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Patent Searching and Data


Title:
HETEROACENE DERIVATIVE, TETRAHALOTERPHENYL DERIVATIVE, AND THEIR PRODUCTION METHODS
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/026602
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a heteroacene derivative having excellent oxidation resistance, which enables to form a semiconductor active layer by a coating method. Also disclosed are an oxidation-resistant organic semiconductor material using such a heteroacene derivative, and an organic thin film. Specifically disclosed is a heteroacene derivative represented by the general formula (1) below, which is obtained by subjecting a tetrahaloterphenyl derivative to tetrametalation by using a metalation agent and then treating the resulting with a reagent. [chemical formula 1] (1) (In the formula, substituents R1-R4 may be the same or different and represent a hydrogen atom, a fluorine atom, a chlorine atom, an aryl group having 4-30 carbon atoms, an alkyl group having 3-20 carbon atoms, or a halogenated alkyl group having 1-20 carbon atoms; T1 and T2 may be the same or different and represent sulfur, selenium, tellurium, oxygen, phosphorus, boron or aluminum; l and m independently represent an integer of 0 or 1; and ring A and ring B may be the same or different and represent a structure represented by the following general formula (A-1) or (A-2).

Inventors:
WATANABE MAKOTO
Application Number:
PCT/JP2007/066684
Publication Date:
March 06, 2008
Filing Date:
August 28, 2007
Export Citation:
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Assignee:
TOSOH CORP (JP)
WATANABE MAKOTO
International Classes:
C07D495/04; C07B61/00; C07C17/263; C07C25/18; C07C25/22; C07D333/62; C07D495/22; C07F5/02; C07F9/6568; H01L51/05; H01L51/30
Domestic Patent References:
WO2003016599A12003-02-27
WO2007068618A12007-06-21
WO2003016599A12003-02-27
Foreign References:
US20040076853A12004-04-22
JP2005154371A2005-06-16
JP2005120379A2005-05-12
JPS4836439B11973-11-05
JP2007019294A2007-01-25
JP2006231082A2006-09-07
Other References:
WANG C.-H. ET AL.: "Linear C2-symmetric polycyclic benzodithiophene: Efficient, highly diversified approaches and the optical properties", TETRAHEDRON LETTERS, vol. 46, no. 47, 10 October 2005 (2005-10-10), pages 8153 - 8157, XP005123855
OSMAN A.-M.: "Reactions between chloro-p-benzoquinones and beta-naphthol", JOURNAL OF ORGANIC CHEMISTRY, vol. 22, 1957, pages 342 - 344, XP003021333
SIRRINGHAUS H. ET AL.: "Dibenzothienobisbenzothiophene-a novel fused-ring oligomer with high field-effect mobility", JOURNAL OF MATERIALS CHEMISTRY, vol. 9, no. 9, 1999, pages 2095 - 2101, XP002244281
JOURNAL OF APPLIED PHYSICS", (USA), vol. 92, 2002, pages 5259 - 5263
SCIENCE", (USA), vol. 280, 1998, pages 1741 - 1744
JOURNAL OF AMERICAN CHEMICAL SOCIETY, vol. 127, 2005, pages 13281 - 13286
JOURNAL OF ORGANIC CHEMISTRY, vol. 65, 2006, pages 4618 - 4634
JOURNAL OF CHEMICAL RESEARCH SYNOPSIS, 1981, pages 185
JOURNAL OF AMERICAN CHEMICAL SOCIETY, vol. 119, 1997, pages 4578 - 4593
SYNLETT, 2003, pages 29 - 34
SYNTHETIC COMMUNICATIONS, vol. 33, 2003, pages 2751 - 2756
SYNTHESIS, 1993, pages 387 - 390
"JOURNAL OF ORGANIC CHEMISTRY" (USA), vol. 16, 1951, pages 1577 - 1581
"BERICHTE" (GERMANY), vol. 66B, 1933, pages 1876 - 1891
See also references of EP 2067782A4
Attorney, Agent or Firm:
OGURI, Shohei et al. (7-13 Nishi-Shimbashi 1-chome, Minato-k, Tokyo 03, JP)
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Claims:
下記一般式(1)で示されることを特徴とするヘテロアセン誘導体。
[(ここで、置換基R 1 ~R 4 は同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、塩素原子、炭素数4~30のアリール基、炭素数3~20のアルキル基、炭素数1~20のハロゲン化アルキル基を示し、T 1 及びT 2 は同一又は異なって、硫黄、セレン、テルル、酸素、リン、ホウ素、アルミニウムを示し、l及びmは、各々0又は1の整数であり、環A及びBは同一又は異なって、下記一般式(A-1)又は(A-2)で示される構造を有する。)
(ここで、置換基R 5 ~R 11 は同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、塩素原子、炭素数4~30のアリール基、炭素数3~20のアルキル基、炭素数1~20のハロゲン化アルキル基を示す。なお、置換基R 5 ~R 6 及びR 8 ~R 11 は、それぞれに、各置換基内の任意の2つ以上の置換基が互いに結合し、置換基を有していてもよいベンゼン環、置換基を有していてもよいピリジン環、置換基を有していてもよいピラジン環を形成することができ、置換基T 3 は、硫黄、セレン、テルル、酸素、リン、ホウ素を示し、nは0又は1の整数である。但し、T 1 及びT 2 が硫黄である場合、環A及びBは、(A-1)又は置換基を有する(A-2)で示される環である。))]
l及びmが各々0であり、且つT 1 及びT 2 は同一又は異なって、硫黄、セレン、テルル、酸素であることを特徴とする請求項1に記載のヘテロアセン誘導体。
l及びmが各々1であり、且つT 1 及びT 2 は同一又は異なって、リン、ホウ素、アルミニウムであることを特徴とする請求項1に記載のヘテロアセン誘導体。
nが0であり、且つT 3 は硫黄、セレン、テルル、酸素であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のヘテロアセン誘導体。
一般式(2)で示されることを特徴とするテトラハロターフェニル誘導体。
(ここで、置換基X 1 ~X 4 は臭素原子、ヨウ素原子、塩素原子を示し、置換基R 1 及びR 2 並びに環A及びBは請求項1に記載の一般式(1)で示される置換基及び環と同意義を示す。)
一般式(2)において、環A及びBが(A-1)で示される環であることを特徴とする請求項5に記載のテトラハロターフェニル誘導体。
nが0で、且つT 3 は硫黄、セレン、テルル、酸素であることを特徴とする請求項5又は6に記載のテトラハロターフェニル誘導体。
請求項5~7のいずれかに記載の一般式(2)で示されるテトラハロターフェニル誘導体をメタル化剤を用いてテトラメタル化し、下記一般式(3)及び下記一般式(4)で示される反応剤と反応させることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のヘテロアセン誘導体の製造方法。
(R 3 ) l T 1 (L 1 ) p         (3)
(R 4 ) m T 2 (L 2 ) q         (4)
(ここで、置換基T 1 、T 2 、R 3 、R 4 及び記号lとmは請求項1に記載の一般式(1)で示される置換基及び記号と同意義を示し、置換基L 1 、L 2 は塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1~20のオキシ基、アセトキシ基、アリールスルホニル基を示し、p及びqは0又は2の整数を示す。)
メタル化剤としてアルキルリチウムを用いることを特徴とする請求項8に記載のヘテロアセン誘導体の製造方法。
下記一般式(5)で示されるテトラハロベンゼンと下記一般式(6)及び下記一般式(7)で示される2-ハロアリール金属試薬をパラジウム及び/又はニッケル触媒存在下で反応させることを特徴とする請求項5~7のいずれかに記載のテトラハロターフェニル誘導体の製造方法。
(ここで、置換基X 5 及びX 6 は臭素原子、ヨウ素原子、塩素原子を示す。置換基R 1 、R 2 、X 2 及びX 3 は請求項8に記載の一般式(2)で示される置換基と同意義を示す。)
(ここで、M 1 はマグネシウム、ホウ素、亜鉛、錫、ケイ素のハロゲン化物;ハイドロオキサイド;アルコキサイド;アルキル化物を示し、置換基X 1 並びに環Aは、請求項8に記載の一般式(2)で示される置換基並びに環と同意義を示す。)
(ここで、M 2 はマグネシウム、ホウ素、亜鉛、錫、ケイ素のハロゲン化物;ハイドロオキサイド;アルコキサイド;アルキル化物を示し、置換基X 4 並びにB環は、請求項8に記載の一般式(2)で示される置換基並びに環と同意義を示す。)
一般式(5)で示されるテトラハロベンゼンにおいて、X 5 及びX 6 がヨウ素原子であり、X 2 及びX 3 が臭素原子及び/又は塩素原子であることを特徴とする請求項10に記載のテトラハロターフェニル誘導体の製造方法。
一般式(6)、一般式(7)のM 1 、M 2 がZnCl、B(OH) 2 であることを特徴とする請求項10又は11に記載のテトラハロターフェニル誘導体の製造方法。
用いる触媒がテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムであることを特徴とする請求項10~12のいずれかに記載のテトラハロターフェニル誘導体の製造方法。
請求項1~4のいずれかに記載のヘテロアセン誘導体を含むことを特徴とする耐酸化性有機半導体材料。
請求項14に記載の耐酸化性有機半導体材料を用いることを特徴とする有機薄膜。
有機薄膜が基板上に形成されることを特徴とする請求項15に記載の有機薄膜。
Description:
ヘテロアセン誘導体、テトラハ ターフェニル誘導体及びそれらの製造方法

 本発明は、有機半導体等の電子材料への 開が可能なヘテロアセン誘導体、その用途 びその製造方法に関する。さらに本発明は 該ヘテロアセン誘導体の前駆化合物である トラハロターフェニル誘導体及びその製造 法に関する。

 有機薄膜トランジスタに代表される有機半 体デバイスは、省エネルギー、低コスト及 フレキシブルといった無機半導体デバイス はない特徴を有することから近年注目され ようになった。この有機半導体デバイスは 機半導体活性相、基板、絶縁相、電極等数 類の材料から構成されるが、中でも電荷の ャリアー移動を担う有機半導体活性相は該 バイスの中心的な役割を有している。この 機半導体活性相を構成する有機材料のキャ アー移動能により有機半導体デバイス性能 左右される。
 有機半導体活性相を作製する方法としては 般的に、高温真空下、有機材料を気化させ 実施する真空蒸着法及び有機材料を適当な 媒に溶解させその溶液を塗布する塗布法が られている。塗布法においては、塗布は高 高真空条件を用いることなく印刷技術を用 ても実施することができる。そのため、塗 法は印刷によりデバイス作製の大幅な製造 ストの削減を図ることができることから、 済的に好ましいプロセスである。しかし、 来、有機半導体デバイスとして性能が高い 料ほど塗布法で有機半導体活性相を形成す ことが困難になるという問題があった。

 例えば、ペンタセン等の結晶性材料はアモ ファスシリコン並みの高いキャリアー移動 を有し、優れた有機半導体デバイス特性を 現することが報告されている(例えば、非特 許文献1参照)。又、ペンタセン等のポリアセ を溶解させ塗布法で有機半導体デバイスを 造する試みも報告されている(例えば、特許 文献1参照)。しかしながら、ペンタセンはそ 強い凝集性のため溶解性が低く、塗布法を 用するためには高温加熱等の条件が必要と れ、さらにペンタセンの溶液は極めて容易 空気酸化されることから、塗布法の適用は ロセス的、経済的に困難を伴うものであっ 。また、ポリ-(3-ヘキシルチオフェン)等の 己組織化材料は溶媒に可溶であり、塗布法 よる有機半導体デバイス作製が報告されて いるが、キャリアー移動度が結晶性化合物 り1桁低いことから(例えば、非特許文献2参 )、得られた有機半導体デバイスの特性が低 という問題があった。
 またチオフェン環が縮環したペンタチエノ センはペンタセンに比べ耐酸化性が向上し いるが、キャリアー移動度が低いこと及び の合成に多工程を必要とすることから(例え ば、非特許文献3参照)実用上好ましい材料で なかった。
「ジャーナル オブ アプライドフィジ クス」、(米国)、2002年、92巻、5259-5263頁 「サイエンス」、(米国)、1998年、280巻、 1741-1744頁 「ジャーナル オブ アメリカン ケミカ ル ソサイエティー」、(米国)、2005年、127巻 13281-13286頁

