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Patent Searching and Data


Title:
HIGH-FREQUENCY BOOSTING TRANSFORMER FOR FLUORESCENT TUBE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/129714
Kind Code:
A1
Abstract:
[PROBLEMS] To provide a high-frequency boosting transformer for fluorescent tubes for operating a plurality of parallelly arranged fluorescent tubes used as a backlight for a liquid crystal display panel. [MEANS FOR SOLVING PROBLEMS] The high-frequency booster transformer (13) for fluorescent tubes is characterized in that a primary coil (21) for input and secondary coils (22) for output are wound on a single main magnetic circuit loop, and magnetic bodies (26, 27, 28) for branching are fitted to the respective secondary coils (22) in order to parallelly operate the fluorescent tubes (40) which vary in discharge-starting voltage and further to absorb the voltage difference between the discharge-starting voltage and operating voltage. A branched magnetic flux inductance generated in series equivalently in each output by addition of the magnetic bodies (26, 27, 28) absorbs the difference between the discharge-starting voltage and the operating voltage, and realizes parallel operation of a large number of fluorescent tubes and reduction of current variance among respective outputs by a simple constitution.

Inventors:
WATANABE SHIGETOSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/072367
Publication Date:
October 30, 2008
Filing Date:
November 19, 2007
Export Citation:
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Assignee:
WATANABE SHIGETOSHI (JP)
International Classes:
H05B41/24; H01F38/08
Foreign References:
JPS5820498U1983-02-08
JPH10208949A1998-08-07
JPH10233325A1998-09-02
JP2006049470A2006-02-16
JP2006324632A2006-11-30
Attorney, Agent or Firm:
IZUMI, Kazuto (Shimo-cho Omiya-ku, Saitama-sh, Saitama 44, JP)
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Claims:
 一次コイルが巻かれた一次側磁性体と、複数の二次コイルが巻かれた二次側磁性体と、
前記二次コイルの一部を覆い、その両端は前記二次側磁性体に接合するように形成される分流用磁性体とから構成され、前記一次側磁性体と前記二次側磁性体によって閉磁束磁気回路を形成し、前記分流用磁性体によって前記二次側磁性体を通る磁束を分流することを特徴とする蛍光管用高周波昇圧トランス。
 前記二次側磁性体はコの字型に形成され、その両端は前記一次側磁性体に接合するように形成されることを特徴とする請求項1に記載の蛍光管用高周波昇圧トランス。
 前記二次側磁性体は、棒状に形成される2つの二次側磁性体と、棒状に形成された閉磁路形成用磁性体から構成され、前記各二次側磁性体の一端は前記一次側磁性体に接合し、前記閉磁路形成用磁性体はその両端が前記二次側磁性体の各他端に接合することを特徴とする請求項1に記載の蛍光管用高周波昇圧トランス。
 二次コイルが巻かれた前記二次側磁性体と、前記二次コイルの一部を覆う分流用磁性体とがその断面がコの字型の磁性体として一体化して形成され、前記一次側磁性体、前記コの字型磁性体の前記二次側磁性体部分および閉磁路形成用磁性体によって閉磁束磁気回路を形成し、前記コの字型磁性体の分流用磁性体部分によって前記二次側磁性体部分を通る磁束を分流することを特徴とする請求項3に記載の蛍光管用高周波昇圧トランス。
 二次コイルが巻かれた前記二次側磁性体と、前記二次コイルの一部を覆う分流用磁性体とがその断面がE字型の磁性体として一体化して形成され、前記E字型磁性体の両端の支路を二次側磁性体とし、前記E字型磁性体の中央の支路を分流用磁性体とし、前記一次側磁性体、前記E字型磁性体の前記二次側磁性体部分および閉磁路形成用磁性体によって閉磁束磁気回路を形成し、前記E字型磁性体の中央の支路の分流用磁性体部分によって前記二次側磁性体部分を通る磁束を分流することを特徴とする請求項3に記載の蛍光管用高周波昇圧トランス。
 前記一次コイルまたは二次コイルはボビンに巻かれ、そのボビンは前記一次側磁性体および前記二次側磁性体にそれぞれ嵌合されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の蛍光管用高周波昇圧トランス。
 
Description:
蛍光管用高周波昇圧トランス

 この発明は液晶表示パネルのバックライ として用いられる並列配置された複数の蛍 管を点灯させるための蛍光管用高周波昇圧 ランスに関する。

 最近の大画面液晶表示パネルでは、バッ ライト用として多数の蛍光管がパネル背面 並列配置されている。これらの蛍光管を高 波、高電圧で点灯するための蛍光管用高周 昇圧トランスも複数個必要とされ、実装面 の増加、信頼性の低下、並列配置された蛍 管の電流バラツキによる輝度ムラの発生、 るいは電流バラツキを低減するためにバラ ス回路などを付け加えることによる点灯回 の複雑化などの問題を抱えている。

 液晶表示パネルのバックライト用として いられる蛍光管を放電、点灯させるために 、通常1500Vrmsから3000Vrmsの高周波の高電圧を 印加し放電状態に持ち込む必要がある。蛍光 管は放電開始後、管の電圧が放電開始電圧の 1/2から1/3に低下し点灯状態に入る。複数の蛍 光管を並列に接続し点灯させる場合、印加電 圧を徐々に上げていくと、それぞれの蛍光管 の放電開始電圧にバラツキがあるため、並列 接続された複数の蛍光管のうち最も放電開始 電圧が低い蛍光管が放電を開始し、点灯状態 に入る。そのとき、並列接続された複数の蛍 光管の接続点の電圧は、すでに点灯状態にあ る蛍光管の点灯電圧まで低下しているために 、残りの蛍光管は放電を開始できず、点灯状 態に入ることができない。すなわち、並列に 接続された蛍光管の点灯においては、点灯電 圧が一番低い蛍光管のみが点灯し、残りの蛍 光管は点灯できないという現象が生じる。

 先ず、液晶表示パネルのバックライト蛍 管の並列点灯用に用いられる蛍光管用高周 昇圧トランスの概要について述べる。図10 従来の複数蛍光管点灯回路の一例を示す図 ある。図10において、直流入力電圧11Dを高周 波、高電圧に変換するインバータ回路12に印 し、インバータ回路12の2次側の交流出力を 光管用高周波昇圧トランス13の一次側巻線21 に印加し、蛍光管用高周波昇圧トランス13の2 次側巻線22の出力電圧をインピーダンス14を して複数の蛍光管40に印加する。以下に、こ の従来の複数蛍光管点灯回路について詳細に 説明する。

