堀池 重吉 (〒11 京都府京都市中京区西ノ京桑原町1番地 株式会社島津製作所内 Kyoto, 6048511, JP)
株式会社島津製作所 (〒11 京都府京都市中京区西ノ京桑原町1番地 Kyoto, 6048511, JP)
HORIIKE, Shigeyoshi (1 Nishinokyo-kuwabaracho, Nakagyo-ku, Kyoto-sh, Kyoto 11, 6048511, JP)
| ティップと、前記ティップの基端側から前記ティップ内に溶液試料を供給する流路と、を備え、 前記流路は管路に充填材が充填されたものであり、前記ティップは柱状又は錐状をして先端面及び側面が前記流路の管路から露出した多孔質自立構造体を構成しており、前記充填材と前記ティップを構成する多孔質自立構造体は同時に形成された同一多孔質体からなる一体構造になっており、 前記ティップの先端側に対向して配置される電極と前記ティップとの間に高電圧が印加されることにより生じるエレクトロスプレーにより、前記ティップ内に供給された溶液試料に含まれる分子をイオン化するイオン化用エミッタ。 |
| 前記流路は分析用カラムである請求項1に記載のイオン化用エミッタ。 |
| 前記多孔質体はゾル-ゲル法によって得られたものである請求項1又は2に記載のイオン化用エミッタ。 |
| 前記多孔質体は粒子による充填構造が転写された多数の球状空孔をもつ構造の骨格相を備え、隣接する球状空孔同士が接点で連通していることにより、前記骨格相が3次元網目構造に形成されているものである請求項1から3のいずれか一項に記載のイオン化用エミッタ。 |
| 前記球状空孔は最密充填構造となるように規則的に配列されている請求項4に記載のイオン化用エミッタ。 |
| 前記球状空孔のサイズは直径0.1~10μmであり、かつ孔径ばらつきが20%未満である請求項4又は5に記載のイオン化用エミッタ。 |
| 前記骨格相には前記空孔より孔径の小さい微細孔が形成されている請求項4から6のいずれか一項に記載のイオン化用エミッタ。 |
| 前記骨格相はシリカによって形成されている請求項3から7のいずれか一項に記載のイオン化用エミッタ。 |
| 前記多孔質体は、骨格相と、前記骨格相により形成され三次元網目状に連続した細孔と、前記骨格相の表面に存在し、新たな官能基の導入が可能な官能基とを備え、 前記骨格相は、サブミクロンからマイクロメートルサイズの平均直径を有し、粒子凝集型でない共連続構造をもち、二官能性以上のエポキシ化合物と二官能性以上のアミン化合物からの付加重合体から構成され、有機物質に富み、かつ芳香族由来の炭素原子を含まないものである請求項1又は2に記載のイオン化用エミッタ。 |
| 前記エポキシ化合物は2,2,2-tri-(2,3-エポキシプロピル)-イソシアヌレートである請求項9に記載のイオン化用エミッタ。 |
| 前記カラム内の充填材に物理的修飾又は化学的修飾が施されている請求項2から810のいずれか一項に記載のイオン化用エミッタ。 |
| 前記ティップの外周部には電極又は保護膜からなる被膜が形成されている請求項1から11のいずれか一項に記載のイオン化用エミッタ。 |
| 前記被膜は物理蒸着又は化学蒸着によって形成されたものである請求項12に記載のイオン化用エミッタ。 |
| 請求項2から13のいずれか一項に記載のイオン化用エミッタと、 前記カラムに移動相を供給する移動相供給機構と、 前記カラムに供給される移動相の流路中に試料を供給するインジェクタと、 前記エミッタの先端側に対向して配置される試料導入口と、 前記エミッタと前記試料導入口間に電圧を印加する高電圧電源装置と、 を備えたイオン化装置。 |
| 以下の工程(A)及び(B)を備えて請求項1に記載のイオン化用エミッタを製造する方法。 (A)前記ティップの外形形状に対応した穴をもつ鋳型を用意する工程、 (B)前記穴径よりも大きい外径をもつ中空管の先端面を前記鋳型の穴上に押しあて、前記中空管の基端部からゾル溶液を注入しゲル化させる過程を含んで前記多孔質自立構造体を形成する工程。 |
