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Title:
INFORMATION RECORDING/REPRODUCING DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/122567
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention provides an information recording/reproducing device comprising a first layer, a second layer, and a recording layer which is held between the first layer and the second layer and, upon the supply of current through the first layer and the second layer, undergoes reversible transition of the electric resistance from a low-resistance first state to a high-resistance second state and vice versa. The information recording/reproducing device is characterized in that the recording layer comprises a first compound layer and an insulating layer, the first compound layer contains a first compound containing at least two cationic elements, at least one of the cationic elements is a transition element having a d orbit incompletely filled with electrons, at least one of the cationic elements is an element selected from group 1 to 4 elements and group 12 to 17 elements of the periodic table, and the insulating layer comprises a third compound comprising an element selected from group 1 to 4 elements and group 12 to 17 elements of the periodic table. The information recording/reproducing device can realize high-density recording, low power consumption, high thermal stability and stable operation and is nonvolatile.periodic table

Inventors:
KUBO KOHICHI (JP)
KAMATA CHIKAYOSHI (JP)
TSUKAMOTO TAKAYUKI (JP)
AOKI SHINYA (JP)
HIRAI TAKAHIRO (JP)
NAKAI TSUKASA (JP)
HIRAOKA TOSHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/056492
Publication Date:
October 08, 2009
Filing Date:
April 01, 2008
Export Citation:
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Assignee:
TOSHIBA KK (JP)
KUBO KOHICHI (JP)
KAMATA CHIKAYOSHI (JP)
TSUKAMOTO TAKAYUKI (JP)
AOKI SHINYA (JP)
HIRAI TAKAHIRO (JP)
NAKAI TSUKASA (JP)
HIRAOKA TOSHIRO (JP)
International Classes:
H01L27/10; G11B9/04; H01L49/00
Foreign References:
US20070133358A12007-06-14
JP2008021750A2008-01-31
JP2007273618A2007-10-18
Attorney, Agent or Firm:
HYUGAJI, MASAHIKO (JP)
Masahiko Hiugaji (JP)
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Claims:
 第1の層と、
 第2の層と、
 前記第1の層と前記第2の層との間に挟持され、前記第1の層と前記第2の層とを介して供給される電流により、抵抗が低い第1の状態と抵抗が高い第2の状態との間を可逆的に遷移可能な記録層と、
 を備え、
 前記記録層は、
 少なくとも2種類の陽イオン元素を有する化合物であって、前記陽イオン元素の少なくともいずれかは電子が不完全に満たされたd軌道を有する遷移元素であり、前記陽イオン元素の少なくともいずれかは周期表の1族~4族の元素及び12族~17族の元素から選択される元素である第1化合物を含む第1化合物層と、
 周期表の1族~4族の元素及び12族~17族の元素から選択される元素からなる第3化合物を含む絶縁層と、
 を有することを特徴とする情報記録再生装置。
 前記第3化合物を構成する周期表の1族~4族の元素及び12族~17族の元素から選択される元素の少なくとも1種は、前記第1化合物に含まれる周期表の1族~4族の元素及び12族~17族の元素から選択される元素と同じ元素であることを特徴とする請求項1に記載の情報記録再生装置。
 前記第3化合物は、AX、AMX 2 、AM 2 X 4 、A 2 MX 4 、AMX 3 、及びAMX 4 (Aは、Na,K,Rb,Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Al,Ga,Zn,Cdよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素であり、Mは、B,Al,Ga,In,Si,Ge,Sn,Ti,Zr,Hf,As,Sb,Pb,Bi,Sc,Y,Ln(ランタノイド)よりなる群から選択される少なくとも1種類の元素である。AとMは互いに異なる元素である。Xは、F,O,Nのグループから選択される少なくとも1種類の元素である。)
 のいずれかの組成式で表される化合物を含む材料から構成されることを特徴とする請求項1記載の情報記録再生装置。
 前記Aは、Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,Cdよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素であることを特徴とする請求項3記載の情報記録再生装置。
 前記Aは、Mg,Znよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素であることを特徴とする請求項3記載の情報記録再生装置。
 前記Aは、Znであることを特徴とする請求項3記載の情報記録再生装置。
 前記Mは、Al,Gaよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素であることを特徴とする請求項3記載の情報記録再生装置。
 前記第3化合物は、スピネル構造、イルメナイト構造、ウルフラマイト構造、α-NaFeO 2 構造、LiMoN 2 構造、閃亜鉛鉱型構造、岩塩型構造、及び蛍石構造よりなる群から選択された少なくともいずれかを含む構造を有していることを特徴とする請求項1記載の情報記録再生装置。
 前記第1化合物及び前記第3化合物の結晶構造及び結晶方位が同等であることを特徴とする請求項1記載の情報記録再生装置。
 前記記録層は、前記絶縁層と前記第1の層または前記第2の層との間に、少なくとも1種類の電子が不完全に満たされたd軌道を有する遷移元素を有する化合物である第2化合物を含む第2化合物層を有することを特徴とする請求項1記載の情報記録再生装置。
 前記第1化合物、前記第2化合物、及び前記第3化合物の結晶構造及び結晶方位が同等であることを特徴とする請求項10記載の情報記録再生装置。
 前記絶縁層の厚さは、10nm以下であることを特徴とする請求項1記載の情報記録再生装置。
 前記絶縁層の抵抗率は、10 3 ωcm以上であることを特徴とする請求項1記載の情報記録再生装置。
 第1の方向に延在する第1の配線と、
 前記第1の方向と交叉する第2の方向に延在する第2の配線と、
 をさらに備え、
 前記第1の層と前記第2の層と前記記録層とを含む積層体は、前記第1の配線と前記第2の配線とが交叉した部分において、前記第1の配線と前記第2の配線との間に接続され、前記第1及び第2の配線を介して前記電流が供給されることを特徴とする請求項1記載の情報記録再生装置。
 前記第1の配線または前記第2の配線と前記積層体との間に、整流素子をさらに備えることを特徴とする請求項14記載の情報記録再生装置。
 前記第1の配線または前記第2の配線と前記整流素子との間に、前記第1の配線もしくは前記第2の配線を構成する材料の元素または前記整流素子を構成する材料の元素の拡散を防止するためのバリア層をさらに備えることを特徴とする請求項15記載の情報記録再生装置。
 さらに、前記記録層に電圧を印加して前記記録層を前記第1の状態と前記第2の状態との間で可逆的に変換させる電圧印加部を備えることを特徴とする請求項1記載の情報記録再生装置。
 前記電圧印加部は、前記記録層の記録単位に対して前記電圧を局所的に印加するためのプローブを含むことを特徴とする請求項17記載の情報記録再生装置。
Description:
情報記録再生装置

 本発明は情報記録再生装置に関し、より 細には、不揮発性の情報記録再生装置に関 る。

 近年、小型携帯機器が世界的に普及し、 時に、高速情報伝送網の大幅な進展に伴い 小型大容量不揮発性メモリの需要が急速に 大してきている。その中でも、NAND型フラッ シュメモリ及び小型HDD(hard disk drive)は、特 、急速な記録密度の進化を遂げ、大きな市 を形成するに至っている。

 このような状況の下、記録密度の限界を大 に超えることを目指した新規メモリのアイ アがいくつか提案されている。例えば、PRAM (相変化メモリ)は、記録材料として、アモル ァス状態(オフ)と結晶状態(オン)の2つの状 をとることができる材料を使用し、この2つ 状態を2値データ“0”、“1”に対応させて ータを記録する、という原理を採用する。
 書き込み/消去に関しては、例えば、大電力 パルスを記録材料に印加することによりアモ ルファス状態を作り、小電力パルスを記録材 料に印加することにより結晶状態を作る。

 読み出しに関しては、記録材料に、書き込 /消去が起こらない程度の小さな読み出し電 流を流し、記録材料の電気抵抗を測定するこ とにより行う。アモルファス状態の記録材料 の抵抗値は、結晶状態の記録材料の抵抗値よ りも大きく、その比は、例えば10 3 程度である。

 また、PRAMとは異なる原理によって抵抗を変 化させることを利用したメモリも報告されて いる。例えば、高抵抗膜とイオン源層とを有 する記憶層(特許文献1)や、導体膜と絶縁体膜 を持つ可変抵抗素子(特許文献2)である。これ らのメモリでは、イオンが用いられており、 金属元素がイオン化することにより、あるい は、イオン化した金属元素が移動することに より、メモリ素子の抵抗値が変化している。 前者においては、イオン源層には、Ag、Cu、Zn から選ばれた1種以上の元素(金属元素)と、S Se、Teから選ばれた1種以上の元素(カルコゲ イド元素)とが含有されている。後者におい は、導体膜の材料としては、例えば、Cu、Ag 、Znから選ばれる1つ以上の金属元素を含有す る金属膜、合金膜(例えばCuTe合金膜)、金属化 合物膜等が挙げられている。

特開2007-80311号公報

特開2007-299436号公報

 本発明は、高記録密度かつ低消費電力で 熱安定性が高く、安定動作可能な不揮発性 情報記録再生装置を提供する。

 本発明の一態様によれば、第1の層と、第 2の層と、前記第1の層と前記第2の層との間に 挟持され、前記第1の層と前記第2の層とを介 て供給される電流により、抵抗が低い第1の 状態と抵抗が高い第2の状態との間を可逆的 遷移可能な記録層と、を備え、前記記録層 、少なくとも2種類の陽イオン元素を有する 合物であって、前記陽イオン元素の少なく もいずれかは電子が不完全に満たされたd軌 道を有する遷移元素であり、前記陽イオン元 素の少なくともいずれかは周期表の1族~4族の 元素及び12族~17族の元素から選択される元素 ある第1化合物を含む第1化合物層と、周期 の1族~4族の元素及び12族~17族の元素から選択 される元素からなる第3化合物を含む絶縁層 、を有することを特徴とする情報記録再生 置が提供される。

本発明の実施形態に係る情報記録再生 置の一例(具体例1)における情報の記録/再生 の基本原理を説明するための概念図である。 具体例2における情報の記録/再生の基 原理を説明するための概念図である。 具体例2における情報の記録/再生の基 原理を説明するための概念図である。 具体例2における情報の記録/再生の基 原理を説明するための概念図である。 具体例3における情報の記録/再生の基 原理を説明するための概念図である。 記録層12を構成する第1化合物層12A及び 2化合物層12Bを交互に積層させた具体例を表 す模式図である。 具体例4における情報の記録/再生の基 原理を説明するための概念図である。 具体例4における情報の記録/再生の基 原理を説明するための概念図である。 具体例4における情報の記録/再生の基 原理を説明するための概念図である。 記録層12を構成する第1化合物層12A、第 2化合物層12B、及び絶縁層12Cを交互に積層さ た具体例を表す模式図である。 本発明の実施形態に係るプローブメモ リを表す模式図である。 本発明の実施形態に係るプローブメモ リを表す模式図である。 記録(セット動作)時の状態を説明する めの概念図である。 記録について表した模式図である。 再生について表した模式図である。 記録する状態を表した模式図である。 再生時の状態を表す模式図である。 本実施形態の記録層を備えたクロスポ イント型半導体メモリを表す模式図である。 図18に表した半導体メモリのメモリセ アレイ部の構造を表す模式図である。 メモリセル33の構造を例示する模式図 ある。 メモリセルアレイの他の具体例を表す 模式図である。 メモリセルアレイの他の具体例を表す 模式図である。 フラッシュメモリのメモリセルを表す 模式断面図である。 NANDセルユニットの回路図である。 本発明の実施形態に係るNANDセルユニ トの構造を表す模式図である。 通常のMISトランジスタを用いた具体例 を表す模式図である。 NAND型フラッシュメモリの変形例を表 模式図である。 NORセルユニットの回路図である。 本発明の実施形態に係るNORセルユニッ トの構造を表す模式図である。 2トランジスタ型セルユニットの回路 である。 本発明の実施形態に係る2トラセルユ ットの構造を表す模式図である。 通常のMISトランジスタを用いた具体例 を表す模式図である。 情報記録が完了した後のデータ領域内 のブロックを例示する模式図である。 第1実験例~第15実験例及び比較例の検 結果を表す表である。

符号の説明

 10  バッファ層
 11  電極層
 12  記録層
 12A  第1化合物、第1化合物層
 12B  第2化合物、第2化合物層
 12C  第3化合物、絶縁層
 13  電極層(保護層)
 13B  保護層
 14  メタル層
 15  ドライバ
 16  スキャナー
 20  基板
 21  電極層
 22  記録層
 23  基板
 24  プローブ
 25,26  マルチプレクスドライバ
 27  記録ビット
 30  半導体チップ
 31  デコーダ
 32  読み出し回路
 33  メモリセル
 34  ダイオード
 35  ヒータ層
 41  半導体基板
 41a  P型半導体基板
 41b  N型ウェル領域
 41c  P型ウェル領域
 42  拡散層
 43  ゲート絶縁層
 44  記録層
 45  コントロールゲート電極
 47  半導体層

 以下、本発明の実施形態について図面を参 しつつ説明する。なお、各図面中、同様の 成要素には同一の符号を付して詳細な説明 適宜省略する。 
 図1は、本発明の実施形態に係る情報記録再 生装置の一例(具体例1)における情報の記録/ 生の基本原理を説明するための概念図であ 。

 図1(a)は、記録部の断面図である。この記 録部は、記録層12の両側を電極層11及び電極 13により挟んだ構造を有する。電極層11、13 、記録層12に対して電気的な接続を得るため に設けられている。また、電極層11、13は、 えば、記録層12とその上下の構成要素との間 の元素の拡散などを防止するバリア層として の機能を併有していてもよい。さらに、記録 部には、バッファ層10が付設されている。

 図1に表した記録部において、記録層12内 小さな白丸はAイオン(例えば、拡散イオン) 、小さな黒丸はMイオン(例えば、母体イオ )を、大きな白丸はXイオン(例えば、陰イオ )を、小さな網掛けの丸は金属状態のAを表す 。

 記録層12は、電圧印加によってその抵抗 変化し得る、遷移金属の酸化物、ポリマー または固体電界質からなる。記録層12は、具 体的には、少なくとも2種類の陽イオン元素 有する化合物から構成することができる。 の場合、記録層12は、陽イオン元素の少なく ともいずれかは電子が不完全に満たされたd 道を有する遷移元素であり、隣接する陽イ ン元素間の最短距離は0.32nm以下である第1化 物を有する。この化合物からなる記録層12 用いることにより、比較的小さい消費電力 抵抗変化を生ずることが可能となる。この うな記録層12の材料としては、例えば以下が 挙げられる。

 例えば、A x M y X 4 (0.1≦x≦2.2、1.5≦y≦2)で表されるスピネル構 である。AとMは、互いに異なる元素であり 少なくともいずれかは電子が不完全に満た れたd軌道を有する遷移元素である。XはO(酸 )、N(窒素)よりなる群から選択された少なく ともいずれかを含む元素である。

