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Title:
LEAD-FREE SOLDER ALLOY SUPPRESSED IN OCCURRENCE OF SHRINKAGE CAVITY
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/131178
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a lead-free solder alloy having improved surface properties, which is suppressed in occurrence of fine recesses/projections or shrinkage cavity. The lead-free solder alloy has a composition consisting of 0.1-1.5% of Ag, 2.5-5.0% of Bi, 0.5-1.0% of Cu, and if necessary 0.015-0.035% of Ni and/or 0.0005-0.01% of one or both of Ge and Ga, and the balance of Sn and unavoidable impurities.

Inventors:
KAWAMATA YUJI (JP)
UESHIMA MINORU (JP)
KANG MIN (KR)
NAKAGAWA KAYAKO (JP)
KOKUBU YASUAKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/058077
Publication Date:
October 29, 2009
Filing Date:
April 23, 2009
Export Citation:
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Assignee:
SENJU METAL INDUSTRY CO (JP)
KAWAMATA YUJI (JP)
UESHIMA MINORU (JP)
KANG MIN (KR)
NAKAGAWA KAYAKO (JP)
KOKUBU YASUAKI (JP)
International Classes:
B23K35/26; B23K1/00; C22C13/02; H01L21/60; H01L23/12; H05K3/34; B23K101/42
Foreign References:
JPH0270033A1990-03-08
JPH08132277A1996-05-28
JP2000015476A2000-01-18
JP2002020807A2002-01-23
JP2002096191A2002-04-02
JP2003001481A2003-01-08
JP2005186160A2005-07-14
Other References:
See also references of EP 2275224A4
Attorney, Agent or Firm:
HIROSE, Shoichi (JP)
Hirose Shoichi (JP)
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Claims:
 質量%で、Ag:0.1~1.5%、Bi:2.5~5.0%、Cu:0.5~1.0%、Ni:0~0.035%、GeおよびはGaの1種もしくは2種:0~0.01%、残部がSnおよび不可避不純物よりなる組成を有する、鉛フリーはんだ合金。
 Niを0.015~0.035%含有する、請求項1に記載のはんだ合金。
 GeよびはGaの1種または2種を合計で0.0005~0.01%含有する請求項1または2に記載のはんだ合金。
 請求項1~3のいずれかに記載のはんだ合金の粉末とフラックスとの混合物からなる、鉛フリーソルダペースト。
 請求項4に記載のソルダペーストを用いることを特徴とするプリント基板のはんだ付け方法。
 請求項1~3のいずれかに記載の鉛フリーはんだ合金からなるはんだ接合部。
 請求項1~3のいずれかに記載の鉛フリーはんだ合金からなるはんだボール。
Description:
引け巣が抑制された鉛フリーは だ合金

 本発明は、引け巣が抑制された鉛フリー んだ合金と、このはんだ合金を用いたソル ペーストおよびはんだ付け方法に関する。

 現在用いられている鉛フリーはんだの主 はSn-Ag-Cu系はんだ合金である。Sn-Ag-Cu系鉛フ リーはんだは、温度サイクル特性に優れてい る上、鉛フリーはんだの中ではぬれ性が良く 、また従来のSn-Pb系はんだと同様にどのよう 形態にも加工が可能である。しかし、Sn-Ag-C u系鉛フリーはんだは、Sn-Ag系鉛フリーはんだ と同様に、凝固の不均一性からはんだ表面が 肌荒れ(微細凹凸)を生じてほとんど光沢を示 ず、更に引け巣と呼ばれる亀裂のようにみ る凝固欠陥を発生することがある。これら 現象は、Sn-Agの過共晶に起因する樹枝状結 (デンドライト)の成長に原因がある。

 Sn-Ag系またはSn-Ag-Cu系の鉛フリーはんだで は、溶融したはんだが凝固するときに、まず Snのデンドライトが初晶として析出し、次い Sn-AgまたはSn-Ag-Cu共晶組織が凝固するが、こ の時の体積収縮によって、はんだ表面に微細 な凹凸や引け巣が発生する。詳しく観察する と、引け巣は、デンドライトに沿って発生す ることがわかる。

