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Title:
LIGHT-RESPONSIVE ARTIFICIAL NUCLEOTIDE HAVING PHOTO-CROSSLINKING ABILITY
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/066447
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a photoreactive crosslinking agent which enables the cross-linking of sequences that cannot be photo-crosslinked with psoralen, and which enables the photo-crosslinking of sequences with a light having a longer wavelength than that employed for the photo-crosslinking with psoralen. Specifically disclosed is a compound having a group represented by the formula I and a group represented by the formula II bound to each other.

Inventors:
FUJIMOTO KENZO (JP)
YOSHIMURA YOSHINAGA (JP)
TOBA SHINYA (JP)
NITTA YUKARI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/003376
Publication Date:
May 28, 2009
Filing Date:
November 19, 2008
Export Citation:
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Assignee:
JAPAN ADV INST SCIENCE & TECH (JP)
SC WORLD INC (JP)
FUJIMOTO KENZO (JP)
YOSHIMURA YOSHINAGA (JP)
TOBA SHINYA (JP)
NITTA YUKARI (JP)
International Classes:
C07H19/04; C07D209/56
Foreign References:
JP3753938B22006-03-08
JP3753942B22006-03-08
JP3753938B22006-03-08
JP3753942B22006-03-08
Other References:
CHEMICAL ABSTRACTS, vol. 60, no. 68158, 1964, Columbus, Ohio, US; abstract no. 11990B-C, LOPATSINKII V.P. ET AL.: "3-Vinyl-9-alkylcarbazoles" page 16; XP008134579
AOYAMA TETSUYA ET AL.: "Electro-optic effects in mono- and di-substituted carbazoles MCLC S&T", SECTION B: NONLINEAR OPTICS, vol. 15, no. 1-4, 1996, pages 403 - 406, XP008134578
LIN L. ET AL.: "Photochemical inactivation of viruses and bacteria in platelet concentrates by use of a novel psoralen and longwavelength ultraviolet light", TRANSFUSION, vol. 37, no. 4, 1997, pages 423 - 435, XP008076529
YOSHIMURA YOSHINAGA ET AL.: "Ultrafast Reversible Photo-Cross-Linking Reaction: Toward in Situ DNA Manipulation Organic Letters", vol. 10, no. 15, 2008, pages 3227 - 3230, XP008134569
See also references of EP 2216338A4
Attorney, Agent or Firm:
SAEKI, Norio et al. (Aminosan Kaikan Building 15-8, Nihonbashi 3-chome, Chuo-k, Tokyo 27, JP)
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Claims:
 次の式I:
(ただし、式I中、Raは、シアノ基、アミド基、カルボキシル基、C2~C7のアルコキシカルボニル基、又は水素であり、
 R1及びR2は、それぞれ独立に、シアノ基、アミド基、カルボキシル基、C2~C7のアルコキシカルボニル基、又は水素である。)
で表される基と、次の式II:
 式II   Rb-
(ただし、Rbは、水素、糖(糖は、リボース、及びデオキシリボースを含む)、多糖類(多糖類は、核酸のポリリボース鎖、及びポリデオキシリボース鎖を含む)、ポリエーテル、ポリオール、ポリペプチド鎖(ポリペプチド鎖は、ペプチド核酸のポリペプチド鎖を含む)、又は水溶性合成高分子である。)
で表される基とが結合してなる化合物。
 Rbが、次の式III又は式IV:
で表される基、又は水素である、請求項1に記載の化合物。
 請求項1~2の何れかに記載の化合物からなる、光反応性架橋剤。
 塩基部分として、請求項1に記載の式I(ただし、式I中、Raは、シアノ基、アミド基、カルボキシル基、C2~C7のアルコキシカルボニル基、又は水素であり、
 R1及びR2は、それぞれ独立に、シアノ基、アミド基、カルボキシル基、C2~C7のアルコキシカルボニル基、又は水素である。)で表される基を有するヌクレオシド。
 請求項4に記載のヌクレオシドからなる、光反応性架橋剤。
  塩基部分として、請求項1に記載の式I(ただし、式I中、Raは、シアノ基、アミド基、カルボキシル基、C2~C7のアルコキシカルボニル基、又は水素であり、
 R1及びR2は、それぞれ独立に、シアノ基、アミド基、カルボキシル基、C2~C7のアルコキシカルボニル基、又は水素である。)で表される基を有するヌクレオチド。
 請求項6に記載のヌクレオチドからなる、光反応性架橋剤。
 塩基部分として、請求項1に記載の式I(ただし、式I中、Raは、シアノ基、アミド基、カルボキシル基、C2~C7のアルコキシカルボニル基、又は水素であり、
 R1及びR2は、それぞれ独立に、シアノ基、アミド基、カルボキシル基、C2~C7のアルコキシカルボニル基、又は水素である。)で表される基を有する核酸類(ただし、核酸類には、核酸及びペプチド核酸が含まれる)。
 請求項8に記載の核酸類からなる、光反応性架橋剤。
Description:
光クロスリンク能を有する光応 性人工ヌクレオチド

 本発明は、核酸類と架橋可能な光反応性 核酸塩基類似構造を有する光反応性架橋剤 及び該構造を塩基部分として備えた光クロ リンク能を有する光応答性人工ヌクレオチ に関する。

 分子生物学の分野の基本的な技術に、核 の連結がある。核酸の連結は、例えば、ハ ブリダイゼーションと組みあわせて、遺伝 の導入や、塩基配列の検出のために使用さ る。そのために、核酸の連結は、分子生物 の基礎研究だけではなく、例えば、医療分 における診断や治療、あるいは治療薬や診 薬等の開発や製造、工業及び農業分野にお る酵素や微生物等の開発や製造に使用され 極めて重要な技術である。

 核酸の連結は、例えば、DNAリガーゼ等を 用して従来から行われている。しかし、こ ような生体内の酵素反応を取り出した反応 、特別な条件設定を行わなければならず、 らに、使用される酵素類が比較的高価で、 定性に乏しい等の欠点を有する。このよう 欠点を克服するために、酵素類を使用しな 核酸の連結の技術が研究されてきた。

 酵素類を使用しない核酸の連結の技術とし 、核酸と反応性のある有機化合物を使用す 方法がある。近年、光反応を利用した核酸 結技術が、反応の時間的空間的な制御が自 であること、一般的な有機化学反応よりも 和な条件で反応可能であること等の利点か 、注目されるようになってきた。
 このような光連結技術として、5-シアノビ ルデオキシウリジンを使用した光連結技術( 許文献1:特許第3753938号公報、特許文献2:特 第3753942号公報)が知られている。

