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Patent Searching and Data


Title:
ION SOURCE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/119060
Kind Code:
A1
Abstract:
An ion source (1) comprises a first wall surface (30) in which an opening (20) for leading out an ion beam (B) is provided, a second wall surface (32) extending along the direction of arrangement of magnets (26, 28), and a filament (12). The filament (12) stands from the second wall surface (32) in a direction different from the direction of arrangement of magnets (26, 28) and is turned down, in the center thereof, to form a loop (40) crossing in X-shape without touching. With such an arrangement, ion beam current can be increased without increasing the distance between the magnets, and thereby the filament can be made at a low cost and a highly robust ion source can be supplied.

Inventors:
TSUJI YASUYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/001267
Publication Date:
October 01, 2009
Filing Date:
March 23, 2009
Export Citation:
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Assignee:
MITSUI SHIPBUILDING ENG (JP)
TSUJI YASUYUKI (JP)
International Classes:
H01J27/14; H01J37/08
Foreign References:
JPH08264143A1996-10-11
JP2007311118A2007-11-29
JP2006216440A2006-08-17
JP2001023532A2001-01-26
JPH08212953A1996-08-20
JPH05182623A1993-07-23
Attorney, Agent or Firm:
GLOBAL IP TOKYO (JP)
Global IP Tokyo patent business corporation (JP)
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Claims:
 ガスを供給してアーク電圧を印加することによりプラズマを生成し、このプラズマからイオンビームを生成するイオン源であって、
 イオンビームの引き出し方向と直交する方向に印加する磁場を形成する一対の磁石と、
 前記一対の磁石の間に設けられ、ガスが供給されてプラズマを生成する、導体面を有する内部空間を備え、イオンビームを引き出すための開口部が、前記内部空間内の、前記一対の磁石の配置方向に沿って延びる第1の壁面に設けられたプラズマ容器と、
 前記プラズマ容器と電気絶縁され、前記一対の磁石の配置方向に沿って延びる第2の壁面から立設し、通電することにより前記内部空間に熱電子を放出するフィラメントと、
 前記フィラメントに電流を流す電源と、を有し、
 前記フィラメントの立設する前記第2の壁面は、前記第1の壁面の向く方向と異なる方向に向く面であり、前記フィラメントは、前記第2の壁面から、前記一対の磁石の配置方向と異なる方向に立設し、さらに、前記フィラメントは、前記フィラメントの中央部でループ形状を成すように折り返され、前記ループ形状を成す面に対して垂直方向から見たとき、前記ループ形状の基部で接触することなくX状に交差する部分を有することを特徴とするイオン源。
 前記内部空間は、直方体形状を成し、
 前記第2の壁面は、前記第1の壁面と対向する壁面である請求項1に記載のイオン源。
 前記ループ形状を成す面は、前記一対の磁石の磁場の向きに対して略垂直となるように、前記フィラメントは立設している請求項1又は2に記載のイオン源。
 前記プラズマ容器の前記内部空間の、前記配置方向の両端部には、熱電子を反射する反射板が、前記フィラメントのループ形状と対向するように設けられ、
 前記ループ形状のサイズは、前記反射板のサイズより小さい請求項1~3のいずれか1項に記載のイオン源。
 前記フィラメントは棒状の線材を曲げ加工して作製されてものであり、タングステン、モリブデン、及び、タングステンまたはモリブデンを主成分とする合金の中から選択された金属である請求項1~4のいずれか1項に記載のイオン源。
 前記フィラメントの線径は、2mmより大きい請求項1~5のいずれか1項に記載のイオン源。
 前記フィラメントのX状に交差する部分の交差角度は70~110度である、請求項1~6のいずれか1項に記載のイオン源。
 前記フィラメントの先端部と前記第1の壁面との間の距離は2~3mmである、請求項2に記載のイオン源。
Description:
イオン源

 本発明は、ガスを供給してアーク電圧を 加することによりプラズマを生成し、この ラズマからイオンビームを生成するイオン 、例えば、半導体用イオン注入装置やFPD(Fla t Panel Display)製造用イオン注入装置に用いる イオン源に関する。

