の湿度(潜 熱)を除去することが可能となる。

 表1は、開閉弁300、開閉弁310(流路選択手 )及び風路切替手段3010a~風路切替手段3040bの 御状態と、除加湿用熱交換器410a及び除加湿 熱交換器410bの機能をまとめたものである。 表1において、パターン1は、図22(a)で示した うに、除加湿用熱交換器410aが水分を吸着し 除加湿用熱交換器410bが吸着した水分を脱着 する場合を示している。また、パターン2は 図22(b)で示したように、除加湿用熱交換器410 aが吸着した水分を脱着し、除加湿用熱交換 410bが水分を吸着する場合を示している。こ パターン1とパターン2とを交互に切り替え ことによって、連続運転を可能としている である。

 以上のように、実施の形態10の冷凍サイ ル装置1000aによれば、上述の実施の形態1~8の 熱交換器10等からなる除加湿用熱交換器410aと 除加湿用熱交換器410bとが、交互に連続して 凍倉庫内4000の空気中の水分吸着を行うよう したので、従来、頻繁に発生していた除霜 転を無くすことができ、除霜運転に伴う消 電力を更に低減できる。また、蒸発器700の 発温度を露点温度よりも高く設定すること できるようになるので、冷凍サイクルを効 よく運転することができる。

 そして、除加湿用熱交換器410aと除加湿用 熱交換器410bとが吸着した水分の脱着を行う 、凝縮器200が凝縮した冷媒の熱(冷凍庫内400 冷却には必要ない排熱)を利用して脱着を行 うようにしたので、脱着用の加熱手段を特別 に設けることなく、設置スペースを省略でき ると共に、加熱手段による加熱のための電力 が不要となる。

 また、この冷凍サイクル装置1000aでは、 媒が臨界圧を越えるほどの高圧を必要とし い。つまり、圧縮機100、凝縮器200及びこれ を接続する冷媒配管70(冷媒配管70a及び冷媒 管70bも含めて)の耐圧性能の低いものを使用 ることができ、製品コストを低減すること できる。また、圧縮機100における冷媒の圧 比も抑制できるので、圧縮機100の運転効率 改善できる。つまり、COPを大幅に改善する とが可能であり、省エネルギーを図ること できる。

実施の形態11.
 図25は、本発明の実施の形態11に係る冷凍サ イクル装置1000bの構成例を示す図である。特 限定するものではないが、本実施の形態の 凍サイクル装置1000bは、例えば冷暖房運転 行う空気調和装置であるものとして説明す 。また、図25において実施の形態9及び10で説 明した図面と同じ符号を付しているものは、 同様の動作を行うので説明を省略する。

 冷凍サイクル装置1000bは、圧縮機100、凝 器200、並設されている第1の開閉弁である開 弁320及び第2の開閉弁である開閉弁330、並設 されている除加湿用熱交換器410c及び除加湿 熱交換器410d、並設されている開閉弁340及び 閉弁350、絞り装置850(第3の絞り装置)、そし 蒸発器700が冷媒配管70で順次接続されて構 されている。ここで、冷凍サイクル装置1000b も、表面に細孔が形成された金属フィン20を する熱交換器10等からなる除加湿用熱交換 410c(第1の熱交換器)及び除加湿用熱交換器410d (第2の熱交換器)を備えている。そして、この 2つの除加湿用熱交換器410c及び除加湿用熱交 器410dは、室内ユニット内にそれぞれ独立し て内蔵されている。

 この冷媒配管70は、分岐して冷媒配管70c 冷媒配管70dとなって、開閉弁320、除加湿用 交換器410c及び開閉弁340を冷媒配管70cで接続 、開閉弁330、除加湿用熱交換器410d及び開閉 弁350を冷媒配管70dで接続してから再度合流す るように構成されている。この冷媒配管70を れる冷媒には上述した冷媒を使用するとよ 。また、冷媒配管70c及び冷媒配管70dには、 閉弁320と除加湿用熱交換器410cとの間におけ る冷媒配管70cから分岐し、除加湿用熱交換器 410dと開閉弁350との間における冷媒配管70dに 流するバイパス管80(第1のバイパス管)と、開 閉弁330と除加湿用熱交換器410dとの間におけ 冷媒配管70dから分岐し、除加湿用熱交換器41 0cと開閉弁340との間における冷媒配管70cに合 するバイパス管90(第2のバイパス管)が設け れている。