(1)電流制限インピーダンス
 蛍光管の電流電圧特性の一例を図11に示す 図11において、蛍光管40に印加される電圧を 々に上げてゆくと、放電開始電圧V M を超えたところで蛍光管が放電状態となり、 電源との間に入った制限抵抗による負荷直線 との交点Pを動作点として点灯状態となる。 の放電開始電圧V M と点灯電圧V 0 の電圧差を吸収するために、蛍光管と電源の 間に電流制限用インピーダンスを挿入する必 要がある。この電流制限用インピーダンスに は、電力損失を避けるため、通常、コンデン サあるいはインダクタなどのリアクタンス素 子が用いられる。複数蛍光管点灯回路として は、リアクタンス素子としてコンデンサを用 いたバラストコンデンサ方式と、リアクタン ス素子として蛍光管用高周波昇圧トランスの 一次コイル、二次コイル間の漏れ磁束を利用 して、等価的に二次コイル出力に直列に現れ る漏洩磁束インダクタンスを用いた漏洩磁束 インダクタンス方式とがある。

(2)放電開始電圧のバラツキ
 蛍光管の放電開始電圧は管ごとにバラツキ あり、複数の蛍光管を並列に接続し電流制 インピーダンスを共通にして電圧を徐々に げて行くと、先ず放電開始電圧V M の最も低い蛍光管が点灯する。そのときに蛍 光管の並列接続点の電圧は点灯電圧V 0 まで低下するため、他の蛍光管は点灯状態に 入ることが出来ない。従って、蛍光管の並列 点灯のためには、図10に示すように、それぞ の蛍光管ごとに電流制限インピーダンスを れる必要がある。

(3)並列配置された蛍光管の点灯電流バラツキ
 並列配置された蛍光管ごとに電流のバラツ があると、バックライトとして明暗の輝度 ラが生じるため、管に流れる電流バラツキ 極力抑えなければならない。

 以下に、現在、主に用いられている液晶 示パネルのバックライト用蛍光管の並列点 方式であるバラストコンデンサ方式および 洩磁束インダクタンス方式について説明し れらの問題に触れる。

 図12は、並列点灯用バラストコンデンサ方 の基本回路を示す図である。図12に示すよう に、この並列点灯用バラストコンデンサ方式 は、直流入力電圧11Dを高周波、高電圧に変換 するインバータ回路12、蛍光管用高周波昇圧 ランス13、複数の蛍光管40、および蛍光管用 高周波昇圧トランス13と各蛍光管40間に電流 限素子として挿入されたバラストコンデン 15から構成される。蛍光管用高周波昇圧トラ ンス13の出力電圧は蛍光管の放電開始電圧の ラツキの最大値よりも高い電圧に設定され 。蛍光管の点灯状態における等価抵抗をRと すると、インバータ回路の出力正弦波電圧の 周波数をf、コンデンサ容量をC、蛍光管用高 波昇圧トランスの出力電圧をVoとして蛍光 に流れる電流Iは
    I=2πf・C・Vo/√{(2πf・C・R) 2 +1}
で与えられる。

 バラストコンデンサ容量15と蛍光管電流Iの 係をf=50KHz,R=50Kω、
Vo=2000Vとして計算した結果を図13に示す。バ ストコンデンサとして用いられる高耐圧の ンデンサの容量バラツキは通常±10%あるため 、図13よりこの時の電流のバラツキとして約 10%が予測される。蛍光管の電力は電流の二 に比例するため、蛍光管電力バラツキとし は約±20%となり、バックライトに輝度ムラが 発生し実用上好ましくない。また、この方式 では蛍光管用高周波昇圧トランスの出力電圧 が、常に蛍光管の放電開始電圧よりも高い電 圧を出力しているため、放電開始後蛍光管用 高周波昇圧トランスの出力電圧が放電開始電 圧の1/2から1/3となる点灯電圧まで低下する漏 洩磁束インダクタンス方式、あるいは本発明 による方式と比較して、耐電圧確保のため蛍 光管用高周波昇圧トランスの小型化が難しい という問題もある。

 図14は、出力数がn個の場合の漏洩磁束イ ダクタンス方式を示す回路図である。図14 示すように、この漏洩磁束インダクタンス 式は、インバータ回路12、複数の二次コイル 22の出力を有する漏洩磁束型昇圧トランス13 および複数の蛍光管40から構成される。この とき等価的に二次コイルに直列に発生する漏 洩磁束インダクタンスを電流制限インピーダ ンスのリアクタンス素子として用いるもので ある。漏洩磁束インダクタンス方式には一次 コイルの発生する磁束が複数の二次コイルに 並列に供給される磁束並列結合型漏洩磁束イ ンダクタンス方式と、直列に供給される磁束 直列結合型漏洩磁束インダクタンス方式があ る。磁束並列結合型漏洩磁束インダクタンス 方式は従来より蛍光管用多出力高周波昇圧ト ランスとして使われているが、磁束直列結合 型漏洩磁束インダクタンス方式は複数接続さ れた蛍光管の起動点灯に問題があり、蛍光管 用多出力高周波昇圧トランスとしての実績は 無い。

 図15は、出力数2個の磁束並列結合型漏洩 束インダクタンス方式の蛍光管用高周波昇 トランスの構造例を示す図である。一次コ ル21に流れる電流I1により一次側磁性体23に 生する磁束φ1は漏洩磁束を還流させる磁束 流用磁性体24によりその一部が二次コイル22 と鎖交することなく一次側磁性体23に還流し 残りの磁束が複数の二次側磁性体25に流れ み、それぞれの二次側磁磁性体25(25a、25b)に かれた二次コイル22に、各磁性体に分流す 磁束に比例した誘導電圧を発生させる。

 図16は、出力数n個の磁束並列結合型漏洩磁 インダクタンス方式の等価磁気回路を示す である。この回路は、磁性体に流れる磁束 電流、磁気抵抗を電気抵抗とみなし、電気 路と同様に書き表したものである。図16でV1 は入力電圧、I1は入力電流で
正弦波の周波数をf、時間をtとして
    V1=Va・sin(2πf・t)
    I1=Ia・sin(2πf・t-π/2)
とする。V2a、V2b、・・・V2nは出力電圧、I2a、 I2b,・・・I2nは出力電流、N1は一次コイル21の き数、N2は二次コイル22の巻き数、Rはそれ れ出力回路の負荷抵抗、Vm1は一次側コイル 起磁力であり、
    Vm1=N1・I1
で与えられる。また、Vm2(Vm2a、Vm2b、…Vm2n)は 力コイルに出力電流が流れることによって 次側から一次側に向かう磁束を発生させる 磁力であり、
    Vm2=N2・I2
で与えられる。