| 前記工程(B)は、以下の工程(B-1)から(B-5)を含む請求項15に記載のイオン化用エミッタの製造方法。 (B-1)前記中空管の基端部からポリマー粒子を含有するコロイドを注入する工程、 (B-2)前記ポリマー粒子をそれ自身の自己集合作用によって規則的に配列した充填構造にする工程、 (B-3)前記充填構造を形成したポリマー粒子の隙間に金属アルコキシドゾルを注入する工程、 (B-4)前記金属アルコキシドゾルをゲル化して骨格相を形成する工程、及び (B-5)前記ポリマー粒子を熱分解により除去することにより前記充填構造が転写された多数の球状空孔をもつ3次元網目構造を有する多孔質自立構造体を形成する工程。 |
| 前記多孔質自立構造体の形成後、前記骨格相をアルカリ溶液で洗浄することにより骨格相に前記球状空孔より孔径の小さい微細孔を形成する物理的修飾工程をさらに含む請求項16に記載のイオン化用エミッタの製造方法。 |
| 前記金属アルコキシドゾルはシリカゾルである請求項16又は17に記載のイオン化用エミッタの製造方法。 |
| 前記コロイドはポリスチレン粒子が純水中に分散したものである請求項16から18のいずれか一項に記載のイオン化用エミッタの製造方法。 |
| 前記工程(B)は、以下の工程(b-1)及び(b-2)を含む請求項15に記載のイオン化用エミッタの製造方法。 (b-1)ゾル溶液としてポロゲン中に二官能性以上のエポキシ化合物と二官能性以上のアミン化合物を含むものを注入し、加熱して重合させてゲル状体を得る工程、及び (b-2)前記ゲル状体を溶媒で洗浄してポロゲンを除去して骨格相を残す工程。 |
| 前記エポキシ化合物は2,2,2-tri-(2,3-エポキシプロピル)-イソシアヌレートである請求項20に記載のイオン化用エミッタの製造方法。 |
本発明は、化学物質や生体物質等を質量 析したりする際に用いるイオン化用エミッ 、それを備えたイオン化装置、及びそのイ ン化用エミッタの製造方法に関するもので る。
定量的な分離分析方法である高速液体ク マトグラフィー(HPLC)と決定的な物質同定法 ある質量分析法(MS)を組み合わせた相補的分 析技術として、LC/MSが生体分子等の構造・機 解析に利用されている。
特に、生体成分の極微量分析に最適化さ たナノLC/MSは、ポストゲノム研究において ンパク質同定の有力な手段の一つとして広 っている。ナノエレクトロスプレーイオン 法(ナノESI)はナノLCと質量分析をオンライン 接続する方法であり、図810に示すようなキ ピラリーを先鋭化させた構造を持つエミッ 42が利用されている。
エミッタに分析試料を含む溶液を10nL/分~1 μL/分程度の流量で通過させ、質量分析計の 料導入口とエミッタ先端の間に高電場を印 すると、噴霧ガスを用いることなしに、試 溶液を噴霧して分析試料をイオン化するこ ができる。
ナノLCでは、微量の試料溶液を扱うため カラム容積の小さい内径75μmのナノカラムが 一般に利用されている。ナノLCではカラム外 デッドボリュームにおける分離能の劣化が 刻になるため、エミッタとカラムの接続部 で生じるデッドボリュームはより小さいも が望まれている。その結果、エミッタ材料 あるキャピラリーの小径化が数十μmまで進 でいる。また、ナノLCの溶出試料を効率よ イオン化して質量分析計に導入するための ミッタ先端径も数μmまで小型化が進んでい 。
エミッタとカラムの接続部分で生じるデ ドボリュームを削減する方法として、エミ タの先端近傍にフリットを形成し、エミッ 内に充填カラムを形成する方法が提案され いるものの、フリットと充填剤の構造不均 性・不連続性により分離能が低下するとい 問題がある。
そこで本発明は、分離能を低下させるこ なくデッドボリュームを削減することが可 なイオン化用エミッタを提供することを目 とする。
本発明のイオン化用エミッタは、ティッ と、ティップの基端側からティップ内に溶 試料を供給する流路とを備えている。流路 管路に充填材が充填されたものであり、テ ップは柱状又は錐状をして先端面及び側面 流路の管路から露出した多孔質自立構造体 構成しており、充填材とティップを構成す 多孔質自立構造体は同時に形成された同一 孔質体からなる一体構造になっている。そ て、上記ティップの先端側に対向して配置 れる電極とそのティップとの間に高電圧が 加されることにより生じるエレクトロスプ ーにより、そのティップ内に供給された溶 試料に含まれる分子をイオン化するもので る。