 このバイパス管90には、絞り装置630(第1の 絞り装置)及び開閉弁360(第3の開閉弁)が設け れている。また、このバイパス管80には、絞 り装置640(第2の絞り装置)及び開閉弁370(第4の 閉弁)が設けられている。また、この冷凍サ イクル装置1000bには、蒸発器700の温度及び湿 を検知するための温度・湿度検知手段810が 発器700の風路入口側に、除加湿用熱交換器4 10c及び除加湿用熱交換器410dの温度及び湿度 検知するための温度・湿度検知手段820(第2の 温度・湿度検知手段)が除加湿用熱交換器410c 風路出口側にそれぞれ備えられている。

 この温度・湿度検知手段810及び温度・湿 検知手段820は、温度及び湿度を検知できる のであればよく、特に種類を限定するもの ない。例えば、サーミスタ等の温度センサ 、温度計、湿度センサ、湿度計等で構成す ばよい。また、温度・湿度検知手段810及び 度・湿度検知手段820がそれぞれ1つ設置され ている場合を例に示しているが、これに限定 するものでなく、複数個設置してもよい。さ らに、温度・湿度検知手段820は、除加湿用熱 交換器410c及び除加湿用熱交換器410dのそれぞ の風路出口側に設置してもよい。

 冷凍サイクル装置1000bには、圧縮機100の 動周波数や開閉弁320~開閉弁370の開度、絞り 置630、絞り装置640及び絞り装置850の開度を 御する制御手段800aが備えられている。開閉 弁320~開閉弁370は、流路を切り換えるもので り、特に種類を限定するものではない。絞 装置630、絞り装置640及び絞り装置850は、一 に減圧弁や膨張弁で構成されており、冷媒 減圧して膨張させるものであり、例えば電 式膨張弁等で構成するとよい。

 この制御手段800aは、各機器を制御する他 、温度・湿度検知手段820からのデータを含む 信号に基づいて、除加湿用熱交換器410cの風 出口側の相対湿度を算出し、さらにその相 湿度を露点(露点温度)に換算し、また温度・ 湿度検知手段810からの情報に基づいて、蒸発 器700での相対湿度を算出してその相対湿度を 露点(露点温度)に換算する等の処理を行う。 お、除加湿用熱交換器410cと除加湿用熱交換 器410dとの吸脱着の機能を切り替えた場合は 制御手段800aは、除加湿用熱交換器410dの風路 出口側の相対湿度を算出してその相対湿度を 露点(露点温度)に換算する。

 図26は、蒸発器700等が内蔵された室内ユ ット3000aの構成を示す図である。図26に基づ て、室内ユニット3000aの基本的な構成につ て説明する。なお、図21で示した室内ユニッ ト3000との相違点を中心に説明するものとす 。図26では、室内ユニット3000aの一部分が室 (空調空間)4010に、それ以外の部分が外気5000 側に設置されている場合を示している。この 室内ユニット3000aには、図25で示した除加湿 熱交換器410c、除加湿用熱交換器410d及び蒸発 器700が内蔵されている。

 この室内ユニット3000aは、除加湿用熱交 器410cと除加湿用熱交換器410dとを風路的に遮 断するような構造となっている。そして、室 内ユニット3000aは、風路を切り替えることが きるようになっており、風路を切り替える とによって除加湿用熱交換器410c及び除加湿 用熱交換器410dを室内4010や外気5000と連通させ ることが可能になっている。この風路の切り 替えは、風路切替手段3110a及び風路切替手段3 110b、風路切替手段3120a及び風路切替手段3120b 風路切替手段3130a及び風路切替手段3130b、そ して風路切替手段3140a及び風路切替手段3140b 行なわれるようになっている。風路の細か 調整は、風路調整手段3150a及び風路調整手段 3150bにより行う。

