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Patent Searching and Data


Title:
ISOPROPYL ALCOHOL-PRODUCING BACTERIUM AND METHOD OF PRODUCING ISOPROPYL ALCOHOL USING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/008377
Kind Code:
A1
Abstract:
It is intended to provide an isopropyl alcohol-producing bacterium which has an acetoacetate decarboxylase activity, an isopropyl alcohol dehydrogenase activity, a CoA transferase activity and a thiolase activity having been imparted thereto and is capable of producing isopropyl alcohol from a plant-origin material; a method of producing isopropyl alcohol whereby isopropyl alcohol is produced from a plant-origin material by using this isopropyl alcohol-producing bacterium; and an apparatus therefor.

Inventors:
TAKEBAYASHI NOZOMI (JP)
WADA MITSUFUMI (JP)
MOCHIZUKI DAISUKE (JP)
YOSHIMI FUMINOBU (JP)
WATANABE SEIICHI (JP)
TAKAHASHI HITOSHI (JP)
MORISHIGE TAKASHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/062205
Publication Date:
January 15, 2009
Filing Date:
July 04, 2008
Export Citation:
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Assignee:
MITSUI CHEMICALS INC (JP)
TAKEBAYASHI NOZOMI (JP)
WADA MITSUFUMI (JP)
MOCHIZUKI DAISUKE (JP)
YOSHIMI FUMINOBU (JP)
WATANABE SEIICHI (JP)
TAKAHASHI HITOSHI (JP)
MORISHIGE TAKASHI (JP)
International Classes:
C12N15/09; C12M1/02; C12M1/04; C12N1/21; C12P7/04
Foreign References:
JPS561886A1981-01-10
CN1043956A1990-07-18
JPS6167493A1986-04-07
JP2007181571A2007-07-19
Other References:
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DATABASE GENBANK [online] TOTH J. ET AL.: "Clostridium beijerinckii strain NRRL B593 putative transcription activator (stc), and putative electron-transfer protein (hydG) genes, complete cds; and putative glutamate synthase small subunit (gltD) gene, partial cds", XP008135029, Database accession no. (AF157307)
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HANAI T. ET AL.: "Engineered Synthetic Pathway for Isopropanol Production in Escherichia coli", APPLIED AND ENVIRONMENTAL MICROBIOLOGY, vol. 73, December 2007 (2007-12-01), pages 7814 - 7818, XP002537687
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See also references of EP 2184354A4
LOURDES L BERMEJO ET AL., APPLIED AND ENVIRONMENTAL MICROBIOLOGY, vol. 64, no. 3, 1998, pages 1079 - 1085
SAMBROOK, J. ET AL.: "Molecular Cloning A Laboratory Manual, Second Edition", 1989, COLD SPRING HARBOR LABORATORY PRESS
MICROBIOL. MOL. BIOL. REV., vol. 12, 1948, pages 297 - 31 1
Attorney, Agent or Firm:
NAKAJIMA, Jun et al. (NAKAJIMA & KATOSeventh Floor, HK-Shinjuku Bldg.,3-17, Shinjuku 4-chom, Shinjuku-ku Tokyo 22, JP)
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Claims:
 アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、イソプロピルアルコールデヒドロゲナーゼ活性、CoAトランスフェラーゼ活性、及びチオラーゼ活性を付与され、植物由来原料からイソプロピルアルコールを生成しうるイソプロピルアルコール生成細菌。
 前記アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、イソプロピルアルコールデヒドロゲナーゼ活性、CoAトランスフェラーゼ活性及びチオラーゼ活性がそれぞれ、クロストリジウム属細菌、バチルス属細菌及びエシェリヒア属細菌からなる群より選択された少なくとも1種由来の各酵素をコードする遺伝子の導入により得られたものである請求項1記載の細菌。
 前記アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性及びイソプロピルアルコールデヒドロゲナーゼ活性が、クロストリジウム属細菌由来の酵素をコードする遺伝子の導入により得られたものであり、前記CoAトランスフェラーゼ活性及びチオラーゼ活性が、エシェリヒア属細菌由来の酵素をコードする遺伝子の導入により得られたものである請求項1記載の細菌。
 前記アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性がクロストリジウム・アセトブチリカム由来の酵素をコードする遺伝子の導入により得られたものであり、前記イソプロピルアルコールデヒドロゲナーゼ活性がクロストリジウム・ベイジェリンキ由来の酵素をコードする遺伝子の導入により得られたものであり、前記CoAトランスフェラーゼ活性及びチオラーゼ活性が、エシェリヒア・コリ由来の酵素をコードする遺伝子の導入により得られたものである請求項1記載の細菌。
 前記アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、イソプロピルアルコールデヒドロゲナーゼ活性、CoAトランスフェラーゼ活性、及びチオラーゼ活性がそれぞれ、クロストリジウム属細菌由来の各酵素をコードする遺伝子の導入により得られたものである請求項1記載の細菌。
 前記細菌が大腸菌(Escherichia coli)である請求項1記載の細菌。
 請求項1~6に記載のイソプロピルアルコール生産細菌を用いて植物由来原料からイソプロピルアルコールを生産することを含むイソプロピルアルコール生産方法。
 前記イソプロピルアルコール生産細菌及び植物由来原料を含む混合物中に、窒素を含む化合物を更に添加する請求項7に記載のイソプロピルアルコール生産方法。
 前記イソプロピルアルコール生産細菌及び植物由来原料を含む混合物に、水中でアンモニウムイオンを生じうる含窒素化合物を、窒素原子の合計の質量%として混合物中の培養開始時の培養培地の全質量に対して0.04%~10.6%(w/w)の量となるよう添加する請求項7に記載のイソプロピルアルコール生産方法。
 前記イソプロピルアルコール生産細菌及び植物由来原料を含む混合物中に気体を供給しながら、該イソプロピルアルコール生産細菌を培養する培養工程と、前記培養により生成したイソプロピルアルコールを回収する回収工程と
を含む請求項7記載のイソプロピルアルコールの生産方法。
 前記気体が、酸素を含む気体である請求項10に記載のイソプロピルアルコールの生産方法。
 前記気体の供給量が、0.02vvm~2.0vvmである請求項10記載のイソプロピルアルコールの生産方法。
 前記気体の供給量が、0.1vvm~1.5vvmである請求項10記載のイソプロピルアルコールの生産方法。
 前記回収工程が、前記培養工程で得られた培養物から蒸散したイソプロピルアルコールを、イソプロピルアルコールを捕捉するための捕捉液と接触させることを含む請求項10に記載のイソプロピルアルコールの生産方法。
 前記回収工程が、前記蒸散したイソプロピルアルコールを液化してから前記捕捉液と接触させることを含む請求項10に記載のイソプロピルアルコールの生産方法。
 請求項1~6に記載のイソプロピルアルコール生産細菌及び植物由来原料を含む混合物を収容する培養部と、
 前記培養部に接続すると共に前記培養部に収容された混合物中となる位置に開口し、前記混合物中に気体を供給する気体供給部と、
 イソプロピルアルコールを捕捉する捕捉液を収容する捕捉部と、
 前記培養部と前記捕捉部とを連結すると共に、前記培養部内に蒸散したイソプロピルアルコールを前記捕捉部へ移動可能にする連結部と、
を備えたイソプロピルアルコール生産装置。
 前記連結部が、前記培養部内に蒸散したイソプロピルアルコールを液化して前記捕捉部へ供給する液化部である請求項16記載のイソプロピルアルコール生産装置。
 前記培養部内に収容された前記混合物を攪拌する攪拌部を更に備えた請求項16記載のイソプロピルアルコール生産装置。
Description:
イソプロピルアルコール生産細 及びこれを用いたイソプロピルアルコール 産方法

 本発明は、イソプロピルアルコール生産 菌及びこれを用いたイソプロピルアルコー 生産方法に関する。

 植物由来原料から製造されたイソプロピ アルコールは、脱水工程を経てプロピレン 変換できることから、カーボンニュートラ なプロピレンの原料として有望である。京 議定書によって2008年から2012年の間に先進 全体で二酸化炭素排出量を1990年比で5%削減 ることが義務付けられている現在、カーボ ニュートラルなプロピレンはその汎用性か 地球環境上極めて重要である。

 植物由来原料を資化してイソプロピルア コールを生産する菌は自然界に既に存在し いる(例えば、中国特許出願公開第CN1043956A び特開昭61-67493号公報参照)。しかしながら イソプロピルアルコールの生産性が低いこ 、更にはブタノールやエタノール等のアル ール類を副生することが知られている。ブ ノール及びエタノールの水との共沸点はイ プロピルアルコールと水との共沸点と近い とから、単蒸留等の手法で容易にブタノー やエタノールとイソプロピルアルコールを 離することは困難である。このため、ブタ ールやエタノールとイソプロピルアルコー が共存する既存菌の発酵液からイソプロピ アルコールを回収するためには精留塔等の 備を付加した蒸留が必要となると考えられ その分精製プロセスが複雑になると予想さ る。

[規則91に基づく訂正 23.10.2008]
 中国特許出願公開第CN1043956Aには、Clostridium Butanoiacetonicus G.Vをトウモロコシと糖蜜を添 した培養液中で培養した後、得られた培養 を蒸留、再蒸留、分留して、ブタノール、 タノール、アセトン、イソプロパノールを 造する方法が記載されている。しかしなが 、本文献記載の実施例には、培養液中のブ ノール、エタノール、アセトン、及びイソ ロパノールの生成量が全く記載されておら 、最終的に分留により得られたはずのそれ れの成分の量も記載されていない。このた 、本文献からは実際にイソプロパノール、 タノール、エタノール、アセトンが生産さ たことが確認できない。

 特開昭61-67493号公報には、クロストリジ ム属細菌を培養して得られる培養液中に、 ソプロピルアルコールよりも多量のブタノ ルと、少量のエタノール及びアセトンが同 することが記載されている。当該文献によ ば、得られた培養液からイソプロピルアル ールを得る方法として、培養液を濾過し、 回蒸留し、濃縮し、塩析分離により油分を た後、得られた油分を、分留塔を有する装 で分留する方法が一般的な分離精製方法で ると記載されている。

 一方、クロストリジウム属細菌(クロスト リジウム・アセトブチリカム:Clostridium Acetobu tylicum)由来のアセト酢酸デカルボキシラーゼ CoAトランスフェラーゼ、及びチオラーゼの 伝子を大腸菌に導入し、得られた組換え大 菌を培養すると、アセトンが生産されるこ が知られている(例えば、Lourdes  L Bermejo e t al.: Applied and Environmental Microbiology, Vol.64,  N0.3, p.1079-1085, (1998)。

 上記のとおり、既存のイソプロピルアル ール生産菌はイソプロピルアルコールの生 性が低く、加えて培養液中に著量のブタノ ルやエタノール等のアルコール類を副生す ことから、培養液中からのイソプロピルア コールの回収が困難であり、イソプロピル ルコールを工業的に生産する上で問題があ た。

 本発明は、上記事情に鑑みてなされたも であり、副生するアルコール類が少なく、 生アルコールを分離するための特別な工程 必要とせずにより精製されたイソプロピル ルコールを生産可能な細菌、この細菌を用 たイソプロピルアルコール生産方法及びイ プロピルアルコール生産装置を提供するこ を目的とする。

 本発明の第一の態様は、アセト酢酸デカ ボキシラーゼ活性、イソプロピルアルコー デヒドロゲナーゼ活性、CoAトランスフェラ ゼ活性、及びチオラーゼ活性を付与され、 物由来原料からイソプロピルアルコールを 産しうるイソプロピルアルコール生産細菌 提供する。

 本発明の第一の態様では、好ましくは、 記アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、イ プロピルアルコールデヒドロゲナーゼ活性 CoAトランスフェラーゼ活性、及びチオラー 活性がそれぞれ、クロストリジウム属細菌 バチルス属細菌及びエシェリヒア属細菌か なる群より選択された少なくとも1種由来の 各酵素をコードする遺伝子の導入により得ら れたものである。

 本発明の第二の態様は、上記イソプロピ アルコール生産細菌を用いて植物由来原料 らイソプロピルアルコールを生産すること 含むイソプロピルアルコール生産方法を提 する。

 本発明の第二の態様では、好ましくは、 記イソプロピルアルコール生産細菌及び植 由来原料を含む混合物中に気体を供給しな ら、該イソプロピルアルコール生産細菌を 養する培養工程と、前記培養により生成し イソプロピルアルコールを回収する回収工 とを含むものである。

