Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
INSULATING SHEET AND MULTILAYER STRUCTURE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/031536
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is an insulating sheet which is used for bonding a heat conductor having a thermal conductivity of not less than 10 W/m•K to an electrically conductive layer. This insulating sheet has excellent handling properties in an uncured state, and a cured product of this insulating sheet is improved in adhesiveness, heat resistance, dielectric breakdown characteristics and thermal conductivity. Specifically disclosed is an insulating sheet used for bonding a heat conductor having a thermal conductivity of not less than 10 W/m•K to an electrically conductive layer, which sheet contains (A) a polymer having an aromatic skeleton and a weight average molecular weight of not less than 10,000, (B) a monomer composed of at least one of (B1) an epoxy monomer having an aromatic skeleton and a weight average molecular weight of not more than 600 and (B2) an oxethane monomer, (C) a curing agent composed of a phenol resin, an acid anhydride having an aromatic skeleton or an alicyclic skeleton, a hydrogenated product of such an acid anhydride or a modified product of such an acid anhydride, and (D) a filler. This insulating sheet has a glass transition temperature Tg in an uncured state of not more than 25˚C.

Inventors:
MAENAKA HIROSHI (JP)
KUSAKA YASUNARI (JP)
AOYAMA TAKUJI (JP)
HIGUCHI ISAO (JP)
NAKAJIMA DAISUKE (JP)
WATANABE TAKASHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/065763
Publication Date:
March 12, 2009
Filing Date:
September 02, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
SEKISUI CHEMICAL CO LTD (JP)
MAENAKA HIROSHI (JP)
KUSAKA YASUNARI (JP)
AOYAMA TAKUJI (JP)
HIGUCHI ISAO (JP)
NAKAJIMA DAISUKE (JP)
WATANABE TAKASHI (JP)
International Classes:
C08J5/18; B32B7/02; B32B27/38; C08G59/42; H01B3/00; H01B5/14; H01B17/56; H01L23/36; H05K1/03
Domestic Patent References:
WO1996031574A11996-10-10
WO2007129662A12007-11-15
Foreign References:
JPH08332696A1996-12-17
JPH10242606A1998-09-11
JP2006261555A2006-09-28
JP2007145996A2007-06-14
JP2004172597A2004-06-17
JPH04323889A1992-11-13
JPH0883963A1996-03-26
JP2004250470A2004-09-09
JPH09186462A1997-07-15
JP2007246861A2007-09-27
Attorney, Agent or Firm:
MIYAZAKI, Chikara et al. (5-4 Tanimachi 1-chome, Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 12, JP)
Download PDF:
Claims:
 熱伝導率が10W/m・K以上の熱伝導体を導電層に接着するのに用いられる絶縁シートであって、
 芳香族骨格を有し、かつ重量平均分子量が1万以上であるポリマー(A)と、
 芳香族骨格を有し、かつ重量平均分子量が600以下であるエポキシモノマー(B1)及び芳香族骨格を有し、かつ重量平均分子量が600以下であるオキセタンモノマー(B2)の内の少なくとも一方のモノマー(B)と、
 フェノール樹脂、又は芳香族骨格もしくは脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物である硬化剤(C)と、
 フィラー(D)とを含有し、
 前記ポリマー(A)、前記モノマー(B)及び前記硬化剤(C)を含む絶縁シート中の全樹脂成分の合計100重量%中に、前記ポリマー(A)を20~60重量%の範囲内、前記モノマー(B)を10~60重量%の範囲内、かつ前記ポリマー(A)と前記モノマー(B)とを合計100重量%未満の量で含有し、
 未硬化状態でのガラス転移温度Tgが25℃以下であり、
 絶縁シートが硬化されたときに、絶縁シートの硬化物の絶縁破壊電圧が30kV/mm以上であることを特徴とする、絶縁シート。
 前記ポリマー(A)がフェノキシ樹脂である、請求項1に記載の絶縁シート。
 前記フェノキシ樹脂のガラス転移温度Tgが95℃以上である、請求項2に記載の絶縁シート。
 前記硬化剤(C)が、多脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物、又はテルペン系化合物と無水マレイン酸との付加反応により得られた脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物である、請求項1~3のいずれか1項に記載の絶縁シート。
 前記硬化剤(C)が、下記式(1)~(3)の内のいずれかで表される酸無水物である、請求項4に記載の絶縁シート。
 上記式(3)中、R1及びR2はそれぞれ水素、炭素数1~5のアルキル基又は水酸基を示す。
 前記硬化剤(C)が、メラミン骨格もしくはトリアジン骨格を有するフェノール樹脂、又はアリル基を有するフェノール樹脂である、請求項1~3のいずれか1項に記載の絶縁シート。
 前記フィラー(D)が、平均粒子径0.1~0.5μmの球状フィラー(D1)と、平均粒子径2~6μmの球状フィラー(D2)と、平均粒子径10~40μmの球状フィラー(D3)とを含有し、
 前記フィラー(D)100体積%中に、前記球状フィラー(D1)を5~30体積%の範囲内、前記球状フィラー(D2)を20~60体積%の範囲内、前記球状フィラー(D3)を20~60体積%の範囲内、かつ前記球状フィラー(D1)、前記球状フィラー(D2)及び前記球状フィラー(D3)を合計100体積%を超えない量で含有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の絶縁シート。
 前記フィラー(D)が、平均粒子径12μm以下の破砕されたフィラー(D4)である、請求項1~6のいずれか1項に記載の絶縁シート。
 前記フィラー(D)が、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化亜鉛及び酸化マグネシウムからなる群から選択された少なくとも1種である、請求項1~8のいずれか1項に記載の絶縁シート。
 水素結合性を有する水素原子を含む官能基を有する分散剤(F)をさらに含有する、請求項1~9のいずれか1項に記載の絶縁シート。
 ゴム粒子(E)をさらに含有する、請求項1~10のいずれか1項に記載の絶縁シート。
 前記ゴム粒子(E)がシリコーンゴム粒子である、請求項11に記載の絶縁シート。
 前記ポリマー(A)が、ポリマーの全骨格100重量%中に、芳香族骨格を30~80重量%の範囲内で含有する、請求項1~12のいずれか1項に記載の絶縁シート。
 前記ポリマー(A)が、主鎖中に多環式芳香族骨格を有する、請求項1~13のいずれか1項に記載の絶縁シート。
 ガラスクロスを含有しない、請求項1~14のいずれか1項に記載の絶縁シート。
 未硬化状態の絶縁シートの25℃での曲げ弾性率が10~1000MPaの範囲内にあり、かつ、絶縁シートが硬化されたときに、絶縁シートの硬化物の25℃での曲げ弾性率が100~50000MPaの範囲内にあり、
 回転型動的粘弾性測定装置を用いて測定された25℃での未硬化状態の絶縁シートのtanδが0.1~1.0の範囲内にあり、かつ、未硬化状態の絶縁シートを25℃から250℃まで昇温させた場合の絶縁シートのtanδの最大値が1.0~5.0の範囲内にある、請求項1~15のいずれか1項に記載の絶縁シート。
 未硬化状態での反応率が10%以下である、請求項1~16のいずれか1項に記載の絶縁シート。
 熱伝導率が10W/m・K以上の熱伝導体と、
 前記熱伝導体の少なくとも一方の面に積層された絶縁層と、
 前記絶縁層の前記熱伝導体が積層された面とは反対側の面に積層された導電層とを備え、
 前記絶縁層が、請求項1~17のいずれか1項に記載の絶縁シートを硬化させることにより形成されていることを特徴とする、積層構造体。
 前記熱伝導体が金属である、請求項18に記載の積層構造体。
Description:
絶縁シート及び積層構造体

 本発明は、熱伝導率が10W/m・K以上の熱伝 体を導電層に接着するのに用いられる絶縁 ートに関し、より詳細には、未硬化状態で ハンドリング性に優れており、かつ硬化物 接着性、耐熱性、絶縁破壊特性及び熱伝導 を高めることができる絶縁シート、及び該 縁シートを用いた積層構造体に関する。

 近年、電気機器の小型化及び高性能化が 行している。これに伴って、電子部品の実 密度が高くされてきており、電子部品から 生する熱を放散させる必要が高まっている 特に電気自動車などのパワーデバイス用途 は、高電圧が印加されたり、大電流が流さ たりするため、高い熱量が発生しやすい。 の高い熱量を効率よく放散させる必要が高 っている。

 熱を放散させる方法として、高い放熱性 有し、かつ熱伝導率が10W/m・K以上のアルミ ウム等の熱伝導体を、発熱源に接着する方 が広く採用されている。また、この熱伝導 を発熱源に接着するために、絶縁性を有す 絶縁接着材料が用いられている。絶縁接着 料には、熱伝導率が高いことが強く求めら ている。

 上記絶縁接着材料の一例として、下記の 許文献1には、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂 用硬化剤、硬化促進剤、エラストマー及び無 機充填剤を含有する接着剤組成物を、ガラス クロスに含浸させた絶縁接着シートが開示さ れている。ここでは、上記接着剤組成物中に 無機充填材は3~50質量%の範囲内で含有される とが好ましいと記載されている。

 ガラスクロスを用いない絶縁接着材料も られている。例えば、下記の特許文献2の実 施例には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂 フェノキシ樹脂、フェノールノボラック、1- シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、γ-グ リシドキシプロピルトリメトキシシラン及び アルミナを含む絶縁接着剤が開示されている 。ここでは、エポキシ樹脂の硬化剤として、 3級アミン、酸無水物、イミダゾール化合物 ポリフェノール樹脂及びマスクイソシアネ ト等が挙げられている。

 また、下記の特許文献3には、平均粒径0.1 ~0.9μmの無機粉末Aを15~35重量%の範囲内、平均 径2.0~6.0μmの無機粉末Bを0~40重量%の範囲内、 平均粒径10.0~30.0μmの無機粉末Cを40~80重量%の 囲内で含有する接着剤が開示されている。 の接着剤の熱伝導率は比較的高い。また、 気絶縁性に優れた上記特定の無機粉末が上 特定の量で含有されているため、上記接着 の放熱性は高い。

 下記の特許文献4には、重量平均分子量10万 上のエポキシ基含有アクリルゴムと、エポ シ樹脂と、エポキシ樹脂の硬化剤と、硬化 進剤と、エポキシ樹脂と相溶しかつ重量平 分子量が3万以上の高分子量樹脂と、無機フ ィラーとを含む絶縁接着シートが開示されて いる。加熱接着温度において、キャピラリレ オメータ法での上記絶縁接着シートの最低粘 度は、100~2000Pa・sの範囲内にある。

特開2006-342238号公報

特開平8-332696号公報

特許第2520988号公報

特許第3498537号公報

 特許文献1に記載の絶縁接着シートでは、 ハンドリング性を高めるために、ガラスクロ スが用いられていた。ガラスクロスを用いた 場合には、薄膜化が困難であり、かつレーザ ー加工性、打ち抜き加工又はドリル穴開け加 工等の各種加工が困難であった。また、ガラ スクロスを含む絶縁接着シートの硬化物の熱 伝導率は比較的低かった。このため、充分な 放熱性が得られないことがあった。さらに、 ガラスクロスに接着剤組成物を含浸させるた めに、特殊な含浸設備を用意しなければなら なかった。

 特許文献2に記載の絶縁接着剤では、ガラ スクロスが用いられていないため、上記のよ うな種々の問題は生じない。しかしながら、 この絶縁接着剤は、未硬化状態では絶縁接着 剤自体が自立性を有するシートではなかった 。このため、絶縁接着剤のハンドリング性が 低かった。

 特許文献3の記載の接着剤では、接着剤の 硬化物の熱伝導率が低くなったり、フィラー が局所的に凝集し、接着剤の硬化物の接着性 が低下したりすることがあった。また、接着 剤の硬化物の絶縁性が低いことがあった。

 特許文献4に記載の絶縁接着シートの硬化 物の熱伝導率は比較的低かった。このため、 充分な放熱性が得られないことがあった。

 本発明の目的は、熱伝導率が10W/m・K以上 熱伝導体を導電層に接着するのに用いられ 未硬化状態でのハンドリング性に優れてお 、かつ硬化物の接着性、耐熱性、絶縁破壊 性及び熱伝導性を高めることができる絶縁 ート、及び該絶縁シートを用いた積層構造 を提供することにある。

