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Patent Searching and Data


Title:
Helicobacter pylori GROWTH INHIBITOR AND METHOD FOR PRODUCTION THEREOF
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/119667
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is an inhibitor of the growth of Helicobacter pylori, which comprises a culture supernatant of a plant-derived lactic acid bacterium having 16S rRNA comprising a nucleotide sequence depicted in any one of SEQ ID NO:1 to SEQ ID NO:4 or an extract from the culture supernatant. It becomes possible to provide a novel technique for inhibiting the growth of Helicobacter pylori without supplying living cells of Helicobacter pylori to the stomach.

Inventors:
SUGIYAMA MASANORI
Application Number:
PCT/JP2009/055952
Publication Date:
October 01, 2009
Filing Date:
March 25, 2009
Export Citation:
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Assignee:
UNIV HIROSHIMA (JP)
SUGIYAMA MASANORI
International Classes:
A61K35/74; A23L1/30; A23L33/135; A61K31/05; A61K35/747; A61K36/00; A61K36/185; A61K36/45; A61K36/73; A61K36/899; A61P1/04; A61P31/04; A61P35/00; C07C39/04; C12N1/20; C12N15/09; C12P1/04; A61K131/00
Foreign References:
JP2006042796A2006-02-16
KR20040092276A2004-11-03
CN1660300A2005-08-31
JP2005013211A2005-01-20
CN1124653A1996-06-19
Other References:
LORCA, G.L. ET AL.: "Lactobacillus acidophilus autolysins inhibit Helicobacter pylori in vitro", CURR MICROBIOL, vol. 42, no. 1, 2001, pages 39 - 44
LEE, H.M. ET AL.: "Isolation of Lactobacillus plantarum from Kimchi and its inhibitory activity on the adherence and growth of Helicobacter pylori", J MICROBIOL BIOTECHNOL, vol. 16, no. 10, 2006, pages 1513 - 1517
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VORAVUTHIKUNCHAI, S.P. ET AL.: "Inhibitory and killing activities of medicinal plants against multiple antibiotic-resistant Helicobacter pylori", JOURNAL OF HEALTH SCIENCE, vol. 54, no. 1, February 2008 (2008-02-01), pages 81 - 8
BROBERG, A. ET AL.: "Metabolite profiles of lactic acid bacteria in grass silage", APPL ENVIRON MICROBIOL, vol. 73, no. 17, 2007, pages 5547 - 5552
KWON, Y. ET AL.: "Anti-Diabetes Functionality of Kefir Culture-Mediated Fermented Soymilk Supplemented with Rhodiola Extracts", FOOD BIOTECHNOL, vol. 20, no. 1, 2006, pages 13 - 29
LANG, R. ET AL.: "Development of a stable isotope dilution analysis with liquid chromatography-tandem mass spectrometry detection for the quantitative analysis of di- and trihydroxybenzenes in foods and model systems", J AGRIC FOOD CHEM, vol. 54, no. 16, 2006, pages 5755 - 5762
HE, Y. ET AL.: "Analysis of aroma components of 'Yali' pear wine by gas chromatography-mass spectrometry", YUANYI XUEBAO, vol. 33, no. 6, 2006, pages 1267 - 1268
TAKABAYASHI, F. ET AL.: "Effect of black tea aqueous non-dialysate on Helicobacter pylori infection in monogolian gerbils", ENVIRONMENTAL HEALTH AND PREVENTIVE MEDICINE, vol. 9, 2004, pages 176 - 180
ROMERO, C. ET AL.: "In vitro activity of olive oil polyphenols against Helicobacter pylori", J AGRIC FOOD CHEM, vol. 55, no. 3, 2007, pages 680 - 686
Attorney, Agent or Firm:
HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK (JP)
Patent business corporation Hara [Kenzo] international patent firm (JP)
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Claims:
 植物乳酸菌の培養上清または該培養上清からの抽出物を含有している、Helicobacter pyloriの生育阻害剤であって、
 該植物乳酸菌の16S rRNAが、
 (a)配列番号1~4のいずれか1つに示される塩基配列を含むポリヌクレオチド;
 (b)配列番号1~4のいずれか1つに示される塩基配列に1もしくは数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド;または
 (c)配列番号1~4のいずれか1つに示される塩基配列の相補配列からなるポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得るポリヌクレオチド
であることを特徴とする生育阻害剤。
 上記植物乳酸菌が、ラクトバシラス プランタルムSN35M株(受託番号:NITE BP-5)、ラクトバシラス プランタルムSN35N株(受託番号:NITE BP-6)、ラクトバシラス プランタルムSN13T株(受託番号:NITE BP-7)、およびラクトバシラス プランタルムSN26T株(受託番号:NITE BP-8)からなる群より選択されることを特徴とする請求の範囲1に記載の生育阻害剤。
 上記培養上清が、果汁または野菜汁を培地として用いた培養によって得られることを特徴とする請求の範囲1または2に記載の生育阻害剤。
 上記抽出物がエステル抽出物であることを特徴とする請求の範囲1~3のいずれか1項に記載の生育阻害剤。
 ブルーベリー果汁またはザクロ果汁をさらに含有していることを特徴とする請求の範囲1~4のいずれか1項に記載の生育阻害剤。
 請求の範囲1~5のいずれか1項に記載の生育阻害剤を含んでいることを特徴とする機能性食品。
 Helicobacter pyloriの生育阻害剤を製造する方法であって、
 植物乳酸菌の培養上清を得る工程
を包含し、
 該植物乳酸菌の16S rRNAが、
 (a)配列番号1~4のいずれか1つに示される塩基配列を含むポリヌクレオチド;
 (b)配列番号1~4のいずれか1つに示される塩基配列に1もしくは数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド;または
 (c)配列番号1~4のいずれか1つに示される塩基配列の相補配列からなるポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得るポリヌクレオチド
であることを特徴とする製造方法。
 上記培養上清のエステル抽出物を得る工程をさらに包含することを特徴とする請求の範囲7に記載の製造方法。
 果汁または野菜汁を培地として用いることを特徴とする請求の範囲7または8に記載の製造方法。
 上記培地に酒粕もしくは焼酎蒸留残渣またはこれらの抽出物を添加することをさらに含むことを特徴とする請求の範囲7~9のいずれか1項に記載の製造方法。
 ブルーベリー果汁またはザクロ果汁を上記培養上清に添加する工程をさらに包含することを特徴とする請求の範囲7~10のいずれか1項に記載の製造方法。
 ラクトバシラス プランタルムSN35M株(受託番号:NITE BP-5)、ラクトバシラス プランタルムSN35N株(受託番号:NITE BP-6)、ラクトバシラス プランタルムSN13T株(受託番号:NITE BP-7)およびラクトバシラス プランタルムSN26T株(受託番号:NITE BP-8)からなる群より選択される乳酸菌の生菌を生存可能に含有していることを特徴とするHelicobacter pyloriの生育阻害剤を製造するための組成物。
 上記生菌によって醗酵する醗酵原料をさらに含有していることを特徴とする請求の範囲12に記載の組成物。
 上記醗酵原料が、乳、果汁または野菜汁であることを特徴とする請求の範囲13に記載の組成物。
 酒粕もしくは焼酎蒸留残渣またはこれらの抽出物をさらに含有していることを特徴とする請求の範囲12~14のいずれか1項に記載の組成物。
 ブルーベリー果汁またはザクロ果汁をさらに含有していることを特徴とする請求の範囲12~15のいずれか1項に記載の組成物。
 カテコールまたはチロソールの製造方法であって、
 植物乳酸菌の培養上清を得る工程
を包含し、
 該植物乳酸菌の16S rRNAが、
 (a)配列番号1~4のいずれか1つに示される塩基配列を含むポリヌクレオチド;
 (b)配列番号1~4のいずれか1つに示される塩基配列に1もしくは数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列を含むポリヌクレオチド;または
 (c)配列番号1~4のいずれか1つに示される塩基配列の相補配列からなるポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得るポリヌクレオチド
であることを特徴とする製造方法。
 上記培養上清のエステル抽出物を得る工程をさらに包含することを特徴とする請求の範囲17に記載の製造方法。
 果汁または野菜汁を培地として用いることを特徴とする請求の範囲17または18に記載の製造方法。
 上記培地に酒粕もしくは焼酎蒸留残渣またはこれらの抽出物を添加することをさらに含むことを特徴とする請求の範囲17~19のいずれか1項に記載の製造方法。
 カテコールまたはチロソールを含有していることを特徴とするHelicobacter pyloriの生育阻害剤。
Description:
Helicobacter pyloriの生育阻害剤お びその製造方法