上記流路の好ましい一例は分析用カラム ある。
上記の多孔質自立構造体はゾル-ゲル法に よって得ることができる。
従来のスピノーダル分解によるモノリス ラムの作製方法では細孔サイズ分布を自在 制御することができているが、局所構造の 列の秩序化を実現することは極めて難しい これは、細孔がスピノーダル分解によりラ ダムに生成するのに任されているからであ 。
最近のカラム理論の研究では、微細加工 術を利用してカラムを幾何学的に均質に作 あげることにより、カラムの局所構造の不 一さに由来する分析物のカラム内拡散を低 できる可能性が報告されている。したがっ 、従来のゾル-ゲル法によるシリカモノリス カラムにおいても局所構造を秩序化する工夫 を施すことにより、さらなる高性能化を期待 できる。
そこで多孔質自立構造体の好ましい一例 して、粒子による充填構造を鋳型として形 される多数の球状空孔をもつ構造の骨格相 備えたものを挙げることができる。そして 隣接する球状空孔同士が接点で連通してい ことにより、上記骨格相が3次元網目構造に 形成されている。
骨格相の幾何学的特徴を均質にするため 球状空孔は最密充填構造となるように規則 に配列されていることが好ましい。
また、骨格相は強度が高い方が良いので シリカ等の無機材料からなることが好まし 。
球状空孔のサイズは直径0.1~10μmで均一で ることが好ましい。空孔の孔径を均一なも にするには単分散の粒子径を有する粒子を 型として利用することが好ましい。その場 の孔径のばらつきは5~10%とすることができ 。
また、充填材の表面積を増大させるため 、上記骨格相には空孔より孔径の小さい微 孔が形成されていることが好ましい。微細 の孔径としては1nm~100nmが好ましい。
多孔質自立構造体を構成する多孔質体と ては、有機材料からなるものであっても骨 相をもつものであれば使用することができ 。そのような多孔質体として、有機材料か なる骨格相と、骨格相により形成され三次 網目状に連続した細孔と、骨格相の表面に 在し、新たな官能基の導入が可能な官能基 を備えた有機材質のものを挙げることがで る。その有機材料からなる骨格相は、サブ クロンからマイクロメートルサイズの平均 径を有し、粒子凝集型でない共連続構造を ち、二官能性以上のエポキシ化合物と二官 性以上のアミン化合物からの付加重合体か 構成され、有機物質に富み、かつ芳香族由 の炭素原子を含まないものである。
骨格相の表面に存在して新たな官能基の 入が可能な官能基とは、エポキシ基とアミ 基との反応により生じた水酸基のほか、反 せずに残存したアミノ基やエポキシ基を含 。
原料となるエポキシ化合物の好ましい例 、2,2,2-tri-(2,3-エポキシプロピル)-イソシア レート(2,2,2-tri- (2,3-epoxypropyl)-isocyanurate)であ る。2,2,2-tri-(2,3-エポキシプロピル)-イソシア レートは光学対掌体をもつキラルな化合物 あり、本発明ではラセミ体と光学活性体の ずれも使用することができる。
アミン化合物としてもキラルな化合物を 用することができ、アミン化合物としても セミ体と光学活性体のいずれも使用するこ ができる。
カラムを機能化するために、カラムの充 材に物理的修飾又は化学的修飾が施されて るようにしてもよい。
イオン化スプレーの先端として用い、効 よくイオン化するために、ティップの外周 には電極又は保護膜からなる被膜を形成し もよい。
その被膜は、物理蒸着又は化学蒸着によ て形成することができる。
本発明のイオン化装置は、本発明のイオ 化用エミッタと、カラムに移動相を供給す 移動相供給機構と、カラムに供給される移 相の流路中に試料を供給するインジェクタ 、エミッタの先端側に対向して配置される 料導入口と、エミッタと試料導入口間に電 を印加する高電圧電源装置とを備えている
