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Patent Searching and Data


Title:
HIGH-RIGIDITY HIGH-DAMPING-CAPACITY CAST IRON
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/145039
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a high-rigidity high-damping-capacity cast iron containing 3-7% of Al, which is characterized in that the cast iron is obtained by being heated at 280-630˚C and then quenched after casting.

Inventors:
TAKAHASHI SAKAE (JP)
FUJIMOTO RYOUSUKE (JP)
SAKAMOTO NAOKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/058705
Publication Date:
December 03, 2009
Filing Date:
May 08, 2009
Export Citation:
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Assignee:
TOSHIBA MACHINE CO LTD (JP)
TAKAHASHI SAKAE (JP)
FUJIMOTO RYOUSUKE (JP)
SAKAMOTO NAOKI (JP)
International Classes:
C21D5/00; B22D27/20; C21D6/00; C22C37/00
Foreign References:
JPS63140064A1988-06-11
JP2001200330A2001-07-24
JP2002348634A2002-12-04
JPH01283341A1989-11-14
JPH0978179A1997-03-25
Other References:
NAOKI SAKAMOTO ET AL.: "Al o Tenka shita Henjo Kokuen Chutetsu no Young-ritsu to Taisu Gensuiritsu no Henka", DAI 150 KAI ZENKOKU KOEN TAIKAI KOEN GAIYOSHU, 1 May 2007 (2007-05-01), pages 46
RYOSUKE FUJIMOTO ET AL.: "Al o Tenka shita Henjo Kokuen Chutetsu no Soshiki to Shindo Gensui Kiko", DAI 150 KAI ZENKOKU KOEN TAIKAI KOEN GAIYOSHU, 1 May 2007 (2007-05-01), pages 47
Attorney, Agent or Firm:
SUZUYE, Takehiko et al. (JP)
Takehiko Suzue (JP)
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Claims:
Al:3~7%を含有した鋳鉄であり、鋳造後280~630℃で加熱し、さらに冷却処理して得られることを特徴とする高剛性高減衰能鋳鉄。
Al:3~7%と、Sn:0.03~0.20%を含有した鋳鉄であり、鋳造後280~630℃で加熱し、さらに冷却処理して得られることを特徴とする高剛性高減衰能鋳鉄。
下記式(1)に示す炭素当量が3.30~3.95となるC及びSiと、Al:3~7%を含有した鋳鉄であり、鋳造後280~630℃で加熱し、さらに冷却処理して得られることを特徴とする高剛性高減衰能鋳鉄。
 炭素当量(%)=C量(%)+(1/3)×Si量(%) …(1)
Description:
高剛性高減衰能鋳鉄

 この発明は、ヤング率及び振動減衰性に れた高剛性高減衰能鋳鉄に関する。この発 の鋳鉄は、例えば剛性の要求される工作機 や高精密工作機械、あるいはヤング率と振 が問題となる精密測定器の構造材料等とし 使用される。これにより、それらの加工効 、加工品の精度、精密精度を高めることが きる。

 従来から、工作機械用構造材料として、 動減衰能に比較的優れた片状黒鉛鉛鋳鉄が に使用されてきた。片状黒鉛鋳鉄は、片状 鉛を多量に含むことによる複合型防振機構 有するため、鋼等に比べて減衰能が高く、 かも大型の構造材を製作するに当っての成 性及びコストの面で有利な特徴を有してい 。なお、片状黒鉛鋳鉄に代わる工作機械構 材へ適用を考えて、コンクリート系材料、 然グラナイト、CFRP等優れた減衰能を有する 材料の研究がされてきた。しかし、いずれも 剛性の低さ、加工性、コスト等の問題で実用 化に至っていない。

 現在、片状黒鉛鋳鉄は、減衰性、鋳造性 コストの点で優れているので、工作機械の ッド、テーブル、コラムなど構造材料に広 使用されている。しかし、加工硬化の激し 難加工性材料等の加工を行う工作機械には 大切り込みを安定して維持する高い剛性と 有害な振動の発生を抑制する高い振動減衰 が必要とされる。このように、振動減衰能 更に激しく求められる場合には、現状の片 黒鉛鋳鉄では振動の影響のため、加工効率 加工品の精度が充分に得られない場合があ 。