 本発明は、Helicobacter pyloriの生育阻害剤 よびその製造方法に関するものであり、よ 詳細には、特定の植物乳酸菌の培養上清お びその抽出物を含有している生育阻害剤お びその製造方法に関するものである。

 現在、日本人の約50%、特に50歳以上の70% Helicobacter pylori(ピロリ菌)に感染していると われている。ピロリ菌の感染は胃潰瘍や十 指腸潰瘍の原因となり、さらには胃癌の発 にも深く関わっていることが明らかになっ いる。

 ピロリ菌は、人の胃粘膜にて生息可能な 微好気性のらせん型グラム陰性桿菌である ピロリ菌は、菌体の大きさが0.5~1.0μm×2.5~5.0 μmであり、数本の鞭毛を有し、活発な運動性 を示す。ピロリ菌の発育至適温度は37℃であ 、発育至適pHは7.0~7.4であり、pH4以下の環境 は生きることができない。さらに、ピロリ はカタラーゼ陽性、オキシダーゼ陽性、ウ アーゼ陽性を示す。ウレアーゼは人の胃粘 上皮細胞中の尿素をアンモニアと二酸化炭 に変換する酵素であり、ウレアーゼの触媒 用によって生成されたアンモニアが胃酸を 和することにより、ピロリ菌は胃粘膜中に 生存し得る。したがって、ピロリ菌のウレ ーゼ産生能はピロリ菌の胃粘膜中での生存 不可欠と言える。

 ピロリ菌の除菌治療としては、プロトン ンプインヒビターおよび2種類の抗生物質を 用いた3剤併用が行われている。しかし、抗 物質に耐性のピロリ菌が出現するなど、こ 方法は効果的治療となっていない。また、 生物質を一定期間にわたって集中的に服用 るため、患者は体調を崩すことが多く、抗 物質の服用が大きなストレスとなっている よって、抗生物質を用いることなくピロリ の生育を阻害し得る技術が必要とされてい 。

 乳酸菌は、古来よりチ-ズ、ヨ-グルト、 酵バタ-等の乳製品を始め、味噌、漬物等の が国の伝統的醗酵食品のほか、果汁、野菜 へ接種するなどした、多くの食品に用いら 、食品の風味、組織、栄養価の改善または 存性付与等に重要な役割を果たしている。 年、乳酸菌の生理的効果として、生きた乳 菌の接種による腸内菌叢の改善効果または 腸作用等が明らかとなり、医薬品として乳 菌製剤も開発されている。

 特許文献1には、特定の乳酸菌(Lactobacillus ga sseri)を含有するピロリ菌の除菌性/感染防御 飲食品が開示されている。特許文献2には、 定の乳酸菌(Lactobacillus salivariusまたはLactobac illus brevis)を有効成分とする、胃または十二 腸からピロリ菌を除菌しうる薬剤および醗 食品が開示されている。

日本国公開特許公報「特開2001-143号公報( 公開日:平成13年1月9日)」

日本国公開特許公報「特開平9-241173号公 (公開日:平成9年9月16日)」

日本国公開特許公報「特開2006-42796号公 (公開日:平成18年2月16日)」

 特許文献1に記載の乳酸菌を活用した機能 性食品(特に、醗酵食品)は非常に注目を集め いる。しかし、特許文献1に記載の乳酸菌を 含有する食品が目的の機能を発揮するには、 この乳酸菌の生菌が胃内へ供給されかつ生育 し続けることが必要である。なぜなら、この 乳酸菌によるピロリ菌生育阻害の機序は、乳 酸菌の生成する乳酸によるものだからである 。特許文献1に記載の乳酸菌が低pH条件下での 生育が良好であるとはいえ、胃内へ生菌の状 態で必要量供給することは容易ではない。

 本発明は、上記の問題点に鑑みてなされ ものであり、その目的は、乳酸菌の生菌を 内へ供給することなくHelicobacter pyloriの生 を阻害するための新たな技術を提供するこ にある。

 本発明者らは、新たな植物乳酸菌を取得 、これらの乳酸菌を用いて新しい風味およ 機能を備えた醗酵飲料を製造している(特許 文献3参照)。本発明者らは、植物乳酸菌の研 を進める中で、特定の植物乳酸菌の培養上 が抗ピロリ活性を示すことを見出し、本発 を完成するに至った。すなわち、本発明に るHelicobacter pyloriの生育阻害剤は、植物乳 菌の培養上清または該培養上清からの抽出 を含有しており、該植物乳酸菌の16S rRNAは (a)配列番号1~4のいずれか1つに示される塩基 列を含むポリヌクレオチド;(b)配列番号1~4の いずれか1つに示される塩基配列に1もしくは 個の塩基が欠失、置換もしくは付加された 基配列を含むポリヌクレオチド;または(c)配 列番号1~4のいずれか1つに示される塩基配列 相補配列からなるポリヌクレオチドにスト ンジェントな条件下でハイブリダイズし得 ポリヌクレオチド、であることを特徴とし いる。

 本発明に係る生育阻害剤において、上記 物乳酸菌は、ラクトバシラス プランタル SN35M株(受託番号:NITE BP-5)、ラクトバシラス  プランタルムSN35N株(受託番号:NITE BP-6)、ラク トバシラス プランタルムSN13T株(受託番号:NIT E BP-7)、およびラクトバシラス プランタル SN26T株(受託番号:NITE BP-8)からなる群より選 されることが好ましい。

 本発明に係る生育阻害剤において、上記 養上清は、果汁または野菜汁を培地として いた培養によって得られることが好ましい

 本発明に係る生育阻害剤において、上記 出物は抽出溶剤としてエステル類を用いて られることが好ましく、抽出溶剤が酢酸エ ルであることがより好ましい。

 本発明に係る生育阻害剤において、上記 出物はカテコールまたはチロソール(チロゾ ールともいう。)であってもよい。

 本発明に係るHelicobacter pyloriの生育阻害 は、カテコールまたはチロソールを含有し いることを特徴としている。

 本発明に係るHelicobacter pyloriの生育阻害 は、ブルーベリー果汁またはザクロ果汁を らに含有していてもよい。

 本発明に係る機能性食品は、上記の生育 害剤を含んでいることを特徴としている。

 本発明に係るHelicobacter pyloriの生育阻害 を製造する方法は、植物乳酸菌の培養上清 得る工程を包含し、該植物乳酸菌の16S rRNA 、(a)配列番号1~4のいずれか1つに示される塩 配列を含むポリヌクレオチド;(b)配列番号1~4 のいずれか1つに示される塩基配列に1もしく 数個の塩基が欠失、置換もしくは付加され 塩基配列を含むポリヌクレオチド;または(c) 配列番号1~4のいずれか1つに示される塩基配 の相補配列からなるポリヌクレオチドにス リンジェントな条件下でハイブリダイズし るポリヌクレオチド、であることを特徴と ている。