 本発明は、熱伝導率が10W/m・K以上の熱伝 体を導電層に接着するのに用いられる絶縁 ートであって、芳香族骨格を有し、かつ重 平均分子量が1万以上であるポリマー(A)と、 芳香族骨格を有し、かつ重量平均分子量が600 以下であるエポキシモノマー(B1)及び芳香族 格を有し、かつ重量平均分子量が600以下で るオキセタンモノマー(B2)の内の少なくとも 方のモノマー(B)と、フェノール樹脂、又は 香族骨格もしくは脂環式骨格を有する酸無 物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無 物の変性物である硬化剤(C)と、フィラー(D) を含有し、前記ポリマー(A)、前記モノマー( B)及び前記硬化剤(C)を含む絶縁シート中の全 脂成分の合計100重量%中に、前記ポリマー(A) を20~60重量%の範囲内、前記モノマー(B)を10~60 量%の範囲内、かつ前記ポリマー(A)と前記モ ノマー(B)とを合計100重量%未満の量で含有し 未硬化状態でのガラス転移温度Tgが25℃以下 あり、絶縁シートが硬化されたときに、絶 シートの硬化物の絶縁破壊電圧が30kV/mm以上 であることを特徴とする、絶縁シートが提供 される。

 上記ポリマー(A)は、フェノキシ樹脂であ ことが好ましい。フェノキシ樹脂を用いた 合、絶縁シートの硬化物の耐熱性をより一 高めることができる。また、上記フェノキ 樹脂のガラス転移温度Tgは、95℃以上である ことが好ましい。この場合には、樹脂の熱劣 化をより一層抑制できる。

 上記硬化剤(C)は、多脂環式骨格を有する 無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該 無水物の変性物、又はテルペン系化合物と 水マレイン酸との付加反応により得られた 環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の 添加物もしくは該酸無水物の変性物である とが好ましい。また、上記硬化剤(C)は、下 式(1)~(3)の内のいずれかで表される酸無水物 であることがより好ましい。これらの好まし い硬化剤(C)を用いた場合には、絶縁シートの 柔軟性、耐湿性又は接着性をより一層高める ことができる。

 上記式(3)中、R1及びR2はそれぞれ水素、炭 素数1~5のアルキル基、又は水酸基を示す。

 上記硬化剤(C)は、メラミン骨格もしくは リアジン骨格を有するフェノール樹脂、又 アリル基を有するフェノール樹脂であるこ も好ましい。この好ましい硬化剤(C)を用い 場合、絶縁シートの硬化物の柔軟性や難燃 をより一層高めることができる。

 本発明に係る絶縁シートのある特定の局 では、前記フィラー(D)が、平均粒子径0.1~0.5 μmの球状フィラー(D1)と、平均粒子径2~6μmの 状フィラー(D2)と、平均粒子径10~40μmの球状 ィラー(D3)とを含有し、前記フィラー(D)100体 %中に、前記球状フィラー(D1)が5~30体積%の範 囲内、前記球状フィラー(D2)が20~60体積%の範 内、前記球状フィラー(D3)が20~60体積%の範囲 、かつ前記球状フィラー(D1)、前記球状フィ ラー(D2)及び前記球状フィラー(D3)が合計100体 %を超えない量で含有されている。

 本発明に係る絶縁シートの他の特定の局 では、前記フィラー(D)は、平均粒子径12μm 下の破砕されたフィラー(D4)である。

 上記フィラー(D)は、アルミナ、窒化ホウ 、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケ 素、酸化亜鉛及び酸化マグネシウムからな 群から選択された少なくとも1種であること が好ましい。このフィラー(D)を用いた場合、 絶縁シートの硬化物の放熱性をより一層高め ることができる。

 本発明に係る絶縁シートの他の特定の局 では、水素結合性を有する水素原子を含む 能基を有する分散剤(F)がさらに含有されて る。この分散剤(F)を用いた場合には、絶縁 ートの硬化物の熱伝導性及び絶縁破壊特性 より一層高めることができる。

 本発明に係る絶縁シートのさらに他の特 の局面では、ゴム粒子(E)がさらに含有され いる。ゴム粒子(E)を用いた場合には、絶縁 ートの硬化物の柔軟性及び応力緩和性をよ 一層高めることができる。ゴム粒子(E)とし 、シリコーンゴム粒子が好適に用いられる シリコーンゴム粒子を用いた場合には、絶 シートの硬化物の応力緩和性をより一層高 ることができる。

 本発明に係る絶縁シートのさらに他の特 の局面では、前記ポリマー(A)が、ポリマー 全骨格100重量%中に、芳香族骨格を30~80重量% の範囲内で含有する。

 上記ポリマー(A)は、主鎖中に多環式芳香 骨格を有することが好ましい。この場合に 、絶縁シートの硬化物の耐熱性をさらに一 高めることができる。

 本発明に係る絶縁シートは、ガラスクロ を含有しないことが好ましい。本発明に係 絶縁シートは、ガラスクロスを含有してい くても、未硬化状態でのハンドリング性に れている。

 本発明に係る絶縁シートの別の特定の局 では、未硬化状態の絶縁シートの25℃での げ弾性率が10~1000MPaの範囲内にあり、かつ、 縁シートが硬化されたときに、絶縁シート 硬化物の25℃での曲げ弾性率が100~50000MPaの 囲内にあり、回転型動的粘弾性測定装置を いて測定された25℃での未硬化状態の絶縁シ ートのtanδが0.1~1.0の範囲内にあり、かつ、未 硬化状態の絶縁シートを25℃から250℃まで昇 させた場合の絶縁シートのtanδの最大値が1. 0~5.0の範囲内にある。

 本発明に係る絶縁シートのさらに別の特 の局面では、未硬化状態での反応率は10%以 である。

 本発明に係る積層構造体は、熱伝導率が1 0W/m・K以上の熱伝導体と、前記熱伝導体の少 くとも一方の面に積層された絶縁層と、前 絶縁層の前記熱伝導体が積層された面とは 対側の面に積層された導電層とを備え、前 絶縁層が、本発明に従って構成された絶縁 ートを硬化させることにより形成されてい ことを特徴とする。

 本発明に係る積層構造体では、前記熱伝 体は金属であることが好ましい。

(発明の効果)
 本発明に係る絶縁シートは、上記ポリマー( A)、上記モノマー(B)、上記硬化剤(C)及び上記 ィラー(D)を上記特定の量で含有し、未硬化 態でのガラス転移温度Tgが25℃以下であり、 かつ硬化物の絶縁破壊電圧が30kV/mm以上であ ため、未硬化状態の絶縁シートのハンドリ グ性、絶縁シートの硬化物の接着性、耐熱 、絶縁破壊特性及び熱伝導性の全てを高い ベルに達成できる。さらに、絶縁シートの 化物の絶縁破壊電圧が30kV/mm以上であるため 絶縁シートをパワーデバイス、車載又はハ パワーLEDなどの大電流用途に好適に用いる とができる。

 本発明に係る積層構造体は、熱伝導率が1 0W/m・K以上の熱伝導体の少なくとも一方の面 、絶縁層を介して導電層が積層されており 該絶縁層が、本発明に従って構成された絶 シートを硬化させることにより形成されて るので、導電層側からの熱が絶縁層を介し 上記熱伝導体に伝わりやすい。このため、 熱伝導体によって熱を効率的に放散させる とができる。

図1は、本発明の一実施形態に係る積層 構造体を模式的に示す部分切欠正面断面図で ある。

符号の説明

 1…積層構造体
 2…導電層
 2a…表面
 3…絶縁層
 4…熱伝導体

 以下、本発明の詳細を説明する。

 本願発明者らは、芳香族骨格を有し、か 重量平均分子量が1万以上であるポリマー(A) と、芳香族骨格を有し、かつ重量平均分子量 が600以下であるエポキシモノマー(B1)及び芳 族骨格を有し、かつ重量平均分子量が600以 であるオキセタンモノマー(B2)の内の少なく も一方のモノマー(B)と、フェノール樹脂、 は芳香族骨格もしくは脂環式骨格を有する 無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該 無水物の変性物である硬化剤(C)と、フィラ (D)とを上記特定の量で含有する組成を採用 、未硬化状態の絶縁シートのガラス転移温 Tgを25℃以下とし、絶縁シートの硬化物の絶 縁破壊電圧を30kV/mm以上とすることによって 未硬化状態の絶縁シートのハンドリング性 高めることができ、かつ絶縁シートの硬化 の接着性、耐熱性、絶縁破壊特性及び熱伝 性を高めることができることを見出した。

 本発明に係る絶縁シートは、芳香族骨格 有し、かつ重量平均分子量が1万以上である ポリマー(A)と、芳香族骨格を有し、かつ重量 平均分子量が600以下であるエポキシモノマー (B1)及び芳香族骨格を有し、かつ重量平均分 量が600以下であるオキセタンモノマー(B2)の の少なくとも一方のモノマー(B)と、フェノ ル樹脂、又は芳香族骨格もしくは脂環式骨 を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物 しくは該酸無水物の変性物である硬化剤(C) 、フィラー(D)とを含有する。

 (ポリマー(A))
 本発明に係る絶縁シートに含まれる上記ポ マー(A)は、芳香族骨格を有し、かつ重量平 分子量が1万以上であれば特に限定されない 。ポリマー(A)は単独で用いられてもよく、2 以上が併用されてもよい。

 ポリマー(A)は、芳香族骨格をポリマー全 の中に有していればよく、主鎖骨格内に有 ていてもよく、側鎖中に有していてもよい ポリマー(A)は、芳香族骨格を主鎖骨格内に することが好ましい。この場合には、絶縁 ートの硬化物の耐熱性をより一層高めるこ ができる。ポリマー(A)は、主鎖中に多環式 香族骨格を有することが好ましい。この場 には、絶縁シートの硬化物の耐熱性をさら 一層高めることができる。

 上記芳香族骨格は特に限定されない。上 芳香族骨格の具体例として、ナフタレン骨 、フルオレン骨格、ビフェニル骨格、アン ラセン骨格、ピレン骨格、キサンテン骨格 アダマンタン骨格又はビスフェノールA型骨 格等が挙げられる。なかでも、ビフェニル骨 格又はフルオレン骨格が好ましい。この場合 には、絶縁シートの硬化物の耐熱性をより一 層高めることができる。

 上記ポリマー(A)として、熱可塑性樹脂又 熱硬化性樹脂等を使用できる。

 上記熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂は特 限定されない。上記熱可塑性樹脂及び熱硬 性樹脂として、例えば、ポリフェニレンサ ファイド、ポリアリレート、ポリスルホン ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエー ルケトン、ポリエーテルケトン等の熱可塑 樹脂が挙げられる。また、上記熱可塑性樹 及び熱硬化性樹脂として、熱可塑性ポリイ ド、熱硬化性ポリイミド、ベンゾオキサジ 、又はポリベンゾオキサゾールとベンゾオ サジンとの反応物などのスーパーエンプラ 呼ばれている耐熱性樹脂群等を使用できる 熱可塑性樹脂は、単独で用いられてもよく 2種以上が併用されてもよい。熱硬化性樹脂 は、単独で用いられてもよく、2種以上が併 されてもよい。熱可塑性樹脂及び熱硬化性 脂の内のいずれか一方が用いられてもよく 熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とが併用され もよい。

 上記ポリマー(A)は、スチレン系重合体又 フェノキシ樹脂であることが好ましく、フ ノキシ樹脂であることがより好ましい。こ 場合には、絶縁シートの硬化物の酸化劣化 防止でき、かつ耐熱性をより一層高めるこ ができる。

 上記スチレン系重合体として、具体的に 、スチレン系モノマーの単独重合体、又は チレン系モノマーとアクリル系モノマーと 共重合体等を使用できる。中でも、スチレ -メタクリル酸グリシジルの構造を有するス チレン系重合体が好ましい。

 上記スチレン系モノマーとして、例えば スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチ レン、p-メチルスチレン、p-メトキシスチレ 、p-フェニルスチレン、p-クロロスチレン、p -エチルスチレン、p-n-ブチルスチレン、p-tert- ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n- クチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n- シルスチレン、p-n-ドデシルスチレン、2,4-ジ メチルスチレン又は3,4-ジクロロスチレン等 挙げられる。上記スチレン系モノマーは単 で用いられてもよく、2種以上が併用されて よい。

 上記アクリル系モノマーとして、例えば アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メ ル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸 クロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタ リル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタ リル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メ クリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸 リシジル、β-ヒドロキシアクリル酸エチル γ-アミノアクリル酸プロピル、メタクリル ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノ チル、又はメタクリル酸ジエチルアミノエ ル等が挙げられる。上記アクリル系モノマ は単独で用いられてもよく、2種以上が併用 されてもよい。