WO2003/016599号

 そこで、本発明は上記の従来技術が有す 問題点に鑑み、優れた耐酸化性を有し、塗 法による有機半導体活性相形成が可能な、 テロアセン誘導体及びそれを用いた耐酸化 有機半導体材料並びに有機薄膜を提供する とを目的とする。さらに、本発明は該ヘテ アセン誘導体の前駆体として有用なテトラ ロターフェニル誘導体及びその製造方法を 供することをも目的とする。

 本発明者らは上記課題を解決するため鋭意 討の結果、本発明の新規なヘテロアセン誘 体を見出した。加えて、該ヘテロアセン誘 体が耐酸化性に優れ、塗布法の適用が可能 あるため結晶性の薄膜を容易に安定して作 することができることから、該ヘテロアセ 誘導体を含む耐酸化性有機半導体材料及び の有機薄膜を見出し、本発明を完成するに った。
 さらに本発明者らは、該ヘテロアセン誘導 を効率的に製造することができる新規な前 化合物、即ち特定のテトラハロターフェニ 誘導体を見出し、且つ係るテトラハロター ェニル誘導体を効率的に製造する方法を見 し本発明を完成するに到った。
 即ち、本発明は以下の構成である。
1. 下記一般式(1)で示されることを特徴とす ヘテロアセン誘導体。

[(ここで、置換基R 1 ~R 4 は同一又は異なって、水素原子、フッ素原子 、塩素原子、炭素数4~30のアリール基、炭素 3~20のアルキル基、炭素数1~20のハロゲン化ア ルキル基を示し、T 1 及びT 2 は同一又は異なって、硫黄、セレン、テルル 、酸素、リン、ホウ素、アルミニウムを示し 、l及びmは、各々0又は1の整数であり、環A及 Bは同一又は異なって、下記一般式(A-1)又は( A-2)で示される構造を有する。)

(ここで、置換基R 5 ~R 11 は同一又は異なって、水素原子、フッ素原子 、塩素原子、炭素数4~30のアリール基、炭素 3~20のアルキル基、炭素数1~20のハロゲン化ア ルキル基を示す。なお、置換基R 5 ~R 6 及びR 8 ~R 11 は、それぞれに、各置換基内の任意の2つ以 の置換基が互いに結合し、置換基を有して てもよいベンゼン環、置換基を有していて よいピリジン環、置換基を有していてもよ ピラジン環を形成することができ、置換基T 3 は、硫黄、セレン、テルル、酸素、リン、ホ ウ素を示し、nは0又は1の整数である。但し、 T 1 及びT 2 が硫黄である場合、環A及びBは、(A-1)又は置 基を有する(A-2)で示される環である。))]
2. l及びmが各々0であり、且つT 1 及びT 2 は同一又は異なって、硫黄、セレン、テルル 、酸素であることを特徴とする上記1に記載 ヘテロアセン誘導体。
3. l及びmが各々1であり、且つT 1 及びT 2 は同一又は異なって、リン、ホウ素、アルミ ニウムであることを特徴とする上記1に記載 ヘテロアセン誘導体。
4. nが0であり、且つT 3 は硫黄、セレン、テルル、酸素であることを 特徴とする上記1~3のいずれかに記載のヘテロ アセン誘導体。
5. 一般式(2)で示されることを特徴とするテ ラハロターフェニル誘導体。

(ここで、置換基X 1 ~X 4 は臭素原子、ヨウ素原子、塩素原子を示し、 置換基R 1 及びR 2 並びに環A及びBは上記1に記載の一般式(1)で示 される置換基及び環と同意義を示す。)

6. 一般式(2)において、環A及びBが(A-1)で示さ る環であることを特徴とする上記5に記載の テトラハロターフェニル誘導体。
7. nが0で、且つT 3 は硫黄、セレン、テルル、酸素であることを 特徴とする上記5又は6に記載のテトラハロタ フェニル誘導体。
8. 上記5~7のいずれかに記載の一般式(2)で示 れるテトラハロターフェニル誘導体をメタ 化剤を用いてテトラメタル化し、下記一般 (3)及び下記一般式(4)で示される反応剤と反 させることを特徴とする上記1~4のいずれか 記載のヘテロアセン誘導体の製造方法。
(R 3 ) l T 1 (L 1 ) p         (3)
(R 4 ) m T 2 (L 2 ) q         (4)
(ここで、置換基T 1 、T 2 、R 3 、R 4 及び記号lとmは上記1に記載の一般式(1)で示さ れる置換基及び記号と同意義を示し、置換基 L 1 、L 2 は塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数 1~20のオキシ基、アセトキシ基、アリールス ホニル基を示し、p及びqは0又は2の整数を示 。)

9. メタル化剤としてアルキルリチウムを用 ることを特徴とする上記8に記載のヘテロア ン誘導体の製造方法。
10. 下記一般式(5)で示されるテトラハロベン ンと下記一般式(6)及び下記一般式(7)で示さ る2-ハロアリール金属試薬をパラジウム及 /又はニッケル触媒存在下で反応させること 特徴とする上記5~7のいずれかに記載のテト ハロターフェニル誘導体の製造方法。

(ここで、置換基X 5 及びX 6 は臭素原子、ヨウ素原子、塩素原子を示す。 置換基R 1 、R 2 、X 2 及びX 3 は上記8に記載の一般式(2)で示される置換基 同意義を示す。)

(ここで、M 1 はマグネシウム、ホウ素、亜鉛、錫、ケイ素 のハロゲン化物;ハイドロオキサイド;アルコ サイド;アルキル化物を示し、置換基X 1 並びに環Aは、上記8に記載の一般式(2)で示さ る置換基並びに環と同意義を示す。)

(ここで、M 2 はマグネシウム、ホウ素、亜鉛、錫、ケイ素 のハロゲン化物;ハイドロオキサイド;アルコ サイド;アルキル化物を示し、置換基X 4 並びにB環は、上記8に記載の一般式(2)で示さ る置換基並びに環と同意義を示す。)
11. 一般式(5)で示されるテトラハロベンゼン おいて、X 5 及びX 6 がヨウ素原子であり、X 2 及びX 3 が臭素原子及び/又は塩素原子であることを 徴とする上記10に記載のテトラハロターフェ ニル誘導体の製造方法。

12. 一般式(6)、一般式(7)のM 1 、M 2 がZnCl、B(OH) 2 であることを特徴とする上記10又は11に記載 テトラハロターフェニル誘導体の製造方法
13. 用いる触媒がテトラキス(トリフェニルホ スフィン)パラジウムであることを特徴とす 上記10~12のいずれかに記載のテトラハロター フェニル誘導体の製造方法。
14. 上記1~4のいずれかに記載のヘテロアセン 導体を含むことを特徴とする耐酸化性有機 導体材料。
15. 上記14に記載の耐酸化性有機半導体材料 用いることを特徴とする有機薄膜。
16. 有機薄膜が基板上に形成されることを特 とする上記15に記載の有機薄膜。

 優れた耐酸化性を有し、塗布法による有 半導体活性相形成が可能な、ヘテロアセン 導体及びその用途を提供する。さらに、該 テロアセン誘導体の前駆化合物であるテト ハロターフェニル誘導体及びその製造方法 も提供する。

 以下に本発明を詳細に説明する。説明は テロアセン誘導体及びその製造方法、該ヘ ロアセン誘導体の前駆体であるテトラハロ ーフェニル誘導体及びその製造方法、並び 該ヘテロアセン誘導体を含む耐酸化性有機 導体材料及びその有機薄膜について述べる

 (ヘテロアセン誘導体)
 本発明のヘテロアセン誘導体は下記一般式( 1)で示される。

[(ここで、置換基R 1 ~R 4 は同一又は異なって、水素原子、フッ素原子 、塩素原子、炭素数4~30のアリール基、炭素 3~20のアルキル基、炭素数1~20のハロゲン化ア ルキル基を示し、T 1 及びT 2 は同一又は異なって、硫黄、セレン、テルル 、酸素、リン、ホウ素、アルミニウムを示し 、l及びmは、各々0又は1の整数であり、環A及 Bは同一又は異なって、下記一般式(A-1)又は( A-2)で示される構造を有する。)

(ここで、置換基R 5 ~R 11 は同一又は異なって、水素原子、フッ素原子 、塩素原子、炭素数4~30のアリール基、炭素 3~20のアルキル基、炭素数1~20のハロゲン化ア ルキル基を示す。なお、置換基R 5 ~R 6 及びR 8 ~R 11 は、それぞれに、各置換基内の任意の2つ以 の置換基が互いに結合し、置換基を有して てもよいベンゼン環、置換基を有していて よいピリジン環、置換基を有していてもよ ピラジン環を形成することができ、置換基T 3 は、硫黄、セレン、テルル、酸素、リン、ホ ウ素を示し、nは0又は1の整数である。但し、 T 1 及びT 2 が硫黄である場合、環A及びBは、(A-1)又は置 基を有する(A-2)で示される環である。)]

 本発明の一般式(1)で示されるヘテロアセン 導体の置換基について述べる。
 置換基R 1 ~R 4 における炭素数4~30のアリール基は、特に限 はなく、例えばフェニル基、p-トリル基、p-( n-ヘキシル)フェニル基、p-(n-オクチル)フェニ ル基、p-(シクロヘキシル)フェニル基、m-(n-オ クチル)フェニル基、p-フルオロフェニル基、 ペンタフルオロフェニル基、p-(トリフルオロ メチル)フェニル基、p-(n-パーフルオロオクチ ル)フェニル基、2-チエニル基、5-(n-ヘキシル) -2-チエニル基、2,2’-ビチエニル-5-基、ビフ ニル基、パーフルオロビフェニル基、1-ナフ チル基、2-ナフチル基、1-パーフルオロナフ ル基、アントラセニル基、2-フルオレニル基 、9,9-ジメチル-2-フルオレニル基、1-ビフェニ レノ基、2-ビフェニレノ基、ターフェニル基 2-ピリジル基、テトラフルオロピリジル基 ビピリジル基、(ジフェニルアミノ)フェニル 基、(ジフェニルアミノ)ビフェニル基等を挙 ることができ、好ましくはフェニル基、p-(n -オクチル)フェニル基、p-(n-パーフルオロオ チル)フェニル基、5-(n-ヘキシル)-2-チエニル 等である。
 置換基R 1 ~R 4 における炭素数3~20のアルキル基は、特に限 はなく、例えばプロピル基、n-ブチル基、イ ソブチル基、t-ブチル基、ネオペンチル基、 キシル基、オクチル基、ドデシル基、オク デシル基、シクロヘキシル基、シクロオク ル基、2-エチルヘキシル基等を挙げること できる。

 置換基R 1 ~R 4 における炭素数1~20のハロゲン化アルキル基 、特に限定はなく、例えばトリフルオロメ ル基、トリフルオロエチル基、パーフルオ オクチル基、パーフルオロドデシル基、パ フルオロオクタデシル基、パーフルオロシ ロヘキシル基、パーフルオロシクロオクチ 基等のパーフルオロアルキル基;あるいはペ タデカフルオロオクチル基、オクタデカフ オロデシル基等の一部の水素がフッ素に置 されたハロゲン化アルキル基を挙げること でき、好ましくはパーフルオロアルキル基 あり、特に好ましくはパーフルオロオクチ 基、パーフルオロドデシル基である。
 これらの置換基R 1 ~R 4 の中でも、特に水素原子、炭素数4~30のアリ ル基が好ましく、さらに水素原子、フェニ 基が好ましい。
 置換基T 1 及びT 2 は、硫黄、セレン、テルル、酸素、リン、ホ ウ素、アルミニウムであり、その中でも好ま しくは硫黄、セレン、リン、ホウ素であり、 さらに好ましくは硫黄、リン、ホウ素である 。また、T 1 及びT 2 が硫黄である時、環A及びBは、(A-1)又は置換 を有する(A-2)で示される環であることが好ま しい。
 l及びmは、各々0又は1の整数である。ただし 、置換基T 1 、T 2 が、硫黄、セレン、テルル、酸素の場合は、 l、mは0であり、置換基T 1 、T 2 が、リン、ホウ素、アルミニウムの場合は、 l、mは1である。

