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Title:
HEAT RADIATING COMPONENT FOR ELECTRONIC COMPONENT, CASE FOR ELECTRONIC COMPONENT, CARRIER FOR ELECTRONIC COMPONENT, AND PACKAGE FOR ELECTRONIC COMPONENT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/008457
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention provides a heat radiating component for an electric component using a Cr-Cu alloy, and a case for an electronic component, a carrier for an electronic component, or a package for an electronic component using the heat radiating component. The heat radiating component comprises a molded product produced by cold pressing a Cr-Cu alloy plate produced by subjecting a Cr-Cu alloy to powder metallurgy. The molded product comprises more than 30% by mass and not more than 80% by mass of Cr with the balance consisting of Cu and unavoidable impurities. The unavoidable impurities are O: not more than 0.15% by mass, N: not more than 0.1% by mass, C: not more than 0.1% by mass, Al: not more than 0.05% by mass, and Si: not more than 0.1% by mass.

Inventors:
TERAO HOSHIAKI (JP)
OTA HIROKI (JP)
KOBIKI HIDEAKI (JP)
SAWAI TAKASHI (JP)
ABUMITA TETSUROU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/062425
Publication Date:
January 15, 2009
Filing Date:
July 09, 2008
Export Citation:
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Assignee:
JFE PREC CORP (JP)
JFE STEEL CORP (JP)
TERAO HOSHIAKI (JP)
OTA HIROKI (JP)
KOBIKI HIDEAKI (JP)
SAWAI TAKASHI (JP)
ABUMITA TETSUROU (JP)
International Classes:
H01L23/34; B21B3/00; B22F3/24; B22F3/26; C22C27/06; H01L23/373
Domestic Patent References:
WO2007094507A12007-08-23
Foreign References:
JP2005330583A2005-12-02
JP2003089853A2003-03-28
JP2002332503A2002-11-22
JPH0536492B21993-05-31
JP2005325377A2005-11-24
JP2005314740A2005-11-10
JP2003055739A2003-02-26
Attorney, Agent or Firm:
SAIKYO, Keiichiro et al. (2-6 Bingomachi 3-chome,Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 51, JP)
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Claims:
 粉末冶金法を適用して製造したCr-Cu合金に加工を施して得たCr-Cu合金板を冷間プレス加工した成形体であり、かつCr含有量が30質量%超え80質量%以下で残部がCuおよび不可避的不純物からなり、前記不可避的不純物がO:0.15質量%以下、N:0.1質量%以下、C:0.1質量%以下、Al:0.05質量%以下、Si:0.10質量%以下であることを特徴とする電子部品用放熱部品。
 前記成形体が、突起部または溝部を有することを特徴とする請求項1に記載の電子部品用放熱部品。
 前記Cr-Cu合金板のCu相に、長径100nm以下かつアスペクト比10未満の粒子状Cr相が20個/μm 2 以上の密度で分布することを特徴とする請求項1または2に記載の電子部品用放熱部品。
 前記加工として冷間圧延または温間圧延を施して得たCr-Cu合金板の長径100nmを超えるCr相のアスペクト比が、1.0超え100未満であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の電子部品用放熱部品。
 前記Cr-Cu合金板の長径100nmを超えるCr相が、前記Cr-Cu合金板の厚さ方向1mmあたり200個以下であることを特徴とする請求項4に記載の電子部品用放熱部品。
 請求項1~5のいずれか1項に記載の電子部品用放熱部品を一部に取付けたことを特徴とする電子部品用ケース。
 請求項1~5のいずれか1項に記載の電子部品用放熱部品を一部に取付けたことを特徴とする電子部品用キャリア。
 請求項1~5のいずれか1項に記載の電子部品用放熱部品を基体とし、該基体および金属枠体を具備することを特徴とするメタルウォールパッケージ。
 請求項1~5のいずれか1項に記載の電子部品用放熱部品を基体とし、該基体およびセラミック枠体を具備することを特徴とするセラミックウォールパッケージ。
