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Patent Searching and Data


Title:
HEAT-SHRINKABLE POLYESTER FILM AND PROCESS FOR PRODUCING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/075333
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a heat-shrinkable polyester film whose main shrinkage direction is the machine direction. This film does not shrink in the machine direction in a low-temperature region and, despite this, highly shrinks in a high-temperature region. The film has an extremely high mechanical strength in the transverse direction, which is perpendicular to the main shrinkage direction. The film is suitable for use especially as a film for forming covering labels for dry cells and in applications similar thereto. The heat-shrinkable polyester film shrinks mainly in the machine direction. The film has been regulated so that the degree of machine-direction hot-water thermal shrinkage through 10-second immersion in 80°C water is in a given range and the degree of machine-direction thermal shrinkage and degree of transverse-direction thermal shrinkage through 10-second immersion in a 140°C glycerol bath are in respective given ranges.

Inventors:
ENDO TAKURO (JP)
HASHIMOTO MASATOSHI (JP)
NOSE KATSUHIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/072541
Publication Date:
June 18, 2009
Filing Date:
December 11, 2008
Export Citation:
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Assignee:
TOYO BOSEKI (JP)
FUJI SEAL INT INC (JP)
ENDO TAKURO (JP)
HASHIMOTO MASATOSHI (JP)
NOSE KATSUHIKO (JP)
International Classes:
B29C61/06; B29C55/14; C08J5/18; B29K67/00; B29K105/02; B29L7/00
Foreign References:
JP2003170498A2003-06-17
JP2005171127A2005-06-30
JP2004142126A2004-05-20
JP2002332394A2002-11-22
JPH09239833A1997-09-16
JP2007056156A2007-03-08
JP2007016120A2007-01-25
JP2007203652A2007-08-16
JPH09239833A1997-09-16
JPH08244114A1996-09-24
Other References:
See also references of EP 2233275A4
Attorney, Agent or Firm:
ISHIDA, Yoshiki et al. (Higashisakura1-chome, Higashi-ku,Nagoya-sh, Aichi 05, JP)
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Claims:
 エチレンテレフタレートを主たる構成成分としており、グリコール成分中に1モル%以上12モル%以下の非晶成分となりうる1種以上のモノマー成分を含有してなるポリエステル系樹脂によって形成されているとともに、一定幅の長尺状に形成されており、主収縮方向が長手方向である熱収縮性ポリエステル系フィルムであって、
 下記要件(1)~(3)を満たすことを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。
(1)80℃の温湯中で10秒間に亘って処理した場合における長手方向の温湯熱収縮率が0%以上5%以下であること
(2)140℃に加温したグリセリン浴中で10秒間に亘って処理した場合における長手方向の熱収縮率が30%以上50%以下であること
(3)140℃に加温したグリセリン浴中で10秒間に亘って処理した場合における長手方向と直交する幅方向の熱収縮率が-5%以上10%以下であること
 非晶成分となりうるモノマー成分が、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸の内の少なくとも1種を含有したものであることを特徴とする請求項1に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
 長手方向の屈折率が1.600以上1.630以下であるとともに、幅方向の屈折率が1.620以上1.650以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
 30℃から150℃まで加温した場合における長手方向の最大熱収縮応力が2.5MPa以上20.0MPa以下であることであることを特徴とする請求項1に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
 40℃65%RHの雰囲気下で700時間以上に亘ってエージングした後の自然収縮率が0.05%以上1.5%以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
 請求項1~5のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムを連続的に製造するための製造方法であって、
 未延伸フィルムを、テンター内で幅方向の両端際をクリップによって把持した状態でTg以上Tg+40℃以下の温度で幅方向に1.8倍以上6.0倍以下の倍率で延伸した後、積極的な加熱操作を実行しない中間ゾーンを通過させ、90℃以上130℃以下の温度で1.0秒以上10.0秒以下の時間に亘って熱処理し、しかる後、フィルムの表面温度が30℃以上70℃以下となるまで冷却し、フィルムの幅方向の両端縁のクリップ把持部分を切断除去した後、Tg以上Tg+80℃以下の温度で長手方向に1.5倍以上4.0倍以下の倍率で延伸し、しかる後、テンター内で幅方向の両端際をクリップによって把持した状態で110℃以上160℃以下の温度で1.0秒以上10.0秒以下の時間に亘って熱処理することを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法。
Description:
熱収縮性ポリエステル系フィル 、およびその製造方法

 本発明は、熱収縮性ポリエステル系フィ ム、およびその製造方法に関するものであ 、特に、乾電池の外装用ラベルやその類似 途に好適な熱収縮性ポリエステル系フィル 、およびその製造方法に関するものである

 近年、PETボトルやガラス容器等の外観向 、内容物の保護と商品の表示を兼ねたラベ 包装等の用途に、熱収縮性ポリエステル系 ィルムが広汎に利用されるようになってき 。かかる熱収縮性ポリエステル系フィルム 、幅方向に大きく収縮する特性が必要とさ るため、主として幅方向のみに延伸されて 造されることが多い(特許文献1)。

特開平9-239833号公報

 最近、乾電池の外装用途に、感熱性の接 剤を積層した熱収縮性ポリエステル系フィ ムが使用されるようになってきている。そ ように感熱性接着剤を積層した熱収縮性ポ エステル系フィルムを乾電池の外側に装着 せる際には、70℃~110℃に加熱されたドラム 利用してフィルムを乾電池の外側に捲回さ (胴巻き)、積層し合った部分において感熱 接着剤を溶融させる(ヒートシールする)こと によって、フィルムを乾電池の外側に緩く巻 き付けた後、当該乾電池を約140℃に加熱して フィルムを熱収縮させることによって、フィ ルムを乾電池の外側に密着させる、という加 工方法が採用される。しかしながら、特許文 献1の如き幅方向にのみ延伸を施したフィル は、約60℃~80℃の低温領域における収縮率や 熱収縮応力が高すぎるため、加熱されたドラ ムを利用して乾電池の周囲に捲回させる際に フィルムが収縮してしまうので、最終的に熱 収縮させた際の収縮仕上がり性が不良である 。

 また、乾電池のような円柱状体にラベル 装着する際には、環状にして円柱状体に装 した後に周方向に熱収縮させなければなら いため、幅方向に熱収縮する熱収縮性フィ ムをラベルとして用いる場合には、フィル の幅方向が周方向となるように環状体を形 した上で、その環状体を所定の長さ毎に切 して円柱状体に装着しなければならない。 たがって、幅方向に熱収縮する熱収縮性フ ルムからなるラベルを高速で円柱状体に装 するのは困難である。それゆえ、最近では フィルムロールから直接円柱状体の周囲に 着すること(所謂、胴巻き)が可能な長手方 に熱収縮するフィルムが求められているが 特許文献1の如き幅方向にのみ延伸を施した ィルムは、このようなニーズに対応できる のではない。