 次に、一般式(A-1)及び(A-2)で示される、環A びBについて述べる。
 本発明のヘテロアセン誘導体は、環A、Bを する誘導体であり、環A,Bは一般式(A-1)又は(A- 2)で示される構造を有するものである。
 置換基R 5 ~R 11 における炭素数4~30のアリール基は、特に限 はなく、例えばフェニル基、p-トリル基、p-( n-ヘキシル)フェニル基、p-(n-オクチル)フェニ ル基、p-(シクロヘキシル)フェニル基、m-(n-オ クチル)フェニル基、p-フルオロフェニル基、 ペンタフルオロフェニル基、p-(トリフルオロ メチル)フェニル基、p-(n-パーフルオロオクチ ル)フェニル基、2-チエニル基、5-(n-ヘキシル) -2-チエニル基、2,2’-ビチエニル-5-基、ビフ ニル基、パーフルオロビフェニル基、1-ナフ チル基、2-ナフチル基、1-パーフルオロナフ ル基、アントラセニル基、2-フルオレニル基 、9,9-ジメチル-2-フルオレニル基、1-ビフェニ レノ基、2-ビフェニレノ基、ターフェニル基 2-ピリジル基、テトラフルオロピリジル基 ビピリジル基、(ジフェニルアミノ)フェニル 基、(ジフェニルアミノ)ビフェニル基等を挙 ることができ、好ましくはフェニル基、p-(n -オクチル)フェニル基、p-(n-パーフルオロオ チル)フェニル基、5-(n-ヘキシル)-2-チエニル 等である。
 置換基R 5 ~R 11 における炭素数3~20のアルキル基は、特に限 はなく、例えばプロピル基、n-ブチル基、イ ソブチル基、t-ブチル基、ネオペンチル基、 キシル基、オクチル基、ドデシル基、シク ヘキシル基、シクロオクチル基、2-エチル キシル基等を挙げることができる。
 置換基R 5 ~R 11 における炭素数1~20のハロゲン化アルキル基 、特に限定はなく、例えばトリフルオロメ ル基、トリフルオロエチル基、パーフルオ オクチル基、パーフルオロシクロヘキシル 、パーフルオロシクロオクチル基等を挙げ ことができ、好ましくはパーフルオロオク ル基である。

 また、環A及びBの置換基群R 5 ~R 6 及びR 8 ~R 11 は、それぞれに、各置換基群内の任意の二以 上の置換基が互いに結合し、置換基を有して いてもよいベンゼン環、置換基を有していて もよいピリジン環、置換基を有していてもよ いピラジン環を形成することができ、好まし くは置換基を有していてもよいベンゼン環で ある。置換基を有してもよいベンゼン環は特 に限定はなく、例えばベンゼン環、メチルベ ンゼン環、(n-ヘキシル)ベンゼン環、(n-オク ル)ベンゼン環、ジメチルベンゼン環、ジ(n- キシル)ベンゼン環、ジフェニルベンゼン環 、ナフタレン環、メチルナフタレン環、ジメ チルナフタレン環、ジ(n-ヘキシル)ナフタレ 環、ジ(n-オクチル)ナフタレン環、ジ(n-ドデ ル)ナフタレン環、ジ(n-オクタデシル)ナフ レン環、ジ(2-エチルヘキシル)ナフタレン環 ジ(n-パーフルオロヘキシル)ナフタレン環、 ジ(n-パーフルオロオクチル)ナフタレン環、 (n-パーフルオロドデシル)ナフタレン環、ジ( n-パーフルオロオクタデシル)ナフタレン環、 ジ(n-ペンタデカフロオロオクチル)ナフタレ 環、ジ(n-オクタデカフルオロドデシル)ナフ レン環、フェニルナフタレン環、アントラ ン環、トリフェニレン環、キノリン環等を げることができ、置換基を有していてもよ ピリジン環は特に限定はなく、例えばピリ ン環、メチルピリジン環、(n-ヘキシル)ピリ ジン環、フェニルピリジン環等を挙げること ができ、置換基を有していてもよいピラジン 環は特に限定はなく、例えばピラジン環、メ チルピラジン環、ジメチルピラジン環、(n-ヘ キシル)ピラジン環、フェニルピラジン環等 挙げることができ、置換基を有していても いベンゼン環が好ましく、さらにジ(n-ドデ ル)ナフタレン環、ジ(n-パーフルオロドデシ )ナフタレン環が特に好ましい。また、置換 基R 8 ~R 11 の内、R 9 とR 10 が互いに結合し、置換基を有していてもよい ベンゼン環を形成することが好ましい。
 これらの置換基R 5 ~R 6 及びR 8 ~R 11 の中でも、特に水素原子、フッ素原子、置換 基を有していても良いベンゼン環が好ましく 、さらに水素原子、フッ素原子、ベンゼン環 が好ましい。
 置換基T 3 は、硫黄、セレン、テルル、酸素、リン、ホ ウ素であり、その中でも好ましくは硫黄、セ レン、リン、ホウ素であり、さらに好ましく は硫黄、リン、ホウ素である。
 nは0又は1の整数であり、nが0の場合、T 3 は硫黄、セレン、テルル、酸素であり、nが1 場合、T 3 はリン、ホウ素である。

 これらの中でも本発明の一般式(1)で示さ るヘテロアセン誘導体は、該ヘテロアセン 導体及び該ヘテロアセン誘導体を含む耐酸 性有機半導体材料及びその有機薄膜が、高 耐酸化性及びキャリアー移動度を発現する とから、以下の化合物が好ましく、

 特に、テトラチエノアセン、P,P-ジフェニ ルベンゾホスホロジベンゾホスホール、B,B- フェニルベンゾボロリルジベンゾボロール テトラフルオロジチエノアセン、テトラフ ニルジチエノアセン、ジベンゾジチエノア ン等が好ましい。

 (テトラハロターフェニル誘導体)
 次に、本発明の本発明の一般式(1)で示され ヘテロアセン誘導体の前駆化合物であるテ ラハロターフェニル誘導体について述べる
 本発明の本発明の一般式(1)で示されるヘテ アセン誘導体の前駆化合物であるテトラハ ターフェニル誘導体は下記一般式(2)で示さ る。

(ここで、置換基X 1 ~X 4 は臭素原子、ヨウ素原子、塩素原子を示し、 置換基R 1 及び 2 並びに環A及びBは一般式(1)で示される置換基 び環と同意義を示す。)
 置換基X 1 ~X 4 は臭素原子、ヨウ素原子、塩素原子を示し、 好ましくは臭素原子、ヨウ素原子であり、特 に好ましくはいずれも臭素原子である。
 置換基R 1 及びR 2 は、一般式(1)で示される置換基と同意義を示 し、その中でも特に水素原子が好ましい。
 環A及びBは一般式(1)で示される環と同意義 示す。すなわち、一般式(A-1)又は一般式(A-2) 同意義を示す。そして、その中でも一般式( A-1)においては、T 3 が硫黄、R 5 及びR 6 が結合し環状のベンゼン環であることが好ま しく、一般式(A-2)においては、R 8 ~R 11 が水素原子、フッ素原子、環状のベンゼン環 であることが好ましい。

 本発明の一般式(2)で示されるテトラハロ ーフェニル誘導体としては、以下の化合物 好ましく、

 特に、{1,4-ビス(3-ブロモベンゾチエニル)-2,5 -ジブロモ}ベンゼン、2,2’,5’,2”-テトラブ モ-1,1’,4’,1”-ターフェニル、4,5,4”,5”-テ トラフルオロ-2,2’,5’,2”-テトラブロモ-1,1 ,4’,1”-ターフェニル、4,5,4”,5”-テトラフ ニル-2,2’,5’,2”-テトラブロモ-1,1’,4’,1 -ターフェニル、2,2’,5’,2”-テトラブロモ-1 ,1’,4’,1”-ジベンゾターフェニル等が好ま い。
 (ヘテロアセン誘導体の製造方法)
 本発明の一般式(1)で示されるヘテロアセン 導体の製造方法について述べる。
 本発明の一般式(1)で示されるヘテロアセン 導体は、一般式(2)で示されるテトラハロタ フェニル誘導体をメタル化剤を用いてテト メタル化し、下記一般式(3)及び下記一般式( 4)で示される反応剤と反応させることにより 造することができる。なお、一般式(3)、一 式(4)で示される反応剤が同じ化合物であっ も良い。
(R 3 ) l T 1 (L 1 ) p         (3)
(R 4 ) m T 2 (L 2 ) q         (4)

(ここで、置換基T 1 、T 2 、R 3 、R 4 及び記号lとmは一般式(1)で示される置換基及 記号と同意義を示し、置換基L 1 L 2 は塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数 1~20のオキシ基、アセトキシ基、フェニルス ホニル基を示し、p及びqは0又は2の整数を示 。)

 なお、ここでテトラメタル化とは、一般式( 2)におけるX 1 ~X 4 をそれぞれメタルに置換することを意味する 。
 一般式(2)で示されるテトラハロターフェニ 誘導体をテトラメタル化する場合、用いる タル化剤は、一般式(2)におけるX 1 ~X 4 をメタルに置換することができるものである 限り特に限定はなく、例えばn-ブチルリチウ 、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム メチルリチウム、ヘキシルリチウム等のア キルリチウム;フェニルリチウム、p-tert-ブ ルフェニルリチウム、p-メトキシフェニルリ チウム、p-フルオロフェニルリチウム等のア ールリチウム;リチウムジイソプロピルアミ ド、リチウムヘキサメチルジシラジド等のリ チウムアミド;リチウムパウダー等のリチウ 金属;メチルマグネシウムブロマイド、エチ マグネシウムブロマイド、イソプロピルマ ネシウムクロライド、tert-ブチルマグネシ ムクロライド、フェニルマグネシウムブロ イド等のグリニャール試薬;マグネシウム金 ;亜鉛金属等を挙げることができ、好ましく はアルキルリチウムであり、特に好ましくは sec-ブチルリチウムである。
 該メタル化剤の使用量は一般式(2)のテトラ ロターフェニル誘導体1当量に対し、3~20当 が好ましく、特に好ましくは4~15当量、さら 好ましくは5~10当量の範囲で使用することが できる。
 該テトラメタル化は、好ましくは溶媒中で 施する。用いる溶媒は特に限定はなく、例 ばテトラヒドロフラン(以下、THFと略す)、 エチルエーテル、メチル-tert-ブチルエーテ 、エチレングリコールジメチルエーテル、 オキサン、トルエン、ヘキサン、シクロヘ サン等であり、特に好ましくはTHFである。 、これら溶剤は1種若しくは2種以上の混合物 を用いても良い。該テトラメタル化の温度は -100~50℃で行うことが好ましく、特に好まし は-90~20℃である。反応時間は1~120分が好まし く、特に好ましくは5~60分である。なお、テ ラメタル化の進行は、反応液の一部を取り し、水で反応を停止させた後、ガスクロマ グラフィーで分析することで監視すること できる。

 該テトラメタル化により生成したテトラメ ル塩は、次いで一般式(3)及び一般式(4)で示 れる反応剤と反応させることにより、一般 (1)で示されるヘテロアセン誘導体が得られ ものである。係る反応剤との反応は、前記 トラメタル化により生成したテトラメタル を含む反応混合物に前記反応剤を直接用い 反応させる方法、生成したテトラメタル塩 一度単離した後、前記反応剤と反応させる 法のいずれを用いてもよい。
 ここで、一般式(3)、一般式(4)における置換 T 1 、T 2 、R 3 、R 4 及び記号lとmは一般式(1)で示される置換基及 記号と同意義を示す。その中でも一般式(3) 一般式(4)としては、ビス(フェニルスルホニ ル)スルフィド、ジクロロフェニルホスフィ 、ジクロロフェニルボラン等が好ましい。
 また、置換基L 1 、L 2 は塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数 1~20のオキシ基、アセトキシ基、アリールス ホニル基を示し、好ましくは塩素原子、臭 原子、炭素数1~20のオキシ基、アリールスル ニル基である。炭素数1~20のオキシ基は特に 限定はなく、例えばメトキシ基、エトキシ基 、n-ブトキシ基、フェノキシ基、(2-メトキシ) フェノキシ基等を挙げることができ、アリー ルスルホニル基は特に限定はなく、例えばフ ェニルスルホニル基、p-トリルスルホニル基 を挙げることができる。これらの中でも特 フェニルスルホニル基が好ましい。