Description:
電子部品用放熱部品、電子部品 ケース、電子部品用キャリアおよび電子部 用パッケージ

 本発明は、電子機器に搭載される半導体 子等の電子部品を収納し、半導体素子等の 熱体から発生する熱を速やかに放散させる めに用いられる電子部品用放熱部品および れを備えた電子部品用ケース、電子部品用 ャリアまたは電子部品用パッケージに関す ものである。

 光通信、高周波通信およびその他用途に用 られる各種半導体(たとえばレーザーダイオ ード,パワー半導体,LED半導体等)または半導体 を除くその他発熱性の各種電子素子(以下、 子部品と総称する)は、時間の経過および高 に伴う特性の劣化を防止する必要がある。 子部品を搭載した電子機器を作動させる際 は、電子回路への通電に伴い電子部品が発 するので、この熱を速やかに放散させる必 がある。そこで、電子部品用放熱部品を介 てこの熱を放散させる技術が種々検討され いる。
 電子部品が搭載される電子部品用放熱部品 、熱膨張が少ないことに加えて、熱伝導率 大きいことが要求されるが、単相の材料で 者を同時に達成することは難しい。そのた 、熱膨張率の小さい材料と熱伝導率の大き 材料を組み合わせた複合材料が多く用いら ている。
 このような例として、たとえば特公平5-38457 号公報には、W-Cu,Mo-Cu等の金属-金属系複合材 が提案されている。W,Moは熱膨張率が小さく 、他方、Cuは熱伝導率が大きいという特性を 用する技術である。
 GaAs等の化合物半導体やSi半導体、またAlNや ルミナ等のセラミックスの熱膨張率は3~8×10 -6 /Kであるから、接合される電子部品用放熱部 はこれに近い熱膨張率を有することが要求 れる。現在使用されている電子部品用放熱 品としては、W-Cu系複合材料の熱膨張率が6~1 0×10 -6 /Kであり、Mo-Cu系複合材料の熱膨張率が7~14×10 -6 /Kである。このように接合される相手材に近 熱膨張率を有することにより、電子部品の 熱によって発生する熱応力の影響を小さく えることができる。
 また、特開平8-51172号公報は、W-Cu系複合材 やMo-Cu系複合材料を使用する部品の製造方法 や加工性について記載したものである。これ らの材料はWやMoの配合量がCu量よりも多いの 硬度が高く、延性に乏しいため切削加工が される。その切削性も決して良好ではない プレス加工は可能であるものの、プレス加 度は小さく抑えられ、製造される形状は円 や矩形平板等の単純なものに限定される。
 そのプレス加工が可能なMo-Cu系複合材料の 合でも、熱間加工,冷間加工の後で熱処理仕 げ加工したものを使用する必要がある。大 な需要に対応する必要のある電子部品産業 おいては、その製造プロセスが長くなるこ による生産性低下やW,Mo等の高価な希少金属 を使用することによるコスト上昇などで問題 がある。
 また、析出硬化型の合金としてCr-Cu合金が られている。従来、鋳造-圧延法で製造したC r-Cu合金が溶接用電極材料(Cr含有量:25質量%未 )として使用されていた。
 特開2000-239762号公報は、Cr-Cu系合金について 、低熱膨張率と高熱伝導率を共に達成するた めの技術である。この技術は、2~50質量%のCr 含有するCu合金について、第2相として存在 るCr相のアスペクト比を10以上とすることに って、複合則から予想されるよりも低い熱 張率を得ることが可能になるというもので る。しかしながら、製造方法は溶解鋳造法 前提としているので、開示されている方法 はCr含有量が増加すると、融点が高くなる 、凝固偏析により均質な合金の製造が困難 ある。そのため、特開2000-239762号公報の実施 例には30質量%を超えるCrを含有させる例は開 されていない。また、具体的な部品の形状 製造方法等に関する記載はなく、プレス加 性等に及ぼす不純物の影響に関する記載も い。
 最近では粉末冶金法によって製造したもの 電気接点材料(Cr含有量:25~60質量%)として使 されている。粉末冶金法によって製造したCr -Cu合金を電子部品用放熱部品として使用する 技術は、特開2005-330583号公報に開示されてい 。
 しかしながら、特開2005-330583号公報に開示 れたCr-Cu合金材は、加工性の点でさらに改良 すべき問題点があった。

 本発明の目的は,電子部品から発生する熱を 速やかに放散して電子部品の特性の劣化を防 ぐために、電子部品の熱膨張率と近似する熱 膨張率を有し、かつ熱伝導率が大きいCr-Cu合 を用い、複雑な形状でも冷間プレス加工を 体にして製造プロセスを簡略化することに り、経済的で生産性が高く、しかも安定供 できる高精度の電子部品用放熱部品、およ これを備えた電子部品用ケース、電子部品 キャリアまたは電子部品パッケージを提供 るものである。
 本発明は、粉末冶金法を適用して製造したC r-Cu合金に加工を施して得たCr-Cu合金板を冷間 プレス加工した成形体を用いる。この成形体 は、Cr含有量が30質量%より多く、80質量%以下 残部がCuおよび不可避的不純物からなる。 た成形体の不可避的不純物は、O:0.15質量%以 ,N:0.1質量%以下,C:0.1質量%以下,Al:0.05質量%以 ,Si:0.10質量%以下とされる。このような成形 を突起部または溝部を有する板形状、その 所定形状に加工して電子部品用放熱部品に いる。
 なお、冷間プレス加工に供する前のCr-Cu合 板には、Cu相に長径100nm以下かつアスペクト 10未満の粒子状Cr相が20個/μm 2 以上の密度で分布することが好ましい。
 さらに、粉末冶金法で製造した冷間圧延ま は温間圧延を施しCr-Cu合金を使用する場合 は、そのCr-Cu合金圧延板の長径100nmより大き Cr相のアスペクト比は、1.0より大きく、100 満であることが好ましい。また、そのCr-Cu合 金板のCr相が、Cr-Cu合金板の厚さ方向1mmあた 200個以下であることが好ましい。
 また本発明の電子部品用ケースは、上記し いずれかの電子部品用放熱部品を一部に取 けて形成される。また本発明の電子部品用 ャリアは、上記いずれかの電子部品用放熱 品を一部に取付けて形成される。
 また本発明のメタルウォールパッケージは 上記したいずれかの電子部品用放熱部品が 体に用いられ、該基体および金属枠体を具 している。また本発明のセラミックウォー パッケージは、上記したいずれかの電子部 用放熱部品が基体に用いられ、該基体およ セラミック枠体を具備している。
