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Patent Searching and Data


Title:
LAMINATE AND PROCESS FOR PRODUCING THE LAMINATE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/090923
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a self-supported Al-based group III nitride single crystal substrate. A base substrate is provided. The base substrate is formed of a single crystal of an inorganic material, for example, sapphire, that is not substantially decomposed at 800˚C in an inert gas and, upon contact with a reducing gas such as a hydrogen gas at 800 to 1600˚C, is decomposed to produce a volatile material. A thin film layer of an Al-based group III nitride single crystal having a thickness of 3 to 200 nm is formed on the base substrate. Thereafter, the laminated substrate is heat treated at 800 to 1600˚C in a reducing gas atmosphere containing an ammonia gas to form voids at the interface of the base substrate and the thin film layer of the Al-based group III nitride single crystal in the laminated substrate. Next, a thick film of a group III nitride single crystal is formed on the thin film layer of the Al-based group III nitride single crystal, followed by separation of the formed film. Thus, a self-supported Al-based group III nitride single crystal substrate is provided that is a self-supported substrate of a single crystal of a group III nitride such as AlN which is suitable for use in the formation of semiconductor elements such as ultraviolet light emitting elements and has a large radius of curvature in a crystal plane.

Inventors:
KOUKITU AKINORI (JP)
KUMAGAI YOSHINAO (JP)
ISHIZUKI MASANARI (JP)
NAGASHIMA TORU (JP)
HAKOMORI AKIRA (JP)
TAKADA KAZUYA (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/050248
Publication Date:
July 23, 2009
Filing Date:
January 09, 2009
Export Citation:
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Assignee:
UNIV TOKYO NAT UNIV CORP (JP)
TOKUYAMA CORP (JP)
KOUKITU AKINORI (JP)
KUMAGAI YOSHINAO (JP)
ISHIZUKI MASANARI (JP)
NAGASHIMA TORU (JP)
HAKOMORI AKIRA (JP)
TAKADA KAZUYA (JP)
International Classes:
C30B29/38; C30B25/18
Foreign References:
JP2007217227A2007-08-30
JP2005343704A2005-12-15
JP2006191074A2006-07-20
JP2006290662A2006-10-26
JP2006069814A2006-03-16
JP3581145B12004-10-27
JP2006213586A2006-08-17
JP2003303774A2003-10-24
Other References:
JONES K.A. ET AL.: "The properties of annealed A1N films deposited by pulsed laser deposition", JOURNAL OF ELECTRONIC MATERIALS, vol. 29, no. 3, 2000, pages 262 - 267
KUMAGAI Y. ET AL.: "Polarity dependence of AlN{0001} decomposition in flowing H2", JOURNAL OF CRYSTAL GROWTH, vol. 305, 2007, pages 366 - 371
JOURNAL OF CRYSTAL GROWTH, vol. 237, 2002, pages 912 - 921
See also references of EP 2243868A4
Attorney, Agent or Firm:
HOSHINO, Tetsuro et al. (3rd Floor Oak Building Kyobashi,16-10, Kyobashi 1-chome,Chuou-k, Tokyo 31, JP)
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Claims:
不活性ガス中800℃において実質的に分解しない無機物質であって、800~1600℃で還元性ガスと接触することにより分解して揮発性物質を生成する無機物質の単結晶からなるベース基板上に、単結晶Al系III族窒化物、又は単結晶Al系III族窒化物と非晶質Al系III族窒化物との混合物からなる厚さ3~200nmのAl系III族窒化物薄膜層が形成された積層構造を含む積層体であって、該積層体の前記ベース基板と前記Al系III族窒化物薄膜層との界面に複数の空隙を有することを特徴とする積層体。
前記界面において、前記複数の空隙によって前記Al系III族窒化物薄膜層と前記ベース基板とが非接触となった部分の総面積の前記Al系III族窒化物薄膜層の面積に対する割合が10~90%であることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
前記積層構造の前記Al系III族窒化物薄膜層上に、III族窒化物単結晶層が更に積層されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の積層体。
請求項1または2に記載の積層体を製造する方法であって、
  (A) 不活性ガス中800℃において実質的に分解しない無機物質であって、800~1600℃で還元性ガスと接触することにより分解して揮発性物質を生成する無機物質の単結晶からなるベース基板上に、単結晶Al系III族窒化物、又は単結晶Al系III族窒化物と非晶質Al系III族窒化物との混合物からなる厚さ3~200nmのAl系III族窒化物薄膜層が形成された原料積層基板を準備する工程、及び
  (B) 前記原料積層基板を還元性ガス及びアンモニアガスを含む雰囲気中で800~1600℃に加熱することにより、該原料積層基板の前記ベース基板と前記Al系III族窒化物薄膜層との界面において前記ベース基板を選択的に分解し、該界面に空隙を形成する工程
を含んでなることを特徴とする積層体の製造方法。
前記工程(A)が、加熱された前記ベース基板と、III族元素源ガス及び窒素源ガスと接触させる気相成長法によってAl系III族窒化物薄膜層を形成する工程を含み、且つ該工程における気相成長の開始時において、加熱された前記ベース基板とIII族元素源ガスとを接触させてから前記ベース基板とIII族元素源ガス及び窒素源ガスとの接触を開始することを特徴とする請求項4に記載の方法。
請求項3に記載の積層体を製造する方法であって、
  (A) 不活性ガス中800℃において実質的に分解しない無機物質であって、800~1600℃で還元性ガスと接触することにより分解して揮発性物質を生成する無機物質の単結晶からなるベース基板上に、単結晶Al系III族窒化物、又は単結晶Al系III族窒化物と非晶質Al系III族窒化物との混合物からなる厚さ3~200nmのAl系III族窒化物薄膜層が形成された原料積層基板を準備する工程、
  (B) 前記原料積層基板を還元性ガス及びアンモニアガスを含む雰囲気中で800~1600℃に加熱することにより、該原料積層基板の前記ベース基板と前記Al系III族窒化物薄膜層との界面において前記ベース基板を選択的に分解し、該界面に空隙を形成する工程、および、
  (C)前記工程(B)で得られた原料積層基板の前記Al系III族窒化物薄膜層上にIII族窒化物単結晶を成長させてIII族窒化物単結晶層を形成する工程、
を含んでなることを特徴とする積層体の製造方法。
前記工程(A)が、加熱された前記ベース基板と、III族元素源ガス及び窒素源ガスと接触させる気相成長法によってAl系III族窒化物薄膜層を形成する工程を含み、且つ該工程における気相成長の開始時において、加熱された前記ベース基板とIII族元素源ガスとを接触させてから前記ベース基板とIII族元素源ガス及び窒素源ガスとの接触を開始することを特徴とする請求項6に記載の積層体の製造方法。
III族窒化物単結晶からなる自立基板を製造する方法であって、
 請求項6または7に記載の方法により積層体を得る工程、及び
 該工程で得られた積層体から、前記Al系III族窒化物薄膜層および前記III族窒化物単結晶層を一体として分離する分離工程
を含んでなることを特徴とする自立基板の製造方法。
前記III族窒化物単結晶層の形成を、500~1600℃の温度領域における気相成長法により行い、該気相成長後の冷却時における自然分離として前記分離工程を行うことを特徴とする請求項8に記載の方法。
前記III族窒化物単結晶層の形成を、気相成長法により行い、該気相成長中における自然分離として前記分離工程を行い、更に該自然分離後にも上記気相成長を継続することを特徴とする請求項8に記載の方法。
前記III族窒化物単結晶層として窒化アルミニウム単結晶層を形成する請求項8乃至10の何れかに記載の方法。
結晶面の曲率半径が1m以上であることを特徴とする窒化アルミニウム単結晶自立基板。
1.59~5.9eVのエネルギーを有する光に対する吸収係数が2000cm -1 以下であることを特徴とする請求項12に記載の窒化アルミニウム単結晶自立基板。
Description:
積層体およびその製造方法

 本発明は、窒化アルミニウムなどのIII族 化物の単結晶からなる基板を製造する方法 関する。

 窒化アルミニウム(AlN)はその禁制帯幅が6. 2eVと大きく、かつ直接遷移型の半導体である ことから、AlNと同じIII族窒化物である窒化ガ リウム(GaN)や窒化インジウム(InN)との混晶を めて紫外光発光素子材料として期待されて る。