 加えて、特許文献1の如き幅方向にのみ延 伸を施したフィルムは、長手方向の機械的強 度が低いため、加工時に破断し易い、という 不具合もある。

 本発明の目的は、上記従来の熱収縮性ポ エステル系フィルムが有する問題点を解消 、長手方向が主収縮方向であり、低温領域( 約60℃~80℃)では長手方向に収縮しないにも拘 わらず、高温領域(約130℃~150℃)では高い収縮 特性を示す上、主収縮方向および幅方向にお ける機械的強度がきわめて高く、加工時に破 断しにくく、特に、乾電池外装ラベル形成用 のフィルムおよびその類似用途に好適に用い ることが可能な熱収縮性ポリエステル系フィ ルムを提供することにある。

 本発明のうち、請求項1に記載された発明は 、エチレンテレフタレートを主たる構成成分 としており、グリコール成分中に1モル%以上1 2モル%以下の非晶成分となりうる1種以上のモ ノマー成分を含有してなるポリエステル系樹 脂によって形成されているとともに、一定幅 の長尺状に形成されており、主収縮方向が長 手方向である熱収縮性ポリエステル系フィル ムであって、下記要件(1)~(3)を満たすことを 徴とするものである。
(1)80℃の温湯中で10秒間に亘って処理した場 における長手方向の温湯熱収縮率が0%以上5% 下であること
(2)140℃に加温したグリセリン浴中で10秒間に って処理した場合における長手方向の熱収 率が30%以上50%以下であること
(3)140℃に加温したグリセリン浴中で10秒間に って処理した場合における長手方向と直交 る幅方向の熱収縮率が-5%以上10%以下である と

 請求項2に記載された発明は、請求項1に 載された発明において、非晶成分となりう モノマー成分が、ネオペンチルグリコール 1,4-シクロヘキサンジメタノール、イソフタ 酸の内の少なくとも1種を含有したものであ ることを特徴とするものである。

 請求項3に記載された発明は、請求項1に 載された発明において、長手方向の屈折率 1.600以上1.630以下であるとともに、幅方向の 折率が1.620以上1.650以下であることを特徴と するものである。

 請求項4に記載された発明は、請求項1に 載された発明において、30℃から140℃まで加 温した場合における長手方向の最大熱収縮応 力が2.5MPa以上20.0MPa以下であることであるこ を特徴とするものである。

 請求項5に記載された発明は、請求項1に 載された発明において、40℃65%RHの雰囲気下 700時間以上に亘ってエージングした後の自 収縮率が0.05%以上1.5%以下であることを特徴 するものである。

 請求項6に記載された発明は、請求項1~5の いずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フ ィルムを連続的に製造するための製造方法で あって、未延伸フィルムを、テンター内で幅 方向の両端際をクリップによって把持した状 態でTg以上Tg+40℃以下の温度で幅方向に1.8倍 上6.0倍以下の倍率で延伸した後、積極的な 熱操作を実行しない中間ゾーンを通過させ 90℃以上130℃以下の温度で1.0秒以上10.0秒以 の時間に亘って熱処理し、しかる後、フィ ムの表面温度が30℃以上70℃以下となるまで 却し、フィルムの幅方向の両端縁のクリッ 把持部分を切断除去した後、Tg以上Tg+80℃以 下の温度で長手方向に1.5倍以上4.0倍以下の倍 率で延伸し、しかる後、テンター内で幅方向 の両端際をクリップによって把持した状態で 110℃以上160℃以下の温度で1.0秒以上10.0秒以 の時間に亘って熱処理することを特徴とす ものである。

 本発明の熱収縮性ポリエステル系フィル は、長手方向が主収縮方向であり、低温領 (60℃~80℃)では長手方向に収縮しないにも拘 わらず、高温領域(130℃~150℃)では高い収縮特 性を示す上、主収縮方向および幅方向におけ る機械的強度がきわめて高く、加工時に破断 しにくい。したがって、特に、乾電池外装ラ ベル形成用のフィルムおよびその類似用途に 好適に用いることができ、乾電池の周囲に短 時間の内に非常に効率良く装着することがで きる上、装着後に熱収縮させた場合に、熱収 縮によるシワや収縮不足のきわめて少ない良 好な仕上がりを発現させることができる。ま た、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィル ムの製造方法によれば、低温領域では長手方 向に収縮しないにも拘わらず高温領域では高 い収縮特性を示す上、主収縮方向と直交する 幅方向における機械的強度がきわめて高い熱 収縮性ポリエステル系フィルムを、効率良く 安価に製造することができる。

 本発明の熱収縮性ポリエステル系フィル に用いるポリエステル系樹脂は、エチレン レフタレートを主たる構成成分とするもの あることが必要である。

 また、本発明で使用するポリエステル系 脂を構成するジカルボン酸成分としては、 レフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジ ルボン酸、オルトフタル酸等の芳香族ジカ ボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバ ン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカ ボン酸、および脂環式ジカルボン酸等を挙 ることができる。

 脂肪族ジカルボン酸(たとえば、アジピン 酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等)を 有させる場合、含有率は3モル%未満であるこ とが好ましい。これらの脂肪族ジカルボン酸 を3モル%以上含有するポリエステルを使用し 得た熱収縮性ポリエステル系フィルムでは 高速装着時のフィルム腰(スティフネス)が 十分である。

 また、3価以上の多価カルボン酸(たとえ 、トリメリット酸、ピロメリット酸および れらの無水物等)を含有させないことが好ま い。これらの多価カルボン酸を含有するポ エステルを使用して得た熱収縮性ポリエス ル系フィルムでは、必要な高収縮率を達成 にくくなる。

 本発明で使用するポリエステルを構成す ジオール成分としては、エチレングリコー 、1-3プロパンジオール、1-4ブタンジオール ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオー 等の脂肪族ジオール、1,4-シクロヘキサンジ メタノール等の脂環式ジオール、ビスフェノ ールA等の芳香族系ジオール等を挙げること できる。

 本発明の熱収縮性ポリエステル系フィル に用いるポリエステルは、1,4-シクロヘキサ ンジメタノール等の環状ジオールや、炭素数 3~6個を有するジオール(たとえば、1-3プロパ ジオール、1-4ブタンジオール、ネオペンチ グリコール、ヘキサンジオール等)のうちの1 種以上を含有させて、ガラス転移点(Tg)を60~80 ℃に調整したポリエステルが好ましい。

