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Patent Searching and Data


Title:
HEATER DEVICE, MEASURING DEVICE, AND METHOD OF ESTIMATING HEAT CONDUCTIVITY
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/107209
Kind Code:
A1
Abstract:
A heater device (1) comprises a heater substrate (3), heater thin-films (7) formed on the upper surface of the heater substrate (3) and power supply terminals (8) for supplying electric power to respective heater thin-films (7) independently from each other, and generates heat by electrifying the heater substrate (3) and heater thin-films (7). Sensor thin-films (9) are formed on the lower surface of the heater substrate (3). The heater device further includes a mounting substrate (4) on which the heater substrate (3) is placed and held, and on the upper surface of which a power supply wiring thin-film (10) for electrically connecting the heater thin-films (7) and an external device to each other and sensor wiring thin-films (11) are provided.

Inventors:
UEDA SUSUMU (JP)
OSAWA KENJI (JP)
TSURUTA KATSUYA (JP)
KOTANI TOSHIAKI (JP)
MIZUTA KEI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/053447
Publication Date:
September 03, 2009
Filing Date:
February 27, 2008
Export Citation:
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Assignee:
FUCHIGAMI MICRO CO (JP)
UNIV KAGOSHIMA (JP)
UEDA SUSUMU (JP)
OSAWA KENJI (JP)
TSURUTA KATSUYA (JP)
KOTANI TOSHIAKI (JP)
MIZUTA KEI (JP)
International Classes:
H05B3/20; G01N25/18
Foreign References:
JPH09139569A1997-05-27
JPH05223762A1993-08-31
JPS63271121A1988-11-09
JPH02226954A1990-09-10
JPH05259419A1993-10-08
Attorney, Agent or Firm:
YAMAGUCHI, KOICHI (JP)
Koichi Yamaguchi (JP)
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Claims:
 基板と、
 前記基板の上面に形成されたヒータ薄膜に通電して発熱するヒータ装置において、
 複数のヒータ薄膜と、
 前記複数のヒータ薄膜のそれぞれに独立して給電する給電端子を有することを特徴とするヒータ装置。
 前記給電端子を前記基板の下面に形成するとともに、
 前記給電端子と前記ヒータ薄膜を電気的に連絡するスルーホールを備える
 ことを特徴とする請求項1に記載のヒータ装置。
 前記基板の下面に形成された複数のセンサ薄膜を有する
ことを特徴する請求項2に記載のヒータ装置。
 前記基板を載置保持するとともに、
 前記ヒータ薄膜及び前記センサ薄膜と外部機器を電気的に接続する配線パターンを上面に形成した実装基板を有する
ことを特徴とする請求項3に記載のヒータ装置。
 前記配線パターンは、
 前記給電端子に接触する始端と前記実装基板の縁部にあって前記外部機器に接続される終端を結ぶ給電路を、前記給電端子毎に複数個備えるともに、
 前記複数個の給電路の長さが全て等しい
 ことを特徴とする請求項4に記載のヒータ装置。
 請求項3に記載のヒータ装置と、
 制御装置から構成されるとともに、
 前記制御装置は、
 前記ヒータ薄膜に所定の電力を供給する電力制御手段と、
 前記センサ薄膜と前記ヒータ薄膜の温度を計測するセンサ制御手段と、
 前記センサ制御手段が計測する、前記センサ薄膜と前記ヒータ薄膜の温度に基づいて、前記基板の下面から流出する流出熱量を算出する演算手段を備える
 ことを特徴とする測定装置。
 前記演算手段は、
 前記センサ制御手段が計測する前記センサ薄膜の温度に基づいて、前記基板の下面の温度分布を算出する
 ことを特徴とする請求項6に記載の測定装置。
 前記演算手段は、
 前記電力制御手段が前記ヒータ薄膜に供給する電力に基づいて、前記ヒータ薄膜から発生する発生熱量を算出する
 ことを特徴とする請求項6に記載の測定装置。
 前記演算手段は、
 前記ヒータ薄膜から発生する発生熱量から前記基板の下面から流出する流出熱量を減じて、前記ヒータ薄膜の上面から放出される放出熱量を算出する
 ことを特徴とする請求項8に記載の測定装置。
 前記測定装置の周囲の環境の温度を測定する環境温度測定手段を備えるとともに、
 前記演算手段は、
 前記環境温度測定手段が検出する温度、前記センサ制御手段が計測する前記ヒータ薄膜の温度、及び前記ヒータ薄膜の上面から放出される放出熱量に基づいて、前記ヒータ薄膜の上に載置される供試体の熱抵抗を算出する
 ことを特徴とする請求項9に記載の測定装置。
 前記ヒータ薄膜の上に載置される供試体の放熱部の表面温度を測定する放熱部温度測定手段を備えるとともに、
 前記演算手段は、
 前記放熱部度測定手段が検出する温度、前記センサ制御手段が計測する前記ヒータ薄膜の温度、及び前記ヒータ薄膜の上面から放出される放出熱量に基づいて、前記供試体の熱抵抗を算出する
 ことを特徴とする請求項9に記載の測定装置。
 前記センサ制御手段が計測する前記ヒータ薄膜の温度の時間変化を監視する温度監視手段を備えるとともに、
 前記演算手段は、
 前記ヒータ薄膜の温度の時間変化がなくなったときに、前記供試体の熱抵抗を算出する
 ことを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の測定装置。
 熱伝導率が分かっている放熱物体を熱源の上に載置して、前記熱源の発熱量と放熱量が均衡して前記熱源の温度が一定になった定常状態における前記放熱物体の温度分布を計測する予備計測段階と、
 前記放熱物体と前記熱源についての熱伝導方程式を解いて、前記熱源の発熱量と放熱量が均衡して前記熱源の温度が一定になった定常状態における前記放熱物体の温度分布を計算する計算段階と、
 前記予備計測段階で得られた温度分布と前記計算段階で得られた温度分布を比較して、両者が一致するような前記熱伝導方程式の境界条件を決定する境界条件決定段階と、
 前記境界条件決定段階で決定された境界条件を用いた前記熱伝導方程式を前記放熱物体の熱伝導率を変えて解いて、前記熱源の発熱量と放熱量が均衡して前記熱源の温度が一定になった定常状態における前記熱源の温度を推定する定常温度推定段階と、
 前記定常温度推定段階で得られた前記放熱物体の熱伝導率と前記熱源の温度の関係に基づいて両者の関係を示す近似式を決定する近似式決定段階と、
 供試体を前記熱源の上に載置して、前記熱源の発熱量と放熱量が均衡して前記熱源の温度が一定になったときの前記熱源の温度を計測する供試体計測段階と、
 前記供試体計測段階で得られた前記熱源の温度と前記近似式決定段階で得られた近似式に基づいて、前記供試体の熱伝導率を求める熱伝導率推定段階を有する
 ことを特徴とする熱伝導率推定方法。
 前記熱源は請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のヒータ装置であることを特徴とする請求項13に記載の熱伝導率推定方法。
Description:
ヒータ装置及び測定装置並びに 伝導率推定方法

