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Patent Searching and Data


Title:
HINGE DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/044910
Kind Code:
A1
Abstract:
A hinge device in which breakage of a structuring part caused by an increase in an internal pressure occurring in overloading is prevented. In the hinge device, a second member is adapted to be rotatable relative to a first member. A case (11) is fixed to either the first member or the second member, and a shaft body (12) capable of rotating relative to the case (11) is fixed to the other. A first chamber (14a) and a second chamber (14b) that are formed between the case (11) and the shaft body (12) are filled with viscous fluid. Between the first and second chambers (14a, 14b) is provided an orifice (48) for narrowing a flow path in which the viscous fluid moves from the first chamber (14a) to the second chamber (14b). The orifice (48) enables the viscous fluid to resist rotation of the shaft body (12). A space region (26) is provided in the shaft body (12), and a valve body (28) is movably placed in the space region (26). When the pressure of the first chamber (14a) reaches a predetermined level, the valve body (28) moves in the space region (26) to increase the volume of the first chamber (14a).

Inventors:
YOSHIDA MASAHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/068151
Publication Date:
April 09, 2009
Filing Date:
October 06, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SUGATSUNE KOGYO (JP)
YOSHIDA MASAHIRO (JP)
International Classes:
F16F9/14; A47K13/12; E05F3/14; F16C11/04
Foreign References:
JP2006125419A2006-05-18
JPH08177928A1996-07-12
JPH06189872A1994-07-12
JPH07313400A1995-12-05
JP2002339648A2002-11-27
JPH10184741A1998-07-14
JP3339802B22002-10-28
JP2007262614A2007-10-11
Attorney, Agent or Firm:
SHIOJIMA, Toshiyuki (2-12 Kandasakumacho,Chiyoda-k, Tokyo 25, JP)
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Claims:
 第一部材に対して第二部材を回転可能にするためのヒンジ装置であって、
 前記第一部材又は前記第二部材の一方に固定されるケースと、
 前記第一部材又は前記第二部材の他方に固定され、前記ケースに少なくとも一部が入り込むと共に、前記ケースに対して回転できる軸体と、
 前記ケースと前記軸体との間に形成される第一室及び第二室に充填される粘性流体と、
 前記ケースに対して前記軸体が一方向に相対的に回転するとき、前記軸体の相対的な回転に抵抗できるように、前記第一室から前記第二室へ移動する粘性流体の流路を狭めるオリフィスと、
 前記第一室の圧力が所定の圧力に達するとき、前記第一室の体積を増大させる体積増大手段と、を備えるヒンジ装置。
 前記軸体に前記第一室に繋がる連通路を設けると共に、前記体積増大手段を設け、
 前記体積増大手段は、前記連通路の圧力が前記所定の圧力に達するとき、前記連通路の体積を増大させることを特徴とする請求項1に記載のヒンジ装置。
 前記体積増大手段は、前記ケース又は前記軸体の一方に設けられる空間領域に配置され、前記空間領域を移動できると共に、前記第一室に充填される粘性流体に面する弁体を備え、
 前記第一室の圧力が所定の圧力に達するとき、前記弁体が前記空間領域を移動することにより、前記第一室の体積が増大することを特徴とする請求項1又は2に記載のヒンジ装置。
 第一部材に対して第二部材を回転可能にするためのヒンジ装置であって、
 前記第一部材又は前記第二部材の一方に固定されるケースと、
 前記第一部材又は前記第二部材の他方に固定され、前記ケースに少なくとも一部が入り込むと共に、前記ケースに対して回転できる軸体と、
 前記ケースと前記軸体との間に形成される第一室及び第二室に充填される粘性流体と、
 前記ケースに対して前記軸体が一方向に相対的に回転するとき、前記軸体の相対的な回転に抵抗できるように、前記第一室から前記第二室へ移動する粘性流体の流路を狭めるオリフィスと、
 前記ケース又は前記軸体の一方に設けられる空間領域に配置され、前記空間領域を移動できると共に、前記第一室に充填される粘性流体に面する弁体と、を備え、
 前記第一室の圧力が所定の圧力に達しないとき、前記弁体が前記第一室と前記第二室との繋がりを遮断する一方、
 前記第一室の圧力が所定の圧力に達するとき、前記弁体が前記空間領域を移動することにより、前記第一室と前記第二室とを繋げるバイパス流路が形成されるヒンジ装置。
 前記ヒンジ装置はさらに、
 前記空間領域に配置され、前記第一室の圧力が前記弁体を押す力に抗するばね部材を備えることを特徴とする請求項3又は4に記載のヒンジ装置。
 前記空間領域における前記弁体の移動量が所定量未満のとき、前記バイパス流路が前記第一室と前記第二室とを繋げることはなく、
 前記弁体の移動量が所定量以上のとき、前記バイパス流路が前記第一室と前記第二室とを繋げることを特徴とする請求項4に記載のヒンジ装置。
 前記軸体と前記ケースの内面との間には、前記軸体と共に回転するダンパ力発生用弁体が設けられ、
 前記ケースに対して前記軸体が前記一方向に相対的に回転するとき、前記ダンパ力発生用弁体が前記ケースの内面に密着して前記第一室及び前記第二室が区画されるように、前記軸体が前記ダンパ力発生用弁体を前記ケースの内面に向かって移動させ、
 前記ケースに対して前記軸体が他方向に相対的に回転するとき、前記ダンパ力発生用弁体が前記ケースの内面を押圧する力が低減し、あるいはなくなるように、前記軸体が前記ダンパ力発生用弁体を前記ケースの内面から離れる方向に移動させることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のヒンジ装置。
 
