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Patent Searching and Data


Title:
HOLLOW MEMBER, CYLINDER SLEEVE AND METHODS FOR PRODUCING THEM
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/111559
Kind Code:
A1
Abstract:
The tubular die (22) of a centrifugal casting device (20) of GNo.30 or above is employed suitably and powder (P) is introduced while rotating, and an outer tubular body (14) composed of that powder (P) is provided. Subsequently, molten (L1) is introduced to the inner circumferential wall side of the outer tubular body (14) while sustaining rotation of the tubular die (22) thus forming an inner tubular body (12). The outer tubular body (14) functions as a cooling metal (chiller) when the molten (L1) is cooled and solidified. In place of the outer tubular body (14) composed of the powder (P), molten may be used for forming an outer tubular body or an outer tubular molding molded previously into tubular shape may be employed.

Inventors:
FUKUMOTO, Tomonori (6-1, Hagadai, Hagamachi, Hagagu, Tochigi 95, 3213395, JP)
福本知典 (〒95 栃木県芳賀郡芳賀町芳賀台6番地1 ホンダエンジニアリング株式会社内 Tochigi, 3213395, JP)
IIJIMA, Yukio (6-1, Hagadai, Hagamachi, Hagagu, Tochigi 95, 3213395, JP)
飯島幸雄 (〒95 栃木県芳賀郡芳賀町芳賀台6番地1 ホンダエンジニアリング株式会社内 Tochigi, 3213395, JP)
ECHIGO, Takaharu (6-1, Hagadai, Hagamachi, Hagagu, Tochigi 95, 3213395, JP)
越後隆治 (〒95 栃木県芳賀郡芳賀町芳賀台6番地1 ホンダエンジニアリング株式会社内 Tochigi, 3213395, JP)
YAMAGAMI, Kazuaki (6-1, Hagadai, Hagamachi, Hagagu, Tochigi 95, 3213395, JP)
Application Number:
JP2008/054304
Publication Date:
September 18, 2008
Filing Date:
March 10, 2008
Export Citation:
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Assignee:
HONDA MOTOR CO., LTD. (1-1 Minami-Aoyama 2-chome, Minato-ku Tokyo, 56, 1078556, JP)
本田技研工業株式会社 (〒56 東京都港区南青山二丁目1番1号 Tokyo, 1078556, JP)
FUKUMOTO, Tomonori (6-1, Hagadai, Hagamachi, Hagagu, Tochigi 95, 3213395, JP)
福本知典 (〒95 栃木県芳賀郡芳賀町芳賀台6番地1 ホンダエンジニアリング株式会社内 Tochigi, 3213395, JP)
IIJIMA, Yukio (6-1, Hagadai, Hagamachi, Hagagu, Tochigi 95, 3213395, JP)
飯島幸雄 (〒95 栃木県芳賀郡芳賀町芳賀台6番地1 ホンダエンジニアリング株式会社内 Tochigi, 3213395, JP)
ECHIGO, Takaharu (6-1, Hagadai, Hagamachi, Hagagu, Tochigi 95, 3213395, JP)
越後隆治 (〒95 栃木県芳賀郡芳賀町芳賀台6番地1 ホンダエンジニアリング株式会社内 Tochigi, 3213395, JP)
International Classes:
B22D13/02; B22D19/16; F02F1/00
Attorney, Agent or Firm:
CHIBA, Yoshihiro et al. (Shinjuku Maynds Tower 16F, 1-1Yoyogi 2-chome, Shibuya-ku, Tokyo 53, 1510053, JP)
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Claims:
 略円筒体形状をなす積層型の中空部材(10)であって、
 アルミニウム又はアルミニウム合金の粉末が互いに溶着して形成された外側円筒形状体(14)と、
 前記外側円筒形状体(14)の内周壁に接合し、且つAl-Si系合金からなる内側円筒形状体(12)と、
 を有することを特徴とする中空部材(10)。
請求項1記載の中空部材(10)において、前記外側円筒形状体(14)がAl-Si系合金からなることを特徴とする中空部材(10)。
 回転する円筒状金型(22)に溶湯(l1)を供給して遠心鋳造により略円筒体形状をなす積層型の中空部材(10)を作製する中空部材(10)の製造方法であって、
 アルミニウム又はアルミニウム合金の粉末(P)を円筒状金型(22)に導入して外側円筒形状体(14)を形成する工程と、
 Al-Si系合金の溶湯(L1)を前記外側円筒形状体(14)の内周壁側に注湯することで前記粉末(P)同士を溶着させるとともに、前記溶湯(L1)によって前記外側円筒形状体(14)の内周壁に接合する内側円筒形状体(12)を設け、前記外側円筒形状体(14)と前記内側円筒形状体(12)とが積層された中空部材(10)を作製する工程と、
 を有することを特徴とする中空部材(10)の製造方法。
 請求項3記載の製造方法において、前記外側円筒形状体(14)となる粉末(P)を前記円筒状金型(22)に導入する際、前記円筒状金型(22)をGナンバー(GNo.)30以上で回転させることを特徴とする中空部材(10)の製造方法。
 請求項3又は4記載の製造方法において、前記外側円筒形状体(14)としてAl-Si系合金からなるものを設けることを特徴とする中空部材(10)の製造方法。
 略円筒体形状をなす積層型の中空部材(110)であって、
 外側円筒形状体(114)及び内側円筒形状体(112)を外周側からこの順序で有し、
 前記内側円筒形状体(112)と前記外側円筒形状体(114)とが互いに同一種のAl-Si系合金であることを特徴とする中空部材(110)。
 請求項6記載の中空部材(110)において、金属組織中の初晶Siの平均粒径が35μm以下であることを特徴とする中空部材(110)。
 請求項6又は7記載の中空部材(110)において、当該中空部材(110)は、内燃機関を構成するシリンダブロックのボア内に配設されるシリンダスリーブであることを特徴とする中空部材(110)。
 回転する円筒状金型(22)に溶湯(L2)を供給して遠心鋳造により略円筒体形状をなす積層型の中空部材(110)を作製する中空部材(110)の製造方法であって、
 回転する円筒状金型(22)にAl-Si系合金の溶湯(L2)を供給して遠心鋳造により外側円筒形状体(114)を設ける工程と、
 前記円筒状金型(22)を回転させながら、前記溶湯(L2)と同一種のAl-Si系合金からなる溶湯(L2)を前記外側円筒形状体(114)の内方に供給して遠心鋳造により内側円筒形状体(112)を設け、積層型の予備成形体とする工程と、
 を有することを特徴とする中空部材(110)の製造方法。
 請求項9記載の製造方法において、前記外側円筒形状体(114)の厚みを0.5~2.0mmとし、且つ該外側円筒形状体(114)の温度が状態図の液相-固相線温度以下となった後に前記内側円筒形状体(112)となる溶湯(L2)を導入することを特徴とする中空部材(110)の製造方法。
 請求項9又は10記載の製造方法において、さらに、前記予備成形体の内周壁側から削り出しを行い、内燃機関を構成するシリンダブロックのボア内に配設されるシリンダスリーブとする工程を有することを特徴とする中空部材(110)の製造方法。
 略円筒体形状をなす積層型の中空部材(210)であって、
 内側円筒形状鋳造体(212)及び外側円筒形状成形体(214)を内周側からこの順序で有し、
 前記内側円筒形状鋳造体(212)がアルミニウム又はアルミニウム合金からなり、
 前記外側円筒形状成形体(214)がAl-Si系合金からなることを特徴とする中空部材(210)。
 請求項12記載の中空部材(210)において、前記内側円筒形状鋳造体(212)の金属組織中の初晶Siの平均粒径が35μm以下であることを特徴とする中空部材(210)。
 請求項12又は13記載の中空部材(210)において、当該中空部材(210)は、内燃機関を構成するシリンダブロックのボア内に配設されるシリンダスリーブであることを特徴とする中空部材(210)。
 略円筒体形状をなし、内側円筒形状鋳造体(212)及び外側円筒形状成形体(214)が内周側からこの順序で積層された中空部材(210)の製造方法であって、
 外側円筒形状成形体(214)となるアルミニウム又はアルミニウム合金製の円筒体を遠心鋳造装置の円筒状金型(22)に挿入する工程と、
 回転する前記円筒状金型(22)にAl-Si系合金の溶湯(L3)を供給して遠心鋳造により内側円筒形状鋳造体(212)を設け、積層型の予備成形体とする工程と、
 を有することを特徴とする中空部材(210)の製造方法。
 請求項15記載の製造方法において、前記外側円筒形状成形体(214)である前記円筒体の厚みを1.0~2.0mmに設定することを特徴とする中空部材(210)の製造方法。
 請求項15又は16記載の製造方法において、さらに、前記予備成形体の内周壁側から削り出しを行い、内燃機関を構成するシリンダブロックのボア内に配設されるシリンダスリーブとする工程を有することを特徴とする中空部材(210)の製造方法。
 内燃機関を構成するシリンダブロックのボア内に配設されるシリンダスリーブであって、
 外側円筒形状体(314)及び内側円筒形状体(312)を外周側からこの順序で有し、
 前記内側円筒形状体(312)と前記外側円筒形状体(314)とが互いに別種のAl-Si系合金であることを特徴とするシリンダスリーブ。
 請求項18記載のシリンダスリーブにおいて、前記内側円筒形状体(312)をなすAl-Si系合金が前記外側円筒形状体(314)をなすAl-Si系合金に比して耐摩耗性が大きいものであることを特徴とするシリンダスリーブ。
 請求項18又は19記載のシリンダスリーブにおいて、前記外側円筒形状体(314)が、前記シリンダブロックをなす材質との線膨張係数の差が3×10 -6 /℃以内であるAl-Si系合金からなることを特徴とするシリンダスリーブ。
 請求項18~20のいずれか1項に記載のシリンダスリーブにおいて、前記外側円筒形状体(314)の外周壁に凹凸が形成されていることを特徴とするシリンダスリーブ。
 内燃機関を構成するシリンダブロックのボア内に配設されるシリンダスリーブを製造する方法であって、
 回転する円筒状金型(22)にAl-Si系合金の第1溶湯(L4)を供給して遠心鋳造により外側円筒形状体(314)を設ける工程と、
 前記円筒状金型(22)を回転させながら、前記第1溶湯(L4)とは別種のAl-Si系合金である第2溶湯(L5)を前記外側円筒形状体(314)の内方に供給して遠心鋳造により内側円筒形状体(312)を設け、積層型の予備成形体(310)とする工程と、
 前記予備成形体(310)の内周壁側から削り出しを行う工程と、
 を有することを特徴とするシリンダスリーブの製造方法。
 請求項22記載の製造方法において、前記第2溶湯(L5)として、前記第1溶湯(L4)のAl-Si系合金に比して耐摩耗性が大きいAl-Si系合金の溶湯を用いることを特徴とするシリンダスリーブの製造方法。
 請求項22又は23記載の製造方法において、前記第1溶湯(L4)として、シリンダブロックをなす材質との線膨張係数の差が3×10 -6 /℃以内であるものを用いることを特徴とするシリンダスリーブの製造方法。
Description:
中空部材、シリンダスリーブ及 それらの製造方法