 Aは、Na,K,Rb,Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Al,Ga,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,S,P, S,Se,Ge,Ag,Au,Cd,Sn,Sb,Pt,Pd,Hg,Tl,Pb,Bi のグループか ら選択される少なくとも1種類の元素である  
 また、Aは、Mg,Mn,Fe,Co,Ni,Zn,Cd,Hg のグループ ら選択される少なくとも1種類の元素とする が好ましい。これらの元素を使用すると、 晶構造を維持するためのイオン半径が最適 なり、イオン移動度についても十分に確保 きるからである。また、イオンの価数を2価 に制御することが容易となる。

 また、Aは、Zn,Cd,Hg から選択される少なく も1種類の元素とするのがさらに好ましい。 れらの元素を使用すると、陽イオンの移動 生じやすくなるためである。
 Mは、Al,Ga,Ti,Ge,Sn,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Nb,Ta,Mo,W,Re,Ru,Rh  のグループから選択される少なくとも1種類 の元素である。

 また、Mは、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Re,Fe,Co,Ni,Al ,Ga のグループから選択される少なくとも1種 類の元素とするのが好ましい。これらの元素 を使用すると、結晶内の電子状態をコントロ ールし易くなるためである。 
 また、Mは、Cr,Mo,W,Mn,Re のグループ(便宜上 グループ1」と称す)から選択される少なくと も1種類の遷移元素とするのがさらに好まし 。これらの元素を使用すると、母体構造が 定に保持されるため、安定にスイッチング 繰り返すことができるからである。

 また、Mは、Fe,Co,Ni,Al,Ga のグループから 択される少なくとも1種類の元素を、前記グ ープ1の遷移元素に加えて含むことがさらに 好ましい。グループ1の元素の一部の代わり これらの元素を使用すると、母体構造がよ 安定に保持されることによって、より安定 スイッチングを繰り返すことができるため ある。

 他には、例えば、A x M y X 2 (0.1≦x≦1.1、0.9≦y≦1.1)で表されるデラフォ イト構造である。AとMは、互いに異なる元素 であり、少なくともいずれかは電子が不完全 に満たされたd軌道を有する遷移元素である XはO(酸素)、N(窒素)よりなる群から選択され 少なくともいずれかを含む元素である。

 Aは、Li,Na,Be,Mg,Ca,Cu,Ag,Au,Pt,Pd,Rh,Hg,Tl のグル プから選択される少なくとも1種類の元素で る。 
 また、Aは、Mg,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Ag,Zn のグループ ら選択される少なくとも1種類の元素とする がさらに好ましい。これらの元素を使用す と、結晶構造を維持するためのイオン半径 最適となり、イオン移動度についても十分 確保できるからである。また、配位数を2に 制御することが容易となる。

 また、Aは、Cu,Ag のグループから選択され 少なくとも1種類の元素であることが好まし 。これらの元素を使用すると、容易にデラ ォサイト構造をとることができるからであ 。 
 Mは、Al,Ga,Sc,In,Y,La,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Tb,L u,Ti,Ge,Sn,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Nb,Ta,Mo,W,Ru,Rh,Pd のグル プから選択される少なくとも1種類の元素で る。 
 また、Mは、Y,Sc,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Al,Ga のグルー から選択される少なくとも1種類の元素とす るのがさらに好ましい。これらの元素を使用 すると、結晶内の電子状態をコントロールし 易くなるためである。

 また、Mは、Fe,Co,Al のグループから選択 れる少なくとも1種類の元素とすることがさ に好ましい。これらの元素を使用すると、 易にデラフォサイト構造をとることができ からである。

 他には、例えば、A x M y X 4 (0.5≦x≦1.1、0.7≦y≦1.1)で表されるウルフラ イト構造である。AとMは、互いに異なる元素 であり、少なくともいずれかは電子が不完全 に満たされたd軌道を有する遷移元素である XはO(酸素)、N(窒素)よりなる群から選択され 少なくともいずれかを含む元素である。

 Aは、Na,K,Rb,Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Al,Ga,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu ,Zn,Si,P,S,Se,Ge,Ag,Au,Cd,Sn,Sb,Pt,Pd,Hg,Tl,Pb,Bi のグル ープから選択される少なくとも1種類の元素 ある。 
 また、Aは、Ti,V, Mn,Fe,Co,Ni のグループから 択される少なくとも1種類の元素とするのが 好ましい。これらの元素を使用すると、結晶 構造を維持するためのイオン半径が最適とな り、イオン移動度についても十分に確保でき るからである。また、イオンの価数を2価に 御することが容易となる。

 また、Aは、Mn,Fe,Co,Ni のグループから選 される少なくとも1種類の元素とするのがさ に好ましい。これらの元素を使用すると、 易に抵抗変化を起こすことができるからで る。

 Mは、V,Nb,Ta,Cr,Mn,Mo,W のグループから選択さ る少なくとも1種類の元素である。 
 また、Mは、Cr,Mo,W のグループから選択され る少なくとも1種類の元素とするのがさらに ましい。これらの元素を使用すると、容易 ウルフラマイト構造をとることができるか である。

 他には、例えば、A x M y X 3 (0.5≦x≦1.1、0.9≦y≦1)で表されるイルメナイ 構造である。AとMは、互いに異なる元素で り、少なくともいずれかは電子が不完全に たされたd軌道を有する遷移元素である。Xは O(酸素)、N(窒素)よりなる群から選択された少 なくともいずれかを含む元素である。

 Aは、Na,K,Rb,Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Al,Ga,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Si,P ,S,Se,Ge,Ag,Au,Cd,Sn,Sb,Pt,Pd,Hg,Tl,Pb,Bi のグループ ら選択される少なくとも1種類の元素である  
 また、Aは、Mg,Mn,Fe,Co,Ni,Zn のグループから 択される少なくとも1種類の元素とするのが ましい。これらの元素を使用すると、結晶 造を維持するためのイオン半径が最適とな 、イオン移動度についても十分に確保でき からである。また、イオンの価数を2価に制 御することが容易となる。

 また、Aは、Fe, Niのグループから選択さ る少なくとも1種類の元素とするのがさらに ましい。これらの元素を使用すると、容易 イルメナイト構造をとることができるから ある。

 Mは、Al,Ga,Ti,Ge,Sn,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Nb,Ta,Mo,W,Re,Ru,Rh  のグループから選択される少なくとも1種類 の元素である。 
 また、Mは、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mn,Fe,Co,Ni のグル ープから選択される少なくとも1種類の元素 するのがさらに好ましい。これらの元素を 用すると、結晶内の電子状態をコントロー し易くなるためである。

 また、Mは、Ti, Zr, Hf, V のグループから 選択される少なくとも1種類の元素とするの 好ましい。これらの元素を使用すると、容 にイルメナイト構造をとることができるか である。

 なお、A x M y X 4 (0.1≦x≦2.2、1.5≦y≦2)で表されるスピネル構 と、A x M y X 2 (0.1≦x≦1.1、0.9≦y≦1.1)で表されるデラフォ イト構造と、A x M y X 4 (0.5≦x≦1.1、0.7≦y≦1.1)で表されるウルフラ イト構造と、A x M y X 3 (0.5≦x≦1.1、0.9≦y≦1)で表されるイルメナイ 構造と、のモル比x,yに関し、数値範囲の下 は、結晶構造を維持するために設定され、 の上限は、結晶内の電子状態をコントロー するために設定される。

 また、前述したように、電圧の印加によ てAイオンの拡散を容易に生ぜしめるために は、電極間を結ぶ方向にAイオン元素の層が 置しているようにすることができる。この めには、スピネル構造、イルメナイト構造 及びデラフォサイト構造では、結晶のc軸が 面と平行に配置していることが好ましく、 ルフラマイト構造では、結晶のa軸が膜面と 平行に配置していることが好ましい。

 以上のような記録層を所望の配向として使 することで、原理的には、Pbpsi(peta bit per  square inch)級の記録密度を実現することがで 、さらに、低消費電力化も達成できる。 
 上述した構造を有する材料によれば、図1に おいて、Aイオンが容易に第1化合物内を拡散 、かつ、Mイオンは第1化合物内を拡散しな ように、2種類の陽イオン元素が選択される この場合、拡散しないMイオンが第1化合物 結晶構造を保持するため、Aイオンの移動を 易に制御することが可能となる。このため このような構造を有する第1化合物を用いる ことにより、情報記録再生装置の記録層12の 抗値を容易に変化させることができる。

 ここで、本明細書においては、高抵抗状 をリセット(初期)状態とし、低抵抗状態を ット状態とする。ただし、これは便宜上の のであり、材料の選択や製造方法等によっ は、これと逆の場合、すなわち、低抵抗状 がリセット(初期)状態となり、高抵抗状態が セット状態となることもある。このような場 合も、本実施形態の範囲に含まれる。

 記録層12に電圧を印加し、記録層12内に電 位勾配を発生させると、Aイオンの一部が結 中を移動する。そこで、本実施形態では、 録層12の初期状態を絶縁体(高抵抗状態相)と 、電位勾配により記録層12を相変化させ、 録層12に導電性を持たせる(低抵抗状態相)こ により情報の記録を行う。

 まず、例えば、電極層13の電位が電極層11の 電位よりも相対的に低い状態を作る。電極層 11を固定電位(例えば、接地電位)とすれば、 極層13に負の電位を与えればよい。 
 この時、記録層12内のAイオンの一部が電極 13(陰極)側に移動し、記録層(結晶)12内のAイ ンの数がXイオンに対して相対的に減少する 。電極層13側に移動したAイオンは、電極層13 ら電子を受け取り、メタルであるA原子とし て析出してメタル層14を形成する。したがっ 、電極層13に近い領域では、Aイオンが還元 れてメタル的に振舞うので、その電気抵抗 大きく減少する。

 あるいは、例えばスピネル構造のように 録層12の結晶構造においてAイオンが占め得 空隙サイトがある場合には、電極層13側に 動したAイオンは電極層13側の空隙サイトを めてもよい。この場合にも、局所的な電荷 中性条件を満たすために、Aイオンは電極層1 3から電子を受け取り、メタル的に振舞う。

 記録層12の内部では、Xイオンが過剰とな 、結果的に、記録層12内に残されたAイオン るいはMイオンの価数を上昇させる。このと き、その価数が上がったときに電気抵抗が減 少するようにAイオンあるいはMイオンを選択 ると、メタル層12A、記録層12内ともにAイオ の移動により電気抵抗が減少するので、記 層全体として低抵抗状態相へと相変化する つまり、情報記録(セット動作)が完了する

 情報再生に関しては、例えば電圧パルスを 録層12に印加し、記録層12の抵抗値を検出す ることにより容易に行える。ただし、電圧パ ルスの振幅は、Aイオンの移動が生じない程 の微小な値であることが必要である。 
 以上説明した過程は、一種の電気分解であ 、電極層(陽極)11側では電気化学的酸化によ り酸化剤が生じ、電極層(陰極)13側では電気 学的還元により還元剤が生じた、と考える とができる。 
 このため、低抵抗状態相を高抵抗状態相に すには、例えば、記録層12を大電流パルス よりジュール加熱して、記録層12の酸化還元 反応を促進させればよい。すなわち、大電流 パルスによるジュール熱のため、Aイオンは 的により安定な結晶構造12内へと戻り、初期 の高抵抗状態相が現れる(リセット動作)。

 あるいは、セット動作時とは逆向きの電 パルスを印加してもリセット動作を行うこ ができる。つまり、セット時と同様に電極 11を固定電位(例えば、接地電位)とすれば、 電極層13に正の電位を与えればよい。すると 電極層13近傍のA原子は電極層13に電子を与 Aイオンとなった後、記録層12内の電位勾配 より結晶構造12内に戻っていく。これにより 、価数が上昇していた一部のAイオンは、そ 価数が初期と同じ値に減少するため、初期 高抵抗状態相へと変化する。

 ただし、この動作原理を実用化するには 室温でリセット動作が生じないこと(十分に 長いリテンション時間の確保)と、リセット 作の消費電力が十分に小さいこととを確認 なければならない。

 前者に対しては、Aイオンの配位数を小さく (理想的には2以下に)する、または、その価数 を2以上にする、もしくは、Xイオンの価数を げる(理想的には3以上にする)ことで対応で る。 
 仮に、AイオンがLiイオンのような1価である と、セット状態において十分なイオンの移動 抵抗が得られず、即座に、Aイオン元素は、 タル層12Aから記録層12内に戻ってしまう。言 い換えれば、十分に長いリテンション時間が 得られないということになる。また、Aイオ が3価以上であると、セット動作に必要とさ る電圧が大きくなるため、結晶の崩壊を引 起こす可能性がある。したがって、Aイオン の価数を2価にすることが、情報記録再生装 としては好ましいことになる。

 また、後者に対しては、結晶破壊を引き こさないようにするために、Aイオンの価数 を2以下にするとともに、記録層(結晶)12内をA イオンが移動できるように、Aイオンのイオ 半径を最適化し、移動パスが存在する構造 用いることにより対応できる。そのような 録層12としては、前述したような元素及び結 晶構造を採用すればよい。

 デラフォサイト構造のように配位数が小 い陽イオンをAイオンとして用いる場合には (デラフォサイト構造の場合、Aイオンの配位 は2)、Aイオンの価数を+1価とし、クーロン 発力を減少させることができる。これによ 、Aイオンの拡散が容易となり、リセット動 の消費電力を低減することができる。また 配位数が小さいため、拡散した後の状態を 定に保持することが可能となる。

 次に、各原子の混合比の最適値について説 する。 
 Aイオンが占め得る空隙サイトがある場合や 、また、本来Mイオンが占めるサイトをAイオ が占めることが可能な場合には、Aイオンの 混合比には若干の任意性がある。さらに、X オンの過剰/欠損がある場合にもAイオン、ま たはMイオンの混合比は定比組成のそれから れることになる。したがって、Aイオン、Mイ オンの混合比には幅を持たせてある。実際に は、各状態の抵抗、あるいはAイオンの拡散 数が最適値になるように、Aイオンの混合比 最適化することが可能である。

 Aイオン、Mイオンの混合比の下限は、所望 結晶構造を有する第1化合物を容易に作製で るように設定した。また、Mイオンのサイト を占めるイオンの総量が少なすぎると、Aイ ンが引き抜かれた後の構造を安定に保持す のが困難になる。 
 以上説明したように、本実施形態によれば 上述した材料を記録層12に使用することに り陽イオンの拡散を容易にすることができ 抵抗変化に必要な消費電力を小さくし、熱 定性を高めることができる。また、結晶構 内の陽イオン元素の拡散のみを利用して抵 変化を生ぜしめるため、動作特性の制御が 易で、セル間の動作特性のばらつきが小さ 情報記録再生装置を実現できる。

 また、結晶構造内部と結晶粒の周縁部に いては、イオンの移動のしやすさが異なる め、結晶構造内における拡散イオンの移動 利用し、異なる位置での記録消去特性を均 にするためには、記録層は多結晶状態、あ いは単結晶状態からなることが好ましい。 録層が多結晶状態にあるときにおいては、 膜のしやすさを考慮すると、結晶粒の記録 断面方向のサイズは、単一のピークをもつ 布に従い、その平均は3nm以上であることが ましい。結晶粒サイズの平均が5nm以上であ と、成膜がより容易であるため、さらに好 しく、10nm以上であると、異なる位置での記 録消去特性をさらに均一化させることができ るため、より好ましい。