 次に、室内ユニット3000a内の空気の流れ ついて説明する。図26において、風路切替手 段3110a、風路切替手段3120b、風路切替手段3130b 及び風路切替手段3140aが開状態であり、風路 替手段3110b、風路切替手段3120a、風路切替手 段3130a及び風路切替手段3140bが閉状態である とを示している。各風路切替手段がこのよ な状態のとき、除加湿用熱交換器410cの内蔵 ペースは外気5000と連通し、外気が流れ込む ようになっている(矢印A)。また、除加湿用熱 交換器410dの内蔵スペースは、ダクト3100を介 て、室内4010と連通し、空気(例えば、気温26 [℃]、相対湿度60[%])が流れ込むようになって る(矢印B)。

 このように風路を形成している場合にお て、除加湿用熱交換器410cでは脱着が行われ 、除加湿用熱交換器410dでは吸着が行われる これにより、除加湿用熱交換器410dの潜熱処 と蒸発器700の顕熱処理とを分離している。 方、各風路切替手段の開閉状態が逆の状態 なっている場合には、除加湿用熱交換器410c では吸着が行われ、除加湿用熱交換器410dで 脱着が行われる。

 図27は、室内ユニット3000aの風路を切り替 えた状態を示す説明図である。図27では、室 ユニット3000aの一部分が室内4010に、それ以 の部分が外気5000側に設置されている場合を 示している。なお、図27(a)は、風路切替手段3 110a、風路切替手段3120b、風路切替手段3130b及 風路切替手段3140aが閉状態であり、風路切 手段3110b、風路切替手段3120a、風路切替手段3 130a及び風路切替手段3140bが開状態であること を示している。

 図27(a)では、除加湿用熱交換器410dの内蔵 ペースは外気5000と連通し、外気が流れ込む ようになっている(矢印C)。また、除加湿用熱 交換器410cの内蔵スペースは、ダクト3100を介 て、室内4010と連通し、空気が流れ込むよう になっている(矢印D)。このとき、除加湿用熱 交換器410dは水分を脱着し、除加湿用熱交換 410cは水分を吸着する。図27(b)は、図26で示し た場合と同様であるため、説明を省略する。

 冷凍サイクル装置1000bをルームエアコン パッケージエアコン等の空気調和装置に適 した場合、外気5000側の条件が乾球温度30[℃] 、相対湿度60[%]、絶対湿度16.04[g/kg]として維 されている場合において、室内4010(空調空間 )を、乾球温度26[℃]、相対湿度60[%]、絶対湿 8.74[g/kg]という条件で維持・継続するために 制御手段800aは冷凍サイクル装置1000bを運転 るよう各機器を制御するとよい。

 図28は、冷凍サイクルにおける冷媒の状 を示すP-h線図(モリエル線図)である。図28に づいて、冷凍サイクルにおける冷媒の状態 ついて説明する。図28において、状態(1)及 状態(7)ではガス冷媒であることがわかり、 態(2)、状態(4)、状態(5)及び状態(6)では気液 相冷媒であることがわかり、状態(3)では液 媒であることがわかるようになっている。

 次に図25及び図28に基づいて、冷凍サイク ル装置1000bの動作について説明する。ここで 、開閉弁320、開閉弁340及び開閉弁350を開状 、開閉弁330、開閉弁370及び開閉弁360を閉状 にし、除加湿用熱交換器410cを脱着熱交換器 として、除加湿用熱交換器410dを吸着熱交換 として機能させた場合における冷凍サイク 装置1000bの動作について説明するものとする 。

 圧縮機100で圧縮された高温・高圧のガス 態の冷媒(図28で示す状態(1))は、凝縮器200に 流入する。この状態の冷媒は、凝縮器200で外 気に一部を放熱しながら気液二相冷媒となる (図28で示す状態(2))。この高圧状態の気液二 冷媒は、除加湿用熱交換器410cに流入する。 加湿用熱交換器410cに流入した気液二相冷媒 は、金属フィン20及びその周辺の空気の温度 高め、相対湿度を低くする。これにより、 属フィン20に吸着していた水分が脱着する 気液二相冷媒は液化した液冷媒となる(図28 示す状態(3))。