Description:
ヒンジ装置

 本発明は、第一部材に対して第二部材を 閉させるヒンジ装置に関し、特に粘性流体 抵抗を利用してダンパ力を発生するヒンジ 置に関する。

 例えば、洋式便器に対して便座又は便蓋 開閉するために、両者の間にはヒンジ装置 設けられる。ヒンジ装置は、筒状のケース 、ケースに挿入されると共にケースに対し 回転可能な軸体と、を備える。ケース又は 体の一方が洋式便器に固定され、他方が便 又は便蓋に固定される。便座又は便蓋が速 速度で閉まると、大きな音や衝撃が発生す 。これを防止するために、ケースと軸体と 間の円環状の領域にはダンパ力を発生する 性流体が充填される。この円環状の領域は 周方向に高圧室と低圧室とに区画される。 圧室と低圧室との間には、軸体が一方向に 転するとき(例えば便座又は便蓋が閉じる方 向に回転するとき)、軸体の回転に抵抗でき ように、高圧室から低圧室に流れる流路を めるオリフィスが設けられる。オリフィス 、便座又は便蓋が閉じる方向に回転すると 、ダンパ力を発生させ、便座又は便蓋が閉 るときの衝撃を緩和する(例えば特許文献1参 照)。

 オリフィスを用いてダンパ力を発生させ ヒンジ装置においては、負荷の大きさに追 したダンパ力を発生できるという利点があ 反面、過負荷(通常使用の負荷以外の強制的 な開閉や衝撃的な開閉)が与えられた場合、 圧室の内部圧力が増大して、ケースや軸体 どの構成部品の破損を招くおそれがある。 負荷に対応するために、構成部品の剛性を めると、コストが高くなってしまう。

 構成部品の破損を防止するために、特許文 1に記載のヒンジ装置においては、高圧室の 内部圧力を逃がす調整弁が設けられる。図16( A)に示されるように、高圧室1が通常の内部圧 力のとき、コイルスプリング2のばね力によ て調整弁3が衝撃緩和弁4に着座する。このた め、高圧室1と低圧室5とが遮断される。その 方、図16(B)に示されるように、過負荷がか り、高圧室1が過度の高圧になったとき、調 弁3がコイルスプリング2のばね力に抗して 方に下がり、衝撃緩和弁4から離間する。こ ため、高圧室1の粘性流体が調整弁3を介し 低圧室5に流れるようになる。高圧室1と低圧 室5とが繋がり、高圧室1の内部圧力が下がる で、構成部品が破損するのを防止すること できる。

特許第3339802号公報

 しかし、特許文献1に記載のヒンジ装置に おいては、衝撃緩和弁、調整弁及びコイルス プリングが低圧室の粘性流体で満たされた領 域に配置されるので、調整弁の作動が遅れ、 高圧室から低圧室に粘性流体が流れる前に、 構成部品が破損するおそれがある。

 そこで本発明は、過負荷時の高圧室の内 圧力の増加によって構成部品が破損するの 防止できるヒンジ装置を提供することを目 とする。

 以下、本発明について説明する。
 上記課題を解決するために、請求項1に記載 の発明は、第一部材に対して第二部材を回転 可能にするためのヒンジ装置であって、前記 第一部材又は前記第二部材の一方に固定され るケースと、前記第一部材又は前記第二部材 の他方に固定され、前記ケースに少なくとも 一部が入り込むと共に、前記ケースに対して 回転できる軸体と、前記ケースと前記軸体と の間に形成される第一室及び第二室に充填さ れる粘性流体と、前記ケースに対して前記軸 体が一方向に相対的に回転するとき、前記軸 体の相対的な回転に抵抗できるように、前記 第一室から前記第二室へ移動する粘性流体の 流路を狭めるオリフィスと、前記第一室の圧 力が所定の圧力に達するとき、前記第一室の 体積を増大させる体積増大手段と、を備える ヒンジ装置である。