 また、本発明の熱収縮性ポリエステル系 ィルムに用いるポリエステルは、全ポリス ル樹脂中における非晶成分となりうる1種以 上のモノマー成分の合計が1%以上12%以下であ ことが好ましい。また、非晶成分が1%未満 とフィルムの靭性が不十分となり加工時に いテンションが加わった場合にフィルムが 断し易くなるので、2%以上であることがより 好ましく、4モル%以上であることが特に好ま い。非晶成分が12%を超えると低温領域での 縮率を抑えることが困難となるため好まし ない。10モル%以下であることがより好まし 、8%以下であることが特に好ましい。ここ 、ネオペンチルグリコール以外に非晶質成 となり得るモノマーとしては、たとえば、1, 4-シクロヘキサンジメタノールやイソフタル を挙げることができる。

 さらに、本発明の熱収縮性ポリエステル フィルムに用いるポリエステル中には、炭 数8個以上のジオール(たとえば、オクタン オール等)、または3価以上の多価アルコール (たとえば、トリメチロールプロパン、トリ チロールエタン、グリセリン、ジグリセリ 等)を含有させないことが好ましい。これら ジオール、または多価アルコールを含有す ポリエステルを使用して得た熱収縮性ポリ ステル系フィルムでは、必要な高収縮率を 成しにくくなる。

 また、本発明の熱収縮性ポリエステル系 ィルムに用いるポリエステル中には、ジエ レングリコール、トリエチレングリコール ポリエチレングリコールをできるだけ含有 せないことが好ましい。特に、ジエチレン リコールは、ポリエステル重合時の副生成 分のために存在し易いが、本発明で使用す ポリエステルでは、ジエチレングリコール 含有率が4モル%未満であることが好ましい

 また、本発明の熱収縮性ポリエステル系フ ルムは、80℃の温水中で無荷重状態で10秒間 に亘って処理したときに、収縮前後の長さか ら、下式1により算出したフィルムの長手方 の熱収縮率(すなわち、80℃の湯温熱収縮率) 、0%以上5%以下であることが必要である。
 熱収縮率={(収縮前の長さ-収縮後の長さ)/収 前の長さ}×100(%) ・・式1

 80℃における長手方向の湯温熱収縮率が0% 未満であると、感熱接着剤を活性化させるた めの加熱されたドラム上でラベルが弛んでし まうため、乾電池に綺麗に巻きつけることが できず、最終的に熱収縮させた後の収縮仕上 がり性が不良となるので好ましくなく、反対 に、80℃における長手方向の湯温熱収縮率が5 %を超えると、感熱接着剤を活性化させるた の加熱されたドラム上で収縮してしまい、 電池の周囲に綺麗に巻き付けることができ くなるので好ましくない。なお、80℃におけ る長手方向の湯温熱収縮率の上限値は、4%以 であると好ましく、2%以下であるとより好 しい。 

 また、本発明の熱収縮性ポリエステル系 ィルムは、140℃のグリセリン浴中で無荷重 態で10秒間に亘って処理したときに、収縮 後の長さから、上式1により算出したフィル の長手方向の熱収縮率(すなわち、140℃のグ リセリン浸漬熱収縮率)が、30%以上50%以下で ることが必要である。

 140℃における長手方向のグリセリン浸漬 収縮率が30%未満であると、収縮量が小さい めに、熱収縮させた後のラベルにシワやタ ミが生じてしまうので好ましくなく、反対 、140℃における長手方向のグリセリン浸漬 収縮率が50%を上回ると、ラベルとして用い 場合に熱収縮時に歪み(収縮歪み)が生じ易 なるので好ましくない。なお、140℃におけ 長手方向のグリセリン浸漬熱収縮率の下限 は、32%以上であると好ましく、34%以上であ とより好ましく、36%以上であると特に好ま い。また、140℃における長手方向のグリセ ン浸漬熱収縮率の上限値は、48%以下である 好ましく、46%以下であるとより好ましく、44 %以下であると特に好ましい。

 また、本発明の熱収縮性ポリエステル系 ィルムは、140℃のグリセリン浴中で無荷重 態で10秒間に亘って処理したときに、収縮 後の長さから、上式1により算出したフィル の幅方向(長手方向と直交する方向)の熱収 率(すなわち、140℃のグリセリン浸漬熱収縮 )が、-5%以上10%以下であることが必要である 。

 140℃における幅方向のグリセリン浸漬熱 縮率が-5%未満(たとえば、-10%)であると、乾 池のラベルとして使用する際に良好な収縮 観を得ることができないので好ましくなく 反対に、140℃における幅方向のグリセリン 漬熱収縮率が10%を上回ると、ラベルとして いた場合に熱収縮時に歪み(収縮歪み)が生 易くなるので好ましくない。なお、140℃に ける幅方向のグリセリン浸漬熱収縮率の下 値は、-3%以上であると好ましく、-1%以上で るとより好ましく、1%以上であると特に好ま しい。また、140℃における幅方向のグリセリ ン浸漬熱収縮率の上限値は、8%以下であると ましく、6%以下であるとより好ましく、4%以 下であると特に好ましい。

 また、本発明の熱収縮性ポリエステル系 ィルムは、後述する方法により求めた長手 向の最大熱収縮応力(30℃から140℃まで加温 た場合における最大熱収縮応力)が2.5MPa以上 20.0MPa以下であると好ましい。最大熱収縮応 が2.5MPa未満であると、乾電池のラベルとし 使用する際に良好な収縮外観を得ることが きないので好ましくなく、反対に、最大熱 縮応力が20.0MPaを上回ると、ラベルとして用 た場合に熱収縮時に歪み(収縮歪み)が生じ くなるので好ましくない。なお、最大熱収 応力の下限値は、3.0MPa以上であるとより好 しく、3.5MPa以上であると一層好ましく、4.0MP a以上であると特に好ましい。また、最大熱 縮応力の上限値は、18.0MPa以下であるとより ましく、16.0MPa以下であると一層好ましく、 14.0MPa以下であるとさらに好ましく、12.0MPa以 であると特に好ましい。

 また、本発明の熱収縮性ポリエステル系フ ルムは、40℃65%RHの雰囲気下で700時間以上に 亘ってエージングした後の自然収縮率が0.05% 上1.5%以下であると好ましい。なお、自然収 縮率は、下式4を用いて算出することができ 。
 自然収縮率={(エージング前の長さ-エージン グ後の長さ)/エージング前の長さ}×100(%) ・ 式4

 自然収縮率が1.5%を超えると、ロール状に 巻き取られた製品を保管しておく場合に、巻 き締まりがおこり、フィルムロールにシワが 入り易いので好ましくない。なお、自然収縮 率は、小さいほど好ましいが、測定精度の面 から、0.05%程度が下限であると考えている。 た、自然収縮率は、1.3%以下であると好まし く、1.1%以下であるとより好ましく、1.0%以下 あると特に好ましい。

