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Title:
INHIBITOR OF ISCHEMIC DISORDERS
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/028707
Kind Code:
A1
Abstract:
It is intended to provide a drug which is efficacious in treating and preventing diseases wherein ischemia or an inflammatory substance associated with ischemia participates in the onset or worsening thereof. Because of containing as the active ingredient a substance selected from among farnesol, a farnesol derivative, a tocopherol derivative, a tocotrienol derivative, pharmacologically acceptable salts thereof and solvates thereof, the above-described inhibitor of ischemic disorders can exert therapeutic and preventive effects on diseases wherein ischemia or an inflammatory substance associated with ischemia participates in the onset or worsening thereof (for example, brain infarction, brain edema, cardiac infarction, etc.) not only by the administration in the acute ischemic stage but also by the therapeutic administration in the subacute and/or chronic stages after ischemic reperfusion. It is also intended to provide a farnesol carboxylic acid ester derivative and a method of producing the same.

Inventors:
TAKATA JIRO (JP)
MISHIMA KENICHI (JP)
NAKASHIMA MANABU (JP)
IWASAKI KATSUNORI (JP)
MATSUNAGA KAZUHISA (JP)
KARUBE YOSHIHARU (JP)
FUJIWARA MICHIHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/065680
Publication Date:
March 05, 2009
Filing Date:
September 01, 2008
Export Citation:
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Assignee:
UNIV FUKUOKA (JP)
TAKATA JIRO (JP)
MISHIMA KENICHI (JP)
NAKASHIMA MANABU (JP)
IWASAKI KATSUNORI (JP)
MATSUNAGA KAZUHISA (JP)
KARUBE YOSHIHARU (JP)
FUJIWARA MICHIHIRO (JP)
International Classes:
C07C229/08; A61K31/22; A61K31/223; A61K31/355; A61K31/665; A61P7/10; A61P9/10; C07C227/18; C07C229/12; C07C271/22; C07F9/655
Foreign References:
JP2003292413A2003-10-15
US20030187059A12003-10-02
JP2002080475A2002-03-19
JP2005119991A2005-05-12
JP2007225021A2007-09-06
JP2000268885A2000-09-29
Other References:
KRAFT G.A. ET AL.: "Synthesis of 14C-labeled 10,11-epoxyfarnesyl diazoacetate, a potential photoaffinity labeling reagent for insect juvenile hormone binding proteins", JOURNAL OF LABELLED COMPOUNDS AND RADIOPHARMACEUTICALS, vol. 19, no. 4, 1982, pages 591 - 596, XP008132247
WILD H. ET AL.: "Kettenverlängerung von Kohlenhydraten mit Hilfe von C-Phenylglycin,", LIEBIGS ANNALEN DER CHEMIE, no. 9, 1986, pages 1548 - 1567, XP008132248
See also references of EP 2199275A4
MISHIMA K; TANAKA T; PU F; EGASHIRA N; IWASAKI K; HIDAKA R; MATSUNAGA K; TAKATA J; KARUBE Y; FUJIWARA M: "Vitamin E isoforms a-tocotrienol and y-tocopherol prevent cerebral infarction in mice", NEUROSCIENCE LET, vol. 337, 2003, pages 56 - 60
TAKATA J.; HIDAKA R.; YAMASAKI A.; HATTORI A.; FUKUSHIMA T.; TANABE M.; MATSUNAGA K.; KARUBE Y; IMAI K.: "Novel d-y-tocopherol derivative as a prodrug for d-y-tocopherol and a two-step prodrug for S-y-CEHC", J. LIPID RES., vol. 43, 2002, pages 2196 - 2204
KOIZUMI ET AL., STROKES, vol. 8, 1997, pages 1 - 8
Attorney, Agent or Firm:
IWAHASHI, Yuji (Kanagawa Kanagawa-ku, Yokohama-sh, Kanagawa 45, JP)
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Claims:
 下記一般式(1):
(式中、R 1 は窒素置換基を有するカルボン酸残基を意味する。R 1 の窒素置換基を有するカルボン酸残基は、アミノ酸、N-アシルアミノ酸、N-アルキルアミノ酸、N,N-ジアルキルアミノ酸、ピリジンカルボン酸、およびそれらの生理学的に許容されるハロゲン化水素酸塩、アルキルスルホン酸塩、酸性糖塩の残基からなる群より選択される。)で表されるファルネソールカルボン酸エステル誘導体。
 下記一般式(2):
(式中、R 2 は水素または窒素置換基を有するカルボン酸残基を意味する。R 2 の窒素置換基を有するカルボン酸残基は、アミノ酸、N-アシルアミノ酸、N-アルキルアミノ酸、N,N-ジアルキルアミノ酸、ピリジンカルボン酸およびそれらの生理学的に許容されるハロゲン化水素酸塩、アルキルスルホン酸塩、酸性糖塩の残基からなる群より選択される。)で表されるファルネソール又はファルネソール誘導体及びそれらの薬理学的に許容できる塩、並びにそれらの溶媒和物及びそれらの水和物からなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を有効成分とすることを特徴とする虚血再潅流障害抑制剤。
 下記一般式(3):
(式中、R 3 ,R 4 はそれぞれ水素原子またはメチル基を意味し、R 5 は窒素置換基を有するカルボン酸残基、又はリン酸残基を意味する。
 R 5 の窒素置換基を有するカルボン酸残基は、アミノ酸、N-アシルアミノ酸、N-アルキルアミノ酸、N,N-ジアルキルアミノ酸、ピリジンカルボン酸およびそれらの生理学的に許容されるハロゲン化水素酸塩、アルキルスルホン酸塩、酸性糖塩の残基からなる群より選択される。
 R 5 のリン酸残基はPO(OR 7 ) 2 で表され、R 7 は、それぞれ同一又は異なって、水素、メチル基、生理学的に許容されるアルカリ金属、アルカリ土類金属からなる群より選択される。
 R 6 は、下記式(3a):
または下記式(3b):
で表される基である。)で表されるトコフェロール誘導体またはトコトリエノール誘導体及びその薬理学的に許容される塩、並びにそれらの溶媒和物及びそれらの水和物からなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を有効成分とすることを特徴とする虚血再潅流障害抑制剤。
 請求項3記載の虚血再潅流障害抑制剤において、前記一般式(3)における基R 6 が前記式(3b)であることを特徴とする虚血再潅流障害抑制剤。
 請求項3記載の虚血再潅流障害抑制剤において、前記一般式(3)における基R 6 が前記式(3a)であることを特徴とする虚血再潅流障害抑制剤。
 請求項3~5の何れかに記載の虚血再潅流障害抑制剤において、前記一般式(3)における基R 5 が窒素置換基を有するカルボン酸残基であることを特徴とする虚血再潅流障害抑制剤。
 請求項3~5の何れかに記載の虚血再潅流障害抑制剤において、前記一般式(3)における基R 5 がリン酸残基であることを特徴とする虚血再潅流障害抑制剤。
 請求項1~7に記載のファルネソール、ファルネソール誘導体、トコフェロール誘導体、トコトリエノール誘導体、及びそれらの薬理学的に許容される塩、並びにそれらの溶媒和物及びそれらの水和物からなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を有効成分とすることを特徴とする脳梗塞治療剤又は予防剤。
 請求項1~7に記載のファルネソール、ファルネソール誘導体、トコフェロール誘導体、トコトリエノール誘導体、及びそれらの薬理学的に許容される塩、並びにそれらの溶媒和物及びそれらの水和物からなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を有効成分とすることを特徴とする脳浮腫治療剤又は予防剤。
 請求項1~7に記載のファルネソール、ファルネソール誘導体、トコフェロール誘導体、トコトリエノール誘導体、及びそれらの薬理学的に許容される塩、並びにそれらの溶媒和物及びそれらの水和物からなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を有効成分とすることを特徴とする心筋梗塞治療剤又は予防剤。
 1級または2級アミノ基、あるいは側鎖に水酸基またはチオール基を有するアミノ酸の前記アミノ基、水酸基及びチオール基を保護基で保護し、該保護基結合アミノ酸とファルネソールとをエステル化反応させることを特徴とする前記請求項1記載のファルネソールカルボン酸エステル誘導体の製造方法。
 N,N-ジアルキルアミノ酸のハロゲン化水素酸塩を用いて活性エステル化試薬の存在下にファルネソールとエステル化反応させることを特徴とする前記請求項1記載のファルネソールカルボン酸エステル誘導体の製造方法。
Description:
虚血性障害抑制剤 関連出願