 上記フェノキシ樹脂とは、具体的には、 えばエピハロヒドリンと2価フェノール化合 物とを反応させて得られる樹脂、又は2価の ポキシ化合物と2価のフェノール化合物とを 応させて得られる樹脂である。

 上記フェノキシ樹脂は、ビスフェノールA 型骨格、ビスフェノールF型骨格、ビスフェ ールA/F混合型骨格、ナフタレン骨格、フル レン骨格、ビフェニル骨格、アントラセン 格、ピレン骨格、キサンテン骨格、アダマ タン骨格及びジシクロペンタジエン骨格か なる群から選択された少なくとも1つの骨格 有することが好ましい。中でも、上記フェ キシ樹脂は、ビスフェノールA型骨格、ビス フェノールF型骨格、ビスフェノールA/F混合 骨格、ナフタレン骨格、フルオレン骨格及 ビフェニル骨格からなる群から選択された なくとも1種の骨格を有することがより好ま く、フルオレン骨格及びビフェニル骨格の の少なくとも一方を有することが更に好ま い。これらの好ましい骨格を有するフェノ シ樹脂を用いた場合には、絶縁シートの硬 物の耐熱性をより一層高めることができる

 上記フェノキシ樹脂は、主鎖中に多環式 香族骨格を有することが好ましい。また、 記フェノキシ樹脂は、下記式(4)~(9)で表され る骨格の内の少なくとも1つの骨格を主鎖中 有することがより好ましい。

 上記式(4)中、R 1 は互いに同一であっても異なっていてもよく 、水素原子、炭素数1~10の炭化水素基又はハ ゲン原子であり、X 1 は単結合、炭素数1~7の2価の炭化水素基、-O- -S-、-SO 2 -、又は-CO-である。

 上記式(5)中、R 1a は互いに同一であっても異なっていてもよく 、水素原子、炭素数1~10の炭化水素基又はハ ゲン原子であり、R 2 は、水素原子、炭素数1~10の炭化水素基又は ロゲン原子であり、R 3 は、水素原子又は炭素数1~10の炭化水素基で り、mは0~5の整数である。

 上記式(6)中、R 1b は互いに同一であっても異なっていてもよく 、水素原子、炭素数1~10の炭化水素基又はハ ゲン原子であり、R 4 は互いに同一であっても異なっていてもよく 、水素原子、炭素数1~10の炭化水素基又はハ ゲン原子であり、lは0~4の整数である。

 上記式(8)中、R 5 及びR 6 は水素原子、炭素数1~5のアルキル基又はハロ ゲン原子であり、X 2 は-SO 2 -、-CH 2 -、-C(CH 3 ) 2 -、又は-O-であり、kは0又は1である。

 上記ポリマー(A)として、例えば、下記式( 10)又は下記式(11)で表されるフェノキシ樹脂 好適に用いられる。

 上記式(10)中、A 1 は上記式(4)~(6)の内いずれかで表される構造 有し、かつその構成は上記式(4)で表される 造が0~60モル%、上記式(5)で表される構造が5~9 5モル%、及び上記式(6)で表される構造が5~95モ ル%であり、A 2 は水素原子、又は上記式(7)で表される基であ り、n 1 は平均値で25~500の数である。

 上記式(11)中、A 3 は上記式(8)又は上記式(9)で表される構造を有 し、n 2 は少なくとも21以上の値である。

 上記ポリマー(A)のガラス転移温度Tgは、60 ~200℃の範囲内にあることが好ましく、90~180 の範囲内にあることがより好ましい。ポリ ー(A)のTgが低すぎると、樹脂が熱劣化するこ とがある。ポリマー(A)のTgが高すぎると、ポ マー(A)と他の樹脂との相溶性が悪くなる。 の結果、未硬化状態の絶縁シートのハンド ング性、並びに絶縁シートの硬化物の耐熱 が低下することがある。

 上記ポリマー(A)がフェノキシ樹脂の場合 フェノキシ樹脂のガラス転移温度Tgは、95℃ 以上であることが好ましく、100℃以上である ことがより好ましい。フェノキシ樹脂のガラ ス転移温度は、110~200℃の範囲内にあること さらに好ましく、110~180℃の範囲内にあるこ が特に好ましい。フェノキシ樹脂のTgが低 ぎると、樹脂が熱劣化することがある。フ ノキシ樹脂のTgが高すぎると、フェノキシ樹 脂と他の樹脂との相溶性が悪くなる。この結 果、絶縁シートの取扱い性、並びに絶縁シー トの硬化物の耐熱性が低下することがある。

 上記ポリマー(A)の重量平均分子量は、10,0 00以上である。ポリマー(A)の重量平均分子量 、30,000以上であることが好ましい。ポリマ (A)の重量平均分子量は、30,000~1,000,000の範囲 内にあることがより好ましく、40,000~250,000の 囲内にあることがさらに好ましい。ポリマ (A)の重量平均分子量が小さすぎると、絶縁 ートが熱劣化することがある。ポリマー(A) 重量平均分子量が大きすぎると、ポリマー( A)と他の樹脂との相溶性が悪くなる。この結 、絶縁シートの取扱い性、並びに絶縁シー の硬化物の耐熱性が低下することがある。

 上記ポリマー(A)は、全骨格100重量%中に芳 香族骨格を30~80重量%の範囲内で有することが 好ましい。この場合には、芳香族骨格同士の 電子相互作用により絶縁シートが未硬化状態 でも自立性を有するようになり、未硬化状態 の絶縁シートのハンドリング性を顕著に高め ることができる。上記芳香族骨格が30重量%未 満であると、未硬化状態の絶縁シートのハン ドリング性が低くなることがある。上記芳香 族骨格が多いほど、未硬化状態の絶縁シート のハンドリング性は高くなる傾向にある。し かし、上記芳香族骨格が80重量%を超えると、 絶縁シートが固くかつ脆くなることがある。 上記ポリマー(A)は、全骨格100重量%中に、芳 族骨格を40~80重量%の範囲内で有することが り好ましく、50~70重量%の範囲内で有するこ がさらに好ましい。

 上記ポリマー(A)と、上記モノマー(B)と、 記硬化剤(C)とを含む絶縁シートに含まれて る全樹脂成分の合計100重量%中に、ポリマー (A)は20~60重量%の範囲内で含有される。上記全 樹脂成分の合計100重量%中に、ポリマー(A)は30 ~50重量%の範囲内で含有されることが好まし 。ポリマー(A)は上記の範囲内で、ポリマー(A )とモノマー(B)との合計が100重量%未満となる 合で含有されることが好ましい。ポリマー( A)の量が少なすぎると、未硬化状態の絶縁シ トのハンドリング性が低下することがある ポリマー(A)の量が多すぎると、フィラー(D) 分散が困難になることがある。なお、全樹 成分とは、ポリマー(A)、エポキシモノマー( B1)、オキセタンモノマー(B2)、硬化剤(C)及び 要に応じて添加される他の樹脂成分の総和 いう。

 (モノマー(B))
 本発明に係る絶縁シートは、芳香族骨格を し、かつ重量平均分子量が600以下のエポキ モノマー(B1)、及び芳香族骨格を有し、かつ 重量平均分子量が600以下のオキセタンモノマ ー(B2)の内の少なくとも一方のモノマー(B)を む。絶縁シートは、モノマー(B)として、エ キシモノマー(B1)のみが用いられてもよく、 キセタンモノマー(B2)のみが用いられてもよ く、エポキシモノマー(B1)とオキセタンモノ ー(B2)との双方が用いられてもよい。

 上記エポキシモノマー(B1)は、芳香族骨格 を有し、かつ重量平均分子量が600以下であれ ば特に限定されない。上記エポキシモノマー (B1)の具体例として、ビスフェノール骨格を するエポキシモノマー、ジシクロペンタジ ン骨格を有するエポキシモノマー、ナフタ ン骨格を有するエポキシモノマー、アダマ テン骨格を有するエポキシモノマー、フル レン骨格を有するエポキシモノマー、ビフ ニル骨格を有するエポキシモノマー、バイ( リシジルオキシフェニル)メタン骨格を有す るエポキシモノマー、キサンテン骨格を有す るエポキシモノマー、アントラセン骨格を有 するエポキシモノマー、又はピレン骨格を有 するエポキシモノマー等が挙げられる。これ らのエポキシモノマー(B1)は、単独で用いら てもよく、2種以上が併用されてもよい。

 上記ビスフェノール骨格を有するエポキ モノマーとして、例えば、ビスフェノールA 型、ビスフェノールF型又はビスフェノールS のビスフェノール骨格を有するエポキシモ マー等が挙げられる。

 上記ジシクロペンタジエン骨格を有する ポキシモノマーとして、ジシクロペンタジ ンジオキシド、又はジシクロペンタジエン 格を有するフェノールノボラックエポキシ ノマー等が挙げられる。

 上記ナフタレン骨格を有するエポキシモノ ーとして、1-グリシジルナフタレン、2-グリ シジルナフタレン、1,2-ジグリシジルナフタ ン、1,5-ジグリシジルナフタレン、1,6-ジグリ シジルナフタレン、1,7-ジグリシジルナフタ ン、2,7-ジグリシジルナフタレン、トリグリ ジルナフタレン、又は1,2,5,6-テトラグリシ ルナフタレン等が挙げられる。
 上記アダマンテン骨格を有するエポキシモ マーとして、1,3-ビス(4-グリシジルオキシフ ェニル)アダマンテン、又は2,2-ビス(4-グリシ ルオキシフェニル)アダマンテン等が挙げら れる。

 上記フルオレン骨格を有するエポキシモ マーとして、9,9-ビス(4-グリシジルオキシフ ェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-グリシジルオ シ-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4 -グリシジルオキシ-3-クロロフェニル)フルオ ン、9,9-ビス(4-グリシジルオキシ-3-ブロモフ ェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-グリシジルオ シ-3-フルオロフェニル)フルオレン、9,9-ビ (4-グリシジルオキシ-3-メトキシフェニル)フ オレン、9,9-ビス(4-グリシジルオキシ-3,5-ジ チルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-グリ ジルオキシ-3,5-ジクロロフェニル)フルオレ 、又は9,9-ビス(4-グリシジルオキシ-3,5-ジブ モフェニル)フルオレン等が挙げられる。

 上記ビフェニル骨格を有するエポキシモ マーとして、4,4’-ジグリシジルビフェニル 、又は4,4’-ジグリシジル-3,3’,5,5’-テトラ チルビフェニル等が挙げられる。

 上記バイ(グリシジルオキシフェニル)メ ン骨格を有するエポキシモノマーとして、1, 1’-バイ(2,7-グリシジルオキシナフチル)メタ 、1,8’-バイ(2,7-グリシジルオキシナフチル) メタン、1,1’-バイ(3,7-グリシジルオキシナフ チル)メタン、1,8’-バイ(3,7-グリシジルオキ ナフチル)メタン、1,1’-バイ(3,5-グリシジル キシナフチル)メタン、1,8’-バイ(3,5-グリシ ジルオキシナフチル)メタン、1,2’-バイ(2,7- リシジルオキシナフチル)メタン、1,2’-バイ (3,7-グリシジルオキシナフチル)メタン、又は 1,2’-バイ(3,5-グリシジルオキシナフチル)メ ン等が挙げられる。

 上記キサンテン骨格を有するエポキシモ マーとして、1,3,4,5,6,8-ヘキサメチル-2,7-ビ -オキシラニルメトキシ-9-フェニル-9H-キサン テン等が挙げられる。

 上記オキセタンモノマー(B2)は、芳香族骨 格を有し、かつ重量平均分子量が600以下であ れば特に限定されない。上記オキセタンモノ マー(B2)の具体例として、例えば、4,4’-ビス[ (3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ビ ェニル、1,4-ベンゼンジカルボン酸ビス[(3- チル-3-オキセタニル)メチル]エステル、1,4- ス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル ]ベンゼン、又はオキセタン化フェノールノ ラック等が挙げられる。これらのオキセタ モノマー(B2)は、単独で用いられてもよく、2 種以上が併用されてもよい。