 核酸の連結と近似した重要な技術に、核 の架橋がある。例えば、DNAやRNAの架橋反応 、細胞内の遺伝情報の流れを遮断して、遺 子発現の阻害に使用される。DNAの架橋剤と ては、光反応によって架橋を生じる光架橋 (光クロスリンク剤)としてソラレンという 合物が古くから用いられている。光架橋剤 あるソラレンを医薬品として服用して光照 を行う治療方法は、皮膚疾患である乾癬の 準的な治療方法の一つとして普及している

 しかし、ソラレンの光架橋反応は、核酸二 鎖中の5’-TA-3’配列に対して優先的に起こ ために、使用できる対象が限定されている いう問題がある。また、ソラレンの光連結 長は350 nmで、光開裂波長は250 nmであるこ から、ソラレンを光架橋剤として使用する 合には、短波長の光源を使用する必要があ 、光照射によりDNAや細胞に損傷を与えやす という問題がある。

特許第3753938号公報

特許第3753942号公報

 以上のような問題があるために、ソラレ では光架橋できない配列に対して利用可能 光反応性架橋剤が求められていた。また、 ラレンと比較して、より長波長の光を用い 光架橋可能な光反応性架橋剤が求められて た。

 したがって、本発明の目的は、ソラレン は光架橋できない配列に対して架橋可能な 反応性架橋剤を提供することにある。さら 、本発明の目的は、ソラレンと比較して、 り長波長の光を用いて光架橋可能な光反応 架橋剤を提供することにある。

 本発明者は、光反応性架橋剤の探索研究 鋭意行ってきた結果、ソラレンでは光架橋 きない配列に対して架橋可能な新規な光反 性架橋剤化合物を発見し、この光反応性架 剤化合物によって上記目的を達成できるこ を見出した。

 この光反応性架橋剤化合物によれば、ソ レンでは光架橋できない配列に対して光照 による架橋を形成することができ、この架 形成反応は、ソラレンと比較して、より長 長の光を用いて行うことができる。

 本発明に係る化合物は、カルバゾール構 にビニル基が付加された特徴的な構造を有 ており、比較的に小さなこの構造によって 架橋性を発揮しているために、ソラレンと 様に様々に修飾して多様な用途で使用する とができる。さらに、本発明に係る化合物 この特徴的な構造は、核酸の塩基に類似し 構造を有しているために、人工塩基(人工核 酸塩基)として使用することができる。すな ち、本発明に係る化合物の特徴的な構造を 工塩基として導入して、人工ヌクレオシド 及び人工ヌクレオチドを製造することがで 、このような人工ヌクレオチドを配列中に んだ人工核酸類を製造することができる。 のような人工核酸類が、光反応によって架 を形成すると、それは、二重らせんの一方 鎖からもう一方の鎖へと形成された光架橋( クロスリンク)となるので、光反応性の核酸 類は、所望の配列に特異的に反応可能な二重 らせんの光クロスリンク剤として使用するこ とができる。

 したがって、本発明は次の[1]~[9]にある。
[1] 次の式I:
(ただし、式I中、Raは、シアノ基、アミド基 カルボキシル基、C2~C7のアルコキシカルボニ ル基、又は水素であり、
 R1及びR2は、それぞれ独立に、シアノ基、ア ミド基、カルボキシル基、C2~C7のアルコキシ ルボニル基、又は水素である。)
で表される基と、次の式II:
 式II   Rb-
(ただし、Rbは、水素、糖(糖は、リボース、 びデオキシリボースを含む)、多糖類(多糖類 は、核酸のポリリボース鎖、及びポリデオキ シリボース鎖を含む)、ポリエーテル、ポリ ール、ポリペプチド鎖(ポリペプチド鎖は、 プチド核酸のポリペプチド鎖を含む)、又は 水溶性合成高分子である。)
で表される基とが結合してなる化合物。
[2] Rbが、次の式III又は式IV:
で表される基、又は水素である、[1]に記載の 化合物。
[3] [1]~[2]の何れかに記載の化合物からなる、 光反応性架橋剤。
[4] 塩基部分として、[1]に記載の式I(ただし 式I中、Raは、シアノ基、アミド基、カルボ シル基、C2~C7のアルコキシカルボニル基、又 は水素であり、R1及びR2は、それぞれ独立に シアノ基、アミド基、カルボキシル基、C2~C7 のアルコキシカルボニル基、又は水素である 。)で表される基を有するヌクレオシド。
[5] [4]に記載のヌクレオシドからなる、光反 性架橋剤。
[6] 塩基部分として、[1]に記載の式I(ただし 式I中、Raは、シアノ基、アミド基、カルボ シル基、C2~C7のアルコキシカルボニル基、又 は水素であり、R1及びR2は、それぞれ独立に シアノ基、アミド基、カルボキシル基、C2~C7 のアルコキシカルボニル基、又は水素である 。)で表される基を有するヌクレオチド。
[7] [6]に記載のヌクレオチドからなる、光反 性架橋剤。
[8] 塩基部分として、[1]に記載の式I(ただし 式I中、Raは、シアノ基、アミド基、カルボ シル基、C2~C7のアルコキシカルボニル基、又 は水素であり、R1及びR2は、それぞれ独立に シアノ基、アミド基、カルボキシル基、C2~C7 のアルコキシカルボニル基、又は水素である 。)で表される基を有する核酸類(ただし、核 類には、核酸及びペプチド核酸が含まれる) 。
[9] [8]に記載の核酸類からなる、光反応性架 剤。

 さらに、本発明は、次の[10]~[13]にもある。
[10] [1]~[2]の何れかに記載の化合物を使用し 、ピリミジン環を有する核酸塩基との間に 架橋を形成する方法。
[11] [4]に記載のヌクレオシドを使用して、ピ リミジン環を有する核酸塩基との間に光架橋 を形成する方法。
[12] [6]に記載のヌクレオチドを使用してピリ ミジン環を有する核酸塩基との間に光架橋を 形成する方法。
[13] [5]に記載の核酸類と、ピリミジン環を核 酸塩基として有する他の核酸類とを、ハイブ リダイズして二重らせんを形成させる工程、
 形成された二重らせんに光照射する工程、
を含む、光架橋の形成方法。