 本発明によれば、電子部品から発生する熱 速やかに放散させる電子部品用放熱部品を 価に得ることができる。しかも本発明の電 部品用放熱部品は、電子部品を搭載するに した熱膨張率と高い熱伝導率を兼ね備えて るので、従来の電子部品用放熱部品に代わ て、種々の用途に適用できる。また、加工 がよいので、冷間プレス加工を主体とした 造プロセスを簡略化することができる。

 本発明の目的、特色、および利点は、下記 詳細な説明と図面とからより明確になるで ろう。
電子部品用放熱部品の例を模式的に示 斜視図である。 電子部品用放熱部品の例を示す平面図 ある。 図1における電子部品用放熱部品のセク ションLおよびセクションMを拡大した写真で る。 比較例1のセクションLおよびセクショ Mを拡大した写真である。 電子部品用放熱部品の他の例を示す断 写真である。 図5のセクションNを拡大した写真であ 。 本発明の一実施形態のメタルウォール パッケージの構造を示す斜視図である。 本発明の一実施形態のメタルウォール パッケージの構造を示す断面図である。 本発明の他の実施形態のセラミックウ ォールパッケージの構造を示す斜視図である 。 本発明の他の実施形態のセラミックウ ォールパッケージの構造を示す断面図である 。

 以下図面を参考にして本発明の好適な実施 態を詳細に説明する。
 本発明の実施形態について具体的に説明す 。まず、本発明における成分の限定理由に いて述べる。
 Cr(クロム)は、本発明で使用するCr-Cu合金に いて、低熱膨張率を達成するための重要な 素である。電子部品用放熱部品に必要な低 膨張率(約14×10 -6 /K以下)とするためには、30質量%を超える量の 添加が必要である。一方、80質量%を超えると 、熱伝導率が低下し、電子部品用放熱部品と して十分な放熱特性が得られない。本発明で は、Crの原料をCr粉末として、粉末冶金法に って得たCr粉末の焼結体、あるいはCr粉末とC u粉末とを混合した混合粉の焼結体に、必要 応じてCu(銅)を溶浸させることによって、30 量%超えるCrを均一に含有するCr-Cu合金板の製 造が可能になった。粉末冶金法を採用するこ とによって、パワー半導体に用いるような大 きい電子部品用放熱部品から電子部品キャリ アに取付けるような小さい電子部品用放熱部 品まで、組織が均一で品質の安定した電子部 品用放熱部品を製造することができる。
 使用するCrは、純度99質量%以上のものが好 しい。また、Cr粉末中の不可避的不純物は、 溶浸体(すなわちCr-Cu合金)の加工性向上の観 から、可能な限り低減することが好ましい であるが、特にO(酸素),N(窒素),C(炭素),Al(ア ミニウム),Si(珪素)は、加工性に多大な影響 及ぼし、大きい加工を施す場合は、Cr-Cu合金 板としてO含有量を0.15質量%以下,N含有量を0.1 量%以下,C含有量を0.1質量%以下,Al含有量を0.0 5質量%以下,Si含有量を0.1質量%以下とすること が重要であることを見出した。好ましくは、 N含有量を0.10質量%以下,C含有量を0.10質量%以 とするのがよい。より好ましくは、O含有量 0.08質量%以下,N含有量を0.03質量%以下,C含有 を0.03質量%以下,Al含有量を0.03質量%以下,Si含 量を0.05質量%以下とするのがよい。
 また、その他の不可避的不純物として、S( オウ)含有量を0.03質量%以下,P(リン):0.02質量% 下,Fe(鉄):0.30質量%以下が許容される。ただ 不可避的不純物は、これらの元素に限定す ものではない。
 Alテルミット法でCr原料を製造する場合は、 他の製法より多くAlがCr粉末に混入する可能 がある。Alは、Cr-Cu合金において一部はCu中 固溶する。残りのAlは酸化物粒子として混入 し、その酸化物がCr-Cu合金板の冷間プレス加 性を劣化させることが判明した。SiもAlと同 様に冷間プレス加工性を劣化させる上、Cu中 固溶したSiはCuの熱伝導率を大きく劣化させ る。したがってAl,Siは、電子部品用放熱部品 して好ましくない元素であり、その含有量 上記した範囲に抑えることが好ましい。
 CとNは、Crと結合して炭化物や窒化物を形成 し、Cr-Cu合金板の延性を著しく低下させ、Oも 一部Cu中へ固溶して熱伝導率を低下させると もに、Crと結合して酸化物を形成すること より、Cr-Cu合金板の熱特性と延性を劣化させ る。したがって、C,N,Oの含有量は上記した範 に抑えることが好ましい。
 Cr粉末は、得られるCr-Cu合金の均一性の観点 から、粒度250μm以下(JIS規格Z8801-1:2006に規定 れる公称目開き寸法)とすることが好ましい ただしCr粉末の粒度が小さくなると、表面 が増大して酸化し易くなり、冷間圧延やプ ス加工等の十分な冷間加工性を得ることが 難になる。したがって、より好ましくは10μm 以上がよい。
 ここで、粒度250μm以下とは、JIS規格Z2510:2004 に準拠する篩分けによって、目開き250μmの篩 を通過しない粒子を除去したことを意味する 。また、粒度10μm以上とは、同じく、目開き1 0μmの篩を通過した粒子を除去したことを意 する。より好ましい粒度範囲は30~200μmがよ 、50~200μmの範囲が一層好ましい。
 さらにCr粉末の粒度分布が狭いほど、Cr粉末 の密度偏析や粒度偏析を抑えることができ、 Cr-Cu合金の組成のばらつきを小さくすること 可能となり、ひいては熱特性(すなわち熱膨 張率,熱伝導率)のばらつきも抑えることがで る。したがって、Cr粉末の粒度分布は狭い が好ましい。
 また、Cr粉末とCu粉末を混合して焼結してCr- Cu合金を製造する場合、あるいはさらに必要 応じて焼結体にCuを溶浸してCr-Cu合金を製造 する場合には、使用するCu粉末の粒度も、Cr 末の粒度と同じ範囲とすることが好ましい
 Crは、W(タングステン),Mo(モリブデン)と同じ く周期表のVIa族に属する金属であり、熱膨張 率が低く、Cuへの固溶度が低い上に、粉末化 容易である。そのため、Crを用いてW-Cu系と 様の複合材料系合金を粉末冶金法で製造す ことが可能である。ただしCrは、W,Moと比べ と、熱膨張率,熱伝導率ともにわずかに劣っ ている。つまり、Wの熱膨張率,熱伝導率は4.5 10 -6 /K,168W/m・Kであり、Moの熱膨張率,熱伝導率は5. 2×10 -6 /K,142W/m・Kであるのに対して、Crの熱膨張率, 伝導率は6.2×10 -6 /K,67W/m・Kである。