 本発明の第三の態様は、前記イソプロピ アルコール生産細菌及び植物由来原料を含 混合物を収容する培養部と、前記培養部に 続すると共に前記培養部に収容された混合 中となる位置に開口し、前記混合物中に気 を供給する気体供給部と、イソプロピルア コールを捕捉する捕捉液を収容する捕捉部 、前記培養部と前記捕捉部とを連結すると に、前記培養部内に蒸散したイソプロピル ルコールを前記捕捉部へ移動可能にする連 部と、を備えたイソプロピルアルコール生 装置を提供する。

本発明のイソプロピルアルコール生産 置の一実施形態を示す概略概念図である。

 本発明のイソプロピルアルコール生産細 は、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、 ソプロピルアルコールデヒドロゲナーゼ活 、CoAトランスフェラーゼ活性、及びチオラ ゼ活性を付与され、植物由来原料からイソ ロピルアルコールを生産しうる。

 本発明のイソプロピルアルコールの生産 法は、上記イソプロピルアルコール生産細 を用いて植物由来原料からイソプロピルア コールを生産することを含む。

 本発明のイソプロピルアルコール生産装 は、前記イソプロピルアルコール生産細菌 び植物由来原料を含む混合物を収容する培 部と、前記培養部に接続すると共に前記培 部に収容された混合物中となる位置に開口 、前記混合物中に気体を供給する気体供給 と、イソプロピルアルコールを捕捉する捕 液を収容する捕捉部と、前記培養部と前記 捉部とを連結すると共に、前記培養部内に 散したイソプロピルアルコールを前記捕捉 へ移動可能にする連結部と、を備えている

 なお、本明細書において数値範囲を表記す 場合、特に断らない限り、その前後に記載 れる数値をそれぞれ最小値及び最大値とし 含む範囲を表す。
 また、本明細書において「工程」とは、本 程の所期の作用が達成される段階を意味し 複数の段階が時間的に同時に進行する場合 ど、他の工程と明確にできない場合も、本 細書における工程の概念に含まれる。
 本明細書において「vvm」とは、1分間で、液 容量の何倍の通気をするかということを示す ものであり、例えば、10リッターの培養液に して、2vvmの通気を行ったとは、毎分20リッ ーの通気を行ったということを意味するも である。
 以下、本発明について説明する。

[イソプロピルアルコール生産細菌]
 本発明のイソプロピルアルコール生産細菌 、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、イ プロピルアルコールデヒドロゲナーゼ活性 CoAトランスフェラーゼ活性、及びチオラー 活性を付与され、植物由来原料からイソプ ピルアルコールを生産しうるイソプロピル ルコール生産細菌である。

 本発明のイソプロピルアルコール生産細 は、アセト酢酸デカルボキシラーゼ、イソ ロピルアルコールデヒドロゲナーゼ、CoAト ンスフェラーゼ及びチオラーゼの4種のイソ プロピルアルコール生成酵素をすべて付与さ れている。本イソプロピルアルコール生産細 菌を用いてイソプロピルアルコールを生産す ると、ブタノールやエタノール等のアルコー ル類が副生しないことを本発明者らは見いだ した。これにより、従来のイソプロピルアル コール生産微生物に比してイソプロピルアル コールの回収を格段に簡便にすることができ る。

 本発明において植物由来原料とは、植物 ら得られる炭素源であり、細菌が代謝し、 ソプロピルアルコールに変換しうるもので れば特に限定はされない。本発明において 、根、茎、幹、枝、葉、花、種子等の器官 それらを含む植物体、それら植物器官の分 産物を指し、更に植物体、植物器官、また それらの分解産物から得られる炭素源のう 、微生物が培養において炭素源として利用 得るものも、植物由来原料に包含される。

 このような植物由来原料に包含される炭素 には、一般的なものとしてデンプン、グル ース、フルクトース、シュークロース、キ ロース、アラビノース等の糖類、またはこ ら成分を多く含む草木質分解産物やセルロ ス加水分解物などが例示できる。更には植 油由来のグリセリンや脂肪酸も、本発明に ける炭素源に該当する。
 本発明における植物由来原料としては、穀 等の農作物、トウモロコシ、米、小麦、大 、サトウキビ、ビート、綿等を好ましく用 ることができ、その原料としての使用形態 、未加工品、絞り汁、粉砕物等、特に限定 れない。また、上記の炭素源のみの形態で ってもよい。

 本発明のイソプロピルアルコール生産細 は、これらの植物由来原料からイソプロピ アルコールを生成する能力を有するもので ればよく、例えば培養によって植物由来原 を資化し、一定時間後に培養液中にイソプ ピルアルコールを分泌する細菌が例示でき 。

 本発明におけるイソプロピルアルコール 産細菌は、アセト酢酸デカルボキシラーゼ 性、イソプロピルアルコールデヒドロゲナ ゼ活性、CoAトランスフェラーゼ活性及びチ ラーゼ活性の4種類の酵素活性を付与されて いる。

 本発明における活性の「付与」とは、酵 をコードする遺伝子を宿主細菌の菌体外か 菌体内に導入することの他に、宿主細菌が ノム上に保有する酵素遺伝子のプロモータ 活性を強化すること又は他のプロモーター 置換することによって酵素遺伝子を強発現 せたものを含む。

 本発明におけるアセト酢酸デカルボキシラ ゼとは、国際生化学連合(I.U.B.)酵素委員会 告に準拠した酵素番号4.1.1.4に分類され、ア ト酢酸からアセトンを生成する反応を触媒 る酵素の総称を指す。
 そのようなものとしては、例えば、クロス リジウム・アセトブチリカム(Clostridium aceto butylicum)、クロストリジウム・ベイジェリン (Clostridium beijerinckii)等のクロストリジウム 細菌、バチルス・ポリミクサ(Bacillus polymyxa) 等のバチルス属細菌由来のものが挙げられる 。

 本発明の宿主細菌に導入されるアセト酢 デカルボキシラーゼの遺伝子としては、上 した各由来生物から得られるアセト酢酸デ ルボキシラーゼをコードする遺伝子の塩基 列を有するDNA又はその公知の塩基配列に基 いて合成された合成DNA配列を利用すること できる。好適なものとしては、クロストリ ウム属細菌又はバチルス属細菌に由来する のを挙げることができ、例えばクロストリ ウム・アセトブチリカム、バチルス・ポリ クサ由来の遺伝子の塩基配列を有するDNAが 示される。特に好ましくは、クロストリジ ム・アセトブチリカム由来の遺伝子の塩基 列を有するDNAである。

 本発明におけるイソプロピルアルコールデ ドロゲナーゼとは、国際生化学連合(I.U.B.) 素委員会報告に準拠した酵素番号1.1.1.80に分 類され、アセトンからイソプロピルアルコー ルを生成する反応を触媒する酵素の総称を指 す。
 そのようなものとしては、例えば、クロス リジウム・ベイジェリンキ(Clostridium beijerin ckii)等のクロストリジウム属細菌由来のもの 挙げられる。

 本発明の宿主細菌に導入されるイソプロ ルアルコールデヒドロゲナーゼの遺伝子と ては、上述した各由来生物から得られるイ プロピルアルコールデヒドロゲナーゼをコ ドする遺伝子の塩基配列を有するDNA又はそ 公知の塩基配列に基づいて合成された合成D NA配列を利用することができる。好適なもの しては、クロストリジウム属細菌に由来す ものを挙げることができ、例えばクロスト ジウム・ベイジェリンキ由来の遺伝子の塩 配列を有するDNAである。

 本発明におけるCoAトランスフェラーゼとは 国際生化学連合(I.U.B.)酵素委員会報告に準 した酵素番号2.8.3.8に分類され、アセトアセ ルCoAからアセト酢酸を生成する反応を触媒 る酵素の総称を指す。
 そのようなものとしては、例えば、クロス リジウム・アセトブチリカム(Clostridium aceto butylicum)、クロストリジウム・ベイジェリン (Clostridium beijerinckii)等のクロストリジウム 細菌、ローセブリア・インテスチナリス(Rose buria intestinalis)等のローセブリア属細菌、フ カリバクテリウム・プラウセンツ(Faecalibacte rium prausnitzii)等ファカリバクテリウム属細菌 、コプロコッカス(Coprococcus)属細菌、トリパ ソーマ・ブルセイ(Trypanosoma brucei)等のトリ ノソーマ、エシェリヒア・コリ(Escherichia col i:大腸菌)等エシェリヒア属細菌由来のものが 挙げられる。

 本発明の宿主細菌に導入されるCoAトラン フェラーゼの遺伝子としては、上述した各 来生物から得られるCoAトランスフェラーゼ コードする遺伝子の塩基配列を有するDNA又 その公知の塩基配列に基づいて合成された 成DNA配列を利用することができる。好適な のとしては、クロストリジウム・アセトブ リカム等のクロストリジウム属細菌、ロー ブリア・インテスチナリス等のローセブリ 属細菌、ファカリバクテリウム・プラウセ ツ等のファカリバクテリウム属細菌、コプ コッカス属細菌、トリパノソーマ・ブルセ 等のトリパノソーマ、エシェリヒア・コリ のエシェリヒア属細菌由来の遺伝子の塩基 列を有するDNAが例示される。より好適なも としては、クロストリジウム属細菌又はエ ェリヒア属細菌に由来するものを挙げるこ ができ、特に好ましくは、クロストリジウ ・アセトブチリカム又はエシェリヒア・コ 由来の遺伝子の塩基配列を有するDNAである

[規則91に基づく訂正 23.10.2008]
 本発明におけるチオラーゼとは、国際生化 連合(I.U.B.)酵素委員会報告に準拠した酵素 号2.3.1.9に分類され、アセチルCoAからアセト セチルCoAを生成する反応を触媒する酵素の 称を指す。
 そのようなものとしては、例えば、クロス リジウム・アセトブチリカム(Clostridium aceto butylicum)、クロストリジウム・ベイジェリン (Clostridium beijerinckii)等のクロストリジウム 細菌、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)等 エシェリヒア属細菌、ハロバクテリウム種( Halobacterium sp.)細菌、ズーグロア・ラミゲラ(Z oogloea ramigera)等のズーグロア属細菌、リゾビ ウム種(Rhizobium sp.)細菌、ブラディリゾビウ ・ジャポニカム(Bradyrhizobium japonicum)等のブ ディリゾビウム属細菌、カウロバクター・ レセンタス(Caulobacter crescentus)等のカウロバ ター属細菌、ストレプトマイセス・コリナ (Streptomyces collinus)等のストレプトマイセス 細菌、エンテロコッカス・ファカリス(Entero coccus faecalis)等のエンテロコッカス属細菌、 ンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)等の 母カンジダ属、ヘリアンサス・アンス(Helian thus annuus)等のキク科ヘリアンサス属、ガル ・ガルス(Gallus gallus)等のキジ科ガルス属、ラタス・ノルベ カス(Rattus norvegicus)等のMuridae科ラタス属、サス・スクロ ファ(Sus scrofa)等のイノシシ科サス属、ボス・ターラ (Bos taurus)等のBovidae科ボス属由来のものが挙げら る。

[規則91に基づく訂正 23.10.2008]
 本発明の宿主細菌に導入されるチオラーゼ 遺伝子としては、上述した各由来生物から られるチオラーゼをコードする遺伝子の塩 配列を有するDNA又はその公知の塩基配列に づいて合成された合成DNA配列を利用するこ ができる。好適なものとしては、クロスト ジウム・アセトブチリカム、クロストリジ ム・ベイジェリンキ等のクロストリジウム 細菌、エシェリヒア・コリ等のエシェリヒ 属細菌、ハロバクテリウム種の細菌、ズー ロア・ラミゲラ等のズーグロア属細菌、リ ビウム種の細菌、ブラディリゾビウム・ジ ポニカム等のブラディリゾビウム属細菌、 ウロバクター・クレセンタス等のカウロバ ター属細菌、ストレプトマイセス・コリナ 等のストレプトマイセス属細菌、エンテロ ッカス・ファカリス等のエンテロコッカス 細菌、カンジダ・トロピカリス等の酵母カ ジダ属、ヘリアンサス・アンス等のキク科 リアンサス属、ガルス・ガルス等のキジ科 ルス属、ラタス・ノルベギカス等のMuridae科 ラタス属、サス・スクロファ等のイノシシ科 サス属、ボス・ターラス等のBovidae科ボス属 来の遺伝子の塩基配列を有するDNAが例示さ る。より好適なものとしては、クロストリ ウム属細菌又はエシェリヒア属細菌に由来 るものを挙げることができ、特に好ましく 、クロストリジウム・アセトブチリカム又 エシェリヒア・コリ由来の遺伝子の塩基配 を有するDNAである。

