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Patent Searching and Data


Title:
HYDROGEN SEPARATION MEMBRANE AND PERMSELECTIVE MEMBRANE REACTOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/153016
Kind Code:
A1
Abstract:
A hydrogen separation membrane comprising a palladium alloy containing at least palladium and other two different metals, namely, added metal (A) and added metal (B). Each of the added metal (A) and added metal (B) is solid-soluble in whole proportion in the palladium, and the added metal (A) and added metal (B) have triple points in the phase equilibrium diagram and would form no intermetallic compound. The hydrogen separation membrane excels in not only the performance of hydrogen permeation but also the durability.

Inventors:
NODA KENICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/060595
Publication Date:
December 18, 2008
Filing Date:
June 10, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NGK INSULATORS LTD (JP)
NODA KENICHI (JP)
International Classes:
B01D69/12; B01D71/02; C01B3/38; C01B3/56
Foreign References:
JPH05330803A1993-12-14
JP2007070165A2007-03-22
JPH0838863A1996-02-13
JP2005254191A2005-09-22
JPH08318142A1996-12-03
US3439474A1969-04-22
US3350845A1967-11-07
JP3377731B22003-02-17
JP2001046845A2001-02-20
US3155467A1964-11-03
FR2213985A11974-08-09
FR1320481A1963-03-08
US5931987A1999-08-03
EP0547959A11993-06-23
Other References:
J. PHYS. CHEM., vol. 74, 1970, pages 503 - 511
J. APPL. PHYS., vol. 37, no. 2, 1966, pages 715 - 721
RUSS. J. PHYS. CHEM., vol. 45, 1971, pages 621 - 623
J. LESS-COMMON METALS, vol. 39, 1975, pages 293 - 308
SEPARATION PURIFICATION TECHNOLOGY, vol. 50, 2006, pages 82 - 91
Attorney, Agent or Firm:
WATANABE, Kazuhira (No.8 Kikuboshi Tower Building 20-18, Asakusabashi 3-chome, Taito-k, Tokyo 53, JP)
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Claims:
 パラジウムと、他の異なる二種類の金属である添加金属A及び添加金属Bとを少なくとも含むパラジウム合金からなり、
 前記添加金属Aと前記添加金属Bのそれぞれは、パラジウムに対してそれぞれ全率固溶するものであるとともに、前記添加金属Aと前記添加金属Bは、平衡状態図において3重点を有し、かつ、金属間化合物を形成しないものである水素分離膜。
 前記パラジウム合金が、前記添加金属Aと前記添加金属Bの平衡状態図における3重点の温度の上下100℃の範囲内で熱処理されたものである請求項1に記載の水素分離膜。
 前記添加金属Aと前記添加金属Bのそれぞれが、元素周期表の9族から11族の遷移金属元素より選択される金属である請求項1又は2に記載の水素分離膜。
 前記添加金属A又は前記添加金属Bが、銀である請求項1~3のいずれか一項に記載の水素分離膜。
 前記添加金属A又は前記添加金属Bが、金である請求項1~3のいずれか一項に記載の水素分離膜。
 前記添加金属A又は前記添加金属Bが、銅である請求項1~3のいずれか一項に記載の水素分離膜。
 前記添加金属A又は前記添加金属Bが、イリジウムである請求項1~3のいずれか一項に記載の水素分離膜。
 前記添加金属A又は前記添加金属Bが、ロジウムである請求項1~3のいずれか一項に記載の水素分離膜。
 前記添加金属A又は前記添加金属Bが、コバルトである請求項1~3のいずれか一項に記載の水素分離膜。
 前記添加金属A又は前記添加金属Bが、ニッケルである請求項1~3のいずれか一項に記載の水素分離膜。
 前記パラジウム合金中における、パラジウムの含有量が40~90質量%である請求項1~10のいずれか一項に記載の水素分離膜。
 水素分離膜の膜厚が、0.1~10μmである請求項1~11のいずれか一項に記載の水素分離膜。
 セラミックス、又は金属を主成分とし、一の表面から他の表面にかけて複数の細孔が形成された多孔質基体と、
 前記多孔質基体の前記一の表面上に配置された請求項1~12のいずれか一項に記載の水素分離膜とを備えた水素分離体。
 一端部がガスの入口で、他端部がガスの出口である筒状の反応管と、
 前記反応管内に挿入された、表面に水素を選択的に透過させる選択透過膜を有する分離管と、
 前記反応管と前記分離管との間に配置された、原料ガスからの水素の生成反応を促進する触媒と、を備え、
 前記選択透過膜が、請求項1~12のいずれか一項に記載の水素分離膜である選択透過膜型反応器。
 前記触媒が、ペレット状、フォーム状若しくはハニカム状に形成された担体に担持されたもの、又は前記触媒自身がペレット状、フォーム状若しくはハニカム状に成形されたものである請求項14に記載の選択透過膜型反応器。
Description:
水素分離膜、及び選択透過膜型 応器

 本発明は、水素分離膜、及び選択透過膜 反応器に関する。更に詳しくは、水素の透 性能に優れるとともに、耐久性にも優れた 素分離膜、及び、このような水素分離膜を いた選択透過膜型反応器に関する。