本発明のイオン化用エミッタの製造方法は
以下の工程(A)及び(B)を備えている。
(A)前記ティップの外形形状に対応した穴をも
つ鋳型を用意する工程、
(B)前記穴径よりも大きい外径をもつ中空管の
先端面を前記鋳型の穴上に押しあて、前記中
空管の基端部からゾル溶液を注入しゲル化さ
せる過程を含んで前記多孔質自立構造体を形
成する工程。
工程(B)はゾル-ゲル反応工程を含む。好まし
い一形態では、工程(B)は、以下の工程(B-1)か
(B-5)を含む。
(B-1)中空管の基端部からポリマー粒子を含
するコロイドを注入する工程、(B-2)ポリマー
粒子をそれ自身の自己集合作用によって規則
的に配列した充填構造にする工程、(B-3)充填
造を形成したポリマー粒子の隙間に金属ア
コキシドゾルを注入する工程、(B-4)金属ア
コキシドゾルをゲル化して骨格相を形成す
工程、及び(B-5)ポリマー粒子を熱分解により
除去することにより充填構造が転写された多
数の球状空孔をもつ3次元網目構造を有する
孔質自立構造体を形成する工程。
また、上記多孔質自立構造体の形成後、 格相をアルカリ溶液で洗浄することにより 骨格相に球状空孔より孔径の小さい微細孔 形成する微細加工工程をさらに含んでも良 。
上記金属アルコキシドゾルの好ましい一例
はシリカゾルを挙げることができる。
また、コロイドの好ましい一例にはポリス
レン粒子が純水中に分散したものを挙げる
とができる。
好ましい他の態では、工程(B)は、以下の工
(b-1)及び(b-2)を含む。
(b-1)ゾル溶液としてポロゲン中に二官能性
上のエポキシ化合物と二官能性以上のアミ
化合物を含むものを注入し、加熱して重合
せてゲル状体を得る工程、及び
(b-2)前記ゲル状体を溶媒で洗浄してポロゲ
を除去して骨格相を残す工程。溶媒で洗浄
た後は乾燥する。
ポロゲン中での重合温度は60℃から200℃ 範囲が適当であるが、重合温度はエポキシ 合物及びアミン化合物がそれぞれポロゲン で溶解して重合反応を行なうための適当な 度あり、エポキシ化合物、アミン化合物及 ポロゲンの種類に応じて適当に設定すれば い。
エポキシ化合物の好ましい例は、2,2,2-tri- (2,3-エポキシプロピル)-イソシアヌレートで る。このエポキシ化合物はラセミ体であっ も光学活性体であってもよい。
アミン化合物は硬化剤として使用される のであり、ラセミ体であっても光学活性で ってもよく、エチレンジアミン、ジエチレ トリアミン、トリエチレンテトラミン、テ ラエチレンペンタミン、イミノビスプロピ アミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン 1,3,6-トリスアミノメチルヘキサン、ポリメ レンジアミン、トリメチルヘキサメチレン アミン、ポリエーテルジアミン等の脂肪族 ミン類、イソホロンジアミン、メンタンジ ミン、N-アミノエチルピペラジン、3,9-ビス(3 -アミノプロピル)2,4,8,10-テトラオキサスピロ 、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタンやこ れらの変性品等の脂環式ポリアミン類、その 他ポリアミン類とダイマー酸からなる脂肪族 ポリアミドアミン類などが挙げられる。好ま しくは、分子内に一級アミンを二つ以上有す る脂環族アミン化合物であり、特に好ましく は、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、 ス(4-アミノー3-メチルシクロヘキシル)メタ などが挙げられる。
ポロゲンとは、エポキシ化合物及び硬化 を溶かすことができ、かつ、これらが重合 た後、反応誘起相分離を生じさせることが 能な溶剤をいう。ポロゲンとしては、例え 、メチルセロソルブ、エチルセロソルブな のセロソルブ類、エチレングリコールモノ チルエーテルアセテート、プロピレングリ ールモノメチルエーテルアセテートなどの ステル類、又はポリエチレングリコール、 リプロピレングリコール等のグリコール類 どが挙げられる。中でも分子量600以下のポ エチレングリコールが好ましく、特に分子 300以下のポリエチレングリコール等が好ま い。