 紫外発光素子などの半導体素子を形成す ためには、n電極に電気的に接合したn型半 体層とp電極に電気的に接合したp型半導体層 との間にグラッド層、活性層などを含む積層 構造を形成する必要があり、発光効率の点か ら何れの層においても高い結晶性、すなわち 、結晶の転位や点欠陥が少ないことが重要で ある。このような理由から、一般に上記積層 構造は、自立して存在するに十分な機械的強 度を有する単結晶基板(以下、「自立基板」 も言う。)上に形成される。上記積層構造形 用の自立基板としては、積層構造を形成す 窒化アルミニウムガリウムインジウム(AlGaIn N)などのIII族窒化物単結晶との格子定数差や 膨張係数差が小さいこと、さらには、素子 劣化を防ぐ観点から熱伝導率が高いことが 求される。そのため、窒化アルミニウムを 有する半導体素子を作製するためにはAl系II I族窒化物単結晶基板上に上記層構造を形成 るのが有利である。

 Al系III族窒化物単結晶自立基板について 現状では市販されているものが無いため、 常はサファイアなどの異種の単結晶基板(以 、その上に単結晶を成長させるために用い 基板を「ベース基板」とも言う)上にAl系III 窒化物単結晶厚膜を形成して、それをベー 基板から分離することによりAl系III族窒化 単結晶基板を形成することが試みられてい 。Al系III族窒化物単結晶厚膜の形成方法とし てはハイドライド気相エピタキシー(HVPE:Hydrid e Vapor Phase Epitaxy)法、分子線エピタキシー(M BE:Molecular Beam Epitaxy)法、有機金属気相エピ キシー(MOVPE:Metalorganic Vapor Phase Epitaxy)法な の気相成長法;昇華再結晶法;液相を介した 長法が適用可能であるが、結晶性の良好な 結晶を速い成膜速度で得ることが可能であ という理由からHVPE法が注目されている(特許 文献1参照)。

 気相成長法を用いてAl系III族窒化物単結 基自立基板の製造を行う場合には、サファ アやSiC、シリコン等のベース基板上にAl系III 族窒化物単結晶の厚膜を形成し、何らかの手 段を用いてベース基板から分離することによ り行われる。ベース基板から自立基板を分離 する方法としては、化学エッチングにより溶 解除去する方法、ダイシングより切断分離す る方法、ベース基板を研磨して取り除く方法 のほか、特殊な手法を用いてベース基板と自 立基板の界面に空隙を導入して分離を容易化 する方法も提案されている(特許文献2参照)。

 しかし、一般に、サファイアやSiC、シリ ン等のベース基板を用いてAl系III族窒化物 結晶の厚膜を形成した場合には、ベース基 とAl系III族窒化物単結晶における格子定数差 や熱膨張係数差に起因してAl系III族窒化物単 晶に応力(以下、「格子不整合応力」ともい う。)が発生する。この格子不整合応力はAl系 III族窒化物単結晶層の厚さが薄い場合には大 きな問題を引き起こさないが、自立基板とし て要求されるような厚さにAl系III族窒化物単 晶を成長させる場合には無視できなくなり 基板に反りやクラックが生じ、ひどい場合 はAl系III族窒化物単結晶膜にクラックが発 したり、割れてしまったりするといった問 が発生する。また、成膜中には基板が加熱 れているため格子不整合応力は小さく問題 顕在化し難いが、成膜後の冷却過程に於い は収縮により格子不整合応力が増大するた 問題が顕在化する。このため、割れやクラ クの発生を回避して自立基板を得ることが きた場合でも、反りを回避することは困難 あり、積層構造形成用の自立基板とするた には反りを低減させて表面を平滑化するた の処理を行う必要があった(特許文献3参照)

特開2006-290662号公報

特開2006-069814号公報

特許第3581145号

 しかしながら、前記特許文献3に記載され るような方法で表面の平滑化を行っても、基 板は外見上平滑にすることはできるものの、 結晶レベルでの歪みを除去することはできず 、得られた自立基板を構成する単結晶は、結 晶レベルでの曲率半径(結晶面の曲率半径)は 較的小さいものであった。半導体素子形成 において自立基板上にIII族窒化物単結晶を 長させる場合、成長される結晶は下地とな 単結晶の影響を受ける。このため、III族窒 物単結晶を成長させるには、単に表面平滑 を高めるだけではなく、歪みが低減された 晶からなる自立基板、別言すれば結晶面の 率半径が大きな自立基板を使用することが ましい。

 そこで、本発明は、結晶面の曲率半径が きなAl系III族窒化物単結晶基自立基板を提 することを目的とする。

 本発明者等は、上記課題を解決するため 鋭意検討を行った。その結果、下記(a)~(f)に 示す知見を得るに至った。

 (a) ベース基板としてサファイアのよう 高温で還元分解する材料を用い、該ベース 板上にAl系III族窒化物バッファー層を形成し た後にアンモニアガスを含む還元性ガス雰囲 気中で高温処理した場合には、上記バッファ ー層を透過した還元性ガスによって下地のベ ース基板が選択的に分解され、ベース基板と バッファー層との間に多数の空隙を導入でき ること。

 (b) このような空隙が導入された“バッ ァー層を有するベース基板”のバッファー 上にAl系III族窒化物単結晶を気相成長させた 場合には、空隙による応力緩和効果により格 子不整合応力が大幅に低減され、歪みが極め て少ないAl系III族窒化物単結晶層を形成する とができること。

 (c) 上記気相成長の際に、空隙により緩 されてもなお残る格子不整合応力によりベ ス基板と“表面にAl系III族窒化物単結晶層を 有するバッファー層”とが自然剥離すること があること。

 (d) 気相成長の際に上記自然剥離が起こ ない場合であっても、気相成長終了後の冷 の際に熱膨張係数の差などに起因して発生 る応力によってベース基板と“表面にAl系III 族窒化物単結晶層を有するバッファー層”と が自然剥離することがあること。

 (e) 上記(c)および(d)で剥離した“表面にAl 系III族窒化物単結晶層を有するバッファー層 ”には反りが見られず、表面状態も良好であ ること。

 (f) Al系III族窒化物単結晶以外のIII族窒化 物単結晶を気相成長させたときにも同様の効 果が得られること。

 本発明は、これら知見に基づき成されたも である。本発明の要旨を以下に示す。
 第1の本発明は、不活性ガス中800℃において 実質的に分解しない無機物質であって、800~16 00℃で還元性ガスと接触することにより分解 て揮発性物質を生成する無機物質の単結晶 らなるベース基板上に、単結晶Al系III族窒 物、又は単結晶Al系III族窒化物と非晶質Al系I II族窒化物との混合物からなる厚さ3~200nmのAl III族窒化物薄膜層が形成された積層構造を む積層体であって、該積層体の前記ベース 板と前記Al系III族窒化物薄膜層との界面に 数の空隙を有することを特徴とする積層体 ある。

 第1の本発明において、界面において、複 数の空隙によってAl系III族窒化物薄膜層とベ ス基板とが非接触となった部分の総面積のA l系III族窒化物薄膜層の面積に対する割合は10 ~90%であることが好ましい。

 第2の本発明は、第1の本発明において、 層構造のAl系III族窒化物薄膜層上に、III族窒 化物単結晶層が更に積層されてなることを特 徴とする積層体である。

 第3の本発明は、第1の本発明の積層体を製 する方法であって、
  (A) 不活性ガス中800℃において実質的に分 解しない無機物質であって、800~1600℃で還元 ガスと接触することにより分解して揮発性 質を生成する無機物質の単結晶からなるベ ス基板上に、単結晶Al系III族窒化物、又は 結晶Al系III族窒化物と非晶質Al系III族窒化物 の混合物からなる厚さ3~200nmのAl系III族窒化 薄膜層が形成された原料積層基板を準備す 工程、及び
  (B) 原料積層基板を還元性ガス及びアンモ ニアガスを含む雰囲気中で800~1600℃に加熱す ことにより、該原料積層基板のベース基板 Al系III族窒化物薄膜層との界面においてベ ス基板を選択的に分解し、該界面に空隙を 成する工程
を含んでなることを特徴とする積層体の製造 方法である。

 第3の本発明において、工程(A)は、加熱さ れたベース基板と、III族元素源ガス及び窒素 源ガスと接触させる気相成長法によってAl系I II族窒化物薄膜層を形成する工程を含み、且 該工程における気相成長の開始時において 加熱されたベース基板とIII族元素源ガスと 接触させてからベース基板とIII族元素源ガ 及び窒素源ガスとの接触を開始することが ましい。