 水素ガスは石油化学の基本素材ガスとし 大量に使用され、また、クリーンなエネル ー源として大きな期待が寄せられている。 のような目的に使用される水素ガスは、メ ン、プロパン、ブタン、灯油等の炭化水素 メタノール等の含酸素炭化水素を主たる原 ガスとして、改質反応、部分酸化反応、自 熱反応、分解反応等を利用して生成され、 に、副生する一酸化炭素と水とを原料とし シフト反応することにより生成される。こ ようにして生成された水素は、パラジウム 金膜等の水素を選択的に透過させることの きる選択透過膜等を使用して分離し、取り すことができる。

 このような分離膜としては、従来、パラ ウム、又は、パラジウムに銀、銅、金、希 類元素等の金属を加えたパラジウム合金を いて形成された水素分離膜が用いられてい (例えば、特許文献1~5、及び非特許文献1~4参 照)。なお、これらの水素分離膜は、製造方 から見て、膜全体がほぼ均一なパラジウム 金となるように調製されている。

米国特許第3439474号公報

米国特許第3350845号公報

特許第3377731号公報

特開2001-46845号公報

米国特許第3155467号公報 J.Phys.Chem.,74,(1970),p503-511 J.Appl.Phys.,37(2),(1966),p715-721 Russ.J.Phys.Chem.,45,(1971),p621-623 J.Less-Common Metals 39,(1975),p293-308

 しかしながら、上記したようなパラジウ 、又は、パラジウムに他の金属を加えたパ ジウム合金を用いた水素分離膜は、通常、 温での水素分離膜の使用中に膜に新たな欠 が生じたり、欠陥が大きくなってしまうこ があり、分離膜の耐久性が低いという問題 あった。

 一方、欠陥の生成を抑制するために、水 分離膜の膜厚を厚くすると、水素の透過性 が低下してしまうという問題があった。

 このように、従来、パラジウム、又は、 ラジウム合金を用いた水素分離膜において 、水素の透過性能を向上させることと、分 膜の耐久性を向上させることとは、二律背 の関係にあり、両者を両立させることは極 て困難であった。

 本発明は、このような従来技術の有する 題点に鑑みてなされたものであり、その課 とするところは、水素の透過性能に優れる ともに、分離膜中の欠陥の生成や拡大を抑 することにより耐久性にも優れた水素分離 、及び、このような水素分離膜を用いた選 透過膜型反応器を提供することにある。

 本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意 討した結果、パラジウム合金からなる水素 離膜において、特定の固溶性を示す二種類 上の他の金属をパラジウムに加えたパラジ ム合金を用いることによって、上記課題を 成することが可能であることを見出し、本 明を完成するに至った。

 即ち、本発明によれば、以下に示す水素 離膜、及び選択透過膜型反応器が提供され 。

[1] パラジウムと、他の異なる二種類の金 である添加金属A及び添加金属Bとを少なく も含むパラジウム合金からなり、前記添加 属Aと前記添加金属Bのそれぞれは、パラジウ ムに対してそれぞれ全率固溶するものである とともに、前記添加金属Aと前記添加金属Bは 平衡状態図において3重点を有し、かつ、金 属間化合物を形成しないものである水素分離 膜。

[2] 前記パラジウム合金が、前記添加金属A と前記添加金属Bの平衡状態図における3重点 温度の上下100℃の範囲内で熱処理されたも である前記[1]に記載の水素分離膜。

[3] 前記添加金属Aと前記添加金属Bのそれ れが、元素周期表の9族から11族の遷移金属 素より選択される金属である前記[1]又は[2] 記載の水素分離膜。

[4] 前記添加金属A又は前記添加金属Bが、 である前記[1]~[3]のいずれかに記載の水素分 膜。

[5] 前記添加金属A又は前記添加金属Bが、 である前記[1]~[3]のいずれかに記載の水素分 膜。

[6] 前記添加金属A又は前記添加金属Bが、 である前記[1]~[3]のいずれかに記載の水素分 膜。

[7] 前記添加金属A又は前記添加金属Bが、 リジウムである前記[1]~[3]のいずれかに記載 水素分離膜。

[8] 前記添加金属A又は前記添加金属Bが、 ジウムである前記[1]~[3]のいずれかに記載の 素分離膜。

[9] 前記添加金属A又は前記添加金属Bが、 バルトである前記[1]~[3]のいずれかに記載の 素分離膜。

[10] 前記添加金属A又は前記添加金属Bが、 ッケルである前記[1]~[3]のいずれかに記載の 水素分離膜。

[11] 前記パラジウム合金中における、パラ ジウムの含有量が40~90質量%である前記[1]~[10] いずれかに記載の水素分離膜。

[12] 水素分離膜の膜厚が、0.1~10μmである前 記[1]~[11]のいずれかに記載の水素分離膜。

[13] セラミックス、又は金属を主成分とし 、一の表面から他の表面にかけて複数の細孔 が形成された多孔質基体と、前記多孔質基体 の前記一の表面上に配置された前記[1]~[12]の ずれかに記載の水素分離膜とを備えた水素 離体。