 本出願は、2007年8月31日付け出願の日本国 特許出願2007-225021号の優先権を主張しており ここに折り込まれるものである。

 本発明は、生体内における虚血あるいは 血に伴う起炎性物質が発症や憎悪に関与し いる疾病の治療及び予防に有用な医薬の発 に関するものである。

 近年、虚血性脳血管障害(脳梗塞、脳浮腫 、脳出血、脳挫傷、新生児低酸素性虚血性脳 症)、神経変性疾患(パーキンソン病、アルツ イマー病)、肺疾患(肺酸素中毒、成人呼吸 迫症候群)、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞 など)、循環器疾患(動脈硬化)、消化器疾患( 化性潰瘍、潰瘍性大腸炎、クローン病)など その発症や増悪に虚血やそれに伴う起炎性 質が関与していると考えられている病態や 患は多岐に渡っており枚挙にいとまがない これらのほとんどの疾患は進行的であり、 の予防剤や治療剤の開発が強く望まれてい 。

 虚血性脳血管障害、特に脳梗塞は、脳血 量の低下によって種々の障害機序がドミノ に生じ、脳損傷を虚血中心部から虚血周辺 に拡大していく進行性の疾患である。急性 障害の予防はもちろん重要ではあるが、重 性やQOLを考慮すると発症後の亜急性期、慢 期の治療が極めて重要となる。脳梗塞発症 の治療剤は極めて少なく、特に発症後の亜 性期、慢性期の治療薬で実用化されている のはない。現時点では、脳血流低下による 血中心部を改善する脳梗塞急性期の治療薬 して、血栓溶解剤のtissue plasminogen activator( tPA)やハイドロオキシラジカル消去剤のエダ ボンがあげられるが、これらは出血や腎不 などの重篤な副作用の問題がある。すなわ 、脳梗塞発症後の治療開始までの時間に余 がある優れた亜急性期・慢性期虚血性脳血 障害の治療薬の開発が望まれている。

 発明者等は、マウス中大動脈(MCA)閉塞モ ルにおいて、ビタミンE同族体を梗塞直前と 塞途中の2回静脈内投与することすなわち予 防的投与において、 2R-γ-トコフェロール ( -Toc)と2R-α-トコトリエノール (α-T3)がビタミ ンE同族体の中でより優れた梗塞巣抑制効果 示し、脳梗塞急性期の障害に対して予防効 を有することをin vivoで開示した(非特許文 1)。

 ビタミンE同族体は、いずれも水に不溶で あり急速なバイオアベイラビリティを確保で きる静脈内投与は不可能であるため実験的に はジメチルスルフォキサイド(DMSO)などの有機 溶媒を用いた可溶化、あるいは界面活性剤を 用いる可溶化による方法によって静脈内投与 が試みられているが、有機溶媒を用いた可溶 化方法は臨床には不適であり、大量の非イオ ン性界面活性剤の使用はアナフィラキシーシ ョック等の重篤な問題を生じる場合があり、 反復して投与する場合には、その有害性を完 全に払拭することはできない。

 発明者等は、特定のトコフェロール誘導体( 非特許文献2)、トコトリエノール誘導体(特許 文献1)は、静脈内投与可能な水溶性誘導体で ることを開示した。また、トコフェロール ン酸エステルナトリウム塩はトコフェロー の水溶性誘導体として知られている。
 しかし、これまでビタミンE同族体あるいは ビタミンE同族体の誘導体が梗塞(虚血)再潅流 後すなわち梗塞発症後投与すなわち治療的投 与によって虚血再潅流障害に対して治療効果 を示すか否かについては全く記載がない。
 また、ビタミンE同族体の誘導体が梗塞直前 と梗塞途中の2回静脈内投与することすなわ 予防的投与において、脳梗塞急性期の障害 対して予防効果を示すか否かについても全 記載がない。

 一方、ファルネソールは3つのイソプレンを 持つセスキテルペンの1種類であり、バラ、 モングラス、シトロネラの精油に含まれる 色の液体で、香料や皮膚保護剤として使わ 、医薬としては高脂血症防止効果、真菌に する抗菌効果、酸化的障害に対する防護効 など、優れた効果が期待されている。
 しかしながら、ファルネソール及びその類 体あるいはそれらの誘導体について、梗塞( 虚血)再潅流後すなわち梗塞発症後投与すな ち治療的投与によって虚血再潅流障害に対 て治療効果を発揮することはこれまで報告 れていない。また、梗塞直前と梗塞途中の2 静脈内投与することすなわち予防的投与に いて、脳梗塞急性期の障害に対して予防効 を発揮することについても全く報告されて ない。

 また、ファルネソールは水に全く溶解しな 揮発性の化合物である。このため、ファル ソールの水溶性製剤または水性化粧品の調 には大量の非イオン性界面活性剤の添加に る可溶化法が検討されるが、大量の界面活 剤はアナフィラキシーショック等の重篤な 題を生じる場合がある。
 そこで、融点が高く室温で固形であり、同 に高い水溶性を有し、生体内でファルネソ ルの有用な作用を呈することができる誘導 も求められている。

特願2000-268885 Mishima K, Tanaka T, Pu F, Egashira N, Iwasaki  K, Hidaka R, Matsunaga K, Takata J, Karube Y, Fuj iwara M. Vitamin E isoforms α-tocotrienol and γ-toc opherol prevent cerebral infarction in mice. Neuroscie nce Let 2003; 337:56-60. Takata J., Hidaka R., Yamasaki A., Hattori A., Fukushima T., Tanabe M., Matsunaga K., Karube Y., I mai K., Novel d-γ-tocopherol derivative as a prodrug  for d-γ-tocopherol and a two-step prodrug for S-γ -CEHC. J. Lipid Res., 43, 2196-2204 (2002).