 第4の本発明は、第2の本発明の積層体を製 する方法であって、
  (A) 不活性ガス中800℃において実質的に分 解しない無機物質であって、800~1600℃で還元 ガスと接触することにより分解して揮発性 質を生成する無機物質の単結晶からなるベ ス基板上に、単結晶Al系III族窒化物、又は 結晶Al系III族窒化物と非晶質Al系III族窒化物 の混合物からなる厚さ3~200nmのAl系III族窒化 薄膜層が形成された原料積層基板を準備す 工程、
  (B) 原料積層基板を還元性ガス及びアンモ ニアガスを含む雰囲気中で800~1600℃に加熱す ことにより、該原料積層基板のベース基板 Al系III族窒化物薄膜層との界面においてベ ス基板を選択的に分解し、該界面に空隙を 成する工程、および、
  (C)工程(B)で得られた原料積層基板のAl系III 族窒化物薄膜層上にIII族窒化物単結晶を成長 させてIII族窒化物単結晶層を形成する工程、
を含んでなることを特徴とする積層体の製造 方法である。

 第4の本発明において、工程(A)は、加熱さ れたベース基板と、III族元素源ガス及び窒素 源ガスと接触させる気相成長法によってAl系I II族窒化物薄膜層を形成する工程を含み、且 該工程における気相成長の開始時において 加熱されたベース基板とIII族元素源ガスと 接触させてからベース基板とIII族元素源ガ 及び窒素源ガスとの接触を開始することが ましい。

 第5の本発明は、III族窒化物単結晶からな る自立基板を製造する方法であって、第4の 発明の方法により積層体を得る工程、及び 該工程で得られた積層体から、Al系III族窒化 物薄膜層およびIII族窒化物単結晶層を一体と して分離する分離工程を含んでなることを特 徴とする自立基板の製造方法である。

 第5の本発明において、III族窒化物単結晶 層の形成を、500~1600℃の温度領域における気 成長法により行い、該気相成長後の冷却時 おける自然分離として前記分離工程を行う とが好ましい。

 第5の本発明において、III族窒化物単結晶 層の形成を、気相成長法により行い、該気相 成長中における自然分離として分離工程を行 い、更に該自然分離後にも上記気相成長を継 続することが好ましい。

 第5の本発明において、III族窒化物単結晶 層として窒化アルミニウム単結晶層を形成す ることが好ましい。

 第6の本発明は、結晶面の曲率半径が1m以 である窒化アルミニウム単結晶自立基板で る。

 第6の本発明の窒化アルミニウム単結晶自立 基板は、1.59~5.9eVのエネルギーを有する光に する吸収係数が2000cm -1 以下であることが好ましい。

 なお、前記特許文献2には、「単結晶α-ア ルミナ基板上に窒化アルミニウム膜が積層さ れてなり、当該α-アルミナ基板と窒化アルミ ニウム膜層との界面に気孔が点在してなるこ とを特徴とする窒化アルミニウム積層基板」 が開示されているが、上記窒化アルミニウム 膜は、特殊な製法で形成された「対称性を持 つ複数の方向を向いたドメインが混在する構 造」を有するものであり、単結晶又は単結晶 と非晶質の混合ではない。第1の本発明の積 体はこの点で特許文献2に記載された窒化ア ミニウム積層基板と異なっている。また、 3~第5の本発明の方法では、ベース基板の材 は、不活性ガス中800℃において分解しない 機物質であって、800~1600℃で還元性ガスと 触することにより分解して揮発性物質を生 する無機物質の単結晶であればよく、単結 α-アルミナに限定されず、また、Al系III族窒 化物薄膜層の種類や製法は特に限定されない 。本発明の方法は、これらの点でも前記特許 文献2に開示された方法とは異なっている。

 第1の本発明の積層体は、III族窒化物単結 晶自立基板を製造するための下地基板として 極めて有用なものである。たとえば、該積層 体を用いた第5の本発明の方法により、反り 殆ど無く、表面状態が良好な自立基板を得 ことが可能となる。

 III族窒化物単結晶自立基板のなかでも窒化 ルミニウム自立基板に於いては、気相成長 度が他のIII族窒化物単結晶の気相成長温度 比べて非常に高く、また結晶自体も硬いた 、高品質な自立基板を得ることが特に困難 あったが、本発明の方法によれば再現性良 高品位の自立基板を得ることが可能になる たとえば、上記したような本発明の方法に 有な優れた特徴によって、従来の方法では ることができなかった、結晶面の曲率半径 1m以上である窒化アルミニウム単結晶自立 板、さらに結晶面の曲率半径が1m以上で且つ 1.59~5.9eVのエネルギーを有する光に対する吸 係数が2000cm -1 以下である窒化アルミニウム単結晶自立基板 を得ることも可能である。

 また、本発明の方法は、ベース基板から 自立基板剥離が極めて容易であるという特 を有する。即ち、本発明の方法では、前記( c)及び(d)に示すように気相成長中あるいは気 成長後の冷却過程に於いて自然にきれいな 離が起こる。このため、ベース基板を除去 るための工程や分離された基板の反りを除 する工程を省略することが可能となり、プ セスが簡略化されるばかりでなく、製品歩 まりや原料有効利用率を著しく高めること 可能となる。

 <積層体>
 第1の本発明の積層体は、不活性ガス中800℃ において実質的に分解しない無機物質であっ て、800~1600℃で還元性ガス、好ましくは水素 スと接触することにより分解して揮発性物 を生成する無機物質の単結晶からなるベー 基板上に、1)「単結晶Al系III族窒化物」又は 2)「単結晶Al系III族窒化物と非晶質Al系III族窒 化物との混合物」からなる厚さ3~200nmのAl系III 族窒化物薄膜層が形成された積層構造を含む 積層体であって、該積層体の前記ベース基板 と前記Al系III族窒化物薄膜層との界面に複数 空隙が存在するという特徴を有する。

 (ベース基板)
 上記ベース基板の材質は、不活性ガス中800 において実質的に分解しない無機物質であ て、800~1600℃で還元性ガスと接触すること より分解して揮発性物質を生成する無機物 の単結晶である必要がある。ここで実質的 分解しないとは、不活性ガス中に所定の温 で1時間保持したときの質量減少が1質量%以 、好ましくは0.5質量%以下、最も好ましくは0 .1質量%以下であることを意味する。不活性ガ ス中800℃未満の温度で分解する物質からなる 場合には、窒化アルミニウム、窒化ガリウム を気相成長させる際の基板として使用できな い。また、800~1600℃で還元性ガス(好ましくは 水素ガス)と接触することにより分解して揮 性物質を生成する物質で無い場合には、ベ ス基板と薄膜層との界面に複数の空隙を導 することが困難である。また、表面にAl系III 族窒化物層が存在しても選択的に還元分解さ れるという観点から、III族窒化物以外の材料 、特にAl系III族窒化物以外の材料である必要 ある。なお、前記積層体を窒化アルミニウ などのAl元素の含有率が高い(具体的にはIII 元素全体に占めるAlの割合が50原子%以上で る)Al系III族窒化物単結晶の自立基板を製造 るために使用する場合には、該単結晶の成 温度が高いことから、ベース基板としては 不活性ガス中1000℃において実質的に分解し い無機物質であって、1000~1600℃で還元性ガ と接触することにより分解して揮発性物質 生成する無機物質の単結晶からなるものを 用することが好ましい。

 ベース基板の材料として使用可能な無機 質としては、サファイア、酸化亜鉛、窒化 リウム、ガリウムヒ素、シリコンカーバイ (SiC)、ガリウムリン、シリコン、アルミニ ムリン、アルミニウム砒素、テルル化亜鉛 セレン化亜鉛等を挙げることができる。こ らの中でも高温で分解した際に、ヒ素等の 害物質が発生しないという理由からサファ ア、酸化亜鉛、窒化ガリウム、シリコンカ バイド、又はシリコンを使用することが好 しく、サファイアを使用するのが最も好ま い。また、口径に対して深さの浅い空隙が 入され易く空隙率の制御が容易であるとい 理由から、サファイアの中でもc面またはa面 サファイアを使用するのが特に好ましい。ベ ース基板の形状は通常、表面が平滑な板状で あるが、フォトリソグラフィ等で凹凸加工を 施してもよい。この場合、Al系III族窒化物薄 層は、溝加工を施した側の面の全面を被覆 る必要は特に無く、凹凸の底面及び側面上 はAl系III族窒化物薄膜層が存在していなく もかまわない。