 ところで、セット動作後の電極層(陽極)11側 には酸化剤が生じるため、電極層11には、酸 され難い材料(例えば、電気伝導性窒化物、 電気伝導性酸化物など)から構成するのが好 しい。 
 また、電極層11は、イオン伝導性を有しな 材料から構成するのがよい。 
 そのような材料としては、以下に示される のがあり、その中でも、電気伝導率の良さ どを加味した総合的性能の点から、LaNiO 3 は、最も望ましい材料ということができる。

 ・ MN 
 Mは、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta のグループから選択され る少なくとも1種類の元素である。Nは、窒素 ある。

 ・ MO x  
 Mは、Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zr,Nb,Mo,Ru,Rh,Pd,Ag,Hf,Ta,W ,Re,Ir,Os,Pt のグループから選択される少なく も1種類の元素である。モル比xは、1≦x≦4 満たすものとする。

 ・ AMO 3  
 Aは、La,K,Ca,Sr,Ba,Ln(ランタノイド) のグルー から選択される少なくとも1種類の元素であ る。 
 Mは、Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zr,Nb,Mo,Ru,Rh,Pd,Ag,Hf,Ta,W ,Re,Ir,Os,Pt のグループから選択される少なく も1種類の元素である。 
 Oは、酸素である。

 ・ A 2 MO 4  
 Aは、K,Ca,Sr,Ba,Ln(ランタノイド) のグループ ら選択される少なくとも1種類の元素である 。 
 Mは、Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zr,Nb,Mo,Ru,Rh,Pd,Ag,Hf,Ta,W ,Re,Ir,Os,Pt のグループから選択される少なく も1種類の元素である。 
 Oは、酸素である。

 また、セット動作後の保護層(陰極)13側には 還元剤が生じるため、保護層(電極層)13とし は、記録層12が大気と反応することを防止す る機能を持っていることが望ましい。 
 そのような材料としては、例えば、アモル ァスカーボン、ダイヤモンドライクカーボ 、SnO 2 などの半導体がある。

 電極層13は、記録層12を保護する保護層とし て機能させてもよいし、電極層13の代わりに 護層を設けてもよい。この場合、保護層は 絶縁体でもよいし、導電体でもよい。 
 また、リセット動作において記録層12の加 を効率よく行うために、陰極側、ここでは 電極層13側に、ヒータ層(抵抗率が約10 -5 ωcm以上の材料)を設けてもよい。

 次に、本発明の実施形態に係る情報記録再 装置の別の一例(具体例2)について、図2~図4 参照しつつ説明する。 
 図2は、具体例2における情報の記録/再生の 本原理を説明するための概念図である。

 図2(a)及び図2(b)は、記録部の断面図であ 。この記録部は、記録層12の両側を電極層11 び電極層13により挟んだ構造を有する。記 層12は、第1化合物を含む第1化合物層12Aと、 1化合物層12Aと電極層13との間に設けられた 縁層12Cと、を有する。

 図2に表した記録部において、記録層12内 小さな白丸はAイオン(例えば、拡散イオン) 、小さな黒丸はMイオン(例えば、母体イオ )を、小さな斜線の丸はM3イオン(例えば、母 イオン)を、大きな白丸はXイオンまたはX3イ オン(例えば、陰イオン)を、小さな網掛けの は金属状態のAを表す。

 第1化合物層12Aは、前述した第1化合物を む。ここで、第1化合物の構成要素である拡 イオン(Aイオン)の元素は、周期表の1族~4族 元素及び12族~17族の元素から選択される元 である。以下、周期表の1族~4族の元素及び12 族~17族の元素、並びにこれらから選択される 元素を、「特定族元素」と呼ぶ。第1化合物 12Aは、外部から電場を印加することによっ イオンを移動させることができる、いわゆ 固体電解質である。

 絶縁層12Cは、特定族元素からなる第3化合 物12Cによって構成される。第3化合物12Cも、 部から電場を印加することによってイオン 移動させることができる固体電解質である 第3化合物12C中の特定族元素の少なくとも1種 は、第1化合物12A中のAイオン元素と同じ価数 有しかつAイオン元素のイオン半径と同じか またはこれに近い(例えば、±20%程度の範囲の )イオン半径を有する元素である。具体的に 、Aイオン元素と同じ元素等である。

 このような第3化合物12Cの材料としては、(i) AX、(ii)AMX 2 、(iii)AM 2 X 4 、(iv)A 2 MX 4 、(v)AMX 3 、(vi)AMX 4 のうちから選択される材料が挙げられる。

 ただし、Aは、Na,K,Rb,Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Al,Ga,Zn,Cd グループから選択される少なくとも1種類の 素であり、Mは、B,Al,Ga,In,Si,Ge,Sn,Ti,Zr,Hf,As,Sb,P b,Bi,Sc,Y,Ln(ランタノイド)のグループから選択 れる少なくとも1種類の元素である。AとMは いに異なる元素である。Xは、F,O,Nのグルー から選択される少なくとも1種類の元素であ る。

 Aは、Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,Cdから選択される少な とも1種類の元素であることが好ましく、Mg, Znから選択される少なくとも1種類の元素であ ることがより好ましく、Znであることが結晶 促進効果を有するため最も好ましい。またM は、Al,Gaから選択される少なくとも1種類の元 素であることが好ましい。これらの元素を使 用することにより、結晶性が高く酸化還元に 対する耐性も高い材料を得ることができる。

 また、第3化合物12Cに使用する材料には、ス ピネル構造、イルメナイト構造、ウルフラマ イト構造、α-NaFeO 2 構造、LiMoN 2 構造、閃亜鉛鉱型構造、岩塩型構造、蛍石構 造よりなる群から選択された少なくともいず れかを含む構造を有する材料を用いることが できる。

 また、スイッチング時において、拡散イ ン元素が移動する第1化合物12A内の通路と第 3化合物12C内の通路とが連続的に繋がってい ことが好ましい。さらに、これら第1化合物1 2A及び第3化合物12Cの骨格構造(結晶構造及び 晶方位)が同等であることが最も好ましい。

 以上のような材料を記録層12に使用する とで、記録密度に関しては、原理的にはPbpsi (Peta bit per square inch)級を実現でき、さらな る低消費電力化が達成できる。

 次に、絶縁層12Cの性質及び機能について説 する。 
 絶縁層12C(第3化合物12C)は、消費電力の低減 のために設けられるものである。絶縁層12C 、(1)Aイオン元素を通過させ、動作を可能な らしめる、(2)動作前後で抵抗状態は不変で、 安定動作を可能ならしめる、及び(3)抵抗率が 高く、効率的な加熱に資するとともにオン電 流(低抵抗状態における電流)を低減化する、 いう性質及び機能を有する。以下、絶縁層1 2Cが有するこれらの性質について説明する。

 まず、絶縁層12Cは、(1)Aイオン元素を通過さ せ、動作を可能ならしめる、という性質を有 することについて説明する。 
 本具体例の情報記録再生装置も、具体例1の 情報記録再生装置と同様に、記録層12におい 拡散イオン(Aイオン)元素が移動し、記録層1 2の抵抗状態(高抵抗状態及び低抵抗状態)を変 化させ、これにより各種動作(スイッチング) 行っている。具体的には、例えばセット動 時では、Aイオン元素が電極層13側に移動し メタル層14が形成されるとともに、第1化合 12Aの構成元素の価数が変化して第1化合物層 12Aの抵抗状態が変化することにより、セット 動作が行われている。このため、電極層13と 1化合物層12Aとの間にある絶縁層12Cは、Aイ ン元素を通過させる性質を有することが求 られる。

 この課題は、第3化合物12Cを構成する特定 族元素の少なくとも1種を適宜選択すること よって解消される。具体的には、第3化合物1 2Cを構成する特定族元素の少なくとも1種を、 第1化合物12A中のAイオン元素と同じ価数を有 かつAイオン元素のイオン半径と同じかまた はこれに近い(例えば、±20%程度の範囲の)イ ン半径を有する元素(例えば、Aイオン元素と 同じ元素)にすることである。以下、この適 選択された第3化合物12C中の特定族元素を、 Dcイオン元素」(第3化合物12C中の拡散(diffusio n)イオン元素、の意)ということがある。

 これにより、Dcイオン元素はAイオン元素 同様に電場印加により拡散することが可能 なるとともに、第1化合物層12Aに由来するA オン元素と、絶縁層12Cに由来するDcイオン元 素とは互いに置換可能となる。この結果、A オン元素は動作時に絶縁層12Cを通過するこ が可能となる。

 すなわち、図2に表したように、セット動 作時においては、絶縁層12C内のDcイオン元素 電極層13側に移動し、その結果生じた空間 第1化合物層12Aから移動してきたAイオン元素 が順次通り抜ける。セット動作完了時には、 絶縁層12Cの第3化合物12Cは、Dcイオン元素の全 部または一部が第1化合物層12Aから移動して たAイオン元素によって置換された構造とな 。

 逆にリセット動作時においては、図2に表 したように、絶縁層12C内の拡散イオン元素(A オン元素またはDcイオン元素)が電極層11側 移動し、その結果生じた空間をメタル層14か ら移動してきた拡散イオン元素が順次通り抜 ける。リセット動作完了時には、絶縁層12Cの 第3化合物12Cは、既存拡散イオン元素の全部 たは一部がメタル層14から移動してきた拡散 イオン元素によって置換された構造となる。

 次に、絶縁層12Cは、(2)動作前後で抵抗状態 不変で、安定動作を可能ならしめる、とい 性質を有することについて説明する。 
 複数の層からなる記録層12を用いる場合、 好な動作特性を確保する観点から、セット 作及びリセット動作においては、1つの層の が抵抗変化し(スイッチングを担い)、他の は抵抗変化しない(スイッチングを担わない) ことが望ましい。あるいは、複数の層が抵抗 変化する場合、すなわち、複数の層がスイッ チングに寄与する場合は、これら複数の層は 同時に同方向に抵抗変化することが望ましい 。

 仮に、複数の層が抵抗変化し得る場合に、 場を印加した際に一部の層のみが抵抗変化 他の層が抵抗変化しないとすると、セット の動作が完了しないことがあり得る。 
 あるいは、例えば、あるセルに電場を印加 て低抵抗状態にした後に、当該セルに隣接 るセルに逆方向の電場を印加して消去動作 行う場合に、当該セルに低電圧の逆方向電 が印加される可能性があるところ、かかる 合において、一部の層のみが抵抗変化する 能性がある。これにより、意図されない動 モード、すなわち誤った書込みや書換えな (これを「ディスターブ」という)が生じ得 。

 この課題は、以下に示すように、絶縁層12C 抵抗状態を動作前後で変化しないように構 し、絶縁層12Cはスイッチングに寄与しない うにすることによって解消される。 
 本具体例において、第3化合物12Cは、特定族 元素から構成される。ここで、特定族元素、 すなわち周期表の1族~4族の元素及び12族~17族 元素は、固体電解質において、イオンの出 り時に比較的価数が変化しにくいという性 を有する。このため、第3化合物12Cを構成す る元素は、価数が変化しにくい。また、第3 合物12Cに外部から進入し得る拡散イオン元 (Aイオン元素)は、特定族元素であるととも 、前述したように第3化合物12Cの構成元素で るDcイオン元素と同じ価数を有しかつDcイオ ン元素と同等のイオン半径を有する。

 このため、各種動作時において、すなわ 、拡散イオン元素が移動する時において、 3化合物12Cの構造(結晶状態等)は変化せず、 れにより、第3化合物12Cは、常に一定の抵抗 状態を保つことが可能になる。

 このように構成することにより、絶縁層1 2Cはスイッチングに寄与しないこととなり、 イッチングは専ら第1化合物層12Aによっての み行われることとなる。この結果、第1化合 12Aと第3化合物12Cのいずれか一方のみが抵抗 化を生じるということ(意図せざる抵抗変化 )はなくなり、書込み不完了やディスターブ どが発生する可能性が低減し、もって安定 作が可能となる。

 次に、絶縁層12Cは、(3)抵抗率が高く、効 的な加熱に資するとともにオン電流(低抵抗 状態における電流)を低減化する、という性 を有することについて説明する。

 前述したように、絶縁層12Cは、消費電力 低減化のために設けられるものである。具 的には、(イ)リセット動作時において、絶 層12Cの機能により記録層12を効率的にジュー ル加熱するとともに、(ロ)記録層12のオン抵 値(低抵抗状態における抵抗値)を増大せしめ オン電流(低抵抗状態における電流)を低減化 、もって消費電力の低減化を図らんとする のである。

 まず、(イ)リセット動作時において、絶縁 12Cの機能により記録層12を効率的にジュール 加熱することについて説明する。 
 最初に、スイッチングを担う構成要素につ て論じる。記録層12を高抵抗状態から低抵 状態に変化させるためには、記録層12内にお いて電極層11と電極層13とを繋ぐ電荷の移動 路(パス)が形成される必要がある。一方、記 録層12を低抵抗状態から高抵抗状態に変化さ るためには、この電荷移動通路を遮断すれ よい。例えば、記録層12において、一部の 面の抵抗状態だけを高抵抗状態に変化させ ばよい。記録層12が複数の層から構成されて いる場合では、一部の層のみを高抵抗状態に 変化させればよい。ここで、「主面」とは、 電極層11、記録層12、電極層13等の積層方向( 2において上下方向)に対して垂直な面をいう 。

 すなわち、スイッチング、特にリセット( 消去)動作を行うに際しては、必ずしも記録 12全体の抵抗状態を変化させる必要はなく、 消費電力低減化を考慮すれば、例えば記録層 12の一部の主面のみの抵抗状態を変化させる が望ましい。

 本具体例に当てはめれば、次の通りである  
 まず、図2(a)の初期状態では、第1化合物層12 Aの全体が高抵抗状態である。セット動作時 は、記録層12に電場が印加され、拡散イオン 元素が移動することにより、具体的1と同様 機構で、図2(b)に表すように第1化合物層12Aは 低抵抗状態になる。その後リセット動作を行 う際には、上記考察から、記録層12の一部の 面のみを高抵抗状態にするのが望ましい。 た、膜厚の小さいメタル層14を重点的に加 して、拡散イオン元素を効率的に電極層11側 に移動させるのが好ましい。

 この課題は、抵抗率の高い絶縁層12Cを第1化 合物層12Aと電極層13との間に導入することに って解消される。 
 図3は、具体例2における情報の記録/再生の 本原理を説明するための概念図である。図3 (a)及び図3(b)は、記録部の断面図である。 
 図3(a)に表すセット状態の記録部をジュール 加熱し、図3(b)に表すリセット状態に変換さ る場合について説明する。