[14] 一端部がガスの入口で、他端部がガス の出口である筒状の反応管と、前記反応管内 に挿入された、表面に水素を選択的に透過さ せる選択透過膜を有する分離管と、前記反応 管と前記分離管との間に配置された、原料ガ スからの水素の生成反応を促進する触媒と、 を備え、前記選択透過膜が、前記[1]~[12]のい れかに記載の水素分離膜である選択透過膜 反応器。

[15] 前記触媒が、ペレット状、フォーム状 若しくはハニカム状に形成された担体に担持 されたもの、又は前記触媒自身がペレット状 、フォーム状若しくはハニカム状に成形され たものである前記[14]に記載の選択透過膜型 応器。

 本発明の水素分離膜は、水素の透過性能 優れるとともに、耐久性にも優れている。 ち、上記した特定の固溶性を示す二種類の の金属をパラジウムに加えることによって 耐久性向上に必要な元素分布を実現するこ ができ、水素分離膜の欠陥の発生を防止す ことができるため、耐久性を向上させるこ が可能となる。

 このように、本発明の水素分離膜は耐久 に優れているため、水素分離膜の厚さを薄 することが可能となり、パラジウムの使用 の低減につながりコスト面からも望ましい 更に、二種類の他の金属をパラジウムに加 て合金が構成されているため、合金中に占 るパラジウムの割合を低減することも可能 なる。

 また、本発明の選択透過膜型反応器は、 記した本発明の水素分離膜を用いた反応器 あり、水素の透過性能に優れるとともに、 久性にも優れている。更に、水素分離膜に 用される比較的高価なパラジウムの使用量 低減することができるため、反応器が安価 ものとなる。

本発明の水素分離体の一の実施形態を 式的に示す断面図である。 本発明の選択透過膜型反応器の一の実 形態を模式的に示す断面図である。 図2に示す選択透過膜型反応器の中心軸 を含む平面で切断した断面図である。 実施例1~3と比較例1、2の水素分離器に いた水素分離膜の水素透過試験の測定結果 示すグラフである。 実施例1と比較例1、2の耐久試験におけ Heリーク量の測定結果を示すグラフである

符号の説明

1:選択透過膜型反応器、2:反応管、3:分離管 、4:触媒、10:選択透過膜、11:基材、12:分離部 13:反応空間、21:入口、22:出口、23:排出口(分 離排出口)、31:水素分離体、32:多孔質基体、34 :一の表面、35:水素分離膜。

 以下、本発明の実施の最良の形態につい 説明するが、本発明は以下の実施形態に限 されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱 ない範囲で、当業者の通常の知識に基づい 、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良 が加えられたものも本発明の範囲に入るこ が理解されるべきである。

[1]水素分離膜:
 まず、本発明の水素分離膜の一の実施形態 ついて具体的に説明する。本実施形態の水 分離膜は、パラジウムと、他の異なる二種 の金属である添加金属A及び添加金属Bとを むパラジウム合金からなり、前記添加金属A 前記添加金属Bのそれぞれは、パラジウムに 対してそれぞれ全率固溶するものであるとと もに、前記添加金属Aと前記添加金属Bは、平 状態図において3重点を有し、かつ、金属間 化合物を形成しないものである。

 このように構成することによって、パラ ウム合金中において、三種類の金属が偏り もって分布した状態や、偏析等をした状態 作り出すことが可能となる。このような制 された不均一性は、水素透過性能を損なう となく、水素分離膜の欠陥の発生を防止す ことに有効であり、耐久性を向上させるこ が可能となる。このため、本実施形態の水 分離膜は、水素の透過性能に優れるととも 、耐久性にも優れたものとなる。

 更に、本実施形態の水素分離膜は、耐久 向上の効果により、水素分離膜の厚さを薄 することが可能となり、パラジウムの使用 の低減につながりコスト面からも望ましい 更に、二種類の添加金属Aと添加金属Bとを ラジウムに加えて合金が構成されているた 、合金中に占めるパラジウムの割合を低減 ることも可能となる。

[1-1]パラジウム合金:
 本実施形態の水素分離膜に用いられるパラ ウム合金は、上記したようにパラジウムと 他の異なる二種類の金属である添加金属A及 び添加金属B(以下、単に「添加金属」という とがある)とを少なくとも含むものである。

 上記パラジウム合金を構成する異なる二 類の添加金属のそれぞれは、パラジウムに してそれぞれ全率固溶するものであるとと に、この異なる二種類の添加金属同士では 平衡状態図において3重点を有し、かつ、金 属間化合物を形成しないものである。

 二種類の添加金属A及び添加金属Bのそれ れが、パラジウムに対してそれぞれ全率固 するものである、ということは、パラジウ と各添加金属とが任意の割合で固溶すると うことである。具体的には、パラジウムと 加金属Aとが任意の割合で固溶し、且つ、パ ジウムと添加金属Bとが任意の割合で固溶す る。

 一方、異なる二種類の添加金属Aと添加金 属Bは、平衡状態図において3重点を有し、か 、金属間化合物を形成しない。ここで平衡 態図とは、常圧下における添加金属A及び添 加金属Bの二成分系の組成と温度の平衡状態 の状態図(相図)である。添加金属Aと添加金 Bの二種類の金属が平衡状態図において3重点 を有するということは、即ち、添加金属Aと 加金属Bとは、固体の状態においては任意の 合では固溶しない(制限混和性を有する)と うことである。二種類の金属の3重点の例と ては、共晶点や包晶点等を挙げることがで る。また、金属間化合物とは、固溶体を除 、添加金属Aと添加金属Bから形成される安 な化合物であり、添加金属Aと添加金属Bの構 成原子の比は正整数比である。即ち、金属間 化合物を形成しない、とは、このような添加 金属Aと添加金属Bから、正整数比からなる特 の化合物が形成されず、添加金属Aと添加金 属Bをそれぞれの固溶限界以上の割合で混合 た場合、低温では2相に分離することをいう