 本発明は従来技術に鑑みなされたもので り、その目的は、虚血あるいは虚血に伴う 炎性物質が発症や憎悪に関与している疾病 治療及び予防に有効な医薬を提供すること ある。

 上記課題を解決すべく、本発明者等は鋭意 究を進めてきた結果、特定のファルネソー カルボン酸誘導体が、高い融点を持ち室温 固形であり優れた水溶性を持ち生体内でフ ルネソールの有用な作用を呈することがで ることを見いだした。そして、ファルネソ ルやこのファルネソール誘導体は、虚血あ いは虚血に伴う起炎性物質が発症や憎悪に 与している疾病の治療剤及び予防剤として 期の目的を達成できることを見いだした。
 さらに、特定のトコフェロール誘導体およ 特定のトコトリエノール誘導体についても 虚血あるいは虚血に伴う起炎性物質が発症 憎悪に関与している疾病の治療剤及び予防 として所期の目的を達成できることを見い し、本発明を完成するに至った。

 すなわち、本発明は、下記一般式(1):
(式中、R 1 は窒素置換基を有するカルボン酸残基を意味 する。R 1 の窒素置換基を有するカルボン酸残基は、ア ミノ酸、N-アシルアミノ酸、N-アルキルアミ 酸、N,N-ジアルキルアミノ酸、ピリジンカル ン酸およびそれらの生理学的に許容される ロゲン化水素酸塩、アルキルスルホン酸塩 酸性糖塩の残基からなる群より選択される )で表されるファルネソールカルボン酸エス テル誘導体を提供する。

 また、本発明は、下記一般式(2):
(式中、R 2 は水素または窒素置換基を有するカルボン酸 残基を意味する。R 2 の窒素置換基を有するカルボン酸残基は、ア ミノ酸、N-アシルアミノ酸、N-アルキルアミ 酸、N,N-ジアルキルアミノ酸、ピリジンカル ン酸およびそれらの生理学的に許容される ロゲン化水素酸塩、アルキルスルホン酸塩 酸性糖塩の残基からなる群より選択される )で表されるファルネソール、ファルネソー ル誘導体、及びその薬理学的に許容できる塩 、並びにそれらの溶媒和物及びそれらの水和 物からなる群から選ばれる物質を有効成分と することを特徴とする虚血性障害抑制剤を提 供する。

 なお、一般式(1)又は(2)で表されるファルネ ール誘導体には、ファルネシル基(-[CH 2 CH=CH(CH 3 )CH 2 ] 3 -H)の2位の水素と3位のメチル基のトランス体 シス体、6位の水素と7位メチル基のトラン 体とシス体が存在するが、本発明はこれら 異性体(すなわち、(2E,6E)体、(2E,6Z)体、(2Z,6E) 、(2Z,6Z)体、ならびにそれらの混合体)を包 するものである。

 また、本発明は、下記一般式(3):
(式中、R 3 ,R 4 はそれぞれ水素原子またはメチル基を意味し 、R 5 は窒素置換基を有するカルボン酸残基、又は リン酸残基を意味する。
 R 5 の窒素置換基を有するカルボン酸残基は、ア ミノ酸、N-アシルアミノ酸、N-アルキルアミ 酸、N,N-ジアルキルアミノ酸、ピリジンカル ン酸およびそれらの生理学的に許容される ロゲン化水素酸塩、アルキルスルホン酸塩 酸性糖塩の残基からなる群より選択される
 R 5 のリン酸残基はPO(OR 7 ) 2 で表され、R 7 は、それぞれ同一又は異なって、水素、メチ ル基、生理学的に許容されるアルカリ金属、 アルカリ土類金属からなる群より選択される 。
 R 6 は、下記式(3a):
または下記式(3b):
で表される基である。)で表されるトコフェ ール誘導体またはトコトリエノール誘導体 びその薬理学的に許容される塩、並びにそ らの溶媒和物及びそれらの水和物からなる から選ばれる少なくとも一つの物質を有効 分とすることを特徴とする虚血再潅流障害 制剤を提供する。

 なお、一般式(3)で表されるトコフェロー /トコトリエノールエステル誘導体には、基 (3b)のファルネシル基の2位の水素と3位のメチ ル基のトランス体とシス体、6位の水素と7位 チル基のトランス体とシス体が存在するが 本発明はこれらの異性体を包含するもので る。

 また、本発明にかかる脳梗塞治療剤、脳 塞予防剤、脳浮腫治療剤、脳浮腫予防剤、 筋梗塞治療剤もしくは心筋梗塞予防剤は、 記一般式(1)~(3)で表されるファルネソール、 ファルネソール誘導体、トコフェロール誘導 体、トコトリエノール誘導体、及びそれらの 薬理学的に許容される塩、並びにそれらの溶 媒和物及びそれらの水和物からなる群から選 ばれる少なくとも一つの物質を有効成分とす ることを特徴とする。

 また、本発明で提供されるファルネソー カルボン酸エステル誘導体の製造方法は、1 級または2級アミノ基あるいは側鎖に水酸基 たはチオール基を有するアミノ酸の前記ア ノ基、水酸基及びチオール基を保護基で保 し、該保護基結合アミノ酸とファルネソー とをエステル化反応させることを特徴とす 。

 また、本発明で提供される別のファルネ ールカルボン酸エステル誘導体の製造方法 、N,N-ジアルキルアミノ酸のハロゲン化水素 酸塩を用いて活性エステル化試薬の存在下に ファルネソールとエステル化反応させること を特徴とする。

 本発明にかかる虚血性障害抑制剤によれば ファルネソール、ファルネソール誘導体、 コフェロール誘導体、トコトリエノール誘 体、及びそれらの薬理学的に許容される塩 らびにそれらの溶媒和物から選ばれる物質 有効成分とすることにより、虚血急性期投 における予防効果だけでなく、虚血再潅流 の亜急性期・慢性期における治療的投与に いても虚血あるいは虚血に伴う起炎性物質 発症や憎悪に関与している疾病に対して治 効果を発揮することができる。
 また、本発明で提供されるファルネソール 導体は、水溶性の固体として得ることがで る。