 (Al系III族窒化物薄膜層)
 前記Al系III族窒化物薄膜層は、単結晶Al系III 族窒化物又は単結晶Al系III族窒化物と非晶質A l系III族窒化物との混合物からなる。ここで Al系III族窒化物とは、Al 1-(x+y+z) Ga x In y B z N(但し、x、y及びzは夫々独立に0以上1未満の 理数であり、x+y+z<1である。)で示される化 合物を意味する。耐熱性が高く、後述する空 隙形成のための処理を高温で効率良く行うこ とができるという理由からx+y+z<0.5であるこ とが好ましく、結晶性が良いAl系III族窒化物 膜層が作製しやすいという理由から窒化ア ミニウムであることが最も好ましい。

 上記Al系III族窒化物薄膜層は、単結晶、 は単結晶と非晶質の混合からなる必要があ 。該層が多結晶、多結晶と非晶質の混合、 は完全な非晶質である場合には、その上にII I族窒化物単結晶を形成することが困難とな 。良好なIII族窒化物単結晶を形成できると う観点から単結晶であることが好ましく、 結晶と非晶質との混合である場合にでも単 晶の割合は高いほうが好ましい。該Al系III族 窒化物薄膜層を構成する単結晶の結晶性は、 高いほうが好ましいが、たとえば、X線ロッ ングカーブ測定によるAlN(002)の半値幅で表し て、50minというものでも十分に良好なIII族窒 物単結晶を形成できる。

 本発明の積層体は、前記ベース基板と前 Al系III族窒化物薄膜層との界面に複数の空 が存在するという点に最大の特徴を有して る。そしてこのことによって、Al系III族窒化 物薄膜層上にIII族窒化物単結晶を気相成長さ せた場合に、格子不整合応力を大幅に低減す ることができ、歪みや反りが極めて少ないIII 族窒化物単結晶層を形成することが可能とな るばかりでなく、“表面にIII族窒化物単結晶 層を有するAl系III族窒化物薄膜層”をベース 板から剥離し易くなる。このような空隙の 成は、前記(a)で示したように、Al系III族窒 物薄膜層を拡散透過してきた還元性ガスと ース基板とが高温で接触して分解すること より行われる。したがって、本発明の積層 を製造する場合において、空隙を形成する めの条件は、Al系III族窒化物薄膜層の膜厚や 膜質の影響を強く受ける。本発明の積層体に おいては、実用的な条件での空隙形成が可能 であるという観点から、上記Al系III族窒化物 膜層の厚さは、3~200nmである必要がある。厚 さが3nm未満の場合には後述する空隙作製のた めの処理の際にベース基板の分解速度が速く なりすぎるため空隙率の制御が困難であり、 200nmを超える場合には空隙の導入が困難とな 。空隙率の制御の容易さの観点から、Al系II I族窒化物薄膜層の厚さは、5~150nm、特に10~100n mであることが好ましい。

 また、比較的マイルドな条件で効率良く 隙を形成できるという理由から、上記Al系II I族窒化物薄膜層は、加熱された前記ベース 板と、III族元素源ガス及び窒素源ガスと接 させる気相成長法であって、該気相成長の 始時において、加熱された前記ベース基板 III族元素源ガスとを接触させてからベース 板とIII族元素源ガス及び窒素源ガスとの接 を開始する気相成長法によって形成された のであることが好ましい。

 本発明の積層体の前記ベース基板と前記Al III族窒化物薄膜層との界面に存在する空隙 数は、通常1μm 2 当たり0.01~100個、好ましくは0.1~10個である。 た、Al系III族窒化物薄膜層上にIII族窒化物 結晶を気相成長させた場合において、“表 にIII族窒化物単結晶層を有するAl系III族窒化 物薄膜層”とベース基板とを容易に分離でき るという観点から、複数の空隙によってAl系I II族窒化物薄膜層とベース基板とが非接触と った部分の総面積の前記Al系III族窒化物薄 層の面積に対する割合(空隙率)は、10~90%、特 に30~70%であることが好ましい。なお、空隙の 形状は、用いるベース基板の種類によっても 異なるため一概に規定することはできないが 、ベース基板として例えばc面サファイアを 用した場合には開口部の形状が六角形の深 が(口径に対して)浅く均一な孔となっている 。なお、本発明の積層体においては、空隙を 形成するときの条件を選ぶことにより、深さ が0.5μm以下、好ましくは1~200nm、特に好まし は3~20nmといった、機械加工では形成するこ が困難な非常に浅い空隙とすることもでき 。

 本発明の積層体は、前記積層構造の前記Al III族窒化物薄膜層上に、III族窒化物単結晶 が更に積層されていてもよい。ここで、上 III族窒化物単結晶層を構成するIII族窒化物 は、Al 1-(x+y+z) Ga x In y B z N(但し、x、y及びzは夫々独立に0以上1以下の 理数であり、x+y+z≦1である。)で示される化 物を意味する。III族窒化物単結晶層を形成 る際の格子不整合応力が実質的に零になる いう観点からは、III族窒化物単結晶層は、 の下地のAl系III族窒化物薄膜層を構成するAl 系III族窒化物と同じ組成のAl系III族窒化物で ることが好ましいが、組成の異なるAl系III 窒化物、あるいはGaNなどのAl系以外のIII族窒 化物、特にIII族元素の中でGaの占める割合が5 0原子%以上であるGa系III族窒化物からなる場 であっても、格子不整合応力は極めて小さ なり、良好な結晶性を有するIII族窒化物単 晶層を形成することが出来る。該III族窒化 単結晶層の厚さは特に限定されるものでは いが、III族窒化物単結晶自立基板の製造を 的とする場合には、10~10,000μm、特に50~1,000μm であることが好ましい。

 <積層体の製造方法>
 本発明の積層体は、下記工程(A)及び(B)を含 方法により好適に製造することができる。
  (A) 不活性ガス中800℃において実質的に分 解しない無機物質であって、800~1600℃で還元 ガスと接触することにより分解して揮発性 質を生成する無機物質の単結晶からなるベ ス基板上に、単結晶Al系III族窒化物、又は 結晶Al系III族窒化物と非晶質Al系III族窒化物 の混合物からなる厚さ3~200nmのAl系III族窒化 薄膜層が形成された原料積層基板を準備す 工程
  (B) 前記原料積層基板を還元性ガス及びア ンモニアガスを含む雰囲気中で800~1600℃に加 することにより、該原料積層基板の前記ベ ス基板と前記Al系III族窒化物薄膜層との界 において前記ベース基板を選択的に分解し 該界面に空隙を形成する工程。

 (工程A)
 Al系III族窒化物薄膜は、その厚さが薄い場 には800℃以上の高温において水素ガスなど 還元性ガスや、還元性ガスとベース基板が 触することによって発生するベース基板の 解性生物ガスを透過することができる。ま 、Al系III族窒化物自体は、高温で水素などの 還元性ガスと接触した場合にはベース基板と 同様に分解するという性質を有するが、アン モニアガスを共存させることによって分解を 抑制するこができる。アンモニアはAl系III族 化物の分解生成物であり、これを共存させ ことにより分解反応の平衡が左側(原料側) シフトするので分解が抑制されるものと思 れる。上記方法は、Al系III族窒化物薄膜のこ のような性質を利用したものであり、(A)工程 で得られた原料積層基板のベース基板のみを 選択的に分解し、ベース基板とAl系III族窒化 薄膜層との界面に空隙を形成することに成 している。

 前記工程(A)においてベース基板上にAl系II I族窒化物薄膜層を形成する方法としては、 相成長法(HVPE法、MOCVD法)、MBE法、表面窒化法 (サファイア基板を特開2006-213586号公報に記載 された方法により表面を窒化する方法、或い はサファイア基板をアンモニアガスで高温処 理して表面を窒化する方法)など、このよう 目的での製膜が可能なことが知られている 知の方法が特に限定されず採用できる。