 また、本発明の熱収縮性ポリエステル系 ィルムは、長手方向の屈折率が1.600以上1.630 以下であると好ましい。長手方向の屈折率が 1.630を上回り、幅方向の屈折率との差が大き なると、長手方向に切れ易くなるので好ま くない。反対に、1.600未満となり、幅方向 屈折率との差が大きくなると、幅方向に切 易くなるので好ましくない。なお、長手方 の屈折率の上限値は、1.625以下であると好ま しく、1.620以下であるとより好ましい。また 長手方向の屈折率の下限値は、1.605以上で ると好ましく、1.610以上であるとより好まし い。

 また、本発明の熱収縮性ポリエステル系 ィルムは、幅方向の屈折率が1.620以上1.650以 下であると好ましい。幅方向の屈折率が1.650 上回り、長手方向の屈折率との差が大きく ると、幅方向に切れ易くなるので好ましく い。反対に、1.620未満となり、長手方向の 折率との差が大きくなると、長手方向に切 易くなるので好ましくない。なお、幅方向 屈折率の上限値は、1.645以下であると好まし く、1.640以下であるとより好ましい。また、 方向の屈折率の下限値は、1.625以上である 好ましく、1.630以上であるとより好ましい。 なお、フィルムの製造時に後述する各手段を 講じることにより、長手方向および幅方向の 屈折率を好ましい範囲に調整することが可能 となる。

 加えて、本発明の熱収縮性ポリエステル フィルムは、長手方向の厚み斑が25%以下で ることが好ましい。長手方向の厚み斑が25% 超える値であると、ラベル作成の際の印刷 に印刷斑が発生し易くなったり、熱収縮後 収縮斑が発生し易くなったりするので好ま くない。なお、長手方向の厚み斑は、20%以 であるとより好ましく、15%以下であるとよ 好ましい。

 上記の熱収縮フィルムの熱収縮率(温湯熱 収縮率、グリセリン浸漬熱収縮率)、最大熱 縮応力、エルメンドルフ比、直角引裂強度 長手方向の厚み斑等は、前述の好ましいフ ルム組成を用いて、後述の好ましい製造方 と組み合わせることにより達成することが 能となる。

 本発明の熱収縮性ポリエステル系フィル の厚みは、特に限定するものではないが、 電池外装ラベル形成用熱収縮性フィルムと ては、10~200μmが好ましく、20~100μmがより好 しい。

 また、本発明の熱収縮性ポリエステル系 ィルムは、上記したポリエステル原料を押 機により溶融押し出しして未延伸フィルム 形成し、その未延伸フィルムを以下に示す 法により、二軸延伸して熱処理することに って得ることができる。

 原料樹脂を溶融押し出しする際には、ポ エステル原料をホッパードライヤー、パド ドライヤー等の乾燥機、または真空乾燥機 用いて乾燥するのが好ましい。そのように リエステル原料を乾燥させた後に、押出機 利用して、200~300℃の温度で溶融しフィルム 状に押し出す。かかる押し出しに際しては、 Tダイ法、チューブラー法等、既存の任意の 法を採用することができる。

 そして、押し出し後のシート状の溶融樹 を急冷することによって未延伸フィルムを ることができる。なお、溶融樹脂を急冷す 方法としては、溶融樹脂を口金より回転ド ム上にキャストして急冷固化することによ 実質的に未配向の樹脂シートを得る方法を 適に採用することができる。

 さらに、得られた未延伸フィルムを、後 するように、所定の条件で幅方向に延伸し 後に、一旦、熱処理し、しかる後に所定の 件で長手方向に延伸することによって、本 明の熱収縮性ポリエステル系フィルムを得 ことが可能となる。以下、本発明の熱収縮 ポリエステル系フィルムを得るための好ま い二軸延伸・熱処理方法について、従来の 収縮性ポリエステル系フィルムの二軸延伸 熱処理方法との差異を考慮しつつ詳細に説 する。

[熱収縮性ポリエステル系フィルムの好まし 延伸・熱処理方法]
 通常の熱収縮性ポリエステル系フィルムは 収縮させたい方向に未延伸フィルムを延伸 ることによって製造される。従来から長手 向に収縮する熱収縮性ポリエステル系フィ ムについての要求は高かったものの、未延 フィルムを単純に長手方向に延伸するだけ は、幅の広いフィルムが製造できないため 産性が悪い上、厚み斑の良好なフィルムを 造することができない。また、予め幅方向 延伸した後に長手方向に延伸する方法を採 すると、長手方向への収縮量が不十分とな たり、幅方向に不必要に収縮するものとな てしまう。また、特開平8-244114号公報には 長手方向の機械的特性を向上させるために 延伸フィルムを所定の条件下で縦-横-縦の順 に延伸する方法が示されているが、発明者ら のパイロット機での追試によれば、かかる方 法では、主収縮方向である長手方向への収縮 性の十分なフィルムを得ることができない上 、製造されたフィルムロールに幅方向のシワ が発生し易くなることが判明した。加えて、 長手方向への収縮性を上げるべく縦方向の延 伸倍率(1段目の縦延伸倍率あるいは2段目の縦 延伸倍率)を増加させると、最終的に長手方 に延伸する際にフィルムの破断が多発して 続的に安定した製造を行うことが困難であ ことも判明した。また、上記追試によって られたフィルムは、自然収縮率が大きく、 造されたフィルムロールに長手方向のシワ 発生した。加えて、上記追試によって得ら たフィルムは、低温領域(約60℃~80℃)の熱収 率が大きいため、乾電池外装用のラベルに 不適であることも判明した。

 本発明者らは、最終的に長手方向の収縮 を大きくするためには、特開平8-244114号の うに長手方向および幅方向に二軸延伸した に長手方向に延伸する方法は不利であり、 純に幅方向に延伸した後に長手方向に延伸 る方が有利ではないかと考えた。そして、 のような幅方向の延伸後に長手方向に延伸 る方法(以下、単に、横-縦延伸法という)に いて、各延伸工程における条件によりフィ ムの長手方向の熱収縮率、自然収縮率がど ように変化するかについて鋭意検討した。

 さらに、発明者らは、低温領域(約60℃~80 )の熱収縮率を低く抑えて高温領域(130℃~150 )の熱収縮率を大きくするためには、二軸延 伸後にフィルムを熱処理することによってフ ィルムの熱収縮挙動をコントロールすること が不可欠であると考え、最終的な熱処理工程 における条件によりフィルムの長手方向の熱 収縮挙動がどのように変化するかについて鋭 意検討した。