 このように引け巣はデンドライトの結晶 界に沿って発生する凝固割れであって、は だの表面だけにとどまる。そのため、引け は、クラックの起点となってクラックを誘 することはなく、はんだ付けの信頼性を損 うものではないとされてきた。しかし、外 上は引け巣とクラックとの違いが容易に識 できず、引け巣の大きさによっては、はん 付けの信頼性に影響する可能性が排除でき いことから、次に述べるように、引け巣の 生が問題視されるようになってきている。

 即ち、はんだ付け間隔はますます微細化 ているため、検査員による目視外観検査に いて引け巣とクラックの間の区別がより難 くなっており、場合によっては電子顕微鏡 どの非常に高価な装置で確認しなければ判 できない。しかし、電子顕微鏡で観察でき 試料の大きさは限定され、また観察するた の時間は通常の外観検査装置の数百倍以上 かるため、全数検査に用いることは不可能 ある。

 ソルダペーストを用いたリフロー法によ はんだ付けの場合、はんだ付け間隔の微細 に伴い、ソルダペーストの印刷厚さも50μm 度まで薄くなることがある。その場合、リ ロー後に生成したはんだ接合部(はんだフィ ット)の厚さは25μm程度になり、はんだ量が なくなる。このような薄いはんだ接合部に1 0μm程度の引け巣が発生すると、局所的には だ接合部の厚さが10μm程度となり、はんだ付 けの信頼性に悪影響を及ぼすことが懸念され る。

 リフロー法での代表的なはんだ供給方法 あるソルダペーストを使用したプリント基 の実装では、所定部位にソルダペーストを 刷により塗布し、リフローによりはんだ付 部を形成した基板を、画像認識などの光学 な方法で検査して、ハンダ付け状態を確認 る。現在販売されている光学的な検査機器 、鉛フリーはんだ用として、光沢度が低い んだを認識できるように設計されている。 かし、Sn-Ag系鉛フリーはんだやSn-Ag-Cu系鉛フ リーはんだで発生する、はんだ表面の微細な 凹凸や引け巣は、はんだ組成だけの要因で発 生する訳でなく、はんだ付け条件や冷却条件 などの外部因子によって変動するため、光度 の平均値を捕捉しにくいため、検査不具合を おこし易い。

 本出願人は、Sn-4.0~6.0質量%Ag-1.0~2.0質量%Cu 組成を有する、ボール表面状態が良好で、 んだ表面の微細な凹凸や引け巣が抑制され 、鉛フリーはんだボールを先に開示した(下 記特許文献1)。また、フローソルダリングの んだ付方法に関して、Sn-Ag-Cu系の鉛フリーSn 基はんだ合金を用いてフロー法ではんだ付け をする際に、はんだ浴のAg濃度を3.8質量%超4.2 質量%以下、Cu濃度を0.8~1.2質量%に管理しなが はんだ付けを行うことによりはんだ付け部 引け巣を防止する方法も開示した(下記特許 文献2)。

 これらの特許文献は、現在鉛フリーはん 合金として広く使用されているSn-3.5Ag-0.7Cu よびSn-3.0Ag-0.5Cuの組成に比べて、AgおよびCu より多量に添加することによって、はんだ 面の微細な凹凸や引け巣を低減することを 図している。即ち、AgやCuの含有量を増加さ 、相対的にSn含有量を減少させることで、Sn のデンドライトの発生が低減し、表面凹凸や 引け巣の発生が抑制される。しかし、特に高 価なAgをより多量に含有するため、材料コス が高くなる。また、AgおよびCuの含有量の増 大によって、はんだの溶融温度(特に液相線 度)が高くなり、リフロー法には使いにくく る。

 特許文献1:特開2003-1481号公報
 特許文献2:特開2005-186160号公報

 本発明の1目的は、Sn-Ag-Cu系鉛フリーはん の耐温度サイクル特性を損ねず、はんだ表 の微細な凹凸や引け巣が抑制された鉛フリ はんだ合金を提供することである。

 本発明の別の目的は、高価なAgの含有量 増大させず、かつはんだの液相線温度が従 のSn-Ag-Cu系はんだと同程度の鉛フリーはんだ 合金により、鉛フリーはんだ表面の微細凹凸 や引け巣の発生を抑制することである。