 本発明は、略円筒体形状をなす中空部材 いしシリンダスリーブ、及びそれらの製造 法に関する。

 自動車を走行させる駆動源である内燃機 においては、シリンダボア内にシリンダス ーブが配設されることがある。この場合、 リンダボア内で往復動作するピストンの側 壁部は、このシリンダスリーブの内周壁に 接する。近年、この種のシリンダスリーブ 材質として、軽量でありながら耐摩耗性に れ、高強度であるということから、アルミ ウム合金、特に、Al-Si系合金が選定される とが増加しつつある。

 シリンダスリーブは、特許文献1に記載さ れているように、いわゆる遠心鋳造法によっ て作製されることがある。すなわち、回転動 作する円筒状金型の内部に溶湯を導入すると 、遠心力によって溶湯が円筒状金型の内周壁 に偏在するようになり、円筒形状体をなす。 この円筒形状となった溶湯を冷却固化して得 られた予備成形体に対して削り出し等の機械 加工を行うことにより、円筒形状の製品であ るシリンダスリーブが設けられる。このシリ ンダスリーブの外周壁には、前記円筒状金型 の内壁に塗布された塗型材の表面の凹凸形状 が転写されることによって、いわゆるスパイ ニーが形成される。

 このシリンダスリーブを金型の所定の位 に配置した後、前記金型に溶湯を注湯して 却固化すれば(すなわち、鋳造を行えば)、 リンダスリーブが鋳ぐるまれたシリンダブ ックが設けられる。この際、前記スパイニ や、前記削り出し等の機械加工によってシ ンダスリーブの外周壁に設けられた起伏(例 ば、溝状の筋等)、ショットブラスト処理に よってシリンダスリーブの外周壁に設けられ た凹凸等がアンカーとして機能することによ り、シリンダブロックとシリンダスリーブと の接合強度が確保される。

 ところで、シリンダスリーブを得るべくA l-Si系合金の溶湯を用いて特許文献1の記載に って遠心鋳造を行った場合、初晶Siが外周 側に多量に偏在するようになるので、前記 備成形体の直径方向中腹近傍においては、 晶Siの量が少なくなる。従って、この予備成 形体の内周壁側から削り出しを行うと、ピス トンが摺接する内周壁の初晶Siの量が少ない リンダスリーブとなってしまう。換言すれ 、Al-Si系合金からなるシリンダスリーブを 心鋳造で作製する場合、該シリンダスリー におけるSiの組成比を制御することが容易で はなく、このために所望の特性を発現させる ことが困難であるという不具合が顕在化して いる。

 また、シリンダスリーブの更なる強度向 の希求に対応しつつ靭性を確保するべく、 織の改善、具体的には、Al-Si系合金の溶湯 固化する際に析出する初晶Siを微細化するこ とが検討されている。しかしながら、遠心鋳 造を行う場合に初晶Siを微細化するためには 円筒状金型の回転数や温度等の鋳造条件を 々変更して最適化を図る必要がある。すな ち、鋳造条件を最適化するための試行錯誤 繰り返し行わなければならない。しかも、 産時には、最適化された鋳造条件を厳密に 理する必要がある。

 さらに、シリンダスリーブを鋳ぐるむシ ンダブロックの材質としても、アルミニウ 又はその合金が選定される場合が増加して るが、シリンダブロックを設けるための溶 は、鋳造作業を円滑に進行させるべく湯廻 性が良好となる組成に調製され、一方、シ ンダスリーブとなる溶湯は、優れた耐摩耗 が発現する組成に調製される。このため、 リンダブロックとなる溶湯の組成と、シリ ダスリーブとなる溶湯の組成とは必ずしも 致しない。このように組成が相違すること 起因して、シリンダブロックとシリンダス ーブの線膨張係数が互いに相違することに る。

 線膨張係数が著しく相違すると、シリン ブロックを鋳造する際に溶湯が冷却固化し とき、スパイニーによるアンカー効果が生 てもなお十分な接合強度を確保することが 易でなくなることがある。そこで、特許文 2には、接合強度を向上させるべく、スパイ ニーに比して大きな突起物を設けることがシ リンダスリーブの外周壁に提案されている。 また、特許文献3によれば、シリンダスリー の外周壁に低融点合金をコーティングする とが接合強度の向上に有効である、とのこ である。

 しかしながら、これら特許文献2及び特許 文献3には、初晶Siをシリンダスリーブ中に略 均等に分散させることや、初晶Siの微細化さ ることについての方策は開示されていない また、これらに開示された手法に比して一 簡便な作業によってシリンダスリーブとシ ンダブロックとの接合強度を向上させるこ が希求されている。

特公昭52-27608号公報

特許第3866636号公報

特開2006-43708号公報

 本発明の一般的な目的は、各成分元素が 定の組成比に制御された中空部材を提供す ことにある。

 本発明の主たる目的は、初晶Siが微細化 れた中空部材を提供することにある。

 本発明の別の目的は、シリンダブロック 接合させることが容易なシリンダスリーブ 提供することにある。

 本発明のまた別の目的は、内周壁が耐摩 性に優れるシリンダスリーブを提供するこ にある。

 本発明のさらに別の目的は、作業が簡便 鋳造条件の厳密な管理も不要な中空部材の 造方法を提供することにある。

 本発明のさらにまた別の目的は、微細な 晶Siが略均等に分散されたシリンダスリー の製造方法を提供することにある。

 本発明に係る一実施形態によれば、略円筒 形状をなす積層型の中空部材であって、
 アルミニウム又はアルミニウム合金の粉末 互いに溶着して形成された外側円筒形状体 、
 前記外側筒形状体の内周壁に接合し、且つA l-Si系合金からなる内側円筒形状体と、
 を有する中空部材が提供される。

 この場合、後述するように、内側円筒形 体は溶湯を用いての遠心鋳造によって設け れる。この際、外側円筒形状体が冷やし金( チラー)として機能することで溶湯の冷却速 が大きくなり、このため、微細な初晶Siが直 径方向に略均等に分散する。換言すれば、こ の中空部材を構成する内側円筒形状体におい ては、微細な初晶Siが一様に分散して存在す 。従って、相違する部位同士であっても諸 性が略同等である。

 しかも、例えば、シリンダスリーブとす ために中空部材の内周壁側(内側円筒形状体 側)から削り出しを行って薄肉化した場合で っても、上記したように初晶Siが略均等に分 散しているので、十分な耐摩耗性等を確保す ることが可能である。

 ここで、外側円筒形状体をアルミニウム 金とする場合、その好適な例としては、Al-S i系合金を挙げることができる。このAl-Si系合 金は、内側円筒形状体と同一組成のものであ ってもよいし、互いに異なる組成のものであ ってもよい。例えば、外側円筒形状体をAl-12% Si系合金(数字は重量%、以下同じ)で構成する 方、内側円筒形状体をAl-23%Si系合金で構成 るようにしてもよい。

 本発明に係る別の一実施形態によれば、回 する円筒状金型に溶湯を供給して遠心鋳造 より略円筒体形状をなす積層型の中空部材 作製する中空部材の製造方法であって、
 アルミニウム又はアルミニウム合金の粉末 円筒状金型に導入して外側円筒形状体を形 する工程と、
 Al-Si系合金の溶湯を前記外側円筒形状体の 周壁側に注湯することで前記粉末同士を溶 させるとともに、前記溶湯によって前記外 円筒形状体の内周壁に接合する内側円筒形 体を設け、前記外側円筒形状体と前記内側 筒形状体とが積層された中空部材を作製す 工程と、
 を有する中空部材の製造方法が提供される

 本発明においては、粉末を用いて外側円 形状体を先ず成形し、次に、該外側円筒形 体の内方に遠心鋳造によって内側円筒形状 を設けるようにしている。この際、外側円 形状体がチラーとして機能するため、溶湯 冷却速度が大きくなる。すなわち、初晶Si 大きく成長したり外側円筒形状体側に移動 たりする前に溶湯が固化する。従って、微 な初晶Siが略均等に分散した組織を有する内 側円筒形状体が得られる。

 しかも、この場合、外側円筒形状体を設 るための原材料として溶湯を用いないので 粉末を溶解するための作業行う必要がなく 溶解炉も不要である。従って、粉末を溶解 るためのコストないし設備投資が高騰する とも回避することができ、結局、中空部材 廉価に作製することができる。

 なお、外側円筒形状体となる粉末を円筒 金型に導入する際には、円筒状金型をGナン バー(GNo.)30以上で回転させることが好ましい この場合、粉末が遠心力によって円筒状金 の内周壁に脱落することなく押止される。 のため、外側円環形状体を確実に成形する とができる。

 また、外側円筒形状体をアルミニウム合 とする場合、上記したように、Al-Si系合金 その好適な例として挙げることができる。

 本発明に係るまた別の一実施形態によれば 略円筒体形状をなす積層型の中空部材であ て、
 外側円筒形状体及び内側円筒形状体を外周 からこの順序で有し、
 前記内側円筒形状体と前記外側円筒形状体 が互いに同一種のAl-Si系合金である中空部 が提供される。

 ここで、本発明における「同一種」は、 本工業規格(JIS)等の各種規格において同一 鋳造用合金として分類されるものを指称す 。例えば、内側円筒形状体がAC9A(JISに規格さ れるアルミニウム合金)相当材からなる場合 は、外側円筒形状体もAC9A相当材からなる。 の場合において、両者の組成が厳密に一致 る必要はない。すなわち、AC9A相当材は22~24 量%のSiを含有するアルミニウム合金である 、例えば、Siが22質量%のAC9A相当材で内側円 形状体を形成し、且つSiが24質量%のAC9A相当 で外側円筒形状体を形成するようにしても い。

 この場合、後述するように、内側円筒形 体は、遠心鋳造によって設けられた外側円 形状体の内方に遠心鋳造によって設けられ 。この際、外側円筒形状体が冷やし金(チラ ー)として機能することで溶湯の冷却速度が きくなり、このため、微細な初晶Siが直径方 向に略均等に分散する。換言すれば、この中 空部材を構成する内側円筒形状体においては 、微細な初晶Siが一様に分散して存在する。 って、相違する部位同士であっても諸特性 略同等である。

 しかも、例えば、中空部材の内周壁側(内 側円筒形状体側)から削り出しを行って薄肉 した場合であっても、上記したように初晶Si が略均等に分散しているので、十分な耐摩耗 性等を確保することが可能である。

 なお、内側円筒形状体の金属組織におけ 初晶Siの平均粒径は、35μm以下であることが 好ましい。この場合、耐摩耗性に優れるとと もに強度も良好な中空部材を得ることができ る。