 さらに、本発明は、次の[14]~[17]にもある。
[14] [1]~[2]の何れかに記載の化合物の、ピリ ジン環を有する核酸塩基との間に光架橋を 成するための使用。
[15] [4]に記載のヌクレオシドの、ピリミジン 環を有する核酸塩基との間に光架橋を形成す るための使用。
[16] [6]に記載のヌクレオチドの、ピリミジン 環を有する核酸塩基との間に光架橋を形成す るための使用。
[17] [5]に記載の核酸類の、ハイブリダイズし て形成された二重らせんにおいてピリミジン 環を核酸塩基として有する他の核酸類との間 に光架橋を形成するための使用。

 本発明によれば、ソラレンでは光架橋で ない配列に対して光照射による架橋を形成 ることができる。すなわち、本発明では、 橋対象が5’-TA-3’配列に限定されたソラレ では使用できない配列中の塩基に対して、 く架橋を行うことができる。

 さらに、本発明に係る化合物のカルバゾ ル構造にビニル基が付加された特徴的な構 は、人工的な核酸塩基として使用すること でき、この人工塩基を含んだ特定の配列の 酸類を、これと相補的な配列の核酸類とハ ブリダイズして二重らせんを形成すること よって、相補的な配列の核酸類の特定の位 の塩基に対して、光架橋(光クロスリンク) 形成することができる。

 したがって、本発明によれば、ソラレン は光架橋できない種々の配列中の塩基に対 て光架橋を形成できるばかりではなく、相 鎖を形成することによってある特定の配列 のある特定の位置の塩基に対して、光架橋 形成することができる。

 さらに、本発明による架橋形成反応は、 ラレンと比較して、より長波長の光を用い 行うことができる。そのために、短波長の 源を使用することが回避できるために、光 射によってDNAや細胞に損傷を与える心配が ない。

 さらに、本発明による架橋形成反応は、 ラレンと比較して、極めて短時間の光照射 行うことができる。すなわち、架橋形成が 速に行われるために、反応の迅速性が要求 れる用途にも使用することができ、さらに 照射時間の短さの点からも、光照射によっ DNAや細胞に損傷を与える心配が少ない。

図1は3-Iodocarbazole-1’-deoxyriboside のNOESY スペクトルを表す図である。 図2はODN(XT) とODN(A CNV K) の光クロスリンク反応実験のHPLC分析の結 を示すクロマトグラムである。 図3はODN(XC)とODN(G CNV K)の光クロスリンク反応実験のHPLC分析の結果 を示すクロマトグラムである。 図4はODN(A CNV K) とODN(G CNV K) との光架橋(光クロスリンク)反応の速さを 比較したグラフである。 図5は CNV K を含むODNの配列特異性を検討した実験結果 を表す図である。 図6はODN(A OMeV K) とODN(GT) の光クロスリンク反応実験のHPLC 析の結果を示すクロマトグラムである。 図7はODN(G OMeV K)とODN(GC)の光クロスリンク反応実験のHPLC分 の結果を示すクロマトグラムである。 図8はODN(A OHV K) とODN(GT)の光クロスリンク反応実験のHPLC分 析の結果を示すクロマトグラムである。 図9はODN(G OHV K)とODN(GC)の光クロスリンク反応実験のHPLC分 の結果を示すクロマトグラムである。 図10はODN(A CNV K) , ODN(A OMeV K), 及びODN(A OHV K)の光クロスリンク反応の速さを比較したグ フである。 図11はODN (A CNV K-GT)に光照射してHPLC分析した結果を示すクロ マトグラムである。 図12はODN (G CNV K-GC)に光照射してHPLC分析した結果を示すクロ マトグラムである。

 本発明を、以下に詳細に説明する。本発 は以下の具体的な実施の形態に限定される のではない。

 本発明は、次の式I:
(ただし、式I中、Raは、シアノ基、アミド基 カルボキシル基、C2~C7のアルコキシカルボニ ル基、又は水素であり、
 R1及びR2は、それぞれ独立に、シアノ基、ア ミド基、カルボキシル基、C2~C7のアルコキシ ルボニル基、又は水素である。)
で表される基と、次の式II:
 式II   Rb-
(ただし、Rbは、水素、糖(糖は、リボース、 びデオキシリボースを含む)、多糖類(多糖類 は、核酸のポリリボース鎖、及びポリデオキ シリボース鎖を含む)、ポリエーテル、ポリ ール、ポリペプチド鎖(ポリペプチド鎖は、 プチド核酸のポリペプチド鎖を含む)、又は 水溶性合成高分子である。)
で表される基とが結合してなる化合物にある 。

 すなわち、本発明は、上記式Iで表される基 及び式IIで表される基を結合させた次の式V:
(ただし、式V中の、Ra、R1、R2、Rbは、式I及び IIについて上述した通りである。)
で表される化合物にある。

 本発明に係る上記化合物は、ソラレンで 光架橋できない配列に対して光照射による 橋を形成することができ、さらに、ソラレ と比較してより長波長の光を用いて光架橋 応を行うことができる

 Raは、シアノ基、アミド基、カルボキシ 基、アルコキシカルボニル基、又は水素で り、好ましくは、シアノ基、アミド基、カ ボキシル基、アルコキシカルボニル基、又 水素であり、さらに好ましくは、シアノ基 アミド基、カルボキシル基、又はアルコキ カルボニル基である。アルコキシカルボニ 基は、好ましくはC2~C7、さらに好ましくはC2~ C6、さらに好ましくはC2~C5、さらに好ましく C2~C4、さらに好ましくはC2~C3、特に好ましく C2のものを使用することができる。

 R1及びR2は、それぞれ独立に、シアノ基、 アミド基、カルボキシル基、アルコキシカル ボニル基、又は水素であり、好ましくは、シ アノ基、アミド基、カルボキシル基、アルコ キシカルボニル基、又は水素であり、さらに 好ましくは、シアノ基、アミド基、カルボキ シル基、又はアルコキシカルボニル基である 。アルコキシカルボニル基は、好ましくはC2~ C7、さらに好ましくはC2~C6、さらに好ましく C2~C5、さらに好ましくはC2~C4、さらに好まし はC2~C3、特に好ましくはC2のものを使用する ことができる。