 この冷媒は、開閉弁360を流れて、絞り装 630で減圧される。減圧された冷媒は、低圧 気液二相冷媒となる(図28で示す状態(4)、こ では第1の蒸発温度となる)。そして、この 液二相冷媒は、除加湿用熱交換器410dに流入 、空気よりも低い第1の蒸発温度で金属フィ ン20及びその周辺の空気の温度を低くするこ で、吸着の性能を高める。除加湿用熱交換 410dに流入した気液二相冷媒は、一部蒸発し 、低圧の気液二相冷媒となる(図28で示す状態 (5))。この気液二相冷媒は、絞り装置850によ てさらに減圧され、第2の蒸発温度(図28で示 状態(6))となって、蒸発器700に流入し、熱交 換により空気の顕熱を奪って低圧のガス冷媒 となる(図28で示す状態(7))。このガス冷媒は 圧縮機100に再吸入され、冷媒回路を循環す 。

 この冷凍サイクル装置1000bは、一方の除 湿用熱交換器(ここでは、除加湿用熱交換器4 10c)を通過した冷媒をバイパス管(ここでは、 イパス管90)を経由させて、他方の除加湿用 交換器(ここでは、除加湿用熱交換器410d)に 入させるようになっている。そのため、一 の除加湿用熱交換器410では凝縮に係る冷媒 熱を利用して効率よく水分の脱着を行い、 方の除加湿用熱交換器410では蒸発に係る冷 の熱を利用して効率よく水分の吸着を行う とで、吸脱着の性能を高め、冷凍サイクル 置の性能向上を図っている。

 図29は、冷凍サイクル装置1000bの除加湿用 熱交換器410dの動作を説明するための空気線 である。この空気線図及び図26の構成図を用 いて、上述した冷凍サイクル装置1000bの動作 ついて説明する。図26及び図29において、室 内4010側と連通させている除加湿用熱交換器41 0dを通過する空気に対し、除加湿用熱交換器4 10dの通過前の空気を図25で示す状態(1)、除加 用熱交換器410dを通過した直後の空気を図29 示す状態(2)、蒸発器700と熱交換した直後の 気を図29で示す状態(3)として説明するもの する。

 除加湿用熱交換器410dが室内4010内に存在 る空気の水分を吸着する場合について説明 る。状態(1)の空気は、乾球温度が26[℃]、相 湿度が60[%]である。この状態の空気が除加 用熱交換器410dに流入すると、除加湿用熱交 器410dで等温あるいは冷却吸着によって、状 態(2)の空気となって蒸発器700へ流れるように なっている。上述したように、除加湿用熱交 換器410bは、相対湿度約30%以上の領域で吸着 きる水分量が大きくなるため、状態(1)の空 は減湿できる。

 そして、状態(2)の空気は、蒸発器700で熱交 されて状態(3)の空気となる。
この状態(2)の空気は、蒸発器700によって、絶 対湿度が一定の状態で顕熱のみが除去される ことで冷却されて、相対湿度が100[%]未満、乾 球温度が14[℃]である状態(3)の空気となる。 の状態(3)の空気が室内4010に供給される。

 制御手段800aは、絞り装置630及び絞り装置 850の開度や、圧縮機100の駆動周波数、送風機 910の回転数等を制御し、第1の蒸発温度につ ては、除加湿用熱交換器410dにおける吸込み 気の露点以上(この実施の形態では18[℃])と るように調節するとよい。また、第2の蒸発 温度については、除加湿用熱交換器410dの出 空気の露点以上(この実施の形態では14[℃]) なるように調節するとよい。露点温度の検 は、温度・湿度検知手段810及び温度・湿度 知手段820で検知した温度及び湿度のデータ 基づいて、制御手段800aが露点に換算処理す 。図25では第1の蒸発温度が18[℃]、第2の蒸 温度が14[℃]としている。

 また、吸着熱交換器として機能している 加湿用熱交換器410dで吸着できる水分量には 限界が存在する。そのため、制御手段800aは 温度・湿度検知手段810が検知したデータに づいて蒸発器700での相対湿度が所定の閾値 上になったと判断したときは、開閉弁320、 閉弁360及び開閉弁350を開状態から閉状態へ 開閉弁330、開閉弁370及び開閉弁340を閉状態 ら開状態へ変更し、冷媒の流れを切り替え 。そして、除加湿用熱交換器410dには高温・ 圧のガス冷媒を流入し、金属フィン20及び 辺の空気の温度を高めて脱着させ再生させ 。