 上記エポキシモノマー(B1)及びオキセタン モノマー(B2)の重量平均分子量、すなわちモ マー(B)の重量平均分子量は、600以下である モノマー(B)の重量平均分子量の好ましい下 は200、好ましい上限は550である。モノマー(B )の重量平均分子量が小さすぎると、モノマ (B)の揮発性が高すぎて絶縁シートの取扱い が低下することがある。モノマー(B)の重量 均分子量が大きすぎると、絶縁シートが固 かつ脆くなったり、絶縁シートの硬化物の 着性が低下したりすることがある。

 上記ポリマー(A)と、上記モノマー(B)と、 記硬化剤(C)とを含む絶縁シートに含まれて る全樹脂成分の合計100重量%中に、モノマー (B)は10~60重量%の範囲内で含有される。上記全 樹脂成分の合計100重量%中に、モノマー(B)は10 ~40重量%の範囲内で含有されることがより好 しい。モノマー(B)は上記範囲内で、ポリマ (A)とモノマー(B)との合計が100重量%未満とな 割合で含まれることが好ましい。モノマー( B)の量が少なすぎると、絶縁シートの硬化物 接着性や耐熱性が低下することがある。モ マー(B)の量が多すぎると、絶縁シートの柔 性が低下することがある。

 (硬化剤(C))
 上記硬化剤(C)は、フェノール樹脂、又は芳 族骨格もしくは脂環式骨格を有する酸無水 、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水 の変性物である。この硬化剤(C)を用いるこ により、耐熱性、耐湿性及び電気物性のバ ンスに優れた絶縁シートの硬化物を得るこ ができる。硬化剤(C)は単独で用いられても く、2種以上が併用されてもよい。

 上記フェノール樹脂は特に限定されない 上記フェノール樹脂の具体例として、フェ ールノボラック、o-クレゾールノボラック p-クレゾールノボラック、t-ブチルフェノー ノボラック、ジシクロペンタジエンクレゾ ル、ポリパラビニルフェノール、ビスフェ ールA型ノボラック、キシリレン変性ノボラ ック、デカリン変性ノボラック、ポリ(ジ-o- ドロキシフェニル)メタン、ポリ(ジ-m-ヒドロ キシフェニル)メタン、又はポリ(ジ-p-ヒドロ シフェニル)メタン等が挙げられる。なかで も、絶縁シートの柔軟性や絶縁シートの硬化 物の難燃性をより一層高めることができるの で、メラミン骨格を有するフェノール樹脂、 トリアジン骨格を有するフェノール樹脂、又 はアリル基を有するフェノール樹脂が好まし い。

 上記フェノール樹脂の市販品として、MEH- 8005、MEH-8010及びNEH-8015(以上いずれも明和化成 社製)、YLH903(ジャパンエポキシレジン社製)、 LA-7052、LA-7054、LA-7751、LA-1356及びLA-3018-50P(以 いずれも大日本インキ社製)、並びにPS6313及 PS6492(以上いずれも群栄化学社製)等が挙げ れる。

 芳香族骨格を有する酸無水物、該酸無水 の水添加物又は該酸無水物の変性物は、特 限定されない。芳香族骨格を有する酸無水 、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の 性物として、例えば、スチレン/無水マレイ ン酸コポリマー、ベンゾフェノンテトラカル ボン酸無水物、ピロメリット酸無水物、トリ メリット酸無水物、4,4’-オキシジフタル酸 水物、フェニルエチニルフタル酸無水物、 リセロールビス(アンヒドロトリメリテート) モノアセテート、エチレングリコールビス( ンヒドロトリメリテート)、メチルテトラヒ ロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水 タル酸、又はトリアルキルテトラヒドロ無 フタル酸等が挙げられる。なかでも、メチ ナジック酸無水物又はトリアルキルテトラ ドロ無水フタル酸が好ましい。メチルナジ ク酸無水物又はトリアルキルテトラヒドロ 水フタル酸を用いた場合には、絶縁シート 硬化物の耐水性を高めることができる。

 上記芳香族骨格を有する酸無水物、該酸 水物の水添加物又は該酸無水物の変性物の 販品として、SMAレジンEF30、SMAレジンEF40、SM AレジンEF60及びSMAレジンEF80(以上いずれもサ トマー・ジャパン社製)、ODPA-M及びPEPA(以上 ずれもマナック社製)、リカジットMTA-10、リ ジットMTA-15、リカジットTMTA、リカジットTME G-100、リカジットTMEG-200、リカジットTMEG-300、 リカジットTMEG-500、リカジットTMEG-S、リカジ トTH、リカジットHT-1A、リカジットHH、リカ ットMH-700、リカジットMT-500、リカジットDSDA 及びリカジットTDA-100(以上いずれも新日本理 社製)、並びにEPICLON B4400、EPICLON B650、及び EPICLON B570(以上いずれも大日本インキ化学社 )等が挙げられる。

 また、脂環式骨格を有する酸無水物、該 無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物 、多脂環式骨格を有する酸無水物、テルペ 系化合物と無水マレイン酸との付加反応に り得られる脂環式骨格を有する酸無水物、 酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性 であることが好ましい。この場合には、絶 シートの柔軟性、耐湿性又は接着性をより 層高めることができる。また、上記脂環式 格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加 又は該酸無水物の変性物として、メチルナ ック酸無水物、ジシクロペンタジエン骨格 有する酸無水物又は該酸無水物の変性物等 挙げられる。

 上記脂環式骨格を有する酸無水物、該酸 水物の水添加物又は該酸無水物の変性物の 販品として、リカジットHNA及びリカジットH NA-100(以上いずれも新日本理化社製)、並びに ピキュアYH306、エピキュアYH307、エピキュア YH308H及びエピキュアYH309(以上いずれもジャパ ンエポキシレジン社製)等が挙げられる。

 また、上記硬化剤(C)は、下記式(1)~(3)の内 のいずれかで表される酸無水物であることが より好ましい。この好ましい硬化剤(C)を用い た場合には、絶縁シートの柔軟性、耐湿性又 は接着性をより一層高めることができる。

 上記式(3)中、R1及びR2はそれぞれ水素、炭 素数1~5のアルキル基、又は水酸基を示す。

 硬化速度や硬化物の物性などを調整する めに、上記硬化剤とともに、硬化促進剤を いてもよい。

 上記硬化促進剤は特に限定されない。硬 促進剤の具体例として、例えば、3級アミン 、イミダゾール類、イミダゾリン類、トリア ジン類、有機リン系化合物、4級ホスホニウ 塩類又は有機酸塩などのジアザビシクロア ケン類等が挙げられる。また、上記硬化促 剤として、有機金属化合物類、4級アンモニ ム塩類又は金属ハロゲン化物が挙げられる 上記有機金属化合物類として、オクチル酸 鉛、オクチル酸錫やアルミニウムアセチル セトン錯体等が挙げられる。

 上記硬化促進剤として、高融点のイミダ ール硬化促進剤、高融点の分散型潜在性硬 促進剤、マイクロカプセル型潜在性硬化促 剤、アミン塩型潜在性硬化促進剤、又は高 解離型かつ熱カチオン重合型潜在性硬化促 剤等を使用できる。これらの硬化促進剤は 単独で用いられてもよく、2種以上が併用さ れてもよい。

 上記高融点の分散型潜在性促進剤として ジシアンジアミド又はアミンをエポキシモ マー等に付加したアミン付加型促進剤等が げられる。上記マイクロカプセル型潜在性 進剤として、イミダゾール系、リン系又は スフィン系の促進剤の表面をポリマーで被 したマイクロカプセル型潜在性促進剤が挙 られる。上記高温解離型かつ熱カチオン重 型潜在性硬化促進剤として、ルイス酸塩又 ブレンステッド酸塩等が挙げられる。

 上記硬化促進剤は、高融点のイミダゾー 系硬化促進剤であることが好ましい。高融 のイミダゾール系硬化促進剤を用いた場合 反応系を容易に制御でき、かつ絶縁シート 硬化速度や、絶縁シートの硬化物の物性な をより一層容易に調整できる。融点100℃以 の高融点の硬化促進剤は、取扱性に優れて る。従って、硬化促進剤の融点は100℃以上 あることが好ましい。

 上記ポリマー(A)と、上記モノマー(B)と、 記硬化剤(C)とを含む絶縁シートに含まれて る全樹脂成分の合計100重量%中に、硬化剤(C) は10~40重量%の範囲内で含有されることが好ま しく、12~25重量%の範囲内で含有されることが より好ましい。硬化剤(C)の量が少なすぎると 、絶縁シートを充分に硬化させることが困難 になることがある。硬化剤(C)の量が多すぎる と、硬化に関与しない余剰な硬化剤が発生し たり、硬化物の架橋が十分に進行しないこと がある。このため、絶縁シートの硬化物の耐 熱性や接着性が十分に高められないことがあ る。

 (フィラー(D))
 本発明に係る絶縁シートはフィラー(D)を含 するため、絶縁シートの硬化物の熱伝導性 高くすることができる。このため、絶縁シ トの硬化物の放熱性を高めることができる フィラー(D)は単独で用いられてもよく、2種 以上が併用されてもよい。

 フィラー(D)は特に限定されない。フィラ (D)の熱伝導率は30W/m・K以上であることが好 しい。熱伝導率が30W/m・K以上であるフィラ (D)として、アルミナ、窒化ホウ素、窒化ア ミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化 鉛又は酸化マグネシウム等が挙げられる。

 フィラー(D)は、アルミナ、窒化ホウ素、 化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素 酸化亜鉛及び酸化マグネシウムからなる群 ら選択された少なくとも1種であることが好 ましい。この場合には、絶縁シートの硬化物 の放熱性をより一層高めることができる。ま た、フィラー(D)は、アルミナ、窒化ホウ素、 窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素 及び酸化マグネシウムからなる群から選択さ れた少なくとも1種であることも好ましい。

 フィラー(D)は、アルミナ、窒化ホウ素、 化アルミニウム、窒化ケイ素及び炭化ケイ からなる群から選択された少なくとも1種で あることがより好ましい。この場合には、後 述する分散剤(F)として、pKaが低いすなわち酸 性度の高い分散剤を使用する場合、フィラー (D)の分散剤(F)への溶解を抑制できる。

 フィラー(D)は、球状アルミナ及び球状窒 アルミニウムの内の少なくとも一方である とが特に好ましい。球状アルミナ及び球状 化アルミニウムの内の少なくとも一方を用 た場合、フィラー(D)を高密度で充填できる め、絶縁シートの硬化物の放熱性をより一 高めることができる。

 フィラー(D)の平均粒子径は、0.1~40μmの範 内にあることが好ましい。平均粒子径が0.1 m未満であると、フィラー(D)を高密度で充填 ることが困難になることがある。平均粒子 が40μmを超えると、絶縁シートの硬化物の 縁破壊特性が低下することがある。

 「平均粒子径」とは、レーザー回折式粒 分布測定装置により測定した体積平均での 度分布測定結果から求められる平均粒子径 ある。

 絶縁シート100体積%中に、フィラー(D)は40~ 90体積%の範囲内で含有されることが好ましく 、50~90体積%の範囲内で含有されることが好ま しい。フィラー(D)の配合量の好ましい下限は 65体積%であり、好ましい上限は85体積%である 。フィラー(D)の量が少なすぎると、絶縁シー トの硬化物の放熱性を充分に高めることがで きないことがある。フィラー(D)の量が多すぎ ると、絶縁シートの柔軟性や接着性が著しく 低下するおそれがある。

 フィラー(D)は、平均粒子径0.1~0.5μmの球状 フィラー(D1)と、平均粒子径2~6μmの球状フィ ー(D2)と、平均粒子径10~40μmの球状フィラー(D 3)とを含有することが好ましい。この場合に 、フィラー(D)100体積%中に、球状フィラー(D1 )が5~30体積%の範囲内、球状フィラー(D2)が20~60 体積%の範囲内、球状フィラー(D3)が20~60体積% 範囲内、かつ球状フィラー(D1)、球状フィラ ー(D2)及び球状フィラー(D3)が合計100体積%を超 えない量で含有されることが好ましい。

 小粒径の球状フィラー(D1)と、中粒径の球 状フィラー(D2)と、大粒径の球状フィラー(D3) が上記特定の量で併用されている場合には 絶縁シートの硬化物の熱伝導率をより一層 くすることができ、かつ硬化物の接着性及 絶縁破壊特性をより一層高くすることがで る。