 本発明に係る製造方法は、上記培養上清 エステル抽出物を得る工程をさらに包含し もよく、抽出溶剤が酢酸エチルであること より好ましい。

 本発明にかかる製造方法は、果汁または 菜汁を培地として用いることが好ましい。

 本発明にかかる製造方法において、上記 地に酒粕もしくは焼酎蒸留残渣またはこれ の抽出物を添加することをさらに含んでも い。また、本発明にかかる製造方法は、ブ ーベリー果汁またはザクロ果汁を上記培養 清に添加する工程をさらに包含していても い。

 本発明に係るHelicobacter pyloriの生育阻害 を製造するための組成物は、ラクトバシラ  プランタルムSN35M株(受託番号:NITE BP-5)、ラ クトバシラス プランタルムSN35N株(受託番号: NITE BP-6)、ラクトバシラス プランタルムSN13T 株(受託番号:NITE BP-7)およびラクトバシラス  プランタルムSN26T株(受託番号:NITE BP-8)からな る群より選択される乳酸菌の生菌を生存可能 に含有していることを特徴としている。

 本発明に係る組成物は、上記生菌によっ 醗酵する醗酵原料をさらに含有していても い。

 本発明に係る組成物において、上記醗酵 料は乳、果汁または野菜汁であることが好 しい。

 本発明に係る組成物は、酒粕もしくは焼 蒸留残渣またはこれらの抽出物をさらに含 していてもよい。また、本発明に係る組成 は、ブルーベリー果汁またはザクロ果汁を らに含有していてもよい。

 本発明に係るカテコールの製造方法は、 物乳酸菌の培養上清を得る工程を包含し、 植物乳酸菌の16S rRNAは、(a)配列番号1~4のい れか1つに示される塩基配列を含むポリヌク レオチド;(b)配列番号1~4のいずれか1つに示さ る塩基配列に1もしくは数個の塩基が欠失、 置換もしくは付加された塩基配列を含むポリ ヌクレオチド;または(c)配列番号1~4のいずれ 1つに示される塩基配列の相補配列からなる リヌクレオチドにストリンジェントな条件 でハイブリダイズし得るポリヌクレオチド であることを特徴としている。

 本発明に係る製造方法は、上記培養上清 エステル抽出物を得る工程をさらに包含し もよく、抽出溶剤が酢酸エチルであること より好ましい。また、本発明にかかる製造 法は、果汁または野菜汁を培地として用い ことが好ましく、上記培地に酒粕もしくは 酎蒸留残渣またはこれらの抽出物を添加す ことをさらに含んでもよい。

 本発明に係るチロソールの製造方法は、 物乳酸菌の培養上清を得る工程を包含し、 植物乳酸菌の16S rRNAは、(a)配列番号1~4のい れか1つに示される塩基配列を含むポリヌク レオチド;(b)配列番号1~4のいずれか1つに示さ る塩基配列に1もしくは数個の塩基が欠失、 置換もしくは付加された塩基配列を含むポリ ヌクレオチド;または(c)配列番号1~4のいずれ 1つに示される塩基配列の相補配列からなる リヌクレオチドにストリンジェントな条件 でハイブリダイズし得るポリヌクレオチド であることを特徴としている。

 本発明に係る製造方法は、上記培養上清 エステル抽出物を得る工程をさらに包含し もよく、抽出溶剤が酢酸エチルであること より好ましい。また、本発明にかかる製造 法は、果汁または野菜汁を培地として用い ことが好ましく、上記培地に酒粕もしくは 酎蒸留残渣またはこれらの抽出物を添加す ことをさらに含んでもよい。

 本発明の他の目的、特徴、および優れた は、以下に示す記載によって十分分かるで ろう。また、本発明の利点は、添付図面を 照した次の説明によって明白になるであろ 。

抗ピロリ活性として、ウレアーゼ活性 低下を指標に測定した結果を示す図である 寒天拡散法を用いて乳酸菌培養上清に ける抗ピロリ活性を確認した結果を示す図 ある。 寒天拡散法を用いて乳酸菌培養上清か の有機抽出相における抗ピロリ活性を確認 た結果を示す図である。 GC-MSにおけるカテコールのピークを示 図である。 カテコール精製標品による抗ピロリ活 を示す図である。 チロソール精製標品による抗ピロリ活 を示す図である。 各種果汁からの抽出物の、GC-MSにおけ ピークを示す図である。 各種醗酵液からの抽出物の、GC-MSにお るピークを示す図である。 寒天拡散法を用いて乳酸菌培養上清に ける抗ピロリ活性を確認した結果を示す図 ある。

 〔1〕植物乳酸菌
 本発明は、特定の植物乳酸菌の培養上清中 抗ピロリ活性が存在することを見出したこ に基づいて完成された。「抗ピロリ活性」 、ピロリ菌(Helicobacter pylori)の生育を阻害す る活性が意図され、具体的にはピロリ菌を殺 傷する活性、ピロリ菌の増殖を抑制/阻害す 活性が意図される。

 植物乳酸菌は、植物由来の乳酸菌をいい 例えば穀物、野菜、果物、あるいはこれら 原材料に含む醗酵食品やナム等の醗酵食品 製造に関係するバナナ等の熱帯植物の葉等 ら分離されたものが意図される。本発明者 はこれまでに、植物乳酸菌として、ラクト シラス プランタルムSN13T株、ラクトバシラ ス プランタルムSN26T株、ラクトバシラス プ ランタルムSN35N株、ラクトバシラス プラン ルムSN35M株、ラクトコッカス ラクティス  ブスペシース ラクティス SN26N株、エンテ コッカス スペシースSN21I株、およびエンテ コッカス ムンヅティSN29N株などを分離して いる。また、他にも多くの植物乳酸菌が知ら れている。しかし、このような多種多様な植 物乳酸菌の中で、その培養上清に抗ピロリ活 性が存在するという優れた効果を有している 乳酸菌が存在することは、全く知られていな かった。

 ラクトバシラス プランタルムSN35M株は、 本発明者らによって分離された菌株であり、 独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)特許 微生物寄託センター(292-0818 千葉県木更津市 ずさ鎌足2-5-8)へ、受託番号NITE BP-5(受託日:2 004年7月6日、移管日:2009年2月16日)として寄託 れており、以下の菌学的性質を有する:メロ ンからの分離株、グラム陽性乳酸桿菌、ホモ 型醗酵、カタラーゼ陰性、芽胞形成能なし、 好気条件下でも培養可、分類学上の位置はLac tobacillus plantarum。