 本発明者は、Sn-Ag-Cu系鉛フリーはんだのAg を減らすことによって、はんだ表面の微細な 凹凸や引け巣が低減されること、減らしたAg 代わりにBiを添加することによって耐温度 イクル特性を損ねずにはんだ表面の微細な 凸や引け巣が低減され、上記目的を達成で ることを見いだした。

 即ち、前述した特許文献1および2におけ ようなSn含有量の低減によるデンドライト生 成の低減ではなく、Sn-Ag-Cu共晶組織の生成量 大幅に抑制することによっても引け巣を抑 でき、この目的にとってAg含有量を1.5質量% 下にすることが有効である。しかし、Ag含 量が低下すると、はんだの強度も低下し、 んだ接合部の耐熱疲労特性(耐温度サイクル 性)が低下する。そのため、引け巣が抑制で きても、はんだ接合部の信頼性が低下する。 ところが、一般的には脆く、はんだの信頼性 を低下させると考えられているBiを敢えて添 することにより、Sn-3Ag-0.5Cuと同等以上耐熱 労特性を有する鉛フリーはんだ合金が得ら る。Biの添加は、引け巣発生に影響を及ぼ ず、はんだ接合部のボイド発生も低減でき 。

 本発明は、質量%でAg:0.1~1.5%、Bi:2.5~5.0%、Cu :0.5~1.0%、Ni:0~0.035%、GeおよびはGaの1種もしく 2種:0~0.01%、残部がSnおよび不可避不純物より なる組成を有する、鉛フリーはんだ合金であ る。

 Ni、GeおよびGaは任意添加合金元素である Niは、後述するその添加目的を達成するに 、0.015~0.035質量%の量で含有させることが好 しい。同様に、GeおよびはGaの1種または2種 添加する場合は、その含有量を0.0005~0.01質量 %の範囲内とすることが好ましい。

 本発明によれば、上記はんだ合金の粉末 フラックスとの混合物からなる、鉛フリー ルダペースト、およびこのソルダペースト 用いることを特徴とする、リフロー法によ プリント基板のはんだ付け方法も提供され 。

 本発明はまた、上記鉛フリーはんだ合金か なるはんだ接合部、および上記鉛フリーは だ合金からなるはんだボールも提供する。
 本発明の鉛フリーはんだ合金では、典型的 Sn-Ag-Cu系鉛フリーはんだよりAg含有量を低減 させ、デンドライトを生成するSn量を増加さ ることで、引け巣の発生が抑制される。こ は、Snデンドライト同士の結合が促進され 凝固割れが発生しにくくなるためではない と推測される。しかし、Ag量の低減により、 Sn-Ag-Cu系鉛フリーはんだの持つ優れた耐温度 イクル特性が悪影響を受ける。

 そこで、Sn-Ag-Cu系鉛フリーはんだに添加 る強度添加元素として見いだしたのがBiであ る。Biは、InやZnとともに、鉛フリーはんだの 溶融温度を低下させる添加元素としてよく知 られている金属元素である。Biは金属単体と ては硬く、脆い金属で、鉛フリーはんだにB iを添加すると硬く、はんだの伸びが減少す 傾向にある。しかし、Sn-Ag-Cu系鉛フリーはん だへのBiの添加量が2.5~5.0質量%の範囲内では はんだ合金の伸びはいくらか低下しても、 度が増加するため、耐熱疲労特性は向上す ことが判明した。Biの添加により、Ag量を1.5 量%以下まで低減させても、耐温度サイクル 性がSn-3.5Ag-0.7CuやSn-3.0Ag-0.5Cuのそれに近い水 まで改善される。

 本発明に係るSn-Bi-Ag-Cu系鉛フリーはんだ 、耐温度サイクル特性が優れているととも 、従来のSn-Ag-Cu鉛フリーはんだの欠点である 、はんだ表面の微細な凹凸や引け巣の発生が 著しく抑制される。また、Biの添加により、 イド発生を抑制し、安定した品質を持つ信 性の高いはんだ接合部を形成することが可 となる。