 本発明は、伝熱機器の性能評価に使用す ヒータ装置及び測定装置に関する。

 ヒートパイプは、作動液を封入した容器 一端で吸熱して、前記作動液を蒸発させ、 記容器の他端で前記作動液を凝結させて、 熱する装置であり、電子機器の冷却に利用 れている。例えば、特許文献1および2では ICチップのような電子部品とヒートパイプを 熱的に接続し、電子部品で発生する熱をヒー トパイプでヒートシンクに輸送して放熱する ために、ヒートパイプとヒートシンクを組み 合わせた冷却器(本明細書では、これをヒー パイプ付き冷却器と呼ぶことにする)が提案 れている。

 さて、ヒートパイプ付き冷却器の性能は下 で表される総熱抵抗R T で評価される。

    R T =(T 1 -T 2 )/W    (式1)

 ただし、Wはヒートパイプの単位時間あたり の熱輸送量、T 1 はヒートパイプ付き冷却器の吸熱部の温度(= 却対象物の表面温度)T 2 はヒートパイプ付き冷却器の周囲環境の温度 である。

 あるいは、総熱抵抗R T に代えて、ワーク熱抵抗R w を使用する場合もある。ワーク熱抵抗R w は下式で表される。

    R w =(T 1 -T 2 )/W    (式2)

 ただし、T 2 はヒートパイプ付き冷却器の放熱部の温度で ある。

 また、ヒートパイプ付き冷却器のメーカで 、次のような方法で、ヒートパイプ付き冷 器の総熱抵抗R T を一品ずつ計測して、所定の基準を満足して いることを確認している。

(1)ヒートパイプ付き冷却器の吸熱部の温度(= 却対象物の表面温度)T 1 を測定しながら、電熱ヒータで加熱する。
(2)時間の経過にしたがって、T 1 はゆっくり上昇するが、やがて放熱量と発熱 量がバランスして、T 1 は一定(定常状態)になる。
(3)T 1 が一定になった時の、周囲環境の温度T 2 、及び電熱ヒータの消費電力を測定して、ヒ ートパイプ付き冷却器の総熱抵抗R T を算出する(定常状態になったときのヒート イプ付き冷却器の熱輸送量Wは、電熱ヒータ 発熱量に等しく、電熱ヒータの発熱量は消 電力から算出できる)。