 一方でCrは、W,Moのような希少な金属ではな ので経済的に優れており、かつ密度が低い いう利点を有する。W,Moの密度はそれぞれ19. 3g/cm 3 ,10.2g/cm 3 であるのに対して、Crの密度は7.19g/cm 3 である。Crの密度はCuの密度(8.96g/cm 3 )よりもさらに低い。
 Cr-Cu合金を製造するにあたって、原料とな Cr粉末を単独で型に充填する方法は特に限定 せず、自然充填,押込充填,振動充填,エアータ ッピング等の様々な充填方法を使用できる。 ここで、自然充填はCr粉末を自然落下させて に充填する方法、押込充填はCr粉末に運動 ネルギーを付加しながら型に充填する方法 振動充填は型を振動させながらCr粉末を充填 する方法、エアータッピングはエアーを吹込 んでCr粉末を振動させながら型に充填する方 であり、これらの方法を適宜選択すること よって、型内の充填密度を変化させること できる。充填した後、必要に応じて加圧成 し、充填したままのCr粉末あるいは加圧成 した成形粉体を焼結する。
 充填したままのCr粉末を焼結する場合は、Cr 粉末を型に充填した状態で焼結炉に装入する 。したがって、型はCr粉末の焼付きを防止す ため表面にセラミックス等からなる被覆層 有するものが好ましい。
 Cr粉末を加圧成形した成形粉体を焼結する 合は、型から成形粉体を取出して焼結炉に 入するので、金属製の型を使用しても焼付 の問題は生じない。なお、加圧成形する成 工程では、使用するCr粉末の充填性や密度の 目標値に応じて圧力を調整しながら成形する 。
 Cr粉末を焼結して得た焼結体に溶浸させるCu は、工業的に製造されるタフピッチ銅,りん 酸銅,無酸素銅等の金属Cu板、あるいは電解 粉,アトマイズ銅粉等のCu粉末を使用するこ が好ましい。Cu中の不可避的不純物がCr粒と 粒界等に拡散すると冷間や温間での圧延性 低下するので、Cuの不可避的不純物は低く える必要がある。
 焼結体にCuを溶浸させるためには、焼結体 気孔を有する必要がある。好ましい気孔率 しては、水銀圧下法(JIS規格R1655:2003)で得ら る値で15~65体積%程度である。なおCrとCuとの 合粉を用い、さらに十分な加圧を行ない、C uを溶浸する必要のない焼結体には、ほとん 気孔は存在しない。
 冷間プレス加工に冷間圧延または温間圧延 たCr-Cu合金板を供する場合、冷間圧延また 温間圧延によって偏平したCr相の平均アスペ クト比が1.0より大きく、100未満であることが 好ましい。平均アスペクト比が1.0以下では、 熱膨張率の低減効果が得られない。一方、100 以上とするには圧延回数が多くなり、生産性 が低下する上、電子部品用放熱部品の製造に 要求される平坦なCr-Cu合金板を得ることが困 になる。
 なお、ここでアスペクト比を規定するCr相 、原料のCr粉末がCr-Cu合金板中に残留する部 のCr相を指す。またアスペクト比とは、Cr-Cu 合金板の偏平したCr相の長径が最大となる方 を含む厚さ方向の断面を光学顕微鏡で観察 、測定したL 1 とL 2 とを用いて下記の(1)式で算出される値である 。L 1 とL 2 とは、観察した視野に全体が入っているCr相 ついて測定する。また複数のCr相が合体し いるように見えるものは、複数のCr相に分解 し、分解した各Cr相のアスペクト比を求める そして、50~100倍の光学顕微鏡で観察した任 の1視野の平均値を求める。
  アスペクト比=L 1 /L 2                      …(1)
 なお(1)式において、L 1 はCr-Cu合金の厚さ方向を含む断面のうち、偏 したCr相の長径が最大となる方向を含む断 において長径が最大となる方向の最大長さ 指し、L 2 はCr-Cu合金の厚さ方向を含む断面のうち、偏 したCr相の長径が最大となる方向を含む断 において厚さ方向の最大長さを指す。冷間 延または温間圧延を施して得られるCr-Cu合金 の場合には、上記の偏平したCr相の長径が最 となる方向は圧延方向である。また、2方向 への圧延を行なう場合には、2方向のうち偏 したCr相の長径が最大となる圧延方向である 。
 本発明では、溶浸体のまま、あるいは溶浸 に均質化あるいは時効を目的として熱処理 施した後、容易に冷間圧延または温間圧延 可能である。さらに必要に応じて軟質化あ いは時効を目的として熱処理を施す。これ の時効熱処理や冷間圧延または温間圧延に って、熱膨張率を低減することができる。 だし、その効果をより効果的に得るために 、冷間圧延または温間圧延にて総圧下率(す なわち100×〔t 0 -t〕/t 0 :t 0 は初期の板厚,tは圧延後の板厚)が10%以上の圧 下を付与することによって、1.0を超える平均 アスペクト比を有するCr相を生成させること 好ましい。
 原料としてはアスペクト比が1.0~2.0のCr粉末 使用することが好ましい。より好ましくは1 .0~1.5であり、さらに好ましくは1.0~1.2である ここでいうCr粉末のアスペクト比は、Cr粉末 個々のアスペクト比を平均した値であり、 体的にはたとえば紙面上にばらまいたCr粉 を上から観察し、個々の粒子の長径と短径 比を求めて算出した値であり、(1)式で定義 れるアスペクト比とは異なる。
 発明者らが検討した結果、圧下率の増加(す なわち偏平Cr相のアスペクト比の増大)ととも に、ハンダ付けの温度に比べて高温まで加熱 した後も低い熱膨張率が安定して保たれるよ うになることが分かった。このため、特に800 ℃を超える高温まで加熱されるロウ付けを行 なう場合には、圧下率を大きく設定すること が好ましい。高温に加熱した後の熱膨張率の 安定性という観点から圧下率は30%以上が好ま しく、より好ましい範囲は50%以上である。圧 下率から予測できるCr相のアスペクト比は、 下率が10%のときは1.1程度,圧下率30%のときが 1.4,圧下率50%のときが2.0,圧下率が90%のときが1 0程度,圧下率が99%のときが100程度となる。
 ただし、圧延後の平均アスペクト比を実測 ると、上記の値の通りにならないことも多 、しばしば予測値よりも大きい値となる。 明者らが多くの実験から実測される平均ア ペクトを求めたところ、圧下率80%の場合で2 0~24であった。この値は、上記に従う予測値(= 5.0)より大きく、予測値の2乗(=25)より小さか た。そのため実際には、たとえば圧下率30% ときに1.4の2乗程度,圧下率50%のときに2.0の2 程度の平均アスペクト比を上限とする範囲 ばらつきを持つと考えられる。一方、99%を える圧下を付与するためには、冷間圧延ま は温間圧延でのパス回数が顕著に増大し、 間圧延または温間圧延に長時間を要するの 、電子部品用放熱部品の生産性が著しく低 する。したがって、99%以下の圧下を付与す ことが好ましい。ただし90%を越えての圧下 付与すると溶浸体の端部に割れが生じ易く り、歩留りの低下を招く。したがって、90% 下の圧下を付与することが一層好ましい。