 Rm2(Rm2a、Rm2b、…Rm2n)は二次側磁性体の各 力区間ごとの磁気抵抗、Rm3は磁束環流用磁 体の磁気抵抗、φ1はVm1によって発生される 束、φ2(φ2a、φ2b、…φ2n)は各Vm2によって発生 される磁束である。また、一次コイルが発生 する磁束φ1のうち二次側磁性体に流れ込む磁 束の割合を結合係数K1、逆に二次コイルの起 力Vm2が発生する磁束φ2のうち一次側磁性体 流れ込む磁束の割合を結合係数K2とする。

 このとき、負荷抵抗Rが接続されていない場 合の開放出力電圧Voを確保するために必要な 力電圧のピーク値Va、入力電流のピーク値Ia 、磁気飽和を起こさないための一次側磁性体 の断面積Sは、並列出力数をn個として以下の うになる。但し、Rm0は一次側コイルから見 全体の磁気抵抗、Bmは磁性体の飽和磁束密 とする。
    Va=N1・Vo/K1・N2
    Ia=Rm0・Va/2πf・N1 2
    S=Vo/2πf・K1・N2・Bm
上式において、N1=20(ターン)、N2=1500(ターン) Vo=2000V0-p、Rm0=2×10 6 (1/ヘンリー)、Rm2=1×10 6 (1/ヘンリー)、Rm3=10×10 6 (1/ヘンリー)、f=50KHz、Bm=0.3(テスラ)として計 した出力数nと入力電圧のピーク値Vaの関係 図17に示し、出力数nと入力電流のピーク値Ia の関係を図18に示し、出力数nと所要断面積S 関係を図19に示す。

 二次側の開放出力電圧Voを確保するためひ つの二次コイル出力に要する磁束は
    Vo/2πf・N2
であり、出力数nの磁束並列結合型多出力方 ではこれのn倍を、一次側から二次側への結 係数K1で除した磁束量を一次側に必要とし 一次側磁性体に大きな磁束が集中すること なる。このため図17のように入力電圧の増加 、および図18のように一次コイルの電流の増 、あるいは図19のような一次側磁性体断面 の増加となり、結果的に電流の二乗に比例 る一次コイルの巻き線抵抗による導体損失 増加、磁束密度のほぼ二乗に比例する磁性 損失の増加、あるいは磁気飽和を抑えるた に磁性体の断面積の拡大による形状の大型 などの致命的な欠陥が発生する。

 上述のように、バックライト蛍光管並列 灯用の磁束並列結合型漏洩磁束インダクタ ス方式蛍光管用高周波昇圧トランスは一次 の磁束が増大するためにさまざまな不具合 があった。これを改善するために、従来よ 汎用多出力のトランスとして用いられ、出 数が増えても磁束が一次側に集中しない特 を有する磁束直列結合型の漏洩磁束インダ タンス方式を、蛍光管用高周波昇圧トラン として応用する上での問題点について検討 る。

 図20に出力数がn個の場合の磁束直列結合型 漏洩磁束インダクタンス方式蛍光管用高周 昇圧トランスの構成例を示す。図20におい 、入力電圧V1により一次コイル21に流れる電 I1によって一次側磁性体23に磁束φ1が発生す る。この磁束φ1が磁束還流用磁性体24に流れ 漏洩磁束インダクタンスを発生させるため の一部(1-K)・φ1が一次側に還流し、磁束K・ 1が二次側磁性体25に流入する。ここで、Kは 次コイルと二次コイルの間の結合係数であ 。磁束K・φ1は、直列に巻かれた第1から第n での二次コイル22(22a、22b、・・22n)に結合し 、それぞれの二次コイルの出力端に出力電圧 V2(V2a、V2b、・・V2n)を発生する。出力端子に 荷抵抗が接続されていない無負荷時の各出 電圧V2のピーク値Voは、一次コイルの巻き数 N1、二次コイルの巻き数をN2とすると、
    Vo=K・N2・V1/N1
となる。

 また、第1の二次コイル22aの出力端子にのみ 負荷抵抗Rが接続されている時は、接続され 負荷抵抗Rに電流I2aが流れ、この電流が第1の 二次コイルに流れることで一次コイル21から 磁束K・φ1と逆の方向に磁束φ2を発生させる 。この逆方向の磁束φ2は磁束還流用磁性体24 より(1-K)・φ2が二次側に還流し、残りのK・ 2が一次側磁性体に流れ込み、一次側磁性体 束をφ1からφ1-K・φ2に減じる方向に動く。 のとき、磁束φと巻き数Nのコイル電圧Vとの 本的な関係式
    φ=(1/N)∫V・dt
より、NとVが一定であればφも常に一定とな ため、無負荷時の一次側磁性体磁束
φ10と上記負荷時の一次側磁性体磁束φ1-K・φ2 は等しく
    φ10=φ1-K・φ2=(1/N1)∫V1・dt
の関係が保たれる。

 従って、
    φ1=φ10+K・φ2
となり、無負荷時よりの増加分K・φ2は一次 イルに流れる電流I1が増加ことにより補われ る。この増加分K・φ2は磁束還流用磁性体で(1 -K)・K・φ2が一次側に還流し、残りのK 2 ・φ2が二次側に流入する。この結果、二次側 磁性体の磁束は負荷が接続されていない初期 状態に対し(1-K 2 )・φ2だけ減少する。この減少は出力端子に 荷抵抗が接続されていない第2以降の二次コ ルでも同じであるから、無負荷出力端子の 放出力電圧も減少する。

 一般的にn個の出力端子に負荷抵抗Rが接続 れたときの出力電圧のピーク値Voは、
    Vo=K・N2・R・Va/n・L2R・N1・√{(R/n・L2R) 2  + (2πf) 2 }
となる。ここで、周波数f、時間tとしてV1=Va sin(2πft)、二次側の漏洩磁束インダクタンス L2Rとする。図21に、Va=30V、f=50KHz,N1=20(ターン )、N2=1500(ターン)、K=0.75、R=50Kω、L2R=225mHとし とき、上式より負荷抵抗が接続された出力 nと出力電圧のピーク値Voの関係を計算した 果を示す。図21より全ての負荷が開放状態 とき1700Vある出力電圧が、ひとつの出力に負 荷が接続されると1000Vまで低下することが分 。