 パラジウムに対して添加する金属(添加金 属)としては、元素周期表の9族から11族の遷 金属であることが好ましい。特に、本実施 態の水素分離膜に用いられる異なる二種類 添加金属としては、銀、金、銅、イリジウ 、ロジウム、コバルト、ニッケルを好適例 して挙げることができる。

 また、本実施形態の水素分離膜における 種類の添加金属Aと添加金属Bの組み合わせ しては、例えば、銀と銅、銀とニッケル、 とコバルト、銀とイリジウム、銀とロジウ 、金とコバルト、金とイリジウム、又は金 ロジウムのいずれかの組み合わせであるこ が好ましく、銀と銅、銀とコバルト、金と バルト、金とイリジウム、又は金とロジウ のいずれかの組み合わせであることが更に ましい。

 これらの金属のうち、金と銅は、パラジ ムと全率固溶する一方で、パラジウムと一 の条件下で金属間化合物を生成しうるため より耐久性向上に必要な元素分布の実現に ましい。そのため、上記組み合わせのうち 金や銅を含む組み合わせであることが特に ましい。

 水素分離膜を構成するパラジウム合金中 おける、パラジウムの含有量は、40~90質量% あることが好ましく、60~90質量%であること 更に好ましい。パラジウムの含有量を40質 %以上とすることによって、水素の透過性能 低下を抑制することができる。また、添加 属の効果を十分に得るために、パラジウム 含有量を90質量%以下とすることが好ましい

 水素分離膜における二種類の添加金属の は、水素透過性能を著しく低下させない範 内であれば、添加効果が認められる範囲内 、それぞれ任意の値に設定することができ 。

 例えば、上記した異なる二種類の添加金 が、銀と銅の場合には、パラジウム合金中 おける、パラジウムと銀の割合は、パラジ ム100質量部に対して10~40質量部であること 好ましく、20~30質量部であることが更に好ま しい。また、パラジウムと銅の割合は、パラ ジウム100質量部に対して1~15質量部であるこ が好ましい。

 このように構成することによって、水素 透過性能が大きく低下しない範囲で、水素 離膜の欠陥の生成を抑制できる程度に十分 量とすることができるため、水素分離膜の 久性を向上させることが可能となる。

 なお、異なる二種類以上の添加金属Aと添 加金属Bが全率固溶する金属である場合には パラジウム合金全体がほぼ均一な元素分布 なる。そのため、純パラジウムよりは良好 結果が得られるものの、本実施形態の水素 離膜を構成するパラジウム合金よりは、欠 の発生を抑制する効果が働かない。

 また、本実施形態の水素分離膜において 、パラジウム合金が、添加金属Aと添加金属 Bの平衡状態図における3重点の温度の上下100 の範囲内で熱処理されたものであることが ましい。このように構成することによって 水素分離膜の耐久性が更に向上する。

 本実施形態の水素分離膜においては、銀 銅のように二種類の添加金属を加えたパラ ウム合金に限定されることはなく、例えば 三種類以上の添加金属を加えたものであっ もよい。この場合、三種類目以降の添加金 については、パラジウム及び他の添加金属 それぞれ全率固溶してもよいし、しなくて よい。

 本実施形態の水素分離膜の膜厚について 特に制限はないが、例えば、0.1~10μmである とが好ましく、1~10μmであることが更に好ま しく、1~7μmであることが特に好ましい。特に 本実施形態の水素分離膜は、従来の分離膜と 比較して耐久性が向上したものであるため、 従来と同程度の耐久性を持たせた場合に、分 離膜の膜厚を薄くすることが可能となり、こ れにより、水素の透過性能を更に向上させる ことが可能である。

 本実施形態の水素分離膜の水素透過係数は 同じ厚さの純パラジウムからなる水素分離 と比較して、50%以上であることが好ましく 80%以上であることが更に好ましく、100%以上 であることが特に好ましい。水素透過係数が 純パラジウムの50%以上、つまり、純パラジウ ムの半分以上あれば、耐久性向上効果を鑑み れば、十分に実用化が可能である。また、高 い水素透過速度が要求される場合でも、本実 施形態の水素分離膜は耐久性に優れているた め、水素分離膜の厚さを薄くすることが可能 となる。ここで、「水素透過係数」は、Y=KδP 1/2 で算出される値(K)をいうものとする。ただし 、前記式中、Yは透過流量であり、δP 1/2 は供給側と透過側(分離部側)の水素分圧の1/2 の差である。

 なお、水素透過係数の測定は、例えば、 素分離膜を400~600℃に加熱した状態で、3~9atm の水素を導入し、水素分離膜を透過する水素 の量を測定することによって行うことができ る。