特開2007-208262号公報

特開2005-136117号公報

 しかしながら、上記の方法による総熱抵抗R T の測定には次のような問題があった。

 電熱ヒータの発熱量をヒートパイプ付き 却器の熱輸送量(=放熱量)に等しくするため は、電熱ヒータの熱がヒートパイプ付き冷 器以外から逃げないように断熱する必要が る。そのために、電熱ヒータの寸法や重量 大きくなるという問題があった。

 また、電熱ヒータを完全に断熱すること 困難であり、外部に逃げ出す熱量を測定・ 正する手段がないので、正確な測定ができ いという問題があった。

 また、ICチップなどでは、発熱部位が偏 する場合がある。つまり、ICチップの特定の 部位が高温になる場合である。このような現 象を再現して、ヒートパイプ付き冷却器の性 能評価をすることが求められているが、この ような場合には、専用の電熱ヒータを用意す る必要があった。

 本発明はこれらの課題を解決するために されたものであり、ヒートパイプ付き冷却 の熱抵抗の測定に適したヒータ装置を提供 るものである。また、ヒートパイプ付き冷 器の熱抵抗の測定に適した測定装置を提供 るものである。また、ヒートパイプ付き冷 器の有効熱伝導率を簡易に推定する方法を 供するものである。

 上記目的を達成するため、本発明に係る ータ装置は、基板と、前記基板の上面に形 されたヒータ薄膜に通電して発熱するヒー 装置において、複数のヒータ薄膜と前記複 のヒータ薄膜のそれぞれに独立して給電す 給電端子を有することを特徴とする。

 また、前記給電端子を前記基板の下面に 成するとともに、前記給電端子と前記ヒー 薄膜を電気的に連絡するスルーホールを備 るようにしてもよい。

 また、前記基板の下面に複数のセンサ薄 を形成してもよい。

 また、前記基板を載置保持するとともに 前記ヒータ薄膜及び前記センサ薄膜と外部 器を電気的に接続する配線パターンを上面 形成した実装基板を備えてもよい。

 また、前記配線パターンは、前記給電端 に接触する始端と前記実装基板の縁部にあ て前記外部機器に接続される終端を結ぶ給 路を、前記給電端子毎に複数個備えるとも 、前記複数個の給電路の長さが全て等しく るようにしてもよい。

 また、本発明に係る測定装置は、前記ヒ タ装置と前記制御装置から構成されるとと に、前記制御装置は、前記ヒータ薄膜に所 の電力を供給する電力制御手段と、前記セ サ薄膜と前記ヒータ薄膜の温度を計測する ンサ制御手段と、前記センサ制御手段が計 する前記センサ薄膜と前記ヒータ薄膜の温 に基づいて、前記基板の下面から流出する 出熱量を算出する演算手段を備えることを 徴とする。

 また、前記演算手段は、前記センサ制御 段が計測する前記センサ薄膜の温度に基づ て、前記基板の下面の温度分布を算出して よい。

 また、前記演算手段は、前記電力制御手 が前記ヒータ薄膜に供給する電力に基づい 、前記ヒータ薄膜から発生する発生熱量を 出してもよい。

 また、前記演算手段は、前記ヒータ薄膜 ら発生する発生熱量から前記基板の下面か 流出する流出熱量を減じて、前記ヒータ薄 の上面から放出される放出熱量を算出して よい。

 また、前記測定装置の周囲の環境の温度 測定する環境温度測定手段を備えるととも 、前記演算手段は、前記環境温度測定手段 検出する温度、前記センサ制御手段が計測 る前記ヒータ薄膜の温度、及び前記ヒータ 膜の上面から放出される放出熱量に基づい 、前記ヒータ薄膜の上に載置される供試体 熱抵抗を算出してもよい。

 また、前記ヒータ薄膜の上に載置される 試体の放熱部の表面温度を測定する放熱部 度測定手段を備えるとともに、前記演算手 は、前記放熱部度測定手段が検出する温度 前記センサ制御手段が計測する前記ヒータ 膜の温度、及び前記ヒータ薄膜の上面から 出される放出熱量に基づいて、前記供試体 熱抵抗を算出してもよい。

 また、前記センサ制御手段が計測する前 ヒータ薄膜の温度の時間変化を監視する温 監視手段を備えるとともに、前記演算手段 、前記ヒータ薄膜の温度の時間変化がなく ったときに、前記供試体の熱抵抗を算出す ようにしてもよい。