 本発明に係るさらに別の一実施形態によれ 、回転する円筒状金型に溶湯を供給して遠 鋳造により略円筒体形状をなす積層型の中 部材を作製する中空部材の製造方法であっ 、
 回転する円筒状金型にAl-Si系合金の溶湯を 給して遠心鋳造により外側円筒形状体を設 る工程と、
 前記円筒状金型を回転させながら、前記溶 と同一種のAl-Si系合金からなる溶湯を前記 側円筒形状体の内方に供給して遠心鋳造に り内側円筒形状体を設け、積層型の予備成 体とする工程と、
 を有する中空部材の製造方法が提供される

 本発明においては、内側円筒形状体を設 る際に外側円筒形状体がチラーとして機能 るため、溶湯の冷却速度が大きくなる。す わち、初晶Siが大きく成長したり外側円筒 状体側に移動したりする前に溶湯が固化す 。従って、微細な初晶Siが略均等に分散した 組織を有する内側円筒形状体が得られる。

 しかも、同一種の溶湯を2回に分けて円筒 状金型に供給するという簡便な作業を行うの みでよいので、中空部材の製造コストが上昇 することもない。結局、中空部材を廉価に作 製することができる。

 この場合、外側円筒形状体の厚みを0.5~2.0 mmとするとともに、該外側円筒形状体の温度 状態図の液相-固相線温度以下となった後、 内側円筒形状体となる溶湯を導入することが 好ましい。これにより、初晶Siの平均粒径を3 5μm以下とすることができる。

 本発明に係るさらにまた別の一実施形態に れば、略円筒体形状をなす積層型の中空部 であって、
 内側円筒形状鋳造体及び外側円筒形状成形 を内周側からこの順序で有し、
 前記内側円筒形状鋳造体がアルミニウム又 アルミニウム合金からなり、
 前記外側円筒形状成形体がAl-Si系合金から る中空部材が提供される。

 この場合、後述するように、内側円筒形 鋳造体は、遠心鋳造装置を構成する円筒状 型に予め挿入された外側円筒形状成形体の 方に遠心鋳造によって設けられる。この際 外側円筒形状成形体が冷やし金(チラー)と て機能することで溶湯の冷却速度が大きく り、このため、微細な初晶Siが直径方向に略 均等に分散した内側円筒形状鋳造体が得られ る。換言すれば、この中空部材を構成する内 側円筒形状鋳造体においては、微細な初晶Si 一様に分散して存在する。従って、相違す 部位同士であっても諸特性が略同等である

 しかも、例えば、中空部材の内周壁側(内 側円筒形状鋳造体側)から削り出しを行って 肉化した場合であっても、上記したように 晶Siが略均等に分散しているので、十分な耐 摩耗性等を確保することが可能である。

 なお、内側円筒形状鋳造体の金属組織に ける初晶Siの平均粒径は、35μm以下であるこ とが好ましい。この場合、耐摩耗性に優れる とともに強度も良好な中空部材を得ることが できる。

 本発明に係るさらにまた別の一実施形態に れば、内側円筒形状鋳造体及び外側円筒形 成形体が内周側からこの順序で積層された 空部材の製造方法であって、
 外側円筒形状成形体となるアルミニウム又 アルミニウム合金製の円筒体を遠心鋳造装 の円筒状金型に挿入する工程と、
 回転する前記円筒状金型にAl-Si系合金の溶 を供給して遠心鋳造により内側円筒形状鋳 体を設け、積層型の予備成形体とする工程 、
 を有する中空部材の製造方法が提供される

 本発明においては、内側円筒形状鋳造体 設ける際に外側円筒形状成形体がチラーと て機能するため、溶湯の冷却速度が大きく る。すなわち、初晶Siが大きく成長したり 側円筒形状成形体側に移動したりする前に 湯が固化する。従って、微細な初晶Siが略均 等に分散した組織を有する内側円筒形状鋳造 体が得られる。

 しかも、成形体である円筒体(外側円筒形 状成形体)を円筒状金型に予め挿入した後、Al -Si系合金の溶湯を円筒状金型に供給するとい う簡便な作業を行うのみでよいので、中空部 材の製造コストが上昇することもない。結局 、中空部材を廉価に作製することができる。

 この場合、外側円筒形状成形体の厚みを1 .0~2.0mmに設定することが好ましい。これによ 、初晶Siの平均粒径を35μm以下とすることが できる。その上、初晶Siの粒度分布幅も狭く る。

 以上の発明において、中空部材の好適な としては、内燃機関を構成するシリンダブ ックのボア内に配設されるシリンダスリー を挙げることができる。なお、シリンダス ーブを得るためには、予備成形体の内周壁 から削り出しを行う工程を設けるようにす ばよい。

 本発明のさらにまた別の一実施形態によれ 、内燃機関を構成するシリンダブロックの ア内に配設されるシリンダスリーブであっ 、
 外側円筒形状体及び内側円筒形状体を外周 からこの順序で有し、
 前記内側円筒形状体と前記外側円筒形状体 が互いに別種のAl-Si系合金であることを特 とする。

 このシリンダスリーブは、外周側と内周 とで材質が互いに異なることに基づき、特 が異なる。従って、外周側と内周側とで必 とされる特性が異なる用途に対応すること 可能である。

 具体的には、シリンダスリーブの内周壁 は耐摩耗性が良好であることが希求される この内周壁にピストンが摺接するからであ 。従って、内側円筒形状体をなすAl-Si系合 が外側円筒形状体をなすAl-Si系合金に比して 耐摩耗性が大きいものであることが好ましい 。

 さらに、外側円筒形状体の材質は、シリン ブロックをなす材質との線膨張係数の差が3 ×10 -6 /℃以内であることが好ましい。このように 膨張係数が近いもの同士をシリンダブロッ 、外側円筒形状体の材質として選定するこ により、シリンダブロックとの接合強度を 保することが容易となる。

 そして、外側円筒形状体の外周壁に凹凸 形成されていることが好ましい。この凹凸 よっていわゆるアンカー効果が発現し、そ 結果、シリンダブロックとの接合強度が一 向上するからである。

 本発明のさらにまた別の一実施形態によれ 、内燃機関を構成するシリンダブロックの ア内に配設されるシリンダスリーブを製造 る方法であって、
 回転する円筒状金型にAl-Si系合金の第1溶湯 供給して遠心鋳造により内側円筒形状体を ける工程と、
 前記円筒状金型を回転させながら、前記第1 溶湯とは別種のAl-Si系合金である第2溶湯を前 記第1層の内方に供給して遠心鋳造により外 円筒形状体を設け、積層型の予備成形体と る工程と、
 前記予備成形体の内周壁側から削り出しを う工程と、
 を有するシリンダスリーブの製造方法が提 される。

 上記した工程を経ることにより、内周側 外周側とで特性が互いに異なるシリンダス ーブを作製することができる。

 しかも、本発明においては、内側円筒形 体を設ける際に外側円筒形状体が冷やし金( チラー)として機能するため、第2溶湯の冷却 度が大きくなる。すなわち、初晶Siが大き 成長したり外側円筒形状体側に移動したり る前に溶湯が固化する。従って、微細な初 Siが略均等に分散した組織を有する内側円筒 形状体が得られる。

 その上、本発明においては、遠心鋳造作 時に別種の溶湯を供給するという極めて簡 な作業を行うのみで、外周側と内周側とで 性が異なるシリンダスリーブを容易に作製 ることができる。

 内周壁の耐摩耗性が大きなシリンダスリ ブを得る場合、第2溶湯として、第1溶湯のAl -Si系合金に比して耐摩耗性が大きいAl-Si系合 の溶湯を用いるようにすればよい。

 また、シリンダブロックとの接合強度を確 するためには、第1溶湯として、シリンダブ ロックをなす材質との線膨張係数の差が3×10 -6 /℃以内であるものを用いるようにすればよ 。

図1は、本実施の形態に係る中空部材の 概略全体斜視図である。 図2は、図1に示す中空部材を作製する めの遠心鋳造装置の要部概略構成図である 図3は、図2の遠心鋳造装置を用いて外 円筒形状体を設けている状態を示す長手方 断面説明図である。 図4は、外側円筒形状体が設けられた状 態における遠心鋳造装置の直径方向断面説明 図である。 図5は、図2の遠心鋳造装置を用いて内 円筒形状体を設けている状態を示す長手方 断面説明図である。 図6は、内側円筒形状体が設けられた状 態における遠心鋳造装置の直径方向断面説明 図である。 図7は、本実施の形態に係るシリンダス リーブを設けるための予備成形体の概略全体 斜視図である。 図8は、図7に示す予備成形体を作製す ための遠心鋳造装置の要部概略構成図であ 。 図9は、図8の遠心鋳造装置を用いて外 円筒形状体を設けている状態を示す長手方 断面説明図である。 図10は、外側円筒形状体が設けられた 態における遠心鋳造装置の直径方向断面説 図である。 図11は、図8の遠心鋳造装置を用いて内 側円筒形状体を設けている状態を示す長手方 向断面説明図である。 図12は、内側円筒形状体が設けられた 態における遠心鋳造装置の直径方向断面説 図である。 図13は、別の遠心鋳造装置の要部概略 成図である。 図14は、図13の遠心鋳造装置を構成す 注湯管及び溶湯保持炉の概略構成を示す一 縦断面要部構成説明図である。 図15は、図13の遠心鋳造装置を構成す 円筒状金型に溶湯の導入を開始した状態を す円筒状金型の長手方向に沿う断面説明図 ある。 図16は、円筒形状体を内周壁側から棒 ヒータで加温している状態を説明する円筒 金型の長手方向に沿う断面説明図である。 図17は、本実施の形態に係るシリンダ リーブを設けるための予備成形体の概略全 斜視図である。 図18は、図17に示す予備成形体を作製 るための遠心鋳造装置の要部概略構成図で る。 図19は、図18の遠心鋳造装置を構成す 円筒状金型に外側円筒形状成形体を挿入し 状態を示す遠心鋳造装置の直径方向断面説 図である。 図20は、図18の遠心鋳造装置を用いて 側円筒形状鋳造体を設けている状態を示す 手方向断面説明図である。 図21は、内側円筒形状鋳造体が設けら た状態における遠心鋳造装置の直径方向断 説明図である。 図22は、本実施の形態に係るシリンダ リーブを設けるための予備成形体の概略全 斜視図である。 図23は、図22に示す予備成形体を作製 るための遠心鋳造装置の要部概略構成図で る。 図24は、図23の遠心鋳造装置を用いて 側円筒形状体を設けている状態を示す長手 向断面説明図である。 図25は、外側円筒形状体が設けられた 態における遠心鋳造装置の直径方向断面説 図である。 図26は、図23の遠心鋳造装置を用いて 側円筒形状体を設けている状態を示す長手 向断面説明図である。 図27は、内側円筒形状体が設けられた 態における遠心鋳造装置の直径方向断面説 図である。 図28は、別の遠心鋳造装置の要部概略 成図である。 図29は、図28の遠心鋳造装置を構成す 注湯管及び溶湯保持炉の概略構成を示す一 縦断面要部構成説明図である。 図30は、図28の遠心鋳造装置を構成す 円筒状金型に溶湯の導入を開始した状態を す円筒状金型の長手方向に沿う断面説明図 ある。 図31は、円筒形状体を内周壁側から棒 ヒータで加温している状態を説明する円筒 金型の長手方向に沿う断面説明図である。