 そして、具体的な一般式(3)、一般式(4)で される反応剤としては、例えば2塩化硫黄;2 化硫黄;ビス(フェニルスルホニル)スルフィ 、ビス(p-トリルスルホニル)スルフィド等の ビス(アリールスルホニル)スルフィド類;硫黄 ;2塩化セレン;セレン;2塩化テルル;テルル;ジ ロロフェニルホスフィン、ジメトキシフェ ルホスフィン、ジフェノキシフェニルホス ィン、ジクロロ{4-(n-オクチル)フェニル}ホス フィン等のアリールホスフィン類;ジクロロ(n -ヘキシル)ホスフィン、ジクロロ(n-オクチル) ホスフィン、ジメトキシ(n-ヘキシル)ホスフ ン等のアルキルホスフィン類;ジクロロフェ ルボラン、ジメトキシフェニルボラン、ジ トキシ{4-(n-ヘキシル)フェニル}ボラン、ジ ェノキシフェニルボラン、ジクロロ{4-(n-オ チル)フェニル}ボラン等のアリールボラン類 ;ジクロロ(n-ヘキシル)ボラン、ジクロロ(n-オ チル)ボラン、ジメトキシ(n-ヘキシル)ボラ 等のアルキルボラン類;ジクロロフェニルア ミニウム、ジメトキシフェニルアルミニウ 、ジメトキシ{4-(n-ヘキシル)フェニル}アル ニウム、ジフェノキシフェニルアルミニウ 、ジクロロ{4-(n-オクチル)フェニル}アルミニ ウム等のアリールアルミニウム類;ジクロロ(n -ヘキシル)アルミニウム、ジクロロ(n-オクチ )アルミニウム、ジメトキシ(n-ヘキシル)ア ミニウム等のアルキルアルミニウム類等を げることができ、好ましくはビス(フェニル ルホニル)スルフィド、ジクロロフェニルホ スフィン、ジクロロフェニルボラン等である 。

 テトラメタル化により生成したテトラメタ 塩と一般式(3)及び一般式(4)で示される反応 と反応させる際には、好ましくは溶媒中で 施する。用いる溶媒は特に限定はなく、例 ばTHF、ジエチルエーテル、メチル-tert-ブチ エーテル、エチレングリコールジメチルエ テル、ジグライム、ジオキサン、トルエン ヘキサン、シクロヘキサン等であり、好ま くはTHFである。用いる反応剤の量は、一般 (2)のテトラハロターフェニル誘導体1当量に 対し、1.2~10当量が好ましく、特に好ましくは 2~8当量である。該反応剤との反応温度は-100~5 0℃が好ましく、特に好ましくは-90~30℃であ 、反応時間は0.5~30時間が好ましく、特に好 しくは1~18時間である。
 本発明の一般式(1)のヘテロアセン誘導体の 造は、好ましくは窒素又はアルゴン等の不 性雰囲気下で実施する。
 本発明の一般式(1)のヘテロアセン誘導体の 造方法では、一般式(2)のテトラハロターフ ニル誘導体をテトラメタル化した後、塩化 グネシウムと反応させ、その後に一般式(3) び一般式(4)で示される反応剤で処理するこ もできる。
 かくして得られた、本発明の一般式(1)で示 れるヘテロアセン誘導体は、さらに精製す ことができる。精製する方法は特に限定は く、例えばカラムクロマトグラフィー、再 晶化、あるいは昇華による方法を挙げるこ ができる。

 (テトラハロターフェニル誘導体の製造方法 )
 次に、本発明の一般式(1)で示されるヘテロ セン誘導体の前駆体として用いられる一般 (2)で示されるテトラハロターフェニル誘導 の製造方法について述べる。
 本発明の一般式(2)で示されるテトラハロタ フェニル誘導体は下記一般式(5)で示される トラハロベンゼンと下記一般式(6)及び下記 般式(7)で示される2-ハロアリール金属試薬 パラジウム及び/又はニッケル触媒存在下で 応させることにより製造することができる なお、一般式(6)、一般式(7)で示される反応 が同じ化合物であっても良い。

(ここで、置換基X 5 及びX 6 は臭素原子、ヨウ素原子、塩素原子を示す。 置換基R 1 、R 2 、X 2 及びX 3 は一般式(2)で示される置換基と同意義を示す 。)

(ここで、M 1 はマグネシウム、ホウ素、亜鉛、錫、ケイ素 のハロゲン化物;ハイドロオキサイド;アルコ サイド;アルキル化物を示し、置換基X 1 並びに環Aは、一般式(2)で示される置換基並 に環と同意義を示す。)

(ここで、M 2 はマグネシウム、ホウ素、亜鉛、錫、ケイ素 のハロゲン化物;ハイドロオキサイド;アルコ サイド;アルキル化物を示し、置換基X 4 並びにB環は、一般式(2)で示される置換基並 に環と同意義を示す。)

 本発明の一般式(5)、(6)及び(7)について、さ に述べる。
 一般式(5)の置換基X 5 及びX 6 は、臭素原子、ヨウ素原子、塩素原子を示し 、好ましくは臭素原子及びヨウ素原子であり 、さらに好ましくはヨウ素原子である。
 置換基R 1 、R 2 、X 2 及びX 3 は、一般式(2)で示される置換基と同意義を示 す。
 そして、具体的な一般式(5)で示される化合 としては、1,4-ジブロモ-2,5-ジヨードベンゼ が挙げられる。
 一般式(6)、(7)の置換基M 1 、M 2 はマグネシウム、ホウ素、亜鉛、錫、ケイ素 のハロゲン化物;ハイドロオキサイド;アルコ サイド;アルキル化物であり、上記のパラジ ウム及び/又はニッケル触媒により脱離され パラジウム及び/又はニッケルと置換できる である限り特に限定はなく、例えばMgCl、MgB r、B(OH) 2 、B(OMe) 2 、テトラメチルジオキサボロラニル基、ZnCl ZnBr、ZnI、Sn(Bu-n) 3 、Si(Bu-n) 3 等を挙げることができ、好ましくはZnCl、B(OH) 2 である。
 置換基X 1 、X 4 並びに環A、Bは、一般式(2)で示される置換基 びに環と同意義を示す。

 そして、具体的な一般式(6)、一般式(7)で示 れる化合物としては、例えば3-ブロモベン チエニル-2-ジンククロライド、2-ブロモ-4,5- フルオロフェニルマグネシウムブロマイド 2-ブロモナフチル-3-マグネシウムブロマイ 、2-ブロモフェニルボロン酸等が挙げられる 。
 なお、一般式(6)、一般式(7)で示される2-ハ アリール金属試薬は、例えば、それらの原 となるアリールジハロゲン置換体をイソプ ピルマグネシウムブロマイド等のグリニャ ル試薬あるいはn-ブチルリチウム等の有機リ チウム試薬によりハロゲン/金属交換反応を った後、塩化亜鉛、トリメトキシボラン等 反応させることで好適に調製することがで る。なお、グリニャール試薬によるハロゲ /金属交換反応は、例えば「ジャーナル オ  オルガニック ケミストリィー」、2000年、 65巻、4618-4634頁」に記載されている方法、有 リチウム試薬によるハロゲン/金属交換反応 は、例えば「ジャーナル オブ ケミカル リ サーチ シノプシス」、1981年、185頁に記載さ れている方法を用いることもできる。

 一般式(5)で示されるテトラハロベンゼン 一般式(6)及び一般式(7)で示される2-ハロア ール金属試薬の反応に用いる触媒はパラジ ム及び/又はニッケル触媒であれば特に限定 なく、例えばテトラキス(トリフェニルホス フィン)パラジウム、トリス(ジベンジリデン セトン)ジパラジウム/トリフェニルホスフ ン混合物、ジクロロビス(トリフェニルホス ィン)パラジウム、ビス(トリ-tert-ブチルホ フィン)パラジウム、ジアセタトビス(トリフ ェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロ(1,2- ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン)パラジウ ム、酢酸パラジウム/トリフェニルホスフィ 混合物、酢酸パラジウム/トリ-tert-ブチルホ フィン混合物、酢酸パラジウム/2-(ジシクロ ヘキシルホスフィノ)-1,1’-ビフェニル混合物 、ジクロロ(エチレンジアミン)パラジウム、 クロロ(N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジ ミン)パラジウム、ジクロロ(N,N,N’,N’-テト ラメチルエチレンジアミン)パラジウム/トリ ェニルホスフィン混合物等のパラジウム触 ;ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニ ケル、ジクロロ(1,2-ビス(ジフェニルホスフ ノ)エタン)ニッケル、ジクロロ(エチレンジ ミン)ニッケル、ジクロロ(N,N,N’,N’-テトラ メチルエチレンジアミン)ニッケル、ジクロ (N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン) ッケル/トリフェニルホスフィン混合物、ビ ス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル/トリフ ニルホスフィン混合物等のニッケル触媒;を げることができる。中でも、好ましい触媒 0価のパラジウム化合物であり、特に好まし い触媒はテトラキス(トリフェニルホスフィ )パラジウムである。又、これら触媒は1種若 しくは2種以上の混合物を用いても良い。

 一般式(5)で示されるテトラハロベンゼンと 般式(6)及び一般式(7)で示される2-ハロアリ ル金属試薬をパラジウム及び/又はニッケル 媒存在下で反応させる際には、好ましくは 媒中で実施する。用いる溶媒に特に限定は く、例えばTHF、ジエチルエーテル、メチル- tert-ブチルエーテル、ジオキサン、エチレン リコールジメチルエーテル、トルエン、キ レン、ヘキサン、シクロヘキサン、エタノ ル、水、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチ ピロリドン、トリエチルアミン、ピペリジ 、ピロリジン、ジイソプロピルアミン等を げることができ、又、これら溶剤は1種若し くは2種以上の混合物を用いても良く、例え トルエン/水、トルエン/エタノール/水のよ な2乃至3成分系でも使用することができる。
 パラジウム触媒、ニッケル触媒の使用量は 般式(5)のテトラハロベンゼン1モルに対し、 0.1~20モル%が好ましく、特に好ましくは1~10モ %の範囲である。
 一般式(6)、一般式(7)の2-ハロアリール金属 薬の使用量は一般式(5)のテトラハロベンゼ 1当量に対し、0.8~3.2当量が好ましく、特に好 ましくは1.0~2.8当量、さらに好ましくは1.1~2.5 量の範囲で使用することができる。
 反応の際の温度は10~120℃が好ましく、特に ましくは30~100℃、さらに好ましくは40~90℃ あり、反応時間は1~48時間が好ましく、特に ましくは2~30時間の範囲で好適に実施するこ とができる。

 なお、反応系中に塩基を存在させることも きる。この場合の塩基の種類としては特に 定はなく、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水 ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム りん酸カリウム、りん酸ナトリウム、ナト ウムtert-ブトキサイド、フッ化カリウム等 無機塩基;トリエチルアミン、トリメチルア ン、トリブチルアミン、エチレンジアミン N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン ジイソプロピルアミン、ピリジン等の有機 基を好適なものとして挙げることができる これらの塩基の使用量は一般式(5)のテトラ ロベンゼン1当量に対し、0.5~10.0当量が好ま く、特に好ましくは2.0~8.0当量の範囲で使用 ることができる。さらにこれらの塩基と併 し、相間移動触媒を用いることもできる。 間移動触媒の種類は特に限定はなく、例え トリオクチルメチルアンモニウムクロライ 、テトラブチルアンモニウムクロライド、 チルピリジニウムクロライド等を好適なも として挙げることができる。これらの相間 動触媒の使用量は一般式(5)のテトラハロベ ゼン1当量に対し、0.1~1.5当量が好ましく、 に好ましくは0.2~0.8当量の範囲である。
 さらに反応系中にトリフェニルホスフィン のホスフィンを存在させることもできる。 れらのホスフィンの使用量は、該パラジウ 及び/又はニッケル触媒1当量に対し、0.9~8.0 量が好ましく、特に好ましくは1.0~3.0当量の 範囲で使用することができる。