本発明にかかるファルネソール誘導体 よる虚血性脳障害の予防効果の説明図であ 。 本発明にかかるファルネソール誘導体 よる虚血性脳障害の予防効果の説明図であ 。 本発明にかかるファルネソール誘導体 よる虚血性脳障害の治療効果の説明図であ 。 本発明にかかるトコフェロール誘導体 よる虚血性脳障害の予防効果の説明図であ 。 本発明にかかるトコフェロール誘導体 よる虚血性脳障害の予防効果の説明図であ 。

本発明にかかるトコフェロール誘導体 よる虚血性脳障害の治療効果の説明図であ 。 本発明にかかるトコトリエノール誘導 による虚血再潅流脳障害の予防効果の説明 である。 本発明にかかるトコトリエノール誘導 による虚血再潅流脳障害の治療効果の説明 である。 本発明にかかるトコフェロール誘導体 よる虚血再潅流脳障害の予防効果の説明図 ある。 本発明にかかるトコフェロール誘導体 による虚血再潅流脳障害の治療効果の説明図 である。

 以下、本発明の好適な実施形態について説 する。
 本発明は、下記一般式(1)であらわされるフ ルネソールカルボン酸エステル誘導体及び の製造方法に関する。
(式中、R 1 は窒素置換基を有するカルボン酸残基を意味 する。R 1 の窒素置換基を有するカルボン酸残基は、ア ミノ酸、N-アシルアミノ酸、N-アルキルアミ 酸、N,N-ジアルキルアミノ酸、ピリジンカル ン酸およびそれらの生理学的に許容される ロゲン化水素酸塩、アルキルスルホン酸塩 酸性糖塩の残基からなる群より選択される )

 本発明において、「カルボン酸残基」と 、カルボン酸のカルボキシル基(COOH)からOH が除去された残基を意味する。

 窒素置換基を有するカルボン酸残基にお て、アルキル置換アミノ基のアルキル基と 、炭素数1~6の直鎖もしくは分岐のアルキル 、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル 、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、イソプロピ 基、イソブチル基、1-メチルプロピル基、te rt-ブチル基、1-エチルプロピル基、イソアミ 基などを例示することが可能であり、特に チル基、エチル基が好ましい。アシル置換 ミノ基のアシル基とは炭素数1~6の直鎖もし は分岐のアルキル基を炭化水素鎖とするア ル基が好ましく、アルキル基部分の具体例 ついては前述の通りである。

 また、アミノ基とカルボニル基の間は、 ましくは炭素数1~6の直鎖、分岐または環状 アルキレン基で結合される。分岐状のアル レン基とは、例えば、イソプロピル基、イ ブチル基、1-メチルプロピル基、tert-ブチル 基、1-エチルプロピル基などのアルキル基か 誘導されたアルキレン基を意味する。環状 ルキレン基とは、シクロペンタン環、シク ヘキサン環、あるいはメチルシクロヘキサ 環などを構造中に含むアルキレン基を意味 る。アルキレン基として特に好ましいのは チレン基あるいはエチレン基である。

 窒素置換基を有するカルボン酸残基中の 素置換基は塩を形成してもよく、例えば、 ロゲン化水素酸塩としては、塩酸塩、臭化 素酸塩などが好ましい。本発明において、 ロゲン化水素酸塩は融点が原体のファルネ ールよりも高く、製剤化にあたっての取扱 容易になる利点がある。また、アルキルス ホン酸塩としてはメタンスルホン酸塩など 例示される。糖酸塩としてはグルコン酸塩 グルコヘプタン酸塩、ラクトビオン酸塩な が例示される。

 次に、本発明にかかるファルネソールカル ン酸エステル誘導体の製造方法としては、 下のような方法が例示される。
 下記一般式(4)で表されるファルネソールと 素置換基を有するカルボン酸、もしくはそ 反応性酸誘導体、またはこれらのハロゲン 水素酸塩とを、常法によりエステル化反応 行うことにより、本発明のファルネソール ルボン酸エステル(1)を得ることができる。 般式(4)におけるファルネシル基の立体異性 、前記一般式(1)における説明の通りである

 ファルネソールのエステル化反応は常法 従うが、1級又は2級アミノ基、あるいは側 に水酸基又はチオール基を有するアミノ酸 用いてエステル化を行う際は、tert-ブトキシ カルボニル基(以下t-BOC基と略記)、ベンジル キシカルボニル基(以下Z基と略記)などの適 な保護基でこれら1級又は2級アミノ基、水酸 基、チオール基を保護して用いることが好ま しい。

 また、N,N-ジアルキルアミノ酸はハロゲン化 水素酸塩を用いて、ジシクロヘキシルカルボ ジイミド(以下DCCと略記)、N,N-ジサクシニミド オキザレート(以下DSOと略記)などの活性エス ル化試薬の存在下に反応を行うことが好ま い。この際溶媒としては無水ピリジンが好 しい。
 また、反応性酸誘導体を用いる方法では、 ハロゲナイト、特に酸クロリドを用いる方 が好ましい。この際溶媒としては無水ベン ン-無水ピリジン混合物が好ましい。

 ハロゲン化水素酸塩、アルキルスルホン酸 、酸性糖塩は常法により遊離のアミノ酸エ テルとハロゲン化水素酸、アルキルスルホ 酸、酸性糖のラクトン体を反応させて製造 る。また、N-アシルアミノ酸エステルを製 した後、常法によりハロゲン化水素酸で脱 護基化することによってハロゲン化水素酸 を製造することができる。
 本発明のファルネソールカルボン酸エステ (1)のハロゲン化水素酸塩は、高融点の結晶 の粉末であり、製剤技術上、取扱が容易か 簡便であり、高い水溶性を有する。従って 静脈内投与可能な製剤、点眼剤、経口製剤 水性塗布剤、スプレー剤などに有用である

 また、本発明は下記一般式(2)であらわさ るファルネソールまたはファルネソール誘 体、及びそれらの塩ならびにそれらの溶媒 物を含有する、虚血あるいは虚血に伴う起 性物質が発症や憎悪に関与している疾病の 療剤又は予防剤に関する。一般式(2)で表さ る化合物は、単独で製剤に含有させること できるし、その薬理学的に許容される塩や 媒和物として製剤に配合することもできる

(式中、R 2 は水素または窒素置換基を有するカルボン酸 残基を意味する。R 2 の窒素置換基を有するカルボン酸残基は、ア ミノ酸、N-アシルアミノ酸、N-アルキルアミ 酸、N,N-ジアルキルアミノ酸、ピリジンカル ン酸およびそれらの生理学的に許容される ロゲン化水素酸塩、アルキルスルホン酸塩 酸性糖塩の残基からなる群より選択される )