 このうち、上記4種類の酵素はそれぞれ、 クロストリジウム属細菌、バチルス属細菌及 びエシェリヒア属細菌からなる群より選択さ れた少なくとも1種由来のものであることが 素活性の観点から好ましく、なかでも、ア ト酢酸デカルボキシラーゼ及びイソプロピ アルコールデヒドロゲナーゼがクロストリ ウム属細菌由来であり、CoAトランスフェラ ゼ活性及びチオラーゼ活性がエシェリヒア 細菌由来である場合と、これら4種類の酵素 いずれもクロストリジム属細菌由来である 合が更に好ましい。

 なかでも本発明にかかる4種類の酵素はそ れぞれ、クロストリジウム・アセトブチリカ ム、クロストリジウム・ベイジュリンキ又は エシェリヒア・コリのいずれか由来のもので あることが酵素活性の観点から好ましく、ア セト酢酸デカルボキシラーゼがクロストリジ ウム・アセトブチリカム由来の酵素であり、 CoAトランスフェラーゼ及びチオラーゼが、そ れぞれクロストリジウム・アセトブチリカム 又はエシェリヒア・コリ由来の酵素であり、 イソプロピルアルコールデヒドロゲナーゼが 、クロストリジウム・ベイジェリンキ由来の 酵素であることがより好ましく、上記4種類 酵素は、酵素活性の観点から、アセト酢酸 カルボキシラーゼ活性がクロストリジウム アセトブチリカム由来であり、前記イソプ ピルアルコールデヒドロゲナーゼ活性がク ストリジウム・ベイジェリンキ由来であり CoAトランスフェラーゼ活性及びチオラーゼ 性がエシェリヒア・コリ由来であることが に好ましい。

 本発明おけるこれらの酵素の活性は、菌 外から菌体内へ導入されたもの又は、宿主 菌がゲノム上に保有する酵素遺伝子のプロ ーター活性を強化又は他のプロモーターと 換することによって酵素遺伝子を強発現さ たものとすることができる。

 酵素活性の導入は、例えばそれら4種類の 酵素をコードする遺伝子を遺伝子組換え技術 を用いて宿主細菌の菌体外から菌体内に導入 することにより行うことができる。このとき 、導入される酵素遺伝子は、宿主細胞に対し て同種又は異種のいずれであってもよい。菌 体外から菌体内へ遺伝子を導入する際に必要 なゲノムDNAの調製、DNAの切断及び連結、形質 転換、PCR(Polymerase  Chain  Reaction)、プライマ ーとして用いるオリゴヌクレオチドの設計、 合成等の方法は、当業者によく知られている 通常の方法で行うことができる。これらの方 法は、Sambrook,  J.,  et.al.,  ”Molecular Clonin g A Laboratory Manual, Second Edition”, Cold Spring  Harbor Laboratory Press,(1989)などに記載されて る。

 プロモーター活性を強化するため又は酵素 伝子を強発現させるために用いられるプロ ーターとしては、大腸菌等の宿主中で発現 きるものであればいずれを用いてもよい。 えばtrpプロモーター、lacプロモーター、P L プロモーター、P R プロモーターなどの、大腸菌やファージに由 来するプロモーターが用いられる。tacプロモ ーターなどのように、人為的に設計改変され たプロモーターを用いてもよい。また本発明 実施例に記載のようにグリセルアルデヒド-3- リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)プロモーター グルタミン酸デカルボキシラーゼA(gadA)プロ ーター、セリンヒドロキシメチルトランス ェラーゼ(glyA)プロモーターを用いてもよい これらは用いる酵素の由来や種類によって 宜選択することができる。

 例えばエシェリヒア・コリ由来のチオラー 又はCoAトランスフェラーゼの活性を強化す ためには、大腸菌等の宿主中で発現できる のであればいずれを用いてもよいが、trpプ モーター、lacプロモーター、P L プロモーター、P R プロモーター、tacプロモーター、グリセルア ルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)プ モーター、グルタミン酸デカルボキシラー A(gadA)プロモーター、セリンヒドロキシメチ トランスフェラーゼ(glyA)プロモーター等か なる群の例示プロモーターから1つ以上を適 宜選択することができる。また、trpプロモー ター、lacプロモーター、P L プロモーター、P R プロモーター、tacプロモーター、グリセルア ルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)プ モーター、グルタミン酸デカルボキシラー A(gadA)プロモーター、セリンヒドロキシメチ トランスフェラーゼ(glyA)プロモーター等の ロモーターは、エシェリヒア・コリ由来の オラーゼ又はCoAトランスフェラーゼのプロ ーターと置換するために用いることができ 。

 これらのプロモーターは、対象となる酵 遺伝子が発現可能となるように、通常の方 に従って宿主細胞へ導入すればよく、例え 、対象となる酵素遺伝子と同一のベクター 連結し、酵素遺伝子と共に宿主細胞へ導入 ればよい。

 本発明において宿主細菌とは、アセト酢 デカルボキシラーゼ、イソプロピルアルコ ルデヒドロゲナーゼ、CoAトランスフェラー 、及びチオラーゼの4種類の酵素をコードす る遺伝子を導入する為に使用される又はプロ モーター活性を強化もしくはプロモーターを 置換する対象となる原核生物を指す。そのよ うなものとしては、エシェリヒア属(Escherichia )細菌、バチルス属(Bacillus)細菌、コリネバク リウム(Corynebacterium)属細菌等が例示され、 に利便性が高く、工業的な使用の実績が豊 なエシェリヒア・コリ(Escherichia coli:大腸菌) が好適に使用される。

[イソプロピルアルコールの生産方法]
 本発明のイソプロピルアルコールの生産方 は、上述した本発明のイソプロピルアルコ ル生産細菌を用いて植物由来原料からイソ ロピルアルコールを生産することを含む。
 これにより、他のアルコール類を副生せず 高い純度でイソプロピルアルコールを生産 ることができる。このため本発明によれば 副生アルコールを分離するための複雑な工 を必要とせずに、簡便に効率よくイソプロ ルアルコールを生産することができる。

 この生産方法は、イソプロピルアルコー 生産細菌と植物由来原料とを含む混合物中 イソプロピルアルコール生産細菌を培養す ことにより植物由来原料を資化し、一定時 後に培養液中に分泌されたイソプロピルア コールを蒸留、膜分離、抽出等の公知技術 用いて精製する方法を包含する。

 イソプロピルアルコールの生産方法にお る混合物は、細菌類の培養に一般的に用い れる基本培地を主体とするものであればよ 、イソプロピルアルコール生産細菌の種類 応じて通常用いられる培地であればいずれ も使用することができる。

 このような基本培地は、炭素源、窒素源、 機イオン及び必要に応じてその他の微量成 を含有する培地であれば特に制限は無い。 素源としては、グルコース、フルクトース 糖蜜などの糖類、フマル酸、クエン酸、コ ク酸などの有機酸、メタノール、エタノー 、グリセロールなどのアルコール類、その が適宜使用される。
 窒素源としては、有機アンモニウム塩、無 アンモニウム塩、硝酸体窒素、アンモニア ス、アンモニア水、蛋白質加水分解物等の 機及び有機の窒素源、その他が適宜使用さ る。無機イオンとしては、マグネシウムイ ン、リン酸イオン、カリウムイオン、鉄イ ン、マンガンイオン、その他が必要に応じ 適宜使用される。

 有機微量成分としては、ビタミン、アミノ 等及びこれらを含有する酵母エキス、ペプ ン、ポリペプトン、コーンスティープリカ 、カゼイン分解物、その他が適宜使用され 。
 ポリペプトンは蛋白質を酵素や酸で加水分 したもので、その窒素源は、例えば、日本 薬(株)によるポリペプトンLotO586Aの分析値に より僅かながらアンモニア性窒素が生じる例 があるものの、全て蛋白質に由来するもので あるといえる。ポリペプトンの成分としては 、ポリペプトンの全質量に対して、全窒素量 12.5質量%~14.5質量%、アミノ窒素5.0質量%~6.5質 %、強熱残留物4.0質量%~7.0質量%、乾燥ロス3.5 量%~5.5質量%のものが例示される。培地中で 通常0.02~2%(w/w)の範囲で使用され、好ましく 0.1~1%(w/w)の範囲で使用される。
 コーンスティープリカーはとうもろこしの 漬工程で溶出した可溶性成分と乳酸発酵で 成した成分を含む浸漬液を濃縮したもので Microbiol. Mol. Biol. Rev., Dec 1948; Vol.12: pp297  - 311.によると、成分としては、コーンステ ィープリカー全質量に対して、水分45質量%~55 質量%、全窒素量2.7質量%~4.5質量%、アミノ窒 1.0質量%~1.8質量%、揮発性窒素0.15質量%~0.40質 %、還元糖分0.1質量%~11.0質量%、乳酸5質量%~15 質量%、灰分9質量%~10質量%、揮発性酸類0.1質 %~0.3質量%、二酸化硫黄0.009質量%~0.015質量%の のが例示される。上記成分によれば揮発性 素として水中でアンモニウムイオンを生じ る含窒素化合物が最大0.40%(w/w)含まれる可能 性があるが、もし仮にこの全てがアンモニウ ムイオンだったとしても、コーンスティープ リカーを2%含む培地中ではアンモニウムイオ の含有量は0.008%にしかならない。コーンス ィープリカーは培地中では通常0.1~20%(w/w)の 囲で使用され、好ましくは0.5~7%(w/w)の範囲 使用される。
 酵母エキスはアミノ酸およびその重合体、 酸、ビタミン、有機酸、無機塩からなるこ が開示されており、BD(Becton, Dickinson and Com pany)社の酵母エキス分析データ(Catalog#211929、2 11931、211930)によれば、無機塩としてはカルシ ウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム 、クロライド、硫酸、燐酸からなるものが記 載されており、アンモニウムイオンを生じう る化合物の記載はない。成分としては、酵母 エキス全質量に対して、全窒素量11.4質量%、 ミノ窒素6.9質量%、灰分13.1質量%、乾燥ロス1 .0質量%、塩化ナトリウム0.2質量%、全無機塩10 .5質量%のものが例示される。

 混合物中の植物由来原料の量は、その種 や混合物に含まれるイソプロピルアルコー 生産細菌の活性及び数によって異なるが、 般に、グルコース換算で初発の糖濃度を混 物の全質量に対して20質量%以下とすること でき、細菌の耐糖性の観点から好ましくは 初発の糖濃度を15質量%以下とすることがで る。この他の各成分は、微生物の培地に通 添加される量で添加されればよく、特に制 されない。

 イソプロピルアルコール生産細菌及び植 由来原料を含む混合物には、イソプロピル ルコールの生産性を向上させる観点から、 素を含む化合物を更に添加することが好ま い。「更に添加する」とは、水中でアンモ ウムイオンを生じうる含窒素化合物が、一 的な培養培地に含まれる含有量よりも高い 有量で混合物中に含まれていることをいう これにより、イソプロピルアルコールの生 細菌は、通常の培養条件よりも高い濃度の ミノ酸以外の含窒素化合物を含む培養培地 で培養されうる。アミノ酸以外の含窒素化 物を培養培地中に加える時期は、培養を始 る前でもよいし培養途中でもよい。

 水中でアンモニウムイオンを生じうる含 素化合物とは、硫酸アンモニウム、硝酸ア モニウムなどのアンモニウム塩を含む無機 び有機化合物、アンモニアガス、アンモニ 水が例示される。水中でアンモニウムイオ を生じうる含窒素化合物は、細菌用の一般 な培地M9では0.02%(w/w)、他の一般的な培地MS は0.02%(w/w)の含量で含まれているが、本発明 は、イソプロピルアルコールの生成量を増 させるために、これらの量よりも多く含む とができる。本発明では、イソプロピルア コールの生産性を上げる観点から好ましく 、水中でアンモニウムイオンを生じうる含 素化合物の窒素原子の質量が合計で、混合 の培養開始時の培養培地の全質量に対して0 .04%~10.6%(w/w)の量となるよう添加して培養する ことが好ましい。更に好ましくは0.04%~5.30%(w/w )であり、特に好ましくは0.04%~4.24%(w/w)である この時、液体1mLは1gと換算する。

 また、通常微生物の培地に添加される他の 加成分、例えば抗生物質等を、通常用いら る量で含むものであってもよい。なお、反 時の発泡を抑制するために消泡剤を適量添 することが好ましい。
 本発明に使用される培地としては、水性媒 を基本とする液体培地や、寒天等の固相を 本とする固体培地を挙げることができるが 工業的生産に供する点を考慮すれば液体培 が好ましい。液体培地を構成する水性媒体 しては、蒸留水、緩衝液等、通常用いられ ものを使用することができる。