 また、偏平したCr相の密度はCr-Cu合金の厚さ 方向に1mmあたり200個以下であることが好まし い。厚さ方向に200個/mmを超えるCr相が存在す と、厚さ方向の熱伝導率が著しく低下し、 子部品用放熱部品としての十分な放熱特性 得られないという傾向があるからである。 ましくは100個/mm以下である。なお、Cr-Cu合 の一様性の観点から10個/mm以上とすることが 一層好ましい。
 また発明者らは、Cr-Cu合金のO,N,Cの含有量を 低減すれば、冷間での加工性が著しく向上す るという知見を得た。すなわち、Cr-Cu合金のO 含有量を0.08質量%以下,N含有量を0.05質量%以下 ,C含有量を0.05質量%以下とすることによって 30%以上の圧下を加えたときのCr-Cu合金の割れ が大幅に減少することを見出した。さらに、 Cr-Cu合金のO含有量を0.03質量%以下,N含有量を0. 02質量%以下,C含有量を0.01質量%以下とするこ によって、60%以上の圧下を加えたときのCr-Cu 合金の割れを抑制できることを見出した。さ らに、40~300℃の温度範囲で温間圧延すること により、80%以上の大きい圧下を加えても割れ のない良好なCr-Cu合金を得ることが可能であ ことを見出した。さらに、複雑な形状や段 のついた形状に冷間プレス加工する場合は Cr-Cu合金のO,N,Cの含有量に加えて、AlとSiの 有量を制御することにより割れを制御でき ことを見出した。
 一方、Cuを焼結体に溶浸する際、CrはCu中に0 .1~2.0質量%程度固溶する。溶浸後あるいは、 間圧延または温間圧延の前の溶体化熱処理 に600℃/分未満(より好ましくは30℃/分以下) 平均冷却速度で冷却し、さらに冷間プレス 工前か後のどちらかに500~750℃の温度範囲で 効熱処理することにより、そのCu相中に固 したCrを長径100nm以下かつアスペクト比10未 の粒子状Cr相として析出させると、熱膨張率 を低減することが可能となる。
 このように本発明は、粉末冶金法と冷間プ ス加工を組み合わせて、均一な熱特性を有 る電子部品用放熱部品を経済的に製造する Cr粉末を焼結して多孔質とした後,Cuを溶浸 ることによってCrを30質量%超え80質量%以下含 有する溶浸体とし、その溶浸体(Cr-Cu合金)か 余分なCuを除去し、切削加工,研削加工,研磨 工,冷間圧延加工,熱間圧延加工,温間圧延加 ,押し出し加工,引き抜き加工,鍛造加工から ばれる1種または2種以上の加工を施して、Cr -Cu合金板に仕上げて冷間プレス加工を行なう ことによって電子部品用放熱部品、特に段差 の付いた(突起部または溝部を有する)形状に 形した電子用放熱部品を製造する。さらに れを使用した電子部品用のケース、キャリ およびパッケージを製造する。
 熱膨張率低減のため、溶浸後から冷間プレ 加工までの間に溶体化熱処理を行ない、こ 溶体化熱処理後に600℃/分未満の平均冷却速 度で冷却し、冷間プレス加工の後に500~750℃ 温度範囲で時効熱処理する。さらに必要に じて溶浸した後、均質化あるいは時効を目 とした熱処理を300~1050℃の温度範囲で行なっ た後、冷間圧延または温間圧延により圧下を 加えてCr-Cu合金板を製造し、そのCr-Cu合金板 冷間プレス加工することによって電子部品 放熱部品、特に段差の付いた形状に成形し 電子部品用放熱部品を製造する。
 あるいは、Cr粉末とCu粉末とを混合・焼結し 、さらに必要に応じてCuを溶浸することで、C rを30質量%超え80質量%以下含有する溶浸体(Cr-C u合金)とし、その溶浸体から余分なCuを除去 、切削加工,研削加工,研磨加工,冷間圧延加 ,熱間圧延加工,温間圧延加工,押し出し加工, き抜き加工,鍛造加工から選ばれる1種また 2種以上の加工を施して、Cr-Cu合金板に仕上 て冷間プレス加工を行なうことによって電 部品用放熱部品、特に段差の付いた(突起部 たは溝部を有する)形状に成形した電子部品 用放熱部品を製造する。
 また熱膨張率低減のため、溶浸後から冷間 レス加工までの間の溶体化熱処理の後に600 /分未満の平均冷却速度で冷却し、冷間圧延 または温間圧延の後に500~750℃の温度範囲で 質化あるいは時効を目的とした熱処理を行 う。さらに必要に応じて溶浸した後、冷間 延または温間圧延の前に均質化あるいは時 を目的とした熱処理を300~1050℃の温度範囲で 行なった後、冷間圧延または温間圧延により 圧下を加えてCr-Cu合金板を製造する。このCr-C u合金板を冷間プレス加工することによって 子部品用放熱部品、特に段差の付いた形状 成形し電子部品用放熱部品を製造する。
 本発明の電子部品用放熱部品は、上記した うに、溶浸後あるいは、冷間圧延または温 圧延の前の溶体化熱処理後に600℃/分未満( り好ましくは30℃/分以下)の平均冷却速度で 却し、さらに冷間プレス加工を施した後500~ 750℃の温度範囲で時効熱処理することにより 、100nm(ナノメートル)を超えるCr相を除いたCu 中に長径100nm以下でアスペクト比10未満の粒 子状Cr相を20個/μm 2 以上の密度で析出させた組織を有することが 好ましい。
 また、冷間プレス加工前に冷間圧延または 間圧延して10%以上の圧下を加えることによ 、100nmを超えるCr相のアスペクト比が1.0超え 100未満である組織を有する。さらに、このよ うな偏平したCr相の密度が、Cr-Cu合金の厚さ 向に1mmあたり200個以下であることが好まし 。
 一方向に圧延する場合は、圧延方向と平行 L方向の熱膨張率が大きく減少するので、面 内異方性を生じるが、長方形など異方性のあ る形状の素子等に適用する場合、その長手方 向とCr-Cu合金板の圧延方向を揃えて使用する とによって、相手材との接合による熱応力 小さく抑制することが可能である。
 一方、クロス圧延のように、2つ以上の方向 (たとえば直交する2方向)に圧延することによ って、熱膨張率の異方性が小さいCr-Cu合金板 得ることも可能である。熱膨張率の異方性 小さいCr-Cu合金板は、正方形の素子など異 性の小さい部品に適用するのに好適である
