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Patent Searching and Data


Title:
LEATHER-LIKE SHEET AND PROCESS FOR PRODUCING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/028610
Kind Code:
A1
Abstract:
A leather-like sheet which comprises: an ultrafine-long-fiber nonwoven fabric including an intertwined web structure composed of bundles of ultrafine long fibers; and a polymeric elastomer infiltrated in the fabric. It has the following features (1) to (6). (1) The bundles of ultrafine long fibers each comprises 5 to 70 ultrafine long fibers having an average single-fiber fineness of 0.5 dtex or less, (2) the bundles of ultrafine long fibers have an average fineness of 3 dtex or less, (3) the nonwoven fabric is constituted of superposed webs each composed of such bundles of ultrafine long fibers, (4) the proportion by mass of the ultrafine long fibers to the polymeric elastomer is in the range of from 70/30 to 40/60, (5) the polymeric elastomer is present in a substantially continuous state, and (6) the ratio of the breaking tenacity in the lengthwise direction to that in the cross direction is from 1/1 to 1.3/1, the elongation at break in the lengthwise direction and that in the cross direction are 80% or higher each, and the ratio of the elongation at break in the lengthwise direction to that in the cross direction is from 1/1 to 1/1.5. This leather-like sheet gives a natural solid feeling similar to that of a natural leather and has a soft texture. It has a small difference in mechanical properties between the lengthwise direction and the cross direction. It has moderately reduced extensibility and long-lasting recovery.

Inventors:
MAKIMURA MASARU (JP)
ANDOH HIDEKAZU (JP)
FUJISAWA MICHINORI (JP)
MURATE YASUNORI (JP)
ANDO YOSHIYUKI (JP)
NOBUTO YOSHIKI (JP)
MAKIYAMA NORIO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/065411
Publication Date:
March 05, 2009
Filing Date:
August 28, 2008
Export Citation:
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Assignee:
KURARAY CO (JP)
MAKIMURA MASARU (JP)
ANDOH HIDEKAZU (JP)
FUJISAWA MICHINORI (JP)
MURATE YASUNORI (JP)
ANDO YOSHIYUKI (JP)
NOBUTO YOSHIKI (JP)
MAKIYAMA NORIO (JP)
International Classes:
D06N3/00; D04H3/05; D06M15/564; D06M23/00
Domestic Patent References:
WO2007069628A12007-06-21
Foreign References:
JP2000273769A2000-10-03
JPS60252757A1985-12-13
JP2003013369A2003-01-15
JPH11140779A1999-05-25
JP2003336157A2003-11-28
JP2004011075A2004-01-15
Other References:
See also references of EP 2184400A4
Attorney, Agent or Firm:
OHTANI, Tamotsu (Bridgestone Toranomon Bldg.25-2, Toranomon 3-chome,Minato-k, Tokyo 01, JP)
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Claims:
極細長繊維束からなるウェブの絡合構造を含む極細長繊維不織布とその内部に含浸された高分子弾性体とからなる皮革様シートであって、
(1)極細長繊維束が平均単繊維繊度0.5デシテックス以下の極細長繊維を5~70本含み、
(2)極細長繊維束の平均繊度が3デシテックス以下であり、
(3)極細長繊維束からなるウェブが積み重ねられており、
(4)極細長繊維と高分子弾性体の質量比が70/30~40/60の範囲にあり、
(5)高分子弾性体が実質的に連続した状態で存在しており、かつ
(6)縦方向/横方向の破断強力比が1/1~1.3/1であり、かつ、縦方向と横方向の破断時伸長率がそれぞれ80%以上であり、その縦方向/横方向比が1/1~1/1.5である皮革様シート。
縦方向と横方向の破断強力がそれぞれ50kg/2.5cm以上であり、かつ下記式(1)~(8):
   A1≦40%           (1)
   B1≦15%           (2)
   10%≦A1-B1≦30%    (3)
   A10≦40%          (4)
   B10≦15%          (5)
   10%≦A10-B10≦30%  (6)
   A10-A1≦9 %       (7)
   B10-B1≦4 %       (8)
(式中、A1は垂直に保持した皮革様シートの下端に8kg/2.5cmの荷重をかけたとき、(荷重下での長さ-当初の長さ)/(当初の長さ)×100により求められる伸長率;B1は荷重を除いた後、(除重状態での長さ-当初の長さ)/(当初の長さ)×100により求められる伸長率;A10は、荷重/除重操作を9回繰り返した後、再度荷重をかけたとき、A1と同様にして求められる伸長率;および、B10は、荷重/除重操作を10回繰り返した後、B1と同様にして求められる伸長率である)
を満たす請求項1に記載の皮革様シート。
ウェブ配向角が73°以上である請求項1または2に記載の皮革様シート。
油剤が皮革様シートに対して0.1~10質量%含有されている請求項1~3のいずれか1項に記載の皮革様シート。
請求項1~4のいずれか1項に記載の皮革様シートの片面または両面に銀面層を形成してなる銀付調皮革様シート。
縦方向と横方向の破断強力がそれぞれ50kg/2.5cm以上、その縦方向/横方向比が1/1~1.3/1であり、かつ、縦方向と横方向の破断時伸長率がそれぞれ80%以上、その縦方向/横方向比が1/1~1/1.5である請求項5に記載の銀付調皮革様シート。
下記式(1)~(8):
   A1≦40%           (1)
   B1≦15%           (2)
   10%≦A1-B1≦30%    (3)
   A10≦40%          (4)
   B10≦15%          (5)
   10%≦A10-B10≦30%  (6)
   A10-A1≦9 %       (7)
   B10-B1≦4 %       (8)
(式中、A1は垂直に保持した銀付調皮革様シートの下端に8kg/2.5cmの荷重をかけたとき、(荷重下での長さ-当初の長さ)/(当初の長さ)×100により求められる伸長率;B1は荷重を除いた後、(除重状態での長さ-当初の長さ)/(当初の長さ)×100により求められる伸長率;A10は、荷重/除重操作を9回繰り返した後、再度荷重をかけたとき、A1と同様にして求められる伸長率;および、B10は、荷重/除重操作を10回繰り返した後、B1と同様にして求められる伸長率である)
を満たす請求項5または6に記載の銀付調皮革様シート。
(1)平均単繊維繊度0.5デシテックス以下の極細長繊維を含む極細長繊維束に変成可能な複合繊維を長繊維ウェブにする工程
(2)長繊維ウェブを、ウェブの長さ方向に対する折り返し角度75°以上にて所定間隔で連続的に繰り返し折り畳むことにより積重ウェブを得る工程
(3)積重ウェブを絡合処理して絡合不織布を得る工程
(4)絡合不織布に高分子弾性体の溶液を含浸し、湿式凝固する工程
(5)高分子弾性体を含む絡合不織布中の複合繊維を極細長繊維束に変性する工程
(6)極細長繊維束からなる極細長繊維不織布を少なくとも横方向は所定幅に保持しつつ加熱処理する工程
を(1)(2)(3)(4)(5)(6)または(1)(2)(3)(5)(4)(6)の順に実施する皮革様シートの製造方法。
折り返し角度が78~88°であって、工程(3)直前の形態角と工程(6)直後の形態角の差の絶対値が18°以下である請求項8記載の皮革様シートの製造方法。
工程(5)と工程(6)の間に、絡合不織布に水系油剤を付与する工程を実施する請求項8または9に記載の皮革様シートの製造方法。
Description:
皮革様シートおよびその製造方