 本発明の培養に際して、培養条件は特別 制限はなく、例えば好気条件下でpH4~9、好 しくはpH6~8、温度20℃~50℃、好ましくは25℃~4 2℃の範囲内でpHと温度を適切に制御しながら 培養することができる。

 培養液中に蓄積したイソプロピルアルコ ルを回収する方法としては、特に制限はな が、例えば培養液から菌体を遠心分離など 除去した後、蒸留や膜分離等通常の分離方 でイソプロピルアルコールを分離する方法 採用できる。

 なお、本発明のイソプロピルアルコール 生産方法は、イソプロピルアルコール生産 ための培養工程の前に、使用するイソプロ ルアルコール生産細菌を適切な菌数又は適 な活性状態とするための前培養工程を含ん いてもよい。前培養工程は、イソプロピル ルコール生産細菌の種類に応じた通常用い れる培養条件による培養であればよい。

 本発明のイソプロピルアルコールの生産 法は、好ましくは、前記イソプロピルアル ール生産細菌及び植物由来原料を含む混合 中に気体を供給しながら、該イソプロピル ルコール生産細菌を培養する培養工程と、 記培養により生成したイソプロピルアルコ ルを混合物から分離し回収する回収工程と 含む。

 この方法によれば、混合物に気体を供給 ながら生産細菌を培養する(通気培養)。こ 通気培養により、生産されたイソプロピル ルコールは混合物中に放出されると共に、 合物から蒸散し、この結果、生成したイソ ロピルアルコールを混合物(培地)から容易に 分離することができる。また、生成したイソ プロピルアルコールが混合物から連続的に分 離するため、混合物中のイソプロピルアルコ ールの濃度の上昇を抑制することができる。 これにより、イソプロピルアルコール生産細 菌のイソプロピルアルコールに対する耐性を 特に考慮する必要がない。

 培養工程において混合物に供給される気体 しては、酸素を含む気体であればよく、酸 もしくは空気、又はこれらの一方と不活性 スとの混合気体を用いることができる。こ らの気体は除菌されていることが好ましい
 前記不活性ガスとしては、N 2 ガスや、希ガス(例えば、Ar、He、Ne、Kr、又は Xe)を、用いることができ、中でも、取り扱い の観点から、N 2 ガス又はArガスが好ましく、N 2 ガスがより好ましい。

 混合気体を用いる場合には、培養対象と る細菌が生理活性を損なわなければ如何な 混合比であってもよいが、イソプロピルア コール生産細菌の活性を適度に抑制して長 間の処理を可能にするために、不活性ガス 混合比は混合気体全質量に対して10%~90%とす ることが好ましい。

 また、混合物中への通気を確保するため 、セラミックス体等の多孔体を特定混合物 に投入してもよい。

 前記混合物中への気体の通気量は、特に 限はないが、気体として空気のみを用いる 合には、一般的に0.02vvm~2.0vvm(vvm;通気容量〔 mL〕/液容量〔mL〕/時間〔分〕)であり、細菌 の物理的ダメージを抑制する観点から0.1vvm~1 .5vvmで行うことが好ましい。

 なお、培養工程は、混合物全体を攪拌し がら行うことが好ましい。これにより、イ プロピルアルコール生産細菌と植物由来原 との混合が良好に行われると共に、混合物 に供給された気体が混合物全体に効率よく き渡るようにすることができる。

 培養工程は、培養開始から混合物中の植 由来原料が消費されるまで、又はイソプロ ルアルコール生産細菌の活性がなくなるま 継続させることができる。培養工程の期間 、混合物中のイソプロピルアルコール生産 菌の数及び活性並びに、植物由来原料の量 より異なるが、一般に、1時間以上、好まし くは4時間以上であればよい。一方、植物由 原料又はイソプロピルアルコール生産細菌 再投入を行うことによって、培養期間は無 限に連続することができるが、処理効率の 点から、一般に5日間以下、好ましくは55時 以下とすることができる。

 回収工程では、培養工程で生成され、混 物から分離したイソプロピルアルコールを 収する。この回収方法としては、通常培養 より混合物から蒸散したガス状又は飛沫状 イソプロピルアルコールを収集することが きるものであればよい。このような方法と ては、一般に用いられる密閉容器等の収集 材へ収容すること等を挙げることができる 、なかでも、イソプロピルアルコールのみ 純度高く回収できる観点から、イソプロピ アルコールを捕捉するための捕捉液と、混 物から分離したイソプロピルアルコールと 接触することを含むものであることが好ま い。

 イソプロピルアルコールを捕捉するため 捕捉液としては、水又は有機溶媒を挙げる とができる。捕捉液としての有機溶媒は、 ソプロピルアルコールが容易に溶解するこ ができ、また捕捉後の捕捉液を、含水また 非含水状態で蒸留したときにイソプロピル ルコールと容易に分離できる沸点を有する のであれば特に制限はない。このような有 溶媒としては、例えば、トルエン、ジメチ ホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が げられる。捕捉液としての有機溶媒は、適 、水と混合して用いてもよい。

[規則91に基づく訂正 23.10.2008]
 捕捉液としては、水が好ましい。イソプロ ルアルコールと共に生成されることが想定 れる揮発性の夾雑物は、イソプロピルアル ールよりも水に難溶であるため、イソプロ ルアルコールを、夾雑物から効率よく分離 回収することができる。
 イソプロピルアルコールと捕捉液との接触 、イソプロピルアルコールが捕捉液に溶解 るのに充分な時間行えばよい。イソプロピ アルコールの捕捉液への溶解は水又は上述 たような有機溶媒であれば長時間になるこ はなく、通常2時間程度であれば充分である 。
 イソプロピルアルコールの捕捉液への溶解 促進させるために、混合物から分離した気 状又は飛沫状のイソプロピルアルコールを 捕捉液中に直接注入することが好ましい。 の注入によりバブリングが生じて、捕捉液 のイソプロピルアルコールの溶解速度を促 させることができる。

 本発明のイソプロピルアルコールの生産方 では、より回収効率を高めるために、混合 から分離したイソプロピルアルコールを、 捉液と接触する前に液化する液化工程を含 ことが好ましい。
 イソプロピルアルコールの液化は、気化又 飛沫化したイソプロピルアルコールの状態 液化することができる方法であればよく、 えばイソプロピルアルコールの相変化に充 な程度の冷却を挙げることができる。この うな冷却方法としては、空冷、または冷却 た水もしくはアルコール類を用いる方法を げることができる。

 また、混合物から分離したイソプロピル ルコールは、吸着剤を用いて回収してもよ 。このような吸着剤としては、液体又は気 を吸着するために通常用いられるゼオライ やシリカゲル等の多孔体を用いることがで る。

 本イソプロピルアルコールの生産方法によ ば、イソプロピルアルコールは、捕捉液又 混合物に溶解した態様として回収すること できる。回収されたイソプロピルアルコー は、HPLC等の通常の検出手段を用いて確認す ることができる。回収されたイソプロピルア ルコールは、必要に応じて更に精製すること ができる。このような精製方法としては、蒸 留等をあげることができる。
 回収されたイソプロピルアルコールが水溶 の状態である場合には、本イソプロピルア コールの生産方法は、回収工程に加えて、 水工程を更に含んでいてもよい。イソプロ ルアルコールの脱水は、常法により行なう とができる。

 図1は、本発明のイソプロピルアルコールの 生産方法に適用可能な生産装置10の一例を概 的に図示したものである。本イソプロピル ルコールの生産方法を、図1を参照しながら 説明する。
 生産装置10は、培養槽12とトラップ槽40とを えており、培養槽12とトラップ槽40とは連結 管30で連結されている。培養槽12及びトラッ 槽40は、内部の雰囲気が槽の外部へ漏れ出な いように密閉可能とされている。

 培養槽12の内部には、イソプロピルアル ール生産細菌Bと植物由来原料Mとを含む混合 物14が収容されている。混合物14の量は、培 槽12の容量の約半量となる量で充填されてい ればよく、培養槽12の容量や生産装置10の規 に応じて適宜調整すればよい。培養槽12は、 微生物を用いて工業的に物質を生産するため に通常用いられる物質で構成されていればよ く、特に限定されない。また本生産装置10は 常温常圧で処理可能であればよいが、必要 応じて加熱加圧も可能なように加熱装置又 加圧装置を備えたものであってもよい。

 培養槽12には、装置外部から気体を注入 るための注入管16が連結されている。注入管 16の一端は生産装置10の外部に備えられた図 しないエアレーション装置に接続されてい 。注入管16の他端は、培養槽12の内部の底部 辺に開口している。培養槽12に収容される 合物14の液面は、注入管16の開口部よりも上 となるように混合物14の容量は予め調整さ ている。

 また培養槽12には、培養槽12の外部に設け られたモータ部22と、モータ部22に連結した 拌部24とを備えた攪拌装置20が備えられてい 。攪拌部24は、プロペラ羽根などの形状を り、培養槽12の底部周辺に配置されている。

 モータ部22には、図示しない駆動制御装 が接続されており、攪拌部24を所定の回転数 で回転させるようにモータ部22の駆動を制御 ている。攪拌部24の回転数は、特に制限は いが、一般的に100rpm~1,000rpmであり、200rpm~800r pmで行うことが好ましい。

 トラップ槽40の内部には、捕捉液として トラップ液42が収容されている。トラップ槽 40の上部には、トラップ槽40内の気体をトラ プ槽40外部へ排出するための排出管44が取り けられている。

 連結管30の一端は、培養槽12の上部で開口し ており、培養槽12内に充填した気体を培養槽1 2外部へ誘導可能にしている。また連結管30の 他端は、トラップ槽40の底部周辺に延伸して 口しており、トラップ槽40に収容される捕 液の液面は、連結管30の開口部よりも上方と なるように予め調整されている。
 なお、連結管30には、積極的に連結管30の内 部を冷却する冷却器が備えられていてもよい 。これにより連結管30を気体が通過する際に 気体を積極的に液化することができる。

 次に、本生産装置10の作用について説明す 。
 本生産装置10の培養槽12に、イソプロピルア ルコール生産細菌Bと植物由来原料Mを含む混 物14を、混合物14の液面が注入管16の端部よ も充分に上となる位置まで注入する。攪拌 置20のモータ部22の電源をオンにして、攪拌 部24を所定の回転数で回転させる。なお、培 槽12に予め所定量の培地を収容しておき、 温に調整しておいてから、所定の合計量と るように混合物14を添加してもよい。

 所定量の混合物14を培養槽12に収容し、図 示しないエアレーション装置の電源をオンに して培養槽12へ気体を注入する。これにより 培養槽12の内部において、混合物中に気体 注入されて、通気培養を開始する。

[規則91に基づく訂正 23.10.2008]
 通気培養を開始すると、混合物14中では、 ソプロピルアルコール生産細菌Bが植物由来 料を資化しながらイソプロピルアルコール 生産を開始する。生産されたイソプロピル ルコールは菌体から混合物中に放出される 、その一部は混合物に溶解し、大部分は混 物から蒸散する。これにより、イソプロピ アルコールが混合物から分離する。混合物 ら分離したイソプロピルアルコールは、培 槽12上部から、通気培養の排気として連結 30に進入して、トラップ槽40へ移動する。
 連結管30を通過する際に、排気中のイソプ ピルアルコールの一部は冷やされて液化す 。

 トラップ槽40へ移動した排気中のイソプ ピルアルコールは、トラップ槽40の底部に開 口する連結管30の他端からトラップ槽40に進 し、トラップ液42中へ注入される。このとき トラップ液42では、排気の注入によりバブリ グが生じる。このときイソプロピルアルコ ルは、トラップ液42に溶解する。一方、イ プロピルアルコールと共に培養槽12からトラ ップ槽40へ移動した排気中の揮発性の夾雑物 、トラップ液42に難溶のため、トラップ液42 から放出し、トラップ槽40上部に開口した排 管44を通して、最終排気としてトラップ槽40 の外部へ排出される。

 培養槽12内で発生するイソプロピルアル ールの量を、図示しない採取機構で採取し がら確認し、イソプロピルアルコールの生 が終了もしくは低下したことが確認できた 合、又は所定時間の経過後に、処理を終了 る。

 処理終了後のトラップ液42には、高濃度 イソプロピルアルコールが溶解されている め、高濃度イソプロピルアルコール溶液と て回収することができる。また、このトラ プ液42を回収して、必要に応じてイソプロピ ルアルコールを更に単離精製してもよい。ま た、培養槽12の混合物14にもイソプロピルア コールが一部溶解しているため、必要に応 て混合物14を回収して、イソプロピルアルコ ールを単離精製する。