 請求項2に記載の発明は、請求項1に記載 ヒンジ装置において、前記軸体に前記第一 に繋がる連通路を設けると共に、前記体積 大手段を設け、前記体積増大手段は、前記 通路の圧力が前記所定の圧力に達するとき 前記連通路の体積を増大させることを特徴 する。

 請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に 載のヒンジ装置において、前記体積増大手 は、前記ケース又は前記軸体の一方に設け れる空間領域に配置され、前記空間領域を 動できると共に、前記第一室に充填される 性流体に面する弁体を備え、前記第一室の 力が所定の圧力に達するとき、前記弁体が 記空間領域を移動することにより、前記第 室の体積が増大することを特徴とする。

 請求項4に記載の発明は、第一部材に対し て第二部材を回転可能にするためのヒンジ装 置であって、前記第一部材又は前記第二部材 の一方に固定されるケースと、前記第一部材 又は前記第二部材の他方に固定され、前記ケ ースに少なくとも一部が入り込むと共に、前 記ケースに対して回転できる軸体と、前記ケ ースと前記軸体との間に形成される第一室及 び第二室に充填される粘性流体と、前記ケー スに対して前記軸体が一方向に相対的に回転 するとき、前記軸体の相対的な回転に抵抗で きるように、前記第一室から前記第二室へ移 動する粘性流体の流路を狭めるオリフィスと 、前記ケース又は前記軸体の一方に設けられ る空間領域に配置され、前記空間領域を移動 できると共に、前記第一室に充填される粘性 流体に面する弁体と、を備え、前記第一室の 圧力が所定の圧力に達しないとき、前記弁体 が前記第一室と前記第二室との繋がりを遮断 する一方、前記第一室の圧力が所定の圧力に 達するとき、前記弁体が前記空間領域を移動 することにより、前記第一室と前記第二室と を繋げるバイパス流路が形成されるヒンジ装 置である。

 請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に 載のヒンジ装置において、前記ヒンジ装置 さらに、前記空間領域に配置され、前記第 室の圧力が前記弁体を押す力に抗するばね 材を備えることを特徴とする。

 請求項6に記載の発明は、請求項4に記載 ヒンジ装置において、前記空間領域におけ 前記弁体の移動量が所定量未満のとき、前 バイパス流路が前記第一室と前記第二室と 繋げることはなく、前記弁体の移動量が所 量以上のとき、前記バイパス流路が前記第 室と前記第二室とを繋げることを特徴とす 。

 請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6 いずれかに記載のヒンジ装置において、前 軸体と前記ケースの内面との間には、前記 体と共に回転するダンパ力発生用弁体が設 られ、前記ケースに対して前記軸体が前記 方向に相対的に回転するとき、前記ダンパ 発生用弁体が前記ケースの内面に密着して 記第一室及び前記第二室が区画されるよう 、前記軸体が前記ダンパ力発生用弁体を前 ケースの内面に向かって移動させ、前記ケ スに対して前記軸体が他方向に相対的に回 するとき、前記ダンパ力発生用弁体が前記 ースの内面を押圧する力が低減し、あるい なくなるように、前記軸体が前記ダンパ力 生用弁体を前記ケースの内面から離れる方 に移動させることを特徴とする。

 請求項1に記載の発明によれば、第一室の 圧力が所定の圧力に達するとき、第一室の体 積が増える。このため、過負荷によって第一 室が高圧になっても、第一室の内部圧力を瞬 時に低減することができる。また、過負荷だ けでなく、温度上昇に伴う粘性流体の体積膨 張によっても、第一室の内部圧力が増加する のを防止することができる。

 請求項2に記載の発明によれば、ケースに 対する軸体の回転角度が何度であろうとも、 体積増大手段が第一室の体積を増大させるこ とができる。これに対し、ケースに体積増大 手段が設けられた場合は、ケースに対する軸 体の回転角度によっては、第一室の体積を増 大させることができなくなる。

 請求項3に記載の発明によれば、粘性流体 が充填される室の外に弁体を配置するので、 粘性流体の粘性抵抗による弁体のレスポンス の低下や、弁体の動作のばらつきを抑制する ことが可能になる。

