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Patent Searching and Data


Title:
HYDRAULIC ROTATION MACHINE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/026501
Kind Code:
A1
Abstract:
A hydraulic rotation machine having a rotating shaft provided in a casing, a cylinder block connected to the rotating shaft and having cylinder holes formed in it, and pistons slidably installed in the cylinders. The pistons reciprocate in the cylinders while the rotating shaft and the cylinder block rotate synchronously. At least either the sliding surface of each cylinder hole of the cylinder block or the sliding surface of a piston is processed, and a large number of minute recesses are formed in the processed surface. Each minute recess is an elliptical recess having on one side a gentle slope in the depth direction and also having a steep slope on the opposite side, and the minute recess is formed such that the gentle slope faces the direction in which the piston moves in the cylinder while receiving the action of a greater load.

Inventors:
YOKOYAMA KAZUAKI (JP)
TAKEUCHI YOSHINORI (JP)
KOKUBUN HARUO (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/066357
Publication Date:
March 06, 2008
Filing Date:
August 23, 2007
Export Citation:
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Assignee:
HITACHI CONSTRUCTION MACHINERY (JP)
YOKOYAMA KAZUAKI (JP)
TAKEUCHI YOSHINORI (JP)
KOKUBUN HARUO (JP)
International Classes:
F04B1/22; F03C1/253; F04B53/14
Domestic Patent References:
WO2004055371A12004-07-01
Foreign References:
JPS5958171A1984-04-03
JPH0539775A1993-02-19
JPH06330849A1994-11-29
JPS6332175A1988-02-10
JPH10205437A1998-08-04
Attorney, Agent or Firm:
KAGEI, Toshitsugu (9-12 Nishishinjuku 1-chom, Shinjuku-ku Tokyo 23, JP)
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Claims:
ケーシング内に設けた回転軸と、この回転軸に連結され、複数のシリンダ孔を穿設したシリンダブロックと、これら各シリンダ孔に摺動可能に装着したピストンとからなり、前記回転軸と前記シリンダブロックとが同期回転する間に、前記各ピストンが前記各シリンダ孔内で往復移動する液圧回転機において、
 前記シリンダブロックの各シリンダ孔と、前記各ピストンとの間の摺動面の少なくとも一方の面を被加工面として、この被加工面には多数の微小凹陥が形成されており、
 これら各微小凹陥は、一方側が深さ方向に向けて緩斜面で、これとは反対側が急斜面となった楕円形状の凹部であり、
 前記各微小凹陥は、前記ピストンがより大きな荷重の作用を受けながら前記シリンダ孔内を移動する方向に緩斜面が向くように形成する
構成したことを特徴とする液圧回転機。
前記各微小凹陥はショットピーニングにより形成したものであり、ショット材を前記被加工面に対して斜め方向から入射させることにより前記微小凹陥が前記楕円形状となる構成としたことを特徴とする請求項1記載の液圧回転機。
前記ショット材は直径が10μm以上で、1mm以下の粒径のものであることを特徴とする請求項2記載の液圧回転機。
前記ショット材は、前記被加工面に対して60度以下の角度で入射させたものであることを特徴とする請求項3記載の液圧回転機。
前記微小凹陥は前記シリンダ孔に形成する構成としたことを特徴とする請求項1記載の液圧回転機。
前記液圧回転機は、前記シリンダブロックの回転により、前記各シリンダ孔は吸い込みポートと吐出ポートとに交互に接続される油圧ポンプであり、前記微小凹陥は少なくとも前記シリンダ孔に形成されるものであって、前記微小凹陥は、前記シリンダ孔の入口側から前記ポートへの接続側に緩斜面が向いていることを特徴とする請求項1記載の液圧回転機。
前記各シリンダ孔には、その入口側に前記微小凹陥の密度を高く形成する構成としたことを特徴とする請求項6記載の液圧回転機。
前記液圧回転機は前記シリンダブロックの回転により、前記各シリンダ孔は高圧側ポートと低圧側ポートとに交互に接続される油圧モータであり、前記微小凹陥は少なくとも前記シリンダ孔に形成されるものであって、前記微小凹陥は、前記シリンダ孔の前記ポートへの接続側から入口側に緩斜面が向いていることを特徴とする請求項1記載の液圧回転機。
前記微小凹陥は前記シリンダ孔の内周面と前記ピストンの外周面とに形成する構成としたことを特徴とする請求項1記載の液圧回転機。
Description:
液圧回転機