 一方、近年、図22に示すような2つの側脚部 111,112の間に中央脚部分113を配置し、かつ、 これら3つの脚部分を2つの連結部分115で挟ん 磁気回路を形成するコア部101と、一方の側 部分112に設けられた1次巻線102と、中央脚部 分113に設けられた2次巻線103とを備え、各側 部分111、112にそれぞれギャップ111A,112Aが形 され、1次巻線102の一方の端面112Aが一方の側 脚部分の端に位置するように、かつ、中央脚 部分113の長さ方向に対して、1次巻線102が2次 線103と向かい合うように、1次巻線102および 2次巻線103が配置された構造の漏洩磁束イン クタンス方式のトランスが開示されている( 許文献1)。この漏洩磁束インダクタンス方 のトランスによれば、コア部101に対して、1 巻線102と2次巻線103とを配置して、1次巻線10 2と2次巻線103との適切な漏洩磁束インダクタ スを得るための位置関係にした結果、バラ トコンデンサを不要にし、かつ、良好なイ バータ特性を得ることができるものである

特開2004-111417号公報

 しかしながら、以上のバラストコンデン 方式および漏洩磁束インダクタンス方式に それぞれ次のような問題がある。先ず、コ デンサが電流制限のリアクタンス素子とし ひとつの出力端子と複数の蛍光管の間に入 バラストコンデンサ方式では、蛍光管用高 波昇圧トランスの出力端子の電圧はバラツ のある複数の蛍光管の放電開始電圧よりも い電圧に設定され、各蛍光管が点灯した後 常時この電圧を出力している。一般的に、 光管の放電開始電圧は点灯電圧の2倍ないし 3倍高く、蛍光管用高周波昇圧トランスは常 この高電圧を出力することとなり、耐電圧 保のため蛍光管用高周波昇圧トランスの小 化のうえで大きな制約を受けるとともに、 電圧による絶縁破壊の確率も高くなるため 頼性確保の点でも問題が多い。

 また、各蛍光管に流れる電流は出力端子 圧をコンデンサと蛍光管の等価抵抗の直列 ンピーダンスで除算して求められるが、こ 用途に用いられる高耐圧コンデンサの容量 は通常±10%の誤差があるため、電流値のバ ツキも大きくなり並列配置された蛍光管バ クライトの輝度ムラが問題となる。

 次に、電流制限要素として漏洩磁束型ト ンスによる漏洩磁束インダクタンスを用い 漏洩磁束インダクタンス方式では、一次側 イルに流れる電流により一次側磁性体に発 した磁束は、複数の二次側コイルが巻き回 れ、一次側から流れ込む磁束の並列分流路 形成する複数の二次側磁性体に分流するが 二次側コイルに流れる出力電流値のバラツ を抑えるために、それぞれの二次側磁性体 磁気抵抗を等しくし、分流する磁束量を均 にしなければならない。このため、磁束の れ難さの指標であり、磁性体の磁路長/断面 積に比例する磁気抵抗を各出力磁気回路ごと に等しくする必要がある。平面形状が長方形 で薄型に構成される場合の多い本用途の蛍光 管用高周波昇圧トランスでは、それぞれの磁 気抵抗を等しくして、多数の出力磁気回路を 設けることは形状的に難しく、この方法では 出力数の上限は4個程度に制限され、大型液 表示パネルで通常必要とされる10本ないし30 の蛍光管を点灯させるには多くの蛍光管用 周波昇圧トランスを必要とする。

 また、磁束並列結合型漏洩磁束インダク ンス方式では二次コイルが巻かれた各出力 気回路に流れる磁束の総和が一次コイルが かれた一次側磁性体に集中するため、出力 の増加に伴い一次コイルの駆動電圧を高く 発生磁束を増加させる必要がある。

 さらに、大きい磁束が流れる一次側磁性 は磁気飽和対策として磁気回路断面積を大 くしなければならず、結果として蛍光管用 周波昇圧トランスの形状が大きくなる、あ いは磁束密度のほぼ二乗に比例する磁性体 失が極端に増加するという欠点もある。

 また、磁束直列結合型漏洩磁束インダク ンス方式では、放電開始電圧にバラツキの る蛍光管を蛍光管用高周波昇圧トランスの 出力端子に接続し点灯する場合、最も放電 始電圧の低い蛍光管が点灯状態に入ると出 電圧が大きく低下するために、他の蛍光管 放電開始電圧を超えることが出来ず、点灯 態に入れないという致命的な欠陥をもって る。

 本発明は、上述の課題に鑑み、簡易な構 で多数本の蛍光管を並列に点灯することが き、出力電流のバラツキが少ない、点灯効 の高い、さらに軽量・小型形状などの優れ 特性をもつ蛍光管用高周波昇圧トランスを 供することを目的とする。

 以上の課題を解決するために、第1の発明 の蛍光管用高周波昇圧トランスは、一次コイ ルが巻かれた一次側磁性体と、複数の二次コ イルが巻かれた二次側磁性体と、二次コイル の一部を覆い、その両端は二次側磁性体に接 合するように形成される分流用磁性体とから 構成され、一次側磁性体と二次側磁性体によ って閉磁束磁気回路を形成し、分流用磁性体 によって二次側磁性体を通る磁束を分流する ことを特徴とする。

 第2の発明は、第1の発明において、二次 磁性体はコの字型に形成され、その両端は 次側磁性体に接合するように形成されるこ を特徴とする。

 第3の発明は、第1の発明において、二次 磁性体は、棒状に形成される2つの二次側磁 体と、棒状に形成された閉磁路形成用磁性 から構成され、二次側磁性体の一端は一次 磁性体に接合し、閉磁路形成用磁性体はそ 両端が二次側磁性体の各他端に接合するこ を特徴とする。

 第4の発明は、第3の発明において、二次 イルが巻かれた二次側磁性体と二次コイル 一部を覆う分流用磁性体とがその断面をコ 字型磁性体として一体化して形成され、一 側磁性体、コの字型磁性体の二次側磁性体 分および閉磁路形成用磁性体によって閉磁 磁気回路を形成し、コの字型磁性体の分流 磁性体部分によって二次側磁性体部分を通 磁束を分流することを特徴とする。

 第5の発明は、第3の発明において、二次 イルが巻かれた二次側磁性体と、二次コイ の一部を覆う分流用磁性体とがその断面がE 型の磁性体として一体化して形成され、E字 型磁性体の両端の支路を二次側磁性体とし、 E字型磁性体の中央の支路を分流用磁性体と 、一次側磁性体、E字型磁性体の二次側磁性 部分および閉磁路形成用磁性体によって閉 束磁気回路を形成し、E字型磁性体の中央の 支路の分流用磁性体部分によって二次側磁性 体部分を通る磁束を分流することを特徴とす る。

  第6の発明は、第1~第5の発明において、 次コイルまたは二次コイルはボビンに巻か 、一次コイルまたは二次コイルが巻かれた ビンはそれぞれ一次側磁性体および二次側 性体に嵌合されることを特徴とする。

