Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
HYROGEN OCCLUDING ALLOY POWDER AND METHOD FOR SURFACE TREATMENT OF SAME, NEGATIVE POLE FOR AN ALKALI STORAGE BATTERY, AND ALKALI STORAGE BATTERY
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/144873
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a hydrogen occluding alloy powder having an ideally activated surface state where oxide and hydroxide precipitated on the surface of said powder have been removed quickly with a simple means.  The method for surface treating a hydrogen occluding alloy powder involves agitating a hydrogen occluding alloy powder containing Ni and Mg with an Ni content from 35 to 60 wt% in a lithium hydroxide aqueous solution (first process).  Then the hydrogen occluding alloy powder is agitated in an alkali metal hydroxide aqueous solution containing at least either one of sodium hydroxide and potassium hydroxide (second process).

Inventors:
NAKATSUJI KYOKO
OHYAMA HIDEAKI
Application Number:
PCT/JP2009/001971
Publication Date:
December 03, 2009
Filing Date:
April 30, 2009
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
PANASONIC CORP (JP)
NAKATSUJI KYOKO
OHYAMA HIDEAKI
International Classes:
H01M4/38; B22F1/145; C22C19/00; H01M10/30
Foreign References:
JP2006216239A2006-08-17
JP2005093297A2005-04-07
JPH09171821A1997-06-30
JPH097591A1997-01-10
JP2002164045A2002-06-07
JP2002069554A2002-03-08
Attorney, Agent or Firm:
ISHII, Kazuo et al. (JP)
Kazuo Ishii (JP)
Download PDF:
Claims:
 NiおよびMgを含有し、Ni含有量が35~60重量%である水素吸蔵合金粉末と、水酸化リチウム水溶液と、を含む第1混合物を攪拌する第1工程と、
 前記第1工程を経た水素吸蔵合金粉末と、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムの少なくともいずれかの水酸化アルカリ金属水溶液と、を含む第2混合物を攪拌する第2工程と、を有する、水素吸蔵合金粉末の表面処理方法。
 前記水酸化リチウム水溶液の水酸化リチウム濃度が0.1~8mol/Lである、請求項1に記載の水素吸蔵合金粉末の表面処理方法。
 前記水酸化アルカリ金属水溶液は、水酸化ナトリウムを含み、かつ水酸化ナトリウムの濃度が7~20mol/Lである、請求項1に記載の水素吸蔵合金粉末の表面処理方法。
 前記水酸化アルカリ金属水溶液は、水酸化カリウムを含み、かつ水酸化カリウムの濃度が5~13mol/Lである、請求項1に記載の水素吸蔵合金粉末の表面処理方法。
 前記第1混合物の温度が50~150℃である、請求項1に記載の水素吸蔵合金粉末の表面処理方法。
 前記第2混合物の温度が50~150℃である、請求項1に記載の水素吸蔵合金粉末の表面処理方法。
 前記水素吸蔵合金が、Ce 2 Ni 7 型またはCeNi 3 型の結晶構造を有している、請求項1に記載の水素吸蔵合金粉末の表面処理方法。
 請求項1に記載の表面処理方法で処理された水素吸蔵合金粉末。
 酸素濃度が1.10重量%以下である、請求項8に記載の水素吸蔵合金粉末。
 磁性体の含有量が1.30重量%以上である、請求項8に記載の水素吸蔵合金粉末。
 請求項8に記載の水素吸蔵合金粉末を含む、アルカリ蓄電池用負極。
 ニッケルを含む正極と、請求項11に記載のアルカリ蓄電池用負極と、アルカリ電解液と、を備える、アルカリ蓄電池。
Description:
水素吸蔵合金粉末とその表面処 方法、アルカリ蓄電池用負極、およびアル リ蓄電池

 本発明は、電気化学的に水素を吸蔵およ 放出することが可能な水素吸蔵合金粉末の 面処理方法に関し、より詳しくは、水素吸 合金粉末の表面処理条件の改良に関する。 発明は、さらに、水素吸蔵合金粉末を含む ルカリ蓄電池用負極、およびこれを備える ルカリ蓄電池に関する。

 水素吸蔵合金粉末は、電気化学的に水素 吸蔵および放出することができる金属間化 物であり、主にアルカリ蓄電池の負極用材 として利用されている。水素吸蔵合金粉末 、電池作製後の充放電によって、アルカリ 解液中で膨張および収縮を繰り返す。そし 、この膨張および収縮の繰返しによって水 吸蔵合金粉末が活性化され、水素吸蔵合金 末の表面における水素の吸蔵および放出が 易となる。

 特許文献1には、組立て後の電池を一定の 温度に保った状態で、充放電を行うことによ り、Mgを含む水素吸蔵合金粉末の表面を電池 応に適した状態とすることが提案されてい 。しかしながら、電池の組立て後に活性化 ための充放電を行うには、それなりの時間 要する。しかも、品質のバラツキが生じや く、生産性の低下を招く。

 そこで、電池特性を初期から優れたもの することを目的として、電池の組立て前に 素吸蔵合金粉末を活性化させ、水素の吸蔵 よび放出を容易化する試みがなされている

 水素吸蔵合金粉末の活性化には、一般に アルカリ水溶液、酸性水溶液、高温水など 用いることが有効とされている。具体的に 水素吸蔵合金粉末の表面を活性化させる方 としては、水酸化カリウム(KOH)や水酸化ナ リウム(NaOH)などを高濃度で含む水溶液を用 て、ニッケル(Ni)を含む水素吸蔵合金粉末か Niや希土類元素などの構成元素の一部を溶 させ、これにより、水素吸蔵合金粉末の表 にNi凝縮層を生成させる方法が挙げられる。

 しかしながら、この方法では、水素吸蔵 金粉末の表面に希土類元素の酸化物および 酸化物が生成する。希土類元素の酸化物お び水酸化物は電気絶縁性であることから、 池反応の阻害要因となる。

 そこで、特許文献2には、水素吸蔵合金粉末 を高温アルカリ水溶液中に浸漬し、これによ り水素吸蔵合金粉末の表面にNiリッチ層を形 する方法が記載されている。この方法では アルカリ水溶液として、pHが14以上に調整さ れた強アルカリ水溶液が用いられており、具 体的には、KOHと、水酸化リチウム(LiOH)および NaOHの少なくともいずれかと、の混合溶液が いられている。
 また、特許文献3には、LiOHを含むKOH水溶液 またはLiOHを含むNaOH水溶液であって、煮沸し ているものに対し、水素吸蔵合金粉末を浸漬 し、これにより水素吸蔵合金粉末の表面を改 質する方法が記載されている。

特開2007-87886号公報

特開2000-021400号公報

特開平7-029568号公報

 しかしながら、特許文献2および3の方法 よれば、水素吸蔵合金粉末の活性化だけで く、腐食や粒子割れも誘発される。腐食や 子割れは、水素吸蔵合金粉末の劣化要因で って、電池の寿命が短くなる原因となる。 た、電気化学反応を伴わない活性化方法で 、溶出元素を制御できない場合が生じやす 。特に、マグネシウム(Mg)を含む水素吸蔵合 粉末は、所望の活性化された表面状態に達 ない場合が多い。さらに、合金表面に堆積 た希土類元素の酸化物および水酸化物が完 に除去されないため、電池反応の阻害要因 残る。それゆえ、アルカリ蓄電池の放電特 が十分に向上しない。