 水素分離膜の水素透過係数は、60ml/cm 2 ・min・atm 1/2 以上であることが好ましく、120ml/cm 2 ・min・atm 1/2 以上であることが更に好ましい。水素透過係 数が60ml/cm 2 ・min・atm 1/2 未満であると、水素の透過速度が低くなり、 水素引き抜きによる反応促進効果が小さくな ることがある。

[1-2]水素分離膜の製造方法:
 次に、本実施形態の水素分離膜の製造方法 ついて説明する。なお、ここでは、パラジ ム、銀、及び銅からなるパラジウム合金を い、多孔質の基体(基材)の表面に配置した 素分離膜を製造する。

 本実施形態の水素分離膜を製造する際に 、まず、アルミナ等からなる多孔質の基体 表面に、パラジウム、銅、銀を順次成膜し 成膜した積層体を加熱処理することによっ 合金化する。このようにして、パラジウム 銀とが固溶し、且つパラジウムと銅とが固 したパラジウム合金からなる水素分離膜を 造することができる。

 パラジウム及び添加金属を基材の表面上 成膜するには、公知の方法によればよい。 えば、めっき法、真空蒸着法、CVD法、スパ タリング法等を用いることができる。

 なお、各金属を成膜した積層体を加熱処 する際の温度については、異なる二種類の 加金属の平衡状態図における3重点の温度の 上下100℃の範囲内であることが好ましい。こ のような温度範囲で熱処理を行うことにより 、合金化を促進することに加えて、耐久性向 上に必要な元素分布を実現することができる 。また、異なる二種類の添加金属の平衡状態 図における3重点の温度の上下100℃の範囲外 合金化処理を行った場合でも、その後、3重 の温度の上下100℃の範囲内で加熱処理を行 ことが好ましい。

 加熱処理の温度は、使用する添加金属の 類によっても異なるが、例えば、銀と銅を いた場合には、680~880℃であることが好まし い。また、加熱時間については、水素分離膜 の膜厚によって異なるが、十分に合金化を行 うために1時間以上であることが好ましく、 産性の面から48時間以内であることが好まし い。

 また、上記積層体を加熱処理する際には 不活性雰囲気や還元性雰囲気、例えば、ア ゴンガスや窒素ガス雰囲気中で加熱処理を うことが好ましい。このように構成するこ によって、パラジウム合金の酸化を防ぐこ ができ、良質の水素分離膜を製造すること できる。

[2]水素分離体:
 次に、本発明の水素分離体の一の実施形態 ついて説明する。図1に示すように、本実施 形態の水素分離体31は、セラミックス、又は 属を主成分とし、一の表面34から他の表面 かけて複数の細孔が形成された多孔質基体32 と、多孔質基体32の一の表面34上に配置され 、これまでに説明した本発明の水素分離膜35 とを備えたものである。ここで、図1は、本 明の水素分離体の一の実施形態を模式的に す断面図である。なお、本明細書における 主成分」とは、その物質を構成する成分中 50質量%以上含有する成分のことをいう。

 本実施形態の水素分離体は、多孔質基体 一の表面の側又は他の表面の側から流入す 水素を含む気体(即ち、被処理ガス)のうち 素だけを選択的に透過させて他の表面の側 は一の表面の側から流出させることができ 。本実施形態の水素分離体を用いて被処理 スから水素を分離する場合には、被処理ガ を、一の表面の側から流入させて他の表面 側から流出させてもよいし、他の表面の側 ら流入させて一の表面の側から流出させて よい。

 多孔質基体は、三次元状に連続した複数 微細な細孔が形成されたものである。この 孔の孔径は、0.003~2μmであることが好ましく 、0.1~1μmであることが更に好ましい。孔径が0 .003μm未満であると、ガスが通過するときの 抗が大きくなることがある。一方、孔径が2 m超であると、多孔質基体の一の表面に水素 離膜を配設する際に、細孔の開口部を閉塞 難くなり、気密性が低下することがある。 た、多孔質基体の細孔は、その孔径が揃っ いることが好ましい。

 なお、このような本実施形態の水素分離 の多孔質基体としては、特に限定されるも ではないが、例えば、従来公知の水素分離 に用いられる多孔質基体を好適に用いるこ ができる。多孔質基体としては、セラミッ ス、金属、セラミックスと金属の複合体等 挙げることができる。セラミックスの種類 しては、例えば、アルミナ、チタニア、シ カ、シリカ-アルミナ、ムライト、コージェ ライト、ジルコニア等を挙げることができる 。なお、セラミックス以外の成分として、不 可避的に含有される成分や、通常添加される ような成分を少量含有してもよい。

[3]選択透過膜型反応器:
 次に、本発明の選択透過膜型反応器の一の 施形態について具体的に説明する。図2は本 実施形態の選択透過膜型反応器を模式的に示 す断面図であり、図3は、図2に示す選択透過 型反応器の中心軸を含む平面で切断した断 図である。

 図2及び図3に示すように、本実施形態の 択透過膜型反応器1(以下、単に「反応器1」 いうことがある)は、一端部がガスの入口21 、他端部がガスの出口22である筒状の反応管 2と、反応管2内に挿入された、表面に水素を 択的に透過させる選択透過膜10を有する分 管3と、上記した反応管2と分離管3との間に 置された、原料ガスからの水素の生成反応 促進する触媒4と、を備え、この選択透過膜1 0が、これまでに説明した本発明の水素分離 である。なお、図2及び図3に示す分離管3は 選択透過膜10と、その表面に選択透過膜10が 置された多孔体の基材11とから構成されて る。