 本発明の熱伝導率推定方法は、熱伝導率 分かっている放熱物体を熱源の上に載置し 、前記熱源の発熱量と放熱量が均衡して前 熱源の温度が一定になった定常状態におけ 前記放熱物体の温度分布を計測する予備計 段階と、前記放熱物体と前記熱源について 熱伝導方程式を解いて、前記熱源の発熱量 放熱量が均衡して前記熱源の温度が一定に った定常状態における前記放熱物体の温度 布を計算する計算段階と、前記予備計測段 で得られた温度分布と前記計算段階で得ら た温度分布とを比較して、両者が一致する うな前記熱伝導方程式の境界条件を決定す 境界条件決定段階と、前記境界条件決定段 で決定された境界条件を用いた前記熱伝導 程式を前記放熱物体の熱伝導率を変えて解 て、前記熱源の発熱量と放熱量が均衡して 記熱源の温度が一定になった定常状態にお る前記熱源の温度を推定する定常温度推定 階と、前記定常温度推定段階で得られた前 放熱物体の熱伝導率と前記熱源の温度の関 に基づいて両者の関係を示す近似式を決定 る近似式決定段階と、供試体を前記熱源の に載置して、前記熱源の発熱量と放熱量が 衡して前記熱源の温度が一定になったとき 前記熱源の温度を計測する供試体計測段階 、前記供試体計測段階で得られた前記熱源 温度と前記近似式決定段階で得られた近似 に基づいて、前記供試体の熱伝導率を求め 熱伝導率推定段階を有することを特徴とす 。

 前記熱源は前述のいずれかの構成に係る ータ装置であってもよい。

 本発明のヒータ装置は複数のヒータ薄膜 独立制御できるので、発熱が特定の部位に る熱源をシミュレートすることができる。 た、本発明のヒータ装置は基板の上面及び 面の温度を検出できるので、基板の下面に 出する熱量を算出することができる。

 本発明の測定装置は、ヒータ薄膜で発生 る熱量から、基板の下面に流出する熱量を じて、供試体が伝熱する正味の熱量を算出 ることができる。また、供試体の熱抵抗を 動計測することができる。

 本発明の熱伝導率推定方法によれば、供 体を熱源の上に載置して、熱源の温度が定 状態になったときの温度を計測するだけで 供試体の熱伝導率を知ることができる。

本発明に係るヒータ装置の概念的な構 を示す側面図である。 前記ヒータ装置のヒータ基板の外形図 あり、(a)は上面の平面図、(b)はヒータ薄膜 備えた部位の拡大図、(c)は部分断面図であ 。 前記ヒータ装置のヒータ基板の下面を す平面図であり、(a)は全体図、(b)はセンサ 膜の拡大図である。 前記ヒータ装置の実装基板の上面を示 平面図であり、(a)は単体図、(b)はヒータ基 を搭載置した状態を示す図である。 ヒータ装置を使って、ヒートパイプ付 冷却器の総熱抵抗を測定する原理を説明す 模式図である。 ヒータ基板の下面の等温度線図の例で る。 本発明に係る計測装置の概念的な構成 示す構成図である。 前記検査装置で実行されるプログラム 例を示すフローチャートである。 放熱物体の熱伝導率と熱源の定常温度 関係を示す図である。

符号の説明

 1 ヒータ装置
 2 ヒートパイプ付き冷却器
 3 ヒータ基板
 4 実装基板
 5 ヒートパイプ
 6 ヒートシンク
 7 ヒータ薄膜
 8 給電端子
 9 センサ薄膜
10 給電用配線薄膜
11 センサ用配線薄膜
12 ヒータ面
13 スルーホール
14 センサ端子
15 電極パッド
16 接続パッド
17 電極パッド
18 接続パッド
21 計測装置
22 制御装置
23 電力制御装置
24 センサ制御装置
25 温度センサ
26 温度センサ

 以下、本発明を実施するための最良の形 について、説明する。

[ヒータ装置の全体構成]
 図1は、本発明に係るヒータ装置の概念的な 構成を示す側面図である。図1に示すように ヒータ装置1は、ヒートパイプ付き冷却器2を 加熱する装置であり、ヒータ基板3と実装基 4から構成される。

 なお、ヒートパイプ付き冷却器2は、ヒー トパイプ5とヒートシンク6を備え、図示しな ICチップに接触させて、ICチップから発生す る熱をヒートパイプ5でヒートシンク6に輸送 て、放熱する冷却器である。