 本発明は、ピストン式の油圧ポンプや油 モータといった液圧回転機に関するもので る。

 斜板式,斜軸式の油圧ポンプ,油圧モータ ラジアルピストン式の油圧ポンプや油圧モ タは、回転軸を連結したシリンダブロック 形成した複数のシリンダ孔内に各々ピスト を摺動可能に設ける構成としている。例え 、斜板式油圧ポンプを例に取ると、ケーシ グ内にシリンダブロックが設けられ、この リンダブロックと対面するように斜板が配 されている。回転軸は斜板を貫通して延在 れて、シリンダブロックに連結されており 回転軸とシリンダブロックとは一体回転す ようになっている。シリンダブロックには 転方向に複数(通常は、5箇所,7箇所等といっ 奇数)のシリンダ孔が設けられる。斜板には シリンダ孔と同数のピストンに連結したシュ ーが摺動可能に支承されており、これら各ピ ストンはそれぞれシリンダ孔内に往復移動可 能に挿入されている。

 回転軸を駆動すると、シリンダブロック これに追従回転することになり、このとき シリンダブロックの各シリンダ孔に挿入し ピストンが、斜板の角度に応じたストロー で往復移動することになる。また、シリン ブロックの回転により各シリンダ孔は吸い みポートと吐出ポートとに切り換え接続さ る。従って、ピストンがシリンダ孔から突 する際には、このシリンダ孔が吸い込みポ トと連通して作動油を吸い込み、ピストン シリンダ孔への進入が開始すると、吐出ポ トと連通して、吸い込んだ作動油を加圧し 吐出することになる。

 以上のように作動する斜板式油圧ポンプ おいて、その作動を円滑に行うには、ピス ンとシリンダ孔との間の摺動面における摺 性を良好にする必要がある。このピストン シリンダ孔との摺動性を向上させるために シリンダ孔の摺動面に低摩擦銅合金からな 摺動層を形成するようにしたものが、特許 献1に記載されている。この特許文献1では シリンダ孔の内面に低摩擦銅合金を溶着さ 、その後にこれを焼結することによって、 摩擦化させた摺動層を形成している。

 ただし、前述したような低摩擦銅合金の をシリンダ孔の内面に形成する処理を行う は複雑な加工を必要とすることから、製造 ストを上昇させるという問題点がある。液 回転機は、ケーシング内全体に作動油が充 している状況下で作動するものであるから この作動油を潤滑材として機能させること よって、シリンダ孔の内面を低摩擦化する めの複雑な加工を施すことなく、ピストン シリンダ孔との間の摺動性を改善すること できる。このためには、ピストンが摺動す 際に、シリンダ孔の内面には必ず作動油の 膜が形成され、油膜切れが生じさせないよ にしなければならず、このためにはシリン 孔の内面に保油性を持たせることが要求さ る。

 ここで、摺動面に保油性を持たせるための 成としては、例えば特許文献2の開示を参考 にすることができる。この特許文献2は、エ ジンのシフトフォークにおいて、その平坦 からなる摺動面に多数のマイクロディンプ を形成して、微小凹凸を設けることによっ 、摺動面の保油性を良好にする構成とした のである。そして、この特許文献2では、マ クロディンプルは、切削加工,研磨加工,塑 加工等により形成することができ、さらに ョットピーニングによってもマイクロディ プルを形成することができると記載されて る。