 本発明は、上記課題を鑑みてなされたも であり、水素吸蔵合金粉末の表面に析出し 酸化物および水酸化物を簡易な手段で、か 短時間に除去し、好適に活性化された表面 態を有する水素吸蔵合金粉末を提供するこ を目的とする。

 本発明は、(i)NiおよびMgを含有し、Ni含有 が35~60重量%である水素吸蔵合金粉末と、水 化リチウム水溶液と、を含む第1混合物を攪 拌する第1工程と、(ii)上記第1工程を経た水素 吸蔵合金粉末と、水酸化ナトリウムおよび水 酸化カリウムの少なくともいずれかの水酸化 アルカリ金属水溶液と、を含む第2混合物を 拌する第2工程と、を有する水素吸蔵合金粉 の表面処理方法に関する。

 上記水素吸蔵合金粉末の表面処理方法は 特に、NiやMgを含む水素吸蔵合金粉末を用い る場合に有効であり、優れた特性のアルカリ 蓄電池を提供することが可能となる。

 上記水素吸蔵合金粉末の表面処理方法に いて、第1工程に用いられる水酸化リチウム 水溶液の水酸化リチウム濃度は、0.1~8mol/Lで ることが好適である。

 上記水素吸蔵合金粉末の表面処理方法にお て、第2工程に用いられる水酸化アルカリ金 属水溶液は、水酸化ナトリウムを含み、かつ 水酸化ナトリウムの濃度が7~20mol/Lであること が好適である。
 また、第2工程に用いられる水酸化アルカリ 金属水溶液は、水酸化カリウムを含み、かつ 水酸化カリウムの濃度が5~13mol/Lであることが 好適である。

 上記水素吸蔵合金粉末の表面処理方法にお て、第1工程における第1混合物の温度は、50 ~150℃が好適である。
 また、上記水素吸蔵合金粉末の表面処理方 において、第2工程における第2混合物の温 は、50~150℃が好適である。

 本発明は、水素吸蔵合金が、Ce 2 Ni 7 型またはCeNi 3 型の結晶構造を有する場合において、特に有 効である。

 本発明は、また、上記水素吸蔵合金粉末の 面処理方法で処理された水素吸蔵合金粉末 関する。
 本発明は、また、上記水素吸蔵合金粉末を むアルカリ蓄電池用の負極に関する。
 本発明は、また、ニッケルを含む正極と、 記アルカリ蓄電池用負極と、アルカリ電解 と、を含むアルカリ蓄電池に関する。

 本発明によれば、短時間で十分な活性化 水素吸蔵合金粉末に施すことができる。本 明の方法で表面処理された水素吸蔵合金粉 を用いることにより、放電特性(特に低温放 電特性)に優れたアルカリ蓄電池を提供する とができる。

実施例に係るニッケル-水素蓄電池の縦 断面図である。

 本発明の水素吸蔵合金粉末の表面処理方 は、(i)NiおよびMgを含有し、Ni含有量が35~60 量%である水素吸蔵合金粉末と、LiOH水溶液と 、を含む第1混合物を攪拌する第1工程、なら に、(ii)この第1工程を経た水素吸蔵合金粉 と、NaOHおよびKOHの少なくともいずれかの水 化アルカリ金属水溶液と、を含む第2混合物 を攪拌する第2工程を有している。

 上記方法による表面処理に適した水素吸蔵 金としては、例えば、いわゆるAB 3 型合金であって、NiおよびMgを含有し、Ni含有 量が35~60重量%のものが挙げられる。

 AB 3 型合金は、Ce 2 Ni 7 型またはCeNi 3 型の結晶構造を有する。AB 3 型合金は、常温で高い水素化反応性を有する ため、高容量の負極材料となる点で好ましい 。
 AB 3 型合金であって、NiおよびMgを含有し、Ni含有 量が35~60重量%であるものの具体例としては、 例えば、La 0.7 Mg 0.3 Ni 2.75 Co 0.5 Al 0.05 、La 0.6 Mg 0.4 Ni 2.75 Co 0.5 Al 0.05 、La 0.7 Mg 0.3 Ni 2.75 Co 0.4 Al 0.05 などが挙げられる。

 本発明の表面処理方法に適する水素吸蔵合 において、Ni含有量は、上記のとおり、35~60 重量%であって、この範囲のなかでも特に、40 ~55重量%であることが好ましい。水素吸蔵合 中のNi含有量を上記範囲に設定することで、 水素吸蔵合金粉末の水素化反応性を顕著に向 上させることができる。このため、水素吸蔵 合金粉末の水素吸蔵量を向上させることがで き、ひいては、電池の容量を向上させること ができる。
 一方、Ni含有量が35重量%を下回ると、水素 蔵反応の起点が減少し、水素の授受が進行 にくくなる。逆に、Ni含有量が60重量%を上回 ると、理想的組成からのずれが大きくなり、 水素吸蔵合金粉末の水素吸蔵量が著しく低下 する。

 水素吸蔵合金中のMg含有量は、0.01~6重量% あることが好ましく、0.05~3重量%であること がさらに好ましい。Mg含有量を上記範囲に設 することによって、水素吸蔵量をより向上 せることができる。一方、Mg含有量が6重量% を上回ると、水素吸蔵合金中でMgの偏析が生 やすくなり、アルカリ電解液による水素吸 合金粉末の腐食が促進されやすくなる。

 水素吸蔵合金は、NiおよびMgのほかに、例 えば、希土類金属元素、コバルト(Co)、アル ニウム(Al)、マンガン(Mn)などを含んでいるこ とが好ましい。Coは、水素吸蔵合金粉末の耐 性を高める効果を有する。AlおよびMnは、い ずれも水素吸蔵反応における水素平衡圧を低 下させる効果がある。

 水素吸蔵合金粉末の水素化反応性を向上さ る観点から、Niサイトの量を化学量論組成 り多くすることが効果的である。例えば、Ce 2 Ni 7 型の結晶構造を有する水素吸蔵合金粉末の場 合、Ce:Ni=2:x(7<x)のモル比とすることが効果 である。

 水素吸蔵合金粉末の平均粒径(体積基準の メディアン径、測定法:レーザ回折式粒度測 方法、以下同じ。)は、特に限定されないが 例えば、5~30μmであることが好ましい。平均 粒径が小さすぎるときは、水素吸蔵合金粉末 の表面積が大きくなりすぎて、耐食性が低下 するおそれがある。逆に、平均粒径が大きす ぎるときは、水素吸蔵合金粉末の表面積が小 さくなりすぎて、水素吸蔵反応が生じにくく なるおそれがある。

 上記表面処理方法の第1工程において、水 素吸蔵合金粉末の攪拌には、LiOH水溶液が用 られる。イオン化傾向が高いリチウムを含 LiOHは、水溶液中で容易に電離する。しかも LiOH水溶液は、Mgを溶解しやすく、詳細は明 かでないが、水素吸蔵合金中で偏析してい Mgを溶出させ、水素合金粉末から除去する 力に優れている。

 このため、水素吸蔵合金粉末に対する表 処理として、最初に、LiOH水溶液中での攪拌 を施すことによって、水素吸蔵合金粉末中で 偏析されている(すなわち、水素吸蔵合金粉 の表面近傍に偏在している)Mgを、水素吸蔵 金粉末から除去することができる。そして このことにより、水素吸蔵合金粉末の表面 傍におけるMgの含有割合を低下させることが できる。