 なお、反応系中に銅化合物を存在させるこ もできる。該銅化合物しては特に限定はな 、例えば塩化銅(I)、臭化銅(I)、ヨウ化銅(I) 酢酸銅(I)等の1価銅;塩化銅(II)、臭化銅(II)、 ヨウ化銅(II)、酢酸銅(II)、アセチルアセトナ ト銅(II)等の2価銅等を挙げることができる その中でも好ましくは1価銅であり、特に好 しくはヨウ化銅(I)である。これらの銅化合 の使用量は該パラジウム及び/又はニッケル 触媒1当量に対し、0.3~10.0当量が好ましく、特 に好ましくは0.6~6.0当量の範囲で使用するこ ができる。
 また、一般式(5)で示されるテトラハロベン ンと一般式(6)及び(7)の2-ハロアリール金属 薬の反応により炭素-炭素結合が形成される 置はハロゲンの種類により制御することが きる。
 即ち、ヨウ素原子の反応性が最も高く、臭 原子、塩素原子の順に反応性が低下するこ から、これらハロゲンの種類の反応性を利 することで反応する位置を任意に決めるこ ができる。そのため、一般式(2)のテトロハ ターフェニル誘導体の製造は、例えば一般 (5)のX 5 及びX 6 をヨウ素原子とし、X 2 及びX 3 を臭素原子及び/又は塩素原子とすることに り、製造することができる。
 かくして得られた、本発明の一般式(2)で示 れるテトラハロターフェニル誘導体は、さ に精製することができる。精製する方法は に限定はなく、例えばカラムクロマトグラ ィー、再結晶化、あるいは昇華による方法 挙げることができる。

 (耐酸化性有機半導体材料)
 次に、本発明の一般式(1)で示されるヘテロ セン誘導体を含む耐酸化性有機半導体材料 ついて述べる。該耐酸化性有機半導体材料 溶剤への溶解性、耐酸化性に優れ、好適な 布性を有する。該耐酸化性有機半導体材料 本発明の一般式(1)で示されるヘテロアセン 導体を溶剤に溶解することにより製造する とができる。
 本発明の一般式(1)で示されるヘテロアセン 導体の溶解に用いる溶剤は、特に限定はな 、例えばo-ジクロロベンゼン、クロロベン ン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2,2-テトラクロ エタン、クロロホルム等のハロゲン系溶剤;T HF、ジオキサン等のエーテル系溶剤;トルエン 、キシレン、メシチレン等の芳香族化合物の 炭化水素系溶剤;酢酸エチル、γ-ブチロラク ン等のエステル系溶剤;N,N-ジメチルホルムア ミド、N-メチルピロリドン等のアミド系溶剤; 等が挙げられる。又、これら溶剤は1種若し は2種以上の混合物を用いても良い。中でも 好ましくはクロロベンゼン、トルエン等で る。
 上記に挙げた溶剤と一般式(1)で示されるヘ ロアセン誘導体を混合攪拌することにより 一般式(1)で示されるヘテロアセン誘導体を む耐酸化性有機半導体材料となるものであ 。混合攪拌する際の温度は10~200℃が好まし 、特に好ましくは20~190℃である。混合攪拌 る際の一般式(1)で示されるヘテロアセン誘 体の濃度は、溶剤及び温度により変えるこ ができ、0.01~10.0重量%であることが好ましい 。溶液の調製は空気中でも実施することがで きるが、好ましくは窒素、アルゴン等の不活 性雰囲気下で調製する。

 一般式(1)で示されるヘテロアセン誘導体を む耐酸化性有機半導体材料の耐酸化性の評 は、該溶液を所定時間、空気と接触させる 法で実施することができる。まず用いる溶 は予め脱気しておき、溶存酸素を除去する 空気との接触時間は、温度により適宜選択 ることができ、0.5分~3時間が好適である。 化の進行は、溶液の色の変化並びにガスク マトグラフィー及びガスクロマトグラフィ (GC)-マススペクトル(GCMS)分析による酸化物の 検出により行うことができる。
 本発明の一般式(1)で示されるヘテロアセン 導体を含む耐酸化性有機半導体材料は、用 られる一般式(1)で示されるヘテロアセン誘 体自体が適度の凝集性を有することから比 的に低温で溶剤へ溶解でき、且つ耐酸化性 あることから、塗布法による有機薄膜の製 に好適に適用できる。即ち、雰囲気から厳 に空気を除く必要がないことから塗布工程 簡略化することができる。塗布は空気中で 実施できるが、好ましくは溶剤の乾燥を考 して窒素気流下で行う。なお、好適な塗布 を得るために、本発明の一般式(1)で示され ヘテロアセン誘導体を含む耐酸化性有機半 体材料の粘度は、0.005~20ポアズの範囲にあ ことが好ましい。

 (有機薄膜)
 次に本発明の一般式(1)で示されるヘテロア ン誘導体を含む耐酸化性有機半導体材料を いた有機薄膜について述べる。係る有機薄 は上記の耐酸化性有機半導体材料(溶液)の 結晶化若しくは基板への塗布により製造す ことができ、特に基板への塗布により製造 ることが好ましい。そして、基板への塗布 より製造することにより、基板上に形成さ る有機薄膜となるものである。
 再結晶化による薄膜は、前記耐酸化性有機 導体材料を冷却することで形成することが きる。有機薄膜を製造する時の雰囲気は、 素、アルゴン等の不活性ガス又は空気下で うことが好ましく、特に窒素、アルゴン等 不活性ガス下で行うことが好ましい。該溶 中の一般式(1)で示されるヘテロアセン誘導 の濃度は、特に限定はなく、例えば0.01~10.0 量%である。冷却は60~200℃の温度から-20~60℃ が好ましく、特に好ましくは-10℃~40℃の間に 冷却することにより好適に実施することがで きる。またこのようにして製造した結晶状の 有機薄膜を適当な基板の上に張り合わせる、 即ちラミネーション等により基板上に製造す ることもできる。再結晶化により得られる有 機薄膜の膜厚は特に限定はなく、好ましくは 50nm~2mm、特に好ましくは1~500μmである。

 基板への塗布による有機薄膜の製造は、前 耐酸化性有機半導体材料を基板上に塗布し 後、加熱、気流及び自然乾燥等の方法によ 溶剤を気化させることで実施することがで る。該溶液中の一般式(1)で示されるヘテロ セン誘導体の濃度は、特に限定はなく、例 ば0.01~10.0重量%であることが好ましい。塗布 温度は特に限定はなく、例えば20~200℃の間で 好適に実施することができる。塗布の具体的 方法は特に限定はなく、公知の方法、例えば スピンコート、キャストコート及びディップ コート等を用いることができる。さらにスク リーン印刷、インクジェット印刷、グラビア 印刷等の印刷技術を用いても作製することが 可能である。使用する基板の材料は特に限定 はなく、結晶性、非結晶性の種々の材料を用 いることができる。基板の具体例としては、 例えばポリエチレンテレフタレート、ポリメ チルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプ ロピレン、ポリスチレン、環状ポリオレフィ ン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリビ ニルフェノール、ポリビニルアルコール、ポ リ(ジイソプロピルフマル酸)、ポリ(ジエチル フマル酸)、ポリ(ジイソプロピルマレイン酸) 等のプラスチック基板;ガラス、石英、酸化 ルミニウム、シリコン、酸化シリコン、二 化タンタル、五酸化タンタル、インジウム 酸化物等の無機材料基板;金、銅、クロム、 タン等の金属基板を好適に用いることがで る。またこれらの基板の表面は、例えばオ タデシルトリクロロシラン、オクタデシル リメトキシシラン等のシラン類;ヘキサメチ ルジシラザン等のシリルアミン類で修飾処理 したものであっても使用することができる。 さらに、基板は絶縁性あるいは誘電性を有す る材料であっても良い。塗布した後の溶剤の 乾燥は、常圧若しくは減圧で除去することが できる、又、加熱、窒素気流により乾燥して もよい。さらに、溶剤の気化速度を調節する ことで本発明の一般式(1)で示されるヘテロア セン誘導体の結晶成長を制御することができ る。基板への塗布により得られる有機薄膜の 膜厚は特に限定はなく、好ましくは1nm~100μm 特に好ましくは10nm~20μmである。
 本発明の一般式(1)で示されるヘテロアセン 導体は平面剛直性の高い分子構造を有する とから、優れた半導体特性を与えることが 待できる。又、該ヘテロアセン誘導体はト エンあるいはクロロベンゼン等の溶媒に溶 し、溶液状態にあっても容易に空気酸化さ ることはない。従って、塗布法により半導 薄膜を容易に作成できる。したがって、本 明の一般式(1)で示されるヘテロアセン誘導 は、電子ペーパー、有機ELディスプレイ、 晶ディスプレイ、ICタグ用等のトランジスタ の有機半導体活性相用途;有機ELディスプレイ 材料;有機半導体レーザー材料;有機薄膜太陽 池材料;フォトニック結晶材料等の電子材料 に利用することができる。

 以下、実施例により本発明をさらに詳細に 明するが、本発明はこれら実施例に限定さ るものではない。
 生成物の同定には 1 H-NMRスペクトル及びマススペクトルを用いた なお、 1 H-NMRスペクトルは日本電子製JEOL GSX-270WB(270MHz )を用いた。マススペクトル(MS)は日本電子製J EOL JMS-700を用いて、試料を直接導入し、電子 衝突(EI)法(70エレクトロンボルト)あるいはFAB (6キロエレクトロンボルト、キセノンガス マトリックス(ジチオスレイトール:ジチオエ リスリトール=3:1))(FABMS)で測定した。
 反応の進行の確認等はガスクロマトグラフ ー(GC)及びガスクロマトグラフィー-マスス クトル(GCMS)分析を用いた。
 ガスクロマトグラフィー分析
  装置  島津GC14B
  カラム J&Wサイエンティフィック社製 DB-1,30m
 ガスクロマトグラフィー-マススペクトル分 析
  装置  パーキンエルマーオートシステムX L(MS部;ターボマスゴールド)
  カラム J&Wサイエンティフィック社製 DB-1,30
 反応用の試薬及び溶媒は、断りのない限り 販品を用いた。なお、グリニャール試薬あ いはブチルリチウム等の有機金属試薬を用 た場合は、市販の脱水溶媒をそのまま用い 。

 合成例1 (1,4-ジブロモ-2,5-ジヨードベンゼン の合成)
 1,4-ジブロモ-2,5-ジヨードベンゼンはジャー ル オブ アメリカン ケミカル ソサイエ ィー、1997年、119巻、4578-4593頁に記載されて る方法を参考に合成を行った。
 メカニカルスターラー付き1lの三口フラス に過ヨウ素酸16.7g(73.0mmol)及び硫酸525mlを加え た。過ヨウ素酸が溶解した後、ヨウ化カリウ ム36.4g(219mmol)を少しずつ添加した。その内容 の温度を-30℃に冷却し、1,4-ジブロモベンゼ ン34.5g(146mmol)を5分間かけて添加した。得られ た混合物を-25℃で36時間撹拌した。反応混合 を氷(2Kg)中へ注いだ後、濾過し固体を取り した。その固体をクロロホルムに溶解させ 5%苛性ソーダ水溶液及び水で洗浄し、有機相 を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧濃 縮後、残渣をクロロホルムから再結晶化し、 白色結晶を得た(36.0g、収率50%)。
1 H-NMR(CDCl 3 ,21℃):δ=8.02(s,2H)。
  1 H-NMRスペクトルが文献値と一致したことより 1,4-ジブロモ-2,5-ジヨードベンゼンが得られ ことを確認した。

