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Title:
HIGH-STRENGTH, HIGH-ELASTICITY MODULUS SHEET-LIKE ARTICLE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/093412
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a sheet-like article which is thin, light, strong, and has good dimensional stability, and is used in fields requiring rigidity. The sheet-like article is formed by impregnating or attaching a matrix resin in or to a fabric comprising aromatic polyester fibers having melt anisotropy, the fabric being a multi-filament woven fabric with a fineness of 20-300 dtex, and a weight W (g/m2), a thickness D (mm), and tensile shear strength Sb (N/cm) of the fabric satisfying Sb/W/D ≥ 30.

Inventors:
KATAYAMA TAKASHI (JP)
INADA SHINYA (JP)
HITOMI YOSHINORI (JP)
SUZUKI USHIO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/000081
Publication Date:
July 30, 2009
Filing Date:
January 09, 2009
Export Citation:
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Assignee:
KURARAY CO (JP)
KATAYAMA TAKASHI (JP)
INADA SHINYA (JP)
HITOMI YOSHINORI (JP)
SUZUKI USHIO (JP)
International Classes:
B29B15/10; D01F6/62; D03D1/00; D03D15/00; H05K1/03
Foreign References:
JP2001064845A2001-03-13
JPH0544146A1993-02-23
JP2001089953A2001-04-03
Attorney, Agent or Firm:
SUGIMOTO, Shuji (10-2 Edobori 1-chome, Nishi-ku, Osaka-sh, Osaka 02, JP)
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Claims:
 溶融異方性芳香族ポリエステル繊維からなる布帛を準備する準備工程と、
 前記布帛に対してマトリックス樹脂を含浸または付着する、含浸または付着工程と、を備える高強力シート状物の製造方法であって、
 前記布帛において、
 布帛がマルチフィラメント糸状の織編物であるとともに、このマルチフィラメント糸状の繊度が20~300dtexであり、
 布帛の目付W(単位:g/m 2 )、厚さD(単位:mm)、および引張破断強力Sb(単位:N/cm)が、布帛のタテ方向ならびにヨコ方向とも、下記式
     Sb/W/D≧30   
を満足する、高強力シート状物の製造方法。
 請求項1の製造方法において、布帛の目付Wが、15~200g/m 2 である製造方法。
 請求項1または2の製造方法において、布帛の引張破断強力Sb(単位:N/cm)と中間伸長(切断伸度の1/2)時の強力Sc(単位:N/cm)との関係が、布帛のタテ方向ならびにヨコ方向とも、下記式
     Sc/Sb≧0.25  
を満たす製造方法。
 請求項1から3のいずれか一項の製造方法において、
 布帛の厚さD(単位:mm)と布帛を構成するマルチフィラメント糸状の換算直径RD(単位:mm)との関係が、下記式
     D/RD≦1.2
を満たす製造方法。
 請求項1から4のいずれか一項の製造方法において、
 準備工程で、布帛に対して物理的処理、化学的処理、または物理的処理および化学的処理の双方を行う製造方法。
 溶融異方性芳香族ポリエステル繊維からなる高強力シート状物用布帛であって、
 前記布帛において、
 布帛がマルチフィラメント糸状の織編物であるとともに、このマルチフィラメント糸状の繊度が20~300dtexであり、
 布帛の目付W(単位:g/m 2 )、厚さD(単位:mm)、および引張破断強力Sb(単位:N/cm)が、布帛のタテ方向ならびにヨコ方向とも、下記式
     Sb/W/D≧30   
を満足する布帛。
 請求項6の布帛において、目付Wが、15~200g/m 2 である布帛。
 請求項6または7の布帛において、布帛を構成する溶融異方性芳香族ポリエステル繊維の繊維断面の長径と短径の比(長径/短径)が1.1~3.0である布帛。
 請求項6から8のいずれか一項の布帛に対して、マトリックス樹脂を含浸または付着した高強力シート状物。
 請求項9の高強力シート状物において、樹脂含有率が10~95質量%である高強力シート状物。
 請求項9または10の高強力シート状物を単独または積層してなる樹脂成形品。
 請求項11の樹脂成形品において、誘電率が3.2以下である樹脂成形品。
 請求項10から12のいずれか一項の樹脂成形品において、高強力シート状物が複数積層されるとともに、樹脂成形品の厚さTが0.02~8mmである樹脂成形品。
 
 
Description:
高強力・高弾性率シート状物 関連出願

 本願は、日本国で2008年1月25日に出願され た、特願2008-014534号の優先権を主張するもの あり、その全体を参照により本出願の一部 なすものとして引用する。

 本発明は、薄くて軽量であるにもかかわ ず高強力であり、寸法変化が少なく、かつ 性が要求される分野に使用されるシート状 に関する。

 近年、電子機器、パソコンや情報端末機 携帯電話等は、小型化、軽量化は勿論のこ 、高強度、高弾性率、低誘電率、低誘電正 、低吸湿性、熱膨張係数制御等の高性能化 多機能化が求められるようになってきた。 のため、かかる電子機器内部に装着される 導体パッケージやそれに実装するプリント 板用積層体に対しても、小型化、軽量化、 性能化、高機能化が要求され、それに加え 、より高い電気接続信頼性および耐久性も 求されるようになってきた。