特開平7-167041号公報

特開2001-280494号公報

 以上のことから、特許文献1にあるように 、シリンダ孔の内面を低摩擦銅合金による低 摩擦化する摺動層の形成という複雑かつ面倒 な加工を行うことなく、ピストンとシリンダ 孔との摺動面における摺動性をより改善する ために、特許文献2の開示内容を参考して、 リンダブロックにおけるシリンダ孔の表面 多数のマイクロディンプルを形成すること 考えられる。

 ところで、この種の液圧回転機の作動中 、シリンダブロック及びこのシリンダブロ クのシリンダ孔に挿入されているピストン 回転軸の回りを回転することになり、しか この回転動作の間にピストンがシリンダ孔 で往復移動する。さらに、ピストンの端部 はシューが連結して設けられ、このシュー 斜板等に摺接している。従って、液圧回転 が作動して、ピストンがシリンダ孔内を往 動する際には、このピストンには様々な方 の荷重が作用して、これらがシリンダ孔へ 摺動条件に複雑な影響を与えることになる ピストンがストロークする時に、その端面 作用する圧力は大きく変化し、シリンダブ ックの回転数によりピストンの移動速度が 化する。さらに、この液圧回転機を可変容 式油圧ポンプとした場合には、傾転制御に りピストンのストローク長が変化する。

 以上のことから、シリンダ孔の内面にマ クロディンプルを形成すれば、保油性を向 させることができ、ピストンのシリンダ孔 の摺動性がある程度は良好になるものの、 述した作動条件の過酷性を考慮すれば、単 低摩擦化のみに依らず、さらに摺動条件を 好にできるようにすることが望まれる。そ で、本発明者等は液圧回転機の性能をより 上させるために鋭意研究を行った結果、ピ トンとシリンダ孔との間の摺動面において 単に保油性を持たせるだけでなく、ある種 流体軸受としての機能を発揮させて、ピス ンがストロークする際の動きに直進性を持 せることができれば、シリンダ孔との間の 動をさらに円滑に行わせることができる点 着目して本発明を完成するに至った。

 而して、本発明は以上の点に鑑みてなさ たものであって、その目的とするところは 簡単な加工によって、シリンダ孔内でのピ トンの往復移動を円滑に行わせ、耐摩耗性 耐かじり性を向上させることにある。

 前述した目的を達成するために、本発明 、ケーシング内に設けた回転軸と、この回 軸に連結され、複数のシリンダ孔を穿設し シリンダブロックと、これら各シリンダ孔 摺動可能に装着したピストンとからなり、 記回転軸と前記シリンダブロックとが同期 転する間に、前記各ピストンが前記各シリ ダ孔内で往復移動する液圧回転機であって 前記シリンダブロックの各シリンダ孔と、 記各ピストンとの間の摺動面の少なくとも 方の面を被加工面として、この被加工面に 多数の微小凹陥が形成されており、これら 微小凹陥は、一方側が深さ方向に向けて緩 面で、これとは反対側が急斜面となった楕 形状の凹部であり、前記各微小凹陥は、前 ピストンがより大きな荷重の作用を受けな ら前記シリンダ孔内を移動する方向に緩斜 が向くように形成する構成としたことをそ 特徴とするものである。

 ここで、相対向する2面間を摺動させる場 合、この相対向する2面が先狭となっている 、つまり移動方向に向けて少なくともいず か一方が他方側に近接する方向に傾斜して ると、その間に介在する潤滑油がこの傾斜 に引き込まれて、所謂くさび膜効果による 力が発生することになる。これによって、 対向する面間を離間させる方向に押圧力が 用して、その間が一種の流体軸受として機 させる。このくさび膜効果をより強力に発 させるためには、傾斜面の角度が重要な要 となる。そこで、被加工面に形成される微 凹陥を、クレータのようにすり鉢状の円形 部ではなく、方向性のある楕円形状の凹陥 となし、最も深い部位から一方側に向けて 定角度傾斜した緩斜面としている。一方、 陥部における他方側に向けては、これより 度が大きい急斜面となる。そして、相互に 動する2面の少なくとも一方側に、その全面 わたって微小凹陥を多数形成し、これら微 凹陥の楕円における長軸をピストンの往復 方向に向けて延在させる。

