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Title:
LIQUID CRYSTAL DISPLAY
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/069249
Kind Code:
A1
Abstract:
A liquid crystal display (100) comprises a liquid crystal layer (1), a front substrate (3) and a back substrate (2) for holding the liquid crystal layer (1) between, a pair of electrodes (4, 8) arranged to sandwich the liquid crystal layer (1) and applying a voltage to the liquid crystal layer (1), circularly polarizing plates (15, 16) arranged, respectively, on the front side of the front substrate (3) and on the back side of the back substrate (2), and first and second orientation films (13, 12) formed between the liquid crystal layer (1) and the front and back substrates (3, 2), respectively, wherein the liquid crystal layer (1) has a continuous wall (10), a plurality of small chambers (14) separated by the wall (10), and a plurality of liquid crystal regions (11) formed, respectively, in the plurality of small chambers (14) for each pixel. The plurality of liquid crystal regions (11) have first and second liquid crystal regions each having a director (20) in the plane parallel with the liquid crystal (1), and the directors (20) in the first and second liquid crystal regions are turning to the directions different from each other.

Inventors:
ASAOKA YASUSHI
MINOURA KIYOSHI
SATOH EIJI
FUJIWARA SAYURI
Application Number:
PCT/JP2008/003063
Publication Date:
June 04, 2009
Filing Date:
October 28, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SHARP KK (JP)
ASAOKA YASUSHI
MINOURA KIYOSHI
SATOH EIJI
FUJIWARA SAYURI
International Classes:
G02F1/1337; G02F1/1334
Foreign References:
JPH07114009A1995-05-02
JP2002303869A2002-10-18
Attorney, Agent or Firm:
OKUDA, Seiji (10th Floor Osaka Securities Exchange Bldg., 8-16, Kitahama 1-chome, Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 41, JP)
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Claims:
 複数の画素を備えた液晶表示装置であって、
 液晶層と、
 前記液晶層を間に保持する前面基板および背面基板と、
 前記液晶層を挟んで配置され、前記液晶層に電圧を印加する一対の電極と、
 前記前面基板の前面側および前記背面基板の背面側にそれぞれ配置された円偏光板と、
 前記液晶層と前記前面基板および背面基板との間にそれぞれ形成された第1および第2配向膜と
を備え、
 前記液晶層は、前記画素のそれぞれに、
  連続した壁と、
  前記壁によって分離された複数の小部屋と、
  それぞれが、前記複数の小部屋の何れか1つに形成された複数の液晶領域と、
を有し、
 前記複数の液晶領域は、前記液晶層に平行な面内にディレクタを有する第1および第2の液晶領域を有しており、前記第1および第2の液晶領域のディレクタは互いに異なる方向を向いている液晶表示装置。
 前記複数の小部屋のそれぞれと、前記第1および第2配向膜との間には、他の小部屋は存在しない請求項1に記載の液晶表示装置。
 前記複数の小部屋のそれぞれと、前記第1および第2配向膜のうちその小部屋に最も近接する配向膜との間には、他の小部屋は存在しない請求項1に記載の液晶表示装置。
 前記複数の液晶領域のそれぞれは、前記第1および第2配向膜のうちいずれか一方と接している請求項1から3のいずれかに記載の液晶表示装置。
 前記第1および第2配向膜には配向処理が施されていない請求項1から4のいずれかに記載の液晶表示装置。
 前記第1および第2配向膜の表面自由エネルギーは44mJ/m 2 以上50mJ/m 2 以下である請求項1から5のいずれかに記載の液晶表示装置。
 前記液晶層は、各画素内に4以上の小部屋を有している請求項1から6のいずれかに記載の液晶表示装置。
 前記液晶層は、各画素内に8以上の小部屋を有している請求項7に記載の液晶表示装置。
 前記液晶層の液晶材料の誘電異方性は正である請求項1から8のいずれかに記載の液晶表示装置。
 前記液晶領域はカイラル剤を含んでいない請求項1から9のいずれかに記載の液晶表示装置。
 前記複数の小部屋の前記液晶層の厚さ方向の平均長さは2μm以上6μm以下であり、前記複数の小部屋の前記液晶層に平行な面内の平均長さは2μm以上50μm以下である請求項1から10のいずれかに記載の液晶表示装置。
Description:
液晶表示装置

 本発明は、液晶表示装置に関する。

 近年、液晶表示装置の開発が著しく進み その表示性能は格段に進歩している。しか 、液晶表示装置を用いる製品形態によって さらなる表示性能の向上が求められている 特に、高輝度、高精細な表示を行うことが きるだけでなく、従来よりも視野角特性に れた液晶表示装置の実現が望まれている。

 一般に、液晶表示装置は、一対の基板と れらの基板に挟まれた液晶層とを含んでい 。例えば、薄膜トランジスタ(Thin Film Transi stor)を用いたアクティブマトリクス表示によ 装置では、一方の基板に、液晶層に電圧を 加するための画素電極と、画素毎に設けら たスイッチング素子としての薄膜トランジ タとが形成され、他方の基板には対向電極 設けられている。また、液晶層と接する各 板表面は、液晶分子の配向を規制するため 配向膜で覆われている。

 このような液晶表示装置の視野角特性を 善する手法として、液晶層を保持する基板 一方または両方に液晶配向を規制する構造( 以下、単に「配向規制構造」という)を設け 、一画素内に、液晶分子の配向の異なる複 のドメインを形成する構造(配向分割)が知ら れている。例えば、液晶分子を基板に垂直に 配向させ、透明導電材料(例えばITO;Indium Tin  Oxide)からなる画素電極に設けられたスリット と対向基板に設けられた突起(リブ)とによっ 液晶分子の配向を規定する構造(MVAモード;Mu lti-domain Vertical Alignment)や、画素電極および 向電極に設けたスリットを用いて、斜め方 の電界(斜め電界)により液晶分子を傾かせ 構造(PVAモード;Patterned-ITO Vertical Alignment)な が提案されている。

 しかしながら、PVAモードやMVAモードの液 表示装置では、画素内にスリットやリブな の複雑な配向制御構造を造りこむ必要があ 、加工精度や光の透過率などの点から、視 角特性や表示の明るさの向上に限界がある

 これに対し、複雑な配向制御構造を形成 ることなく、より単純な構造によって視野 特性を改善する手法も提案されている。例 ば特許文献1は、液晶層に複数の液晶滴(液 領域)を形成し、これを利用して視野角を拡 することを提案している。

 特許文献1には、液晶滴を樹脂中に分散さ せた液晶層を用いた高分子分散型液晶表示装 置が開示されている(特許文献1の図61)。液晶 を挟持する一対の基板の外側には、一対の 線偏光板がクロスニコルで配置され、各直 偏光板と液晶層との間にはλ/4板が設けられ ている。この液晶表示装置では、液晶層に電 圧を印加しない状態では、液晶滴中の液晶分 子は放射状に配向し(特許文献1の図63)、白表 状態となる。液晶層に電圧が印加されると 各液晶滴中の液晶分子は基板面に対して垂 に配向し、黒表示状態となる。