 ヒータ基板3は耐熱性を備えたセラミック で構成され、その上面に複数のヒータ薄膜7 形成している。また、ヒータ基板3には図示 ないスルーホールが設けられ、給電端子8が 前記スルーホールを貫通してヒータ基板3の 面に突出している。給電端子8はヒータ薄膜7 に電力を供給する端子であり、ヒータ薄膜7 給電端子8から給電されて発熱する。また、 電端子8間の電気抵抗を測定すればヒータ薄 膜7の温度を知ることができる。

 また、ヒータ基板3の下面には、複数のセ ンサ薄膜9を備えている。センサ薄膜9の電気 抗を測定すればヒータ基板3の下面の温度を 知ることができる。

 実装基板4はヒータ基板3を載置・固定す 石英基板であり、ヒータ基板3は図示しない ァスナで実装基板4上の所定の位置に固定さ れる。また、実装基板4の上面には、給電用 線薄膜10及びセンサ用配線薄膜11が形成され 。給電用配線薄膜10は図示しない外部機器 らヒータ薄膜7に給電するための配線パター であり、センサ用配線薄膜11は外部機器と ンサ薄膜9を電気的に接続する配線パターン ある。

[ヒータ基板の上面]
 図2は、ヒータ基板3の外形図であり、(a)は 面の平面図、(b)はヒータ薄膜7を備えた部位 拡大図、(c)は部分断面図である。

 図2(a)に示すように、ヒータ基板3は一辺 長さが50mmの正方形をなし、中央に一辺10mmの 正方形のヒータ面12を形成している。ヒータ 12はヒートパイプ付き冷却器2の冷却対象のI Cチップを模擬する部分であり、5面のヒータ 膜7を備えている。

 また、図2(b)に示すように、ヒータ面12に 、その中央に配置された正方形のヒータ薄 7の周囲に、L字形のヒータ薄膜7が4面配置さ れている。また、ヒータ薄膜7の端部には給 端子8が2個ずつ備えられ、給電端子8はヒー 基板3の上面から下面に貫通するスルーホー 13を通って、ヒータ基板3の下面に突出して る(図2(c)参照)。なお、ヒータ基板3の厚さは 約1mm程度である。

 このように、5面のヒータ薄膜7のそれぞ に給電端子8を備えているので、5面のヒータ 薄膜7をそれぞれ独立して制御することがで る。つまり、5面のヒータ薄膜7の一部に通電 することや、特定のヒータ薄膜7の発熱量を 減することができるので、発熱部位が偏在 るICチップを模擬することができる。

 なお、ヒータ薄膜7の材料は通電によって 発熱し、温度変化に伴って電気抵抗が変化す る物質の中から適当なものを選択すればよい が、本実施形態では白金を使用している。

[ヒータ基板の下面]
 図3は、ヒータ基板3の下面を示す平面図で り、(a)は全体図、(b)はセンサ薄膜9の拡大図 ある。

 図3(a)に示すように、ヒータ基板3の下面 は、9面のセンサ薄膜9を横方向および斜め( 角線)方向に配列している。後述するように 9面のセンサ薄膜9から得られる温度データ 基づいてヒータ基板3の下面全体の温度分布 推定するために、このような配列を選んで る。また、センサ薄膜9の配置はヒータ薄膜 7の給電端子8と干渉しない(重ならない)位置 選んでいる。

 また、センサ薄膜9は一辺の長さが約2.4mm 正方形をなし、図3(b)に示すようなパターン を描いている。また、センサ薄膜9のパター の両端にはセンサ端子14が設けられ、センサ 端子14間の電気抵抗を計測すればセンサ薄膜9 の温度を知ることができる。

 なお、センサ薄膜9の材料は温度変化に伴 って電気抵抗が変化する物質の中から適当な ものを選択すればよいが、本実施形態では白 金を使用している。

[実装基板]
 図4は、実装基板4の上面を示す平面図であ 、(a)は実装基板4単体、(b)は実装基板4上にヒ ータ基板3を搭載した状態を示している。

 図4に示すように、実装基板4は一辺の長 が150mmの正方形をなす石英基板であり、上面 に10本の給電用配線薄膜10と、18本のセンサ用 配線薄膜11を形成している。

 給電用配線薄膜10は、実装基板4の縁部に 置された電極パッド15と、実装基板4の中央 に配置された接続パッド16を結ぶ導電体の 膜である。電極パッド15は図示しない外部機 器と電気的に接続される接続部であり、接続 パッド16はヒータ基板3の下面に突出する給電 端子8に接触する接続部である。つまり、給 用配線薄膜10は前記外部機器とヒータ薄膜7 電気的に連絡する配線として機能する。