 本発明に係るはんだ合金は、公知のはん の使用形態のいずれにおいても使用できる 例えば、プリント基板の実装に多用されて る、はんだ合金粉末をフラックスと混合し ソルダペーストの形態でリフローはんだ付 法により使用するのに適している。また、 んだボールの形態でリフローはんだ付け法 より使用することもできる。

 本発明に係るはんだ合金は、一般的なSn-3 Ag-0.5CuおよびSn-3.5Ag-0.75Cuはんだ合金と比較し 、液相線がやや高いことがあるが、それで 差は数℃以内であるので、フローソルダリ グへの利用も十分に可能である。さらに、 んだ合金として十分な延性を有しているの 、一般的なBi入りはんだでは不可能であっ 伸線が可能であり、棒はんだ、線はんだ、 よび脂入りはんだの形態でも使用可能であ 。また、はんだプリフォームの形態でも使 できる。

実施例において引け巣長さが0.5mm以下 あるはんだ表面を示す顕微鏡写真。右側の 規の1目盛りは0.5mmである。 引け巣長さが0.5mmを超えたはんだ表面 示す顕微鏡写真。定規の目盛りは図1と同様 ある。

 本発明を以下により詳しく説明する。以下 説明において、はんだ合金組成に関する%は 、特に指定しない限り質量%である。
 本発明に係るSn-Bi-Ag-Cu系はんだ合金は、Agを 低減させ、Snを増加させることで、Snデンド イト同士の結合を促進させ、はんだ表面の 細な凹凸や引け巣の発生を少なくする。そ によるはんだ接合部の耐熱疲労特性の低下 、特定量のBiの添加により防ぐ。SnにBiのみ 添加しても、はんだの耐熱疲労特性を維持 ることは難しい。Snと金属間化合物を形成す る金属元素であるAgおよびCuを添加しないと はんだの耐熱疲労特性(耐熱サイクル特性)が 悪くなる。

 Agの含有量は0.1~1.5%である。Agの含有量が1 .5%を超えると、はんだ表面の微細な凹凸や引 け巣の発生が多くなる。Agが0.1%を下回ると、 Biを添加してもはんだの耐熱サイクル特性を 善することができなくなる。Agの好ましい 有量は0.3~1.0%である。

 Cuの含有量は0.5~1.0%である。Cuは、はんだ 耐温度サイクル特性を維持するために0.5%以 上添加する。本発明では、引け巣発生の抑制 のためにAg含有量を1.5%以下に制限しているた め、Cu含有量が0.5%未満では、Biを2.5%以上添加 しても、耐温度サイクル特性が劣化してしま う。Cu含有量が1.0%を超えると、はんだ合金の 液相線温度が上昇し、通常のリフロー温度で ははんだが完全に溶融せず、ボイドが多くな り、結局、耐温度サイクル特性が悪くなる。 好ましいCu含有量は0.6~0.9%である。

 Bi含有量は2.5~5.0%の範囲内である。Ag含有 を1.5%以下に制限した本発明に係る鉛フリー はんだ合金では、Bi含有量が2.5%より少ないと 耐温度サイクル特性が低下する。Bi含有量が5 .0%を超えると、接合部でのBi晶出が増加し、 温度サイクル特性が再び低下する。Bi含有 は好ましくは3~4.5%である。

 本発明のSn-Bi-Ag-Cu系はんだ合金は、CuやNi 極の溶解を防止するために、Niを0.015~0.035% 量で含有していてもよい。このようなNiの微 量添加では、はんだ合金の溶融温度もほとん ど上昇せず、はんだ付け後にボイドが増加す るなどの不具合も発生しない。

 本発明のSn-Bi-Ag-Cu系はんだ合金に、濡れ 改善の目的で、Geおよび/またはGaを0.0005~0.01% (2種の場合は合計量とする)添加してもよい。 それにより、はんだ付け後のボイド発生が抑 制される。この量が0.01%を超えると、溶融は だの表面張力が増加し、接合部のボイド発 が増加する。