 その結果、上記の如く、グリコール成分中 1モル%以上12モル%以下の非晶成分となりう 1種以上のモノマー成分(たとえば、ネオペン チルグリコール)を含有しておりエチレンテ フタレートを主たる構成成分とするポリエ テル樹脂を使用するとともに、横-縦延伸法 よるフィルム製造の際に、以下の(1)~(3)を講 じることにより、低温領域(60℃~80℃)の長手 向の収縮率を低く抑えて高温領域(130℃~150℃ )の収縮率を高めることができるとともに、 続的に安定して製造することが可能となる とを突き止めた。しかも、そればかりでは く、以下の手段を講じた場合には、フィル の自然収縮率が小さくなり、フィルムの耐 断性が向上し、製造後のフィルムロールに ワが入りにくくなる、という驚くべき副次 な効果があることをも見出した。そして、 発明者らは、それらの知見に基づいて本発 を案出するに至った。
(1)幅方向への延伸後における収縮応力の制御
(2)幅方向への延伸と中間熱処理との間におけ る加熱の遮断
(3)長手方向への延伸後の最終熱処理
 以下、上記した各手段について順次説明す 。

(1)幅方向への延伸後における収縮応力の制御
 本発明の横-縦延伸法によるフィルムの製造 においては、未延伸フィルムを幅方向に延伸 した後に、90℃以上130℃以下の温度で1.0秒以 10.0秒以下の時間に亘って熱処理(以下、中 熱処理という)することが必要である。かか 中間熱処理を行うことによって、ラベルと た場合に収縮斑が生じないフィルムを得る とが可能となる。なお、熱処理の温度の下 は、95℃以上であると好ましく、100℃以上 あるとより好ましい。また、熱処理の温度 上限は、125℃以下であると好ましく、120℃ 下であるとより好ましい。一方、熱処理の 間は、1.0秒以上10.0秒以下の範囲内で原料組 に応じて適宜調整する必要がある。

 また、未延伸フィルムの幅方向への延伸 、テンター内で幅方向の両端際をクリップ よって把持した状態で、Tg以上Tg+40℃以下の 温度で1.8倍以上6.0倍以下の倍率となるように 行うことが好ましい。延伸温度がTgを下回る 、延伸時に破断を起こし易くなるので好ま くなく、反対にTg+40℃を上回ると、幅方向 厚み斑が悪くなるので好ましくない。なお 横延伸の温度の下限は、Tg+3℃以上であると ましく、Tg+6℃以上であるとより好ましい。 また、横延伸の温度の上限は、Tg+35℃以下で ると好ましく、Tg+30℃以下であるとより好 しい。一方、幅方向の延伸倍率が1.8倍を下 ると、生産性が悪いばかりでなく幅方向の み斑が悪くなるので好ましくなく、反対に6. 0倍を上回ると、延伸時に破断を起こし易く る上、緩和させるのに多大なエネルギーと 掛かりな装置が必要となり、生産性が悪く るので好ましくない。なお、横延伸の倍率 下限は、3.0倍以上であると好ましく、3.5倍 上であるとより好ましい。また、横延伸の 率の上限は、5.5倍以下であると好ましく、5. 0倍以下であるとより好ましい。

(2)幅方向への延伸と中間熱処理との間におけ る加熱の遮断
 本発明の横-縦延伸法によるフィルムの製造 においては、上記の如く、横延伸後に中間熱 処理を施す必要があるが、それらの横延伸と 中間熱処理との間において、0.5秒以上3.0秒以 下の時間に亘って、積極的な加熱操作を実行 しない中間ゾーンを通過させる必要がある。 すなわち、製造コストを考慮した場合、同一 のテンター内で横延伸および中間熱処理を実 施するのが好ましいが、本発明のフィルムの 製造においては、かかるテンター内の横延伸 ゾーンと熱処理ゾーンとの間に中間ゾーンを 設けることが好ましい。加えて、その中間ゾ ーンにおいては、フィルムを通過させていな い状態で短冊状の紙片を垂らしたときに、そ の紙片がほぼ完全に鉛直方向に垂れ下がるよ うに延伸ゾーンおよび熱処理ゾーンからの熱 風を遮断するのが好ましい。そして、本発明 のフィルムの製造においては、横延伸後のフ ィルムを当該中間ゾーンへ導き、所定時間を かけてその中間ゾーンを通過させるのが好ま しい。中間ゾーンを通過させる時間が0.5秒を 下回ると、通過するフィルムの随伴流により 横延伸ゾーンの熱風が熱固定ゾーンに流れ込 み、熱固定ゾーンにおける中間熱処理の温度 コントロールが困難となるので好ましくない 。反対に中間ゾーンを通過させる時間は3.0秒 もあれば十分であり、それ以上の長さに設定 しても、設備のムダとなるので好ましくない 。なお、中間ゾーンを通過させる時間の下限 は、0.7秒以上であると好ましく、0.9秒以上で あるとより好ましい。また、中間ゾーンを通 過させる時間の上限は、2.5秒以下であると好 ましく、2.0秒以下であるとより好ましい。

 中間熱処理後のフィルムは、30℃以上70℃ 以下となるまで冷却するのが好ましい。30℃ 満にするには大掛かりな装置が必要となり 生産性が悪くなるので好ましくなく、70℃ 超えるとテンター工程後の張力等で物性が 化してしまい管理が困難となるので好まし ない。なお、冷却後のフィルム温度の下限 、33℃以上が好ましく、36℃以上がより好ま い。また、フィルム温度の上限は、65℃以 が好ましく、60℃以下がより好ましい。

 また、本発明の横-縦延伸法によるフィル ムの製造においては、中間熱処理を施したフ ィルムを長手方向に延伸する前に、フィルム 端縁際の十分に横延伸されていない肉厚部分 (主として横延伸時のクリップ把持部分)をト ミングするのが好ましい。より具体的には フィルムの左右の端縁際に位置した中央部 の厚みの約1.1~1.3倍の厚みの部分においてカ ッター等の工具を用いてフィルム端縁際の肉 厚部分を切断し、肉厚部分を除去しつつ、残 りの部分のみを長手方向に延伸するのが好ま しい。なお、上記の如くフィルム端部をトリ ミングする際には、トリミングする前のフィ ルムの表面温度が50℃以下となるように冷却 ておくことが好ましい。そのようにフィル を冷却することにより、切断面を乱すこと くトリミングすることが可能となる。また フィルム端部のトリミングは、通常のカッ ー等を用いて行うことができるが、周状の 先を有する丸刃を用いると、局部的に刃先 鈍くなる事態が起こらず、フィルム端部を 期間に亘ってシャープに切断し続けること でき、長手方向への延伸時における破断を 発する事態が生じないので好ましい。かか 如く、長手方向への延伸前にフィルムの端 をトリミングすることによって、一旦熱固 したフィルムを均一に長手方向に延伸し易 なり、破断のない安定したフィルムの連続 造が容易となる。加えて、長手方向(主収縮 方向)の収縮量の大きなフィルムを得ること 容易となる。