 R 2 の窒素置換基を有するカルボン酸残基とは、 前記R 1 における説明の通りである。

 また、本発明は、下記一般式(3)であらわ れるトコフェロールエステル誘導体および コトリエノールエステル誘導体、及びそれ の塩、ならびにそれらの溶媒和物を含有す 、虚血あるいは虚血に伴う起炎性物質が発 や憎悪に関与している疾病の治療剤又は予 剤に関する。一般式(3)で表される化合物は 単独で製剤に含有させることもできるし、 の薬理学的に許容される塩や溶媒和物とし 製剤に配合することもできる。

(式中、R 3 ,R 4 はそれぞれ水素原子またはメチル基を意味し 、R 5 は窒素置換基を有するカルボン酸残基、又は リン酸残基を意味する。

 R 5 の窒素置換基を有するカルボン酸残基は、ア ミノ酸、N-アシルアミノ酸、N-アルキルアミ 酸、N,N-ジアルキルアミノ酸、ピリジンカル ン酸およびそれらの生理学的に許容される ロゲン化水素酸塩、アルキルスルホン酸塩 酸性糖塩の残基からなる群より選択される
 R 5 のリン酸残基はPO(OR 7 ) 2 で表され、R 7 は、それぞれ同一又は異なって、水素、メチ ル基、生理学的に許容されるアルカリ金属、 アルカリ土類金属からなる群より選択される 。

 R 6 は、下記式(3a):
または下記式(3b):
で表される基である。)

 R 5 が窒素置換基を有するカルボン酸残基である トコトリエノール/トコフェロールカルボン エステルは、下記一般式(3-1)で表すことがで きる。
(式中、R 3 、R 4 、R 6 はそれぞれ前記一般式(3)における定義の通り であり、R 5 は窒素置換基を有するカルボン酸残基である 。)

 窒素置換基を有するカルボン酸残基にお て、アルキル置換アミノ基のアルキル基と 炭素数1~6の直鎖もしくは分岐のアルキル基 例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基 n-ペンチル基、n-ヘキシル基、イソプロピル 、イソブチル基、1-メチルプロピル基、tert- ブチル基、1-エチルプロピル基、イソアミル などを例示することが可能であり、特にメ ル基、エチル基が好ましい。アシル置換ア ノ基のアシル基とは炭素数1~6の直鎖もしく 分岐のアルキル基を炭化水素鎖とするアシ 基が好ましく、アルキル基部分の具体例に いては前述の通りである。

 また、アミノ基とカルボニル基の間は、 ましくは炭素数1~6の直鎖、分岐または環状 アルキレン基で結合される。分岐状のアル レン基とは、例えば、イソプロピル基、イ ブチル基、1-メチルプロピル基、tert-ブチル 基、1-エチルプロピル基などのアルキル基か 誘導されたアルキレン基を意味する。環状 ルキレン基とは、シクロペンタン環、シク ヘキサン環、あるいはメチルシクロヘキサ 環などを構造中に含むアルキレン基を意味 る。アルキレン基として特に好ましいのは チレン基あるいはエチレン基である。

 前記窒素置換基を有するカルボン酸残基 の窒素置換基は塩を形成してもよく、例え 、ハロゲン化水素酸塩としては、塩酸塩、 化水素酸塩などが好ましい。本発明におい 、ハロゲン化水素酸塩は融点が原体のトコ ェロール類やトコトリエノール類よりも高 、製剤化にあたっての取扱が容易になる利 がある。また、アルキルスルホン酸塩とし はメタンスルホン酸塩などが例示される。 酸塩としてはグルコン酸塩、グルコヘプタ 酸塩、ラクトビオン酸塩などが例示される

 また、R 5 がリン酸残基であるトコトリエノール/トコ ェロールリン酸エステルは、下記一般式(3-2) で表すことができる。

(式中、R 3 、R 4 、R 6 はそれぞれ前記一般式(3)における定義の通り であり、R 7 は、それぞれ同一又は異なって、水素原子、 メチル基、アルカリ金属及びアルカリ土類金 属からなる群から選択される。

 本発明の虚血再潅流障害抑制剤には、有 成分である前記一般式(1)~(3)の化合物の1種 上に加え、その効果を阻害しない範囲で、 の成分を含有させることができる。例えば 薬学的に許容される担体として、賦形剤,滑 剤,結合剤,崩壊剤,安定剤,矯味矯臭剤,希釈 ,界面活性剤,乳化剤,可溶化剤,吸収促進剤,保 湿剤,吸着剤,充填剤,増量剤,付湿剤,防腐剤等 添加剤を用いて周知の方法で製剤化するこ ができる。また、従来知られている虚血性 患の予防剤又は治療剤を併用することも可 である。

 本発明の虚血再潅流障害抑制剤の剤形と ては、例えば錠剤,カプセル剤,顆粒剤,散剤, 丸剤,トローチ,もしくはシロップ剤,注射剤等 の液剤,等の形態が挙げられる。液剤製品等 、必要に応じて、メンブランフィルター等 よる濾過滅菌後に密封充填する方法や、そ 後更に高圧蒸気滅菌,熱水滅菌を施す等の、 用されている滅菌処理を施しても良い。

 本発明の虚血再潅流障害抑制剤の投与経 としては、経口投与,静注等の静脈投与,動 等の動脈投与(冠動脈内投与等),筋注等の筋 内投与,経皮投与,経鼻投与,皮内投与,皮下投 ,腹腔内投与,直腸内投与,粘膜投与,吸入等が 挙げられるが、少なくとも急性期、亜急性期 においては注射剤などの非経口的な投与方法 が好ましい。

 注射剤としては、無菌の水性または非水 の溶液剤、懸濁剤、乳濁剤などが挙げられ 。このような注射剤においては、1つまたは それ以上の活性物質が、少なくとも1つの不 性な水性の希釈剤や不活性な非水性の希釈 と混合して用いられ、必要に応じて、さら 防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化 、溶解補助剤のような補助剤を含有するこ もできる。これらは通常、濾過(バクテリア 留フィルター等)、殺菌剤の配合又はガンマ ー線照射によって無菌化されるか、又はこれ らの処理をした後、凍結乾燥等の方法により 固体組成物とし、使用直前に無菌水又は無菌 の注射用希釈剤を加えて使用される。

 本発明の虚血再潅流障害抑制剤は、生体内 おける虚血あるいは虚血に伴う起炎性物質 その発症や憎悪に関与している疾病(代表的 には、脳梗塞や脳浮腫などの虚血性脳血管障 害、心筋梗塞などの虚血性心疾患が挙げられ る)の治療剤又は予防剤として有用であり、 のような治療又は予防を必要とする患者に して投与することができる。
 本発明の有効成分である一般式(1)~(3)の化合 物の投与量は、投与経路、症状、年齢、体重 などにより異なるが、通常は0.01~1,000μmol/kg、 好ましくは0.1~100μmol/kgを1日1回~数回に分けて 投与することができる。