 なお、10本の給電用配線薄膜10の電極パッ ド15と接続パッド16の相対的な位置関係は、 れぞれ異なるが、電極パッド15と接続パッド 16の相対的な位置関係に応じて経路を屈曲さ ることによって、電極パッド15から接続パ ド16に至る経路の長さが、全ての給電用配線 薄膜10について等しくなるようにしている。 れは、給電用配線薄膜10の配線抵抗の違い 起因する発熱量や温度の計測誤差を解消す ためである。

 センサ用配線薄膜11は、実装基板4の縁部 配置された電極パッド17と、実装基板4の中 部に配置された接続パッド18を結ぶ導電体 薄膜である。電極パッド17は図示しない外部 機器と電気的に接続される接続部であり、接 続パッド18はヒータ基板3の下面に配置された センサ薄膜9のセンサ端子14に接触する接続部 である。つまり、センサ用配線薄膜11は前記 部機器とセンサ薄膜7を電気的に連絡する配 線として機能する。

 なお、給電用配線薄膜10と同様の理由で センサ用配線薄膜11も経路を屈曲させること によって、電極パッド17から接続パッド18に る経路の長さが、全てのセンサ用配線薄膜11 について等しくなるようにしている。

[熱抵抗の測定方法]
 図5は、ヒータ装置1を使って、ヒートパイ 付き冷却器2の総熱抵抗R T を測定する原理を説明する模式図である。

 図5において、W P は単位時間にヒータ薄膜7で発生する熱量で り、W F は単位時間にヒートパイプ付き冷却器2がヒ タ薄膜7から吸収して外部環境に排出する熱 、つまりヒートパイプ付き冷却器2の単位時 間あたりの熱輸送量である。また、W B は単位時間にヒータ薄膜7の裏面からヒータ 板3を通って外部環境に排出される熱量であ 。

 また、T 1 はヒータ薄膜7の温度、T 2 は外部環境の温度、T 3 はヒータ基板3の下面の温度である。

 ヒートパイプ付き冷却器2の総熱抵抗R T は、次式で与えられる。

    R T =(T 1 -T 2 )/W F     (式3)

 T 1 はヒータ薄膜7の温度であるから、ヒータ薄 7の電気抵抗の値から算出できる。また、T 2 は外部環境の温度であるから、公知の各種温 度計測手段で計測することができる。したが って、W F を知ることができれば、総熱抵抗R T を求めることができる。

 ここで、T 1 の時間変化がなくなった状態、つまり定常状 態になった場合を考える。定常状態では、ヒ ータ薄膜7で発生する熱量はすべて外部に排 されるから、次式が成り立つ。

    W P =W F +W B     (式4)
  ∴ W F =W P -W B     (式5)

 W P は単位時間にヒータ薄膜7で発生する熱量で るから、ヒータ薄膜7の消費電力に熱電変換 率を乗じて求めることができる。一方、W B は以下の手順で算出する。

 さて、ヒータ薄膜7の面積をA、ヒータ基 3の板厚をtとすると、Aに比べてtは小さいか 、ヒータ薄膜7の裏面からヒータ基板3の下 に流れる熱は、ヒータ基板3に垂直に流れる 考えてよい。したがって、次式が成り立つ ただしkはヒータ基板3の熱伝導率である。

    W B =A・k・(T 1 -T 3 )/t    (式6)

 前述したように、T 1 はヒータ薄膜7の電気抵抗の値から算出でき 。しかしながら、T 3 は、センサ薄膜9による測定値をそのまま使 することができない。センサ薄膜9はヒータ 膜7の直下にないからである(ヒータ薄膜7の 電端子8とセンサ薄膜9の干渉を避けるため 、このように配置している)。

 そこで、ヒータ基板3の下面に配置した9面 センサ薄膜9の測定値に基づいて、ヒータ基 3の下面の温度分布を推定し、ヒータ薄膜7 直下のヒータ基板3の下面の温度、すなわちT 3 を求める。

 さて、予想される温度分布に対して、ヒ タ薄膜7を適切に配置すれば、隣接するセン サ薄膜9の間の点の温度は、一方のセンサ薄 9から距離に対して線形に変化すると考えて い。また、本実施形態では、ヒータ基板3に 対してセンサ薄膜9が均等に分布していない で、センサ薄膜9から離れた部位の温度の推 精度が問題になるが、ヒータ薄膜7はヒータ 基板3の中央付近に配置されているので、ヒ タ基板3の下面の温度は、ヒータ基板3の中心 に対して対称に分布すると考えてよい。した がって、図6に示すように、部位A~Dの温度は 位A’~D’に配置されたセンサ薄膜9による測 値に等しいと考えて、等温度線図を作成す ことができる。