 一般に広く用いるイオン源は、プラズマ 器をアノードとし、通電することで熱電子 放出するフィラメントをカソードとして、 ーク放電を誘起して原料ガスをプラズマ化 ることにより、プラズマを生成する。この ラズマ中の正の荷電粒子が、プラズマ容器 設けられた細長い開口部、あるいは連続し 複数の開口部からイオンビームとして引き される。このとき、イオンビームの引き出 方向と垂直方向に磁場を印加する。

 このようなイオン源においては、一般に、 下の技術的要請が指摘されている。
生成されるプラズマ密度が略均一であること 、
イオンビームの電流を増加するために、イオ ンビームとして引き出される開口部近傍のプ ラズマ密度を増加させること、
プラズマ中のイオンの衝突によって摩耗する フィラメントは、消耗品としてコストが低い こと、
フィラメントは、長期間使用可能なように、 摩耗耐性が高く太い線材であること、である 。

 例えば、プラズマ容器内でプラズマ密度が 均一であるためには、磁場の強度がプラズ 容器近傍で略均一(磁場の変動は数%以下)と るように、磁石の設計、製作及び調整が必 であることが知られている。
 また、開口部近傍のプラズマ密度を増加さ るためには、開口部から延長されたプラズ 容器の壁面の位置に、フィラメントを近づ ることが有効であることが知られている。
 さらに、フィラメントのコスト低減のため は、フィラメントの線材を曲げ加工により 製することが望まれている。フィラメント 線材として、融点が高く磨耗耐性の高いタ グステンやモリブデンを主たる成分(質量% 90%以上)とする材料が用いられる。このとき タングステンやモリブデンは融点が高いた 、可塑性を得るために高温で線材を加工す 必要がある。このため、線材として線径が 2mm以下のものが用いられている。

 一方、特許第3075129号公報には、フィラメン トが、プラズマ容器であるプラズマ生成チャ ンバの内部で、イオン引出口が形成されたイ オン引出面の方向に曲げられているイオン源 が記載されている。これによって、イオンビ ームを増大させることができるとされている 。
 さらに、特開2007-311118号公報には、イオン ームの電流が大きく、カソードであるフィ メントの寿命を長くするイオン源として、 ラズマ密度の分布制御のためのフィラメン が、プラズマ容器の長手方向に沿って複数 設されたイオン源が記載されている。

 このような状況下、イオンビームの電流 より増大するためには、特許第3075129号公報 に記載の手段を用いる他、イオン源のイオン ビームの引き出し用の開口部を拡大すること も考えられる。しかし、開口部の拡大方法に よっては、イオンビームのエミッタンス(引 出されたイオンビームの進行方向における 電粒子の運動のばらつき特性)は、イオン注 装置のイオンビームとして用いることがで ない程度に悪化する。このため、開口部を 易に拡大することはできない。一方、イオ 源のサイズ拡大により、プラズマ容器を拡 してエミッタンスを悪化させず開口部を細 く拡大してイオンビームの電流を増大する とも考えられる。この場合、磁場の強度が ラズマ容器近傍で略均一であることがより く望まれる。一般に、磁場の形成のために 100~150mmの長さを持つプラズマ容器の長手方 に一対の磁石を配置するが、プラズマ容器 作用する高電圧や高温の対策のための空間 部材を必要とするため、この磁石間の配置 離は500~600mmになる。このような磁石間の距 が長く、広い空間を、イオン源のサイズ拡 によって広くすることは、略均一な磁場を 定する上で困難である。このため、磁石間 距離を広げることなく、プラズマ容器を拡 することが必要である。

 一方、フィラメントに用いるタングステ やモリブデンの線材を所定の形状に曲げる げ加工は、線材の融点が高いため、難しい 従来、線材の替わりに板材を、ワイヤー電 を用いた放電加工により複雑な形状に切断 てフィラメントの加工を行っていた。この め、低いコストで曲げ加工を行って製作す には、板材ではなく線材を用い、しかもこ 線径を2mm程度に抑える必要がある。一方、 ィラメントの形状を変えることなく、曲率 径の大きな穏やかな形状にするためにサイ を拡大した場合、フィラメントのサイズに 応してプラズマ容器も大きくすることにな 、実用的ではない。また、フィラメントは ラズマを生成する熱電子の放出源となり、 ラズマの密度に影響を与えるので、従来の ィラメントは、折り曲げ部分を含む所定の 雑な形状を成していた。このため、生成さ るプラズマの密度が従来と同等であり、加 の点で単純な形状であり、可能な限り太い 径を有するフィラメントが望まれている。