 第1工程における溶出物としては、例えば、 Mgイオン(Mg 2+ )、軽希土類金属イオン、錯陰イオンなどが げられ、これらは、具体的には、水素吸蔵 金の組成によって異なる。例えば、水素吸 合金が、一般式:Mm 1-y Mg y Ni 5-x M x (Mmはミッシュメタルを示す、以下同じ)で表 れる場合には、第1工程において、ランタン( III)イオン(La 3+ )、ネオジム(III)イオン(Nd 3+ )、セリウム(III)イオン(Ce 3+ )、2~7価のMnイオン、錯陰イオン(例えばCoO 2 、AlO 2 など)が溶出する。

 第1工程では、水素吸蔵合金の構成元素が溶 出することによって、水素吸蔵合金粉末の比 表面積が増加し、活性化が進む。一方、溶出 反応により、上記構成元素の溶出物を含む廃 液が生成する。この廃液から、主としてCe(OH) 3 、La(OH) 3 などの軽希土類金属の水酸化物や、Mnを含む 合酸化物などが、水素吸蔵合金粉末の表面 再析出する。そして、これら再析出物が堆 することにより、第1工程における金属元素 の溶出速度は急激に低下する。

 第1工程に用いられるLiOH水溶液のLiOH濃度 、0.1~8mol/Lであることが好ましく、1~6mol/Lで ることがさらに好ましい。LiOH濃度が上記範 囲を下回ると、水素吸蔵合金粉末に対する表 面処理が十分に進行しなくなるおそれがある 。一方、LiOH濃度が上記範囲を上回ると、LiOH 析出しやすくなり、たとえ水溶液が高温で っても、LiOHの一部が析出するおそれがある 。このため、表面処理の効率が低下するおそ れや、第1工程を経ることにより得られる作 効果の再現性が損なわれるおそれがある。

 第1工程に用いられるLiOH水溶液は、NaOHやK OHを含まないことが好ましい。また、上記LiOH 水溶液が、たとえNaOHやKOHを含んでいたとし も、その含有量は微量であり、不純物とし 含有する程度であること、すなわち、実質 にNaOHやKOHを含まないことが好ましい。すな ち、第1工程に用いられるLiOH水溶液におい 、NaOHやKOHの含有割合は、好ましくは、0.03ppm 以下である。

 第1工程における処理温度は、50~150℃である ことが好ましい。また、表面処理に用いられ る設備(例えば、攪拌槽など)の材質および構 などを鑑みると、80~120℃であることがさら 好ましい。処理温度が上記範囲を下回る場 、所望の反応が起こりにくくなる場合があ 。逆に、処理温度が上記範囲を上回ると、L iOH水溶液のOH - イオン濃度に関わらず、LiOH水溶液の温度が 点近くとなる。このため、突沸などによる 具合が起こりやすくなるおそれがある。

 第1工程における処理時間は、表面処理をす る水素吸蔵合金粉末の量に応じて、適宜設定 される。それゆえ、第1工程の処理時間は、 れに限定されないが、一般に、10~120分間で ることが好ましい。
 なお、LiOH水溶液を用いた処理(第1工程)は、 初期処理速度が大きい。しかも、上述の理由 により、比較的早期に金属元素の溶出速度が 低下し、Mgを溶解させる効果が低下する。そ ゆえ、第1工程の処理時間は、上記範囲を超 えないように設定することが特に好ましい。

 上記表面処理方法の第2工程において、水 素吸蔵合金粉末の攪拌には、NaOH水溶液また KOH水溶液が用いられる。NaOHやKOHも、水溶液 で容易に電離する。しかも、NaOH水溶液やKOH 水溶液は、水素吸蔵合金粉末から酸化物およ び水酸化物を除去する効果が高い。それゆえ 、NaOH水溶液やKOH水溶液を用いて、第1工程を た水素吸蔵合金粉末を攪拌し、表面処理を すことによって、水素吸蔵合金粉末の表面 析出した酸化物および水酸化物のほとんど 効率よく除去することができる。

 第2工程は、第1工程に引続いて行われる すなわち、第1工程においてLiOH水溶液による 表面処理を施した後で、水素吸蔵合金粉末と LiOH水溶液との混合物を静置することにより 水素吸蔵合金粉末を沈殿させ、上澄みのLiOH 溶液を除去する。次いで、第2工程において 、上澄み除去後の残渣(LiOH水溶液による表面 理が施された水素吸蔵合金粉末)を、NaOH水 液またはKOH水溶液中で攪拌し、表面処理を す。その後、水素吸蔵合金粉末と、NaOH水溶 またはKOH水溶液との混合物を静置すること より、水素吸蔵合金粉末を沈殿させ、上澄 のNaOH水溶液またはKOH水溶液を除去する。

 第2工程に用いられるNaOHやKOHは、LiOHと比べ と電離度が低いため、水素吸蔵合金粉末の 成元素を溶出させる能力がLiOHと比べて低い 。
 しかしながら、その一方で、NaOHやKOHは、水 素吸蔵合金粉末の表面に堆積した再析出物を 溶解させたり、表面から除去したりする能力 がLiOHと比べて高い。また、NaOH水溶液やKOH水 液は、LiOH水溶液と比べて、OH - イオン濃度を高濃度にすることができる。そ れゆえ、第2工程を経ることによって、短時 の処理であっても、水素吸蔵合金粉末に対 て高い活性度を付与することができる。

 第2工程において、水素吸蔵合金粉末をNaO H水溶液やKOH水溶液中で攪拌し、表面処理を す際には、水素吸蔵合金粉末と、NaOHおよびK OHの少なくともいずれかの水溶液と、を含む 合物(第2混合物)中に、第1工程で用いたLiOH 混入していてもよい。

 第2工程にNaOH水溶液を用いる場合におい 、NaOH水溶液のNaOH濃度は、7~20mol/Lであること が好ましく、10~18mol/Lであることがさらに好 しい。NaOH濃度が上記範囲を下回ると、再析 物の除去が十分に進まず、表面処理の効率 低下する場合がある。一方、NaOH濃度が上記 範囲を上回ると、NaOHが析出しやすくなるお れがある。このため、表面処理の生産性が 下するおそれや、第2工程を経ることにより られる作用効果の再現性が損なわれるおそ がある。

 第2工程にKOH水溶液を用いる場合において 、KOH水溶液のKOH濃度は、5~13mol/Lであることが 好ましく、8~10mol/Lであることがさらに好まし い。KOH濃度が上記範囲を下回ると、再析出物 の除去が十分に進まず、表面処理の効率が低 下する場合がある。一方、KOH濃度が上記範囲 を上回ると、KOHが析出しやすくなるおそれが ある。このため、表面処理の生産性が低下す るおそれや、第2工程を経ることにより得ら る作用効果の再現性が損なわれるおそれが る。

 第2工程における処理温度は、第2工程にNaOH 溶液を用いる場合と、KOH水溶液を用いる場 とのいずれにおいても、50~150℃であること 好ましい。また、表面処理に用いられる設 (例えば、攪拌槽など)の材質および構造な を鑑みると、80~120℃であることがさらに好 しい。処理温度が上記範囲を下回る場合、 望の反応が起こりにくくなる場合がある。 に、処理温度が上記範囲を上回ると、NaOH水 液やKOH水溶液のOH - イオン濃度に関わらず、これらの水溶液の温 度が沸点近くとなる。このため、突沸などに よる不具合が起こりやすくなるおそれがある 。