 請求項4又は6に記載の発明によれば、第 室の圧力が所定の圧力に達するとき、バイ ス流路が第一室と第二室を繋げるだけでな 、第一室の体積を増やす。このため、過負 によって第一室が高圧になっても、第一室 内部圧力を瞬時に低減することができる。 た、過負荷だけでなく、温度上昇に伴う粘 流体の体積膨張によっても、第一室の内部 力が増加するのを防止することができる。 らに、粘性流体が充填される室の外に弁体 配置するので、粘性流体の粘性抵抗による 体のレスポンスの低下や、弁体の動作のば つきを抑制することが可能になる。

 請求項5に記載の発明によれば、空間領域 を有効に活用することができる。

 請求項7に記載の発明によれば、軸体が一 方向に回転するとき、ダンパ力発生用弁体が 第一室と第二室とを区画することによってダ ンパをオンにして制動力を発生させることが できる。その一方、軸体が他方向に回転する とき、ダンパ力発生用弁体がケースの内面を 押圧する力を低減あるいはなくすので、軸体 をケースに対して軽い力で回転させることが できる。

本発明の第一の実施形態のヒンジ装置 分解斜視図 ヒンジ装置の軸線に直交する断面図 ヒンジ装置の軸線に沿った断面図(過負 荷防止弁の作動前の状態) ヒンジ装置の軸線に沿った断面図(過負 荷防止弁の作動後の状態) ヒンジ装置の軸線に直交する断面図(二 つの第一室を連通する連通路を示す図) 軸体の斜視図 軸体の側面図 ヒンジ装置の軸線に直交する断面図(第 二室連絡流路を示す図) 本発明の第二の実施形態のヒンジ装置 分解斜視図 軸体の斜視図(図中(A)は軸体の軸体嵌 部の一方の片を手前にした状態を示し、図 (B)は軸体嵌合部の他方の片を手前にした状 を示す) 軸体の軸線に直交する断面図(図中(A) 第一室連通孔部分の断面図を示し、図中(B) 第二室連通孔部分の断面図を示す) 軸体及びダンパ力発生用弁体の動作を 示す詳細図(図中(A)は軸体を反時計方向に回 た状態を示し、図中(B)は軸体を時計方向に した状態を示す) ヒンジ装置の軸線に沿った断面図(図 (A)は過負荷防止弁の作動前の状態を示し、 中(B)は過負荷防止弁の作動後の状態を示す) 図11のXIV-XIV線断面図 ヒンジ装置の他の例を示す断面図(図 (A)は連通路が第一室に二か所で接続されて る例を示し、図中(B)は連通路が第一室に一 所で接続されている例を示す) 従来のヒンジ装置の過負荷防止機構を 示す断面図(図中(A)は調整弁が作動する前の 態を示し、図中(B)は調整弁が作動した後の 態を示す)

符号の説明

11,41,51…ケース
12,42,52…軸体
14a,43a,54a…第一室
14b,43b,54b…第二室
16…円柱形状の弁
17…弁支持部
44,48…オリフィス
22c…連通溝(連通路)
26…空間領域
28…過負荷防止弁(弁体)
31…圧縮コイルスプリング(ばね部材)
38…バイパス流路
56…ダンパ力発生用弁体

 以下添付図面に基づいて、本発明の第一 実施形態におけるヒンジ装置を説明する。 1は、ヒンジ装置の分解斜視図を示す。ヒン ジ装置は、筒状のケース11と、ケース11にそ 一部が挿入されてケース11に対して回転可能 な軸体12と、を備える。ケース11が洋式便器 どの第一部材、又は便座・便蓋などの第二 材の一方に固定され、軸体12が第一部材又は 第二部材の他方に固定される。ケース11の中 線と軸体12の中心線とは一致する。

 ケース11は、有底円筒状に形成される。 ース11の底部には、軸体12に向かって突出す 円柱状の突起11aが形成される(図3参照)。ケ ス11の円周部11bの開放端には、ねじ11cが加 される。ねじ11cは、軸体12をケース11に組み むためのカバーナット15に螺合する。ケー 11には、ケース11を第一部材又は第二部材に り付けるための取付け孔11dが形成される。

 図2に示されるように、ケース11の内周と 体12の外周との間に、粘性流体が充填され 高圧側の第一室14aと低圧側の第二室14bが形 される(図2参照)。ケース11の内周面には、円 柱形状の弁16が収容される溝形状の弁支持部1 7が形成される。2箇所の弁支持部17は、周方 に180度の間隔を開けて設けられる。各弁支 部17は、直線状の傾斜壁面17aと、円弧状の壁 面17bと、を有する。円柱形状の弁16は、弁支 部17内を僅かに移動できるように弁支持部17 に支持される。弁16は、軸体12が反時計方向 回転するとき、軸体12及びケース11の傾斜壁 17aに密着して、粘性流体の流れを遮断する 一方、軸体12が時計方向に回転するとき、 体12及びケース11に密着することなく、粘性 体の流れを許容する。これら弁16及び弁支 部17が逆止弁機構20を構成する。