エポキシ化合物として2,2,2-tri-(2,3-エポキ プロピル)-イソシアヌレートを使用した場 、エポキシ化合物に対するアミンの原料組 は、モル比で表わして、エポキシ化合物:ア ン=1:1~1:3の範囲が適当である。
また、ポロゲンの添加量は、エポキシ化 物、アミン及びポロゲンの合計重量に対し 1~99重量%が適当である。
本発明のイオン化用エミッタは、多孔質 立構造体からなるティップと流路とを備え 電極とティップとの間に高電圧が印加され ことにより、ティップ内に供給された溶液 料に含まれる分子をエレクトロスプレー法 よりイオン化するものであるから、多数の 孔の一つ一つがエミッタとみなせるため、 来の単一のエミッタに比べてエミッタ寿命 改善するとともに、デッドボリュームを削 することができる。
充填材とティップを構成する多孔質自立 造体は同時に形成された同一多孔質体から る一体構造になっているので、充填材がカ ム充填材である場合には分離能を低下させ ことがない。
フューズドシリカ管を加工して形成される
来のティップと異なり、ティップは先端面
び側面が流路の管路から露出しており、使
開始時で放電すると欠損しやすいフューズ
シリカが電場集中部にないため、安定した
オン化を実現できる。
1 ティップ
2 イオン化用エミッタ
3 カラム
5 充填材
7 細孔
9 被膜
11 骨格相
13 球状空孔
15 微細孔
17 貫通孔
19 電極
21 試料導入口
23 質量分析計
25 インジェクタ
27 ポンプ
29 高電圧電源装置
以下に図面を参照して本発明の実施例を詳
に説明する。
図1A及び図1Bはイオン化用エミッタの概略図
であり、図1Aはエミッタ部分、図1Bはティッ
の先端部分を示している。このイオン化用
ミッタ2は、円柱状の多孔質自立構造体から
るティップ1と、ティップ1の基端部に溶液
料を供給する流路3とを備えている。
流路の一例は分析用カラム3であり、カラ ム3内の充填材5とティップ1を構成する多孔質 自立構造体は一体構造として形成されている 。ティップ1はカラム3から露出しており、充 材5とティップ1を構成する多孔質自立構造 は同時に形成された同一多孔質体からなっ いる。ティップ1又はカラム3の外周部には電 極又は保護膜となる被膜9を形成してもよい
図1Bに示すように、多孔質自立構造体の 面に存在する多数の細孔7は各々がエミッタ とみなすことができるため、目詰まりを原 とした保守交換作業を軽減できる。
また、カラム3内の充填材5とティップ1を 一多孔質体からなる一体構造として形成す ことにより、カラム3とエミッタ1は完全に 体な構造を実現できるため、接続部分のデ ドボリュームは小さくなる。
このような多孔質自立構造体(モノリス) しては、スチレン・ジビニルベンゼン共重 体等の有機ポリマーからなるものと、シリ ゲル等の無機系のものが知られている。
スチレン・ジビニルベンゼン共重合体等 有機ポリマーからなる有機系の充填材は、 格構造がないため、低強度で耐圧性が低い 溶媒により膨張・収縮してしまう、加熱殺 不可能である等の難点がある。したがって こうした難点がない無機系のもの、特にシ カゲルが汎用されている。一般にシリカゲ 等の無機質多孔体は、液相反応であるゾル- ゲル法によって作製されている。本発明では 多孔質自立構造体としては無機系と有機系の 両方を使用することができる。特に、有機系 では骨格構造をもつものを使用する。
まず、無機系の多孔質自立構造体につい 説明する。多孔質材料を各種担体として利 する場合には、孔の表面に担持されて機能 発現する物質の大きさに依存した最適の細 径と、できるだけばらつきの小さい細孔径 布とが必要である。したがって、ゾル-ゲル 法によって得られる多孔体についても、ゲル 合成時の反応条件を制御することによって、 細孔サイズを制御する試みがなされている。
多孔質自立構造体を担体とするモノリス ラムは、金属アルコキシドゾルを中空管に 入し、スピノーダル分解を利用して作製さ る。この製法によれば骨格の太さと空孔の きさ(直径)は自由に制御されるため、多孔 自立構造体を担体として高分離能かつ低圧 損失なモノリスカラムを実現することがで る。