 一方、冷媒の流路を切り替えたので、除 湿用熱交換器410cが吸着熱交換器として機能 するようになる。この除加湿用熱交換器410c は、空気中の水分を吸着する。このように 冷凍サイクル装置1000bは、一方の除加湿用熱 交換器(除加湿用熱交換器410d)が水分を吸着し ている場合は他方の除加湿用熱交換器(除加 用熱交換器410c)の水分を脱着させ、水分の吸 着量に応じて、を交互に切り替えるようにな っている。したがって、風路等を切り替える ことにより、連続的に室内4010の空気の湿度( 熱)を除去することが可能となる。

 一方、送風機900によって除加湿用熱交換 410cには、外気5000側から、例えば、乾球温 が32[℃]、相対湿度が60[%]の外気が供給され 。除加湿用熱交換器410cは吸着した水分を脱 する。このとき、脱着により絶対湿度が増 した状態となって、再び外気5000へ放出され る。ここでは単に放出しているが、例えばこ の脱着された水分を加湿に利用することがで きる。このように、潜熱の除去は除加湿用熱 交換器410c、41dで行ない、顕熱の除去は蒸発 700で行なう。しかも、吸着した水分の脱着 凝縮器200における凝縮排熱を利用すること より行なうことができ、冷房・冷凍能力は 幅に改善される。

 表2は、開閉弁320~開閉弁370の制御状態と 除加湿用熱交換器410c及び除加湿用熱交換器4 10dの機能をまとめたものである。表2におい 、パターン1は、図27(b)で示したように、除 湿用熱交換器410dが水分を吸着し、除加湿用 交換器410cがが吸着した水分を脱着する場合 を示している。このとき開閉弁320、開閉弁360 及び開閉弁350が開状態で、開閉弁330、開閉弁 370及び開閉弁340が閉状態である。また、パタ ーン2は、図27(a)で示したように、除加湿用熱 交換器410dが吸着した水分を脱着し、除加湿 熱交換器410cが水分を吸着する場合を示して る。このとき開閉弁330、開閉弁370及び開閉 340が開状態で、開閉弁320、開閉弁360及び開 弁350が閉状態である。このパターン1とパタ ーン2とを交互に切り替えることによって、 続運転を可能としている。

 除加湿用熱交換器410cまたは除加湿用熱交 換器410dのいずれかが水分を脱着している場 には、その除加湿用熱交換器では冷媒が凝 する。また水分を吸着している場合には、 媒が蒸発している。各開閉弁の開度を制御 、冷媒の流れ切り替えることによって、除 湿用熱交換器410c及び除加湿用熱交換器410dの 機能も切り替えることが可能となり、吸着と 脱着とを交互に切り替えながら連続的に運転 できる。

 例えば、従来の冷凍サイクル装置では、 調空間の状態が乾球温度26[℃]、相対湿度60[ %]であり、外気の状態が乾球温度32[℃]、相対 湿度60[%]である場合には、凝縮器200での凝縮 度47[℃]、蒸発器700での蒸発温度11[℃]付近 バランスを調整し、空調空間の顕熱処理(冷 運転)と潜熱処理(除湿運転)との両方を同時 行なうようにしていた。このような冷凍サ クル装置では、蒸発温度を低く設定しなけ ばならず、冷凍サイクル装置の運転効率等 悪い。

 冷凍サイクル装置1000bは、空調空間の顕 処理(冷房運転)と潜熱処理(除湿運転)との両 を別々に行なうことができる。そのため、 発器700では顕熱処理のみを行なえばよく、 発温度を高く設定することができる。つま 、従来の蒸発温度が11[℃]と設定されていた ものを、14[℃]程度まで高く設定できるので る。その結果、冷凍サイクルの効率を大幅 改善できるようになっている。

 上述した図30に示したように、蒸発温度 COPとは比例関係にある。例えば、実施の形 9の場合であると、蒸発温度が11[℃]である場 合、COPが3.1程度(図で示す(A))であるが、この 発温度を14[℃]に上げた場合、COPが3.3程度( で示す(B))にまで上昇することがわかる。つ り、蒸発温度を3[℃]あげて設定するだけで COPが約14%程度改善される。