 本発明は、皮革様シートに関するもので る。さらに詳しくは、自然で天然皮革に近 充実感がありソフトな風合いを有する皮革 シートであって、機械的物性の縦横方向(MD よびTD)の差が小さく、適度な伸び難さおよ 持続する回復力を有する皮革様シートに関 るものである。

 従来、自然で天然皮革に近い充実感があ ソフトな風合いを有し、さらに機械的物性 縦横方向の差が小さく、適度な伸び難さを する皮革様シートに関する提案がいくつか されてきた。例えば基材の見掛密度、基材 の不織布と高分子弾性体との質量比、銀面 の厚さ、皮革様シートのMDおよびTDの20%伸長 荷重(σ20)/5%伸長荷重(σ5)の比などを特定範囲 することで、風合いが柔らかく、かつ、大 な変形力が加わった場合においても伸びす ず、一定の伸び止め感を有する皮革様シー が得られることが提案されている(例えば、 特許文献1参照。)。しかし、提案されている 革様シートは短繊維の絡合不織布により形 されているために、伸長されると徐々に繊 間の絡合が緩み、回復性が低下する難点が る。従って、この皮革様シートで縫製され 靴は、着用中に徐々に大きくなっていくと う不都合を生じる。

 また、基体層の不織布を、繊度の異なる2 層(より太い極細繊維からなる層およびそれ り細い極細繊維からなる層)により形成し、 さ方向に繊度の傾斜をつけ天然皮革に近い 造にすることにより、伸びにくく天然皮革 近い風合いを再現する試みがある(例えば、 特許文献2参照。)。しかし、この皮革様シー もまた、短繊維からなる絡合不織布により 成されているので、伸長されると徐々に繊 間の絡合が緩み、回復性が低下する難点が る。

 極細長繊維束からなる不織布構造体およ その内部に含有された高分子弾性体からな 人工皮革用基材を形成し、平滑性や接着剥 強力、膨らみ感のある風合いを兼備する銀 調人工皮革とする試みがある(例えば、特許 文献3参照。)。しかし、その製造方法は極細 繊維束を極めて緻密に集合させることのみ 目的としており、本発明のように縦方向と 方向の機械物性の比が1に近い皮革様シート は得られていない。

 また、長繊維不織布の緻密さや柔軟性を向 させると共に、製品目付ムラを低減させる めに、連続フィラメントを集積して得られ 5g/m 2 ~50g/m 2 の重量を有する繊維ウェブを5枚~100枚積層し 不織布とする試みがある(例えば、特許文献 4,5参照。)。しかし、その製造方法では繊維 ェブの積層枚数に着目しているに過ぎず、 方向と横方向の機械物性の比が1に近い皮革 シートは得られていない。

特開2003-13369号公報

特開平11-140779号公報

WO2007/069628号公報

特開2003-336157号公報

特開2004-11075号公報

 本発明の目的は、自然で天然皮革ライク 充実感がありソフトな風合いを有し、かつ 機械的物性の縦横方向の差が小さく、適度 のびにくさおよび持続する回復力を有する 革様シートを提供するものである。

 上記課題を解決するために鋭意検討した結 、上記目的を達成する皮革様シートを見出 本発明に至った。
 すなわち、本発明は、極細長繊維束からな ウェブの絡合構造を含む極細長繊維不織布 その内部に含浸された高分子弾性体とから る皮革様シートであって、
(1)極細長繊維束が平均単繊維繊度0.5デシテッ クス以下の極細長繊維を5~70本含み、
(2)極細長繊維束の平均繊度が3デシテックス 下であり、
(3)極細長繊維束からなるウェブが積み重ねら れており、
(4)極細長繊維と高分子弾性体の質量比が70/30~ 40/60の範囲にあり、
(5)高分子弾性体が実質的に連続した状態で存 在しており、かつ
(6)縦方向/横方向の破断強力比が1/1~1.3/1であ 、かつ、縦方向と横方向の破断時伸長率が れぞれ80%以上であり、その縦方向/横方向比 1/1~1/1.5である
皮革様シートに関する。