 従って、基板にリブを形成したり、電極に リットを設ける手法と比べて、簡便なプロ スで安価に製造でき、かつ、視野角特性の 善された液晶表示装置を得ることができる

特開2002-303869号公報

特開平7-120728号公報

特開2000-206515号公報

特開平5-61025号公報

 特許文献1に記載された液晶表示装置では 、液晶層に電圧が印加されていない時には、 液晶滴内の液晶分子は、液晶滴のほぼ中心に あるディスクリネーション点を中心として放 射状に配向する。液晶滴のディレクタは液晶 層の厚さ方向に傾きを有し、その傾きは液晶 滴の形状等に起因して液晶領域毎に異なるの で、液晶層の面内の位置によってリタデーシ ョンにばらつきが生じるという問題がある。

 また、液晶層に電圧が印加されると、液 滴内の液晶分子は液晶層面内に垂直(電界に 平行)に配向しようとする。このとき、放射 配向をとっている液晶分子の一部は右回り 他の一部は左回りに回転する。従って、液 滴内の配向は過渡的に乱れ、電圧に応じた 定な配向状態に到達するまでに時間がかか 。このように、液晶滴内の液晶分子の動き まとまりがなく、無統制となるため、応答 度が低下してしまう。

 さらに、白表示時に、各液晶滴のほぼ中 のディスクリネーション点付近では光が透 しないので、表示の明るさが低下するとい 問題もある。

 本発明は、上記事情に鑑みてなされたも であり、その目的は、液晶表示装置におい 、配向分割のための複雑な構造を形成する となく、高い応答特性を確保しつつ、視野 特性を改善することにある。

 本発明の液晶表示装置は、複数の画素を えた液晶表示装置であって、液晶層と、前 液晶層を間に保持する前面基板および背面 板と、前記液晶層を挟んで配置され、前記 晶層に電圧を印加する一対の電極と、前記 面基板の前面側および前記背面基板の背面 にそれぞれ配置された円偏光板と、前記液 層と前記前面基板および背面基板との間に れぞれ形成された第1および第2配向膜とを え、前記液晶層は、前記画素のそれぞれに 連続した壁と、前記壁によって分離された 数の小部屋と、それぞれが、前記複数の小 屋の何れか1つに形成された複数の液晶領域 を有し、前記複数の液晶領域は、前記液晶 に平行な面内にディレクタを有する第1およ び第2の液晶領域を有しており、前記第1およ 第2の液晶領域のディレクタは互いに異なる 方向を向いている。

 ある好ましい実施形態において、前記複 の小部屋のそれぞれと、前記第1および第2 向膜との間には他の小部屋は存在しない。

 ある好ましい実施形態において、前記複 の小部屋のそれぞれと、前記第1および第2 向膜のうちその小部屋に最も近接する配向 との間には他の小部屋は存在しない。

 好ましくは、前記複数の液晶領域のそれ れは、前記第1および第2配向膜のうちいず か一方と接している。

 好ましくは、前記第1および第2配向膜に 配向処理が施されていない。

 前記第1および第2配向膜の表面自由エネル ーは44mJ/m 2 以上50mJ/m 2 以下であってもよい。

 前記液晶層は、各画素内に4以上の小部屋 を有していることが好ましい。より好ましく は、前記液晶層は、各画素内に8以上の小部 を有している。

 ある好ましい実施形態において、前記液 層の液晶材料の誘電異方性は正である。

 ある好ましい実施形態において、前記液 領域はカイラル剤を含んでいない。

 前記複数の小部屋の前記液晶層の厚さ方 の平均長さは2μm以上6μm以下であり、前記 数の小部屋の前記液晶層に平行な面内の平 長さは2μm以上50μm以下であってもよい。

 本発明の液晶表示装置では、一画素内に 液晶層と平行な面内にディレクタを有する なくとも2つの液晶領域を備えており、これ らの液晶領域のディレクタは互いに異なる方 向を向いているので、視野角特性を向上でき る。

 また、液晶領域のディレクタが面内に存 するので、液晶層面内のリタデーションの らつきを低減できる。

 さらに、各液晶領域は液晶層に平行なデ レクタを有するモノドメインと見なされる そのため、この液晶層に電圧を印加すると 液晶領域内の液晶分子は、1つのディレクタ としてまとまって動いて、液晶層の厚さ方向 に配向する。従って、液晶領域内の液晶分子 が放射状に配向している場合と比べて、液晶 領域内の配向状態をより高速に切り換えるこ とが可能となり、液晶表示装置の応答特性を 大幅に高めることができる。

 本発明によると、画素内にリブやスリッ など複雑な構造を形成することなく、より 純な構造で配向分割と同様の効果を得るこ ができ、視野角特性に優れた液晶表示装置 簡便なプロセスで安価に製造できるので有 である。

(a)は、本発明による実施形態の液晶表 装置を模式的に示す断面図であり、(b)は、 一の画素における液晶層を模式的に示す図 あり、(a)に示す液晶表示装置のIb-Ib’線に った断面図である。 (a)および(b)は、本発明による実施形態 液晶表示装置の表示原理を説明するための 式図であり、(a)および(b)は、それぞれ、液 層に電圧を印加しない時および電圧を印加 た時における液晶領域内の液晶分子の配向 例示する断面図である。 (a)および(b)は、それぞれ、水平配向膜A およびBを用いたサンプル液晶セルNo.1、No.2の 液晶層の断面SEM像を示す図である。 (a)および(b)は、それぞれ、液晶領域に ける液晶分子の配向状態の一例を示す模式 な平面図および断面図である。 (a)は、サンプル液晶セルNo.5を、偏光顕 微鏡を用いてクロスニコル状態で観察した顕 微鏡像を示す図であり、(b)は、(a)の状態から 偏光板を45°回転させた状態の顕微鏡像を示 図である。 (a)および(b)は、サンプル液晶セルNo.5の 断面SEM像および平面SEM像を示す図である。 サンプル液晶セルNo.6を用いて、表示の コントラストの方位角依存性を測定した結果 を示す図である。 本発明による実施形態の他の表示装置 模式的な断面図である。

符号の説明

 1      液晶層
 2      背面基板
 3      前面基板
 4      画素電極
 5      薄膜トランジスタ
 6      カラーフィルター
 7      平坦化膜
 8      対向電極
 10     壁
 11     液晶領域
 12、13  配向膜
 14、14L、14U   小部屋
 15、16  円偏光板
 20     ディレクタ
 22     液晶分子
 24、26  光
 32、33  ガラス基板
 36     極
 100    液晶表示装置