 以上のように、実施の形態11の冷凍サイ ル装置1000bによれば、上述の実施の形態10と 様に除霜運転を行わなくてもよく、また、 発器700の蒸発温度を高く設定することがで る。特に本実施の形態では、空気よりも低 第1の蒸発温度の冷媒により、水分を吸着す る側の除加湿用熱交換器410c又は41dの金属フ ン20及びその周辺の空気の温度を下げて相対 湿度を高くして水分の吸着を行いやすくした ので、さらに性能の高い運転を行うことがで きる。

実施の形態12.
 図30は、本発明の実施の形態12に係る冷凍サ イクル装置1000cの構成例を示す図である。特 限定するものではないが、本実施の形態の 凍サイクル装置1000cは、例えば冷暖房運転 行う空気調和装置であるものとして説明す 。また、図30において実施の形態9、10及び11 説明した図面と同じ符号を付しているもの 、同様の動作を行うので説明を省略する。

 冷凍サイクル装置1000cは、圧縮機100、凝 器200、並設されている第1の開閉弁である開 弁320及び第2の開閉弁である開閉弁330、並設 されている除加湿用熱交換器410e及び除加湿 熱交換器410f、並設されている三方弁380及び 方弁390、並設されている開閉弁340及び開閉 350、絞り装置850、そして蒸発器700が冷媒配 70で順次接続されて構成されている。ここ 、冷凍サイクル装置1000cも、表面に細孔が形 成された金属フィン20を有する熱交換器10等 らなる除加湿用熱交換器410e(第1の熱交換器) び除加湿用熱交換器410f(第2の熱交換器)を備 えている。そして、この2つの除加湿用熱交 器410e及び除加湿用熱交換器410fは、室内ユニ ット内にそれぞれ独立して内蔵されている。 また、制御手段800bは三方弁380及び三方弁390 制御し、冷媒の流路を選択する。

 この冷媒配管70は、上述した実施の形態11 に係る冷凍サイクル装置1000bと同様に、分岐 て冷媒配管70cと冷媒配管70dとなって、開閉 320、除加湿用熱交換器410e及び三方弁380を冷 媒配管70cで接続し、開閉弁330、除加湿用熱交 換器410f及び三方弁390を冷媒配管70bで接続し から再度合流するように構成されている。 の冷媒配管70を流れる冷媒には、上述の冷媒 を使用するとよい。また、冷媒配管70c及び冷 媒配管70dには、開閉弁320と除加湿用熱交換器 410eとの間における冷媒配管70cから分岐し、 加湿用熱交換器410fと三方弁390との間におけ 冷媒配管70dに合流するバイパス管80a(第1の イパス管)と、開閉弁330と除加湿用熱交換器4 10fとの間における冷媒配管70dから分岐し、除 加湿用熱交換器410eと三方弁380との間におけ 冷媒配管70cに合流するバイパス管90a(第2のバ イパス管)が設けられている。

 このバイパス管90aには、絞り装置630が設 られている。また、このバイパス管80aには 絞り装置640が設けられている。また、この 凍サイクル装置1000cには、蒸発器700の温度 び湿度を検知するための温度・湿度検知手 (図示省略)が蒸発器700の風路入口側に備えら れている。この温度・湿度検知手段は、温度 及び湿度を検知できるものであればよく、特 に種類を限定するものでない。例えば、サー ミスタ等の温度センサや、温度計、湿度セン サ、湿度計等で構成すればよい。

 冷凍サイクル装置1000cには、圧縮機100の 動周波数や開閉弁320及び開閉弁330の開度、 り装置630、絞り装置640及び絞り装置850の開 、三方弁380及び三方弁390の開度を制御する 御手段(図示省略)が備えられている。三方弁 380及び三方弁390は、冷媒配管70c及び冷媒配管 70dを流れる冷媒の流れを切り替えて、除加湿 用熱交換器410eと除加湿用熱交換器410fの機能( 吸着と脱着)を切り替えるものである。

 次に図30に基づいて冷凍サイクル装置1000c の動作について説明する。ここでは、開閉弁 320を開状態、開閉弁330を閉状態にし、除加湿 用熱交換器410eに水分を脱着させるようにし 除加湿用熱交換器410fに吸着させるようにし ときの冷凍サイクル装置1000cの動作につい 説明するものとする。