 このような基板用積層体の基材としてガ ス繊維の織物を使用した基材が多く用いら ているが、作業時の取扱い性、軽量性、誘 率等の性能が不十分であった。これらの問 を改善するものとして、有機繊維である芳 族ポリアミド繊維やポリイミド繊維からな 織物、編物、紙または不織布を使用した基 が提案されている(例えば、特許文献1~3参照 。)。しかしながら、これら従来の有機繊維 らなる織物、編物、紙または不織布は強度 弾性率が不十分であり、そのため樹脂含浸 の基材として十分な剛性と寸法安定性を備 ていなかった。

 かかる点を改善するために、複合繊維か なる基布や基板が提案されている(例えば、 特許文献4~5参照)。しかしながらこれらの繊 を用いても、性能は未だ不十分である。

特開2002-134857号公報

特開2003-306885号公報

特開2004-324007号公報

特開2000-244082号公報

特開2001-064845号公報

 本発明の目的は、かかる問題点を鑑みて されたもので、軽量であるにもかかわらず 強力であり、寸法安定性に優れ、かつ剛性 優れたシート状物用布帛(またはシート状物 用補強材)、シート状物、および該シート状 を単独または積層してなる樹脂成形品を提 することにある。

 本発明の別の目的は、前記した優れた特 に加えて、低誘電率であるシート状物用補 材、シート状物、および該シート状物を単 または積層してなる樹脂成形品を提供する とである。

 本発明のさらに別の目的は、厚みが薄く も高強力で高弾性率を有するシート状物用 強材、シート状物、および該シート状物を 独または積層してなる樹脂成形品を提供す ことである。

 また、本発明の他の目的は、前記した優 た特性を有するシート状物を、簡便に製造 るための方法を提供することである。

 本発明者等は上記問題点を解決すべく鋭意 討を行った結果、以下の点を見出し、本発 を完成した。
 すなわち、補強繊維として溶融異方性芳香 ポリエステル繊維からなるマルチフィラメ ト糸状を用いた布帛に熱可塑性樹脂または 硬化性樹脂を含浸してなるシート状物にお て、布帛を構成するマルチフィラメント糸 が特定の範囲の繊度を有するとともに、布 の目付と厚さと引張破断強力との比が特定 関係を有する場合、この布帛を利用したシ ト状物および樹脂成形品が薄肉であるにも かわらず剛性に優れることを見出した。

 また、補強繊維として溶融異方性芳香族 リエステル繊維からなるマルチフィラメン 糸状を用いた布帛に熱可塑性樹脂または熱 化性樹脂を含浸してなるシート状物におい 、布帛を構成するマルチフィラメント糸状 繊維径と布帛の厚さが所定の関係を示す場 において薄肉であるにもかかわらず剛性に れることを見出し、かつ布帛の引張破断強 と目付との比が所定の関係を満足する場合 おいて軽量であるにもかかわらず高強力と ることを見出し、さらに布帛の中間伸長時 強力と引張破断強力との比が所定の関係を 足する場合において軽量であるにもかかわ ず剛性となることをも見出した。

 すなわち、本発明は、
 溶融異方性芳香族ポリエステル繊維からな 布帛を準備する準備工程と、
 前記布帛に対してマトリックス樹脂を含浸 たは付着する、含浸または付着工程と、を える高強力シート状物の製造方法であって
 前記布帛において、
 布帛がマルチフィラメント糸状の織編物で るとともに、このマルチフィラメント糸状 繊度が20~300dtexであり、
 布帛の目付W(単位:g/m 2 )、厚さD(単位:mm)、および引張破断強力Sb(単 :N/cm)が、布帛のタテ方向ならびにヨコ方向 も、下記式
     Sb/W/D≧30   
を満足する、高強力シート状物の製造方法で ある。

 この製造方法において、布帛の目付Wは、15~ 200g/m 2 程度であってもよく、布帛の引張破断強力Sb( 単位:N/cm)と中間伸長(切断伸度の1/2)時の強力S c(単位:N/cm)との関係は、布帛のタテ方向なら にヨコ方向とも、下記式
     Sc/Sb≧0.25  
を満たしていてもよい。

 また、布帛の厚さD(単位:mm)と布帛を構成す マルチフィラメント糸状の換算直径RD(単位: mm)との関係は、下記式
     D/RD≦1.2
を満たしていてもよい。

 前記準備工程では、必要に応じて、布帛 対して物理的処理、化学的処理、または物 的処理および化学的処理の双方を行っても い。

 また、本発明は、溶融異方性芳香族ポリ ステル繊維からなる高強力シート状物用布 も包含し、この布帛は、上述する特性を有 ていてもよく、さらに、布帛を構成する溶 異方性芳香族ポリエステル繊維の繊維断面 長径と短径の比(長径/短径)が1.1~3.0であって もよい。

 さらに、本発明は、このような布帛に対 て、マトリックス樹脂を含浸または付着し 高強力シート状物をも包含する。前記高強 シート状物において、樹脂含有率は10~95質 %程度であってもよい。

 さらにまた、本発明は、前記高強力シー 状物を単独または積層してなる樹脂成形品 ついても包含する。そして、このような樹 成形品において、誘電率は3.2以下であって よい。