 このように、本生産装置10を用いること よって、イソプロピルアルコール生産細菌 用いて生産されたイソプロピルアルコール 、常温常圧(例えば、25℃、101,325Pa)で容易に 離回収することができる。このため、複雑 分離工程や精製工程を設ける必要がなく、 産装置を簡単な構成とすることができる。

 図1における符号について説明する。10は 生産装置(イソプロピルアルコール生産装置 )、12は培養槽(培養部)、14は混合物、16は注入 管(気体供給部)、20は攪拌装置(攪拌部)、30は 結管(連結部)、40はトラップ槽(捕捉部)、42 トラップ液(捕捉液)、44は排出管を、それぞ 示す。

 なお、本実施形態の生産装置10に設けられ 培養槽12、トラップ槽40、連結管30等の各部 、部材の形状は、初期の作用を損なわない り適宜変更することができる。
 また、本実施形態の生産装置10に、混合物14 又はイソプロピルアルコール生産細菌を培養 槽12へ連続的に投入するための投入部や排出 を設けてもよい。これにより、イソプロピ アルコールの連続的な生産が可能となる。

 本発明では、上述したように、副生するア コール類が少なく、副生アルコールの分離 程を必要とせずにより精製されたイソプロ ルアルコールを生産することができる。
 また、本発明の好ましい実施形態では、よ 精製されたイソプロピルアルコールを連続 に且つ簡便に生産することができる。

 以下に、本発明の実施例を記載するが、本 明はこれらによって制限されるものではな 。なお、記載中の「%」は特に断らない限り 、質量基準である。
[実施例1]
<クロストリジウム属細菌由来イソプロピ アルコール生成酵素遺伝子群発現ベクター よび該発現ベクター形質転換体の構築>
 クロストリジウム属細菌のイソプロピルア コール生成酵素4種のアミノ酸配列と遺伝子 の塩基配列は既に報告されている。すなわち 、チオラーゼはGenBank  accession  number  AE001 437に記載のゲノム配列の相補鎖3005963~3007364に 記載されている。またCoAトランスフェラーゼ はGenBank  accession  number  X72831に、アセト 酸デカルボキシラーゼはGenBank  accession  nu mber  M55392に、イソプロピルアルコールデヒ ロゲナーゼはGenBank  accession  number  AF1573 07に記載されている。さらにこれら4種の遺伝 子を発現させるために必要なプロモーターの 塩基配列は、上記チオラーゼの塩基配列中に 存在するチオラーゼプロモーターの配列を使 用することができる。

 チオラーゼプロモーターとチオラーゼ遺 子を取得するために、Clostridium  acetobutylicu m  ATCC824のゲノムDNAをテンプレートに用いて 、TTT  GAA  TTC  CAT  GAT  TTT  AAG  GGG  G TT  AGC  ATA  TGC  A(配列番号1)、及びTTT  G GT  ACC  CTA  GCA  CTT  TTC  TAG  CAA  TAT   TGC  TGT  TCC(配列番号2)によりPCR法で増幅 、得られたDNAフラグメントを制限酵素EcoRI及 びKpnIで消化することでチオラーゼプロモー ーをコードするDNA配列を含む約1.5kbpのチオ ーゼフラグメントを得た。

 またCoAトランスフェラーゼ遺伝子を取得 るために、Clostridium  acetobutylicum  ATCC824の ゲノムDNAをテンプレートに用いて、TTT  GGT   ACC  CAA  CCT  TAA  ACC  TTC  ATA  TTT  CA A  CTA  CTT(配列番号3)  、及びTTT  GGA  TCC   CTA  AAC  AGC  CAT  GGG  TCT  AAG  TTC(配 列番号4)によりPCR法で増幅し、得られたDNAフ グメントを制限酵素KpnI及びBamHIで消化する とで約1.4kbpのCoAトランスフェラーゼフラグ ントを得た。

 アセト酢酸デカルボキシラーゼ遺伝子と ーミネーター配列を取得するために、Clostri dium  acetobutylicum  ATCC824のゲノムDNAをテンプ レートに用いて、TTT  GGA  TCC  AGC  TAA  A CA  TTA  TTA  AAT  TTA  GGA  AGG  TG(配列番 号5)、及びTTT  GTC  GAC  CCA  ATG  AAC  TTA  GAC  CCA  TGG  CTG(配列番号6)によりPCR法で 増幅し、得られたDNAフラグメントを制限酵素 BamHI及びSalIで消化することでターミネーター をコードするDNA配列を含む約880bpのアセト酢 デカルボキシラーゼフラグメントを得た。

 なお、Clostridium  acetobutylicum ATCC824は細 ・微生物・遺伝子バンクであるアメリカン イプカルチャーコレクションより入手する とができる。

 更に、イソプロピルアルコールデヒドロ ナーゼ遺伝子を取得するために、Clostridium   beijerinckii  NRRL  B-593のゲノムDNAをテンプ ートに用いて、TTT  GGT  ACC  GCG  AAA  TAG   CGA  TGA  ACA  GGC  AG(配列番号7)、及びTT T  GGT  ACC  GCA  GAT  TTT  GCT  ACT  CTT  GGA  GC(配列番号8)によりPCR法で増幅し、得 れたDNAフラグメントを制限酵素KpnIで消化す ことで約1.4kbpのイソプロピルアルコールデ ドロゲナーゼフラグメントを得た。

 なお、Clostridium  beijerinckii  NRRL  B-593 細胞・微生物バンクであるVTTカルチャーコ クションより入手することができる。

 上記の4つのDNAフラグメントと、プラスミ ドpUC19を制限酵素EcoRI及びSalIで消化すること 得られるフラグメントを混合し、リガーゼ 用いて結合した後、エシェリヒア・コリDH5 株コンピテントセル(東洋紡績株式会社  DNA -903)に形質転換し、アンピシリン100μg/mLを含 、40mg/mLのX-galと20%IPTGを各々40μLずつ表面に 布したLB Broth,Miller培養液(Difco244620)寒天プ ートに生育する形質転換体を得た。得られ コロニーをアンピシリン100μg/mLを含むLB液体 培地で、37℃で一晩培養し、得られた菌体か プラスミドpIPAを回収した。

 このプラスミドpIPAをエシェリシア・コリ B株(ATCC11303)コンピテントセルに形質転換し、 アンピシリン100μg/mLを含むLB Broth,Miller培養 寒天プレートで、37℃で一晩培養することに より、イソプロピルアルコール生成酵素遺伝 子群発現ベクター形質転換体pIPA/B株を得た。

 なお、エシェリシア・コリB株(ATCC11303)は 胞・微生物・遺伝子バンクであるアメリカ タイプカルチャーコレクションより入手す ことができる。

[実施例2]
<エシェリヒア・コリpIPA/B株、エシェリヒ ・コリB野生株によるイソプロピルアルコー 生産>
 前培養として14mL容量のプラスチックチュー ブ(FALCON社製 2057)にアンピシリン0.1g/L、グル ース2g/Lを含むLB Broth,Miller培養液を5mL入れ 実施例1において得られたエシェリヒア・コ pIPA/B株を植菌し、一晩、培養温度37℃、120rp mで振とう培養を行った。またアンピシリン 含まない以外は同様の培地組成並びに培養 件でエシェリヒア・コリB野生株を振とう培 した。各々の前培養液全量を、アンピシリ 0.1g/L、グルコース20g/Lを含むLB Broth,Miller培 液を60mL入れた300mL容の三角フラスコに移し 培養を行った。培養は攪拌速度120rpm、培養 度37℃で行った。培養開始48時間後に菌体培 養液をサンプリングし、遠心操作によって菌 体を除いた後、得られた培養上清中のイソプ ロピルアルコール、ブタノール、エタノール 、アセトンの蓄積量をHPLCで定法に従って測 した。結果を表1に示す。エシェリヒア・コ pIPA/B株において、培養48時間後で2.1g/Lのイ プロピルアルコールの蓄積が確認された。 の時ブタノール及びエタノールの蓄積はな った。

[実施例3]
<1L培養槽を使用したエシェリヒア・コリpIP A/B株によるイソプロピルアルコール生産(1)> ;
 本実施例では、図1に示される生産装置10を いて処理を行った。培養槽12には1リットル のものを使用し、トラップ槽40には500mL容の ものを使用した。培養槽12、トラップ槽40、 入管16、連結管30、排出管44は、すべてガラ 製のものとした。トラップ槽40には、トラッ プ液42としての水(トラップ水)が400mLの量で注 入されている。

 前培養として、試験管にアンピシリン0.1g /L、グルコース2g/Lを含むLB Broth,Miller培養液 4mL入れ、実施例1において得られたエシェリ ア・コリpIPA/B株を接種して、18時間、培養 度37℃、120rpmで攪拌培養を行った。前培養液 全量を、アンピシリン0.1g/L、グルコース20g/L アデカノール1滴を含むLB Broth,Miller培養液50 0mLを入れた1L培養槽に接種し、培養を行った 培養は攪拌速度500rpm、培養温度37℃で行い 12.5%アンモニア溶液を用いて培養液のpHを7.0 コントロールした。また、培養開始から25 間目に0.5g/mL濃度のグルコースを20mL添加した 。培養開始から48時間後に菌体培養液をサン リングし、遠心操作によって菌体を除いた 、得られた培養上清中のイソプロピルアル ール、ブタノール、エタノール、アセトン 蓄積量をHPLCで定法に従って測定した。結果 を表2に示す。エシェリヒア・コリpIPA/B株に いて、培養48時間後で3.0g/Lのイソプロピルア ルコールの蓄積が確認された。この時ブタノ ール及びエタノールの蓄積はなかった。なお 、表2中の各測定値は、培養後の培養液とト ップ水(400mL)中の合算値である。

[実施例4]
<エシェリヒア・コリ由来チオラーゼ遺伝 、エシェリヒア・コリ由来CoAトランスフェ ーゼ遺伝子、クロストリジウム属細菌由来 セト酢酸デカルボキシラーゼ遺伝子、クロ トリジウム属細菌由来イソプロピルアルコ ルデヒドロゲナーゼ遺伝子発現ベクターお び該発現ベクター形質転換体の構築>
 エシェリヒア・コリのチオラーゼおよびエ ェリヒア・コリのCoAトランスフェラーゼの ミノ酸配列と遺伝子の塩基配列は既に報告 れている。すなわち、チオラーゼをコード る遺伝子はGenBank  accession  number  U00096に 記載のエシェリヒア・コリMG1655株ゲノム配列 の2324131~2325315に記載されている。またCoAトラ ンスフェラーゼをコードする遺伝子は上記エ シェリヒア・コリMG1655株ゲノム配列の2321469~2 322781に記載されている。これらと共に実施例 1記載のクロストリジウム属細菌由来のアセ 酢酸デカルボキシラーゼ遺伝子、イソプロ ルアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子を発 させることでイソプロピルアルコールの生 が可能である。上記の遺伝子群を発現させ ために必要なプロモーターの塩基配列とし 、GenBank accession number X02662の塩基配列情報 おいて、397-440に記されているエシェリヒア ・コリ由来のグリセルアルデヒド3-リン酸デ ドロゲナーゼ(以下GAPDHと呼ぶことがある)の プロモーター配列を使用することができる。

 GAPDHプロモーターを取得するためエシェ ヒア・コリMG1655株のゲノムDNAをテンプレー に用いてCGAGCTACATATGCAATGATTGACACGATTCCG(配列番号9 )、及びCGCGCGCATGCTATTTGTTAGTGAATAAAAGG(配列番号10) よりPCR法で増幅し、得られたDNAフラグメン を制限酵素NdeI、SphIで消化することで約110bp GAPDHプロモーターにあたるDNAフラグメント 得た。得られたDNAフラグメントとプラスミ pBR322(GenBank accession number J01749)を制限酵素Nd eI及びSphIで消化することで得られるフラグメ ントを混合し、リガーゼを用いて結合した後 、エシェリヒア・コリDH5α株コンピテントセ (東洋紡績株式会社  DNA-903)に形質転換し、 アンピシリン50μg/mLを含むLB寒天プレートに 育する形質転換体を得た。得られたコロニ をアンピシリン50μg/mLを含むLB液体培地で37 で一晩培養し、得られた菌体からプラスミ pBRgapPを回収した。