 すなわち、軸体12が反時計方向に回転す とき、第一室14aが高圧になり、第二室14bが 圧になる。このとき、円柱形状の弁16が直線 状の傾斜壁面17a上を上昇し、あたかも楔のよ うに軸体12の外周面と傾斜壁面17aとの間に入 込み、粘性流体の流路を閉じる。一方、軸 12が時計方向に回転するとき、粘性流体は 二室14bから第一室14aに移動しようとする。 だし、このとき、円柱形状の弁16は、円弧状 の壁面17bに押し付けられるのみなので、第一 室14aと第二室14bに流れる粘性流体の流路は、 閉じられることがない。

 図1に示されるように、軸体12のケース11 挿入される挿入部22は、略円柱形状に形成さ れる。軸体12の挿入部22の外周面には、半径 向に突出する突出部22aが形成される。突出 22aは、周方向に180度の間隔を開けて設けら ると共に、軸体12の軸線方向に伸びる。図2 示されるように、軸体12がケース11に対して 転するとき、突出部22aの外周面とケース11 内周面との間の僅かなすきまを粘性流体が れる。第一室14aから第二室14bに移動する粘 流体の流路を狭めたこのすきまがオリフィ 48を構成する。オリフィス48を設けることで 負荷の大きさに追従したダンパ力を発生さ ることができる。

 ケース11の内周面と軸体12の外周面との間 には、粘性流体が充填される部屋が形成され る。この部屋は、ケース11のオリフィス48及 軸体12の突出部22aによって第一室14aと第二室 14bとに区画される。この実施形態では、二箇 所のオリフィス48と二箇所の逆止弁機構20が けられているので、粘性流体が充填される 屋が、二つの第一室14aと二つの第二室14bと 区画される。

 図3に示されるように、軸体12の挿入部22 端面には、ケース11の円柱状の突起に形状を 合わせた凹み22bが形成される。軸体12をケー 11に挿入したとき、ケース11の突起11aに軸体 12の凹み22bが嵌まる。また、この凹み22bには 二つの第一室14aを連通する連通路である連 溝22cが形成される(図5及び図6も参照)。

 図1に示されるように、軸体12のケース11 ら突き出る嵌合部23には、複数の平坦面23aが 形成される。第一部材又は第二部材の他方に は、軸体12の複数の平坦面23aに対応する複数 平坦面が形成される。軸体12の嵌合部23を第 一部材又は第二部材に嵌めることで、軸体12 第一部材又は第二部材と共に回転する。軸 12の軸線方向における挿入部22と嵌合部23と 間には、周方向に伸びる溝24が形成される この溝24には、第一室14a及び第二室14bに充填 される粘性流体を密封するためのOリング25が 巻かれる。

 図3に示されるように、軸体12の中心には 軸線方向に伸びる有底円筒形状の空間領域2 6が形成される。また軸体12には、連通溝22cと 空間領域26とを繋げる貫通孔27が開けられる 軸体12の空間領域26には、弁体である過負荷 止弁28が軸線方向に移動可能に配置される 空間領域26に配置された過負荷防止弁28が、 一室14aの体積を増大させる体積増大手段と て機能する。過負荷防止弁28は空間領域26の 内周面に径を合わせた大径部29と、ばね部材 ある圧縮コイルスプリング31が巻かれる小 部30と、からなる。大径部29の一方の端部に 、貫通孔27に嵌まる突起部29aが形成される 大径部29の一方の端面29bが第一室14aに充填さ れる粘性流体に面し、他方の端面29cが空間領 域26に面する。大径部29の外周面には、周方 に伸びる溝33が加工される。溝33にはOリング 34が巻かれる。Oリング34は、第一室14aに充填 れる粘性流体が空間領域26に漏れるのを防 する。小径部30に巻かれる圧縮コイルスプリ ング31は、過負荷防止弁28を第一室14a側に付 する。圧縮コイルスプリング31は、軸体12に 入されるスプリングピン36に抜けないよう 支持される。

 図1に示されるように、軸体12がケース11 ら抜けるのを防止するために、軸受37、カバ ーナット15をケース11に装着する。軸受37は、 ケース11に対して軸体12が回転するのを案内 る。軸受37の外周には、粘性流体が外部に漏 れるのを防止するOリング40が装着される。カ バーナット15は、ケース11の開放端部に形成 たねじ11cにねじ止めされる。