 球状フィラー(D1)の平均粒子径が0.1μm未満 であると、フィラー(D)の充填が困難であった り、絶縁シートの硬化物の接着性が低下する ことがある。

 球状フィラー(D1)の平均粒子径が0.5μmを超 えたり、上記球状フィラー(D2)の平均粒子径 2μm未満であると、球状フィラー(D1)と球状フ ィラー(D2)との粒径が近すぎるため、細密充 構造が形成され難く、フィラー(D)の充填性 充分に確保できないことがある。このため 絶縁シートの硬化物の熱伝導性が低くなっ り、フィラー(D)が局所的に凝集して、絶縁 ートの硬化物の接着性及び絶縁性が低下し りすることがある。

 球状フィラー(D2)の平均粒子径が6μmを超 たり、上記フィラー(D3)の平均粒子径が10μm 満であると、球状フィラー(D2)と球状フィラ (D3)との粒径が近すぎるため、フィラー(D)の 充填性が充分に確保できないことがある。こ のため、絶縁シートの硬化物の熱伝導性が低 くなったり、フィラー(D)が凝集して、絶縁シ ートの硬化物の接着性及び絶縁性が低下した りすることがある。

 球状フィラー(D3)の平均粒子径が40μmを超 ると、絶縁シートの膜厚を100μm程度に薄く た際に、絶縁シートの硬化物の絶縁性が著 く低くなることがある。

 なお、上述した特許文献3に記載の接着剤 では、粒径が異なる3種の無機粉末A~Cが配合 れている。しかしながら、例えば、上記無 粉末Aとして平均粒径が0.5μmを超え、かつ0.9 m以下の無機粉末を用いた場合には、平均粒 2.0~6.0μmの無機粉末Bと粒径が近すぎるため 無機粉末の充填性が充分に確保できことが る。このため、接着剤の硬化物の熱伝導率 低下したり、フィラーが局所的に凝集して 接着剤の硬化物の接着性及び絶縁性が低下 たりすることがある。また、平均粒径2.0~6.0 mの無機粉末Bの配合量が少なすぎる場合や、 平均粒径が10~30μmの無機粉末Cの配合量が多す ぎる場合には、無機充填材の充填性を充分に 確保できないことがある。このため、接着剤 の硬化物の熱伝導率が低下したり、フィラー が局所的に凝集して、接着剤の硬化物の接着 性及び絶縁性が低下したりすることがある。

 また、上記特許文献3に記載の接着剤に配 合される無機粉末A~C以外の樹脂成分の種類に よっては、接着剤の硬化物の絶縁破壊特性や 接着性が低下することがある。

 球状フィラー(D1)、(D2)及び(D3)が上記体積 合でそれぞれフィラー(D)に含まれていない 合には、フィラー(D)の充填性が充分に確保 きないことがある。このため、絶縁シート 硬化物の熱伝導率が低くなることがある。 らに、フィラー(D)が凝集し、絶縁シートの 化物の接着性及び絶縁性が低下することが る。

 上記球状フィラー(D1)、(D2)及び(D3)は球状 形状である。球状とは、アスペクト比が1~2 範囲内にあることを意味する。

 球状フィラー(D1)、(D2)及び(D3)を用いる場 、球状フィラー(D1)、(D2)及び(D3)とは粒径が なるか、もしくは球状ではない他のフィラ がフィラー(D)に含有されていてもよい。絶 シートは、上記他のフィラーを含まないこ が好ましい。上記他のフィラーが含まれる 合には、フィラー(D)100体積%中に、上記他の フィラーは5体積%以下の割合で含有される。

 球状フィラー(D1)の粒度分布として、最大 粒子径が2μm以下であることが好ましく、最 粒子径が0.01μm以上であることが好ましい。 記球状フィラー(D2)の粒度分布として、最大 粒子径が40μm以下であることが好ましく、最 粒子径が0.1μm以上であることが好ましい。 記球状フィラー(D3)の粒度分布として、最大 粒子径が60μm以下であることが好ましく、最 粒子径が0.5μm以上であることが好ましい。

 絶縁シートに含まれる全フィラー(D)の粒 分布を測定した場合に、粒径が小さいもの らフィラー(D)の累積体積を計測したときに 粒径0.1μmにおける累積体積は0~5%の範囲内に あることが好ましく、粒径0.5μmにおける累積 体積%は1~10%の範囲内にあることが好ましく、 粒径2μmにおける累積体積%は2~20%の範囲内に ることが好ましく、粒径6μmにおける累積体 %は20~50%の範囲内にあることが好ましく、粒 径10μmにおける累積体積%は30~80%の範囲内にあ ることが好ましく、粒径40μmにおける累積体 %は80~100%の範囲内にあることが好ましい。

 「粒度分布」とは、レーザー回折式粒度 布測定装置により測定された体積平均での 度分布を意味する。

 上記球状フィラー(D1)、(D2)及び(D3)の主成 は同一であることが好ましい。この場合に 、比重の違い等に起因するフィラー(D)の分 のばらつきが生じ難くなる。

 フィラー(D)は、平均粒子径12μm以下の破 されたフィラー(D4)であることが好ましい。 砕されたフィラー(D4)は単独で用いられても よく、2種以上が併用されてもよい。

 破砕されたフィラー(D4)は、例えば、一軸 破砕機、二軸破砕機、ハンマークラッシャー 又はボールミル等を用いて、塊状の無機物質 を破砕することにより得られる。破砕された フィラー(D4)を使用することにより、絶縁シ ト中のフィラー(D)が、橋掛け又は効率的に 接された構造となりやすい。従って絶縁シ トの硬化物の熱伝導性をより一層高めるこ ができる。また、破砕されたフィラー(D4)は 一般的に、通常のフィラーに比べて安価で る。このため、破砕されたフィラー(D4)を使 用することにより、絶縁シートのコストを低 減できる。

 破砕されたフィラー(D4)の平均粒子径は、 12μm以下である。平均粒子径が12μmを超える 、絶縁シート中に、破砕されたフィラー(D4) 高密度に分散させることができず、絶縁シ トの硬化物の絶縁破壊特性が低下すること ある。破砕されたフィラー(D4)の平均粒子径 の好ましい上限は10μmであり、好ましい下限 1μmである。フィラー(D4)の平均粒子径が小 すぎると、破砕されたフィラー(D4)を高密度 充填させることが困難となることがある。

 破砕されたフィラー(D4)のアスペクト比は 、特に限定されない。破砕されたフィラー(D4 )のアスペクト比は、1.5~20の範囲内にあるこ が好ましい。アスペクト比が1.5未満のフィ ーは、比較的高価である。従って、絶縁シ トのコストが高くなる。上記アスペクト比 20を超えると、破砕されたフィラー(D4)の充 が困難となることがある。

 破砕されたフィラー(D4)のアスペクト比は 、例えば、デジタル画像解析方式粒度分布測 定装置(商品名:FPA、日本ルフト社製)を用いて 、フィラーの破砕面を測定することにより求 めることができる。

 破砕されたフィラー(D4)は、アルミナ、窒 化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素及 び炭化ケイ素からなる群から選択された少な くとも1種であることが好ましい。これらの ましい破砕されたフィラー(D4)を用いた場合 は、絶縁シートの硬化物の放熱性をより一 高めることができる。

 (分散剤(F))
 本発明に係る絶縁シートは、水素結合性を する水素原子を含む官能基を有する分散剤( F)をさらに含有することが好ましい。上記分 剤(F)が含まれる場合には、絶縁シートの硬 物の熱伝導性及び絶縁破壊特性をより一層 めることができる。分散剤(F)は、単独で用 られてもよく、2種以上が併用されてもよい 。

 上記水素結合性を有する水素原子を含む 能基として、例えば、カルボキシル基(pKa=4) 、リン酸基(pKa=7)、又はフェノール基(pKa=10)等 が挙げられる。

 上記水素結合性を有する水素原子を含む 能基のpKaは、2~10の範囲内にあることが好ま しく、3~9の範囲内にあることがより好ましい 。pKaが2未満であると、分散剤(F)の酸性度が すぎるため、樹脂成分としてのエポキシ成 及びオキセタン成分の反応が促進されやす 。また、未硬化状態の絶縁シートの貯蔵安 性が低下することがある。pKaが10を超えると 、分散剤(F)としての機能が充分に果たせず、 絶縁シートの硬化物の熱伝導性及び絶縁破壊 特性を充分に高めることができないことがあ る。

 上記水素結合性を有する水素原子を含む 能基は、カルボキシル基又はリン酸基であ ことが好ましい。この場合には、絶縁シー の硬化物の熱伝導性及び絶縁破壊特性をさ に一層高めることができる。

 分散剤(F)として、具体的には、例えば、 リエステル系カルボン酸、ポリエーテル系 ルボン酸、ポリアクリル系カルボン酸、脂 族系カルボン酸、ポリシロキサン系カルボ 酸、ポリエステル系リン酸、ポリエーテル リン酸、ポリアクリル系リン酸、脂肪族系 ン酸、ポリシロキサン系リン酸、ポリエス ル系フェノール、ポリエーテル系フェノー 、ポリアクリル系フェノール、脂肪族系フ ノール、又はポリシロキサン系フェノール が挙げられる。

 破砕されたフィラー(D4)を用いた場合、接 触している破砕面同士が強く凝集する傾向が ある。このため、破砕されたフィラー(D4)を いた場合には、絶縁シート中に破砕された ィラー(D4)を高密度に分散させることは困難 ある。このため、未硬化状態の絶縁シート ハンドリング性、絶縁シートの硬化物の絶 破壊特性及び熱伝導性が低下することがあ 。しかしながら、破砕されたフィラー(D4)と ともに上記分散剤(E)を用いることで、絶縁シ ート中に、破砕されたフィラー(D4)を高密度 分散させることができる。従って、未硬化 態の絶縁シートのハンドリング性、絶縁シ トの硬化物の絶縁破壊特性及び熱伝導性を めることができる。

 絶縁シート100重量%中に、分散剤(F)は0.01~2 0重量%の範囲内で含有されることが好ましく 0.1~10重量%の範囲内で含有されることがより 好ましい。分散剤(F)がこの範囲内で含有され る場合、フィラー(D)の凝集を抑制でき、かつ 絶縁シートの硬化物の熱伝導性及び絶縁破壊 特性をより一層高めることができる。

 (ゴム粒子(E))
 本発明に係る絶縁シートは、ゴム粒子(E)を んでいてもよい。ゴム粒子を用いた場合、 縁シートの硬化物の応力緩和性を高めるこ ができる。

 ゴム粒子(E)は特に限定されない。ゴム粒 (E)として、例えば、アクリルゴム、ブタジ ンゴム、イソプレンゴム、アクリロニトリ ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム スチレンイソプレンゴム、ウレタンゴム、 リコーンゴム、フッ素ゴム又は天然ゴム等 挙げられる。ゴム粒子の性状は特に限定さ ない。

 ゴム粒子(E)はシリコーンゴム粒子である とが好ましい。この場合には、絶縁シート 応力緩和性をより一層高めることができ、 つ絶縁シートの硬化物の柔軟性をより一層 めることができる。

 ゴム粒子(E)とフィラー(D)とを併用するこ により、絶縁シートが低い線熱膨張率と同 に応力緩和能を有するようになる。このた 、高温下や冷熱サイクル条件下に晒されて 、絶縁シートの硬化物に剥離やクラック等 生じ難くなる。

 絶縁シート100重量%中に、ゴム粒子(E)は0.1 ~40重量%の範囲内で含有されることが好まし 、0.3~20重量%の範囲内で含有されることがよ 好ましい。ゴム粒子(E)の量が少なすぎると 絶縁シートの硬化物の応力緩和性が十分に 現しないことがある。ゴム粒子(E)の量が多 ぎると、絶縁シートの硬化物の接着性が低 なることがある。

 (他の成分)
 本発明に係る絶縁シートは、ハンドリング をより一層高めるために、ガラスクロス、 ラス不織布又はアラミド不織布等の基材物 を含んでいてもよい。ただし、上記基材物 を含まなくても、本発明の絶縁シートは室 (23℃)において未硬化状態でも自立性を有し 、かつ優れたハンドリング性を有する。よっ て、絶縁シートは基材物質を含まないことが 好ましく、特にガラスクロスを含まないこと が好ましい。絶縁シートが上記基材物質を含 まない場合、絶縁シートの厚みを薄くするこ とができ、かつ絶縁シートの硬化物の熱伝導 性をより一層高めることができる。さらに、 必要に応じて絶縁シートにレーザー加工、ド リル穴開け加工等の各種加工を容易に行うこ とができる。なお、自立性とは、PETフィルム や銅箔といった支持体が存在しなくても、未 硬化状態であっても、シートの形状を保持し 、シートとして取扱うことができることをい う。