 第1の発明によれば、蛍光管用高周波昇圧 トランスは、一次コイルが巻かれた一次側磁 性体と、複数の二次コイルが巻かれた二次側 磁性体と、二次コイルの一部を覆い、その両 端は二次側磁性体に接合するように形成され る分流用磁性体とから構成され、一次側磁性 体と二次側磁性体によって閉磁束磁気回路を 形成し、分流用磁性体によって二次側磁性体 を通る磁束を分流するように構成されるので 、並列に接続された蛍光管の点灯において、 点灯電圧が一番低い蛍光管が点灯した後でも 、残りの蛍光管を確実に点灯できる。

 第2の発明によれば、二次側磁性体はコの 字型に形成され、その両端は一次側磁性体に 接合するように形成されるので、簡易な構造 で小型、高効率、高電流精度な蛍光管用高周 波昇圧トランスを提供できる。

 第3の発明によれば、二次側磁性体は、棒 状に形成される2つの二次側磁性体と、棒状 形成された閉磁路形成用磁性体から構成さ 、二次側磁性体の一端は一次側磁性体に接 し、閉磁路形成用磁性体はその両端が二次 磁性体の各他端に接合するので、簡易な構 で小型、高効率、高電流精度な蛍光管用高 波昇圧トランスを提供できる。

 第4の発明によれば、二次コイルが巻かれ た二次側磁性体と二次コイルの一部を覆う分 流用磁性体とがコの字型磁性体として一体化 して形成され、一次側磁性体、コの字型磁性 体の二次側磁性体部分および閉磁路形成用磁 性体によって閉磁束磁気回路を形成し、コの 字型磁性体の分流用磁性体部分によって二次 側磁性体部分を通る磁束が分流されるので、 簡易な構造で、組み立てが容易で、小型、高 効率、高電流精度な蛍光管用高周波昇圧トラ ンスを提供できる。

 第5の発明によれば、二次コイルが巻かれ た二次側磁性体と、二次コイルの一部を覆う 分流用磁性体とがその断面がE字型の磁性体 して一体化して形成され、E字型磁性体の両 の支路を二次側磁性体とし、E字型磁性体の 中央の支路を分流用磁性体とし、一次側磁性 体、E字型磁性体の二次側磁性体部分および 磁路形成用磁性体によって閉磁束磁気回路 形成し、E字型磁性体の中央の支路の分流用 性体部分によって二次側磁性体部分を通る 束が分流されるので、簡易な構造で、組み てが容易で、小型、高効率、高電流精度な 光管用高周波昇圧トランスを提供できる。

  第6の発明によれば、第1~第5の発明にお て、一次コイルまたは二次コイルはボビン 巻かれ、一次コイルまたは二次コイルが巻 れたボビンはそれぞれ一次側磁性体および 次側磁性体に嵌合されるので、簡易な構造 、組み立てが容易で、小型の蛍光管用高周 昇圧トランスを提供できる。

第1の実施形態.
図1は、本発明の蛍光管用高周波昇圧トラン 13において、出力数がn個の場合の模式図で る。本発明は、従来の磁束直列結合型漏洩 束インダクタンス方式昇圧出力トランスの 徴を活かしながら上記欠陥を改善するため 、図1に示すように、一次コイル21と、二次 イル22(22a、22b、… 22n)と、一次コイル21が巻 かれた一次側磁性体23と、二次コイル22が巻 れた二次側磁性体25と、二次コイル22の一部 覆い、その先端が二次側磁性体25に接合す ように構成される分流用磁性体26(26a、26b、  26n)から構成される。

 図1において、一次コイルに流れる電流I1に り一次側磁性体23に発生した磁束φ1は第1の 次コイル22aが巻かれた二次側磁性体25と分 用磁性体26aの接合点P1で、接合点P1とP2の間 二次側磁性体の磁気抵抗Rm2と対応する分流 磁性体26aの磁気抵抗Rm3により、二次側磁性 にK1・φ1の磁束が、また分流用磁性体には(1- K1)・φ1が流れる。なお、Rm2、Rm3については、 図2に記載されている。
ここで、磁束分流係数K1は、
    K1=Rm3/(Rm2+Rm3)
の式で表される。

 第1の二次コイル22aの二次側磁性体25を流 る磁束K1・φ1と上側接合点P1で分流用磁性体 26aに分流した磁束(1-K1)・φ1は下側接合点P2で び合流し、φ1となって第2の二次コイル22bの 接合点P3に流入する。このようにn個の二次コ イルがあればそれぞれの二次側磁性体と分流 用磁性体の接合点で分流と合流を繰り返し、 一次側磁性体に還流する。

 図2は図1の蛍光管用高周波昇圧トランス 磁気回路図で表現したものである。図1にお て、一次側磁性体の磁気抵抗をRm1、二次側 性体のP1からP2までの一区間の磁気抵抗をRm2 、分流用磁性体の同じく一区間の磁気抵抗を Rm3、入力電圧をV1(=Va・sin(2πft))、Vaを入力電 の最大値、fを入力電圧の周波数、一次コイ に流れる電流をI1、一次コイルの巻き数をN1 、一次コイルが発生する磁束をφ1、二次側磁 性体と分流用磁性体の各接合点での磁束分流 係数をK1、二次コイルの巻き数をN2、出力側 荷抵抗をR、二次コイルの出力電流をI2、I2に より二次コイル直下の二次側磁性体に発生す る逆方向の起磁力Vm2、これにより発生する磁 束をφ2とする。

 先ず、二次コイルの出力端子が全て開放の 合、それぞれの二次コイルは二次側磁性体 流れる磁束K1・φ1と鎖交するため出力端子 圧V2は
    V2=N2・d(K1・φ1)/dt
    V1=N1・d(φ1)/dt
の関係式より
    V2=K1・N2・Va・sin(2πf・t)/N1
となる。

 また、この関係より二次コイル出力端子に 光管放電開始に必要な出力電圧V2を出力す 時に必要な一次コイルの発生磁束φ1は、V2=Vo ・sin(2πf・t)として上式をφ1について解いて
    φ1=Vo/2πf・K1・N2
で与えられる。このように本発明による多出 力蛍光管用高周波昇圧トランスの場合、二次 コイルと磁束が直列に結合するため、n個の 次コイル全てがVoを出力しても、一次側の磁 束は1個の場合と同じで良いことになる。