 さらに本発明は、上記皮革様シートの片 または両面に銀面層を形成してなる銀付調 革様シートに関する。

 さらに本発明は、
(1)平均単繊維繊度0.5デシテックス以下の極細 長繊維を含む極細長繊維束に変成可能な複合 繊維を長繊維ウェブにする工程
(2)長繊維ウェブを、ウェブの長さ方向に対す る折り返し角度75°以上にて所定間隔で連続 に繰り返し折り畳むことにより積重ウェブ 得る工程
(3)積重ウェブを絡合処理して絡合不織布を得 る工程
(4)絡合不織布に高分子弾性体の溶液を含浸し 、湿式凝固する工程
(5)高分子弾性体を含む絡合不織布中の複合繊 維を極細長繊維束に変性する工程
(6)極細長繊維束からなる極細長繊維不織布を 少なくとも横方向は所定幅に保持しつつ加熱 処理する工程
を(1)(2)(3)(4)(5)(6)または(1)(2)(3)(5)(4)(6)の順に実 施する皮革様シートの製造方法に関する。

 本発明の皮革様シートおよび銀付調皮革 シートは、ソフトで着用感が良く、着用時 強い荷重、変形力がかかった際にも伸びに く、またその回復性が高いので変形しにく 。従って、本発明の皮革様シートはスポー 靴用等に最適な素材である。

ウェブの長さ方向に対する折り返し角 を説明するための概略図である。 形態角および工程(3)直前の形態角と工 (6)直後の形態角の差を説明するための概略 である。

 以下、本発明について詳述する。本発明 皮革様シートを構成する極細繊維は長繊維 あれば特に限定されるものではない。本発 において長繊維とは、紡糸で得られた連続 維をカットすることなくそのまま用いるこ を意味する。より具体的には、長繊維とは 繊維長が通常3~80mm程度である短繊維よりも い繊維長を有する繊維であり、短繊維のよ に意図的に切断されていない繊維をいう。 えば、極細化する前の長繊維の繊維長は100m m以上が好ましく、技術的に製造可能であり かつ、物理的に切れない限り、数m、数百m、 数kmあるいはそれ以上の繊維長であってもよ 。本発明の効果を損なわない限り、例えば 述する絡合時のニードルパンチや、皮革様 ート表面のバフィングにより一部の長繊維 切断されて短繊維になっていてもよい。

 良好なハンドリング性、さらに天然皮革 の柔軟性や風合いを得るためには、本発明 皮革様シートを構成する極細長繊維の平均 繊維繊度は0.5デシテックス以下、好ましく 0.0001~0.5デシテックス、より好ましくは0.001~ 0.2デシテックスである。本発明の極細長繊維 不織布は、平均単繊維繊度0.5デシテックス以 下の極細長繊維を5~70本含み、かつ、平均繊 が3デシテックス以下の極細長繊維束により 成される。極細長繊維の平均単繊維繊度が0 .5デシテックスを超えると風合いが硬くなり ましくない。また極細長繊維束の繊度が3デ シテックスを超えると得られる皮革様シート が伸びやすくなる傾向があるため好ましくな い。さらに、極細長維束中の極細長繊維が5 未満であると皮革様シートが伸びやすくな 傾向があり、70本より多くなると逆に極端に 伸びにくくなる傾向がある。

 このような極細長繊維束は公知の方法、 えば、相溶性を有しない2種以上のポリマー を混合して溶融して紡糸口金から吐出する混 合紡糸方法、または、該ポリマーを別々に溶 融して溶融物を紡糸口金で合流させ吐出する 複合紡糸方法により極細長繊維発生型繊維、 いわゆる海島型繊維(複合繊維)を紡糸し、海 分を溶解または分解除去することによって られる。海島型繊維の島数は10~100であるの 好ましく、海成分と島成分の質量比は10:90~7 0:30であるのが好ましい。長繊維からなるウ ブを効率よく得るためには、種々の方法が 用されるが、スパンボンド法が好ましく用 られる。すなわち、紡糸口金から吐出され 溶融ポリマーをエアージェットノズルのよ な吸引装置により2000~5000m/分の速度で牽引細 化した後、開繊させながら移動式の捕集面上 に堆積させて長繊維ウェブまたは長繊維ウェ ブの積層体を形成する方法である。

 本発明の極細長繊維は、先述した海島型 維の島成分に相当する。島成分としては、 クリル系ポリマー、ポリエステル、ポリア ド、ポリオレフィンなどが用いられ、ナイ ン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612 のポリアミド類、ポリエチレンテレフタレ ト、ポリプロピレンテレフタレート、ポリ チレンテレフタレート、ポリエチレンナフ レート等のポリエステル類等が好ましく、 り好ましくはナイロン6が用いられる。また 海島型繊維の海成分としては、ポリエチレン 、ポリスチレン、共重合ポリエステル、熱可 塑性ポリビニルアルコールなどが挙げられる 。

 スポンボンド方式によって得られた長繊 ウェブを、ウェブの長さ方向に対する折り し角度75°以上にて所定間隔(折り返し部分 間隔)で連続的に繰り返し折り畳むことで、 望の目付けおよび所望の幅を有する複数枚 ウェブからなる積重ウェブにする。この積 ウェブをニードルパンチ処理や高圧水流な により3次元絡合し、絡合不織布を得る。前 記所定間隔は、得られる積重ウェブの幅に応 じて選択される。図1に示すように、ウェブ 長さ方向に対する折り返し角度3とは、折り し前のウェブの端部1とウェブの折目2とが す鋭角側の角度である。折り返し角度は75° 上、好ましくは78~88°、より好ましくは80~87 である。長繊維ウェブを上記折り返し角度 連続的に折り返して折り畳んだ積重ウェブ 、絡合処理、高分子弾性体の含浸処理など 後述する諸工程を経て皮革様シートになる 本発明の皮革様シートは、好適に制御され ウェブ配向角を有する長繊維ウェブの絡合 造を含む不織布と、実質的に連続した状態 前記絡合構造の空間を充填するように存在 る高分子弾性体との複合構造を有する。前 ウェブ配向角は、皮革様シート中の長繊維 ェブの折り返し角度のことである。この複 構造により、本発明の皮革様シートは、破 強力および破断時伸長率の縦方向と横方向 の比が1に近いという従来にない極めて特異 な特性を有する。この特異的な特性は後に 述する。折り返し角度が75°未満だと、その 後の工程張力による形態変化をどのように抑 制したとしても、得られる皮革様シートにお いて、縦方向と横方向における機械的物性の 比が1に近いという特性を得ることができな 。