 合成例2 (2-フェニル-5-ブロモ-4-ビフェニル ロン酸の合成)
 1)1,2-ジブロモ-4,5-ジヨードベンゼンの合成
 1,2-ジブロモ-4,5-ジヨードベンゼンを「シン ット」、2003年、29-34頁に従い合成した。
 メカニカルスターラー付き1lの三口フラス に過ヨウ素酸36.9g(162mmol)及び硫酸150mlを加え 。過ヨウ素酸が溶解した後、ヨウ化カリウ 80.7g(486mmol)を少しずつ添加した。その内容 の温度を0℃に冷却し、1,2-ジブロモベンゼン 75.0g(318mmol)を添加した。得られた混合物を0℃ で30分間撹拌した。反応混合物を氷へ注いだ 、濾過し固体を取り出した。その固体をTHF/ メタノールから2回再結晶化し、白色結晶を た(76.2g、収率49%)。
1 H-NMR(CDCl 3 ,21℃):δ=8.03(s,2H)。
  1 H-NMR測定より、1,2-ジブロモ-4,5-ジヨードベン ンが得られたことを確認した。
 2)1,2-ジブロモ-4,5-ジフェニルベンゼンの合
 窒素雰囲気下、200mlシュレンク反応容器に1) で合成した1,2-ジブロモ-4,5-ジヨードベンゼン 3.074g(6.30mmol)、テトラキス(トリフェニルホス ィン)パラジウム(東京化成工業製)600mg(0.519mm ol)及びフェニルボロン酸(和光純薬工業製)1.92 0g(15.7mmol)を添加した。さらにトルエン50ml、 タノール13ml及び炭酸ナトリウム4.007g(37.8mmol) と水16mlからなる水溶液を添加した。82℃に加 熱し、24時間撹拌した。室温まで冷却後、ト エン及び水を添加し分相した。有機相を濃 し、得られた残渣をトルエン26mlに溶解後、 70%tert-ブチルハイドロパーオキサイド溶液(和 光純薬工業製)1.0mlを添加し、室温で2時間撹 した。このトルエン溶液を水で2回洗浄後、 機相を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカ ルカラムクロマトグラフィーで精製後(溶媒 、ヘキサン)、白色固体を得た(1.953g、収率80%) 。
1 H-NMR(CDCl 3 ,21℃):δ=7.67(s,2H),7.24-7.13(m,6H),7.12-6.90(m,4H)。
MS m/z: 388(M + ,100%),308(M + -Br,23),228(M + -2Br,53)。
  1 H-NMR及びMS測定より、1,2-ジブロモ-4,5-ジフェ ルベンゼンが得られたことを確認した。
 3)2-フェニル-5-ブロモ-4-ビフェニルボロン酸 の合成
 窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器に2) で合成した1,2-ジブロモ-4,5-ジフェニルベンゼ ン755mg(1.95mmol)及びTHF12mlを添加した。この溶 を-100℃に冷却し、n-ブチルリチウム(関東化 製、1.59M)のヘキサン溶液1.3ml(2.1mmol)を滴下 た。30分間熟成後、その温度でホウ酸トリイ ソプロピル(東京化成工業製)472mg(2.51mmol)を滴 した。徐々に室温まで昇温した後、3N塩酸 添加し、分相した。有機相を減圧濃縮し、77 0mgの白色固体(2-フェニル-5-ブロモ-4-ビフェニ ルボロン酸)を得た。

 合成例3 (2-ブロモ-3-ヨードナフタレンの合 )
 2-ブロモ-3-ヨードナフタレンはシンセティ ク コミュニュケーションズ、2003年、33巻、 2751-2756頁に記載されている方法を参考に合成 を行った。なお、原料の2-ブロモ-ビス(ヘキ クロロシクロペンタジエン)ナフタレンはシ マ-アルドリッチから購入したものをそのま ま使用した。
 窒素雰囲気下、500mlの3口フラスコ反応容器 メタンスルホン酸200ml及びオルト過ヨウ素 1.31g(5.74mmol)を加えた。30分間撹拌後、ヨウ素 4.36g(17.2mmol)を加えた。この混合物を2時間撹 した後、2-ブロモ-ビス(ヘキサクロロシクロ ンタジエン)ナフタレン30.1g(40.0mmol)を少しず つ加えた。この混合物を30℃で3日間撹拌した 。反応混合物を氷水中に注ぎ、生成した固体 を濾過した。さらにこの固体を水で洗浄し、 減圧乾燥した後、2-ブロモ-3-ヨード-ビス(ヘ サクロロシクロペンタジエン)ナフタレンの 色粉体を得た(34.8g、収率99%)。
 ガラス製昇華管の末端に上記で得た2-ブロ -3-ヨード-ビス(ヘキサクロロシクロペンタジ エン)ナフタレン8.05g(9.16mmol)を加えた。末端 210℃に加熱し、1.5パスカルに減圧した。発 した2-ブロモ-3-ヨードナフタレンは減圧側の ガラス管に付着し、ヘキサクロロシクロペン タジエンは減圧側の底に溜まった。1時間後 華操作を中断し、ガラス管の付着物を取り し、再度同じ操作を繰り返した。1時間の昇 操作を行った(2.29g、収率75%)。
1 H-NMR(CDCl 3 ,21℃):δ=8.41(s,1H),8.14(s,1H),7.75-7.65(m,2H),7.54-7.45(m ,2H)。
  1 H-NMRスペクトルが文献値と一致したことより 2-ブロモ-3-ヨードナフタレンが得られたこ を確認した。

 実施例1 ({1,4-ビス(3-ブロモベンゾチエニル) -2,5-ジブロモ}ベンゼン(テトラハロターフェ ル誘導体)の合成)
 窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器に2, 3-ジブロモベンゾチオフェン(シグマ-アルド ッチ製)886mg(3.03mmol)及びTHF8mlを添加した。こ 溶液を-30℃に冷却し、イソプロピルマグネ ウムブロマイド(東京化成工業製、0.80M)のTHF 溶液3.8ml(3.0mmol)を滴下した。30分間熟成後、-5 0℃に冷却し、その温度で塩化亜鉛(シグマ-ア ルドリッチ製、1.0M)のジエチルエーテル溶液3 .0ml(3.0mmol)を滴下した。徐々に室温まで昇温 た後、生成した白色スラリー液を減圧濃縮 た。得られた白色固体[(3-ブロモベンゾチエ ル-2-ジンククロライド)(一般式(6)及び(7)の 合物)]に、合成例1で合成した1,4-ジブロモ-2,5 -ジヨードベンゼン492mg(1.01mmol)(一般式(5)の化 物)、触媒としてテトラキス(トリフェニル スフィン)パラジウム(東京化成工業製)91.7mg(0 .079mmol)及びTHF8mlを添加した。63℃で10時間反 を実施した後、容器を水冷し1N塩酸4mlを添加 することで反応を停止させた。トルエンを添 加し、得られた懸濁液を濾過し、濾板上の固 体をトルエン及び水で洗浄した。固体を減圧 乾燥し、白色固体292mgを得た。一方、濾液を 相し有機相を水洗した。有機相を減圧濃縮 、溶媒を留去した。得られた固体をヘキサ 洗浄し(10ml)、残渣をトルエンから再結晶化 た。析出した結晶を減圧乾燥後、206mgの白 固体を得た。先の濾過後の白色固体と合わ 、収率75%で目的物を得た。
1 H-NMR(CDCl 3 ,21℃):δ=7.95-7.84(m,4H),7.81(s,2H),7.58-7.44(m,4H)。
MS m/z: 658(M + ,44%),498(M + -2Br,34),338(M + -4Br,100),306(M + -4Br-S),9),169(M + -4Br)/2,66)。
1 H-NMR及びMS測定より、{1,4-ビス(3-ブロモベンゾ チエニル)-2,5-ジブロモ}ベンゼンが得られた とを確認した。なお、その構造式を下記に す。

 実施例2 (テトラチエノアセン(ヘテロアセ 誘導体)の合成)
 窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器に 実施例1で合成した{1,4-ビス(3-ブロモベンゾ エニル)-2,5-ジブロモ}ベンゼン422mg(0.641mmol)及 びTHF30mlを添加した。この溶液を-75℃に冷却 、メタル化剤としてsec-ブチルリチウム(関東 化学製1.0M)のシクロヘキサン/ヘキサン溶液5.1 ml(5.1mmol)を滴下し、テトラメタル化を行った 40分間撹拌後、-70℃で反応剤としてビス(フ ニルスルホニル)スルフィド(アクロス製)(一 般式(3)及び(4)の化合物)730mg(2.32mmol)を一気に 入した。一晩かけて室温まで温度を上げた 飽和食塩水を添加した後、分相し、さらに 機相を飽和食塩水で洗浄した。有機相は黄 懸濁液であったことから濾過し、黄色固体 取り出し、真空乾燥し、123mgの黄色固体を得 た。生成した固体を濾過した。さらにこの得 られた固体をo-ジクロロベンゼンで抽出(50℃) した後、減圧乾燥し残渣を60℃でトルエンに 洗浄し、残渣を減圧乾燥することで黄色固 を得た(71mg、収率28%)。
MS m/z: 402(M + ,100%),201(M + /2,14)。
 MS測定より、テトラチエノアセンが得られ ことを確認した。なお、その構造式を下記 示す。

 実施例3 (2,2’,5’,2”-テトラブロモ-1,1’,4 ,1”-ターフェニル(テトラハロターフェニル 誘導体)の合成)
 窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器に 成例1で合成した1,4-ジブロモ-2,5-ジヨードベ ゼン4.39g(9.00mmol)(一般式(5)の化合物)、触媒 してテトラキス(トリフェニルホスフィン)パ ラジウム(東京化成工業製)974mg(0.84mmol)及び2- ロモフェニルボロン酸(シグマ-アルドリッチ 製)4.16g(一般式(6)及び(7)の化合物)(20.7mmol)を添 加した。さらにトルエン72ml、エタノール18ml び炭酸ナトリウム5.72g(54.0mmol)と水22mlからな る水溶液を添加した。85℃のオイルバスに浸 、15時間撹拌した。室温まで冷却後、ジク ロメタン及び飽和食塩水を添加し分相した 有機相を減圧濃縮し、残渣をトルエンから 結晶化し、白色針状晶を得た(3.68g、収率75%)
融点:230-231℃。
1 H-NMR(CDCl 3 ,21℃):δ=7.70(d,J=8.0Hz,2H),7.55(d,J=1.5Hz,2H),7.45-7.23(m ,6H)。
MS m/z: 546(M + ,92%),466(M + -Br,45),386(M + -2Br,53),226(M + -4Br,100)。
  1 H-NMR及びMS測定より、2,2’,5’,2”-テトラブロ モ-1,1’,4’,1”-ターフェニルが得られたこと を確認した。なお、その構造式を下記に示す 。

 実施例4 (P,P-ジフェニルベンゾホスホロジ ンゾホスホール(ヘテロアセン誘導体)の合成 )
 窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器に 施例3で合成した2,2’,5’,2”-テトラブロモ-1 ,1’,4’,1”-ターフェニル410mg(0.752mmol)及びTHF3 0mlを添加した。この溶液を-80℃に冷却し、メ タル化剤としてsec-ブチルリチウム(関東化学 1.0M)のシクロヘキサン/ヘキサン溶液6.0ml(6.0m mol)を滴下し、テトラメタル化を行った。溶 の色が薄黄色から真緑色へ変化した。20分間 撹拌後、-75℃で反応化剤としてジクロロフェ ニルホスフィン(東京化成工業製)452mg(2.52mmol)( 一般式(3)及び(4)の化合物)を添加し、一晩か て室温まで温度を上げた。飽和食塩水を添 した後分相し、さらに有機相を炭酸カリウ 水溶液で洗浄した。減圧濃縮し、得られた 渣にヘキサンを添加し撹拌後静置し、上澄 液を取り除き、減圧乾燥した。残渣をトル ンから再結晶化し、淡黄色の結晶を得た(101m g、収率30%)。
1 H-NMR(CDCl 3 ,21℃):δ=8.26(s,2H),7.94(d,J=7.8Hz,2H),7.69(d,J=7.1Hz,2H), 7.44(t,J=7.8Hz,2H),7.41-7.10(m,12H)。
MS m/z: 442(M + ,100%),364(M + -Ph-1,38),288(M + -2Ph,19),221(M + /2,10)。
  1 H-NMR及びMS測定より、P,P-ジフェニルベンゾホ ホロジベンゾホスホールが得られたことを 認した。なお、その構造式を下記に示す。

 実施例5 (B,B-ジフェニルベンゾボロリルジ ンゾボロール(ヘテロアセン誘導体)の合成)
 窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器に 施例3で合成した2,2’,5’,2”-テトラブロモ-1 ,1’,4’,1”-ターフェニル425mg(0.778mmol)及びTHF3 0mlを添加した。この溶液を-80℃に冷却し、メ タル化剤としてsec-ブチルリチウム(関東化学 1.0M)のシクロヘキサン/ヘキサン溶液6.2ml(6.2m mol)を滴下し、テトラメタル化を行った。溶 の色が薄黄色から真緑色へ変化した。20分間 撹拌後、-75℃で反応化剤としてジクロロフェ ニルボラン(シグマ-アルドリッチ製)410mg(2.58mm ol)(一般式(3)及び(4)の化合物)を添加し、一晩 けて室温まで温度を上げた。飽和食塩水を 加した後分相し、さらに有機相を炭酸カリ ム水溶液で洗浄した。減圧濃縮し、得られ 残渣にヘキサンを添加し撹拌後静置し、上 み液を取り除き、減圧乾燥した。残渣をト エンから再結晶化し、淡黄色の結晶を得た( 78mg、収率25%)。
MS m/z: 402(M + ,100%),201(M + /2,14)。
 MS測定より、B,B-ジフェニルベンゾボロリル ベンゾボロールが得られたことを確認した なお、その構造式を下記に示す。