 しかしながら、比較的マイルドな条件で 率良く空隙を形成できるという理由から、 記Al系III族窒化物薄膜層は、加熱された前 ベース基板と、III族元素源ガス及び窒素源 スとを接触させる気相成長法であって、該 相成長の開始時において、加熱された前記 ース基板とIII族元素源ガスとを接触させて らベース基板とIII族元素源ガス及び窒素源 スとの接触を開始する気相成長法によって 成されたものであることが好ましい。

 水素ガスなどの還元性ガスは、Al系III族 化物薄膜層の厚さが上記範囲内であれば、 温で比較的自由にAl系III族窒化物薄膜層を透 過できるため、Al系III族窒化物薄膜層の膜質 ベース基板の分解反応に及ぼす影響は少な 。ところが、ベース基板の分解によって発 するガス、例えばベース基板としてサファ ア基板を用いた場合に発生する酸素ガスは Al系III族窒化物薄膜層の窒素空孔(vacancy)を 用して膜内を移動するものと考えられる。 じ気相法でAl系III族窒化物薄膜を形成しても 、最初に窒素源ガスであるアンモニアガスを 導入して加熱されたベース基板と接触させて からIII族元素源ガスを導入した場合には、極 めて薄い層ではあるが界面に窒素空孔(vacancy) の乏しい層が形成されて、酸素ガスの移動が 起こり難くなり、空隙が形成されにくくなる 。これに対し、最初にIII族元素源ガスを導入 した場合には、このような層が形成されない ので、マイルドな条件で効率良く空隙を形成 できる。

 (工程B)
 前記工程(B)は、原料積層基板のベース基板 Al系III族窒化物薄膜層との界面に空隙を導 するための工程であり、Al系III族窒化物薄膜 層を拡散透過した還元性ガスによってベース 基板を選択的に分解する。Al系III族窒化物も 独で高温の還元性ガスと接触した場合には 解が起こるが、工程(B)においては、還元性 スにアンモニアガスを共存させることによ その分解を防いでいる。

 工程(B)で使用する還元性ガスとしては、水 ガス、一酸化炭素ガスを挙げることができ が、拡散し易くガス中に含まれる不純物が ないという理由から水素ガスを使用するこ が好ましい。また、還元性ガスとして水素 スを使用した場合には、ベース基板として ファイアを使用した場合において、サファ アの分解によって発生したAlガスとアンモ アとの反応によってAlNを形成する反応を抑 する作用があるので、Al系III族窒化物薄膜層 の表面へのAlNの成長は無く、表面の平滑性を 維持することが出来る。雰囲気中における還 元性ガスの分圧は、1×10 -2 ~1×10 1 atmであればよいが、ベース基板の分解速度を 制御するという観点から1×10 -1 ~1×10 1 atmであることが好ましい。一方、アンモニア ガスの分圧は、Al系III族窒化物薄膜層の分解 抑制するという理由から、1×10 -5 ~1×10 1 atm、特に1×10 -4 ~1×10 -1 atmであることが好ましい。還元性ガス及びア ンモニアガスとしては高純度のものを使用す ることが好ましい。なお、アンモニアガスは 高温で分解して水素ガスを発生するので、ア ンモニアガスのみを供給しても還元性ガス及 びアンモニアガスを含む雰囲気を得ることが できる。また、工程(B)において原料積層基板 を加熱処理するときの雰囲気は、還元性ガス とアンモニアガスのみからなることが好まし いが、反応に悪影響を与えない範囲で窒素ガ ス、ヘリウムガス、アルゴンガスなどの不活 性ガスが含まれていても良い。

 工程(B)において、原料積層基板を還元性 スとアンモニアガスとを含む雰囲気中で加 処理するときの温度は、800~1600℃である必 がある。処理温度が800℃未満の場合には長 間処理しても十分な空隙を導入することが きず、処理温度が1600℃を越える場合にはベ ス基板の分解が激しく、結晶構造が崩壊す ためエピタキシャル成長が困難となってし う。加熱処理温度は上記範囲内であれば良 が、空隙率が制御し易く且つ効率的に空隙 形成できるという観点から、1000~1600℃で処 することが好ましく、1200~1550℃、特に1250~15 00℃で処理することがより好ましい。好適な 度範囲はAl系III族窒化物薄膜層の膜厚、雰 気組成および圧力、処理時間、並びに所望 る空隙率によって適宜決定すればよい。

 前記したように空隙は、Al系III族窒化物 膜層を拡散透過した還元性ガスとベース基 との反応によって形成されるため、空隙率 、処理温度、処理時間、および還元性ガス 圧に対して正の相関を有し、Al系III族窒化物 薄膜層の膜厚に対して負の相関を有する。し たがって、あらかじめこれらの条件と空隙率 との関係を調べておくことにより、これら条 件を変更することにより空隙率を制御するこ とができる。たとえば、Al系III族窒化物薄膜 が厚さ100nmの窒化アルミニウム層であり、 圧0.7atmの水素ガスで処理する場合には、1450 で30分間の処理で空隙率約55%となる空隙を 成することができる。

 工程(B)における加熱処理を行う装置とし は、雰囲気の制御が可能で原料基板を800~160 0℃に加熱できる装置であれば特に限定され 使用でき、たとえば、工程(A)で用いた装置 そのまま、或いは該装置に必要に応じてガ 導入ラインの付設などの微改造を行った装 を使用することもできる。

 (工程C)
 このような方法により製造される、最上面 Al系III族窒化物薄膜層である本発明の積層 は、III族窒化物単結晶を気相成長させるた の基板として好適に使用できる。ここで、II I族窒化物とは、Al 1-(x+y+z) Ga x In y B z N(但し、x、y及びzは夫々独立に0以上1以下の 理数であり、x+y+z≦1である。)で示される化 物を意味する。どのような組成のIII族窒化 単結晶を成長させる場合でも、空隙による 子不整合応力低減効果があるため、ベース 板上に直接III族窒化物単結晶を成長させた 合と比べて、歪みが少なく高品位の単結晶 成長させることができる。そして、III族窒 物単結晶を厚く成長させても反りやクラッ を発生しないので、結果として良好なIII族 化物単結晶自立基板を得ることができる。 られるIII族窒化物単結晶の品質の観点から III族窒化物単結晶としては、下地となるAl III族窒化物薄膜層と類似した組成のものを 長させることが好ましく、同一組成のもの 成長させることが最も好ましい。また、他 方法では得ることができなかった“結晶面 曲率半径が大きくしかも紫外光に対する透 率の高い自立基板”を得ることができると う観点から、窒化アルミニウム単結晶自立 板の製造に本発明の積層体を用いることの 義は大きい。

 III族窒化物単結晶の成長方法としてはHVPE 法、MBE法、MOVPE法などの気相成長法が適用可 である。気相成長法で本発明の積層体上にI II族窒化物単結晶を成長させる場合には、一 に500~1600℃に加熱された本発明の積層体上 III族窒化物をエピタキシャル成長させる。 のとき使用する装置、原料、製膜条件など 従来の気相成長法と特に変わる点はなく、 成するIII族窒化物の種類や採用する気相成 法の種類に応じて適宜決定すればよい。最 面がAl系III族窒化物薄膜層である本発明の積 層体上にIII族窒化物単結晶を気相成長法によ り成長させる場合、前記工程(B)とIII族窒化物 単結晶の気相成長法とを同一の装置を用いて 行った場合には、上記本発明の積層体を装置 外に取り出す必要が無いので、汚染の危険性 が少なく、またIII族窒化物単結晶の気相成長 の前に積層体を清浄化するための処理も簡略 化できるため好ましい。なお、工程(B)終了後 に反応装置から上記本発明の積層体を取り出 し、別の装置を用いてIII族窒化物単結晶の気 相成長法を行うことも勿論可能である。

 従来の気相成長法を用いてIII族窒化物単 晶自立基板の製造を行う場合には、サファ アや窒化ガリウム、シリコン、シリコンカ バイド、ガリウムリン、アルミニウムリン アルミニウム砒素、テルル化亜鉛、セレン 亜鉛、酸化亜鉛等のベース基板上に直接又 必要に応じてバッファー層を形成してからI II族窒化物単結晶の厚膜を成膜し、何らかの 段を用いてベース基板から分離する。この き、自立基板として要求されるような厚さ III族窒化物単結晶を成長させる場合には格 不整合応力が無視できなくなり、基板に反 やクラックが生じ、ひどい場合にはIII族窒 物単結晶膜にクラックが発生したり、割れ しまったりするといった問題が発生する。 た、成膜中には基板が加熱されているため 子不整合応力は小さく問題が顕在化し難い 、成膜後の冷却過程に於いては収縮により 子不整合応力が増大するため問題が顕在化 る。このような問題は、ベース基板上に形 するIII族窒化物単結晶層の厚さを、自立基 として必要な厚さをはるかに超えて、ベー 基板との界面近傍における格子不整合応力 影響が無視できるようになるような十分な さとすることにより解決できると考えられ 。しかしながら、現実的には気相成長法に りこのような十分な厚さのAl系III族窒化物 結晶層を形成することは困難である。