 絡合不織布の目付けには限定がないが、300~ 2000g/m 2 が好ましい。目的の目付けを有する長繊維ウ ェブをネット上に直接捕集することもできる が、絡合不織布の目付けムラを小さくするた めに、例えば20~50g/m 2 程度の長繊維ウェブを捕集し、それをクロス ラップなどの方法により目的の目付けに重ね 合わせる方法が好ましい。ニードルパンチ処 理は、両面から同時または交互に少なくとも 1つ以上のバーブが貫通する条件で行う。パ チング密度は、300~5000パンチ/cm 2 の範囲が好ましく、より好ましくは500~3500パ チ/cm 2 の範囲である。得られた絡合不織布には、必 要に応じて加熱ロールによるプレスなどによ って、表面の平滑化及び密度調整を行っても よい。

 絡合不織布には、好ましくは前記絡合処 に続いて高分子弾性体が含浸される。高分 弾性体を絡合不織布内部に含浸する方法と ては、高分子弾性体の有機溶媒溶液または 機溶媒分散液を含浸した後に湿式凝固させ 方法が好ましく用いられる。これにより高 子弾性体は実質的に連続(島状、点状に孤立 していない)した多孔構造となり、伸長後の 復力が発揮される。この高分子弾性体の含 処理は、後述する極細化処理の後工程とし 実施してもよいし、必要に応じて極細化処 の前工程および後工程の2回に分けて実施し もよい。

 前記高分子弾性体としては、特に限定さ ず、ポリウレタン、アクリロニトリル-ブタ ジエン共重合体、スチレン-ブタジエン共重 体、アクリル酸エステルあるいはメタクリ 酸エステルの共重合体、シリコンゴム等が 示できるが、良好な風合が得られる点でポ ウレタンが最も好ましい。ポリウレタンの フトセグメントは、皮革様シートの用途に じてポリエステル単位、ポリエーテル単位 ポリカーボネート単位の中から1種類または 数種類選択される。2種以上の高分子弾性体 を併用してもよく、必要に応じて、顔料、染 料、凝固調節剤、安定剤などと併用してもよ い。

 高分子弾性体の溶液を調整するための有 溶媒としては、アセトン、メチルエチケト 、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルム アミド等が挙げられ、ポリウレタンの良溶媒 で、湿式凝固性に優れる点でN,N-ジメチルホ ムアミド(DMF)が特に好ましい。絡合不織布に 含浸させた高分子弾性体の溶液は、液温25~70 の水浴中、あるいは高分子弾性体の良溶剤 水との混合液浴中で湿式凝固するのが好ま い。このようにすることにより、実質的に 続する多孔質の凝固高分子弾性体が得られ 。

 皮革様シートを構成する極細長繊維と高 子弾性体との質量比は、伸長時の回復力と 合いの観点から好ましくは40/60~70/30の範囲 であり、さらに好ましくは、50/50~60/40の範囲 内である。極細長繊維の比率が低くなりすぎ ると、ゴムライクな風合いとなる傾向にある ため好ましくない。極細長繊維の比率が高く なりすぎると、伸長後の回復力が十分に発揮 できなくなり好ましくない。

 次に極細化処理を行い極細長繊維不織布 得る。極細化は、例えば、極細長繊維発生 繊維が海島型繊維の場合、極細繊維成分(島 成分)および高分子弾性体の非溶剤であり、 つ、海成分の溶剤または分解剤である液体 使用し、好ましくは70~150℃で処理して、海 型繊維を極細長繊維からなる極細長繊維束 変成する。例えば高分子弾性体がポリウレ ン、島成分がナイロンまたはポリエチレン レフタレート、海成分がポリエチレンであ 場合には、溶剤としてトルエン、トリクロ エチレン、テトラクロロエチレンなどが使 される。また、極細繊維成分(島成分)がナイ ロンまたはポリエチレンテレフタレートであ り、海成分が易アルカリ分解性の変性ポリエ ステルである場合には、分解剤として苛性ソ ーダ水溶液などが使用される。このような処 理により、海島型繊維から海成分が除去され て、海島型繊維が極細長繊維束に変成され、 高分子弾性体が含浸された極細長繊維不織布 (以下、単に極細長繊維不織布という)が得ら る。

 前記した3次元絡合処理の初期段階では、 積重ウェブは十分に絡合されておらず、ウェ ブを横方向に繰り返し折り畳んだに過ぎない 状態なので、工程張力によって容易に形態が 変化する。従来の製造方法では、所望の絡合 構造に至るまでに工程張力によって縦方向に 50%以上、場合によっては100%ほども伸びてし い、それに応じて横方向には20%以上収縮し しまう。 このようにウェブの絡合工程中の 形態変化が抑制できないことから、皮革様シ ート中のウェブの配向角は絡合処理の段階で 既に73°以上保つことは困難となる。また、 記した極細化処理は、運動の自由度が高い 細繊維および繊維束を発生させるので、皮 様シートの風合いなどの商品価値を飛躍的 高める上で本発明において必須の処理工程 ある。その反面、絡合不織布構造が一気に 緩する。そのため、従来の皮革様シートの 造方法では、工程張力によって絡合不織布 造が、極細化工程の前後で縦方向に10%程度 それ以上伸ばされ、それに応じて横方向に15 %以上収縮してしまう。従って、従来の製造 法では、皮革様シートの絡合不織布構造を る上で極めて重要な絡合処理および極細化 理を経る過程において、工程張力の影響を けることなくウェブの配向角を73°以上に保 のは極めて困難である。