 第2工程における処理時間は、表面処理を する水素吸蔵合金粉末の量や、NaOH水溶液ま はKOH水溶液の温度および濃度に応じて、適 設定される。それゆえ、第2工程の処理時間 、これに限定されないが、一般に、10~120分 であることが好ましい。

 なお、第2工程における表面処理は、第1 程における表面処理よりも早く進む。また 第2工程における表面処理の速度は、NaOH水溶 液またはKOH水溶液の温度および濃度との相関 性が高い。具体的には、NaOH水溶液またはKOH 溶液の温度および濃度が高いほど、第2工程 おける表面処理の速度が速くなり、処理時 を短く設定することができる。

 上記表面処理方法によれば、上述の第1工 程と第2工程とを経ることによって、水素吸 合金中に偏析したMgの除去と、水素吸蔵合金 粉末の表面に析出した酸化物および水酸化物 の除去とを、簡易な方法によって達成するこ とができる。しかも、所望の活性度を、短時 間の処理によって得ることができる。すなわ ち、短時間で十分な活性化を水素吸蔵合金粉 末に施すことができる。

 上記のとおり、第1工程の後に第2工程を うことによって、LiOH水溶液と、NaOH水溶液ま たはKOH水溶液との、それぞれの優れた性質を 利用することができ、かつ、互いの欠点を補 うことができる。その結果、水素吸蔵合金粉 末の活性化と再析出物の除去とを並行して進 めることができる。

 上記水素吸蔵合金粉末の表面処理方法で 、まず、上述の第1工程を実行し、その上で 、引き続き上述の第2工程を実行しているが このように2つの工程を段階的に実行するこ で、全体的に表面処理の工程管理が簡易に るという効果も得られる。

 本発明の水素吸蔵合金粉末は、上記第1工 程による表面処理が施され、次いで、上記第 2工程による表面処理が施されたものである

 このような表面処理を施すことによって、 素吸蔵合金粉末の酸素濃度が、1.10重量%以 に低減される。そして、このように酸素濃 が低減された水素吸蔵合金粉末を用いるこ で、優れた放電特性を有するアルカリ蓄電 を得ることが可能となる。
 酸素濃度とは、JIS Z 2613に記載の酸素濃度 定法(赤外線吸収法)で求められる酸素濃度 あって、水素吸蔵合金粉末の表面に析出し 酸化物または水酸化物の量に対応している

 水素吸蔵合金粉末の酸素濃度は、上記範囲 中でも特に、1.10重量%以下であることが好 しく、0.95重量%以下であることがさらに好ま しい。
 酸素濃度が上記範囲を上回ると、上記水素 蔵合金粉末を用いたアルカリ蓄電池の放電 性が損なわれるおそれがある。なお、酸素 度の下限は、特に限定されないが、通常、0 .8重量%程度である。

 また、上記の表面処理を施すことによっ 、水素吸蔵合金粉末中の磁性体の含有量が 好ましくは、1.30重量%以上の範囲に調整さ る。そして、このように磁性体の含有量が 整された水素吸蔵合金粉末を用いることで 優れた放電特性を有するアルカリ蓄電池を ることが可能となる。

 水素吸蔵合金粉末中の磁性体としては、例 ば、Ni、Coなどが挙げられる。
 磁性体の含有量は、例えば、振動試料磁気 定装置により求めることができる。

 水素吸蔵合金粉末における磁性体の含有量 、上記範囲の中でも特に、1.30重量%以上2.30 量%以下であることが好ましく、1.55重量%以 2.30重量%以下であることがさらに好ましく 1.75重量%2.30重量%であることが特に好ましい
 磁性体の含有量が上記範囲を下回ると、上 水素吸蔵合金粉末を用いたアルカリ蓄電池 放電特性が損なわれるおそれがある。なお 磁性体の含有量の上限は特に限定されない 、上記範囲を上回ると、水素吸蔵合金部分 減少により容量が低下する傾向がある。

 本発明のアルカリ蓄電池用負極は、上記 面処理方法で処理された水素吸蔵合金粉末 必須成分として含み、さらに、導電剤、増 剤、結着剤などを任意成分として含む。負 は、上記水素吸蔵合金粉末を含む負極合剤 所定形状に成形することによって作製され か、あるいは、上記水素吸蔵合金粉末を含 負極合剤ペーストを調製し、これを集電体( 芯材)に塗布し、乾燥することによって作製 れる。

 導電剤としては、電子伝導性を有する材料 あること以外は特に限定されず、各種の電 伝導性材料を用いることができる。具体的 は、例えば、天然黒鉛(鱗片状黒鉛など)、 造黒鉛、膨張黒鉛などのグラファイト類、 えば、アセチレンブラック、ケッチェンブ ック、チャンネルブラック、ファーネスブ ック、ランプブラック、サーマルブラック どのカーボンブラック類、例えば、炭素繊 、金属繊維などの導電性繊維類、例えば、 粉などの金属粉末類、例えば、ポリフェニ ン誘導体などの有機導電性材料などが挙げ れ、なかでも、人造黒鉛、ケッチェンブラ ク、炭素繊維が好ましい。上記例示の電子 導性材料は、単独で用いてもよく、2種以上 混合して用いてもよい。また、上記例示の 子伝導性材料は、水素吸蔵合金粉末の表面 被覆させて用いてもよい。
 導電剤の添加量は、特に限定されないが、 えば、水素吸蔵合金粉末100重量部に対し、0 .1~50重量部が好ましく、0.1~30重量部がさらに ましい。

 増粘剤は、負極合剤ペーストに対して粘 を付与する。例えば、負極合剤ペーストの 散媒として水を用いる場合には、増粘剤と て、カルボキシメチルセルロース(CMC)およ その変性体、ポリビニルアルコール、メチ セルロース、ポリエチレンオキシドなどを いることができる。

 結着剤は、水素吸蔵合金粉末や導電剤を集 体に結着させる役割を果たす。結着剤は、 可塑性樹脂および熱硬化性樹脂のいずれで ってもよい。結着剤の具体例としては、ス レン-ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ポリエチ ン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロ チレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフ オロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共 重合体、テトラフルオロエチレン-パーフル ロアルキルビニルエーテル共重合体、フッ ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重 体、フッ化ビニリデン-クロロトリフルオロ エチレン共重合体、エチレン-テトラフルオ エチレン共重合体、ポリクロロトリフルオ エチレン、フッ化ビニリデン-ペンタフルオ プロピレン共重合体、プロピレン-テトラフ ルオロエチレン共重合体、エチレン-クロロ リフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニ デン-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフル オロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン- ーフルオロメチルビニルエーテル-テトラフ オロエチレン共重合体、エチレン-アクリル 酸共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体Na + イオン架橋体、エチレン-メタクリル酸共重 体、エチレン-メタクリル酸共重合体Na + イオン架橋体、エチレン-アクリル酸メチル 重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合 Na + イオン架橋体、エチレン-メタクリル酸メチ 共重合体、エチレン-メタクリル酸メチル共 合体Na + イオン架橋体などが挙げられる。これらは、 単独でまたは2種以上を混合して用いること できる。