 さらに、フィラメントの形状は、所望のプ ズマの密度を達成するために、イオン源の 種寸法に合わせて設定されたものであるた 、イオン源の各種寸法等が経時変化や熱膨 等によって変化することにより、所望のプ ズマの密度を得ることができなくなる。イ ン源の各種寸法が変化してもプラズマの密 に影響を与えず、すなわち、ロバスト性が いイオンビームを生成するイオン源の構成 望まれている。
 また、フィラメントは、プラズマ生成中、 ラズマに曝されて摩耗し線径が細くなる。 のため、フィラメントの中で熱電子の放出 寄与する温度の高い部分は摩耗によって変 し、これにともなって、熱電子の放出位置 変化する。この結果、発生するプラズマの 置も変化するので、プラズマから引き出さ るイオンビームの電流も変化し、安定した オンビームの電流が得られない。すなわち イオン源の使用に応じて、イオンビームの 流も徐々に変化する。このため、フィラメ トが摩耗するなどの経時変化によっても、 オンビームの電流があまり影響を受けない すなわちロバスト性が高いイオンビームを 成するイオン源の構成が望まれている。

 そこで、本発明は、上述の背景を考慮し 、磁石間の距離を広げることなく、プラズ 容器を拡大することができ、かつ、低いコ トでフィラメントを作製することができ、 らに、イオン源の各種寸法の変化やフィラ ントの磨耗に対してロバスト性の高いイオ 源を提供することを目的とする。

 上記目的を達成するために、本発明は、ガ を供給してアーク電圧を印加することによ プラズマを生成し、このプラズマからイオ ビームを生成する、以下のイオン源を提供 る。イオン源は、
(A)イオンビームの引き出し方向と直交する方 向に印加する磁場を形成する一対の磁石と、
(B)前記一対の磁石の間に設けられ、ガスが供 給されてプラズマを生成する、導体面を有す る内部空間を備え、イオンビームを引き出す ための開口部が、前記内部空間の、前記一対 の磁石の配置方向に沿って延びる第1の壁面 設けられたプラズマ容器と、
(C)前記プラズマ容器と電気絶縁され、前記一 対の磁石の配置方向に沿って延びる第2の壁 から立設し、通電することにより前記内部 間に熱電子を放出するフィラメントと、(D) 記フィラメントに電流を流す電源と、を有 、
(E)前記フィラメントの立設する前記第2の壁 は、前記第1の壁面の向く方向と異なる方向 向く面であり、前記フィラメントは、前記 2の壁面から、前記一対の磁石の配置方向と 異なる方向に立設し、
(F)さらに、前記フィラメントは、前記フィラ メントの中央部でループ形状を成すように折 り返され、前記ループ形状を成す面に対して 垂直方向から見たとき、前記ループ形状の基 部で接触することなくX状に交差する部分を する。

 その際、前記内部空間は、直方体形状を成 、前記第2の壁面は、前記第1の壁面と対向 る壁面であることが好ましい。
 また、前記ループ形状を成す面は、前記一 の磁石の磁場の向きに対して略垂直となる うに、前記フィラメントは立設しているこ が好ましい。
 さらに、前記プラズマ容器の前記内部空間 、前記配置方向の両端部には、熱電子を反 する反射板が、前記フィラメントのループ 状と対向するように設けられ、前記ループ 状のサイズは、前記反射板のサイズより小 いことが好ましい。

 また、前記フィラメントは棒状の線材を曲 加工して作製されてものであり、タングス ン、モリブデン、及び、タングステンまた モリブデンを主成分とする合金の中から選 された金属であることが好ましい。
 さらに、前記フィラメントの線径は、2mmよ 大きいことが好ましい。

 また、前記フィラメントのX状に交差する部 分の交差角度は70~110度であることが好ましい 。
 さらに、前記フィラメントの先端部と前記 1の壁面との間の距離は2~3mmであることが好 しい。