 選択透過膜10として用いられる水素分離 は、パラジウムと、他の異なる二種類の金 である添加金属A及び添加金属Bとを少なくと も含むパラジウム合金からなり、前記異なる 二種類の添加金属のそれぞれは、パラジウム に対してそれぞれ全率固溶するものであると ともに、前記異なる二種類の添加金属同士は 、平衡状態図において3重点を有し、金属間 合物を形成しないものである。

 本実施形態の選択透過膜型反応器1は、メ タン、プロパン、ブタン、灯油等の炭化水素 やメタノール等の含酸素炭化水素を主たる原 料ガスとして、触媒4による改質反応等を利 して水素を生成させることができる。生成 せた水素は選択透過膜10(水素分離膜)を透過 て分離管3内に選択的に引き抜かれ、他のガ ス成分と分離されて取り出される。また、選 択透過膜10を透過しない他のガス成分は、出 22より反応器1の外部へ排出される。

 本実施形態の選択透過膜型反応器1におい ては、選択透過膜10として、これまでに説明 た本発明の水素分離膜を用いているため、 素の透過性能に優れるとともに、耐久性に 優れており、更に、水素分離膜に使用され 比較的高価なパラジウムの量を低減するこ ができるため、反応器が安価なものとなる

 また、このような選択透過膜型反応器1は 、原料ガスからの水素の生成反応と水素の分 離とを同時に行えることによる装置上のコン パクト化のメリットに加え、生成ガスを引き 抜くことにより前記反応の平衡を生成側にシ フトさせて、反応温度を低下させることがで き、これによって作動温度の低下、金属部材 の劣化抑制、省エネルギー化といった効果も 期待することができる。

[3-1]反応管:
 図2及び図3に示すような本実施形態の選択 過膜型反応器1の反応管2は、筒状体、例えば 、円筒体で構成されている。そして、この筒 状体の一端部がガスの入口21(以下、「ガス入 口21」ということがある)で、他端部がガスの 出口22(以下、「ガス出口22」ということがあ )となる。そして、この筒状体の内部に供給 された原料ガスを、触媒4によって反応させ 水素を含むガスを生成する。

 反応管2の材質については特に制限はない が、例えば、ステンレススティールやインコ ロイ等の高耐熱性で熱伝導性の優れた金属を 主成分とするものが好ましい。

 また、この反応管2の大きさについては、 選択透過膜型反応器1によって生成する水素 量等に応じて適宜選択することができる。

 反応管2のガス入口21は、原料ガスを供給 るガス供給部に接続されている。原料ガス 給部としては、例えば、原料ガス貯蔵容器 ら流量制御器を通ってパイプによって原料 スを供給するものを挙げることができる。 お、原料ガス供給部は、反応器1の小型化の ため反応管2と一体的に構成されていてもよ 、反応管2から離れたところに取り外し可能 別体で構成されていてもよい。

 反応管2のガス入口21から導入される原料 スとしては、メタン、エタン、プロパン、 タン、灯油、ナフサ等の炭化水素、メタノ ル、エタノール等のアルコール類、ジメチ エーテル等のエーテル類、あるいはケトン などの酸素を含む有機化合物や水蒸気、酸 、二酸化炭素等を挙げることができる。原 ガスは、必要に応じて選択、混合して反応 に供給される。なお、水やエタノール等の 体系の原料は気化器でガス化して供給され 。

 また、反応管2のガス出口22には、筒状体 内部にて反応させた水素を含むガスのガス 力を調整するための圧力制御部を有してい ことが好ましい。また、未反応の原料ガス 選択透過膜10を透過しなかった生成ガスを 害化して排出するためのガス処理部を有し いてもよい。

[3-2]分離管:
 分離管3は、上記した反応管2内に挿入され 、表面に水素を選択的に透過させる選択透 膜10を有するものである。水素を分離する選 択透過膜10は膜厚が薄く、単独では機械的強 が低いため、多孔体等の基材11の表面に選 透過膜10を配置した分離管3が用いられてい 。

 この分離管3を構成する基材は、チタニア 、ジルコニア、アルミナ等のセラミックス多 孔体、あるいはステンレススティール等の表 面処理した金属多孔体、あるいはサーメット などのセラミックスと金属の複合体を用いる ことが好ましい。なお、図2及び図3に示す選 透過膜型反応器1においては、選択透過膜10 分離管3の外側に配置されているが、例えば 、図示は省略するが、分離管の内側に配置さ れていてもよいし、分離管の端部に配置され ていてもよい。

 分離管3の形状は、図3に示すように、一 部が閉じられた有底円筒状が好ましいが、 状体の一端部をフランジ等により気密な構 にして用いることもできる。他端部は選択 過膜10により分離管3内側の分離部12側に透過 し分離された水素を排出する分離排出口23と る。分離部12側は常圧以上でもよいが、一 に、分離管3の外側と内側との水素分圧差が きい方が、選択透過膜10の水素透過性能が くなるため、分離部12側の水素分圧を下げる ことが行われる。具体的には、分離部12側に 蒸気等のスイープガスを流す方法、又は、 空ポンプにて減圧する方法などがある。得 れる水素の純度の面からは、水素以外のガ 成分を加えずに、分離部12側を減圧する方 が好ましい。