 イソプロピルアルコールデヒドロゲナー 遺伝子を取得するために、Clostridium  beijeri nckii  NRRL  B-593のゲノムDNAをテンプレート 用いて、AATATGCATGCTGGTGGAACATATGAAAGGTTTTGCAATGCTAGG( 列番号11)、及びGCGGATCCGGTACCTTATAATATAACTACTGCTTTAA TTAAGTC(配列番号12)によりPCR法で増幅し、得ら たDNAフラグメントを制限酵素SphI、BamHIで消 することで約1.1kbpのイソプロピルアルコー デヒドロゲナーゼフラグメントを得た。得 れたDNAフラグメントと先に作成したプラス ドpBRgapPを制限酵素SphI及びBamHIで消化するこ とで得られるフラグメントを混合し、リガー ゼを用いて結合した後、エシェリヒア・コリ DH5α株コンピテントセル(東洋紡績株式会社  DNA-903)に形質転換し、アンピシリン50μg/mLを むLB寒天プレートに生育する形質転換体を た。得られたコロニーをアンピシリン50μg/mL を含むLB液体培地で37℃で一晩培養し、得ら た菌体からプラスミドpGAP-IPAdhを回収した。

 エシェリヒア・コリ由来のチオラーゼ遺 子を取得するためエシェリヒア・コリMG1655 のゲノムDNAをテンプレートに用いてATGGATCCGC TGGTGGAACATATGAAAAATTGTGTCATCGTCAG(配列番号13)、及びG CAGAAGCTTGTCTAGATTAATTCAACCGTTCAATCACCATC(配列番号14)に よりPCR法で増幅し、得られたDNAフラグメント を制限酵素BamHI、HindIIIで消化することで約1.2 kbpのチオラーゼフラグメントを得た。得られ たDNAフラグメントと先に作成したプラスミド pGAP-IPAdhを制限酵素BamHI及びHindIIIで消化する とで得られるフラグメントを混合し、リガ ゼを用いて結合した後、エシェリヒア・コ DH5α株コンピテントセル(東洋紡績株式会社   DNA-903)に形質転換し、アンピシリン50μg/mLを 含むLB寒天プレートに生育する形質転換体を た。得られたコロニーをアンピシリン50μg/m Lを含むLB液体培地で37℃で一晩培養し、得ら た菌体からプラスミドpGAP-IPAdh-atoBを回収し 。

 エシェリヒア・コリ由来のCoAトランスフ ラーゼ遺伝子を取得するためエシェリヒア コリMG1655株のゲノムDNAをテンプレートに用 てGCTCTAGAGCTGGTGGAACATATGAAAACAAAATTGATGACATTACAAGAC(配 列番号15)、及びTAGCAAGCTTCTACTCGAGTTATTTGCTCTCCTGTGAAA CG(配列番号16)によりPCR法で増幅し、得られた DNAフラグメントを制限酵素XbaI、HindIIIで消化 ることで約600bpのCoAトランスフェラーゼαサ ブユニットフラグメントを得た。得られたDNA フラグメントと先に作成したプラスミドpGAP-I PAdh-atoBを制限酵素XbaI及びHindIIIで消化するこ で得られるフラグメントを混合し、リガー を用いて結合した後、エシェリヒア・コリD H5α株コンピテントセル(東洋紡績株式会社   DNA-903)に形質転換し、アンピシリン50μg/mLを むLB寒天プレートに生育する形質転換体を得 た。得られたコロニーをアンピシリン50μg/mL 含むLB液体培地で37℃で一晩培養し、得られ た菌体からプラスミドpGAP-IPAdh-atoB-atoDを回収 た。

 さらにエシェリヒア・コリMG1655株のゲノ DNAをテンプレートに用いてAAGTCTCGAGCTGGTGGAACAT ATGGATGCGAAACAACGTATTG(配列番号17)、及びGGCCAAGCTTCAT AAATCACCCCGTTGC(配列番号18)によりPCR法で増幅し 得られたDNAフラグメントを制限酵素XhoI、Hind IIIで消化することで約600bpのCoAトランスフェ ーゼβサブユニットフラグメントを得た。 られたDNAフラグメントと先に作成したプラ ミドpGAP-IPAdh-atoB-atoDを制限酵素XhoI及びHindIII 消化することで得られるフラグメントを混 し、リガーゼを用いて結合した後、エシェ ヒア・コリDH5α株コンピテントセル(東洋紡 株式会社  DNA-903)に形質転換し、アンピシ ン50μg/mLを含むLB寒天プレートに生育する形 質転換体を得た。得られたコロニーをアンピ シリン50μg/mLを含むLB液体培地で37℃で一晩培 養し、得られた菌体からプラスミドpGAP-IPAdh-a toB-atoD-atoAを回収した。

 アセト酢酸デカルボキシラーゼ遺伝子を 得するために、Clostridium  acetobutylicum  ATCC 824のゲノムDNAをテンプレートに用いて、CAGGTA CCGCTGGTGGAACATATGTTAAAGGATGAAGTAATTAAACAAATTAGC(配列番 19)、及びGCGGATCCTTACTTAAGATAATCATATATAACTTCAGC(配列 号20)によりPCR法で増幅し、得られたDNAフラ メントを制限酵素KpnI、BamHIで消化すること 約700bpのアセト酢酸デカルボキシラーゼフラ グメントを得た。得られたDNAフラグメントと 先に作成したプラスミドpGAP-IPAdh-atoB-atoD-atoA 制限酵素KpnI及びBamHIで消化することで得ら るフラグメントを混合し、リガーゼを用い 結合した後、エシェリヒア・コリDH5α株コン ピテントセル(東洋紡績株式会社  DNA-903)に 質転換し、アンピシリン50μg/mLを含むLB寒天 レートに生育する形質転換体を得た。得ら たコロニーをアンピシリン50μg/mLを含むLB液 体培地で37℃で一晩培養し、得られた菌体か プラスミドpGAP-Iaaaを回収した。

 このプラスミドpGAP-Iaaaをエシェリシア・コ B株(ATCC11303)コンピテントセルに形質転換し アンピシリン50μg/mLを含むLB Broth,Miller寒天 レートで37℃で一晩培養することにより、 シェリヒア・コリpGAP-Iaaa/B株を得た。
 なおエシェリヒア・コリMG1655株、Clostridium   acetobutylicum ATCC824、エシェリシア・コリB株 細胞・微生物・遺伝子バンクであるアメリ ンタイプカルチャーコレクションより入手 ることができる。

[実施例5]
<1L培養槽を使用したエシェリヒア・コリpGA P-Iaaa/B株によるイソプロピルアルコール生産( 1)>
 実施例3と同様に1L培養槽を使用したイソプ ピルアルコール生産検討を行った。ただし 前培養として三角フラスコに入れたアンピ リン0.1g/Lを含むLB Broth, Miller培養液25mLを用 い、実施例4において得られたエシェリヒア コリpGAP-Iaaa/B株を接種して、16時間、培養温 35℃、120rpmで攪拌培養を行った。前培養液 量を、グルコース50g/L、アデカノール1滴を むLB Broth,Miller培養液475mLを入れた1L培養槽に 接種し、培養を行った。培養は攪拌速度500rpm 、培養温度35℃で行い、24wt/wt%水酸化ナトリ ム溶液を用いて培養液のpHを7.0にコントロー ルした。培養開始から24時間後に菌体培養液 サンプリングし、遠心操作によって菌体を いた後、得られた培養上清中のイソプロピ アルコール、ブタノール、エタノールの蓄 量をHPLCで定法に従って測定した。培養24時 後で5.5g/Lのイソプロピルアルコールの蓄積 確認された。この時ブタノール及びエタノ ルの蓄積はなかった。また48時間後のイソ ロピルアルコールの蓄積量は5.0g/Lであった なお、測定値は、培養後の培養液とトラッ 水(500mLに変更)中の合算値である。

[実施例6]
<1L培養槽を使用したエシェリヒア・コリpGA P-Iaaa/B株によるイソプロピルアルコール生産( 2)>
 実施例5と同様に1L培養槽を使用したイソプ ピルアルコール生産検討を行った。ただし 1L培養槽での培養において表3に示す組成の 地475mLを用いた。この時の硫安由来の窒素 子の質量%は、培養開始時の培養培地全質量 対して0.04質量%である。また50wt/wt%のグルコ ース水溶液を10g/L/時間の流速で添加した。そ の結果、培養24時間後で7.4g/Lのイソプロピル ルコールの蓄積が確認された。この時ブタ ール及びエタノールの蓄積はなかった。ま 48時間後のイソプロピルアルコールの蓄積 は6.2g/Lであった。なお、測定値は、培養後 培養液とトラップ水(500mL)中の合算値である

[実施例7]
<1L培養槽を使用したエシェリヒア・コリpGA P-Iaaa/B株によるイソプロピルアルコール生産( 3)>
 実施例6と同様に1L培養槽を使用したイソプ ピルアルコール生産検討を行った。ただし 1L培養槽での培養において30時間後に(NH 4 ) 2 SO 4 を0.2質量%(2g/L)追加した。本実施例における 安由来の窒素原子の質量%の合計は、培養開 時の培養培地全質量に対して0.08質量%であ 。その結果、培養24時間後で7.2g/Lのイソプロ ピルアルコールの蓄積が確認された。この時 ブタノール及びエタノールの蓄積はなかった 。また48時間後のイソプロピルアルコールの 積量は13.4g/Lであった。なお、測定値は、培 養後の培養液とトラップ水(500mL)中の合算値 ある。硫酸アンモニウムといった窒素源を 当量加えることで生産性が向上することが された。

[実施例8]
<1L培養槽を使用したエシェリヒア・コリpGA P-Iaaa/B株によるイソプロピルアルコール生産( 4)>
 実施例6と同様に1L培養槽を使用したイソプ ピルアルコール生産検討を行った。ただし 1L培養槽での培養における培地組成の内、(N H 4 ) 2 SO 4 の量を0.4質量%(4g/L)とした。本実施例におけ 硫安由来の窒素原子の質量%は、培養開始時 培養培地全質量に対して0.08質量%である。 の結果、培養24時間後で11.6g/Lのイソプロピ アルコールの蓄積が確認された。なお、測 値は、培養後の培養液とトラップ水(500mL)中 合算値である。硫酸アンモニウムといった 素源を適当量加えることで生産速度が向上 ることが示された。

[実施例9]
<1L培養槽を使用したエシェリヒア・コリpGA P-Iaaa/B株によるイソプロピルアルコール生産( 5)>
 実施例6と同様に1L培養槽を使用したイソプ ピルアルコール生産検討を行った。ただし 1L培養槽での培養における培地組成の内、(N H 4 ) 2 SO 4 の量を0.5質量%(5g/L)とした。本実施例におけ 硫安由来の窒素原子の質量%は、培養開始時 培養培地全質量に対して0.11質量%である。 の結果、培養24時間後で11.2g/Lのイソプロピ アルコールの蓄積が確認された。また55時間 後には21.3g/Lのイソプロピルアルコールの蓄 が確認された。なお、測定値は、培養後の 養液とトラップ水(500mL)中の合算値である。

[実施例10]
<1L培養槽を使用したエシェリヒア・コリpGA P-Iaaa/B株によるイソプロピルアルコール生産( 6)>
 実施例6と同様に1L培養槽を使用したイソプ ピルアルコール生産検討を行った。ただし pH調整剤は12.5質量%のアンモニア水を使用し た。その結果、培養24時間後で13.3g/Lのイソプ ロピルアルコールの蓄積が確認された。また 55時間後には28.4g/Lのイソプロピルアルコール の蓄積が確認された。培養55時間後までに添 した12.5質量%アンモニア水の質量は69.0gであ り、本実施例におけるアンモニア水由来の窒 素原子の質量%の合計は、培養開始時の培養 地全質量に対して0.73質量%である。なお、測 定値は、培養後の培養液とトラップ水(500mL) の合算値である。

[実施例11]
<1L培養槽を使用したエシェリヒア・コリpGA P-Iaaa/B株によるイソプロピルアルコール生産( 7)>
 実施例6と同様に1L培養槽を使用したイソプ ピルアルコール生産検討を行った。ただし 1L培養槽での培養における培地組成の内、 リペプトン2g/Lにかわりコーンスティープリ ー(日本食品化工製)を20g/L加え、(NH 4 ) 2 SO 4 の量を5g/Lとした。その結果、培養24時間後で 10.9g/Lのイソプロピルアルコールの蓄積が確 された。また55時間後には17.8g/Lのイソプロ ルアルコールの蓄積が確認された。本実施 における硫安由来の窒素原子の質量%の合計 、培養開始時の培養培地全質量に対して0.11 質量%である。なお、測定値は、培養後の培 液とトラップ水(500mL)中の合算値である。培 栄養源として幅広い成分を利用できること 示された。