 以下、本発明に係る中空部材及びその製 法につき好適な実施の形態を挙げ、添付の 面を参照して詳細に説明する。

 はじめに、粉末によって円筒形状体を作 した後、該円筒形状体の内部に注湯を行っ 円筒形状鋳造体を形成する第1実施形態につ き説明する。

 図1は、第1実施形態に係る中空部材10の概 略全体斜視図である。この中空部材10は、内 円筒形状体12と外側円筒形状体14とが積層さ れた積層体である。

 この場合、内側円筒形状体12は、Al-23%Si系 合金からなる鋳造品である。すなわち、後述 するように、該内側円筒形状体12は、溶湯が 却固化することで設けられる。なお、その みT1は、5~6mm程度に設定される。

 この内側円筒形状体12では、平均粒径が35 μm以下の微細な初晶Siが外周壁側(外側円筒形 状体14側)に偏在することなく、直径方向に沿 って略均等に分散している。その上、初晶Si 粒度分布幅も小さい。換言すれば、内側円 形状体12の組織は、微細且つ互いに略同寸 の初晶Siが一様に分散した状態となっている 。

 一方、外側円筒形状体14は、Al-12%Si系合金 からなる粉末が互いに溶着することによって 形成されたものである。そして、外側円筒形 状体14の内周壁は、内側円筒形状体12の外周 に接合している。外側円筒形状体14の好適な 厚みT2は、0.5~2mmの範囲内である。

 このように構成された中空部材10からシ ンダスリーブを作製するに際しては、該中 部材10の内周壁側、すなわち、内側円筒形状 体12から削り出しが行われる。換言すれば、 側円筒形状体12は、所定の厚みとなるまで 肉化される。このように、内側円筒形状体12 は、中空部材10の加工代として設けられる。

 上記したように、内側円筒形状体12では 微細且つ互いに略同寸法の初晶Siが直径方向 に沿って一様に分散している。このため、加 工後の中空部材10(シリンダスリーブ)では、 ストンが摺接する内周壁にも優れた耐摩耗 が発現する。その上、全体にわたって高強 である。従って、このシリンダスリーブを み込んだ内燃機関は、優れた耐久性を示す

 次に、この中空部材10の製造方法につき 図2に示す遠心鋳造装置20を使用する場合を 示して説明する。

 この遠心鋳造装置20は、略水平方向に沿 て横臥した円筒状金型22を有する。該円筒状 金型22の外周壁には、該外周壁を周回方向に って切り欠くようにして2本の環状溝24、24 設けられており、環状溝24、24の各々の底部 は、ローラ対をなすローラ26、26の外周壁が それぞれ摺接する。すなわち、円筒状金型22 2組のローラ対によって支持されている。

 4個のローラ26は図示しない回転駆動源に 結されており、このため、円筒状金型22は 前記回転駆動源の作用下にローラ26の各々が 回転動作することに伴って回転する。

 円筒状金型22の一端部には円盤状閉塞部 30が嵌着されており、一方、他端部には円環 状枠体32が取着されている。円環状枠体32は 通孔34が設けられることで開口しており、こ の貫通孔34を介して粉末フィーダ36又はトラ 40aの注湯管42aが円筒状金型22の内部に挿入さ れる。

 粉末フィーダ36は、図示しない粉末貯留 器から延在している。この粉末貯留容器は 示しない変位機構の作用下に変位させるこ が可能であり、前記粉末フィーダ36は、この 変位に追従して円筒状金型22に対して進退自 である。なお、粉末貯留容器には、外側円 形状体14の原材料であるAl-12%Si系合金の粉末 が貯留されている。

 トラフ40aの本体には、内側円筒形状体12 設けるための溶湯L1が収容される。トラフ40a の近傍には傾動自在なポット44aaが配設され おり、このポット44aを介してトラフ40aに溶 L1が供給される。

 中空部材10を製造するに際しては、円筒 金型22の内周壁に塗型材が塗布された後、貫 通孔34を介して粉末フィーダ36が円筒状金型22 の内部に挿入される。この際、図3に示すよ に、粉末フィーダ36の先端は、円盤状閉塞部 材30の近傍に配置される。なお、図3ではトラ フ40aの注湯管42aを図示していないが、粉末フ ィーダ36に干渉しない位置に注湯管42aを配置 ておくようにしてもよい。

 この状態でローラ26の回転が開始され、 れに追従して円筒状金型22が回転動作する。 その後、粉末フィーダ36を介してAl-12%Si系合 の粉末Pが円筒状金型22の内部に供給される

 ここで、円筒状金型22をGNo.30以上として 転させることが好ましい。これにより粉末P 遠心力によって円筒状金型22の内周壁に押 されるので、円環形状体が形成される。

 粉末Pが導入される間、粉末フィーダ36は 図3の矢印X方向に沿って後退動作する。こ 後退動作により、円筒状金型22の長手方向に 沿って粉末Pが略均等に供給され、その結果 円環形状体の高さ方向が連続的に延伸する 最終的に、図4に示すように、円筒状金型22 内周壁に添着した外側円筒形状体14が形成さ れる。

 次に、溶解炉で調製されたAl-23%Siの溶湯L1 をポット44aに移し、さらに、該ポット44aを傾 動させてトラフ40aの本体に移す。これにより 、図5に示すように、トラフ40aの注湯管42aを して円筒状金型22の内部に溶湯L1が導入され 。導入された溶湯L1は、その流動性によっ 円盤状閉塞部材30側まで展開する。なお、溶 湯L1を導入する間、円筒状金型22の回転動作 続行させておく。

 溶湯L1の大部分は、遠心力によって外側 筒形状体14の内周壁に添着するように偏在し 、これにより、図6に示すように、内側円筒 状体12が形成される。その一方で、一部が外 側円筒形状体14に浸透する。外側円筒形状体1 4に接触した内側円筒形状体12、及び外側円筒 形状体14に浸透した溶湯L1の温度が高いため 外側円筒形状体14をなす粉末が若干溶融し、 液相が生成する。溶湯L1が冷却固化する際に の液相も冷却固化し、その結果、粉末同士 溶着して堅牢な外側円筒形状体14が設けら 、中空部材10が得られるに至る。

 なお、外側円筒形状体14の外周壁には、 型材のスパイニーが転写形成される。また 外側円筒形状体14の内周壁が内側円筒形状体 12の外周壁に接合する。

 この場合、外側円筒形状体14が冷やし金( ラー)として機能する。このため、第1実施 態では、一般的な遠心鋳造に比して溶湯L1の 冷却速度が大きくなる。すなわち、初晶Siが きく成長する前に溶湯L1が固化するので、 晶Siが微細な組織が得られる。初晶Siの平均 径は、概ね35μm以下である。

 また、冷却速度が大きいので、溶湯L1中 Siが遠心力によって外周壁側に移動する前に 固化が起こる。従って、初晶Siが偏在するこ が抑制され、内側円筒形状体12の直径方向 沿って略均等に分散する。このように、外 円筒形状体14をチラーとして機能させること で、微細且つ互いに略同寸法の初晶Siが一様 分散した内側円筒形状体12を得ることがで る。

 次に、円筒状金型22の一端部から円環状 体32を取り外した後、この端部側から、内側 円筒形状体12と外側円筒形状体14とが接合し 中空部材10を引き抜いて塗型材とともに取り 出す。その後、外側円筒形状体14の外周壁に 着した塗型材をショットブラスト処理等に って除去し、さらに、内側円筒形状体12の 周壁側から所定量の加工代を除去する削り しを行えば、初晶Siが略均等に分散した内側 円筒形状体12を具備するシリンダスリーブが られる。

 内側円筒形状体12を遠心鋳造によって設 る際、仮に初晶Siが外側円筒形状体14側に若 偏在し、直径方向の中腹部よりも内側(内側 円筒形状体12の内周壁側)で初晶Siの量がやや なくなったとしても、上記したように、削 出しが中空部材10の内周壁側から行われる で、Siの量が少ない部位が加工代として除去 される。結局、初晶Siの量が十分なシリンダ リーブを得ることが可能となる。

 以上のように、第1実施形態によれば、高 強度で且つ耐摩耗性に優れたシリンダスリー ブの予備成形体として好適な中空部材10を作 することができる。

 また、第1実施形態では、外側円筒形状体 14を設けるための原材料として粉末を用いる で、溶湯を用いる場合のように粉末を溶解 るための作業が不要であるとともに、溶解 ためのコストが一切不要となる。その上、 末を溶解するための溶解炉を設ける必要も い。従って、設備投資が高騰することも回 可能である。このため、中空部材10を廉価 作製することができる。

 さらに、外側円筒形状体14をチラーとし 機能させて初晶Siの微細化を図るようにして いるので、円筒状金型の回転数や温度等の鋳 造条件を厳密に管理する必要がない。

 このようにして得られたシリンダスリー は、自動車用の内燃機関を構成するシリン ブロックを鋳造成形するための鋳造金型の ャビティに配置される。そして、このキャ ティにアルミニウム等の溶湯が導入された 、該溶湯が冷却固化されることによってシ ンダブロックが鋳造成形されるとともに、 シリンダブロックにシリンダスリーブが鋳 るまれる。これにより、耐久性に優れた内 機関が構成される。

 なお、上述した第1実施形態においては、 外側円筒形状体14をなす粉末としてAl-12%Si系 金の粉末を用いるようにしているが、その のAl合金粉末であってもよいし、Al粉末であ てもよい。また、内側円筒形状体12の原材 である溶湯L1もAl-23%Si系合金の溶湯L1に特に 定されるものではなく、Al-Si系合金であれば 如何なる合金であってもよい。

 次に、円筒形状鋳造体を形成した後、前 円筒形状鋳造体の内部に該円筒形状鋳造体 同一種の溶湯を注湯することで中空部材を る第2実施形態につき説明する。

 図7は、第2実施形態に係るシリンダスリ ブを設けるための予備成形体110の概略全体 視図である。この予備成形体110は、内側円 形状体112と外側円筒形状体114とが積層され 積層体であり、且つその長手方向に沿って 通孔が存在する中空部材である。

 この場合、内側円筒形状体112はAl-17~23%Si-2 .5%Cu系合金、すなわち、A390相当材(JIS,Al-17%系 金)又はAC9A相当材(Al-23%系合金)からなり、後 述するように、溶湯が冷却固化することで設 けられた鋳造品である。なお、その厚みT3は 5~6mm程度に設定される。