 これに対し、本発明の方法では、ベース 板とAl系III族窒化物薄膜層との界面に複数 在する空隙によってAl系III族窒化物薄膜層上 にIII族窒化物単結晶を気相成長させた場合に 発生する格子不整合応力を大幅に緩和するこ とができ、歪みや反りが極めて少ないIII族窒 化物単結晶層を容易に形成することができる 。また、空隙率を制御することにより、上記 気相成長の際に、空隙により緩和された格子 不整合応力によりベース基板と“表面にIII族 窒化物単結晶層を有するAl系III族窒化物薄膜 ”とを自然剥離させることもできる。さら 、空隙率を制御することにより、気相成長 了後の冷却の際に熱膨張係数の差などに起 して発生する応力によってベース基板と“ 面にIII族窒化物単結晶層を有するAl系III族 化物薄膜層”とを自然剥離させることも可 である。特に、気相成長中に自然剥離させ 場合には、剥離後の成長においては原理的 格子不整合応力が発生しないので、特に品 の高いIII族窒化物単結晶自立基板を得るこ ができる。但し、成長中に剥離が起こった 合には、ベース基板との接触が十分でなく り、ベース基板を介した熱伝導による十分 加熱が困難となり成長面の温度を高くする とが困難となり、結晶の成長速度が低下し り、成長する結晶の結晶性が低下したりす 。このため、装置的に剥離後の成長面の温 を十分に制御できない場合には、成長中に 離を起こさせないことが好ましい。エッチ グ処理したベース基板を使用した場合には アンカー効果により成長中の剥離を防止す ことが出来るので、ベース基板としてはエ チング処理を施したものを使用するのが好 である。例えばベース基板としてサファイ 基板を使用するときにはリン酸と硫酸の混 を用いて160℃で10分程度処理すればよい。

 なお、上記自然剥離はベース基板と“表 にIII族窒化物単結晶層を有するAl系III族窒 物薄膜層”とが完全に分離するような形態 起こることが好ましいが、部分的に起こる 合もある。ただし、この場合でも僅かに外 を加えることによって両者を簡単に分離す ことができる。さらに何れの場合も、剥離 た“表面にIII族窒化物単結晶層を有するAl系 III族窒化物薄膜層”には反りが見られない。 また、本発明の方法では平滑な表面を有する ベース基板上にAl系III族窒化物薄膜層を形成 てからベース基板を選択的に分解して空隙 形成するため、Al系III族窒化物薄膜層の剥 面は高い平滑性を維持した良好な表面状態 することが可能である。したがって、煩雑 分離工程を省略することができる。

 <自立基板>
 その結果、例えば、1~1000m、好ましくは2~500m 、特に好ましくは5~100mといった非常に大きな 結晶面の曲率半径を有するIII族窒化物単結晶 自立基板を再現性よく簡便に得ることが可能 となる。ここで、上記の結晶面の曲率半径は 、結晶レベルでの曲率半径を意味し、外見上 の曲率半径とは異なるものである。結晶面の 曲率半径が小さな単結晶基板については、研 磨することにより反りをなくし、外見上は平 坦で曲率半径の大きな基板とすることができ るが、研磨によって結晶の歪みを除去するこ とはできないため、結晶面の曲率半径は変わ らない。単結晶面基板上にIII族窒化物単結晶 をエピタキシャル成長させる場合、見かけ上 平坦な基板を用いても成長の厚さ方向の結晶 軸は互いに平行にならず反りの向きによって 互いに衝突するか又は乖離して行くため欠陥 が導入され易い。これに対し、結晶面の曲率 半径が大きい平坦な単結晶基板上で結晶成長 を行った場合には、上記結晶軸は互いにほぼ 平行になるためこのような現象が起こらず、 例えば、半導体素子形成時において結晶面の 曲率半径の大きい自立基板上にIII族窒化物単 結晶を成長させた場合に転位の少ない高品位 のIII族窒化物単結晶層を成長させることが可 能となる。したがって、本発明の方法で得ら れた自立基板を用いることにより、発光効率 の高い半導体素子を製造することが可能とな る。なお、結晶面の曲率半径は大きければ大 きいほどよく、本発明の方法によれば結晶面 の曲率半径が1000mを越えるものを製造するこ も原理的には可能である。

 上記の「結晶面の曲率半径{R(m)}」は、次 ようにして決定することができる。即ち、 料となる単結晶基板の表面上の離れた2点に おいてスポット径の小さな収束X線でロッキ グカーブ測定を行い、その中心角度の差δω 上記2点間の距離d(m)から、R=d/δω の式によ て決定することができる。なお、測定試料 厚さが50μm未満の場合には、測定試料作製 作に起因する測定誤差が大きくなるため、 料の厚さは50μm以上であることが好ましい。

 また、本発明の方法を窒化アルミニウム自 基板の製造に適用した場合には、結晶面の 率半径が上記したような値となることと合 せて、透明性の非常に高い自立基板を得る とができる。たとえば、1.59~5.9eVのエネルギ ーを有する光に対する吸収係数が2000cm -1 以下、好ましくは1~1800cm -1 である、窒化アルミニウム自立基板を得るこ とができる。窒化アルミニウム自立基板にお いて、結晶面の曲率半径が1m以上で1.59~5.9eVの エネルギーを有する光に対する吸収係数が200 0cm -1 以下であるもの、特に曲率半径が1.5m以上で 記光透過率が1~1800cm -1 であるものはこれまで知られておらず、本発 明の方法により初めて得られたものである。 即ち、気相成長法で自立基板を製造した場合 には、研磨することにより見かけ上平坦な基 板を得ることができるが、前記したように結 晶面の曲率半径は、後述する比較例に示され るように高々0.5m程度のものであり、1m以上の ものは得られていない。また、昇華法により 自立基板を製造する場合にも結晶の成長方向 をそろえることは難しく、局所的には結晶面 の曲率半径の大きな部分が形成されることは あるが、全体に亘って1mを越える結晶面の曲 半径を実現することはできない。さらに、 華法により得た単結晶は、一般に遷移元素 酸素を不純物として含むため、透明性が低 、1.59~5.9eVのエネルギーを有する光に対する 吸収係数は大きい。

 ここで、上記吸収係数は、可視領域およ 紫外領域すなわち1.59~5.9eV範囲の透過率スペ クトルを分光光度計で測定した結果から以下 の式に従って算出した吸収係数(α)を意味す 。

   式:I/I 0 =EXP(-αL)
  (式中、I 0 は入射光の強度、Iは透過光の強度、Lは窒化 ルミニウム単結晶自立基板の厚さを示す。)
なお、吸収スペクトルの測定に際しては、AlN の表面における乱反射が起こる場合には、予 め表面研磨を行うことが好ましい。

 <本発明の自立基板の製造方法の具体的実 施形態>
 以下に、サファイアベース基板上にHVPE法に より窒化アルミニウム(AlN)単結晶からなるAl III族窒化物薄膜層を形成し、空隙を導入し その後III族窒化物単結晶層としてHVPE法によ 窒化アルミニウム(AlN)単結晶を成長させて 立基板を製造する場合を例に、本発明の方 について詳しく説明する。