 本発明のアルカリ蓄電池は、正極と、上記 ルカリ蓄電池用負極と、アルカリ電解質と 含んでいる。また、一般に、正極と負極と 間には、セパレータが配置されている。
 上記アルカリ蓄電池用負極を用いることに って、特に放電性能に優れたアルカリ蓄電 を提供することが可能である。

 また、本発明のアルカリ蓄電池の具体例 しては、例えば、ニッケル-水素蓄電池など が挙げられる。

 正極には、本発明の分野で公知の各種正 を用いることができる。具体的には、公知 焼結式ニッケル正極などが挙げられる。

 アルカリ電解液には、本発明の分野で公 の各種アルカリ電解液を用いることができ 。具体的には、40g/Lの濃度の水酸化リチウ を含む、比重1.30の水酸化カリウム水溶液な が挙げられる。

 セパレータには、本発明の分野で公知の 種セパレータを用いることができる。具体 には、ポリプロピレン製の不織布などが挙 られる。

 以下、ニッケル-水素蓄電池の作製例を挙 げて、本発明を詳細に説明する。

 <水素吸蔵合金粉末の表面処理およびニッ ケル-水素蓄電池の作製>
  実施例1
 組成式Mm 0.7 Mg 0.3 Ni 2.75 Co 0.5 Al 0.05 で表される水素吸蔵合金を湿式ボールミルに 投入し、水中で粉砕することにより、平均粒 径(測定法:レーザ回折法、以下同じ)が30μmの 末を得た。この原料水素吸蔵合金粉末は、C eNi 3 型の結晶構造を備えており、Niの含有割合は5 3重量%、Mgの含有割合は2重量%であった。

 (i)第1工程
 攪拌槽に上記原料水素吸蔵合金粉末10kgを投 入し、次いで、濃度5mol/LのLiOH水溶液3kgを投 した。そして、攪拌槽の攪拌翼を回転させ 、水素吸蔵合金粉末とLiOH水溶液との混合物( 以下、「第1混合物」という。)を10分間攪拌 た(第1工程)。この第1工程においては、攪拌 内の温度を加熱手段で適宜制御し、第1混合 物の温度を90℃で一定となるように調整した
 第1工程の完了後、第1混合物を静置し、水 吸蔵合金粉末を沈殿させて、上澄みのLiOH水 液を攪拌槽から除去した。

 (ii)第2工程
 上澄み(LiOH水溶液)を除去後、攪拌槽に18mol/L のNaOH水溶液6kgを投入した。そして、攪拌翼 回転させて、水素吸蔵合金粉末と、NaOH水溶 と、撹拌槽内に残留したLiOH水溶液との混合 物(この実施例、および後述する実施例2~12に いて「第2混合物」という)を10分間攪拌した (第2工程)。この第2工程においては、攪拌槽 の温度を加熱手段で適宜制御し、第2混合物 温度を90℃で一定となるように調整した。 2混合物に含まれるLiOHは、第2混合物の単位 量あたりの含有量として、0.03μg/g以下であ た。

 第2工程の完了後、第2混合物を加圧濾過槽 導入して、5kgf/cm 2 で加圧しながら濾過することにより、NaOH水 液を除去した。次いで、残渣を多量の水で 浄することにより、表面処理後の水素吸蔵 金粉末を得た。

 (iii)負極の作製
 第2工程で得られた水素吸蔵合金粉末10kgに し、1.5重量%のカルボキシメチルセルロース( CMC)水溶液1kgと、ケッチェンブラック40gとを えて、混合物を混練した。次いで、固形分 40重量%のスチレン-ブタジエンゴム(SBR)分散 175gを加えて、攪拌することにより、負極合 ペーストを調製した。

 こうして得られた負極合剤ペーストを、パ チングメタル(芯材)の両面に塗布し、次い 、乾燥させ、加圧することによって、幅35mm 厚さ0.4mmの負極(水素吸蔵合金負極)を作製し た。パンチングメタルは、ニッケルめっきが 施された鉄製のものであって、厚さが60μm、 ンチング孔の孔径が1mm、開孔率が42%であっ 。また、負極の長手方向に沿う一端部には 芯材の露出部を形成した。
 こうして得られた負極の理論容量は、2200mAh であった。

 (iv)ニッケル-水素蓄電池の作製
 図1に、この実施例で作製したニッケル-水 蓄電池の縦断面図を示す。
 負極12には、上記水素吸蔵合金負極を用い 。正極11には、公知の焼結式ニッケル正極で あって、長手方向に沿う一端部に芯材の露出 部を有するものを用いた。正極11の理論容量 、1500mAhであった。セパレータ13には、ポリ ロピレン製の不織布を用いた。また、アル リ電解液には、比重1.30の水酸化カリウム水 溶液に、40g/Lの濃度で水酸化リチウムを溶解 せたものを用いた。

 ニッケル-水素蓄電池の作製方法は、次の とおりである。まず、正極11と負極12とを、 パレータ13を介して捲回し、円柱状の極板群 20を作製した。極板群20の作製時には、正極11 のうち正極合剤11aが塗布されずに正極芯材11b が露出している露出部と、負極12のうち負極 剤12aが塗布されずに負極芯材12bが露出して る露出部とを、極板群20の軸方向で互いに 対側の端面に露出されるように配置した。 して、正極芯材11bが露出する側の極板群20の 端面21に、正極集電板18を溶接し、負極芯材12 bが露出する側の極板群20の端面22に、負極集 板19を溶接した。

 次いで、極板群20を、その負極集電板19側 から、有底円筒形の電池ケース15に収容した この電池ケース15は、負極端子と兼用され 部材である。電池ケース15の底部には、あら かじめ負極リード19aが溶接されており、この 負極リード19aを介して、負極集電板19と電池 ース15とを電気的に接続させた。

 次に、電池ケース15内に電解液を注液し、 縁にガスケット17を備える封口板6によって 電池ケース15の開口部を封口した。この封口 板6は、正極端子と兼用される部材である。 口板6の電池ケース15内部側表面には、あら じめ正極リード18aが溶接されており、この 極リード18aを介して、正極集電板18と封口板 6とを電気的に接続させた。
 こうして、4/5Aサイズ(直径約17mm、長さ約43mm )で、公称容量1500mAhのニッケル-水素蓄電池を 得た。

  実施例2~7
 第1工程におけるLiOH水溶液のLiOH濃度を、実 例2で0.05mol/L、実施例3で0.1mol/L、実施例4で1m ol/L、実施例5で6mol/L、実施例6で8mol/L、および 、実施例7で10mol/Lとしたこと以外は、実施例1 と同様にして、ニッケル-水素蓄電池を得た

  実施例8~12
 第2工程におけるNaOH水溶液のNaOH濃度を、実 例8で5mol/L、実施例9で7mol/L、実施例10で10mol/ L、実施例11で20mol/L、および実施例12で25mol/L したこと以外は、実施例1と同様にして、ニ ケル-水素蓄電池を得た。

  実施例13~17
 第1工程における第1混合物および第2工程に ける第2混合物の温度を、それぞれ40℃(実施 例13)、50℃(実施例14)、80℃(実施例15)、120℃( 沸状態、実施例16)、または150℃(煮沸状態、 施例17)とした以外は、実施例1と同様にして 、ニッケル-水素蓄電池を得た。