 シリンダ孔内を往復移動するピストンが り大きな圧力なり、荷重なりを受けて移動 る方向に緩斜面を向ける。液圧回転機を油 ポンプとして用いる場合には、ピストンが リンダ孔に進入するときに、このピストン 端面に高圧が作用する。一方、油圧モータ して用いる場合には、通常、ピストンがシ ンダ孔から突出する方向への移動時に、ピ トン端面に高い圧力が作用することになる 従って、液圧回転機を油圧ポンプとして用 る場合と、油圧モータとして用いる場合と は、緩斜面の方向を反対方向に向けるよう する。

 微小凹陥は、例えば、ショットピーニン により形成することができる。ショットピ ニングは、硬質小球からなるショット材を 射装置で加速させて、被加工物の表面に高 で衝突させるようにしたものである。この ョットピーニングは、一般に、被加工物の 層部を粗面化させ、かつ硬質化させて、高 圧縮残留応力を付与して、耐摩耗性の向上 流体抵抗の低減等を図るための加工であり また凹凸形成により保油性を向上すること なる。本発明においては、以上の点に加え 、ショットピーニングにより、くさび膜効 を発揮するように傾斜した面を形成してい 。つまり、ショット材を被加工面に対して め方向から入射させることによって、くさ 膜効果を発揮する緩斜面が形成され、この ョット材の入射角に応じて斜面の角度を制 することができる。微小凹陥は被加工面全 にわたって多数形成する。そして、ショッ 材の入射角は、好ましくは60度以下とし、 り好ましくは45度~30度程度とし、またショッ ト材の直径は10μm以上で、1mm以下の粒径のも を用いる。勿論、ショットピーニングにお て、たとえショット材を被加工面に対して め方向から入射させて、傾斜面を形成した しても、所定の深さを有する凹部であるか 、前述した耐摩耗性や保油性等といった諸 性が損なわれることはない。

 ショットピーニングが施される被加工面 、シリンダ孔の内面またはピストンの外面 いずれかである。これらのうち、いずれの に微小凹陥を形成しても良い。また、一方 だけでなく、シリンダ孔の内面とピストン 外面との双方に微小凹陥を形成することも きる。

 斜め方向からショット材を被加工面に入 させるという簡単な加工を施すだけで、そ 摺動面に潤滑油膜を確実に保持させるだけ なく、シリンダ孔とピストンとの間の摺動 に形成した微小凹陥により流体軸受機能を 揮させて、さらに円滑かつ低負荷でピスト を作動させることができる。

本発明の実施の一形態において、液圧 転機の一例としての斜板式油圧ポンプの断 図である。 図1の油圧ポンプを構成するシリンダブ ロックの断面図である。 シリンダブロックのピストン孔に形成 れる微小凹陥の構成を示す説明図である。 ショットピーニングにより微小凹陥を 成している状態を示す説明図である。 微小凹陥により発揮するくさび膜効果 説明図である。 本発明の第2の実施の形態において、シ リンダブロックとピストンとを示す断面図で ある。

 以下、図面に基づいて本発明の実施の形 について説明する。図1に液圧回転機の一例 として、斜板式油圧ポンプの全体断面を示す 。なお、本発明はこの斜板式油圧ポンプに限 定されるものではなく、斜軸式、ラジアルピ ストン式等、作動時に回転するシリンダブロ ックを有し、このシリンダブロックにピスト ンが往復移動するシリンダ孔を設けた油圧ポ ンプまたは油圧モータとして適用可能である 。

 図中において、1はポンプケーシングであ って、このポンプケーシング1は本体ケーシ グ1aとフロントケーシング1bとから構成され 。本体ケーシング1aはフロントケーシング1b に接合・固定されており、これによってポン プケーシング1内には密閉された収容空間2が 成されている。収容空間2内には、図2に示 たシリンダブロック3が装着されており、こ シリンダブロック3の中心に設けたスプライ ン孔3aを貫通するようにして回転軸4が設けら れ、回転軸4はポンプケーシング1を構成する 体ケーシング1a及びフロントケーシング1bに 、それぞれ軸受5,6により回転自在に支持され ている。回転軸4のシリンダブロック3への嵌 部にはスプラインが形成されており、回転 4を回転駆動すると、シリンダブロック3が れと一体的に回転する。回転軸4にはカップ ング部材7が一体回転するように連結されて おり、このカップリング部材7には、例えば ンジンの出力軸等が連結される。