[実施例12]
<1L培養槽を使用したエシェリヒア・コリpIP A/B株によるイソプロピルアルコール生産(2)> ;
 実施例3と同様な条件で、1L培養槽を使用し pIPA/B株のイソプロピルアルコール培養検討 行った。ただし、培養開始時に(NH 4 ) 2 SO 4 を0.5%(5g/L)添加した。本実施例における硫安 来の窒素原子の質量%は、培養開始時の培養 地全質量に対して0.11質量%である。その結 、培養48時間後で4.5g/Lのイソプロピルアルコ ールの蓄積が確認された。

[実施例13]
<蒸留法による培養液からのイソプロピル ルコールの回収>
 蒸留に供する培養液として、実施例3の方法 に準じてpIPA/B株を培養し、培養液180gを得た これを培養液Aとした。培養液A178.6gを200mL容 のナスフラスコに入れ、オイルバスで攪拌 ながら加温し、定法に従って単蒸留を行っ 。培養液Aの各工程における塔頂温度と液量 を表4に示す。蒸留前の培養液と蒸留により 取した液及び残液の中に含まれるイソプロ ルアルコール、ブタノール、エタノールの 有量をHPLCで定法に従って測定した。結果を 5に示す。本実施例にかかるpIPA/B株を培養し た培養液からは、塔頂温度99.1~99.5℃で含有す るイソプロピルアルコールの殆ど全てを回収 することができた。この時、分取した液から ブタノール及びエタノールは検出されなかっ た。

[比較例1]
 特開昭61-67493号公報に記載のクロストリジ ム・sp.172CY-02株の培養液組成を模し、LB Broth ,Miller培養液にn-ブタノール9.9g/L、エタノール 0.6g/L、イソプロピルアルコール7.2g/Lを加えた 培養液を180g調製し、これを比較培養液Bとし 。比較培養液B177.9gを200mL容量のナスフラス に入れ、オイルバスで攪拌しながら加温し 定法に従って単蒸留を行った。比較培養液B の各工程における塔頂温度と液量を表4に示 。蒸留前の液と蒸留により分取した液及び 液の中に含まれるイソプロピルアルコール ブタノール、エタノールの含有量をHPLCで定 に従って測定した。結果を表5に示す。比較 培養液Bでは、3種の混合アルコール成分のう 特にイソプロピルアルコールとブタノール 同じ留出挙動を示し、イソプロピルアルコ ルのみを分離して回収することはできなか た。

 実施例13と比較例1の結果から、本発明に かる培養液はイソプロピルアルコール以外 副生アルコール類を含まないために容易に ソプロピルアルコールを回収することがで る。このため、本発明にかかる培養液から 単蒸留等の簡易な精製プロセスでイソプロ ルアルコールを回収することが可能である

 一方、既存菌による培養液ではイソプロ ルアルコールと副生アルコール類の分離が しくイソプロピルアルコールを容易に回収 きないことが分かった。既存菌による培養 からイソプロピルアルコールを回収するた には、精留塔等の設備を付加した蒸留が必 となると考えられ、その分精製プロセスが 雑になると予想される。

 これらのことから、本発明にかかるイソ ロピルアルコール生産細菌は植物由来イソ ロピルアルコール生産の実用化において従 技術と比べて格段に優れているといえる。

[実施例14]<試験例>
 本実施例では、図1に示される生産装置10を いて処理を行った。培養槽12には1リットル のものを使用し、トラップ槽40には500mL容の ものを使用した。培養槽12、トラップ槽40、 入管16、連結管30、排出管44は、すべてガラ 製のものとした。トラップ槽40には、トラッ プ液42としての水(トラップ水)が400mLの量で注 入されている。

 10g/Lのイソプロピルアルコール水溶液を処 液として500mL培養槽12に注入した。攪拌速度5 00rpm、処理温度37℃で処理を行った。
 次いで、注入管16から、空気を0.5L/min(1vvm)の 速度でイソプロピルアルコール水溶液に注入 し、処理を開始した。培養槽12からの排気は トラップ槽40中のトラップ液42にバブリング させた。トラップ槽40からの排気は装置系外 空気中に放出した。処理開始から0,2,4,8,24時 間後に培養槽12内の処理液とトラップ槽40内 トラップ液42を各々サンプリングし、HPLC測 によりサンプル中のイソプロピルアルコー の蓄積量を測定した。なお、HPLC測定は、信 化工社製、ULTRON PS-80H(8.0mm ID、300mm L)を用 、溶離液として0.1% HClO 4 を用い、流速を1.0mL/min、カラム温度を50℃と 、検出器は示差屈折率検出器(RI)を用いて行 った。結果を表6に示す。

 表6に示されるように、培養槽12内のイソプ ピルアルコールの濃度は時間の経過と共に 少し、トラップ液42中のイソプロピルアル ール濃度は徐々に増加した。24時間経過時点 で培養槽内のイソプロピルアルコールの70%が 培養槽から水ボトルへ移動していることが分 かった。また、その時の総イソプロピルアル コール量は10.1gでマテリアルバランスもほぼ 致していた。
 従って、培養槽12内での通気培養の排気を ラップ槽40内のトラップ液42にバブリングさ ることにより、処理液中のイソプロピルア コールを処理液から分離して、トラップ液4 2に溶解させることが可能であるとわかった

[実施例15]
<イソプロピルアルコールの生産>
 本実施例では、実施例3で使用したものと同 一の生産装置10を用いてイソプロピルアルコ ルを生産した。なお、トラップ槽40には、 ラップ液42としての水(トラップ水)が400mLの で注入されている。

 前培養として、φ19mm×長さ175mmの試験管に 、アンピシリン0.1g/Lと、グルコース2g/Lとを むLB Broth,Miller培養液を4mL入れ、実施例1で得 たpIPA/B株を接種し、培養温度37℃、120rpmで18 間振とう培養を行った。

 アンピシリン0.1g/Lと、グルコース20g/Lと、 デカノール1滴を含むLB Broth,Miller培養液500mL 含む培養槽12に、4mlの前培養液を接種し、 養を開始した。培養は、攪拌速度500rpm、培 温度37℃で行い、培養液のpHは、12.5%アンモ ア水を用いて7.0に調整した。
 次いで、注入管16から、空気を0.5L/min(1vvm)の 速度で培養液中に注入して通気培養を開始し た。培養槽12からの排気は、トラップ槽40中 トラップ液42にバブリングさせた。
 培養開始から23時間経過した時点で、培養 内に0.5g/Lのグルコース溶液を20mL添加した。

<サンプル中のイソプロピルアルコールの 出>
 培養開始から0、7、23、30、47、及び52時間後 に、培養槽12中の処理後の培養液とトラップ 40中の処理後のトラップ液42とをサンプリン グした。サンプリングした培養液については 、遠心操作を行うことによって、培養液中の 菌体等固形物を除いた。

 サンプリングした培養液及び水中の、イソ ロピルアルコールの蓄積量を、それぞれHPLC で測定した。結果を表7に示す。
 更に、培養開始47時間後の培養液及びトラ プ水について、HPLC測定したときに検出され ピークの数、Rt時間(Retention time;保持時間) び化合物名を、培養液について表8、トラッ 水について表9にそれぞれ示す。

 なお、表8及び表9において「IPA」は、イ プロピルアルコールを示す。また、表8にお て「不明」として示されるものは、イソプ ピルアルコールの通気培養により生成した 雑物であるものと推測される。

 

 

 表7~表9に示されるように、イソプロピルア コール生産細菌を用いた生産されたイソプ アルコールが、通気培養によって培養液と ラップ水に蓄積されていることが確認され 。
 また、培養開始から47時間後の培養液につ ては、グルコースと酢酸の他に、夾雑物と 測される11個のピークが確認されたが、この ときのトラップ水について、イソプロピルア ルコールに相当するピーク以外のピークはな かった。従って、本生産方法によれば、培養 槽12からの排気をトラップ液42にバブリング せることにより、夾雑物とイソプロアルコ ルとを容易に分離することができることが かった。

 これにより、培養開始からイソプロピル ルコールの回収まで、操作が簡便で、効率 よくイソプロピルアルコールを回収するこ ができた。さらにイソプロピルアルコール 回収に水を用いることで夾雑物の無いイソ ロピルアルコール水溶液を得ることができ ことがわかった。このことから、本発明は 微生物の培養によるイソプロピルアルコー 生産の実用化において、精製工程負荷の少 い生産プロセス構築を可能にする画期的な 法であるといえる。

[比較例2]
<チオラーゼ遺伝子欠失pIPAプラスミドの構 及び該プラスミド形質転換体の構築>
 実施例1に記載のプラスミドpIPAからチオラ ゼ遺伝子を取り除いたプラスミドpIPAδthioを 製した。
 pIPAからチオラーゼプロモーターを単離する ために、pIPAをテンプレートに用いてTTT GAA T TC CAT GAT TTT AAG GGG GTT AGC ATA TGC A(配列番 号21)、及びTTT TCT AGA TCT AAC TAA CCT CCT AAA  TTT TGA TAC GGG(配列番号22)によりPCR法で増幅 、得られたフラグメントを制限酵素EcoRIとKpn Iで消化することで約240bpのチオラーゼプロモ ーターフラグメントを得た。

 更にpIPAからイソプロピルアルコールデヒ ドロゲナーゼ遺伝子を単離するために、pIPA テンプレートに用いてTTT CTC GAG GCA GAT TTT GCT ACT CTT GGA GC(配列番号23)、及びTTT GGT AC C GCA GAT TTT GCT ACT CTT GGA GC(配列番号24)に りPCR法で増幅し、得られたフラグメントを 限酵素EcoRIとXbaIで消化することで約1.4kbpの ソプロピルアルコールデヒドロゲナーゼ遺 子フラグメントを得た。

 上記の2つのDNAフラグメントと、プラスミ ドpIPAを制限酵素EcoRI及びKpnIで消化すること 得られる4.9kbpのフラグメントを混合し、リ ーゼを用いて結合した後、エシェリヒア・ リDH5α株コンピテントセル(東洋紡績株式会  DNA-903)に形質転換し、アンピシリン100μg/mL 含むLB寒天プレートに生育する形質転換体 得た。得られたコロニーをアンピシリン100μ g/mLを含むLB液体培地で37℃で一晩培養し、得 れた菌体からプラスミドpIPAδthioを回収した 。pIPAδthioの塩基配列を定法に従って決定し チオラーゼプロモーターとイソプロピルア コールデヒドロゲナーゼ遺伝子のDNA配列に りがないことを確認した。

 このプラスミドpIPAδthioをエシェリシア・ コリB株(ATCC11303)コンピテントセルに形質転換 し、アンピシリン100μg/mLを含むLB Broth,Miller 養液寒天プレートで37℃で一晩培養すること により、形質転換体pIPAδthio/B株を得た。

 <1L培養槽を使用したエシェリヒア・コリp IPAδthio/B株によるイソプロピルアルコール生 >
 実施例3と同様に1L培養槽を使用したイソプ ピルアルコール生産試験を行った。前培養 して、試験管にアンピシリン0.1g/L、グルコ ス2g/Lを含むLB Broth,Miller培養液を4mL入れ、 シェリヒア・コリpIPAδthio/B株を接種して、18 時間、培養温度37℃、120rpmで攪拌培養を行っ 。前培養液全量を、グルコース20g/L、アデ ノール1滴を含むLB Broth,Miller培養液500mLを入 た1L培養槽に接種し、培養を行った。培養 攪拌速度500rpm、培養温度37℃で行い、12.5%ア モニア溶液を用いて培養液のpHを7.0にコン ロールした。また、培養開始から72時間目ま でに0.5g/mL濃度のグルコースを20mL添加した。 養開始から経時的に菌体培養液をサンプリ グし、遠心操作によって菌体を除いた後、 られた培養上清中のイソプロピルアルコー の蓄積量をHPLCで定法に従って測定した。結 果を表10に示す。なお、表10中のイソプロピ アルコール量は、培養後の培養液とトラッ 水中の合算値である。

 エシェリヒア・コリpIPAδthio/B株には、ア ト酢酸デカルボキシラーゼ、イソプロピル ルコールデヒドロゲナーゼ及びCoAトランス ェラーゼの各遺伝子が導入されているが、 オラーゼ遺伝子が導入されていないため、 の酵素の活性は生来のものに由来している しかしながら、エシェリヒア・コリpIPAδthio /B株では、培養72時間後であってもイソプロ ルアルコールの蓄積はなかった。