 反応管2のガス出口22と分離管3の分離排出 口23には、それらから流出するガス量を測定 るための流量計とガス成分を定量するため ガスクロマトグラフを接続してもよい。更 、流量計の上流側には、常温において液体 なる成分(水など)を捕集するために約5℃に 定された液体トラップを設けてもよい。

 選択透過膜10として用いられる水素分離 の膜厚については特に制限はないが、10μm以 下とすることにより、優れた透過性能及び分 離性能を確保することができる。水素分離膜 の膜厚が10μmを超えると、十分な水素引き抜 効果が得にくくなり、水素の透過性能が低 なる傾向がある。

 なお、選択透過膜10として用いられる水 分離膜の膜厚が薄いほど水素が透過し易く 率的に水素を回収することができるが、膜 が極度に薄くなり過ぎると膜の耐久性や水 選択性が低下するおそれがある。選択透過 型反応器1の使用中にピンホール等の膜欠陥 位が増大し、水素以外の成分が膜を透過す と、不純物ガスが増大し、得られる水素の 度が低下するので、膜の耐久性と水素の回 効率とのバランスを考慮した場合、水素分 膜の膜厚は、0.1~10μmとすることが好ましく 1~10μmとすることが更に好ましく、1~7μmとす ることが特に好ましい。

[3-3]触媒:
 触媒4は、反応管2と分離管3との間の空間(以 下、「反応空間13」ということがある)に配置 された、原料ガスの改質等の反応を促進する 触媒である。この触媒4には、触媒活性成分 して、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、 (Cu)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ロジ ム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、タングステ (W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウ ム(Ir)、白金(Pt)及び金(Au)からなる群より選択 される少なくとも1種の金属が含有されてい ことが好ましい。

 触媒4は、上記した触媒活性成分としての 金属を含んだ化合物、例えば、触媒活性成分 としての金属がペレット状、フォーム状若し くはハニカム状に形成された担体に担持され たもの、又は前記触媒自身がペレット状、フ ォーム状若しくはハニカム状に成形されたも のを好適に用いることができる。触媒活性成 分としての金属と担体との好ましい組み合わ せ(金属-担体)としては、例えば、ニッケル- ルミナ、ルテニウム-アルミナ、ロジウム-ア ルミナを挙げることができる。

 なお、このような触媒は、従来公知の選 透過膜型反応器1に用いられる改質反応触媒 等を好適に用いることができる。

[3-4]水素の製造方法:
 ここで、図2及び図3に示すような本実施形 の選択透過膜型反応器を用いた水素の製造 法について具体的に説明する。水素の製造 法としては、図3に示すように、原料ガスを 応管2のガス入口21から反応管2の内部に供給 する工程と、原料ガスを触媒4が設置された 応空間13において反応させ、水素を含有する 反応ガスを生成する工程と、選択透過膜10に って、反応ガスから水素を分離部12側に分 する工程とを備えた製造方法である。なお この水素の製造方法においては、メタンと 蒸気との反応系(例えば、CH 4 +2H 2 O→CO+4H 2 という反応式で表されるメタンの水蒸気改質 反応)について主に説明するが、他の原料系 おいても同様に実施できる。

 具体的には、ガス供給部から供給された 料ガスのメタンと水蒸気は、ガス入口21か 反応管2内の反応空間13に導入され、反応空 13に配置された改質反応触媒4に接触すると 水素を含む混合ガスである改質ガス(反応ガ )が生成される。生成された改質ガスのうち 水素は、分離管3の選択透過膜10を透過して、 分離管3内側の分離部12へ選択的に引き抜かれ 、高純度の水素ガスとして分離排出口23から 出され、回収される。選択透過膜10を透過 ない、一酸化炭素や二酸化炭素、未反応の 料ガスといった他のガス成分は、反応管2の ス出口22より選択透過膜型反応器1の外部へ 出される。

 選択透過膜型反応器1の周囲には、この反 応器の外部加熱が可能なように、加熱用ヒー ター等を設置することが好ましい。メタンの 水蒸気改質反応では、反応空間13の温度を、 えば、400~600℃、好ましくは500~550℃になる うに加熱する。

 反応管2のガス出口22と分離管3の分離排出 口23の下流側のガスラインには、それぞれ圧 調整器を設置することにより、分離管3の外 側の反応空間13と、分離管3の内側の分離部12 がそれぞれ所定の圧力になるように調整す ことができる。反応空間13は、全圧が3~9atm なるように原料ガスを導入し圧力調整する とが好ましく、5~9atmとなるように圧力調整 ることが更に好ましい。また、分離部12側は 、全圧が0.05~2atmとなるようにすることが好ま しい。