 以下、図1および図2を参照しながら、本 明によるある好ましい実施形態の液晶表示 置を説明する。

 図1(a)は、本発明による実施形態の液晶表 示装置を模式的に示す断面図である。図1(b) 、液晶層に電圧を印加しない時(電圧無印加 )の、単一の画素における液晶層の構成を説 明するための模式図であり、基板と平行な断 面を示している。図2(a)および(b)は、液晶層 電圧を印加しない時(電圧無印加時)および電 圧を印加した時(電圧印加時)における液晶領 内の液晶分子の配向を例示する模式的な断 図である。

 まず、図1(a)を参照する。液晶表示装置100 は、前面基板3と、前面基板3に対向するよう 配置された背面基板2と、これらの基板2、3 間に設けられた液晶層1と、前面基板3の前 側および背面基板2の背面側にそれぞれ配置 れた円偏光板15、16とを備えている。円偏光 板15、16は、図示しないが、直線偏光板およ λ/4板の積層構造を有しており、その直線偏 板における吸収軸が互いに直交する(クロス ニコル)ように配置されている。液晶層1は、 表示時に液晶層1を通過する光が略半波長の リタデーションを受けるように構成されてい る。すなわち、液晶層1のリタデーション(液 層1の複屈折率δnと厚さdとの積δn・d)は0.29~0 .38μmに設定されている。

 背面基板2の液晶層側の表面には、複数の スイッチング素子(ここでは薄膜トランジス )5と、複数の透明な画素電極4と、配向膜12と がこの順に形成されている。本実施形態にお ける配向膜12は水平配向膜であり、液晶層1の 背面側の表面と接している。複数の画素電極 4は、互いに離間して配置され、画像表示の 単位となる画素を規定している。本実施形 では、これらの画素電極4はマトリクス状に 列され、それぞれ、対応する薄膜トランジ タ5のソース電極(図示せず)と電気的に接続 れている。

 一方、前面基板3の液晶層側の表面には、 画素電極4と対応するように配置されたR(赤色 )、G(緑色)およびB(青色)などのカラーフィル ー6と、カラーフィルター6を被覆して平坦化 するための平坦化膜7と、透明な対向電極8と 配向膜13とがこの順に形成されており、配 膜13は液晶層1の前面側の表面と接している 本実施形態における配向膜13も、配向膜12と 様に水平配向膜である。

 液晶層1は、壁10によって複数の小部屋14 分割されている。各小部屋14の中には液晶領 域11が形成されている。壁10は、例えば高分 から形成されている。なお、図1(a)では、壁1 0および配向膜12、13が小部屋14となる空間を 囲しているが、壁10のみが小部屋14となる空 を包囲していてもよい。

 また、図1(b)からわかるように、各画素内 において、少なくとも2つの小部屋14が配置さ れており、壁10は連続している。これらの小 屋14内の液晶領域11は、液晶層1と平行な面 にディレクタ20を有している。また、液晶領 域11のディレクタ20は、それぞれ、面内でラ ダムな方向を向いている。なお、本実施形 では、面内にディレクタ20を有し、かつ、そ の方向が互いに異なる少なくとも2つの液晶 域11が1つの画素内に配置されていればよい

 次いで、図2(a)を参照しながら、各液晶領 域11の液晶分子の配向状態の一例を詳しく説 する。図示するように、電圧無印加時には 液晶領域11内の液晶分子22の一部は配向膜12 13の影響を受けて平行に配向する。また、 晶領域11内の液晶分子22の他の一部は、壁10 影響を受けて傾斜する。しかしながら、液 領域11内の液晶分子22の配向は連続であり、 晶領域11内の液晶分子22は、1つのディレク 20で配向方向が表わされるモノドメインを形 成している。

 このように、本実施形態では、画素領域 含まれる複数の液晶領域11のディレクタ20は 、面内でランダムに配向している。従って、 従来の配向分割構造と同様に視野角特性を向 上させることができる。また、液晶層面内で リタデーションを略均一にできるので、リタ デーションのばらつきに起因する表示ムラを 抑制できる。さらに、各液晶領域11内の液晶 子はモノドメインとして振舞うので、例え 特許文献1などに記載された放射状の配向を 有する液晶滴を利用する場合と比べて、電圧 印加時の応答特性を大幅に改善できる。さら に、液晶領域11の内部に光の透過を妨げるデ スクリネーションが存在しないため、透過 を高く保つことが可能である。その上、前 したMVAモードやPVAモードの表示装置のよう 、画素内にリブやスリットなどの複雑な配 制御構造を形成することなく配向分割を行 ことができるので、製造プロセスや製造コ トの面から有利である。

 ここで、図2(a)および(b)を参照しながら、 液晶表示装置100の表示原理を説明する。

 図2(a)に示すように、電圧無印加時には、 液晶領域11のディレクタ20は基板2、3に平行に 配向している。背面基板2の背面側から光24を 入射させると、光24は、まず、直線偏光板お びλ/4板からなる円偏光板16を通過して右円 光または左円偏光24aになり、液晶層に入射 る。液晶層では、ディレクタ20が基板2、3に 平行に向いているので、円偏光24aに位相差パ イが与えられて、逆向きの円偏光24bとなる。 前述したように、円偏光板15、16の直線偏光 は、吸収軸が互いに直交するように配置さ ているため、円偏光24bは円偏光板15を透過し 、直線偏光となって観察者側に出射する。従 って、白表示状態が得られる。

 一方、図2(b)に示すように、液晶層1に所 値以上の電圧を印加すると、液晶領域11のデ ィレクタ20は基板2、3に垂直に配向する。こ とき、背面基板2の背面側から光26を入射さ ると、光26は、円偏光板16を通過して右円偏 または左円偏光26aになり、液晶層を通過す 。液晶層では、ディレクタ20が基板2、3に垂 直に向いているので、円偏光26aには位相差が 与えられず、円偏光26aのまま液晶層を出射す る。円偏光26aは円偏光板15を透過できないの 、光26は観察者側に出射せず、黒表示状態 なる。

 なお、図示しないが、液晶層に所定値未 の電圧を印加すると、液晶領域のディレク が液晶層の厚さ方向に対して傾斜する方向 向く。このとき、液晶層は、液晶層を通過 る円偏光に対し、0より大きく、かつ、π未 の位相差を与えるので、中間調表示を行う とができる。中間調表示状態における各液 領域のディレクタにおける面内成分は、白 示状態のディレクタに依存し、液晶領域ご にそれぞれ異なる方向に向くために、配向 割の効果が得られる。

 なお、特開平7-120728号にも、複数の液晶 域を有する液晶層を用いた表示装置が記載 れている。しかしながら、この表示装置で 、電圧無印加時の液晶領域内の液晶分子の 向は放射状または同心円配向であり、面内 ディレクタを有していないため、本実施形 のように面内のディレクタを利用して配向 割の効果を得ることはできない。また、各 晶領域は放射状または同心円配向を有する で、その略中央にディスクリネーションが 在し、透過率が低くなるという問題もある さらに、液晶分子の動きが鈍く、高い応答 性を実現することも困難である。