 ラクトバシラス プランタルムSN35N株は、 本発明者らによって分離された菌株であり、 独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)特許 微生物寄託センター(292-0818 千葉県木更津市 ずさ鎌足2-5-8)へ、受託番号NITE BP-6(受託日:2 004年7月6日、移管日:2009年2月16日)として寄託 れており、以下の菌学的性質を有する:ナシ からの分離株、グラム陽性乳酸桿菌、ホモ型 醗酵、カタラーゼ陰性、芽胞形成能なし、好 気条件下でも培養可、分類学上の位置は Lact obacillus plantarum。

 ラクトバシラス プランタルムSN13T株は、 本発明者らによって分離された菌株であり、 独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)特許 微生物寄託センター(292-0818 千葉県木更津市 ずさ鎌足2-5-8)へ、受託番号NITE BP-7(受託日:2 004年7月6日、移管日:2009年1月28日)として寄託 れており、以下の菌学的性質を有する:タイ 国産のナムというソーセージからの分離株、 グラム陽性乳酸桿菌、ホモ型醗酵、カタラー ゼ陰性、芽胞形成能なし、好気条件下でも培 養可、分類学上の位置はLactobacillus plantarum。

 ラクトバシラス プランタルムSN26T株は、 本発明者らによって分離された菌株であり、 独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)特許 微生物寄託センター(292-0818 千葉県木更津市 ずさ鎌足2-5-8)へ、受託番号NITE BP-8(受託日:2 004年7月6日、移管日:2009年2月16日)として寄託 れており、以下の菌学的性質を有する:タイ 国産のナムというソーセージからの分離株、 グラム陽性乳酸桿菌、ホモ型醗酵、カタラー ゼ陰性、芽胞形成能なし、好気条件下でも培 養可、分類学上の位置は Lactobacillus plantarum

 近年では、16SリボソームRNA(16S rRNA)の塩 配列に基づく系統分類により得られるグル プ(クラスター)を指標として、細菌の分類お よび識別を行うことが一般的になっている。 一実施形態において、本発明に用いられる植 物乳酸菌の16S rRNAは、配列番号1~4のいずれか 1つに示される塩基配列を含むポリヌクレオ ドである。なお、配列番号1~4に示される塩 配列は、それぞれラクトバシラス プランタ ルムSN35M株、ラクトバシラス プランタルムSN 35N株、ラクトバシラス プランタルムSN13T株 およびラクトバシラス プランタルムSN26T株 16S rRNAの塩基配列である。本発明において 上述した植物乳酸菌が単独で用いられても いが、2種以上を組み合わせて用いられても よい。

 本明細書中で使用される場合、用語「ポ ヌクレオチド」は、「遺伝子」、「核酸」 たは「核酸分子」と交換可能に使用され、 クレオチドの重合体が意図される。本明細 中で使用される場合、用語「塩基配列」は 「核酸配列」または「ヌクレオチド配列」 交換可能に使用され、デオキシリボヌクレ チド(A、G、CおよびT(またはU)と省略される) 配列として示される。

 なお、配列番号1~4のいずれか1つに示され る塩基配列を含むポリヌクレオチドの変異体 を16S rRNAとして有している植物乳酸菌の中で 、その培養上清中に抗ピロリ活性を示すもの もまた、本発明に用いられるべき植物乳酸菌 である。本明細書中でポリヌクレオチドの観 点で使用される場合、「変異体」は任意の変 異体が意図されるのではなく、配列番号1~4の いずれか1つに示される塩基配列と若干異な ていても、配列番号1~4のいずれか1つに示さ る塩基配列とほぼ同一であるまたは非常に 似していると当業者が容易に認定し得る範 内のポリヌクレオチドが意図され、天然の のであっても人為的に改変されたものであ てもよい。また、当業者は、このようなポ ヌクレオチド変異体を16S rRNAとして有して る植物乳酸菌の培養上清が所望の抗ピロリ 性を有しているか否かを、本明細書中の記 に従って容易に確認し得る。このようなポ ヌクレオチド変異体としては、(1)配列番号1 ~4のいずれか1つに示される塩基配列に1もし は数個の塩基が欠失、置換もしくは付加さ た塩基配列を含むポリヌクレオチド、(2)配 番号1~4のいずれか1つに示される塩基配列の 補配列からなるポリヌクレオチドにストリ ジェントな条件下でハイブリダイズし得る リヌクレオチドが挙げられる。

 ハイブリダイゼーションは、「Molecular Cl oning:A Laboratory Manual 第3版,J.SambrookおよびD.W. Russll編,Cold Spring Harbor Laboratory,NY(2001)」(本 細書中に参考として援用される。)に記載さ ている方法のような周知の方法に従って行 ことができる。本明細書中で使用される場 、用語「ストリンジェントなハイブリダイ ーション条件」は、ハイブリダイゼーショ 溶液(50%ホルムアミド、5×SSC(150mMのNaCl、15mM クエン酸三ナトリウム)、50mMのリン酸ナト ウム(pH7.6)、5×デンハート液、10%硫酸デキス ラン、および20μg/mlの変性剪断サケ精子DNA 含む)中にて42℃で一晩インキュベーション た後、約65℃にて0.1×SSC中でフィルターを洗 することが意図される。

 このように、本発明に用いられる植物乳 菌は、その16S rRNAが、(a)配列番号1~4のいず か1つに示される塩基配列を含むポリヌクレ オチド;(b)配列番号1~4のいずれか1つに示され 塩基配列に1もしくは数個の塩基が欠失、置 換もしくは付加された塩基配列を含むポリヌ クレオチド;または(c)配列番号1~4のいずれか1 に示される塩基配列の相補配列からなるポ ヌクレオチドにストリンジェントな条件下 ハイブリダイズし得るポリヌクレオチド、 ある乳酸菌であるといえる。このような植 乳酸菌が用いられることによって、抗ピロ 活性を示す画分を容易に取得することがで る。

 〔2〕Helicobacter pyloriの生育阻害剤を製造す ための組成物
 本発明は、ラクトバシラス プランタルムSN 35M株、SN35N株、SN13T株およびSN26T株からなる群 より選択される植物乳酸菌の生菌を生存可能 に含有している組成物を提供する。本発明に 係る組成物を用いれば、Helicobacter pyloriの生 阻害剤を製造することができる。

 本発明に係る組成物は、上記植物乳酸菌 よって醗酵する醗酵原料をさらに含有して てもよい。また、本発明に係る組成物は、 粕もしくは焼酎蒸留残渣またはこれらの抽 物をさらに含有していてもよい。

 本明細書中で使用される場合、用語「組 物」はその含有成分を単一組成物中に含有 る態様と、単一キット中に別個に備えてい 態様であってもよい。すなわち、本発明に る組成物は培地をさらに含んでいてもよい 、上記植物乳酸菌の生菌を生存可能に含有 ている組成物と醗酵原料とを別々に備えて るキットの形態であってもよい。また、本 明に係る組成物は、麹菌による米醗酵物ま は酒粕もしくは焼酎蒸留残渣またはこれら 抽出物をさらに含んでいてもよいが、本発 に係る組成物と酒粕もしくは焼酎蒸留残渣 たはこれらの抽出物とを別々に備えている ットの形態であってもよい。