 Rbは、水素、糖(糖は、リボース、及びデ キシリボースを含む)、多糖類(多糖類は、 酸のポリリボース鎖、及びポリデオキシリ ース鎖を含む)、ポリエーテル、ポリオール ポリペプチド鎖(ポリペプチド鎖は、ペプチ ド核酸のポリペプチド鎖を含む)、又は水溶 合成高分子である。

 好適な実施の態様において、Rbとして水素 使用することができ、この場合における本 明に係る化合物は、次の式VI:
(ただし、式VI中の、Ra、R1、R2、式Iについて 述した通りである。)
で表される。

 好適な実施の態様において、Rbとしてリボ スを使用することができ、この場合におけ 本発明に係る化合物の一例は、次の式VII:
(ただし、式VII中の、Ra、R1、R2、式Iについて 述した通りである。)
で表されるヌクレオシド(リボヌクレオシド) ある。

 好適な実施の態様において、Rbとしてデオ シリボースを使用することができ、この場 における本発明に係る化合物の一例は、次 式VIII:
(ただし、式VIII中の、Ra、R1、R2、式Iについて 上述した通りである。)
で表されるヌクレオシド(デオキシリボヌク オシド)である。

 本発明に係る化合物は、カルバゾール構 にビニル基が付加された特徴的な構造を光 応性の人工核酸塩基として有する核酸類(光 架橋性核酸類)として使用することによって その核酸類と相補的な塩基配列を有する配 とハイブリダイズさせて二重らせんを形成 せることができ、形成した二重らせんに光 射を行うと、光架橋性核酸類の相補鎖のな で本発明に係る光反応性の人工核酸塩基と 応して塩基対となるべき塩基から1塩基分だ 3’末端側にある塩基と光架橋を形成する。

 本発明に係る光反応性の人工核酸塩基が 架橋を形成可能である相手方の塩基は、ピ ミジン環を有する塩基である。一方で、本 明に係る光反応性の人工核酸塩基は、プリ 環を有する塩基とは光架橋を形成しない。 なわち、本発明に係る光架橋性の化合物は 天然の核酸塩基としては、シトシン、ウラ ル、及びチミンに対して光架橋を形成し、 方で、グアニン及びアデニンに対しては光 橋を形成しないという、強い特異性を有し いる。

 本発明に係る光架橋剤化合物は、光反応 の人工核酸塩基として有する核酸類(光架橋 性核酸類)として使用することによって、そ 核酸類と相補的な塩基配列を有する配列と イブリダイズさせて二重らせんを形成させ ことができるために、目的とする特定の配 に対してのみ光クロスリンク反応を行わせ ことができる。すなわち、本発明に係る光 橋剤化合物は、ソラレンなどの従来の光架 剤では不可能であった、非常に高い配列選 性を、所望に応じて配列設計して、付与す ことができる。

 さらに、本発明による光架橋剤化合物は 光反応性の人工核酸塩基として有する核酸 (光架橋性核酸類)として使用して、その核 類と相補的な塩基配列を有する配列とハイ リダイズさせて二重らせんを形成させる場 に、光架橋性核酸類の相補鎖のなかで本発 に係る光反応性の人工核酸塩基と塩基対と るべき塩基については、特段の制約がなく 由に選択できる。

 本発明における核酸類とは、核酸及びペ チド核酸(PNA)を含み、さらにモノヌクレオ ドを含む。核酸としては、天然の核酸であ DNA及びRNAが含まれ、さらに、非天然(人工)の 核酸であるLNA(BNA)等の修飾核酸が含まれる。

 光架橋のために照射される光は、一般に3 50~380nmの範囲、好ましくは360~370nmの範囲、さ に好ましくは366nmの波長を含む光が好まし 、特に好ましくは、366nmの単波長のレーザー 光である。

 本発明に係る光架橋剤化合物は、他の核 (核酸類)と光照射によって光架橋した後に さらに光照射によって光開裂をすることが きる。すなわち、本発明に係る光架橋剤化 物は、可逆的な光架橋を可能とするもので り、可逆的な光架橋剤として使用すること できる。

 光開裂のために照射される光は、一般に3 30~370nmの範囲、好ましくは330~360nmの波長を含 光を使用することができる。また、好適な 施の態様において、366nmの波長を含む光、 に好ましくは、366nmの単波長のレーザー光を 使用することができる。

 好適な実施の態様において、本発明によ 光架橋及び光開裂の光反応は、350~370nmの範 の波長を含む光の照射によって行うことが き、好ましくは366nmの単波長のレーザー光 使用して行うことができる。この範囲の波 の光を使用すれば、同一の光源によって光 橋及び光開裂の光反応のいずれをも行うこ ができ、2種の光源を用意する必要がない点 有利である。この範囲の波長の光を使用す 場合には、温度条件によって、光架橋、及 光開裂のいずれの光反応が進行するかを制 することができる。光架橋反応を進行させ ためには、一般に0~50℃、好ましくは0~40℃ さらに好ましくは0~30℃、さらに好ましくは0 ~20℃、さらに好ましくは0~10℃、さらに好ま くは0~5℃の範囲の温度、特に好ましくは0℃ 光照射を行う。光開裂反応を進行させるた には、一般に60~100℃、好ましくは60~90℃、 らに好ましくは70~90℃の範囲の温度で光照射 を行う。

 本発明による光架橋及び光開裂は、光反 を利用しているために、pH、温度、塩濃度 どに特段の制約がなく、核酸類等の生体高 子が安定に存在可能なpH、温度、塩濃度とし た溶液中で、光照射によって行うことができ る。

 本発明による光架橋及び光開裂は、極め 迅速に進行し、例えば、ソラレンであれば 時間を要する条件(350nm光照射)において、わ ずか1秒間(366nm光照射)で光反応が進行する。 なわち、本発明に係る光架橋剤を使用すれ 、数秒間、例えば、1~9秒間、1~7秒間、1~5秒 、又は1~3秒間の時間の光照射によって、光 応を進行させて光架橋を形成されることが きる。

 本発明を、実施例を挙げて以下に説明す 。本発明は、以下の実施例に限定されるも ではない。

[1. ビニルカルバゾールを塩基部位に持つODN の合成]
 次のScheme 1 に従い合成を進めた。以下の 明において、化合物に付した番号で化合物 表す場合がある。