 次に本発明の実施例を示すが、本発明はこ らに限定されることがないことは言うまで ない。
 一般式(1)で表される化合物は下記の製造方 A~Cに示す方法により合成するのが好ましい

製造方法A
 N,N-ジアルキルアミノ酸塩酸塩3.1mmol、DCC 3.1 mmol、無水ピリジン30mlを加え30分間撹拌後、 ァルネソール 3.1mmolを加え、室温で16時間撹 拌する。溶媒を減圧下留去し、残渣を蒸留水 に懸濁させ、酢酸エチルで可溶性画分を抽出 する。抽出液を無水硫酸ナトリウムで脱水後 減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルフラ ッシュクロマトグラフィー(溶離溶媒;n-ヘキ ン:酢酸エチル)で分離精製し、N,N-ジアルキ アミノ酸ファルネソールエステルを得る。

製造方法B
 N,N-ジアルキルアミノ酸ファルネソールエス テルを少量のアセトンに溶解し、2倍モル量 塩酸-ジオキサンを加え溶媒を減圧下留去し 残渣をアセトンで再結晶してN,N-ジアルキル アミノ酸ファルネソールエステルの塩酸塩を 得る。

製造方法C
 アミノ酸0.1 molを蒸留水-ジオキサン(1:1, v/v )100 mlに溶解し、トリエチルアミン30 mlを加 、ジ-tert-ブチルジカルボネートを徐々に加 30分間室温で撹拌する。減圧下ジオキサン 留去し、炭酸水素ナトリウム水溶液(0.5 M)50 mlを加え酢酸エチル100 mlで洗う。酢酸エチ 層を50 mlの炭酸水素ナトリウム液で洗い、 層を合わせて氷冷下でクエン酸水溶液(0.5 M) を加えて酸性(pH 3)とし、塩化ナトリウムを 和させた後、酢酸エチルで抽出する(100 ml x  3回)。抽出液を無水硫酸ナトリウムで脱水 減圧下溶媒を留去し、油状残渣にイソプロ ルエーテルを加えるか、または冷却にて結 化させてN-t-BOCアミノ酸を得る。

 ファルネソール5 mmol、N-t-BOCアミノ酸5 mm ol、DCC 5 mmolを無水ピリジン30 mlに加え室温 20時間撹拌する。溶媒を減圧下留去し、残 に酢酸エチルを加えて可溶性画分を抽出す (100 ml x 2回)。抽出液を減圧下濃縮し、残 をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶 溶媒;n-ヘキサン-酢酸エチル)で分離精製し ファルネソールN-t-BOC-アミノ酸エステルを得 る。

 ファルネソールN-t-BOC-アミノ酸エステル 少量のアセトンに溶解し、塩酸-ジオキサン( 2.5~4.0 N)を塩酸量がエステルの20倍モル量に 当する量加え1時間撹拌後、減圧下溶媒を留 する。残渣をアセトン-メタノール系または 酢酸エチル-メタノール系で再結晶して、フ ルネソールアミノ酸エステルの塩酸塩を得 。

 ファルネソールアミノ酸エステルの塩酸 3 mmolを水150 mlに加え、炭酸水素ナトリウ を加えて溶液のpHを7~8にした後に酢酸エチル で抽出する(100 ml x 3回)。抽出液を無水硫酸 ナトリウムで脱水後減圧下溶媒を留去し、油 状のファルネソールアミノ酸エステルを得る 。

 一般式(3-1)で表される化合物は下記の製 方法D~Gに示す方法により合成するのが好ま い。

製造方法D
 アミノ酸0.1 molを蒸留水-ジオキサン(1:1, v/v )100 mlに溶解し、トリエチルアミン30 mlを加 、ジ-tert-ブチルジカルボネートを徐々に加 30分間室温で撹拌する。減圧下ジオキサン 留去し、炭酸水素ナトリウム水溶液(0.5 M)50 mlを加え酢酸エチル100 mlで洗う。酢酸エチ 層を50 mlの炭酸水素ナトリウム液で洗い、 層を合わせて氷冷下でクエン酸水溶液(0.5 M) を加えて酸性(pH 3)とし、塩化ナトリウムを 和させた後、酢酸エチルで抽出する(100 ml x  3回)。抽出液を無水硫酸ナトリウムで脱水 減圧下溶媒を留去し、油状残渣にイソプロ ルエーテルを加えるか、または冷却にて結 化させてN-t-BOCアミノ酸を得る。

 アルゴンガス雰囲気下で、トコフェロー またはトコトリエノール5 mmol、N-t-BOCアミ 酸5 mmol、DCC 5 mmolを無水ピリジン30 mlに加 室温で20時間撹拌する。溶媒を減圧下留去 、残渣に酢酸エチルを加えて可溶性画分を 出する(100 ml x 2回)。抽出液を減圧下濃縮 、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ ー(溶離溶媒;n-ヘキサン-酢酸エチル)で分離 製し、ファルネソールN-t-BOC-アミノ酸エステ ルまたはトコフェロールN-t-BOC-アミノ酸エス ルまたはトコトリエノールN-t-BOC-アミノ酸 ステルを得る。

 トコフェロールN-t-BOC-アミノ酸エステル たはトコトリエノールN-t-BOC-アミノ酸エステ ルを少量のアセトンに溶解し、塩酸-ジオキ ン(2.5~4.0 N)を塩酸量がエステルの20倍モル量 に相当する量加え1時間撹拌後、減圧下溶媒 留去する。残渣をアセトン-メタノール系ま は酢酸エチル-メタノール系で再結晶して、 トコフェロールアミノ酸エステルあるいはト コトリエノールアミノ酸エステルの塩酸塩を 得る。

製造方法E
 トコフェロールアミノ酸エステルまたはト トリエノールアミノ酸エステルの塩酸塩3 m molを水150 mlに加え、炭酸水素ナトリウムを えて溶液のpHを7~8にした後に酢酸エチルで抽 出する(100 ml x 3回)。抽出液を無水硫酸ナト リウムで脱水後減圧下溶媒を留去し、油状の トコフェロールアミノ酸エステルまたはトコ トリエノールアミノ酸エステルを得る。