 ジュール加熱の際、絶縁層12Cの抵抗率が いことから、絶縁層12C及びその近傍が重点 に加熱される。このため、絶縁層12Cに接す メタル層14は比較的容易に加熱され、拡散 オン元素(Aイオン元素またはDcイオン元素)は 電極層11側に移動しやすくなる。また、絶縁 12Cは加熱されているため、拡散イオン元素 絶縁層12C内を通過することが可能となる。 らに、第1化合物層12Aにおいて、その一部の 領域、すなわち絶縁層12Cとの界面付近の領域 が加熱されることにより、拡散イオン元素は この領域に移動することが可能となる。これ らにより、記録層12は、一部の主面、すなわ 、第1化合物層12Aの絶縁層12Cとの界面付近の 領域、のみが高抵抗状態である構造となる。

 この結果、記録層12は効率的に高抵抗状態 され、図3(b)に表すように、リセット動作は 了する。 
 絶縁層12C(第3化合物12C)の抵抗率は、低抵抗 態(オン状態)の第1化合物12Aの抵抗率より高 。例えば、10 3 ωcm以上とすることができる。

 ここで、絶縁層12Cの抵抗率は高いものの、 縁層12Cの膜厚を適宜調節することにより、 縁層12Cの抵抗値を任意の値にすることがで る。この場合、絶縁層12Cの電気抵抗は、殆 トンネル抵抗が担うと考えられる。これに り、記録層12を低抵抗状態(オン状態)にする ことが可能になるとともに、オン状態におい て適切な抵抗値が確保され、もって効率的な 加熱が可能となる。 
 絶縁層12Cの好ましい膜厚としては、例えば 10nm以下が挙げられる。

 次に、再度セット動作を行う場合について 明する。 
 図4は、具体例2における情報の記録/再生の 本原理を説明するための概念図である。図4 (a)及び図4(b)は、記録部の断面図である。 
 図4(a)に表すリセット状態の記録部に電場を 印加し、図4(b)に表すセット状態に変換させ 場合について説明する。

 図4(a)に表すように電極層13側が陰極となる うに電場が印加されると、絶縁層12Cに存在 る拡散イオン元素(Aイオン元素またはDcイオ ン元素)は、電極層13側に移動し、メタル層14 析出する。また、第1化合物層12Aの絶縁層12C との界面付近に存在する拡散イオン元素も、 電極層13側に移動する。これにより、第1化合 物層12Aの全領域が低抵抗状態となる。 
 この結果、記録層12は低抵抗状態となり、 4(b)に表すように、セット動作は完了する。

 以上のように、抵抗率の高い絶縁層12Cを 1化合物12Aと電極層13との間に導入すること より、リセット動作時において記録層12が 率的にジュール加熱され、これにより消費 力の低減化が図られる。

 スイッチングに寄与する構成要素につい は、1回目の動作(セット動作)においては全 の拡散イオン元素がスイッチングに寄与す のに対し、2回目以降の動作(リセット動作 びセット動作)においては絶縁層12C及びその 傍の拡散イオン元素のみがスイッチングに 与することとなる。本具体例に係る情報記 再生装置は、必要最小限の構成要素のみを 率的に移動させることによってスイッチン を行い、消費電力の低減化を図っている。

 次に、(ロ)記録層12のオン抵抗値(低抵抗状 における抵抗値)を増大せしめオン電流(低抵 抗状態における電流)を低減化することにつ て説明する。 
 記録層12に適切な抵抗値を有する絶縁層12C 導入することにより、記録層12におけるオン 状態(低抵抗状態)の抵抗値は増大する。この め、オン状態において、記録層12を流れる 流は増大する。これにより、消費電力の低 化が図られる。

 従来、オン状態の抵抗値(オン抵抗値)を 望の値に制御するためには、スイッチング 流を制御する方法やパルス幅を制御する方 があったが、これらの方法ではオン抵抗値 上げるのに限界があった。本具体例によれ 、オン状態(選択状態)とオフ状態(非選択状 )とを通じて不変の抵抗率を有する絶縁層12C( 第3化合物12C)を導入することにより、より容 にオン抵抗値を所望の値に設定することが き、上記(イ)及び(ロ)の効果を発現させるこ とが可能となる。

 以上から、本具体例によれば、適切な膜 を有する高抵抗率の絶縁層12Cを導入するこ により、スイッチングが阻害されることな 、オン抵抗値を適切な値に設定し、リセッ 動作時において記録層12が効率的にジュー 加熱されることが可能となり、もって消費 力の低減化が図られる。また、記録層12のオ ン状態の抵抗が増大し、オン電流が低減する 。これらにより、セル当たり極めて小さな消 費電力で各種動作を行うことが可能となる。

 次に、記録層12のさらに別の具体例(具体例3 )について、図5及び図6を参照しつつ説明する 。 
 図5は、具体例3における情報の記録/再生の 本原理を説明するための概念図である。  
 この記録部も、記録層12の両側を電極層11、 13により挟んだ構造を有する。

 記録層12は、電極層11側に配置され、A x M1 y X1 z で表記される第1化合物12Aと、電極層13側に配 置され、少なくとも1種類の遷移元素を有し 第1化合物12AのAイオン元素を収容できる空隙 サイトを有する第2化合物12Bと、を有する。

 図5に表した記録部において、第1化合物層12 A内の小さな白丸はAイオン(例えば、拡散イオ ン)を、小さな太線の白丸はM1イオン(例えば 母体イオン)を、大きな白丸はX1イオン(例え 、陰イオン)を表す。また、図5に表した記 部において、第2化合物層12B内の小さな黒丸 M2イオン(例えば、母体イオン)を、大きな白 丸はX2イオン(例えば、陰イオン)を表す。 
 第2化合物12Bは、Aイオンが収容される空隙 イトを□で表すとすると、例えば以下のよ な化学式で表されるものが挙げられる。空 サイトの一部は、第2化合物12Bの成膜を容易 するために、予め他のイオンによって占有 れていてもよい。

 ・ □ x M2X2 2  
 M2は、Ti,Ge,Sn,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Nb,Ta,Mo,W,Re,Ru,Rh の グループから選択される少なくとも1種類の 素である。 
 X2は、O,S,Se,N,Cl,Br,I のグループから選択さ る少なくとも1種類の元素である。モル比xは 、0.3≦x≦1を満たすものとする。

 ・ □ x M2X2 3  
 M2は、Ti,Ge,Sn,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Nb,Ta,Mo,W,Re,Ru,Rh の グループから選択される少なくとも1種類の 素である。 
 X2は、O,S,Se,N,Cl,Br,I のグループから選択さ る少なくとも1種類の元素である。モル比xは 、1≦x≦2を満たすものとする。

 ・ □ x M2X2 4  
 M2は、Ti,Ge,Sn,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Nb,Ta,Mo,W,Re,Ru,Rh の グループから選択される少なくとも1種類の 素である。 
 X2は、O,S,Se,N,Cl,Br,I のグループから選択さ る少なくとも1種類の元素である。モル比xは 、1≦x≦2を満たすものとする。

 ・ □ x M2PO z  
 M2は、Ti,Ge,Sn,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Nb,Ta,Mo,W,Re,Ru,Rh の グループから選択される少なくとも1種類の 素である。 
 Pはリン元素であり、Oは酸素元素である。 ル比xは、0.3≦x≦3、4≦z≦6を満たすものと る。

 ・ □ x M2O 5  
 M2は、V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Nb,Ta,Mo,W,Re,Ru,Rh のグルー プから選択される少なくとも1種類の元素で る。 
 Oは酸素元素である。モル比xは、0.3≦x≦2を 満たすものとする。

 第2化合物は、ホランダイト構造、ラムスデ ライト構造、アナターゼ構造、ブルッカイト 構造、パイロルース構造、ReO 3 構造、MoO 1.5 PO 4 構造、TiO 0.5 PO 4 構造、FePO 4 構造、βMnO 2 構造、γMnO 2 構造、λMnO 2 構造、スピネル構造、イルメナイト構造より なる群から選択された少なくともいずれかを 含む構造を有していることが好ましい。特に 、第1化合物と同一構造のイルメナイト構造 有していることが最も望ましい。

 また、第1化合物層12Aの電子のフェルミ準 位は、第2化合物層12Bの電子のフェルミ準位 りも低くする。これは、記録層12の状態に可 逆性を持たせるために望ましい条件のひとつ である。ここで、フェルミ準位については、 いずれも真空準位から測定した値とする。

 このように、第1化合物層12AのAイオンを 容する空隙サイトを有する第2化合物からな 第2化合物層12Bを、第1化合物層12Aに接して けると、拡散したAイオン元素が安定に存在 やすくなる。このような材料の組み合わせ 記録層に使用し、第1化合物層12Aと第2化合 層12Bと間のイオンの授受を容易にすること より、抵抗変化に必要な消費電力を小さく 、熱安定性を高めることができる。また、 のような材料の組み合わせを記録層に使用 ることで、原理的には、Pbpsi(peta bit per squa re inch)級の記録密度を実現することができ、 さらに、低消費電力化も達成できる。

 なお、図6に例示したように、記録層12を構 する第1化合物層12A及び第2化合物層12Bは、 れぞれ、2層以上の複数層を交互に積層して よい。 
 このような記録部において、第1化合物層12A が陽極側、第2化合物層12Bが陰極側になるよ に電極層11、13に電位を与え、記録層12内に 位勾配を発生させると、第1化合物を含む第1 化合物層12A内のAイオン元素の一部が結晶中 移動し、陰極側の第2化合物層12B内に進入す 。

 第2化合物層12Bの結晶中には、Aイオンの空 サイトがあるため、第1化合物を含む第1化合 物層12Aから移動してきたAイオンは、この空 サイトに収まる。 
 したがって、第2化合物層12B内では、Aイオ あるいはM2イオンの一部の価数が減少し、第 1化合物層12A内では、AイオンあるいはM1イオ の価数が増加する。したがって、Aイオン、 るいはM1イオンの少なくとも一方は、その 数が容易に変化できるように、電子が不完 に満たされたd軌道を有する遷移元素である 要がある。

 つまり、初期状態(リセット状態)におい 、第1化合物層12A及び第2化合物層12Bが高抵抗 状態(絶縁体)であると仮定すれば、第1化合物 層12A内のAイオンの一部が第2化合物層12B内に 動することにより、第1化合物層12A及び第2 合物層12Bの結晶中に電導キャリアが発生し 両者は、共に、電気伝導性を有するように る。

 このように、電流/電圧パルスを記録層12に えることにより、記録層12の電気抵抗値が さくなるため、セット動作(記録)が実現され る。 
 この時、同時に、第1化合物層12Aから第2化 物層12Bに向かって電子も移動するが、第2化 物層12Bの電子のフェルミ準位は、第1化合物 層12Aの電子のフェルミ準位よりも高いため、 記録層12のトータルエネルギーとしては、上 する。 
 また、セット動作が完了した後も、このよ な高いエネルギー状態が継続されるため、 録層12は、自然に、セット状態(低抵抗状態) からリセット状態(高抵抗状態)に戻ってしま 可能性がある。

 しかし、本実施形態の例に係る記録層12を いれば、このような懸念は回避される。す わち、セット状態を維持し続けることがで る。 
 これは、いわゆるイオンの移動抵抗が働い いるためである。前述のように、Aイオンの 配位数を小さく(理想的には2以下に)する、あ るいはその価数を2価にすることが、情報記 再生装置としては好ましい。

 ところで、セット動作が完了した後には、 極側に酸化剤が生成されるため、この場合 も、電極層11としては、酸化され難く、イ ン伝導性を有しない材料(例えば、電気伝導 酸化物)を用いることが望ましい。その好適 な例は前述の通りである。 
 リセット動作(消去)は、記録層12を加熱して 、上述の第2化合物層12Bの空隙サイト内に収 されたAイオンが第1化合物層12A内に戻る、と いう現象を促進してやればよい。

 具体的には、記録層12に大電流パルスを えることにより発生するジュール熱とその 留熱とを利用すれば、容易に、記録層12を元 の高抵抗状態(絶縁体)に戻すことができる。 録層12は低抵抗であるため、低電位差であ ても大電流が流れることになる。

 このように、大電流パルスを記録層12に えることにより、記録層12の電気抵抗値が大 きくなるため、リセット動作(消去)が実現さ る。あるいは、セット時とは逆向きの電場 印加することによってもリセット動作は可 である。

 ここで、低消費電力を実現するには、結晶 壊を引き起こすことなく、結晶内をAイオン が移動できるように、Aイオンのイオン半径 最適化し、移動パスが存在する構造を用い ことが重要になる。 
 第2化合物12Bとして、上述したような材料及 び結晶構造を用いた場合においては、このよ うな条件を満たすことが可能となり、低消費 電力を実現するのに有効となる。

 また、図1に表した記録部のような構造を有 する、A x M y X 4 (0.1≦x≦2.2、1.5≦y≦2)で表されるスピネル構 、A x M y X 2 (0.1≦x≦1.1、0.9≦y≦1.1)で表されるデラフォ イト構造、A x M y X 4 (0.5≦x≦1.1、0.7≦y≦1.1)で表されるウルフラ イト構造、またはA x M y X 3 (0.5≦x≦1.1、0.9≦y≦1)で表されるイルメナイ 構造、のいずれかの化合物内では、Aイオン の移動が容易に生じるので、これら構造を有 する化合物は、第1化合物として用いるのに 適である。

 特に、その移動パスが電極間を結ぶ方向 配置するように、第1化合物12Aが配向してい る場合には、第1化合物12A内でのAイオンの移 が容易となるので、好ましい。さらに、第1 化合物12Aの格子定数と第2化合物12Bの格子定 が一致する場合においては、空隙サイトが り、成膜しにくい材料を用いた場合におい も、容易に配向を制御して成膜することが 能となるので好ましい。

 次に、第2化合物層12Bの膜厚の好適な範囲に ついて説明する。 
 空隙サイトによるAイオン収納の効果を得る ためには、第2化合物12Bの膜厚は、1nm以上の 厚であることが好ましい。 
 一方、第2化合物12Bの空隙サイト数が第1化 物12A内のAイオン数よりも大きくなると、第2 化合物12Bの抵抗変化効果が小さくなるため、 第2化合物12B内の空隙サイト数は、同じ断面 内にある第1化合物12A内のAイオン数と同じか 、それより少ないことが好ましい。

 第1化合物12A内のAイオンの密度と第2化合物1 2B内の空隙サイトの密度は、概ね同じである め、第2化合物12Bの膜厚は、第1化合物12Aの 厚と同程度か、それより小さいことが好ま い。 
 陰極側には、一般に、リセット動作をさら 促進するためのヒータ層(抵抗率約10 -5 ωcm以上の材料)を設けてもよい。

 プローブメモリでは、陰極側に還元性の材 が析出するため、大気との反応を防ぐため 、表面保護層を設けることが好ましい。 
 ヒータ層と表面保護層を、両方の機能を持 1つの材料で構成することも可能である。例 えば、アモルファスカーボン、ダイヤモンド ライクカーボン、SnO 2 などの半導体は、ヒータ機能と表面保護機能 とを併せ持っている。

 再生に関しては、電流パルスを記録層12に し、記録層12の抵抗値を検出することにより 容易に行える。 
 ただし、電流パルスは、記録層12を構成す 材料が抵抗変化を起こさない程度の微小な であることが必要である。