 しかしながら、前記した本発明の製造方 では、絡合処理および極細化処理での工程 力による形態変化が大幅に抑制されるので 皮革様シート中のウェブ配向角が73°以上、 すなわち、縦方向および横方向における繊維 配向状態が同様である繊維絡合構造を得るこ とができる。その結果、自然で天然皮革ライ クな充実感とソフトな風合いを有し、縦横方 向の機械的物性の差が小さく、適度な伸びに くさおよび回復力の持続性を兼ね備えた皮革 様シートが得られる。本発明の皮革様シート のウェブ配向角は73°以上であり、好ましく 75°以上である。ウェブ配向角の上限は86°以 下であることが好ましい。上記範囲とするこ とで、破断強力および破断時伸長率の縦方向 と横方向との比が1に近づく。

 得られた極細長繊維不織布には必要に応 て繊維間の摩擦係数を制御する目的で油剤 付与する。通常は、摩擦係数を下げるため 滑剤となる油剤を付与する。油剤としては シリコン系のものが好ましく用いられる。 与方法としては、油剤の水溶液または水分 液をディップ・ニップし強制的に極細長繊 不織布に含浸する方法、スプレー等で噴霧 浸透させる方法、バーコーター、ナイフコ ター、コンマコーター等で極細長繊維不織 に刷り込み浸透させる方法、これらの方法 組み合わせが用いられる。付与量は、油剤 形分として最終的に得られる皮革様シート 対して0.1~10質量%、好ましくは1~5質量%であ 。この範囲内であると上記特定の極細長繊 束からなるウェブの絡合構造を含む極細長 維不織布とその内部に含浸された高分子弾 体とからなる複合構造によって、適度な繊 間のすべり効果が得られ、適度な伸びと伸 後の迅速な回復が得られる。

 その後、極細長繊維不織布を、スチーム 燥機や赤外線乾燥機等の公知の方法にて加 処理する。このとき、少なくとも横方向(TD) には所定幅に極細長繊維不織布を保持する必 要がある。加熱によって極細長繊維不織布が 横方向に自然に伸びる場合は、その伸びを考 慮した幅に保持すればよい。このような自然 の伸びの有無に関わらず、加熱処理中あるい は加熱処理後に保持する幅を徐々に広げてい きながら加熱処理するのが好ましい。保持す る幅以外の加熱処理条件は、前記した範囲の 極細長繊維不織布であれば、通常は雰囲気温 度が80~130℃、処理時間が5~20分間である。処 する極細長繊維不織布が湿潤状態である場 、この加熱処理はその乾燥処理を兼ねても い。保持する幅を広げていきながら加熱処 する場合、加熱処理のライン速度を加熱処 直前のライン速度より遅くし、いわゆるオ バーフィードすることにより、極細長繊維 織布の縦方向(MD)の自然な収縮を阻害せずに 方向に無理なく拡幅させるのが好ましい。 ーバーフィードの条件は、特に限定するこ はないが、皮革様シートの物性および形態 縦方向および横方向の斑を解消するために 例えば、縦方向のオーバーフィード率(収縮 率)は0.5~5%が好ましく、横方向の拡幅率は1~10% が好ましい。

 本発明が目的とする、従来にない極めて 異的な特性を有する皮革様シートを得るた には、加熱処理直後の形態角と、前記絡合 理直前の形態角との差の絶対値が、好まし は18°以下、より好ましくは15°以下、さら 好ましくは0~13°になるように加熱処理条件 設定する。絡合処理直前の形態角とは、図2 示すように、絡合処理直前に積重ウェブ表 に描いた正方形4の対角線5と横方向の辺6が す角X(45°)のことである。正方形4はその後 工程で変形して通常は長方形になる。例え 、縦方向の張力により、正方形4は長方形7に 変形する。長方形7の対角線8と横方向の辺6が なす角Yが加熱処理直後の形態角である。こ 場合、形態角は45°を超える。横方向に張力 かかった場合、形態角は45°未満になる。

 極細繊維束に変性可能な複合繊維の絡合不 布から、織編物などの補強シートを用いな で皮革様シートを製造する従来の方法にお ては、工程張力、特に極細化段階での工程 力によって、縦方向に伸びることが避けら ず、形態角の差の絶対値はどうしても20~30° 、あるいは目付が小さな場合には30°を超え いた。しかし、本発明では前記したように 繊維ウェブを特定の折り返し角度で折り畳 で絡合処理した上で得られた絡合不織布の 部に特定の存在状態にて高分子弾性体を含 させた複合構造としているので、形態角の (図2のZ)の絶対値を18°以下にすることができ る。さらに、皮革様シート中のウェブ配向角 を73°以上の状態とすることができる。上記 囲を満足する皮革様シートは機械的物性に いて縦横方向の差が小さく、適度な伸びに さおよび回復力の持続性を兼ね備える。
 本発明では、このような従来にない製造方 を採用することで、得られる皮革様シート 縦方向と横方向の機械的物性(例えば、破断 強力、破断時伸長率、回復力など)を同等ま はその差を極めて小さくすることができる 破断強力の縦方向/横方向の比率は1/1~1.3/1で り、縦方向および横方向の破断時伸長率は れぞれ80%以上、好ましくは80~150%であり、そ の縦方向/横方向の比率は1/1~1/1.5である。

 本発明の皮革様シートの回復性は、縦方 および横方向の皮革様シートの破断強力が れぞれ50kg/2.5cm以上、好ましくは50~80kg/2.5cm とき、8kg/2.5cmの荷重下での伸長率Aおよび荷 を除いた後の伸長率Bを用いて次のように評 価した。任意の厚さ、縦方向(MD)25cm、横方向( TD)2.54cmの試料を垂直に保持し(縦方向が垂直 向になるように保持)、縦方向20cmの間隔で標 線を引いた。試料の下端に、8kg/2.5cmの荷重を かけた。10分後試料の標線間の長さ(荷重下で の長さ)を測定し、直ちに荷重を除いた。荷 を除いてから10分後、試料の標線間の長さ( 重状態での長さ)を測定した。(荷重下での長 さ-当初の長さ)/(当初の長さ)×100により荷重 での伸長率A1を求め、(除重状態での長さ-当 の長さ)/(当初の長さ)×100により除重後の伸 率B1を求めた。本発明の皮革様シートの荷 下での伸長率A1は、好ましくは40%以下(A1≦40% )、より好ましくは16~40%、さらに好ましくは18 ~35%である。除重後の伸長率B1は、好ましくは 15%以下(B1≦15%)、より好ましくは5~15%、さらに 好ましくは7~10%である。また、伸長率A1と伸 率B1の差は、好ましくは10~30%(10%≦A1-B1≦30%) より好ましくは15~25%である。上記のような 長率を示すので、本発明の皮革様シートは 好な初期回復性を示す。