 本発明に用いられる醗酵原料は、乳、果 および野菜汁からなる群より選択されるこ が好ましい。乳としては、動物乳(例えば、 牛乳、ヤギ乳、めん羊乳等)が挙げられ、特 牛乳が好ましい。乳は、未殺菌乳および殺 乳の何れであってもよく、また、これらの から調製した濃縮乳もしくは練乳、これら 脱脂乳、部分脱脂乳またはこれらを乾燥し 粉末にした粉乳等であってもよい。果汁と ては、例えば、モモ、ナシ、リンゴ、イチ 、ザクロ、ブドウ、マンゴー、ミカン、オ ンジ、パイナップル等の汁液が挙げられる これらに限定されず、果物のピューレであ てもよい。また、野菜汁としては、例えば ニンジン、トマト、キャベツ等の汁液が挙 られるがこれらに限定されず、野菜のピュ レであってもよい。果汁および野菜汁は、 物または野菜をミキサー等で摩砕し、必要 応じて更に搾汁することにより得られる。 のような果汁および野菜汁は、適宜濃縮さ てもよく、濃縮液は、そのままであっても 蒸留水等で適当な濃度に希釈して用いられ もよい。上述した乳、果汁および野菜汁は それぞれが単独で用いられても、目的に応 て組み合わせて用いられてもよい。なお、 物または野菜のピューレは、超高圧下(例え 、100MPa)にて酵素処理を行うことによって得 られ、食物繊維を豊富に含んでいる。この酵 素処理に用いられる酵素は、果物または野菜 の種類に応じて適宜選択され得る。

 本明細書中において、用語「生菌を生存 能に含有している」は、目的の菌株が死滅 ることなく組成物中に維持されている態様 あれば特に限定されない。すなわち、上記 成物中では、目的の生菌が増殖していても 眠していてもよい。一実施形態において、 発明に係る組成物は、ラクトバシラス プ ンタルムSN13T株によって醗酵する醗酵原料を さらに含有していることが好ましく、酒粕も しくは焼酎蒸留残渣またはこれらの抽出物を さらに含有していることが好ましい。このよ うな形態であれば、ラクトバシラス プラン ルムSN13T株の生菌の酵素活性を高く保つこ ができるので、この生菌を組成物中で生存 能に含有し得る。他の実施形態において、 発明に係る組成物は、ラクトバシラス プラ ンタルムSN13T株の生菌を、適切な賦形剤とと に含んでいる。乳酸菌の生存に影響を与え い賦形剤は当該分野において周知であり、 えば、デンプン、乾燥酵母、乳糖、白糖な が挙げられ、また、組成物を錠剤に加工す ためのもの(例えば、コーンペプチド、麦芽 糖など)であってもよい。このように、本発 に係るHelicobacter pyloriの生育阻害剤を製造す るための組成物は、いわゆる「醗酵種」とし て用いられるべきものであることが意図され る。

 〔3〕Helicobacter pyloriの生育阻害剤およびそ 製造方法
 本発明は、Helicobacter pyloriの生育阻害剤を 供する。本発明に係る生育阻害剤には、上 した植物乳酸菌の培養上清またはその培養 清の抽出物を含んでいることを特徴として る。

 本発明に係る生育阻害剤は、上記植物乳 菌の培養上清を得る工程を包含する製造方 を用いて製造される。得られた培養上清は そのまま用いられてもその抽出物が用いら てもよい。すなわち、本発明に係る生育阻 剤の製造方法は、培養上清のエステル抽出 を得る工程をさらに包含してもよい。また 本発明に係る生育阻害剤の製造方法は、培 培地に酒粕もしくは焼酎蒸留残渣またはこ らの抽出物を添加することをさらに含んで よい。なお、酒粕もしくは焼酎蒸留残渣ま はこれらの抽出物については、本明細書中 おいて参考として援用される特許文献3にそ の詳細が記載されており、当業者は容易に理 解し得る。

 本発明に用いられる培養培地としては、 汁または野菜汁が挙げられる。果汁として 、例えば、モモ、ナシ、リンゴ、イチゴ、 クロ、ブドウ、マンゴー、ミカン、オレン 、パイナップル等の汁液が挙げられるがこ らに限定されず、果物のピューレであって よい。また、野菜汁としては、例えば、ニ ジン、トマト、キャベツ等の汁液が挙げら るがこれらに限定されず、野菜のピューレ あってもよい。果汁および野菜汁は、果物 たは野菜をミキサー等で摩砕し、必要に応 て更に搾汁することにより得られる。この うな果汁および野菜汁は、適宜濃縮されて よく、濃縮液は、そのままであっても、蒸 水等で適当な濃度に希釈して用いられても い。上述した果汁および野菜汁は、それぞ が単独で用いられても、目的に応じて組み わせて用いられてもよい。なお、果物また 野菜のピューレは、超高圧下(例えば、100MPa )にて酵素処理を行うことによって得られ、 物繊維を豊富に含んでいる。この酵素処理 用いられる酵素は、果物または野菜の種類 応じて適宜選択され得る。このような培地 用いることにより、抗ピロリ活性を含んだ 養上清を得ることができる。なお、培養上 中の抗ピロリ活性は、酢酸エチル等のエス ル類によって抽出されるものであっても、 溶性のものであってもよく、エステル類に って抽出されるものの活性本体としては、 テコールおよびチロソールが挙げられる。 出物は、そのまま利用されてもよく、希釈 濃縮または凍結乾燥した後に、必要に応じ 粉末又はペースト状に調製して用いられて よい。また、抗ピロリ活性以外の夾雑物を 去したものや、必要に応じて、公知の方法 脱臭、脱色等の処理を施したものも、上記 出物の範囲内であることが意図される。

 なお、本発明に係る生育阻害剤の製造方 における培養工程は、醗酵原料を植物乳酸 の生菌で醗酵させる醗酵工程であり得る。 酵工程は、酸度が0.6~1.5%の範囲内になるま 醗酵原料を醗酵させることが好ましい。醗 は、当該分野において公知の手法を用いて われればよい。果汁または野菜汁を醗酵原 として用いる場合、果汁または野菜汁、あ いはこれらに他の原料を添加した溶液を65~13 0℃で1秒間~30分間加熱殺菌し、次いで30~45℃ で冷却し、続いて、この溶液に植物乳酸菌 0.1~6重量%接種した後、30~45℃の温度で12~72時 醗酵させ、醗酵終了後に冷却したものを醗 物(醗酵果汁または醗酵野菜汁)として用い ばよい。これら醗酵果汁または醗酵野菜汁 、そのまま飲料としてもよく、さらには希 または殺菌を行い醗酵果汁飲料または醗酵 菜汁飲料とすることができる。

 なお、醗酵物を得る際には、醗酵原料以 に、ゼラチン、寒天、糖類、香料、果肉な のような醗酵飲料の製造に通常使用されて る原料を添加することもできる。例えば、 糖、グルコース、フラクトース、パラチノ ス、トレハロース、等の糖類、ソルビトー 、キシリトール、エリスリトール、還元水 等の糖アルコール類、アスパルテーム、ア スルファムカリウム等の高甘味度甘味料、 糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エス ル、レシチン等の乳化剤、カラギーナン、 サンタンガム、グァーガム等の増粘剤、ク ン酸、乳酸、リンゴ酸等の酸味料、レモン 汁、オレンジ果汁等の果汁類の他、ビタミ 類やカルシウム、鉄、マンガン、亜鉛等の ネラル類、更には甘草、桂枝、生姜のよう 生薬、あるいは香草、グルタミン酸ナトリ ム、クチナシ色素、シリコーン、リン酸塩 の食品添加物等を添加することが可能であ 。