 このよう樹脂成形品では、高強力シート 物が複数積層されるとともに、樹脂成形品 厚さTが0.02~8mm程度であってもよい。

 なお、本発明において、織編物とは、織 および編物の双方を含める総称として用い れており、さらに織物とは、溶融異方性芳 族ポリエステル繊維からなる糸状が互いに 行に配列された層を少なくとも1層含む布帛 を意味しており、前記糸状を交錯して形成し た構造だけでなく、前記糸状は交錯すること なく、それを補助糸により連結させた構造を も包含する。なお、本発明の織編物には、溶 融異方性芳香族ポリエステル繊維がランダム に配向された不織布は含まれない。

 本発明のシート状物は薄肉、軽量であるに かかわらず高強力であり、さらに剛性に優 るので、プリント基板用基材、プリプレグ 高強力膜材、各種建材等の用途として用い ことが可能であり、さらに熱圧縮による成 も可能なので、自動車部品、電気製品用部 、構造材として用いることもできる。
 また、本発明の樹脂成形品が低い誘電率を する場合、そのような樹脂成形品は誘電特 を生かしてプリント基板などとして有用に 用することができる。

 この発明は、添付の図面を参考にした以下 好適な実施例の説明から、より明瞭に理解 れるであろう。しかしながら、実施例およ 図面は単なる図示および説明のためのもの あり、この発明の範囲を定めるために利用 れるべきものではない。この発明の範囲は 付の請求の範囲によって定まる。
本発明の織構造二方向性織物の構造の 例を示す模式図である。糸状Aは溶融異方性 芳香族ポリエステルポリマーからなる繊維で あり、糸状Bはポリエステル、ナイロン等の 用繊維である。この織物では、糸状Aが互い 平行に配列された第1の層と、第1の層を構 する糸状Aに対して直交する方向で糸状Aが互 いに平行に配列された第2の層とが、それぞ 上下二層に重なって配列されており、これ の二層を補助糸としての糸状Bが交錯して織 造を形成することにより連結させている。 本発明の編構造二方向性織物の構造の 例を示す模式図である。糸状Aは溶融異方性 芳香族ポリエステルポリマーからなる繊維で あり、糸状Bはポリエステル、ナイロン等の 用繊維である。この織物では、糸状Aが互い 平行に配列された第1の層と、第1の層を構 する糸状Aに対して直交する方向で糸状Aが互 いに平行に配列された第2の層とが、それぞ 上下二層に重なって配列されており、これ の二層を補助糸としての糸状Bが交錯して編 造を形成することにより連結させている。 本発明の実施例1、比較例1の布帛のヨ 方向引張試験の結果を示す図である。 本発明の実施例6の布帛の断面構造を示 す顕微鏡写真(倍率250倍)である。

[高強力シート状物およびその製造方法]
 本発明の高強力シート状物は、溶融異方性 香族ポリエステル繊維からなる布帛をシー 状物用補強材として含み、補強材(または布 帛)に対して、熱可塑性樹脂または熱硬化性 脂を含浸または付着させている。言い換え ば、溶融異方性芳香族ポリエステル繊維か なる布帛に熱可塑性樹脂または熱硬化性樹 を含浸または付着してなる高強力シート状 である。

(溶融異方性芳香族ポリエステル布帛)
 シート状物を構成する布帛は、主に溶融異 性芳香族ポリエステルからなる繊維で構成 れる。本発明にいう溶融異方性芳香族ポリ ステルとは、異方性溶融相を形成しうる芳 族ポリエステルまたはポリエステルアミド 芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸、芳 族ヒドロキシカルボン酸、芳香族アシン等 ら得られるポリマーである。

 異方性溶融相を形成し得るとは溶融相で 学的異方性(液晶性)を示すものであり、こ 特性はホットステージ上の試料を窒素雰囲 下で昇温・加熱し、試料の透過光を観察す ことで容易に認定することができる。本発 の溶融異方性芳香族ポリエステルの例とし 下記に示す反復成分の組合せからなるもの ある。

 また、上記反復成分に10モル%以下の他の 分を共重合していてもよい。特に好ましく 、次に示す(A)および(B)の反復構成単位から る部分が、全体の65モル%以上(例えば、70~100 モル%、好ましくは80~100モル%など)であるポリ マーであり、特に、(B)の成分が、例えば、全 体の4~45モル%(好ましくは10~35モル%など)であ 芳香族ポリエステルであることがさらに好 しい。

 上記成分には、実質的に液晶性を損なわな 範囲において他のポリマー、例えばポリオ フィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ リレート、ポリカーボネート、ポリフェニ ンサルファイド、ポリエステルエーテルケ ン等の繊維形成能を有するポリマーを含ん いてもかまわない。
 さらには各種添加剤、例えば、顔料、カー ン、熱安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、蛍光 白剤等を含んでいてもよい。

 本発明を構成する溶融異方性芳香族ポリエ テルからなる繊維は、通常の溶融紡糸法に り得られる。ポリマーの融点をMP(℃)とする とき、通常MPより10~50℃高い温度で紡糸され 。紡糸後の繊維では、十分な性能を有して ないので熱処理が行われる。熱処理により 相重合(一部架橋反応も伴うこともある)が起 こり、強度、弾性率が向上し、さらに融点が 上昇する。
 なお、本発明でいう融点(MP)とは、メトラー 社製TA-3000DSCを用い、昇温速度20℃/分の条件 測定したときの吸熱ピーク温度である。