 次に、記録層12のさらに別の具体例(具体例4 )について、図7~図10を参照しつつ説明する。
 図7は、具体例4における情報の記録/再生の 本原理を説明するための概念図である。 
 図7(a)及び図7(b)は、記録部の断面図である この記録部は、記録層12の両側を電極層11及 電極層13により挟んだ構造を有する。記録 12は、第1化合物を含む第1化合物層12Aと、第2 化合物を含む第2化合物12Bと、第1化合物層12A 第2化合物層12Bとの間に設けられた絶縁層12C と、を有する。

 図7に表した記録部において、第1化合物 12A内の小さな白丸はAイオン(例えば、拡散イ オン)を、小さな太線の白丸はM1イオン(例え 、母体イオン)を、大きな白丸はX1イオン(例 ば、陰イオン)を表す。また、第2化合物層12 B内の小さな黒丸はM2イオン(例えば、母体イ ン)を、大きな白丸はX2イオン(例えば、陰イ ン)を表す。また、絶縁層12C内の小さな白丸 はAイオン(例えば拡散イオン)を、小さな斜線 の丸はM3イオン(例えば、母体イオン)を、大 な白丸はX3イオン(例えば、陰イオン)を表す

 第1化合物層12A及び絶縁層12Cは、具体例2 関して前述したものと同様である。すなわ 、それぞれ、特定族元素からなる拡散イオ 元素であるAイオン元素及びDcイオン元素を む。Dcイオン元素は、Aイオン元素と同じ価 を有しかつAイオン元素のイオン半径と同じ またはこれに近い(例えば、±20%程度の範囲 )イオン半径を有する元素(例えば、Aイオン 素と同じ元素)である。また、第2化合物層12 Bは、具体例3に関して前述したものと同様で る。

 また、スイッチング時において、拡散イ ン元素が移動する第1化合物12A内の通路、第 3化合物12C内の通路、及び第2化合物12B内の通 は、連続的に繋がっていることが好ましい さらに、これら第1化合物12A、第3化合物12C 及び第2化合物12Bの骨格構造(結晶構造及び結 晶方位)が同等であることが最も好ましい。

 以上のような材料を記録層12に使用するこ で、記録密度に関しては、原理的にはPbpsi(Pe ta bit per square inch)級を実現でき、さらなる 低消費電力化が達成できる。 
 なお、図10に例示したように、記録層12を構 成する第1化合物層12A、第2化合物層12B、及び 縁層12Cは、それぞれ、複数層を交互に積層 てもよい。

 次に、絶縁層12Cの性質及び機能について説 する。 
 絶縁層12C(第3化合物12C)は、具体例2と同様に 消費電力の低減化のために設けられるもので ある。絶縁層12Cは、(1)Aイオン元素を通過さ 、動作を可能ならしめる、(2)動作前後で抵 状態は不変で、安定動作を可能ならしめる 及び(3)抵抗率が高く、効率的な加熱に資す とともにオン電流(低抵抗状態における電流) を低減化する、という性質及び機能を有する 。以下、絶縁層12Cが有するこれらの性質につ いて説明する。

 まず、絶縁層12Cは、(1)Aイオン元素を通過さ せ、動作を可能ならしめる、という性質を有 することについて説明する。 
 本具体例の情報記録再生装置も、具体例1~3 情報記録再生装置と同様に、記録層12にお て拡散イオン元素が移動し、記録層12の抵抗 状態(高抵抗状態及び低抵抗状態)を変化させ これにより各種動作(スイッチング)を行っ いる。具体的には、例えばセット動作時で 、Aイオン元素が電極層13側に移動して第2化 物層12Bに格納され、第1化合物12A及び第2化 物12Bの構成元素の一部の価数が変化して第1 合物層12A及び第2化合物層12Bの抵抗状態が変 化することにより、セット動作が行われてい る。このため、第1化合物層12Aと第2化合物層1 2Bとの間にある絶縁層12Cは、Aイオン元素を通 過させる性質を有することが求められる。

 この課題は、第3化合物12Cを構成する特定 族元素の少なくとも1種を適宜選択すること よって解消される。ここで、前述したよう 、絶縁層12Cは、Dcイオン元素を含む。このDc オン元素は、具体例2に関して前述したよう に、電場印加により拡散することができ、A オン元素と互いに置換することができる。 た、絶縁層12Cの、第1化合物層12Aと反対側(電 極層13側)の界面には、空隙サイトを有する第 2化合物層12Bが接している。これらにより、A オン元素は動作時に絶縁層12Cを通過するこ が可能となる。

 すなわち、図7に表したように、セット動 作時においては、絶縁層12C内のDcイオン元素 電極層13側に移動して第2化合物層12B内の空 サイトに格納され、その結果生じた絶縁層1 2C内の空間を第1化合物層12Aから移動してきた Aイオン元素が順次通り抜ける。セット動作 了時には、絶縁層12Cの第3化合物12Cは、Dcイ ン元素の全部または一部がAイオン元素によ て置換された構造となる。

 逆にリセット動作時においては、図7に表 したように、絶縁層12C内の拡散イオン元素(A オン元素またはDcイオン元素)が電極層11側 移動し、その結果生じた絶縁層12C内の空間 第2化合物層12Bから移動してきた拡散イオン 素が順次通り抜ける。リセット動作完了時 は、絶縁層12Cの第3化合物12Cは、既存拡散イ オン元素の全部または一部が第2化合物層12B ら移動してきた拡散イオン元素によって置 された構造となる。

 次に、絶縁層12Cは、(2)動作前後で抵抗状態 不変で、安定動作を可能ならしめる、とい 性質を有することについて説明する。 
 具体例2に関して前述したように、複数の層 からなる記録層12を用いる場合、良好な動作 性を確保する観点から、セット動作及びリ ット動作においては、1つの層のみが抵抗変 化し(スイッチングを担い)、他の層は抵抗変 しない(スイッチングを担わない)ことが望 しい。あるいは、複数の層が抵抗変化する 合、すなわち、複数の層がスイッチングに 与する場合は、これら複数の層は同時に同 向に抵抗変化することが望ましい。

 この課題は、以下に示すように、絶縁層12C 抵抗状態を動作前後で変化しないように構 し、絶縁層12Cはスイッチングに寄与しない うにすることによって解消される。 
 本具体例において、第3化合物12Cは、固体電 解質においてイオンの出入り時に比較的価数 が変化しにくい特定族元素から構成される。 また、第3化合物12Cに外部から進入し得る拡 イオン元素(Aイオン元素)は、特定族元素で るとともに、第3化合物12Cの構成元素であるD cイオン元素と同じ価数を有しかつDcイオン元 素と同等のイオン半径を有する。

 このため、各種動作時において、すなわち 拡散イオン元素が移動する時において、第3 化合物12Cの構造(結晶状態等)は変化せず、こ により、第3化合物12Cは、常に一定の抵抗状 態を保つことが可能になる。 
 このように構成することにより、絶縁層12C スイッチングに寄与しないこととなり、ス ッチングは専ら第1化合物層12A及び第2化合 層12Bによってのみ行われることとなる。こ 結果、意図せざる抵抗変化は生じにくくな 、書込み不完了やディスターブなどが発生 る可能性が低減し、もって安定動作が可能 なる。

 次に、絶縁層12Cは、(3)抵抗率が高く、効 的な加熱に資するとともにオン電流(低抵抗 状態における電流)を低減化する、という性 を有することについて説明する。

 前述したように、絶縁層12Cは、消費電力 低減化のために設けられるものである。具 的には、(イ)リセット動作時において、絶 層12Cの機能により記録層12を効率的にジュー ル加熱するとともに、(ロ)記録層12のオン抵 値(低抵抗状態における抵抗値)を増大せしめ オン電流(低抵抗状態における電流)を低減化 、もって消費電力の低減化を図らんとする のである。

 まず、(イ)リセット動作時において、絶縁 12Cの機能により記録層12を効率的にジュール 加熱することについて説明する。 
 具体例2に関して前述したように、スイッチ ングを担う構成要素については、スイッチン グ、特にリセット(消去)動作を行うに際して 、必ずしも記録層12全体の抵抗状態を変化 せる必要はなく、消費電力低減化を考慮す ば、例えば記録層12の一部の主面のみの抵抗 状態を変化させるのが望ましい。

 本具体例に当てはめれば、次の通りである  
 図7(a)の初期状態では、第1化合物層12A及び 2化合物層12Bの全体が高抵抗状態である。セ ト動作時には、記録層12に電場が印加され 拡散イオン元素が移動することにより、具 例3と同様の機構で、図7(b)に表すように第1 合物層12A及び第2化合物12Bはともに低抵抗状 になる。その後リセット動作を行う際には 上記考察から、記録層12の一部の主面のみ 高抵抗状態にするのが望ましい。

 この課題は、抵抗率の高い絶縁層12Cを第1化 合物層12Aと第2化合物層12Bとの間に導入する とによって解消される。 
 図8は、具体例4における情報の記録/再生の 本原理を説明するための概念図である。図8 (a)及び図8(b)は、記録部の断面図である。 
 図8(a)に表すセット状態の記録部をジュール 加熱し、図8(b)に表すリセット状態に変換さ る場合について説明する。

 ジュール加熱の際、絶縁層12Cの抵抗率が いことから、絶縁層12C及びその近傍が重点 に加熱される。すなわち、絶縁層12C、並び 、第1化合物層12A及び第2化合物層12Bのうち 縁層12Cに接する領域(近傍領域)が重点的に加 熱される。これにより、絶縁層12C内の拡散イ オン元素(Aイオン元素またはDcイオン元素)は 電極層11側にある第1化合物層12Aの絶縁層12C 傍領域に移動することができる。また、そ 結果生じた絶縁層12C内の空間を、第2化合物 層12Bの絶縁層12C近傍領域にある拡散イオン元 素が順次通り抜けることができる。これによ り、記録層12は、一部の主面、すなわち、第1 化合物層12A及び第2化合物層12Bの絶縁層12C近 領域、のみが高抵抗状態である構造となる

 この結果、記録層12は効率的に高抵抗状態 され、図8(b)に表すように、リセット動作は 了する。 
 絶縁層12C(第3化合物12C)の抵抗率は、低抵抗 態(オン状態)の第1化合物層12A及び第2化合物 層12Bの抵抗率より高い。例えば、10 3 ωcm以上とすることができる。

 ここで、絶縁層12Cの抵抗率は高いものの、 縁層12Cの膜厚を制御することにより、絶縁 12Cの抵抗値を任意の値にすることができる この場合、絶縁層12Cの電気抵抗は、殆どト ネル抵抗が担うと考えられる。これにより 記録層12を低抵抗状態(オン状態)にすること が可能になるとともに、オン状態において適 切な抵抗値が確保され、もって効率的な加熱 が可能となる。 
 絶縁層12Cの好ましい膜厚については、具体 2に関して前述した通りである。

 次に、再度セット動作を行う場合について 明する。 
 図9は、具体例4における情報の記録/再生の 本原理を説明するための概念図である。図9 (a)及び図9(b)は、記録部の断面図である。 
 図9(a)に表すリセット状態の記録部に電場を 印加し、図9(b)に表すセット状態に変換させ 場合について説明する。

 図9(a)に表すように電極層13側が陰極とな ように電場が印加されると、絶縁層12Cに存 する拡散イオン元素(Aイオン元素またはDcイ オン元素)は、電極層13側にある第2化合物層12 Bの絶縁層12C近傍領域に移動する。また、そ 結果生じた絶縁層12C内の空間を、第1化合物 12Aの絶縁層12C近傍領域にある拡散イオン元 が順次通り抜け、電極層13側に移動する。 れにより、第1化合物層12A及び第2化合物層12B の全領域が低抵抗状態となる。

 この結果、記録層12は低抵抗状態となり、 9(b)に表すように、セット動作は完了する。
 以上のように、抵抗率の高い絶縁層12Cを第1 化合物層12Aと第2化合物層12Bとの間に導入す ことにより、リセット動作時において記録 12が効率的にジュール加熱され、これにより 消費電力の低減化が図られる。

 スイッチングに寄与する構成要素につい は、1回目の動作(セット動作)においては全 の拡散イオン元素がスイッチングに寄与す のに対し、2回目以降の動作(リセット動作 びセット動作)においては絶縁層12C及びその 傍の拡散イオン元素のみがスイッチングに 与することとなる。本具体例に係る情報記 再生装置は、必要最小限の構成要素のみを 率的に移動させることによってスイッチン を行い、消費電力の低減化を図っている。

 次に、(ロ)記録層12のオン抵抗値(低抵抗状 における抵抗値)を増大せしめオン電流(低抵 抗状態における電流)を低減化することにつ て説明する。 
 記録層12に適切な抵抗値を有する絶縁層12C 導入することにより、記録層12におけるオン 状態(低抵抗状態)の抵抗値は増大する。この め、オン状態において、記録層12を流れる 流は低減する。これにより、消費電力の低 化が図られる。

 従来、オン状態の抵抗値(オン抵抗値)を 望の値に制御するためには、スイッチング 流を制御する方法やパルス幅を制御する方 があったが、これらの方法ではオン抵抗値 上げるのに限界があった。本具体例によれ 、オン状態(選択状態)とオフ状態(非選択状 )とを通じて不変の抵抗率を有する絶縁層12C( 第3化合物12C)を導入することにより、より容 にオン抵抗値を所望の値に設定することが き、上記(イ)及び(ロ)の効果を発現させるこ とが可能となる。

 以上から、本具体例によれば、適切な膜 を有する高抵抗率の絶縁層12Cを導入するこ により、スイッチングが阻害されることな 、オン抵抗値を適切な値に設定し、リセッ 動作時において記録層12が効率的にジュー 加熱されることが可能となり、もって消費 力の低減化が図られる。また、記録層12のオ ン状態の抵抗が増大し、オン電流が低減する 。これらにより、セル当たり極めて小さな消 費電力で各種動作を行うことが可能となる。

 以下、本実施形態に係る情報記録再生装置 応用例について説明する。 
 本実施形態に係る記録部を、プローブメモ に適用した場合、半導体メモリに適用した 合、及びフラッシュメモリに適用した場合 3つについて説明する。

 (プローブメモリ)
 図11及び図12は、本実施形態に係るプローブ メモリを表す模式図である。 
 XYスキャナー16上には、本実施形態の記録部 が設けられた記録媒体が配置される。この記 録媒体に対向する形で、プローブアレイが配 置される。

 プローブアレイは、基板23と、基板23の一面 側にアレイ状に配置される複数のプローブ( ッド)24と、を有する。複数のプローブ24の各 々は、例えば、カンチレバーから構成され、 マルチプレクスドライバ25,26により駆動され 。 
 複数のプローブ24は、それぞれ、基板23内の マイクロアクチュエータを用いて個別に動作 可能であるが、ここでは、全てをまとめて同 じ動作をさせて記録媒体のデータエリアに対 するアクセスを行う例を説明する。