 特開2000-206515号には、TN(Twisted Nematic)モー ドの液晶表示装置において、前面基板をなく して表示装置の軽量化を図る目的で、複数の 液晶領域が配置された液晶層を用いることが 提案されている。しかしながら、これらの液 晶領域のディレクタは配向膜によって規定さ れる所定の方向を向いており、本実施形態の ように、ディレクタの異なる液晶領域を一画 素内に設けて配向分割の効果を得るものでは なく、従って、高い視野角特性を実現するこ とは難しい。

 さらに、特開平5-61025号にも、複数の液晶 滴(液晶領域)を利用した液晶表示装置が開示 れている。この液晶表示装置では、それぞ 異なる液晶および二色性色素(青、緑、赤、 黒)を含む4種類の液晶滴を用いて、コントラ トの高いマルチカラー表示を行うことを目 としている。従って、特開平5-61025号は、本 実施形態のようにディレクタの異なる液晶領 域を利用して配向分割を行うものではない。 また、この液晶表示装置は、図2を参照しな ら前述した表示原理を利用しておらず、円 光板も使用していない。

 本実施形態において、各小部屋14内の液 領域11のディレクタ20は、配向膜12、13による 規制力や小部屋14の構造の影響を受ける。各 晶領域11のディレクタ20が面内でランダムな 方向を向くように構成するためには、配向膜 12、13はラビング処理などの配向処理が施さ ていないことが好ましい。配向膜12、13にラ ング処理などが施されていなければ、画素 の複数の液晶領域11が全て特定の一方向(ラ ング方向など)に配向しないので、配向方向 はランダムとなる。これにより、一画素内に 配向方向の異なる液晶領域11をより確実に形 できるので、視野角特性を向上できる。

 また、配向膜12、13によって液晶領域11の 向状態をより確実に規制するためには、一 素内に形成された液晶領域11のうち少なく も2つの液晶領域11が、配向膜12、13の一方ま は両方と接していることが好ましい。これ より、これらの液晶領域11内の液晶分子を り確実に基板に略平行な方向に配向させる とができる。なお、本明細書において、「 晶領域11が配向膜12、13と接する」とは、液 領域11内の一部の液晶分子が配向膜12、13と 接接する場合の他、液晶領域11と配向膜12、1 3との間に液晶分子および高分子などを含有 る極めて薄い膜(例えば10nm以下)を介在して ても、液晶領域11の液晶分子が配向膜12、13 影響を受ける場合も含むものとする。

 小部屋14は、液晶層1の厚さ方向に1層また は2層で配列されていることが好ましい。小 屋14が液晶層1の厚さ方向に3層以上で配列さ ていると、最上層と最下層との間に位置す 液晶領域は配向膜12、13の影響を受けないの で、その液晶領域は面内にディレクタを有す るモノドメインとしてみなされなくなる。液 晶層1がこのような液晶領域を多く含んでい と、配向分割の効果が十分得られなかった 、応答速度の改善効果が低下するおそれが る。また、液晶層面内のリタデーションの らつきを十分に低減できないおそれもある さらに、リタデーションのわりに液晶層1が くなり、駆動電圧が高くなってしまう可能 もある。これに対し、小部屋14が液晶層1の さ方向に2層以下で配列されていれば、一画 素内の略全ての液晶領域11を配向膜12、13に接 するように形成することが可能になり、本発 明による応答速度の改善効果をより高めるこ とができる。また、液晶層面内のリタデーシ ョンを略均一にできるので表示ムラをより効 果的に抑制できる。さらに、液晶層1の厚さ 小さく抑えることができるので、駆動電圧 より低くできる。

 なお、小部屋14が液晶層1の厚さ方向に1層 で配列されている(以下、「1層構造」)とは、 複数の小部屋14のそれぞれと、配向膜12、13と の間には、他の小部屋が存在しないことをい う。また、小部屋14が液晶層1の厚さ方向に2 で配列されている(以下、「2層構造」)とは 複数の小部屋14のそれぞれと、配向膜12、13 うちその小部屋14に最も近接する配向膜との 間に他の小部屋が存在しないことをいう。

 後で詳しく説明するように、液晶領域11が 向膜12、13と接するように小部屋14を形成す ためには、配向膜12、13の表面自由エネルギ を最適化することが好ましい。これは、本 発明者らが種々の検討を重ねた結果、得ら た知見である。表面自由エネルギーの好適 範囲は、液晶層1の材料によって変わるが、 例えば44mJ/m 2 以上50mJ/m 2 以下である。

 本実施形態では、一つの画素内に配置され 小部屋14の数(すなわち液晶領域11の数)は2以 上であればよいが、好ましくは4以上である 小部屋14の数が4以上であれば、一つの画素 配向方向の異なる4以上の領域に分割できる で、視野角特性を効果的に改善できる。よ 好ましくは、一つの画素内に配置される小 屋14の数が8以上である。一方、小部屋14の が多すぎると、各小部屋14が小さくなり、配 向膜12、13と接しない液晶領域11が生じやすく なる。また、小部屋14の壁10と液晶分子との 互作用によって液晶分子の動きが鈍くなり 応答速度が遅くなるおそれもある。例えば 画素サイズを80×220μm、小部屋14の幅の平均 (後述する平均幅W AVE )を5μm以上とすると、一画素内の小部屋14の の上限は約700個となる。

 液晶層1の厚さ方向における小部屋14の長さH の平均値(以下、単に「平均高さH AVE 」という)は、液晶層1の厚さの1/3以上である とが好ましく、より好ましくは1/2以上であ 。小部屋14の平均高さH AVE が液晶層1の厚さの1/3未満になると、液晶層1 厚さ方向における中央部に、配向膜12、13の 影響を受けない液晶領域11が形成されやすく る。このような液晶領域11では、液晶分子 液晶層1の厚さ方向に沿って配向し、面内に ィレクタ20が存在しなくなるため、電圧無 加時の液晶分子の配向を制御することが困 となるからである。

 一方、液晶層1の面内における小部屋14の最 幅Wの平均値(以下、単に「平均幅W AVE 」という)は、画素幅の1/2以下であることが ましく、より好ましくは1/3以下であり、こ により、一画素内により確実に4以上の小部 14を配置できる。一方、平均幅W AVE が小さすぎると、液晶領域11が配向膜12、13に 接し難くなり、また、小部屋14の壁10と液晶 子との相互作用によって液晶分子の動きが くなってしまう。例えば、画素サイズを80×2 20μmとし、小部屋14の平均幅W AVE を5μm以上とすると、平均幅W AVE は画素幅の1/44以上となる。