 従来から工作機械等に用いられているFC30 0等の片状黒鉛鋳鉄は、複合型減衰機構を発 する片状黒鉛を多量に含んでいる。そのた 、従来材料の中では振動減衰能に優れる構 材料である。この片状黒鉛鋳鉄の振動減衰 を改善するには、片状黒鉛の量を増加させ ばよい。しかし、片状黒鉛鋳鉄が増加する 伴って動的ヤング率(以下、単にヤング率と ぶ)が低下してしまう問題がある。片状黒鉛 鋳鉄の黒鉛量の調整は、C及びSiの量によって 制御できる。工作機械の構造材料としては、 ヤング率が低下すると剛性保持のため構造材 料の肉厚を増加する必要が出てくる。そのた め、構造設計上の問題が発生するばかりでな く、コストも増加することになり好ましくな い。

 振動減衰能を改善する方法として、片状 鉛鋳鉄の基地組織をベイナイトやマルテン イトを形成させる方法が提案されている(鋳 造工学68(1996)876)。しかし、これらの方法では 振動減衰能が改善されるに伴ってヤング率が 低下するため、両者の両立は難しい。また、 振動減衰能を改善する方法は、例えば特許文 献1,2,3に開示されている。いずれの特許文献1 ~3にも対数減衰能を改善する方法等が記載さ ている。

 これらの特許文献1~3には、振動減衰能の 定結果が示されている。しかし、ヤング率 関しては何ら記載されていないため、その は不明である。具体的には、特許文献1,2は レーキ材料に関するものであるために、ヤ グ率は必要不可欠ではなくむしろ強度が重 視されることが推察される。特に、特許文 1には、ねずみ鋳鉄並みの優れた強度を有し 、且つねずみ鋳鉄以上の優れた減衰能をもつ ブレーキ材料の提供することが発明の目的で ある旨記載されている。特許文献3には、工 機械、精密加工機器の制振性向上も視野に いて制振性能を改良するためにアルミニウ 含有制振鋳鉄を発明した旨記載されている しかし、機械精度の維持を図るためには、 造材料の剛性を維持することは必要不可欠 あるが、それが示されていない。

 これらの特許文献1~3から、アルミニウムを 加することによって振動減衰能を改善でき と分かる。しかし、その方法は仔細に見れ 異なっている。具体的には、特許文献1は、 アルミニウムを添加した鋳鉄をA 1 変態点以上(910~1000℃)で加熱処理し、その後 却速度を調整して面積率でパーライトを70% 上にした振動減衰能に優れ強度のあるブレ キ材料を得ている。特許文献2は、A 1 添加の効果と過共晶組成にして黒鉛の増量と 微細気孔を形成することにより振動減衰能の 改善が図られているが、この方法はヤング率 が大きく低下すると推察される。特許文献3 、アルミニウムを添加して振動減衰能の改 を図っている例である。しかし、ヤング率 関しては触れていない。即ち、特許文献1~3 記載されている方法では、必ずしもヤング 及び振動減衰能の両立は図れないので、更 振動減衰能を改善する必要がある。

特開昭63-140064号公報

特開2001-200330号公報

特開2002-348634号公報

 この発明はこうした事情を考慮してなさ たもので、従来技術の問題であったヤング と振動減衰能を両立させながら、更に振動 衰能を改善し得るヤング率及び振動減衰性 優れた高剛性高減衰能鋳鉄を提供すること 目的とする。この発明は、具体的には、従 から用いられている振動減衰能に優れた片 黒鉛鋳鉄と同程度のヤング率を有し大幅に 動減衰能に優れた高剛性高減衰能鋳鉄を提 することを目的とする。

 この発明(第1の発明)に係る高剛性高減衰 鋳鉄は、Al:3~7%を含有した鋳鉄であり、鋳造 後280~630℃で加熱し、さらに冷却処理して得 れることを特徴とする。より具体的には、 1の発明は、Al:3~7%と、Mn:0.25~1.0%と、P:0.04%以 と、S:0.03%以下と、残部Fe及び不可避的不純 からなる鋳鉄であり、鋳造後280~630℃で加熱 、さらに冷却処理して得られることを特徴 する。

 また、この発明(第2の発明)に係る高剛性 減衰能鋳鉄は、Al:3~7%と、Sn:0.03~0.20%を含有 た鋳鉄であり、鋳造後280~630℃で加熱し、さ に冷却処理して得られることを特徴とする より具体的には、第2の発明は、Al:3~7%と、Mn :0.25~1.0%と、P:0.04%以下と、S:0.03%以下と、Sn:0.0 3~0.20%と、残部Fe及び不可避的不純物からなる 鋳鉄であり、鋳造後280~630℃で加熱し、さら 冷却処理して得られることを特徴とする。