 圧縮機100で圧縮された高温・高圧のガス状 の冷媒は、凝縮器200に流入する。
この状態の冷媒は、凝縮器200で外気に一部を 放熱しながら気液二相冷媒となる。この高圧 状態の気液二相冷媒は除加湿用熱交換器410e 流入する。流入した気液二相冷媒は伝熱管30 を通過し、このとき、冷媒と空気とが熱交換 し、金属フィン20とその周辺の空気の温度を め、相対湿度を低くする。これにより、金 フィン20に吸着していた水分が脱着する。 液二相冷媒は液化した液冷媒となる。

 除加湿用熱交換器410eから流出した冷媒は 、制御手段800bによる三方弁380の制御によっ 流れる方向が決定する。バイパス管90aを流 るように制御されていれば、上述の実施の 態11のように、低圧の気液二相冷媒が除加湿 用熱交換器410fに流入し、金属フィン20及びそ の周辺の空気の温度を低くすることで、除加 湿用熱交換器410fで行われる吸着の性能を高 る。除加湿用熱交換器410fを流出した気液二 の冷媒は三方弁390、開閉弁350、冷媒配管70d 介して絞り装置850によって減圧され、蒸発 700に流入し、熱交換により空気の顕熱を奪 て低圧のガス冷媒となるこのガス冷媒は、 縮機100に再吸入され、冷媒回路を循環する また、開閉弁320を閉状態、開閉弁330を開状 にし、除加湿用熱交換器410fに水分を脱着さ せるようにし、除加湿用熱交換器410eに吸着 せるようにしたときの冷凍サイクル装置1000c の動作については、三方弁380と390の動作は逆 になる。

 以上のように実施の形態12によれば、三 弁380、390を備えるようにしたので、実施の 態11と同様に、水分を吸着する側の除加湿用 熱交換器410e又は41fの金属フィン20及びその周 辺の空気の温度を下げて相対湿度を高くして 水分の吸着を行いやすくしたので、さらに性 能の高い運転を行うことができる。

実施の形態13.
 上述の実施の形態9~12においては、除加湿用 熱交換器410だけに、実施の形態1~8の熱交換器 10等を適用するようにしたが、特に限定する のではない。例えば、熱交換器として機能 る凝縮器200、蒸発器700にも金属フィン20を け、水分の吸着等を行わせるようにしても い。

 また、上述の実施の形態9~12においては、 2つの除加湿用熱交換器410a、41b等を用いて交 に吸脱着を行うようにしているが、除加湿 熱交換器410の数を限定するものではない。

 また、上述の実施の形態9~12においては、 圧縮機100の種類を特に限定するものではない が、容量制御が可能なインバータ圧縮機や、 定速運転を行なう定速圧縮機を使用すればよ い。また、各実施の形態では、冷凍サイクル に圧縮機100の1台が備えられている場合を例 示したが、これに限定するものでなく、複 の圧縮機を備えてもよい。この場合は、制 手段800が設けた圧縮機の台数分のマルチ制 を行うようにするとよい。

実施の形態14.
 各実施の形態では、制御手段800及び制御手 800aが、各開閉弁の開度、圧縮機100の駆動周 波数、各絞り装置の開度、各三方弁の開度を 制御する場合を例に説明したが、これに限定 するものでない。各機器毎に制御手段を設け てもよい。また、各実施の形態では、蒸発器 700の風路入口側に温度・湿度検知手段810を1 設けている場合を例に説明したが、これに 定するものではない。例えば、温度検知手 と湿度検知手段とに分けて設けてもよく、 数個設けてもよい。また、冷媒の圧力を検 する圧力検知手段等を各機器の近傍に設け もよい。

 なお、冷凍サイクル装置1000~冷凍サイク 装置1000cは、冷凍装置やルームエアコン、パ ッケージエアコン等に適用した場合を例に説 明したが、これに限定するものではない。例 えば、冷凍サイクル装置1000~冷凍サイクル装 1000cは、冷蔵倉庫や、加湿器、調湿装置等 適用することも可能である。つまり、適用 れる目的・用途に応じて使用する冷媒を決 したり、冷凍サイクルでの風路及び流路を 定したりすればよい。

 本発明による熱交換器は、前出した空気 和装置だけでなく、例えば冷蔵、冷凍倉庫 どで食品などを冷却する冷蔵、冷凍装置な 他の冷凍サイクル装置に用いることができ 。