 本発明に係る生育阻害剤は、ピロリ菌の 育を阻害するための試薬であっても、医薬 成物または食用組成物を製造する際の添加 であってもよく、医薬組成物または食用組 物として用いられてもよい。本発明に係る 育阻害剤は、ピロリ菌の生育を阻害し得る 能性食品を製造するに特に有用である。

 本発明を用いて製造される医薬組成物は 製薬分野における公知の方法により製造す ことができる。本発明に係る医薬組成物に ける抗ピロリ活性の含有量は、投与形態、 与方法などを考慮し、この医薬組成物を適 な量にて投与できるような量であれば特に 定されない。本発明に係る医薬組成物は経 投与されることが好ましく、経口投与に好 しい錠剤、カプセルなどの形態として調製 れ得る。経口投与される態様(すなわち経口 剤)の場合、例えばデンプン、乳糖、白糖、 ンニット、カルボキシメチルセルロース、 ーンスターチ、無機塩などが医薬用担体と て利用される。また経口剤を調製する際、 に結合剤、崩壊剤、界面活性剤、潤滑剤、 動性促進剤、矯味剤、着色剤、香料などを 合してもよい。安定化剤、抗酸化剤などの うな補助物質もまた、本発明に係る医薬組 物中に存在し得る。本発明に係る医薬組成 はそのまま経口投与するほか、任意の飲食 に添加して日常的に摂取させることもでき 。投与および摂取は、所望の投与量範囲内 おいて、1日内において単回で、または数回 分けて行ってもよい。

 本発明を用いて製造される食用組成物は ピロリ菌の生育を阻害するための食用組成 (すなわち、食品、飲料など)であり、健康 品(機能性食品)として極めて有用である。本 発明に係る食用組成物の製造法は特に限定さ れず、調理、加工および一般に用いられてい る食品または飲料の製造法による製造を挙げ ることができ、本発明によって得られた抗ピ ロリ活性が、その食品または飲料中に含有さ れていればよい。本発明に係る食用組成物と しては、例えば、乳製品(例えば、ヨーグル )、健康食品(例えば、カプセル、タブレット 、粉末)、飲料(例えば、乳飲料、野菜飲料な )、ドリンク剤などが挙げられるがこれらに 限定されない。

 〔4〕カテコールの製造方法
 本発明は、カテコールの製造方法を提供す 。本発明に係るカテコールの製造方法は、 記植物乳酸菌の培養上清を得る工程を包含 、好ましくは、培養上清のエステル抽出物 たはクロロホルム抽出物を得る工程をさら 包含し得る。また、本発明に係るカテコー の製造方法は、培養培地に酒粕もしくは焼 蒸留残渣またはこれらの抽出物を添加する とをさらに含んでもよい。このように、本 明に係るカテコールの製造方法は、上述し Helicobacter pyloriの生育阻害剤の製造方法で り得ることを、当業者は容易に理解し得る

 〔5〕チロソールの製造方法
 本発明は、チロソールの製造方法を提供す 。本発明に係るチロソールの製造方法は、 記植物乳酸菌の培養上清を得る工程を包含 、好ましくは、培養上清のエステル抽出物 たはクロロホルム抽出物を得る工程をさら 包含し得る。また、本発明に係るチロソー の製造方法は、培養培地に酒粕もしくは焼 蒸留残渣またはこれらの抽出物を添加する とをさらに含んでもよい。このように、本 明に係るチロソールの製造方法は、上述し Helicobacter pyloriの生育阻害剤の製造方法で り得ることを、当業者は容易に理解し得る

 〔6〕果汁の利用
 後述する実施例において示すように、ブル ベリー果汁またはザクロ果汁は、植物乳酸 による醗酵を経ることなく、Helicobacter pylor iの生育を阻害し得る。すなわち、本発明は ブルーベリー果汁またはザクロ果汁の新規 途を提供する。

 1つの局面において、本発明に係るHelicobac ter pyloriの生育阻害剤は、ブルーベリー果汁 たはザクロ果汁をさらに含有していること 特徴としている。また、本発明に係るHelicob acter pyloriの生育阻害剤を製造する方法は、 ルーベリー果汁またはザクロ果汁を得る工 をさらに包含することを特徴としている。 らに、本発明に係るHelicobacter pyloriの生育阻 害剤を製造するための組成物は、ブルーベリ ー果汁またはザクロ果汁をさらに含有してい ることを特徴としている。生育阻害剤、生育 阻害剤の製造方法、および生育阻害剤を製造 するための組成物については、植物乳酸菌に よる醗酵の観点を除いて上記を参照すればよ いことを、本明細書を読んだ当業者は容易に 理解する。

 〔1.乳酸菌の調製および培養〕
 乳酸菌として、Lb.plantarum SN13T株(受託番号:N ITE BP-7;以下「SN13T株」とも称する。)およびLb .plantarum SN35N株(受託番号:NITE BP-6;以下「SN35N 」とも称する。)を、実験に用いた。SN13T株 、タイのナムという醗酵ソーセージ(豚肉の ミンチを熱帯植物の葉、例えば、バナナの葉 で包み、醗酵させたもの)から分離され、特 としては、多糖類を産生しない。SN35N株は、 果物(ナシ)から分離され、SN13T株と比較して 殖力が強く、多糖類を多量に産生する。さ に、Lb.plantarum SN35N株が多糖類を産生するこ から、SN35N株に適当な濃度の抗生物質を添 することによってSN35N株を変異処理して、多 糖類非生産性変異株として菌体外多糖類生合 成遺伝子(exogenous polysaccharide-encoding gene)を欠 損させた変異株(eps欠損変異株)を作製して実 に供した。

 なお、eps欠損変異株は以下の手順に従っ 作製した。5mLのMRS培地(Merck社製)にて37℃で2 4時間振盪培養したL.plantarum SN35Nの培養液5μL 、最終濃度0.2、0.4、0.6mg/mLになるように調 した。培養した菌を、novoviocinを添加したMRS 地に移し、37℃で24時間培養した。これをMRS 寒天培地に塗布し、37℃で72時間培養した。 の結果、0.6mg/mLのnovoviocin添加培地にて培養 た菌を塗布したプレートから、粘性を欠い コロニーを得た。このコロニーをMRS培地に 24時間培養したものをテンプレートにPCRでeps を増幅したところ、増幅断片は確認されなか った。また、16s rRNAについてシークエンスを 行った結果、このコロニーがSN35Nのものであ ことを確認した。よって、このコロニーを 成する菌をeps変異株として実験に用いた。

 乳酸菌の培養には、MRS培地、SDM培地、な びにモモまたはナシの果汁にクエン酸ナト ウム1.2%、酒粕(スプレードライ)1.2%を添加し て作製したモモ果汁培地およびナシ果汁培地 を用いた。

 MRS培地およびSDM培地の組成を以下に示す

 MRS培地については、上記組成を蒸留水に 解した後、オートクレーブ(118℃、15分間)し て用いた。また、寒天培地として使用する際 はagarを最終濃度1.5重量%となるように加えた SDM培地については、上記組成を蒸留水に溶 し、pH6.5に調整した後に、オートクレーブ(1 18℃、15分間)して用いた。

 SN13T株、SN35N株、およびSN35N株のeps欠損変 株を、それぞれMRS培地で37℃にて24時間培養 した後、MRS培地、SDM培地、モモ果汁培地、ま たはナシ果汁培地に植菌した(菌濃度1%)。こ らを37℃にて24時間培養した後、菌濃度が2% なるように各培地に接種し、さらに37℃で24 間培養した。得られた培養液を30,000×gで20 間遠心分離し、回収した培養上清をフィル ー滅菌した。この滅菌上清を凍結乾燥した 、NaOHでpH7以上に調整し、元の培養液の10倍 縮物を得た。