  比較例1
 攪拌槽に実施例1で得られたものと同じ原料 水素吸蔵合金粉末10kgを投入し、次いで、濃 18mol/LのNaOH水溶液6kgを投入した。そして、攪 拌槽の攪拌翼を回転させて、水素吸蔵合金粉 末とNaOH水溶液との混合物を20分間攪拌した。 攪拌時には、攪拌槽内の温度を加熱手段で適 宜制御し、上記混合物の温度を90℃で一定と るように調整した。

 攪拌後、攪拌槽内の混合物を静置し、水素 蔵合金粉末を沈殿させて、上澄みのNaOH水溶 液を攪拌槽から除去した。次いで、沈殿物を 多量の水で洗浄することによって、表面処理 が施された水素吸蔵合金粉末を得た。すなわ ち、比較例1においては、実施例1における第1 工程(LiOH水溶液による処理)を行わず、第2工 (NaOH水溶液による処理)のみを行い、その処 時間を20分とした。
 こうして表面処理が施された水素吸蔵合金 末を用いたこと以外は、実施例1と同様にし て、ニッケル-水素蓄電池を得た。

  比較例2
 攪拌槽に実施例1で得られたものと同じ原料 水素吸蔵合金粉末10kgを投入した。次いで、 拌槽に、濃度5mol/LのLiOH水溶液1.5kgと、濃度18 mol/LのNaOH水溶液3kgとの混合水溶液を投入した 。そして、攪拌槽の攪拌翼を回転させて、水 素吸蔵合金粉末と上記混合水溶液との混合物 を20分間攪拌した。攪拌時には、攪拌槽内の 度を加熱手段で適宜制御し、上記混合物の 度を90℃で一定となるように調整した。

 攪拌後、攪拌槽内の混合物を静置し、水素 蔵合金粉末を沈殿させて、上澄みのLiOHおよ びNaOHの混合水溶液を攪拌槽から除去した。 いで、沈殿物を多量の水で洗浄することに って、表面処理が施された水素吸蔵合金粉 を得た。
 そして、こうして表面処理が施された水素 蔵合金粉末を用いたこと以外は、実施例1と 同様にして、ニッケル-水素蓄電池を得た。

  比較例3
 攪拌槽に実施例1で得られたものと同じ原料 水素吸蔵合金粉末10kgを投入した。次いで、 拌槽に、濃度5mol/LのLiOH水溶液1kgと、濃度18mo l/LのNaOH水溶液2kgと、濃度10mol/LのKOH水溶液2kg の混合水溶液を投入した。そして、攪拌槽 攪拌翼を回転させて、水素吸蔵合金粉末と 記混合水溶液との混合物を20分間攪拌した 攪拌時には、攪拌槽内の温度を加熱手段で 宜制御し、上記混合物の温度を90℃で一定と なるように調整した。

 攪拌後、攪拌槽内の混合物を静置し、水素 蔵合金粉末を沈殿させて、上澄みのLiOH、NaO HおよびKOHの混合水溶液を攪拌槽から除去し 。次いで、沈殿物を多量の水で洗浄するこ によって、表面処理が施された水素吸蔵合 粉末を得た。
 そして、こうして表面処理が施された水素 蔵合金粉末を用いたこと以外は、実施例1と 同様にして、ニッケル-水素蓄電池を得た。

  比較例4
 攪拌槽に実施例1で得られたものと同じ原料 水素吸蔵合金粉末10kgを投入し、次いで、濃 5mol/LのLiOH水溶液3kgを投入した。そして、攪 槽の攪拌翼を回転させて、水素吸蔵合金粉 とLiOH水溶液との混合物(第1混合物)を20分間 拌した。攪拌時には、攪拌槽内の温度を加 手段で適宜制御し、第1混合物の温度を90℃ 一定となるように調整した。

 攪拌後、第1混合物を静置し、水素吸蔵合金 粉末を沈殿させて、上澄みのLiOH水溶液を攪 槽から除去した。次いで、沈殿物を多量の で洗浄することによって、表面処理後の水 吸蔵合金粉末を得た。すなわち、比較例4に いては、第1工程(LiOH水溶液による処理)にお ける処理時間を20分とし、第2工程(NaOH水溶液 よる処理)を行わなかった。
 こうして表面処理が施された水素吸蔵合金 末を用いたこと以外は、実施例1と同様にし て、ニッケル-水素蓄電池を得た。

  比較例5
 攪拌時に、攪拌槽内の混合物の温度を120℃( 煮沸状態)で一定となるように調整したこと 外は、比較例2と同様にして、表面処理が施 れた水素吸蔵合金粉末を得た。そして、こ して表面処理が施された水素吸蔵合金粉末 用いたこと以外は、実施例1と同様にして、 ニッケル-水素蓄電池を得た。

 <物性評価>
 上記実施例1~17および比較例1~5に対して、以 下に示す測定を行い、表面処理が施された水 素吸蔵合金粉末と、それを用いたニッケル- 素蓄電池の物性を評価した。

  磁性体量
 表面処理後の水素吸蔵合金粉末を乾燥させ 、振動試料型磁力計(VSM、東英工業株式会社 製)を用いて、水素吸蔵合金粉末内での金属 態の磁性体の濃度を測定した。その測定値 、水素吸蔵合金粉末中の磁性体の重量割合( 量%)として、下記の表1~3に示す。

  酸素濃度
 表面処理後の水素吸蔵合金粉末の酸素濃度 、JIS Z 2613に記載の酸素濃度測定法(赤外線 吸収法)に従って測定した。すなわち、試料( 面処理後の水素吸蔵合金粉末)から抽出され たガスを赤外線吸収セルに送り、赤外線の吸 収量の変化を測定することにより、酸素量を 求めた。その測定値を、水素吸蔵合金粉末中 の酸素の重量割合(重量%)として、下記の表1~3 に示す。

  初期放電容量および低温放電特性
 ニッケル-水素蓄電池を、20℃の環境下、電 値1.5Aで、理論容量の120%まで充電した。次 で、充電後のニッケル-水素蓄電池を、20℃ 環境下、電流値3.0Aで、電池電圧が1.0Vに低下 するまで放電し、その際の放電容量(初期放 容量、単位:mAh)を測定した。

 さらに、初期放電容量測定後のニッケル-水 素蓄電池を、20℃の環境下、電流値1.5Aで、理 論容量の120%まで充電した。次いで、充電後 ニッケル-水素蓄電池を、0℃の環境下、電流 値3.0Aで、電池電圧が1.0Vに低下するまで放電 、その際の放電容量(低温放電容量、単位:mA h)を測定した。そして、低温放電容量の初期 電容量に対する比率(%)を低温放電特性の指 とした。
 以上の測定結果を、下記の表1~3に示す。

 表1~3において、磁性体含有量の評価基準は 1.75重量%以上をA + (極めて良好)とし、1.55重量%以上1.75重量%未満 をA(良好)とし、1.30重量%以上1.55重量%未満をB( 実用上許容)とし、1.30重量%未満をC(不良)とし た。酸素濃度の評価基準は、0.95重量%以下をA + (極めて良好)とし、0.95重量%を上回り1.00重量% 以下をA(良好)とし、1.00重量%を上回り1.10重量 %以下をB(実用上許容)とし、1.10重量%を上回る 場合をC(不良)とした。

 また、初期放電容量は、1450mAh以上の場合を A + (極めて良好)とし、1300mAh以上1450mAh未満の場 をA(良好)とし、1250mAh以上1300mAh未満の場合を B(実用上許容)とし、1250mAh未満の場合をC(不良 )とした。低温放電特性は、80%以上の場合をA + (極めて良好)とし、75%以上80%未満の場合をA( 好)とし、70%以上75%未満の場合をB(実用上許 )とし、70%未満の場合をC(不良)とした。