 HVPE法に用いる装置としては、例えば特開 2006-290662号公報に記載されたような円筒状の 英ガラス反応管からなる反応器本体と、該 応管の外部に配置される外部加熱手段と、 反応管の内部に配置されるサセプタと、を 備する装置が好適に使用できる。該装置に いては、反応管の一方の端部からキャリア ス及び原料ガスを供給し、他方の端部近傍 側壁に設けられた開口部からキャリアガス び未反応の反応ガスを排出する構造となっ いる。具体的には、反応菅のガス供給側に 、三重菅構造のガス供給ラインが設けられ 中心部の流路出口(ハロゲン化物ガス供給ノ ズルともいう。)からAl源ガスである三塩化ア ルミニウムガスとキャリアガスである水素ガ スとの混合ガスが供給され、一番外側の流路 出口(窒素源ガス供給ノズルともいう。)から 素源ガスであるアンモニアガスとキャリア スである水素ガスの混合ガスが供給され、 流路の間の流路出口(バリアガス供給ノズル ともいう。)からバリアガスとしての窒素ガ が供される構造となっている。なお、上記 部加熱手段は、ベース基板の加熱を目的と るものではなく、主として反応域の反応ガ の温度を所定温度に保持する目的で使用さ るものであり、必ずしも必須のものではな 。この外部加熱手段としては、抵抗加熱式 ーター、高周波加熱装置、高周波誘導加熱 置、ランプヒータなどが使用できる。また 前記サセプタは、ヒーター機能を有し、そ 上面にベース基板を保持すると共に1600℃程 まで加熱することができるようになってい 。

 サファイアベース基板上にAl系III族窒化物 膜層となるAlN単結晶薄膜を形成するには、 ず、基板表面に付着した有機物を除去する 的で1100℃程度の高温状態において10分間程 基板を加熱してサーマルクリーニングを行 ことが好ましい。サーマルクリーニングは 部加熱装置による加熱でも加熱支持台によ 加熱でもどちらでも良い。サーマルクリー ング後、基板温度を800~1600℃、好ましくは100 0~1400℃に加熱し、各種原料ガスの供給を開始 してベース基板上にAlN単結晶薄膜を形成する 。このとき三塩化アルミニウムガスの供給量 は基板上への結晶成長速度を勘案して適宜決 定されるが、基板上に供給される全ガス{キ リアガス(バリアガスを含む)、三塩化アルミ ニウムガス、アンモニアガス}の標準状態に ける体積の合計に対する三塩化アルミニウ ガスの標準状態における体積の割合で定義 れる「三塩化アルミニウムガスの供給分圧 で表して、1×10 -5 atm~1×10 -1 atmの範囲が通常選択される。また、アンモニ ア源ガスの供給量は、上記三塩化アルミニウ ムガスの供給量の1~200倍の供給量が好適に選 される。前記したようにAl系III族窒化物薄 層としてのAlN単結晶薄膜の厚さは3~200nmとす 必要があるが、膜厚の制御は、原料ガスの 給分圧、ベース基板温度などの製膜条件ご に製膜時間と膜厚との関係を予め調べてお ことにより、製膜時間を制御することによ 行うことができる。また、形成されたAlN単 晶薄膜の結晶状態は、X線ロッキングカーブ 測定を行うことにより確認することができる 。

 このようにしてベース基板上に所定の厚 のAlN単結晶薄膜層(Al系III族窒化物薄膜層)を 形成した後は、三塩化アルミニウムガスの供 給を止め、系内の雰囲気を水素ガス、窒素ガ スとアンモニアガスの雰囲気として基板温度 を、工程(B)の処理を行う温度とする。温度が 所定の温度になったら、系内の雰囲気を維持 したまま、所定時間保持することにより、ベ ース基板とAlN単結晶薄膜層との界面に空隙を 導入する。空隙率は、雰囲気のガス組成、圧 力、基板温度、AlN薄膜成長時の原料供給順序 、AlN単結晶薄膜層の厚さが一定であれば処理 時間によって制御可能であるので、予備実験 により実際に採用する条件における処理時間 と空隙率との関係を調べておけば、処理時間 を調整することにより所望の空隙率で空隙を 形成することができる。

 工程(B)の終了後は、サーマルクリーニン を行わない他は工程(A)と同様にしてIII族窒 物単結晶層としてのAlN単結晶層の形成{工程 (C)}を行えばよい。AlN単結晶層の形成後は、 塩化アルミニウムガスの供給を停止して、 板を降温すればよい。このとき、キャリア スに水素を使う場合には、成長したAlN単結 の再分解を防ぐためアンモニアガスを基板 温度が下がるまで反応器に流通させておく とが望ましい。空隙率を10~90%、好ましくは30 ~70%としておくことにより、AlN自立基板は結 成長中若しくは結晶成長後の冷却過程にお てベース基板から自然剥離させることがで る。

 以上、AlN単結晶自立基板の製造を例に説 したが、三塩化アルミニウムガスに代えて ガリウム、インジウム等のハロゲン化物ガ 、あるいはこれらの混合ガス、更にはこれ の少なくとも一方と三塩化アルミニウムガ の混合ガスをIII族元素源ガスとして使用す ことにより、他の組成のIII族窒化物単結晶 立基板を製造することができる。また、上 例は、横型反応管を使用した例であるが、 型反応管に限らず縦型反応管、或いは縦横 混在した形の反応管であっても本発明の効 は何ら変わることなく、適応が可能である さらに、HVPE法以外の気相成長法(たとえばMB E法又はMOVPE法)を採用する場合にも、各方法 使用される原料ガスや基本的な製膜条件を 用する他は同様にして各種III族窒化物単結 自立基板を製造することもできる。

 以下、実施例によって本発明をさらに詳細 説明するが、本発明はこれらの実施例に限 されるものではない。
  なお、実施例及び比較例で使用した気相 長装置は、前記した特開2006-290662号公報に示 される構造のHVPE反応装置であり、アルミニ ム源となる原料ガスとしては、特開2003-303774 号公報に記載された方法に従って金属アルミ ニウムと塩化水素ガスを反応させて得た三塩 化アルミニウムガスを使用している。また、 該装置は、ヒーター機能を有するサセプタ( 板支持台)の他に、「三塩化アルミニウムガ を発生させる領域の温度」と「発生した三 化アルミニウムガスと窒素源ガスを反応さ て窒化アルミニウムを反応させる領域の温 」とを同時に制御することができるホット ォールタイプの抵抗加熱装置を有している

 実施例1
 工程(A): 前記HVPE反応装置のサセプタ上にベ ース基板として7×11mmの長方形で厚さが400μm サファイア(0001)基板を設置した後、反応管 の雰囲気を、水素(分圧:0.70atm)と窒素(分圧:0. 30atm)との混合ガス流通雰囲気とした。その後 、サセプタのヒーターに徐々に電力を投入し てベース基板を加熱した。このとき、外部加 熱装置の側面よりサセプタの温度を放射温度 計により測定したところ、1065℃であった。 セプタ温度が1065℃に到達後、10分間保持し 基板のサーマルクリーニングを行った。
  サーマルクリーン終了後、反応管内に三 化アルミニウムガス及びアンモニアガスを れぞれ三塩化アルミニウムガス分圧:5.0×10 -4 atm及びアンモニアガス分圧:1.3×10 -3 atmで供給し、窒化アルミニウム単結晶の成長 を開始した。この状態を保持して、サファイ ア基板上に窒化アルミニウム単結晶を成長さ せた後、三塩化アルミニウムの供給を停止す ることにより結晶成長を終了させた。なお、 該窒化アルミニウム単結晶成長工程に於いて は、最初に三塩化アルミニウムガスを導入し 、加熱された基板と三塩化アルミニウムガス とを接触させるようにした後に、更にアンモ ニアガスを導入した。
  上記操作によってサファイア基板上に形 されたAlN単結晶膜の性状を調べるために、 実施例終了後に参照実験1として、同一の操 を行って得られた基板を分析したところ、 面走査電子顕微鏡(SEM)写真から求めたAlN単 晶膜の膜厚は100nmであり、X線ロッキングカ ブ測定によるAlN(002)及びAlN(100)の半値幅は、 れぞれ18.6min、58.8minであった。また、サフ イア基板とAlN単結晶膜との界面に空隙は見 れなかった。

 工程(B): 結晶成長終了後、反応管内の雰囲 を、水素(分圧:0.7atm)、窒素(分圧:0.3atm)及び ンモニアガス(分圧:2.0×10 -3 atm)の混合ガス流通雰囲気に変更した。アン ニアを上記分圧で共存させたのは、AlN膜の 解を防ぐためである。その状態で、サセプ 温度を1450℃まで徐々に加熱した。サセプタ 度が1450℃に到達してから30分間保持して基 の熱処理を行った。
  上記熱処理によってサファイア基板と工 (A)で形成したAlN単結晶膜との界面に空隙が 成されることを確認するために、本実施例 了後に別途、同一条件で工程(A)および工程(B )を行った(参照実験2)。該参照実験によって られた基板の断面SEM写真を図1に示す。サフ イア基板と工程(A)で形成したAlN単結晶膜と 界面のサファイア基板側に空隙が形成され いることが確認できる。この写真に基づき 隙の横方向の長さを測定し、空隙率を求め ところ、空隙率は約55%であった。