 〔2.ウレアーゼ試験による抗ピロリ活性の 定〕
 ピロリ菌(約1×10 8 個)の懸濁液と乳酸菌培養上清とを、容積比8: 2または6:4で混合し、37℃、微好気条件下にて 穏やかに振盪培養した。ピロリ菌懸濁液と乳 酸菌培養上清との混合時、混合3時間後、6時 後、24時間後に混合液中のウレアーゼ活性 測定した。ウレアーゼ活性の測定には、尿 とフェノールレッドなどで構成されるウレ 培地を用いた。これは、混合培養液中のピ リ菌がウレアーゼを産生していれば、ウレ 培地中の尿素がアンモニアに分解され、産 されたアンモニアによってpHが上昇すると、 指示薬であるフェノールレッドがピンク色に なることを利用している。なお、ピロリ菌の 活性が低下すると、ウレアーゼ活性が低下し 、尿素からアンモニアが産生されず、吸光度 は低下する。このようなウレアーゼ活性の低 下を指標に抗ピロリ活性を測定した。

 結果を図1に示す。図中の縦軸は550nmでの 光度(すなわち、ウレアーゼ活性)を示す。(a )に示すように、容積比6:4の混合液中にて培 した場合、モモ果汁培地またはナシ果汁培 にて培養した乳酸菌の培養上清において、MR S培地またはSDM培地にて培養した場合と比較 て、ウレアーゼ活性の低下が観察された。 積比8:2の混合液中にて培養した場合も、(b) 示すように、モモ果汁培地にて培養した乳 菌のウレアーゼ活性の低下が見られたが、 に、SN13T株の培養上清では、ウレアーゼ活性 の抑制が、SN35N株の培養上清と比較して強く つ早い段階で認められた。また、モモ果汁 地とナシ果汁培地で比較すると、モモ果汁 地で培養したもののほうがナシ果汁培地で 養したものよりも強くウレアーゼ活性を低 させていた。このように、モモ果汁培地を いて培養した培養上清中には抗ピロリ活性 質がより多く産生されていることが示唆さ る。

 観察された抗ピロリ活性が乳酸に起因す ものではないことを確認するために、500mM たは1Mの乳酸溶液(NaOHにてpHを7以上に調整)を 用いてウレアーゼ試験を行った。(c)に示すよ うに、pH7以上の乳酸溶液ではウレアーゼ活性 が低下しなかった。したがって、SN13T株およ SN35N株の培養上清に含まれる抗ピロリ活性 、乳酸に起因するものではないといえる。

 〔3.寒天拡散法による抗ピロリ活性の測定
 寒天拡散法によって抗ピロリ活性を確認し 。ピロリ菌(約1×10 8 個)の懸濁液を塗布した寒天培地上に、乳酸 培養上清20μLを浸透させたペーパーディスク を配置し、37℃で72時間培養した後に、形成 れた阻止円を観察した(図2)。乳酸溶液を用 た寒天拡散法による抗菌活性のアッセイの 果を(a)に示す。右が500mM、1.0M、1.5Mの乳酸溶 である。左は、所定濃度の乳酸溶液のpHを7 上にしたものである。乳酸溶液では乳酸の 度の上昇とともに、阻止円直径が大きくな ており、ピロリ菌の発育を阻害しているこ が明らかである。しかし、乳酸溶液のpHを7 上にすると、全く阻止円が観察されなかっ 。このように、乳酸には、その酸としての 質以外にはピロリ菌の発育を阻害する要因 ないことが確認された。

 モモ果汁培地またはナシ果汁培地を浸透 せたペーパーディスクを用いて、上記と同 に行ったアッセイの結果を(b)に示す。なお これらの培地は、上述したウレアーゼ試験 著しい抗ピロリ活性を示したものである。 モ果汁培地で培養したSN13T株の培養上清で 、鮮明な阻止円が観察され、ウレアーゼ試 と一致する結果が得られた。このように、 モ果汁培地またはナシ果汁培地で培養したSN 13T株またはSN35N株の培養上清は、pHが7以上で っても抗ピロリ活性を示す。これにより、 察された抗ピロリ活性が乳酸以外の物質に 因するといえる。

 また、ナシのピューレを培地に用いた場 の抗ピロリ活性は、ナシ果汁培地を用いた 合の抗ピロリ活性よりも高かった(データは 示さず)。これは、ピューレが食物繊維を豊 に含んでおり、乳酸菌の増殖性がよいこと 起因していると考えられる。

 〔4.抗ピロリ活性物質〕
 上述したように、モモ果汁培地を用いてSN13 T株を培養した際に得られる培養上清が最も い抗ピロリ活性を示した。この培養上清を 各種有機溶媒を用いて分画した後に、寒天 散法によるバイオアッセイに供した。培養 清50mLをヘキサン(200mL)で2回抽出して有機相1 回収した。次いで、ヘキサン抽出後の水相 クロロホルム(200mL)で2回抽出して有機相2を 収した。続いて、クロロホルム抽出後の水 を酢酸エチル(200mL)で2回抽出して有機相3を 収した。有機相1~3を上述したようにペーパ ディスクに浸透させて、寒天拡散法によっ 抗ピロリ活性を調べた。図3に示すように、 有機相3(酢酸エチル相)に大きな阻止円が観察 され、抗ピロリ活性物質は主に酢酸エチル相 に存在することが分かった。

 〔5.抗ピロリ活性物質の同定〕
 モモ果汁を用いてSN13T株を培養した際に得 れる培養上清(以下、醗酵液と称する。)にお ける抗ピロリ活性の活性物質の同定を試みた 。

 pHを7に調整したモモ醗酵液1Lを、ヘキサ 500mLで抽出した(合計4回)。得られた有機相( キサン画分)からエバポレーターを用いてヘ サンを除去し、画分に溶解している物質を 縮した。また、エキサン抽出後の水相をク ロホルムで同様に抽出した。得られた有機 (クロロホルム画分)からエバポレーターを いてクロロホルムを除去し、画分に溶解し いる物質を濃縮した。さらに、クロロホル 抽出後の水相を酢酸エチルで同様に抽出し 。得られた有機相(酢酸エチル画分)からエバ ポレーターを用いて酢酸エチルを除去し、画 分に溶解している物質を濃縮した。残った水 相を凍結乾燥し、画分に溶解している物質を 濃縮した。

 ヘキサン画分、クロロホルム画分、酢酸エ ル画分、水画分のいずれに抗ピロリ活性物 が存在するか否か確認するために、各画分 濃縮物1mgを1mLの水に溶解し、各30μlをペー ーディスクに浸透させ、6×10 8 CFU/mLのピロリ菌を塗布したアガープレートに ディスクを配置し、微好気条件にて37℃で72 間培養した。その結果、クロロホルム画分 よび酢酸エチル画分に阻止円が観察された これらの画分を合わせて、抗ピロリ活性物 の精製に用いた。