[比較例3]
<チオラーゼ遺伝子及びCoAトランスフェラ ゼ欠失pIPAプラスミドの構築及び該プラスミ 形質転換体の構築>
 実施例1に記載のプラスミドpIPAからチオラ ゼ遺伝子とCoAトランスフェラーゼを取り除 たプラスミドpIPAδthioδctfABを作製した。

 pIPAδthioを制限酵素KpnI及びBamHIで消化し、 DNA Blunting Kit(タカラバイオ株式会社)を用い DNAの末端を平滑化して結合した後、エシェ ヒア・コリDH5α株コンピテントセル(東洋紡 株式会社 DNA-903)に形質転換し、アンピシリ ン100μg/mLを含むLB寒天プレートに生育する形 転換体を得た。得られたコロニーをアンピ リン100μg/mLを含むLB液体培地で37℃で一晩培 養し、得られた菌体からプラスミドpIPAδthioδ ctfABを回収した。

 このプラスミドpIPAδthioδctfABをエシェリ ア・コリB株(ATCC11303)コンピテントセルに形 転換し、アンピシリン100μg/mLを含むLB Broth,M iller培養液(Difco244620)寒天プレートで37℃で一 培養することにより、形質転換体pIPAδthioδc tfAB/B株を得た。

 <1L培養槽を使用したエシェリヒア・コリp IPAδthioδctfAB/B株によるイソプロピルアルコー ル生産>
 実施例3と同様に1L培養槽を使用したイソプ ピルアルコール生産試験を行った。前培養 して、試験管にアンピシリン0.1g/L、グルコ ス2g/Lを含むLB Broth,Miller培養液を4mL入れ、 シェリヒア・コリpIPAδthioδctfAB/B株を接種し 、18時間、培養温度37℃、120rpmで培養を行っ た。前培養液全量を、グルコース20g/L、アデ ノール1滴を含むLB Broth,Miller培養液500mLを入 れた1L培養槽に接種し、培養を行った。培養 攪拌速度500rpm、培養温度37℃で行い、12.5%ア ンモニア溶液を用いて培養液のpHを7.0にコン ロールした。また、培養開始から72時間目 でに0.5g/mL濃度のグルコースを20mL添加した。

 培養開始から経時的に菌体培養液をサン リングし、遠心操作によって菌体を除いた 、得られた培養上清中のイソプロピルアル ールの蓄積量をHPLCで定法に従って測定した 。結果を表11に示す。なお、表11中のイソプ ピルアルコール量は、培養後の培養液とト ップ水中の合算値である。

 エシェリヒア・コリpIPAδthioδctfAB/B株には 、アセト酢酸デカルボキシラーゼ及びイソプ ロピルアルコールデヒドロゲナーゼの遺伝子 が導入されているが、チオラーゼ遺伝子及び CoAトランスフェラーゼ遺伝子が導入されてい ないため、これらの酵素活性は生来のものに 由来している。しかしながら、エシェリヒア ・コリpIPAδthioδctfAB/B株では、培養72時間後で イソプロピルアルコールの蓄積はなかった。

 実施例1、2、3と比較例2及び3の結果から 本発明によって得られる大腸菌は、アセト 酸デカルボキシラーゼ及びイソプロピルア コールデヒドロゲナーゼの活性のみでなく 本来大腸菌のゲノムに存在するチオラーゼ 伝子及びCoAトランスフェラーゼ遺伝子でコ ドされるこれらの酵素の活性も付与しなけ ばイソプロピルアルコールを生産しないこ がわかる。

[実施例16]
<glyAプロモーターを用いたエシェリヒア・ リ由来チオラーゼ遺伝子、エシェリヒア・ リ由来CoAトランスフェラーゼ遺伝子、クロ トリジウム属細菌由来アセト酢酸デカルボ シラーゼ遺伝子、クロストリジウム属細菌 来イソプロピルアルコールデヒドロゲナー 遺伝子発現ベクターおよび該発現ベクター 質転換体の構築>
 実施例4のGAPDHプロモーターに代わり、エシ リヒア・コリ由来のセリンヒドロキシメチ トランスフェラーゼ遺伝子(glyA)プロモータ を用いた。
 エシェリヒア・コリのセリンヒドロキシメ ルトランスフェラーゼのアミノ酸配列と遺 子の塩基配列は既に報告されている。すな ち、セリンヒドロキシメチルトランスフェ ーゼをコードする遺伝子はGenBank  accession   number  V00283 に記載されている。このプロ ーターを用い、イソプロピルアルコールの 産に必要な遺伝子群を発現させることがで る。

 glyAプロモーターを取得するためエシェリ ヒア・コリMG1655株のゲノムDNAをテンプレート に用いてTCGACCGGCTCCAGTTCG(配列番号25)、及びCTGTC GCATGCTGACTCAGCTAACAATAAAATTTTTGG(配列番号26)によりPC R法で増幅し、得られたDNAフラグメントを制 酵素SphIで消化することで約850bpのglyAプロモ ターにあたるDNAフラグメントを得た。得ら たDNAフラグメントとプラスミドpBR322(GenBank  accession number J01749)を制限酵素NdeI処理の後、 T4DNAポリメラーゼ処理により平滑末端化し、 らにSphIで消化することで得られるフラグメ ントを混合し、リガーゼを用いて結合した後 、エシェリヒア・コリDH5α株コンピテントセ (東洋紡績株式会社  DNA-903)に形質転換し、 アンピシリン50μg/mLを含むLB寒天プレートに 育する形質転換体を得た。得られたコロニ をアンピシリン50μg/mLを含むLB液体培地で37 で一晩培養し、得られた菌体からプラスミ pBRglyPを回収した。

 以下、実施例4と同様にして、チオラーゼ、 CoAトランスフェラーゼ、イソプロピルアルコ ールデヒドロゲナーゼ、アセト酢酸デカルボ キシラーゼのそれぞれをコードする遺伝子を 順次導入し、プラスミドpGly-Iaaaを回収した。
 このプラスミドpGly-Iaaaをエシェリシア・コ B株(ATCC11303)コンピテントセルに形質転換し アンピシリン50μg/mLを含むLB Broth,Miller寒天 レートで37℃で一晩培養することにより、 シェリヒア・コリpGly-Iaaa/B株を得た。

[実施例17]
<gadAプロモーターを用いたエシェリヒア・ リ由来チオラーゼ遺伝子、エシェリヒア・ リ由来CoAトランスフェラーゼ遺伝子、クロ トリジウム属細菌由来アセト酢酸デカルボ シラーゼ遺伝子、クロストリジウム属細菌 来イソプロピルアルコールデヒドロゲナー 遺伝子発現ベクターおよび該発現ベクター 質転換体の構築>
 実施例4のGAPDHプロモーターに代わり、エシ リヒア・コリ由来のグルタミン酸デカルボ シラーゼA遺伝子(gadA)プロモーターを用いた 。
 エシェリヒア・コリのグルタミン酸デカル キシラーゼAのアミノ酸配列と遺伝子の塩基 配列は既に報告されている。すなわち、グル タミン酸デカルボキシラーゼAをコードする 伝子はGenBank  accession  number  M84024に記載 れている。このプロモーターを用い、イソ ロピルアルコールの生産に必要な遺伝子群 発現させることができる。

 gadAプロモーターを取得するためエシェリ ヒア・コリMG1655株のゲノムDNAをテンプレート に用いてCGACTCGCATATGTCGTTTTTCTGCTTAGG(配列番号27) 及びCAGTCGCATGCTTCGAACTCCTTAAATTTATTTGAAGGC(配列番号2 8)によりPCR法で増幅し、得られたDNAフラグメ トを制限酵素NdeI、SphIで消化することで約13 0bpのgadAプロモーターにあたるDNAフラグメン を得た。得られたDNAフラグメントとプラス ドpBR322(GenBank accession number J01749)を制限酵 NdeI及びSphIで消化することで得られるフラグ メントを混合し、リガーゼを用いて結合した 後、エシェリヒア・コリDH5α株コンピテント ル(東洋紡績株式会社  DNA-903)に形質転換し 、アンピシリン50μg/mLを含むLB寒天プレート 生育する形質転換体を得た。得られたコロ ーをアンピシリン50μg/mLを含むLB液体培地で3 7℃で一晩培養し、得られた菌体からプラス ドpBRgadPを回収した。

 以下、実施例4と同様にして、チオラーゼ、 CoAトランスフェラーゼ、イソプロピルアルコ ールデヒドロゲナーゼ、アセト酢酸デカルボ キシラーゼのそれぞれをコードする遺伝子を 順次導入し、プラスミドpGad-Iaaaを回収した。
 このプラスミドpGad-Iaaaをエシェリシア・コ B株(ATCC11303)コンピテントセルに形質転換し アンピシリン50μg/mLを含むLB Broth,Miller寒天 レートで37℃で一晩培養することにより、 シェリヒア・コリpGad-Iaaa/B株を得た。

[実施例18]
<1L培養槽を使用したエシェリヒア・コリpGl y-Iaaa/B株およびpGad-Iaaa/B株によるイソプロピ アルコール生産>
 実施例5と同様に1L培養槽を使用したエシェ ヒア・コリpGly-Iaaa/B株およびpGad-Iaaaによる ソプロピルアルコール生産検討を行った。 の結果、培養24時間後でpGly-Iaaa/B株では3.1g/L pGad-Iaaa/B株では2.6g/Lのイソプロピルアルコ ルの蓄積が確認された。なお、測定値は、 養後の培養液とトラップ水(500mL)中の合算値 ある。
[実施例19]
<通気量1vvm又は2vvmでpGAP-Iaaa/B株を培養した きのイソプロピルアルコールの生産性>
 本実施例では、実施例5で使用したものとト ラップ槽の容量を除いて同一の生産装置10を2 台用いてイソプロピルアルコールを生産した 。なお、それぞれのトラップ槽40は2000mL容量 あり、トラップ液42としての水(トラップ水) が2000mLの量で注入されている。

 前培養として三角フラスコに入れたアン シリン0.1g/Lを含むLB Broth, Miller培養液25mLを 用い、実施例4において得られたエシェリヒ ・コリpGAP-Iaaa/B株を接種して、16時間、培養 度35℃、120rpmで攪拌培養を行った。前培養 全量を、グルコース50g/L、アデカノール1滴 含むLB Broth,Miller培養液475mLを入れた1L培養槽 に接種し、培養を行った。培養は、攪拌速度 500rpm、培養温度35℃で行い、培養液のpHは、Na OHを用いて7.0に調整した。

 次いで、1台目の生産装置では、注入管16か 、空気を1vvmとなるように培養液中に注入し て通気培養を開始した。2台目の生産装置で 、注入管16を2本用い、空気と窒素ガスを各 1vvm、総通気量が2vvmとなるように培養液中に 注入して通気培養を開始した。培養槽12から 排気は、トラップ槽40中のトラップ液42にバ ブリングさせた。
 その結果、培養24時間後で、通気量1vvmでは5 .5g/L、2vvmでは3.3g/Lのイソプロピルアルコール の蓄積が確認された。なお、測定値は培養後 の培養液とトラップ水中の合算値である。ト ラップ水中のイソプロピルアルコール量は、 水中のイソプロピルアルコール濃度を4倍し 養液量相当に換算して算出した。

[実施例20]
<通気量1vvm又は0.75vvmでpIPA/B株を培養したと きのイソプロピルアルコールの生産性>
 実施例3と同様にpIPA/B株の培養検討を行った 。ただし、グルコースは40g/Lとし、pH調整剤 アンモニア水を用いた。なお、それぞれの ラップ槽40は500mL容量であり、トラップ液42 しての水(トラップ水)が500mLの量で注入され いる。気体は空気を用い、通気量は1vvm又は 0.75vvmとした。その結果、培養54時間後で、通 気量1vvmでは2.8g/L、0.75vvmでは2.8g/Lのイソプロ ルアルコールの蓄積が確認された。なお、 定値は培養後の培養液とトラップ水中の合 値である。

 実施例19と実施例20の結果より、本願発明 者らは、イソプロピルアルコールの生産に適 する通気量があることを見出した。培養槽へ 注入する総通気量は2vvmよりも0.75~1vvmの方が ソプロピルアルコールの生産に好ましいこ を見出した。

 以上のように、本発明の実施形態によれば 副生するアルコール類が少なく、副生アル ールの分離工程を必要とせずに簡単な精製 行うだけで、より精製されたイソプロアル ールを簡便に且つ効率よく生産することが きる。
 本発明により得られたイソプロピルアルコ ルは、種々の用途に利用することができ、 えばプロピレンの製造原料として好適に使 することができる。

 日本出願番号2007-181571の開示はその全体が 照により本明細書に取り込まれる。
 本明細書に記載された全ての文献、特許出 、および技術規格は、個々の文献、特許出 、および技術規格が参照により取り込まれ ことが具体的かつ個々に記された場合と同 度に、本明細書中に参照により取り込まれ 。