製造方法F
 アルゴンガス雰囲気下で、トコフェロール たはトコトリエノール5 mmol、N,N-ジアルキ アミノ酸塩酸塩5 mmol、DCC 5 mmolを無水ピリ ン30 mlに加え室温で20時間撹拌する。溶媒 減圧下留去し、残渣を蒸留水に懸濁させ炭 水素ナトリウムを加えて溶液のpHを7~8にした 後に酢酸エチルで抽出する(100 ml x 3回)。抽 出液を無水硫酸ナトリウムで脱水後減圧下溶 媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマ トグラフィー(溶離溶媒;n-ヘキサン-酢酸エチ 、8:2)で分離精製し、トコフェロールN,N-ジ ルキルアミノ酸エステルまたはトコトリエ ールN,N-ジアルキルアミノ酸エステルを得る

製造方法G
 トコフェロールアミノ酸エステル、トコト エノールアミノ酸エステル、トコフェロー N,N-ジアルキルアミノ酸エステルまたはトコ トリエノールN,N-ジアルキルアミノ酸エステ 2 mmolをアセトン20 mlに溶解し、塩酸-ジオキ サン(2.5~4.0 N)を塩酸量がエステルの10倍モル に相当する量またはアルキルスルホン酸2 m molを加え、減圧下溶媒を留去する。残渣をア セトン-メタノール系または酢酸エチル-メタ ール系で再結晶して、トコフェロールアミ 酸エステル、トコトリエノールアミノ酸エ テル、トコフェロールN,N-ジアルキルアミノ 酸エステルまたはトコトリエノールN,N-ジア キルアミノ酸エステルの塩酸塩またはアル ルスルホン酸塩を得る。

 一般式(3-2)で表される化合物は下記の製 方法H~Iに示す方法により合成するのが好ま い。

製造方法H
 t-ブチルメチルエーテル 50 mLと無水ピリジ ン 5 mLの混液にトコフェロール又はトコト エノール5 gを溶解し、撹拌しながらフォス ォリルクロリド (POCl 3 )3.68 gを徐々に加える。氷冷下15%硫酸水溶液2 0 mLを加え分液する。t-ブチルメチルエーテ 層に35%硫酸水溶液20 mLを加え、撹拌しなが 70℃で7時間還流する。t-ブチルメチルエーテ ル層と水層を分液し、t-ブチルメチルエーテ 層を蒸留水100 mLで3回洗う。t-ブチルメチル エーテル層にt-ブチルメチルエーテルを加え2 00 mLとする。pHを測定しながらt-ブチルメチ エーテル層に5%水酸化ナトリウムのメタノー ル溶液を加え、pH8.9にする。減圧下濃縮し、 セトンを加えて沈殿を生じさせる。沈殿を 燥後、メタノールで洗浄してトコフェロー リン酸エステルナトリウム塩またはトコト エノールリン酸エステルナトリウム塩を得 。

製造方法I
 t-ブチルメチルエーテル 50 mLと無水ピリジ ン 5 mLの混液にトコフェロール又はトコト エノール5 gを溶解し、撹拌しながらフォス ォリルクロリド (POCl 3 )3.68 gを徐々に加える。氷冷下メタノール20  mLを加え、反応液をシリカゲルカラムクロマ グラフィー(溶離溶媒;n-ヘキサン-酢酸エチ 、8:2)で分離精製し、トコフェロールメチル ン酸エステルまたはトコトリエノールメチ リン酸エステルを得る。

 

 

 

 

 

虚血再潅流脳障害の抑制効果の検 討
 脳梗塞は、脳血流量の低下によって種々の 害機序がドミノ式に生じ、脳損傷を虚血中 部から虚血周辺部に拡大していく進行性の 患であり、特に発症後の酸化ストレスや炎 反応の関与が強く、重篤性やQOLを考慮する 発症後の亜急性期、慢性期の治療が極めて 要である。臨床的には、脳梗塞後、投与開 が遅くても虚血再還流障害に対して抑制可 な薬剤が望まれる。
 このことから、MCA閉塞モデルにおいて再潅 後に薬物投与することで、再潅流による活 酸素種(ROIs)の直接的障害とROIsによる2次的 酸化ストレスや炎症反応に至る過程を反映 た虚血再潅流脳障害の治療効果評価モデル 構築し、被験化合物の治療薬としての効果 検討した。
 また、MCA閉塞モデルにおいて梗塞直前及び 塞中に薬物投与し、予防薬としての効果も 討した。

(1)虚血再潅流脳障害の予防効果評 価法
 ddY雄性マウス25-30 g(6-7週令)を用いKoizumi等 方法(脳卒中、第8巻、1-8頁、1986年)に従って 大脳動脈(MCA)閉塞モデルマウスを作成し、MC A閉塞を4時間とし、梗塞開始直前と梗塞3時間 の2回試験薬物溶液を静脈内投与した。梗塞 始24時間後の脳切片標本を作製しトリフェニ ルテトラゾリウムクロリド染色(TTC steining)後 、脳切片標本から画像処理によって脳梗塞巣 体積を測定した。

(2)虚血再潅流脳障害の治療効果評 価法
 ddY雄性マウス25-30 g(6-7週令)を用いKoizumi等 方法(脳卒中、第8巻、1-8頁、1986年)に従って 大脳動脈(MCA)閉塞モデルマウスを作成し、MC A閉塞を4時間とし、虚血開始後6時間または10 間(再潅流後2時間または4時間)に薬物溶液を 静脈内単回投与した。閉塞開始24時間後の脳 片標本を作製しトリフェニルテトラゾリウ クロリド染色(TTC steining)後、脳切片標本か 画像処理によって脳梗塞巣体積を測定した

ファルネソール(FO)およびファル ソールN,N-ジメチルグリシンエステル塩酸塩( FODMG)の虚血再潅流脳障害の予防効果
 上記虚血再潅流脳障害の予防評価法に従っ ,(2E,6E) ファルネソール(FO)と(2E,6E) ファル ソールN,N-ジメチルグリシネート塩酸塩(FODMG) および市販製剤であるエダラボン(edaravone)の 再潅流脳障害に対する効果を評価した。
 図1にMCA閉塞マウスの閉塞24時間後脳切片標 を、図2にMCA閉塞マウスの閉塞24時間後脳切 標本から画像処理によって求めた閉塞開始2 4時間後の梗塞巣の体積を示した。FOはDMSOに 解して静脈内投与し、FODMGは水に溶解して静 脈内投与した。

 FOは2μmol/kg x 2投与では有意な梗塞巣体積 抑制は見られず、20μmol/kg x 2の投与量にお て梗塞巣体積を有意に抑制した。
 FODMGは2μmol/kg x 2と20μmol/kg x 2のどちらの 与量においても梗塞巣体積を有意に抑制し その効果は投与量に依存した。FODMGはFOに比 較して優れた血再潅流脳障害の予防効果を示 した。
 一方、エダラボンは2μmol/kg x 2投与では有 に抑制したが、20μmol/kg x 2の投与量では有 意な効果が見られず、投与量が高くなると有 効な効果が見られず、有効投与量の範囲が狭 いことが示された。
 FODMGの効果は投与量に依存することからは 効投与量範囲が広く、エダラボンに比して れていることが明らかである。