 このようにして得られたヒータ基板3の下面 の温度分布に基づいて、ヒータ薄膜7直下の ータ基板3の下面の温度をT 3 とすれば、式6からW B が得られる。

[計測装置]
 次に、ヒータ装置1を使って、ヒートパイプ 付き冷却器2の総熱抵抗R T あるいはワーク熱抵抗R w を自動計測する計測装置21について説明する

 図7は、計測装置21の概念的な構成を示す 成図である。図7に示すように、計測装置21 、ヒータ装置1、制御装置22、電力制御装置2 3、センサ制御装置24及び温度センサ25,26から 成される。

 制御装置22は、計測装置21の全てを支配す るコンピュータであり、電力制御装置23及び ンサ制御装置24は制御装置22の指令を受けて 機能する。

 電力制御装置23は、制御装置22の指令に従 って所定の電力を、ヒータ装置1のヒータ薄 7に供給する装置である。

 センサ制御装置24は、制御装置22の指令に 従って、センサ薄膜9のセンサ端子14間の電気 抵抗を測定してセンサ薄膜9の温度を算出す 装置である。また、センサ制御装置24は、制 御装置22の指令に従って、ヒータ薄膜7の給電 端子8間の電気抵抗を測定してヒータ薄膜7の 度を算出する。

 温度センサ25は、外部環境(ヒートパイプ き冷却器2が放熱する空間)の温度を検出す センサである。また、温度センサ26は、ヒー トパイプ付き冷却器2の放熱部(ヒートシンク6 )の表面温度を検出するセンサである。

[制御プログラム]
 制御装置22には、制御プログラムがインス ールされ、制御装置22は制御プログラムに従 って、電力制御装置23等を運転して、自動計 を行う。図8は、制御装置22で実行される制 プログラムの例を示すフローチャートであ 。以下、この制御プログラムを図に付した テップ番号を追いながら説明する。

(ステップ1)電力制御装置23がヒータ薄膜7に所 定の電力を供給して加熱を開始する。前述し たように、例えば、5面のヒータ薄膜7の一部 給電して、発熱部位が偏在するICチップを 擬することもできる。
(ステップ2)加熱を開始したら、センサ制御装 置24は、ヒータ薄膜7の給電端子8間の電気抵 を測定してヒータ薄膜7の温度T 1 の変化を監視し、変化がなくなるまで(定常 態に達するまで)待つ。変化がなくなったら テップ3に進む。

(ステップ3)センサ制御装置24にセンサ薄膜9の 温度を算出させて、その結果に基づいてヒー タ基板3の下面の温度分布を推定し、ヒータ 膜7の直下のヒータ基板3の下面温度T 3 を求める。
(ステップ4)T 1 及びT 3 に基づいて単位時間にヒータ基板3の下面か 流出する熱量W B を求める。

(ステップ5)電力制御装置23がヒータ薄膜7に供 給する電力に基づいて、単位時間にヒータ薄 膜7で発生する熱量W P を求める。
(ステップ6)W B 及びW P に基づいて、単位時間にヒートパイプ付き冷 却器2が輸送(放熱)する熱量W F を求める。

(ステップ7)温度センサ25が検出する外部環境 温度T 2 及びT 1 、W F に基づいて、ヒートパイプ付き冷却器2の総 抵抗R T を求める。

 なお、ステップ7において、T 2 に代えて、温度センサ26が検出するヒートパ プ付き冷却器2の放熱部(ヒートシンク6)の表 面温度T 2 を使用すれば、ヒートパイプ付き冷却器2の ーク熱抵抗R w を算出することができる。

[伝熱機器単体の性能評価]
 以上、ヒータ装置1を備えた計測装置21を使 て、ヒートパイプ付き冷却器2の熱抵抗を計 測する手順を説明した。熱抵抗は伝熱機器を 特定の熱源に実装したときの伝熱性能を評価 する指標として有効である。

 しかしながら、発明者らによる実験によれ 、2x7mmサイズの平面ヒータ(熱源1)とヒート イプ付き冷却器2を組み合わせたときのワー 熱抵抗R w が0.35(K/W)であったのに対し、3x5mmサイズの平 ヒータ(熱源2)とヒートパイプ付き冷却器2を 組み合わせたときのワーク熱抵抗R w は0.80(K/W)となった。このように、熱抵抗は熱 源のサイズや形状によって変化するので、伝 熱機器単体の伝熱性能を評価する指標として は使いづらいという問題がある。