 まず、マルチプレクスドライバ25,26を用い 、全てのプローブ24をX方向に一定周期で往 動作させ、記録媒体のサーボエリアからY方 の位置情報を読み出す。Y方向の位置情報は 、ドライバ15に転送される。 
 ドライバ15は、この位置情報に基づいてXYス キャナー16を駆動し、記録媒体をY方向に移動 させ、記録媒体とプローブとの位置決めを行 う。 
 両者の位置決めが完了したら、データエリ 上のプローブ24の全てに対して、同時、か 、連続的に、データの読み出し又は書き込 を行う。 
 データの読み出し及び書き込みは、プロー 24がX方向に往復動作していることから連続 に行われる。また、データの読み出し及び き込みは、記録媒体のY方向の位置を順次変 えることにより、データエリアに対して、一 行ずつ、実施される。 
 なお、記録媒体をX方向に一定周期で往復運 動させて記録媒体から位置情報を読み出し、 プローブ24をY方向に移動させるようにしても よい。

 記録媒体は、例えば、基板20と、基板20上の 電極層21と、電極層21上の記録層22とから構成 される。 
 記録層22は、複数のデータエリア、並びに 複数のデータエリアのX方向の両端にそれぞ 配置されるサーボエリアを有する。複数の ータエリアは、記録層22の主要部を占める

 サーボエリア内には、サーボバースト信 が記録される。サーボバースト信号は、デ タエリア内のY方向の位置情報を示している 。

 記録層22内には、これらの情報の他に、さ に、アドレスデータが記録されるアドレス リア及び同期をとるためのプリアンブルエ アが配置される。 
 データ及びサーボバースト信号は、記録ビ ト(電気抵抗変動)として記録層22に記録され る。記録ビットの“1”,“0”情報は、記録層 22の電気抵抗を検出することにより読み出す

 本例では、1つのデータエリアに対応して1 のプローブ(ヘッド)が設けられ、1つのサー エリアに対して1つのプローブが設けられる  
 データエリアは、複数のトラックから構成 れる。アドレスエリアから読み出されるア レス信号によりデータエリアのトラックが 定される。また、サーボエリアから読み出 れるサーボバースト信号は、プローブ24を ラックの中心に移動させ、記録ビットの読 取り誤差をなくすためのものである。 
 ここで、X方向をダウントラック方向、Y方 をトラック方向に対応させることにより、HD Dのヘッド位置制御技術を利用することが可 になる。

 次に、このプローブメモリの記録/再生動作 について説明する。 
 図13は、記録(セット動作)時の状態を説明す るための概念図である。 
 記録媒体は、基板(例えば、半導体チップ)20 上の電極層21と、電極層21の上の記録層22と、 記録層22上の保護層13Bとから構成されるもの する。保護層13Bは、例えば、薄い絶縁体か 構成される。 
 記録動作は、記録層22の記録ビット27表面に 電圧を印加し、記録ビット27の内部に電位勾 を発生させることにより行う。具体的には 電流/電圧パルスを記録ビット27に与えれば い。

 (具体例1及び具体例2に関して前述した記録 を用いた場合)
 ここで、具体例1及び具体例2に関して前述 た記録部を用いた場合について説明する。 お、図14及び図15において、具体例2に係る記 録部の絶縁層12Cは省略して描かれている。

 図14は、記録について表した模式図である  
 まず、図14に表したように、プローブ24の電 位が電極層21の電位よりも相対的に低い状態 作る。電極層21を固定電位(例えば、接地電 )とすれば、プローブ24に負の電位を与えれ よい。 
 電流パルスは、例えば、電子発生源又はホ トエレクトロン源を使用し、プローブ24か 電極層21に向かって電子を放出することによ り発生させる。あるいは、プローブ24を記録 ット27表面に接触させて電圧パルスを印加 てもよい。

 この時、例えば、記録層22の記録ビット27で は、Aイオンの一部がプローブ(陰極)24側に移 し、結晶内のAイオンがXイオンに対して相 的に減少する。また、プローブ24側に移動し たAイオンは、プローブ24から電子を受け取っ てメタルとして析出する。 
 記録ビット27では、Xイオンが過剰となり、 果的に、記録ビット27におけるAイオンある はMイオンの価数を上昇させる。つまり、記 録ビット27は、相変化によるキャリアの注入 より電子伝導性を有するようになるため、 厚方向への抵抗が減少し、記録(セット動作 )が完了する。 
 なお、記録のための電流パルスは、プロー 24の電位が電極層21の電位よりも相対的に高 い状態を作ることにより発生させることもで きる。

 図15は、再生について表した模式図である  
 再生に関しては、電流パルスを記録層22の 録ビット27に流し、記録ビット27の抵抗値を 出することにより行う。ただし、電流パル は、記録層22の記録ビット27を構成する材料 が抵抗変化を起こさない程度の微小な値とす る。

 例えば、センスアンプS/Aにより発生した読 出し電流(電流パルス)をプローブ24から記録 ビット27に流し、センスアンプS/Aにより記録 ット27の抵抗値を測定する。 
 具体例1及び具体例2に関して前述した実施 態に係る材料を使用すれば、セット/リセッ 状態の抵抗値の差は、10 3 以上を確保できる。 
 なお、再生では、記録媒体上をプローブ24 より走査(スキャン)することで、連続再生が 可能となる。

 消去(リセット)動作に関しては、記録層22の 記録ビット27を大電流パルスによりジュール 熱して、記録ビット27における酸化還元反 を促進させることにより行う。あるいは、 ット動作時とは逆向きの電位差を与えるパ スを印加してもよい。 
 消去動作は、記録ビット27ごとに行うこと できるし、複数の記録ビット27又はブロック 単位で行うこともできる。

 (具体例3及び具体例4に関して前述した記録 を用いた場合)
 次に、具体例3及び具体例4に関して前述し 記録部を用いた場合について説明する。な 、図16及び図17において、具体例4に係る記録 部の絶縁層12Cは省略して描かれている。

 図16は、記録する状態を表した模式図であ 。 
 まず、図16に表したように、プローブ24の電 位が電極層21の電位よりも相対的に低い状態 作る。電極層21を固定電位(例えば、接地電 )とすれば、プローブ24に負の電位を与えれ よい。

 この時、記録層22の第1化合物層(陽極側)12 A内のAイオンの一部は、結晶中を移動し、第2 化合物(陰極側)12Bの空隙サイトに収まる。こ に伴い、第1化合物層12A内のAイオン、ある はM1イオンの価数が増加し、第2化合物層12B のAイオンあるいはM2イオンの価数が減少す 。その結果、第1化合物層12A及び第2化合物層 12Bの結晶中に電導キャリアが発生し、両者は 、共に、電気伝導性を有するようになる。

 これにより、セット動作(記録)が完了する  
 なお、記録動作に関して、第1化合物層12A及 び第2化合物層12Bの位置関係を逆にすれば、 ローブ24の電位を電極層21の電位よりも相対 に低い状態にしてセット動作を実行するこ もできる。

 図17は、再生時の状態を表す模式図である  
 再生動作は、電流パルスを記録ビット27に し、記録ビット27の抵抗値を検出することに より行う。ただし、電流パルスは、記録ビッ ト27を構成する材料が抵抗変化を起こさない 度の微小な値とする。 
 例えば、センスアンプS/Aにより発生した読 出し電流(電流パルス)をプローブ24から記録 層(記録ビット)22に流し、センスアンプS/Aに り記録ビットの抵抗値を測定する。既に説 した新材料を採用すると、セット/リセット 態の抵抗値の差は、10 3 以上を確保できる。 
 なお、再生動作は、プローブ24を走査(スキ ン)させることで、連続的に行うことができ る。

 リセット(消去)動作は、記録層(記録ビット) 22に大電流パルスを流すことにより発生する ュール熱及びその残留熱を利用して、Aイオ ンが第2化合物層12B内の空隙サイトから第1化 物層12A内に戻ろうとする作用を促進してや ばよい。あるいは、セット動作時とは逆向 の電位差を与えるパルスを印加してもよい  
 消去動作は、記録ビット27ごとに行うこと できるし、複数の記録ビット27又はブロック 単位で行うこともできる。

 図33は、情報記録が完了した後のデータ領 内のブロックを例示する模式図である。黒 は、情報記録がなされた記録単位を表して る。 
 本実施例に係るプローブメモリによれば、 ードディスクと同様に、記録媒体の記録単 に情報記録を行うことができるとともに、 規な記録材料を採用することにより、現在 ハードディスクやフラッシュメモリよりも 記録密度及び低消費電力を実現できる。

 なお、記録層22に、具体例2または具体例4 に関して前述した記録層を用いた場合には、 前述した効果が発現される。すなわち、適切 な膜厚を有する高抵抗率の絶縁層を導入する ことにより、スイッチングが阻害されること なく、オン抵抗値を適切な値に設定し、リセ ット動作時において記録層22が効率的にジュ ル加熱されることが可能となり、もって消 電力の低減化が図られる。また、記録層22 オン状態の抵抗が増大し、オン電流が低減 る。これらにより、セル当たり極めて小さ 消費電力で各種動作を行うことが可能とな 。

 (半導体メモリ) 
 次に、半導体素子と組み合わせた情報記録 生装置について説明する。 
 図18は、本実施形態の記録層を備えたクロ ポイント型半導体メモリを表す模式図であ 。 
 ワード線WL i-1 ,WL i ,WL i+1 は、X方向に延び、ビット線BL j-1 ,BL j ,BL j+1 は、Y方向に延びる。 
 ワード線WL i-1 ,WL i ,WL i+1 の一端は、選択スイッチとしてのMOSトランジ スタRSWを経由してワード線ドライバ&デコ ダ31に接続され、ビット線BL j-1 ,BL j ,BL j+1 の一端は、選択スイッチとしてのMOSトランジ スタCSWを経由してビット線ドライバ&デコ ダ&読み出し回路32に接続される。

 MOSトランジスタRSWのゲートには、1本のワー ド線(ロウ)を選択するための選択信号R i-1 ,R i ,R i+1 が入力され、MOSトランジスタCSWのゲートには 、1本のビット線(カラム)を選択するための選 択信号C i-1 ,C i ,C i+1 が入力される。 
 メモリセル33は、ワード線WL i-1 ,WL i ,WL i+1 とビット線BL j-1 ,BL j ,BL j+1 との交叉部に配置される。いわゆるクロスポ イント型セルアレイ構造である。 
 メモリセル33には、記録/再生時における回 込み電流(sneak current)を防止するためのダイ オード34が付加される。

 図19は、図18に表した半導体メモリのメモリ セルアレイ部の構造を表す模式図である。 
 半導体チップ30上には、ワード線WL i-1 ,WL i ,WL i+1 とビット線BL j-1 ,BL j ,BL j+1 が配置され、これら配線の交叉部にメモリセ ル33と、ダイオード34と、が配置される。な 、ダイオード34とワード線(WL i 等)との間には、図示しないバリア層が設け れてもよい。 
 このようなクロスポイント型セルアレイ構 の特長は、メモリセル33に個別にMOSトラン スタを接続する必要がないため、高集積化 有利な点にある。例えば、図21及び図22に表 たように、メモリセル33を積み重ねて、メ リセルアレイを3次元構造にすることも可能 ある。

 本実施形態の記録層を有するメモリセル33 、例えば、図20に表したように、記録層22、 護層13B、及びヒータ層35のスタック構造か 構成される。1つのメモリセル33により1ビッ データを記憶する。また、ダイオード34は ワード線WL i とメモリセル33との間に配置される。なお、 述したように、ダイオード34とワード線(WL i 等)との間には、図示しないバリア層が設け れてもよい。

 図21及び図22は、メモリセルアレイの他の具 体例を表す模式図である。 
 図21に表した具体例においては、Y方向に延 たビット線BL j-1 ,BL j ,BL j+1 の上下に、X方向に延びたワード線WL i-1 ,WL i ,WL i+1 がそれぞれ設けられている。そして、これら ビット線とワード線とのクロスポイントに、 メモリセル33、34と、がそれぞれ配設されて る。つまり、ビット線をその上下のメモリ ルで共有した構造とされている。なお、ダ オード34とワード線(WL(d) i 等)との間、及びダイオード34とビット線(BL j 等)との間には、図示しないバリア層が設け れてもよい。

 図22に表した具体例においては、Y方向に延 たビット線BL j-1 ,BL j ,BL j+1 と、X方向に延びたワード線WL i-1 ,WL i ,WL i+1 と、が交互に積層された構造を有する。そし て、これらビット線とワード線とのクロスポ イントに、メモリセル33、34と、がそれぞれ 設されている。つまり、ビット線とワード を、それらの上下のメモリセルで共有した 造とされている。なお、ダイオード34とワー ド線(WL(d) i 等)との間、ダイオード34とビット線(BL(d) j )との間、及びダイオード34とワード線(WL(u) i 等)との間には、図示しないバリア層が設け れてもよい。 
 図21及び図22に例示したような積層構造を採 用することにより、記録密度を上げることが 可能となる。

 次に、本実施形態の記録層を用いた半導体 モリの記録/再生動作について、図18~図20を 照しつつ説明する。 
 ここでは、図18において点線Aで囲んだメモ セル33を選択し、これについて記録/再生動 を実行する場合について説明する。

 (具体例1及び具体例2に関して前述した記録 を用いた場合)
 記録(セット動作)は、選択されたメモリセ 33に電圧を印加し、そのメモリセル33内に電 勾配を発生させて電流パルスを流せばよい め、例えば、ワード線WL i の電位がビット線BL j の電位よりも相対的に低い状態を作る。ビッ ト線BL j を固定電位(例えば、接地電位)とすれば、ワ ド線WL i に負の電位を与えればよい。

 この時、点線Aで囲まれた選択されたメモリ セル33では、A1イオンの一部がワード線(陰極) WL i 側に移動し、結晶内のAイオンがXイオンに対 て相対的に減少する。また、ワード線WL i 側に移動したAイオンは、ワード線WL i から電子を受け取ってメタルとして析出する 。

 点線Aで囲まれた選択されたメモリセル33 は、Xイオンが過剰となり、結果的に、結晶 内におけるAイオンあるいはMイオンの価数を 昇させる。つまり、点線Aで囲まれた選択さ れたメモリセル33は、相変化によるキャリア 注入により電子伝導性を有するようになる め、記録(セット動作)が完了する。

 なお、記録時には、非選択のワード線WL i-1 ,WL i+1 及び非選択のビット線BL j-1 ,BL j+1 については、全て同電位にバイアスしておく ことが望ましい。 
 また、記録前のスタンバイ時には、全ての ード線WL i-1 ,WL i ,WL i+1 及び全てのビット線BL j-1 ,BL j ,BL j+1 をプリチャージしておくことが望ましい。 
 また、記録のための電流パルスは、ワード WL i の電位がビット線BL j の電位よりも相対的に高い状態を作ることに より発生させてもよい。

 再生に関しては、電流パルスを点線Aで囲 まれた選択されたメモリセル33に流し、その モリセル33の抵抗値を検出することにより う。ただし、電流パルスは、メモリセル33を 構成する材料が抵抗変化を起こさない程度の 微小な値とすることが必要である。