 以下、本発明の水素分離膜を実施例に基 いて更に詳細に説明するが、本発明はこれ の実施例に限定されるものではない。

(実施例1)
 基材として、外径10mm、長さ100mmの円筒管形 を有し、表面の平均細孔径が0.1μmであるα- ルミナ管を使用し、この円筒管形状の基材 表面に、めっき法によって、パラジウム、 、銀を順次成膜した。パラジウムと銀と銅 の割合は、パラジウム100質量部に対して、 が25質量部で、銅が9質量部となるようにし 。これをアルゴンガス中700℃で1時間加熱処 理することによって合金化を行い、パラジウ ム合金からなる水素分離膜を得た。水素分離 膜の厚さは、2μmとなるように調製した。

 この水素分離膜を配置した円筒管形状の 材の両端をシールした後、耐圧容器内にセ トして水素分離膜を有する水素分離器を製 し、この水素分離器に用いた水素分離膜の 素透過試験を行った。水素透過試験は、耐 容器を加熱することによって、水素分離膜 アルゴンガス雰囲気中で500℃まで昇温した 、7atmの水素を耐圧容器に導入し、耐圧容器 内にセットした水素分離膜を透過する水素の 量を測定することによって行った。なお、測 定結果は、後述する比較例1(パラジウムから る水素分離膜)での水素透過試験の水素の透 過量を100%とした割合で求めた。結果を表1に す。なお、後述する実施例2~10及び比較例1 2の水素透過試験も、実施例1と同様の手順に よって行った。

 また、水素透過試験を1時間行った水素分 離器から水素を除去した後、水素分離膜をア ルゴンガス雰囲気中で500℃から常温まで温度 を下げる操作を1サイクルとし、この操作を30 サイクル繰り返す耐久試験を行った。上記耐 久試験を2サイクル行う毎に、水素分離膜のHe リーク量の測定を行った。測定結果を表2に す。

 Heリーク量の測定は、9atmのHeガスを水素 離膜の外側に供給し、内側に漏れてくるHeガ ス量を測定することによって行った。

(実施例2及び3)
 パラジウム合金を構成する銅の量を、表1に 示すような量にしたこと以外は、実施例1と 様にして水素分離膜を形成して水素分離器 製造した。水素透過試験の測定結果を表1に す。

(比較例1)
 水素分離膜をパラジウムとしたこと以外は 実施例1と同様にして水素分離膜を形成して 水素分離器を製造した。水素透過試験の測定 結果を表1に示す。また、この比較例1の水素 離器に対して、実施例1と同様の方法によっ て耐久試験を行い、水素分離膜のHeリーク量 測定を行った。測定結果を表2に示す。なお 、比較例1においては、2サイクル目の測定に いて、Heリーク量が大きく増大したため、 れ以降の測定は行わなかった。

(比較例2)
 水素分離膜をパラジウムと銀の合金とした と以外は、実施例1と同様にして水素分離膜 を形成して水素分離器を製造した。パラジウ ムと銀との割合は、パラジウム100質量部に対 して、銀が25質量部となるようにした。水素 過試験の測定結果を表1に示す。また、この 比較例1の水素分離器に対して、実施例1と同 の方法によって耐久試験を行い、水素分離 のHeリーク量の測定を行った。測定結果を 2に示す。なお、比較例2においては、26サイ ル目の測定において、Heリーク量が大きく 大したため、これ以降の測定は行わなかっ 。

 また、図4は、実施例1~3と比較例1、2の水 分離器に用いた水素分離膜の水素透過試験 測定結果を示すグラフである。なお、横軸 、パラジウム合金に含まれる銅の量(質量部 )を示し、縦軸は、比較例1(パラジウムのみか らなる水素分離膜)での水素透過試験の水素 透過量を100%とした場合の測定結果(%)を示す

 また、図5は、実施例1と比較例1、2の耐久試 験におけるHeリーク量の測定結果を示すグラ である。なお、横軸は、耐久試験のサイク 数(回)を示し、縦軸は、Heリーク量(ml/min・cm 2 )を示す。

(実施例4~10)
 パラジウム合金を構成する元素の割合を、 3に示すような量にしたこと以外は、実施例 1と同様にして水素分離膜を形成して水素分 器を製造した。実施例2及び実施例4~10の水素 透過試験の測定結果を表3に示す。

(結果)
 表1及び図4に示すグラフにより、実施例1~3 水素分離器に用いた水素分離膜の水素透過 能が優れていることが分かった。

 また、耐久試験におけるHeリーク量の測 結果においては、実施例1の水素分離器は、3 0サイクル後も、Heリーク量の増量が認められ ず、耐久性に優れているということが分かっ た。一方、比較例1と比較例2の水素分離器は サイクル数の増加とともに、Heリーク量が 加していた。

 また、表3に示す結果より、実施例2及び 施例4~10の水素分離器に用いた水素分離膜の 素透過性能は、純パラジウムからなる水素 離膜の水素透過性能に対して、50%以上の値 示すことが分かった。なお、実施例2~10の水 素分離器についても、上記した耐久試験(30サ イクル)の結果、Heリーク量の増加は確認され ず、比較例1の水素分離器と比較して耐久性 向上していることが確認された。

 本発明の水素分離膜は、高純度の水素を 要とする各種産業分野で好適に利用できる 例えば、メタン、プロパン等の炭化水素を 質して得られる水素を分離して燃料ガスと て使用する燃料電池の分野で好適に利用で る。また、本発明の選択透過膜型反応器は 原料ガスから水素を生成するための反応器 して利用することができる。