 本発明のイオン源では、フィラメントの中 部でループ形状を成すように折り返され、 のループ形状を成す面に対して垂直方向か 見たとき、ループ形状の基部でX状に交差し た部分を有するように、フィラメントを構成 している。このため、X状に交差する部分が 互いに発する熱によって、お互いの交差部 が加熱され、この加熱がループ形状の部分 も伝熱するので、ループ形状の広い部分で 温となって熱電子を放出し、プラズマも広 範囲で緩やかに生成される。このため、イ ン源の各種寸法等が経時変化や熱膨張等に って変化しても、上記プラズマから引き出 れるイオンビームの電流の受ける影響は小 い。また、ループ形状の広い部分から熱電 が放出されるので、フィラメントが摩耗し も、生成されるプラズマの範囲は大きく変 しない。このため、フィラメントが摩耗し も、プラズマから引き出されるイオンビー の電流の受ける影響は小さい。
 また、フィラメントは、ループ形状およびX 状を成した形状で、従来の複雑な形状に比べ て単純な形状であるので、曲げ加工のしにく い太い線材であっても容易に加工することが できる。このため、低コストで寿命の長いフ ィラメントを提供することができる。

 さらに、フィラメントの立設する第2の壁面 は、第1の壁面の向く方向と異なる方向に向 面であり、フィラメントは、前記第2の壁面 ら、一対の磁石の配置方向と異なる方向に 設する構成となっている。特に、イオンビ ムを引き出す開口部を備える第1の壁面と対 向する壁面からフィラメントを立設する構成 となっている。このため、プラズマ容器の、 磁石の配置方向の両端部にフィラメントを取 り付ける従来の構成と異なり、この両端部分 にフィラメントの支持部材や絶遠部材を設け るスペースが不要となる。このため、このス ペースが不要となった分を、プラズマ容器の サイズ拡大に用いることができる。
 さらに、イオンビームを引き出す開口部を える第1の壁面と対向する壁面を第2の壁面 してフィラメントを立設する構成をとるこ により、フィラメントの先端の位置を、開 部を備える第1の壁面の近くに接近させるこ ができ、開口部近傍で密度の高いプラズマ 生成することができる。
 さらに、フィラメントを第2の壁面から立設 させる構成であるので、フィラメントの熱伝 導による熱損失の低減のために、フィラメン トのプラズマ容器を通る脚部の長さを調整す ること、あるいは、フィラメント脚部におけ る堆積物の付着防止のためのスリーブ管の設 置等を、プラズマ容器のサイズとは独立して 自由に行うことができる。

本発明のイオン源の一実施形態の構成 示す図である。 (a),(b)は、図1に示すイオン源に用いる ィラメントの形状を説明する図である。

符号の説明

1 イオン源
10 プラズマ容器
12 フィラメント
14,16 反射板
18 原料ガス供給口
20 イオンビーム引出口
22,24 引出電極
26,28 磁石
30,32 壁面
33 フィラメント電源
34 アーク電源
36,38 電源
40 ループ形状

 以下に、添付の図面に示す好適実施形態に づいて、本発明のイオン源を詳細に説明す 。図1は、本発明のイオン源の一実施形態の 構成を示す図である。
 イオン源1は、原料ガスGを供給し放電する とによりプラズマPを生成し、このプラズマP からイオンを引き出すことによりイオビーム Bを生成するバーナス源である。イオン源1は 図1に示すように、プラズマ容器10、フィラ ント12、反射板14,16、原料ガス供給口18、イ ンビーム引出口20、引出電極22,24、および磁 石26,28を有する。プラズマ容器10は、図示さ ないイオン注入装置の減圧容器内に収納さ 、プラズマ容器10内で10 -2 ~10 -3 (Pa)に減圧された状態となっている。

 プラズマ容器10は、直方体形状の内部空 を有する放電箱である。プラズマ容器10は、 耐高温性を有する導電性材料で構成されてい る。本発明においては、内部空間は、直方体 形状に限定されず、多角柱形状や円柱形状で あってもよい。円柱形状の場合、本発明にお ける壁面は、接平面を意味する。