[3-Iodocarbazole (1) ]
 carbazole (2.50 g, 15.0 mmol)のエタノール溶液( 500 mL)にNaIO (0.80 g, 3.75 mmol)とI (1.89 g, 7.45 mmol)を順に加えた後、H 2 SO (1.60 mL, 30.0 mmol)のエタノール溶液(100 mL)を えて、反応溶液を65 °C で1 時間環流した TLC (HexH : AcOEt = 4 : 1) で原料の消失を 認し、NaOH (1.4 g) のエタノール溶液(100 mL) 加えて中和した。エタノールを除去した後 反応溶液をクロロホルムで2 回抽出し、水 2 回洗浄した。有機相をNa 2 SO で乾燥し、溶媒を除去した。カラムクロマト グラフィー(HexH : AcOEt = 4 : 1) で精製し、 白色粉末として1 (3.06 g, 70%)を得て、白色粉 末として3,6-diiodocarbazole (0.47 g, 7.5%)を得た
1:  1 H NMR (DMSO-d 6 ) δ 11.4 (s, 1H), 8.49 (d, 1H, J = 1.7 Hz), 8.1 4 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.62 (dd, 1H, J = 8.4, 1 .7 Hz), 7.48 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.40 (m, 1H),  7.33 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 7.16 (m, 1H).
3,6-Diiodocarbazole:  1 H NMR (DMSO-d 6 ) δ 11.5 (s, 1H), 8.56 (d, 2H, J = 1.7 Hz), 7.6 5 (dd, 2H, J = 8.5, 1.7 Hz), 7.34 (d, 2H, J = 8 .5 Hz). 

[3-Cyanovinylcarbazole (2) ]
 Triphenylphosphine (139 mg, 0.53 μmol)のジオキサ ン溶液(10 mL)にPalladium acetate (40.0 mg, 0.18 μ mol)とTriethylamine (0.59 μL, 4.23 mmol)を順に加 て、75°C で5 分間撹拌した。1 (1.03 g, 3.52 mmol)のジオキサン溶液(15 mL)とAcrylonitrile (0.4 6 μL, 7.04 mmol)を加えて、反応溶液を11.5 時 環流した。TLC (HexH : AcOEt = 4 : 1) で生 物を確認した後、綿ろ過でPalladium 粉末を取 り除いた。カラムクロマトグラフィー(HexH : AcOEt = 4 : 1) で精製し、白色粉末として2  (0.14 g, 18%, trans : cis = 97 : 3) を得て、 色粉末として1 (0.37 g, 回収率37%) を回収し た。
2:  1 H NMR (DMSO-d 6 ) δ 11.6 (s, 1H), 8.44 (s, 1H), 8.11 (d, 1H, J  = 8.0 Hz), 7.75 (d, 1H, J = 16.7 Hz), 7.69-7.72 ( m, 1H), 7.40-7.52 (m, 3H), 7.19-7.24 (m, 1H), 6.36  (d, 1H, J = 16.7 Hz). 

[3-Cyanovinylcarbazole-1’-β-deoxyriboside-3’,5’-di-(p -toluoyl)ester (3) ]
 KOH (0.22 g, 3.87 mmol)とTDA-1 (11 mg, 34 μmol) アセトニトリル溶液(20 mL)に室温で2 (0.26 g , 1.20 mmol)を加えて20 分間撹拌した。反応溶 液にChlorosugar (0.53 g, 1.24 mmol)を加えて室温 20 分間撹拌し、TLC (HexH : AcOEt = 4 : 1)で 原料の消失を確認した。沈殿物を除去した後 、カラムクロマトグラフィー(CHCl 3 )で精製し、黄色オイルとして3 (0.23 g, 33%) 得た。
3:  1 H NMR (CDCl 3 ) δ 8.09 (s, 1H), 8.02 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 7.9 8 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 7.62-7.65 (m, 1H), 7.62 (d , 1H, J = 8.8 Hz), 7.49 (d, 1H, J = 16.5 Hz), 7 .25-7.31 (m, 7H), 7.17-7.20 (m, 1H), 6.68 (dd, 1H,  J = 9.3, 5.8 Hz), 5.78 (m, 1H), 5.76 (d, 1H, J =  16.5 Hz), 4.91 (dd, 1H, J = 12.4, 2.7 Hz), 4.78 (dd, 1H, J = 12.4, 3.3 Hz), 4.55-4.57 (m, 1H), 3. 09-3.20 (m, 1H), 2.45-2.52 (m, 1H), 2.45 (s, 3H), 2 .44 (s, 3H), HRMS (MALDI): calcd. for C 36 H 30 N 2 O 5 Na [(M+ Na) + ] 593.2053, found 593.2018. 

[3-Cyanovinylcarbazole-1’-β-deoxyriboside (4) ]
 3 (0.22 g, 0.39 mmol)のメタノール溶液(20 mL) 0.5 M methanolic NaOMe (2.3 mL, 1.2 mmol)とクロ ホルム(5.0 mL)を加えて、反応溶液を室温で3 .5 時間撹拌した。TLC (CHCl : MeOH = 9 : 1) で原料の消失を確認した。 媒を除去した後、カラムクロマトグラフィ (CHCl : MeOH = 9 : 1) で精製し、白色粉末として4 (0.11 g, 81%)を得た。
4:  1 H NMR (CDCl 3 ) δ 8.12 (d, 1H, J = 1.7 Hz), 8.06 (d, 1H, J =  7.7 Hz), 7.59 (d, 1H, J = 9.1 Hz), 7.43-7.57 (m,  4H), 7.26-7.31 (m, 1H), 6.64 (dd, 1H, J = 8.2, 6 .9 Hz), 5.87 (d, 1H, J = 16.5 Hz), 4.77-4.82 (m,  1H), 3.95-4.06 (m, 3H), 2.95 (dt, 1H, J = 14.0, 8. 2 Hz), 2.30 (ddd, 1H, J = 14.0, 6.9, 3.3 Hz), HRM S (MALDI): calcd. for C 20 H 18 N 2 O 3 Na [(M+ Na) + ] 357.1215, found 357.1265. 