 上述したように、オリフィス48を設ける とで、負荷の大きさに追従したダンパ力を 生させることができる。しかしその反面、 負荷(通常使用の負荷以外の強制的な開閉や 撃的な開閉)が与えられた場合に、第一室14a の内部圧力が増大してケース11や軸体12など 構成部品を破損するおそれがある。構成部 の破損を防止するために、一定の負荷を超 る過負荷に対しては、ダンパ力が発生しな ようにする過負荷防止機構を採用している

 図3に示されるように、通常使用の負荷範 囲では、過負荷防止弁28が圧縮コイルスプリ グ31によって軸体12に押し付けられている。 そして、第一室14aと第二室14bを繋げるバイパ ス流路38が遮断される。この状態のときは、 ンパ力が高出力になっている。

 負荷がある一定値を超えると、図4に示さ れるように、高圧側の第一室14aの内部圧力が 圧縮コイルスプリング31の反力に勝り、過負 防止弁28が圧縮コイルスプリング31側に押さ れる。第一室14aの内部圧力によって、過負荷 防止弁28が空間領域26を移動することにより 第一室14aと第二室14bを繋げるバイパス流路38 が形成される。

 図4に示されるように、バイパス流路38の 面には、第二室14bに繋がる第二室連絡流路3 9が形成される。図7及び図8に示されるように 、第二室連絡流路39は、軸体12を内周側から 周側に貫通する貫通孔からなる。バイパス 路38が形成されて、第一室14aと第二室14bとが 繋がると、第一室14aに充填される粘性流体が バイパス流路38及び第二室連絡流路39を経由 て第二室14bに流れるようになる。オリフィ 48を経由する流路の迂回路が形成されること になるので、過負荷によって第一室14aが過度 に高圧になるのを防止することができ、ダン パ力を低出力状態にすることができる。

 また、バイパス流路38を形成することに って、第一室14aと第二室14bを繋げることが きるだけでなく、第一室14aの体積を増やす とができる(第一室14aに繋がる連通溝22cの体 を増やすことができ、結果的に第一室14aの 積を増やすことができる)。過負荷防止弁28 粘性流体に満たされた領域ではなく、空間 域26に配置することで、第一室14aの体積を やすことが可能になる。第一室14aの体積を やすことができるので、過負荷によって第 室14aが高圧になっても、第一室14aの内部圧 を瞬時に低減することができる。

 空間領域26における過負荷防止弁28の移動 量が所定量未満(図4中二点鎖線Lで示す)のと 、バイパス流路38は第一室14aと第二室14bとを 繋げることはない。粘性流体の温度上昇によ る体積の膨張を見込んで過負荷防止弁28を作 させることができるので、ヒンジ装置が高 雰囲気中で使用されるときの誤動作、すな ち粘性流体の温度上昇によって、バイパス 路38が形成されるのを防止することができ 。

 図9は、本発明の第二の実施形態のヒンジ 装置の分解斜視図を示す。この実施形態のヒ ンジ装置は、筒状のケース51と、ケース51に の一部が挿入されてケース51に対して回転可 能な軸体52と、を備える。ケース51が洋式便 などの第一部材、又は便座・便蓋などの第 部材の一方に固定され、軸体52が第一部材又 は第二部材の他方に固定される。ケース51は 有底円筒状に形成される。ケース51の底部 は、軸体52に向かって突出する円柱状の突起 51aが形成される(図13(A)参照)。軸体52には円柱 状の突起51aに嵌まる円筒形状の凹部52a(図10参 照)が形成される。軸体52の回転運動はケース 51の突起51a及びケース51に取り付けた軸受53に 案内される。

 図11(A)に示されるように、ケース51と軸体 52との間には、粘性流体が充填される第一室5 4aと第二室54bが周方向に交互に二つずつ形成 れる。上記第一の実施形態のヒンジ装置に いては、図2に示されるように、軸体12が一 向である反時計方向に回転するとき、高圧 の第一室14aと低圧側の第二室14bとが逆止弁 構20の円柱形状の弁16によって区画される。 そして、軸体12の突出部22aとケース11の内周 との間のオリフィス48を経由して粘性流体が 高圧側の第一室14aから低圧側の第二室14bへ流 れる。これによって、ダンパ力を発生させる 。これに対して、本実施形態においては、図 11(A)に示されるように、軸体52が一方向であ 反時計方向に回転するとき、高圧側の第一 54aと低圧側の第二室54bとは、軸体52とケース 51の内周面との間に介在されるダンパ力発生 弁体56によって区画される。このダンパ力 生用弁体56は軸体52と共に回転する。そして 粘性流体はケース51の内側に突出する突起51 bと軸体52の小径部との間のオリフィス57を経 して高圧側の第一室54aから低圧側の第二室5 4bへ流れる。これによって、ダンパ力を発生 せる。軸体52が他方向である時計方向に回 するとき、逆に第一室54aが低圧側に第二室54 bが高圧側になる。このとき、ダンパ力発生 弁体56は低圧側の第一室54aと高圧側の第二室 54bとを区画することはない。粘性流体は軸体 52の切欠き部58を経由して高圧側の第二室54b ら低圧側の第一室54aへと流れるので、ダン 力が発生することはない。