 中間処理を施したフィルムの長手方向へ 延伸は、縦延伸機で、Tg以上Tg+80℃以下の温 度で1.5倍以上4.0倍以下の倍率となるように行 う必要がある。延伸温度がTgを下回ると、延 時に破断を起こし易くなるので好ましくな 、反対にTg+80℃を上回ると、長手方向の厚 斑が悪くなるので好ましくない。なお、横 伸の温度の下限は、Tg+3℃以上であると好ま く、Tg+6℃以上であるとより好ましい。また 、縦延伸の温度の上限は、Tg+75℃以下である 好ましく、Tg+70℃以下であるとより好まし 。一方、縦方向の延伸倍率が1.5倍を下回る 、生産性が悪いばかりでなく長手方向の厚 斑が悪くなるので好ましくなく、反対に4.0 を上回ると、延伸時に破断を起こし易くな ので好ましくない。なお、縦延伸の倍率の 限は、1.6倍以上であると好ましく、1.8倍以 であるとより好ましい。また、縦延伸の倍 の上限は、3.5倍以下であると好ましく、3.0 以下であるとより好ましい。

(3)長手方向への延伸後の最終熱処理
 本発明の横-縦延伸法によるフィルムの製造 においては、上記の如く、横延伸後に中間熱 処理を施してから長手方向に延伸した後に、 テンター内で幅方向の両端際をクリップによ って把持した状態で、110℃以上160℃以下の温 度で1.0秒以上10.0秒以下の時間に亘って熱処 (以下、最終熱処理という)することが必要で ある。かかる最終熱処理を行うことによって 、乾電池外装ラベルとした場合に低温領域で は長手方向、幅方向ともに収縮しないフィル ムを得ることが可能となる。なお、最終熱処 理の温度の下限は、125℃以上であると好まし く、130℃以上であるとより好ましい。また、 最終熱処理の温度の上限は、145℃以下である と好ましく、140℃以下であるとより好ましい 。一方、最終熱処理の時間は、1.0秒以上10.0 以下の範囲内で原料組成に応じて適宜調整 る必要がある。

 なお、上記した(1)~(3)の手段の内の特定の 何れかのみが、低温領域(60℃~80℃)における い熱収縮特性、高温領域(130℃~150℃)におけ 高い熱収縮特性、幅方向の機械的特性、低 自然収縮率、安定した製膜性、耐破断性等 有効に寄与するものではなく、(1)~(3)の手段 組み合わせて用いることにより、非常に効 的に、低温領域における低い熱収縮特性、 温領域における高い熱収縮特性、幅方向の 械的強度、低い自然収縮率、安定した製膜 、耐破断性等を発現させることが可能とな ものと考えられる。

 また、上記の如く、本発明の熱収縮性ポ エステル系フィルムは、上記の如き横-縦延 伸法によって製造されるものであるが、上記 した(1)~(3)の手段を具現化できる製造方法で れば、主となる横-縦延伸工程の前後に、縦 向あるいは横方向の延伸工程を加えた延伸 法をも採用することができる。

 以下、実施例によって本発明をより詳細 説明するが、本発明は、かかる実施例の態 に何ら限定されるものではなく、本発明の 旨を逸脱しない範囲で、適宜変更すること 可能である。実施例、比較例で使用した原 の性状、組成、実施例、比較例におけるフ ルムの製造条件(延伸・熱処理条件等)を、 れぞれ表1、表2に示す。

 フィルムの評価方法は下記の通りである

[湯温熱収縮率]
 フィルムを10cm×10cmの正方形に裁断し、所定 温度(80℃)±0.5℃の温水中において、無荷重状 態で10秒間処理して熱収縮させた後、フィル の縦および横方向の寸法を測定し、上式1に したがって、それぞれ熱収縮率を求めた。当 該熱収縮率の大きい方向を主収縮方向とした (実施例1~6および比較例1~5ともに長手方向)。

[グリセリン浸漬熱収縮率]
 フィルムを10cm×10cmの正方形に裁断し、140℃ ±0.5℃のグリセリン浴中において、無荷重状 で10秒間処理して熱収縮させた後、フィル の縦および横方向の寸法を測定し、上式1に たがって、それぞれ熱収縮率を求めた。当 熱収縮率の大きい方向を主収縮方向とした( 実施例1~6および比較例1~5ともに長手方向)。

[Tg(ガラス転移点)]
 セイコー電子工業株式会社製の示差走査熱 計(型式:DSC220)を用いて、未延伸フィルム5mg 、-40℃から120℃まで、昇温速度10℃/分で昇 し、そのときの吸熱曲線を求めた。そして 当該吸熱曲線の変曲点の前後に接線を引き その交点をTg(ガラス転移点)とした。

[最大熱収縮応力]
 島津製作所製 熱機械分析装置(型式:TMA-60) 用い、当該装置の一対のチャック間(チャッ 間距離=10mm)に、長手方向×幅方向=20mm×4mmの きさのフィルムサンプルを、長手方向がチ ック間方向となるように把持させ、昇温速 10℃/分の昇温速度で、室温(約30℃)から180℃ まで昇温させた。そして、そのときに発生し た最大の荷重値からフィルムの単位断面積当 たりの収縮応力を算出し、その値を最大熱収 縮応力値とした。

[自然収縮率]
 得られたフィルムを、主収縮方向×直交方 =200mm×30mmのサイズに切り取り、40℃×65%RHの 囲気下で700時間放置(エージング)した後、フ ィルムの主収縮方向(熱収縮率が最大値を示 方向、実施例1~6および比較例1~5ともに長手 向)における収縮量を測定し、上式4によって 自然収縮率を算出した。

[厚み方向・幅方向の屈折率]
 アタゴ社製の「アッベ屈折計4T型」を用い 、各試料フィルムを23℃、65%RHの雰囲気中で2 時間以上放置した後に測定した。

[収縮仕上がり性]
 得られた熱収縮性フィルムを、長手方向が になるように、縦105mm×横40mmのサイズで切 出した。そして、単一乾電池の上端際の外 に両面テープを張り付け、その両面テープ 外側に、切り出したフィルムを、図1の如く 当該フィルムの長辺の一方が乾電池の端部 り3mmだけはみ出るようにフィルムを巻き付 た。そして、そのようにフィルムを巻き付 た乾電池に、200℃(風速10m/秒)の熱風を10秒 当て続けてフィルムを熱収縮させた。しか 後に、収縮後の仕上がり性を目視により下 の三段階で評価した。
○:収縮不足、収縮斑がほとんどない
△:収縮不足が発生し、斑も大きい
×:ほとんど収縮しない