 次に、第1の二次コイル22aの出力端子のみ負 荷抵抗Rが接続されたとき、第1の二次コイル2 2aの出力電圧V2aと開放状態にある第2の二次コ イル22bの出力電圧V2bを計算する。先ず、第1 二次コイル22aに電流I2aが流れこの電流によ 第1の二次コイル22a直下の二次側磁性体には 次側より流入する磁束K1・φ1と逆向きの起 力N2・I2が発生し、この起磁力発生地点から た全磁気抵抗をRmsとして、この起磁力によ 磁束φ2
    φ2=N2・I2a/Rms
がK1・φ1を減ずる方向に生ずる。φ2は第1の二 次コイル22aの二次側磁性体と分流用磁性体の 接合点P1で、P1点での磁束分流比をK2として一 次側磁性体にK2・φ2、分流用磁性体に(1-K2)・ 2に分流する。

 K2は分流用磁性体の磁気抵抗Rm3と、一次側 性体の磁気抵抗Rm1と第2から第nまでの二次コ イル22の二次側磁性体の磁気抵抗Rm2、同じく 流用磁性体の磁気抵抗Rm3の並列磁気抵抗の の磁気抵抗をRmpとして次式で与えられる。
K2=Rm3/(Rm1+Rmp+Rm3)
このように、一次コイルの発生する磁束が分 流用磁性体にて分流しK1・φ1が二次コイルと 交し、また同じように二次コイルの発生す 磁束φ2のうちK2・φ2のみが一次コイル21と鎖 交することにより等価的に各二次コイルの出 力に直列にインダクタンスが入ることとなる 。このインダクタンスは各出力ごとに磁束を 分流することにより生ずるものであり、ここ では分流磁束インダクタンスLbとする。

 第1の二次コイルの出力電圧V2aはV1を
    V1=Va・sin(2πf・t)
として、一次側及び二次側の関係式
    V1=N1・d(φ1-K2・φ2)/dt
    V2a=N2・d(K1・φ1-φ2)/dt
    I2a=V2a/R
    φ2=N2・I2a/Rms=(N2・N2/R・Rms)・d(K1・φ1-φ2) /dt
を解いて、V2aのピーク値Voaは次式で与えられ る。
    Voa=K1・N2・R・Va/N1・Lb・√{(R/Lb) 2  +(2πf) 2 }

 次に、出力端子が開放されている第2の二次 コイル22bの出力電圧V2bを計算する。第2の二 コイル22直下の二次側磁性体の磁束は一次コ イルよりの磁束がK1・φ1、また第1の二次コイ ルが発生する逆方向の磁束φ2のうち、一次側 磁性体23に分流する成分K2・φ2が一次側磁性 23から第nの出力区間・・・・・第3の出力区 をまわり第2の二次コイル22bの二次側磁性体 25と分流用磁性体26の下側接合点P4まで一周し てくるが、P4で各出力区間の二次側磁性体と 流用磁性体の磁束分流比K1を乗じた磁束が 次側磁性体に分流するため、K1・K2・φ2が第2 の二次コイル直下の二次側磁性体に、一次コ イルからの磁束K1・φ1を減ずる方向で流入す 。従って、第2の二次コイル22bの出力電圧V2b は
    V2b=N2・d(K1・φ1-K1・K2・φ2)/dt
であるから、Voaの計算で求めたφ1、φ2を上式 に代入すると、V2bのピーク値Vobは
    Vob=K1・N2・Va/N1
となる。

 これは、全ての出力が開放状態の時の式 同じとなるため、複数の蛍光管を負荷とし ときにどれか一本の蛍光管が点灯状態にな ても、まだ放電開始していない蛍光管には 電開始電圧を超える電圧が印加されること なり、結果として全ての蛍光管が点灯状態 入ることが出来ることを示している。

 次に、全ての二次コイル22の出力端子に負 抵抗Rが負荷されたときの二次側の出力電圧V 2を計算する。先ず第1の二次コイル22aに電流I 2aが流れこの電流により第1の二次コイル22a直 下の二次側磁性体には一次側より流入する磁 束K1・φ1と逆向きの起磁力N2・I2aが発生し、 生地点から見た全磁気抵抗をRmsとして、こ 起磁力による磁束φ2は
    φ2=N2・I2/Rms
がK1・φ1を減じる方向に生ずる。φ2は第1の二 次コイル22aの二次側磁性体25と分流用磁性体2 6の接合点P1で、この磁束分流比をK2として入 側磁性体にK2・φ2、分流用磁性体に(1-K2)・φ 2が分流する。

 また、全ての出力の負荷抵抗R、及びK1,K2, N2が等しいとすると各出力の出力電圧V2、出 電流I2も全て等しく、また第2の二次コイル22 bに流れる電流により第2の二次コイル22b直下 二次側磁性体25に発生する磁束φ2は第1の二 コイルの発生する磁束φ2と等しく、第2の二 次コイル22bの二次側磁性体25と分流用磁性体2 6bとの上側の接合点P3で、K2・φ2が第1の二次 イル側に流れ、(1-K2)・φ2が第2の二次コイル 分流用磁性体に分流する。第1の二次コイル 部に流入した磁束K2・φ2は第1の二次コイルの 二次側磁性体と分流用磁性体の下側接合点P2 二次側磁性体へのK1・K2・φ2と分流用磁性体 への(1-K1)・K2・φ2に分流するが、同じく上側 接合点P1で再び合流しK2・φ2として一次側磁 性体に流れ込む。

 このように第2の二次コイル22a~第nの二次コ ル22nの発生する磁束は
    (n-1)・K1・K2・φ2
が第1の二次コイル22a直下の二次側磁性体25に 一次コイル21よりの磁束K1φ1を減じる方向で れ込むこととなるため、第1の二次コイル22a 鎖交する磁束は
    K1・φ1-φ2-(n-1)・K1・K2・φ2
となる。

 従って、この場合の出力電圧V2、出力電流I2 はV1を上述の正弦波電圧として、一次側およ 二次側の関係式
    V1=N1・d(φ1-n・K2・φ2)/dt
    V2=N2・d(K1・φ1-φ2-(n-1)・K1・K2・φ2)/dt
    I2=V2/R
    φ2=N2・I2/Rms 
      =(N2・N2/R・Rms)・d(K1・φ1-φ2+(n-1)・K1 K2・φ2)/dt
を解いて,それぞれのピーク値Vo、Ioは次式で えられる。
    Vo=K1・N2・R・Va/N1・Lb・√{(R/Lb) 2  + (2πf) 2 }
    Io=K1・N2・Va/N1・Lb・√{(R/Lb) 2  + (2πf) 2 }

 上式の中のLbは先に述べたように、二次 磁性体25の磁束を分流用磁性体26で分流する とにより、等価的に二次コイル22の出力に 列に発生する分流磁束インダクタンスであ 。この結果より、本方式の蛍光管用高周波 圧トランスは点灯時の電圧、電流が出力数n よらず一定であることが分る。