 例えば、読み出し回路により発生した読み し電流(電流パルス)をビット線BL j から点線Aで囲まれたメモリセル33に流し、読 み出し回路によりそのメモリセル33の抵抗値 測定する。既に説明した新材料を採用すれ 、セット/リセット状態の抵抗値の差は、10 3 以上を確保できる。

 消去(リセット)動作に関しては、点線Aで まれた選択されたメモリセル33を大電流パ スによりジュール加熱して、そのメモリセ 33における酸化還元反応を促進させることに より行う。

 (具体例3及び具体例4に関して前述した記録 を用いた場合)
 記録動作(セット動作)は、選択されたメモ セル33に電圧を印加し、そのメモリセル33内 電位勾配を発生させて電流パルスを流せば いため、例えば、ワード線WL i の電位をビット線BL j の電位よりも相対的に低くする。ビット線BL j を固定電位(例えば、接地電位)とすれば、ワ ド線WL i に負の電位を与えればよい。 
 この時、点線Aで囲まれた選択されたメモリ セル33では、第1化合物内のAイオンの一部が 2化合物の空隙サイトに移動する。このため 第2化合物内のAイオンあるいはM2イオンの価 数が減少し、第1化合物内のAイオンあるいはM 1イオンの価数が増加する。その結果、第1及 第2化合物の結晶中に電導キャリアが発生し 、両者は、共に、電気伝導性を有するように なる。 
 これにより、セット動作(記録)が完了する

 なお、記録時には、非選択のワード線WL i-1 ,WL i+1 及び非選択のビット線BL j-1 ,BL j+1 については、全て同電位にバイアスしておく ことが望ましい。 
 また、記録前のスタンバイ時には、全ての ード線WL i-1 ,WL i ,WL i+1 及び全てのビット線BL j-1 ,BL j ,BL j+1 をプリチャージしておくことが望ましい。 
 電流パルスは、ワード線WL i の電位がビット線BL j の電位よりも相対的に高い状態を作ることに より発生させてもよい。

 再生動作は、電流パルスを点線Aで囲まれた 選択されたメモリセル33に流し、そのメモリ ル33の抵抗値を検出することにより行う。 だし、電流パルスは、メモリセル33を構成す る材料が抵抗変化を起こさない程度の微小な 値とすることが必要である。
 例えば、読み出し回路により発生した読み し電流(電流パルス)をビット線BL j から点線Aで囲まれたメモリセル33に流し、読 み出し回路によりそのメモリセル33の抵抗値 測定する。既に説明した新材料を採用すれ 、セット/リセット状態の抵抗値の差は、10 3 以上を確保できる。

 リセット(消去)動作は、点線Aで囲まれた 択されたメモリセル33に大電流パルスを流 ことにより発生するジュール熱及びその残 熱を利用して、Aイオン元素が第2化合物内の 空隙サイトから第1化合物内に戻ろうとする 用を促進してやればよい。

 以上説明したように、本実施形態の半導体 モリによれば、現在のハードディスクやフ ッシュメモリよりも高記録密度及び低消費 力を実現できる。 
 なお、記録層22に、具体例2または具体例4に 関して前述した記録層を用いた場合には、前 述した効果が発現される。すなわち、適切な 膜厚を有する高抵抗率の絶縁層を導入するこ とにより、スイッチングが阻害されることな く、オン抵抗値を適切な値に設定し、リセッ ト動作時において記録層22が効率的にジュー 加熱されることが可能となり、もって消費 力の低減化が図られる。また、記録層22の ン状態の抵抗が増大し、オン電流が低減す 。これらにより、セル当たり極めて小さな 費電力で各種動作を行うことが可能となる

 (フラッシュメモリ) 
 本実施形態は、フラッシュメモリに適用す ことも可能である。  
 図23は、フラッシュメモリのメモリセルを す模式断面図である。 
 フラッシュメモリのメモリセルは、MIS(metal- insulator-semiconductor)トランジスタから構成され る。

 半導体基板41の表面領域には、拡散層42が形 成される。拡散層42の間のチャネル領域上に 、ゲート絶縁層43が形成される。ゲート絶 層43上には、本実施形態の記録層(RRAM:Resistive  RAM)44が形成される。記録部44上には、コン ロールゲート電極45が形成される。 
 半導体基板41は、ウェル領域でもよく、ま 、半導体基板41と拡散層42とは、互いに逆の 電型を有する。コントロールゲート電極45 、ワード線となり、例えば、導電性ポリシ コンから構成される。 
 記録層44は、具体例1~具体例4に関して前述 た記録層12を構成する材料により形成される 。

 図23を参照しつつ、その基本動作について 明する。 
 セット(書き込み)動作は、コントロールゲ ト電極45に電位V1を与え、半導体基板41に電 V2を与えることにより実行する。 
 電位V1,V2の差は、記録層44が相変化又は抵抗 変化するのに十分な大きさであることが必要 であるが、その向きについては、特に、限定 されない。 
 すなわち、V1>V2及びV1<V2のいずれでもよ い。 
 例えば、初期状態(リセット状態)において 記録層44が絶縁体(抵抗大)であると仮定する 、実質的にゲート絶縁層43が厚くなったこ になるため、メモリセル(MISトランジスタ)の 閾値は、高くなる。

 この状態から電位V1,V2を与えて記録層44を導 電体(抵抗小)に変化させると、実質的にゲー 絶縁層43が薄くなったことになるため、メ リセル(MISトランジスタ)の閾値は、低くなる 。 
 なお、電位V2は、半導体基板41に与えたが、 これに代えて、メモリセルのチャネル領域に 拡散層42から電位V2を転送するようにしても い。

 リセット(消去)動作は、コントロールゲー 電極45に電位V1’を与え、拡散層42の一方に 位V3を与え、拡散層42の他方に電位V4(<V3)を 与えることにより実行する。 
 電位V1’は、セット状態のメモリセルの閾 を越える値にする。 
 この時、メモリセルは、オンになり、電子 拡散層42の他方から一方に向かって流れる 共に、ホットエレクトロンが発生する。こ ホットエレクトロンは、ゲート絶縁層43を介 して記録層44に注入されるため、記録層44の 度が上昇する。 
 これにより、記録層44は、導電体(抵抗小)か ら絶縁体(抵抗大)に変化するため、実質的に ート絶縁層43が厚くなったことになり、メ リセル(MISトランジスタ)の閾値は、高くなる 。 
 このように、フラッシュメモリと類似した 理により、メモリセルの閾値を変えること できるため、フラッシュメモリの技術を利 して、本実施形態の例に係る情報記録再生 置を実用化できる。

 (NAND型フラッシュメモリ)
 図24は、NANDセルユニットの回路図である。
 また、図25は、本実施形態に係るNANDセルユ ットの構造を表す模式図である。

 P型半導体基板41a内には、N型ウェル領域41b びP型ウェル領域41cが形成される。P型ウェル 領域41c内に、本実施形態の例に係るNANDセル ニットが形成される。 
 NANDセルユニットは、直列接続される複数の メモリセルMCからなるNANDストリングと、その 両端に1つずつ接続される合計2つのセレクト ートトランジスタSTとから構成される。 
 メモリセルMC及びセレクトゲートトランジ タSTは、同じ構造を有する。具体的には、こ れらは、N型拡散層42と、N型拡散層42の間のチ ャネル領域上のゲート絶縁層43と、ゲート絶 層43上の記録層(RRAM)44と、記録層44上のコン ロールゲート電極45と、から構成される。

 メモリセルMCの記録層44の状態(絶縁体/導電 )は、上述した基本動作により変化させるこ とが可能である。これに対し、セレクトゲー トトランジスタSTの記録層44は、セット状態 すなわち、導電体(抵抗小)に固定される。 
 セレクトゲートトランジスタSTの1つは、ソ ス線SLに接続され、他の1つは、ビット線BL 接続される。

 セット(書き込み)動作前には、NANDセルユニ ト内の全てのメモリセルは、リセット状態( 抵抗大)になっているものとする。 
 セット(書き込み)動作は、ソース線SL側のメ モリセルMCからビット線BL側のメモリセルに かって1つずつ順番に行われる。 
 選択されたワード線(コントロールゲート電 極)WLに書き込み電位としてV1(プラス電位)を え、非選択のワード線WLに転送電位(メモリ ルMCがオンになる電位)としてVpassを与える。

 ソース線SL側のセレクトゲートトランジス STをオフ、ビット線BL側のセレクトゲートト ンジスタSTをオンにし、ビット線BLから選択 されたメモリセルMCのチャネル領域にプログ ムデータを転送する。 
 例えば、プログラムデータが“1”のときは 、選択されたメモリセルMCのチャネル領域に き込み禁止電位(例えば、V1と同じ程度の電 )を転送し、選択されたメモリセルMCの記録 44の抵抗値が高い状態から低い状態に変化 ないようにする。 
 また、プログラムデータが“0”のときは、 選択されたメモリセルMCのチャネル領域にV2(& lt;V1)を転送し、選択されたメモリセルMCの記 層44の抵抗値を高い状態から低い状態に変 させる。

 リセット(消去)動作では、例えば、全ての ード線(コントロールゲート電極)WLにV1’を え、NANDセルユニット内の全てのメモリセルM Cをオンにする。また、2つのセレクトゲート ランジスタSTをオンにし、ビット線BLにV3を え、ソース線SLにV4(<V3)を与える。 
 この時、ホットエレクトロンがNANDセルユニ ット内の全てのメモリセルMCの記録層44に注 されるため、NANDセルユニット内の全てのメ リセルMCに対して一括してリセット動作が 行される。

 読み出し動作は、選択されたワード線(コン トロールゲート電極)WLに読み出し電位(プラ 電位)を与え、非選択のワード線(コントロー ルゲート電極)WLには、メモリセルMCがデータ 0”、“1”によらず必ずオンになる電位を える。 
 また、2つのセレクトゲートトランジスタST オンにし、NANDストリングに読み出し電流を 供給する。 
 選択されたメモリセルMCは、読み出し電位 印加されると、それに記憶されたデータの に応じてオン又はオフになるため、例えば 読み出し電流の変化を検出することにより データを読み出すことができる。

 なお、図25に表した構造では、セレクト ートトランジスタSTは、メモリセルMCと同じ 造を有しているが、例えば、図26に表した うに、セレクトゲートトランジスタSTについ ては、記録層を形成せずに、通常のMISトラン ジスタとすることも可能である。

 図27は、NAND型フラッシュメモリの変形例を す模式図である。 
 この変形例は、NANDストリングを構成する複 数のメモリセルMCのゲート絶縁層がP型半導体 層47に置き換えられている構造を有する。 
 高集積化が進み、メモリセルMCが微細化さ ると、電圧を与えていない状態で、P型半導 層47は、空乏層で満たされることになる。

 セット(書き込み)時には、選択されたメモ セルMCのコントロールゲート電極45にプラス 書き込み電位(例えば、3.5V)を与え、かつ、 選択のメモリセルMCのコントロールゲート 極45にプラスの転送電位(例えば、1V)を与え 。 
 この時、NANDストリング内の複数のメモリセ ルMCのP型ウェル領域41cの表面がP型からN型に 転し、チャネルが形成される。

 そこで、上述したように、ビット線BL側 セレクトゲートトランジスタSTをオンにし、 ビット線BLから選択されたメモリセルMCのチ ネル領域にプログラムデータ“0”を転送す ば、セット動作を行うことができる。

 リセット(消去)は、例えば、全てのコン ロールゲート電極45にマイナスの消去電位( えば、-3.5V)を与え、P型ウェル領域41c及びP型 半導体層47に接地電位(0V)を与えれば、NANDス リングを構成する全てのメモリセルMCに対し て一括して行うことができる。

 読み出し時には、選択されたメモリセルM Cのコントロールゲート電極45にプラスの読み 出し電位(例えば、0.5V)を与え、かつ、非選択 のメモリセルMCのコントロールゲート電極45 、メモリセルMCがデータ“0”、“1”によら 必ずオンになる転送電位(例えば、1V)を与え る。

 ただし、“1”状態のメモリセルMCの閾値電 Vth”1”は、0V < Vth”1” < 0.5Vの範囲 にあるものとし、“0”状態のメモリセルMC 閾値電圧Vth”0”は、0.5V < Vth”0” <  1Vの範囲内にあるものとする。 
 また、2つのセレクトゲートトランジスタST オンにし、NANDストリングに読み出し電流を 供給する。 
 このような状態にすれば、選択されたメモ セルMCに記憶されたデータの値に応じてNAND トリングに流れる電流量が変わるため、こ 変化を検出することにより、データを読み すことができる。

 なお、この変形例においては、P型半導体層 47のホールドープ量がP型ウェル領域41cのそれ よりも多く、かつ、P型半導体層47のフェルミ レベルがP型ウェル領域41cのそれよりも0.5V程 深くなっていることが望ましい。 
 これは、コントロールゲート電極45にプラ の電位を与えたときに、N型拡散層42間のP型 ェル領域41cの表面部分からP型からN型への 転が開始し、チャネルが形成されるように るためである。

 このようにすることで、例えば、書き込み には、非選択のメモリセルMCのチャネルは P型ウェル領域41cとP型半導体層47の界面のみ 形成され、読み出し時には、NANDストリング 内の複数のメモリセルMCのチャネルは、P型ウ ェル領域41cとP型半導体層47の界面のみに形成 される。 
 つまり、メモリセルMCの記録層44が導電体( ット状態)であっても、拡散層42とコントロ ルゲート電極45とが短絡することはない。

 (NOR型フラッシュメモリ) 
 図28は、NORセルユニットの回路図である。 
 また、図29は、本実施形態の例に係るNORセ ユニットの構造を表す模式図である。

 P型半導体基板41a内には、N型ウェル領域41b びP型ウェル領域41cが形成されている。P型ウ ェル領域41c内に、本実施形態の例に係るNORセ ルが形成されている。 
 NORセルは、ビット線BLとソース線SLとの間に 接続される1つのメモリセル(MISトランジスタ) MCから構成される。 
 メモリセルMCは、N型拡散層42と、N型拡散層4 2の間のチャネル領域上のゲート絶縁層43と、 ゲート絶縁層43上の記録層(RRAM)44と、記録層44 上のコントロールゲート電極45と、から構成 れる。メモリセルMCの記録層44の状態(絶縁 /導電体)は、上述の基本動作により変化させ ることが可能である。

 (2トランジスタ型フラッシュメモリ)
 図30は、2トランジスタ型セルユニットの回 図である。 
 また、図31は、本実施形態に係る2トラセル ニットの構造を表す模式図である。

 2トランジスタ型セルユニットは、NANDセル ニットの特徴とNORセルの特徴とを併せ持っ 新たなセル構造として最近開発されたもの ある。 
 P型半導体基板41a内には、N型ウェル領域41b びP型ウェル領域41cが形成される。P型ウェル 領域41c内に、本実施形態の例に係る2トラン スタ型セルユニットが形成される。