 工程(C): 基板の熱処理後、III族窒化物の成 を開始した。このときの三塩化アルミニウ の供給分圧は5.0×10 -4 atm、アンモニアガスの供給分圧は2.0×10 -3 atmとした。成長温度は、1450℃とし、この状 で240分間保持することにより窒化アルミニ ム単結晶を成長させた。

 所定時間経過後に三塩化アルミニウムの供 を停止することにより結晶成長を終了させ 外部及び局所加熱装置の降温を開始した。 の際、基板上に成長した窒化アルミニウム 再分解を防ぐため、基板温度が550℃以下に るまでアンモニアガスを反応管に流通した 加熱装置が室温付近まで下がったことを確 して、反応器から基板を取り出したところ 基板回収時に、サファイア基板と窒化アル ニウム成長膜は分離しており、図2(左側)に すような窒化アルミニウム単結晶の自立基 が得られた。
  このようにして得られた自立基板をへき し、その断面をSEM観察(図3参照)したところ 化アルミニウム単結晶膜の平均膜厚は約85μm であった。この膜厚は、予定した膜厚とほぼ 同じであることから、ベース基板と窒化アル ミニウム単結晶膜との分離は、結晶成長後の 冷却過程に起こったものと思われる。また、 得られた自立基板についてX線ロッキングカ ブ測定によるAlN(002)及びAlN(100)の半値幅を求 たところ、AlN(002)の半値幅は36.8minでありAlN( 100)の半値幅は25.8minであった。さらに、X線ロ ッキングカーブ測定により(001)結晶面の曲率 径を算出したところ8mであった。また、分 光度計で1.59~5.9eVのエネルギーを有する光に して透過率スペクトルを測定し、その結果 ら該領域の光に対する吸収係数を求めたと ろ、120cm -1 であった。
  これとは別に、分離されたサファイア基 の表面についてSEM観察を行ったところ、図4 SEM写真に示されるように、その上に窒化ア ミニウム単結晶膜が形成されていた表面に 六角形の扁平な空隙が多数形成されている とが確認された。この写真に基づき空隙の 数を測定し、空隙の密度(個/μm 2 )を算出したところ、空隙の密度は、0.2個/μm 2 であった。

 実施例2
 工程(B)における1450℃での熱処理時間を60分 し、工程(C)における成長時間を60分とした 外は実施例1と同様にして工程(A)、(B)及び(C) 行い窒化アルミニウム単結晶の成長を行っ 。結晶成長終了後、実施例1と同様にして基 板の回収を行ったところ、実施例1と同様に ファイア基板と窒化アルミニウム成長膜は 離していた。
  得られた窒化アルミニウム単結晶の自立 板について実施例1と同様にして平均膜厚を 定したところ、平均膜厚は約30μmであった また、上記自立基板について実施例1と同様 してAlN(002)及びAlN(100)の半値幅、(001)結晶面 曲率半径、並びに1.59~5.9eVのエネルギーを有 する光に対する吸収係数を求めたところ、AlN (002)の半値幅は130minであり、AlN(100)の半値幅 24.0minであり、曲率半径は5mであり、吸収係 は1000cm -1 であった。
  なお、本実施例終了後に別途実施例2と同 条件で工程(A)及び(B)を行い(参照実験3)、得 れた基板の断面SEM写真から空隙率を求めた ころ、空隙率は85%であった。本実施例にお ては、空隙率が85%と大きかったために工程( C)における結晶成長中にサファイア基板と窒 アルミニウム単結晶層とが剥離してしまっ ものと思われる。

 実施例3
 本実施例は、GaNの自立基板を製造した例で る。なお、GaN単結晶成長装置としては、石 ガラス製の横型反応管からなり、外部から 電気炉加熱によって2ゾーンに分けて温度制 御が可能であり、第一ゾーンでIII族元素源ガ ス(GaCl)を発生させ、第二ゾーンで積層体とIII 族源ガス及び窒素源ガスとを接触させて結晶 成長を行うタイプの装置を使用した。
  先ず、実施例1と同様にして工程(A)及び(B) 行い、サファイア基板上に窒化アルミニウ 単結晶層が形成された積層体であって、界 のサファイア部分に空隙が形成された積層 を製造した。次いで、上記積層体を窒化ア ミニウム成長装置から取り出し、窒化アル ニウム面を上にして該積層体をGaN単結晶成 装置内の第二ゾーンに設置した。その後、J ournal of Crystal Growth Vol.237- 
 (2002) p.912-921に記載されている方法に準じ 、次のようにして厚さ300μmのGaN単結晶層を 成した。即ち、第一ゾーンの内部に金属Ga配 置し、該ゾーンを850℃に加熱すると共に窒素 および水素混合キャリアガスで希釈されたHCl ガスを供給してGaClガスを生成させた。そし 、該GaClガスおよび別ラインで供給したアン ニアガスを1030℃に加熱された第二ゾーン内 に導入し6時間保持することによって、該ゾ ンに設置された積層体の窒化アルミニウム 上に膜厚300μmのGaN単結晶を成長させた。
  成長終了後、基板が室温付近まで冷却し ことを確認し、反応器から積層体を取り出 たところ、サファイア基板と窒化アルミニ ム層との界面で剥離が起こっており、一方 面に薄い窒化アルミニウム層が付着したGaN 結晶の自立基板が得られた。
  得られたGaN自立基板について曲率半径及 結晶性を調べたところ、曲率半径は11mであ 、GaN(002)およびGaN(100)回折角のX線ロッキング カーブは、それぞれ12min、3.9minであった。ま 、分光光度計で1.59~3.6eVのエネルギーを有す る光に対して吸収スペクトルを測定し、その 結果から該領域の光に対する吸収係数を求め たところ、150cm -1 であった。

 比較例1
 工程(B)における1450℃での熱処理を行なわず 、工程(A)に引続き工程(C)の結晶成長を行った 以外は実施例1と同様にして窒化アルミニウ 単結晶及びの成長を行った。結晶成長終了 実施例1と同様にして基板の回収を行ったと ろ、サファイア基板と窒化アルミニウムは 離していなかった。
  回収された基板を観察したところ、サフ イア基板、窒化アルミニウム結晶層の両方 クラックが多数存在していた。また、基板 に成長した窒化アルミニウム結晶層(クラッ あり)の平均膜厚を断面のSEM像より求めたと ころ、約85μmであった。また、該窒化アルミ ウム結晶層のX線ロッキングカーブ測定によ りAlN(002)及びAlN(100)の半値幅を求めたところ AlN(002)の半値幅は74.4minであり、AlN(100)の半値 幅は35.4minであった。

 比較例2
 工程(A)におけるサーマルクリーン終了後、 ちに工程(C)の結晶成長を行った以外は実施 1と同様にして、窒化アルミニウム単結晶の 成長及び基板の回収を行ったところ、サファ イア基板と成長膜が割れており、評価不能で あった。

 比較例3
 ベース基板にSiを使用し、工程(B)における14 50℃での熱処理を行わず、更に工程(C)におけ 結晶成長温度を1250℃とした以外は実施例1 同様にして、窒化アルミニウム単結晶の成 及び基板の回収を行い、表面に窒化アルミ ウム単結晶層を有するSi基板を回収した。回 収された上記基板のSiベース基板をフッ硝酢 にて溶解させて窒化アルミニウムの自立基 を得、得られた該自立基板について実施例1 と同様にして曲率半径を測定したところ、曲 率半径は0.1mであった。

本図は、実施例1の参照実験2で得られ 熱処理直後の基板の断面SEM写真である。(点 より左側がAlN層、点線より右側がサファイ 基板) 本図は、実施例1で得られたAlN自立基板 (左)と下地サファイア基板(右)の写真である 本図は、実施例1で得られたAlN自立基板 の断面鳥瞰SEM写真である。 本図は、実施例1で回収されたサファイ ア基板の表面SEM写真である。

 本発明の積層体は、紫外発光素子などの 導体素子を形成するために使用される自立 板を製造するために使用される。