[耐破断性]
 フィルムを10cm×10cmに切り出して、そのフィ ルムをスポンジ上に載置した。しかる後、三 角刀(刃先サイズ4.5mm)によって、スポンジ上 載置されたフィルムの略中央部分を突き刺 た。なお、突き刺す際には、三角刀の刃の 端を結んだ線がフィルムの幅方向と合致す ように調整した。そして、20個のフィルムサ ンプルについて上記突き刺し実験を行い、突 き刺し時に形成されるV字状の切れ込みの頂 部分に“長手方向(幅方向と直交する方向)の 裂け目”が発生したもの(図2参照)の個数を求 め、その割合(百分率)を裂け目発生率として 出し、下記の三段階で評価した。
○:裂け目発生率が30%未満
△:裂け目発生率が30%以上60%未満
×:裂け目発生率が60%以上

[耐熱性]
 フィルムを10cm×10cmに切り出して、そのフィ ルムを、90℃に熱した金属板の上に5秒間載せ 、フィルム表面の状態を目視で観察し、下記 の二段階で評価した。
○:変化なし、もしくはカールはするものの きな斑なし
×:収縮し、斑ができる

 また、実施例および比較例に用いたポリ ステルは以下の通りである。

 ポリエステル1:ポリエチレンテレフタレー (IV 0.75dl/g)
 ポリエステル2:エチレングリコール70モル%, オペンチルグリコール30モル%とテレフタル とからなるポリエステル(IV 0.72dl/g)
 ポリエステル3:ポリエチレンテレフタレー (IV 0.62dl/g)
 ポリエステル4:ブタンジオール100モル%,テレ フタル酸とからなるポリエステル(IV 0.72dl/g)
 ポリエステル5:エチレングリコール70モル%,1 ,4-シクロヘキサンジメタノール30モル%とテレ フタル酸とからなるポリエステル(IV 0.75dl/g)

[実施例1]
 上記したポリエステル1とポリエステル2と 重量比75:25で混合して押出機に投入した。し かる後、その混合樹脂を280℃で溶融させてT イから押出し、表面温度30℃に冷却された回 転する金属ロールに巻き付けて急冷すること により、厚さが200μmの未延伸フィルムを得た 。このときの未延伸フィルムの引取速度(金 ロールの回転速度)は、約20m/min.であった。 た、未延伸フィルムのTgは76℃であった。し る後、その未延伸フィルムを、横延伸ゾー 、中間ゾーン、中間熱処理ゾーンを連続的 設けたテンター(第1テンター)に導いた。な 、当該テンターにおいては、横延伸ゾーン 中間熱処理ゾーンとの中間に位置した中間 ーンの長さが、約40cmに設定されている。ま た、中間ゾーンにおいては、フィルムを通過 させていない状態で短冊状の紙片を垂らした ときに、その紙片がほぼ完全に鉛直方向に垂 れ下がるように、延伸ゾーンからの熱風およ び熱処理ゾーンからの熱風が遮断されている 。

 そして、テンターに導かれた未延伸フィ ムを、フィルム温度が90℃になるまで予備 熱した後、横延伸ゾーンで横方向に85℃で3.3 倍に延伸し、中間ゾーンを通過させた後に( 過時間=約1.2秒)、中間熱処理ゾーンへ導き、 105℃の温度で6.0秒間に亘って熱処理すること によって厚み60μmの横一軸延伸フィルムを得 。なお、中間熱処理ゾーンを通過した直後 フィルムの表面温度を測定したところ、約4 0℃であった。しかる後、テンターの後方に けられた左右一対のトリミング装置(周状の 先を有する丸刃によって構成されたもの)を 利用して、横一軸延伸フィルムの端縁際(中 のフィルム厚みの約1.2倍の厚みの部分)を切 し、切断部位の外側に位置したフィルムの 部を連続的に除去した。

 さらに、そのように端部をトリミングし フィルムを、複数のロール群を連続的に配 した縦延伸機へ導き、予熱ロール上でフィ ム温度が80℃になるまで予備加熱した後に 表面温度95℃に設定された延伸ロール間で2.0 倍に延伸した。しかる後、縦延伸したフィル ムを、表面温度25℃に設定された冷却ロール よって強制的に冷却した。なお、冷却前の ィルムの表面温度は約85℃であり、冷却後 フィルムの表面温度は約25℃であった。また 、70℃から25℃に冷却するまでに要した時間 約1.0秒であり、フィルムの冷却速度は、45℃ /秒であった。

 そして、冷却後のフィルムをテンター(第 2テンター)へ導き、当該第2テンター内で幅方 向の両端際をクリップによって把持した状態 で140℃の雰囲気下で5.0秒間に亘って熱処理し た後に冷却し、両縁部を裁断除去することに よって、約30μmの二軸延伸フィルムを所定の さに亘って連続的に製膜して熱収縮性ポリ ステル系フィルムからなるフィルムロール 得た。そして、得られたフィルムの特性を 記した方法によって評価した。評価結果を 3に示す。

[実施例2]
 第2テンターにおける最終的な熱処理温度を 135℃に変更した以外は、実施例1と同様の方 によって、約30μmの二軸延伸フィルム(熱収 性フィルム)を所定の長さに亘って巻き取っ なるフィルムロールを得た。そして、得ら たフィルムの特性を上記した方法によって 価した。評価結果を表3に示す。

[実施例3]
 第1テンターにおける横延伸倍率を3.7倍に変 更するとともに、第2テンターにおける最終 な熱処理温度を130℃に変更した以外は、実 例1と同様の方法によって、約30μmの二軸延 フィルム(熱収縮性フィルム)を所定の長さに 亘って巻き取ってなるフィルムロールを得た 。そして、得られたフィルムの特性を上記し た方法によって評価した。評価結果を表3に す。

[実施例4]
 押出機に投入するポリエステル1とポリエス テル2との混合割合を重量比7:93に変更し、第1 テンターにおける横延伸倍率を3.7倍に変更す るとともに、縦延伸する際の延伸ロールの温 度を100℃に変更し、第2テンターにおける最 的な熱処理温度を125℃に変更した以外は、 施例1と同様の方法によって、約30μmの二軸 伸フィルム(熱収縮性フィルム)を所定の長さ に亘って巻き取ってなるフィルムロールを得 た。また、未延伸フィルムのTgは67℃であっ 。そして、得られたフィルムの特性を上記 た方法によって評価した。評価結果を表3に す。