ファルネソールN,N-ジメチルグリ ンエステル塩酸塩(FODMG)の虚血再潅流脳障害 治療効果
 上記虚血再潅流脳障害の治療効果評価法に って、エダラボンでは効果が見られない投 量(20μmol/kg)におけるFODMGの虚血再潅流脳障 の治療効果を虚血開始6時間後または10時間 の単回投与で評価した。FOはDMSOに溶解して 脈内投与し、FODMGは水に溶解して静脈内投与 した。
 FODMGは虚血開始6時間後と10時間後の単回投 の何れにおいても梗塞巣体積を有意に抑制 た(図3)。FODMGは静脈内投与が可能であり、脳 梗塞発症後の治療開始時間を極めて長く延長 できることが明らかである。

2R-γ-トコフェロールN,N-ジメチル リシン塩酸塩(γ-TDMG)の虚血再潅流脳障害の 防効果
 上記虚血再潅流障害の予防効果評価法に従 て、γ-TDMGと2R-α-トコフェロール(α-Toc)およ γ-トコフェロール(γ-Toc)の虚血再潅流障害 予防効果を評価した。γ-TDMGは15%プロピレン リコール含有水溶液に溶解して投与し、α-T ocとγ-TocはDMSOに溶解して投与した。
 図4にMCA閉塞マウスの閉塞開始24時間後脳切 標本を、図5に脳切片標本から画像処理によ って求めた閉塞開始24時間後の梗塞巣の体積 示した。
 α-TocのDMSO溶液投与では投与量20μmol/kg x 2 は梗塞巣体積は有意に抑制されたが、投与 2μmol/kg x 2では有意な梗塞巣体積の抑制は 察されなかった。
 γ-TocのDMSO溶液投与では2μmol/kg x 2と20μmol/k g x 2のどちら投与量においても梗塞巣体積 有意に抑制され、α-Tocの1/10投与量で有意に 制した。
 γ-TDMGの水溶液静脈内投与では2μmol/kg x 2と 20μmol/kg x 2のどちら投与量においても梗塞 体積の有意な抑制が観察され、α-Tocの1/10の 投与量で虚血再潅流障害の予防効果を示し γ-TDMGは優れた虚血再潅流障害の予防効果を 有することが明らかになった。

2R-γ-トコフェロールN,N-ジメチル リシン塩酸塩(γ-TDMG)の虚血再潅流脳障害の 療効果
 図6にMCA閉塞マウスの閉塞開始24時間後脳切 標本から画像処理によって求めた閉塞24時 後の梗塞巣の体積を示した。γ-TDMGは15%プロ レングリコール含有水溶液に溶解して投与 、α-Tocとγ-TocはDMSOに溶解して投与した。
 γ-TDMG水溶液の静脈内投与とγ-TocのDMSO溶液 静脈内投与は、どちらも虚血開始6時間後2μm ol/kg と20μmol/kgの単回投与において梗塞巣体 を有意に抑制した。
 脳梗塞治療においては梗塞後の治療開始ま の時間が長いことが望まれており、γ-TDMGは 静脈内投与が可能であり、脳梗塞発症後投与 において治療効果を有することが明らかであ る。

2R-α-トコトリエノールN,N-ジメチ グリシン塩酸塩(α-T3DMG)の虚血再潅流脳障害 予防効果
 上記虚血再潅流障害の予防効果評価法に従 てα-T3DMGの虚血再潅流障害の予防効果を評 した。α-T3DMGは15%プロピレングリコール含有 水溶液に溶解して投与し、α-Tocと2R-α-トコト リエノール(α-T3)はDMSOに溶解して投与した。
 図7に脳切片標本から画像処理によって求め た閉塞開始24時間後の梗塞巣の体積を示した
 α-T3DMGの水溶液静脈内投与では2μmol/kg x 2 20μmol/kg x 2のどちらの投与量においても梗 巣体積の有意な抑制が観察され、α-T3のDMSO 液投与と同じ投与量で効果があり、α-Tocの1 /10の低投与量で抑制効果を示すことが明らか となった。α-T3DMGは静脈内投与可能な虚血再 流脳障害の優れた予防剤として有用である

2R-α-トコトリエノールN,N-ジメチ グリシン塩酸塩(α-T3DMG)の虚血再潅流脳障害 治療効果
 上記虚血再潅流脳障害の治療効果評価法に って、α-T3DMGの治療薬としての効果を検討 た。α-T3DMGは15%プロピレングリコール含有水 溶液に溶解して投与し、α-Tocと2R-α-トコトリ エノール(α-T3)はDMSOに溶解して投与した。
 図8にMCA閉塞マウスの閉塞開始24時間後脳切 標本から画像処理によって求めた閉塞開始2 4時間後の梗塞巣の体積を示した。
 α-T3DMG水溶液の静脈内投与は、虚血開始6時 後2μmol/kg と20μmol/kgの単回投与のどちらに いても梗塞巣体積を有意に抑制し、α-T3DMG 静脈内投与が可能であり脳梗塞発症後投与 おいて治療効果を有することが明らかであ 。

2R-γ-トコフェロールリン酸エステ ル2ナトリウム塩(γ-TPS)の虚血再潅流脳障害の 予防効果
 上記虚血再潅流障害の予防効果評価法に従 てγ-TPSの虚血再潅流障害の予防効果を評価 た。γ-TPSは水に溶解して投与した。図9に脳 切片標本から画像処理によって求めた閉塞開 始24時間後の梗塞巣の体積を示した。
 γ-TPSの水溶液静脈内投与では2μmol/kg x 2で 有意な効果は見られず、20μmol/kg x 2の投与 量において梗塞巣体積の有意な抑制が観察さ れ、γ-Tocに比べて低いもののα-Tocと同程度の 抑制効果を示した。γ-TPSは静脈内投与可能な 虚血再潅流脳障害の予防剤として効果を有す る。

2R-γ-トコフェロールリン酸エステ ル2ナトリウム塩(γ-TPS)の虚血再潅流脳障害の 治療効果
 上記虚血再潅流脳障害の治療効果評価法に って、γ-TPSの治療薬としての効果を検討し 。γ-TPSは水に溶解して投与した。図10にMCA 塞マウスの閉塞開始24時間後脳切片標本から 画像処理によって求めた閉塞開始24時間後の 塞巣の体積を示した。
 γ-TPSの水溶液静脈内投与では、虚血開始6時 間後の20μmol/kg の単回投与において梗塞巣体 積の有意な抑制が観察された。γ-TPSは静脈内 投与可能な虚血再潅流脳障害の治療剤として 効果を有する。