 実施例6 (4,5,4”,5”-テトラフルオロ-2,2’,5 ,2”-テトラブロモ-1,1’,4’,1”-ターフェニ (テトラハロターフェニル誘導体)の合成)
 窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器に1, 2-ジブロモ-4,5-ジフルオロベンゼン(和光純薬 業製)2.53g(9.30mmol)及びTHF15mlを添加した。こ 溶液を-40℃に冷却し、イソプロピルマグネ ウムブロマイド(関東化学製、0.65M)のTHF溶液1 5ml(9.7mmol)を滴下した。30分間熟成後、その温 で塩化亜鉛(シグマ-アルドリッチ製、1.0M)の ジエチルエーテル溶液9.8ml(9.8mmol)を滴下した 徐々に室温まで昇温した後、生成した白色 ラリー液を減圧濃縮した。得られた白色固 (2-ブロモ-4,5-ジフルオロフェニルマグネシ ムブロマイド)(一般式(6)及び(7)の化合物)に 合成例1で合成した1,4-ジブロモ-2,5-ジヨード ンゼン2.15g(4.41mmol)(一般式(5)の化合物)、テ ラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム (東京化成工業製)408mg(0.353mmol)及びTHF30mlを添 した。60℃で6時間反応を実施した後、容器 水冷し3N塩酸(8ml)を添加することで反応を停 させた。トルエン及び食塩を添加後、分相 、有機相を食塩水で洗浄した。有機相を減 濃縮し溶媒を留去した。この得られた残渣 トルエン10mlに溶解させ、70%tert-ブチルハイ ロパーオキサイド溶液(和光純薬工業製)(0.5m l)を添加し、室温で2時間撹拌した。この溶液 を水洗浄し、有機相を減圧濃縮した。有機相 をトルエン:ヘキサン=1:1に溶解させ、シリカ ルを充填したカラムを通過させた。溶出液 減圧濃縮し、得られた固体をヘキサン:トル エン=3:1の混合溶媒を用いて再結晶化を行い 白色固体を得た(1.48g,収率54%)。
1 H-NMR(CDCl 3 ,21℃):δ=7.58-7.45(m,2H),7.53(s,2H),7.23-7.09(m,2H)。
MS m/z: 618(M + ,73%),538(M + -Br,32),458(M + -2Br,45),378(M + -3Br,4),298(M + -4Br,100)。
  1 H-NMR及びMS測定より、4,5,4”,5”-テトラフルオ ロ-2,2’,5’,2”-テトラブロモ-1,1’,4’,1”-タ ーフェニルが得られたことを確認した。なお 、その構造式を下記に示す。

 実施例7 (テトラフルオロジチエノアセン( テロアセン誘導体)の合成))
 窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器に 実施例6で合成した4,5,4”,5”-テトラフルオ -2,2’,5’,2”-テトラブロモ-1,1’,4’,1”-タ フェニル506mg(0.818mmol)及びTHF28mlを添加した。 この懸濁溶液を-80℃に冷却し、メタル化剤と してsec-ブチルリチウム(関東化学製1.0M)のシ ロヘキサン/ヘキサン溶液5.9ml(5.9mmol)を滴下 、テトラメタル化を行った。20分間撹拌後、 -75℃でビス(フェニルスルホニル)スルフィド( アクロス製)900mg(2.86mmol)(一般式(3)及び(4)の化 物)を一気に投入した。徐々に昇温し、一晩 かけて室温まで反応温度を上げた。飽和食塩 水及びトルエンを添加した後、分相し、さら に有機相を飽和食塩水で洗浄した。減圧濃縮 し、得られた残渣にヘキサンを添加し撹拌後 、静置し、上澄み液を取り除き、減圧乾燥し た。残渣をトルエンから再結晶化した(77mg,収 率26%)。
1 H-NMR(CDCl 3 ,21℃):δ=8.46(s,2H),8.10(m,2H),7.81(m,2H)。
MS m/z: 362(M + ,100%),181(M + /2,18)。
  1 H-NMR及びMS測定より、テトラフルオロジチエ アセンが得られたことを確認した。なお、 の構造式を下記に示す。

 実施例8 (4,5,4”,5”-テトラフェニル-2,2’,5 ,2”-テトラブロモ-1,1’,4’,1”-ターフェニ (テトラハロターフェニル誘導体)の合成)
 窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器に 成例2で合成した2-フェニル-5-ブロモ-4-ビフ ニルボロン酸(一般式(6)及び(7)の化合物)770mg 合成例1で合成した1,4-ジブロモ-2,5-ジヨード ベンゼン476mg(0.976mmol)(一般式(5)の化合物)、テ トラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウ (東京化成工業製)90.1mg(0.078mmol)、トルエン7.6 ml及びエタノール1.8mlを添加した。さらに炭 ナトリウム625mg(5.90mmol)と水2.3mlからなる溶液 を添加し、この混合物を85℃で30時間反応を 施した。室温まで冷却させた後、トルエン び食塩水を添加分相し、有機相を食塩水で 浄した。有機相を減圧濃縮し溶媒を留去し 。得られた固体をトルエン:ヘキサン=7:3の混 合溶媒を用いて再結晶化を行い、白色固体を 得た(467mg、収率56%)。
1 H-NMR(CDCl 3 ,21℃):δ=7.77(s,0.85H),7.76(s,1.15H),7.69(s,2H),7.42(s,1.1 5H),7.35(s,0.85H),7.28-7.13(m,20H)。
FABMS m/z: 850(M + ,100%),770(M + -Br,71)。
  1 H-NMR及びFABMS測定より、4,5,4”,5”-テトラフェ ニル-2,2’,5’,2”-テトラブロモ-1,1’,4’,1”- ターフェニルが得られたことを確認した。な お、その構造式を下記に示す。

 実施例9 (テトラフェニルジチエノアセン( テロアセン誘導体)の合成)
 窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器に 実施例8で合成した4,5,4”,5”-テトラフェニ -2,2’,5’,2”-テトラブロモ-1,1’,4’,1”-タ フェニル416mg(0.489mmol)及びTHF30mlを添加した。 この懸濁溶液を-80℃に冷却し、メタル化剤と してsec-ブチルリチウム(関東化学製1.0M)のシ ロヘキサン/ヘキサン溶液3.9ml(3.9mmol)を滴下 、テトラメタル化を行った。20分間撹拌後、 -75℃でビス(フェニルスルホニル)スルフィド( アクロス製)507mg(1.61mmol)(一般式(3)及び(4)の化 物)を一気に投入した。徐々に昇温し、一晩 かけて室温まで反応温度を上げた。飽和食塩 水及びトルエンを添加した後、分相し、さら に有機相を飽和食塩水で洗浄した。減圧濃縮 し、得られた残渣にヘキサンを添加し撹拌後 、静置し、上澄み液を取り除き、減圧乾燥し た。残渣をトルエンから再結晶化し、結晶を 得た(90mg,収率31%)。
MS m/z: 594(M + ,100%),297(M + /2,15)。
 MS測定より、テトラフェニルジチエノアセ が得られたことを確認した。なお、その構 式を下記に示す。

 実施例10 (2,2’,5’,2”-テトラブロモ-1,1’,4 ’,1”-ジベンゾターフェニル(テトラハロタ フェニル誘導体)の合成)
 窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器に 成例3で合成した2-ブロモ-3-ヨードナフタレ 2.03g(6.10mmol)及びTHF12mlを添加した。この溶液 -65℃に冷却し、イソプロピルマグネシウム ロマイド(関東化学製、0.65M)のTHF溶液9.9ml(6.4 mmol)を滴下した。30分間熟成後、その温度で 化亜鉛(シグマ-アルドリッチ製、1.0M)のジエ ルエーテル溶液6.4ml(6.4mmol)を滴下した。徐 に室温まで昇温した後、生成した白色スラ ー液を減圧濃縮した。得られた白色固体(2- ロモナフチル-3-マグネシウムブロマイド)(一 般式(6)及び(7)の化合物)に、合成例1で合成し 1,4-ジブロモ-2,5-ジヨードベンゼン1.41g(2.88mmo l)(一般式(5)の化合物)、テトラキス(トリフェ ルホスフィン)パラジウム(東京化成工業製)2 85mg(0.247mmol)及びTHF31mlを添加した。60℃で4時 反応を実施した後、容器を水冷し3N塩酸4mlを 添加することで反応を停止させた。全体を減 圧濃縮し、溶媒を留去した。析出した固体を 濾液が中性になるまで水で洗浄し、さらにク ロロホルムとTHFで洗浄した。得られた結晶を 減圧乾燥後、結晶を得た(1.20g,収率64%)。
1 H-NMR(CDCl 3 ,60℃):δ=8.22(s,2H),7.90-7.75(m,4H),7.85(s,2H),7.67(s,2H), 7.60-7.48(m,4H)。
MS m/z: 646(M + ,64%),566(M + -Br,8),486(M + -2Br,34),406(M + -3Br,6),326(M + -4Br,92),163((M + -4Br)/2,100)。
  1 H-NMR及びMS測定より、2,2’,5’,2”-テトラブロ モ-1,1’,4’,1”-ジベンゾターフェニルが得ら れたことを確認した。なお、その構造式を下 記に示す。

 実施例11 (ジベンゾジチエノアセン(ヘテロ セン誘導体)の合成)
 窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器に 実施例10で合成した2,2’,5’,2”-テトラブロ -1,1’,4’,1”-ジベンゾターフェニル388mg(0.60 1mmol)及びTHF27mlを添加した。この懸濁溶液を-8 0℃に冷却し、メタル化剤としてsec-ブチルリ ウム(関東化学製1.0M)のシクロヘキサン/ヘキ サン溶液4.8ml(4.8mmol)を滴下し、テトラメタル を行った。20分間撹拌後、-75℃でビス(フェ ルスルホニル)スルフィド(アクロス製)660mg(2 .10mmol)(一般式(3)及び(4)の化合物)を一気に投 した。徐々に昇温し、一晩かけて室温まで 応温度を上げた。飽和食塩水を添加した後 分相し、さらに有機相を飽和食塩水で洗浄 た。減圧濃縮し、得られた残渣にトルエン 添加し撹拌後、静置し、上澄み液を取り除 、減圧乾燥し結晶を得た(59mg,収率25%)。
MS m/z: 390(M + ,100%),195(M + /2,11)。
 MS測定より、ジベンゾジチエノアセンが得 れたことを確認した。なお、その構造式を 記に示す。

 合成例4 (2-ブロモ-3-ヨード-6,7-ジドデシル ントラセンの合成)
 1)1,2-ジドデシルベンゼンの合成
 1,2-ジドデシルベンゼンは、「シンセシス」 、1993年、387-390頁の方法を参考に1,2-ジクロロ ベンゼンとn-ドデシルマグネシウムブロマイ から次のように合成した。
 窒素雰囲気下、200mlシュレンク反応容器に1, 2-ジクロロベンゼン2.7ml(24.0mmol)、塩化ニッケ {ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン}66mg(0 .12mmol)、及びジエチルエーテル18mlを添加した 。0℃に冷却し、n-ドデシルマグネシウムブロ マイド(シグマ-アルドリッチ製、1.0M)のジエ ルエーテル溶液65ml(65mmol)を滴下した。35℃で 11時間反応後、3N塩酸を加えて反応を停止さ た。ジエチルエーテルで抽出し、有機相を 及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄 た。塩化カルシウムで乾燥し、溶媒を減圧 縮した。残渣を170℃で真空乾燥し(20Pa)、1,2- ドデシルベンゼンの液体を得た(8.36g、収率8 4%)。
 2)4-ブロモ-5-ヨード無水フタル酸の合成
 4-ブロモ-5-ヨード無水フタル酸は「ジャー ル オブ オルガニック ケミストリィー」( 国)、1951年、16巻、1577-1581頁に記載されてい る方法を参考に4-ブロモ無水フタル酸を原料 用いて次のように合成を行った。
 100mlの三口フラスコに4-ブロモ無水フタル酸 (東京化成工業製)6.42g(28.3mmol)、10%発煙硫酸25ml 、及びヨウ素3.60g(14.2mmol)を加えた。110℃に加 熱し、4時間反応を行った。室温に冷却後、 応物を氷中へ注いでクエンチした。冷20%水 化ナトリウム水溶液で処理した後、塩酸を 加し、溶液のpHを6~7とした。不溶物を濾紙を 用いて除去し、さらに塩酸を少しずつ添加し 、pHを1以下にした。得られたスラリー液を一 晩撹拌した後、生成した沈殿物を濾別し、乾 燥した。得られた固体をトルエンで洗浄し、 残渣を冷20%水酸化ナトリウム水溶液で処理し 溶解させた。酢酸を用いて溶液のpHを3.5とし 成した沈殿物を濾別した。この沈殿物を塩 で処理した後、さらにトルエンと無水酢酸 処理することで1.10gの4-ブロモ-5-ヨード無水 フタル酸を得た(収率11%)。