 また、本発明の絶縁シートは、必要に応 て、チキソ性付与剤、分散剤、難燃剤又は 色剤などを含有していてもよい。

 上記チキソ性付与剤として、ポリアマイ 樹脂、脂肪酸アマイド樹脂、ポリアミド樹 又はフタル酸ジオクチル樹脂等が挙げられ 。

 上記分散剤として、アニオン性分散剤、 チオン性分散剤又はノニオン性分散剤等が げられる。

 上記アニオン性分散剤として、脂肪酸せ けん、アルキルサルフェート、ジアルキル ルホコハク酸ナトリウム又はアルキルベン ンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。 記カチオン性分散剤として、デシルアミン 酸塩、トリメチルアンモニウムクロライド はジメチル(ベンジル)アンモニウムクロラ ド等が挙げられる。上記ノニオン性分散剤 して、ポリエチレングリコールエーテル、 リエチレングリコールエステル、ソルビタ エステル、ソルビタンエステルエーテル、 ノグリセライド、ポリグリセリンアルキル ステル、脂肪酸ジエタノールアミド、アル ルポリエーテルアミン、アミンオキサイド はエチレングリコールジステアレート等が げられる。

 上記難燃剤として、金属水酸化物、リン 化合物、窒素系化合物、層状複水和物、ア チモン系化合物、臭素系化合物又は臭素含 エポキシ樹脂等が挙げられる。

 上記金属水酸化物として、水酸化アルミ ウム、水酸化マグネシウム、ドーソナイト アルミン酸化カルシウム、2水和石こう又は 水酸化カルシウム等が挙げられる。上記リン 系化合物として、赤りん、ポリリン酸アンモ ニウム、トリフェニルホスフェート、トリシ クロヘキシルホスフェートもしくはリンなど のリン酸エステル、又はリン含有エポキシ樹 脂、リン含有フェノキシ樹脂もしくはリン含 有ビニル化合物などのリン含有樹脂等が挙げ られる。上記窒素系化合物として、メラミン 、メラミンシアヌレート、メラミンイソシア ヌレート又はリン酸メラミン等のメラミン化 合物や、これらのメラミン化合物に表面処理 が施されたメラミン誘導体等が挙げられる。 上記層状複水和物として、ハイドロタルサイ ト等が挙げられる。上記アンチモン系化合物 として、三酸化アンチモン又は五酸化アンチ モン等が挙げられる。上記臭素系化合物とし て、デカブロモジフェニルエーテル又はトリ アリルイソシアヌレート6臭化物等が挙げら る。上記臭素含有エポキシ樹脂として、テ ラブロモビスフェノールA等が挙げられる。 かでも、金属水酸化物、リン系化合物、臭 系化合物又はメラミン誘導体が好適に用い れる。

 上記着色剤として、カーボンブラック、 鉛、フラーレン、チタンカーボン、二酸化 ンガン又はフタロシアニンなどの顔料又は 料を使用できる。

 (絶縁シート)
 本発明に係る絶縁シートの製造方法は、特 限定されない。絶縁シートは、例えば、上 した材料を混合した混合物を溶剤キャスト 又は押し出し成膜等の方法によってシート に成形することにより得ることができる。 ート状に成形する際に、脱泡することが好 しい。

 未硬化状態の絶縁シートのガラス転移温 Tgは、25℃以下である。ガラス転移温度が25 を超えると、絶縁シートが室温で固く、か 脆くなることがある。このため、未硬化状 の絶縁シートのハンドリング性が低下する とがある。

 未硬化状態の絶縁シートの25℃での曲げ 性率は、10~1000MPaの範囲内にあることが好ま く、20~500MPaの範囲内にあることがより好ま い。未硬化状態の絶縁シートの25℃での曲 弾性率が10MPa未満であると、未硬化状態の絶 縁シートの室温での自立性が著しく低下し、 未硬化状態の絶縁シートのハンドリング性が 低下することがある。未硬化状態の絶縁シー トの25℃での曲げ弾性率が1000MPaを超えると、 加熱接着時に弾性率が充分に低くならないた め、絶縁シートの硬化物が接着対象物に充分 に密着しないことがあり、かつ絶縁シートの 硬化物と接着対象物との接着性が低下するこ とがある。

 絶縁シートが硬化されたときに、絶縁シ トの硬化物の25℃での曲げ弾性率は、1000~500 00MPaの範囲内にあることが好ましく、5000~30000 MPaの範囲内にあることがより好ましい。絶縁 シートの硬化物の25℃での曲げ弾性率が1000MPa 未満であると、例えば、絶縁シートを用いて 、厚みの薄い積層基板や、両面に銅回路が設 けられた積層板等の積層体を作製した場合に 、得られた積層体がたわみやすくなる。この ため、折れや曲げ等により積層体が破損しや すくなる。絶縁シートの硬化物の25℃での曲 弾性率が50000MPaを超えると、絶縁シートの 化物が固くかつ脆くなりすぎて、絶縁シー の硬化物にクラック等が生じやすくなるこ がある。

 上記曲げ弾性率は、例えば、万能試験機R TC-1310A(オリエンテック社製)を用いて、JIS K  7111に準拠し、長さ8cm、幅1cm及び厚み4mmの試 片を用いて、支点間距離6cm及び速度1.5mm/分 各条件で測定できる。また、絶縁シートの 化物の曲げ弾性率を測定する際に、絶縁シ トの硬化物は、120℃で1時間、次に200℃で1時 間の2段階の温度により硬化させることによ 得られる。

 本発明に係る絶縁シートは、回転型動的 弾性測定装置を用いて測定された25℃での 硬化状態の絶縁シートのtanδが0.1~1.0の範囲 にあり、かつ未硬化状態での絶縁シートを25 ℃から250℃まで昇温させた場合の絶縁シート のtanδの最大値が1.0~5.0の範囲内にあることが 好ましい。上記絶縁シートのtanδは、0.1~0.5の 範囲内にあることがより好ましい。上記絶縁 シートのtanδの最大値は、1.5~4.0の範囲内にあ ることがより好ましい。

 上記25℃での未硬化状態の絶縁シートのta nδが0.1未満であると、未硬化状態の絶縁シー トの柔軟性が低くなり、未硬化状態の絶縁シ ートが破損しやすくなる。上記25℃での未硬 状態の絶縁シートのtanδが1.0以上であると 未硬化状態の絶縁シートが柔らかすぎるた 、未硬化状態の絶縁シートのハンドリング が低下することがある。

 上記未硬化状態での絶縁シートを25℃か 250℃まで昇温させた場合の絶縁シートのtanδ の最大値が1.0未満であると、加熱接着時に絶 縁シートが接着対象物に充分に密着しないこ とがある。上記絶縁シートのtanδの最大値が5 .0を超えると、絶縁シートの流動性が高すぎ 、加熱接着時に絶縁シートの厚みが薄くな 、所望の絶縁破壊特性が得られないことが る。

 上記25℃での未硬化状態の絶縁シートのta nδは、回転型動的粘弾性測定装置VAR-100(レオ ジカ・インスツルメンツ社製)を用いて、直 径2cmの円板状の未硬化状態の絶縁シートを用 いて、直径2cmのパラレル型プレートにより、 25℃にて、オシレーション歪み制御モード、 始応力10Pa、周波数1Hz及び歪み1%の各条件で 定できる。また、未硬化状態での絶縁シー を25℃から250℃まで昇温させた場合の絶縁 ートのtanδの最大値は、上記未硬化状態の絶 縁シートを、上記測定条件に加え、昇温速度 30℃/分で、25℃から250℃まで昇温させること より測定できる。

 上記曲げ弾性率及びtanδが上記特定の範 内にある場合には、製造時及び使用時に、 硬化状態の絶縁シートのハンドリング性が 著に高くなる。さらに、絶縁シートを用い 、銅箔やアルミニウム板等の高熱伝導体を 電層に接着した場合、接着強度が顕著に高 なる。また、上記高熱伝導体の接着面が凹 を有する場合に、絶縁シートの該凹凸に対 る追従性を高めることができる。このため 接着界面に空隙が形成され難くなり、従っ 熱伝導性が高くなる。

 なお、特許文献4に記載の絶縁接着シート に熱伝導率が高いフィラーを高密度で充填し 、放熱性を高めた場合には、絶縁接着シート の弾性率が高くなり、特許文献4に記載のパ メータを満たさなくなる。また、放熱性を めるために、熱伝導率が高いフィラーを高 度で充填した上で、かつ特許文献4に記載の ラメータを満たそうとした場合には、低分 量の成分を多量に添加し、粘度を調整する 要がある。この場合には、未硬化状態での 縁接着シートのタック性が高くなりすぎて ハンドリング性が低下することがある。

 また、硬化状態において応力緩和性を発 させるために、特許文献4に記載の絶縁接着 シートには、Tgが-10℃以上のアクリルゴムが 合されている。しかしながら、このゴム成 が添加された場合には、絶縁接着シートの 化物の耐熱性が低下しやすい。従って、特 文献4に記載の絶縁接着シートは、電子部品 の放熱を目的とする用途、特に、高電圧が印 加されたり、又は大電流が流れたりすること によって高い熱量が発生する電気自動車等の パワーデバイス用途に用いることができない ことがある。

 上記曲げ弾性率及びtanδが上記特定の範 内にある場合には、未硬化状態の絶縁シー のハンドリング性を高くすることができる さらに、絶縁シートをパワーデバイス用途 使用できる。

 未硬化状態の絶縁シートの反応率は10%以 であることが好ましい。未硬化状態の絶縁 ートの反応率が10%を超えると、未硬化状態 絶縁シートが固くかつ脆くなり、未硬化状 の絶縁シートの室温でのハンドリング性が 下したり、絶縁シートの硬化物の接着性が 下したりすることがある。絶縁シートの反 率は、示差走査型熱量測定装置を用いて、 縁シートを120℃1時間、次に200℃1時間の2段 で硬化させた時に発生する熱量から計算す ことにより求められる。

 絶縁シートの膜厚は特に限定されない。 縁シートの膜厚は、10~300μmの範囲内にある とが好ましく、50~200μmの範囲内にあること より好ましく、70~120μmの範囲内にあること さらに好ましい。膜厚が薄すぎると、絶縁 ートの硬化物の絶縁破壊特性が低下し、絶 性が低下することがある。膜厚が厚すぎる 、金属体を導電層に接着したときに放熱性 低下することがある。

 絶縁シートの膜厚を厚くすることにより 絶縁シートの硬化物の絶縁破壊特性をより 層高くすることができる。ただし、本発明 係る絶縁シートの膜厚は薄くても、絶縁シ トの硬化物の絶縁破壊特性は高い。

 絶縁シートの硬化物の熱伝導率は、1.5W/m K以上であることが好ましく、2.0W/m・K以上 あることがより好ましく、3.0W/m・K以上であ ことがさらに好ましく、5.0W/m・K以上である ことがさらに一層好ましく、7.0W/m・K以上で ることが特に好ましい。熱伝導率が低すぎ と、絶縁シートの硬化物の放熱性が不十分 なることがある。

 絶縁シートが硬化されたときに、絶縁シ トの硬化物の絶縁破壊電圧は、30kV/mm以上で ある。絶縁シートの硬化物の絶縁破壊電圧は 、40kV/mm以上であることが好ましく、50kV/mm以 であることがより好ましく、80kV/mm以上であ ることがさらに好ましく、100kV/mm以上である とが特に好ましい。