 本発明に係るSn-Bi-Ag-Cu系はんだ合金は、 計で0.05%以下、好ましくは0.01%以下、さらに ましくは0.005%以下の微量であれば、上記以 の1種または2種以上の合金元素をさらに含 しうる。この鉛フリーはんだの残部はSnおよ び不可避不純物である。Snの含有量は好まし は93%以上96.5%以下であり、より好ましくは94 %以上96%以下である。

 前述したように、本発明に係る鉛フリーは だ合金は、はんだボール、ソルダペースト はじめとする各種の形態で使用することが きる。
 ソルダペーストは、はんだ粉末を少量のフ ックスと混合してペースト状にしたもので り、リフローはんだ付け法によるプリント 板への電子部品の実装に広く利用されてい 。ソルダペーストに用いるフラックスは、 溶性フラックスと非水溶性フラックスのい れでもよいが、典型的には、適当な活性剤 溶剤、チキソ剤を含有するロジンベースの 水溶性フラックスであるロジン系フラック である。

 はんだボールは、典型的には直径0.05~1.0mm 程度の球形のはんだであり、BGA(ボールグリ ドアレイ)などの半導体パッケージの電極や 板のバンプ形成に用いられる。前記特許文 1に記載されているように、油中造球法をは じめとする各種のはんだボールの製造法が知 られている。はんだボールは、ウェハーや基 板への搭載時にパレット上に転がされてパレ ットの穴に入れて整列させるという操作を受 けることがあるため、完全な球状とする必要 がある。ウェハーや基板に搭載されたはんだ ボールは画像認識により検査されるので、そ の表面に傷や変色があってはならない。本発 明に係る鉛フリーはんだ合金から形成された はんだボールは、表面の微細凹凸や引け巣の 発生が抑制されており、表面性状に優れてい る。

 本発明に係る鉛フリーはんだ合金を用い プリント基板のはんだ付けは、フロー法と フロー法のいずれの方法を用いて実施する ともできる。いずれも、常法に従って実施 ればよい。はんだ付けは一般にはんだ合金 固相線温度より数℃~20℃高い温度で実施さ る。本発明に係るはんだ合金は、典型的に 固相線温度が188~203℃、液相線温度は219~223 の範囲内であり、一般的なSn-3Ag-0.5Cu鉛フリ はんだと同じはんだ付け条件を用いて同様 はんだ付けを実施することができる。

 こうして形成されたはんだ接合部は、表 の微細凹凸が少なく、特に引け巣の発生が しく抑制されている。そのため、目視検査 よるクラックの識別が容易となり、また画 認識を利用した光学的な検査装置による検 もより円滑に実施することができる。

 表1に示した組成を有するはんだ合金を作 製し、以下に述べるようにして試験を行った 。測定結果も表1に併せて示す。

 [試験方法]
 1)DSCによる融点の測定
 試料を10~40mg採取し、示差走査熱量測定装置 (DSC)により、昇温速度5℃/minで、固相線温度 液相線温度を測定した。

 2)温度サイクル後の接合強度
 厚さ1.6mmの6層プリント基板に所定パターン 配置された各はんだ付け部(1.6×1.2mm)に3.2×1. 6×0.6mmのチップ抵抗をはんだ付けした。はん 付けは、各はんだ合金の粉末とロジン系フ ックスとから作製したソルダペーストをは だ付け部に150μmの厚さで印刷塗布し、ピー 温度が245℃のリフロー炉で加熱するリフロ 法により行った。

 こうして各はんだ付け部に同じチップ抵 が実装されたプリント基板を、-55℃と+125℃ にそれぞれ30分ずつの温度サイクルに1000サイ クル曝して試験試料(温度サイクルにさらし チップ抵抗)を得た。この試験試料を、接合 度試験機で横方向に力をかけることによっ 剥がし取り、そのときの強度(N:ニュートン) を測定して、接合強度とした。測定したチッ プ抵抗(試験試料)の数は各はんだ合金につい 20個ずつとし、得られた接合強度の平均値 よび最小値を表1に示す。

 3)ボイド発生
 上記温度サイクル試験を行った基板におい 、残留するチップ抵抗のはんだフィレット 10個所を、透過X線装置により倍率15倍で観 して、径が300μm以上のボイドの総数を数え 。但し、部品下のボイドは考慮しなかった