 熱処理は、窒素等の不活性雰囲気や空気 如き酸素含有の活性雰囲気中または減圧下 行うことが可能である。熱処理雰囲気は露 が-40℃以下の気体が好ましい。好ましい温 条件としては、繊維の融点以下から順次昇 していくパターンが挙げられる。処理時間 、目的とする性能により数秒から数十時間 うことができる。通常熱処理は繊維の状態 行われるが、必要に応じて織物または編物 状態で行ってもよい。

 本発明の布帛は、マルチフィラメント糸 の織編物であるとともに、このマルチフィ メント糸状の繊度が20~300dtexであることが必 要である。繊度が20dtex未満では目的の強力を 得るための高密度な製織編が難しく、かつ剛 性の高いものが得られない。一方、300dtexを える場合は、薄くて軽量という本発明の目 から外れる。好ましくは25~250dtexであり、よ 好ましくは30~230dtexである。

 本発明の布帛において、布帛の厚さD(単 :mm)と布帛を構成するマルチフィラメント糸 の換算直径RD(単位:mm)との関係は、D/RD≦1.2 あってもよい。D/RDの比が高すぎると、本発 の重要な目的である薄さと剛性の両立を発 できない虞がある。好ましくはD/RD≦1.1であ り、より好ましくは0.4≦D/RD≦1.0である。

 ここで本発明にいう換算直径RD(単位:mm)とは 、マルチフィラメント糸状を丸断面のモノフ ィラメントとみなした直径のことで、次式に より算出される値である。
     RD=0.0113(T/ρ) 1/2
ただし、Tは布帛を構成するマルチフィラメ ト糸状の繊度(単位;dtex)、ρは繊
維を構成する繊維の比重(単位:g/cc)である。
 RDは、繊維の繊度および比重に応じて適宜 択することができ、例えば、RDは0.03~0.3程度 好ましくは0.05~0.25程度であってもよい。

 また本発明にいう布帛の厚さD(単位:mm)とは (株)東洋精機製作所製デジタル
測定器B-2を用いて測定した値であり、Dは、 えば、0.01~0.3程度、好ましくは0.02~0.2程度で ってもよい。

 さらに、布帛の目付をW(単位:g/m 2 )とするとき、布帛の目付W(単位:g/m 2 )、厚さD(単位:mm)、および引張破断強力Sb(単 :N/cm)が、布帛のタテ方向ならびにヨコ方向 も、下記式
     Sb/W/D≧30   
を満足することが必要である。

 Sb/W/Dが30未満であると、本発明の目的と る薄手であるとともに、軽量かつ高強力な 帛は得られない。好ましくはSb/W/D≧40であり 、より好ましくは400≧Sb/W/D≧50である。

 また、Wと引張破断強力Sb(N/cm)との関係は、 帛のタテ方向ならびにヨコ方向とも、以下 式を満足してもよい。
     Sb/W≧5

 Sb/Wが低すぎると、本発明の目的とする軽 量かつ高強力な布帛は得られない虞がある。 好ましくはSb/W≧7であり、より好ましくは15 Sb/W≧9である。この条件は、通常の汎用繊維 (例えば、ポリエステルやナイロンからなる 維)からは得られにくい。

 さらに、Sbと中間(切断伸度の1/2)伸張時の強 力Sc(N/cm)との関係は、布帛のタテ方向ならび ヨコ方向とも、以下の式を満足してもよい
     Sc/Sb≧0.25
 Sc/Sbが低すぎると、剛性が十分ではなく、 発明の目的とする軽量で剛性の良好な基板 はならない虞がある。好ましくはSc/Sb≧0.3で あり、より好ましくは0.6≧Sc/Sb≧0.35である。

 なお、本発明でいう引張強度Sbは、布帛 ら幅3cmの短冊状の試験片を作製し、試長10cm 引張試験を行い、切断強力(単位;N)を求め、 その値を単位幅(1cm)に換算した値である。ま 、本発明でいう中間伸長時の強力Scは、上 引張試験時に得られる切断伸度の半分の伸 時の強度である。

 軽量化の観点から、布帛の目付Wは、15~200g/m 2 程度であってもよく、好ましくは20~180g/m 2 程度、さらに好ましくは20~150g/m 2 程度であってもよい。
 また、強力の観点から、タテ方向およびヨ 方向のSbは、双方が、200~800N/cm程度であって もよく、好ましくは300~600N/cm程度であっても い。
 さらに、タテ方向およびヨコ方向のScは、 方が、50~300N/cm程度であってもよく、好まし は80~200N/cm程度であってもよい。

 かかる高強力、高弾性率を有する布帛は 例えば、次のような方法により製造するこ ができる。すなわち、布帛を構成する繊維 しては、溶融異方性芳香族ポリエステルか なる繊維であり、該繊維(例えば、単糸繊度 1~10dtex程度)からなる20~300dtexのマルチフィラ ント糸状を使用することができる。

 該マルチフィラメント糸状は甘撚りがあ てもよいが、実質的に無撚であることが好 しい。さらに、一旦形成されたマルチフィ メントの糸状を、開繊処理および/又は平滑 化処理することにより、マルチフィラメント 糸状としてもよい。布帛を薄くする観点から 、このような開繊処理および/又は平滑化処 を行ったマルチフィラメント糸状により布 を形成するのが好ましい。