 圧下率が10%未満では、温間圧延によってCr が熱膨張率の低減に有利な方向に配向しな 。そのため、熱膨張率の低減効果が現われ い。
 冷間プレス加工において、製品を金型から き出す際に抜き方向にバリが発生すること ある。その場合はアルミナの砥粒などをメ ィアとしたバレル研磨によりバリを除去す ことができる。また、表面に電子部品を実 する電子部品用キャリアやサブマウントと て使用する場合は、電子部品とハンダ接合 るために通常電解ニッケルメッキあるいは 電解ニッケルメッキ後金メッキを行なう。 た金属パッケージ、セラミックパッケージ 樹脂パッケージなどの電子部品用パッケー に収容されて使用される場合は、通常アル ナなどのセラミック材やコバールなどの低 膨張金属材などで成形された相手材とロウ けするために無電解ニッケルメッキされ、 ウ付けした後、金メッキ処理して電子部品 パッケージを製作する。なお、上記した500~ 750℃の温度範囲での時効熱処理は、これらは ハンダ付けやロウ付けの前の、ニッケルメッ キ処理の後に行なうことができ、Cr-Cu合金材 ニッケルメッキの密着性を向上させ、しか メッキ剥離や膨れなどの有無を確認してメ キ品質の確認を行なうことができる。
 また、温間でプレス加工することで加工性 さらに改善され、複雑な形状の放熱部品を レス成形できる可能性がある。
 以下、本発明の実施形態にかかる電子部品 ケースについて、半導体素子5を搭載した電 子部品用ケース(以下、半導体用ケースとも う)を添付図面に基づき詳細に説明する。
 本発明の半導体用ケースは、電子部品用放 部材(以下、半導体用放熱部品とも言う)か なり、一主面に半導体素子5が搭載されるべ 搭載部を有する基体1と、搭載部を囲繞する ように設けられた枠体2と、を具備する。基 1として前述した本発明の半導体用放熱部品 用いることが好ましい。
 この場合、半導体用放熱部品は、熱特性だ でなく、平面度,平行度など高い寸法精度を 有するため、本発明の半導体用ケースは、半 導体素子5から発生する熱を速やかに放散さ ることができるとともに、半導体素子5を外 から遮断し劣化を抑制することができる。
 以下、半導体用ケースの一例として、メタ ウォールパッケージおよびセラミックウォ ルパッケージについて説明する。
 図7Aは、本発明の一実施形態のメタルウォ ルパッケージの構造を示す斜視図である。 7Bは、本発明の一実施形態のメタルウォール パッケージの構造を示す断面図である。この ように、本実施形態のメタルウォールパッケ ージは、上側主面に半導体素子5が搭載され べき搭載部を有する基体1と、搭載部を囲繞 るように設けられた金属枠体2と、を具備す る。ここで、金属枠体2は、その側部に開口 が設けられており、その開口部にはセラミ ク端子3を取付けるための取付部2aが形成さ ている。
 また、取付部2aには、金属枠体2の内外を電 的に接続する配線3aを有するセラミック端 3が取付けられている。なお、図7Aにおいて 配線3aにはわかり易くするためにクロスハッ チを施しているが、これは断面を示すもので はない。
 基体1の少なくとも搭載部には、半導体用放 熱部品が用いられている。基体1は、セラミ ク端子3,金属枠体2,半導体素子5と熱膨張率が 近似することから、基体1と金属枠体2との熱 張差に起因して、セラミック端子3に作用す る応力を抑制できる。その結果、半導体用ケ ースにクラック等の破損が発生することを抑 制し、半導体用ケースの内部を気密に保持す ることができる。
 また、基体1と金属枠体2との間に発生する 膨張差を小さいものとできるため、基体1に り変形が生じることを抑制できる。
 さらに、基体1と半導体素子5との間でも、 者の熱膨張差を小さいものとできるため、 導体素子5が熱応力によって破損することを 制できる。
 金属枠体2を構成する材料は、Fe-Ni-Co合金(例 えばKovar:Fe-29質量%Ni-17質量%Co),Fe-Ni合金(例え 42ニッケル:Fe-42質量%Ni)等の金属からなり、 ラミック端子3は、アルミナセラミックス等 セラミックスからなる。
 なお、上記した説明では、半導体用放熱部 からなる基体1の上面に半導体素子5を搭載 る例を示したが、これに限定されるもので なく、図7Bに示すように、半導体素子5を、 記した半導体用放熱部品を一部に取付けた 導体用キャリア6の上面に搭載しても良い。
 この場合、半導体素子5をセラミック端子3 配線3aの位置にあわせて所定の高さに設置す ることができるとともに、作動時に半導体素 子5から発生する熱を半導体用キャリア6に伝 て効率良く放散させることができる。この 導体用キャリア6および基体1には、図1に示 ように、半導体用放熱部品から成る板形状 Aと半導体用放熱部品から成る板形状材Bを 々に加工し、メッキした上で、はんだやロ 付けで接合して製造した構造物を用いるこ ができるし、半導体用放熱部品を冷間プレ することによって得られた図1の板状部材Aに 対応する突起形状を有する構造物を用いるこ ともできる。
 その後、基体1の上側主面に半導体素子5を 載し、半導体素子5の電極と配線3aとをボン ィングワイヤ等によって電気的に接続する そして、金属枠体2の上面に蓋体4を取付けて 電子装置とする。
 本発明にかかる電子装置は、基体1が本発明 の半導体用放熱部品からなるため、半導体素 子5から発生する熱を効率良く外部に放散さ ることができ、かつ、半導体用ケースの内 に熱がこもり、半導体素子5の作動性が低下 ることを抑制できる。
 図8Aは、本発明の他の実施形態のセラミッ ウォールパッケージの構造を示す斜視図で る。また図8Bは、本発明の他の実施形態のセ ラミックウォールパッケージの構造を示す断 面図である。このようにセラミックウォール パッケージは、上記したメタルウォールパッ ケージの金属枠体2に代えて、セラミック枠 2Aを使用する。
 この場合、上記したメタルウォールパッケ ジの効果に加え、セラミック端子3にセラミ ック枠体2Aの機能を付加することも可能とな 。すなわち、少ない部品点数で半導体用ケ スを構成できる。
 また、基体1は、セラミック枠体2A,半導体素 子5と熱膨張係数が従来よりも近似すること ら、上記したメタルウォールパッケージの 合よりも、熱膨張係数を調節すべき部材点 が少ないため、容易に半導体用ケースを作 することができる。
 さらに、基体1とセラミック枠体2Aとの間に 生する熱膨張差を従来よりも低減できるた 、基体1に反り変形が生じることを抑制でき る。