 本発明に係る絶縁シートの絶縁樹脂成分 組成は、耐電圧性に優れた骨格である芳香 骨格を有し、かつ重量平均分子量が1万以上 であるポリマー(A)及び芳香族骨格を有し、か つ重量平均分子量が600以下であるエポキシモ ノマー(B1)、及び芳香族骨格を有し、かつ重 平均分子量が600以下であるオキセタンモノ ー(B2)の内の少なくとも一方のモノマー(B)と フェノール樹脂、又は芳香族骨格もしくは 環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の 添加物もしくは該酸無水物の変性物である 電圧性に優れた硬化剤(C)を上記特定の量で 有する組成である。このため、絶縁樹脂成 自体の絶縁破壊電圧を30kV/mmよりも高くでき る。また、絶縁樹脂成分中にフィラーを分散 した絶縁シートの硬化物では、絶縁樹脂成分 とフィラーとの界面において絶縁破壊が生じ やすいことが一般的に知られている。従って 、フィラーの分散状態が良好であり、かつフ ィラー間に確実に絶縁樹脂成分が存在する場 合には、絶縁樹脂成分とフィラーとの界面は 絶縁シートの内部で不連続となるため、絶縁 破壊電圧は高く保たれる。フィラーの分散状 態が不十分であり、かつ絶縁シートの内部に 粗大なフィラー凝集体が存在する場合には、 絶縁樹脂成分とフィラーとの界面が連続する ため、絶縁破壊電圧は大きく低下する。つま り、絶縁シートの硬化物の絶縁破壊電圧が30k V/mmよりも低いということは、絶縁樹脂成分 においてフィラーの分散状態が不十分であ ということを示している。絶縁シートの硬 物の絶縁破壊電圧が30kV/mm未満であると、絶 樹脂成分中へのフィラーの分散状態が不十 であるため、絶縁シートの硬化物の接着性 低下することがある。さらに、絶縁シート シート強度に部分的なばらつきが生じやす なるため、未硬化状態の絶縁シートのハン リング性が低下することがある。また、絶 破壊電圧が低すぎると、絶縁シートを例え 電力素子用のような大電流用途に用いた場 に、充分な絶縁性が得られないことがある

 絶縁シートの硬化物の体積抵抗率は、10 14 ω・cm以上であることが好ましく、10 16 ω・cm以上であることがより好ましい。体積 抗率が低すぎると、導体層と高熱伝導体間 絶縁を保てないことがある。
 絶縁シートの硬化物の熱線膨張率は、30ppm/ 以下であることが好ましく、20ppm/℃以下で ることがより好ましい。熱線膨張率が高す ると、絶縁シートの硬化物の耐冷熱サイク 性が低下することがある。

 (積層構造体)
 本発明に係る絶縁シートは、熱伝導率が10W/ m・K以上の熱伝導体を導電層に接着するのに いられる。また、本発明に係る絶縁シート 、熱伝導率が10W/m・K以上の熱伝導体の少な とも片面に、絶縁層を介して導電層が積層 れている積層構造体の絶縁層を構成するの 好適に用いられる。

 本発明に係る積層体は、熱伝導率が10W/m K以上の熱伝導体と、熱伝導体の少なくとも 方の面に積層された絶縁層と、絶縁層の熱 導体が積層された面とは反対側の面に積層 れた導電層とを備える。該絶縁層が本発明 従って構成された絶縁シートを硬化させる とにより形成されている。

 例えば、両面に銅回路が設けられた積層 又は多層配線板、銅箔、銅板、半導体素子 は半導体パッケージ等の各導電層に、絶縁 ートを介して金属体を接着した後、絶縁シ トを硬化させることにより、上記積層構造 を得ることができる。

 図1に、本発明の一実施形態に係る積層構 造体を模式的に部分切欠正面断面図で示す。

 図1に示す積層構造体1は、発熱源として 導電層2の表面2aに、絶縁層3を介して、熱伝 体4が積層されている。絶縁層3は、本発明 絶縁シートを硬化させることにより形成さ ている。熱伝導体4として、熱伝導率が10W/m K以上の熱伝導体が用いられている。

 積層構造体1では、絶縁層3が高い熱伝導 を有するので、導電層2側からの熱が絶縁層3 を介して上記熱伝導体4に伝わりやすい。積 構造体1では、該熱伝導体4によって熱を効率 的に放散させることができる。

 上記熱伝導率が10W/m・K以上の熱伝導体は に限定されない。上記熱伝導率が10W/m・K以 の熱伝導体として、例えば、アルミニウム 銅、アルミナ、ベリリア、炭化ケイ素、窒 ケイ素、窒化アルミニウム又はグラファイ シート等が挙げられる。中でも、上記熱伝 率が10W/m・K以上の熱伝導体は、銅又はアル ニウムであることが好ましい。銅又はアル ニウムは、放熱性に優れている。

 本発明に係る絶縁シートは、基板上に半 体素子が実装されている半導体装置の導電 に、熱伝導率が10W/m・K以上の熱伝導体を接 するのに好適に用いられる。本発明に係る 縁シートは、半導体素子以外の電子部品素 が基板上に搭載されている電子部品装置の 電層に、熱伝導率が10W/m・K以上の熱伝導体 接着するのにも好適に用いられる。

 半導体素子が大電流用の電力用デバイス 子である場合には、絶縁シートの硬化物に 、絶縁性又は耐熱性等により一層優れてい ことが求められる。従って、このような用 に、本発明の絶縁シートは好適に用いられ 。

 以下、本発明の具体的な実施例及び比較 を挙げることにより、本発明を明らかにす 。本発明は以下の実施例に限定されない。

 以下の材料を用意した。

 [ポリマー(A)]
 (1)エポキシ基含有スチレン樹脂(日本油脂社 製、商品名:マープルーフG-1010S、Mw=100,000、Tg= 93℃、全骨格100重量%中に占める芳香族骨格の 割合65重量%)

 (2)ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(ジ パンエポキシレジン社製、商品名:E1256、Mw=51 ,000、Tg=98℃、全骨格100重量%中に占める芳香 骨格の割合51重量%)

 (3)高耐熱フェノキシ樹脂(東都化成社製、 商品名:FX-293、Mw=43,700、Tg=163℃、全骨格100重 %中に占める芳香族骨格の割合70重量%)

 [ポリマー(A)以外のポリマー]
 (1)エポキシ基含有アクリル樹脂1(日本油脂 製、商品名:マープルーフG-0130S、Mw=9,000,Tg=69 )

 (2)アクリロニトリルブタジエンゴム(日本 ゼオン社製、商品名:Nipol 1001、Mw=30,000、全骨 格100重量%中に占める芳香族骨格の割合0%)

 (3)エポキシ基含有アクリル樹脂2(日本油 社製、商品名:マープルーフG-01100、Mw=12,000、 Tg=47℃、全骨格100重量%中に占める芳香族骨格 の割合0%)

 [エポキシモノマー(B1)]
 (1)ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(ジ パンエポキシレジン製、商品名:エピコート8 28US、Mw=370)

 (2)ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂( ャパンエポキシレジン製、商品名:エピコー 806L、Mw=370)

 (3)3官能グリシジルジアミン型液状エポキ シ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、商品 :エピコート630、Mw=300)

 (4)フルオレン骨格エポキシ樹脂(大阪ガス ケミカル社製、商品名:オンコートEX1011、Mw=48 6)

 (5)ナフタレン骨格液状エポキシ樹脂(大日 本インキ化学社製、商品名:EPICLON HP-4032D、Mw= 304)

 [オキセタンモノマー(B2)]
 (1)ベンゼン骨格オキセタン樹脂(宇部興産社 製、商品名:エタナコールOXTP、Mw=362.4)

 [モノマー(B)以外のモノマー]
 (1)ヘキサヒドロフタル酸骨格液状エポキシ 脂(日本化薬社製、商品名:AK-601、Mw=284)

 (2)ビスフェノールA型固体状エポキシ樹脂 (ジャパンエポキシレジン社製、商品名:1003、 Mw=1300)

 [硬化剤(C)]
 (1)脂環式骨格酸無水物(新日本理化社製、商 品名:MH-700)

 (2)芳香族骨格酸無水物(サートマー・ジャ パン社製、商品名:SMAレジンEF60)

 (3)多脂環式骨格酸無水物(新日本理化社製 、商品名:HNA-100)

 (4)テルペン骨格酸無水物(ジャパンエポキ シレジン社製、商品名:エピキュアYH-306)

 (5)ビフェニル骨格フェノール樹脂(明和化 成社製、商品名:MEH-7851-S)

 (6)アリル骨格フェノール樹脂(ジャパンエ ポキシレジン社製、商品名:YLH-903)

 (7)トリアジン骨格フェノール樹脂(大日本 インキ化学社製、商品名:フェノライトKA-7052- L2)

 (8)メラミン骨格フェノール樹脂(群栄化学 工業社製、商品名:PS-6492)

 (9)イソシアヌル変性固体分散型イミダゾ ル(イミダゾール系硬化促進剤、四国化成社 製、商品名:2MZA-PW)

 [フィラー(D)]
 (1)表面疎水化ヒュームドシリカ(トクヤマ社 製、商品名:MT-10、平均粒子径15nm、熱伝導率1. 3W/m・K)

 (2)球状アルミナ1(デンカ社製、商品名:DAM- 10、平均粒子径10μm、熱伝導率36W/m・K)

 (3)窒化ホウ素(昭和電工社製、商品名:UHP-1 、平均粒子径8μm、熱伝導率60W/m・K)

 (4)窒化アルミ(東洋アルミ社製、商品名:TO YALNITE―FLX、平均粒子径14μm、熱伝導率200W/m・ K)

 (5)炭化ケイ素(信濃電気製錬社製、商品名 :シナノランダムGP#700、平均粒子径17μm)

 (6)球状アルミナ2(球状フィラー(D1)、住友 学社製、商品名:AKP-30、平均粒子径0.4μm、ア スペクト比1.1~2.0、熱伝導率36W/m・K)

 (7)球状酸化マグネシウム(球状フィラー(D1 )、堺化学工業社製、商品名:SMO Small Particle 平均粒子径0.1μm、アスペクト比1.1~1.5、熱伝 率42W/m・K)

 (8)球状アルミナ3(球状フィラー(D2)、デン 社製、商品名:DAM-05、平均粒子径5μm、アス クト比1~1.2、熱伝導率36W/m・K)

 (9)球状窒化アルミ1(球状フィラー(D2)、東 アルミ社製、商品名:TOYALNITE―FLC、平均粒子 径3.7μm、アスペクト比1~1.3、熱伝導率200W/m・K )

 (10)球状アルミナ4(球状フィラー(D3)、アド マテックス社製、商品名:AO-820、平均粒子径20 μm、アスペクト比1~1.1、熱伝導率36W/m・K)

 (11)球状窒化アルミ2(球状フィラー(D3)、東 洋アルミ社製、商品名:TOYALNITE―FLD、平均粒 径30μm、アスペクト比1~1.3、熱伝導率200W/m・K )

 (12)球状アルミナ5(住友化学社製、商品名: AA-07、平均粒子径0.7μm、アスペクト比1.1~2.0、 熱伝導率36W/m・K)

 (13)5μmアルミナ(破砕フィラー(D4)、日本軽 金属社製、商品名:LT300C、平均粒子径5μm)

 (14)2μmアルミナ(破砕フィラー(D4)、日本軽 金属社製、商品名:LS-242C、平均粒子径2μm)

 (15)1.2μm窒化アルミニウム(破砕フィラー(D 4)、東洋アルミニウム社製、商品名:JC、平均 子径1.2μm)

 (16)29μmアルミナ(破砕フィラー(D4)、大平 ランダム社製、商品名:LA400、平均粒子径29μm )

 [分散剤(F)]
 (1)アクリル系分散剤(ビックケミージャパン 社製、商品名:Disperbyk-2070、pKaが4のカルボキ ル基を有する)

 (2)ポリエーテル系分散剤(楠本化成社製、 商品名:ED151、pKaが7のリン酸基を有する)

 [分散剤(F)以外の分散剤]
 (1)ノニオン系分散剤(共栄社化学社製、商品 名:D-90、水素結合性を有する水素原子を含む 能基を有しない分散剤)

 [ゴム粒子(E)]
 (1)コアシェル型ゴム微粒子(三菱レーヨン社 製、商品名:KW4426、メチルメタクリレートか なるシェルと、ブチルアクリレートからな コアとを有するゴム微粒子、平均粒径5μm)

 (2)シリコンゴム微粒子(東レ・ダウコーニ ング社製、商品名:トレフィルE601、平均粒径2 μm)

 [添加剤]
 (1)エポキシシランカップリング剤(信越化学 社製、商品名:KBE403)

 [溶剤]
 (1)メチルエチルケトン

 (実施例1)
 ホモディスパー型攪拌機を用い、下記の表1 に示す割合で各化合物を配合し、混練し、絶 縁材料を調製した。

 膜厚50μmの離型PETシートに、得られた絶 材料を膜厚が100μmとなるように塗工し、90℃ のオーブン内で30分乾燥して、PETシート上に 縁シートを作製した。

 (実施例2~18、参考例1及び比較例1~3)
 使用した化合物の種類及び配合量を下記の 1~3に示すように変更したこと以外は、実施 1と同様にして絶縁材料を調製し、PETシート 上に絶縁シートを作製した。