 2トランジスタ型セルユニットは、直列接続 される1つのメモリセルMCと1つのセレクトゲ トトランジスタSTとから構成される。 
 メモリセルMC及びセレクトゲートトランジ タSTは、同じ構造を有する。具体的には、こ れらは、N型拡散層42と、N型拡散層42の間のチ ャネル領域上のゲート絶縁層43と、ゲート絶 層43上の記録層(RRAM)44と、記録層44上のコン ロールゲート電極45と、から構成される。 
 メモリセルMCの記録層44の状態(絶縁体/導電 )は、上述の基本動作により変化させること が可能である。これに対し、セレクトゲート トランジスタSTの記録層44は、セット状態、 なわち、導電体(抵抗小)に固定される。

 セレクトゲートトランジスタSTは、ソース SLに接続され、メモリセルMCは、ビット線BL 接続される。 
 メモリセルMCの記録層44の状態(絶縁体/導電 )は、上述の基本動作により変化させること が可能である。 
 図31に表した構造では、セレクトゲートト ンジスタSTは、メモリセルMCと同じ構造を有 ているが、例えば、図32に表したように、 レクトゲートトランジスタSTについては、記 録層を形成せずに、通常のMISトランジスタと することも可能である。

 上記以外にも、本実施形態で提案する材料 び原理を、現在のハードディスクやDVDなど 記録媒体に適用することも可能である。 
 なお、これらフラッシュメモリにおいて、 録層44に具体例2または具体例4に関して前述 した記録層を用いた場合には、前述した効果 が発現される。すなわち、適切な膜厚を有す る高抵抗率の絶縁層を導入することにより、 スイッチングが阻害されることなく、オン抵 抗値を適切な値に設定し、リセット動作時に おいて記録層44が効率的にジュール加熱され ことが可能となり、もって消費電力の低減 が図られる。また、記録層44のオン状態の 抗が増大し、オン電流が低減する。これら より、セル当たり極めて小さな消費電力で 種動作を行うことが可能となる。

 次に、本発明の実施形態に係る記録媒体の 造方法について説明する。 
 ここでは、図13に表した記録媒体の構造を に挙げて説明する。 
 基板20は、ガラスから構成される直径約60mm 厚さ約1mmのディスクとする。このような基 20上に、Pt(プラチナ)を約500nmの厚さで蒸着 て電極層21を形成する。

 電極層21上においては、まず、TiNが堆積さ るように組成が調整されたターゲットを用 て、(110)配向が得られるよう調整されたパワ ーのRF電源を用いて成膜する。続いてZnMn 2 O 4 が堆積されるように組成が調整されたターゲ ットを用いて、温度300~600℃、Ar(アルゴン)95% O 2 (酸素)5%、の雰囲気中で、RFマグネトロンスパ ッタを行い、記録層22の一部を構成する厚さ 10nmのZnMn 2 O 4 を形成する。

 続けて、RFマグネトロンスパッタにより、Zn Mn 2 O 4 上に、厚さ約3nmのTiO 2 を形成する。その結果、記録層22は、ZnMn 2 O 4 とTiO 2 との積層構造を有することになる。 
 最後に、記録層22上に、保護層13Bを形成す ば、図13に表すような記録媒体が完成する。

 (実験例)
 次に、いくつかのサンプルを作成し、リセ ト(消去)状態とセット(書き込み)状態との抵 抗差について評価した実験例について説明す る。

 サンプルとしては、図12に表した構造を する記録媒体を使用する。評価は、先端の が10nm以下に先鋭化されたプローブ対を使用 る。

 プローブ対を保護層13Bに接触させ、書き み/消去は、そのうちの1つを用いて実行す 。書き込みは、記録層22に、例えば、10nsec幅 で、1Vの電圧パルスを印加することにより行 。消去は、記録層22に、例えば、100nsec幅で 0.2Vの電圧パルスを印加することにより行う 。

 また、書き込み/消去の合間に、プローブ 対の他の1つを用いて読み出しを実行する。 み出しは、記録層22に、10nsec幅で、0.1Vの電 パルスを印加し、記録層(記録ビット)22の抵 値を測定することにより行う。

 (第1実験例) 
 第1実験例のサンプルの仕様は、以下の通り である。 
 記録層22は、厚さ約10nmのZn 1.1 Mn 1.9 O 4 と、厚さ約1nmのZnAl 2 O 4 と、厚さ約5nmのTiO 2 と、からなる積層構造から構成する。 
 この場合、リセット状態の抵抗値は、10 7 ω台、セット状態の抵抗値は、10 4 ω台という結果が期待される。また、サイク 寿命は、10万サイクル以上を実現できるこ が期待される。

 (第2実験例) 
 第2実験例のサンプルの仕様は、以下の通り である。 
 記録層22は、厚さ約10nmのZnCo 2 O 4 と、厚さ約1nmのZnAl 2 O 4 と、厚さ約5nmのTiO 2 と、からなる積層構造から構成する。 
 この場合、リセット状態の抵抗値は、10 7 ω台、セット状態の抵抗値は、10 4 ω台という結果が期待される。また、サイク 寿命は、10万サイクル以上を実現できるこ が期待される。

 (第3実験例) 
 第3実験例のサンプルの仕様は、以下の通り である。 
 記録層22は、厚さ約10nmのZnMn 2 O 4 と、厚さ約1nmのZn 2 TiO 4 と、厚さ約5nmのTiO 2 と、からなる積層構造から構成する。 
 この場合、リセット状態の抵抗値は、10 7 ω台、セット状態の抵抗値は、10 5 ω台という結果が期待される。また、サイク 寿命は、10万サイクル以上を実現できるこ が期待される。

 (第4実験例) 
 第4実験例のサンプルの仕様は、以下の通り である。 
 記録層22は、厚さ約10nmのZnCo 2 O 4 と、厚さ約1nmのZn 2 SnO 4 と、厚さ約5nmのZrO 2 と、からなる積層構造から構成する。 
 この場合、リセット状態の抵抗値は、10 7 ω台、セット状態の抵抗値は、10 4 ω台という結果が期待される。また、サイク 寿命は、10万サイクル以上を実現できるこ が期待される。

 (第5実験例) 
 第5実験例のサンプルの仕様は、以下の通り である。 
 記録層22は、厚さ約10nmのZnMoO 3 と、厚さ約1nmのZnGeO 3 と、厚さ約5nmのTiO 2 と、からなる積層構造から構成する。 
 この場合、リセット状態の抵抗値は、10 7 ω台、セット状態の抵抗値は、10 4 ω台という結果が期待される。また、サイク 寿命は、10万サイクル以上を実現できるこ が期待される。

 (第6実験例) 
 第6実験例のサンプルの仕様は、以下の通り である。 
 記録層22は、厚さ約10nmのZnWO 3 と、厚さ約1nmのZnSnO 3 と、厚さ約5nmのNb3%入りZrO 2 と、からなる積層構造から構成する。 
 この場合、リセット状態の抵抗値は、10 7 ω台、セット状態の抵抗値は、10 4 ω台という結果が期待される。また、サイク 寿命は、10万サイクル以上を実現できるこ が期待される。

 (第7実験例) 
 第7実験例のサンプルの仕様は、以下の通り である。 
 記録層22は、厚さ約10nmのZnNbN 2 と、厚さ約1nmのZnGeN 2 と、厚さ約5nmのNbONと、からなる積層構造か 構成する。 
 この場合、リセット状態の抵抗値は、10 7 ω台、セット状態の抵抗値は、10 4 ω台という結果が期待される。また、サイク 寿命は、10万サイクル以上を実現できるこ が期待される。

 (第8実験例) 
 第8実験例のサンプルの仕様は、以下の通り である。 
 記録層22は、厚さ約10nmのZnTaN 2 と、厚さ約1nmのZnGeN 2 と、厚さ約5nmのTaONと、からなる積層構造か 構成する。 
 この場合、リセット状態の抵抗値は、10 7 ω台、セット状態の抵抗値は、10 4 ω台という結果が期待される。また、サイク 寿命は、10万サイクル以上を実現できるこ が期待される。

 (第9実験例) 
 第9実験例のサンプルの仕様は、以下の通り である。 
 記録層22は、厚さ約10nmのZnMn 2 O 4 と、厚さ約1nmのZnOと、厚さ約5nmのZrO 2 と、からなる積層構造から構成する。 
 この場合、リセット状態の抵抗値は、10 7 ω台、セット状態の抵抗値は、10 4 ω台という結果が期待される。また、サイク 寿命は、10万サイクル以上を実現できるこ が期待される。

 (第10実験例) 
 第10実験例のサンプルの仕様は、以下の通 である。 
 記録層22は、厚さ約10nmのZnCo 2 O 4 と、厚さ約2nmのZnOと、厚さ約5nmのReO 3 と、からなる積層構造から構成する。 
 この場合、リセット状態の抵抗値は、10 7 ω台、セット状態の抵抗値は、10 4 ω台という結果が期待される。また、サイク 寿命は、10万サイクル以上を実現できるこ が期待される。

 (第11実験例) 
 第11実験例のサンプルの仕様は、以下の通 である。 
 記録層22は、厚さ約10nmのNaFeO 2 と、厚さ約2nmのNaAlO 2 と、厚さ約5nmのWO 3 と、からなる積層構造から構成する。 
 この場合、リセット状態の抵抗値は、10 7 ω台、セット状態の抵抗値は、10 4 ω台という結果が期待される。また、サイク 寿命は、10万サイクル以上を実現できるこ が期待される。

 (第12実験例) 
 第12実験例のサンプルの仕様は、以下の通 である。 
 記録層22は、厚さ約10nmのNaFeO 2 と、厚さ約2nmのNaYF 4 と、厚さ約5nmのReO 3 と、からなる積層構造から構成する。 
 この場合、リセット状態の抵抗値は、10 7 ω台、セット状態の抵抗値は、10 4 ω台という結果が期待される。また、サイク 寿命は、10万サイクル以上を実現できるこ が期待される。

 (第13実験例) 
 第13実験例のサンプルの仕様は、以下の通 である。 
 記録層22は、厚さ約10nmのMgMn 2 O 4 と、厚さ約2nmのMgAl 2 O 4 と、厚さ約5nmのReO 3 と、からなる積層構造から構成する。 
 この場合、リセット状態の抵抗値は、10 7 ω台、セット状態の抵抗値は、10 4 ω台という結果が期待される。また、サイク 寿命は、10万サイクル以上を実現できるこ が期待される。

 (第14実験例) 
 第14実験例のサンプルの仕様は、以下の通 である。 
 記録層22は、厚さ約10nmのMgMn 2 O 4 と、厚さ約2nmのMgOと、厚さ約5nmのWO 3 と、からなる積層構造から構成する。 
 この場合、リセット状態の抵抗値は、10 7 ω台、セット状態の抵抗値は、10 4 ω台という結果が期待される。また、サイク 寿命は、10万サイクル以上を実現できるこ が期待される。

 (第15実験例) 
 第15実験例のサンプルの仕様は、以下の通 である。 
 記録層22は、厚さ約10nmのMgMoO 3 と、厚さ約2nmのMgSnO 3 と、厚さ約5nmのWO 3 と、からなる積層構造から構成する。 
 この場合、リセット状態の抵抗値は、10 7 ω台、セット状態の抵抗値は、10 4 ω台という結果が期待される。また、サイク 寿命は、10万サイクル以上を実現できるこ が期待される。

 (比較例) 
 比較例のサンプルの仕様は、以下の通りで る。 
 記録層22は、厚さ約10nmのZn 1.1 Mn 1.9 O 4 と、厚さ約5nmのTiO 2 と、からなる積層構造のみから構成する。 
 この場合、サイクル寿命は、第1実験例~第15 実験例と同様に10万サイクル以上を実現でき ことが予想される。また、リセット状態の 抗値は、第1実験例~第15実験例と同様の10 7 ω台であることが予想されるが、セット状態 抵抗値は、10 2 ~10 3 ωという低い結果が得られることが予想され 。

 以上説明したように、第1実験例~第15実験例 のいずれのサンプルにおいても、書き込み、 消去、及び読み出しの基本動作及び十分なサ イクル寿命を満たしている。また、これら実 験例では、セット時の抵抗値は比較例に比べ 1~2桁程度高い。すなわち、良好なオン抵抗値 が得られている。これにより、記録層の効率 的なジュール加熱が可能になるとともに、記 録層のオン電流が低減し、もって消費電力の 低減化が図られる。 
 図34は、第1実験例~第15実験例及び比較例の 想値を表す表である。

 以上説明したように、本発明の実施形態に れば、情報記録(書き込み)は、電場が印加 れた部位(記録単位)のみで行われるため、極 めて微細な領域に、極めて小さな消費電力で 情報を記録できる。これにより、多数セルの 同時並行処理が可能となり、チップ当たり極 めて高速な動作を行うことが可能となる。 
 また、消去は、熱を印加することにより行 が、本実施形態の例で提案する材料を用い ば酸化物の構造変化がほとんど生じないた 、小さな消費電力で消去が可能となる。あ いは、消去は記録時と逆向きの電場を印加 て行うこともできる。この場合には、熱の 散というエネルギーロスが少ないため、よ 小さな消費電力で消去が可能となる。

 さらに、本実施形態によれば、書き込み後 おいては、絶縁体内に導体部が形成された となるため、読み出しの際においては、電 が導体部に集中して流れることになり、感 効率が極めて高い記録原理を実現できる。
 さらに、本実施形態によれば、移動しやす 陽イオンと、母体構造を安定に保つ遷移元 イオンと、を組みあわせることにより、繰 返し安定に記録消去することが可能となる

 さらに、記録層に具体例2または具体例4 関して前述した記録層を用いた場合には、 の効果が発現される。すなわち、適切な膜 を有する高抵抗率の絶縁層を導入すること より、スイッチングが阻害されることなく オン抵抗値を適切な値に設定し、リセット 作時において記録層が効率的にジュール加 されることが可能となり、もって消費電力 低減化が図られる。また、記録層のオン状 の抵抗が増大し、オン電流が低減する。こ らにより、セル当たり極めて小さな消費電 で各種動作を行うことが可能となる。

 このように、本実施形態の例によれば、 めて単純な仕組みであるにもかかわらず、 来技術では到達することのできない記録密 による情報記録が可能になるとともに、高 動作が可能になる。したがって、本実施形 の例は、現在の不揮発性メモリの記録密度 壁を打ち破る次世代技術として産業上のメ ットは多大である。

 なお、本実施形態の例は、上述の実施の 態に限定されるものではなく、その要旨を 脱しない範囲で、各構成要素を変形して具 化できる。また、本実施形態の例は、成膜 れた直後の状態を初期状態として、セット リセットを定義したが、セット、リセット 定義は任意のものであり、本実施形態の例 限定されるものではない。さらに、上述の 施形態に開示されている複数の構成要素の 宜な組み合せにより種々の発明を構成でき 。例えば、上述の実施形態に開示される全 成要素から幾つかの構成要素を削除しても いし、異なる実施形態の構成要素を適宜組 合わせてもよい。

 本発明によれば、高記録密度かつ低消費 力で、熱安定性が高く、安定動作可能な不 発性の情報記録再生装置が提供される。