[5’-O-(4,4’-dimethoxytrityl)-3-Cyanovinylcarbazole-1’- β-deoxyriboside (5) ]
 ピリジン(1.0 mL × 2)で共沸した4 (97 mg, 0. 29 mmol)にピリジン(0.5 mL)を加えた。反応溶液 に4,4’-dimethoxytritylchloride (118 mg, 0.35 mmol)  4-(dimethylamino)pyridine (7.0 mg, 58 μmol)のピリ ン溶液(1.0 mL)を加えて、反応溶液を室温で1 8 時間撹拌した。TLC (CHCl : MeOH = 95 : 5) で生成物を確認した後、ピ ジンを除去した。カラムクロマトグラフィ (CHCl : MeOH = 98 : 2) で精製し、黄色粉末として5  (113 mg, 61%)を得た。
5:  1 H NMR (CDCl 3 ) δ 8.07 (d, 1H, J = 1.7 Hz, 8.02-8.05 (m, 1H), 7.71 (d, 1H, J = 8.5 Hz), 7.62-7.65 (m, 1H), 7.45 -7.52 (m, 3H), 7.33-7.37 (m, 4H), 7.25-7.28 (m, 4H),  7.12 (dd, 1H, J = 8.8, 1.7 Hz), 6.81 (dd, 4H, J  = 8.8, 1.7 Hz), 6.61 (dd, 1H, J = 8.2, 6.3 Hz),  5.77 (d, 1H, J = 16.7 Hz), 4.80-4.82 (m, 1H), 4. 05-4.07 (m, 1H), 3.77 (s, 3H), 3.76 (s, 3H), 3.56-3 .58 (m, 2H), 2.89 (dt, 1H, J = 13.8, 8.2 Hz), 2.2 3 (ddd, 1H, J = 13.8, 6.3, 2.7 Hz), 1.98 (d, 1H, J = 3.6 Hz), HRMS (MALDI): calcd. for C 41 H 36 N 2 O 5 Na [(M+ Na) + ] 659.2522, found 659.2485. 

[5’-O-(4,4’-dimethoxytrityl)-3-Cyanovinylcarbazole-1’- β-deoxyriboside-3’-O-(cyano ethoxy-N,N-diisopropylamino) phosphoramidite (6) ]
 アセトニトリル(1.5 mL)で共沸した5 (0.11 g, 0.17 mol)にアセトニトリル(1.5 mL)を加えた。 応溶液に2-cyanoethyl-N,N,N’,N’-tetraisopropylphosp horodiamidite (52 μL, 0.17 mol)と0.45 M tetrazole  アセトニトリル溶液(0.37 mL, 0.17 mol) を加 て、反応溶液を室温で1.0 時間撹拌した。 応溶液を脱酢酸処理した酢酸エチルで2 回 出し、Sat. NaHCO aq. とH 2 O で洗浄した。有機相をMgSO で乾燥し、溶媒を除去した。黄色オイルの粗 生成物である6 (0.12 g) をゴムシールボトル アセトニトリルで移し3 回共沸した後、さ なる精製をせずにDNA 合成に使用した。

[3-シアノビニルカルバゾール-1‘-β-デオキシ リボシド ( CNV K)を含有するODNの合成](Synthesis of ODN containin g 3-cyanovinylcarbazole-1’-β-deoxyriboside ( CNV K))
 下記に示す CNV K を含むODN を合成した。
  ODN(A CNV K): 5’-TGCA CNV KCCGT-3’ 
  ODN(G CNV K): 5’-TGCG CNV KCCGT-3’ 
  ODN(C CNV K): 5’-TGCC CNV KCCGT-3’ 
  ODN(T CNV K): 5’-TGCT CNV KCCGT-3’ 
 次のScheme 2 に従い合成を進めた。

[3-Methoxycarbonylvinylcarbazole (7) ]
 Palladium acetate (38.0 mg, 0.17 μmol)のDMF 溶液 (0.25 mL)に1 (0.50 g, 1.71 mmol)とTributylamine (0.4 1 μL, 1.71 mmol) とMethyl acrylate (0.38 L, 4.27  mmol)とH 2 O(1.0 mL)を順に加えて、マイクロウェーブを いて反応溶液を160 °C で10 分間反応してTLC  で反応追跡したところ、1 の消失を確認し 。桐山ろ過でPalladium 粉末を取り除いた後 カラムクロマトグラフィー(HexH : AcOEt = 3  : 1) で精製し、白色粉末として7 (0.26 g, 62% )を得た。
7:  1 H NMR (CDCl 3)  δ 8.26 (s, 1H), 8.21 (s, 1H), 8.07 (d, 1H, J =  8.0 Hz), 7.89 (d, 1H, J = 15.9 Hz), 7.61 (dd, 1 H, J = 1.7, 8.5 Hz), 7.39-7.44 (m, 3H), 7.23-7.29  (m, 1H), 6.47 (d, 1H, J = 15.9 Hz), 3.81 (s, 3H).  

[3-Methoxycarbonylcarbazole-1’-β-deoxyriboside-3’,5’- di-(p-toluoyl)ester (8) ]
 7 (0.55 g, 2.22 mmol)のアセトニトリル溶液(49  mL)に室温でNaH (92.0 mg, 2.31 mmol)を加えて10 分間撹拌した。反応溶液にChlorosugar (1.14 g, 2.66 mmol) を加えて室温で60 分間撹拌し、TLC  (HexH : AcOEt = 4 : 1) で原料の消失を確認 た。沈殿物を除去した後、カラムクロマト ラフィー(HexH : AcOEt = 4 : 1) で精製し、 色粉末として8 (0.98 g, 71%)を得た。

[3-Methoxycarbonylcarbazole-1’-β-deoxyriboside (9) ]
 8 (0.96 g, 1.59 mmol)のメタノール溶液(46 mL) 0.5 M methanolic NaOMe (9.6 mL, 4.8 mmol)とジク ロメタン(12 mL)を加えて、反応溶液を室温 1 時間撹拌した。TLC (CHCl : MeOH = 9 : 1) で原料の消失を確認した。 媒を除去した後、カラムクロマトグラフィ (CHCl : MeOH = 9 : 1) で精製し、白色粉末として9 (0.28 g, 48%)を得た。
9:  1 H NMR (CDCl 3 ) δ 8.20 (s, 1H), 8.06 (d, 1H, J = 7.7 Hz), 7.8 6 (d, 1H, J = 15.9 Hz), 7.53-7.61 (m, 3H), 7.44 ( t, 1H, J = 7.1 Hz), 7.24-7.27 (m, 1H), 6.63 (dd,  1H, J = 8.2, 7.0 Hz), 6.46 (d, 1H, J = 15.9 Hz),  4.75-4.80 (m, 1H), 3.95-4.04 (m, 3H), 3.81 (s, 1H) , 2.95 (dt, 1H, J = 14.0, 8.2 Hz), 2.28 (ddd, 1H,  J = 14.0, 7.0, 3.6 Hz). 