 布帛は織編物で形成され、織物が好まし 。織物としては、溶融異方性芳香族ポリエ テル繊維からなる糸状が経糸および緯糸と て交錯している織物組織(I)、溶融異方性芳 族ポリエステル繊維からなる糸状が互いに 行に配列された層を少なくとも1層有するも のの、前記糸状同士は交錯せず、補助糸によ り連結されている織物組織(II)などが挙げら る。

 織物組織(I)としては、例えば、平織り、 イル、サテン等が挙げられ、このような組 (I)では、経糸、緯糸ともマルチフィラメン 糸状により形成される織ウェーブの振幅を きるだけ小さくするのが好ましい。例えば 織ウェーブの振幅は、前述したように、開 処理および/又は平滑化処理を行ったマルチ フィラメント糸状を用いて低減してもよいし 、後述するように、一旦布帛を形成し、その 後ローラーなどを用いてその布帛を薄葉化処 理することにより低減してもよい。

 また、織物組織(II)としては、例えば、溶 融異方性芳香族ポリエステル繊維からなる糸 状が互いに平行に配列された糸状層を一層有 する一方向性織物(例えば、すだれ織物など); 溶融異方性芳香族ポリエステル繊維からなる 糸状が互いに平行に配列された糸状層が、異 なる角度でそれぞれ配列する多重織物(例え 、二方向性織物、三方向性織物など)であっ もよい。これらの組織では、前述したとお 、溶融異方性芳香族ポリエステル繊維から る糸状同士は交錯しないが、これらの糸状 補助糸によって一体化される。

 例えば、補助糸としては、溶融異方性芳 族ポリエステル繊維からなる糸状を連結で る限り特に限定はされないが、ポリエステ 、ナイロン、アクリル、ポリオレフィン、 リウレタンなどが挙げられる。

 また、溶融異方性芳香族ポリエステル繊 からなる糸状に対する補助糸の交錯状態は 前記糸状を一体化できる限り特に限定され 、図1に示されるような織構造であってもよ いし、図2に示されるような編構造であって よい。

 例えば、これらの布帛では、隣り合うマ チフィラメント糸状間の間隔を織物がスリ プしない範囲とすることが好ましい。その めには、布帛を構成する経糸および緯糸の 方(例えば、経糸および緯糸のうち、糸幅の 広い方)、または経糸および緯糸の双方の糸 が、3RD以上(例えば3RD~7RD程度、好ましくは3.5 RD~6.5RD程度、さらに好ましくは4RD~6RD程度)で るのが好ましい。なお、ここでRDとは、前記 したマルチフィラメント糸状の換算直径であ る。

 これらの織編物のうち、溶融異方性芳香 ポリエステルからなる繊維が経糸と緯糸で 錯しない組織が好ましく、例えば、図1や図 2に示すような織物組織(II)を有する布帛が特 好ましい。

 前記得られた布帛は、例えば以下1)、2)に示 す方法により薄葉化される。
1)布帛を回転するローラー間や、加熱ローラ 間で緊張処理する。
2)布帛を加熱ローラーとニップローラー間で 圧処理する(カレンダー加工も含まれる)。
 これらの処理を行うことにより織ウェーブ が伸張し、例えば図3に示すように布帛の引 張試験においてSc値が向上し、樹脂含浸した の弾性率が高くなり、剛性が向上する。

 さらに、本発明の布帛を構成する溶融異 性芳香族ポリエステル繊維において、繊維 面の長径と短径の比が、長径/短径=1.1~3.0で ることが好ましい。長径と短径の比が1.1未 である場合には薄葉化の効果が得られない 合がある。また長径と短径の比が3.0を越え と裂けたり破損が生じたりして、本発明の 的である強度、弾性率に優れたシート状物 得られない場合がある。より好ましくは1.3~ 2.8である。

 なお、本発明でいう長径と短径の比とは 本発明の布帛の断面を走査型電子顕微鏡(SEM )にて撮影し、その断面写真から溶融異方性 香族ポリエステル繊維の長径と短径を測定 、求めた比の平均値であり、詳細には、後 する実施例に記載した方法により測定され 値である。

(マトリックス樹脂)
 本発明でいうマトリックス樹脂は、熱可塑 樹脂または熱硬化性樹脂のいずれであって よい。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレ テレフタレート、変性ポリエチレンテレフ レート、ポリブチレンテレフタレート、ポ エチレンナフタレート等のポリエステル、 リプロピレン、変性ポリプロピレン、ポリ チレン等のポリオレフィン、ポリアミド6、 ポリアミド66、ポリアミド12、ポリアミド6-12 ポリアミド9T、ポリアミド66IT等のポリアミ 、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポ イミド、ポリフェニレンサルファイド、ポ エーテルエステルケトン、フッ素樹脂、あ いはポリウレタン、スチレン系エラストマ 、オレフィン系エラストマー等の熱可塑性 ラストマーなどが挙げられる。これらの樹 は、単独で、または二種以上を組み合わせ 用いてもよい。これらの中で好ましくは、 芳香族及び全芳香族ポリエステル、ポリプ ピレン、ポリアミド6、ポリアミド66、熱可 性エラストマー等が挙げられる。