 好ましくは、小部屋14の平均高さH AVE は例えば2μm以上6μm以下の範囲内で適宜選択 れ、かつ、平均幅W AVE は例えば2μm以上50μm以下の範囲内で適宜選択 される。この理由を以下に説明する。

 小部屋14内の液晶領域11が大きくなりすぎる と、液晶領域11に、液晶分子配向が不連続と るディスクリネーションが発生しやすくな 。ディスクリネーションが発生すると、白 示時でも、液晶領域11に光が透過しない領 が生じるため、白表示の明るさが低下する 因となるおそれがある。また、液晶領域11の ディスクリネーション近傍では液晶分子の駆 動が鈍くなるので、応答速度が低下するおそ れもある。よって、液晶領域11の大きさは、 ィスクリネーションが発生しない程度に抑 されていることが好ましく、例えば小部屋1 4の平均長さH AVE を6μm以下、かつ、小部屋14の平均幅W AVE を50μm以下に抑えることにより、小部屋14内 液晶領域11におけるディスクリネーションの 発生を効果的に抑制できる。

 さらに、小部屋14の平均幅W AVE が50μmより大きくなると、一画素内に含まれ 小部屋14の数、すなわち液晶領域11の数が少 なくなり、画素によって方位依存性が発生し てムラ表示を引き起こすおそれがあるが、平 均幅W AVE が50μm以下であれば、そのようなムラ表示が じることを抑制できる。

 一方、小部屋14の平均高さH AVE や平均幅W AVE が2μm未満であれば、小部屋14の壁10と液晶領 11の液晶分子との相互作用の影響が顕著に るため、液晶分子の駆動が鈍くなる。また 配向膜12、13と接しない液晶領域11の数が多 なりやすく、視野角特性や応答速度を十分 改善できない可能性がある。従って、小部 14の平均高さH AVE および平均幅W AVE は何れも2μm以上であることが好ましい。

 液晶層1の材料は特に限定されないが、液 晶層の液晶材料の誘電異方性は正であること が好ましい。液晶材料の誘電率異方性が負で ある場合、液晶分子は電圧をオンにした時に 基板に平行になるよう倒れなければいけない が、倒れる方向を規制することができず、液 晶滴内の分子は一様配向から乱れやすく、液 晶領域内にディスクリネーションが発生した り、液晶分子の動きを妨げるおそれがあるか らである。また、図2を参照しながら上述し 表示原理を利用するためには、液晶層はカ ラル剤を含んでいないことが好ましい。

 本実施形態における液晶層1は、高分子分 散型液晶(PDLC;Polymer Dispersed Liquid Crystal)と同 様の材料を用いて形成できる。例えばネマチ ック液晶材料(すなわち低分子液晶組成物)お び光硬化性樹脂(モノマーおよび/またはオ ゴマー)の混合物を相溶させて透明基板間に 置した後、光硬化性樹脂を重合することに って得られる。光硬化性樹脂の種類は特に 定されないが、好ましくは紫外線硬化性樹 を用いる。紫外線硬化性樹脂を用いると、 合を行う際に上記混合物を加熱する必要が いので、他の部材への熱による悪影響を防 できる。モノマー、オリゴマーは単官能で 多官能でもよい。

 本実施形態では、液晶性を示す紫外線硬 性樹脂と液晶組成物との混合物(液晶混合物 )を、紫外線等の活性光線の照射により光硬 させることによって液晶層1を形成する。液 混合物としては、例えば、紫外線硬化性材 と液晶とを20:80の重量比で混合し、少量の 開始剤を添加することによって得られた、 温でネマチック液晶相を示す液晶混合物を いることができる。

 上記の液晶混合物は、例えば真空注入法 たは滴下注入(ODF:One Drop Fill)法によって一 の基板の間に保持された後、紫外線で照射 れる。これによって、紫外線硬化性プレポ マーが重合して高分子となり液晶と相分離 、高分子からなる壁と、その壁によって分 された複数の液晶領域とを有する液晶層が 成される。

 なお、PDLCを用いた液晶表示装置(高分子 散型液晶表示装置)では偏光板や配向膜を使 しない。PDLCは、液晶層に対する電圧の印加 により散乱状態と光透過状態との間で光学特 性を切り換えることができるので、PDLCを用 ると、偏光板および配向膜を使用せずに表 を行うことができるからである。これに対 、本実施形態は、PDLCと同様の材料を用いる 、配向膜および円偏光板も使用し、これに って、新規な配向分割のモードを実現する のである。また、高分子分散型液晶表示装 で用いるPDLCは、液晶滴の径を小さく抑えて 散乱強度を高めるために比較的大きい複屈折 率δnを有しているが、本実施形態における液 晶層は、リタデーション(δn・d)を所望の値( えば0.29~0.38μm)に制御するために、PDLCよりも 小さい複屈折率δnを有する。例えば、液晶層 の厚さdが4μmのとき、δnの好適な範囲は0.07以 上0.1以下となる。

 <液晶表示装置の製造方法>
 本実施形態における液晶表示装置は、例え 以下のような方法で製造できる。ここでは 真空注入法を用いて液晶層を形成する方法 例に説明する。

 まず、薄膜トランジスタおよび画素電極が 成されたガラス基板(背面基板)、および、 ラーフィルターや対向電極が形成されたガ ス基板(前面基板)の表面に、それぞれ、スピ ンコート法またはインクジェット法を用いて 配向膜を均一に塗布し、所定の温度で焼成を 行う。配向膜にはラビング処理を施さない。 また、配向膜として、後述する方法で測定し た表面自由エネルギーが47mJ/m 2 の水平配向膜を用いる。

 次いで、光硬化性のモノマー、光重合開始 、ポジ型液晶を均一に混ぜ合わせて液晶混 物を作製する。混ぜ合わせる際の温度は、 晶混合物がネマチック相に転移する温度T ni 以上の温度とする。また、液晶の組成比は80~ 85%である。得られた混合物を、転移温度T ni 以上の温度で保持する。

 続いて、前面基板と背面基板とをそれぞ 配向膜を内側にして対向させ、一定のギャ プを確保するためのスペーサを介して貼り わせる。

 これらの基板を転移温度T ni 以上で保持し、その間隙に、上記の転移温度 T ni 以上の温度で保持された液晶混合物を充填す る(真空注入法)。この後、転移温度T ni 以上の温度において、混合物に光(紫外線)を 射して、混合物内のモノマーから高分子を 成すると同時に、高分子と液晶とを相分離 せる。これにより、前面基板と背面基板と 間に液晶層が形成される。

 この後、前面基板および背面基板を挟む うに、前面基板の前面側および背面基板の 面側にそれぞれ円偏光板を設ける。これら 円偏光板は、その直線偏光部分が互いにク スニコルになるように配置される。このよ にして、液晶表示装置を得る。