 以上の検討結果より、本発明による蛍光管 高周波昇圧トランスは従来問題となってい 以下の点を改善することを特徴とするもの ある。
 特徴(1)
出力数nを増やしても一次側磁性体の磁束が 大しない。
先に述べたように、n個の出力において磁束 列結合型漏洩磁束インダクタンス方式蛍光 用高周波昇圧トランスでは一次側磁性体の 束量が一個の場合のn倍に増大するのに対し 本発明の蛍光管用高周波昇圧トランスの場 は一個でも、n個でも同じ磁束量となり、多 出力の蛍光管用高周波昇圧トランスでも入力 電圧を一個の場合と同じに抑えることができ る。入力電圧が低いことは一次コイルの励磁 電流が少ないことであり、結果として、電流 の二乗に比例する一次コイルの導体損失を大 きく低減することができる。また、磁束密度 のほぼ二乗に比例する磁性体損失も大幅に改 善されるため高効率の蛍光管用高周波昇圧ト ランスを実現することができる。さらに、磁 性体の磁気飽和を防ぐために磁気断面積を拡 大する必要も無く、小型化・軽量化を実現す ることができる。

 特徴(2)
出力電圧、電流が出力数nに依存しない。
 従来より汎用トランスとして用いられてい 磁束直列結合型漏洩磁束インダクタンス方 高周波昇圧トランスではn個の出力のうち一 個でも点灯状態に入ると、その他の出力電圧 が極端に低下するため残りの蛍光管は点灯す ることが出来ないが、本発明の蛍光管用高周 波昇圧トランスでは分流用磁性体の働きによ り、個々の出力は他の出力の点灯、非点灯に 関係なく動作するため、簡素なトランス構造 でn=10を超える場合でも、並列配置され放電 始電圧にバラツキのある蛍光管でも点灯す ことができ、点灯装置の小型化・高信頼度 ・低価格化を実現することができるもので る。

 特徴(3)
それぞれの出力コイルに結合する磁束が共通 であるため出力電圧、出力電流のバラツキが 極端に少ない。コンデンサによりn個の出力 分岐する多出力バラストコンデンサ方式で コンデンサの容量値のバラツキにほぼ等し 出力電流値バラツキがあり、また磁束並列 合型漏洩磁束インダクタンス方式多出力蛍 管用高周波昇圧トランスでは一次コイルの 生する磁束がn個の二次側磁性体にそれぞれ 磁気抵抗の比率により分流するが、n=10個を 超える二次側磁性体の磁気抵抗の比率を限ら れた形状で効率よく抑えることは難しく、出 力電流のバラツキは大きいものとなる。本発 明による蛍光管用高周波昇圧トランスでは、 各出力が二次側磁性体を通る共通の磁束で決 まるため、出力電圧、出力電流のバラツキを 抑えることができるものである。

 図3は、本発明の第1の実施形態の蛍光管 高周波昇圧トランス13おける出力数4の場合 模式図である。この第1の実施形態において 、図3に示すように、一次側磁性体23とコの 型に形成された二次側磁性体25によって閉 束磁気回路が形成される。この第1の実施形 の蛍光管用高周波昇圧トランスでは、一次 磁性体23に一次コイル21が巻かれ、二次側磁 性体25に二次コイル22(22a、22b、22c、22d)が巻か れ、二次コイル22の一部を覆うように分流用 性体26(26a、26b、26c、26d)が取りつけられる。 分流用磁性体26はコの字形状に形成され、中 部は二次コイル22を覆い、端部は二次側磁 体25に接合する。一般に、一次コイル21およ 二次コイル22はそれぞれボビンに巻かれた 態で一次側磁性体23および二次側磁性体25に 合される。

 図4は、本発明の第1の実施形態の蛍光管 高周波昇圧トランス13の構造を示す斜視図で ある。図4において、コの字型の二次側磁性 25の端部は一次側磁性体23の両端に接合し閉 束磁気回路を形成している。一次コイル21 よび二次コイル22はそれぞれボビンに巻かれ た状態で一次側磁性体23および二次側磁性体2 5に嵌合されている。分流用磁性体26は、中央 部が二次コイル22の上から二次コイル22を覆 、その両端部は二次側磁性体25に接合して、 磁束分流回路を形成している。

 このように本発明による分流磁束インダ タンス方式による多出力の蛍光管用高周波 圧トランスでは並列配置され、かつ放電開 電圧にバラツキのある複数の蛍光管を効率 く点灯することが出来るとともに、負荷時 それぞれの出力電圧V2は二次側磁性体と分 用磁性体の磁束分流比K1、二次コイル/一次 イルの巻き数比N2/N1、分流磁束インダクタン スLb,負荷抵抗R、入力電圧の振幅Va、周波数f みにより決まり、出力数nには依存しない。 のことは、出力数nに上限のある磁束並列結 合型漏洩磁束インダクタンス方式多出力蛍光 管用高周波昇圧トランスと異なり、n=10を超 る蛍光管の並列駆動がひとつのトランスで 現でき、かつそれぞれの出力は一次側磁性 、二次側磁性体をループ状に回る共通の一 磁束で駆動されるため、出力電流のバラツ を極端に低減することができるものである

 また、一次側磁性体の磁束量が出力数nに 関係なく一定であるため、並列磁束結合型漏 洩磁束インダクタンス方式多出力蛍光管用高 周波昇圧トランスのようにnの増加とともに 次側磁性体の磁束量が増大することも無く 磁性体断面積が小さく出来るため小型・軽 の蛍光管用高周波昇圧トランス形状を実現 きる。さらに、磁束密度のほぼ二乗に比例 る磁性体損失も大幅に低減することが可能 あり、蛍光管の点灯駆動回路の点灯効率の 上にも寄与するものである。

第2の実施形態.
図5は、本発明の第2の実施形態の蛍光管用高 波昇圧トランス13おける出力数4の場合の模 図である。この第2の実施形態においては、 図5に示すように、一次側磁性体23と棒状の閉 磁路形成用磁性体29間に棒状の二次側磁性体2 5が挟まれ閉磁束磁気回路が形成される。こ 第2の実施形態の蛍光管用高周波昇圧トラン では、一次側磁性体23に一次コイル21が巻か れ、二次側磁性体25に二次コイル22(22a、22b、2 2c、22d)が巻かれ、閉磁路形成用磁性体29が2つ の二次側磁性体25に接合して閉磁束磁気回路 形成すると共に、二次コイル22の一部を覆 ように分流用磁性体26が取りつけられる。分 流用磁性体26(26a、26b、26c、26d)はコの字形状 形成され、中央部は二次コイル22を覆い、端 部は二次側磁性体25に接合する。一般に、一 コイル21および二次コイル22はそれぞれボビ ンに巻かれた状態で一次側磁性体23および二 側磁性体25に嵌合される。なお、図5におい 、閉磁路形成用磁性体29が二次側磁性体25と 分離して形成される以外は第1の実施形態と じである。