 表1および2に示すように、比較例1および4 は、実施例1と比べて、水素吸蔵合金粉末中 磁性体量が少なかった。また、これとは逆 、比較例1および4は、実施例1と比べて、水 吸蔵合金粉末中の酸素濃度が高かった。な 、水素吸蔵合金粉末中の酸素濃度は、水素 蔵合金粉末の表面に堆積した酸化物および 酸化物の量に比例する。

 また、表1および2に示すように、比較例1 よび4は、実施例1と比べて、初期放電容量 低かった。この結果は、水素吸蔵合金粉末 磁性体量と比例した。さらに、比較例1およ 4は、実施例1と比べて、低温放電特性が低 った。この結果は、水素吸蔵合金粉末の酸 濃度と反比例した。

 上述のとおり、LiOH水溶液を用いた処理(第1 程)は、初期処理速度が大きく、この処理を 経ることによって、Mgの偏析を抑制すること できる。一方、NaOH水溶液を用いた処理(第2 程)は、LiOH水溶液を用いた処理と比べて、 理量が飽和することを抑制できる。
 それゆえ、LiOH水溶液を用いた処理と、NaOH 溶液を用いた処理とを併用することで、実 例1~12に示すように、短い処理時間で酸素濃 を小さく(磁性体量を多く)し、低温放電特 に優れたアルカリ蓄電池を効率よく得るこ ができた。

 また、表1に示した結果より明らかなよう に、第1工程におけるLiOH水溶液のLiOH濃度を、 好ましくは、0.1mol/L以上、さらに好ましくは 1mol/L以上とすることで、水素吸蔵合金粉末 での磁性体含有量を高く維持し、かつ、酸 含有量を低く抑制することができた。

 一方、第1工程のLiOH水溶液について、LiOH 濃度を8mol/Lを超えて高くしても、磁性体含 量や酸素濃度の評価を向上させる観点にお て有意な差は観察されなかった。なお、極 て高濃度のLiOHを用いる場合には、攪拌装置 の劣化やコストの増加のおそれがある。また 、LiOHの濃度が8mol/Lであるときには、第1工程 の攪拌槽の内壁面でLiOHの結晶の析出がわず かに観察された(実施例6)。LiOHの濃度が10mol/L あるときには、結晶の析出の程度が顕著で った(実施例7)。

 また、表2に示した結果より明らかなよう に、第2工程におけるNaOH水溶液のNaOH濃度を、 好ましくは、5mol/L以上、さらに好ましくは、 8mol/L以上とすることで、水素吸蔵合金粉末中 での磁性体含有量を高く維持し、かつ、酸素 含有量を低く抑制することができた。

 一方、第2工程のNaOH水溶液について、NaOH 濃度を20mol/Lを超えて高くしても、磁性体含 有量や酸素濃度の評価を向上させる観点にお いて有意な差は観察されなかった。なお、極 めて高濃度のNaOHを用いる場合には、攪拌装 の劣化やコストの増加のおそれがある。ま 、NaOHの濃度が20mol/Lであるときには、第2工 後の攪拌槽の内壁面でNaOHの結晶の析出がわ かに観察された(実施例11)。NaOHの濃度が25mol /Lであるときには、結晶の析出の程度が顕著 あった(実施例12)。

 また、表3に示した結果(実施例13~17、比較 例2および5)より明らかなように、第1工程お び第2工程における処理温度を、好ましくは 50~150℃、さらに好ましくは、80~120℃の範囲 設定することで、水素吸蔵合金粉末中での 性体含有量を高く維持し、かつ、酸素含有 を低く抑制することができた。

 一方、第1工程および第2工程における処 温度が上記範囲を下回るときには、表面処 反応が起こりにくくなるため、酸素濃度の 昇と、低温放電特性の低下の傾向が観察さ た。また、処理温度が150℃であるときには 表面処理が十分になされたが、突沸によっ 攪拌装置が損傷を受けるおそれがあった(実 例17)。

 <水素吸蔵合金粉末の表面処理およびニッ ケル-水素蓄電池の作製>
  実施例18
 実施例1と同様にして、組成式Mm 0.7 Mg 0.3 Ni 2.75 Co 0.5 Al 0.05 で表される原料水素吸蔵合金の粉末(平均粒 30μm、CeNi 3 型、Niの含有割合53重量%、Mgの含有割合2重量% )を得た。

 (i)第1工程
 実施例1と同様にして、攪拌槽に上記原料水 素吸蔵合金粉末10kgを投入し、次いで、濃度5m ol/LのLiOH水溶液3kgを投入した。そして、攪拌 の攪拌翼を回転させて、第1混合物を10分間 拌した(第1工程)。この第1工程においては、 第1混合物の温度を90℃で一定となるように調 整した。第1工程の完了後、第1混合物を静置 、水素吸蔵合金粉末を沈殿させて、上澄み LiOH水溶液を攪拌槽から除去した。

 (ii)第2工程
 上澄みを除去後、攪拌槽に10mol/LのKOH水溶液 6kgを投入した。そして、攪拌翼を回転させて 、水素吸蔵合金粉末と、KOH水溶液と、撹拌槽 内に残留したLiOH水溶液との混合物(この実施 、および後述する実施例19~34において「第2 合物」という)を10分間攪拌した(第2工程)。 の第2工程においては、攪拌槽内の温度を加 熱手段で適宜制御し、第2混合物の温度を90℃ で一定となるように調整した。第2混合物に まれるLiOHは、第2混合物の単位重量あたりの 含有量として、0.03μg/g以下であった。

 第2工程の完了後、第2混合物を加圧濾過槽 導入して、5kgf/cm 2 で加圧しながら濾過することにより、KOH水溶 液を除去した。次いで、残渣を多量の水で洗 浄することにより、表面処理後の水素吸蔵合 金粉末を得た。

 (iii)負極の作製
 LiOH水溶液による第1工程と、KOH水溶液によ 第2工程とによる表面処理が施された水素吸 合金粉末10kgを用いたこと以外は、実施例1 同様にして、負極合剤ペーストを調製した そして、こうして得られた負極合剤ペース を用いたこと以外は、実施例1と同様にして 負極(水素吸蔵合金負極)を作製した。得ら た負極の理論容量は、2200mAhであった。

 (iv)ニッケル-水素蓄電池の作製
 負極12には、上記水素吸蔵合金負極を用い (図1参照、以下同じ)。その他、正極11、セパ レータ13、アルカリ電解液などは、実施例1で 使用したものと同じものを用いた。そして、 負極12が異なること以外は、実施例1と同様に して、図1に示すニッケル-水素蓄電池を作製 た。

  実施例19~24
 第1工程におけるLiOH水溶液のLiOH濃度を、実 例19で0.05mol/L、実施例20で0.1mol/L、実施例21 1mol/L、実施例22で6mol/L、実施例23で8mol/L、お び実施例24で10mol/Lとしたこと以外は、実施 18と同様にして、ニッケル-水素蓄電池を得 。

  実施例25~29
 第2工程におけるKOH水溶液のKOH濃度を、実施 例25で4mol/L、実施例26で5mol/L、実施例27で8mol/L 、実施例28で13mol/L、および、実施例29で15mol/L としたこと以外は、実施例18と同様にして、 ッケル-水素蓄電池を得た。