 なお、セラミック枠体2Aの材質は、従来か 周知のアルミナセラミックス等のセラミッ スを用いることができるため、原料が安価 安定供給が可能な半導体用ケースを提供す ことができる。
 また、本発明において半導体用放熱部品に 載される電子部品として、光通信,高周波通 信およびその他用途に用いられる各種半導体 を例にしたが、半導体に限ることは無く、そ の他の発熱性の各種電子素子、例えば抵抗発 熱体や電子管等にも用いることができる。ま た、外部の熱を内部に搭載されたセンサー素 子に検知させる用途等にも用いることができ る。
(実施例1)
 電気炉精錬法で製造した粒度150μm以下の金 Cr粉末をアルミナ容器の中に重力により自 充填し、これを水素中で1500℃,60分保持して 形焼結体(気孔率42体積%)を得た。得られた 形焼結体の上面に無酸素銅の板を載せて真 中で1200℃,30分保持して銅を溶浸させた後、1 200℃から200℃まで45分間かけて冷却(平均冷却 速度22℃/分)し、Cr:52.5質量%,Cu:47.5質量%からな る66×66×4mmの溶浸体とした。その溶浸体から 面のCuを除去する目的でフライス(切削)加工 を行ない、さらに両面を研削加工して66×66×3 mmのCr-Cu合金板を製作した。その板の分析を なった結果は、O含有量:0.10質量%,N含有量:0.01 質量%,C含有量:0.02質量%,Al含有量:0.01質量%,Si含 有量:0.02質量%,P含有量:0.01質量%以下,S含有量:0 .01質量%,Fe含有量:0.11質量%であった。これを 明例1とする。
 その板に冷間プレス加工を施して、図2に示 すような、半径4.2mmの半円形の切欠き部を有 、かつ60.5×60.5×3mmの大きさで、四隅に辺か 7mmの距離に直径8.2mmの貫通穴を設けた半導 用放熱部品を製造した。図2中のセクションL およびセクションMを拡大して観察したとこ 、図3に写真を示すように、特に異常は認め れなかった。また半導体用放熱部品の反り 有無をダイヤルゲージによる方法で測定し 結果、最大で10μmと良好な平面が得られて ることを確認した。さらに、電解ニッケル ッキ処理を行ない厚さ5μmのメッキ層を形成 、その後、真空中550℃,30分保持して時効熱 理を行なった。その時効熱処理を行なった の半導体用放熱部品の外観を観察したとこ 、メッキの剥離や膨れは認められず良好で った。
 次いで、この半導体用放熱部品上に30×55mm DBA基板を2個載せて、到達温度245℃となるリ ロー処理によってハンダ付け(ハンダ材質:Sn -3質量%Ag-0.5質量%Cu)を行なった。得られた電 部品の熱衝撃試験(加熱温度:-40℃,120℃,保持 間:5分)を行なった。熱衝撃試験はWINTEC LT20 液槽式熱衝撃試験器(楠本化成製)を使用し 。試験が終了した後、超音波探傷によって ラックの有無を調査した。この電子部品は 電流の通電と停止とを3000サイクル繰り返し 後、接合界面における剥離やクラックは認 られなかった。
 また半導体用放熱部品から試験片形状を切 出し、常温から200℃までの平均熱膨張率と ーザーフラッシュ法により常温の熱伝導率 測定した。その結果、それぞれ10.8×10 -6 /K,180W/m・Kであった。
 これによってパワーデバイス半導体などに われる半導体パッケージのベースとして使 できることが確かめられた。
 このベースの断面組織を調査したところ、 効熱処理によりCu相に2次析出した粒子状Cr の平均粒径は22nmであり、長径100nm以下の粒 状Cr相について単位面積当たりの個数は75個/ μm 2 (以下、析出密度と言う)、アスペクト比は、 大で4.1,平均で1.6であった。すなわち、Cr相 ナノメ-トルレベルでの析出をしていること が確かめられた。
 なお、この析出密度を測定した装置および 条件は下記のとおりである。組織写真の撮 装置は、日立製作所FE-SEM(型番S-4800)である 撮影条件は、加速電圧3kVであり、倍率は100,0 00倍である。視野サイズは1270×890nmである。 ッチング条件は以下のとおりである。蒸留 80mlに対し、2クロム酸カリウム10g,硫酸(96%)5ml ,塩酸1~2滴を溶解混合した溶液中に室温で、3~ 15秒浸漬した後、水洗し乾燥を行なった。
 比較例1として、発明例1と同じ粉末,同じ方 にて粉末充填したものを水素中1500℃,60分に て焼結し、さらに水素中で1200℃,30分保持し 銅を溶浸させた、その後は発明例1と同じ条 ,同じ方法にて、図2に示す形状の半導体用 熱部品を製造した。その分析結果は、O含有 :0.16質量%,N含有量:0.01質量%,C含有量:0.02質量% 、Al含有量:0.01質量%,Si含有量:0.01質量%,P含有 :0.01質量%,S含有量:0.01質量%,Fe含有量:0.11質量% であった。これはO含有量が本発明の範囲を れる例である。図4は、比較例1の半導体用放 熱部品のセクションLおよびセクションMを拡 した写真であるが、外周部にクラックが発 していた。
 比較例2としてAlテルミット法で製造した粒 150μm以下の金属Cr粉末を使用したこと以外 発明例1と同じ方法,同じ条件にて、図2に示 形状の半導体用放熱部品を製造した。その 析結果は、O含有量:0.04質量%,N含有量:0.01質量 %,C含有量:0.01質量%,Al含有量:0.02質量%,Si含有量 :0.11質量%,P含有量:0.01質量%以下,S含有量:0.01質 量%以下,Fe含有量:0.12質量%であった。これはSi 含有量が本発明の範囲を外れる例である。比 較例2の半導体用放熱部品には、肉眼でも外 部にクラックが認められた。
 比較例3としてAlテルミット法で製造した粒 150μm以下の金属Cr粉末(比較例2とは異なる) 使用したこと以外は発明例1と同じ方法,同じ 条件にて、図2に示す形状の半導体用放熱部 を製造した。その分析結果は、O含有量:0.01 量%,N含有量:0.01質量%,C含有量:0.01質量%,Al含有 量:0.09質量%,Si含有量:0.10質量%,P含有量:0.01%以 ,S含有量:0.01%以下,Fe含有量:0.04質量%であっ 。これはAl含有量が本発明の範囲を外れる例 である。比較例3の半導体用放熱部品には、 眼でも外周部にクラックが認められた。
(実施例2)