 プラズマ容器10の内部空間の壁面から、内 空間に突出するフィラメント12が立設してい る。フィラメント12は、イオンビーム引出口2 0が設けられる壁面30に対向する壁面32から立 している。フィラメント12は、タングステ 、モリブデン、タングステンまたはモリブ ンを主成分とする合金の中から選択された 属で構成される。特に、耐摩耗性の点から ングステンで構成することが好ましい。
プラズマ容器10は、一方向(図1中の水平方向) 長く、この長手方向は、磁石26,28の配置方 と一致している。

 このようにフィラメント12の立設する壁 を、イオンビーム引出口20が設けられる壁面 (第1の壁面)30に対向する壁面(第2の壁面)32と るのは、磁石26と磁石28間の距離を広げるこ なく、プラズマ容器10を長手方向に拡大す ことができるためである。すなわち、従来 ように、磁石26,28の配置方向に面する壁面、 すなわち、プラズマ容器10の長手方向の端部 壁面からフィラメント12を内部空間に立設 せた場合、プラズマ容器10の長手方向の端部 にフィラメント支持部材や絶縁部材等の配置 スペースが必要となる。このため、イオン源 1のように、イオンビーム引出口20が設けられ る壁面30に対向する壁面32からフィラメント12 を立設することにより、フィラメント支持部 材や絶遠部材等の配置スペースを不要とする ので、この不要な配置スペースを、プラズマ 容器10の長手方向の寸法の拡大に用いること できる。

 さらに、フィラメント12の熱伝導による熱 失の低減のために、フィラメント12のプラズ マ容器10を通る脚部の長さを調整することや フィラメントの脚部における堆積物の付着 止のためのスリーブ管の設置を、プラズマ 器10のサイズとは独立して自由に行うこと できる。
 このように、イオンビーム引出口20の壁面30 と対向する壁面32からフィラメント12が立設 る。このとき、フィラメント12の先端部は壁 面30に対して2~3mmの範囲内で近接させる。こ により、イオンビーム引出口20近傍において プラズマPの密度を増大させ、イオンビームB 電流を増大させることができる。

 なお、本発明においては、イオンビーム引 口20が設けられる壁面30に対向する壁面32か フィラメント12を立設させる構成に限られ い。図1の紙面に平行な面を備える壁面から ィラメント12を立設させることもできる。 発明において、フィラメント12は、イオンビ ーム引出口(開口部)20が設けられる壁面30の向 く方向(壁面30の垂線方向)と異なる方向に向 、一対の磁石26,28間の配置方向に沿って延び る壁面から、一対の磁石26,28の配置方向と異 る方向に立設していればよい。しかし、イ ンビーム引出口20から最も遠い壁面32にフィ ラメント12を設ける構成が、フィラメント12 流れる電流がイオンビームBに与える影響を 小にする点で好ましい。
 フィラメント12は、さらに、ループ形状を して構成される。この点は、後述する。

 フィラメント12の対面側および背面側、 なわち、プラズマ容器10の内部空間の磁石26, 28の配置方向の両端部の壁面には、反射板14,1 6が設けられている。反射板14,16は、耐高温性 を有する金属製部材からなり、図示されない クランプ部材や絶縁部材を介してプラズマ容 器10に固定されて設けられる。反射板14,16は プラズマ容器10の内部空間の断面を略占有す るように設けられている。

 プラズマ容器10の壁面31には、原料ガス供 給口18が設けられる。所望の原料ガスが、図 されない制御バルブにより一定の流量に制 されて、プラズマ容器10の内部空間に導入 れる。

 プラズマ容器10の外側には、壁面30に設けら れたイオンビーム引出口20に対向するように 出電極22,24が設けられている。引出電極22,24 は、イオン引出口20と同様の形状の開口部を え、図示されない絶縁部材を介して、プラ マ容器10に対して精密に位置決めされて固 されている。引出電極22,24は、イオンビーム Bに曝される機会が多いため、高融点で耐熱 の高い材料を用いることが好ましい。例え 、グラファイト、タングステン、モリブデ 等を用いることができるが、経済性及び加 性の点で、グラファイトが好適に用いられ 。イオンビームBは、プラズマ容器10の壁面30 と引出電極22間の電位差により、プラズマPか らイオンが分離され引き出されて、イオンビ ームBが形成される。
 引出電極22,24間には数1000Vの電圧が印加され る。イオンビームBが壁面等に衝突して生成 れる低速な電子が、イオンビームBの電荷に り捕捉され、滞留して分布しているが、上 数1000Vの電圧を引出電極22,24間に印加するこ とにより、引出電極22と引出電極24との間の 位差により上記電子がプラズマ容器10の外側 壁面に照射されるのを防止することができる 。