[実施例5]
 押出機に投入するポリエステル1とポリエス テル2との混合割合を重量比33:67に変更し、第 1テンターにおける横延伸倍率を3.7倍に変更 るとともに、第2テンターにおける最終的な 処理温度を135℃に変更した以外は、実施例1 と同様の方法によって、約30μmの二軸延伸フ ルム(熱収縮性フィルム)を所定の長さに亘 て巻き取ってなるフィルムロールを得た。 た、未延伸フィルムのTgは68℃であった。そ て、得られたフィルムの特性を上記した方 によって評価した。評価結果を表3に示す。

[実施例6]
 押出機に投入するポリエステル2をポリエス テル5に変更した以外は、実施例1と同様の方 によって、約30μmの二軸延伸フィルム(熱収 性フィルム)を所定の長さに亘って巻き取っ てなるフィルムロールを得た。また、未延伸 フィルムのTgは77℃であった。そして、得ら たフィルムの特性を上記した方法によって 価した。評価結果を表3に示す。

[比較例1]
 押出機に投入する原料を上記したポリエス ル3に変更した以外は実施例1と同様にして 延伸フィルムを得た(未延伸フィルムのTgは75 ℃であった)。そして、得られた未延伸フィ ムを、縦延伸機へ導き、予熱ロール上でフ ルム温度が70℃になるまで予備加熱した後に 、表面温度80℃に設定された延伸ロール間で3 .4倍に延伸した。しかる後、縦延伸後のフィ ムを横延伸ゾーンと熱処理ゾーンとを設け テンターに導き、フィルム温度が100℃にな まで予備加熱した後、横延伸ゾーンで横方 に150℃で4.5倍に延伸した後、熱処理ゾーン 、幅方向に3%緩和させながら、235℃の温度 10.0秒間に亘って熱処理することによって、 30μmの二軸延伸フィルム(熱収縮性フィルム) を所定の長さに亘って巻き取ってなるフィル ムロールを得た。そして、得られたフィルム の特性を上記した方法によって評価した。評 価結果を表3に示す。

[比較例2]
 押出機に投入するポリエステル1とポリエス テル2との混合割合を重量比70:30に変更し、第 1テンターにおける横延伸温度、横延伸倍率 、それぞれ、80℃,3.7倍に変更し、縦延伸機 おける縦延伸温度、縦延伸倍率を、それぞ 、75℃,2.4倍に変更するとともに、中間熱処 ゾーンで横方向に10%緩和させ、第2テンター おける最終的な熱処理温度を115℃に変更し 以外は、実施例1と同様の方法によって、約 30μmの二軸延伸フィルム(熱収縮性フィルム) 所定の長さに亘って巻き取ってなるフィル ロールを得た(なお、未延伸フィルムのTgは75 ℃であった)。そして、得られたフィルムの 性を上記した方法によって評価した。評価 果を表3に示す。

[比較例3]
 押出機に投入する原料を、ポリエステル1と ポリエステル2とポリエステル4とを重量比55:3 5:10で混合してなるものに変更した以外は実 例1と同様にして、厚さが90μmの未延伸フィ ムを得た(未延伸フィルムのTgは70℃であった )。そして、得られた未延伸フィルムを、縦 伸機へ導き、予熱ロール上でフィルム温度 70℃になるまで予備加熱した後に、表面温度 85℃に設定された延伸ロール間で3.0倍に延伸 ることによって、約30μmの二軸延伸フィル (熱収縮性フィルム)を所定の長さに亘って巻 き取ってなるフィルムロールを得た。そして 、得られたフィルムの特性を上記した方法に よって評価した。評価結果を表3に示す。

[比較例4]
 実施例1と同様の方法によって得られた縦延 伸後のフィルムを第2テンターに導いて最終 な熱処理を施す際に、フィルムを横方向に10 %緩和させた以外は、実施例1と同様の方法に って、約30μmの二軸延伸フィルム(熱収縮性 ィルム)を所定の長さに亘って巻き取ってな るフィルムロールを得た。そして、得られた フィルムの特性を上記した方法によって評価 した。評価結果を表3に示す。

[比較例5]
 実施例1と同様の方法によって得られた縦延 伸後のフィルムを第2テンターに導いて最終 な熱処理を施す際に、フィルムを横方向に1. 1倍に延伸した以外は、実施例1と同様の方法 よって、約30μmの二軸延伸フィルム(熱収縮 フィルム)を所定の長さに亘って巻き取って なるフィルムロールを得た。そして、得られ たフィルムの特性を上記した方法によって評 価した。評価結果を表3に示す。

 表3から明らかなように、実施例1~6で得ら れたフィルムは、低温領域における熱収縮率 (温湯収縮率)が低いにも拘わらず、高温領域 の熱収縮率(グリセリン浸漬熱収縮率)が高 、最終的な収縮仕上がり性が良好であった さらに、実施例1~6の熱収縮性ポリエステル フィルムは、自然収縮率が小さく、製造さ たフィルムロールにシワが発生することが く、耐破断性も良好であった。すなわち、 施例1~6で得られた熱収縮性ポリエステル系 ィルムは、乾電池外装ラベルとしての品質 高く、きわめて実用性の高いものであった

 それに対して、比較例1で得られた熱収縮 性フィルム(縦-横延伸フィルム)は、高温領域 での熱収縮率が低いため、最終的な収縮仕上 がり性が不良であった。また、比較例2で得 れた熱収縮性フィルムは、低温領域におけ 熱収縮率が高いため、耐熱性が悪かった。 方、比較例3で得られた熱収縮性フィルムは 低温領域における熱収縮率が低く、耐破断 が不良であった。加えて、比較例4で得られ た熱収縮性フィルムは、高温領域における直 交方向の熱収縮率が低すぎ、反対に、比較例 5で得られた熱収縮性フィルムは、高温領域 おける直交方向の熱収縮率が高すぎるため いずれも、収縮仕上がり性が不良であった すなわち、比較例1~5で得られた熱収縮性ポ エステル系フィルムは、乾電池外装ラベル しての実用に適さないものであった。

 本発明の熱収縮性ポリエステル系フィル は、上記の如く優れた加工特性を有してい ので、特に、乾電池の外装用のラベルやそ 類似用途に好適に用いることができる。

収縮仕上がり性の評価において、乾電 の上端際の外周にサンプルフィルムを巻き けた状態を示す説明図である。 耐破断性の評価において、サンプルフ ルムに“長手方向の裂け目”が発生した状 を示す説明図である。

符号の説明

 F・・フィルム,V・・乾電池。