 前記8kg/2.5cmの荷重下での伸長操作(10分間) と除重状態に保持する操作(10分間)を9回繰り した後、再度荷重をかけて荷重下での伸長 A10を伸長率A1と同様に求めた。また、上記 長操作/除重状態に保持する操作を10回繰り した後、除重後の伸長率B10を伸長率B1と同様 に求めた。本発明の皮革様シートの荷重下で の伸長率A10は、好ましくは40%以下(A10≦40%)、 り好ましくは17~40%、さらに好ましくは20~36% ある。除重後の伸長率B10は、好ましくは15% 下(B10≦15%)、より好ましくは10~15%、さらに ましくは10~13%である。また、伸長率A10と伸 率B10の差は、好ましくは10~30%(10%≦A10-B10≦30% )、より好ましくは15~25%である。上記のよう 伸長率を示すので、本発明の皮革様シート 繰り返し伸長した後においても良好な回復 を示す。

 また、本発明の皮革様シートにおいて、 重下での伸長率A10とA1の差は、好ましくは9% 以下(A10-A1≦9%)、より好ましくは1~6%、さらに ましくは2~5%である。除重後の伸長率B10とB1 差は、4%以下(B10-B1≦4%)、より好ましくは0~3% 、さらに好ましくは1~3%である。上記のよう 伸長率を示すので、本発明の皮革様シート 繰り返し伸長した後においても適度な伸び くさを示す。

 上記のようにして得られる本発明の皮革様 ートの見掛け密度は好ましくは0.2~0.98g/cm 3 、厚みは好ましくは0.25~2.9mm、目付は好まし は250~1000g/m 2 である。極細長繊維束の周囲は実質的に連続 した多孔質高分子弾性体で覆われているのが 好ましい。

 本発明の皮革様シートの片面または両面 造面、即ち銀面層を形成することにより銀 調皮革様シートを得ることができる。造面 としては、例えば、離型紙上に形成した高 子弾性体を主とする樹脂膜を接着剤(例えば 、ポリウレタン接着剤)にて皮革様シートの 面に接着させた後、離型紙を剥離するいわ るラミネート法、バーコーター、ナイフコ ター、コンマコーター等で皮革様シート表 に高分子弾性体溶液を塗布して膜を形成し エンボス等で型押しして目的の外観を形成 る方法、または、よりソフトな触感を得る めに皮革様シート表面に多孔膜を形成する 法が用いられる。多孔膜は、例えば、高分 弾性体溶液を皮革様シート表面に塗布した 、ジメチルホルムアミド(DMF)水溶液又は水の みからなる凝固槽に浸漬し凝固させる方法、 高分子弾性体溶液に熱膨張粒子を加え、これ を塗布する方法、または、高分子弾性体溶液 を機械攪拌した後、皮革様シートに塗布する ことにより形成することができる。発泡率や 発泡状態は、例えば、高分子弾性体溶液の濃 度、凝固液中のDMF濃度および凝固液温度など の湿式凝固条件、熱膨張粒子の添加量、高分 子弾性体溶液の攪拌条件等を適宜選択するこ とによって調節することができる。

 銀面層の厚みは無孔膜の場合には10~200μm 範囲が好ましい。上記範囲内であると、表 強度が良好であり、ソフトな風合いの銀付 皮革様シートを得ることができる。多孔膜 場合は、50~300μmの範囲が好ましい。上記範 内であると、ソフトな触感を有する銀付調 革様シートを得ることができる。また、厚 ったくゴム感が強くなることを防ぐことが き、天然皮革様の風合いを有する銀付調皮 様シートを得ることができる。

 銀面層を形成するための高分子弾性体溶 には、公知の添加物、例えば、増粘剤、硬 促進剤、増量剤、充填剤、耐光安定剤、酸 防止剤、紫外線吸収剤、蛍光剤、防黴材、 燃剤、浸透剤、界面活性剤、ポリビニルア コール、カルボキシメチルセルロースなど 水溶性高分子化合物、染料、顔料、接着剤 を配合することができる。

 銀面層および接着剤に用いられる高分子弾 体はポリウレタンが最も好適に用いられる 公知のポリウレタンを用いれば良く、適宜 の樹脂を混合しても良い。近年多くの用途 耐久性が要求されていることから、ポリエ テル系あるいはポリカーボネート系などの 久性に優れたポリウレタンを用いることが り好ましい。ポリウレタンの硬さの目安で る100%伸張時のモジュラスは10~150kg/cm 2 であることが好ましい。上記範囲内であると 、ポリウレタンの機械強度が充分であり柔軟 性も良好であるので、ソフトな風合いを有し 、不自然で粗いシワを生じることがない銀付 調皮革用シートが得られる。

 銀面層を形成する前、または形成した後 必要に応じて揉み処理し、柔軟性をさらに 好にし、天然皮革ライクな揉みシワを付与 るのが好ましい。揉み処理は、高圧液体流 色機、ウインス、タンブラー、および機械 な揉み機等公知の手段を用いることができ これらの手段を組み合わせてもよい。いず の方法を用いても、柔軟性をさらに良好に 、天然皮革ライクな揉みシワの付与が可能 ある。銀面層を形成後さらに機械的な揉み 理を行うことにより柔軟性が良好で天然皮 並みの揉みシワを有する銀付調皮革様シー を得ることができる。

 上記のようにして得られる銀付調皮革様 ートは、それを構成する皮革様シートとほ 同等の機械的物性(破断強力、破断時伸長率 、伸長率A1、A10、B1、B10)を示す。