 合わせた画分をサンプルとしてTLC(Thin-layer  chromatgraphy)を行った。その結果、唯一のスポ トを確認し得た。シリカゲルを充填したカ ムにサンプルをアプライし、クロロホルム 溶出した。TLCでスポットを確認しながら画 を回収し、最終的に3つの画分に分画した。 クロロホルムと酢酸エチルを2:1の割合で混合 した溶媒を展開層として上記3つの画分をTLC 確認した。各画分のRf値は、画分1で0.78、画 2で0.81および0.34、画分3で0.81および0.44であ た。濃度を20mg/mLに調整した各画分(30μl)を ーパーディスクに浸透させ、6×10 8 CFU/mLのピロリ菌を塗布したアガープレートに ディスクを配置し、微好気条件にて37℃で72 間培養した。その結果、画分1および画分3に 阻止円が観察された。そこで、画分3からRf値 0.81の物質を、上述したシリカゲルのカラム 分離/精製し、画分1と混合してヘキサンに溶 解して再結晶化を行った。約30mgの結晶が得 れた。この結晶の20mg/mL水溶液(30μl)をペーパ ーディスクに浸透させ、6×10 8 CFU/mLのピロリ菌を塗布したアガープレートに ディスクを配置し、微好気条件にて37℃で72 間培養した。その結果、阻止円が観察され 。質量分析法、NMR、融点測定によって構造 析を行った結果、上記結晶がカテコールで ることを決定した(図4)。図に示すように、 テコールは保持時間5.3付近にピークがあり そのピークの分子量は110である。

 カテコール標品を用いて、種々の濃度(30,10, 1.0,0.5mg/mL)の溶液を調製した。寒天培地にて め培養したピロリ菌をbrucella培地に懸濁し(1 10 9 CFU/mL)、これを新たな寒天培地に塗菌した。 テコール標準液30μLを染み込ませた濾紙を、 ピロリ菌を塗菌した上記培地上に配置し、微 好気性条件下にて37℃で72時間培養した後の 止円を観察した。結果を図5に示す。図に示 ように、カテコール自体が抗ピロリ活性を していることを確認した。なお、図中の阻 円は、それぞれ30mg/mL(上)、10mg/mL(下)、1.0mg/m L(右)、0.5mg/mL(左)の濃度に対応する。

 また、ナシ果汁を用いてSN13T株を培養し 際に得られる醗酵液における抗ピロリ活性 活性物質の同定を試みた。

 SN13T株をナシ果汁培地(5mL)に植菌し、37℃ て24時間培養した。同様の培地へさらに植 し、菌濃度1%にて培養した。これを、50mLの 様の培地に対して1%(v/v)で植菌し、同様の条 下でさらに培養した。

 上記の手順に従って得たSN13T株をナシ果汁 酵液(1L)から遠心分離によって菌体を除去し NaOHを用いて上清のpHを7に調整した。この溶 液に対して酢酸エチル(500mL)による抽出を5回 い、酢酸エチル層に含まれる物質をTLCによ て確認した。ガラス上のシリカゲルプレー にて展開溶媒(クロロホルム:酢酸エチル=7:3) を用いて展開するTLCによって目的の物質を分 離した。目的のスポットをUV検出によって特 し、その部分を削りとって回収した。これ 酢酸エチルによって再度抽出することによ て目的の物質を得た。この物質を、 1 H-, 13 C-NMRによって測定し、得られたチャートに基 いてチロソールであることを決定した。

 チロソール標品を用いて、種々の濃度(69,34, 13.8mg/mL)の溶液を調製した。寒天培地にて予 培養したピロリ菌をbrucella培地に懸濁し(1×10 9 CFU/mL)、これを新たな寒天培地に塗菌した。 ロソール標準液30μLを染み込ませた濾紙を、 ピロリ菌を塗菌した上記培地上に配置し、微 好気性条件下にて37℃で72時間培養した後の 止円を観察した。結果を図6に示す。図に示 ように、チロソール自体が抗ピロリ活性を していることを確認した。なお、図中の阻 円は、それぞれ69mg/mL(上)、34mg/mL(右下)、13.8 mg/mL(左下)の濃度に対応する。

 〔6.種々の果汁または醗酵液による抗ピロ 活性〕
 フェノール類の一種であるカテコールは、 リフェノール、カテコールアミン(アドレナ リン、ノルアドレナリン、ドパミン)などの 体物質の骨格に含まれる構造として知られ いる。また、カテコールは、コーヒーや香 料、オリーブオイル等に多く含まれている とも知られている。さらに、抗酸化作用を し、染料の原料や止血剤として用いられる

 ナシ果汁、ナシ醗酵液、マンゴー果汁、 ンゴー醗酵液、ブルーベリー果汁にカテコ ルが含まれるか否か確認した。上述した各 汁または各醗酵液上清(300mL)のpHを7に調整し た。pH調整後の溶液を、酢酸エチル200mLで抽 した(合計5回)。得られた有機相(酢酸エチル 分)からエバポレーターを用いて酢酸エチル を除去し、画分に溶解している物質を濃縮し た。濃縮した物質を少量の酢酸エチルに溶解 し、この溶液に適量のシリカゲルを混合し、 酢酸エチル画分の物質をシリカゲルに吸着さ せた。エバポレーターを用いて酢酸エチルを 除去し、さらにポンプで約1時間吸引して溶 を完全に除いた。上記物質を吸着させたシ カゲルをカラムに充填し、クロロホルムで 分に溶出した。溶出物を粗精製品としてGC-MS 解析に供した。

 その結果、図7に示すように、ナシ果汁( 中(a))およびマンゴー果汁(図中(b))にはカテ ールが含まれていなかったが、ブルーベリ 果汁(図中(c))に含まれていることがわかった 。また、図8に示すように、ナシ醗酵液(図中( a))およびマンゴー醗酵液(図中(b))のいずれに カテコールが含まれていた。図8の(c)は、ポ ジティブコントロールとして用いたモモ醗酵 液におけるカテコールの存在を示している。

 マンゴー果汁、マンゴー醗酵液、ザクロ 汁、ザクロ醗酵液における抗ピロリ活性の 無を、阻止円によって観察した(図9)。その 果、カテコールが含まれていなかったマン ー果汁において阻止円が観察され、マンゴ 果汁自体に抗ピロリ活性が存在することが かった。また、ザクロ果汁自体にも、マン ー果汁における活性よりもさらに強い抗ピ リ活性が存在することがわかった。さらに マンゴー醗酵液およびザクロ醗酵液におい もまた、強い抗ピロリ活性が存在すること わかった。また、ブドウ(巨峰)果汁および ルーベリー果汁にも抗ピロリ活性が存在す ことが確認された。なお、ザクロ醗酵液に る阻止円が、ザクロ果汁による阻止円から きくなっていないのは、果汁のpHが低いため に乳酸菌が増殖し得なかったからであると考 えられる。

 本発明を用いれば、乳酸菌の生菌を胃内 供給することなくHelicobacter pyloriの生育を 害することができる。よって、本発明を用 れば、抗ピロリ活性を有する機能性食品を 供することができる。

 本明細書中に記載された学術文献および 許文献の全てが、本明細書中において参考 して援用される。

 発明の詳細な説明の項においてなされた 体的な実施形態または実施例は、あくまで 、本発明の技術内容を明らかにするもので って、そのような具体例にのみ限定して狭 に解釈されるべきものではなく、本発明の 神と次に記載する請求の範囲内において、 ろいろと変更して実施することができるも である。

 本発明によれば、Helicobacter pyloriの生育 阻害するための新たな技術が提供される。 のように、本発明は、医薬や食品などに関 する分野における産業の発達に大いに寄与 る。




 
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