 また、本発明に言う熱硬化性樹脂として 、例えば、例えば、フェノール樹脂、エポ シ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シアナ ト樹脂、マレイミド樹脂、ポリイミド樹脂 どから選ばれる1種または2種以上の熱硬化 樹脂が挙げられる。さらに、前記した熱硬 性樹脂の1種または2種にポリビニルブチラー ル、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、多 能性アクリート化合物などを加えて変性し ものや、架橋ポリエチレン、ビスマレイド- リアジン系樹脂、架橋ポリエチレン変性エ キシ樹脂、架橋ポリエチレン変性シアナー 樹脂、ポリフェニレンエーテル変性シアナ ト樹脂などの熱可塑性樹脂で変性した熱硬 性樹脂(IPM型またはセミIPM型のポリマーアロ イ)などもマトリックス樹脂として用いるこ ができる。なかでも、エポキシ樹脂、ポリ ミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シア ート樹脂などがマトリックス樹脂として好 である。また、布帛との接着性に優れ、且 絶縁性、耐熱性などに優れるビスマレイド- リアジン樹脂が、マトリックス樹脂として ましく使用される。

(高強力シート状物の製造方法)
 本発明の高強力シート状物の製造方法は、 融異方性芳香族ポリエステル繊維からなる 帛を準備する準備工程と、前記布帛に対し マトリックス樹脂を含浸または付着する、 浸または付着工程と、を備えている。

 含浸または付着工程における布帛への樹 の含浸または付着方法は特に限定されず、 来公知の方法を用いればよい。例えば、含 法、塗布法、転写法などを採用すればよく 具体的には、マトリックス樹脂を溶剤に溶 して調製したワニスを繊維基材に含浸して 燥する方法、溶剤を使用しないで調製した 温状態または加熱状態にある液状マトリッ ス樹脂を布帛に含浸させる方法、粉末状の トリックス樹脂を布帛に固定する方法、離 性を有するフイルムやシートにマトリック 樹脂の層を形成した後にそれを布帛に転写 る方法などが採用できる。なお、布帛に含 または付着したマトリックス樹脂を乾燥さ る場合は、縦型ドライヤーにより非接触状 で乾燥するのが好ましい。

 また、布帛を準備する準備工程では、含 または付着させる樹脂との接着性を向上さ るために、必要に応じて布帛に対して物理 および/または化学的処理を行ってもよい。

 たとえば、物理的処理としては、コロナ 電処理、グロー放電処理、プラズマ処理、 子線処理、紫外線処理、酸素含有雰囲気下 の熱処理、水分含有雰囲気下での熱処理な が挙げられ、化学的処理としては、酸処理 アルカリ処理、酸化剤を用いた処理などが げられる。なお、化学的処理は、常温下で ってもよいし、加熱下で行ってもよいが、 熱下で行うのが好ましい。これらの処理は 単独で、または二種以上を組み合わせて行 てもよい。これらの後処理のうち、効率よ 製造できるため、紫外線処理や熱処理など 物理的処理が好ましい。

 例えば、紫外線処理では、低圧水銀ランプ エキシマランプの紫外線ランプを用いても い。紫外線処理のエネルギー密度は、布帛 劣化させることなく接着性を向上させる観 から、例えば、0.1~50mW/cm 2 程度であってもよく、好ましくは1~40mW/cm 2 程度であってもよい。また、照射時間は、エ ネルギー密度などに応じて適宜設定すること ができるが、例えば、10秒~10分程度であって よく、好ましくは20秒~5分程度であってもよ い。

 また、酸素含有雰囲気下での熱処理では 例えば、230~350℃程度、250~330℃程度で熱処 を行ってもよい。加熱時間は、例えば、1~100 時間程度であってもよく、10~80時間程度であ てもよい。

(高強力シート状物)
 本発明の高強力シート状物(またはプリプレ グ)は、前記した方法で得られる布帛に上記 たマトリックス樹脂を含浸または付着して る。そして、本発明の優れたシート状物を ることは、前記したように、溶融異方性芳 族ポリエステルからなる高強力繊維を用い 前記した所定の条件となるように布帛化す ことで、初めて可能となる。

 そして、シート状物におけるマトリック 樹脂の含有量は、層間剥離および成形不良 抑制し、かつ機械的性能、寸法安定性、熱 定性を良好なものにする点から、シート状 の全質量の10~95質量%、特に15~80質量%とする が好ましい。

[樹脂成形品]
 そして、本発明は、前記高強力シート状物 単独または積層してなる樹脂成形品も包含 る。このような樹脂成形品は、特定の布帛 用いているため、その誘電率を低減するこ が可能であり、誘電率は、例えば、1GHz以上 (例えば、1~10GHzなど)の周波数において、3.2以 下であってもよく、好ましくは2.5~3.15程度で ってもよい。なお、本明細書でいう「誘電 」は、真空の誘電率を1としたときの比誘電 率であり、後述する実施例に記載した方法に より測定される値である。

 前述のとおり、樹脂成形品においてその 状は、平面形状であっても曲面形状であっ もいずれでもよいが、例えば、高強力シー 状物が複数積層される場合、樹脂成形品の さT(単位:mm)は、0.02~8mm程度であってもよく 好ましくは0.03~6mm程度、さらに好ましくは0.0 5~4mm程度であってもよい。

 本発明のシート状物および樹脂成形品は プリント基板用基材,プリプレグ用途,高強 膜材(テントなど),各種建材(クロス、マット ど)の用途として用いることが可能であり、 さらに、熱圧縮による成形も可能なので、自 動車用部品,電気製品用部品,構造材として用 ることもできる。

 以下実施例によって、本発明を説明する 、本発明はこれら実施例により何等限定さ るものではない。なお本発明において溶融 方性芳香族ポリエステルポリマーの対数粘 、繊維の強度、弾性率は以下の測定方法に り測定されたものを意味する。