 更に、この発明(第3の発明)に係る高剛性高 衰能鋳鉄は、下記式(1)に示す炭素当量が3.30 ~3.95となるC及びSiと、Al:3~7%を含有したる鋳鉄 であり、鋳造後280~630℃で加熱し、さらに冷 処理して得られることを特徴とする。 
 炭素当量(%)=C量(%)+(1/3)×Si量(%) …(1) 
 より具体的には、第3の発明は、上記記式(1) に示す炭素当量が3.30~3.95となるC及びSiと、Al: 3~7%と、Mn:0.25~1.0%と、P:0.04%以下と、S:0.03%以下 と、Sn:0.03~0.20%と、残部Fe及び不可避的不純物 からなる鋳鉄であり、鋳造後280~630℃で加熱 、さらに冷却処理して得られることを特徴 する。

 この発明によれば、ヤング率と振動減衰 を両立させながら、更に振動減衰能を改善 得るヤング率及び振動減衰性に優れた高剛 高減衰能鋳鉄が得られる。具体的には、従 から用いられている振動減衰能に優れた片 黒鉛鋳鉄と同程度のヤング率を有しかつ大 に振動減衰能の優れた高剛性高減衰能鋳鉄 得られる。

図1は、熱処理温度と減衰性能の改善率 との関係を示す特性図である。 図2は、Al添加片状黒鉛鋳鉄によるヤン 率と対数減衰率との関係を示す特性図であ 。 図3は、Al,Sn添加片状黒鉛鋳鉄によるヤ グ率と対数減衰率との関係を示す特性図で る。

 以下、本発明について更に詳しく説明する  
 本発明者等は、上記特許文献1~3の課題を解 するために、先に炭素当量とC量,Si量との関 係を開示した高剛性鋼減衰能鋳鉄を提案した (特願2007-33894)。しかし、本特許の場合では、 十分な減衰性能が得られない事が判明した。

 こうしたことから、本発明者等は、更に改 を進めて本発明を究明するに至った。 
 片状黒鉛鋳鉄(高剛性高減衰能鋳鉄)は、Al( ルミニウム)の添加量に伴って振動減衰能が 善されるが限界が現れる。例えば、Alの添 量を順次増やしてその振動減衰能及びヤン 率を測定すると、3%Al添加から改善が見られ が、7%を超えると振動減衰能はむしろ低下 る。しかし、本発明者らは、これらAlを添加 した片状黒鉛鋳鉄にスズ(Sn)を適量添加する 、ヤング率及び振動減衰能が改善されるこ を究明するに至った。更に、本発明者らは 振動減衰能及びヤング率は、片状黒鉛鋳鉄 炭素当量(C.E.)、(C/Si)重量比、Al、Snの添加量 調整によって大きく変動することも明らか した。ヤング率を維持したまま振動減衰能 改善するには、特許請求の範囲に記載するC .E.、(C/Si)重量比、Al、Snの値の適正な調整が 要である。

 本発明において、Al:3~7%と規定するのは次 の理由による。即ち、AlとSnを添加した片状 鉛鋳鉄でAlの添加量が振動減衰能に好ましい 影響を及ぼすのは3%からで、3%より少ない場 、ほとんど改善効果は認められない。また 6%以上になると振動減衰能は徐々に低下し、 7%を超えると更に振動減衰能が低下する。そ て、Alの添加量が7%を超えると、Alの添加に って形成される鉄Al炭化物が硬く脆くなる で、割れ易くなり且つ加工性が悪くなる。 のような理由より、Alの適正添加量を3~7%と た。

 Al添加による片状黒鉛鋳鉄の振動減衰能 改善機構に関しては、Alを固溶した鉄合金の 形成によるものとする説(前者)と、鉄Al炭化 の形成によるものとする説(後者)があるが、 本発明者らの研究では後者の説を捉えている 。いずれの説もこれらの形成される物質の強 磁性型の減衰機構によるものと推測されてい る点では同じである。

 本発明において、Sn:0.03~0.2%と規定するの 次の理由による。即ち、Snの添加量は少な ぎると、ヤング率及び振動減衰能の改善効 が認められない。0.03%ぐらいからヤング率、 振動減衰能の改善に効果を現し、0.08%前後で も顕著な効果を現す。Snの添加量が多くな と次第に効果が低減し、0.2%以上になると効 が大きく低下し、改善効果が得られなくな 。そのため、Snの添加量は0.03~0.2%が適正値 ある。Snは、ヤング率、振動減衰能の改善ば かりでなく引張強度も改善するため、重要な 添加元素である。