 (実施例2~18、参考例1及び比較例1~3の絶縁シ トの評価)
 (1)ハンドリング性
 PETシートと、該PETシート上に形成された絶 シートとを有する積層シートを460mm×610mmの 面形状を有するように切り出して、テスト ンプルを得た。得られたテストサンプルを いて、室温(23℃)でPETシートから未硬化状態 の絶縁シートを剥離したときのハンドリング 性を下記の基準で評価した。

 [ハンドリング性の評価基準]
 〇:絶縁シートの変形がなく、容易に剥離可 能
 △:絶縁シートを剥離できるものの、シート 伸びや破断が発生する
 ×:絶縁シートを剥離できない

 (2)ガラス転移温度
 セイコーインスツルメンツ社製の示差走査 量測定装置「DSC220C」を用いて、3℃/分の昇 速度で未硬化状態の絶縁シートのガラス転 温度を測定した。

 (3)熱伝導率
 京都電子工業社製熱伝導率計「迅速熱伝導 計QTM-500」を用いて、絶縁シートの熱伝導率 を測定した。

 (4)引き剥がし強さ
 1mm厚のアルミ板と35μm厚の電解銅箔間に絶 シートを挟み、真空プレス機で4MPaの圧力を 持しながら120℃で1時間、更に200℃で1時間 縁シートをプレス硬化し、銅張り積層板を 成した。得られた銅張り積層板の銅箔をエ チングし、幅10mmの銅箔の帯を形成した。そ 後、銅箔を基板に対して90℃の角度で50mm/分 の引っ張り速度で剥離した際の引き剥がし強 さを測定した。

 (5)絶縁破壊電圧
 絶縁シートを100mm×100mmの平面形状を有する うに切り出して、テストサンプルを得た。 られたテストサンプルを120℃のオーブン内 1時間、更に200℃のオーブン内で1時間硬化 せ、絶縁シートの硬化物を得た。耐電圧試 器(MODEL7473、EXTECH Electronics社製)を用いて、 縁シートの硬化物間に1kV/秒の速度で電圧が 昇するように、交流電圧を印加した。絶縁 ートが破壊した電圧を、絶縁破壊電圧とし 。

 (6)半田耐熱試験
 1mm厚のアルミ板と35μm厚の電解銅箔間に絶 シートを挟み、真空プレス機で4MPaの圧力を 持しながら120℃で1時間、更に200℃で1時間 縁シートをプレス硬化し、銅張り積層板を 成した。得られた銅張り積層基板を50mm×60mm サイズに切り出し、テストサンプルを得た 得られたテストサンプルを288℃の半田浴に 箔側を下に向けて浮かべ、銅箔の膨れ又は がれが発生するまでの時間を測定し、以下 基準で判定した。

 [半田耐熱試験の判定基準]
 〇:3分経過しても膨れ又は剥離の発生なし
 △:1分経過後、かつ3分経過する前に膨れ又 剥離が発生
 ×:1分経過する前に膨れ又は剥離が発生

 (7)反応率
 セイコーインスツルメンツ社製の示差走査 熱量測定装置「DSC220C」を用いて、測定開始 温度30℃及び昇温速度8℃/分で、得られた絶 シートを120℃まで昇温し1時間保持した後、 温速度8℃/分で200℃までさらに昇温し1時間 持した。この2段階で絶縁シートを硬化させ た時に発生する熱量(以下、熱量Aと記載する) を測定した。

 次に、膜厚50μmの離型PETシートに、実施 及び比較例の絶縁シートの作製に際し用意 た絶縁材料を膜厚が100μmとなるように塗工 、23℃及び0.01気圧の常温真空条件において1 間乾燥したこと以外は実施例及び比較例と 様にして得られた非加熱で乾燥された未硬 状態の絶縁シートを用意した。上記の熱量A の測定と同様にして、2段階で硬化させた時 発生する熱量(以下、熱量Bと記載する)を測 した。得られた熱量A及び熱量Bから、下記の 式により、未硬化状態の絶縁シートの反応率 を求めた。

 反応率(%)=[1-(熱量A/熱量B)]×100

 結果を下記の表1~3に示す。

 (実施例19~44及び比較例4~8)
 使用した化合物の種類及び配合量を下記の 4~7に示すように変更したこと以外は、実施 1と同様にして絶縁材料を調製し、PETシート 上に絶縁シートを作製した。

 (実施例19~44及び比較例4~8の絶縁シートの評 )
 上記(1)ハンドリング性、(2)ガラス転移温度 (4)引き剥がし強さ、(5)絶縁破壊電圧及び(7) 応率の評価項目について、絶縁シートを評 した。さらに、下記の(3-2)熱伝導率、(6-2)半 田耐熱試験及び(8)フィラーの分布の評価項目 について、絶縁シートを評価した。

 (3-2)熱伝導率
 絶縁シートをオーブン内で、120℃で1時間、 その後200℃で1時間加熱し、硬化させ、絶縁 ートの硬化物を得た。得られた絶縁シート 硬化物の熱伝導率を、京都電子工業社製熱 導率計「迅速熱伝導率計QTM-500」を用いて測 した。

 (6-2)半田耐熱試験
 半田耐熱試験の判定基準を下記のように変 したこと以外は、(6)半田耐熱試験と同様に 価した。

 [半田耐熱試験の判定基準]
 ◎:10分経過しても膨れ又は剥離の発生なし
 ○:3分経過後、かつ10分経過する前に膨れ又 は剥離が発生
 △:1分経過後、かつ3分経過する前に膨れ又 剥離が発生
 ×:1分経過する前に膨れ又は剥離が発生

 (8)フィラーの粒度分布
 絶縁シートに含まれている全てのフィラー( D)の粒度分布を、レーザー回折式粒度分布測 装置を用いて、測定した。測定結果を基に 粒径が小さいものからフィラー(D)の累積体 を算出することにより、粒径0.1μm、0.5μm、2 .0μm、6.0μm及び10.0μmにおける累積体積%を求 た。

 結果を下記の表4~7に示す。

 (実施例45~62及び比較例9~13)
 使用した化合物の種類及び配合量を下記の 8~10に示すように変更したこと以外は、実施 例1と同様にして絶縁材料を調製し、PETシー 上に絶縁シートを作製した。

 (実施例45~62及び比較例9~13の絶縁シートの評 価)
 上記(1)ハンドリング性、(2)ガラス転移温度 (3)熱伝導率、(4)引き剥がし強さ、(5)絶縁破 電圧、(6)半田耐熱試験及び(7)反応率の評価 目について、絶縁シートを評価した。さら 、下記の(9)自立性の評価項目について、絶 シートを評価した。

 (9)自立性
 上記(1)ハンドリング性の評価において、PET ートから剥離された後の未硬化状態の絶縁 ートを用意した。この未硬化状態の絶縁シ トの四角を固定して、該四角が水平方向と 行な方向に位置するように絶縁シートを宙 りにし、23℃で10分間放置した。放置後の絶 縁シートの変形を観察し、自立性を下記の基 準で判定した。

 [自立性の判定基準]
 ○:絶縁シートが下方に向かってたわんでお り、絶縁シートの鉛直方向におけるたわみ距 離(変形度合い)が5cm以内
 △:絶縁シートが下方に向かってたわんでお り、絶縁シートの鉛直方向におけるたわみ距 離(変形度合い)が5cmを超える
 ×:絶縁シートが破れた

 結果を下記の表8~10に示す。

 (実施例63~81及び比較例14~16)
 使用した化合物の種類及び配合量を下記の 11~13に示すように変更したこと以外は、実 例1と同様にして絶縁材料を調製し、PETシー 上に絶縁シートを作製した。

 (実施例63~81及び比較例14~16の絶縁シートの 価)
 上記(1)ハンドリング性、(9)自立性、(2)ガラ 転移温度、(3)熱伝導率、(4)引き剥がし強さ (5)絶縁破壊電圧、(6)半田耐熱試験及び(7)反 率の評価項目について、絶縁シートを評価 た。

 結果を下記の表11~13に示す。

 (実施例82~101及び比較例17~20)
 使用した化合物の種類及び配合量を下記の 14~17に示すように変更したこと以外は、実 例1と同様にして絶縁材料を調製し、PETシー 上に絶縁シートを作製した。

 (実施例82~101及び比較例17~20の絶縁シートの 価)
 上記(2)ガラス転移温度、(3)熱伝導率、(4)引 剥がし強さ、(5)絶縁破壊電圧、(6)半田耐熱 験及び(7)反応率の評価項目について、絶縁 ートを評価した。さらに、下記の(1-2)ハン リング性、(9-2)自立性、(10)放熱性、(11)曲げ 性率及び(12)弾性率の評価項目について、絶 縁シートを評価した。

 (1-2)ハンドリング性
 ハンドリング性の判定基準を下記のように 更したこと以外は、(1)ハンドリング性と同 に評価した。

 [ハンドリング性の評価基準]
 ◎:絶縁シートの変形がなく、容易に剥離可 能。タック性もなく非常に取扱い易い
 〇:絶縁シートの変形がなく、容易に剥離可 能。ただし、僅かにタック性があり取扱いに は注意が必要
 △:絶縁シートを剥離できるものの、シート 伸びや破断が発生
 ×:絶縁シートを剥離できない

 (9-2)自立性
 自立性の判定基準を下記のように変更した と以外は、(9)自立性と同様に評価した。

 [自立性の判定基準]
 ◎:絶縁シートが下方に向かってたわんでお り、絶縁シートの鉛直方向におけるたわみ距 離(変形度合い)が1cm以内
 ○:絶縁シートが下方に向かってたわんでお り、絶縁シートの鉛直方向におけるたわみ距 離(変形度合い)が1cmを超え、かつ3cm以内
 △:絶縁シートが下方に向かってたわんでお り、絶縁シートの鉛直方向におけるたわみ距 離(変形度合い)が3cmを超え、かつ5cm以内
 ×:絶縁シートが下方に向かってたわんでお 、絶縁シートの鉛直方向におけるたわみ距 (変形度合い)が5cmを超える、又は絶縁シー が破れた

 (10)放熱性
 1mm厚のアルミ板と35μm厚の電解銅箔間に絶 シートを挟み、真空プレス機で4MPaの圧力を 持しながら120℃で1時間、更に200℃で1時間 縁シートをプレス硬化し、銅張り積層板を 成した。得られた銅張り積層板の銅箔面を 同じサイズの100℃に温度制御された表面平 な発熱体に20kgf/cm 2 の圧力で押しつけた。アルミ板の表面の温度 を熱電対により測定し、下記の基準で放熱性 を判定した。

 [放熱性の判定基準]
 ◎:発熱体とアルミ板の表面との温度差が3 以内
 ○:発熱体とアルミ板の表面との温度差が3 を超え、6℃以内
 △:発熱体とアルミ板の表面との温度差が6 を超え、10℃以内
 ×:発熱体とアルミ板の表面との温度差が10 を超える

 (11)曲げ弾性率
 万能試験機RTC-1310A(オリエンテック社製)を いて、JIS K 7111に準拠し、長さ8cm、幅1cm及 厚み4mmの試験片を、支点間距離6cm及び速度1. 5mm/分の各条件で測定することにより、未硬 状態の絶縁シートの25℃での曲げ弾性率を測 定した。

 また、絶縁シートを120℃で1時間、その後 200℃で1時間硬化させ、絶縁シートの硬化物 得た。未硬化状態の絶縁シートと同様に万 試験機(オリエンテック社製)を用いて、JIS K  7111に準拠し、長さ8cm、幅1cm及び厚み4mmの試 験片を、支点間距離6cm及び速度1.5mm/分の各条 件で測定することにより、得られた絶縁シー トの硬化物の25℃での曲げ弾性率を測定した

 (12)弾性率
 回転型動的粘弾性測定装置VAR-100(レオロジ ・インスツルメンツ社製)を用いて、直径2cm 円板状の未硬化状態の絶縁シートサンプル 使用し、直径2cmのパラレル型プレートによ 、オシレーション歪み制御モード、開始応 10Pa、周波数1Hz及び歪み1%の各条件で、未硬 状態の絶縁シートの25℃でのtanδを測定した 。また、未硬化状態での絶縁シートを25℃か 250℃まで昇温させた場合の絶縁シートのtan の最大値は、上記未硬化状態の絶縁シート ンプルを、上記測定条件に加え、昇温速度30 ℃/分で、25℃から250℃まで昇温させることに より測定した。

 結果を下記の表14~17に示す。