 プラズマ容器10の外側には、一対の磁石26 ,28が設けられ、プラズマ容器10内の磁場を、 石26,28の配置方向に沿って略均一(磁場の変 は数%以内)になるように、磁石26,28が配置さ れ、さらに磁石の形状が定められている。磁 石26,28には、磁力線がプラズマ容器10の長手 向の一方の端から他方の端へ通過するよう 、N極、S極が配され、磁石26,28は透磁率の高 電磁軟鉄等で作製された図示されないリタ ンヨークで、磁石26,28の外側が繋がってい 。磁石26,28は、永久磁石または電磁石が用い られる。しかし、磁場を調整可能とするため には、電磁石を用いることが好ましい。

 フィラメント12には、熱電子を放出可能な うに、フィラメント電源33が接続されている 。フィラメント電源33の正極及び負極がフィ メント12と接続され、フィラメント12に数100 Aの電流を流す。これによって、フィラメン 12を加熱して熱電子を放出させる。フィラメ ント電源33の正極は、反射板14,16に接続され いる。
 さらに、フィラメント電源33の負極とプラ マ容器10との間には、アーク放電電源34が接 され、プラズマ容器10に数10~数100Vのアーク 圧が印加される。

 電源36は、イオンビームBを引き出すため 引き出し電源であり、正極はプラズマ容器1 0に接続され、負極は引出電極24に接続され、 数千V~数十万Vの電圧が印加される。さらに、 引出電極22と引出電極24との間に電圧を設定 、電子がプラズマ容器10の外側壁面を照射し ないように、引出電極22と引出電極24との間 数1000Vの電圧を印加する電源38が接続されて る。

 フィラメント電源33の電流及びアーク放 電源34のアーク電圧は、イオンビームBの電 が安定するように、図示されない制御装置 よって調整される。あるいは、フィラメン 電源33を流れる電流と電源36を流れる電流と 、図示されない制御装置によって調整され 。フィラメント電源33を流れる電流と電源36 を流れる電流の調整を行う方が、簡単に調整 できる点で好ましい。

 このようなイオン源1において、フィラメン ト12は、図2(a),(b)に示すように、フィラメン 12の中央部でループ形状40を成すように折り されている。ループ形状40を成す面に対し 垂直方向から見たとき、ループ形状40の基部 42で接触することなくX状に交差した部分を有 する。フィラメント12のループ形状40を成す は、図1に示す磁石26,28の磁場の向きに対し 略垂直、実質的に垂直である。さらに、ル プ形状40のループサイズは、反射板14,16のサ ズより小さい。これは、フィラメント12の ープ形状40の部分から放出された熱電子を効 率よく反射して熱電子の往復運動ができるよ うにするためである。
 このようなフィラメント12は、曲げ加工に り形状が作られる。フィラメント12の形状が 単にループ形状40であり、ループ形状40の基 42においてX状に交差するだけなので、タン ステンやモリブデン等の融点の高い線材で っても、さらに、2mmを越える太い線材であ ても、困難なく加工することができる。
 図2(b)に示すように、フィラメント12の交差 る基部42の交差角度は90度程度であることが 好ましいが、加工によっては、70~110度の範囲 であってもよい。また、フィラメント12の壁 を通り抜ける脚部において、図2(b)に示すよ うに、フィラメント12の線が平行であること 好ましいが、平行でなくてもよい。

 フィラメント12をループ形状40にするのは 、従来のフィラメントの形状に比べて、形状 が単純であり、曲げ加工がし易く、その結果 、従来に比べて太い線径、すなわち、2mmを越 える線径を用いることができる他、フィラメ ント12から放出された熱電子が反射板14,16と 間で螺旋運動を行うとき、フィラメントが 熱電子の螺旋運動の妨げにならないように 、熱電子によって作られるプラズマの密度 効率的に増大するためである。図2(b)中、ル プ形状40で囲まれた領域(斜線領域)Aは、熱 子の通過の妨げとならない。