 次に本発明を実施例により詳細に説明す が、本発明は下記実施例に限定されるもの はない。なお、実施例中の部及び%はことわ りのない限り質量に関するものである。

 各種物性は以下の方法により測定した。
(1)極細長繊維の平均単繊維繊度、極細長繊維 束中の極細長繊維本数およびの極細長繊維束 の繊度
 皮革様シートの厚さ方向と平行な任意の断 を走査型電子顕微鏡(100~300倍程度)で観察し 。観察視野から断面に対してほぼ垂直に配 した極細長繊維束を20個、万遍なく、かつ 無作為に選び出した。次いで選び出した個 の極細長繊維束の断面を1000~3000倍程度の倍 に拡大して、極細長繊維の断面積の平均値 求めた。該平均断面積と極細長繊維を構成 るポリマーの比重から極細長繊維の平均単 維繊度を求めた。また同様にして、極細長 維束中の極細長繊維の本数を求めた。

(2)極細長繊維束の繊度
 上記の方法により測定した極細長繊維の断 積および極細長繊維の本数から20個の極細 繊維束の各断面積を計算により求めた。最 の断面積および最小の断面積を削除し、残 た18個の断面積を算術平均した。得られた平 均断面積と極細長繊維を構成するポリマーの 比重から極細長繊維束の平均繊度を求めた。

(3)厚さおよび目付
 それぞれ、JIS L1096:1999 8.5、JIS L1096:1999 8.1 0.1に規定の方法により測定した。

(4)破断強力および破断時伸長率
 JIS L1096の6.12「引張り強度試験」に準じて なった。応力-歪み曲線から破断したときの 力を読み取り、また、そのときの伸びから 断時伸長率を求めた。

(5)伸長率A1、A10、B1およびB10
 上記した。

実施例1
 ナイロン-6とポリエチレンをそれぞれ1軸押 出し機中で溶融し、複合紡糸ノズルから質 比50:50、25島の海島型複合繊維を溶融紡糸し た。複合紡糸ノズルから吐出される海島型複 合繊維を3500m/分の空気流で延伸しつつ捕集ネ ットに吹き付けることで長繊維ウェブを得た 。得られた長繊維ウェブの目付けは36g/m 2 であり、海島型複合繊維の単繊維繊度は2デ テックスであった。この長繊維ウェブを、 ェブの長さ方向に対する折り返し角度84°に 一定間隔で連続的に繰り返し折り畳み、10 のウェブが積み重ねられた、幅が210cmで目付 けが360g/m 2 の積重ウェブを得た。この積重ウェブに、1 ーブのフェルト針を用いて1400パンチ/cm 2 のニードルパンチ処理を実施した後、加熱ロ ール間を通過させることで熱プレス処理して 、目付け416g/m 2 、厚み1.43mmの海島型複合繊維からなる絡合不 織布を得た。次いで、絡合不織布にポリエス テル系ポリウレタンの18%ジメチルホルムアミ ド(DMF)溶液を含浸し、水中で多孔質状に湿式 固させた後、海島型複合繊維の海成分(ポリ エチレン)を95℃のトルエンで抽出除去して極 細長繊維束に変性することで極細長繊維不織 布を得た。さらに、ナイロン-6極細繊維同士 滑り性を向上させる滑剤であるシリコン系 剤の水分散液を用いて、得られる皮革様シ トに対して1.8%になるように油剤を極細長繊 維不織布に付与した。絡合処理直前の積重ウ ェブの形態角を45°としたとき、油剤付与直 の形態角は56°であった。次いで、縦方向(MD) に2%のオーバーフィード、横方向(TD)に3%の拡 、雰囲気温度120℃の条件にて乾燥を兼ねた 熱処理を実施して皮革様シートを得た。加 処理直後の形態角は55°であり、絡合処理直 前の形態角との差の絶対値は10°であった。 られた皮革様シートの物性測定結果を表1に した。

 この皮革様シートの片側に次の条件にてラ ネート法による造面処理を行った。
 離型紙:DE-123
 塗布液の組成
  表皮層
  100部:NY-214(大日本インキ化学工業(株)製シ コン変性ポリエーテル系ポリウレタン)
  30部:DUT-4790(大日精化工業(株)製黒顔料)
  35部:DMF
  ウェット塗布量:120g/m 2
  接着層
  100部:UD-8310(大日精化工業(株)製ポリエーテ ル系ポリウレタン)
  10部:D-110N(武田薬品工業(株)製架橋剤)
  1.5部:QS(武田薬品工業(株)製架橋促進剤)
  10部:DMF
  20部:酢酸エチル
  ウェット塗布量:150g/m 2

 造面処理後に雰囲気温度60℃の乾燥機内で48 時間のキュアリング(接着層に用いたポリウ タンと架橋剤、架橋促進剤との架橋反応の 進)処理を行った。離型紙を剥がした後に機 的な揉み加工処理を行い、厚さ50μmの銀面 を有する黒色の銀付調皮革様シートを得た 得られた銀付調皮革様シートの物性測定結 を表1に示した。
 得られた銀付調皮革様シートは、ソフトな 合いで伸びにくく、かつ回復性が良く、天 皮革調の風合いをもち、スポーツ靴等の用 に特に好適な銀付調皮革様シートであった この銀付調皮革様シートを用いてサッカー ューズを作製したところ、ソフトで型崩れ ない、着用感に優れたものであった。