[溶融異方性芳香族ポリエステルポリマーの 数粘度 η inh ]
 試料を60℃のペンタフルオロフェノール溶 に0.1質量%溶解し、60℃の恒温槽中でウベロ テ型毛管粘度計で測定し、下式により求め 。
ηinh=[ln(ηrel)]/C

[繊維の強度、弾性率 cN/dtex、伸度 %]
 JIS L1013試験法に準拠して測定した。

[繊維の長径と短径の比]
 布帛の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮 し、その断面写真から溶融異方性芳香族ポ エステル繊維をランダムに100本選択した。 して、それぞれの繊維の長径と短径を測定 、各繊維の長径/短径の比を計算し、選択し すべての繊維についての平均値をもって、 維の長径と短径の比とした。

[積層体の剛性評価]
 曲げ弾性率F(単位:N/mm)は、長さ120mm×幅25mmの 試料片に対して、支点間距離を60mmとした状 でJIS K 7017試験法に準拠して測定した。

[積層体の誘電率]
 JIS C 6481試験法に準拠し、変性ブリッジ法 より、温度25℃±2℃の条件で誘電率を測定 た。

[参考例1]
<マトリックス樹脂液(ワニス)の製造>
 多官能エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジ ン社製「YL6046B80」)130質量部と、ノボラック 硬化剤(ジャパンエポキシレジン社製「YLH129B 65」)70質量部と、イミダゾール型硬化促進剤 ジャパンエポキシレジン社製「EMI24」」0.3 量部、およびメチルエチルケトン130質量部 混合し、マトリックス樹脂(ワニス)を調製し た。

[実施例1~2]
(1)構成単位(A)と(B)が75/25(モル比)である溶融 方性芳香族ポリエステルポリマーを用いた このポリマーの物性は、η inh =5.6dl/g、融点Mp=281℃であった。このポリマー 通常の溶融紡糸装置を用い、ノズル径0.15mm の口金から紡糸し、110dtex/40フィラメントの ルチフィラメントを得た。このマルチフィ メントを窒素雰囲気中で270℃、24時間処理 たところ、得られたフィラメントは強度28.3c N/dtex、伸度4.1%、初期弾性率680cN/dtexであった

(2)このフィラメントから通常の方法で、タテ 密度56本/2.5cm、ヨコ密度56本/2.5cmの平織物を った。なお、タテ糸には150回/mの撚糸を用い た。さらに、この平織物をステンレススチー ル製の鏡面間に配置して、線圧40kg/cm 2 、温度190℃でカレンダー加工を施し、実施例 1の平織物とした。また、タテ糸およびヨコ ともに無撚である平織物を実施例1と同様に 製し、実施例2とした。得られた平織物の物 性を表1に示す。

(3)上記(2)で作製した平織物に対して、参考 例1で製造したマトリックス樹脂液(ワニス)を 含浸させ、150℃で乾燥しプリプレグを作製し た後、16枚を積層して熱プレスし、硬化した 脂の含有量が60質量%である積層板を製造し 。得られた積層板の剛性の評価結果を表1に 示す。また実施例1の平織物のヨコ方向の引 試験の結果を図3に示す。

[実施例3]
(1)構成単位(A)と(B)が73/27(モル比)である溶融 方性芳香族ポリエステルポリマーを用いた このポリマーの物性は、η inh =4.6dl/g、Mp =280℃であった。
 このポリマーを通常の溶融紡糸装置を用い ノズル径0.15mmφの口金から紡糸し220dtex/80フ ラメントのマルチフィラメントを得た(糸状 A)。このマルチフィラメントを窒素雰囲気中 280℃、20時間処理した。得られたフィラメ トは強度26.3cN/dtex、伸度4.3%、初期弾性率610cN /dtexであった。

(2)上記(1)のマルチフィラメント(糸状A)と28d texのポリエチレンテレフタレート仮撚糸(糸 B)を用い、多重織機により図1に示す構造の 帛を得た。糸状A及びBの密度はタテ、ヨコ共 24本/2.5cmであった。この布帛を参考例1で製造 したマトリックス樹脂液(ワニス)を含浸させ 150℃で乾燥して樹脂含有量60質量%のシート 物(プリプレグ)を製造した。その後、実施 1と同様にして、プリプレグを積層して熱プ スし積層板を製造した。得られた布帛およ 積層板の評価結果を表1に示す。

[実施例4]
 実施例3の布帛を静電気式開繊装置に通した 後、ステンレススチール製の鏡面間に配置し て、線圧50kg/cm 2 、温度180℃でカレンダー加工した。その後実 施例3と同様の方法で樹脂含浸してシート状 (プリプレグ)を製造した。その後、実施例1 同様にして、プリプレグを積層して熱プレ し積層板を製造した。得られた布帛および 層板の評価結果を表1に示す。

[実施例5]
 実施例3と同じ溶融異方性芳香族ポリエステ ルポリマーを用い、56dtex/30フィラメントのマ ルチフィラメントを得た。このマルチフィラ メントを窒素雰囲気中で280℃、20時間処理し 。得られたマルチフィラメントは強度30.1cN/ dtex、伸度4.5%、初期弾性率720cN/dtexであった。 このマルチフィラメントを用いて通常の方法 で、タテ密度72本/2.5cm、ヨコ密度72本/2.5cmの 織物を作製した。この平織物に対し、実施 2と同様の方法で樹脂含浸し、カレンダー加 を行った。結果を表1に示す。樹脂含浸した 後のシート状物の厚さは40μmであり、この薄 にもかかわらず剛性に優れるシート状物が られた。