[5’-O-(4,4’-dimethoxytrityl)-3-methoxycarbonylvinylcarba zole-1’-β-deoxyriboside (10) ]
 ピリジン(1.0 mL × 2)で共沸した9 (0.23 g, 0 .63 mmol)にピリジン(0.5 mL)を加えた。反応溶 に4,4’-dimethoxytritylchloride (0.26 g, 0.75 mmol)  と4-(dimethylamino)pyridine (15.0 mg, 0.13 μmol)のピ リジン溶液(2.2 mL)を加えて、反応溶液を室温 で16 時間撹拌した。TLC (CHCl : MeOH = 95 : 5)で生成物を確認した後、ピリ ジンを除去した。カラムクロマトグラフィー (CHCl : MeOH = 99 : 1) で精製し、黄色粉末として1 0 (0.21 g, 51%)を得た。
10:  1 H NMR (CDCl 3 ) δ 8.17 (s, 1H), 8.02-8.05 (m, 1H), 7.83 (d, 1H,  J = 15.9 Hz), 7.62-7.66 (m, 3H), 7.46-7.49 (m, 2H ), 7.34-7.38 (m, 4H), 7.25-7.28 (m, 4H), 7.15 (d, 1 H, J = 8.8 Hz), 6.81 (dd, 4H, J = 8.8, 1.4 Hz), 6.61 (dd, 1H, J = 8.5, 6.3 Hz), 6.40 (d, 1H, J  = 15.9 Hz), 4.76-4.80 (m, 1H), 4.05-4.09 (m, 1H), 3 .80 (s, 3H), 3.77 (s, 3H), 3.76 (s, 3H), 3.56-3.57 (m, 2H), 2.89 (dt, 1H, J = 14.0, 8.5 Hz), 2.18 ( m, 1H), 2.17 (d, 1H, J = 3.8 Hz). 

[5’-O-(4,4’-dimethoxytrityl)-3-methoxycarbonylvinylcarba zole-1’-β-deoxyriboside-3 ’-O-(cyanoethoxy-N,N-diisopr opylamino)phosphoramidite (11) ]
 アセトニトリル(1.0 mL)で共沸した10 (0.20 g,  0.29 μmol)にアセトニトリル(1.3 mL)を加えた 反応溶液に2-cyanoethyl-N,N,N’,N’-tetraisopropylph osphorodiamidite (92 μL, 0.29 μmol)と0.45 M tetrazo le のアセトニトリル溶液(0.65 mL, 0.29 μmol)  を加えて、反応溶液を室温で2 時間撹拌した 。反応溶液を脱酢酸処理した酢酸エチルで2  回抽出し、Sat. NaHCO aq. とH 2 O で洗浄した。有機相をMgSO で乾燥し、溶媒を除去した。黄色オイルの粗 生成物である11 (0.25 g) をゴムシールボトル にアセトニトリルで移し3 回共沸した後、さ らなる精製をせずにDNA 合成に使用した。

[修飾したODNの合成](Synthesis of modified ODN )
 ODN(AX) (5’-TGCAXCCGT-3’, X = 9)とODN(GX) (5’- TGCGXCCGT-3’, X = 9) はABI 3400 DNA 合成機を いて合成した。それぞれ得られた反応混合 のCPG を二つに分けて、ひとつの反応混合物 は0.4 M NaOH in H 2 O : CH 3 OH = 1 : 4 を用いて37 °C で17 時間インキ ベートして脱保護し、2 M TEAA で中和した 凍結乾燥した。もうひとつの反応混合物は0 .05 M K 2 CO in CH 3 OH を用いて室温で17 時間インキュベートし 脱保護し、2 M TEAA で中和した後凍結乾燥 た。ODN(A OHV K), ODN(G OHV K), ODN(A OMeV K), ODN(G OMeV K)のDNA を逆相HPLC によって精製した。それ れのDNA を酵素分解した。単離収率はそれぞ れ5, 10, 11, 13%であった。分子量をMALDI-TOF-MS で測定した。
calcd. for ODN(A OHV K), 5’-TGCA OHV KCCGT-3’: [(M+H) + ] 2801.93, found 2802.12. 
calcd. for ODN(G OHV K), 5’-TGCG OHV KCCGT-3’: [(M+H)  + ] 2817.93, found 2818.08. 
calcd. for ODN(A OMeV K), 5’-TGCA OMeV KCCGT-3’: [(M+H)  + ] 2815.95, found 2816.07. 
calcd. for ODN(G OMeV K), 5’-TGCG OMeV KCCGT-3’: [(M+H)  + ] 2831.95, found 2831.98. 

 下記に示す NH2V K を含むODN を合成した。
ODN(A NH2V K): 5’-TGCA NH2V KCCGT-3’ 
ODN(G NH2V K): 5’-TGCG NH2V KCCGT-3’ 

[2. ビニルカルバゾール塩基部位に持つヌク オシドのNOESY スペクトル測定]
 3-Iodocarbazole-1’-deoxyriboside のNOESY スペクト ルを測定した。そのNOESY スペクトルでは、H1 ’ とH4’ の間にクロスピークが見られた( 1) 。3-iodocarbazole-1’-deoxyriboside は、β体で ると考えられる。

[3.  CNV K を含むODN を用いた光クロスリンク反応]
  CNV K を含むODN を用いて光クロスリンク反応を った(次のScheme 3参照) 。ODN(A CNV K) (20 μM)とODN(XT) (20 μM, X = A, G, C, T)の クロスリンク反応を行った(sodium cacodylate 5 0 mM, NaCl 100 mM, total volume: 30 μL)。UV-LED  用いて366 nm 光を0 °C で、1 秒間照射し 。その光反応物のHPLC の分析結果を図2 に す(elution with a solvent mixture of 50 mM ammoniu m formate, pH 7.0, linear gradient over 30 min from  3% to 20% acetonitrile)。ODN(XT) の存在下でODN(A CNV K) に光照射を行い、図2の(a)は照射前、(b)は3 66nmで1秒間の照射後のHPLC分析を表す。