図2はその製法によって作製した多孔質自 立構造体を有するカラムの概略断面図であり 、図3はその走査電子顕微鏡像である。多孔 自立構造体43は、スピノーダル分解を利用し てシリカを主体として中空管18内に形成され いる。図中の黒い部分は孔を表わしている
この多孔質自立構造体43は、ゾル組成や ル化条件を変えることにより、局所構造で る網目状の骨格及び細孔の大きさを制御す 工夫がなされている。そして多孔質自立構 体43の局所構造が一様であることは水銀圧入 法による細孔測定等により確認されている。
一方、充填カラムにおいては固定相担体 ある充填材の微細化、球状化、孔径均一化 の工夫によって表面積の増大や分析の高速 などの高性能化が達成されている。そして 充填材の球状化と孔径均一化の工夫は局所 造の幾何学的特徴を均質にして分析物の拡 様式を一様にする工夫と換言できる。
例えば、表面積を増大させたカラムとし は、孔径500nmの貫通孔の内側表面に孔径5~100 nmの微細孔を内表面に有した無機系多孔質カ ムが知られている(特許文献1参照。)。また 細孔構造を有効に制御する方法としては、 属アルコキシドを出発原料とし、適当な共 物質を原料に添加して、巨大空孔となる溶 リッチ相を持つ構造を生じさせる方法が知 れている(特許文献2参照。)。
図4は他の多孔質自立構造体の断面図を示 す走査電子顕微鏡像である。11は骨格相、13 球状空孔、15は骨格相11に形成された微細孔 ある。各空孔はポリスチレン粒子を鋳型と ており、球状をしている。各空孔の底部に える3つの黒い部分17は、隣接する空孔との 合における貫通孔である。多孔質自立構造 は粒子による充填構造を鋳型として形成さ る多数の球状空孔13をもつ構造の骨格相11を 備えたものであり、隣接する球状空孔同士が 接点で連通していることにより、骨格相11が3 次元網目構造に形成されている。
このようにカラム3内に粒子による充填構 造を鋳型として形成される骨格相11を備え、 接する球状空孔13同士を連通するようにし ので、従来方式に比べて分析物の拡散様式 均質化することができ、分析物のカラム内 散による分離能の劣化を低減することがで る。
また、図4のように球状空孔13が最密充填 造となるように規則的に配列すると、局所 造が幾何学的に均質かつ周期性を有するよ になり、分離精度が一定な多孔質自立構造 を備えたカラムを提供することができるよ になる。
次に、有機系の多孔質自立構造体について
明する。
エポキシ化合物としては光学活性体であるS
SS体の2,2,2-tri-(2,3-エポキシプロピル)-イソシ
ヌレート(TEPIC-S)、アミン化合物としてはビ
(4-アミノシクロヘキシル)メタン(bis(4-aminocycl
ohexyl)methane:BACM)、ポロゲンとしては分子量が2
00のポリエチレングリコール(PEG200:ナカライ
クス社の商品名)を使用した(非特許文献1参
。)。
TEPICとBACMの化学構造式は以下に示すもので
る。
1.6gのTEPIC-Sに対し、BACMが0.37g、PEG200が7.00g となるように調合して、ホットスターラーで 加熱、攪拌して溶解した状態とした後、後で 説明する方法により溶融石英キャピラリーに 充填し、80℃の乾燥機で20時間加熱し重合さ る。その後、水とメタノールで洗浄した後 真空乾燥する。
製造条件:
TEPIC-S …… 1.6g
BACM …… 0.37g
PEG200 …… 7.00g
温度 …… 80℃
上記の重合によって製造された有機ポリ ーモノリスの走査型電子顕微鏡写真を図5に 示す。このモノリスの骨格相がサブミクロン サイズの平均直径を有し、粒子凝集型でない 共連続構造をもっており、その骨格相により 形成された細孔が三次元網目状をしているこ とがわかる。