 図10に示されるように、軸体52のケース51 挿入される挿入部59には、小径部59aと、小 部59aから半径方向に張り出す断面V字形状の 体係合部60が形成される。弁体係合部60は周 方向に180度の間隔を開けて二つ形成され、軸 体52の軸線方向に細長く伸びる。弁体係合部6 0には、ダンパ力発生用弁体56が嵌まり込む。 弁体係合部60の一片60aの長手方向の中央部に 、高圧側の第二室54bから低圧側の第一室54a 粘性流体を流すための切欠き部58が形成さ る。軸体52の小径部59aには、オリフィス57を 成する浅溝63が形成される。

 図12は、弁体係合部60及びダンパ力発生用 弁体56の詳細図を示す。ダンパ力発生用弁体5 6は、ケース51の内周面に沿う円弧状の外周部 56aと、弁体係合部60のV字形状の溝に嵌まる軸 体嵌合部56bと、を一体に形成してなる。軸体 嵌合部56bは弁体係合部60の溝に僅かなすきま 空けた状態で嵌められる。弁体係合部60に 、溝を構成する第一の傾斜面64及び第二の傾 斜面65が形成される。ダンパ力発生用弁体56 軸体嵌合部56bにも、弁体係合部60の第一及び 第二の傾斜面64,65に対応し、山を構成する第 及び第二の傾斜面68,69が形成される。

 図12(A)に示されるように、軸体52を反時計 方向に回転させると、軸体52の第一の傾斜面6 4とダンパ力発生用弁体56の第一の傾斜面68と 当接し、軸体52はダンパ力発生用弁体56に力 Fを作用させる。この力Fは、第一の傾斜面68 沿う方向の力成分F1と、第一の傾斜面に直交 する力成分F2とに分けられる。第一の傾斜面6 4は軸体52の中心Oと第一の傾斜面64を結ぶ線70 対して、ダンパ力発生用弁体56に外側に向 う力成分F1を作用させるように傾斜している 。ダンパ力発生用弁体56に外側に向かう力成 F1が作用するので、ダンパ力発生用弁体56は 軸体52の第一の傾斜面64に沿ってケース51の内 周面に向かって移動し、ダンパ力発生用弁体 56がケース51の内周面に密着する。これによ 、高圧側の第一室54aと低圧側の第二室54bと 区画され、粘性流体が高圧側の第一室54aか 低圧側の第二室54bに流れるのが遮断される このため、粘性流体はオリフィス57を経由し て高圧側の第一室54aから低圧側の第二室54bに 流れざるを得ず、ダンパ力が発生する。

 図12(B)に示されるように、軸体52を逆方向 である時計方向に回転させると、今度は軸体 52の第二の傾斜面65とダンパ力発生用弁体56の 第二の傾斜面69とが当接し、軸体52はダンパ 発生用弁体56に力Fを作用させる。この力も 様に、第二の傾斜面69に沿う方向の力成分F1 、第二の傾斜面69に直交する力成分F2とに分 けられる。第二の傾斜面69は、軸体52の中心O 第二の傾斜面を結ぶ線71に対して、ダンパ 発生用弁体56に内側に向かう力成分F1を作用 せるように傾斜している。ダンパ力発生用 体56に内側に向かう力成分F1が作用するので 、ダンパ力発生用弁体56が軸体52の第二の傾 面69に沿って軸体52の中心に向かって移動す 。これにより、ダンパ力発生用弁体56がケ ス51の内周面を押圧する力が低減するか、又 はなくなる。このため、ダンパ力発生用弁体 56が軸体52と共に回転し、ケース51の内周面を 摺動しても、軸体52を軽い力で回転させるこ ができる。ここで、ダンパ力発生用弁体56 ケース51の内周面に接したままでも離れても よい。また、軸体52を時計方向に回転させる 、ダンパ力発生用弁体56の第一の傾斜面64と 軸体52の第一の傾斜面68との間にすきま72が空 くので、すきま72及び軸体52の切欠き部58を介 して高圧側の第二室54bから低圧側の第一室54a へ粘性流体が流れる。このため、ダンパ力は 発生しない状態になっている。