[実施例6~7]
 実施例2において、カレンダーの温度条件と 線圧条件を表2に示すように変更して平織物 作製し、さらに実施例2と同様にしてシート 物を作製した。結果を表1に、および実施例 6の断面写真を図4に示す。
 これらのシート状物は、非常に薄いにもか わらず、高強力であり、また実施例1と同様 の製造方法により得られる積層板は剛性が優 れるものであった。

[実施例8]
 実施例2において得られた平織物に対し、さ らに、290℃の熱風式乾燥炉中に24時間放置し 空気中で熱処理を行った。得られた布帛に して、実施例2と同様にして樹脂含浸してシ ート状物(プリプレグ)を製造した。その後、 施例2と同様にして、プリプレグを積層して 熱プレスし積層板を製造した。得られた布帛 および積層板の評価結果を表1に示す。

[実施例9]
 実施例2において得られた平織物に対し、さ らに、センエンジニアリング(株)製110mW低圧 銀ランプを用い、エネルギー密度17mW/cm 2 にて、照射時間が1分となるように処理を行 た。得られた布帛に対して、実施例2と同様 して樹脂含浸してシート状物(プリプレグ) 製造した。その後、実施例2と同様にして、 リプレグを積層して熱プレスし積層板を製 した。得られた布帛および積層板の評価結 を表1に示す。

[比較例1]
 実施例1で得られた平織物に代えて、目付け 39g/m 2 ,平均繊維径5μmの溶融異方性芳香族ポリエス ルポリマーの不織布を用いる以外は、実施 1と同様にして積層体を作製した。なお、こ の不織布は、構成単位(A)と(B)が75/25(モル比) ある溶融異方性芳香族ポリエステルポリマ (η inh =5.6dl/g、融点Mp=281℃)を、幅1mホール数1000のノ ズルを有するメルトブローン不織布製造装置 に供給して製造した。得られた布帛および積 層板の評価結果を表1に示す。

[比較例2]
 実施例1で得られた平織物に代えて、目付け 168g/m 2 の溶融異方性芳香族ポリエステルポリマーの 平織物を用いる以外は、実施例1と同様にし 積層体を作製した。なお、この平織物は、 成単位(A)と(B)が75/25(モル比)である溶融異方 芳香族ポリエステルポリマー(η inh =5.6dl/g、融点Mp=281℃)を溶融紡糸し、繊度1650dt ex/300フィラメントのマルチフィラメントを得 て、このフィラメントから通常の方法で、タ テ密度56本/2.5cm、ヨコ密度56本/2.5cmで作製し 平織物である。得られた布帛および積層板 評価結果を表1に示す。

[比較例3]
 実施例1で得られた平織物に代えて、目付け 104g/m 2 のガラス繊維で形成した平織物(日東紡(株)製 ガラスクロス、厚さ0.095mm)を用いる以外は、 施例1と同様にして積層体を作製した。得ら れた布帛および積層板の評価結果を表1に示 。

 実施例1~9の布帛は、マルチフィラメント糸 の繊度が56~220dtexであるにもかかわらず、布 帛のタテ方向ならびにヨコ方向とも、Sb/W/D≧ 30を満たしていた。そして、これらの平織物 用いた積層体は、薄くとも剛性に優れてい 。すなわち、厚みに対する曲げ弾性率Fの比 率が、実施例では高い値を示していた。
 また、実施例1~9の布帛は、D/RD≦1.2であり、 かつ布帛のタテ方向およびヨコ方向ともSb/W 5、Sc/Sb≧0.25の条件を満足していた。

 表2に示すように、実施例2,6および7から 繊維の長径/短径の比が高くなるにつれて、S b/W/Dの値が向上すると共に、積層体の剛性も 昇することが明らかとなった。

 さらに、実施例2の平織物に対して、後処 理を行った実施例8および9では、積層体の強 をさらに向上させることができた。

 一方、不織布を用いた比較例1では、タテ 方向ならびにヨコ方向とも不織布がSb/W/D≧30 満たしていなかった。そして、この不織布 用いた積層体は、十分な剛性を示さなかっ 。

 また、マルチフィラメント繊度の高い平 物を用いた比較例2でも、平織物はSb/W/D≧30 満たしておらず、さらにこの平織物を用い 積層体も、剛性が不十分であった。

 さらにガラス繊維で形成された平織物を いた比較例3では、平織物はSb/W/D≧30を満た ておらず、この平織物を用いた積層体では 剛性には優れているものの、積層体の重量 高く、軽量化を達成することができなかっ 。また、比較例3では、誘電率も高い値を示 した。

 本発明のシート状物は、プリント基板用 材,プリプレグ用途,高強力膜材,各種建材の 途として用いることが可能であり、さらに 熱圧縮による成形も可能なので、自動車用 品,電気製品用部品,構造材として用いるこ もできる。

 以上のとおり、図面を参照しながら本発 の好適な実施形態を説明したが、本発明の 旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、変更 たは削除が可能であり、そのようなものも 発明の範囲内に含まれる。




 
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