  実施例30~34
 第1工程における第1混合物および第2工程に ける第2混合物の温度を、それぞれ40℃(実施 例30)、50℃(実施例31)、80℃(実施例32)、120℃( 施例33)、または150℃(実施例34)としたこと以 は、実施例18と同様にして、ニッケル-水素 電池を得た。

  比較例6
 攪拌槽に実施例1で得られたものと同じ原料 水素吸蔵合金粉末10kgを投入し、次いで、濃 10mol/LのKOH水溶液6kgを投入した。そして、攪 槽の攪拌翼を回転させて、水素吸蔵合金粉 とKOH水溶液との混合物を20分間攪拌した。 拌時には、攪拌槽内の温度を加熱手段で適 制御し、上記混合物の温度を90℃で一定とな るように調整した。

 攪拌後、攪拌槽内の混合物を静置し、水素 蔵合金粉末を沈殿させて、上澄みのKOH水溶 を攪拌槽から除去した。次いで、水素吸蔵 金粉末を多量の水で洗浄することにより、 面処理後の水素吸蔵合金粉末を得た。すな ち、比較例6においては、実施例18における 1工程(LiOH水溶液による処理)を行わず、第2 程(KOH水溶液による処理)のみを行い、その処 理時間を20分とした。
 そして、こうして表面処理が施された水素 蔵合金粉末を用いたこと以外は、実施例18 同様にして、ニッケル-水素蓄電池を得た。

  比較例7
 攪拌槽に実施例1で得られたものと同じ原料 水素吸蔵合金粉末10kgを投入した。次いで、 拌槽に、濃度5mol/LのLiOH水溶液1.5kgと、濃度10 mol/LのKOH水溶液3kgとの混合水溶液を投入した そして、攪拌槽の攪拌翼を回転させて、水 吸蔵合金粉末と上記混合水溶液との混合物 20分間攪拌した。攪拌時には、攪拌槽内の 度を加熱手段で適宜制御し、上記混合物の 度を90℃で一定となるように調整した。

 攪拌後、攪拌槽内の混合物を静置し、水素 蔵合金粉末を沈殿させて、上澄みのLiOHおよ びKOHの混合水溶液を攪拌槽から除去した。次 いで、沈殿物を多量の水で洗浄することによ って、表面処理が施された水素吸蔵合金粉末 を得た。
 そして、こうして表面処理が施された水素 蔵合金粉末を用いたこと以外は、実施例18 同様にして、ニッケル-水素蓄電池を得た。

  比較例8
 攪拌時に、攪拌槽内の混合物の温度を120℃ 一定となるように調整したこと以外は、比 例7と同様にして、表面処理が施された水素 吸蔵合金粉末を得た。そして、こうして表面 処理が施された水素吸蔵合金粉末を用いたこ と以外は、実施例18と同様にして、ニッケル- 水素蓄電池を得た。

 <物性評価>
 上記実施例18~34および比較例6~8に対して、 述の測定を行い、表面処理が施された水素 蔵合金粉末と、それを用いたニッケル-水素 電池の物性を評価した。測定および評価項 は、上述の場合と同じく、磁性体量と、酸 濃度と、初期放電容量と、低温放電特性の4 つとした。以上の結果を下記の表4~6に示す。

 表4~6において、磁性体含有量および酸素濃 の評価基準(A + ~C)は、表1~3の場合と同様とした。また、初期 放電容量および低温放電特性の評価基準(A + ~C)も、表1~3の場合と同様とした。

 表4および5に示すように、比較例6および4 は、実施例18と比べて、水素吸蔵合金粉末中 磁性体量が少なかった。また、これとは逆 、比較例6および4は、実施例18と比べて、水 素吸蔵合金粉末中の酸素濃度が高かった。

 また、表4および5に示すように、比較例6 よび4は、実施例18と比べて、初期放電容量 低かった。この結果は、水素吸蔵合金粉末 磁性体量と比例した。さらに、比較例6およ び4は、実施例18と比べて、低温放電特性が低 かった。この結果は、水素吸蔵合金粉末の酸 素濃度と反比例した。

 上述のとおり、LiOH水溶液を用いた処理(第1 程)は、初期処理速度が大きく、この処理を 経ることによって、Mgの偏析を抑制すること できる。一方、KOH水溶液を用いた処理(第2 程)は、LiOH水溶液を用いた処理と比べて、処 理量が飽和することを抑制できる。
 それゆえ、LiOH水溶液を用いた処理と、KOH水 溶液を用いた処理とを併用することで、実施 例18~29に示すように、短い処理時間で酸素濃 を小さく(磁性体量を多く)し、低温放電特 に優れたアルカリ蓄電池を効率よく得るこ ができた。

 また、表4に示した結果より明らかなよう に、第1工程におけるLiOH水溶液のLiOH濃度を、 好ましくは、0.1mol/L以上、さらに好ましくは 1mol/L以上とすることで、水素吸蔵合金粉末 での磁性体含有量を高く維持し、かつ、酸 含有量を低く抑制することができた。

 一方、第1工程のLiOH水溶液について、LiOH 濃度を8mol/Lを超えて高くしても、磁性体含 量や酸素濃度の評価を向上させる観点にお て有意な差は観察されなかった。また、LiOH の濃度が8mol/Lであるときには、第1工程後の 拌槽の内壁面でLiOHの結晶の析出がわずかに 察された(実施例23)。LiOHの濃度が10mol/Lであ ときには、結晶の析出の程度が顕著であっ (実施例24)。

 また、表5に示した結果より明らかなよう に、第2工程におけるKOH水溶液のKOH濃度を、 ましくは、7mol/L以上、さらに好ましくは、10 mol/L以上とすることで、水素吸蔵合金粉末中 の磁性体含有量を高く維持し、かつ、酸素 有量を低く抑制することができた。

 一方、第2工程のNaOH水溶液について、KOH 濃度を13mol/Lを超えて高くしても、磁性体含 量や酸素濃度の評価を向上させる観点にお て有意な差は観察されなかった。なお、極 て高濃度のKOHを用いる場合には、攪拌装置 劣化やコストの増加のおそれがある。また KOHの濃度が13mol/Lであるときには、第2工程 の攪拌槽の内壁面でKOHの結晶の析出がわず に観察された(実施例28)。NaOHの濃度が15mol/L あるときには、結晶の析出の程度が顕著で った(実施例29)。

 また、表6に示した結果(実施例30~34、比較 例7および8)より明らかなように、第1工程お び第2工程における処理温度を、好ましくは 50~150℃、さらに好ましくは、80~120℃の範囲 設定することで、水素吸蔵合金粉末中での 性体含有量を高く維持し、かつ、酸素含有 を低く抑制することができた。

 一方、第1工程および第2工程における処 温度が上記範囲を下回るときには、表面処 反応が起こりにくくなるため、酸素濃度の 昇と、低温放電特性の低下の傾向が観察さ た。また、処理温度が150℃であるときには 表面処理が十分になされたが、突沸によっ 攪拌装置が損傷を受けるおそれがあった(実 例34)。

 本発明により、低温放電特性に優れたア カリ蓄電池を効率的に生産できる。よって 本発明は、パワーツールや電気自動車用途 ど、高出力タイプのアルカリ蓄電池の電極 造技術として利用可能性が高く、かつ有用 も高い。