図6A及び図6Bは本発明のイオン化用エミッ タ2を利用したイオン化装置を示す概略図で り、図6Aはティップ1に導電性被膜を形成し いない場合、図6Bはティップ1に導電性被膜9 形成している場合である。イオン化装置は ティップ1の先端側に対向して配置される電 極19とティップ1との間に高電圧を印加するこ とにより、ティップ1内に供給された溶液試 に含まれる分子をエレクトロスプレー法に りイオン化し、それを測定するものである
電極19のティップ1側は試料導入口21にな ており、導入された試料が質量分析計23に導 かれて測定されるようになっている。
この実施例では、ティップ1は分析用カラ ム3の先端に一体化されて形成されており、 析用カラム3の基端部には、カラム3に試料を 供給するインジェクタ25と、試料を移動相と もにカラム3に送るために移動相を送液する ポンプ27が接続されている。この場合、移動 によりカラム3に送られた試料はカラム3で 離されてティップ1の先端からイオンとして 量分析計23に導入される。
図6Aの場合、イオン化用エミッタ2と質量 析計23の間に高電場を印加するために、高 圧電源装置29の一端を質量分析計23、他端を オン化用エミッタ2の基端部に接続している 。図56Bの場合はティップ1が被膜されている で、高電圧電源装置29の一端を質量分析計23 他端をティップ1の導電性被膜9に接続して る。
これらの方法により、高電場によってイ ン化された分子はティップ1の先端から放出 され、試料導入口21から質量分析計23に取り まれて測定される。
次に本発明のイオン化用エミッタの製造方
を説明する。
図67はゾル-ゲル法による多孔質自立構造体
製造工程を示す工程図である。
(A)基板31上にフォトレジスト33及びフォトレ
ジスト35を用いて同軸二重構造の鋳型(穴)を
成する。フォトレジスト33による鋳型の穴34
製作しようとするティップ1の外形形状に対
応した穴である。フォトレジスト35による鋳
の穴36は中空管の先端を挿入して位置決め
るための穴である。中空管としてフューズ
シリカキャピラリー等のカラム3の先端を挿
する。カラム3の先端面の外径は穴34の径よ
も大きい。カラム3及びフォトレジスト33,35
の鋳型をシリカゾル37で満たす。
(B)シリカゾル37をゲル化させた後、カラ 3及びフォトレジスト33,35内の鋳型を取り出 、多孔質自立構造体を得る。この多孔質自 構造体はティップ1及びシリカのモノリスカ ム3である。
(C)一体化されているティップ1及びカラム 3を回転させながら蒸着39により導電性金属薄 膜41を形成する。
(D)導電性金属薄膜41をティップ1及びカラ 3の外壁に形成した後、ティップ1及びカラ 3の骨格相の孔の内面にオクタデシルシラン のシリル化剤で化学修飾を施す。
このように、骨格相を共有結合力の強い リカにより形成すると、多孔質自立構造体 しての耐圧性向上が期待される。
図7の方法において、シリカによる多孔質 自立構造体を製造するのに替えて、図5に示 た有機の多孔質自立構造体を製造すること できる。その場合は、カラム3及びフォトレ スト33,35内の鋳型にシリカゾル37を注入する のに替えてTEPICとBACMをPEGに溶解させたゾル溶 液を注入してゲル化させる。
図8は他の製造方法である。この方法では フューズドシリカキャピラリー等のカラム3 外形に等しい内径の円筒穴をもつ治具50の穴 の底部に、その穴の内径に等しい外形をもつ フッ素樹脂管52を挿入して鋳型を形成する。 ッ素樹脂管52は穴54の深さが規定されたもの でもよく、貫通した穴54をもったものでもよ 。
図8(A)に示されるように、治具50の穴にフ ーズドシリカキャピラリー等のカラム3の先 端を挿入してフッ素樹脂管52に接触させる。 の状態でカラム3の基端側からゾル溶液を注 入し、加熱をしてゲル化させる。ゾル溶液は 無機材料でも有機材料でもよい。
ゲル化した後、図8(B)に示されるように、 カラム3をフッ素樹脂管52とともに、治具50か 引き抜き、カラム3の先端部からフッ素樹脂 管52を引き抜くと、カラム3中に充填された充 填材と一体化されてカラム3の先端部に露出 て形成された多孔質自立構造体1が形成され 。
多孔質自立構造体のさらに他の製造方法に