 3)2-ブロモ-3-ヨード-6,7-ジドデシルアントラ ノンの合成
 2-ブロモ-3-ヨード-6,7-ジドデシルアントラキ ノンは「ベリヒテ」(独国)、1933年、66B巻、187 6-1891頁に記載されている方法を参考に次のよ うに合成を行った。
 100mlの三口フラスコに上記で合成した4-ブロ モ-5-ヨード無水フタル酸1.00g(2.83mmol)、1,2-ジ デシルベンゼン1.29g(3.11mmol)、及びテトラク ロエタン4mlを加えた。そこへ塩化アルミニ ム0.82g(6.15mmol)を添加し、室温で3時間撹拌し 。得られた反応混合物に氷を少しずつ加え クエンチした後、トルエンで抽出した。減 濃縮し、2.5gの粘調物を得た。この粘調物に 硫酸8mlを添加し、80℃で2時間撹拌した。得ら れた反応混合物を室温まで冷却し、氷を加え た。トルエンで抽出し、有機相を硫酸ナトリ ウムで乾燥後、濾過、減圧濃縮し、678mgの2- ロモ-3-ヨード-6,7-ジドデシルアントラキノン を得た(収率35%)。
 4)2-ブロモ-3-ヨード-6,7-ジドデシルアントラ ンの合成
 上記で得た2-ブロモ-3-ヨード-6,7-ジドデシル アントラキノン678mgにTHF14mlを加え溶解させた 後、水素化ジイソプロピルアルミニウム(関 化学製、0.99M)トルエン溶液2.7ml(2.7mmol)を添加 し、室温で2時間撹拌した。氷冷後、6N塩酸5ml を添加した後、65℃に加熱し、4時間反応を行 った。トルエン及び食塩水を添加し、分相し た。さらに食塩水で洗浄し、有機相を減圧濃 縮及び真空乾燥した。得られた残渣に再度、 水素化ジイソプロピルアルミニウムを用いた 還元、6N塩酸による脱水操作を繰り返した。 生成物をトルエンから再結晶精製し、469mg 薄黄色固体である2-ブロモ-3-ヨード-6,7-ジド シルアントラセンを得た(収率72%)。

 実施例12 (3,2’,5’,3”-テトラブロモ-6,7,6” ,7”-(テトラドデシル)-2,1’,4’,2”-ジナフト ーフェニル(テトラハロターフェニル誘導体 )の合成)
 窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器に 成例4で合成した2-ブロモ-3-ヨード-6,7-ジドデ シルアントラセン461mg(0.640mmol)及びTHF8mlを添 した。この溶液を-40℃に冷却し、イソプロ ルマグネシウムブロマイド(関東化学製、0.65 M)のTHF溶液1.0ml(0.65mmol)を滴下した。30分間熟 後、-78℃に冷却し、塩化亜鉛(シグマ-アルド リッチ製、1.0M)のジエチルエーテル溶液0.65ml( 0.65mmol)を滴下した。徐々に室温まで昇温した 後、得られた反応液を減圧濃縮した。得られ た残渣に、合成例1で合成した1,4-ジブロモ-2,5 -ジヨードベンゼン145mg(0.298mmol)、テトラキス( トリフェニルホスフィン)パラジウム(東京化 工業製)27.5mg(0.0238mmol)及びTHF8mlを添加した。 60℃で7時間反応を実施した後、容器を水冷し 3N塩酸3mlを添加することで反応を停止させた トルエンを添加後、分相し、有機相を食塩 で洗浄した。有機相を減圧濃縮し溶媒を留 し、さらに真空乾燥した。得られた残渣に ルエンを添加し、70%tert-ブチルハイドロパ オキサイド溶液(和光純薬工業製)(0.06ml)を添 し、室温で2時間撹拌した。この溶液を水洗 浄し、有機相を減圧濃縮析出した。残渣をシ リカゲルを充填したカラムクロマトグラフィ ーで濾過し(溶媒;ヘキサン:クロロホルム=5:2) 濾液を減圧濃縮した。得られた残渣をヘキ ンで洗浄、真空乾燥後、254mgの黄色固体を た(収率60%)。
MS m/z: 1419(M + ,100%),1339(M + -Br,8),1108(M + -2C 11 H 23 ,15).
 MS測定より、3,2’,5’,3”-テトラブロモ-6,7,6 ”,7”-(テトラドデシル)-2,1’,4’,2”-ジナフ ターフェニルが得られたことを確認した。 お、その構造式を下記に示す。

 実施例13 (テトラドデシルジナフトジチエ アセン(ヘテロアセン誘導体)の合成)
 窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器に 実施例12で合成した3,2’,5’,3”-テトラブロ -6,7,6”,7”-(テトラドデシル)-2,1’,4’,2”- ナフトターフェニル122mg(0.086mmol)及びTHF6mlを 加した。この懸濁溶液を-75℃に冷却し、メ ル化剤としてsec-ブチルリチウム(関東化学 1.0M)のシクロヘキサン/ヘキサン溶液0.7ml(0.7mm ol)を滴下し、テトラメタル化を行った。20分 撹拌後、-80℃でビス(フェニルスルホニル) ルフィド(アクロス製)108mg(0.344mmol)(一般式(3) び(4)の化合物)を一気に投入した。徐々に昇 温し、一晩かけて室温まで反応温度を上げた 。トルエン及び飽和食塩水を添加した後、分 相し、さらに有機相を飽和食塩水で洗浄し、 硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。得 られた残渣をトルエンから再結晶精製し、25m gの固体を得た(収率25%)。
MS m/z: 1164(M + ,100%),582(M + /2,14).
 MS測定より、テトラドデシルジナフトジチ ノアセンが得られたことを確認した。なお その構造式を下記に示す。

 実施例14 (テトラドデシルジナフトジチエ アセン(ヘテロアセン誘導体)の合成)
 窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器を-7 5℃に冷却し、THF6ml及びメタル化剤としてsec- チルリチウム(関東化学製1.0M)のシクロヘキ ン/ヘキサン溶液1.0ml(1.0mmol)を添加した。-75 下で実施例12で合成した3,2’,5’,3”-テトラ ブロモ-6,7,6”,7”-(テトラドデシル)-2,1’,4’, 2”-ジナフトターフェニル132mg(0.093mmol)を投入 し、テトラメタル化を行った。20分間撹拌後 -80℃でビス(フェニルスルホニル)スルフィ (アクロス製)117mg(0.372mmol)(一般式(3)及び(4)の 合物)を一気に投入した。徐々に昇温し、一 晩かけて室温まで反応温度を上げた。トルエ ン及び飽和食塩水を添加した後、分相し、さ らに有機相を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナト リウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残 渣をトルエンから再結晶精製し、40mgのテト ドデシルジナフトジチエノアセンを得た(収 37%)。

 実施例15 (耐酸化性有機半導体材料の合成 びその耐酸化性評価)
 窒素雰囲気下、100mlシュレンク容器にクロ ベンゼン5.4gを添加し、凍結(液体窒素)-減圧- 窒素置換-融解から成るサイクルを3回繰り返 ことで溶存酸素を除去した。そこへ実施例2 で得られたテトラチエノアセンの固体5.1mgを 加し、50℃に加熱し溶解させ、テトラチエ アセンを含む耐酸化性有機半導体材料を合 した(山吹色溶液)。次に、このシュレンク容 器の上部の栓を開け、1分間、外気に接触さ ることで空気を導入(耐酸化性評価)し、さら に50℃で撹拌したが、色の変化は見られなか た。したがって、色の変化が見られなかっ ことから、耐酸化性に優れるものであった

 実施例16 (有機薄膜の作成)
 窒素雰囲気下、実施例2で得られたテトラチ エノアセン2.5mgをクロロベンゼン25gと混合し 70℃で1時間撹拌し、テトラチエノアセンの 吹色溶液を調製した(テトラチエノアセンを 含む耐酸化性有機半導体材料の合成)。
 窒素雰囲気下、凹面のあるガラス基板を70 に加熱し、この基板上に上記の溶液をスポ トを用いて塗布し常圧下で乾燥し、膜厚280nm の有機薄膜を作製した。

 実施例17 (耐酸化性有機半導体材料の合成 びその耐酸化性評価)
 窒素雰囲気下、100mlシュレンク容器にクロ ベンゼン5.4gを添加し、凍結(液体窒素)-減圧- 窒素置換-融解から成るサイクルを3回繰り返 ことで溶存酸素を除去した。そこへ実施例1 4で得られたテトラドデシルジナフトジチエ アセンの固体7.2mgを添加し、70℃に加熱し溶 させ、テトラドデシルジナフトジチエノア ンを含む耐酸化性有機半導体材料を合成し (黄橙色溶液)。次に、このシュレンク容器 上部の栓を開け、1分間、外気に接触させる とで空気を導入(耐酸化性評価)し、さらに70 ℃で撹拌したが、色の変化は見られなかった 。したがって、色の変化が見られなかったこ とから、耐酸化性に優れるものであった。
 さらにこの溶液を70℃。1時間、撹拌下で空 と接触させても溶液の色の変化は見られず 耐酸化性に優れるものであった。

 実施例18 (有機薄膜の作成)
 窒素雰囲気下、実施例14で得られたテトラ デシルジナフトジチエノアセン4.7mgをクロロ ベンゼン15gと混合し、70℃で1時間撹拌し、テ トラドデシルジナフトジチエノアセンの黄橙 色溶液を調製した(テトラドデシルジナフト チエノアセンを含む耐酸化性有機半導体材 の合成)。
 窒素雰囲気下、凹面のあるガラス基板を70 に加熱し、この基板上に上記の溶液をスポ トを用いて塗布し常圧下で乾燥し、膜厚220nm の有機薄膜を作製した。

 比較例1 (耐酸化性評価)
 ペンタセンを用いて耐酸化性を評価した。
 窒素雰囲気下、20mlシュレンク容器にo-ジク ロベンゼン2.9gを添加し、凍結(液体窒素)-減 圧-窒素置換-融解から成るサイクルを3回繰り 返すことで溶存酸素を除去した。そこへペン タセン(東京化成工業製)2.5mgを添加し、120℃ 加熱し溶解させると赤紫色溶液となった。 にこのシュレンク容器の上部の栓を開け、1 間、外気に接触させることで空気を導入し さらに120℃で撹拌した。ガスクロマトグラ ィー及びガスクロマトグラフィー-マススペ クトル(GCMS)分析から、6,13-ペンタセンキノン 生成していることがわかった。
 さらにこの溶液を120℃、1時間、撹拌下で空 気と接触させると溶液の色が黄に変化してい た。ガスクロマトグラフィー分析から、6,13- ンタセンキノンの生成が増加していること わかった。
 したがって、溶液の色の変化及び6,13-ペン センキノンが生成していることから、酸化 進行しており、耐酸化性に劣るものであっ 。

 本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照 て説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱 ることなく様々な変更や修正を加えること できることは当業者にとって明らかである
 本出願は、2006年8月28日出願の日本特許出願 (特願2006-231082)に基づくものであり、その内 はここに参照として取り込まれる。

 本発明によれば、優れた耐酸化性を有し 塗布法による有機半導体活性相形成が可能 、ヘテロアセン誘導体及びその用途を提供 ることができる。更に、該ヘテロアセン誘 体の前駆化合物であるテトラハロターフェ ル誘導体及びその製造方法をも提供するこ ができる。