 上記の方法では、液晶層を形成する際に 空注入法を用いているが、代わりにODF法を いてもよい。その場合の液晶層の形成方法 以下に説明する。

 まず、真空注入法を用いる場合と同様の 法で、配向膜の形成および液晶混合物の作 を行う。

 次いで、転移温度T ni 以上で保持された背面基板または前面基板の 配向膜上に、転移温度T ni 以上の温度で保持された所定量の液晶混合物 を滴下する。この後、混合物を滴下された基 板に対して、他方の基板をスペーサを介して 対向させて貼り合わせる。

 続いて、転移温度T ni 以上の温度で基板間の液晶混合物に光(紫外 )を照射することによって、混合物内のモノ ーから高分子を形成すると同時に、高分子 液晶とを相分離させて液晶層を得る。

 上述したような方法で液晶表示装置を製 する場合、液晶領域のサイズや形状、配置 どの液晶層の構造は、配向膜の種類や液晶 の形成条件によって制御できる。以下に詳 く説明するように、液晶領域の大きさは、 晶混合物に対する光の照射条件によって調 でき、また、液晶層における液晶領域の配 は、配向膜の種類によって調整することが 能である。

 <液晶領域の大きさと液晶混合物に対する 光の照射条件との関係>
 本実施形態では、高い応答速度を確保しつ 、配向分割によって視野角特性を効果的に 善するためには、小部屋の大きさ(すなわち 液晶領域の大きさ)を所定の範囲に制御する 要がある。上述した液晶混合物を用いて液 層を形成する場合には、液晶領域の大きさ 、液晶混合物に対する光の照射条件によっ 調整することができる。本願発明者らは、 の照射条件と液晶領域の大きさとの関係を 討したので、その方法および結果を以下に 明する。

 まず、2枚のガラス基板の表面にITO膜および 配向膜をこの順に形成し、これらのガラス基 板の間に、真空注入法で液晶混合物を注入す る。配向膜の形成方法や液晶混合物の材料・ 混合比などは、前述した方法と同様とする。 次いで、ガラス基板間の液晶混合物に対して 光を照射し、重合相分離させて液晶層を形成 する。照射強度は、2mW/cm 2 ~140mW/cm 2 の範囲内から選択する。このようにして、照 射強度の異なる複数の液晶セル(「サンプル 晶セル」とする)を作製する。

 なお、サンプル液晶セルを作製する際の 射光として、350nm以下の波長をカットする ィルターなどを通過した光を利用する。波 が350nm以下の光が照射されると、液晶混合物 内の液晶が分解してしまう等の不具合が発生 するからである。

 また、光の照射時間は、液晶混合物に含ま るモノマーが重合するために十分な時間と る。ここでは、液晶領域の液晶材料のT ni が、原料として液晶混合物に含まれる液晶の T ni ’の99%以上となる程度を目安として照射時間 を設定する。例えば、照射強度が50mW/cm 2 のときの照射時間は50secである。

 この後、各サンプル液晶セルにおける小部 の大きさをSEM観察によって求める。具体的 は、サンプル液晶セルを切断して小部屋内 液晶を有機溶剤で洗い流す。次いで、この ンプル液晶セルから前面基板を剥がし、ス ッタ法で導電膜を薄く形成した後、液晶層 の小部屋を上方から観察する。ここでは、 画素内に位置する複数個(例えば100個)の小 屋の最大幅を計測し、その平均値(平均幅)W AVE を求める。

 得られたSEM観察結果を、まず、分解前の各 ンプル液晶セルを光学顕微鏡で観察した結 と比較した。その結果、SEMで観察された小 屋の形状や配置は、分解前の各サンプル液 セルにおける液晶領域の形状や配置と一致 ていることを確認した。従って、SEM観察に って求めた小部屋の平均幅W AVE は、小部屋内に形成される液晶領域の平均幅 と等しくなると考えられる。

 SEM観察によって得られた小部屋の平均幅W AVE (すなわち液晶領域の平均幅)と液晶混合物に 射する光の強度との関係を表1に示す。表1 示す結果から、光の照射強度が小さいと液 領域は大きくなり、照射強度が大きいほど 晶領域が小さくなることがわかり、照射強 によって液晶領域の大きさを制御できるこ が確認された。また、液晶領域の平均幅を2 m以上50μm以下に制御するためには、照射強 を2mW/cm 2 以上50mW/cm 2 以下の範囲内で設定すればよいことがわかっ た。なお、照射強度の数値範囲は、使用する 液晶混合物の材料や混合比によって変わる。

 ここでは、液晶領域の平均幅を求めたが 液晶領域の平均高さも、液晶層の厚さ(例え ば4μm)以下の範囲内では、液晶領域の平均幅 同じように照射条件によって制御すること できる。ただし、液晶領域が大きく、例え 液晶層の厚さ方向に亘って液晶領域が形成 れると(1層構造)、液晶領域の平均高さは液 層の厚さによって決まるため、照射条件に かわらず一定となる。

 <液晶領域の配置と配向膜の表面自由エネ ルギーとの関係>
 液晶領域11の液晶配向をより確実に制御す ためには、小部屋14は液晶層1の厚さ方向に2 以下となるように配置され、略全ての小部 14内の液晶領域11の配向が配向膜12、13によ て規制されることが好ましい。本願発明者 は、液晶領域11の配置を制御するための液晶 セルの作製条件について種々の検討を行った 結果、配向膜12、13の特性(表面自由エネルギ )を制御することが重要であるという知見を 得た。以下に、液晶セルの作製条件の検討方 法および結果を詳しく説明する。

 ここでは、表面自由エネルギーの異なる4 種類の水平配向膜A~Dを用いる。このうち水平 配向膜A(AL1T1048:JSR社製商品名)はTFTを用いた液 晶表示装置に一般的に使用される配向膜であ り、水平配向膜Aは水平配向膜Bよりも高い電 保持率を有する。水平配向膜B(Plx1400:日立化 成デュポンマイクロシステムズ社製商品名) 市販されている水平配向標準セルに用いら ている水平配向膜である。水平配向膜C(AL1L50 9:JSR社製商品名)およびDは、それぞれ、STN(Supe r Twisted Nematic)モード、および、IPS(In-Plane-Swi tching)モードの液晶表示装置に一般的に使用 れる配向膜である。

 まず、4種類の水平配向膜の表面自由エネル ギーを測定する。測定では、協和界面科学株 式会社製の固液界面解析装置(DropMaster500)を用 い、液滴法によりプローブ液体の平均接触角 を求める。プローブ液体として、水、エチレ ングリコール、ジヨードメタンを用いる。こ れらのプローブ液体の表面自由エネルギーは 、それぞれ、72.8mJ/m 2 、47.7mJ/m 2 、50.8mJ/m 2 である。具体的には、各水平配向膜表面に上 記プローブ液体を約30μl滴下して接触角を測 する。10回測定した接触角の平均値を算出 て、各プローブ液体についての「平均接触 」を得る。この後、付属ソフトウェアーで るFAMAS表面自由エネルギー解析アドインソフ トウェアーを用いてKitazaki-Hata法で解析を行 ことにより、その水平配向膜の表面自由エ ルギーを得る。