 そこで、発明者らは、計測装置21を使っ 伝熱機器の有効熱伝導率を推定するととも 、有効熱伝導率を使って伝熱機器単体の伝 性能を評価することを考えた。以下に、熱 の上に伝熱機器を置いて、熱源の発熱量と 熱機器による伝熱量がバランスして熱源の 度が定常になった時の熱源の温度から伝熱 器の有効熱伝導率を推定する方法と、有効 伝導率がヒートパイプ付き冷却器2単体の伝 性能を評価指標として優れていることを説 する。

[熱伝導方程式の境界条件の決定]
 熱伝導率が分かっている物体を熱源の上に 熱機器を置いて、熱源の発熱量と伝熱機器 よる伝熱量がバランスするときの温度(定常 温度)を計算するために、次のような手順で 伝導方程式の境界条件を決定する。

(1)熱伝導率が分かっている放熱物体(例えば 板)を熱源の上に置いて、前記熱源の温度が 常になった時の前記放熱物体の温度分布を( 例えば、赤外線サーモグラフィを使用して) 測する。
(2)前記放熱物体と前記熱源について3次元熱 導方程式を立てて、有限体積法を用いてこ を解く。
(3)(1)の計測値と(2)の計算値を比較して、両者 が一致するような3次元熱伝導方程式の境界 件(前記放熱物体と前記熱源の間のサーモグ スの厚さ、前記放熱物体の上面の熱伝達係 )を決定する。

[熱伝導率と熱源の定常温度の関係式の決定]
 前述の方法で決定した境界条件を用いると もに、前記放熱物体の熱伝導率を様々に変 て、前記3次元熱伝導方程式を解いて、前記 放熱物体の熱伝導率に対する前記熱源の定常 温度を計算する。

 発明者らが、前記熱源1及び前記熱源2に いて、前述の方法によって、熱伝導方程式 境界条件を決定し、熱伝導率と定常温度の 係を計算して、前記放熱物体の熱伝導率を 軸に取り、前記熱源1及び前記熱源2の定常温 度を縦軸にとったグラフにプロットすると、 図9に示すような結果が得られた。

 ここで、前記熱源1又は前記熱源2の定常 度をY、前記放熱物体の熱伝導率をXとして、 両者の関係を次式で近似することにする。

    Y=Y 0 +P・exp(-X/Q)    (式7)

 熱伝導率Xと定常温度Yの相関係数が最大 なるように、式7の定数を選ぶと、次の結果 得られる。

 すなわち、前記熱源1については、
    Y 0 =345.8,P=32.51,Q=580.4    (式8)
前記熱源2については、
    Y 0 =347.2,P=26.18,Q=580.6    (式9)
の値が得られる。

 なお、図9に示した曲線は、式7に式8あるい 式9に示した値を代入して得られた曲線であ る。
[伝熱機器の有効熱伝導率の推定]
 さて、式7から次式が得られる。

    X=Q・Ln{P/(Y-Y 0 )}    (式10)

 ヒートパイプ付き冷却器2を前記熱源1及 前記熱源2の上において、前記熱源1及び前記 熱源2の定常温度を求めたところ、349.4(K)およ び350.6(K)が得られた。これらの値と式8および 式9を式10に代入して、ヒートパイプ付き冷却 器2の有効熱伝導率Xを求めると次のような結 が得られる。

 すなわち、前記熱源1については、
    X=1270(W・m -1 ・K -1 )    (式11)
前記熱源2については、
    X=1177(W・m -1 ・K -1 )    (式12)
の値が得られる。

 このように、ヒートパイプ付き冷却器2の 有効熱伝導率は前記熱源1で計測しても、前 熱源2で計測しても、結果にほとんど差がで い。つまり、有効熱伝導率Xは熱源のサイズ や寸法の影響を受けないヒートパイプ付き冷 却器2に固有の伝熱性能の指標であることが かる。

 したがって、ヒータ装置1の上に熱伝導率 が分かっている放熱物体を置いて、ヒータ装 置1が定常温度に達した時の、前記放熱物体 温度分布を計測すれば、ヒータ装置1の定常 度とヒータ装置1の上に載置される物体の熱 伝導率の関係式を決定することができる。ま た、ヒータ装置1について前記関係式を決定 きれば、ヒータ装置1の定常温度を計測する けで前記物体の有効熱伝導率を推定するこ ができる。

 以上、本発明をヒートパイプ付き冷却器 伝熱特性の測定に適用する例を説明してき が、本発明の適用範囲はこれに限られるも ではない。本発明は広く各種伝熱機器の伝 特性の測定に適用できる。

 本発明は、各種伝熱機器の伝熱特性の測 に用いる装置及び方法として有用である。