 同様にして、C が光クロスリンク部位とな CNV K を含むODN を用いて光クロスリンク反応を った(次のScheme 4参照) 。ODN(G CNV K) (20 μM)とODN(XC) (20 μM, X = A, G, C, T)の クロスリンク反応を行った(sodium cacodylate 5 0 mM, NaCl 100 mM, total volume: 30 μL)。UV-LED  用いて366 nm 光を0 °C で、25 秒間照射し 。その光反応物のHPLC の分析結果を図3 に す。ODN(XC)の存在下でODN(G CNV K)に光照射を行い、図3の(a)は照射前、(b)は366 nmで25秒間の照射後のHPLC分析を表す。

  CNV K を含むODN を用いて光クロスリンク反応で 、光クロスリンク部位がT あるいはC のい れの場合にも十分に光クロスリンク反応が 行した(図4)。図4は、ODN(A CNV K) (塗りつぶした丸) とODN(G CNV K) (白抜きの丸). との光架橋(光クロスリン )反応の速さの比較をしたグラフである。

[4.  CNV K を含むODN を用いた16 種類の光クロスリン ク反応]
  CNV K を含むODN を用いて16 種類の光クロスリン ク反応を行った。ODN(A CNV K), ODN(G CNV K), ODN(C CNV K), ODN(T CNV K) (10 μM) とODN(XT), ODN(XC), ODN(XG), ODN(XA) (X = A, G, C, T, 10 μM)の光クロスリンク反応 行った(sodium cacodylate 50 mM, NaCl 100 mM, tota l volume: 200 μL)。UV-LED を用いて366 nm 光を0  °C で、1 秒間照射してUPLC を用いて分析 た(elution with a solvent mixture of 50 mM ammoniu m formate, pH 7.0, linear gradient over 3.4 min fro m 2% to 15% acetonitrile, column temperature 30 °C) 。その結果を図5に示す。

 16 種類の光クロスリンク反応を行った結果 、以下のことが見いだされた。
 光クロスリンク反応はクロスリンク相手がT  とC である時に効率よく進行する。とくにT  である時に1 s で定量的に反応が進行する 一方、A やG である時には反応が進行しな った。

[5.  OMeV K または OHV K を含むODN を用いた光クロスリンク反応]
  OMeV K を含むODN を用いて光クロスリンク反応を った。ODN(A OMeV K) (20 μM)とODN(GT) (20 μM)の光クロスリンク 応を行った(sodium cacodylate 50 mM, NaCl 100 mM,  total volume: 105 μL)。UV-LED を用いて366 nm  を0 °C で、0.5, 1, 2, 3, 5, 10, 20 秒間照 した(次のScheme 5参照) 。その光反応物のHPL C の分析結果を図6に示す(elution with a solvent  mixture of 50 mM ammonium formate, pH 7.0, linear gradient over 30 min from 3% to 20% acetonitrile)

 同様にして、C が光クロスリンク部位とな OMeV K を含むODN を用いて光クロスリンク反応を った。ODN(G OMeV K) (20 μM)とODN(GC) (20 μM)の光クロスリンク 応を行った(sodium cacodylate 50 mM, NaCl 100 mM,  total volume: 30 μL)。UV-LED を用いて366 nm  を0 °C で、180 秒間照射した(Scheme 6) 。そ の光反応物のHPLC の分析結果を図7に示す。

  OHV K を含むODN を用いて光クロスリンク反応を った。ODN(A OHV K) (20 μM) とODN(GT) (20 μM)の光クロスリンク 反応を行った(sodium cacodylate 50 mM, NaCl 100 m M, total volume: 30 μL)。UV-LED を用いて366 nm  光を0 °C で、1, 10, 25, 40, 60, 120, 180 秒 照射した(次のScheme 7参照)。その光反応物の HPLC の分析結果を図8に示す。

 同様にして、C が光クロスリンク部位とな OHV K を含むODN を用いて光クロスリンク反応を った。ODN(G OHV K) (20 μM)とODN(GC) (20 μM)の光クロスリンク 応を行った(sodium cacodylate 50 mM, NaCl 100 mM,  total volume: 30 μL)。UV-LED を用いて366 nm  を0 °C で、180 秒間照射した(Scheme 8) 。そ の光反応物のHPLC の分析結果を図9に示す。

  OMeV K を含むODN を用いて光クロスリンク反応で 、光クロスリンク部位がT の場合には10 秒 間で光クロスリンク反応が終了した。C の場 合には180 秒間で光クロスリンク反応が終了 た。一方、 OHV K を含むODN を用いて光クロスリンク反応で 、光クロスリンク部位がT の場合には180  間で光クロスリンク反応の収率は75%であっ 。C の場合には180 秒間で光クロスリンク反 応が終了した。 CNV K と OMeV K の経時変化を比較すると顕著な差が見られ た(図10) 。図10は、ODN(A CNV K) (塗りつぶした丸), ODN(A OMeV K) (白抜きの丸), 及びODN(A OHV K) (塗りつぶした四角)の光クロスリンク反応 の速さを比較したグラフである。

[6. 光クロスリンク体の光開裂反応]
 T またはC が光クロスリンク部位である光 ロスリンク体ODN(A CNV K-GT)あるいはODN(G CNV K-GC)を光反応によって調製してHPLC で分取し 。そして、ODN(A CNV K-GT) (20 μM)の光クロスリンク反応を行った(s odium cacodylate 50 mM, NaCl 100 mM, total volume:  30 μL)。トランスイルミネーターを用いて366 nm 光を70 °C で、5 分間照射した(次のScheme  9参照) 。その光反応物のHPLC の分析結果を 図11に示す。図11は、ODN (A CNV K-GT)に0℃で光照射してHPLCで分析した結果を しており、(a)は照射前、(b)は366nmで5分間の 射後である。

 同様にして、ODN(G CNV K-GC) の光クロスリンク反応を行った(sodium ca codylate 50 mM, NaCl 100 mM, total volume: 30 μL) トランスイルミネーターを用いて366 nm 光 70 °C で、5 分間照射した(次のScheme 10参 ) 。その光反応物のHPLC の分析結果を図12に 示す。光開裂反応では、光クロスリンク部位 がT あるいはC の場合においてそれぞれ収率 は29, 28% で進行した。 CNV K を含むODN を用いた光クロスリンク反応で 、反応温度を変えることによって光可逆的 反応性を示した。図12は、ODN (G CNV K-GC)に70℃で光照射してHPLCで分析した結果を しており、(a)は照射前、(b)は366nmで5分間の 射後である。