 この内側円筒形状体112では、平均粒径が3 5μm以下の微細な初晶Siが外周壁側(外側円筒 状体114側)に偏在することなく、直径方向に って略均等に分散している。その上、初晶S iの粒度分布幅も小さい。換言すれば、内側 筒形状体112の組織は、微細且つ互いに略同 法の初晶Siが一様に分散した状態となってい る。

 一方の外側円筒形状体114もまた、Al-17~23%S i-2.5%Cu系合金、すなわち、A390相当材又はAC9A 当材からなる鋳造品である。すなわち、外 円筒形状体114は内側円筒形状体112と同一種 アルミニウム合金からなり、その内周壁は 側円筒形状体112の外周壁に接合している。 お、外側円筒形状体114の好適な厚みT4は、0.5 ~2.0mmの範囲内である。

 このように構成された予備成形体110から リンダスリーブを作製するに際しては、該 備成形体110の内周壁側、すなわち、内側円 形状体112から削り出しが行われる。換言す ば、内側円筒形状体112は、所定の厚みとな まで薄肉化される。このように、内側円筒 状体112は、予備成形体110の加工代として設 られる。

 上記したように、内側円筒形状体112では 微細且つ互いに略同寸法の初晶Siが直径方 に沿って一様に分散している。このため、 工後の予備成形体110、すなわち、シリンダ リーブにおいては、ピストンが摺接する内 壁にも優れた耐摩耗性が発現する。その上 全体にわたって高強度である。従って、こ シリンダスリーブを組み込んだ内燃機関は 優れた耐久性を示す。

 次に、このシリンダスリーブの製造方法 つき、図8に示す遠心鋳造装置120を使用する 場合を例示して説明する。なお、図2~図6に示 される構成要素と同一の構成要素については 、同一の参照符号を付す。

 この遠心鋳造装置120は、前記遠心鋳造装 20と略同様に構成され、略水平方向に沿っ 横臥した円筒状金型22を有する。該円筒状金 型22の外周壁には、該外周壁を周回方向に沿 て切り欠くようにして2本の環状溝24、24が けられており、環状溝24、24の各々の底部に 、ローラ対をなすローラ26、26の外周壁がそ れぞれ摺接する。すなわち、円筒状金型22は2 組のローラ対によって支持されている。円筒 状金型22は、図示しない回転駆動源の作用下 ローラ26の各々が回転動作することに伴っ 回転する。

 円筒状金型22の一端部には円盤状閉塞部 30が嵌着され、一方、他端部には円環状枠体 32が取着される。円筒状金型22の内部には、 環状枠体32に設けられた貫通孔34を介してト フ40bの注湯管42bが挿入される。

 トラフ40bの本体には、外側円筒形状体114 び内側円筒形状体112を設けるためのAl-17~23%S i-2.5%Cu系合金の溶湯L2が収容される。トラフ40 bの近傍には傾動自在なポット44bが配設され おり、このポット44bを介してトラフ40bに溶 L2が供給される。

 シリンダスリーブを製造するに際しては 先ず、溶解炉で調製されたAl-17~23%Si-2.5%Cu系 金の溶湯L2がポット44bに移され、さらに、 ポット44bが傾動されることに伴ってトラフ40 bの本体に移される。その一方で、円筒状金 22の内周壁に塗型材が塗布され、その後、図 9に示すように、貫通孔34を介してトラフ40bの 注湯管42bが円筒状金型22の内部に挿入される

 この状態でローラ26の回転が開始され、 れに追従して円筒状金型22が回転動作する。 その後、Al-17~23%Si-2.5%Cu系合金の溶湯L2の所定 がトラフ40bを介して円筒状金型22の内部に 給され、該円筒状金型22の長手方向に沿って 流動する。溶湯L2は、さらに、遠心力の作用 よって円筒状金型22の内周壁に円筒体形状 なすように偏在して、外側円筒形状体114を 成する。ここで、第2実施形態では、溶湯L2 、外側円筒形状体114の厚みが0.5~2.0mmの範囲 となる量で供給される。

 このようにして外側円筒形状体114が形成 れる間、該外側円筒形状体114の外周壁には 塗型材のスパイニーが転写される。その一 で、Al-17~23%Si-2.5%Cu系合金の溶湯L2がポット44 bに補充される。

 溶湯L2の円筒状金型22への導入が終了して 外側円筒形状体114の温度が状態図の液相-固 線温度以下となるのに必要な所定時間、例 ば、ある条件下において好適には8~25秒が経 した直後(換言すれば、外側円筒形状体114の 温度が状態図の液相-固相線温度以下となっ 直後)、ポット44bを傾動させて溶湯L2をトラ 40bの本体に移す。これに追従し、図11に示す ように、トラフ40bの注湯管42bを介して円筒状 金型22の内部に溶湯L2が導入される。導入さ た溶湯L2は、その流動性によって円盤状閉塞 部材30側まで展開する。勿論、溶湯L2を導入 る間、円筒状金型22の回転動作は続行される 。

 溶湯L2は、遠心力によって外側円筒形状 114の内周壁に添着するように偏在し、これ より、図12に示すように、内側円筒形状体112 が形成される。その結果、内側円筒形状体112 の外方に外側円筒形状体114が積層され、且つ 外側円筒形状体114の内周壁が内側円筒形状体 112の外周壁に接合した予備成形体110が得られ る。

 内側円筒形状体112が冷却固化する際には 外側円筒形状体114が冷やし金(チラー)とし 機能する。このため、第2実施形態では、一 的な遠心鋳造に比して溶湯L2の冷却速度が きくなる。すなわち、初晶Siが大きく成長す る前に溶湯L2が固化するので、初晶Siが微細 組織が得られる。初晶Siの平均粒径は、概ね 35μm以下である。

 また、冷却速度が大きいので、溶湯L2中 Siが遠心力によって外周壁側に移動する前に 固化が起こる。従って、初晶Siが偏在するこ が抑制され、内側円筒形状体112の直径方向 沿って略均等に分散する。このように、外 円筒形状体114をチラーとして機能させるこ で、微細且つ互いに略同寸法の初晶Siが一 に分散した内側円筒形状体112を得ることが きる。

 次に、円筒状金型22の一端部から円環状 体32を取り外した後、この端部側から、内側 円筒形状体112と外側円筒形状体114とが接合し た予備成形体110を引き抜いて塗型材とともに 取り出す。その後、外側円筒形状体114の外周 壁に付着した塗型材をショットブラスト処理 等によって除去し、さらに、内側円筒形状体 112の内周壁側から所定量の加工代を除去する 削り出しを行えば、初晶Siが略均等に分散し 内側円筒形状体112を具備するシリンダスリ ブが得られる。

 内側円筒形状体112を遠心鋳造によって設 る際、仮に初晶Siが外側円筒形状体114側に 干偏在し、直径方向の中腹部よりも内側(内 円筒形状体112の内周壁側)で初晶Siの量がや 少なくなったとしても、上記したように、 り出しが予備成形体110の内周壁側から行わ るので、Siの量が少ない部位が加工代とし 除去される。結局、初晶Siの量が十分なシリ ンダスリーブを得ることが可能となる。

 以上のように、第2実施形態によれば、高 強度で且つ耐摩耗性に優れたシリンダスリー ブを作製することができる。

 また、第2実施形態では、外側円筒形状体 114をチラーとして機能させて初晶Siの微細化 図るようにしているので、円筒状金型の回 数や温度等の鋳造条件を厳密に管理する必 がない。

 このようにして得られたシリンダスリー は、自動車用の内燃機関を構成するシリン ブロックを鋳造成形するための鋳造金型の ャビティに配置される。そして、このキャ ティに対し、シリンダブロックとなる金属 湯が導入される。最終的に、シリンダブロ クにシリンダスリーブが鋳ぐるまれ、これ より、内燃機関が構成される。この鋳ぐる の際、シリンダスリーブ(外側円筒形状体114 )の外周壁に存在するスパイニーがアンカー して機能し、これにより、シリンダスリー とシリンダブロックとの間に十分な接合強 が確保される。

 内燃機関においては、シリンダスリーブ 内周壁にピストンが摺接する。このシリン スリーブの内周壁は、上記したように初晶S iに富むA390相当材(Al-17%Si系合金)又はAC9A相当 (Al-23%Si系合金)からなる内側円筒形状体112で り、このため、耐摩耗性に優れる。

 以上のように、第2実施形態によれば、シ リンダブロックとの接合強度が大きく、且つ ピストンが摺接する内周壁の耐摩耗性が良好 なシリンダスリーブを構成することができる 。

 図13に示されるような遠心鋳造装置150を 成し、溶湯L2を円筒状金型22に導入するよう してもよい。以下、この変形例について説 する。

 この場合、円環状枠体32の貫通孔34には、 注湯管152が通されている。換言すれば、該注 湯管152は、貫通孔34を介して円筒状金型22の 部に挿入される。

 注湯管152は、4本の棒状ヒータ154で囲繞さ れている。すなわち、各々の中央貫通孔に注 湯管152が通された第1挟持板156、第1貫挿支持 158、第2貫挿支持板160、第2挟持板162の各々 、該注湯管152の先端側からこの順序で位置 め固定されており、各棒状ヒータ154の両端 は、この中の第1挟持板156及び第2挟持板162で 挟持されている。また、第1貫挿支持板158及 第2貫挿支持板160は、前記中央貫通孔の周囲 形成された小貫通孔に各棒状ヒータ154を通 ことで、その中腹部を支持している。

 図14に示すように、注湯管152は、供給管16 4を介して溶湯保持炉166に連結されている。 なわち、供給管164は、注湯管152に連結され フレキシブルチューブ168と、溶湯保持炉166 ら延在して略逆L字型をなす逆L字管170とが互 いに連結されることで、注湯管152から溶湯保 持炉166にわたって橋架されている。

 一方、溶湯保持炉166の底面には車輪172が けられており、各車輪172は、作業ステーシ ンの床に敷設された案内レール174に摺動自 に係合している。すなわち、溶湯保持炉166 、車輪172が回転した際に案内レール174に沿 て変位する。

 溶湯保持炉166の内部には断熱材176が収容 れており、この断熱材176に囲繞されるよう して溶湯収容容器178が挿入されている。こ 溶湯収容容器178の内部には図示しない浸漬 ータが挿入されており、該溶湯収容容器178 貯留されたAl-17~23%Si-2.5%Cu系合金の溶湯L2は 前記浸漬ヒータによって加温されるととも 前記断熱材176によって保温される。

 また、溶湯収容容器178の上端部の一部に 溶湯を導入するための開口が設けられ、該 口は、蓋部材180で封止されている。

 蓋部材180には2本の貫通孔が設けられてお り、この中の1本には、上記したように、前 供給管164を構成する逆L字管170が通されてい 。逆L字管170の先端部は、溶湯L2に浸漬され いる。また、残余の1本には、図示しないア ルゴンガス供給源に連結されたガス導入管182 が通されており、該ガス導入管182は、溶湯L2 液面から若干離間している。