いて図9に示す工程(A)~(D)を参照しながら順
説明する。
(A)初めに、サイズのばらつきが20%未満であ
多数のポリマー粒子を含有する単分散コロ
ドを用意する。例えば、直径1~3μmのポリス
レン粒子13aが純水14中に分散している1wt%ポ
スチレンコロイド16を調製する。
シリンジポンプを使ってポリスチレンコ イド16を内径50μmの中空管18に注入し、ポリ チレン粒子13aを内部に充填する。このとき ポリスチレン粒子13aは、その自己集合作用 よって規則的な充填構造、例えば六方最密 造をとる。
(B)次に、多孔質自立構造体の骨格相となる 属アルコキシドゾルを調製する。例えば、 冷下において、20mM酢酸10mLにポリエチレン リコール1.3gとテトラメトキシシラン(Si(OCH 3 ) 4 )4mLを加え、45分間攪拌してシリカゾルを調製 する。
このシリカゾルを、ポリスチレン粒子13a 充填されている中空管18内にシリンジポン を用いて注入する。注入されたシリカゾル11 aはポリスチレン粒子13aの充填構造の隙間に り込む。
(C)次に、注入されたシリカゾルのゲル化 行なう。例えば、中空管18を40℃の電気炉に 24時間保持することでシリカゾル11aをゲル化 、ゲル状骨格相(シリカゲル11b)とする。
その後、電気炉を1℃/分の速度で330℃ま 昇温して、シリカゲル11bの焼成を行う。こ により、中空管18中に充填されていたポリス チレン粒子13aは熱分解され、水や二酸化炭素 となって外部に除去され、その空間は球状空 孔13bとなる。
(D)このようにポリスチレン粒子の充填構 を鋳型として形成するシリカにより、球状 孔13b同士が接点で連通し、3次元網目構造に 形成されている多孔質自立構造体の骨格相11c を得る。
図9の製造工程で作成したものが、図4の 査電子顕微鏡像に示す多孔質自立構造体で る。多孔質自立構造体は粒子による充填構 を鋳型として形成される多数の球状空孔13を もつ構造の骨格相11を形成し、隣接する球状 孔同士が接点で連通していることにより、 格相11が3次元網目構造に形成されている。 れは図3に示す多孔質自立構造体と異なり、 ポリマー粒子の鋳型によって球状空孔13bの大 きさが制御されており、空孔の配列も秩序化 されている。
また、上述した図9の実施例の多孔質自立 構造体の製造方法によれば、従来のスピノー ダル現象を利用した作製方法では困難であっ た幾何学的構造の均質性、周期性を有するモ ノリスカラムの作製が可能になり、カラムの 不均一さに由来する分析物のカラム内拡散に よる分離能の劣化を低減できるため、モノリ スカラムの高性能化が期待できる。
さらに、この多孔質構造体に物理的修又 化学的修飾を施すことによって表面改善を なうことが好ましい。物理的修飾の一例は 例えば、アンモニアを用いて空孔13表面を 食させることで骨格相11の表面(多孔質自立 造体の空孔13の表面)に微細孔15を形成するこ とである。つまり、骨格相をアルカリ溶液で 洗浄することで骨格相11には球状空孔13より 孔径の小さい微細孔15が形成され、容易に微 細加工を施すことができ、表面積が増大する ことによってカラム3の分離能が向上する。
そして、多孔質自立構造体は直径0.01~0.1μ mの微細孔15が形成された骨格相11と、骨格相1 1によって形成される直径0.8~2.7μmの球状空孔1 3を備えるようになる。
また、化学的修飾の一例として、多孔質 造体にクロロオクタデシルシラン等のシリ 化剤を利用し、多孔質構造体の表面に固定 を化学結合してもよい。
本発明の多孔質自立構造体はクロマトグ フィーなどに用いるカラムやキャピラリー 充填材などとして利用することもできる。 えば、このカラムを質量分析計などに接続 、ここで分離を行なった後に質量分析計で 析するようにすれば良い。
また、ティップ1の構造は柱状のみならず円
錐状であってもよい。錐状にした場合、
ティップ先端に電解集中しやすく安定したプ
ルームが得られるため、好ましい。
本発明は、化学物質や生体物質等を分離 析したり質量分析したりする際に用いるイ ン化用エミッタに利用することができる。