 なお、Sn添加による改善効果の機構につ ては諸説あるが、次にように考えられる。 ち、片状黒鉛鋳鉄にAlを添加すると、鉄とAl 炭素の反応により鉄Al炭化物が形成される いわれている。また、鉄Al炭化物は強磁性体 であり、強磁性体型の振動減衰機構を発現す るといわれている。本発明者らの研究によれ ば、Alの添加量を増やしていけば、鉄Al炭化 が増加していくが、およそ6%前後で鉄Al炭化 が増加しなくなる。しかし、Snを添加する 、Al単独の添加に比較して常により多くの鉄 Al炭化物が形成されるようになり、その結果S n添加による改善効果が現れるものと考えら る。

 本発明において、本発明の高剛性高減衰能 鉄は、上記Al,Sn以外に、C,Si,Mn,P,S等を含んで いる。ここで、C及びSiの量は後に詳述すると おりである。 
 Mnは通常の片状黒鉛鋳鉄の場合と同様に、0. 25~1.0%とする。この理由は、Mnは0.25%以上では 鉄の強さ、硬さを増すが、1.0%を超えると鋳 鉄をチル化させ、硬く脆くするので、上記数 値範囲とした。

 Pは通常の片状黒鉛鋳鉄の場合と同様に、0.0 4%以下とする。この理由は、Pは0.04%を超える 、鉄と反応して硬い化合物であるステダイ を形成し鋳鉄を脆くするため、上記数値範 とした。 
 Sは、通常の片状黒鉛鋳鉄の場合と同様に、 0.03%以下とする。この理由は、Sが0.03%を超え と、溶湯の流動性を悪くするとともに、鋳 をチル化させ硬く脆くするためである。

 第3の発明において、上記式(1)に示す炭素 当量は上記したように3.30~3.95%にする。炭素 量は、大きくなると振動減衰能が改善され ング率が低下する。炭素当量の増減では両 の両立はできないが、振動減衰能とヤング に与える影響は大きいので適正な値にする 要がある。Alが添加された場合、従来の片状 黒鉛鋳鉄に比較して、オーステナイトと黒鉛 の共晶反応が起きる共晶組成が変化する。従 来の片状黒鉛鋳鉄は上記式1で表される炭素 量が4.3%で共晶反応を生じるが、Alが添加さ るとこの値よりも小さい値で共晶反応が起 るようになる。共晶組成より大きな炭素当 になると過共晶となりヤング率が大きく低 するので好ましくない。

 本発明の場合、炭素当量(C.E.)が3.95%を超え と、振動減衰能が大きく改善されるが、ヤ グ率が大きく低下する。これは、炭素当量 共晶組成を超えて過共晶になるためだと考 られる。一方、炭素当量が小さい場合には 黒鉛の形成量が減少するためヤング率が改 される。しかし、振動減衰能が低下するの 、3.3%以上の炭素当量が必要である。従って 炭素当量は3.30~3.90とした。 
 本発明において、鋳造後の熱処理温度は280~ 630℃とした。加熱冷却処理による性能改善は 、加熱温度により大きく変化する。この熱処 理による効果を図1に示す。なお、図1はAl,Sn 加えた発明材料の場合を示したが、Alのみを 添加した場合もほぼ同様の傾向を示した。熱 処理温度が280℃未満ではその効果は小さく、 630℃を超えた場合も同様に効果は小さい。

 即ち、減衰性能の改善率が5%以上になる 度範囲、280~630℃で加熱処理した後に冷却す のが良い。なお、効果が20%以上に改善され 温度範囲は、360~580℃である。これらの温度 範囲で高い効果が現れるが、最も効果のある のは500℃に加熱し冷却した場合である。冷却 方法は、炉冷、空冷のどちらでもよい。なお 、熱処理によって減衰性能が改善される理由 は不明である。

 熱処理する工程は、本発明による鋳造品 鋳造後の工程により異なる。例えば、鋳造 鋳肌のまま使用される場合は、鋳造後に熱 理する。また、例えば、鋳造後に機械加工 て所定の寸法に仕上げてから使用される場 、機械加工後に熱処理するのが最も好まし 。但し、機械加工後に熱処理できない理由 ある場合には、機械加工前に熱処理しても い。

 次に、本発明の具体的な実施例について比 例とともに説明する。 
 (実施例1~8及び比較例1~8) 
 まず、高周波溶解炉を用いて鋳鉄の組成を 整した。次に、黒鉛ルツボにFC300で製作し 鋳鉄塊、加炭材、フェロマンガン、炭化珪 を入れて溶解し、その後フェロシリコンと 炭材で炭素量、シリコン量を調整し、溶解 を約20kgとした。但し、得られる鋳造品のAl はフェロアルミ、スズ量は純スズを添加し 調整した。また、溶解温度は約1450℃とした 出湯前にCa-Si-Ba系接種剤を添加した後、φ30 300mmのフラン自硬性鋳型に鋳込んだ。