 4)引け巣
 14×18×0.3mmの銅板を、中央の直径10mmのCu露出 部を除いてソルダーレジストで被覆した。こ の銅板のCu露出部に、はんだ合金1gを載せ、 にロジン系フラックスを塗布した。この銅 を270℃に保持されているはんだ槽に浮かべ 20×20×0.3mmの銅基板の上に載せて、30秒間放 し、はんだ合金を溶融させた。その後、銅 を取り出して、空冷した。

 凝固したはんだ中央部の表面を、50倍の実 顕微鏡で25mm 2 の範囲を観察し、幅20μm×長さ200μm以上の引 巣の総延長距離を各3回測定し、その平均値 引け巣長さとした。本試験により求めた引 巣長さが1mm以下で有れば、実使用上問題な 。

 [測定結果]
 1)融点
 本発明に係るはんだ合金の液相線温度はす て230℃以下であり、固相線温度は170℃以上 あった。電子部品やプリント基板への熱影 を考慮すると、液相線温度は230℃以下が好 しい。また高温時における接合強度を弱め いためには、固相線温度は170℃以上が好ま い。従って、本発明に係るはんだ合金は、 子部品のプリント基板へのはんだ付けに適 た溶融特性を有する。

 2)温度サイクル後の接合強度
 本発明に係る鉛フリーはんだ合金は、温度 イクル(ヒートサイクル)試験後の接合強度 平均で30N以上、最小値が20N以上であった。

 温度サイクル試験では主にクラックの発 により接合強度は低下し、クラック進展が しいほど接合強度は低くなる。この温度サ クル試験ではクラックが完全に貫通すると 接合強度は10N以下となる。つまり、1000サイ クル後に平均で20N以上、且つ最小値で15N以上 であれば、十分な接合状態を維持していると 考えられる。しかし、一般の実装基板には更 に耐熱疲労特性が要求させるものもある。Sn- 3Ag-0.5Cu合金における1000サイクルの温度サイ ル試験後の接合強度の平均値と最小値が各 27N,18N(表1の比較例10)であることを考慮して それと同等以上の耐熱疲労性を有するよう 、温度サイクル後の接合強度は、平均で30N 且つ最小値が20N以上を合格とする。実施例 はんだ合金はすべて合格であった。

 3)ボイド発生
 Sn-3Ag-0.5Cu合金ではボイドが45個である。ボ ド低減を目的として開発されたSn-1Ag-0.7Cu合 やSn-0.3Ag-0.7Cu合金ではボイドが30前後である 従って、ボイドが25個以内であれば、ボイ 低減効果は十分である。本発明に係る鉛フ ーはんだ合金はボイド発生に関しても十分 満足できる結果を示した。

 4)引け巣試験
 図1は、引け巣試験における本発明に係るは んだ合金の表面を、図2は、引け巣長さが大 かった比較例のはんだ合金の表面を示す。 1のはんだ合金では、表面がほぼなだらかで 引け巣もごく幅が小さい。一方、図2の比較 例のはんだ合金では、表面がより荒く、大き な割れ目にみえる窪みが発生している。これ が引け巣である。上述したように、引け巣長 さが1mm以下であれば、実使用上問題なく、本 発明に係るはんだ合金はいずれもこの条件を 満足した。即ち、引け巣や表面の微細凹凸に 関して、従来のSn-Sg-Cuはんだに比べて著しい 善が達成された。

 本発明のSn-Bi-Ag-Cu系鉛フリーはんだは、 相線温度と液相線温度の差が少なく、現在 般的に使用されているSn-3.0%Ag-0.5%Cuのリフロ 条件(ピーク温度218℃)を用いても、220℃で 溶解量が50%を超えることから、代用が可能 ある。現在の鉛フリー用の電子部品は、Sn-3. 0%Ag-0.5%Cuを基に耐熱性が設計されているので 本発明のはんだ合金は、現在使用されてい 電子部品を、設計変更をせずにそのままは だ付けに使用できる。

 さらに、引け巣、耐温度サイクルおよび イド発生の結果も良好で、本発明の鉛フリ はんだ合金は高い信頼性を有していること 分かる。