 この結果、水平配向膜Bでは、水、エチレン グリコール、ジヨードメタンの液滴の接触角 はそれぞれ、76.6°、45.5°、26.6°であった。得 られた接触角度を用いて解析を行った結果、 この配向膜の表面自由エネルギーは47±2.2mJ/m 2 となった。同様にして、水平配向膜A、Cおよ Dの表面自由エネルギーを求めたところ、そ れぞれ、41mJ/m 2 、54mJ/m 2 、65mJ/m 2 であった。

 次いで、上記水平配向膜A~Dを用いて、それ れ、サンプル液晶セルを作製する。ここで 、2枚のガラス基板の表面に配向膜を形成し 、これらのガラス基板の間に、真空注入法で 液晶混合物を注入する。配向膜の形成方法や 液晶混合物の材料・混合比などは、前述した 方法と同様とする。この後、ガラス基板間の 液晶混合物に対して、50mW/cm 2 の強度で光(紫外線)を照射し、重合相分離さ て液晶層を形成する。このようにして、水 配向膜A~Dを用いたサンプル液晶セルNo.1~No.4 得る。

 得られた各サンプル液晶セルNo.1~No.4を切 して小部屋内の液晶を有機溶剤で洗い流し 後、スパッタ法で観察しようとする断面に 電膜を薄く蒸着し、断面SEM観察を行う。さ に、サンプル液晶セルの一方のガラス基板 剥がして、液晶層の上方から平面SEM観察を う。この断面および平面SEM観察により、高 子の壁によって規定された小部屋の配列状 を観察することができる。

 上記の平面SEM観察の結果を、まず、分解 の各サンプル液晶セルを光学顕微鏡で観察 た結果と比較した。その結果、平面SEM観察 れた小部屋の形状や配置は、分解前の各サ プル液晶セルにおける液晶領域の形状や配 と一致していることを確認した。従って、 面SEM観察による液晶層の厚さ方向の小部屋 配列状態は、液晶層の厚さ方向の液晶領域 配列状態と一致するものと考えられる。

 断面SEMによる小部屋の観察結果を説明す 。図3(a)および(b)は、それぞれ、水平配向膜 AおよびBを用いたサンプル液晶セルNo.1および No.2の断面SEM像を示す図である。

 サンプル液晶セルNo.1およびNo.2では、ガ ス基板32、33の間に液晶層1が形成されており 、液晶層1は、高分子からなる壁10によって形 成された複数の小部屋14を有している。

 サンプル液晶セルNo.1では、図3(a)に示す うに、液晶層1の厚さ方向に3以上の小部屋14 配置されている部分が見られた。そのため 液晶層1に形成された複数の小部屋14のうち 部の小部屋14は配向膜12、13に接しているが 液晶層1の厚さ方向の中央には、配向膜12、1 3の何れにも接していない小部屋14が存在して いた。これらの小部屋14内に形成される液晶 域では、液晶分子は配向膜12、13の規制をほ とんど受けずに略垂直に配向する可能性が高 いと考えられる。

 また、サンプル液晶セルNo.3およびNo.4の 晶層でも、サンプル液晶セルNo.1と同様に、 晶層の厚さ方向に3以上の小部屋が形成され ており、液晶層の中央に配向膜に接していな い小部屋が存在することが観察された。

 これに対し、サンプル液晶セルNo.2では、 図3(b)に示すように、小部屋14は液晶層1の厚 方向において2層で配列され、下層の小部屋1 4Lは配向膜12と接しており、上層の小部屋14U 配向膜13と接していた。従って、配向膜12、1 3と接していない小部屋14が見られなかった。 このことから、配向膜12、13の規制を受けず 液晶分子が垂直に配向してしまう液晶領域 ほとんど形成されないと考えられ、他のサ プル液晶セルNo.1、No.3およびNo.4よりも高い 答特性が得られることが確認された。

 サンプル液晶セルNo.1~No.4の配向膜A~Dの表 自由エネルギーの測定結果および小部屋の 列状態を表2に示す。

 表2に示す結果から、配向膜の表面自由エネ ルギーを例えば44mJ/m 2 以上50mJ/m 2 以下(Kitazaki-Hata法で解析)に設定することによ り、より確実に液晶領域を2層以下で配列す ことができることがわかった。これにより 液晶層全体に存在する液晶領域のうち、液 層の中央に位置し、何れの配向膜の規制も けない液晶領域の割合を低減できるので、 晶層の面内におけるリタデーションのばら きを低減でき、表示ムラを抑制できる。

 なお、サンプル液晶セルNo.1およびNo.2の ンプル液晶セルの一方のガラス基板を剥が て、液晶層の上方から平面SEM観察を行うと サンプル液晶セルNo.1では、高分子が凝集し いる領域が多く観察された。これに対し、 ンプル液晶セルNo.2では、高分子と液晶領域 とは略均一に分離していた。よって、サンプ ル液晶セルNo.2では、高分子の凝集によるム 表示が抑制されて、より高い表示特性が得 れることがわかった。

 <液晶領域内の液晶分子の配向状態1>
 図4(a)および(b)は、それぞれ、液晶領域にお ける液晶分子の配向状態の一例を示す模式的 な平面図および断面図であり、図4(a)は一画 内に配置された複数の液晶領域の配向状態 示し、図4(b)は、単一の液晶領域の配向状態 示している。

 図4(a)に示すように、ソースおよびゲート 配線42、44によって包囲された画素40には、複 数の液晶領域11が配置されている。また、図4 (b)に示すように、各液晶領域11は配向膜12、13 と接しており、液晶領域11のディレクタは基 表面に平行に配向している。このとき、液 領域11内の各液晶分子22は、その液晶領域11 ディスクリネーションが生じないように、 板表面に平行な面内で略一様に配向しよう する。その結果、図示する例では、液晶領 11内の液晶分子22は、液晶領域11の両端を「 」36として、一方の極36から他方の極36に向 う線に沿って配向している。従って、液晶 域11の配向ベクトル(ディレクタ)20は、両端 極間を結ぶ線に平行となる。

 ここで、配向膜12、13はラビング処理など の配向処理が施されていないため、液晶領域 11の面内のディレクタ20は、互いに揃ってお ず、ランダムな方向を向く。微視的に見る 、各液晶領域11は、それぞれ、ディレクタ20 起因する視野角の方位依存性を有するが、 画素で見ると、ランダムなディレクタ20を する複数の液晶領域11が存在するので、視野 角特性の方位依存性が平均化される。