 電気炉精錬法で製造した粒度150μm以下の金 Cr粉末をアルミナ容器の中に重力によって 然充填し、これを水素中で1500℃,60分保持し 成形焼結体(気孔率42体積%)を得た。得られ 成形焼結体の上面に無酸素銅の板を載せて 空中で1200℃,30分保持して銅を溶浸させた後 1200℃から200℃まで45分間かけて冷却(平均冷 却速度22℃/分)し、Cr:52.5質量%,Cu:47.5質量%から なる溶浸体とした。その溶浸体に真空中600℃ ,1時間保持で時効熱処理を施した。その後、 面のCuを除去する目的でフライス加工を行 い、厚さ4mmのCr-Cu合金板を製作した。このCr- Cu合金板に冷間圧延を行なって、厚さ1.26mmま 圧下(圧下率:69%)した。圧下率から見積もら るCr相のアスペクト比は、約3.6~13の範囲内 ある。冷間圧延後のCr-Cu合金板の分析を行な った結果は、O含有量:0.02質量%,N含有量:0.01質 %,C含有量:0.01質量%,Al含有量:0.01質量%以下,Si 有量:0.01質量%以下,P含有量:0.01質量%以下,S含 有量:0.01質量%以下,Fe含有量:0.14質量%であった 。これを発明例2とする。
 その板に冷間プレス加工を施して、図1に示 すような、段差付きの半導体用放熱部品を一 体的に製作した。すなわち、厚さ1.26mmの板を まず4.5×4.5mmより外周の部分を0.26mmまで潰し その後10×10mmの大きさに外周を抜いて段差付 きの形状にした。図5にその断面写真を示す 図5中のセクションNを拡大して観察したとこ ろ、図6に写真を示すように割れもなくCr-Cu合 金が大きな延性を示していることが確認でき た。
 この半導体用放熱部品の上面(4.5×4.5mm)およ 底面(10×10mm)のJIS規格B0021:1998に規定される 面度、ならびに両面の同じくJIS規格B0021:1998 規定される平行度を形状測定器と3次元測定 機によりそれぞれ測定した。その結果、上面 の平面度は2μm、底面のそれは3μmで、平行度 0.01mm以下であった。また上面の表面粗さを 定したところ、JIS規格B0601-1982に記載される 最大高さRmax:0.8μm,中心線平均粗さRa:0.11μmで った。これにより半導体用放熱部品として 間プレス加工の形状のまま使用できること 確認した。
 さらに、冷間プレス加工した後バリの除去 目的として、アルミナを主成分としたメデ アを用いて乾式で振動バレルを30分実施し バリを完全に除去した。その後、無電解ニ ケルメッキ処理を行ない厚さ3μmのメッキ層 形成し、その後、真空中600℃,30分保持にて 効熱処理を行なった。その時効熱処理後の 導体用放熱部品の外観を観察したところ、 ッキの剥離や膨れは認められなかった。
 さらに金メッキ処理を行ない厚さ1μmのメッ キ層を形成した。その後4.5×4.5mmの上面にGaAs 導体を搭載し、到達温度310℃となるリフロ 処理によって金-錫ハンダ付け(Au-20Sn)で接合 した。この半導体は、割れのない健全な接合 が得られた。
 これによって半導体用放熱部品として使用 きることが確かめられた。この半導体用放 部品(4.5×4.5mmより内側部分)の断面組織を観 したところ、Cr相のアスペクト比は10であり 、偏平したCr相の密度は、Cr-Cu合金の厚み方 の1mmあたり25個であった。また発明例1と同 の方法で、時効熱処理によりCu相に2次析出 た粒子状Cr相の平均粒径は20nmであり、長径10 0nm以下の粒子状Cr相の析出密度は80個/μm 2 ,アスペクト比は最大で4.0,平均で1.5であった すなわち、Cr相がナノメ-トルレベルでの析 をしていることが確かめられた。
 また半導体用放熱部品から試験片形状を切 出し、レーザーフラッシュ法により常温の 伝導率を測定した。その結果、厚さ方向の 伝導率は約150W/m・K,面内の方向の熱伝導率 約200W/m・Kであり、いずれの方向も良好な熱 導率を有することを確認した。さらに常温 ら200℃までの圧延方向の平均熱膨張率を測 した結果、10.7×10 -6 /Kであった。さらにロウ付けにより組み立て れる半導体用ケースへの適用を確認するた 、常温から900℃までの平均熱膨張率を測定 たところ、11.5×10 -6 /Kであった。この値はコバールの平均熱膨張 に近く、Cr-Cu合金の圧延材により冷間プレ 加工した半導体用放熱部品と相手材である バール部品とロウ付けにより歪の少ない半 体ケースを組み立てることが可能であるこ が確認できた。
 発明例3として、電気炉精錬法で製造した粒 度150μm以下の金属Cr粉を用いて、発明例2と同 じ方法,同じ条件で溶浸体を作製し、その溶 体に真空中で600℃,1時間保持して時効熱処理 を施した。その後、表面のCuを除去する目的 フライス加工を行ない、厚さ4mmのCr-Cu合金 を作製した。このCr-Cu合金板に100℃にて温間 圧延を行なって、厚さ1.25mmまで圧下(圧下率:6 9%)した。圧下率から見積もられるCr相のアス クト比は約3.6~13の範囲内である。温間圧延 のCr-Cu合金板の分析を行なった結果は、O:0.0 2質量%,N:0.01質量%,C:0.01質量%,Al:0.01質量%以下,Si :0.01質量%以下,P:0.01質量%以下,S:0.01質量%以下,F e:0.14質量%であった。
 発明例3のCr-Cu合金板を、発明例2と同じ方法 ,同じ条件でプレス加工を行ない、図1に示す 状の半導体用放熱部品を製造したところ、 明例2と同様に割れもなく、半導体用放熱部 品として冷間プレス加工の形状のまま使用で きることを確認した。
 比較例4としてAlテルミット法で製造した粒 150μm以下の金属Cr粉末を使用したこと以外 発明例2と同じ方法,同じ条件にて、図1に示 形状の半導体用放熱部品を製造した。その 析結果は、O含有量:0.01質量%,N含有量:0.04質量 %,C含有量:0.01質量%,Al含有量:0.06質量%,Si含有量 :0.06質量%,P含有量:0.01質量%以下,S含有量:0.01質 量%以下,Fe含有量:0.04質量%であった。これはAl 含有量が本発明の範囲を外れる例である。比 較例4の半導体用放熱部品には、冷間プレス 工によって厚さ0.26mmに潰した際に、肉眼で 認できるクラックが発生していた。
 本発明は、その精神または主要な特徴から 脱することなく、他のいろいろな形態で実 できる。したがって、前述の実施形態はあ ゆる点で単なる例示に過ぎず、本発明の範 は特許請求の範囲に示すものであって、明 書本文には何ら拘束されない。さらに、特 請求の範囲に属する変形や変更は全て本発 の範囲内のものである。