 このように構成された遠心鋳造装置150に って予備成形体110を製造するに際しては、 ず、円筒状金型22の内周壁に塗型材が塗布 れる。その後、ローラ26の回転が開始され、 これに追従して円筒状金型22が回転動作する その一方で、前記アルゴンガス供給源から ルゴンガス(不活性ガス)が供給され、ガス 入管182を経由した後、溶湯保持炉166を構成 る溶湯収容容器178の内部に放出される。

 溶湯収容容器178内では、溶湯L2がアルゴ ガスによって押圧される。アルゴンガスの 力がさらに上昇すると、溶湯L2は、逆L字管17 0を上昇してフレキシブルチューブ168を経由 た後、注湯管152に到達する。このように、 2実施形態においては、不活性ガスで溶湯L2 押圧することで溶湯保持炉166から円筒状金 22へ移液するようにしているので、大気を巻 き込み難く、勿論、不活性ガスも巻き込み難 い。

 図15に示すように、注湯管152は、その先 が円盤状閉塞部材30の近傍に位置するまで円 筒状金型22の内部に挿入されている。このた 、溶湯L2は円盤状閉塞部材30の近傍に導出さ れ、その後、円環状枠体32側に向かって流動 る。

 溶湯L2が導出される間、円筒状金型22の回 転動作が続行される。このため、溶湯L2は、 16に示すように、遠心力の作用によって円 状金型22の内周壁に偏在して外側円筒形状体 114を形成する。外側円筒形状体114の厚みが0.5 ~2.0mmの範囲内となる量の溶湯L2が供給される 、該溶湯L2の供給が一旦停止される。

 そして、外側円筒形状体114の温度が状態 の液相-固相線温度以下となった直後、溶湯 L2の導入を再開して内側円筒形状体112を形成 る。なお、この導入再開に先立ち、棒状ヒ タ154を予め発熱させておく。棒状ヒータ154 総発熱量は、例えば、約30kWに設定すればよ い。

 この場合、溶湯L2は、予備成形体110の最 的な厚みが5~6mmの範囲内となる量で供給され 、その結果、棒状ヒータ154と予備成形体110の 内周壁とのクリアランスは約5mmとなる。上記 したように、溶湯L2が大気やその他のガスを き込んだとしてもその量は極めて僅かであ ので、予備成形体110には気泡(内部欠陥)が じ難い。なお、前記クリアランスが5mmであ 場合、巻き込み量は極めて微量であること 本発明者らによって確認されている。

 次に、注湯管152が円筒状金型22の内部に 在した状態で溶湯L2の冷却固化が行われる。 上記したように棒状ヒータ154が予め発熱され ているため、冷却固化の最中、内側円筒形状 体112の内周壁は棒状ヒータ154によって加温さ れることになる。その一方で、内側円筒形状 体112の外周壁は、先に固化した外側円筒形状 体114に接触している。従って、内側円筒形状 体112における冷却速度は、外周壁側で大きく 且つ内周壁側で小さくなる。

 内側円筒形状体112にこのような熱勾配が じることにより、仮に溶湯L2にアルゴンガ が巻き込まれて気泡が生じたとしても、こ 気泡は、外周壁側に比して冷却速度が小さ 固化に時間を要する内周壁側に移動するこ ができる。

 一方、外周壁側では冷却速度が大きいの 、初晶Siが大きく成長して粗大化すること 抑制される。すなわち、第2実施形態によれ 、外周壁側に微細な初晶Siが分散し、且つ 周壁側に欠陥が集中した内側円筒形状体112 得られる。

 次に、溶湯保持炉166に力を付与し、これ より該溶湯保持炉166を案内レール174に沿っ 円筒状金型22から離間する方向に変位させ 。勿論、この際には、溶湯保持炉166の底面 設けられた車輪172が回転する。

 上記した溶湯保持炉166の変位に追従して 注湯管152及び棒状ヒータ154が円筒状金型22 外部に導出される。また、溶湯保持炉166は 最終的に溶湯補給ステーションまで変位さ 、変位停止後に溶湯収容容器178に溶湯L2が補 給される。

 次に、円筒状金型22の一端部から円環状 体32を取り外した後、この端部側から予備成 形体110を引き抜いて塗型材とともに取り出す 。その後、該予備成形体110の外周壁に対して ショットブラスト処理等を施して塗型材を除 去し、さらに、削り出しを内周壁側から行え ば、欠陥が集中した内周壁側が除去され、且 つ微細な初晶Siが略均等に分散した外周壁側 残留する。すなわち、内部欠陥が極めて少 く、且つ微細な初晶Siに富むために高強度 且つ耐摩耗性に優れたシリンダスリーブが られる。勿論、このシリンダスリーブの外 壁には、塗型材の表面の凹凸が転写される とでスパイニーが形成されている。

 なお、内側円筒形状体112及び外側円筒形 体114の双方の材質をAl-17~23%Si-2.5%Cu系合金と る場合、両者の成分組成を厳密に一致させ 必要は特にない。すなわち、例えば、A390相 当材は、Siが17~18%であるアルミニウム合金で るが、Siが17%であるA390相当材からなる外側 筒形状体114を設け、且つSiが18%であるA390相 材からなる内側円筒形状体112を設けるよう してもよい。

 上記第2実施の形態は、シリンダスリーブ を構成する内側円筒形状体112及び外側円筒形 状体114の材質としてA390相当材又はAC9A相当材 例示して説明しているが、両者の材質は特 これに限定されるものではなく、ADC10(JIS)や ADC12(JIS)等、別種のアルミニウム合金であっ もよい。

 さらに、外側円筒形状体114の厚みT4は、0. 5~2.0mmの範囲内に特に限定されるものではな 、内側円筒形状体112の冷却速度を制御して 望の組織が得られるように設定される。

 次に、円筒状成形体の内部に注湯して円 形状鋳造体を形成することで中空部材を得 第3実施形態につき説明する。

 図17は、第3実施形態に係るシリンダスリ ブを設けるための予備成形体210の概略全体 視図である。この予備成形体210は、内側円 形状鋳造体212と外側円筒形状成形体214とが 層された積層体であり、且つその長手方向 沿って貫通孔が存在する中空部材である。

 この場合、内側円筒形状鋳造体212はAl-23%S i系合金からなる鋳造品である。すなわち、 述するように、該内側円筒形状鋳造体212は 溶湯が冷却固化することで設けられる。な 、その厚みT5は、5~6mm程度に設定される。

 この内側円筒形状鋳造体212では、平均粒 が35μm以下の微細な初晶Siが外周壁側(外側 筒形状成形体214側)に偏在することなく、直 方向に沿って略均等に分散している。その 、初晶Siの粒度分布幅も小さい。換言すれ 、内側円筒形状鋳造体212の組織は、微細且 互いに略同寸法の初晶Siが一様に分散した状 態となっている。

 一方の外側円筒形状成形体214は、例えば Al-11%Si-2.5%Cu系合金(ADC12)からなる円筒体であ り、その内周壁は、内側円筒形状鋳造体212の 外周壁に接合している。この外側円筒形状成 形体214は、図18及び図19に示すように、内側 筒形状鋳造体212を設ける前に予め、遠心鋳 装置220を構成する円筒状金型22に挿入された ものである。なお、外側円筒形状成形体214の 好適な厚みT6は、1.0~2.0mmの範囲内である。

 このように構成された予備成形体210から リンダスリーブを作製するに際しては、該 備成形体210の内周壁側、すなわち、内側円 形状鋳造体212から削り出しが行われる。換 すれば、内側円筒形状鋳造体212は、所定の みとなるまで薄肉化される。このように、 側円筒形状鋳造体212は、予備成形体210の加 代として設けられる。

 上記したように、内側円筒形状鋳造体212 は、微細且つ互いに略同寸法の初晶Siが直 方向に沿って一様に分散している。このた 、加工後の予備成形体210、すなわち、シリ ダスリーブにおいては、ピストンが摺接す 内周壁にも優れた耐摩耗性が発現する。そ 上、全体にわたって高強度である。従って このシリンダスリーブを組み込んだ内燃機 は、優れた耐久性を示す。

 次に、このシリンダスリーブの製造方法 つき、図18に示す遠心鋳造装置220を使用す 場合を例示して説明する。なお、図2~図6及 図8~図12に示される構成要素と同一の構成要 については、同一の参照符号を付す。

 この遠心鋳造装置220も、前記遠心鋳造装 20、120と略同様に構成される。すなわち、 遠心鋳造装置220は、略水平方向に沿って横 した円筒状金型22を有し、該円筒状金型22の 周壁には、該外周壁を周回方向に沿って切 欠くようにして2本の環状溝24、24が設けら ている。

 環状溝24、24の各々の底部には、ローラ対 をなすローラ26、26の外周壁がそれぞれ摺接 る。すなわち、円筒状金型22は、図示しない 回転駆動源の作用下にローラ26の各々が回転 作することに伴って回転する。

 また、円筒状金型22の一端部には円盤状 塞部材30が嵌着され、他端部には円環状枠体 32が取着される。円筒状金型22の内部には、 環状枠体32に設けられた貫通孔34を介してト フ40cの注湯管42cが挿入される。

 トラフ40cの本体には、内側円筒形状鋳造 212を設けるためのAl-23%Si系合金の溶湯L3が収 容される。トラフ40cの近傍には傾動自在なポ ット44cが配設されており、このポット44cを介 してトラフ40cに溶湯L3が供給される。

 シリンダスリーブを製造するに際しては 先ず、ADC12からなる円筒体、すなわち、外 円筒形状成形体214が円筒状金型22の内部に挿 入される(図18及び図19参照)。勿論、外側円筒 形状成形体214の外径は円筒状金型22の内径に 応しており、従って、外側円筒形状成形体2 14と円筒状金型22はほとんど離間しない。

 この状態でローラ26の回転が開始され、 れに追従して円筒状金型22が回転動作する。 上記したように、外側円筒形状成形体214と円 筒状金型22との間の遊びが極めて小さいので 外側円筒形状成形体214が円筒状金型22内で 動することはない。

 その一方で、図20に示すように、貫通孔34 を介してトラフ40cの注湯管42cが円筒状金型22 内部に挿入される。さらに、溶解炉で調製 れたAl-23%Si系合金の溶湯L3がポット44cに移さ れ、該ポット44cが傾動されることに伴ってト ラフ40cの本体に移される。その後、Al-23%Si系 金の溶湯L3の所定量がトラフ40cを介して外 円筒形状成形体214の内部に供給され、該外 円筒形状成形体214の長手方向に沿って円盤 閉塞部材30側に流動する。溶湯L3は、さらに 遠心力の作用によって外側円筒形状成形体2 14の内周壁に円筒体形状をなすように偏在し 、内側円筒形状鋳造体212を形成する。ここ 、第3実施形態では、溶湯L3は、内側円筒形 鋳造体212の厚みが5~6mmの範囲内となる量で 給される。