 図中、8は斜板であって、この斜板8は本 ケーシング1aに設けた傾転角制御部材9によ て、傾転角、即ち回転軸4に対する斜板8の傾 斜角度が制御されて、油圧ポンプとしての吐 出容量が決定される。斜板8には所定数のシ ー10が装着されており、これら各シュー10に 球面継手10aを介してそれぞれピストン11が 結して設けられている。ピストン11はシリン ダブロック3に形成したシリンダ孔12に往復動 可能に挿嵌されている。シリンダブロック3 は奇数箇所、例えば5箇所または7箇所のシリ ンダ孔12が穿設されており、各シリンダ孔12 それぞれピストン11が装着されている。

 シリンダブロック3と本体ケーシング1aと 間には弁板13が介装されている。弁板13には 、本体ケーシング1aに設けた吸い込み流路14 び吐出流路15に連通する吸い込みポート16と 出ポート17とが設けられている。従って、 リンダブロック3が回転すると、このシリン ブロック3に形成され、各シリンダ孔12に連 している連通路12aが吸い込みポート16と吐 ポート17とに切り換え接続される。なお、シ リンダブロック3を弁板13に押圧させ、またこ の弁板13を本体ケーシング1aに押圧するため 、回転軸4にばね受け部材18が連結して設け れており、またシリンダブロック3には円周 向に複数個所にばね受け凹部19が設けられ おり、これらばね受け凹部19と回転軸4のば 受け部材18との間には圧縮ばね20が設けられ いる。

 以上のように構成される斜板式油圧ポン は以下に示すように作動する。即ち、図示 ない駆動手段により回転軸4を回転駆動する と、この回転軸4に連結したシリンダブロッ 3が回転駆動される。シリンダブロック3が回 転することによって、各シリンダ孔12に装着 たピストン11が回転軸4の軸回りに回転駆動 れることになり、ピストン11に連結したシ ー10が斜板8の表面上を摺動する。斜板8が回 軸4に対して傾斜していると、この傾斜角に 応じてピストン11がシリンダ孔12内で進退し 、それに応じたストロークで往復動する。

 シリンダブロック3が半回転する間は、ピ ストン11はシリンダ孔12から突出する方向に 位し、シリンダブロック3が残りの半回転す 間は、ピストン11はシリンダ孔12内に向けて 進入する方向に変位する。ここで、ピストン 11が突出する間は、シリンダ孔12の連通孔12a 弁板13の吸い込み流路14と連通させ(吸い込み 行程)、最伸長位置からピストン11がシリンダ 孔12内に進入する方向に転じると、シリンダ 12の連通孔12aを弁板13の吐出流路15と連通さ る(吐出行程)。そして、吸い込み行程と吐 行程との間の移行時には、吸い込み流路14と も、吐出流路15とも連通しない死点位置が設 られる。

 これによって、シリンダ孔12が吸い込み 路14と連通している間はピストン11のシリン 孔12からの突出に伴って、シリンダ孔12内の 容積が拡大し、この間に吸い込みポート16か シリンダ孔12内に作動油を吸い込む。また シリンダ孔12が吐出流路15に連通して、ピス ン11がシリンダ孔12内に進入すると、シリン ダ孔12内の容積が縮小することになり、シリ ダ孔12内に吸い込んだ作動油を加圧して吐 流路15から吐出ポート17に吐出する。その結 、吸い込みポート16から吸い込んだ作動油 加圧されて、吐出ポート17に向けて吐出する ポンプ作用を発揮する。