実施例2
 ナイロン-6とポリエチレンをそれぞれ1軸押 出し機中で溶融し、複合紡糸ノズルから質 比50:50、25島の海島型複合繊維を溶融紡糸し た。複合紡糸ノズルから吐出される海島型複 合繊維を3500m/分の空気流で延伸しつつ捕集ネ ットに吹き付けることで長繊維ウェブを得た 。得られた長繊維ウェブの目付けは36g/m 2 であり、海島型複合繊維の単繊維繊度は2デ テックスであった。この長繊維ウェブを、 ェブの長さ方向に対する折り返し角度82°に 一定間隔で連続的に繰り返し折り畳み、8枚 のウェブが積み重ねられた、幅が210cmで目付 が288g/m 2 の積重ウェブを得た。この積重ウェブに、1 ーブのフェルト針を用いて1500パンチ/cm 2 のニードルパンチ処理を実施した後、加熱ロ ール間を通過させることで熱プレス処理して 、目付け332g/m 2 、厚み1.14mmの海島型複合繊維からなる絡合不 織布を得た。次いで、絡合不織布にポリエス テル系ポリウレタンの20%ジメチルホルムアミ ド(DMF)溶液を含浸し、水中で多孔質状に湿式 固させた後、海島型複合繊維の海成分(ポリ エチレン)を95℃のトルエンで抽出除去して極 細長繊維束に変性することで極細長繊維不織 布を得た。さらに、ナイロン-6極細繊維同士 滑り性を向上させる滑剤であるシリコン系 剤の水分散液を用いて、得られる皮革様シ トに対して1.5%になるように油剤を極細長繊 維不織布に付与した。絡合処理直前の形態角 を45°としたとき、油剤付与直後の形態角は59 °であった。次いで、縦方向に1%のオーバー ィード、横方向に9%の拡幅、雰囲気温度120℃ の条件にて乾燥を兼ねた加熱処理を実施して 皮革様シートを得た。加熱処理直後の形態角 は57°であり、絡合処理直前の形態角との差 絶対値は12°であった。得られた皮革様シー の物性測定結果を表1に示した。

 得られた皮革様シートの片側に実施例1と同 一の条件にてラミネート法による造面処理、 およびキュアリング処理を行った。離型紙を 剥がした後に機械的な揉み加工処理を行い、 厚さ50μmの銀面層を有する黒色の銀付調皮革 シートを得た。得られた銀付調皮革様シー の物性測定結果を表1に示した。
 得られた銀付調皮革様シートは、ソフトな 合いで伸びにくく、かつ回復性が良く、天 皮革調の風合いをもち、スポーツ靴等の用 に特に好適な銀付調皮革様シートであった この銀付調皮革様シートを用いてバスケッ シューズを作製したところ、ソフトで型崩 のない、着用感に優れたものであった。

比較例1
 絡合不織布にエステル系ポリウレタンの18% メチルホルムアミド(DMF)溶液を含浸し、水 で湿式凝固する代わりに、エステル系ポリ レタンの20%水分散液を含浸し乾式凝固した 外は実施例1と同様にして皮革様シートを得 。得られた皮革様シートの形態角は51°であ り、積重ウェブ段階の形態角との差の絶対値 は6°であった。得られた皮革様シートの片側 に実施例1と同一の条件にてラミネート法に る造面処理、キュアリング処理、及び離型 を剥がした後の機械的な揉み加工処理を行 、厚さ50μmの銀面層を有する黒色の銀付調皮 革様シートを得た。得られた皮革様シート、 および銀付調皮革様シートの物性測定結果を 表1に示した。
 得られた銀付調皮革様シートは、ソフトな 合いであったが、腰がなく不織布ライクで った。また、高分子弾性体が実質的に連続 た状態で前記絡合構造の空間を充填するよ に存在していないため、伸びやすく、かつ 復性が悪く、天然皮革調の風合いをもつ銀 調皮革様シートとは言い難いものであった この銀付調皮革様シートを用いて実施例1と 同様にサッカーシューズを作製したところ、 実施例1のサッカーシューズとは異なり、着 中に型崩れしてしまうので、スポーツ靴用 は適さないものであった。

比較例2
 ナイロン-6とポリエチレンを質量比50:50で混 合しつつ同一溶融系で溶融紡糸して、平均島 本数約4000本、単繊維繊度10デシテックスの海 島型複合繊維を製造した。この海島型複合繊 維を3.0倍に湿熱延伸し、捲縮を付与した後、 51mmに切断して短繊維を得た。この短繊維を ードで解繊して得た目付けが25g/m 2 の短繊維ウェブを、ウェブの長さ方向に対す る折り返し角度83°にて一定間隔で連続的に り返し折り畳み、24枚のウェブが積み重ねて 、幅が288cmで目付けが600g/m 2 の積重ウェブを得た。この積重ウェブに、1 ーブのフェルト針を用いて1500パンチ/cm 2 のニードルパンチ処理を実施し、さらに加熱 ロール間を通過させることで熱プレス処理し て、目付453g/m 2 、厚み1.42mmの海島型複合繊維からなる絡合不 織布を得た。この絡合不織布を用いた以外は 実施例1と同様に油剤付与までを実施した。 合処理直前の形態角を45°としたとき、油剤 与直後の形態角は73°であった。次いで、縦 方向に1%のオーバーフィード、横方向に10%の 幅、雰囲気温度120℃の条件にて乾燥を兼ね 加熱処理を実施して皮革様シートを得た。 熱処理直後の形態角は71°であり、絡合処理 直前の形態角との差の絶対値は26°であった 得られた皮革様シートの片側に実施例1と同 の条件にてラミネート法による造面処理、 ュアリング処理、および離型紙を剥がした の機械的な揉み加工処理を行い、厚さ50μm 銀面層を有する黒色の銀付調皮革様シート 得た。得られた皮革様シート、および銀付 皮革様シートの物性測定結果を表1に示した
 得られた銀付調皮革様シートは、ソフトだ ゴム感がある風合いであり、しかも非常に び易いものであった。この銀付調皮革様シ トを用いて実施例1と同様にサッカーシュー ズを作製したところ、実施例1のサッカーシ ーズとは異なり、着用中に伸びが大き過ぎ 型崩れしてしまうので、スポーツ靴用には さないものであった。

 本発明で得られた皮革様シートは、自然 天然皮革に近い充実感がありソフトな風合 を有する皮革様シートであって、縦横方向 差がなく適度なのびにくさ、回復力を有す ために靴・鞄などに利用できる。