 図6は、本発明の第2の実施形態の蛍光管 高周波昇圧トランス13の構造を示す斜視図で ある。図6において、閉磁路形成用磁性体29が 二次側磁性体25と分離して形成される以外は 1の実施形態と同じであるので、詳細な説明 は省略する。

第3の実施形態.
図7は本発明の第3の実施形態の蛍光管用高周 昇圧トランス13の構造を示す模式図である この第3の実施形態においては、図7に示すよ うに、一次側磁性体23と閉磁路形成用磁性体2 9間に複数のコの字型の磁性体27(27a、27b、27c 27d)を挟んで閉磁束磁気回路を形成する。閉 束磁気回路は、一次側磁性体23、コの字型 磁性体の二次コイルが巻かれた複数の磁性 部分、閉磁路形成用磁性体29によって形成さ れる。コの字型の磁性体は、一方の支路は二 次コイルが巻かれる二次側磁性体として、ま た他方の支路は分流用磁性体として機能する 。コの字型の磁性体を複数個縦続接続するこ とによって、分流用磁性体は二次コイル22の 部を覆うようにすることができる。第3の実 施形態では、二次コイルが巻かれる磁性体を 個別に製造できるため、出力数に応じてコの 字型の磁性体27を柔軟に取りつけることがで る。また、各コの字型磁性体は小型のため 造価格が安価であるので、蛍光管用高周波 圧トランスのコスト低減を実現することが きる。

第4の実施形態.
図8は本発明の第4の実施形態の蛍光管用高周 昇圧トランス13の構造を示す模式図である この第4の実施形態においては、図8に示すよ うに、一次側磁性体23と閉磁路形成用磁性体2 9間に複数のE字型の磁性体28(28a、28b、28c、28d) を挟んで閉磁束磁気回路を形成する。閉磁束 磁気回路は、一次側磁性体23、E字型の磁性体 の二次コイルが巻かれた複数の磁性体部分、 閉磁路形成用磁性体29によって形成される。E 字型の磁性体は、上下の支路は二次コイルが 巻かれる二次側磁性体として、また中央の支 路は両端のふたつの二次側磁性体の共通の分 流用磁性体として機能する。E字型の磁性体 複数個縦続接続することによって、分流用 性体は二次コイル22の一部を覆うようにする ことができる。第4の実施形態では、ふたつ 二次コイルがひとつの分流用磁性体を共用 るため小型・軽量化が図れるとともに、二 コイルが巻かれる磁性体を個別に製造でき ため、出力数に応じてE字型の磁性体28を柔 に取りつけることができる。また、各E字型 性体は小型のため製造価格が安価であるの 、蛍光管用高周波昇圧トランスのコスト低 を実現することができる。

 図9は、大画面液晶表示パネル用バックラ イト蛍光管点灯インバータ回路用の多出力蛍 光管用高周波昇圧トランスの性能を各方式に ついて比較した一覧表である。図9に示すよ に、本発明による蛍光管用高周波昇圧トラ スは、多出力が得られ、起動特性も良く、 効率で、小型軽量で、信頼性が高くコスト 安価である等全ての項目で他の方式の蛍光 用高周波昇圧トランスよりも優れているこ が一目で分かる。

 本発明は、液晶表示パネルのバックライ として用いられる並列配置された複数の蛍 管を点灯させるための蛍光管用高周波昇圧 ランスとして利用することができる。

本発明の第1の実施形態の蛍光管用高周 波昇圧トランスおける出力数nの場合の模式 である。 本発明の第1の実施形態の蛍光管用高周 波昇圧トランスおける出力数nの蛍光管用高 波昇圧トランスの磁気回路図である。 本発明の第1の実施形態の蛍光管用高周 波昇圧トランスおける出力数4の場合の模式 である。 本発明の第1の実施形態の蛍光管用高周 波昇圧トランスの一例を示す斜視図である。 本発明の第2の実施形態の蛍光管用高周 波昇圧トランスおける出力数4の場合の模式 である。 本発明の第2の実施形態の蛍光管用高周 波昇圧トランスの一例を示す斜視図である。 本発明の第3の実施形態の蛍光管用高周 波昇圧トランスにおける出力数4の場合の模 図である。 本発明の第4の実施形態の蛍光管用高周 波昇圧トランスにおける出力数8の場合の模 図である。 本発明と従来の技術の複数蛍光管並列 灯用蛍光管用高周波昇圧トランスの各種性 比較表である。 従来の複数蛍光管点灯回路の一例を示 す図である。 蛍光管の電圧-電流特性を示す図であ 。 バラストコンデンサ方式による複数蛍 光管点灯回路の一例を示す図である。 バラストコンデンサ方式におけるバラ ストコンデンサ容量と蛍光管電流の関係を示 す図である。 漏洩磁束インダクタンス方式による複 数蛍光管点灯回路の一例を示す図である。 出力数2個の磁束並列結合型漏洩磁束 ンダクタンス方式の蛍光管用高周波昇圧ト ンスの構造を示す図である。 出力数n個の磁束並列結合型漏洩磁束 ンダクタンス方式の蛍光管用高周波昇圧ト ンスの磁気回路を示す図である。 磁束並列結合型漏洩磁束インダクタン ス方式蛍光管用高周波昇圧トランスの出力数 nと所要入力電圧の関係を示す図である。 磁束並列結合型漏洩磁束インダクタン ス方式蛍光管用高周波昇圧トランスの出力数 nと所要入力電流の関係を示す図である。 磁束並列結合型漏洩磁束インダクタン ス方式蛍光管用高周波昇圧トランスの出力数 nと所要一次側磁性体断面積の関係を示す図 ある。 磁束直列結合型漏洩磁束インダクタン ス方式の蛍光管用高周波昇圧トランスの模式 図である。 磁束直列結合型漏洩磁束インダクタン ス方式の蛍光管用高周波昇圧トランスの出力 数nと出力電圧の関係を示す図である。 従来の漏洩磁束インダクタンス方式の 蛍光管用高周波昇圧トランスを示す図である 。

符号の説明

  13 蛍光管用高周波昇圧トランス
  21一次コイル
  22、22a、22b、・・22n 二次コイル
  23 一次側磁性体
  25、25a、25b 二次側磁性体
  26、26a、26b、・・26n 分流用磁性体
  27、27a~27d 分流用磁性体
  28、28a~28h 分流用磁性体
  29 閉磁路形成用磁性体