 得られた鋳造品を4×20×200mmに加工して、振 減衰能の評価値として対数減衰率及び動的 ング率を求めた。このとき、熱処理しない のとの比較を行った。即ち、実施例1~8ではA l添加鋳鉄を熱処理し、比較例1~8ではAl添加鋳 鉄を熱処理しなかった。試験方法は、JISG0602 準拠した。即ち、試験片を二点吊りして電 加振器で1×10 -4 のひずみ振幅を与え、その後加振を止めて自 由減衰させて、対数減衰率と動的ヤング率を 求めた。このようにして得られた鋳造品の特 性を下記表1に示す。但し、対数減衰率は、 動のひずみ振幅が1×10 -4 の時の値を示した。なお、P,Sは表1に示さな ったが、いずれも、P<0.025、S<0.020である 。また、実施例には同組成のものがあるが、 これらは溶解が同じで、鋳造試料が異なるこ とを意味する。

 上記表1に示したデータのうち、各試料の ヤング率-対数減衰率の関係を示したグラフ 図2に示した。ヤング率と対数減衰率を同時 評価した場合、図2で比較すると分かりやす い。各試料のヤング率と対数減衰率の値はば らつくが、平均的値を直線で表わした。図2 おいて、線aは実施例1~8のデータを、線bは比 較例1~8のデータを示す。なお、上記データの ヤング率が、115~130GPaの範囲にあるのは、現 鋳鉄のFC250,FC300で振動減衰性能を重視した場 合のヤング率がおよそ120GPaを示すため、これ らとの比較をする目的でその範囲のデータを 掲載した。

 図2から比較例1~8(熱処理しない場合)のヤン 率-対数減衰特性に対して、熱処理を施した 本発明は約40%の性能改善が認められる。この 値は、現用鋳鉄のFC250,FC300の特性(ヤング率が 120PGaのときの対数減衰率は約100×10 -4 )と比較すると約2.5~3.0倍以上の性能を示す。

 (実施例9~16及び比較例9~16) 
 上記実施例1~8及び比較例1~8と同様な操作に り、φ30×300mmのフラン自硬性鋳型に鋳込ん 。 
 得られた鋳造品を4×20×200mmに加工して、振 減衰能の評価値として対数減衰率及び動的 ング率を求めた。このとき、熱処理しない のとの比較を行った。即ち、実施例9~16では Al,Sn添加鋳鉄を熱処理し、比較例9~16ではAl,Sn 加鋳鉄を熱処理しなかった。試験方法は、J ISG0602に準拠した。即ち、試験片を二点吊り て電磁加振器で1×10 -4 のひずみ振幅を与え、その後加振を止めて自 由減衰させて、対数減衰率と動的ヤング率を 求めた。このようにして得られた鋳造品の特 性を下記表2に示す。但し、対数減衰率は、 動のひずみ振幅が1×10 -4 の時の値を示した。なお、P,Sは表2に示さな ったが、いずれも、P<0.025、S<0.020である 。また、実施例には同組成のものがあるが、 これらは溶解が同じで、鋳造試料が異なるこ とを意味する。

 上記表2に示したデータのうち、各試料の ヤング率-対数減衰率の関係を示したグラフ 図3に示した。ヤング率と対数減衰率を同時 評価した場合、図3で比較すると分かりやす い。各試料のヤング率と対数減衰率の値はば らつくが、平均的値を直線で表わした。図3 おいて、線aは実施例9~16のデータを、線bは 較例8~16のデータを示す。なお、上記データ ヤング率が、115~130GPaの範囲にあるのは、現 用鋳鉄のFC250,FC300で振動減衰性能を重視した 合のヤング率がおよそ120GPaを示すため、こ らとの比較をする目的でその範囲のデータ 掲載した。

 図3から比較例9~16(熱処理しない場合)のヤン グ率-対数減衰特性に対して、熱処理を施し 本発明は約30%の性能改善が認められる。こ 値は、現用鋳鉄のFC250,FC300の特性(ヤング率 120PGaのときの対数減衰率は約100×10 -4 )と比較すると約3.5倍の性能を示す。

 なお、この発明は、上記実施形態そのま に限定されるものではなく、実施段階では の要旨を逸脱しない範囲でAl,Sn,C,Si,Mn,P,S等 組成を適宜変えて具体化できる。また、前 実施形態に開示されている複数の組成の適 な組合せにより種々の発明を形成できる。