 以上のようにして、図21に示すように、 側円筒形状鋳造体212が形成される。その結 、内側円筒形状鋳造体212の外方に外側円筒 状成形体214が積層され、且つ外側円筒形状 形体214の内周壁が内側円筒形状鋳造体212の 周壁に接合した予備成形体210が得られる。

 内側円筒形状鋳造体212が冷却固化する際 は、外側円筒形状成形体214が冷やし金(チラ ー)として機能する。このため、第3実施形態 は、一般的な遠心鋳造に比して溶湯L3の冷 速度が大きくなる。すなわち、初晶Siが大き く成長する前に溶湯L3が固化するので、初晶S iが微細な組織が得られる。外側円筒形状成 体214の厚みT6を1.0~2.0mmに設定した第3実施形 においては、初晶Siの平均粒径は、概ね35μm 下となる。

 しかも、冷却速度が大きいので、溶湯L3 のSiが遠心力によって外周壁側に移動する前 に固化が起こる。従って、初晶Siが偏在する とが抑制され、内側円筒形状鋳造体212の直 方向に沿って略均等に分散する。このよう 、外側円筒形状成形体214をチラーとして機 させることで、微細且つ互いに略同寸法の 晶Siが一様に分散した内側円筒形状鋳造体21 2を得ることができる。

 次に、円筒状金型22の一端部から円環状 体32を取り外した後、この端部側から、内側 円筒形状鋳造体212と外側円筒形状成形体214と が接合した予備成形体210を引き抜いて塗型材 とともに取り出す。その後、外側円筒形状成 形体214の外周壁に対し、ショットブラスト処 理等によって微細な凹凸を設ける。さらに、 内側円筒形状鋳造体212の内周壁側から所定量 の加工代を除去する削り出しを行えば、初晶 Siが略均等に分散した内側円筒形状鋳造体212 具備するシリンダスリーブが得られる。

 内側円筒形状鋳造体212を遠心鋳造によっ 設ける際、仮に初晶Siが外側円筒形状成形 214側に若干偏在し、直径方向の中腹部より 内側(内側円筒形状鋳造体212の内周壁側)で初 晶Siの量がやや少なくなったとしても、上記 たように、削り出しが予備成形体210の内周 側から行われるので、Siの量が少ない部位 加工代として除去される。結局、初晶Siの量 が十分なシリンダスリーブを得ることが可能 となる。

 以上のように、第3実施形態によれば、高 強度で且つ耐摩耗性に優れたシリンダスリー ブを作製することができる。

 また、第3実施形態では、外側円筒形状成 形体214をチラーとして機能させて初晶Siの微 化を図るようにしているので、円筒状金型 回転数や温度等の鋳造条件を厳密に管理す 必要がない。

 このようにして得られたシリンダスリー は、自動車用の内燃機関を構成するシリン ブロックを鋳造成形するための鋳造金型の ャビティに配置される。そして、このキャ ティに対し、シリンダブロックとなる金属 例えば、ADC12等の溶湯が導入される。

 最終的に、シリンダブロックにシリンダ リーブが鋳ぐるまれ、これにより内燃機関 構成される。この鋳ぐるみの際、シリンダ リーブ(外側円筒形状成形体214)の外周壁に けられた凹凸がアンカーとして機能する。 た、シリンダブロックと外側円筒形状成形 214とがADC12であるので、シリンダブロックと 外側円筒形状成形体214の線膨張係数が一致し 、前記金属溶湯の導入時、及び該金属溶湯の 冷却固化時にシリンダスリーブとシリンダブ ロックとが略同程度に膨張・収縮する。この ため、シリンダスリーブとシリンダブロック との間に剥離が生じ難い。従って、前記凹凸 のアンカー効果のみで、シリンダスリーブと シリンダブロックとの間に十分な接合強度が 確保される。

 内燃機関においては、シリンダスリーブ 内周壁にピストンが摺接する。このシリン スリーブの内周壁は、上記したように初晶S iに富むAl-23%Si系合金からなる内側円筒形状鋳 造体212であり、従って、耐摩耗性が極めて大 きい。このため、耐久性に優れる。

 以上のように、第3実施形態によれば、シ リンダブロックとの接合強度が大きく、且つ ピストンが摺接する内周壁の耐摩耗性が良好 なシリンダスリーブを構成することができる 。

 なお、第3実施形態は、シリンダスリーブ を構成する外側円筒形状成形体214の材質とし てADC12を選定した場合を例示して説明してい が、特にこれに限定されるものではなく、 側円筒形状鋳造体212と同一のAl-23%Si系合金 あってもよいし、ADC10等のその他のアルミニ ウム合金であってもよい。さらに、アルミニ ウムであってもよい。

 また、内側円筒形状鋳造体212の材質もAl-2 3%Si系合金に特に限定されるものではなく、 えば、ADC10やADC12等であってもよい。

 さらに、外側円筒形状成形体214の厚みT6 、1.0~2.0mmの範囲内に特に限定されるもので なく、内側円筒形状鋳造体212の冷却速度を 御して所望の組織が得られるように設定さ る。

 さらに、以上の第1~第3実施形態では、中 部材としてシリンダスリーブを例示して説 したが、中空部材も特にこれに限定される のではなく、如何なる部材であってもよい

 最後に、外周側と内周側とが別種の材質 らなるシリンダスリーブを得る第4実施形態 につき説明する。

 図22は、第4実施形態に係るシリンダスリ ブを設けるための予備成形体310の概略全体 視図である。この予備成形体310は、内側円 形状体312と外側円筒形状体314とが積層され 積層体である。

 この場合、内側円筒形状体312はAl-17~23%Si-2 .5%Cu系合金、すなわち、A390相当材(Al-17%系合 )又はAC9A相当材(Al-23%系合金)からなり、後述 るように、溶湯が冷却固化することで設け れた鋳造品である。なお、その厚みT7は、5~ 6mm程度に設定される。

 この内側円筒形状体312では、平均粒径が3 5μm以下の微細な初晶Siが外周壁側(外側円筒 状体314側)に偏在することなく、直径方向に って略均等に分散している。その上、初晶S iの粒度分布幅も小さい。換言すれば、内側 筒形状体312の組織は、微細且つ互いに略同 法の初晶Siが一様に分散した状態となってい る。

 一方、外側円筒形状体314は、Al-11%Si-2.5%Cu 合金(ADC12)からなる鋳造品である。すなわち 、該外側円筒形状体314もまた溶湯が冷却固化 することで設けられたものであり、その内周 壁は内側円筒形状体312の外周壁に接合してい る。なお、外側円筒形状体314の好適な厚みT8 、0.5~2.0mmの範囲内である。

 このように構成された予備成形体310から リンダスリーブを作製するに際しては、該 備成形体310の内周壁側、すなわち、内側円 形状体312から削り出しが行われる。換言す ば、内側円筒形状体312は、所定の厚みとな まで薄肉化される。このように、内側円筒 状体312は、予備成形体310の加工代として設 られる。

 上記したように、内側円筒形状体312では 微細且つ互いに略同寸法の初晶Siが直径方 に沿って一様に分散している。このため、 工後の予備成形体310、すなわち、シリンダ リーブにおいては、ピストンが摺接する内 壁にも優れた耐摩耗性が発現する。その上 全体にわたって高強度である。従って、こ シリンダスリーブを組み込んだ内燃機関は 優れた耐久性を示す。

 次に、このシリンダスリーブの製造方法 つき、図23に示す遠心鋳造装置320を使用す 場合を例示して説明する。

 この遠心鋳造装置320も、前記遠心鋳造装 20、120、220と略同様に構成される。すなわ 、この遠心鋳造装置320は、略水平方向に沿 て横臥した円筒状金型22と、該円筒状金型22 外周壁に形成された2本の環状溝24、24に摺 し且つ回転動作することによって円筒状金 22を回転させるローラ26、26とを有する。ま 、上記と同様に、円筒状金型22の一端部に円 盤状閉塞部材30が嵌着される一方、他端部に 貫通孔34が設けらた円環状枠体32が取着され る。

 第4実施形態では、2個のトラフ40d、40eと 2個のポット44d、44eとが用いられる。すなわ 、円筒状金型22の内部には、貫通孔34を介し てトラフ40dの注湯管42d又はトラフ40eの注湯管 42eが円筒状金型22の内部に挿入される。

 トラフ40dの本体には、外側円筒形状体314 設けるためのADC12の溶湯L4が収容される。ト ラフ40dの近傍には傾動自在なポット44dが配設 されており、このポット44dを介してトラフ40d に溶湯L4が供給される。

 一方、トラフ40eの本体には、内側円筒形 体14を設けるための溶湯L5が収容される。上 記同様、トラフ40eの近傍にも傾動自在なポッ ト44eが配設され、このポット44eからトラフ40e に向けて溶湯L5が供給される。

 シリンダスリーブとなる予備成形体310を 造するに際しては、先ず、溶解炉で調製さ たADC12の溶湯L4がポット44dに移され、さらに 、該ポット44dが傾動されることに伴ってトラ フ40dの本体に移される。その一方で、円筒状 金型22の内周壁に塗型材が塗布され、その後 図24に示すように、貫通孔34を介してトラフ 40dの注湯管42dが円筒状金型22の内部に挿入さ る。なお、図24ではトラフ40eの注湯管42eを 示していないが、トラフ40dに干渉しない位 に注湯管42eを配置しておくようにしてもよ 。

 この状態でローラ26の回転が開始され、 れに追従して円筒状金型22が回転動作する。 その後、ADC12の溶湯L4の所定量がトラフ40dを して円筒状金型22の内部に供給され、該円筒 状金型22の長手方向に沿って流動する。溶湯L 4は、さらに、遠心力の作用によって円筒状 型22の内周壁に円筒体形状をなすように偏在 して、外側円筒形状体314を形成する(図25参照 )。ここで、第4実施形態では、溶湯L4は、外 円筒形状体314の厚みが0.5~2.0mmの範囲内とな 量で供給される。

 このようにして外側円筒形状体314が形成 れる間、該外側円筒形状体314の外周壁には 塗型材のスパイニーが転写される。

 その一方で、溶解炉で調製されたA390相当 材(Al-17%系合金)又はAC9A相当材(Al-23%系合金)の 湯L5をポット44eに移しておく。そして、外 円筒形状体314の温度が状態図の液相-固相線 度以下となるのに必要な所定時間、例えば ある条件下において好適には8~25秒が経過し た直後(換言すれば、外側円筒形状体314の温 が状態図の液相-固相線温度以下となった直 )、該ポット44eを傾動させて溶湯L5をトラフ4 0eの本体に移す。これに追従し、図26に示す うに、トラフ40eの注湯管42eを介して円筒状 型22の内部に溶湯L5が導入される。導入され 溶湯L5は、その流動性によって円盤状閉塞 材30側まで展開する。勿論、溶湯L5を導入す 間、円筒状金型22の回転動作は続行される