 ここで、ピストン11の作動は、シリンダ ロック3の回転によって、シュー10を斜板8に 接させながら、シリンダ孔12内を往復移動 る。吸い込み行程では、低圧状態となって る作動油をシリンダ12内に吸い込むことから 、ピストン11には格別の高圧が作用すること なく、この方向へのピストン11の摺動動作 対する抵抗が極端に増大する等といった事 が生じることはない。

 一方、ピストン11がシリンダ孔12内に進入 する動作時には、シリンダ孔12内の作動油が 圧されることになり、このときの油圧力、 まりポンプ圧がピストン11の先端面に作用 る。そこで、ピストン11のこの方向への動作 時に、潤滑性を良好となし、抵抗を増大させ ずに円滑に移動させ、しかも耐摩耗性及び耐 かじり性を向上させる。このために、シリン ダ孔12の内面は、図2にCで示したように、ほ 全面にわたって粗面化している。この粗面C 、シリンダ孔12の内面を被加工面として、 の表層部分に、図3に示した多数の微小凹陥2 1をほぼ全面にわたって形成したものから構 される。微小凹陥21は、図3(a)に示した断面 状にあるように、最も深い部位から一方側 向けて緩斜面21aとなり、反対側は急斜面21b なっている。微小凹陥21は、同図(b)に示した 平面形状では楕円形状となる。ここで、急斜 面21bは摺動面に対してほぼ直交する面(つま ほぼ直角に立ち上がる面)として、断面が鋸 状に近い形状とすることができる。ただし 断面を鋸歯状の凹凸を形成するのは、複雑 加工を要することになる。従って、後述す ように、ショットピーニング加工により微 凹陥21を形成するのが好ましく、この場合 は緩斜面21aとは反対側は、多少の傾斜をも た急斜面21bとなる。

 ショットピーニング加工による微小凹陥2 1の形成は、例えば、図4に示したようにして うことができる。即ち、ショットピーニン 装置のノズル(図示せず)から硬質小球22を加 速させて、シリンダ孔12の内面に向けて入射 て、その衝突によって表面にほぼ均一な微 凹陥21を容易に、しかも所望の状態に分散 せて多数形成することができる。そして、 質小球22の入射は、シリンダ孔12の内面に対 て直交する方向ではなく、ノズルの先端部 を曲げることによって、角度θをもって斜 方向から入射させる。これによって、微小 陥21は硬質小球22の入射側が緩斜面21a、反射 が急斜面21bとなる。ここで、硬質小球22の 射角は45度前後、即ち60度~30度程度とするの 望ましい。また、硬質小球22は、直径が10μm ~1mmの範囲のものを用いるのが好適である。

 例えば、直径がほぼ10μmの硬質小球22を用 いた場合、図3において、シリンダ孔12の内面 に形成される微小凹陥21の幅Bは10μm前後とな 、硬質小球22の入射角にもよるが、微小凹 21の長さLは50~100μm程度となり、深さDは数μm することができる。この微小凹陥21はシリ ダ孔12の内面において、ピストン11が摺動す 部位の全域に多数形成させる。そして、微 凹陥21を全体にわたって均等に分布させる とができ、またピストン11が最も不安定にな るのは、シリンダ孔12から最伸長した位置で り、この点を考慮すれば、シリンダ孔12の 口近傍の密度を高くしても良い。

 このように、シリンダ孔12の内面に多数 微小凹陥21を分散させて形成することによっ て、ピストン11がシリンダ孔12内を摺動する における潤滑性が高くなり、軽い負荷で円 に作動し、耐摩耗性及び耐かじり性等とい た特性が向上する。ここで、ポンプケーシ グ1における収容空間2内には作動油が充填さ れており、この作動油の油膜がピストン11と リンダ孔12との摺動部全体に行き渡ってい 。ただし、十分な保油性を有しないと、ピ トン11の作動時、特に油圧ポンプの吐出行程 に入り高負荷状態で摺動する際に、この負荷 により油膜切れを生じる可能性がある。しか しながら、シリンダ孔12内面に形成した多数 微小凹陥21内に作動油が保持されて、保油 が高くなっているので、潤滑用の油膜が切 るおそれはない。