 また、従来のフィラメントでは、フィラ ントの温度は、フィラメントを折り返した 央部分のみが高くなるので、温度に応じて 出量が定まる熱電子の放出部分は折り返し 狭い範囲に限られる。このため、狭い範囲 ら放出された熱電子によって生成される密 の高いプラズマは局在化し、この局在化し プラズマを引き出すことにより、イオンビ ムの電流を増大させることはできる。しか 、フィラメントの摩耗の進展により、フィ メントの温度の高い部分の位置が変化する 、密度の高いプラズマの位置も当初の位置 らずれるため、当初の位置に合せて設定さ たイオンビーム引出口から引き出されるイ ンビームの電流は大きく変化する。また、 在化したプラズマの当初の位置に合わせて オン源1の各種寸法が設定されるので、イオ ン源1の各種寸法等が経時変化や熱膨張等に って変化した場合、生成されるプラズマの 初の位置に合わせて設定されたイオンビー 引出口から引き出されるイオンビームの電 も大きく変化する。

 しかし、フィラメント12のループ形状40の基 部42において、フィラメント12を図2(b)に示す うにX状に交差することにより、この交差部 分でフィラメント12同士が接近するので、こ 部分のお互いの放射伝熱によりお互いが加 され、ループ形状40の部分に伝熱するので 損失が減少する。このため、フィラメント12 のように、ループ形状40とし、かつX状に交差 させることで、基部42からループ形状40を成 広い部分の温度分布は穏やかとなり、ルー 形状40を成す広い部分が、熱電子を放出する 高温部分となる。これにより、従来に比べて 熱電子の放出部分が広くなるので、プラズマ の生成領域が局在化されず広い範囲で緩やか に分布する。このため、イオン源1の各種寸 等が経時変化や熱膨張等によって変化して 、広い範囲で緩やかに分布するプラズマか 引き出されるイオンビームBの電流は大きな 響を受けない。すなわち、イオン源の各種 法の変化に対する、イオンビームBの電流の ロバスト性は高い。
 フィラメント12が摩耗した場合でも、熱電 を放出したフィラメントの温度の高い部分 ループ形状40の広い部分であるので、生成さ れるプラズマも当初の位置から大きくずれる ことはない。このため、引き出されるイオン ビームの電流は大きく変化しない。このよう に、イオン源1において、フィラメント12が摩 耗しても、イオンビームBの電流は大きな影 を受けない。すなわち、フィラメント12の磨 耗に対する、イオンビームBの電流のロバス 性は高い。

 このようなイオン源1では、フィラメント12 電流が流れ、高温に発熱することによりフ ラメント12のループ形状40を成す部分から熱 電子が放出され、この熱電子が、磁場の向き に沿って、反射板14,16の間を螺旋運動しなが 往復する。このとき、原料ガスGが原料ガス 供給口18から導入され、アーク電源34に所定 電圧が印加され、原料ガスGが熱電子と衝突 ることにより、原料ガスGの原子が帯電して 、プラズマPが生成される。
 このとき、フィラメント12のループ形状40の 領域Aでは、熱電子が自由に通過するので、 電子は、反射板14,16間で往復運動が可能とな る。このため、プラズマPがフィラメント12の ループ形状40を含む周辺領域31で緩やかな分 で生成される。生成されるプラズマPは反射 14,16を両端とする円柱形状となる。この後 引出電極22,24に所定の電圧が印加され、イオ ンビーム引出口20からイオンビームBが引き出 される。

 フィラメント12がプラズマPにより摩耗し も、フィラメント12の熱電子を放射する部 は上述したように広いので、プラズマPの生 される領域は大きく変化しない。このため プラズマPから引き出されるイオンビームB 電流は大きな影響を受けない。また、フィ メント12によって、広い範囲で緩やかに分布 するプラズマが生成されるので、このプラズ マから引き出されるイオンビームBの電流は イオン源1の各種寸法等が経時変化や熱膨張 によって変化しても大きな影響を受けない

 以上、本発明のイオン源について詳細に 明したが、本発明は上記実施形態に限定さ ず、本発明の主旨を逸脱しない範囲におい 、種々の改良や変更をしてもよいのはもち んである。