 溶湯L5は、遠心力によって外側円筒形状 314の内周壁に添着するように偏在し、これ より、図27に示すように、内側円筒形状体312 が形成される。その結果、内側円筒形状体312 の外方に外側円筒形状体314が積層され、且つ 外側円筒形状体314の内周壁が内側円筒形状体 312の外周壁に接合した予備成形体310が得られ る。

 内側円筒形状体312が冷却固化する際には 外側円筒形状体314が冷やし金(チラー)とし 機能する。このため、第4実施形態では、一 的な遠心鋳造に比して溶湯L5の冷却速度が きくなる。すなわち、初晶Siが大きく成長す る前に溶湯L5が固化するので、初晶Siが微細 組織が得られる。初晶Siの平均粒径は、概ね 35μm以下である。

 また、冷却速度が大きいので、溶湯L5中 Siが遠心力によって外周壁側に移動する前に 固化が起こる。従って、初晶Siが偏在するこ が抑制され、内側円筒形状体312の直径方向 沿って略均等に分散する。このように、外 円筒形状体314をチラーとして機能させるこ で、微細且つ互いに略同寸法の初晶Siが一 に分散した内側円筒形状体312を得ることが きる。

 次に、円筒状金型22の一端部から円環状 体32を取り外した後、この端部側から、内側 円筒形状体312と外側円筒形状体314とが接合し た予備成形体310を引き抜いて塗型材とともに 取り出す。その後、外側円筒形状体314の外周 壁に付着した塗型材をショットブラスト処理 等によって除去し、さらに、内側円筒形状体 312の内周壁側から所定量の加工代を除去する 削り出しを行えば、初晶Siが略均等に分散し 内側円筒形状体312を具備するシリンダスリ ブが得られる。

 内側円筒形状体312を遠心鋳造によって設 る際、仮に初晶Siが外側円筒形状体314側に 干偏在し、直径方向の中腹部よりも内側(内 円筒形状体312の内周壁側)で初晶Siの量がや 少なくなったとしても、上記したように、 り出しが予備成形体310の内周壁側から行わ るので、Siの量が少ない部位が加工代とし 除去される。結局、初晶Siの量が十分なシリ ンダスリーブを得ることが可能となる。

 以上のように、第4実施形態によれば、高 強度で且つ耐摩耗性に優れたシリンダスリー ブを作製することができる。

 また、第4実施形態では、外側円筒形状体 314をチラーとして機能させて初晶Siの微細化 図るようにしているので、円筒状金型の回 数や温度等の鋳造条件を厳密に管理する必 がない。

 このようにして得られたシリンダスリー は、自動車用の内燃機関を構成するシリン ブロックを鋳造成形するための鋳造金型の ャビティに配置される。そして、このキャ ティに対し、シリンダブロックとなる金属 湯が導入される。

 この場合、前記金属溶湯としては、アル ニウム、又はAl-9%Si-3%Cu合金(ADC10ないしADC12) 選定される。アルミニウム、ADC10又はADC12の 線膨張係数は、外側円筒形状体314の材質であ るADC12の線膨張係数と略同等であるので、前 金属溶湯の導入時、及び該金属溶湯の冷却 化時にシリンダスリーブとシリンダブロッ とが略同程度に膨張・収縮し、このため、 側円筒形状体314の外周壁に転写されたスパ ニーのアンカー効果で、シリンダスリーブ シリンダブロックとの間に十分な接合強度 確保される。最終的に、シリンダブロック シリンダスリーブが鋳ぐるまれ、これによ 、内燃機関が構成される。

 内燃機関においては、シリンダスリーブ 内周壁にピストンが摺接する。このシリン スリーブの内周壁は、上記したように初晶S iに富むA390相当材又はAC9A相当材からなる内側 円筒形状体312であり、従って、耐摩耗性が極 めて大きい。このため、耐久性に優れる。

 以上のように、第4実施形態によれば、シ リンダブロックとの接合強度が大きく、且つ ピストンが摺接する内周壁の耐摩耗性が良好 なシリンダスリーブを構成することができる 。

 第2実施形態に係る変形例において用いた 遠心鋳造装置150と同様に構成された遠心鋳造 装置350を用い、これにより内側円筒形状体312 を設けるようにしてもよい。以下、この変形 例につき図28~図31を参照して説明する。なお 図13~図16に示される構成要素と同一の構成 素には同一の参照符号を付し、その詳細な 明を省略する。

 この場合においても、上記第2実施形態に 係る変形例に準拠して遠心鋳造装置350が構成 されるとともに(図28及び図29参照)、該変形例 と同様の操作が営まれる。すなわち、先ず、 遠心鋳造装置150を構成する円筒状金型22の内 壁に塗型材が塗布される。その後、ローラ2 6の回転が開始され、これに追従して円筒状 型22が回転動作する。そして、貫通孔34を介 て円筒状金型22の内部に挿入されたトラフ40 dの注湯管42dから、ADC12の溶湯L4が供給される トラフ40dの注湯管42dは、所定量の溶湯L4が 給された後、円筒状金型22の外部に後退動作 する。

 次に、外側円筒形状体314の温度が状態図 液相-固相線温度以下となった直後、前記ア ルゴンガス供給源からアルゴンガス(不活性 ス)が供給され、ガス導入管182を経由した後 溶湯保持炉166を構成する溶湯収容容器178の 部に放出される。

 溶湯収容容器178内では、溶湯L5がアルゴ ガスによって押圧される。アルゴンガスの 力がさらに上昇すると、溶湯L5は、逆L字管17 0を上昇してフレキシブルチューブ168を経由 た後、注湯管152に到達する。このように、 4実施形態においては、不活性ガスで溶湯L5 押圧することで溶湯保持炉166から円筒状金 22へ移液するようにしているので、大気を巻 き込み難く、勿論、不活性ガスも巻き込み難 い。

 図30に示すように、注湯管152は、その先 が円盤状閉塞部材30の近傍に位置するまで円 筒状金型22の内部に挿入されている。このた 、溶湯L5は円盤状閉塞部材30の近傍に導出さ れ、その後、円環状枠体32側に向かって流動 る。

 溶湯L5が導出される間、円筒状金型22の回 転動作が続行される。このため、溶湯L5は、 31に示すように、遠心力の作用によって外 円筒形状体314の内周壁に偏在して内側円筒 状体312を形成する。なお、溶湯L5の導入に先 立ち、棒状ヒータ154を予め発熱させておく。 棒状ヒータ154の総発熱量は、例えば、約30kW 設定すればよい。

 この場合、溶湯L5は、予備成形体310の最 的な厚みが5~6mmの範囲内となる量で供給され 、その結果、棒状ヒータ154と予備成形体310の 内周壁とのクリアランスは約5mmとなる。上記 したように、溶湯Lが大気やその他のガスを き込んだとしてもその量は極めて僅かであ ので、予備成形体310には気泡(内部欠陥)が生 じ難い。なお、前記クリアランスが5mmである 場合、巻き込み量は極めて微量であることが 本発明者らによって確認されている。

 次に、注湯管152が円筒状金型22の内部に 在した状態で溶湯L5の冷却固化が行われる。 上記したように棒状ヒータ154が予め発熱され ているため、冷却固化の最中、内側円筒形状 体312の内周壁は棒状ヒータ154によって加温さ れることになる。その一方で、内側円筒形状 体312の外周壁は、先に固化した外側円筒形状 体314に接触している。従って、内側円筒形状 体312における冷却速度は、外周壁側で大きく 且つ内周壁側で小さくなる。

 内側円筒形状体312にこのような熱勾配が じることにより、仮に溶湯L5にアルゴンガ が巻き込まれて気泡が生じたとしても、こ 気泡は、外周壁側に比して冷却速度が小さ 固化に時間を要する内周壁側に移動するこ ができる。

 一方、外周壁側では冷却速度が大きいの 、初晶Siが大きく成長して粗大化すること 抑制される。すなわち、第4実施形態によれ 、外周壁側に微細な初晶Siが分散し、且つ 周壁側に欠陥が集中した内側円筒形状体312 得られる。

 次に、溶湯保持炉166に力を付与し、これ より該溶湯保持炉166を案内レール174に沿っ 円筒状金型22から離間する方向に変位させ 。勿論、この際には、溶湯保持炉166の底面 設けられた車輪172が回転する。

 上記した溶湯保持炉166の変位に追従して 注湯管152及び棒状ヒータ154が円筒状金型22 外部に導出される。また、溶湯保持炉166は 最終的に溶湯補給ステーションまで変位さ 、変位停止後に溶湯収容容器178に溶湯L5が補 給される。

 次に、円筒状金型22の一端部から円環状 体32を取り外した後、この端部側から予備成 形体310を引き抜いて塗型材とともに取り出す 。その後、該予備成形体310の外周壁に対して ショットブラスト処理等を施して塗型材を除 去し、さらに、削り出しを内周壁側から行え ば、欠陥が集中した内周壁側が除去され、且 つ微細な初晶Siが略均等に分散した外周壁側 残留する。すなわち、内部欠陥が極めて少 く、且つ微細な初晶Siに富むために高強度 且つ耐摩耗性に優れたシリンダスリーブが られる。勿論、このシリンダスリーブの外 壁には、塗型材の表面の凹凸が転写される とでスパイニーが形成されている。

 なお、第4実施の形態においては、シリンダ ブロックの材質としてアルミニウム、ADC10又 ADC12を選定するとともに、外側円筒形状体31 4の材質としてADC12を選定するようにしている が、接合強度を確保するための外側円筒形状 体314の材質は特にこれに限定されるものでは なく、その熱膨張係数と、シリンダブロック の材質の線膨張係数との差が3×10 -6 /℃以内のものであればよい。また、シリン ブロックと外側円筒形状体314とを同一のア ミニウム合金としてもよいことは勿論であ 。

 また、内側円筒形状体312の材質もA390相当 材(Al-17%系合金)又はAC9A相当材(Al-23%系合金)に に限定されるものではなく、耐摩耗性を確 する場合、外側円筒形状体314をなすAl-Si系 金に比して耐摩耗性が大きなAl-Si系合金であ れば如何なるものであってもよい。

 さらに、内側円筒形状体312の材質は耐摩 性が大きいもの、外側円筒形状体314の材質 シリンダブロックの線膨張係数に近いもの 特に限定されるものではなく、希求される 性に応じて適宜変更すればよい。

 さらにまた、外側円筒形状体314の厚みT8 0.5~2.0mmの範囲内に特に限定されるものでは く、内側円筒形状体312の冷却速度を制御し 所望の組織が得られるように設定される。




 
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