 なお、本実施形態における液晶領域11内 液晶分子の配向状態は、面内にディレクタ20 を有するように配向していればよく、図示す るような2つの極36を有するバイポーラ(bipolar) 配向に限定されない。さらに、面内にディレ クタ20を有する液晶領域11が一画素内に2つ以 あればよい。一画素内の略全ての液晶領域1 1が面内にディレククタ20を有し、かつ、液晶 領域11の内部にディスクリネーションを含ま いことが望ましいが、そのような液晶領域1 1以外の液晶領域が画素内に含まれていても い。例えば画素内の一部の液晶領域が放射 の配向を有していたり、液晶領域内部にデ スクリネーションを有していてもかまわな 。

 <液晶領域内の液晶分子の配向状態2>
 1層構造の液晶層を有するサンプル液晶セル を作製して、液晶領域の配向状態を調べたの で、その方法および結果を説明する。

 まず、1層構造のサンプル液晶セル(「サン ル液晶セルNo.5」とする)を、上述したサンプ ル液晶セルと同様の方法で作製する。ただし 、配向膜として、表面自由エネルギーが47mJ/m 2 の水平配向膜Bを使用する。また、液晶層の 成には真空注入法を用い、液晶混合物に対 る光の照射強度を20mW/cm 2 とする。このようにして得られたサンプル液 晶セルNo.5では、各液晶領域は図3(b)に示す液 領域よりも大きくなり、前面基板および背 基板の配向膜と接するように配置される(液 晶領域の高さ≒液晶層の厚さ)。

 次いで、サンプル液晶セルNo.5の液晶層に おける液晶領域の配向状態を調べるために、 偏光顕微鏡を用いてサンプル液晶セルNo.5を 板の法線方向から観察する。

 図5(a)は、透過偏光顕微鏡を用いてクロス ニコル状態でサンプル液晶セルNo.5を観察し 顕微鏡像を示す図であり、図5(b)は、図5(a)の 状態から偏光板を45°回転させた状態の顕微 像を示す図である。図示する直線A、Pは、そ れぞれ、偏光顕微鏡の偏光板および検光板の 透過軸の方向を示している。

 この結果、液晶滴内にディスクリネーシ ンラインが観察されなかったことから、各 晶領域では液晶分子が略一様に配向してお 、モノドメインとなっていることがわかっ 。また、各液晶領域の幅は約5~15μmであった 。

 さらに、図5(a)では、一部の液晶領域は光 を透過しないため黒く見えるが、偏光板を回 転させると、これらの液晶領域は光を透過し て白く見える。同様に、図5(b)でも一部の液 領域が黒く見えるが、これらの液晶領域は 光板の回転により白く見える。このことか 、液晶領域の面内の配向方向(ディレクタ)は 液晶領域毎に異なることがわかった。さらに 、図5(a)および(b)では、何れも、黒く見える 域と白く見える領域とが略ランダムに配置 れていることから、異なるディレクタを有 る液晶領域が液晶層にランダムに配置され おり、視野角を拡大できることが確認され 。

 続いて、サンプル液晶セルNo.5を切断し、 有機溶剤で液晶領域内の液晶を洗い流した後 に、スパッタ法で断面に導電膜を蒸着して、 断面SEM観察を行った。次いで、サンプル液晶 セルNo.5から一方のガラス基板を剥がして、 晶層を上方から観察した(平面SEM観察)。

 図6(a)および(b)は、サンプル液晶セルNo.5 断面SEM像および平面SEM像を示す図である。 単のため、図3に示すサンプル液晶セルと同 の構成要素には同じ参照符号を付して説明 省略する。

 図6(a)から、高分子の壁10によって形成さ る小部屋14が液晶層1の厚さ方向に1層で配列 されており、各小部屋14は上側および下側の 向膜12、13に接していることがわかった。従 って、各小部屋14内に形成される液晶領域内 液晶分子は、配向膜12、13によってより確実 に規制されて、基板に平行に配向するため、 視野角特性をより効果的に改善できることが 確認された。また、高分子からなる壁10は基 に略垂直に形成されていることがわかった 一方、図6(b)から、高分子からなる壁10が連 しており、壁10の厚さが略均一であること わかった。

 次に、1層構造の液晶層を有するサンプル 液晶セルを作製して、本実施形態における表 示のコントラストの方位角依存性を測定した ので、その結果を図7に示す。

 まず、1層構造のサンプル液晶セル(「サン ル液晶セルNo.6」とする)を、上述したサンプ ル液晶セルと同様の方法で作製する。ただし 、配向膜として、表面自由エネルギーが47mJ/m 2 の水平配向膜Bを使用する。また、液晶層の 成には真空注入法を用い、液晶混合物に対 る光の照射強度を20mW/cm 2 とする。

 作製したサンプル液晶セルNo.6の液晶層は 、図5および図6に示すサンプル液晶セルNo.5の 液晶層と同様の構造を有している。表示のコ ントラストは、電圧印加時(黒表示)の透過光 度に対する電圧無印加時(白表示)の透過光 度の比を算出することによって求めた。こ 結果から、コントラストは方位角にほとん 依存しないことがわかった。従って、特別 配向分割手段を用いなくても、方位角依存 の少ない液晶表示装置を実現できることが 認できた。

 このように、本実施形態によると、視角 方位依存性を大幅に低減することが可能と り、MVAモードやPVAモードの表示装置と同様 配向分割効果が得られる。なお、図7では、 液晶領域が液晶層の厚さ方向に1層で配列さ た(1層構造)液晶層の方位角依存性を示して るが、同様に、液晶領域が2層で配列された( 2層構造)液晶層でも方位角依存性を大幅に低 することができる。なお、1層構造の液晶層 では、2層構造の液晶層よりも表示のコント ストを高くできるので有利である。

 なお、上記の実施例では、液晶層内の小 屋の構造を制御するために、所定の表面エ ルギーを有する配向膜を選択したが、配向 の表面を単分子吸着膜などを用いて改質す ことにより、配向膜の表面エネルギーを制 してもよい。また、配向膜の表面エネルギ の好適な範囲は、液晶の表面エネルギーと 程度(例えば差が20%以下)であればよく、上 した配向膜Bの表面エネルギーの値に限定さ ない。

 また、本実施形態の表示装置の構成は、 1に示す構成に限定されない。前面および背 面基板としてプラスチック基板を用いてもよ いし、曲面基板を用いてもよい。あるいは、 図8に示すようなフレキシブル基板52、53を用 てもよい。

 本発明によると、視野角特性および応答 性に優れた液晶表示装置を提供できる。ま 、そのような液晶表示装置を簡便な製造プ セスで安価に製造できる。

 本発明は、種々の液晶表示装置や液晶表 装置を用いた各種電気機器に適用できる。 に、水平配向型液晶を用いた透過型あるい 反射型液晶表示装置に好適に用いられる。