 つまり、便座・便蓋を閉じるとき、ダン 力を発生させることによって便座・便蓋が 式便器に急激に衝突するのを防止すること できる。その一方、便座・便蓋を開くとき ダンパ力を発生させることなく、かつダン 力発生用弁体56がケース51の内周面を押圧す る力を低減又はなくすことによって、便座・ 便蓋を極めて軽い力で開くことが可能になる 。

 上記第一の実施形態においては、図6に示 されるように、二つの第一室を連通する連通 路としてのS字状の連通溝22cが軸体12の挿入部 22の端面に形成される。これに対して、図10(A )及び図14に示されるように、第二の実施形態 においては、二つの第一室54aを連通する第一 室連通孔74が軸体52の挿入部59の切欠き部58の 置に空けられる。この第一室連通孔74は軸 52の弁体係合部60の一方の片60aに軸体52を貫 するように直線状に形成される。また、図10 (B)に示されるように、軸体52の挿入部59の根 には、二つの第二室54bを連通する第二室連 孔75が形成される。この第二室連通孔75は軸 52の弁体係合部60の他方の片60bに軸体52を貫 するように直線状に形成される。

 図13(A)に示されるように、上記第一の実 形態のヒンジ装置と同様に、軸体52の中心に は軸線方向に伸びる空間領域76が形成され、 間領域76には過負荷防止弁78が軸線方向に移 動可能に配置される。ダンパがオンになる通 常の使用状態では、過負荷防止弁78の端部が 体52に設けた弁座79に着座し、第一室連通孔 74と第二室連通孔75(図13(A)参照)を遮断する。 かし、過負荷(通常使用の負荷以外の強制的 な開閉や衝撃的な開閉)が与えられ、高圧側 第一室54aの内部圧力が過度に上昇したとき 図13(B)に示されるように、高圧側の第一室54a の内部圧力が圧縮コイルスプリング31の反力 勝り、過負荷防止弁78が図中右側に移動す 。これにより、高圧側の第一室54aと低圧側 第二室54bとがバイパス流路81によって繋がり 、第一室54aに充填される粘性流体がバイパス 流路81及び第二室連通孔75を経由して第二室54 bに流れるようになる。このため、第一室54a 内部圧力が過度に上昇するのを防止でき、 部の機構を保護することができる。

 図9に示されるように、上記第一の実施形 態の軸体12と同様に第二の実施形態の軸体52 おいても、第一又は第二の部材と共に軸体52 を回転させることができるように軸体52には 数の平坦面52bが形成される。軸体52の空間 域に配置される圧縮コイルスプリング31、第 一室54aに充填される粘性流体が軸体52の空間 域76に漏れるのを防止するOリング34、軸体52 及び圧縮コイルスプリング31が軸体52から抜 るのを防止するピン36が設けられる点も上記 第一の実施形態と同一であるので、同一の符 号を附してその説明を省略する。さらに、軸 体52に巻かれるOリング25、軸体52の回転運動 案内する軸受53をケース51に固定するカバー ット15が設けられる点も上記第一の実施形 と同一であるから、同一の符号を附してそ 説明を省略する。

 なお、本発明は上記実施形態に限られる とはなく、本発明の要旨を変更しない範囲 他の実施形態に具現化できる。例えば、ヒ ジ装置は便器の開閉部だけでなく、門扉や 蓋が開く箱の開閉部に用いることができる また、軸体側ではなく、ケース側に空間領 を形成し、ケース側の空間領域に過負荷防 弁を配置してもよい。さらに、ケースに対 る軸体の回転は相対的なものであるので、 体が固定されてケースが回転してもよい。

 さらに、図15(A)及び(B)に示されるように ケース41と軸体42との間には一つの第一室43a 一つの第二室43bが形成されてもよい。この 合、逆止弁機構20は1箇所でよい。軸体42と ース41との間にオリフィス44を形成してもよ し、逆止弁機構20の弁16に微小な孔を設け、 この微小な孔をオリフィスにしてもよい。

 また、図15(A)に示されるように、連通路46 は一つの部屋を二か所で繋げてもいいし、図 15(B)に示されるように、連通路46は一つの部 を一か所で繋げてもいい(すなわち、途中で れていてもよい)。ただし、弁体47は、連通 46に面している必要がある。

 本明細書は、2007年10月5日出願の特願2007-2 62614に基づく。この内容はすべてここに含め おく。