 ところで、微小凹陥21で保油性を向上さ るという機能を発揮させる場合には、微小 陥21の方向性は問題とはならず、また微小凹 陥21が楕円形状の凹部ではなく、円形の凹部 あっても良い。しかしながら、微小凹陥21 、前述した保油性を発揮するだけでなく、 リンダブロック3が回転しながら、しかもピ トン11に連結したシュー10が斜板8の表面に って摺動しながら、シリンダ孔12内を往復移 動するピストン11に対して、一種の流体軸受 して機能させて、シリンダ孔12内でのピス ン11の移動時における直進性を確保すること になる。これによって、摺動面に単に油膜を 形成した場合と比較して、耐摩耗性及び耐か じり性がさらに向上して、より円滑な作動を 可能にすることができる。

 この流体軸受機能が必要とするのは、ピ トン11が高い負荷の作用下で移動する方向 あり、シリンダ孔12における連通孔12a側に緩 斜面21aがこの方向を向くように微小凹陥21の きを調整する。この微小凹陥21の方向制御 、硬質小球22を噴射させるノズルの先端部分 の曲げ方向を調整すれば、極めて容易に制御 することができる。このように、微小凹陥21 緩斜面21aを形成して、この緩斜面21aの方向 調整することによって、相対移動する2つの 面間に作動油の油膜にくさび膜効果を有効に 発揮することになる。即ち、図5に示したよ に、シリンダ孔12の内面に形成した微小凹陥 21内には作動油が充満しており、これに対面 るピストン11が同図の矢印S方向に移動する には、矢印Fで示したように作動油が先狭の 傾斜面となった緩斜面21a側、つまりピストン 11が移動する方向に向けて作動油が引き込ま る。その結果、その間に介在する油膜がく び膜として作用を発揮してピストン11に矢 M方向への押圧力が作用することになる。微 凹陥21はシリンダ孔12の全周に設けられてい るので、ピストン11における全周からの矢印M 方向に向けての押圧力はこのピストン11の軸 心に向けられることになる結果、球面継手1 0aを介してシュー10に連結されているピスト 11はシリンダ孔12に対してセンタリングする 向への押圧力が作用して、直進性が確保さ ることになる。

 このように、ピストン11がシリンダ孔12に 進入する際には、微小凹陥21はくさび膜効果 発揮するが、ピストン11がシリンダ孔12から 突出する方向では、このくさび膜効果を発揮 することはない。しかしながら、油圧ポンプ において、ピストン11がシリンダ孔12から突 する方向に作動するときは吸い込み行程で って、ピストン11には格別大きな圧力が作用 しない。従って、この方向への作動時にはく さび膜効果を発揮させなくても、格別支障を 来たすことはない。ただし、ピストン11のこ 方向への移動時も摺動面に確実に潤滑膜が 成されていなければならないが、微小凹陥2 1は良好な保油性を有することから、この方 への動きも十分潤滑されて、動きの円滑性 確保される。

 以上のように、微小凹陥21における緩斜 21aの方向をピストン11が大きな荷重を受けな がら移動する方向に向けることから、液圧回 転機を油圧ポンプではなく、油圧モータとす る場合には、一般的に、油圧ポンプとは反対 方向の作動時に最大負荷が作用することにな る。つまり、ピストン11は作動油を加圧する ではなく、高圧油をシリンダ孔12に導入し 、ピストン11を押動するのであるから、ピス トン11の突出ストローク時に微小凹陥21によ くさび膜効果を発揮させるように、この微 凹陥21の緩斜面21を斜板8と対面する方向に向 けるように形成する。

 なお、前述した実施の形態においては、 リンダ孔12側に微小凹陥21を形成するように しているが、図6に示したように、ピストン11 1の外周面に緩斜面と急斜面とを有する微小 陥121を形成するようにしても良い。従って 微小凹陥はシリンダ孔の内面またはピスト の外周面のいずれか、若しくはその双方に 成することも可能である。